(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138073
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】締結構造
(51)【国際特許分類】
E03C 1/12 20060101AFI20230922BHJP
F16B 31/02 20060101ALI20230922BHJP
F16B 21/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
E03C1/12 E
F16B31/02 Z
F16B21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044566
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】京山 卓史
(72)【発明者】
【氏名】川上 将
(72)【発明者】
【氏名】飯沼 壱成
(72)【発明者】
【氏名】早川 彰人
【テーマコード(参考)】
2D061
3J037
【Fターム(参考)】
2D061AA02
2D061AD01
2D061BG02
3J037AA01
3J037CA02
(57)【要約】
【課題】適切な締付トルクで締結が完了したことを作業者が容易に把握可能な締結構造を得る。
【解決手段】締結構造10は、取付部材に締結される締結部材20と、締結部材20に着脱可能に装着され、締結部材20と共に回転操作される操作部材50と、操作部材50の回転操作によって締付トルクが所定値に達すると、操作部材50を締結部材20の締結方向と反対側へ案内する案内手段と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部材に締結される締結部材と、
前記締結部材に着脱可能に装着され、前記締結部材と共に回転操作される操作部材と、
前記操作部材の回転操作によって締付トルクが所定値に達すると、前記操作部材を前記締結部材の締結方向と反対側へ案内する案内手段と、
を有する締結構造。
【請求項2】
前記案内手段は、前記締結部材に設けられたガイド部と、前記操作部材に設けられた被ガイド部と、を有し、
前記操作部材の回転操作によって締付トルクが所定値に達すると前記被ガイド部が前記ガイド部に当接し、前記ガイド部によって前記締結部材の締結方向と反対側へ案内される、
請求項1に記載の締結構造。
【請求項3】
前記操作部材には、前記操作部材の回転操作によって前記ガイド部に当接し、前記締結部材に締付トルクを付与するトルク付与部が設けられており、
前記トルク付与部は、締付トルクが所定値に達すると前記ガイド部との当接が解除され、
前記被ガイド部は、前記トルク付与部と前記ガイド部との当接が解除されると前記ガイド部に当接し、前記ガイド部によって前記締結部材の締結方向と反対側へ案内される、請求項2に記載の締結構造。
【請求項4】
前記締結部材は、筒状であり、
前記操作部材は、前記締結部材に挿入された状態で回転操作され、
前記ガイド部は、前記締結部材の内周面に突設され、
前記被ガイド部は、前記操作部材の外周面に突設され、
前記トルク付与部は、前記操作部材の外周面に突設され且つ前記被ガイド部から周方向に離隔している、請求項3に記載の締結構造。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記操作部材から前記締結部材へ締付トルクを付与する回転方向に向かって前記締結方向と反対側に傾斜するガイド側傾斜面を有し、
前記操作部材の回転操作によって前記被ガイド部が前記ガイド側傾斜面に当接する、
請求項2から4のいずれか1項に記載の締結構造。
【請求項6】
前記被ガイド部は、前記回転方向に向かって前記締結方向と反対側に傾斜する被ガイド側傾斜面を有し、
前記操作部材の回転操作によって前記被ガイド側傾斜面に前記ガイド側傾斜面が当接する、
請求項5に記載の締結構造。
【請求項7】
前記締結部材は、被係合部を有し、
前記操作部材は、前記被係合部に係合する係合部を有し、
前記係合部は、前記操作部材の回転操作によって締付トルクが所定値に達すると前記被係合部との係合状態が解除され、前記操作部材を前記締結部材から脱離可能な状態にする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の締結構造。
【請求項8】
前記被係合部は、前記締結部材の内周面に突設されており、且つ、前記締結部材へ締付トルクを付与する回転方向に向かって前記締結方向と反対側に傾斜する被係合側傾斜面を有しており、
前記トルク付与部は、前記回転方向に向かって前記締結方向と反対側に傾斜する付与側傾斜面を有し、
前記操作部材の回転操作によって前記被ガイド部が前記ガイド部によって前記締結方向と反対側へ案内されて移動すると、前記付与側傾斜面が前記被係合側傾斜面に当接し、前記トルク付与部が前記被係合部によって前記締結方向と反対側へ案内される、
請求項3又は請求項4を引用する請求項7に記載の締結構造。
【請求項9】
前記係合部は、外方に突出した係合爪であり、
前記係合爪には、前記ガイド部への乗り上げをガイドする爪側傾斜面が設けられている、
請求項7又は請求項8に記載の締結構造。
【請求項10】
前記締結部材には、前記締結方向と反対側の端部に径方向外側へ張り出す締結側フランジ部が形成されており、
前記操作部材には、前記締結方向と反対側の端部に径方向外側へ張り出す操作側フランジ部が形成されており、
前記操作側フランジ部は、前記締結側フランジ部の全体を覆う、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の締結構造。
【請求項11】
