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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138066
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6474 20110101AFI20230922BHJP
   H01R 12/91 20110101ALN20230922BHJP
【FI】
H01R13/6474
H01R12/91
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044558
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寶槻 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】塩田 英生
(72)【発明者】
【氏名】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大熊 誉仁
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FA20
5E021FB02
5E021FC23
5E223AB60
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB31
5E223CB38
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB11
(57)【要約】
【課題】ハウジングが隔壁を有するコネクタにおいて、端子のうち隔壁に近接する部分のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制する
【解決手段】コネクタ100のハウジング10,20は、隣り合う端子30の間に位置する隔壁21を有する。そして、隔壁21は、一方対向面24a1と、他方対向面24a1と、を有する。更に、隔壁21は、一方対向面24a1と他方対向面24a1との間に形成され、隣り合う端子30の間に位置する空隙部25を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子と、
ハウジングと、を備えるコネクタであって、
前記ハウジングは、隣り合う前記端子の間に位置する隔壁を有し、
前記隔壁は、
前記隣り合う端子のうち一方に対向する一方対向面と、
前記隣り合う端子のうち他方に対向する他方対向面と、
前記一方対向面と前記他方対向面との間に形成される空隙部と、を有する、
コネクタ。
【請求項2】
前記端子は、被制限部を有し、
前記一方対向面は、前記隣り合う被制限部のうち一方が他方に近づく方向に移動することを制限する一方制限面を有し、
前記他方対向面は、前記隣り合う被制限部のうち他方が一方に近づく方向に移動することを制限する他方制限面を有し、
前記被制限部は、接続対象物に接触する接触部である、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記接触部は、
第一接触部と、
前記第一接触部よりも前記接続対象物の接続方向の奥側に位置する第二接触部と、を有し、
前記空隙部は、隣り合う前記第一接触部の間に位置すると共に、隣り合う前記第二接触部の間に位置する、
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記空隙部のうち、前記隣り合う第一接触部の間に位置する部分と、前記隣り合う第二接触部の間に位置する部分とは前記接続方向で連結されている、
請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記複数の端子の各々は、前記接触部を弾性的に支持する弾性支持部を有し、
前記隔壁は、隣り合う前記弾性支持部の間に介在するように構成される、
請求項2~請求項4の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記隔壁は、
前記隣り合う弾性支持部のうち一方の側を向く面であって、前記隣り合う弾性支持部が隣り合う方向で前記一方制限面よりも前記一方の弾性支持部から離れる位置に形成される一方離間面と、
前記隣り合う弾性支持部のうち他方の側を向く面であって、前記隣り合う弾性支持部が隣り合う方向で、前記他方制限面よりも前記他方の弾性支持部から離れる位置に形成される他方離間面と、の何れか一方又は両方を有する、
請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記隔壁が有する前記一方離間面又は前記他方離間面は、
前記一方制限面又は前記他方制限面の位置から、前記接触部が前記接続対象物に接触する接触方向とは反対方向にズレた位置に形成される手前側離間面を有する、
請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記隔壁が有する前記一方離間面又は前記他方離間面は、
前記一方制限面又は前記他方制限面の位置から、前記接続対象物の接続方向の奥側にズレた位置に形成される第一奥側離間面を有する、
請求項6又は請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記隔壁が有する前記一方離間面又は前記他方離間面は、
前記一方制限面又は前記他方制限面の位置から、前記接触部が前記接続対象物に接触する接触方向とは反対方向、かつ前記接続対象物の接続方向の奥側にズレた位置に形成される第二奥側離間面を有する、
請求項6~請求項8の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記接触部は、
第一接触部と、
前記第一接触部よりも前記接続対象物の接続方向の奥側に位置する第二接触部と、を有し、
前記複数の端子の各々は、前記接触部を弾性的に支持する弾性支持部を有し、
前記隔壁は、隣り合う前記弾性支持部の間に介在するように構成され、
前記隔壁は、
前記隣り合う弾性支持部のうち一方の側を向く面であって、前記隣り合う弾性支持部が隣り合う方向で前記一方制限面よりも前記一方の弾性支持部から離れる位置に形成される一方離間面と、
