(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138059
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】噴射装置
(51)【国際特許分類】
B05B 1/26 20060101AFI20230922BHJP
B05B 1/34 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B05B1/26 A
B05B1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044551
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】中川 篤
(72)【発明者】
【氏名】高田 智成
(72)【発明者】
【氏名】内山 直樹
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033AA04
4F033BA01
4F033DA01
4F033EA01
4F033JA03
4F033JA06
4F033KA00
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】噴流を適切に発振する噴射装置を提供する。
【解決手段】噴射装置は、気体が流れる上流管と、前記上流管の、前記上流管における前記気体の流れ方向における下流側に、入口部を介して接続されて、前記流れ方向の下流側に向かうに従った広がり角が前記上流管よりも広い中空体と、を有し、前記中空体には、前記流れ方向において前記入口部よりも下流側であって、前記流れ方向から見て前記入口部と重なる位置にあり、前記入口部よりも大きい出口部と、前記流れ方向において前記入口部と前記出口部との間であって、前記流れ方向を軸方向とした場合の、前記入口部よりも径方向外側にある開口部と、が形成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が流れる上流管と、
前記上流管の、前記上流管における前記気体の流れ方向における下流側に、入口部を介して接続されて、前記流れ方向の下流側に向かうに従った広がり角が前記上流管よりも広い中空体と、を有し、
前記中空体には、
前記流れ方向において前記入口部よりも下流側であって、前記流れ方向から見て前記入口部と重なる位置にあり、前記入口部よりも大きい出口部と、
前記流れ方向において前記入口部と前記出口部との間であって、前記流れ方向を軸方向とした場合の、前記入口部よりも径方向外側にある開口部と、
が形成されている、
噴射装置。
【請求項2】
前記中空体内の前記開口部が形成されている位置の、前記径方向外側には、空間が形成されている、請求項1に記載の噴射装置。
【請求項3】
前記中空体は、
前記入口部が形成された位置から径方向外側及び前記流れ方向の下流側に向けて延在して、前記開口部が形成される側面部と、
前記側面部の前記下流側の端部に設けられて、前記出口部が形成される底面部と、を有する、請求項2に記載の噴射装置。
【請求項4】
前記中空体内の、前記開口部が形成されている位置の、前記流れ方向における下流側に、遮蔽壁を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の噴射装置。
【請求項5】
前記中空体の、前記出口部が形成される底面部の外側の表面の、前記出口部の径方向外側には、前記流れ方向に突出するガイド部が設けられている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の噴射装置。
【請求項6】
前記ガイド部は、前記流れ方向の下流側における端面がステップ形状である、請求項5に記載の噴射装置。
【請求項7】
前記ガイド部は、前記径方向外側に向かうに従って、前記端面が前記流れ方向のより下流側に位置するように、形成されている、請求項6に記載の噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