前記取付部材は、水回り部材である、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の締結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排水装置に締結される締結部材と、締結部材を締結操作するための操作部材と、を備え、操作部材は、締結部材に係合する係合部を有し、締結部材は、係合部が係合する被係合部を有し、締結部材は、操作部材を介して排水装置に対して相対回転されることにより排水装置に締結されると共に、当該相対回転の締付トルクが所定の値に達することにより操作部材の係合部と締結部材の被係合部との係合状態が解除され、操作部材から離脱可能となる締結構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、適切な締付トルクで締結が完了したことを作業者が把握しにくかった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、適切な締付トルクで締結が完了したことを作業者が容易に把握可能な締結構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の締結構造は、取付部材に締結される締結部材と、前記締結部材に着脱可能に装着され、前記締結部材と共に回転操作される操作部材と、前記操作部材の回転操作によって締付トルクが所定値に達すると、前記操作部材を前記締結部材の締結方向と反対側へ案内する案内手段と、を有する。
【0007】
第1態様の締結構造では、操作部材の回転操作によって締結部材が取付部材に締結される。締付トルクが所定値に達すると、案内手段が操作部材を締結部材の締結方向と反対側へ案内する。これにより、第1態様の締結構造によれば、作業者は、締結部材が所定の締付トルクで取付部材に締結されたことを把握することができる。
【0008】
本発明の第2態様の締結構造は、第1態様の締結構造において、前記案内手段は、前記締結部材に設けられたガイド部と、前記操作部材に設けられた被ガイド部と、を有し、前記操作部材の回転操作によって締付トルクが所定値に達すると前記被ガイド部が前記ガイド部に当接し、前記ガイド部によって前記締結部材の締結方向と反対側へ案内される。
【0009】
第2態様の締結構造では、操作部材の回転操作によって締付トルクが所定値に達すると被ガイド部がガイド部に当接する。そして、ガイド部に当接した被ガイド部は、締結部材の締結方向と反対側に案内される。すなわち、締結部材に対して操作部材が締結方向と反対側に移動する。このように第1態様の締結構造によれば、締結部材にガイド部に被ガイド部を設け、操作部材に被ガイド部を設ける簡易な構造で、作業者は締結部材が所定のトルクで取付部材に締結されたことを把握することができる。
【0010】
本発明の第3態様の締結構造は、第2態様の締結構造において、前記操作部材には、前記操作部材の回転操作によって前記ガイド部に当接し、前記締結部材に締付トルクを付与するトルク付与部が設けられており、前記トルク付与部は、締付トルクが所定値に達すると前記ガイド部との当接が解除され、前記被ガイド部は、前記トルク付与部と前記ガイド部との当接が解除されると前記ガイド部に当接し、前記ガイド部によって前記締結部材の締結方向と反対側へ案内される。
【0011】
第3態様の締結構造では、操作部材の回転操作によってトルク付与部がガイド部に当接し、操作部材から締結部材へ締付トルクが付与される。そして、締結部材に付与される締付トルクが所定値に達すると、トルク付与部とガイド部との当接が解除される。このため、一定の締付トルクで締結が可能になる。すなわち、上記締結構造では、締結部材が過剰な締付トルクで取付部材に締結されることが抑えられる。
【0012】
本発明の第4態様の締結構造は、第3態様の締結構造において、前記締結部材は、筒状であり、前記操作部材は、前記締結部材に挿入された状態で回転操作され、前記ガイド部は、前記締結部材の内周面に突設され、前記被ガイド部は、前記操作部材の外周面に突設され、前記トルク付与部は、前記操作部材の外周面に突設され且つ前記被ガイド部から周方向に離隔している。
【0013】
第4態様の締結構造では、操作部材が締結部材に挿入された状態で操作部材を回転操作することで締結部材が取付部材に所定の締付トルクで締結される。ここで、上記締結構造では、ガイド部を締結部材の内周面に突設し、被ガイド部を操作部材の外周面に突設し、トルク付与部を操作部材の外周面に被ガイド部から周方向に離隔して突設する簡易な構造で、締結部材が過剰な締付トルクで取付部材に締結されることを抑えられ、かつ、作業者は締結部材が所定のトルクで取付部材に締結されたことを把握することができる。
【0014】
本発明の第5態様の締結構造は、第2態様から第4態様のいずれか一態様の締結構造において、前記ガイド部は、前記操作部材から前記締結部材へ締付トルクを付与する回転方向に向かって前記締結方向と反対側に傾斜するガイド側傾斜面を有し、前記操作部材の回転操作によって前記被ガイド部が前記ガイド側傾斜面に当接する。
【0015】
第5態様の締結構造では、ガイド部がガイド傾斜面を有しており、操作部材の締付トルクを付与する回転方向の回転操作によって被ガイド部が前記ガイド側傾斜面に当接するため、簡易な構造によって操作部材を締結方向と反対側にガイドする締結構造を提供することができる。
【0016】
本発明の第6態様の締結構造は、第5態様の締結構造において、前記被ガイド部は、前記回転方向に向かって前記締結方向と反対側に傾斜する被ガイド側傾斜面を有し、前記操作部材の回転操作によって前記被ガイド側傾斜面に前記ガイド側傾斜面が当接する。
【0017】
第6態様の締結構造では、被ガイド部が被ガイド側傾斜面を有しており、操作部材の締付トルクを付与する回転方向の回転操作によって被ガイド側傾斜面がガイド側傾斜面に当接するため、例えば、被ガイド部の当接部分が角張っている構成と比べて、ガイド側傾斜面上を被ガイド側傾斜面がスムーズに移動する。これにより、被ガイド部がガイド部に案内されるときのガタ付きを抑えられる。
【0018】
本発明の第7態様の締結構造は、第1態様から第6態様のいずれか一態様の締結構造において、前記締結部材は、被係合部を有し、前記操作部材は、前記被係合部に係合する係合部を有し、前記係合部は、前記操作部材の回転操作によって締付トルクが所定値に達すると前記被係合部との係合状態が解除され、前記操作部材を前記締結部材から脱離可能な状態にする。