前記隣り合う弾性支持部のうち他方の側を向く面であって、前記隣り合う弾性支持部が隣り合う方向で、前記他方制限面よりも前記他方の弾性支持部から離れる位置に形成される他方離間面と、の何れか一方又は両方を有し、
前記隔壁が有する前記一方離間面又は前記他方離間面は、
前記一方制限面又は前記他方制限面の位置から、前記接触部が前記接続対象物に接触する接触方向とは反対方向にズレた位置に形成される手前側離間面と、
前記一方制限面又は前記他方制限面の位置から、前記接続対象物の接続方向の奥側にズレた位置に形成される第一奥側離間面と、
前記一方制限面又は前記他方制限面の位置から、前記接触部が前記接続対象物に接触する接触方向とは反対方向、かつ前記接続対象物の接続方向の奥側にズレた位置に形成される第二奥側離間面と、を有する、
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記端子は、第一接触子と、第二接触子と、を有し、
前記第一接触子は、第一接触部と、前記第一接触部を弾性支持する第一弾性支持部と、を有し、
前記第二接触子は、前記第一接触部よりも接続対象物の接続方向の奥側に位置する第二接触部と、前記第二接触部を弾性支持する第二弾性支持部と、を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のコネクタは、複数の端子と、ハウジングと、を備えている。複数の端子の各々は、接続対象物に接触する接触部を有している。そして、ハウジングは、隣り合う接触部同士の間に配置された隔壁を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-76215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなコネクタでは、隔壁は、ハウジングの材料である誘電体で形成される。このため、隔壁の近傍に配置された接触部のインピーダンスが過剰に低下してしまうことがある。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、ハウジングが隔壁を有するコネクタにおいて、端子のうち隔壁に近接する部分のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係るコネクタは、複数の端子と、ハウジングと、を備えるコネクタであって、前記ハウジングは、隣り合う前記端子の間に位置する隔壁を有し、前記隔壁は、前記隣り合う端子のうち一方に対向する一方対向面と、前記隣り合う端子のうち他方に対向する他方対向面と、前記一方対向面と前記他方対向面との間に形成される空隙部と、を有する、コネクタである。
【0007】
本態様では、コネクタは、複数の端子と、ハウジングと、を備える。
【0008】
ハウジングは、隣り合う端子の間に位置する隔壁を有する。そして、隔壁は、一方対向面と、他方対向面と、を有する。一方対向面は、隣り合う端子のうち一方に対向する面であり、他方対向面は、隣り合う端子のうち他方に対向する面である。
【0009】
更に、隔壁は、一方対向面と他方対向面との間に形成される空隙部を有する。
このため、このような空隙部が形成されない態様と比較して、端子のうち空隙部に対応する部分付近のインピーダンスが上がる。その結果、端子のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制することができる。
【0010】
なお、後述の実施形態では、「複数の端子」が、コネクタが備える全ての端子である例を説明する。しかし、本態様の「複数の端子」はこれに限定されない。本態様の「複数の端子」は、コネクタが備える多数の端子のうち2つの端子であってもよいし、3つの端子であってもよい。換言すると、本態様のコネクタは、本態様の「複数の端子」以外の端子を備えていてもよい。
また、後述の実施形態では、「複数の端子」が、互いに同一の構造である例を説明する。しかし、本態様の「複数の端子」はこれに限定されない。
また、後述の実施形態では、空隙部が、端子配列方向に垂直な方向に開放されている例を説明する。しかし、本態様の空隙部はこれに限定されず、例えば、何れの方向にも開放されていなくてもよい。
また、後述の実施形態では、「ハウジング」が、固定ハウジングと可動ハウジングとを備える例を説明する。しかし、本態様の「ハウジング」はこれに限定されず、固定ハウジングのみから構成されてもよい。つまり、コネクタは、いわゆるフローティングコネクタでなくてもよい。
また、後述の実施形態では、空隙部に、空気が配置されている例を説明する。しかし、本態様の空隙部は、これに限定されず、例えばハウジングよりも誘電率が低い部材が配置されていてもよい。
また、後述の実施形態では、空隙部が、隣り合う端子の間に位置する例(隣り合う端子に挟まれる位置に空隙部が位置する例)を説明するが、本態様はこれに限定されない。なぜなら、空隙部が隣り合う端子の間に位置するとはいえない態様(隣り合う端子が互いに異なる形状である態様を含む。)でも、空隙部はインピーダンスを調整する効果を奏するからである。
【0011】
第2の態様に係るコネクタは、第1の態様において、前記端子は、被制限部を有し、前記一方対向面は、前記隣り合う被制限部のうち一方が他方に近づく方向に移動することを制限する一方制限面を有し、前記他方対向面は、前記隣り合う被制限部のうち他方が一方に近づく方向に移動することを制限する他方制限面を有し、前記被制限部は、接続対象物に接触する接触部である。
【0012】
本態様では、端子は、被制限部を有する。一方対向面は、隣り合う被制限部のうち一方が他方に近づく方向に移動することを制限する一方制限面を有し、他方対向面は、隣り合う被制限部のうち他方が一方に近づく方向に移動することを制限する他方制限面を有する。
このため、端子の一部(被制限部)が所定の位置からズレた位置に配置されることが抑制される。なお、被制限部とは、隔壁の一方制限面又は他方制限面によって、上述の方向に移動することが制限される部分という程度の意味である。
【0013】
また、被制限部は、接続対象物に接触する接触部である。