噴流を発振させるためのノズル構造が知られている。例えば、特許文献1には、ノズル部分にキャビティを形成し、このキャビティ内に発生する流体の乱れを利用して、流れに高周波の変動を与える技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば超音速の圧縮性気体を噴射する場合など、噴流を適切に発振させるには、改善の余地がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、噴流を適切に発振することができる噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る噴射装置は、気体が流れる上流管と、前記上流管の、前記上流管における前記気体の流れ方向における下流側に、入口部を介して接続されて、前記流れ方向の下流側に向かうに従った広がり角が前記上流管よりも広い中空体と、を有し、前記中空体には、前記流れ方向において前記入口部よりも下流側であって、前記流れ方向から見て前記入口部と重なる位置にあり、前記入口部よりも大きい出口部と、前記流れ方向において前記入口部と前記出口部との間であって、前記流れ方向を軸方向とした場合の、前記入口部よりも径方向外側にある開口部と、が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、噴流を適切に発振することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、レーザガウジング装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の噴射装置の模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の噴射装置の断面を模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の噴射装置の気体の流れを模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の噴射装置を模式的に示す側面図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態の噴射装置を模式的に示す側面図である。
【
図7】
図7は、第4実施形態の噴射装置を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る噴射装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態により、この発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組合わせて構成するものも含むものである。
【0010】
[第1実施形態]
(レーザガウジング装置)
図1は、レーザガウジング装置を模式的に示した斜視図である。
図1に示すように、レーザガウジング装置10は、ラインレーザ光学ヘッド12と、噴射装置14と、回収設備ダクト16とを有する。なお、噴射装置14は、本例ではレーザガウジング装置10においてアシストガスを噴射する用途で用いられるが、使用用途は、レーザガウジング装置に限定されず、任意の用途に用いてもよい。
【0011】
ラインレーザ光学ヘッド12は、金属製の被加工部材Wの表面Waにレーザ光Lを照射することで、この被加工部材Wの表面Waに付着した付着物Wcを溶融させるものである。噴射装置14は、ラインレーザ光学ヘッド12からのレーザ光照射位置Laに向けて、被加工部材Wの表面Waに沿うY方向に奥行き(幅D)を有した圧縮性気体(以下、気体)Gを超音速で噴射するものである。そのため、ラインレーザ光学ヘッド12が被加工部材Wの表面Waに平行なA方向に所定速度で移動するとき、噴射装置14もラインレーザ光学ヘッド12と同様に、被加工部材Wの表面Waに平行なBに所定速度で移動する。すると、被加工部材Wは、表面Waにラインレーザ光学ヘッド12及び噴射装置14に沿って加工面Wbが形成され、噴射装置14から噴射される気体Gにより発生した溶融金属Wdが吹き飛ばされて除去される。気体Gは、気体供給ホースHから供給される。
【0012】
(噴射装置)
ここで、第1実施形態の噴射装置について、
図2から
図4を用いて、詳細に説明する。
図2は、第1実施形態の噴射装置の模式的な断面図である。
図3は、第1実施形態の噴射装置の断面を模式的に示す斜視図である。
図4は、第1実施形態の噴射装置の気体の流れを模式的に示す図である。
【0013】
図2及び
図3に示すように、噴射装置14は、上流管22と、中空体24と、ガイド部36とを備える。気体Gは、上流管22から中空体24内を経て、ガイド部36を通過するように流れる。ここで、上流管22内において気体Gが流れる方向を、流れ方向Fdとする。流れ方向Fdは、後述する入口部23における気体Gの流れ方向であり、入口部23の中心軸方向において、上流管22側から中空体24側に向かう方向といえる。また、流れ方向Fdに直交する一方向をX方向とし、直交する他の一方向をY方向とする。
【0014】
(上流管)