【0019】
第7態様の締結構造では、操作部材の回転操作によってトルク付与部とガイド部との当接が解除される、すなわち、締付トルクが所定値に達すると、係合部と被係合部との係合状態が解除される。これにより、操作部材が締結部材から脱離可能な状態になる。また、操作部材の係合部を締結部材の被係合部に係合させた状態で出荷することで、部品の脱落を防止することができる。
【0020】
本発明の第8態様の締結構造は、第3態様又は第4態様の締結構造において、前記被係合部は、前記締結部材の内周面に突設されており、且つ、前記締結部材へ締付トルクを付与する回転方向に向かって前記締結方向と反対側に傾斜する被係合側傾斜面を有しており、前記トルク付与部は、前記回転方向に向かって前記締結方向と反対側に傾斜する付与側傾斜面を有し、前記操作部材の回転操作によって前記被ガイド部が前記ガイド部によって前記締結方向と反対側へ案内されて移動すると、前記付与側傾斜面が前記被係合側傾斜面に当接し、前記トルク付与部が前記被係合部によって前記締結方向と反対側へ案内される。
【0021】
第8態様の締結構造では、トルク付与部が付与側傾斜面を有しており、トルク付与部が被係合部よりも締結方向と反対側にガイドされるため、被係合側傾斜面を有していない締結構造に比べて、トルク付与部が被係合部に当たることで締結部材に過剰な締付トルクが加わって、締結後に取付部材及び締結部材に破損が生じるのを抑制できる。
【0022】
本発明の第9態様の締結構造は、第7態様又は第8態様の締結構造において、前記係合部は、外方に突出した係合爪であり、前記係合爪には、前記ガイド部への乗り上げをガイドする爪側傾斜面が設けられている。
【0023】
第9態様の締結構造では、爪側傾斜面を備えないものと比べて、係合爪がガイド部に乗り上りやすい。ここで、係合爪がガイド部に乗り上げると、係合爪とガイド部との間の係合状態が解除される。すなわち、上記締結構造によれば、係合状態を確実に解除して締結部材から操作部材を離脱させることができる。
【0024】
本発明の第10態様の締結構造は、第1態様から第9態様のいずれか一態様の締結構造において、前記締結部材には、前記締結方向と反対側の端部に径方向外側へ張り出す締結側フランジ部が形成されており、前記操作部材には、前記締結方向と反対側の端部に径方向外側へ張り出す操作側フランジ部が形成されており、前記操作側フランジ部は、前記締結側フランジ部の全体を覆う。
【0025】
第10態様の締結構造では、取付部材に締結される締結部材の締結側フランジ部の表面が操作部材の操作側フランジ部によって覆われるため、出荷時に締結部材の締結側フランジ部の表面に傷が付く等の外観不良の発生を抑制することができる。
【0026】
本発明の第11態様の締結構造は、第1態様から第10態様のいずれか一態様の締結構造において、前記取付部材は、水回り部材である。
【0027】
第11態様の締結構造では、一定の締付トルクでの締結が可能であると共に、施工者の技能に依存せずに施工品質を向上させることができる。換言すれば、施工者の技能に依存せずに、例えば、排水口の槽壁と水回り部材との間のシール性を確保することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、適切な締付トルクで締結が完了したことを作業者が容易に把握できる締結構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る締結構造を有する水回り部材の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る締結構造を有する水回り部材の分解図である
【
図3】本発明の一実施形態に係る締結構造を有する水回り部材の断面図である。
【
図4】締結部材を操作部材の離脱方向側から視た斜視図である。
【
図5】締結部材を操作部材の締結方向側から視た斜視図である。
【
図7】締結部材を径方向外側から締結側筒部を透過して周方向に一周視た展開図である。
【
図8】
図7における被押圧部及び被係合部の拡大図である。
【
図9】操作部材を操作部材の離脱方向側から視た斜視図である。
【
図10】操作部材を操作部材の締結方向側から視た斜視図である。
【
図12】操作部材を径方向外側から周方向に一周視た展開図である。
【
図13】
図12における押圧部、ストッパー部、及び係合爪の拡大図である。
【
図14】締結部材と操作部材とが組み合わされている様子を示す展開図である。
【
図15】操作部材が操作されて、押圧部が被押圧部を乗り越えた様子を示す展開図である。
【
図16】操作部材が操作されて、ストッパー部の被ガイド側傾斜面が被押圧部のガイド側傾斜面に当接する様子を示す展開図である。
【
図17】操作部材が操作されて、ストッパー部の被ガイド側傾斜面が被押圧部のガイド側傾斜面にガイドされることによって操作部材が離脱方向に案内される様子を示す展開図である。
【
図18】操作部材が操作されて、係合爪が被押圧部の被トルク傾斜面に当接し、内側に弾性変形する様子を示す展開図である。
【
図19】操作部材が操作されて、押圧部の付与側傾斜面が被係合部に当接する様子を示す展開図である。
【
図20】操作部材が操作されて、押圧部の付与側傾斜面が被係合部にガイドされることによって操作部材が離脱方向に案内される様子を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態に係る締結構造を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は等価な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0031】
