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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138041
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】糸加工設備
(51)【国際特許分類】
   B65H 63/08 20060101AFI20230922BHJP
   B65H 54/14 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B65H63/08 Z
B65H54/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044524
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】長井 規浩
【テーマコード(参考)】
3F115
【Fターム(参考)】
3F115BA02
3F115CA52
3F115CB18
(57)【要約】
【課題】製造工場において製造されている複数の形成中パッケージに含まれる糸の個別巻取量及び/又は合計巻取量の情報を容易に取得可能にし、且つ、個別巻取量及び/又は合計巻取量の情報の取得に関するオペレータの負担を軽減する。
【解決手段】糸加工設備100の情報管理部110は、複数の錘9の各々について、巻取パッケージPwとして所定の巻取情報基準時刻において形成中であり又は巻取情報基準時刻において形成されていた形成中パッケージPwMに含まれる糸Yの巻取量を示す個別巻取量が考慮に入れられた個別巻取量含有情報を取得する。それに加え、或いはその代わりに、情報管理部110は、複数の錘9に係る個別巻取量を合計することにより得られる合計巻取量が考慮に入れられた合計巻取量含有情報を取得する。さらに、情報管理部110は、取得した個別巻取量含有情報及び/又は取得した合計巻取量含有情報を機台出力部5bに出力させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加工錘を有し、前記複数の加工錘の各々が、給糸パッケージから解舒される糸を加工して巻取ボビンに巻き取った巻取パッケージを形成可能に構成された糸加工機と、
前記糸加工機に関する情報を管理可能に構成された情報管理部と、
前記情報を出力可能に構成された出力部と、を備える糸加工設備であって、
前記情報管理部は、
前記複数の加工錘の各々について、前記巻取パッケージとして所定の巻取情報基準時刻において形成中であり又は前記巻取情報基準時刻において形成されていた形成中パッケージ、に含まれる糸の巻取量を示す個別巻取量が考慮に入れられた個別巻取量含有情報を前記情報として取得する個別巻取量情報取得処理、及び/又は前記複数の加工錘に係る前記個別巻取量を合計することにより得られる合計巻取量が考慮に入れられた合計巻取量含有情報を前記情報として取得する合計巻取量情報取得処理、を行い、
前記個別巻取量情報取得処理により取得した前記複数の加工錘の各々についての前記個別巻取量含有情報を前記出力部に出力させる個別巻取量情報出力処理、及び/又は前記合計巻取量情報取得処理により取得した前記合計巻取量含有情報を前記出力部に出力させる合計巻取量情報出力処理を行うことを特徴とする糸加工設備。
【請求項2】
前記情報管理部は、前記合計巻取量情報取得処理及び前記合計巻取量情報出力処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の糸加工設備。
【請求項3】
複数の前記糸加工機を備え、
前記情報管理部は、
前記複数の糸加工機の少なくとも一部の各々について、前記個別巻取量情報取得処理及び/又は前記合計巻取量情報取得処理を行い、
前記複数の糸加工機の前記少なくとも一部を含む所定の糸加工機グループについて、前記個別巻取量情報出力処理及び/又は前記合計巻取量情報出力処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の糸加工設備。
【請求項4】
前記複数の加工錘の各々は、
前記巻取パッケージのうち形成され終わった1以上の完成パッケージを一時的に保管可能なストッカー、を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の糸加工設備。
【請求項5】
前記情報管理部は、
前記1以上の完成パッケージのうち前記ストッカーに一時的に保管されている1以上の保管中パッケージに含まれる糸の総量である一時保管総量に関する保管総量関連情報をオペレータによって入力可能に構成され、且つ、
前記複数の加工錘の各々について、前記保管総量関連情報を考慮に入れて前記個別巻取量含有情報を取得可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の糸加工設備。
【請求項6】
前記複数の加工錘の各々は、
前記1以上の完成パッケージのうち前記ストッカーに一時的に保管されている1以上の保管中パッケージを検知可能に構成された保管中パッケージ検知部、を有し、
前記情報管理部は、
前記複数の加工錘の各々について、前記保管中パッケージ検知部による検知結果に基づき、前記1以上の保管中パッケージに含まれる糸の総量である一時保管総量に関する保管総量関連情報を考慮に入れて前記個別巻取量含有情報を取得可能に構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の糸加工設備。
【請求項7】
前記出力部は、前記個別巻取量含有情報の少なくとも一部及び/又は前記合計巻取量含有情報を表示可能に構成されたディスプレイを有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の糸加工設備。
【請求項8】
前記出力部は、前記個別巻取量含有情報の少なくとも一部及び/又は前記合計巻取量含有情報を印刷媒体に印刷可能に構成されたプリンタを有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の糸加工設備。
【請求項9】
前記出力部は、前記個別巻取量含有情報の少なくとも一部及び/又は前記合計巻取量含有情報を含む電子ファイルを生成可能に構成された生成部を有することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の糸加工設備。
【請求項10】
前記出力部は、前記個別巻取量含有情報の少なくとも一部及び/又は前記合計巻取量含有情報を前記情報管理部の外部のコンピュータに送信可能に構成された通信部を有することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の糸加工設備。
【請求項11】
前記情報管理部は、前記情報として、前記巻取情報基準時刻の設定に関する巻取設定情報をオペレータによって入力可能に構成されていることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の糸加工設備。
【請求項12】
前記情報管理部は、前記巻取設定情報に基づき、過去及び将来を含む任意の時刻として前記巻取情報基準時刻を設定可能に構成されていることを特徴とする請求項11に記載の糸加工設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸加工設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された仮撚加工システム(糸加工設備)は、複数の給糸パッケージから供給される複数の糸を仮撚加工し、複数の巻取ボビンに巻き取って複数の巻取パッケージを形成するように構成されている。複数の巻取ボビンの各々に糸が巻き取られ始めるタイミング、及び複数の巻取パッケージの各々の形成が終了するタイミングは、統括制御装置によって管理される。これらのタイミングに関する情報を取得することにより、任意の時刻において、各巻取パッケージの形成開始時から経過した時間の長さ(巻取時間)を知ることができる。また、巻取パッケージに糸が巻き取られる巻取速度は、一般的に糸加工設備において予め設定されている。これらの情報を利用して、形成中の各巻取パッケージに含まれる糸の量(巻取量)を推定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-024741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、糸加工設備が設けられており加工糸が製造される製造工場においては、必要に応じて棚卸資産の評価が行われる。その際、流動資産である形成中の巻取パッケージの資産価値も評価される。このために、形成された複数の巻取パッケージの各々に含まれる糸の量の合計値だけでなく、糸が巻き取られている(すなわち、形成中の)複数の巻取パッケージの各々に含まれる糸の個別巻取量及び/又はその合計値(合計巻取量)も考慮に入れる必要がある。しかしながら、従来の設備においては、形成中の複数の巻取パッケージ(複数の形成中パッケージ)に係る糸の巻取量の情報を得るために、まず、オペレータが各形成中パッケージを目視等により逐一確認する必要がある。このような状況では、大量生産がますます推進されている近年において、多数の形成中パッケージに係る糸の巻取量を同じタイミングで知ることが難しい。このため、合計巻取量の情報を適切に取得することが非常に難しい。また、合計巻取量の情報を取得するために、オペレータに膨大な負担がかかるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、製造工場において製造されている複数の形成中パッケージに含まれる糸の個別巻取量及び/又は合計巻取量の情報を容易に取得可能にし、且つ、個別巻取量及び/又は合計巻取量の情報の取得に関するオペレータの負担を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の糸加工設備は、複数の加工錘を有し、前記複数の加工錘の各々が、給糸パッケージから解舒される糸を加工して巻取ボビンに巻き取った巻取パッケージを形成可能に構成された糸加工機と、前記糸加工機に関する情報を管理可能に構成された情報管理部と、前記情報を出力可能に構成された出力部と、を備える糸加工設備であって、前記情報管理部は、前記複数の加工錘の各々について、前記巻取パッケージとして所定の巻取情報基準時刻において形成中であり又は前記巻取情報基準時刻において形成されていた複数の形成中パッケージに含まれる糸の巻取量を示す個別巻取量が考慮に入れられた個別巻取量含有情報を前記情報として取得する個別巻取量情報取得処理、及び/又は、前記複数の加工錘の少なくとも一部に係る前記個別巻取量を合計することにより得られる合計巻取量が考慮に入れられた合計巻取量含有情報を前記情報として取得する合計巻取量情報取得処理、を行い、前記個別巻取量情報取得処理により取得した前記複数の加工錘の各々についての前記個別巻取量含有情報を前記出力部に出力させる個別巻取量情報出力処理、及び/又は前記合計巻取量情報取得処理により取得した前記合計巻取量含有情報を前記出力部に出力させる合計巻取量情報出力処理を行うことを特徴とする。
【0007】
「個別巻取量含有情報」は、個別巻取量そのものの情報であっても良く、或いは、個別巻取量に別の値が加算されることにより得られる情報であっても良い。「合計巻取量含有情報」は、合計巻取量そのものの情報であっても良く、或いは、合計巻取量に別の値が加算されることにより得られる情報であっても良い。本発明では、複数の加工錘の各々についての個別巻取量含有情報、及び/又は合計巻取量含有情報が出力部によって出力される。個別巻取量含有情報が出力される場合、オペレータが、複数の形成中パッケージに係る個別巻取量を一目で確認することができる。このように一目で確認された個別巻取量に基づき、複数の形成中パッケージに係る個別巻取量を合計することにより、合計巻取量を得ることができる。また、合計巻取量含有情報が出力される場合、合計巻取量を短時間で知ることができる。したがって、製造工場において使用されている複数の形成中パッケージに含まれる糸の個別巻取量及び/又は合計巻取量の情報を容易に取得可能にし、且つ、個別巻取量及び/又は合計巻取量の取得に関するオペレータの負担を軽減することができる。
【0008】
第2の発明の糸加工設備は、前記第1の発明において、前記情報管理部は、前記合計巻取量情報取得処理及び前記合計巻取量情報出力処理を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明では、合計巻取量を短時間で知ることができる。したがって、オペレータの負担を大きく軽減できる。
【0010】
第3の発明の糸加工設備は、前記第1又は第2の発明において、複数の前記糸加工機を備え、前記情報管理部は、前記複数の糸加工機の少なくとも一部の各々について、前記個別残量情報取得処理及び/又は前記合計残量情報取得処理を行い、前記複数の糸加工機の前記少なくとも一部を含む所定の糸加工機グループについて、前記個別残量情報出力処理及び/又は前記合計残量情報出力処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の糸加工設備。
【0011】
「糸加工機グループ」は、例えば「1以上の部屋(或いは、1以上の建物、1以上の事業所等)に設置された複数の糸加工機のうち、1つの部屋(或いは、1つの建物、1つの事業所等)に設置された少なくとも一部の糸加工機を含むグループ」を意味する。本発明では、部屋毎、建物毎、或いは事業所毎に、個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報をまとめて知ることができる。したがって、棚卸資産の評価を効率的に行うことができる。
【0012】