上流管22は、例えばラバールノズルであり、絞り部22aと、開放部22bと、入口部23とから構成される。絞り部22aは、流れ方向Fdに向かうに従って、流路(断面積)が狭くなっている。開放部22bは、絞り部22aに対して流れ方向Fd側に接続され、流れ方向Fdに向かうに従って、流路(断面積)が広くなっている。入口部23は、上流管22と中空体24とを接続する開口であり、上流管22の流れ方向Fd側の端部(
図2の例では開放部22bの流れ方向Fd側の端部)に、形成される。なお、上流管22は、ラバールノズルに限定されず、任意の形状の管であってよく、超音速の気体を形成できる形状の管であることが好ましい。
【0015】
入口部23は、上流管22内の気体Gが、中空体24に流入するための開口であり、上流管22と中空体24とを接続する開口といえる。上流管22を流れる気体Gは、流れ方向Fdに沿って入口部23を通って、中空体24に流入する。
【0016】
(中空体)
中空体24は、内部に空間32(キャビティ)が形成される部材である。中空体24は、上流管22の流れ方向Fd側に、入口部23を介して接続される。すなわち、入口部23を介して、上流管22と空間32とが接続されている。中空体24は、流れ方向Fd側に向かうに従った広がり角θが、上流管22の流れ方向Fd側に向かうに従った広がり角よりも広くなるような形状となっている。言い換えれば、流れ方向Fdから見た場合の空間32の断面積は、入口部23と重なる位置から、流れ方向Fdに向かうに従って大きくなっているといえる。そして、入口部23と重なる位置からの空間32の断面積が大きくなる度合いは、流れ方向Fdから見た場合の上流管22の断面積の、流れ方向Fdに向かうに従って大きくなる度合いよりも、大きいといえる。
【0017】
なお、広がり角θは、Y方向から見た場合において、中空体24の内周面の、入口部23から流れ方向Fd側に向けた傾斜角度を指す。さらに言えば、
図2の例では、Y方向から見た場合に、後述するX方向に対向する側面部26の、入口部23から流れ方向Fd側に向かう接線を、接線LIとする。この場合、対向する側面部26の接線LI同士のなす角が、広がり角θといえる。広がり角θは、気体が管から放出されて管の先端から下流方向に広がる角度、例えば、20°よりも大きいことが好ましい。これにより、後述するように、気体G(主流G1)の主流の混合領域G2を形成できる。
【0018】
本実施形態では、中空体24は、側面部26と、底面部28とを有し、側面部26と底面部28によって囲まれた空間が空間32となっている。側面部26は、中空体24の入口部23が形成された位置から、径方向外側及び流れ方向Fd側に向けて延在する部材であり、流れ方向Fdにおいて空間32の径方向外側を覆う。ここでの径方向とは、入口部23の中心軸を軸方向とした場合の、径方向を指す。
図2の例では、側面部26は、入口部23に対してX1方向側(X方向の一方側)と、入口部23に対してX2方向側(X方向の他方側)とに設けられている。X1方向側の側面部26は、流れ方向Fdに向かうに従って、流れ方向Fdに対してX1方向側に傾斜している(X1方向側に広がっている)。X2方向側の側面部26は、流れ方向Fdに向かうに従って、流れ方向Fdに対してX2方向側に傾斜している(X2方向側に広がっている)。底面部28は、側面部26の、流れ方向Fdの端部に接続されて、空間32の流れ方向Fd側を覆う。底面部28は、一方の側面部26の流れ方向Fd側の端部から他方の側面部26の流れ方向Fd側の端部まで延在している。なお、
図2では、説明の便宜上、Y方向に空間32が開放された図となっているが、実際には、中空体24は、空間32のY方向とY方向の反対側とにも、空間32のY方向とY方向の反対側とを覆う部材を有している。
【0019】
本実施形態では、中空体24は、Y方向に奥行きをもった部材であり、Y方向から見て三角形状である。また、中空体24は、
図3に示すように、奥行方向であるY方向に均一な形状であることが好ましい。ただし、中空体24の形状は、Y方向から見て三角形状に限定されず、Y方向に均一な形状であることにも限られず、任意の形状であってよい。中空体24は、例えば、Y方向から見て四角形状や円形状であってよく、非対称であってもよい。ここで、中空体24の形状が四角形状の場合には、上面と側面とを含んだ面を側面部とし、下面を底面部としてよい。また、中空体24の形状が円形状の場合には、円弧状の側方側の領域(樽状の場合には、上面と円弧状の側面とを含んだ領域)を側面部とし、下側の領域を底面部としてよい。
【0020】
(出口部)