このため、接触部が所定の位置からズレた位置に配置されることが抑制される。
【0014】
なお、後述の実施形態では、空隙部が、隣り合う被制限部(接触部)の間に位置する例を説明するが、本態様はこれに限定されない。但し、被制限部は隔壁の近傍に配置されるのでインピーダンスが過剰に低下してしまいやすい。したがって、空隙部は、隣り合う被制限部(接触部)の間に位置することが好ましい。
また、後述の実施形態では、端子が複数の被制限部(第一接触部及び第二接触部)を有する例を説明するが、本態様はこれに限定されない。
【0015】
第3の態様に係るコネクタは、第2の態様において、前記接触部は、第一接触部と、前記第一接触部よりも前記接続対象物の接続方向の奥側に位置する第二接触部と、を有し、前記空隙部は、隣り合う前記第一接触部の間に位置すると共に、隣り合う前記第二接触部の間に位置する。
【0016】
本態様では、接触部は、第一接触部と、第一接触部よりも接続対象物の接続方向の奥側に位置する第二接触部と、を有する。
ここで、空隙部は、隣り合う第一接触部の間に位置すると共に、隣り合う第二接触部の間に位置する。
このため、第一接触部及び第二接触部が所定の位置からズレた位置に配置されることが抑制されると共に、第一接触部及び第二接触部のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制することができる。
【0017】
第4の態様に係るコネクタは、第3の態様において、前記空隙部のうち、前記隣り合う第一接触部の間に位置する部分と、前記隣り合う第二接触部の間に位置する部分とは前記接続方向で連結されている。
【0018】
本態様では、空隙部のうち、隣り合う第一接触部の間に位置する部分と、隣り合う第二接触部の間に位置する部分とは接続方向で連結されている。
このため、空隙部のうち、隣り合う第一接触部の間に位置する部分と、隣り合う第二接触部の間に位置する部分とが連結されていない態様と比較して、空隙部を容易に形成できる。
【0019】
第5の態様に係るコネクタは、第2~第4の何れかの態様において、前記複数の端子の各々は、前記接触部を弾性的に支持する弾性支持部を有し、前記隔壁は、隣り合う前記弾性支持部の間に介在するように構成される。
【0020】
本態様では、複数の端子の各々は、接触部を弾性的に支持する弾性支持部を有する。
ここで、隔壁は、隣り合う弾性支持部の間に介在するように構成される。
このため、隣り合う弾性支持部の間に隔壁が介在する部分において、隣り合う弾性支持部同士がメッキカスによって短絡してしまうことが防止される。
【0021】
後述の実施形態(第1変形例以外)では、隔壁が、隣り合う弾性支持部の全体の間に介在するように構成される例を説明するが、本態様の隔壁はこれに限定されない。例えば、第一変形例のように、本態様の隔壁は、隣り合う弾性支持部の一部の間に介在するように構成されてもよい。
【0022】
第6の態様に係るコネクタは、第5の態様において、前記隔壁は、前記隣り合う弾性支持部のうち一方の側を向く面であって、前記隣り合う弾性支持部が隣り合う方向で前記一方制限面よりも前記一方の弾性支持部から離れる位置に形成される一方離間面と、前記隣り合う弾性支持部のうち他方の側を向く面であって、前記隣り合う弾性支持部が隣り合う方向で、前記他方制限面よりも前記他方の弾性支持部から離れる位置に形成される他方離間面と、の何れか一方又は両方を有する。
【0023】
本態様では、隔壁は、一方離間面と他方離間面との何れか一方又は両方を有する。
一方離間面は、隣り合う弾性支持部のうち一方の側を向く面であって、隣接方向(隣り合う弾性支持部が隣り合う方向)で一方制限面よりも一方の弾性支持部から離れる位置に形成される面である。他方離間面は、隣り合う弾性支持部のうち他方の側を向く面であって、隣接方向で、他方制限面よりも他方の弾性支持部から離れる位置に形成される面である。
このため、隔壁が一方離間面と他方離間面との何れをも有しない態様と比較して、弾性支持部のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制できる。
【0024】
第7の態様に係るコネクタは、第6の態様において、前記隔壁が有する前記一方離間面又は前記他方離間面は、前記一方制限面又は前記他方制限面の位置から、前記接触部が前記接続対象物に接触する接触方向とは反対方向にズレた位置に形成される手前側離間面を有する。
【0025】
本態様では、隔壁が有する一方離間面又は他方離間面は、手前側離間面を有する。手前側離間面は、一方制限面又は他方制限面の位置から、接触方向(接触部が接続対象物に接触する方向)とは反対方向(以下「反接触方向」という。)にズレた位置に形成される面である。
このため、弾性支持部の一部が、接触部の位置から反接触方向にズレた位置に配置される場合において、弾性支持部の当該一部のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制できる。
【0026】
第8の態様に係るコネクタは、第6又は第7の態様において、前記隔壁が有する前記一方離間面又は前記他方離間面は、前記一方制限面又は前記他方制限面の位置から、前記接続対象物の接続方向の奥側にズレた位置に形成される第一奥側離間面を有する。
【0027】
本態様では、隔壁が有する一方離間面又は他方離間面は、第一奥側離間面を有する。第一奥側離間面は、一方制限面又は他方制限面の位置から、接続対象物の接続方向の奥側にズレた位置に形成される面である。
このため、弾性支持部の一部が、接触部の位置から接続方向の奥側にズレた位置に配置される場合において、弾性支持部の当該一部のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制できる。
【0028】
第9の態様に係るコネクタは、第6~第8の何れかの態様において、前記隔壁が有する前記一方離間面又は前記他方離間面は、前記一方制限面又は前記他方制限面の位置から、前記接触部が前記接続対象物に接触する接触方向とは反対方向、かつ前記接続対象物の接続方向の奥側にズレた位置に形成される第二奥側離間面を有する。
【0029】