第4の発明の糸加工設備は、前記第1~第3のいずれかの発明において、前記複数の加工錘の各々は、前記巻取パッケージのうち形成され終わった1以上の完成パッケージを一時的に保管可能なストッカー、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明では、ストッカーに一時的に保管されている1以上の完成パッケージに含まれる糸量を知る必要もある。このような構成においても、少なくとも個別巻取量の情報及び/又は合計巻取量の情報を出力できるので、オペレータの負担を軽減できる。
【0014】
第5の発明の糸加工設備は、前記第4の発明において、前記情報管理部は、前記1以上の完成パッケージのうち前記ストッカーに一時的に保管されている1以上の保管中パッケージに含まれる糸の総量である一時保管総量に関する保管総量関連情報をオペレータによって入力可能に構成され、且つ、前記複数の加工錘の各々について、前記保管総量関連情報を考慮に入れて前記個別巻取量含有情報を取得可能に構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明では、オペレータが保管総量関連情報を調べて情報管理部に入力する必要はあるものの、このような入力が行われたとき、保管総量関連情報が考慮に入れられた個別巻取量含有情報を取得できる。したがって、オペレータの負担をある程度軽減できる。
【0016】
第6の発明の糸加工設備は、前記第4又は第5の発明において、前記複数の加工錘の各々は、前記1以上の完成パッケージのうち前記ストッカーに一時的に保管されている1以上の保管中パッケージを検知可能に構成された保管中パッケージ検知部、を有し、前記情報管理部は、前記複数の加工錘の各々について、前記保管中パッケージ検知部による検知結果に基づき、前記1以上の保管中パッケージに含まれる糸の総量である一時保管総量に関する保管総量関連情報を考慮に入れて前記個別巻取量含有情報を取得可能に構成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明では、保管総量関連情報の取得に関するオペレータの負担を大きく軽減できる。
【0018】
第7の発明の糸加工設備は、前記第1~第6のいずれかの発明において、前記出力部は、前記個別巻取量含有情報及び/又は前記合計巻取量含有情報を表示可能に構成されたディスプレイを有することを特徴とする。
【0019】
本発明では、オペレータがディスプレイを見るだけで個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を知ることができる。
【0020】
第8の発明の糸加工設備は、前記第1~第7のいずれかの発明において、前記出力部は、前記個別巻取量含有情報及び/又は前記合計巻取量含有情報を印刷媒体に印刷可能に構成されたプリンタを有することを特徴とする。
【0021】
本発明では、オペレータが印刷物を見るだけで個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を知ることができる。
【0022】
第9の発明の糸加工設備は、前記第1~第8のいずれかの発明において、前記出力部は、前記個別巻取量含有情報及び/又は前記合計巻取量含有情報を含む電子ファイルを生成可能に構成された生成部を有することを特徴とする。
【0023】
本発明では、生成された電子ファイルを開くことにより個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を取得できる。
【0024】
第10の発明の糸加工設備は、前記第1~第9のいずれかの発明において、前記出力部は、前記個別巻取量含有情報及び/又は前記合計巻取量含有情報を前記情報管理部の外部のコンピュータに送信可能に構成された通信部を有することを特徴とする。
【0025】
本発明の外部のコンピュータは、一般的なPCに限られず、ホストコンピュータ、携帯電話、タブレット端末等、情報を閲覧及び/又は処理可能などのような機器であっても良い。本発明では、外部のコンピュータを操作することにより個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を取得できる。
【0026】
第11の発明の糸加工設備は、前記第1~第10のいずれかの発明において、前記情報管理部は、前記情報として、前記巻取情報基準時刻の設定に関する巻取設定情報をオペレータによって入力可能に構成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明では、オペレータの要望に応じた巻取情報基準時刻を設定できる。
【0028】
第12の発明の糸加工設備は、前記第11のいずれかの発明において、前記情報管理部は、前記巻取設定情報に基づき、過去及び将来を含む任意の時刻として前記巻取情報基準時刻を設定可能に構成されていることを特徴とする。
【0029】
本発明では、任意の時刻における個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】糸加工設備の電気的構成を示すブロック図である。
図2】仮撚加工機の側面図である。
図3】糸の経路に沿って仮撚加工機を展開した模式図である。
図4】(a)、(b)は、給糸パッケージに含まれる糸の残量と時刻との関係を示すグラフであり、(c)は、巻取ボビンへの糸の巻取量と時刻との関係を示すグラフである。
図5】複数の解舒中パッケージに含まれる糸の合計残量の算出及び出力に関するフローチャートである。
図6】複数の形成中パッケージに含まれる糸の合計巻取量の算出及び出力に関するフローチャートである。
図7】(a)は、合計残量及び合計巻取量等が表示された画面を示す説明図であり、(b)は、各種メニューが表示された画面を示す説明図である。
図8】変形例に係る仮撚加工機の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(糸加工設備の概略)
次に、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態に係る糸加工設備100の概略について、図1のブロック図を参照しつつ説明する。図1に示すように、糸加工設備100は、複数の仮撚加工機1(本発明の糸加工機)と、管理装置101とを有する。複数の仮撚加工機1は、例えば、所定の機台長手方向(図2等参照)に沿って配列されている。各仮撚加工機1は、例えばポリエステル、ナイロン(ポリアミド系繊維)等の合成繊維からなる糸Y(図2等参照)を仮撚加工可能に構成されている。糸Yは、例えば複数のフィラメント(不図示)からなるマルチフィラメント糸である。各仮撚加工機1は、後述するように、給糸部2から供給された糸Yを加工部3によって加工し、巻取部4に装着された巻取ボビンBwに巻き取って巻取パッケージPwを形成するように構成されている。各仮撚加工機1は、各仮撚加工機1に設けられたコンピュータ装置である機台制御装置5によって制御される。
【0032】
管理装置101は、複数の機台制御装置5によって取得された情報を統括的に管理するためのホストコンピュータである。管理装置101は、管理入力部101a(例えばマウス及びキーボード)と、管理出力部101b(例えばディスプレイ)と、管理記憶部101c(例えばハードディスク)とを有する。管理装置101と複数の機台制御装置5とを合わせたものが、本実施形態の情報管理部110である。情報管理部110が取り扱う情報の詳細については後述する。
【0033】
(仮撚加工機の全体構成)
次に、仮撚加工機1の全体構成について、図2及び図3を参照しつつ説明する。図2は、仮撚加工機1の側面図である。図3は、糸Yの経路(糸道)に沿って仮撚加工機1を展開した模式図である。図2の紙面垂直方向を上述した機台長手方向とし、紙面左右方向を機台幅方向とする。機台長手方向及び機台幅方向の両方と直交する方向を、重力の作用する上下方向(鉛直方向)とする。糸Yが走行する方向を糸走行方向とする。仮撚加工機1は、複数の糸Yを供給するための給糸部2と、給糸部2から供給された複数の糸Yを加工する(仮撚加工する)加工部3と、加工部3によって加工された複数の糸Yを巻取ボビンBwに巻き取る巻取部4と、機台制御装置5と、を備える。
【0034】
給糸部2は、複数の給糸パッケージPsを保持するクリールスタンド6を有し、加工部3に複数の糸Yを同時に供給することが可能に構成されている。加工部3は、給糸部2から複数の糸Yを解舒して加工するように構成されている。加工部3は、糸走行方向における上流側から順に、第1フィードローラ11、撚止ガイド12、第1加熱装置13、冷却装置14、仮撚装置15、第2フィードローラ16、第2加熱装置17、第3フィードローラ18が配置された構成となっている。加工部3におけるこれらの構成要素は、例えば、後述する複数の錘9(図3参照)のそれぞれに設けられている。巻取部4は、複数の巻取装置19を有する。各巻取装置19は、加工部3で仮撚加工された糸Yを巻取ボビンBwに巻き取って巻取パッケージPwを形成する。また、巻取部4には、複数の巻取装置19にそれぞれに対応して、形成された巻取パッケージPwと新たな空の巻取ボビンBwとの交換作業を行う複数のオートドッファ10が設けられている。
【0035】
機台制御装置5は、給糸部2、加工部3及び巻取部4の各構成要素を制御するためのものである。機台制御装置5は、例えば一般的なコンピュータ装置である。機台制御装置5は、機台入力部5aと、機台出力部5b(本発明の出力部)と、機台記憶部5cとを有する(図1参照)。機台入力部5aは、例えば、不図示のマウス、タッチパネル及び/又はキーボードを有し、オペレータによって操作されることが可能に構成されている。機台出力部5bは、例えば公知のディスプレイ5b1と公知のプリンタ5b2とを有し、情報を出力可能に構成されている。機台記憶部5cは、給糸部2、加工部3及び巻取部4の構成要素を制御するための各種情報を記憶するように構成されている。機台制御装置5は、各種情報に基づき、給糸部2、加工部3及び巻取部4の構成要素を制御する。或いは、機台制御装置5は、給糸部2、加工部3及び巻取部4の各構成要素を制御するための各種制御装置(不図示)を介して、これらの構成要素を間接的に制御しても良い。機台制御装置5には、ホストコンピュータである管理装置101が電気的に接続されている。管理装置101は、機台制御装置5が取得した情報を利用し、後述する種々の判断及び/又は演算を行うことが可能である。
【0036】
複数の仮撚加工機1の各々は、機台幅方向に間隔を置いて配置された主機台7及び巻取台8を有する。主機台7及び巻取台8は、機台長手方向に略同じ長さに延びるように設けられている。主機台7及び巻取台8は、機台幅方向において互いに対向するように配置されている。仮撚加工機1は、1組の主機台7及び巻取台8を含む、スパンと呼ばれる単位ユニットを有する。1つのスパンにおいては、機台長手方向に並んだ状態で走行する複数の糸Yに対して、同時に仮撚加工を施すことができるように各装置が配置されている。仮撚加工機1は、このスパンが、主機台7の機台幅方向の中心線Cを対称軸として、紙面左右対称に配置されている(主機台7は、左右のスパンで共通のものとなっている)。また、複数のスパンが、機台長手方向に配列されている。図2において、複数の仮撚加工機1の1つとして、中心線Cの紙面右側に仮撚加工機1Aが記載されている。また、図2において、中心線Cの紙面左側に、仮撚加工機1Aとは別の仮撚加工機1Bが記載されている。
【0037】
また、1本の糸Yが給糸部2から供給されて巻取部4に到達するまでに通る構成要素のグループは、「錘」と呼ばれる。言い換えると、複数の仮撚加工機1の各々は、各仮撚加工機1が有する複数の巻取装置19の数と同じ数の錘9(本発明の加工錘。図3参照)を有する。例として、図3には2つの錘9(錘9A、9B)が記載されている。複数の錘9は、大まかに言えば、機台長手方向に沿って並べて配置されている。包含関係として、仮撚加工機1は複数のスパンを有し、各スパンは複数の錘9を有する。仮撚加工機1は、糸Yが掛けられた錘9において、糸Yを仮撚加工可能である。
【0038】
(給糸部)
給糸部2の構成について、図2及び図3を参照しつつ説明する。給糸部2のクリールスタンド6は、複数の錘9にそれぞれ対応して設けられた複数の給糸パッケージ保持部20(図3参照)を有する。複数の給糸パッケージ保持部20の各々は、2つの給糸パッケージPsが着脱されるように構成されている。すなわち、給糸パッケージ保持部20は、2つのパッケージ装着部21を有する。説明の便宜上、2つのパッケージ装着部21の一方を第1装着部22と呼び、他方を第2装着部23と呼ぶ。第1装着部22及び第2装着部23は、それぞれ、1つの給糸パッケージPsが着脱されることが可能に構成されている。パッケージ装着部21への給糸パッケージPsの着脱は、例えばオペレータによって行われる。
【0039】
給糸部2の各給糸パッケージ保持部20は、以下のようにして、糸Yを途切れずに供給することが可能に構成されている。例えば、図3に示すように、複数の給糸パッケージPsのうちの任意の1つである給糸パッケージPsAが、第1装着部22に装着されている。また、給糸パッケージPsAとは別の給糸パッケージPsBが、第2装着部23に装着されている。給糸パッケージPsAから糸Yが解舒されているとき、給糸パッケージPsAは、本発明の解舒中パッケージに相当する。また、このとき、給糸パッケージPsBは、本発明の予備パッケージに相当する。また、給糸パッケージPsAに含まれる糸Yの終端部と、給糸パッケージPsBに含まれる糸Yの始端部とが結節されている(接続されている)。これにより、2本の糸Yの間に結節部分K(糸接続部分)が形成されている。このような場合、給糸パッケージPsAが空になった後に、給糸パッケージPsBから糸Yを途切れずに供給することが可能である。具体的には、給糸パッケージPsAからの糸Yの供給が終了して給糸パッケージPsAが空になった直後、結節部分Kが糸走行方向下流側(巻取装置19側)へ引っ張られることにより、給糸パッケージPsBから糸Yが解舒される。つまり、一方のパッケージ装着部21に装着された給糸パッケージPsから糸Yが解舒され終わった後、他方のパッケージ装着部21に装着された次の給糸パッケージPsから糸Yが解舒され始める。以下、説明の便宜上、このような事象を給糸パッケージ切替と呼ぶ。これにより、糸Yが途切れることなく供給される。その後、空になった給糸パッケージPs(給糸ボビンBs)は、例えばオペレータによって新しい給糸パッケージPsと交換される。