また、以下の説明において、「矢印X方向」、「矢印Y方向」、「矢印Z方向」とは、互いに直交する3つの方向を指しており、実際の方向とは異なる場合がある。以下の説明では、矢印X方向及び矢印Y方向は、一例としてそれぞれ水平方向であり、矢印Z方向は、鉛直方向としている。
【0032】
なお、「矢印Z方向」は、その向きを区別する場合は、「矢印Z+方向」、「矢印Z-方向」とし、向きを区別しない場合を「矢印Z方向」としている。
【0033】
また、以下の説明において、矢印Z+方向は、本発明における「締結方向の反対方向」、すなわち「離脱方向」と同じ方向を指し、矢印Z-方向は、本発明における「締結方向」と同じ方向を指す。
【0034】
また、以下の説明において、矢印R1方向は、本発明における締結部材20が締付トルクを付与される方向、すなわち本発明における「回転方向」と同じ方向を指し、矢印R2方向は、回転方向の反対方向を指す。
【0035】
(構成)
図1から
図3は、本実施形態の締結構造10が用いられる様子を示しており、
図1に斜視図、
図2に分解図、
図3に断面図をそれぞれ示す。
【0036】
図1及び
図2に示すように、締結構造10は、バスタブ14と、バスタブ14の底面側に配置された排水管16と、バスタブ14と排水管16との間に設けられた封止部材12と、バスタブ14及び排水管16とを締結する締結部材20と、締結部材20を操作する操作部材50と、を備えている。
【0037】
なお、本説明におけるバスタブ14は、本発明における「取付部材」の一例であり、また、取付部材の一例である「水回り部材」の一例であるともいえる。
【0038】
バスタブ14は、
図1から
図3に示すように、排水口15を底面に有している。この排水口15は、バスタブ14から排水される水を通す孔である。
【0039】
排水管16は、バスタブ14の底面側に取り付けられる管状の部材であり、矢印Z+方向に雌ネジ部18が形成された開口端17を有する。
【0040】
封止部材12は、
図2及び
図3に示されるように、排水管16の開口端17を覆うように形成され、矢印Z+方向側に突出する環状の部材であり、一例としてゴム等の弾力を有する材料で形成される。
【0041】
封止部材12は、
図2及び
図3に示されるように、バスタブ14の排水口15と排水管16の開口管との間に挟まれて、バスタブ14及び排水管16と組み合わされる。なお、封止部材12は、上述の通り、弾力を有する材料であるため、バスタブ14の排水口15と、排水管16の開口端17との間に密着して取り付けられる。すなわち、封止部材12は、バスタブ14及び排水管16との隙間から水が漏れ出ることを防ぐ部材である。
【0042】
また、締結構造10では、
図2及び
図3に示されるように、外周に雄ネジ部26を有する締結部材20が、バスタブ14の排水口15に雄ネジ部26を挿通した状態で、排水管16の雌ネジ部18と螺合することで組み合せされる。なお、この締結部材20と排水管16を螺合する際には、締結部材20が回転することによって、封止部材12及びバスタブ14と介する排水管16と螺合される。
【0043】
操作部材50は、
図1から
図3に示すように締結部材20の矢印Z+方向側から挿入される部材であり、締結部材20を回転させることによって、締結部材20と排水管16とを螺合する。
【0044】
すなわち、
図1から
図3は、操作部材50によって締結部材20が回転され、排水管16と螺合されることによって、バスタブ14、排水管16、封止部材12及び締結部材20が締結される様子を示している。なお、締結部材20及び操作部材50の具体的な構造については、後述する。
【0045】
(締結部材20)
次に、本実施形態の締結部材20について、
図4から
図8を適宜参照しながら、説明する。
【0046】
図4から
図7は、締結部材20の図であり、
図4に矢印Z+方向側から視た斜視図、
図5に矢印Z-方向側から視た斜視図、
図6に平面図、
図7に
図6における中心軸線から締結側筒部24の内面を視た展開図をそれぞれ示す。
【0047】
図4から
図7に示されるように、締結部材20は、円筒形の締結側筒部24と、締結側筒部24に対して離脱方向に形成された締結側フランジ部22と、を有する部材である。
【0048】
締結側筒部24は、バスタブ14の排水口15に挿入することが可能とされ、外周面に上述した排水管16の雌ネジ部18と嵌合する雄ネジ部26を有すると共に、内周面に被係合部36及び被押圧部30を有する。なお、被係合部36及び被押圧部30の具体的な形状については、後述する。
【0049】
締結側フランジ部22は、円筒部よりも拡径され、上述したバスタブ14の排水口15よりも直径が大きい部分であり、排水管16、バスタブ14及び封止部材12と組み合わされた状態で、バスタブ14と共に封止部材12を挟み込む部分である。
【0050】
続いて、
図5から
図8を参照して被押圧部30及び被係合部36の形状を説明する。なお、
図7は、締結部材20が回転して螺合される際に回転する回転軸線Cに対して、締結側円筒部の内周面を周方向に視た展開図であり、
図8は、
図7における一部を拡大した図である。
【0051】
被押圧部30は、本発明における「ガイド部」の一例であり、
図5及び
図6に示されるように、締結側円筒部の内周面に突設したリブとされ、一例として周方向に間隔を空けて等間隔に四箇所に形成されている。
【0052】
図7及び
図8に示されるように、被押圧部30は、矢印Z+方向側において、矢印R2方向(締結部材20が回転して締結される方向の反対方向)側から、矢印R1方向(締結部材20が回転して締結される方向)に向かって、矢印Z+方向に傾斜するガイド側傾斜面32を有している。
【0053】
また、被押圧部30は、
図8に示されるように矢印R2方向側から、矢印R1方向に向かって、径方向内側に傾斜する被トルク傾斜面34を有している。
【0054】
被係合部36は、被押圧部30と同様に、
図5及び
図6に示されるように、締結側円筒部の内周面に突設したリブとされ、一例として周方向に間隔を空けて等間隔に四箇所に形成されている。また、
図6及び
