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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138056
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】給送装置、丁合装置及び中入装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/54 20060101AFI20230922BHJP
   B65H 3/08 20060101ALI20230922BHJP
   B65H 39/042 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B65H3/54 310B
B65H3/08 310A
B65H39/042
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044547
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(72)【発明者】
【氏名】堀 卓己
【テーマコード(参考)】
3F050
3F343
【Fターム(参考)】
3F050AA09
3F050BB02
3F050CF01
3F050LA00
3F050LB12
3F343FA16
3F343FB00
3F343FC01
3F343FC21
3F343GA02
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD02
3F343HA31
3F343JB02
3F343JD02
3F343JD15
3F343JD21
3F343JD33
3F343KB04
3F343KB17
3F343LA04
3F343LC03
3F343LC20
(57)【要約】
【課題】給送手段によって給送される一部のシート材と他のシート材との分離を促す分離部材の突き出し量の設定の手間を低減できる給送装置を提供する。
【解決手段】広告セット束を収容する収容部と、収容部内の広告セット束から広告セットPSを1セットずつ給送する給送手段と、収容部から給送される広告セットPSが通過する給送通過経路に突き出して給送手段によって給送される1セットの広告セットPSと他の広告セットPSとの分離を促す分離爪70とを備え、給送通過経路での分離爪70の突き出し量が変更可能な給送装置において、広告セットPSを挟持固定ローラ81と挟持移動ローラ82との二つの挟持部材で挟持する広告セット挟持部80と、二つの挟持部材同士の距離の変化に連動して分離爪70の突き出し量を変更させる分離爪高さ調整機構90と、を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚または複数枚のシート材を厚み方向に複数部重ねたシート材積層物を収容する収容部と、
前記収容部内の前記シート材積層物から前記シート材を一部ずつ給送する給送手段と、
前記収容部から給送される前記シート材が通過する給送通過経路に突き出して前記給送手段によって給送される一部のシート材と他のシート材との分離を促す分離部材とを備え、
前記給送通過経路での前記分離部材の突き出し量が変更可能な給送装置において、
前記シート材を二つの挟持部材で挟持するシート材挟持手段と、
二つの前記挟持部材同士の距離の変化に連動して前記分離部材の前記突き出し量を変更させる挟持分離連動手段と、を備えることを特徴とする給送装置。
【請求項2】
請求項1の給送装置において、
二つの前記挟持部材の少なくとも一方は、挟持対象に接触する周面が回動可能なローラ部材であることを特徴とする給送装置。
【請求項3】
一枚または複数枚のシート材を厚み方向に複数部重ねたシート材積層物を収容する収容部と、
前記収容部内の前記シート材積層物から前記シート材を一部ずつ給送する給送手段と、
前記収容部から給送される前記シート材が通過する給送通過経路に突き出して前記給送手段によって給送される一部のシート材と他のシート材との分離を促す分離部材とを備え、
前記給送通過経路での前記分離部材の突き出し量が変更可能な給送装置において、
前記シート材の厚み情報を取得する厚み情報取得手段と、
前記厚み情報取得手段が取得した厚み情報に基づいて前記分離部材の前記突き出し量を制御する分離突き出し量制御手段と、を備えることを特徴とする給送装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかの給送装置において、
前記収容部は、前記シート材が縦置きの状態となるように収容したときに、最も前記給送手段の側に位置する最先シート材の表面に接触して前記最先シート材を支持する最先シート支持板と、収容するシート材積層物を前記最先シート支持板に向けて搬送する収容部内搬送手段とを備え、
前記給送手段は、前記最先シート支持板の下方に形成された支持板開口部から前記最先シート材の前記最先シート支持板に接触する側の表面に吸着し、最先シート材を給送方向下流側に移動させる吸着パッドを備え、
前記分離部材は、前記給送通過経路を構成する前記支持板開口部での前記突き出し量が変更可能であることを特徴とする給送装置。
【請求項5】
折り畳まれた第一シート材に第二シート材を挟んだ中入済シート材を形成する中入装置において、
前記第一シート材を給送する第一給送手段と、前記第二シート材を給送する第二給送手段との少なくとも一方として、請求項1乃至4の何れか一項に記載の給送装置を用いることを特徴とする中入装置。
【請求項6】
複数の給送部のそれぞれから給送されるシート材を重ねてシート束を形成する丁合装置において、
前記給送部の少なくとも一つとして、請求項1乃至4の何れか一項に記載の給送装置を用いることを特徴とする丁合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給送装置、丁合装置及び中入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の配布先に配布される新聞は、折込チラシ等と呼ばれる広告印刷物を複数枚束ねたもの(以下、「広告セット」と呼ぶ)が折り込まれた状態で配布されることが多くある。四つ折りにされた新聞の内側に広告セットを挿入し、新聞に広告セットが折り込まれた状態とするインサーターと呼ばれる中入装置が知られている(例えば、特許文献1に記載された「丁合装置」の「用紙束作成部」等)。
【0003】
特許文献1のような中入装置では、広告給送台に複数セットの広告セットを立てた状態の広告セット束を積載し、広告セット束の一番奥の広告セットから順に1セットずつ給送を行い、新聞に広告セットを挿入する挿入部に向けて搬送する。給送を行う際は、給送対象である一番奥の広告セットの奥側の面を吸着パットで吸着し、吸着パットを移動させることによって、給送対象の広告セットを撓ませながら装置内に引き込んで、広告セットの下端を給送ローラ対のニップが挟み込む位置まで案内し、給送ローラ対の回転によって、挿入部に向けて給送する。
このような中入装置として、吸着パットで吸着された広告セットが装置内に引き込まれる際に通過する通過経路に下方から突き出し、給送される広告セットの下端が接触し、他の広告セットとの分離を促す分離爪を備えているものがある(株式会社デュプロ製インサーター「DI-3200GS」等)。
この中入装置では、広告給送台に積載する広告セットの厚みによって分離爪の適切な突き出し量が異なるため、使用者が広告セットの厚みに応じて突き出し量を調整する調整機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-87087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した分離爪を備える従来の中入装置では、使用者は中入装置とは別体の測定器で広告セットの厚みを測定し、その測定結果に基づいて中入装置に設けられた調整部材を操作して分離爪の突き出し量を調整していたため、手間がかかるという問題があった。