中空体24には、空間32と空間32の外側とを連通する開口である出口部30が形成されている。本実施形態では、出口部30は、底面部28に形成される。出口部30は、入口部23よりも流れ方向Fd側に形成されており、流れ方向Fdから見た場合に、入口部23と重なる位置に形成される。また、出口部30は、入口部23よりも面積が大きくなっている。さらに言えば、流れ方向Fdから見た場合に、出口部30は、入口部23が出口部30からはみ出さないように、言い換えれば、入口部23の全域が出口部30と重なるように、形成されている。また、出口部30は、底面部28における気体Gの想定接触面積よりも、狭く形成されている。想定接触面積とは、入口部23から流入した流れ方向Fdに流れる気体Gが、20°の広がり角θで径方向外側に広がって底面部28に到達したと想定した際の、気体Gと底面部28との接触面積を指す。言い換えれば、ここでの想定接触面積とは、入口部23の面積を径方向外側に20°広げつつ底面部28に投影した場合の投影面積ともいえる。出口部30は、その大きさによって、中空体24内に形成される気体Gの流れを調整できる。
【0021】
なお、本実施形態では、出口部30は、流れ方向Fd側から見て、空間32の中央近傍に形成されている。したがって、出口部30の径方向外側(X方向の両側)には後述の循環渦Vが発生する空間が形成されているといえる。言い換えれば、空間32のうちで、出口部30の径方向外側の部分が、後述の循環渦Vが発生する空間であるといえる。
【0022】
(開口部)
中空体24には、空間32と空間32の外側とを連通する開口である開口部34が形成されている。開口部34は、流れ方向Fdにおいて入口部23と出口部30との間であって、入口部23よりも径方向外側に位置している。
図2の例では、開口部34は、Y方向から見て、入口部23のX1方向側とX2方向側とに形成されている。さらに言えば、本実施形態では、開口部34は、X1方向側の側面部26とX2方向側の側面部26とに形成されており、
図3に示すようにY方向に延びて形成される。開口部34は、気体G(循環渦V)の流れの妨げにならない入口部23側に形成されることが好ましい。開口部34の大きさは、例えば、中空体24の側面部26に対して、50%未満であることが望ましい。なお、開口部34は、Y方向から見てX1方向側とX2方向側とのうちの片側だけに形成されていてもよい。
【0023】
(ガイド部)
ガイド部36は、中空体24の空間32外において、出口部30の径方向外側に設けられる部材である。ガイド部36は、底面部28の空間32外側の表面28aの、出口部30の径方向外側の位置に設けられている。ガイド部36は、表面28aから、流れ方向Fdに突出するものである。なお、ガイド部36は、例えば、出口部30から流出する気体Gの広がる方向に(
図3の例ではX方向側に)設けられることが好ましい。すなわち、
図2の例では、ガイド部36は、出口部30のX1方向側とX2方向側とに設けられる。
図3の例では、ガイド部36は、Y方向から見て直方体であるが、ガイド部36の形状は、任意であってよい。なお、ガイド部36のX方向における長さ(幅)は例えば、出口部30のX方向における長さ(幅)の0.5倍以上であることが望ましい。
【0024】
(気体Gの流れ)
以下、
図4を用いて、中空体24に流入される気体Gの流れについて説明する。
図4に示すように、気体Gは、上流管22から、入口部23を通って、中空体24の空間32に流入する。ここで、空間32内に流入した気体Gは、流れ方向Fdに向かいつつ広がるが、気体Gの広がり角よりも、中空体24の内周面の広がり角θの方が広い。したがって、気体Gは、主流の混合領域G2として、広がりつつも、中空体24内で中空体24の内周面よりも内側を流れ方向Fdに流れる。そして、底面部28に到達した主流の混合領域G2の一部は、底面部28に衝突し、出口部30の径方向外側の空間内において、底面部28から側面部26に沿って上流側に戻る循環渦Vを形成する。循環渦Vと主流の混合領域G2とで速度が異なるので、循環渦Vと主流の混合領域G2との間(速度せん断層)には、乱れ渦V1が形成される。しかる後、出口部30付近には、主流の混合領域G2と、乱れ渦V1とが混合した噴流G3が形成されて、噴流G3が、出口部30から中空体24の外に流出する。噴流G3は、ガイド部36にガイドされつつ、出口部30を通って空間32の外部に噴出され、被加工部材Wの表面Waに衝突する。さらに、中空体24には開口部34が形成されているので、開口部34から空間32内に気体Gが流入出することで、中空体24内の圧力Pを回復させて、循環渦Vを適切に形成できる。
【0025】
このように、第1実施形態においては、循環渦Vを形成し、循環渦Vと主流の混合領域G2との間に形成された乱れ渦V1により、噴流G3に、適切に振幅(時間ごとの圧力振幅)を付与できる。さらに、開口部34により、中空体24内の圧力Pを回復させて、循環渦Vを適切に形成できる。従って、本実施形態によると、噴流を適切に発振することができる。