図7に示されるように、被係合部36は、周方向に間隔を空けて形成されている被押圧部30同士の間に形成されている。
【0055】
図7及び
図8に示されるように、被係合部36は、矢印Z+方向側において、矢印R2方向側から、矢印R1方向に向かって、矢印Z+方向に傾斜する被係合側傾斜面38を有している。
なお、
図7及び
図8に示されるように、被押圧部30及び被係合部36の矢印Z+方向の端の位置は、一例として、同等とされている。
【0056】
なお
図4から
図8において、被押圧部30及び被係合部36は、締結側円筒部の矢印Z-方向側の端に形成されているが、被押圧部30及び被係合部36が形成される矢印Z方向の位置はこれに限らない。
【0057】
なお、本実施形態の締結部材20は、どのような材料で形成されていてもよいが、一例として硬質の樹脂で一体に形成されている。
【0058】
(操作部材50)
次に、本実施形態の操作部材50について、
図9から
図13を適宜参照しながら、説明する。
【0059】
図9から
図11は、操作部材50の図であり、
図9に矢印Z+方向側から視た斜視図、
図10に矢印Z-方向側から視た斜視図、
図11に平面図、
図12に
図11における中心軸線から操作側筒部56の内面を視た展開図をそれぞれ示す。
【0060】
図9から
図11に示されるように、操作部材50は、円筒形の操作側筒部56と、操作側筒部56に対して矢印Z+方向側に形成された操作側フランジ部54と、操作側フランジ部54に対して矢印Z+方向側に形成された被トルク部52とを有する部材である。
【0061】
また、操作部材50は、後述する締結操作において、操作部材50が締結部材20に挿入された状態で、作業者により回転されることによって、締結部材20を締結させる部品である。
【0062】
操作側筒部56は、上述した締結部材20の円筒部に挿入することが可能とされ、外周面に上述した押圧部70、ストッパー部76、及び係合爪80を有する。なお、操作側筒部56のうち、
図9から
図11に示されるように、押圧部70、及び係合爪80が形成されている部分は、径方向内側に弾性変形可能な形状とされている。
【0063】
一例として、
図9から
図11に示されるように、操作側筒部56のうち押圧部70が形成されている箇所には、径方向内側に空洞58を有しており、操作側筒部56のうち係合爪80が形成されている箇所には、径方向内側に溝60を有していることで、操作側筒部56のうち押圧部70及び係合爪80が形成されている箇所は、径方向内側に弾性変形可能とされている。なお、押圧部70、ストッパー部76、及び係合爪80の具体的な形状については、後述する。
【0064】
操作側フランジ部54は、円筒部よりも拡径された部分であり、後述する係合状態において、締結側フランジ部22を覆う形状とされている。
【0065】
被トルク部52は、
図9に示されるように、操作側フランジ部54よりも矢印Z+方向に突出した部分であり、平面視で六角形状に形成されている。ここで、被トルク部52は、後述する締結操作において、作業者によって回転トルク(締付)を与えられる部分である。すなわち、作業者は、被トルク部52にトルクを加えることによって、操作部材50を回転させる。
【0066】
続いて、
図11から
図13を参照して押圧部70、ストッパー部76、及び係合爪80の形状を説明する。なお、
図12は、操作部材50が回転する回転軸線Cに対して、操作側筒部56の外周面を周方向に視た展開図であり、
図13は、
図12における一部を拡大した図である。また、
図12に示すように、操作部材50が回転する回転軸線Cは、後述する締結操作において、締結部材20の回転軸線Cと一致する。
【0067】
押圧部70は、本発明における「トルク付与部」の一例であり、
図9から
図11に示されるように、操作側筒部56の外周面に矢印Z+方向に延びて突設したリブとされ、一例として周方向に間隔を空けて等間隔に4箇所に形成されている。
【0068】
図12及び
図13に示されるように、押圧部70は、矢印Z-方向側において、矢印R2方向側から、矢印R1方向に向かって、矢印Z+方向に傾斜する付与側傾斜面74を有している。
【0069】
また、押圧部70は、
図11に示されるように矢印R1方向側から、矢印R2方向に向かって、径方向外側に傾斜するトルク傾斜面72を有している。なお、押圧部70の矢印Z+方向の位置は、後述する締結操作において、締結部材20の被押圧部30と当接する位置とされている。
【0070】
ストッパー部76は、本発明における「被ガイド部」の一例であり、押圧部70と同様に、
図9から
図11に示されるように、操作側筒部56の外周面に矢印Z+方向に延びて突設したリブとされ、一例として周方向に間隔をあけて等間隔に4箇所形成されている。また、
図11及び
図12に示されるように、ストッパー部76は、周方向に間隔を空けて形成されている押圧部70同士の間に形成されている。
【0071】
図11及び
図12に示されるように、ストッパー部76は、矢印R1方向側から、矢印R2方向側に向かって矢印Z+方向側に傾斜する被ガイド側傾斜面78を有している。
図11及び
図12に示されるように、ストッパー部76の矢印Z-方向側の端は、押圧部70の矢印Z-方向側の端よりも矢印Z+方向側に位置する形状とされている。また、ストッパー部76の矢印Z+方向側の端は、一例として押圧部70の矢印Z+方向側の端と同等とされている。
【0072】
係合爪80は、本発明における「係合部」の一例であり、押圧部70と同様に、
図9から
図11に示されるように、操作側筒部56の外周面に突設した爪状の部分であり、一例として周方向に間隔を空けて等間隔に四箇所に形成されている。
【0073】
また、
図11及び
図12に示されるように、係合爪80は、ストッパー部76の矢印R1方向側かつ押圧部70の矢印R2方向側に形成されている。換言すると、押圧部70、ストッパー部76及び係合爪80は、押圧部70を起点とすると矢印R1方向に、押圧部70、ストッパー部76及び係合爪80の順に形成されている。
【0074】
図11及び
