(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138017
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】提供装置、提供方法および提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20230922BHJP
【FI】
G06Q40/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044495
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】田島 玲
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 正一
(72)【発明者】
【氏名】木本 雅也
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB51
(57)【要約】
【課題】より有用な情報を提供することができる提供装置、提供方法および提供プログラムを提供すること。
【解決手段】本願に係る提供装置は、予測部と、推定部と、提供部とを備える。予測部は、金融商品の所定期間における価値の変動を予測する。推定部は、予測した価値の変動に基づいて、金融商品を保有することによるリスクを推定する。提供部は、推定したリスクがユーザによって指定された許容範囲である金融商品に関する情報を提供する
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融商品の所定期間における価値の変動を予測する予測部と、
予測した前記価値の変動に基づいて、前記金融商品を保有することによるリスクを推定する推定部と、
推定した前記リスクがユーザによって指定された許容範囲である前記金融商品に関する情報を提供する提供部と
を備える提供装置。
【請求項2】
前記推定部は、
前記予測部が予測した前記価値の変動を説明変数とし、前記リスクを目的変数として学習して生成したモデルを用いて、前記リスクを推定する
請求項1に記載の提供装置。
【請求項3】
前記推定部は、
前記金融商品の価値が所定期間に亘って低下もしくは上昇し続ける可能性を前記リスクとして推定する
請求項1または2に記載の提供装置。
【請求項4】
前記推定部は、
前記金融商品の価値が現在の価値よりも低下もしくは上昇する可能性をリスクとして推定する
請求項1~3のいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項5】
前記推定部は、
ユーザが指定した価値よりも低下もしくは上昇する可能性をリスクとして推定する
請求項1~4のいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項6】
前記推定部は、
前記金融商品毎に、種別が異なる複数のリスクを推定し、
前記提供部は、
推定した前記複数のリスクのうち、少なくとも1つ前記許容範囲である前記金融商品に関する情報を提供する
請求項1~5のいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項7】
前記複数のリスクそれぞれについて異なる前記許容範囲の指定を取得する取得部をさらに備える
請求項6に記載の提供装置。
【請求項8】
前記提供部は、
前記リスクおよび前記許容範囲に基づいて、ユーザが保有すべき金融商品の種別毎の推奨保有割合を示すポートフォリオを提供する
請求項1~7のいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する提供方法であって、
金融商品の所定期間における価値の変動を予測する予測工程と、
予測した前記価値の変動に基づいて、前記金融商品を保有することによるリスクを推定する推定工程と、
推定した前記リスクがユーザによって指定された許容範囲である前記金融商品に関する情報を提供する提供工程と
を含むことを特徴とする提供方法。
【請求項10】
金融商品の所定期間における価値の変動を予測する予測手順と、
予測した前記価値の変動に基づいて、前記金融商品を保有することによるリスクを推定する推定手順と、
推定した前記リスクがユーザによって指定された許容範囲である前記金融商品に関する情報を提供する提供手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、提供装置、提供方法および提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、株や、為替、先物等の金融商品をインターネット上で取引することが活発に行われている。また、金融商品の取引を支援するために各種情報を提供する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、より有用な情報をユーザに提供する点で更なる改善の余地があった。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、より有用な情報をユーザに提供することができる提供装置、提供方法および提供プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る提供装置は、予測部と、推定部と、提供部とを備える。前記予測部は、金融商品の所定期間における価値の変動を予測する。