このような問題は、広告セットが通過する通過経路に分離爪を設けた中入装置の広告給送部に限るものではない。複数枚のシート材または一枚のシート材を複数部収容する収容部からシート材を一部ずつ給送する給送装置であって、給送手段によって給送される給送対象のシート材と他のシート材との分離を促す分離部材を備え、給送されるシート材が通過する給送通過経路での分離部材の突き出し量が変更可能な給送装置であれば、生じ得る問題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、一枚または複数枚のシート材を厚み方向に複数部重ねたシート材積層物を収容する収容部と、前記収容部内の前記シート材積層物から前記シート材を一部ずつ給送する給送手段と、前記収容部から給送される前記シート材が通過する給送通過経路に突き出して前記給送手段によって給送される一部のシート材と他のシート材との分離を促す分離部材とを備え、前記給送通過経路での前記分離部材の突き出し量が変更可能な給送装置において、前記シート材を二つの挟持部材で挟持するシート材挟持機構と、二つの前記挟持部材同士の距離の変化に連動して前記分離部材の前記突き出し量を変更する挟持分離連動機構と、を備えることを特徴とする給送装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数部を収容部に収容するシート材の一部を、使用者がシート材挟持機構の二つの挟持部材で挟持させることで、二つの挟持部材の距離の変化に連動して挟持分離連動手段が分離部材の前記突き出し量を変更する。このため、使用者は、シート材の一部をシート材挟持機構で挟持させる作業のみで、分離部材の突き出し量をシート材の厚みに応じた突き出し量に設定することができ、分離部材の突き出し量の設定の手間を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の中入システムの外観斜視図。
図2】本実施形態の中入システムの動作説明図。
図3】中入システムの機能構成を示すブロック図。
図4】広告給紙部の拡大説明図。
図5】広告給紙部の広告積載部における広告給紙機構近傍の斜視説明図。
図6】広告給紙機構の断面説明図。
図7】吸着パッドが広告セットに吸着する位置に到達した状態の広告給紙機構の断面説明図。
図8】吸着パッドが給紙対象広告セットを引き込んだ状態の広告給紙機構の断面説明図。
図9】吸着パッドが引き込んだ給紙対象広告セットが給紙駆動ローラと給紙従動ローラとに挟まれた状態の広告給紙機構の断面説明図。
図10】分離爪の突き出し量の調整の説明図。
図11】分離爪高さ調整機構の説明図。
図12】分離爪高さ調整機構の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0010】
以下、本発明に係る給送装置を備える中入装置の一実施形態について説明する。
【0011】
図1は本発明に係る中入装置であるインサーター1を備える中入システム100を示す外観斜視図であり、図2は、図1に示す中入システム100による中入動作を模式的に示す動作説明図である。
中入システム100は、新聞販売店等で使用される。中入システム100は、複数枚の広告印刷物を束ねた広告セットを四つ折りの新聞に挿入して、広告セットが折り込まれた中入済新聞を作成する。新聞に中入する広告印刷物としては複数枚に限らず、一枚の広告印刷物でもよい。
以下では、A地区に配達する中入済新聞を所定部数(例えば200部=50部×4束)作成し、それに続けてB地区に配達する中入済新聞を所定部数(例えば280部=60部×4束+40部×1束)作成する場合を例に説明する。また、以下では、各地区に配達する所定部数の中入済新聞を作成する処理を「ジョブ」と呼ぶ。
【0012】
中入システム100は、中入処理部であるインサーター1と、方向転換部である排出ユニット2と、中入後積載部であるリフトアップスタッカー3と、を備える。インサーター1は、四つ折りの新聞の最終折り目を開き、この開いた隙間に広告セットを挿入し、挟み込む。広告セットを新聞に挿入して挟み込む中入処理を「丁合」とも呼ぶ。インサーター1は、新聞給紙部10と、広告給紙部11と、操作部41と、新聞搬送部17と、新聞開き部18と、広告挿入部19と、を備える。新聞給紙部10は、新聞積載部14と、新聞給紙機構42(図1、2では不図示)と、を備え、広告給紙部11は、広告積載部15と、広告給紙機構16と、を備える。
【0013】
操作部41は、入力部(例えばタッチパッド)と一体形成された表示部(例えば液晶パネル)とを備える。操作部41の表示部には、例えばジョブに関する設定をするための画面が表示される。作業者は、この画面を介して、ジョブに関する設定、すなわち中入処理を行う新聞の「部数」と「区分け部数」とを入力する。「区分け部数」とは、中入済新聞を何部ごとに重ねて中入済新聞束を作成するかを意味する。例えばA地区用のジョブ設定では「部数=200部」、「区分け部数=50部」を入力する。この場合、50部の中入済新聞を含む中入済新聞束が4束作成される。また、例えばB地区用のジョブ設定では「部数=280部」、「区分け部数=60部」を入力する。この場合、60部の中入済新聞を含む中入済新聞束が4束と、40部の中入済新聞を含む中入済新聞束が1束作成される。
【0014】
新聞給紙部10の新聞積載部14には、四つ折りされた複数の新聞が積載される。新聞給紙機構42は、新聞積載部14の下方に設けられる。新聞給紙機構42は、新聞積載部14から新聞を一部ずつ取り出し、新聞搬送部17に送り出す。新聞搬送部17は、周回する搬送チェーン20とそれに連結された搬送コマ21を有する。新聞搬送部17は、この搬送コマ21により新聞を押して、新聞開き部18、そして広告挿入部19へ搬送する。
【0015】
新聞開き部18は、外周面に開き吸着パッド22が設けられた開きロータ23と、開きロータ23の下流側に設けられた不図示の開きガイドと、を有する。新聞搬送部17から送り込まれた新聞は、開き吸着パッド22によりその搬送方向先端側の上端部が開く。搬送コマ21がさらに進行することによって、新聞の開かれた部分に開きガイド24が入り込み、新聞は開かれた状態が維持されて、広告挿入部19に向けて搬送される。
【0016】
広告積載部15は、複数枚の広告印刷物を配達単位に二つ折り広告印刷物で挟んだ広告セットを複数セット積載する。広告積載部15は、前面板25と積載台26とを有し、複数セットの広告セットを重ねた広告セット束は前面板25にもたれかかるようにして積載台26に積載される。広告セット束は、各広告セットを構成する二つ折りの広告印刷物の折り目が下方となるように積載される。
【0017】
広告給紙機構16は、前面板25の下方に設けられる。広告給紙機構16は、広告積載部15から広告セットを1セットずつ取り出し、広告挿入部19に送り出す。広告挿入部19では、広告給紙機構16から送り出された広告セットが、開きガイドによって開かれた状態の新聞の間に挿入される。広告セットを挟んだ中入済新聞は、搬送コマ21に押されて排出ユニット2に送られる。
【0018】
排出ユニット2は、中入済新聞の搬送方向を90[°]変換する。本実施の形態では、排出ユニット2は、長手方向(最終折り目と平行な方向)に搬送された新聞を、短手方向(最終折り目と直交する方向)に搬送する。搬送方向が変換された新聞は、排出チェーン27に固定された排出プッシャー28により押し出され、リフトアップスタッカー3に向けて送り出される。
【0019】
中入システム100は、排出ユニット2とリフトアップスタッカー3との間にリフトアップコンベア29を備え、リフトアップスタッカー3の下流側にスタックコンベア31を備える。リフトアップコンベア29は、排出ユニット2から送り出された中入済新聞を持ち上げて、リフトアップスタッカー3の上部に搬送する。