本態様では、一方離間面又は他方離間面は、第二奥側離間面を有する。第二奥側離間面は、一方制限面又は他方制限面の位置から、反接触方向かつ接続方向の奥側にズレた位置に形成される面である。
このため、弾性支持部の一部が、接触部の位置から反接触方向かつ接続方向の奥側にズレた位置に配置される場合において、弾性支持部の当該一部のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制できる。
【0030】
第10の態様に係るコネクタは、第1の態様において、前記被制限部は、接続対象物に接触する接触部であり、前記接触部は、第一接触部と、前記第一接触部よりも前記接続対象物の接続方向の奥側に位置する第二接触部と、を有し、前記複数の端子の各々は、前記接触部を弾性的に支持する弾性支持部を有し、前記隔壁は、隣り合う前記弾性支持部の間に介在するように構成され、前記隔壁は、前記隣り合う弾性支持部のうち一方の側を向く面であって、前記隣り合う弾性支持部が隣り合う方向で前記一方制限面よりも前記一方の弾性支持部から離れる位置に形成される一方離間面と、前記隣り合う弾性支持部のうち他方の側を向く面であって、前記隣り合う弾性支持部が隣り合う方向で、前記他方制限面よりも前記他方の弾性支持部から離れる位置に形成される他方離間面と、の何れか一方又は両方を有し、前記隔壁が有する前記一方離間面又は前記他方離間面は、前記一方制限面又は前記他方制限面の位置から、前記接触部が前記接続対象物に接触する接触方向とは反対方向にズレた位置に形成される手前側離間面と、前記一方制限面又は前記他方制限面の位置から、前記接続対象物の接続方向の奥側にズレた位置に形成される第一奥側離間面と、前記一方制限面又は前記他方制限面の位置から、前記接触部が前記接続対象物に接触する接触方向とは反対方向、かつ前記接続対象物の接続方向の奥側にズレた位置に形成される第二奥側離間面と、を有する。
【0031】
本態様では、端子が接触部と弾性支持部とを有し、接触部が第一接触部と第二接触部を有する場合において、隣り合う弾性支持部同士がメッキカスによって短絡してしまうことを防止できると共に、弾性支持部のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制できる。
【0032】
第10の態様に係るコネクタは、第1の態様において、前記端子は、第一接触子と、第二接触子と、を有し、前記第一接触子は、第一接触部と、前記第一接触部を弾性支持する第一弾性支持部と、を有し、前記第二接触子は、前記第一接触部よりも接続対象物の接続方向の奥側に位置する第二接触部と、前記第二接触部を弾性支持する第二弾性支持部と、を有する。
【0033】
本態様では、端子は、第一接触子と、第二接触子と、を有する。第一接触子は、第一接触部と、第一接触部を弾性支持する第一弾性支持部と、を有する。第二接触子は、第一接触部よりも接続対象物の接続方向の奥側に位置する第二接触部と、第二接触部を弾性支持する第二弾性支持部と、を有する。このため、接続信頼性を向上させることができる。
また、端子が第一接触子と第二接触子とを有する場合は、第一接触子及び第二接触子のインピーダンスが過剰に低下してしまいやすいところ、本態様では、空隙部が設けられることで、第一接触子及び第二接触子のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制することができる。
【0034】
なお、後述の実施形態では、空隙部が、隣り合う第一接触部の間に位置すると共に、隣り合う第二接触部の間に位置する例を説明するが、本態様はこれに限定されない。本態様には、空隙部が、隣り合う第一接触部及び第二接触部の間には位置しないものの、隣り合う第一接触子の間に位置すると共に、隣り合う第二接触子の間に位置するものが含まれる。更に言うと、本態様には、空隙部が、隣り合う第一接触子及び第二接触子の間に位置しないものが含まれる。なぜなら、このような位置に空隙部が位置しなくとも、空隙部は第一接触子及び第二接触子のインピーダンスを調整する効果を奏するからである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】コネクタの断面図である。
図2】コネクタの斜視図である。
図3】コネクタの分解斜視図である。
図4】前後一対の端子の斜視図である。
図5】固定ハウジングの断面斜視図である。
図6】可動ハウジングの断面斜視図である。
図7】空隙部付近を拡大して示す断面斜視図である。
図8】第一変形例を示す断面斜視図である。
図9】第二変形例を示す断面斜視図である。
図10】第三変形例を示す断面斜視図である。
図11】第四変形例を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本開示のコネクタの実施形態であるコネクタ100について説明する。
【0037】
各図に示す矢印Xをコネクタ前後方向、矢印Yをコネクタ幅方向、矢印Zをコネクタ上下方向と呼ぶことがある。
【0038】
(コネクタ100)
図1図3に示すように、コネクタ100は、ハウジング10,20と、複数の端子30と、を備える。ハウジング10,20は、固定ハウジング10と、可動ハウジング20と、を備える。
【0039】
固定ハウジング10は、コネクタ100の取付対象物である基板B1に固定されるハウジングである。固定ハウジング10は、複数の端子30を介して基板B1に固定される。
【0040】
可動ハウジング20は、固定ハウジング10に対して移動可能に設けられるハウジングである。可動ハウジング20は、複数の端子30によって浮遊状態で支持される。
【0041】
固定ハウジング10及び可動ハウジング20は、合成樹脂等の絶縁体で形成される。
【0042】
端子30は、基板B1と相手コネクタ(図示省略)の相手端子(図示省略)とを接続する。端子30は、導電性の板材に抜き加工及び曲げ加工などを施すことで作られる。複数の端子30の各々は、互いに同一の形状である。
【0043】
複数の端子30は、前側の複数(図では4個)の端子30と、後側の複数(図では4個)の端子30と、から構成される。前側の端子30と後側の端子30とで一対の端子30(図4参照)が構成され、当該一対の端子30がY方向を配列方向として配列されていると把握することもできる。一対の端子30は、互いの接触部側方向(Z方向から見て、接続部31に対し接触部35b1,35b2が位置する方向)をX方向内側に向けるよう、互いに対向して配置される。