前記推定部は、予測した前記価値の変動に基づいて、前記金融商品を保有することによるリスクを推定する。前記提供部は、推定した前記リスクがユーザによって指定された許容範囲である前記金融商品に関する情報を提供する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、より有用な情報をユーザに提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る提供装置が実行する処理を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る提供システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る提供装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、金融商品情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る提供装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る提供装置、提供方法および提供プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る提供装置、提供方法および提供プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
(実施形態)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る提供装置が実行する処理について説明する。
図1は、実施形態に係る提供装置が実行する処理を示す図である。なお、
図1では、実施形態に係る提供装置1を含む提供システムSの動作例を示している。
図1に示すように、実施形態に係る提供システムSは、提供装置1と、ユーザ端末50とを含む。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る提供システムSでは、まず、ユーザ端末50は、ユーザから金融商品におけるリスクの許容範囲の指定を提供装置1へ送信(ステップS1)。金融商品は、ユーザが保有中の金融商品であってもよく、保有予定(未保有)の金融商品であってもよい。また、詳細は後述するが、提供装置1は、リスク(価値に関するリスクおよび心理的なリスク)の種別毎に異なる許容範囲を受け付けてもよい。許容範囲の受付は、例えば、リスクの値を変化させるスライダー部品を表示し、スライダー部品への操作により許容範囲を受け付ける。
【0012】
つづいて、実施形態に係る提供装置1は、ユーザ端末50から受信した金融商品の所定期間における価値の変動を予測する(ステップS2)。価値の変動とは、株式における株価の変動(すなわち、値動き)等である。
【0013】
例えば、提供装置1は、金融機関から金融商品の過去の価値の履歴を取得し、価値の履歴に基づいて所定期間先までの価値の変動を予測する。例えば、提供装置1は、価値の履歴に加えて、各種指標(ファンダメンタル指標やテクニカル指標)の指標値に加味して価値の変動を予測してもよい。例えば、提供装置1は、価値の履歴および各種指標から抽出される特徴情報を説明変数とし、所定期間先の価値の変動を目的変数として機械学習を行って生成したモデルを用いて所定期間先の価値の変動を予測する。なお、所定期間は、固定の期間であってもよく、ユーザが指定した期間であってもよく、ユーザの投資スタイル(デイトレードや、スイングトレード等)に応じて自動で設定された期間であってもよい。
【0014】
つづいて、提供装置1は、予測した価値の変動に基づいて、金融商品を保有することによるリスクを推定する(ステップS3)。例えば、提供装置1は、金融商品の価値が所定期間に亘って低下(もしくは上昇)し続ける可能性をリスクとして推定する。また、提供装置1は、金融商品の現在の価値よりも所定期間後における価値が低下(もしくは上昇)する可能性をリスクとして推定する。また、提供装置1は、所定期間後における価値が所定値(例えば、ユーザが指定した価値の値)よりも低下(もしくは上昇)する可能性をリスクとして推定する。なお、リスク推定の対象となる価値の低下(もしくは上昇)の程度は、ユーザによって指定されてもよく、ユーザの投資スタイル(デイトレードや、スイングトレード)に応じて自動で設定されてもよい。
【0015】
また、提供装置1は、価値に関するリスク以外にも、ユーザの心理的なリスクを推定してもよい。例えば、提供装置1は、金融商品の所定期間におけるボラリティ(価値の変動幅)を心理的なリスクとして推定してもよい。
【0016】
つづいて、提供装置1は、推定したリスクがステップS1で受け付けた許容範囲である金融商品を決定する(ステップS4)。例えば、提供装置1は、価値に関するリスクおよび心理的なリスク双方が許容範囲である金融商品や、価値に関するリスクおよび心理的なリスクのいずれか一方が許容範囲である金融商品を決定する。
【0017】
つづいて、提供装置1は、決定した金融商品に関する情報をユーザ端末50を介してユーザに提供する(ステップS5)。例えば、提供装置1は、決定された金融商品の情報(銘柄等)とともに、推定したリスクや、リスクから想定される損失または利益の額を提供してもよい。また、提供装置1は、リスクから想定される損失または利益の額に基づいたランキング情報を提供してもよい。また、提供装置1は、リスクおよび損失(または利益)に基づいて算出したスコアのランキング情報を提供してもよい。