【0020】
リフトアップスタッカー3は、仮受け部32と、中入済新聞束受け部33と、スタッカー排出ベルト34と、満杯センサ(不図示)と、を有する。中入済新聞束受け部33は櫛歯状を有する。中入済新聞束受け部33は、新聞が積載される度にその新聞の厚み分だけ下降する。例えば駆動機構(不図示)によって下降されるよう構成される。これにより、積載された中入済新聞の最上位面を略一定の位置に維持する。
【0021】
中入済新聞束受け部33は、作業者によって指定された「区分け部数」(A地区のジョブの場合は50部、B地区のジョブの場合は60部)の中入済新聞を積載して中入済新聞束を形成すると、この中入済新聞束をスタックコンベア31に送り出す。具体的には、積載された中入済新聞が所定部数に達すると、中入済新聞束の上に仮受け部32の四本の仮受けローラ36が進出し、中入済新聞束受け部33の代わりに中入済新聞を受ける(図2参照)。この間に、中入済新聞束受け部33が下降してその櫛歯の歯部と歯部との間にスタッカー排出ベルト34が入り込み、スタッカー排出ベルト34に中入済新聞束が積載される。続いて、スタッカー排出ベルト34が駆動されて中入済新聞束はスタックコンベア31に送り出される。
【0022】
中入済新聞束受け部33は、スタックコンベア31に中入済新聞束を送り出すと上昇する。この上昇後、仮受けローラ36は、その上に積載されていた中入済新聞を中入済新聞束受け部33に渡すとともに、中入済新聞束受け部33の上方から退避する。仮受けローラ36の退避後は、リフトアップコンベア29から送られてくる新聞は、中入済新聞束受け部33の上に積載される。以降、仮受け部32と中入済新聞束受け部33によるこの一連の処理を「スタック排出処理」と呼ぶ。
【0023】
満杯センサは、中入済新聞束受け部33が満杯になる(例えば100部の中入済新聞が中入済新聞束受け部33に積載される等)と、その旨を検知する。このような満杯センサとしては、例えば中入済新聞束受け部33が所定位置まで下降すると「ON」となる光センサで構成される。満杯センサによって中入済新聞束受け部33が満杯になったことが検知された場合にも、スタック排出処理が実行される。
【0024】
また、ジョブの最終の中入済新聞束が中入済新聞束受け部33に積載された場合にも、スタック排出処理が実行される。この場合は、中入済新聞束受け部33が満杯になっていなくても、中入済新聞束受け部33に積載された新聞が「区分け部数」に達していなくても、スタック排出処理が実行される。
スタックコンベア31には多数のコロ40が並べて設けられている。新たな中入済新聞束がリフトアップスタッカー3から送り出されると、既に送り出されて並んでいた複数束の中入済新聞束が押されてコロ40上を移動する。
【0025】
図3は、中入システム100の機能構成を示すブロック図である。
中入システム100は、システム全体を制御する制御部52と、受付部50と、表示部制御51と、判定部53と、記憶部54と、通信部201と、を備える。図3に示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0026】
制御部52は、インサーター1、排出ユニット2、リフトアップコンベア29、リフトアップスタッカー3及びスタックコンベア31の各部の動作を制御して、新聞に広告セットが折り込まれた中入済新聞を重ねた中入済新聞束を作成させる。
【0027】
受付部50は、操作部41を介して作業者が入力した情報を受け付ける。受付部50は、ジョブ情報受付部55と、次回ジョブ情報受付部56と、含む。ジョブ情報受付部55は、ジョブが未実施のときに、これから実施するジョブに関する情報を受け付ける。具体的には、ジョブ情報受付部55は、中入処理する新聞の部数を受け付け、これを「今回部数Na1」として今回部数記憶部57に登録する。ジョブ情報受付部55は、区分け部数が入力されている場合はこれも受け付け、「今回区分け部数Nb1」として今回区分け部数記憶部59に登録する。
【0028】
次回ジョブ情報受付部56は、ジョブの実行中に、次に実施するジョブに関する情報を受け付ける。具体的には、次回ジョブ情報受付部56は、丁合する新聞の部数を受け付け、これを「次回部数Na2」として次回部数記憶部58に登録する。次回ジョブ情報受付部56は、区分け部数が入力されている場合はこれも受け付け、「次回区分け部数Nb2」として次回区分け部数記憶部60に登録する。
【0029】
表示部制御51は、操作部41の表示部を介して作業者に各種表示画面を提供する。例えば、ジョブに関する情報を設定するための表示画面を提供する。
【0030】
判定部53は、中入処理された部数が、今回部数Na1に達しているか否かを判定する。中入処理された部数が今回部数Na1に達している場合は、判定部53は、次に実行するジョブに関する情報が入力されているかどうかを判定する。
【0031】
記憶部54は、今回部数記憶部57と、次回部数記憶部58と、今回区分け部数記憶部59と、次回区分け部数記憶部60と、部数カウンタ61と、区分け部数カウンタ62と、を含む。今回部数記憶部57は、今回部数Na1を記憶する。次回部数記憶部58は、次回部数Na2を記憶する。区分け部数記憶部59は、今回区分け部数Nb1を記憶する。次回区分け部数記憶部60は、次回区分け部数Nb2を記憶する。部数カウンタ61は、ジョブが開始されてからそれまでに中入処理された新聞の部数を部数カウント値Naとして記憶する。区分け部数カウンタ62は、区分け部数に達してから(ジョブの開始時にあってはジョブが開始されてから)、それまでに中入処理された新聞の部数を区分け部数カウント値Nbとして記憶する。
【0032】
また、図3に示すように、中入システム100は、通信部201を備え、制御部52がインターネット回線204を介して管理サーバー205及び管理端末206とデータ通信が可能となっている。制御部52は、記憶部54に記憶された制御プログラムに基づいて、各部の動作を制御するとともに、インターネット回線204を介して管理サーバー205及び管理端末206との通信を行う。
【0033】
中入システム100側が有する装置情報は、制御部52から通信部201に送信され、通信部201からWi-Fi回線を用いてWi-Fiルーター202に送信され、モデム203に送信される。モデム203はインターネット回線204を介して、管理サーバー205に中入システム100側が有する装置情報を送信し、管理サーバー205は必要に応じて受信した装置情報を記憶する。記憶された装置情報は、保守管理者のサービスマン等が管理端末206で確認できる。また、制御部52は、上述したインターネット回線204等を介して管理サーバー205が有する中入システム100に関する情報(制御プログラムの更新情報等)を取得でき、さらに、管理端末206からの入力情報を、上述したインターネット回線204等を介して制御部52に送信できる。管理サーバー205としては、管理者が所有するサーバー装置に限らず、公知のクラウドサービスプラットフォームを用いてもよい。
【0034】
中入システム100が外部装置である管理サーバー205に送信する装置情報としては、中入システム100の過去の稼働情報を管理サーバー205に送信できる。送信する稼働情報としては、累計の中入回数である累計カウンタ、エラーの発生回数、エラーの種類ごとの発生回数等を挙げることができる。これにより、保守管理者側が、エラー発生時の迅速な対応、エラー発生前の予防対応、消耗品が消耗し切る前の交換対応が可能となる。
【0035】
制御部52から管理サーバー205へのエラー情報の送信は、中入システム100の動作が停止する度に実行する。管理サーバー205から管理端末206へのエラー情報の送信は、1時間毎等の所定時間毎に前回の管理端末206への送信以降に制御部52から受信したエラー情報をまとめて送信する。管理端末206への送信タイミングの所定時間は使用者及び管理者によって適宜変更可能であることが望ましい。