【0044】
次に、端子30について詳細に説明する。
【0045】
図4に示すように、端子30は、接続部31と、固定側被保持部32と、中間部33と、可動側被保持部34と、先端部35と、をこの順に有する。
【0046】
接続部31は、取付対象物である基板B1に接続される部分である。
接続部31は、固定側被保持部32から基板B1の面に沿う方向であるX方向外側に延びる。接続部31は、基板B1の面に半田付けされる。
【0047】
固定側被保持部32は、固定ハウジング10に保持される部分である。
固定側被保持部32は、+Z方向を圧入方向として固定ハウジング10に圧入されることで固定ハウジング10に保持される。固定側被保持部32は、板幅方向を端子配列方向であるY方向に向け、+Z方向に延びる(以下、固定側被保持部32の板幅方向を「第一板幅方向」と呼ぶことがある)。固定側被保持部32は、圧入用突起32aを有する。圧入用突起32aは、固定側被保持部32の板幅方向両側に形成される。
【0048】
中間部33は、固定側被保持部32と可動側被保持部34とを連結する部分であって、固定側被保持部32に対し可動側被保持部34が変位可能となるように変形可能に形成される部分である。
中間部33は、第一連結部33aと、板厚方向変換部33bと、第二連結部33cと、をこの順に有する。
【0049】
第一連結部33aは、固定側被保持部32と板厚方向変換部33bとを連結する。第一連結部33aは、固定側被保持部32から板厚方向変換部33bの第一板面部33b1まで、板厚方向をZX平面(第一板幅方向に垂直な平面)に平行な方向に向けて延在する。
【0050】
第一連結部33aは、第一曲部33a1を有する。
第一曲部33a1は、固定側被保持部32と板厚方向変換部33bの第一板面部33b1とを連結する。第一曲部33a1は、板厚方向に曲げられた部分であり、端子30の延在方向のZ方向成分をプラスからマイナスに転換する。
【0051】
板厚方向変換部33bは、端子30の板厚方向を、ZX平面方向からY方向(ZX平面に直交する方向)に変換する。
板厚方向変換部33bは、変換曲部33b2と、第一板面部33b1と、第二板面部33b3と、を有する。
【0052】
変換曲部33b2は、板厚方向に曲げられた部分であり、第一板面部33b1と第二板面部33b3とを連結する。
【0053】
第一板面部33b1は、変換曲部33b2に対して固定側被保持部32側に形成される。第一板面部33b1は、平板状であり、板厚方向をZX平面方向に向ける。
第一板面部33b1は、第一連結部33aに続き、端子30の他端側(接触部35b1,35b2側)に向けて延びる部分と把握することもできる。このように把握した場合、第一板面部33b1は、延在方向を直線状とする部分である。第一板面部33b1の延在方向は、-Z方向及びX方向内側の斜め方向である。第一板面部33b1の板幅方向は、第一板幅方向であるY方向を向く。
【0054】
第二板面部33b3は、変換曲部33b2に対して可動側被保持部34側に形成される。第二板面部33b3は、平板状であり、板厚方向をY方向(ZX平面に直交する方向)に向ける。
第二板面部33b3は、第一板面部33b1と並列して、端子30の他端側(接触部35b1,35b2側)に向けて延びる部分と捉えることもできる。このように捉えた場合、第二板面部33b3は、延在方向を直線状とする部分である。第二板面部33b3の延在方向は、-Z方向及びX方向内側の斜め方向である。
【0055】
第二連結部33cは、板厚方向変換部33bと可動側被保持部34とを連結する部分である。
第二連結部33cは、X方向延出部33c1と、Z方向延出部33c2と、を有する。
【0056】
X方向延出部33c1は、板厚方向変換部33bの第二板面部33b3の他端からX方向内側へ延出する。
【0057】
X方向延出部33c1には、変位部36が形成される。
変位部36は、互いに反対方向に同じ角度(図に示すように90度未満の角度が好ましい。)だけ曲げられた2つの曲部で構成される。これら2つの曲部は、第二連結部33cの板厚方向をXY平面内で変更するよう、板厚方向に曲げられる。これにより、第二連結部33cのうち変位部36よりも他端側(可動側被保持部34側)の部分の板厚方向は、Y方向を向き、第二連結部33cのうち変位部36よりも他端側の部分のY方向の位置は、固定側被保持部32のY方向の位置と一致する。つまり、板厚方向変換部33bにおいてズレが生じた端子30のY方向の位置が変位部36によって修正される。
【0058】
Z方向延出部33c2は、X方向延出部33c1から+Z方向に延出する。
Z方向延出部33c2の幅寸法(X方向寸法)は、可動側被保持部34のそれよりも小さい。Z方向延出部33c2は、可動側被保持部34の幅方向の中央位置に連結される。X方向延出部33c1のうちZ方向延出部33c2が延出した部分は、可動側被保持部34を可動ハウジング20に圧入する際に治具で押される部分として機能する。
【0059】
中間部33は、ハウジング10,20に囲まれた部分と、ハウジング10,20に囲まれていない部分(露出部)と、に分けることができる。具体的には、中間部33は、固定ハウジング10に囲まれた部分と、ハウジング10,20に囲まれていない部分と、可動ハウジング20に囲まれた部分と、をこの順に有する。固定ハウジング10に囲まれた部分は、第一連結部33aの第一曲部33a1の一部である。可動ハウジング20に囲まれた部分は、第二連結部33cのX方向延出部33c1の一部及びZ方向延出部33c2である。板厚方向変換部33bは、ハウジング10,20に囲まれていない部分に形成される。
【0060】
可動側被保持部34は、可動ハウジング20に保持される部分である。