【0018】
また、提供装置1は、推定したリスクおよび許容範囲に基づいて、ユーザが保有すべき金融商品の種別(株式、債券、投資信託等)毎の推奨保有割合を示すポートフォリオを提供してもよい。例えば、提供装置1は、リスクが許容範囲内で、かつ、利益の期待値が最大となるポートフォリオを提供する。
【0019】
また、提供装置1は、リスクおよび許容範囲に基づいて推定した金融商品の購入数の情報を提供してもよい。また、提供装置1は、利益総額が所定値以上の他のユーザがとっているリスク範囲に近い金融商品の情報を提供してもよい。なお、他のユーザは、金融商品の保有ポートフォリオがユーザと類似する他のユーザであってもよい。
【0020】
このように、実施形態に係る提供装置1では、推定したリスクが許容範囲である金融商品をユーザに提供することで、ユーザがどの程度のリスクを取って金融商品を購入すべきの判断の一助することができる。すなわち、実施形態に係る提供装置1によれば、より有用な情報をユーザに提供することができる。
【0021】
次に、
図2を用いて、実施形態に係る提供システムSの構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る提供システムSの構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、実施形態に係る提供システムSは、提供装置1と、複数のユーザ端末50と、複数の金融機関端末100とがネットワークNに対して有線又は無線により接続される。ネットワークNは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等のネットワークである。
【0022】
提供装置1は、実施形態に係る提供方法を実行するサーバ装置である。提供装置1は、ユーザが金融資産を保有することによるリスクを推定し、推定したリスクがユーザから受け付けた許容範囲である金融商品に関する情報をユーザに提供する。
【0023】
また、提供装置1は、各ユーザのユーザ端末50と連携し、各ユーザのユーザ端末50に対して、各種アプリケーション(以下、アプリ)等に対するAPI(Application Programming Interface)サービス等と、各種データを提供する情報処理装置であり、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。
【0024】
また、提供装置1は、各ユーザのユーザ端末50に対して、オンラインで何らかのWebサービスを提供する情報処理装置であってもよい。例えば、提供装置1は、Webサービスとして、インターネット接続、検索サービス、SNS(Social Networking Service)、電子商取引(EC:Electronic Commerce)、電子決済、オンラインゲーム、オンラインバンキング、オンライントレーディング、宿泊・チケット予約、動画・音楽配信、ニュース、地図、ルート検索、経路案内、路線情報、運行情報、天気予報等のサービスを提供してもよい。実際には、提供装置1は、上記のようなWebサービスを提供する各種サーバと連携し、Webサービスを仲介してもよいし、Webサービスの処理を担当してもよい。
【0025】
ユーザ端末50は、ユーザが所持する端末装置である。ユーザ端末50は、スマートフォン、デスクトップ型PC、ノート型PC、タブレット型PC等の任意のタイプの端末装置を用いることができる。ユーザ端末50は、提供装置1や金融機関端末100へ各種情報を送信したり、提供装置1や金融機関端末100から提供される情報を受信したりする。
【0026】
金融機関端末100は、金融商品を扱う金融機関の担当者が扱う端末装置である。金融機関端末100は、スマートフォン、デスクトップ型PC、ノート型PC、タブレット型PC等の任意のタイプの端末装置を用いることができる。金融機関端末100は、ユーザが保有する金融商品の情報や、金融商品の価値の履歴等の情報を提供装置1へ提供する。
【0027】
次に、
図3を参照して、提供装置1の構成例について説明する。
【0028】
図3は、実施形態に係る提供装置1の構成例を示す図である。
図3に示されるように、提供装置1は、通信部2と、制御部3と、記憶部4とを有する。制御部3は、取得部31と、予測部32と、推定部33と、決定部34と、提供部35とを備える。記憶部4は、ユーザ情報41と、金融商品情報42とを記憶する。
【0029】
通信部2は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部2は、有線または無線によりネットワーク網と接続される。
【0030】
制御部3は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサによって、提供装置1内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(提供プログラムの一例に相当)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部3は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPGPU(General Purpose Graphic Processing Unit)等の集積回路により実現されてもよい。