【0040】
各給糸パッケージ保持部20の糸走行方向下流側には、糸検知センサ24が配置されている。糸検知センサ24は、第1装着部22及び第2装着部23のうちどちらから糸Yが供給されているか検知可能に構成されている。図3に示すように、糸検知センサ24は、第1検知部25と、第2検知部26とを有する。第1検知部25は、第1装着部22から糸Yが供給されているか否か検知可能に構成されている。第2検知部26は、第2装着部23から糸Yが供給されているか否か検知可能に構成されている。第1検知部25及び第2検知部26は、例えば、それぞれが糸Yを光学的に検知する光学センサである。糸検知センサ24のより詳細については、例えば特許第5873105号公報を参照されたい。或いは、第1検知部25及び第2検知部26は、例えば、接触式のセンサであっても良い。
【0041】
(加工部)
加工部3の構成について、図2及び図3を参照しつつ説明する。以下では、加工部3のうち、1つの錘9に対応する部分のみ説明する。
【0042】
第1フィードローラ11は、給糸部2に装着された給糸パッケージPsから糸Yを解舒して第1加熱装置13へ送るように構成されている。第1フィードローラ11は、撚止ガイド12の糸走行方向上流側に配置されている。第1フィードローラ11による糸Yの搬送速度は、給糸パッケージPsから糸Yが解舒される解舒速度Vu(図3参照)と略等しい。第1フィードローラ11による糸Yの搬送速度の設定値の情報は、例えば機台制御装置5に予め記憶されている。第1フィードローラ11の糸走行方向における上流側には、不図示のカッタが設けられていても良い。断糸が発生したとき、カッタが糸Yを切断することにより、糸Yが第1フィードローラ11等の回転駆動される部材に巻き付くことを防止できる。
【0043】
撚止ガイド12は、仮撚装置15で糸Yに付与された撚りが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側に伝播しないように構成されている。撚止ガイド12は、第1フィードローラ11の糸走行方向下流側、且つ、第1加熱装置13の糸走行方向上流側に配置されている。
【0044】
第1加熱装置13は、第1フィードローラ11から送られてきた糸Yを加熱するように構成されている。第1加熱装置13は、撚止ガイド12の糸走行方向下流側、且つ、冷却装置14の糸走行方向上流側に配置されている。本実施形態においては、説明の簡略化のため、第1加熱装置13は1本の糸Yを加熱するように構成されているものとするが、これには限られない。第1加熱装置13は、複数の糸Yを同時に加熱可能に構成されていても良い。
【0045】
冷却装置14は、第1加熱装置13で加熱された糸Yを冷却するように構成されている。冷却装置14は、第1加熱装置13の糸走行方向下流側、且つ、仮撚装置15の糸走行方向上流側に配置されている。本実施形態においては、説明の簡略化のため、冷却装置14は1本の糸Yを冷却するように構成されているものとするが、これに限られない。冷却装置14は、複数の糸Yを同時に冷却可能に構成されていても良い。
【0046】
仮撚装置15は、糸Yに撚りを付与するように構成されている。仮撚装置15は、例えば、いわゆるディスクフリクション方式の仮撚装置であるが、これには限られない。仮撚装置15は、冷却装置14の糸走行方向下流側、且つ、第2フィードローラ16の糸走行方向上流側に配置されている。
【0047】
第2フィードローラ16は、仮撚装置15で処理された糸Yを第2加熱装置17へ送るように構成されている。第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度は、第1フィードローラ11による糸Yの搬送速度よりも速い。これにより、糸Yは、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸される。第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度の設定値の情報は、例えば機台制御装置5に予め記憶されている。
【0048】
第2加熱装置17は、第2フィードローラ16から送られてきた糸Yを加熱するように構成されている。第2加熱装置17は、鉛直方向に沿って延びている。説明の簡略化のため、第2加熱装置17は1本の糸Yを加熱するように構成されているものとするが、これには限られない。第2加熱装置17は、複数の糸Yを同時に加熱可能に構成されていても良い。
【0049】
第3フィードローラ18は、第2加熱装置17によって加熱された糸Yを巻取装置19へ送るように構成されている。第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度は、第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度よりも遅い。糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩される。第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度の設定値の情報は、例えば機台制御装置5に予め記憶されている。
【0050】
第3フィードローラ18の糸走行方向における下流側、且つ巻取装置19(後述)の糸走行方向における上流側には、ヤーンフィーラ41が配置されている。ヤーンフィーラ41は、糸走行方向において第3フィードローラ18と巻取装置19との間を糸Yが走行しているか否か検出可能に構成されている。
【0051】
以上のように構成された加工部3では、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸された糸Yが、仮撚装置15によって撚られる。仮撚装置15により形成される撚りは、撚止ガイド12までは伝播するが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側には伝播しない。延伸されつつ撚りが付与された糸Yは、第1加熱装置13で加熱されて熱固定された後、冷却装置14で冷却される。仮撚装置15から下流では糸Yは解撚されるが、上記の熱固定によって各フィラメントが波状に仮撚りされた状態が維持される。さらに、仮撚装置15によって仮撚りが施された糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩されながら、第2加熱装置17で熱固定された後、糸走行方向における下流側へ案内される。最後に、第3フィードローラ18から送られた糸Yは、巻取装置19によって巻取ボビンBwに巻き取られる。これにより、巻取パッケージPwが形成される。
【0052】
(巻取部)
巻取部4の構成について、図2及び図3を参照しつつ説明する。巻取部4は、糸Yを巻取ボビンBwに巻き取る複数の巻取装置19と、各巻取装置19に対応して設けられた複数のオートドッファ10(図2参照)とを有する。複数の巻取装置19は、複数の錘9に1つずつ属している(図3参照)。各巻取装置19は、例えば、支点ガイド31と、トラバース装置32と、クレードル33と、巻取ローラ34とを有する。支点ガイド31は、糸Yがトラバースされる際の支点となるガイドである。トラバース装置32は、例えば、モータにより往復駆動される無端ベルトに取り付けられたトラバースガイド35によって糸Yを綾振りするように構成されている。クレードル33は、巻取ボビンBw(巻取パッケージPw)を回転自在に支持可能に構成されている。巻取ローラ34は、巻取パッケージPwを回転させ、且つ、巻取パッケージPwの表面に接圧を付与するように構成されている。巻取ローラ34は、例えば、巻取パッケージPwの表面に接触した状態で、不図示のモータによって回転駆動される。これにより、巻取パッケージPwが摩擦力により従動回転するとともに、巻取パッケージPwの表面に接圧が付与されて巻取パッケージPwの形状が整えられる。なお、巻取ローラ34が回転駆動される代わりに、巻取パッケージPwが不図示のモータによって直接回転駆動されても良い。
【0053】
オートドッファ10は、巻取パッケージPwを巻取装置19から取り外し、空の巻取ボビンBwを巻取装置19に装着するように構成されている。言い換えれば、オートドッファ10は、巻取部4において、形成終了後の巻取パッケージPwと空の巻取ボビンBwとを交換可能に構成されている。また、オートドッファ10は、巻取パッケージPwの近傍において糸Yを切断可能な不図示のカッタを有する。走行中の糸Yがカッタによって切断されることにより、巻取パッケージPwの形成が終了する。ここで、カッタによる糸切断後にも、糸Yは、巻取ボビンBwに巻き取られるときと略等しい速度で給糸パッケージPsから解舒され、巻取装置19側へ供給され続ける。オートドッファ10は、巻取パッケージPwの形成終了後、次の巻取ボビンBwへの糸Yの巻取開始までの間、巻取装置19に供給されてくる走行中の糸Yを吸引捕捉して保持可能な不図示のサクションを有する。次に糸Yが巻き取られる巻取ボビンBwに糸Yが掛けられるまでの間、糸Yのうちサクションによって吸引された部分は吸引除去される。オートドッファ10の構造等のより詳細については、例えば特開平6-212521号公報を参照されたい。
【0054】
また、オートドッファ10は、ストッカー10aを有する。ストッカー10aは、形成され終わって巻取装置19から取り外された巻取パッケージPw(以下、完成パッケージPwCと呼ぶ)を一時的に保管可能に構成されている。ストッカー10aは、例えば、クリールスタンド6と巻取台8との間に形成された空間に面している。完成パッケージPwCのうちストッカー10aに一時保管されているもの(保管中パッケージPwS)は、例えばオペレータによって回収される。本実施形態では、複数の錘9の各々に設けられたストッカー10aが、複数の完成パッケージPwCを一時的に保管可能に構成されている。ストッカー10aは、複数の保管中パッケージPwSの数を検知するように構成された保管中パッケージ検知部42を有する。保管中パッケージ検知部42は、例えば複数のセンサ(不図示)を有する。各センサは、例えば反射式の光学センサであっても良い。各センサは、1つの保管中パッケージPwSを検知可能に構成されている。機台制御装置5は、保管中パッケージ検知部42による検知結果に基づき、ストッカー10aに一時保管されている保管中パッケージPwSの数の情報を取得する。保管中パッケージPwSは、例えばオペレータによって回収される。
【0055】
また、巻取装置19の近傍には、例えば不図示の糸掛装置が設けられている。糸掛装置は、巻取装置19に装着された空の巻取ボビンBwに糸Yを掛けるように構成されている。
【0056】
以上のように構成された巻取部4では、上述した第3フィードローラ18から送られた糸Yが各巻取装置19によって巻取ボビンBwに巻き取られ、巻取パッケージPwが形成される(巻取処理)。オートドッファ10のカッタによって糸Yが切断されることにより、巻取ボビンBwへの糸Yの巻取処理が終了する。それとほぼ同時に、巻取装置19へ供給されてくる糸Yがサクションによって吸引保持され、オートドッファ10によって巻取パッケージPwがクレードル33から取り外される。その直後、オートドッファ10によって新しい空の巻取ボビンBwがクレードル33に装着される。さらに、糸掛装置によって新しい巻取ボビンBwに糸Yが掛けられる。これにより、新しい巻取ボビンBwに糸Yを巻き取り始めることが可能である。以下、説明の便宜上、巻取装置19によって形成されている途中の巻取パッケージPwを形成中パッケージPwMと呼ぶ。
【0057】
ここで、一般的に、糸加工設備100が設けられており加工糸が製造される製造工場においては、必要に応じて棚卸資産の評価が行われる。その際、流動資産である加工前の糸Yの資産価値も評価される。このために、使用前の複数の給糸パッケージPsの各々に含まれる糸Yの量の合計値だけでなく、糸Yが解舒されている(すなわち、使用中の)複数の給糸パッケージPsの各々に含まれる糸Yの個別残量やその合計値(合計残量)も考慮に入れる必要がある。しかしながら、従来の設備においては、使用中の複数の給糸パッケージPs(以下、複数の解舒中パッケージ)のそれぞれに係る糸Yの残量の情報を得るために、まず、オペレータが各解舒中パッケージを目視等により逐一確認する必要がある。このような状況では、大量生産がますます推進されている近年において、多数の解舒中パッケージに係る糸Yの残量を同じタイミングで知ることが難しい。このため、合計残量の情報を適切に取得することが非常に難しい。また、合計残量の情報を取得するために、オペレータに膨大な負担がかかるおそれがある。
【0058】
また、このような製造工場においては、棚卸資産の評価の際、流動資産である形成中の巻取パッケージPwの資産価値も評価される。このために、形成された複数の巻取パッケージPwの各々に含まれる糸Yの量の合計値だけでなく、糸Yが巻き取られている(すなわち、形成中の)複数の巻取パッケージPwの各々に含まれる糸Yの個別巻取量やその合計値(合計巻取量)も考慮に入れる必要がある。しかしながら、従来の設備においては、形成中の複数の巻取パッケージPw(複数の形成中パッケージPwM)のそれぞれに係る糸Yの巻取量の情報を得るために、まず、オペレータが各形成中パッケージを目視等により逐一確認する必要がある。このような状況では、大量生産がますます推進されている近年において、多数の形成中パッケージに係る糸Yの巻取量を同じタイミングで知ることが難しい。このため、合計巻取量の情報を適切に取得することが非常に難しい。また、合計巻取量の情報を取得するために、オペレータに膨大な負担がかかるおそれがある。
【0059】