【0036】
エラー情報を送信するタイミングの他の例としては、中入システム100への電源投入時にまとめて送信することが考えられる。しかし、この他の例のタイミングでは以下の問題が生じるおそれがある。
すなわち、中入システム100が新聞販売店で用いられる場合、深夜から早朝にかけて作業が行われることが多い。このため、深夜から早朝の作業で問題が生じた場合、当該早朝と同日の日中にはメンテナンス対応をすることが求められる。電源投入時にまとめてエラー情報を送る構成であると、当該早朝と同日の深夜から翌日の早朝の電源投入時にエラー情報が送られることとなり、一日装置が使用できなくなる。また、電源OFF時にエラー情報を送る構成だと、ネット環境によってはエラー情報の送信に時間がかかって情報が送信しきれなくなることがある。
また、エラー情報を送信するタイミングのさらに他の例としては、管理端末206でエラー情報をリアルタイムで監視することが考えられる。しかし、使用者の作業で復旧が可能なエラーが頻発する場合、エラー発生の度に管理端末206でエラー情報を受信すると、管理画面が見にくくなる不具合が生じる恐れがある。
【0037】
上述した二つの他の例に対して、本実施形態のように、所定時間毎(一時間毎等)にエラー情報を管理端末206に送信する構成であれば、リアルタイムに近い頻度で情報を取得でき、エラー情報の送信が一日遅れることを防止できる。
【0038】
また、管理サーバー205または管理端末206は、受信したエラー情報に基づいて、中入システム100にサービスマンが訪問して、メンテナンスの必要性の確認を指示するアラート表示を行うアラート機能を備えている。
中入システム100の制御部52は、エラー情報や稼働情報を送信するのみでアラートの判断は行わず、管理サーバー205または管理端末206が受信したエラー情報を蓄積して条件が揃ったら管理端末206の管理画面にアラートを表示する。このアラート表示を行う条件は管理者によって適宜変更可能であることが望ましい。
【0039】
また、中入システム100にサービスマンコールボタンを設けてもよい。このサービスマンコールボタンが押されると、その情報がインターネット回線204等を介して管理端末206に送信され、管理端末206の管理画面にサービスマンコールボタンが押されたことが表示される。従来、中入システム100に不具合が生じた場合、コールセンターに電話をすることが主流であった。しかし、コールセンターでは対応できない不具合が生じている場合があり、コールセンターが使用者と管理者とのつなぎ役だけになることがある。これに対して、上述したサービスマンコールボタンがあれば、あらゆる不具合に対応できる管理者が、サービスマンコールボタンが押されるまでのエラー情報や稼働情報を確認して、不具合の状態をある程度予測してから使用者にコンタクトをとることが可能となる。
【0040】
また、上述した受付部50で受け付けて記憶部54に記憶する各種情報を、インターネット回線204を介して入力できる構成としてもよい。
さらに、中入システム100は、特開2019-38628号や特開2021-095296号等に記載された丁合装置で広告印刷物を丁合した丁合束を広告セットPSとして、中入に用いることが多い。そして、中入システム100で、ある配達地区αに配達する中入済新聞を「今回部数Na1」の数だけ作成し、他の配達地区βに配達する中入済新聞を「次回部数Na2」の数だけ作成する場合、丁合装置では、配達地区αに配達する広告印刷物を束ねた丁合束と、配達地区βに配達する広告印刷物を束ねた丁合束と、をそれぞれ作成する。そして、特開2021-095296号に記載された「要丁合部数」は、各地区に配達する丁合束の部数であり、配達地区αの「要丁合部数」は「今回部数Na1」と一致し、配達地区βの「要丁合部数」は「次回部数Na2」と一致する。このように、丁合装置で丁合する丁合束の部数と、中入システム100で中入処理する部数とは数が一致することが多いため、丁合装置に入力された数値が中入システム100に自動的に入力されることが望ましい。
【0041】
そこで、同じ販売店で使用されている丁合装置と中入システム100とを管理サーバー205上で紐付けて管理し、丁合装置の丁合ジョブに関する情報として入力された情報のうち、中入システム100での中入処理に関連する情報(要丁合部数等)が入力された場合は、その情報を中入システム100で実施するジョブに関する情報(「今回部数Na1」や「次回部数Na2」等)として、管理サーバー205から中入システム100の制御部52に送信する。そして、制御部52は、受信した情報を記憶部54に記憶する。
中入システム100と丁合装置とがジョブに関する情報を共有する構成としては、インターネット回線204を介する構成に限るものではない。例えば、中入システム100と丁合装置とを有線で接続して、情報を共有する構成としてもよい。さらに、丁合装置の操作部として丁合装置から分離可能なタブレット端末を用いる場合は、このタブレット端末と制御部52とが有線または無線で通信を行い、情報を共有する構成としてもよい。
このように中入システム100と丁合装置とがジョブに関する情報を共有する構成であれば、共通する情報の入力の手間を省くことができる。
【0042】
さらに、本実施形態の中入システム100は、制御部52を制御する制御プログラムについての更新プログラムを、インターネット回線204を介して管理サーバー205からダウンロードできる構成となっている。このように、制御プログラムの更新プログラムを、インターネット回線204等の通信ネットワークを介して管理サーバー205等の外部情報処理手段から取得できる構成であれば、サービスマンのユーザー先への訪問の回数を削減でき、手間と費用の削減を図ることができる。
【0043】
次に本発明に係る給送装置の構成を備えた広告給紙部11について説明する。
図4は、図1に示すインサーター1における広告給紙部11の拡大説明図であり、図5は、広告給紙部11の広告積載部15における広告給紙機構16近傍を図4中の右斜め上方から見た斜視説明図である。図6は、広告給紙機構16を新聞の搬送方向下流側(排出ユニット2の側)から見た断面説明図である。図4及び図5では、広告積載部15に広告セットPSを積載していない状態を示しており、図6は、複数セットの広告セットPSからなる広告セット束が積載された状態を示している。
【0044】
広告給紙部11は、搬送ベルト(261、262)の搬送方向に向って下り傾斜した積載台26上に、折り部分を下にした広告セットPSを複数セット重ねた広告セット束を積載し、積載台26における搬送方向下流端である給紙位置にある広告セットPSを1セットずつ取り出して、広告挿入部19に向けて給紙する給送装置である。
広告給紙部11は、積載台26と、広告先端センサ95と、前面板25と、広告給紙機構16とを備える。広告給紙機構16は、上下方向に移動可能な分離板104、分離突き出し部材103及び給紙従動ローラ106と、回動可能な吸着支持部材102aに支持された吸着パッド102と、装置本体に位置が固定された給紙駆動ローラ105と、を備える。
給紙動作では、積載台26に積載された複数セットの広告セットPSのうち、搬送方向の最下流側に位置して前面板25に達している広告セットPSに、吸着パッド102が吸着し、吸着パッド102の移動によって吸着した広告セットPSを装置内部に引き込み、引き込んだ広告セットPSを給紙駆動ローラ105と給紙従動ローラ106とで挟んで、図6中の右下方へと給送する。
広告先端センサ95は、積載台26の搬送方向下流側端部に位置し、積載台26に積載された複数セットの広告セットPSのうち最前の位置(給紙位置)にある広告セットPS(給紙対象広告セットPS1)を検知するセンサである。
【0045】