可動側被保持部34は、+Z方向を圧入方向として可動ハウジング20に圧入されることで可動ハウジング20に保持される。可動側被保持部34は、板厚方向をY方向に向け、板幅方向をX方向に向け、+Z方向に延びる。可動側被保持部34は、圧入用突起34aを有する。圧入用突起34aは、可動側被保持部34の板幅方向のうちX方向内側にのみ形成される。圧入用突起34aは、可動側被保持部34の延在方向で異なる複数個所(図では2箇所)に形成される。複数個所に形成された圧入用突起34aは、いずれも、可動ハウジング20に喰い込む。
【0061】
先端部35は、可動側被保持部34よりも他端側の部分である。
先端部35は、接触部35b1,35b2と、弾性支持部35a1,35a2と、を有する。
【0062】
接触部35b1,35b2は、相手コネクタ(図示省略)の相手端子(図示省略)に接触する部分である。相手コネクタは、-Z方向を接続方向として接続され、接触部35b1,35b2に対してX方向内側に配置される。つまり、接触部35b1,35b2が相手コネクタに対して接触する方向は、X方向内側である。
【0063】
接触部35b1,35b2は、第一接触部35b1(第一接触部)と、第二接触部35b2(第二接触部)と、を有する。
第一接触部35b1は、接続対象物の接続方向である-Z方向の手前側に位置する接触部であり、第二接触部35b2は、接続対象物の接続方向である-Z方向の奥側に位置する接触部である。第一接触部35b1は、接続対象物のうち第二接触部35b2に接触することとなる部分をワイピングする機能を有する。
第一接触部35b1のX方向外側には、X方向内側に向けて窪んだ凹部35b3が形成される。これにより、第一接触部35b1において断面積(Z方向に垂直な断面の面積)が過剰に大きくなることが抑制され、インピーダンスが調整される。
【0064】
弾性支持部35a1,35a2は、接触部35b1,35b2を弾性的に支持する部分である。
弾性支持部35a1,35a2は、第一弾性支持部35a1と、第二弾性支持部35a2と、を有する。第一弾性支持部35a1は、第一接触部35b1を支持し、第二弾性支持部35a2は、第二接触部35b2を支持する。コネクタ100に相手コネクタ(図示省略)が接続されると、弾性支持部35a1,35a2は、接触部35b1,35b2がX方向外側へ変位するように、弾性変形する。
【0065】
第一弾性支持部35a1は、その基端から+Z方向に略平行に延びて第一接触部35b1に接続する。第二弾性支持部35a2は、その基端から+Z方向かつX方向外側の斜め方向に延び、その後+Z方向かつX方向内側の斜め方向に延びて第二接触部35b2に接続する。第二弾性支持部35a2及び第二接触部35b2は、第一弾性支持部35a1に対し、X方向内側に配置される。
【0066】
(固定ハウジング10)
次に、固定ハウジング10について詳細に説明する。
【0067】
図5に示すように、固定ハウジング10は、前側の端子保持部11と、後側の端子保持部11と、を備える。前側の端子保持部11と後側の端子保持部11とは同一構造である。以下、両者を区別しないときは、単に端子保持部11と呼ぶ。
【0068】
端子保持部11は、複数の配列方向壁12を有する。
配列方向壁12は、端子30の固定側被保持部32に対し、その配列方向及び板幅方向であるY方向の両側に位置する。複数の配列方向壁12のうち隣り合う配列方向壁12の間の空間に固定側被保持部32が圧入される。当該空間は、X方向内側に開放されている。これにより、固定側被保持部32を圧入する際、当該開放された部分を端子30の中間部33(具体的には第一曲部33a1)が通過可能になっている。
【0069】
端子保持部11は、外側壁13を有する。
外側壁13は、固定側被保持部32に対し、X方向外側に位置する。外側壁13は、複数の配列方向壁12のX方向外側端と接続する。
【0070】
端子保持部11は、天壁14を有する。
天壁14は、固定側被保持部32及び中間部33の一部に対し、+Z方向に位置する。天壁14は、複数の配列方向壁12の+Z方向側と接続する。天壁14は、外側壁13の+Z方向の端からX方向内側に延びる。
【0071】
(可動ハウジング20)
次に、可動ハウジング20について詳細に説明する。
【0072】
図6に示すように、可動ハウジング20は、複数の配列方向壁21を有する。
配列方向壁21は、端子30の一部に対し、その配列方向であるY方向の両側に位置する。複数の配列方向壁21のうち隣り合う端子30の間に位置する配列方向壁21を隔壁21ということがある。配列方向壁21は、相手コネクタ(図示省略)をX方向の適切な位置へ案内する案内面21b2を有する。
【0073】
配列方向壁21は、下部配列方向壁21aと、上部配列方向壁21bと、を有する。
下部配列方向壁21aは、可動側被保持部34及び中間部33の一部に対応する。
上部配列方向壁21bは、先端部35に対応する。
上部配列方向壁21bは、前側部分と後側部分とに分離されている。前側の上部配列方向壁21bと後側の上部配列方向壁21bとの間には、相手コネクタ(図示省略)の一部が挿入される空間が形成される。
下部配列方向壁21aは、前側部分と後側部分とが一体に形成される。
【0074】
可動ハウジング20は、前後一対の外側壁22を有する。
外側壁22は、端子30の一部に対し、X方向外側に位置する。外側壁22は、複数の配列方向壁21をそのX方向外側部分で連結する。外側壁22は、相手コネクタ(図示省略)をX方向の適切な位置へ案内する案内面22b1を有する。
【0075】
外側壁22は、下部外側壁22aと、上部外側壁22bと、を有する。
下部外側壁22aは、可動側被保持部34に対応する。
上部外側壁22bは、先端部35に対応する。上部外側壁22bは、下部外側壁22aよりもX方向外側に形成され、可動ハウジング20内の空間が上部において拡大されている。
【0076】
可動ハウジング20は、配列方向連結壁23を有する。
配列方向連結壁23は、複数の下部配列方向壁21aを配列方向で連結する。
配列方向連結壁23と下部外側壁22aとの間の空間は、端子30を可動ハウジング20に組み付ける際に端子30の先端部35が通過すると共に、可動側被保持部34が配置される空間である。可動側被保持部34は、配列方向連結壁23と下部外側壁22aとの間に圧入される。
【0077】
図7に示すように、配列方向壁21には、拡幅部24が形成される。