そこで、複数の解舒中パッケージに含まれる糸Yの個別残量又は合計残量及び複数の形成中パッケージPwMに含まれる糸Yの個別巻取量又は合計巻取量の情報を容易に取得可能にし、且つ、これらの情報の取得に関するオペレータの負担を軽減するために、情報管理部110は、後述のような情報処理を行う。情報管理部110は、具体例として、図4(a)~(c)のグラフに示す事象に関する各種情報を取得し、管理する。なお、以下では、特に断らない限り、複数の錘9のうち1つの所定の錘9に限定して説明を進める。
【0060】
(事象の具体例)
情報管理部110が取得する情報について具体的に説明する前に、後の説明を理解するための助けとなるように、前提として、図4(a)~(c)のグラフに例示される事象と、各事象が起こった時刻について説明する。情報管理部110は、図4(a)~(c)のグラフに示される事象の少なくとも一部に関する情報を取得する(詳細は後述する)。ここで説明する各時刻は、何らかの手段によって予測された時刻ではなく、各事象が実際に起こる時刻であるものとする。
【0061】
図4(a)は、第1装着部22に装着された給糸パッケージPs(具体的には給糸パッケージPs1、Ps3)に含まれる糸Yの残量(縦軸)と時刻(横軸)との関係を示すグラフである。図4(b)は、第2装着部23に装着された給糸パッケージPs(具体的には給糸パッケージPs2)に含まれる糸Yの残量(縦軸)と時刻(横軸)との関係を示すグラフである。図4(c)は、巻取ボビンBw(具体的には巻取ボビンBw1、Bw2、Bw3、Bw4、Bw5、Bw6)への糸Yの巻取量(縦軸)と時刻(横軸)との関係を示すグラフである。図4(a)~(c)のいずれのグラフにおいても、巻取ボビンBw1に糸Yが巻き取られ始める時刻t0が原点である。また、本実施形態においては、各給糸パッケージPsから糸Yが一度も解舒されていない状態(すなわち、満巻の状態)における各給糸パッケージPsの重量(初期重量)は、いずれもWFである。
【0062】
まず、時刻t0において、第1装着部22には給糸パッケージPs1が装着されている。第2装着部23には給糸パッケージPs2が装着されている。給糸パッケージPs1に含まれる糸Yの残重量はW0である(WFよりも少ない)。給糸パッケージPs2に含まれる糸Yの残重量はWFである。給糸パッケージPs1に含まれる糸Yの終端部と、給糸パッケージPs2に含まれる糸Yの始端部とが結節されており、結節部分Kが形成されている。
【0063】
時刻t0(時刻ts1)において、オートドッファ10による巻取ボビンBw1のクレードル33への装着が完了し、巻取ボビンBw1に糸が巻き取られ始める。つまり、時刻ts1は、巻取ボビンBw1に糸Yが巻き取られ始めた巻取開始時刻である。このとき、給糸パッケージPs1から糸Yが解舒される。時間が経つにつれて、給糸パッケージPs1に含まれる糸Yの残量(残重量)が減り、巻取ボビンBw1に巻き取られた糸Yの巻取量(巻取重量)が増える。時刻te1において、オートドッファ10のカッタによって糸Yが切断されることにより、巻取ボビンBw1への糸Yの巻取処理が終了する。つまり、時刻te1は、巻取ボビンBw1に糸Yが巻き取られ終わった(巻取パッケージPw1の形成が終了した)巻取終了時刻である。巻取ボビンBw1には、給糸パッケージPs1から供給された糸Yのみが巻き取られている。カッタによる糸Yの切断、サクションによる糸Yの吸引捕捉(すなわち、糸Yの吸引除去の開始)及び巻取ボビンBw1(巻取パッケージPw1)のクレードル33からの取外しが、ほぼ同時に行われる。次に、時刻te1の直後の時刻ts2において、オートドッファ10による巻取ボビンBw2のクレードル33への装着が完了し、巻取ボビンBw2への糸Yの巻取りが開始される(巻取ボビン交換作業が完了する)。巻取ボビンBw1に係る巻取終了時刻(時刻te1)と、巻取ボビンBw1の次に糸Yが巻き取られる巻取ボビンBw2に係る巻取開始時刻(時刻ts2)との間には、わずかなタイムラグtLがある。
【0064】
時刻ts2よりも後の時刻ta1において、第1装着部22に装着された給糸パッケージPs1が空になる。つまり、時刻ta1は、給糸パッケージPs1から糸Yが解舒され終わった解舒終了時刻である。給糸パッケージPs1が空になるのと同時に、時刻tb1(=時刻ta1)において、給糸パッケージPs1に含まれる糸Yと給糸パッケージPs2に含まれる糸Yとが結節されて形成された結節部分Kが巻取装置19側へ引っ張られる。これにより、第2装着部23に装着された給糸パッケージPs2から糸Yが最初に解舒される。つまり、時刻tb1は、給糸パッケージPs2から最初に糸Yが解舒された(糸Yが解舒され始めた)解舒開始時刻である。さらに、時刻te2において巻取ボビンBw2への糸Yの巻取処理(巻取パッケージPw2の形成)が終了し、時刻ts3において巻取ボビンBw3への糸Yの巻取処理が開始される。時刻te3において巻取ボビンBw3への糸Yの巻取処理(巻取パッケージPw3の形成)が終了する。
【0065】
また、時刻ta1よりも後、且つ、給糸パッケージPs2が空になる前の時刻ta2において、例えばオペレータによって、第1装着部22からの給糸パッケージPs1の取外しと、第1装着部22への給糸パッケージPs3の装着とが行われる。この時の給糸パッケージPs3の残重量はWFである。その後、適切なタイミングで、給糸パッケージPs2に含まれる糸Yの終端部と給糸パッケージPs3に含まれる糸Yの始端部とがオペレータによって結節され、結節部分Kが形成される。オペレータは、手で結節の作業を行っても良い。或いは、オペレータは、例えば持ち運び可能な不図示の結節装置を操作することによって結節の作業を行っても良い。
【0066】
その後の事象について簡単に説明する。巻取部4に関する事象は以下のとおりである。時刻ts4から時刻te4まで巻取ボビンBw4に糸Yが巻き取られる(巻取パッケージPw4が形成される)。時刻ts5から時刻te5まで巻取ボビンBw5に糸Yが巻き取られる(巻取パッケージPw5が形成される)。時刻ts6から時刻te6まで巻取ボビンBw6に糸Yが巻き取られる(巻取パッケージPw6が形成される)。また、給糸部2に関する事象は以下のとおりである。時刻ts4と時刻te4との間の時刻tb2(=時刻ta3)において、給糸パッケージPs2が空になり、給糸パッケージPs3から糸Yが解舒され始める。その後、時刻tb3において、給糸パッケージPs2が給糸パッケージPs4と交換される。時刻ts6と時刻te6との間の時刻ta4(=時刻tb4)において、給糸パッケージPs3が空になり、給糸パッケージPs4から糸Yが解舒され始める。
【0067】
(給糸パッケージの基本情報)
上記の事象を考慮した上で、まず、情報管理部110が取得する、給糸パッケージPsの基本情報について説明する。情報管理部110は、給糸パッケージPsの基本情報として、例えば、各給糸パッケージPsの初期量情報と、解舒単位量情報と、積算解舒時間情報とを取得する。これらの情報は、各給糸パッケージPsの管理情報(詳細については後述)を取得するために利用されることが可能である。
【0068】
初期量情報は、糸Yが解舒され始める前の給糸パッケージPsに含まれる糸Yの初期量(初期重量又は初期長)に関する情報である。初期量情報は、例えば、1つの仮撚加工機1の全ての錘9の全ての給糸パッケージPsに係る共通の情報として、機台制御装置5において予め設定されている。より具体的な情報として、本実施形態では、上述した初期重量(つまり、WF)の情報と、糸Yの繊度(単位長さあたりの重量)の情報が、初期量情報として機台制御装置5に記憶されている。給糸パッケージPsの重量の単位は、例えばkgである。また、糸Yの繊度をFとする。繊度の単位は、例えばdtex(デシテックス)である。デシテックスは、10000メートルあたりの糸Yの重量(g)である。
【0069】
解舒単位量情報は、給糸パッケージPsから単位時間あたり解舒される糸Yの量に関する情報である。解舒単位量情報は、例えば、上述した解舒速度Vuの情報である。本実施形態では、説明の便宜上、巻取処理中の解舒速度Vuが略一定であるものとする。解舒速度の単位は、例えばm/minである。解舒単位量情報は、例えば、1つの仮撚加工機1の全ての錘9における共通の情報として、機台制御装置5において予め設定されている。機台制御装置5は、例えば、第1フィードローラ11の回転数の設定値の情報に基づいて、解舒速度Vuの情報を取得する。
【0070】
積算解舒時間情報は、給糸パッケージPsから糸Yが解舒された時間の積算値(積算解舒時間)に関する情報である。説明の便宜上、糸Yが解舒されている給糸パッケージPsに係る積算解舒時間をtinUと呼ぶ。積算解舒時間情報は以下のようにして取得される。巻取処理中に、機台制御装置5は、糸検知センサ24による検知結果に基づき、糸Yを供給している給糸パッケージPsが切り替わる給糸パッケージ切替が起こったかどうか判断する。例えば、図4(a)、(b)を参照したとき、給糸パッケージPs1からの糸Yが解舒され終わり(解舒終了)、且つ、給糸パッケージPs2から糸Yが最初に解舒される事象が、給糸パッケージ切替である。糸検知センサ24の状態が、第1検知部25及び第2検知部26の一方によって糸Yを検知している状態から、第1検知部25及び第2検知部26の他方によって糸Yを検知している状態に切り替わったとき、機台制御装置5は、給糸パッケージ切替が起こったと判断する。機台制御装置5は、給糸パッケージ切替が起こったと判断したとき、機台制御装置5は、tinUを所定の初期時間にする(リセット処理)。初期時間は、例えばゼロである。機台制御装置5は、給糸パッケージPs2から糸Yが解舒され始めた解舒開始時刻(すなわち、時刻ta1)の情報を取得し、記憶しても良い。
【0071】
その後、機台制御装置5は、給糸パッケージPs2から糸Yが解舒されているときに、時間の経過に応じてtinUを増加させる(tinUを更新する)。また、例えば給糸パッケージPs2からの糸Yの解舒が糸切れ等の理由により一時停止されたとき、機台制御装置5は、tinUの更新を一時停止させる。このようにして、機台制御装置5は、給糸パッケージPs2から糸Yが解舒されたことが糸検知センサ24によって検知された時間(検知時間)のみを、積算解舒時間(tinU)として取得する。同様に、給糸パッケージPs2からの糸Yが解舒され終わり、給糸パッケージPs3から糸Yが解舒され始めたときにも、機台制御装置5は、糸検知センサ24による検知結果に基づき、上述したリセット処理を行う(tinUを初期時間にする)。その後、機台制御装置5が時間の経過に応じてtinUを更新することにより、給糸パッケージPs3から糸Yが解舒された積算解舒時間の情報が取得される。このように、機台制御装置5は、任意の給糸パッケージPsから糸Yが解舒されているときに、当該給糸パッケージPsに係る積算解舒時間情報を取得することができる。
【0072】
以上のようにして、情報管理部110によって、初期量情報、解舒単位量情報及び積算解舒時間情報が、給糸パッケージPsの基本情報として取得される。
【0073】
(給糸パッケージの交換及び結節に関する情報)
また、上述した給糸パッケージ切替に関連する説明として、巻取処理中に空の給糸パッケージPsが新しい給糸パッケージと交換された場合に情報管理部110が取得する情報について説明する。オペレータは、一方のパッケージ装着部21に装着されている給糸パッケージPsが空であるとき、空の給糸パッケージPsを当該一方のパッケージ装着部21から取り外し、新しい給糸パッケージPsを当該一方のパッケージ装着部21に装着する。その後、オペレータは、当該新しい給糸パッケージPsに含まれる糸Yの始端部を、他方のパッケージ装着部21に装着された給糸パッケージPsに含まれる糸Yの終端部と結び、結節部分Kを形成する。次に、オペレータは、結節部分Kを所定位置に配置する。さらに、オペレータは、結節部分Kが所定位置に配置されたことを示す情報(説明の便宜上、当該情報を配置情報と呼ぶ)を機台制御装置5に入力する。機台制御装置5は、このような入力操作が行われたときに、配置情報を記憶する。その後、給糸パッケージ切替が起こったとき、機台制御装置5は、上述したリセット処理を行うと共に、結節部分Kが所定位置から移動したことを示す情報(説明の便宜上、当該情報を移動情報と呼ぶ)を記憶する。
【0074】
(給糸情報基準時刻の設定について)
情報管理部110は、給糸パッケージPsの管理情報を取得するための基準となる給糸情報基準時刻を設定可能に構成されている。本実施形態では、給糸情報基準時刻は、情報管理部110が給糸パッケージPsの管理情報の取得の処理を実行する時刻(タイミング)を意味する。例えば、情報管理部110は、給糸情報基準時刻の設定に関する複数の選択肢を記憶している。情報管理部110は、機台入力部5aへの入力操作によって複数の選択肢の中から選ばれた1つの設定に基づき、給糸情報基準時刻が訪れたか否か判断する。複数の選択肢には、例えば「常時」、「所定操作時」及び「予約」が含まれる。「常時」が選択された場合、情報管理部110は、所定の第1時間が経過する度に給糸情報基準時刻が訪れたと判断する。情報管理部110は、第1時間を変更不能に記憶していても良い。或いは、情報管理部110は、オペレータによる機台入力部5aへの入力に応じて、第1時間を新規設定及び/又は書換可能に構成されていても良い。「所定操作時」が選択された場合、情報管理部110は、機台入力部5aに対して所定の操作が行われた場合に給糸情報基準時刻が訪れたと判断する。この場合、例えば、所定の操作が行われた時刻が給糸情報基準時刻である。「予約」が選択された場合、情報管理部110は、機台入力部5aを介してオペレータによって設定された第1予約時刻が訪れたときに、給糸情報基準時刻が訪れたと判断する。第1予約時刻は、オペレータが入力操作を行っているときの時刻よりも将来の時刻である。情報管理部110は、オペレータによる機台入力部5aへの入力に応じて、給糸情報基準時刻に関する設定を再選択可能(変更可能)に構成されている。給糸情報基準時刻の設定に関する情報は、本発明の給糸設定情報に相当する。
【0075】
(給糸パッケージの管理情報の取得方法)