図4図6に示すように、積載台26は、積載支持板263と、幅方向に複数本(本例では四本)平行に並べて配置された上流側搬送ベルト261と、幅方向に複数本(本例では四本)平行に並べて配置された下流側搬送ベルト262とを備える。下流側搬送ベルト262は、上流側搬送ベルト261に対して幅方向の位置をずらして配置されている。そして、上流側搬送ベルト261の搬送方向下流側端部と、下流側搬送ベルト262の搬送方向上流側端部とを張架するベルト駆動ローラ265に対してメインモータから回転駆動を伝達し、図6中の矢印で示す方向(時計回り方向)に回転させることで、上流側搬送ベルト261と下流側搬送ベルト262とが、その上面が搬送方向下流側に移動するように無端移動する。
【0046】
制御部52は、メインモータからベルト駆動ローラ265への回転駆動の伝達のON/OFFを切り替える電磁クラッチ等の駆動伝達切り替え手段を制御する。駆動の伝達をONにして、ベルト駆動ローラ265が回転することにより、搬送ベルト(261、262)が、積載台26上の広告セットPSを給紙位置に向けて移動させる。
制御部52は、広告給紙機構16が給紙位置にある給紙対象広告セットPS1を引き込んだことにより、広告先端センサ95が給紙位置にある広告セットPSを検知しなくなった場合、広告先端センサ95が広告セットPSを再度検知するようにベルト駆動ローラ265の駆動を制御する。これにより、広告給紙機構16が広告セットPSを引き込むことによる積載台26上の広告セットPSの減少に応じて、積載台26に積載された複数セットの広告セットPSを給紙位置に向かう方向へ移動させることができる。
制御部52は、ベルト駆動ローラ265への駆動の伝達をONにして、搬送ベルト(261、262)により広告セットPSを移動させた後、広告先端センサ95が広告セットPSを検知したままであっても、所定部数の広告セットPSが給紙された場合は、ベルト駆動ローラ265への駆動の伝達をONにして、搬送ベルト(261、262)により広告セットPSを所定量または所定時間移動させる。
【0047】
前面板25は、積載台26に縦置きの状態で積載された広告セットPSが倒れないように、支えるための板部材である。図5及び図6に示すように、前面板25の下部には、積載台26から装置内部に給紙される広告セットPSが通過する給紙通過開口部251が形成されており、給紙通過開口部251の上端よりも上方の前面板25によって、縦置きの広告セットPSの上半分側を支える構成となっている。
【0048】
図5に示すように、積載台26の搬送方向下流側端部には分離爪70を備える。分離爪70は、下方から給紙通過開口部251に突き出し、吸着パッド102に吸着され、吸着パッド102の移動により、装置内部へと給紙通過開口部251を通過しようとする広告セットPSの下端部に接触し、給紙されようとしている給紙対象広告セットPS1と、次回の給紙動作で給紙される次回給紙広告セットPS2との分離を促す部材である。
【0049】
上述した図5及び図6は、広告セットPSの給紙動作を開始する前の待機状態の広告給紙機構16を示している。
図7図9は、広告給紙機構16が給紙対象広告セットPS1を給紙する様子を説明する断面説明図である。
図7は、吸着パッド102が広告セットPSに吸着する位置に到達した状態を示し、図8は、吸着パッド102が給紙対象広告セットPS1を給紙通過開口部251から装置内部に引き込んだ状態を示し、図9は、吸着パッド102が引き込んだ給紙対象広告セットPS1が給紙駆動ローラ105と給紙従動ローラ106とに挟まれた状態を示す。
【0050】
図5及び図6に示す待機状態から給紙動作が開始されると、給紙駆動ローラ105の図6中の反時計回り方向の回転が開始されるとともに、分離板104、分離突き出し部材103及び給紙従動ローラ106が下降し、これらの部材が給紙通過開口部251を塞がない状態となる。一方、不図示の吸引ポンプと吸着パッド102との接続をONにし、吸着支持部材102aを図6中の時計回り方向に回転させることで、図7に示すように、吸着パッド102が給紙対象広告セットPS1の裏面(前面板25に接触する側の面)に吸着した状態となる。
【0051】
給紙動作では、図7に示す状態から吸着支持部材102aが図7中の反時計回り方向に回転するとともに、分離突き出し部材103及び給紙従動ローラ106を上昇して図8で示す状態となる。吸着支持部材102aが反時計回り方向に回転することで、吸着パッド102が装置内部に引っ込み、吸着パッド102が吸着した給紙対象広告セットPS1を給紙通過開口部251から装置内部に引き込む。この動作の際に、給紙通過開口部251を通過する給紙対象広告セットPS1の下端部に分離爪70が引っかかるが、給紙対象広告セットPS1における下端部近傍が撓んで分離爪70を乗り越えることで、給紙対象広告セットPS1の下端部側が給紙通過開口部251を通過する。また、給紙対象広告セットPS1に次回給紙広告セットPS2が密着して給紙対象広告セットPS1とともに給紙されそうになっても、分離爪70によって給紙対象広告セットPS1が撓むことで、次回給紙広告セットPS2はその剛性によって給紙対象広告セットPS1の撓みに追従せず、給紙対象広告セットPS1と次回給紙広告セットPS2との密着が解除され、積載台26に積載された他の広告セットPSから給紙対象広告セットPS1の分離を促すことができる。
【0052】
給紙動作では、図8に示す状態からさらに吸着支持部材102aが反時計回り方向に回転するとともに、分離突き出し部材103及び給紙従動ローラ106がさらに上昇して、図6に示す待機状態と同様の位置となるように各駆動部の動作が制御されて図9で示す状態となる。吸着パッド102が図9に示す位置に到達すると、吸着パッド102からの空気の吸引を切って、吸着パッド102による吸着を解除する。この動作によって、吸着パッド102が吸着した給紙対象広告セットPS1は、給紙駆動ローラ105に接触する位置まで引き込まれる。また、上昇する分離突き出し部材103が、分離爪70によって下端部近傍が分離された給紙対象広告セットPS1と次回給紙広告セットPS2との間に入り込むことで、より確実な分離給紙を行うことができる。さらに、給紙従動ローラ106が給紙駆動ローラ105と接触する位置まで上昇しようとすることで、給紙従動ローラ106と給紙駆動ローラ105との間に給紙対象広告セットPS1を挟持でき、挟持した給紙対象広告セットPS1を給紙駆動ローラ105の回転によって広告挿入部19に向けて給紙する。なお、図6乃至図9に示すように分離突き出し部材103は、分離突き出しローラ103aを備えており、図9に示すように、給紙対象広告セットPS1と次回給紙広告セットPS2との間に入り込んだときには、分離突き出しローラ103aが給紙対象広告セットPS1や次回給紙広告セットPS2と接触して回転するため、上下に移動する分離突き出し部材103が摺擦することに起因して広告セットPSの表面に摺擦傷ができることを防止できる。
【0053】
次に、給紙通過開口部251に対する分離爪70の突き出し量の調整について説明する。
分離爪70の突き出し量は、広告セットPSの厚みに応じて調整する必要がある。詳しくは、広告セットPSが厚いほど分離爪70の突き出し量を小さくし、広告セットPSが薄いほど分離爪70の突き出し量を大きくする。
これは以下の理由による。
【0054】
すなわち、厚い広告セットPSは剛性が大きく曲がり難いため、次回給紙広告セットPS2は給紙対象広告セットPS1の撓みに追従して撓みにくく、分離爪70の突き出し量を小さくし、給紙対象広告セットPS1の撓み量が小さくても、次回給紙広告セットPS2の剛性によって給紙対象広告セットPS1と次回給紙広告セットPS2とを分離できる。また、厚い広告セットPSを給紙するときに、分離爪70の突き出し量が大き過ぎると、吸着パッド102に吸着された給紙対象広告セットPS1が分離爪70を乗り越えるほどに給紙対象広告セットPS1が撓む前に、給紙対象広告セットPS1の剛性による撓みに抗する力が、吸着パッド102の吸着力を上回り、吸着パッド102の吸着が解除され、給紙できなくなるおそれがある。