図12に示されるように、係合爪80は、矢印R1方向側から、矢印R2方向側に向かって径方向内側に傾斜する爪側傾斜面82を有している。また、
図11及び
図12に示されるように、係合爪80は、矢印Z-方向側において、矢印Z-方向側から、矢印Z+方向に向かって、径方向内側に傾斜するロック傾斜面84を有している。なお、押圧部70の矢印Z+方向の位置は、後述する締結操作において、締結部材20の被係合部36よりも矢印Z-方向側で、被係合部36と当接する位置とされている。
【0075】
なお、本実施形態の操作部材50は、どのような材料で形成されていてもよいが、一例として硬質の樹脂で一体に形成されている。
【0076】
ここで、
図1から
図3に示されるように、操作部材50は、締結部材20に組み付けることが可能とされている。より具体的には、操作側筒部56の係合爪80と、締結側円筒部の被係合部36とが周方向に同じ位置となるように、締結部材20の締結側円筒部の矢印Z+方向側から、操作部材50の操作側筒部56を挿入することで、締結部材20と操作部材50とを組み付ける。
【0077】
ここで、操作部材50を締結部材20に挿入することで係合爪80が被係合部36に当接した場合、係合爪80には、ロック傾斜面84が矢印Z-方向側に形成されているため、ロック傾斜面84に案内されて係合爪80は、径方向内側に弾性変形する。この状態でさらに操作部材50を締結部材20に押し込むことによって、係合爪80は、被係合部36を乗り越えた後、被係合部36よりも矢印Z-方向側で弾性変形が解消される。このように被係合部36の矢印Z-方向側で係合爪80の弾性変形が解消された場合、係合爪80が被係合部36に引っ掛かるため、操作部材50は、容易に矢印Z+方向に引き抜けなくなる。締結部材20及び操作部材50のこの状態を、「係合状態」と称する。
【0078】
(締結操作及び作用)
続いて、本実施形態の締結部材20及び操作部材50を用いて締結構造10を得る締結操作、及びその作用を、
図14から
図20を適宜参照しながら説明する。
【0079】
図14から
図20は、係合状態である操作部材50及び締結部材20における、押圧部70、ストッパー部76、係合爪80、被押圧部30及び被係合部36を、締結部材20の外側から締結側円筒部を透過して視た展開図である。なお、
図14から
図20では、周方向の一部分のみを図示しているが、
図14から
図20において図示されていない押圧部70、ストッパー部76、係合爪80、被押圧部30及び被係合部36の関係は、図示されている部分と同様である。
【0080】
まず、作業者は、締結部材20及び操作部材50を上述の手順によって係合状態として、
図2に示すように、排水管16、封止部材12及びバスタブ14と組み合わせ、排水管16の雌ネジ部18に締結部材20の雄ネジ部26を挿入する。この状態では、
図14に示されるように、締結部材20及び操作部材50は、係合状態であり、係合爪80が被係合部36に引っ掛かるため、操作部材50は、容易に矢印Z+方向に引き抜けない。
また、
図14に示されるように、ストッパー部76が被係合部36に当接し、押圧部70が被押圧部30に当接するため、操作部材50は、矢印R1方向及び矢印R2方向には容易に回転しない。
【0081】
次に、操作部材50を回転させることで締結部材20を回転させることで、締付部材の雄ネジ部26は、排水管16の雌ネジ部18と螺合する。ここで、操作部材50がさらに回転され、締結部材20が排水管16に締付トルクを与える場合、締結部材20と操作部材50は、相対的に回転する。より具体的には、操作部材50は、
図14において矢印R1方向に相対的に回転するため、被押圧部30に押圧部70が当接し、締結部材20に締付トルクを与える。
【0082】
ここで、押圧部70にはトルク傾斜面72が形成されており、被押圧部30には被トルク傾斜面34が形成されているため、
図14において被押圧部30に押圧部70が締付トルクを与える場合、押圧部70は、径方向内側に案内される。
【0083】
また、上述の通り、操作側筒部56の押圧部70が形成されている部分は、空洞58により径方向内側に弾性変形が可能である。これにより、操作部材50に与える締付トルクが所定の値になった場合に、押圧部70が径方向内側に弾性変形することで、押圧部70は、被押圧部30を乗り越えて被押圧部30よりも矢印R1方向側に相対移動する。換言すると、押圧部70と被押圧部30との当接が解除されて押圧部70が被押圧部30よりも矢印R1方向側に相対移動する。
【0084】
また、
図15に示されるように、押圧部70が被押圧部30を乗り越えた状態では、係合爪80は、被係合部36と矢印Z方向で重ならなくなる。すなわち係合状態が解消されるため、操作部材50は、矢印Z+方向に引き抜くことが可能となる。
【0085】
ここで、
図15に示された状態から、さらに操作部材50を矢印R1方向に回転させた場合、
図16に示されるように、ストッパー部76の被ガイド側傾斜面78が被押圧部30のガイド側傾斜面32に当接する。この状態で操作部材50を矢印R1方向に回転させた場合、操作部材50は、被押圧部30のガイド側傾斜面32及びストッパー部76の被ガイド傾斜面によって矢印Z+方向に案内され、
図17の状態となる。
【0086】
図17は、操作部材50が被押圧部30のガイド側傾斜面32によって、矢印Z+方向に案内された状態であり、ストッパー部76が被押圧部30の矢印Z+方向側に位置している。
【0087】
ここで、
図17に示された状態から、さらに操作部材50を矢印R1方向に回転させた場合、
図18に示されるように、係合爪80の爪側傾斜面82が、被押圧部30の被トルク傾斜面34に当接する。この状態で、操作部材50を矢印R1方向に回転させた場合、係合爪80の爪側傾斜面82は、被押圧部30の被トルク傾斜面34によって径方向内側に弾性変形し、
図19の状態となる。
【0088】