次に、情報管理部110が給糸パッケージPsの管理情報を取得する方法の例について説明する。本実施形態では、給糸パッケージPsの管理情報は、残量の情報を含む。残量は、例えば、上述した給糸情報基準時刻において糸Yが解舒されている給糸パッケージPsに含まれる糸Yの量(より厳密には重量)の推定値である。当該残量(残重量)をWrとしたとき、Wrの値は、給糸情報基準時刻におけるtinUの値を利用して、例えば後述の式に基づいて算出されることが可能である。下記の式中のAは、括弧内の式に基づく計算結果の単位をkgにするための係数である。情報管理部110は、複数の仮撚加工機1の各々に含まれる複数の錘9の各々に関して、糸Yが解舒されている給糸パッケージPsに係る残量を推定するように構成されている。説明の便宜上、任意の1つの錘9に係る当該残量を個別残量と呼ぶ。
【0076】
Wr=WF-(A×Vu×F×tinU)
【0077】
情報管理部110は、給糸情報基準時刻において糸Yが解舒されている給糸パッケージPsから糸Yが解舒され終わるまでの時間の長さ(残時間)の予測値を算出しても良い。給糸情報基準時刻において糸Yが解舒されている給糸パッケージPsに係る残時間をtRとしたとき、tRの値は、例えば以下の2つの式のいずれかに基づいて算出されることが可能である。なお、情報管理部110は、当該2つの式のうち下側の式に基づいて残時間を算出した後に、当該残時間の情報を利用して残量を算出しても良い。
【0078】
tR=WR/(A×Vu×F)
tR={WF-(A×Vu×F×tinU)}/(A×Vu×F)
【0079】
(巻取パッケージの基本情報)
次に、情報管理部110が取得する、巻取パッケージPwの基本情報について説明する。情報管理部110は、各巻取パッケージPwの基本情報として、加工されて巻取ボビンBwに巻き取られる糸Yの太さの情報と、巻取速度情報と、積算巻取時間情報とを取得する。これらの情報は、各巻取パッケージPwの管理情報(詳細については後述)を取得するために利用されることが可能である。
【0080】
加工された糸Yの太さ(単位長さあたりの重量)を、説明の便宜上Fwと呼ぶ。太さの単位は、例えば繊度と同じdtex、すなわち10000メートルあたりの糸Yの重量(g)である。Fwは、例えば、1つの仮撚加工機1の全ての錘9の全ての巻取パッケージPwに係る共通の情報として、機台制御装置5において予め設定されている。
【0081】
巻取速度情報は、巻取ボビンBwに巻き取られる糸Yの巻取速度(つまり、巻取ボビンBwに単位時間あたり巻き取られる糸Yの長さ)に関する情報である。言い換えると、巻取速度情報は、巻取パッケージPwが形成される速さに関する情報である。巻取速度の単位は、例えばm/minである。巻取速度情報は、例えば、1つの仮撚加工機1の全ての錘9における共通の情報として、機台制御装置5において予め設定されている。機台制御装置5は、例えば、巻取ローラ34の回転数の設定値の情報に基づいて、巻取速度の情報を取得する。説明の便宜上、巻取速度をVw(図3参照)と呼ぶ。本実施形態では、説明の便宜上、巻取速度Vwが略一定であるものとする。
【0082】
積算巻取時間情報は、巻取ボビンBwに糸Yが巻き取られた時間の積算値(積算巻取時間)に関する情報である。説明の便宜上、糸Yが巻き取られている巻取ボビンBwに係る積算巻取時間をtinWと呼ぶ。積算巻取時間情報は以下のようにして取得される。機台制御装置5は、新しい空の巻取ボビンBwへの巻取処理を行う際に、オートドッファ10を制御して巻取装置19に当該巻取ボビンBwを装着する。機台制御装置5は、例えば、オートドッファ10の制御開始時にtinWを所定の初期時間(例えばゼロ)にする。次に、機台制御装置5は、上述した糸掛装置(不図示)を制御して、巻取装置19に装着された巻取ボビンBwへの糸掛けを実行する。機台制御装置5は、ヤーンフィーラ41によって糸Yが検知されている状態で、糸掛装置による糸掛けの動作が完了したとき、巻取処理が開始されたと判断し、tinWの更新を開始する。つまり、機台制御装置5は、巻取処理が開始されたと判断した後、時間の経過に応じてtinWを増加させる(tinWを更新する)。機台制御装置5は、任意の巻取パッケージPwが形成されているときに、当該巻取パッケージPwに係る積算巻取時間情報を取得することができる。
【0083】
機台制御装置5は、任意の錘9における積算巻取時間が所定の目標巻取時間に到達するとき、当該錘9において巻取パッケージPwが完成すると判断する。機台制御装置5は、巻取パッケージPwが完成すると判断したとき、オートドッファ10を制御して、巻取装置19から巻取パッケージPwを取り外す動作を行わせる。巻取装置19から取り外された巻取パッケージPw(完成パッケージPwC)は、ストッカー10aに一時保管される(保管中パッケージPwS)。保管中パッケージPwSに含まれる糸Yの重量は、例えば所定の目標重量である。
【0084】
以上のようにして、情報管理部110によって、糸の太さの情報、巻取速度情報及び積算巻取時間情報が、巻取パッケージPwの基本情報として取得される。
【0085】
(巻取情報基準時刻の設定について)
情報管理部110は、巻取パッケージPwの管理情報を取得するための基準となる巻取情報基準時刻を設定可能に構成されている。本実施形態では、巻取情報基準時刻は、情報管理部110が巻取パッケージPwの管理情報の取得の処理を実行する時刻(タイミング)を意味する。例えば、情報管理部110は、巻取情報基準時刻の設定に関する複数の選択肢を記憶している。情報管理部110は、機台入力部5aへの入力操作によって複数の選択肢の中から選ばれた1つの設定に基づき、巻取情報基準時刻が訪れたか否か判断する。複数の選択肢には、例えば「常時」、「所定操作時」及び「予約」が含まれる。「常時」が選択された場合、情報管理部110は、所定の第2時間が経過する度に巻取情報基準時刻が訪れたと判断する。情報管理部110は、第2時間を変更不能に記憶していても良い。或いは、情報管理部110は、オペレータによる機台入力部5aへの入力に応じて、第2時間を新規設定及び/又は書換可能に構成されていても良い。第2時間は、上述した第1時間と同じ長さであっても良く、第1時間と異なる長さであっても良い。「所定操作時」が選択された場合、情報管理部110は、機台入力部5aに対して所定の操作が行われた場合に巻取情報基準時刻が訪れたと判断する。この場合、例えば、所定の操作が行われた時刻が巻取情報基準時刻である。「予約」が選択された場合、情報管理部110は、機台入力部5aを介してオペレータによって設定された第2予約時刻が訪れたときに、巻取情報基準時刻が訪れたと判断する。第2予約時刻は、オペレータが入力操作を行っているときの時刻よりも将来の時刻である。第2予約時刻は、第1予約時刻と同じ時刻であっても良く、第1予約時刻と異なる時刻であっても良い。情報管理部110は、オペレータによる機台入力部5aへの入力に応じて、巻取情報基準時刻に関する設定を再選択可能(変更可能)に構成されている。巻取情報基準時刻の設定に関する情報は、本発明の巻取設定情報に相当する。
【0086】
情報管理部110は、給糸情報基準時刻及び巻取情報基準時刻を別々に設定可能に構成されていても良い。或いは、情報管理部110は、給糸情報基準時刻及び巻取情報基準時刻の両方として取り扱われる「情報取得時刻」を設定可能に構成されていても良い。
【0087】
(巻取パッケージの管理情報の取得方法)
次に、情報管理部110が巻取パッケージPwの管理情報を取得する方法の例について説明する。本実施形態では、巻取パッケージPwの管理情報は、巻取量の情報を含む。巻取量は、上述した巻取情報基準時刻において形成されている巻取パッケージPw(形成中パッケージPwM)に含まれる糸Yの量(より厳密には重量)である。当該巻取量(巻取重量)をWwとしたとき、Wwの値は、巻取情報基準時刻におけるtinWの値を利用して、例えば以下の式に基づいて算出されることが可能である。Aは、上述した係数である。説明の便宜上、任意の1つの錘9に係る当該巻取量を個別巻取量と呼ぶ。
【0088】
Ww=A×Vw×Fw×tinW
【0089】
(合計残量の算出及び出力、並びに合計巻取量の算出及び出力)
次に、合計残量の算出及び出力の手順、並びに合計巻取量の算出及び出力の手順について図5図7(b)を参照しつつ説明する。図5は、複数の解舒中パッケージに含まれる糸Yの合計残量の算出及び出力に関するフローチャートである。図6は、複数の形成中パッケージPwMに含まれる糸Yの合計巻取量の算出及び出力に関するフローチャートである。図7(a)は、合計残量及び合計巻取量等が表示された画面S1を示す説明図である。図7(b)は、各種メニューが表示された画面S2を示す説明図である。説明の便宜上、例として、機台入力部5aは、ディスプレイ5b1と重なるように設けられたタッチパネルを有する。以下では、具体例として、仮撚加工機1A(図1参照)における合計残量及び合計巻取量について説明する。また、情報管理部110のうち仮撚加工機1Aを制御する機台制御装置5が、以下の処理を行うものとする。しかしながら、これには限られず、情報管理部110を構成するどの装置が以下の処理を行っても良い。
【0090】
合計残量の算出及び出力の手順について説明する。まず、機台制御装置5は、上述した給糸情報基準時刻において、積算解舒時間を算出する。すなわち、機台制御装置5は、仮撚加工機1Aに含まれる複数の錘9の各々の給糸パッケージ保持部20に装着され且つ糸Yが解舒されている給糸パッケージPs(すなわち、解舒中パッケージ)に関して、上述した積算解舒時間を算出する(S101)。次に、機台制御装置5は、複数の錘9の各々について、例えば上述した式に基づき、解舒中パッケージに係る個別残量(Wr)を算出する(S102)。各錘9に係る個別残量の情報は、本発明の個別残量含有情報に含まれる。以下、説明の便宜上、個別残量含有情報を取得する処理を個別残量情報取得処理と称する。なお、給糸情報基準時刻における個別残量は、複数の錘9間で互いに異なりうる。これは、解舒開始時刻が複数の錘9間で互いに異なりうること、及び、各錘9において糸切れ又は強制的な糸切断による一時的な解舒停止が生じうること等に起因する。個別残量含有情報は、個別残量そのものの情報であっても良く、或いは、個別残量に別の値が加算されることにより得られる情報であっても良い。
【0091】
次に、機台制御装置5は、仮撚加工機1Aに含まれる複数の錘9の全てに係る個別残量を合計することにより得られる値である合計残量を算出する(S103)。合計残量の情報は、本発明の合計残量含有情報に相当する。以下、説明の便宜上、合計残量含有情報を取得する処理を合計残量情報取得処理と称する。
【0092】
糸加工設備100に含まれる複数の機台制御装置5の各々は、対応する仮撚加工機1について個別残量情報取得処理及び/又は合計残量情報取得処理を行う。つまり、情報管理部110は、複数の仮撚加工機1の各々について個別残量情報取得処理/又は合計残量情報取得処理を行う。情報管理部110は、複数の仮撚加工機1のうち一部の各々について、個別残量情報取得処理/又は合計残量情報取得処理を行っても良い。
【0093】
次に、機台制御装置5は、例えば仮撚加工機1Aに割り当てられた機台識別番号と、各錘9に係る個別残量の情報と、算出された合計残量の情報とを機台出力部5bのディスプレイ5b1に表示させる(S104。図7(a)の画面S1参照)。これにより、オペレータが仮撚加工機1Aにおける複数の解舒中パッケージの個別残量及び合計残量を一目で知ることができる。機台識別番号の情報は、必ずしも表示されなくても良い。また、個別残量の情報及び合計残量の情報のうち一方のみが表示されても良い。
【0094】
また、機台制御装置5は、オペレータが入力操作を行うためのメニューをディスプレイ5b1に表示させるように構成されている。簡単な例として、オペレータが画面S1に表示された「メニュー」ボタン(図7(a)参照)に触れたとき、機台制御装置5は、機台入力部5aへの入力結果に基づきメニュー画面(画面S2)をディスプレイ5b1に表示させる(図7(b)参照)。機台制御装置5は、オペレータによって機台入力部5aに出力用の所定の操作が行われたか否か判断する(S105)。出力用の操作が行われたとき(S105:Yes)、機台制御装置5は、機台入力部5aへの入力結果に応じて出力処理を実行する。出力用の操作が行われないとき(S105:No)、機台制御装置5は、一連の処理を終了させる。
【0095】
出力処理には、例えば以下の処理が含まれる。オペレータが「印刷」ボタンに触れたとき、機台制御装置5は、プリンタ5b2を制御して、個別残量及び/又は合計残量の情報を紙等の印刷媒体に印刷する。オペレータが「ファイル出力」ボタンに触れたとき、機台制御装置5は、個別残量及び/又は合計残量の情報を含む公知のCSVファイル(本発明の電子ファイル)を生成する。機台制御装置5は、当該ファイルを機台記憶部5cに記憶させる。この場合、機台制御装置5が本発明の出力部及び生成部として機能する。オペレータが「データ追加」ボタンに触れたとき、機台制御装置5は、個別残量及び/又は合計残量の情報を含むデータを既存のファイルに追加する処理を実行する。この場合、機台制御装置5が本発明の出力部として機能する。オペレータが「データ送信」ボタンに触れたとき、機台制御装置5は、個別残量及び/又は合計残量の情報を含むデータを他のコンピュータ装置に送信する。この場合、機台制御装置5が本発明の出力部及び通信部として機能する。当該データは、例えば、仮撚加工機1Aとは別の仮撚加工機1(例えば仮撚加工機1B)を制御する機台制御装置5に送信されても良い。或いは、当該データは、管理装置101に送信されても良い。或いは、当該データは、情報管理部110とは別の、外部のコンピュータに送信されても良い。外部のコンピュータは、一般的なPCに限られず、ホストコンピュータ、携帯電話、タブレット端末等、情報を閲覧及び/又は処理可能などのような機器であっても良い。
【0096】