【0055】
一方、薄い広告セットPSは剛性が小さく曲がり易いため、次回給紙広告セットPS2は給紙対象広告セットPS1の撓みに追従して撓み易く、分離爪70の突き出し量を大きくし、給紙対象広告セットPS1の撓み量を大きくしても、給紙対象広告セットPS1の剛性による撓みに抗する力が、吸着パッド102の吸着力を上回ることが生じ難く、給紙不良が生じにくい。また、薄い広告セットPSを給紙するときに、分離爪70の突き出し量が小さ過ぎると、吸着パッド102に吸着された給紙対象広告セットPS1が分離爪70を乗り越えるほどに給紙対象広告セットPS1が撓んでも、次回給紙広告セットPS2が給紙対象広告セットPS1に追従して撓み、密着が解除できず、分離不良となって広告セットPSの重送が生じるおそれがある。
【0056】
このため、本実施形態の広告給紙部11では、広告セットPSが薄いときには突き出し量を大きくし、広告セットPSが厚いときには突き出し量を小さくできるように、分離爪70の上下方向の位置(高さ)を調整可能となっている。
図10は、分離爪70の突き出し量の調整の説明図である。図10(a)は、分離爪70の突き出し量を最大にしたときの説明図であり、図10(b)は、分離爪70の突き出し量を最小にしたときの説明図である。図10(a)と図10(b)とに示すように、広告セットPSの厚み応じて分離爪70の突き出し量を異ならせることで広告セットPSの厚みが変化しても良好な給紙性と分離性とを実現できる。
【0057】
分離爪70の上下方向の位置を調整する分離爪高さ調整機構90(図11図12参照)の操作部である分離爪調整ツマミ45が、広告給紙部11の筐体右側壁部110の右壁正面板110aに配置されている。
図11は、分離爪高さ調整機構90の説明図であり、図11(a)は、筐体右側壁部110の分離爪調整ツマミ45近傍の拡大正面図であり、図11(b)は、筐体右側壁部110の分離爪調整ツマミ45近傍の拡大斜視図である。
【0058】
図11に示すように、広告給紙部11は、筐体右側壁部110の右壁正面板110aに分離爪調整ツマミ45を備え、筐体右側壁部110の右壁側面板110bに広告セット挟持部80を備える。広告セット挟持部80は、挟持固定ローラ81、挟持移動ローラ82、固定ローラ支持部材83及び移動ローラ支持スライド部材84を備える。固定ローラ支持部材83は、挟持固定ローラ回転軸81aを中心に回転可能となるように挟持固定ローラ81を支持し、右壁側面板110bの右側から突き出すように広告給紙部11の筐体に固定されている。移動ローラ支持スライド部材84は、挟持移動ローラ回転軸82aを中心に回転可能となるように挟持移動ローラ82を支持し、筐体右側壁部110内に配置されたスライド機構により、分離爪調整ツマミ45の回転に応じて左右に移動する構成となっている。また、筐体右側壁部110の右壁側面板110bには移動ローラ通過窓111が形成されており、移動ローラ支持スライド部材84の挟持移動ローラ82を支持する部分が移動ローラ通過窓111から外部に突き出ており、移動ローラ支持スライド部材84が左右に動くことで、移動ローラ通過窓111から外部に突き出す突き出し量が変化し、挟持固定ローラ81と挟持移動ローラ82との間隔が変化する。
【0059】
図12は、分離爪高さ調整機構90の動作説明図である。図12(a)[図12(a-1)及び図12(a-2)]は、広告セット挟持部80に厚い広告セットPSを挟んだ状態の説明図であり、図12(b)[図12(b-1)及び図12(b-2)]は、広告セット挟持部80に薄い広告セットPSを挟んだ状態の説明図である。また、図12(a-1)及び図12(b-1)は、手前-奥方向における広告セット挟持部80の位置における説明図であり、図12(a-2)及び図12(b-2)は、手前-奥方向における分離爪70の位置における説明図である。なお、図12(a-1)及び図12(b-1)では、広告セット挟持部80よりも手前側に位置する挟持動作伝達ギヤ86の大径ギヤ部86aを便宜的に破線で示している。挟持動作伝達ギヤ86は、動作伝達ギヤ軸87を中心に回動可能に装置筐体に支持されている。
【0060】
図12に示すように、分離爪調整ツマミ45は分離爪調整用伝達軸75に固定されており、この分離爪調整用伝達軸75には、挟持動作出力ギヤ46と分離爪調整出力ギヤ74とが固定されており、使用者が分離爪調整ツマミ45を回転させると、分離爪調整用伝達軸75に固定された挟持動作出力ギヤ46及び分離爪調整出力ギヤ74も回転する。
【0061】
挟持動作出力ギヤ46には、挟持動作伝達ギヤ86の大径ギヤ部86aがかみ合っており、挟持動作出力ギヤ46が回転すると、挟持動作伝達ギヤ86も回転する。挟持動作伝達ギヤ86の小径ギヤ部86bには、移動ローラ支持スライド部材84の移動ローラ支持ラック部84aとかみ合っている。移動ローラ支持スライド部材84の左右方向に長尺な長孔には、広告給紙部11の筐体に固定されたスライド部材支持ピン85が嵌合しており、スライド部材支持ピン85は移動ローラ支持スライド部材84を左右方向に移動可能な状態で支持する。移動ローラ支持ラック部84aとかみ合っている挟持動作伝達ギヤ86が回転すると、移動ローラ支持スライド部材84が左右方向に移動し、移動ローラ支持スライド部材84に支持された挟持移動ローラ82が左右に移動する。このように、挟持動作伝達ギヤ86及び移動ローラ支持ラック部84a等により、上述したスライド機構を構成する。
【0062】
分離爪調整出力ギヤ74には、分離爪押上スライド部材73の分離押上スライドラック部73bがかみ合っており、分離爪調整出力ギヤ74が回転すると、分離爪押上スライド部材73が左右方向に移動する。分離爪70が固定された分離爪支持部材71は、不図示の支持機構によって積載台26に対して上下方向に移動可能に支持されており、分離爪押上スライド部材73は三つの分離爪支持部材71の下端部がそれぞれ接触する斜面を備えた三つの傾斜部材72が分離爪押上スライド部材73の傾斜支持部73aに固定されている。分離爪押上スライド部材73が左右方向に移動すると、傾斜部材72の斜面における分離爪支持部材71の下端部が接触する位置の高さが変化し、この接触する位置の高さに応じて分離爪支持部材71に固定された分離爪70の高さが変化する。
【0063】
以下、積載する広告セットPSの厚みに応じた分離爪70の高さ調整操作について説明する。
複数セットの広告セットPSを重ねた広告セット束を積載台26に積載する前に、使用者が分離爪調整ツマミ45を反時計回り方向(図中の矢印「A1」とは逆方向)に回し切っておく。
次に、挟持固定ローラ81と挟持移動ローラ82との間に、積載する広告セットPSのうちの1セットを立てた状態で置いて、分離爪調整ツマミ45を時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)に回らなくなる位置まで回転させ、その後、使用者は広告セット挟持部80から広告セットPSを取り出す。
【0064】
次に、図11及び図12を参照しながら、上述した高さ調整操作での分離爪高さ調整機構90の動きについて説明する。
分離爪調整ツマミ45を反時計回り方向(図中の矢印「A1」とは逆方向)に回し切ると、広告セット挟持部80の挟持固定ローラ81と挟持移動ローラ82との間隔が最も開いた状態となる。
次に、使用者が、挟持固定ローラ81と挟持移動ローラ82との間に広告セットPSを置いて、分離爪調整ツマミ45を時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)に回転させると、分離爪調整用伝達軸75と、これに固定された挟持動作出力ギヤ46及び分離爪調整出力ギヤ74が時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)に回転する。