図19は、係合爪80が径方向内側に弾性変形しながら、押圧部70の付与側傾斜面74が、被係合部36の被係合側傾斜面38に当接した状態である。この状態で、操作部材50を矢印R1方向に回転させた場合、操作部材50は、押圧部70の付与側傾斜面74及び被係合部36の被係合側傾斜面38によって、矢印Z+方向側に案内される。
【0089】
そして、さらに操作部材50を矢印R1方向に回転させた場合、
図20に示されるように、押圧部70は、被係合部36の矢印Z+方向側に位置する状態となる。このように、本実施形態の操作部材50は、締結部材20に所定の締付トルクを与えた後も矢印R1方向に回転させた場合、操作部材50全体が矢印Z+方向に案内される。
【0090】
なお、
図20に示された状態から、さらに操作部材50を矢印R1方向に回転させた場合、操作部材50は、押圧部70が被係合部36と矢印Z方向で重ならない位置まで回転した後、矢印Z-方向側へ移動する。すなわち、
図20に示された状態から、さらに操作部材50を矢印R1方向に回転させた場合、
図15に示される状態に戻ることになる。
【0091】
このように、本実施形態の締結部材20及び操作部材50では、一度だけ被押圧部30に押圧部70が当接し、締結部材20に所定の締付トルクを与えた後は、係合状態が解消された状態が維持される。なお、締結部材20に所定の締付トルクを与えた後、作業者が操作部材50を取り外すことで、締結部材20は、バスタブ14の排水口15として機能する。
【0092】
なお、締結部材20の被押圧部30及び被係合部36は、上述の通り、矢印Z+方向の端の位置が同等であるため、ヘアキャッチャなどのストレーナを設置可能となっている。
【0093】
(効果)
本実施形態の締結部材20及び操作部材50を用いた締結構造10では、次に示す効果が得られる。
【0094】
本実施形態の締結構造10では、操作部材50を回転操作することで押圧部70が被押圧部30に当接し、操作部材50から締結部材20へ締付トルクが付与される。そして、締結部材20に付与される締付トルクが所定値に達すると、押圧部70が被押圧部30を乗り越える。このため、一定の締付トルクでの締結が可能になる。すなわち、本実施形態の締結構造10によれば、締結部材20が過剰な締付トルクでバスタブ14及び排水管16に締結されることが抑えられる。
【0095】
また、本実施形態の締結構造10では、操作部材50の回転操作により押圧部70が被押圧部30を乗り越えるとストッパー部76が被押圧部30に当接する。ここで、被押圧部30に当接したストッパー部76は、締結部材20の締結方向と反対側に案内される。すなわち、締結部材20に対して操作部材50が締結方向と反対側に移動する。これにより、本発明によれば、作業者は、締結部材20が所定の締付トルクでバスタブ14及び排水管16に締結されたことを把握することができる。
【0096】
また、本実施形態の締結構造10では、被押圧部30が操作部材50から締結部材20へ締付トルクを付与する矢印R1方向に向かって締結方向と反対側に傾斜するガイド側傾斜面32を有し、操作部材50の回転操作によって押圧部70がガイド側傾斜面32に当接する。このように本実施形態の締結構造10では、操作部材50の締付トルクを付与する矢印R1方向の回転操作によってストッパー部76がガイド側傾斜面32に当接するため、簡易な構造によって操作部材50を締結方向と反対側にガイドすることができる。
【0097】
また、本実施形態の締結構造10では、ストッパー部76が矢印R1方向に向かって締結方向と反対側に傾斜する被ガイド側傾斜面78を有し、操作部材50の回転操作によって被ガイド側傾斜面78にガイド側傾斜面32が当接する。このように本実施形態の締結構造10では、操作部材50の締付トルクを付与する矢印R1方向の回転操作によって被ガイド側傾斜面78がガイド側傾斜面32に当接するため、例えば、ストッパー部76の当接部分が角張っている構成と比べて、ガイド側傾斜面32上を被ガイド側傾斜面78がスムーズに移動する。これにより、ストッパー部76が被押圧部30に案内されるときのガタ付きを抑えられる。
【0098】
また、本実施形態の締結構造10では、締結部材20が締結側筒部24の内周面に突設された被係合部36を有し、操作部材50は、操作側筒部56の外周面に突設され、被係合部36に係合する係合爪80を有し、係合爪80は、操作部材50の回転操作によって押圧部70が被押圧部30を乗り越えると、被係合部36との係合状態が解除される。このように本実施形態の締結構造10では、操作部材50の回転操作によって押圧部70が被押圧部30を乗り越える、すなわち、締付トルクが所定値に達すると、係合爪80と被係合部36との係合状態が解除されることから、操作部材50が締結部材20から離脱可能となる。これにより、操作部材50の係合爪80を締結部材20の被係合部36に係合させた状態で出荷することで、部品の脱落を防止することができる。
【0099】
また、本実施形態の締結構造10では、被係合部36が矢印R1方向に向かって締結方向と反対側に傾斜する被係合側傾斜面38を有し、押圧部70は、矢印R1方向に向かって締結方向と反対側に傾斜する付与側傾斜面74を有し、操作部材50の回転操作によってストッパー部76が被押圧部30によって締結方向と反対側へ案内されて移動すると、付与側傾斜面74が被係合側傾斜面38に当接し、押圧部70が被係合部36によって締結方向と反対側へ案内される。このように本実施形態の締結構造10では、押圧部70が被係合部36よりも締結方向と反対側にガイドされるため、被係合側傾斜面38を有していない締結構造10に比べて、押圧部70が被係合部36に当たることで締結部に過剰な締付トルクが加わって、締結後にバスタブ14及び排水管16及び締結部材20に破損が生じるのを抑制できる。
【0100】
また、本実施形態の締結構造10では、係合部が外方に突出した係合爪80であり、係合爪80には、被押圧部30への乗り上げをガイドする爪側傾斜面82が設けられている。このように本実施形態の締結構造10では、爪側傾斜面82を備えないものと比べて、係合爪80が被押圧部30に乗り上りやすい。ここで、係合爪80が被押圧部30に乗り上げると、係合爪80と被押圧部30との間の係合状態が解除される。すなわち、本実施形態の締結構造10によれば、確実に係合状態を解除して締結部材20から操作部材50を離脱させることができる。