【0031】
記憶部4は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0032】
ユーザ情報41は、ユーザに関する情報である。
図4は、ユーザ情報41の一例を示す図である。
図4に示すように、ユーザ情報41は、「ユーザID」、「属性情報」、「保有商品情報」等の項目を含む。
【0033】
「ユーザID」は、ユーザを識別する識別情報である。「属性情報」は、ユーザの属性に関する情報であり、サイコグラフィック属性や、デモグラフィック属性等を含む。「保有商品情報」は、ユーザが現在保有する金融商品に関する情報であり、金融商品の銘柄や、保有数(株数等)、取得時の価値(株価等)等の情報が含まれる。
【0034】
金融商品情報42は、金融機関が扱う金融商品に関する情報である。
図5は、金融商品情報42の一例を示す図である。
図5に示すように、金融商品情報42は、「商品ID」、「商品情報」、「価値情報」等の項目を含む。
【0035】
「商品ID」は、金融商品を識別する識別情報である。「商品情報」は、金融商品に関する情報であり、金融商品の種別(株式、債券等)や、銘柄名、構成内容(インデックスなら構成銘柄)等の情報である。「価値情報」は、金融商品の価値(株価等)に関する情報であり、現在の価値や、過去の所定期間における価値の履歴等を含む。
【0036】
次に、提供装置1の制御部3の各機能(取得部31、予測部32、推定部33、決定部34および提供部35)について説明する。
【0037】
取得部31は、各種情報を取得する。例えば、取得部31は、ユーザ端末50からユーザが保有する金融商品の情報を取得する。金融商品の情報は、金融商品の銘柄や、保有数等である。また、取得部31は、保有中の金融商品に限らず、ユーザが保有予定(未保有)の金融商品の情報を取得してもよい。かかる場合、取得部31は、ユーザが指定した個別の銘柄の情報であってもよく、銘柄における分野等の銘柄が属するグループに関する情報であってもよい。また、取得部31は、金融機関端末100から金融商品の価値の履歴を取得する。
【0038】
また、取得部31は、ユーザ端末50からリスクの許容範囲の指定を受け付ける。例えば、取得部31は、リスク(価値に関するリスクおよび心理的なリスク)の種別毎に異なる許容範囲を受け付けてもよい。許容範囲の受付は、例えば、リスクの値を変化させるスライダー部品を表示し、スライダー部品への操作により許容範囲を受け付ける。
【0039】
予測部32は、金融商品の所定期間における価値の変動を予測する。例えば、予測部32は、金融機関から金融商品の過去の価値の履歴を取得し、価値の履歴に基づいて所定期間先までの価値の変動を予測する。
【0040】
例えば、予測部32は、価値の履歴に加えて、各種指標(ファンダメンタル指標やテクニカル指標)の指標値に加味して価値の変動を予測してもよい。例えば、提供装置1は、価値の履歴および各種指標から抽出される特徴情報を説明変数とし、所定期間先の価値の変動を目的変数として機械学習を行って生成したモデルを用いて所定期間先の価値の変動を予測する。
【0041】
予測する価値の変動の期間は、時間(X分後、X時間後等)や、日、週、月等のように任意の期間を設定可能である。かかる期間は、ユーザによって指定されてもよく、ユーザの投資スタイル(デイトレード、スイングトレード等)に応じて自動で設定されてもよい。投資スタイルは、ユーザによって指定されてもよく、ユーザの過去の取引履歴から推測してもよい。あるいは、予測する価値の変動の期間は、ユーザによって最終の日時が指定されたタイミングまでの期間であってもよい。
【0042】
推定部33は、予測部32によって予測された価値の変動に基づいて、金融商品を保有することによるリスクを推定する。推定部33が推定するリスクは、所定期間後における価値に基づいたリスクであってもよく、予測した所定期間内において所定タイミング毎のリスクであってもよい。
【0043】
例えば、推定部33は、金融商品の価値が所定期間に亘って低下(もしくは上昇)し続ける可能性をリスクとして推定する。また、推定部33は、金融商品の現在の価値よりも所定期間後における価値が低下(もしくは上昇)する可能性をリスクとして推定する。また、推定部33は、所定期間後における価値が所定値(例えば、ユーザが指定した価値の値)よりも低下(もしくは上昇)する可能性をリスクとして推定する。
【0044】
推定部33は、機械学習により生成したモデルを用いてリスクを推定することができる。具体的には、推定部33は、予測した価値の変動を説明変数とし、リスクを目的変数とするモデルを用いて、リスクを推定する。
【0045】
決定部34は、推定部33が推定したリスクが許容範囲である金融商品を決定する。例えば、決定部34は、価値に関するリスクおよび心理的なリスク双方が許容範囲である金融商品や、価値に関するリスクおよび心理的なリスクのいずれか一方が許容範囲である金融商品を決定する。
【0046】
提供部35は、決定部34によって決定された金融商品に関する情報をユーザ端末50を介してユーザに提供する。例えば、提供部35は、決定された金融商品の情報(銘柄等)とともに、推定したリスクや、リスクから想定される損失または利益の額を提供してもよい。また、提供部35は、リスクから想定される損失または利益の額に基づいたランキング情報を提供してもよい。また、提供部35は、リスクおよび損失(または利益)に基づいて算出したスコアのランキング情報を提供してもよい。