【0065】
図12(a-1)及び図12(b-1)に示すように、挟持動作出力ギヤ46が時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)に回転すると、挟持動作伝達ギヤ86が反時計回り方向(図中の矢印「A2」方向)に回転する。そして、移動ローラ支持ラック部84aを備える移動ローラ支持ラック部84aが右方向(図中の矢印「A3」方向)に移動し、挟持移動ローラ82が挟持固定ローラ81との間隔を狭める方向に移動する。そして、挟持移動ローラ82と挟持固定ローラ81との間に広告セットPSが挟まると、挟持移動ローラ82は挟持固定ローラ81との間隔を狭める方向に移動できなくなり、使用者が分離爪調整ツマミ45を時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)に回転することができない状態となる。
【0066】
また、図12(a-2)及び図12(b-2)に示すように、分離爪調整出力ギヤ74が時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)に回転すると、分離押上スライドラック部73bを備える分離爪押上スライド部材73が左方向(図中の矢印「A4」方向)に移動する。分離爪押上スライド部材73が左方向(図中の矢印「A4」方向)に移動すると、傾斜支持部73aに固定された傾斜部材72が左方向に移動し、傾斜部材72の斜面における分離爪支持部材71の下端部と対向する部分の高さが高い部分となる。これにより、傾斜部材72の斜面に分離爪支持部材71が押し上げられて上方向(図中の矢印「A5」方向)に移動して、分離爪支持部材71に固定された分離爪70の位置が上方に移動する。
【0067】
図12(a)に示すように、広告セット挟持部80に厚い広告セットPSを置いた状態で、分離爪調整ツマミ45を時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)に回転させると、少ない回転量で挟持移動ローラ82が広告セットPSに突き当たり、広告セット挟持部80が広告セットPSを挟んだ状態となる。これにより、分離爪調整ツマミ45が固定された分離爪調整用伝達軸75と、分離爪調整用伝達軸75に固定された分離爪調整出力ギヤ74との時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)への回転量は小さくなり、分離爪押上スライド部材73が左方向(図中の矢印「A4」方向)への移動量が小さくなる。さらに、分離爪押上スライド部材73に固定された傾斜部材72の左方向(図中の矢印「A4」方向)への移動量が小さくなり、傾斜部材72の左方向への移動によって押し上げられる分離爪支持部材71に固定された分離爪70の上方向(図中の矢印「A5」方向)への移動量も小さくなる。この結果、給紙通過開口部251に対する分離爪70の突き出し量は小さくなる。
【0068】
一方、図12(b)に示すように、広告セット挟持部80に薄い広告セットPSを置いた状態で、分離爪調整ツマミ45を時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)に回転させると、挟持移動ローラ82が広告セットPSに突き当たって広告セット挟持部80が広告セットPSを挟んだ状態となるまでの分離爪調整ツマミ45の回転量が大きくなる。これにより、分離爪調整ツマミ45が固定された分離爪調整用伝達軸75と、分離爪調整用伝達軸75に固定された分離爪調整出力ギヤ74との時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)への回転量も大きくなり、分離爪押上スライド部材73が左方向(図中の矢印「A4」方向)への移動量も大きくなる。さらに、分離爪押上スライド部材73に固定された傾斜部材72の左方向(図中の矢印「A4」方向)への移動量が大きくなり、傾斜部材72の左方向への移動によって押し上げられる分離爪支持部材71に固定された分離爪70の上方向(図中の矢印「A5」方向)への移動量も大きくなる。この結果、給紙通過開口部251に対する分離爪70の突き出し量は大きくなる。
【0069】
従来のインサーターでは、広告セット挟持部80のような構成を備えていないため、インサーターとは別体の厚み測定器に広告セットを挟み、この厚み測定器での測定値を確認し、分離爪の突き出し量を調整する調整部材の位置が、厚み測定器での測定値に対応した位置となるように操作することで分離爪の突き出し量を調整する作業を行っていた。
このような従来の調整作業では、「(1)厚み測定器を準備する」、「(2)厚み測定器に広告セットを挟む」、「(3)厚み測定器の測定値を確認する」、「(4)確認した測定値に対応した位置となるように調整部材を操作する」というように多くの手順が必要であり、さらに、手順(4)では、測定値に対応した位置となるように調整部材の位置を手動で調整する操作が必要であり、使用者にとって手間であった。
【0070】
これに対して、本実施形態にかかるインサーター1の広告給紙部11は、「(1)広告セット挟持部80に広告セットPSを設置する」、「(2)分離爪調整ツマミ45が止まる位置まで回転させる」という少ない手順で、且つ、簡単な操作で分離爪70の突き出し量を調整することができる。
【0071】
本実施形態の分離爪高さ調整機構90は、広告セットPSの厚みに応じて変位する挟持移動ローラ82と、分離爪70を上下動させる分離爪押上スライド部材73とが機械的に連動する構成である。挟持固定ローラ81及び挟持移動ローラ82等の挟持部材同士の距離の変化に連動して分離爪70等の分離部材の突き出し量を変更させる構成としては、機械的に連動させる構成に限らない。挟持部材同士の距離に応じた信号を発する距離センサと、分離部材の突き出し量を変化させるモータやソレノイド等の駆動源を備え、距離センサの信号に応じて駆動源の駆動量を制御する構成例としてもよい。
【0072】
さらに、上述した構成例の挟持部材及び距離センサの代わりに、広告セットPSの厚みを測定する厚みセンサを用いて、この厚みセンサの検出結果に基づいて分離部材の突き出し量を変化させる駆動源の駆動量を制御する構成としてもよい。厚みセンサを用いる構成としては、使用者が給紙予定の広告セットPSの1セットを測定位置に設置して厚みを測定する構成に限らず、広告積載部15から給紙する給紙経路に厚みセンサを配置し、1セットのみを給紙するプリセット給紙で厚みを測定し、測定値に応じて駆動源の駆動量を制御する構成としてもよい。また、給紙経路に厚みセンサを配置する構成であれば、給紙した広告セットPSの厚みの変化に応じて分離部材の突き出し量を変化させることで、広告積載部15に積載した広告セット束の広告セットPSの厚みにバラつきがあっても、良好な給紙を行うことが可能となる。
【0073】
本実施形態の広告給紙部11は、分離爪調整ツマミ45を回すことで挟持部材同士の距離を手動で変化させ、この距離に機械的に連動して分離部材の突き出し量が変化する構成である。このような構成であれば、距離センサや厚みセンサ等の広告セットPSの厚みの情報を取得するためのセンサや、分離部材の突き出し量を変化させる駆動源が不要となり、広告給紙部11等の給紙装置の製造コストの削減を図ることができる。
さらに、広告セット挟持部80に広告セットPSを配置して分離爪調整ツマミ45を回すことで、広告セットPSの厚みに応じた分離爪70の突き出し量に調整した後、広告セット挟持部80に広告セットPSを配置していない状態で分離爪調整ツマミ45を回すことで分離爪70の突き出し量の微調整を行うことができる。広告セットPSは同じ厚みであっても、広告セットPSを構成する広告印刷物の材料や印刷状態によって、分離性、給紙性が異なることがあるが、広告セットPSの厚みに応じた突き出し量を調整した後に、さらに分離爪70の突き出し量の微調整が可能であることで、より安定した広告セットPSの給紙を行うことができる。
