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特開2023-138084超音波疲労試験機、及び超音波疲労試験方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138084
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】超音波疲労試験機、及び超音波疲労試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/34 20060101AFI20230922BHJP
   G01N 3/04 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G01N3/34 D
G01N3/04 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044579
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 千紘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓斗
(72)【発明者】
【氏名】菊池 克信
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA08
2G061AB06
2G061BA15
2G061CC13
2G061DA01
(57)【要約】
【課題】試験片に対してねじり方向に適切な応力を付与することができる超音波疲労試験機を提供すること。
【解決手段】超音波疲労試験機は、超音波を発生させる超音波発生部と、一端が固定されており、他端が試験片の一端を保持する第1のホーンであって、一端に入力した超音波の振幅を増幅して他端から出力する第1のホーンと、第1のホーンと対向して配置されており、第1のホーンと反対側の一端が固定されており、他端が試験片の他端を保持する第2のホーンと、試験片に付与されるモーメントを計測する計測部と、モーメントに応じて試験片に付与する平均ねじり応力を調整可能な回転ステージと、第2のホーンと回転ステージの間に位置し、第2のホーンの中心軸と回転ステージの回転中心軸との軸ずれを調整可能な第1XYステージと、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片をねじり方向の振幅を有する超音波により共振させることによって超音波疲労試験を行うための超音波疲労試験機であって、
前記超音波を発生させる超音波発生部と、
一端が固定されており、他端が前記試験片の一端を保持する第1のホーンであって、前記一端に入力した前記超音波の振幅を増幅して前記他端から出力する第1のホーンと、
前記第1のホーンと対向して配置されており、前記第1のホーンと反対側の一端が固定されており、他端が前記試験片の他端を保持する第2のホーンと、
前記試験片に付与されるモーメントを計測する計測部と、
前記モーメントに応じて前記試験片に付与する平均ねじり応力を調整可能な回転ステージと、
前記第2のホーンと前記回転ステージの間に位置し、前記第2のホーンの中心軸と前記回転ステージの回転中心軸との軸ずれを調整可能な第1XYステージと、
を備えることを特徴とする超音波疲労試験機。
【請求項2】
前記第1XYステージは、前記第2のホーンの中心軸と前記回転ステージの回転中心軸との軸ずれを閾値以下に調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の超音波疲労試験機。
【請求項3】
前記第2のホーンの一部を前記試験片と反対側に押圧することにより、前記第2のホーンの前記一端を固定する固定治具を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波疲労試験機。
【請求項4】
前記回転ステージを載置し、前記第1のホーンの中心軸と前記第2のホーンの中心軸との軸ずれを調整可能な第2XYステージを備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の超音波疲労試験機。
【請求項5】
試験片をねじり方向の振幅を有する超音波により共振させる超音波疲労試験方法であって、
一端が固定されており、前記一端に入力した前記超音波の振幅を増幅して他端から出力する第1のホーンの前記他端に前記試験片の一端を保持させる一方、前記第1のホーンと対向して配置されており、前記第1のホーンと反対側の一端が固定されている第2のホーンの他端に前記試験片の他端を保持させ、
前記第2のホーンと前記試験片に付与する平均ねじり応力を調整可能な回転ステージとの間に位置する第1XYステージを操作することにより、前記第2のホーンの中心軸と前記回転ステージの回転中心軸との軸ずれを調整し、
前記試験片に付与されるモーメントを計測し、
前記回転ステージを操作することにより、前記モーメントに応じて前記試験片に付与する平均ねじり応力を調整することを特徴とする超音波疲労試験方法。
【請求項6】
前記第1XYステージを操作することにより、前記第2のホーンの中心軸と前記回転ステージの回転中心軸との軸ずれを閾値以下に調整することを特徴とする請求項5に記載の超音波疲労試験方法。
【請求項7】
前記第2のホーンの一部を固定治具によって前記試験片と反対側に押圧することにより、前記第2のホーンの前記一端を固定することを特徴とする請求項5又は6に記載の超音波疲労試験方法。
【請求項8】
前記回転ステージを操作することにより、前記モーメントに応じて前記試験片に付与する平均ねじり応力を調整する前に、前記回転ステージを載置する第2XYステージを操作することにより、前記第1のホーンの中心軸と前記第2のホーンの中心軸との軸ずれを調整することを特徴とする請求項5~7のいずれか1つに記載の超音波疲労試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波疲労試験機、及び超音波疲労試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試験片をねじり方向の振幅を有する超音波により共振させることによって超音波疲労試験を行うための超音波疲労試験機が知られている。
【0003】
特許文献1には、試験片の一端からホーンを介して超音波を入力する際、試験片の他端を固定しないで行う超音波疲労試験方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、試験片の一端からホーンを介して超音波を入力する際、ホーンを介して試験片の他端を固定して行う超音波疲労試験方法が記載されている。
【0005】
また、近年、回転ステージにより試験片に対して平均ねじり応力を付与して行う超音波疲労試験方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-271248号公報