【0026】
さらに言えば、ガイド部36は、ガイド部36の端面36aの下流に剥離渦V2を形成する。剥離渦V2は、噴流G3がガイド部36から放出された際に形成される。剥離渦V2は、中空体24内の気体Gの流れが変動しているため、非対称に形成される。剥離渦V2によって、噴流G3が擾乱して振れることで、噴流G3にさらに好適に振幅を付与することができる。
【0027】
また、第1実施形態の噴射装置は、気体供給ホースHから上流管22へ供給される気体Gを、流れ方向Fdに向かって、中空体24及びガイド部36間を通過させて、噴射する。この時、ガイド部36を流れた気体Gは、上流管22に超音速の気体を形成できる管を用いることで、上流管22の絞り部22aの通過時に音速に加速され、速度を均一化することができる。そして、開放部22bで超音速に加速されることとなる。すると、中空体24に流れる気体Gの流速が上昇し、気体Gの流体力分布の発生を抑制できる。
【0028】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の噴射装置を模式的に示す側面図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0029】
図5において、噴射装置14は、上流管22と、中空体24と、ガイド部40とを備える。上流管22と、中空体24は第1実施形態と同様であるから、説明は省略する。
【0030】
ガイド部40は、その端面40aがステップ形状となっている。端面40aは、ガイド部40の流れ方向Fd側の端面である。端面40aは、径方向外側に向かうに従って、端面40aが流れ方向Fdのより下流側に位置するように、ステップ状(段状)に形成されている。より詳しくは、
図5の例では、出口部30のX1方向側のガイド部40の端面40aは、X1方向側に向かうに従って、流れ方向Fdのより下流側に位置するように、ステップ状に形成されている。同様に、出口部30のX2方向側のガイド部40の端面40aは、X2方向側に向かうに従って、流れ方向Fdのより下流側に位置するように、ステップ状に形成されている。
【0031】
剥離渦V2は、端面40aのステップの数及び大きさに応じて発生する。したがって、端面40aのステップの数及び大きさを適宜調整することで、剥離渦V2の発生数や大きさ、周波数を調整することができる。すなわち、端面40aのステップ数が細かくて多いほど、小さなサイズの剥離渦V2を発生させることで、周波数を高くすることができる。一方、ステップ数が大きくて少ないほど、大きなサイズの剥離渦V2を発生させることで、周波数を低くすることができる。また、端面40aのステップを不揃いにすることで、できる剥離渦V2の大きさが変わり、周波数に範囲を持たせることもできる。すなわち、剥離渦V2のサイズは、噴流G3(主流G1)の周波数に影響するので、噴流G3(主流G1)の周波数を調整することができる。
【0032】
第2実施形態の噴射装置では、ガイド部40にステップ形状を形成している。これにより、剥離渦V2の周波数や発生するサイズを調整することができるので、被加工部材Wに衝突する噴流G3(主流G1)の周波数をも調整でき、被加工部材Wに適した加工ができる。
【0033】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態の噴射装置を模式的に示す側面図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0034】
図6において、噴射装置14は、上流管22と、中空体24と、ガイド部36と、遮蔽壁50とを備える。上流管22と、中空体24と、ガイド部36は第1実施形態と同様であるから、説明は省略する。
【0035】
遮蔽壁50は、中空体24内(空間32)に設けられる。遮蔽壁50は、中空体24内の開口部34が形成されている位置の、流れ方向Fdにおける下流側に設けられる。遮蔽壁50は、循環渦Vと開口部34との間に位置することになるため、循環渦Vを開口部34から漏れることなく空間32内に形成できる。なお、遮蔽壁50は、流れ方向Fdから見て入口部23と重ならないように、入口部23よりも径方向外側に位置するように設けられることが好ましい。これにより、主流の混合領域G2が遮蔽壁50に遮られることを抑制できる。
【0036】
第3実施形態の噴射装置では、中空体24に遮蔽壁50を設けている。これにより、循環渦Vを開口部34から漏れることなく空間32内に形成できる。
【0037】
[第4実施形態]