以下、説明の便宜上、個別残量含有情報を出力する処理を個別残量情報出力処理と称する。同じく、合計残量含有情報を出力する処理を合計残量情報出力処理と称する。情報管理部110は、複数の仮撚加工機1の少なくとも一部を含む所定の仮撚加工機グループ(本発明の糸加工機グループ)について、個別残量情報出力処理及び/又は合計残量情報出力処理を行っても良い。仮撚加工機グループは、例えば「1以上の部屋(或いは、1以上の建物、1以上の事業所等)に設置された複数の仮撚加工機1のうち、1つの部屋(或いは、1つの建物、1つの事業所等)に設置された少なくとも一部の仮撚加工機1を含むグループ」を意味する。
【0097】
次に、合計巻取量の算出及び出力の手順について説明する。まず、機台制御装置5は、上述した巻取情報基準時刻において、積算巻取時間を算出する。すなわち、機台制御装置5は、仮撚加工機1Aに含まれる複数の錘9の各々の巻取装置19に装着され且つ糸Yが巻き取られている形成中の巻取パッケージPw(すなわち、形成中パッケージPwM)に関して、上述した積算巻取時間を算出する(S201)。次に、機台制御装置5は、複数の錘9の各々について、例えば上述した式に基づき、形成中パッケージPwMに係る個別巻取量(Ww)を算出する(S202)。各錘9に係る個別巻取量の情報は、本発明の個別巻取量含有情報に含まれる。以下、説明の便宜上、個別巻取量含有情報を取得する処理を個別巻取量情報取得処理と称する。なお、巻取情報基準時刻における個別巻取量は、複数の錘9間で互いに異なりうる。これは、巻取開始時刻が複数の錘9間で互いに異なりうること、及び、各錘9において糸切れ又は強制的な糸切断による一時的な巻取停止が生じうること等に起因する。
【0098】
次に、機台制御装置5は、仮撚加工機1Aに含まれる複数の錘9の全てに係る個別巻取量を合計することにより得られる値である合計巻取量を算出する(S203)。合計巻取量の情報は、本発明の合計巻取量含有情報に相当する。以下、説明の便宜上、合計巻取量含有情報を取得する処理を合計巻取量情報取得処理と称する。
【0099】
糸加工設備100に含まれる複数の機台制御装置5の各々は、対応する仮撚加工機1について個別巻取量情報取得処理及び合計巻取量情報取得処理を行う。つまり、情報管理部110は、複数の仮撚加工機1の各々について個別巻取量情報取得処理を行う。或いは、情報管理部110は、複数の仮撚加工機1のうち一部の各々について、個別巻取量情報取得処理及び合計巻取量情報取得処理を行っても良い。
【0100】
次に、機台制御装置5は、例えば仮撚加工機1Aに割り当てられた上記機台識別番号と、各錘9に係る個別巻取量の情報と、算出された合計巻取量の情報とを機台出力部5bのディスプレイ5b1に表示させる(S204。図7(a)の画面S1参照)。これにより、オペレータが仮撚加工機1Aにおける複数の形成中パッケージPwMの合計巻取量を一目で知ることができる。機台識別番号の情報は、必ずしも表示されなくても良い。また、個別巻取量の情報及び合計巻取量の情報のうち一方のみが表示されても良い。
【0101】
機台制御装置5は、図7(a)に示すように、合計残量の情報及び合計巻取量の情報を同時にディスプレイ5b1に表示させるように構成されていても良い。或いは、機台制御装置5は、合計残量の情報をディスプレイ5b1に表示させるモードと、合計巻取量の情報をディスプレイ5b1に表示させるモードとの間で、表示モードを切替可能に構成されていても良い。
【0102】
また、機台制御装置5は、オペレータが入力操作を行うためのメニューをディスプレイ5b1に表示させるように構成されている。簡単な例として、オペレータが画面S1に表示された「メニュー」ボタン(図7(a)参照)に触れたとき、機台制御装置5は、機台入力部5aへの入力結果に基づきメニュー画面(画面S2)をディスプレイ5b1に表示させる(図7(b)参照)。機台制御装置5は、オペレータによって機台入力部5aに出力用の所定の操作が行われたか否か判断する(S205)。出力用の操作が行われたとき(S205:Yes)、機台制御装置5は、機台入力部5aへの入力結果に応じて出力処理を実行する。出力用の操作が行われないとき(S205:No)、機台制御装置5は、一連の処理を終了させる。
【0103】
出力処理には、例えば以下の処理が含まれる。オペレータが「印刷」ボタンに触れたとき、機台制御装置5は、プリンタ5b2を制御して、個別巻取量及び/又は合計巻取量の情報を紙等の印刷媒体に印刷する。オペレータが「ファイル出力」ボタンに触れたとき、機台制御装置5は、個別巻取量及び/又は合計巻取量の情報を含む公知のCSVファイル(本発明の電子ファイル)を生成する。機台制御装置5は、当該ファイルを機台記憶部5cに記憶させる。この場合、機台制御装置5が本発明の出力部及び生成部として機能する。オペレータが「データ追加」ボタンに触れたとき、機台制御装置5は、個別巻取量及び/又は合計巻取量の情報を含むデータを既存のファイルに追加する処理を実行する。この場合、機台制御装置5が本発明の出力部として機能する。オペレータが「データ送信」ボタンに触れたとき、機台制御装置5は、個別巻取量及び/又は合計巻取量の情報を含むデータを他のコンピュータ装置に送信する。この場合、機台制御装置5が本発明の出力部及び通信部として機能する。当該データは、例えば、仮撚加工機1Aとは別の仮撚加工機1(例えば仮撚加工機1B)を制御する機台制御装置5に送信されても良い。或いは、当該データは、管理装置101に送信されても良い。或いは、当該データは、情報管理部110とは別の、外部のコンピュータに送信されても良い。外部のコンピュータは、一般的なPCに限られず、ホストコンピュータ、携帯電話、タブレット端末等、情報を閲覧及び/又は処理可能などのような機器であっても良い。
【0104】
以下、説明の便宜上、個別巻取量含有情報を出力する処理を個別巻取量情報出力処理と称する。同じく、合計巻取量含有情報を出力する処理を合計巻取量情報出力処理と称する。情報管理部110は、上述した仮撚加工機グループについて個別巻取量情報出力処理及び/又は合計巻取量情報出力処理を行っても良い。
【0105】
機台制御装置5は、出力処理の際に、個別残量含有情報、個別巻取量含有情報、合計残量含有情報及び合計巻取量含有情報のすべてを出力しても良い。或いは、機台制御装置5は、出力処理の際に、個別残量含有情報、個別巻取量含有情報、合計残量含有情報及び合計巻取量含有情報のうち一部を選択して出力しても良い。
【0106】
機台制御装置5は、S101及びS201のステップを略同時に実行しても良く、或いは互いに異なるタイミングで実行しても良い。機台制御装置5は、S102及びS202のステップを略同時に実行しても良く、或いは互いに異なるタイミングで実行しても良い。機台制御装置5は、S103及びS203のステップを略同時に実行しても良く、或いは互いに異なるタイミングで実行しても良い。
【0107】
なお、機台入力部5aの構成は、上述したものに限られない。機台入力部5aは、例えば不図示のマウスを有していても良い。機台制御装置5は、ディスプレイ5b1にカーソル(不図示)を表示させ、マウスが操作されたときにカーソルを移動させるように構成されていても良い。機台制御装置5は、カーソルが所定のボタンと重なっている状態でマウスがクリックされたときに、所定の処理を実行するように構成されていても良い。もちろん、機台入力部5aは、オペレータが適切な入力操作を行うための他の手段を有していても良い。
【0108】
本実施形態では、複数の給糸パッケージPs(解舒中パッケージ及び予備パッケージ)が各々の給糸パッケージ保持部20に装着される。このため、より厳密には、複数の予備パッケージに含まれる糸Yの残量の合計値を知る必要もある。オペレータは、仮撚加工機1Aにおける複数の予備パッケージの数を実際に数えて、その数にWFの値を掛けることにより、複数の予備パッケージに含まれる糸Yの残量の合計値を算出しても良い。
【0109】
また、本実施形態では、巻取部4に一時的に保管されている完成パッケージPwCに含まれる糸量の合計値を知る必要もある。上述したように、機台制御装置5は、保管中パッケージ検知部42による検知結果に基づき、ストッカー10aに一時保管されている完成パッケージPwC(保管中パッケージPwS)の数の情報を取得する。機台制御装置5は、仮撚加工機1Aにおける保管中パッケージPwSの数に目標重量を掛けることで、1以上の保管中パッケージPwSに含まれる糸量の合計値を算出する。
【0110】
以上のように、個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報が機台出力部5b等によって出力される。個別巻取量含有情報の少なくとも一部が出力される場合、オペレータが、複数の形成中パッケージPwMに係る個別巻取量を一目で確認することができる。このように一目で確認された個別巻取量に基づき、複数の形成中パッケージPwMに係る個別巻取量を合計することにより、合計巻取量を得ることができる。また、合計巻取量含有情報が出力される場合、合計巻取量を短時間で知ることができる。したがって、複数の形成中パッケージPwMに含まれる糸Yの個別巻取量又は合計巻取量の情報を容易に取得可能にし、且つ、個別巻取量又は合計巻取量の取得に関するオペレータの負担を軽減できる。特に、合計巻取量含有情報が取得されて出力されることにより、オペレータの負担を大きく軽減できる。
【0111】
また、所定の仮撚加工機グループについて個別巻取量情報出力処理及び/又は合計巻取量情報出力処理が行われる。これにより、複数の仮撚加工機1が設置された部屋毎、建物毎、或いは事業所毎に、個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報をまとめて知ることができる。したがって、棚卸資産の評価を効率的に行うことができる。
【0112】
また、本実施形態では、ストッカーに一時的に保管されている1以上の完成パッケージPwCに含まれる糸量の合計値を知る必要もある。このような構成においても、少なくとも複数の形成中パッケージPwMの各々に係る個別巻取量の情報及び/又は合計巻取量の情報を出力できるので、オペレータの負担を軽減できる。
【0113】
また、オペレータがディスプレイ5b1を見るだけで個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を知ることができる。
【0114】
また、オペレータが印刷物を見るだけで個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を知ることができる。
【0115】
また、生成された電子ファイルを開くことにより個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を取得できる。
【0116】
また、外部のコンピュータを操作することにより個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を取得できる。
【0117】
また、情報管理部110は、巻取情報基準時刻の設定に関する巻取設定情報をオペレータによって入力可能に構成されている。これにより、オペレータの要望に応じた巻取情報基準時刻を設定できる。
【0118】
また、情報管理部110は、巻取設定情報に基づき、将来を含む任意の時刻として巻取情報基準時刻を設定可能に構成されている。これにより、任意の時刻における個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を取得できる。
【0119】
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0120】
(1)前記実施形態において、機台制御装置5は、個別残量含有情報、個別巻取量含有情報、合計残量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報をディスプレイ5b1に表示させるものとした。また、機台制御装置5は、プリンタ5b2を制御して個別残量含有情報、個別巻取量含有情報、合計残量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を印刷媒体に印刷させるものとした。また、機台制御装置5は、個別残量含有情報、個別巻取量含有情報、合計残量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を含むCSVファイル(電子ファイル)を生成するものとした。また、機台制御装置5は、個別残量含有情報、個別巻取量含有情報、合計残量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を含むデータを既存のファイルに追加する処理を実行するものとした。また、機台制御装置5は、個別残量含有情報、個別巻取量含有情報、合計残量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を含むデータを他のコンピュータ装置に送信するものとした。しかしながら、これには限られない。機台制御装置5は、これらの処理の全てを行うように構成されていなくても良い。つまり、機台制御装置5は、これらの処理のうち少なくともいずれか1つを行っても良い。或いは、機台制御装置5は、オペレータが個別残量含有情報、個別巻取量含有情報、合計残量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を取得するための他の出力処理を行っても良い。
【0121】
(2)前記までの実施形態において、機台出力部5bはディスプレイ5b1及びプリンタ5b2を有するものとした。しかしながら、これには限られない。機台出力部5bは、例えば、ディスプレイ5b1及びプリンタ5b2のうち一方のみを有していても良い。或いは、機台制御装置5は機台出力部5bを有していなくても良い。機台制御装置5は、何らかの出力装置(不図示)が一時的に接続されることが可能に構成されていても良い。
【0122】