拡幅部24は、配列方向壁21のうち壁厚が拡大された部分である。拡幅部24は、相手コネクタと接続した状態における端子30の接触部35b1,35b2に対応する位置に形成される(図1参照、図1は相手コネクタと接続した状態における端子30を示している。)。拡幅部24の壁面24a1は、配列方向壁21のうち他の部分(一般部)の壁面21b1よりも端子30に近接して配置される。これにより、接触部35b1,35b2が配置されている空間のY方向の寸法が小さくなっており、接触部35b1,35b2が所定の位置からY方向に大きく位置がズレることが抑制される。以下、接触部35b1,35b2を被制限部35b1,35b2と呼ぶことがある。また、拡幅部24の壁面24a1を制限面24a1と呼び、一般部の壁面21b1を離間面21b1と呼ぶことがある。制限面24a1及び離間面21b1は、共に、法線方向をY方向に向ける平面である。制限面24a1は、上部配列方向壁21bの壁面のうち+Z方向かつX方向内側の領域に形成される。このため、制限面24a1の位置からX方向外側にズレた位置、制限面24a1の位置から-Z方向にズレた位置、及び、制限面24a1の位置からX方向外側かつ-Z方向にズレた位置には、離間面21b1が形成されている。
【0078】
隔壁21には、空隙部25が形成される。
空隙部25は、隔壁21の壁厚方向における中間部分に形成された空隙になっている部分であり、+Z方向及びX方向内側に開放された溝である。空隙部25は、配列方向壁21のうち拡幅部24に対応する位置に形成される。このため、拡幅部24は、一対の分離壁24aと、その間の空隙部25と、から構成される。したがって、空隙部25は、配列方向壁21が有する一対の制限面24a1の間に形成され、隣り合う接触部35b1,35b2の間に位置することになる。
【0079】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0080】
本実施形態では、図1図3に示すように、コネクタ100は、複数の端子30と、ハウジング10,20と、を備える。
【0081】
図7に示すように、ハウジング10,20は、隣り合う端子30の間に位置する隔壁21を有する。そして、隔壁21は、一方対向面21b1,24a1と、他方対向面21b1,24a1と、を有する。一方対向面21b1,24a1は、隣り合う端子30のうち一方に対向する面であり、他方対向面21b1,24a1は、隣り合う端子30のうち他方に対向する面である。
【0082】
更に、隔壁21は、一方対向面21b1,24a1と他方対向面21b1,24a1との間に形成され、隣り合う端子30の間に位置する空隙部25を有する。
このため、このような空隙部25が形成されない態様と比較して、端子30のうち空隙部25に対応する部分付近のインピーダンスが上がる。その結果、端子30のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態では、端子30は、被制限部35b1,35b2を有する。一方対向面21b1,24a1は、隣り合う被制限部35b1,35b2のうち一方が他方に近づく方向に移動することを制限する一方制限面24a1を有し、他方対向面21b1,24a1は、隣り合う被制限部35b1,35b2のうち他方が一方に近づく方向に移動することを制限する他方制限面24a1を有する。
このため、端子30の一部(被制限部35b1,35b2)が所定の位置からズレた位置に配置されることが抑制される。
【0084】
また、被制限部35b1,35b2は、接続対象物(相手コネクタ)に接触する接触部35b1,35b2である。
このため、接触部35b1,35b2が所定の位置からズレた位置に配置されることが抑制される。
なお、被制限部35b1,35b2は隔壁21の近傍に配置されるのでインピーダンスが過剰に低下してしまいやすい。したがって、空隙部25は、本実施形態のように、隣り合う被制限部35b1,35b2(接触部35b1,35b2)の間に位置することが好ましい。
【0085】
また、本実施形態では、接触部35b1,35b2は、第一接触部35b1と、第一接触部35b1よりも接続対象物(相手コネクタ)の接続方向の奥側に位置する第二接触部35b2と、を有する。
ここで、空隙部25は、隣り合う第一接触部35b1の間に位置すると共に、隣り合う第二接触部35b2の間に位置する。
このため、第一接触部35b1及び第二接触部35b2が所定の位置からズレた位置に配置されることが抑制されると共に、第一接触部35b1及び第二接触部35b2のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制することができる。
【0086】
また、本実施形態では、空隙部25のうち、隣り合う第一接触部35b1の間に位置する部分と、隣り合う第二接触部35b2の間に位置する部分とは接続方向(Z方向)で連結されている。
このため、空隙部25のうち、隣り合う第一接触部35b1の間に位置する部分と、隣り合う第二接触部35b2の間に位置する部分とが連結されていない態様と比較して、空隙部25を容易に形成できる。
【0087】
また、本実施形態では、複数の端子30の各々は、接触部35b1,35b2を弾性的に支持する弾性支持部35a1,35a2を有する。
ここで、隔壁21は、隣り合う弾性支持部35a1,35a2の間に介在するように構成される。
このため、隣り合う弾性支持部35a1,35a2の間に隔壁21が介在する部分において、隣り合う弾性支持部35a1,35a2同士がメッキカスによって短絡してしまうことが防止される。
【0088】
また、本実施形態では、隔壁21は、一方離間面21b1と他方離間面21b1との何れか一方又は両方(本実施形態では両方)を有する。
一方離間面21b1は、隣り合う弾性支持部35a1,35a2のうち一方の側を向く面であって、隣接方向(隣り合う弾性支持部35a1,35a2が隣り合う方向、Y方向)で一方制限面24a1よりも一方の弾性支持部35a1,35a2から離れる位置に形成される面である。他方離間面21b1は、隣り合う弾性支持部35a1,35a2のうち他方の側を向く面であって、隣接方向(Y方向)で、他方制限面24a1よりも他方の弾性支持部35a1,35a2から離れる位置に形成される面である。