図7は、第4実施形態の噴射装置を模式的に示す側面図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0038】
図7において、噴射装置14は、上流管22と、中空体24と、ガイド部36と、を備える。上流管22と、ガイド部36は第1実施形態と同様であるから、説明は省略する。
【0039】
中空体24は、上流管22の気体Gの流れ方向Fdにおける下流側に、入口部23を介して接続する。中空体24は、側面部26と、底面部28とから構成される。中空体24は、空洞で、上流側に広がり角θ、内部に空間32、Y方向に奥行きを有する。
【0040】
側面部26は、流れ方向Fdを軸方向とした場合、入口部23よりも径方向外側に位置する。側面部26には、開口部60が形成される。上述した実施形態における開口部34は、一律にY方向に連続して形成されていたが、本実施形態における開口部60は、一律にY方向に連続して形成されていない点が異なる。
【0041】
開口部60は、矩形状の穴が間欠的に形成される。開口部60は、中空体24内の気体G(循環渦V)の流れの妨げにならない入口部23側に形成されることが好ましい。開口部60は、間欠的に形成され、具体的には、交互形成、正方配列形成、一か所に集中的に形成等であってよい。また、開口部60の形状は、矩形状に限らず、多角形や丸形状であってよい。すなわち、開口部60は、側面部26の、中空体24内の気体G(循環渦V)の流れの妨げにならない、箇所に形成されていればよい。
【0042】
第4実施形態の噴射装置では、開口部60がY方向に一律に連続せずに形成される。したがって、開口部60は、連続して形成されていないため、開口部60からの気体Gの大規模な流出を低減することができる。
【0043】
(効果)
本開示の噴射装置14は、気体Gが流れる上流管22と、上流管22の、上流管22における気体Gの流れ方向Fdにおける下流側に、入口部23を介して接続されて、流れ方向Fdの下流側に向かうに従って、広がり角θが上流管22よりも広い中空体24と、を有し、中空体24には、流れ方向Fdにおいて入口部23よりも下流側であって、流れ方向Fdから見て入口部23と重なる位置にあり、入口部23よりも大きい出口部30と、
流れ方向Fdにおいて入口部23と出口部30との間であって、流れ方向Fdを軸方向とした場合の、入口部23よりも径方向外側にある開口部34と、が形成されている。したがって、中空体24内に気体Gの流れを形成することができ、開口部34により、中空体24内の圧力Pを回復させることができる。
【0044】
本開示の噴射装置14は、中空体24内の開口部34が形成されている位置の、径方向外側には、空間32が形成されている。したがって、中空体24内に、循環渦Vを形成することができ、速度せん断層に乱れ渦V1を形成することができる。これにより、主流G1と乱れ渦V1との噴流G3によって振動を発生させることができる。
【0045】
本開示の噴射装置14の中空体24は、入口部23が形成された位置から径方向外側及び流れ方向Fdの下流側に向けて延在して、開口部34が形成される側面部26と、側面部26の下流側の端部に設けられて、出口部30が形成される底面部28と、を有する。したがって、速度せん断層に発生した乱れ渦V1を下流側へ送ることができる。
【0046】
本開示の噴射装置14の中空体24は、中空体24内の、開口部34が形成されている位置の、流れ方向Fdにおける下流側に、遮蔽壁50を有する。したがって、中空体24内に形成された気体Gの流れを大規模に流出することなく空間32内に形成できる。
【0047】
本開示の噴射装置14の中空体24の、出口部30が形成される底面部28の外側の表面28aの、出口部30の径方向外側には、流れ方向Fdに突出するガイド部36が設けられている。したがって、ガイド部36の下流に剥離渦V2を形成することができ、この剥離渦V2によって、噴流G3が擾乱して振れることで、噴流G3にさらに好適に振幅を付与することができる。
【0048】
本開示の噴射装置14のガイド部40は、径方向外側に向かうに従って、端面40aが流れ方向Fdのより下流側に位置するように、形成されている。したがって、剥離渦V2のサイズを調整することができ、被加工部材Wに衝突する噴流G3(主流G1)の周波数をも調整でき、被加工部材Wに適した加工ができる。
【0049】
本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0050】
14 噴射装置
22 上流管
23 入口部
24 中空体
26 側面部
28 底面部
28a 表面
30 出口部
32 空間
34、60 開口部
36、40 ガイド部
36a、40a 端面
50 遮蔽壁
Fd 流れ方向
G 気体
θ 広がり角