(3)前記までの実施形態において、機台制御装置5は、個別残量含有情報として、個別残量の情報を取得して出力するものとした。これに加え、機台制御装置5は、例えば仮撚加工機1Aの複数の給糸パッケージ保持部20にそれぞれ装着された予備パッケージに含まれる糸Yの残量(残重量)の情報を取得可能に構成されていても良い。より具体的には、機台制御装置5は例えば以下のように構成されていても良い。機台制御装置5は、例えば、仮撚加工機1Aの複数の給糸パッケージ保持部20の各々に装着された予備パッケージに含まれる糸Yの残量(以下、予備残量)の情報をオペレータによって入力されることが可能に構成されていても良い。予備残量の値は、例えば重量の値(単位はkg)である。機台制御装置5は、各錘9について、個別残量に予備残量を加算して得られる値を個別残量含有情報として取り扱っても良い。予備残量の情報は、本発明の予備残量関連情報に相当する。機台制御装置5は、複数の錘9に係るこのような個別残量含有情報に基づいて合計残量含有情報を取得しても良い。或いは、機台制御装置5は、複数の錘9に係る予備残量の合計値を合計残量に加算することにより、合計残量含有情報を取得しても良い。或いは、機台制御装置5は、例えば、仮撚加工機1Aの複数の給糸パッケージ保持部20にそれぞれ装着された予備パッケージの数の情報をオペレータによって入力されることが可能に構成されていても良い。機台制御装置5は、予備パッケージの数の情報を利用して予備残量の合計値を算出しても良い。オペレータが予備残量関連情報を調べて情報管理部110(機台制御装置5)に入力する必要はあるものの、このような入力が行われたとき、予備残量関連情報が考慮に入れられた個別残量含有情報及び/又は合計残量含有情報を取得できる。したがって、オペレータの負担をある程度軽減できる。
【0123】
(4)機台制御装置5は、上記(4)の変形例に示した手段に加え、又は上記(4)の変形例に示した手段とは別の手段によって、複数の錘9の各々において予備パッケージに含まれる糸Yの残量の情報を個別残量含有情報に含めても良い。例えば、機台制御装置5は、任意のパッケージ装着部21に給糸パッケージPsが装着されているか否か判断するように構成されていても良い。このような判断を行うための手段として、例えば、給糸部2が、複数のパッケージ装着部21の各々における給糸パッケージPsの有無を検知する不図示の複数の装着センサ(本発明の装着情報取得部)を有していても良い。複数の装着センサは、例えば公知の光学センサ又は公知の重量センサであっても良い。機台制御装置5は、複数の装着センサによる検知結果を利用して、複数の給糸パッケージ保持部20の各々に予備パッケージが装着されているか否かの情報(装着情報)を取得しても良い。機台制御装置5は、装着情報に基づいて各錘9に係る予備残量関連情報を取得し、予備残量を個別残量に加算することによって、各錘9について、予備残量関連情報が考慮に入れられた個別残量含有情報を取得しても良い。機台制御装置5は、装着情報に基づいて予備パッケージの数の情報を取得し、当該数の情報にWFを掛けて予備残量の合計値を算出しても良い。機台制御装置5は、予備残量の合計値の情報を合計残量含有情報に含めても良い。或いは、複数の装着センサが必ずしも設けられていなくても良い。例えば、機台制御装置5は、装着情報をオペレータによって入力されることが可能に構成されていても良い。オペレータは、新しい給糸パッケージPsを任意の給糸パッケージ保持部20に装着する際に、当該給糸パッケージ保持部20に係る装着情報を機台制御装置5に入力しても良い。この場合、機台制御装置5が本発明の装着情報取得部に相当する。機台制御装置5は、オペレータによって入力された装着情報を利用して予備パッケージの数の情報を取得し、予備残量の合計値を算出しても良い。装着情報を利用することにより、オペレータの負担を大きく軽減できる。
【0124】
(5)前記までの実施形態において、機台制御装置5は、個別巻取量含有情報として、個別巻取量の情報を取得して出力するものとした。しかしながら、これには限られない。機台制御装置5は、例えば、各錘9のストッカー10aに一時的に保管された1以上の保管中パッケージPwSに含まれる糸の総量(以下、一時保管総量)を個別巻取量に加えて得られる値を取り扱っても良い。言い換えると、機台制御装置5は、一時保管総量の情報を個別巻取量含有情報に含めても良い。この場合、一時保管総量の情報が本発明の保管総量関連情報に相当する。機台制御装置5は、このような個別巻取量含有情報を利用して合計巻取量含有情報を取得しても良い。或いは、機台制御装置5は、複数の錘9に係る一時保管総量を合計して得られる値を合計巻取量に加算することにより、合計巻取量含有情報を取得しても良い。これにより、オペレータの負担を大きく軽減できる。
【0125】
(6)前記までの実施形態において、各巻取装置19に対応して保管中パッケージ検知部42が設けられているものとした。しかしながら、これには限られない。保管中パッケージ検知部42は、必ずしも設けられていなくても良い。この場合、機台制御装置5は、一時保管総量の情報を以下のように取得して、個別巻取量含有情報に含めても良い。例えば、機台制御装置5は、一時保管総量の情報をオペレータによって入力されることが可能に構成されていても良い。この場合、一時保管総量の情報が本発明の保管総量関連情報に相当する。或いは、例えば、機台制御装置5は、保管中パッケージPwSの数の情報をオペレータによって入力されることが可能に構成されていても良い。機台制御装置5は、機台制御装置5は、保管中パッケージPwSの数に上述した目標重量を掛けることで、複数の錘9に係る一時保管総量の合計値を算出する。このような構成では、オペレータが保管総量関連情報を調べて情報管理部110(機台制御装置5)に入力する必要はあるものの、このような入力が行われたとき、保管総量関連情報が考慮に入れられた個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を取得できる。したがって、オペレータの負担をある程度軽減できる。
【0126】
(7)前記までの実施形態においては、第1検知部25と、第2検知部26とを有する糸検知センサ24による検知結果に基づいて給糸パッケージ切替の発生の有無が判断されるものとした。しかしながら、これには限られない。例えば図8に示すように、仮撚加工機1mの給糸部2mは、各錘9mにおいて、糸検知センサ24とは異なる構成を有する切替検知部51を有していても良い。切替検知部51は、例えば、供給センサ52と、結節部分センサ53とを有していても良い。供給センサ52は、第1装着部22から糸Yが供給されているか否か検知可能に構成されている。結節部分センサ53は、所定位置に静止するように配置された結節部分Kを検知可能に構成されている。このような構成においては、結節部分Kが所定位置から移動して、結節部分Kが結節部分センサ53によって検知されなくなったとき、給糸パッケージ切替が起こったと判断することができる。また、給糸パッケージ切替時に第1装着部22及び第2装着部23のいずれから糸Yが供給されているかについては、供給センサ52による検知結果に基づいて知ることができる。このように、結節部分Kの検知結果を用いた場合でも、第1装着部22及び第2装着部23のうちどちらから糸Yが供給されているか確実に知ることができる。なお、結節部分センサ53は、移動している結節部分Kを検知可能に構成されていても良い。
【0127】
(8)前記までの実施形態において、給糸パッケージPsの交換作業がオペレータによって行われるものとした。しかしながら、これには限られない。給糸パッケージPsの交換作業は、不図示のクリールロボットによって行われても良い。また、巻取パッケージPwの回収作業がオペレータによって行われるものとした。しかしながら、これには限られない。巻取パッケージPwの回収作業は、不図示の巻取パッケージ搬送装置によって行われても良い。
【0128】
(9)前記までの実施形態において、情報管理部110は、初期量情報として、給糸パッケージPsに含まれる糸Yの初期重量の情報を取得するものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、情報管理部110は、初期量情報として、給糸パッケージPsに含まれる糸Yの初期長の情報を取得しても良い。情報管理部110は、初期長の情報及び繊度の情報を利用して残重量の情報を取得しても良い。
【0129】
(10)前記までの実施形態において、情報管理部110は、個別残量含有情報及び個別巻取量含有情報の両方を取得するものとした。しかしながら、これには限られない。情報管理部110は、個別残量含有情報及び個別巻取量含有情報のうち一方のみを取得しても良い。
【0130】
(11)前記までの実施形態において、情報管理部110は、個別残量含有情報を利用して合計残量含有情報を取得し、個別巻取量含有情報を利用して合計巻取量含有情報を取得するものとした。しかしながら、これには限られない。情報管理部110は、個別残量含有情報を利用せずに、上述した基本情報に基づいて合計残量を直接算出するためのプログラムを記憶していても良い。この場合、情報管理部は、個別残量含有情報を取得せずに合計残量含有情報を取得できる。また、情報管理部110は、個別巻取量含有情報を利用せずに、上述した基本情報に基づいて合計巻取量を直接算出するためのプログラムを記憶していても良い。この場合、情報管理部は、個別巻取量含有情報を取得せずに合計巻取量含有情報を取得できる。
【0131】
(12)前記までの実施形態において、給糸情報基準時刻は、情報管理部110が給糸パッケージPsの管理情報の取得の処理を実行するタイミングを意味するものとした。また、巻取情報基準時刻は、情報管理部110が巻取パッケージPwの管理情報の取得の処理を実行するタイミングを意味するものとした。これに加え、或いはその代わりに、情報管理部110は、以下のように構成されていても良い。例えば、情報管理部110は、過去の任意の時刻における給糸パッケージPsの管理情報及び巻取パッケージPwの管理情報を記憶可能、又はこれらの情報を演算により取得可能に構成されていても良い。そして、情報管理部110は、オペレータによる入力に応じて、過去の所定の時刻に係る個別残量含有情報、個別巻取量含有情報、合計残量含有情報及び合計巻取量含有情報の少なくとも一部を取得可能に構成されていても良い。この場合、オペレータによって入力された(指定された)過去の時刻が、本発明の給糸情報基準時刻及び/又は巻取情報基準時刻に含まれる。また、このような給糸情報基準時刻において糸Yが解舒されていた給糸パッケージPsは、本発明の解舒中パッケージに含まれる。また、このような巻取情報基準時刻において形成されていた巻取パッケージPwは、本発明の形成中パッケージに含まれる。
【0132】
(13)前記までの実施形態において、情報管理部110は、オペレータによる入力に応じて、給糸情報基準時刻及び巻取情報基準時刻に関する設定を複数の選択肢の中から選択可能に構成されているものとした。しかしながら、これには限られない。情報管理部110は、当該設定に係る複数の選択肢を有さないように構成されていても良い。例えば、情報管理部110は、給糸パッケージPsの管理情報及び/又は巻取パッケージPwの管理情報を常に取得するようにのみ構成されていても良い。或いは、情報管理部110は、所定の操作が行われたときにのみ、当該情報を取得するように構成されていても良い。或いは、情報管理部110は、予約された将来の時刻又は指定された過去の時刻のみに係る当該情報を取得するように構成されていても良い。
【0133】
(14)前記までの実施形態において、情報管理部110は、第1フィードローラ11の回転数の情報に基づいて解舒速度Vuの情報を取得するものとしたが、これには限られない。他の例として、機台制御装置5には、第2フィードローラ16の回転数の情報と、第1フィードローラ11の回転数と第2フィードローラ16の回転数との比率の情報と、が記憶されていても良い。情報管理部110は、これらの情報に基づいて解舒速度の情報を取得しても良い。或いは、情報管理部110は、解舒単位量情報として、解舒速度の情報の代わりに、給糸パッケージPsから単位時間あたり糸Yが解舒される重量の情報を取得しても良い。このような情報は、例えばオペレータによって予め機台制御装置5に入力されていても良い。
【0134】
(15)前記までの実施形態において、情報管理部110は、複数の機台制御装置5及び管理装置101を有するものとしたが、これには限られない。すなわち、情報管理部110は、機台制御装置5及び管理装置101以外のコンピュータ装置(不図示)を含んでいても良い。或いは、情報管理部110は、機台制御装置5又は管理装置101のみを有していても良い。つまり、機台制御装置5又は管理装置101のうちいずれか一方のみが、必要な情報を取得しても良い。
【0135】
(16)前記までの実施形態において、情報管理部110は、全ての給糸パッケージPsに共通の初期量情報を予め記憶するものとした。しかしながら、これには限られない。情報管理部110は、任意の給糸パッケージPsの個体情報と当該給糸パッケージPsの初期量情報とを関連付けて記憶するように構成されていても良い。この場合、複数の給糸パッケージPsの初期量は互いに異なっていても良い。
【0136】
(17)前記までの実施形態において、複数の給糸パッケージ保持部20の各々は、2つの給糸パッケージPsを保持可能であるものとした。しかしながら、これには限られない。複数の給糸パッケージ保持部20の各々は、3つ以上の給糸パッケージPsを保持可能であっても良い。
【0137】
或いは、複数の給糸パッケージ保持部20の各々は、1つのみの給糸パッケージPsを保持可能であっても良い。すなわち、給糸部2は、必ずしも糸Yを途切れさせずに供給可能に構成されていなくても良い。
【0138】
(18)前記までの実施形態において、巻取部4において、各巻取装置19に対応してオートドッファ10及びストッカー10aが設けられているものとした。しかしながら、これには限られない。オートドッファ10は、必ずしも設けられていなくても良い。巻取部4は、例えば、完成した巻取パッケージPwがオペレータによって巻取装置19から取り外されて回収されるように構成されていても良い。