【0047】
また、提供部35は、推定したリスクおよび許容範囲に基づいて、ユーザが保有すべき金融商品の種別(株式、債券、投資信託等)毎の推奨保有割合を示すポートフォリオを提供してもよい。例えば、提供部35は、リスクが許容範囲内で、かつ、利益の期待値が最大となるポートフォリオを提供する。
【0048】
また、提供部35は、リスクおよび許容範囲に基づいて推定した金融商品の購入数の情報を提供してもよい。また、提供部35は、利益総額が所定値以上の他のユーザがとっているリスク範囲に近い金融商品の情報を提供してもよい。なお、他のユーザは、金融商品の保有ポートフォリオがユーザと類似する他のユーザであってもよい。
【0049】
次に、
図6を用いて、実施形態に係る提供装置1が実行する処理の処理手順について説明する。
図6は、実施形態に係る提供装置1が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0050】
図6に示すように、制御部3は、金融商品におけるリスクの許容範囲の指定を受け付ける(ステップS101)。
【0051】
つづいて、制御部3は、金融商品毎に価値の変動を予測する(ステップS102)。
【0052】
つづいて、制御部3は、金融商品を保有することによるリスクを推定する(ステップS103)。
【0053】
つづいて、制御部3は、推定したリスクが指定された許容範囲である金融商品を決定する(ステップS104)。
【0054】
つづいて、制御部3は、決定した金融商品に関する情報をユーザに提供し(ステップS105)、処理を終了する。
【0055】
〔その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の一部を手動的に行うこともできる。あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0056】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0057】
例えば、
図3に示した記憶部4の一部又は全部は、各装置によって保持されるのではなく、ストレージサーバ等に保持されてもよい。この場合、各装置は、ストレージサーバにアクセスすることで、各種情報を取得する。
【0058】
〔ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る提供装置1は、例えば
図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図7は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0059】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一時的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0060】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0061】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0062】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0063】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0064】
例えば、コンピュータ1000が提供装置1として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部3の機能を実現する。
【0065】
〔効果〕
上述してきたように、実施形態に係る提供装置1は、予測部32と、推定部33と、提供部35とを備える。予測部32は、金融商品の所定期間における価値の変動を予測する。推定部33は、予測した価値の変動に基づいて、金融商品を保有することによるリスクを推定する。提供部35は、推定したリスクがユーザによって指定された許容範囲である金融商品に関する情報を提供する。このような構成により、より有用な情報をユーザに提供することができる。
【0066】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0067】
〔その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0068】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0069】
また、上述してきた実施形態に記載した各処理は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0070】
また、上記してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部3は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 提供装置
2 通信部
3 制御部
4 記憶部
31 取得部
32 予測部
33 推定部
34 決定部
35 提供部
41 ユーザ情報
42 金融商品情報
50 ユーザ端末
100 金融機関端末
S 提供システム