【0074】
上述した挟持部材同士の距離に連動して分離部材の突き出し量を変更する構成や、厚みセンサの検出に基づいてして分離部材の突き出し量を変更する構成を備える給送装置としては、上述したインサーター1の広告給紙部11に限るものではない。例えば、上述したインサーター1の新聞給紙部10の新聞積載部14から新聞を一部ずつ給紙する構成にも適用可能である。
さらに、給送対象のシート部材の厚みに応じて、分離部材の突き出し量を変更させる給紙装置であれば適用可能であり、例えば、特開2019-38628号等に記載された丁合装置の給紙装置が備えるサバキ部材(分離部材)の高さ(突き出し量)を調整する機構にも適用可能である。
【0075】
本発明の実施の形態は、上述した実施形態や変形例に限るものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれ得る。
【0076】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0077】
〔態様1〕
一枚または複数枚の広告セットPS等のシート材を厚み方向に複数部重ねた広告セット束等のシート材積層物を収容する広告積載部15等の収容部と、収容部内のシート材積層物からシート材を一部ずつ給送する広告給紙機構16等の給送手段と、収容部から給送されるシート材が通過する給紙通過開口部251等の給送通過経路に突き出して給送手段によって給送される一部のシート材と他のシート材との分離を促す分離爪70等の分離部材とを備え、給送通過経路での分離部材の突き出し量が変更可能な広告給紙部11等の給送装置において、シート材を挟持固定ローラ81及び挟持移動ローラ82等の二つの挟持部材で挟持する広告セット挟持部80等のシート材挟持手段と、二つの挟持部材同士の距離の変化に連動して分離部材の突き出し量を変更させる分離爪高さ調整機構90等の挟持分離連動手段と、を備えることを特徴とするものである。
これによれば、給送予定のシート材をシート材挟持手段で挟むだけで、広告セットPSの1セット分の厚さ等の給送単位のシート材の厚さに応じた分離部材の突き出し量を調整することが可能となり、従来よりも容易に分離部材の突き出し量を調整できる。
【0078】
〔態様2〕
態様1に係る給送装置において、二つの挟持部材の少なくとも一方は、挟持対象に接触する周面が回動可能な挟持固定ローラ81及び挟持移動ローラ82等のローラ部材であることを特徴とするものである。
これによれば、シート材挟持手段でシート材を挟んだ状態のままシート材を抜き出したときに、ローラ部材からなる挟持部材が回転するため、抜き出す動作による挟持部材とシート材との摺擦を防止でき、摺擦に起因してシート材に摺擦傷が生じることを防止できる。
【0079】
〔態様3〕
一枚または複数枚の広告セットPS等のシート材を厚み方向に複数部重ねた広告セット束等のシート材積層物を収容する広告積載部15等の収容部と、収容部内のシート材積層物からシート材を一部ずつ給送する広告給紙機構16等の給送手段と、収容部から給送されるシート材が通過する給紙通過開口部251等の給送通過経路に突き出して給送手段によって給送される一部のシート材と他のシート材との分離を促す分離爪70等の分離部材とを備え、給送通過経路での分離部材の突き出し量が変更可能な広告給紙部11等の給送装置において、シート材の厚み情報を取得する厚みセンサ等の厚み情報取得手段と、厚み情報取得手段が取得した厚み情報に基づいて分離部材の前記突き出し量を制御する分離突き出し量制御手段(駆動源とその制御手段との組合せ等)と、を備えることを特徴とするものである。
これによれば、給送予定のシート材の厚み情報を厚み情報取得手段で取得するだけで、広告セットPSの1セット分の厚さ等の給送単位のシート材の厚さに応じた分離部材の突き出し量を調整することが可能となり、従来よりも容易に分離部材の突き出し量を調整できる。
【0080】
〔態様4〕
態様1乃至3の何れかに係る給紙装置において、収容部は、シート材が縦置きの状態となるように収容したときに、最も給送手段の側に位置する給紙対象広告セットPS1等の最先シート材の表面に接触して最先シート材を支持する前面板25等の最先シート支持板と、収容するシート材積層物を最先シート支持板に向けて搬送する上流側搬送ベルト261及び下流側搬送ベルト262等の収容部内搬送手段とを備え、給送手段は、最先シート支持板の下方に形成された給紙通過開口部251等の支持板開口部から最先シート材の最先シート支持板に接触する側の表面(給紙対象広告セットPS1の裏面等)に吸着し、最先シート材を給送方向下流側に移動させる吸着パッド102等の吸着パッドを備え、分離部材は、給送通過経路を構成する支持板開口部での突き出し量が変更可能であることを特徴とするものである。
これによれば、吸着パッドに吸着されて支持板開口部を通過しようとする最先シート材に分離部材が接触して最先シート材と他のシート材との分離を促す構成で、分離部材の支持板開口部での突き出し量の調整が容易となる。なお、上述した実施形態では支持板開口部の下端から上方から突き出した分離部材の突き出し量を調整する構成であったが、分離部材としては支持板開口部の下端から上方に突き出すものに限らず、支持板開口部の側端から内側に向けて突き出すものでもよい。
【0081】
〔態様5〕
折り畳まれた新聞等の第一シート材に広告セットPS等の第二シート材を挟んだ中入済新聞等の中入済シート材を形成するインサーター1等の中入装置において、第一シート材を給送する第一給送手段と、第二シート材を給送する第二給送手段との少なくとも一方として、態様1乃至4の何れかに係る給送装置を用いることを特徴とするものである。
これによれば、中入装置の給送手段が備える分離部材の突き出し量の調整が容易となる。
【0082】
〔態様6〕
複数の給送部のそれぞれから給送されるシート材を重ねてシート束を形成する丁合装置において、給送部の少なくとも一つとして、態様1乃至4の何れかの態様に係る給送装置を用いることを特徴とするものである。
これによれば、中丁合装置の給送部が備える分離部材の突き出し量の調整が容易となる。
【符号の説明】
【0083】
1 :インサーター
10 :新聞給紙部
11 :広告給紙部
14 :新聞積載部
15 :広告積載部
16 :広告給紙機構
17 :新聞搬送部
18 :新聞開き部
19 :広告挿入部
25 :前面板
26 :積載台
41 :操作部
42 :新聞給紙機構
45 :分離爪調整ツマミ
46 :挟持動作出力ギヤ
50 :受付部
51 :表示部制御
70 :分離爪
71 :分離爪支持部材
72 :傾斜部材
73 :分離爪押上スライド部材
73a :傾斜支持部
73b :分離押上スライドラック部
74 :分離爪調整出力ギヤ
75 :分離爪調整用伝達軸
80 :広告セット挟持部
81 :挟持固定ローラ
81a :挟持固定ローラ回転軸
82 :挟持移動ローラ
82a :挟持移動ローラ回転軸
83 :固定ローラ支持部材
84 :移動ローラ支持スライド部材
84a :移動ローラ支持ラック部
85 :スライド部材支持ピン
86 :挟持動作伝達ギヤ
86a :大径ギヤ部
86b :小径ギヤ部
87 :動作伝達ギヤ軸
90 :分離爪高さ調整機構
95 :広告先端センサ
100 :中入システム
102 :吸着パッド
102a :吸着支持部材
103 :分離突き出し部材
103a :分離突き出しローラ
104 :分離板
105 :給紙駆動ローラ
106 :給紙従動ローラ
110 :筐体右側壁部
110a :右壁正面板
110b :右壁側面板
111 :移動ローラ通過窓
251 :給紙通過開口部
PS :広告セット
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