このため、隔壁21が一方離間面21b1と他方離間面21b1との何れをも有しない態様(後述の第二変形例)と比較して、弾性支持部35a1,35a2のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制できる。
【0089】
また、本実施形態では、隔壁21が有する一方離間面21b1又は他方離間面21b1は、手前側離間面21b1を有する。手前側離間面21b1は、一方制限面24a1又は他方制限面24a1の位置から、接触方向(接触部35b1,35b2が接続対象物(相手コネクタ)に接触する方向)とは反対方向(以下「反接触方向」という。X方向外側)にズレた位置に形成される面である。
このため、弾性支持部35a1,35a2の一部(本実施形態では第一弾性支持部35a1の上部)が、接触部35b1,35b2の位置から反接触方向にズレた位置に配置される場合において、弾性支持部35a1,35a2の当該一部のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制できる。
【0090】
また、本実施形態では、隔壁21が有する一方離間面21b1又は他方離間面21b1は、第一奥側離間面21b1を有する。第一奥側離間面21b1は、一方制限面24a1又は他方制限面24a1の位置から、接続対象物(相手コネクタ)の接続方向の奥側にズレた位置に形成される面である。
このため、弾性支持部35a1,35a2の一部(本実施形態では第二弾性支持部35a2)が、接触部35b1,35b2の位置から接続方向の奥側にズレた位置に配置される場合において、弾性支持部35a1,35a2の当該一部のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制できる。
【0091】
また、本実施形態では、一方離間面21b1又は他方離間面21b1は、第二奥側離間面21b1を有する。第二奥側離間面21b1は、一方制限面24a1又は他方制限面24a1の位置から、反接触方向かつ接続方向の奥側にズレた位置に形成される面である。
このため、弾性支持部35a1,35a2の一部(本実施形態では第一弾性支持部35a1の下部)が、接触部35b1,35b2の位置から反接触方向かつ接続方向の奥側にズレた位置に配置される場合において、弾性支持部35a1,35a2の当該一部のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制できる。
【0092】
(変形例)
図8図11は、第一変形例~第四変形例のコネクタを示す図である。上記実施形態と各変形例との相違点は、可動ハウジングの構造のみである。
【0093】
図8は、第一変形例を示す。
第一変形例の可動ハウジング20Aでは、上部配列方向壁21bが上部外側壁22bと連結されていない。このため、上部配列方向壁21bと上部外側壁22bとの間は空間になっており、当該空間はY方向に延びている。つまり、上記実施形態の上部配列方向壁21bのうち手前側離間面21b1及び第二奥側離間面21b1に対応する部分が存在しない。なお、第一奥側離間面21b1に対応する部分は存在する。
このため、弾性支持部35a1,35a2の一部が、接触部35b1,35b2の位置から反接触方向(X方向外側)にズレた位置に配置される場合において、弾性支持部35a1,35a2の当該一部のインピーダンスが過剰に低下してしまうことをより一層抑制できる。また、弾性支持部35a1,35a2の一部が、接触部35b1,35b2の位置から反接触方向(X方向外側)かつ接続方向の奥側(-Z方向)にズレた位置に配置される場合において、弾性支持部35a1,35a2の当該一部のインピーダンスが過剰に低下してしまうことをより一層抑制できる。なお、これらの効果は、隔壁21に空隙部25が形成されていなくても奏する効果である。
【0094】
図9は、第二変形例を示す。
第二変形例の可動ハウジング20Bでは、配列方向壁21に拡幅部(図7の拡幅部24参照)が形成されない。但し、配列方向壁21の壁面21b1は、端子30に近接しているので、配列方向壁21の全体が拡幅部になっていると把握することもできる。
本変形例では、配列方向壁21の壁面21b1が「制限面」及び「対向面」に相当する。
【0095】
図10は、第三変形例を示す。
第三変形例の可動ハウジング20Cでは、隔壁21に複数(2つ)の空隙部25が形成される。このように空隙部25が複数形成された場合でも、被制限部35b1,35b2のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制することができる。
【0096】
図11は、第四変形例を示す。
第四変形例の可動ハウジング20Dでは、空隙部25の深さ(X方向外側への深さ)が上記実施形態のそれよりも深い。具体的には、空隙部25の深さは、隣り合う隔壁21の間に形成された端子30が配置される空間の深さと同一である。
本変形例では、空隙部25により、接触部35b1,35b2だけでなく、弾性支持部35a1,35a2のインピーダンスが過剰に低下してしまうことを抑制することができる。
【0097】
以上、本開示の実施形態及び変形例を説明したが、本開示はこれらに限定されない。
【符号の説明】
【0098】
100 コネクタ
10,20 ハウジング
10 固定ハウジング
20 可動ハウジング
20A 可動ハウジング
20B 可動ハウジング
20C 可動ハウジング
20D 可動ハウジング
21 配列方向壁(隔壁)
21a 下部配列方向壁
21b 上部配列方向壁
21b1 離間面(一方離間面、他方離間面、手前側離間面、第一奥側離間面、第二奥側離間面)(一方対向面、他方対向面)
22 外側壁
22a 下部外側壁
22b 上部外側壁
24 拡幅部
24a1 制限面(一方制限面、他方制限面)(一方対向面、他方対向面)
25 空隙部
30 端子
35a1,35a2 弾性支持部
35a1 第一弾性支持部
35a2 第二弾性支持部
35b1,35b2 接触部(被制限部)
35b1 第一接触部(被制限部)
35b2 第二接触部(被制限部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11