【0101】
また、本実施形態の締結構造10では、締結部材20の締結方向と反対側の端部に径方向外側へ張り出す締結側フランジ部22が形成されており、操作部材50の締結方向と反対側の端部に径方向外側へ張り出す操作側フランジ部54が形成されており、操作側フランジ部54は、締結側フランジ部22の全体を覆う。このように本実施形態の締結構造10によれば、バスタブ14及び排水管16に締結される締結部材20の締結側フランジ部22の表面が操作部材50の操作側フランジ部54によって覆われるため、出荷時に締結部材20の締結側フランジ部22の表面に傷が付く等の外観不良の発生を抑制することができる。
【0102】
また、本実施形態の締結構造10では、取付部材が水回り部材である。このように本実施形態の締結構造10によれば、一定の締付トルクでの締結が可能であると共に、施工者の技能に依存せずに施工品質を向上させることが可能な締結構造10を提供することができる。換言すれば、施工者の技能に依存せずに排水口15の槽壁と水回り部材との間のシール性が確保されるため、漏水のおそれが従来よりも効果的に低減される。
【0103】
(変形例)
なお、上述の説明において、被押圧部30は、ガイド側傾斜面32を有していたが、これに限らず、本実施形態の締結構造10は、ガイド側傾斜面32を有していない構成とされていてもよい。すなわち、被押圧部30がガイド側傾斜面32を有せず、被押圧部30にストッパー部76のガイド部が当接する構成とされていても、操作部材50が矢印Z+方向に案内されるため、作業者は、締結部材20が所定の締付トルクで取付部材に締結されたことを把握することができる。
【0104】
また、上述の説明において、ストッパー部76は、被ガイド側傾斜面78を有していたが、これに限らず、本実施形態の締結構造10は、被ガイド側傾斜面78を有していない構成とされていてもよい。すなわち、ストッパー部76が被ガイド側傾斜面78を有せず、被押圧部30のガイド側傾斜にストッパー部76が当接する構成とされていても、操作部材50が矢印Z+方向に案内されるため、作業者は、締結部材20が所定の締付トルクで取付部材に締結されたことを把握することができる。
【0105】
また、上述の説明において、締結部材20は、内周面に突設された被係合部36を有し、操作部材50は、外周面に突設され、被係合部36に係合する係合爪80を有していたが、本実施形態の締結構造10は、これに限らず、係合爪80及び被係合部36を有していない構成とされていてもよい。すなわち、係合爪80及び被係合部36を有せず、操作部材50を締結部材20から所定の締付トルクを家庭内状態で引き抜くことが可能であったとしても、作業者は、締結部材20が所定の締付トルクで取付部材に締結されたことを把握することができる。
【0106】
また、上述の説明において、被係合部36は、回転方向に向かって締結方向と反対側に傾斜する被係合側傾斜面38を有し、トルク付与部は、回転方向に向かって締結方向と反対側に傾斜する付与側傾斜面74を有していたが、これに限らず、被係合側傾斜面38及び付与側傾斜面74を有していない構成とされていてもよい。すなわち、押圧部70が付与側傾斜面74を有していない構成とされていても、操作部材50は、ストッパー部76が被押圧部30のガイド側傾斜面32に当接して案内されることによって、矢印Z+方向側に案内されるため、作業者は、締結部材20が所定の締付トルクで取付部材に締結されたことを把握することができる。
【0107】
また、上述の説明において、係合部は、外方に突出した係合爪80であり、係合爪80には、ガイド部への乗り上げをガイドする爪側傾斜面82が設けられていたが、これに限らず、爪側傾斜面82を有していない構成とされていてもよい。すなわち、爪側傾斜面82を有しておらず、被押圧部30の被トルク傾斜面34に係合爪80が直接案内される構成とされていても、係合爪80は、径方向内側に弾性変形するため、操作部材50を取付部材から引き抜くことが可能となる。
【0108】
また、上述の説明において操作部材50には、操作側フランジ部54が形成されていたが、これに限らず、操作側フランジ部54を有していない構成とされていてもよい。すなわち、操作部が操作側フランジ部54を有していなくても、操作部を回転させた場合に操作部は、矢印Z+方向に案内されるため、作業者は、締結部材20が所定の締付トルクで取付部材に締結されたことを把握することができる。
【0109】
また、上述の説明において、取付部材の一例として水回り部材であるバスタブ14を用いて説明していたが、本実施形態の締結構造10は、これに限らず、水回り部材以外に用いられていてもよい。すなわち、本実施形態の締結構造10は、取付部材として水回り部材以外にも、電線などの配線を壁などに通す通線部分や、エアコンの配管を壁などに通すダクトなどにおいても、本実施形態の締結構造10を用いることで、作業者は、締結部材20が所定の締付トルクで取付部材に締結されたことを把握することができる。
【0110】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0111】
10 締結構造
12 封止部材
14 バスタブ(取付部材、水回り部材の一例)
15 排水口
16 排水管
17 開口端
18 雌ネジ部
20 締結部材
22 締結側フランジ部
24 締結側筒部
26 雄ネジ部
30 被押圧部(案内手段、ガイド部の一例)
32 ガイド側傾斜面
34 被トルク傾斜面
36 被係合部
38 被係合側傾斜面
50 操作部材
52 被トルク部
54 操作側フランジ部
56 操作側筒部
58 空洞
60 溝
70 押圧部(トルク付与部の一例)
72 トルク傾斜面
74 付与側傾斜面
76 ストッパー部(案内手段、被ガイド部の一例)
80 係合爪(係合部の一例)
82 爪側傾斜面
84 ロック傾斜面