【0139】
(19)前記までの実施形態において、糸加工設備100は、複数の仮撚加工機1を備えるものとしたが、これには限られない。糸加工設備100は、1つの仮撚加工機1のみを備えていても良い。また、管理装置101が設けられていなくても良い。この場合、仮撚加工機1が、本発明の糸加工設備にも相当する。
【0140】
(20)本発明は、仮撚加工機1を備える糸加工設備100の代わりに、糸加工機を備える別の糸加工設備に適用されても良い。例えば、特開2002-088605号公報に記載されたエア加工機(糸加工機)を備える糸加工設備に対して本発明が適用されても良い。
【符号の説明】
【0141】
1 仮撚加工機(糸加工機)
2 給糸部
3 加工部
4 巻取部
5 機台制御装置(出力部、生成部、装着情報取得部)
5b 機台出力部(出力部)
5b1 ディスプレイ
5b2 プリンタ
9 錘(加工錘)
10a ストッカー
20 給糸パッケージ保持部
42 保管中パッケージ検知部
100 糸加工設備
110 情報管理部
Bw 巻取ボビン
Ps 給糸パッケージ
PsA 給糸パッケージ(解舒中パッケージ)
PsB 給糸パッケージ(予備パッケージ)
Pw 巻取パッケージ
PwC 完成パッケージ
PwM 形成中パッケージ
PwS 保管中パッケージ
Y 糸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加工錘を有し、前記複数の加工錘の各々が、給糸パッケージから解舒される糸を加工して巻取ボビンに巻き取った巻取パッケージを形成可能に構成された糸加工機と、
前記糸加工機に関する情報を管理可能に構成された情報管理部と、
前記情報を出力可能に構成された出力部と、を備える糸加工設備であって、
前記情報管理部は、
前記複数の加工錘の各々について、前記巻取パッケージとして所定の巻取情報基準時刻において形成中であり又は前記巻取情報基準時刻において形成されていた形成中パッケージ、に含まれる糸の前記巻取情報基準時刻における巻取量を示す個別巻取量が考慮に入れられた個別巻取量含有情報を前記情報として取得する個別巻取量情報取得処理、及び/又は前記複数の加工錘に係る前記個別巻取量を合計することにより得られる合計巻取量が考慮に入れられた合計巻取量含有情報を前記情報として取得する合計巻取量情報取得処理、を行い、
前記個別巻取量情報取得処理により取得した前記複数の加工錘の各々についての前記個別巻取量含有情報を前記出力部に出力させる個別巻取量情報出力処理、及び/又は前記合計巻取量情報取得処理により取得した前記合計巻取量含有情報を前記出力部に出力させる合計巻取量情報出力処理を行うことを特徴とする糸加工設備。
【請求項2】
前記情報管理部は、前記合計巻取量情報取得処理及び前記合計巻取量情報出力処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の糸加工設備。
【請求項3】
複数の前記糸加工機を備え、
前記情報管理部は、
前記複数の糸加工機の少なくとも一部の各々について、前記個別巻取量情報取得処理及び/又は前記合計巻取量情報取得処理を行い、
前記複数の糸加工機の前記少なくとも一部を含む所定の糸加工機グループについて、前記個別巻取量情報出力処理及び/又は前記合計巻取量情報出力処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の糸加工設備。
【請求項4】
前記複数の加工錘の各々は、
前記巻取パッケージのうち形成され終わった1以上の完成パッケージを一時的に保管可能なストッカー、を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の糸加工設備。
【請求項5】
前記情報管理部は、
前記1以上の完成パッケージのうち前記ストッカーに一時的に保管されている1以上の保管中パッケージに含まれる糸の総量である一時保管総量に関する保管総量関連情報をオペレータによって入力可能に構成され、且つ、
前記複数の加工錘の各々について、前記保管総量関連情報を考慮に入れて前記個別巻取量含有情報を取得可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の糸加工設備。
【請求項6】
前記複数の加工錘の各々は、
前記1以上の完成パッケージのうち前記ストッカーに一時的に保管されている1以上の保管中パッケージを検知可能に構成された保管中パッケージ検知部、を有し、
前記情報管理部は、
前記複数の加工錘の各々について、前記保管中パッケージ検知部による検知結果に基づき、前記1以上の保管中パッケージに含まれる糸の総量である一時保管総量に関する保管総量関連情報を考慮に入れて前記個別巻取量含有情報を取得可能に構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の糸加工設備。
【請求項7】
前記出力部は、前記個別巻取量含有情報の少なくとも一部及び/又は前記合計巻取量含有情報を表示可能に構成されたディスプレイを有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の糸加工設備。
【請求項8】
前記出力部は、前記個別巻取量含有情報の少なくとも一部及び/又は前記合計巻取量含有情報を印刷媒体に印刷可能に構成されたプリンタを有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の糸加工設備。
【請求項9】
前記出力部は、前記個別巻取量含有情報の少なくとも一部及び/又は前記合計巻取量含有情報を含む電子ファイルを生成可能に構成された生成部を有することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の糸加工設備。
【請求項10】
前記出力部は、前記個別巻取量含有情報の少なくとも一部及び/又は前記合計巻取量含有情報を前記情報管理部の外部のコンピュータに送信可能に構成された通信部を有することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の糸加工設備。
【請求項11】
前記情報管理部は、前記情報として、前記巻取情報基準時刻の設定に関する巻取設定情報をオペレータによって入力可能に構成されていることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の糸加工設備。
【請求項12】
前記情報管理部は、前記巻取設定情報に基づき、過去及び将来を含む任意の時刻として前記巻取情報基準時刻を設定可能に構成されていることを特徴とする請求項11に記載の糸加工設備。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
第1の発明の糸加工設備は、複数の加工錘を有し、前記複数の加工錘の各々が、給糸パッケージから解舒される糸を加工して巻取ボビンに巻き取った巻取パッケージを形成可能に構成された糸加工機と、前記糸加工機に関する情報を管理可能に構成された情報管理部と、前記情報を出力可能に構成された出力部と、を備える糸加工設備であって、前記情報管理部は、前記複数の加工錘の各々について、前記巻取パッケージとして所定の巻取情報基準時刻において形成中であり又は前記巻取情報基準時刻において形成されていた複数の形成中パッケージに含まれる糸の前記巻取情報基準時刻における巻取量を示す個別巻取量が考慮に入れられた個別巻取量含有情報を前記情報として取得する個別巻取量情報取得処理、及び/又は、前記複数の加工錘に係る前記個別巻取量を合計することにより得られる合計巻取量が考慮に入れられた合計巻取量含有情報を前記情報として取得する合計巻取量情報取得処理、を行い、前記個別巻取量情報取得処理により取得した前記複数の加工錘の各々についての前記個別巻取量含有情報を前記出力部に出力させる個別巻取量情報出力処理、及び/又は前記合計巻取量情報取得処理により取得した前記合計巻取量含有情報を前記出力部に出力させる合計巻取量情報出力処理を行うことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
第3の発明の糸加工設備は、前記第1又は第2の発明において、複数の前記糸加工機を備え、前記情報管理部は、前記複数の糸加工機の少なくとも一部の各々について、前記個別巻取量情報取得処理及び/又は前記合計巻取量情報取得処理を行い、前記複数の糸加工機の前記少なくとも一部を含む所定の糸加工機グループについて、前記個別巻取量情報出力処理及び/又は前記合計巻取量情報出力処理を行うことを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
第12の発明の糸加工設備は、前記第11の発明において、前記情報管理部は、前記巻取設定情報に基づき、過去及び将来を含む任意の時刻として前記巻取情報基準時刻を設定可能に構成されていることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
糸加工設備100に含まれる複数の機台制御装置5の各々は、対応する仮撚加工機1について個別残量情報取得処理及び/又は合計残量情報取得処理を行う。つまり、情報管理部110は、複数の仮撚加工機1の各々について個別残量情報取得処理及び/又は合計残量情報取得処理を行う。情報管理部110は、複数の仮撚加工機1のうち一部の各々について、個別残量情報取得処理及び/又は合計残量情報取得処理を行っても良い。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
以上のように、個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報が機台出力部5b等によって出力される。個別巻取量含有情報の少なくとも一部が出力される場合、オペレータが、複数の形成中パッケージPwMに係る個別巻取量を一目で確認することができる。このように一目で確認された個別巻取量に基づき、複数の形成中パッケージPwMに係る個別巻取量を合計することにより、合計巻取量を得ることができる。また、合計巻取量含有情報が出力される場合、合計巻取量を短時間で知ることができる。したがって、複数の形成中パッケージPwMに含まれる糸Yの個別巻取量及び/又は合計巻取量の情報を容易に取得可能にし、且つ、個別巻取量及び/又は合計巻取量の取得に関するオペレータの負担を軽減できる。特に、合計巻取量含有情報が取得されて出力されることにより、オペレータの負担を大きく軽減できる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0123
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0123】
(4)機台制御装置5は、上記()の変形例に示した手段に加え、又は上記()の変形例に示した手段とは別の手段によって、複数の錘9の各々において予備パッケージに含まれる糸Yの残量の情報を個別残量含有情報に含めても良い。例えば、機台制御装置5は、任意のパッケージ装着部21に給糸パッケージPsが装着されているか否か判断するように構成されていても良い。このような判断を行うための手段として、例えば、給糸部2が、複数のパッケージ装着部21の各々における給糸パッケージPsの有無を検知する不図示の複数の装着センサ(本発明の装着情報取得部)を有していても良い。複数の装着センサは、例えば公知の光学センサ又は公知の重量センサであっても良い。機台制御装置5は、複数の装着センサによる検知結果を利用して、複数の給糸パッケージ保持部20の各々に予備パッケージが装着されているか否かの情報(装着情報)を取得しても良い。機台制御装置5は、装着情報に基づいて各錘9に係る予備残量関連情報を取得し、予備残量を個別残量に加算することによって、各錘9について、予備残量関連情報が考慮に入れられた個別残量含有情報を取得しても良い。機台制御装置5は、装着情報に基づいて予備パッケージの数の情報を取得し、当該数の情報にWFを掛けて予備残量の合計値を算出しても良い。機台制御装置5は、予備残量の合計値の情報を合計残量含有情報に含めても良い。或いは、複数の装着センサが必ずしも設けられていなくても良い。例えば、機台制御装置5は、装着情報をオペレータによって入力されることが可能に構成されていても良い。オペレータは、新しい給糸パッケージPsを任意の給糸パッケージ保持部20に装着する際に、当該給糸パッケージ保持部20に係る装着情報を機台制御装置5に入力しても良い。この場合、機台制御装置5が本発明の装着情報取得部に相当する。機台制御装置5は、オペレータによって入力された装着情報を利用して予備パッケージの数の情報を取得し、予備残量の合計値を算出しても良い。装着情報を利用することにより、オペレータの負担を大きく軽減できる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】
(6)前記までの実施形態において、各巻取装置19に対応して保管中パッケージ検知部42が設けられているものとした。しかしながら、これには限られない。保管中パッケージ検知部42は、必ずしも設けられていなくても良い。この場合、機台制御装置5は、一時保管総量の情報を以下のように取得して、個別巻取量含有情報に含めても良い。例えば、機台制御装置5は、一時保管総量の情報をオペレータによって入力されることが可能に構成されていても良い。この場合、一時保管総量の情報が本発明の保管総量関連情報に相当する。或いは、例えば、機台制御装置5は、保管中パッケージPwSの数の情報をオペレータによって入力されることが可能に構成されていても良い。機台制御装置5は、保管中パッケージPwSの数に上述した目標重量を掛けることで、複数の錘9に係る一時保管総量の合計値を算出する。このような構成では、オペレータが保管総量関連情報を調べて情報管理部110(機台制御装置5)に入力する必要はあるものの、このような入力が行われたとき、保管総量関連情報が考慮に入れられた個別巻取量含有情報及び/又は合計巻取量含有情報を取得できる。したがって、オペレータの負担をある程度軽減できる。