【特許文献2】特開2019-53009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、試験片に対して平均ねじり応力を付与する場合、試験片の中心軸と回転ステージの回転中心軸とが軸ずれしていると、試験片に対してねじり方向に適切な応力を付与することができず、他の方向にも応力が発生してしまうという課題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、試験片に対してねじり方向に適切な応力を付与することができる超音波疲労試験機、及び超音波疲労試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る超音波疲労試験機は、試験片をねじり方向の振幅を有する超音波により共振させることによって超音波疲労試験を行うための超音波疲労試験機であって、前記超音波を発生させる超音波発生部と、一端が固定されており、他端が前記試験片の一端を保持する第1のホーンであって、前記一端に入力した前記超音波の振幅を増幅して前記他端から出力する第1のホーンと、前記第1のホーンと対向して配置されており、前記第1のホーンと反対側の一端が固定されており、他端が前記試験片の他端を保持する第2のホーンと、前記試験片に付与されるモーメントを計測する計測部と、前記モーメントに応じて前記試験片に付与する平均ねじり応力を調整可能な回転ステージと、前記第2のホーンと前記回転ステージの間に位置し、前記第2のホーンの中心軸と前記回転ステージの回転中心軸との軸ずれを調整可能な第1XYステージと、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様に係る超音波疲労試験機は、前記第1XYステージは、前記第2のホーンの中心軸と前記回転ステージの回転中心軸との軸ずれを閾値以下に調整可能であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る超音波疲労試験機は、前記第2のホーンの一部を前記試験片と反対側に押圧することにより、前記第2のホーンの前記一端を固定する固定治具を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様に係る超音波疲労試験機は、前記回転ステージを載置し、前記第1のホーンの中心軸と前記第2のホーンの中心軸との軸ずれを調整可能な第2XYステージを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様に係る超音波疲労試験方法は、試験片をねじり方向の振幅を有する超音波により共振させる超音波疲労試験方法であって、一端が固定されており、前記一端に入力した前記超音波の振幅を増幅して他端から出力する第1のホーンの前記他端に前記試験片の一端を保持させる一方、前記第1のホーンと対向して配置されており、前記第1のホーンと反対側の一端が固定されている第2のホーンの他端に前記試験片の他端を保持させ、前記第2のホーンと前記試験片に付与する平均ねじり応力を調整可能な回転ステージとの間に位置する第1XYステージを操作することにより、前記第2のホーンの中心軸と前記回転ステージの回転中心軸との軸ずれを調整し、前記試験片に付与されるモーメントを計測し、前記回転ステージを操作することにより、前記モーメントに応じて前記試験片に付与する平均ねじり応力を調整することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様に係る超音波疲労試験方法は、前記第1XYステージを操作することにより、前記第2のホーンの中心軸と前記回転ステージの回転中心軸との軸ずれを閾値以下に調整することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様に係る超音波疲労試験方法は、前記第2のホーンの一部を固定治具によって前記試験片と反対側に押圧することにより、前記第2のホーンの前記一端を固定することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様に係る超音波疲労試験方法は、前記回転ステージを操作することにより、前記モーメントに応じて前記試験片に付与する平均ねじり応力を調整する前に、前記回転ステージを載置する第2XYステージを操作することにより、前記第1のホーンの中心軸と前記第2のホーンの中心軸との軸ずれを調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、試験片に対してねじり方向に適切な応力を付与することができる超音波疲労試験機、及び超音波疲労試験方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施の形態に係る超音波疲労試験機の構成を示す模式図である。
図2図2は、試験片に対するモーメントの方向を表す図である。
図3図3は、図1に示す超音波疲労試験機を用いた超音波疲労試験方法のフローチャートである。
図4図4は、試験片に増幅ホーンの棒状部及びホーンの棒状部を接続した状態を表す図である。
図5図5は、第1XYステージ及び第2XYステージにより軸ずれを調整する様子を表す図である。
図6図6は、第1固定治具を第2固定治具に固定する様子を表す図である。
図7図7は、回転ステージにより試験片に対するねじり方向の応力を調整する様子を表す図である。
図8図8は、回転ステージを回転させた場合にモーメントが変化する様子を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、図面は模式的なものであって、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる場合があり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0020】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る超音波疲労試験機の構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態に係る超音波疲労試験機1は、制御装置2と、超音波発生部3と、第1のホーンである増幅ホーン4と、試験片5と、第2のホーンであるホーン6と、固定治具7と、第1XYステージ8と、計測部としての六分力計9と、回転ステージ10と、第2XYステージ11と、を備える。
【0021】
制御装置2は、超音波発生部3に駆動電力を供給するとともに超音波発生部3を制御する。
【0022】
超音波発生部3は、超音波発生部3からの入力に応じて、ねじり方向の振幅を有する超音波を発生させる。超音波発生部3は、超音波発振器31と、ねじり変換機32と、を有する。ただし、超音波発振器がねじり方向の振幅を有する超音波を発生可能であれば、ねじり変換機を有しない構成であってもよい。
【0023】
超音波発振器31は、超音波発生部3からの入力に応じて、例えば横方向の所定の振幅及び周波数を有する超音波を発生させる。超音波発振器31が発生させる超音波の周波数は、例えば20kHzであるが、例えば15~30kHzの範囲で適切な周波数を選択することができる。
【0024】
ねじり変換機32は、超音波発生部3からの横方向の振幅を有する超音波をねじり方向の振幅を有する超音波に変換する。
【0025】
増幅ホーン4は、棒状部4aと、棒状部4aと中心軸が一致する拡径部4bと、を有する。増幅ホーン4は、棒状部4aと反対側の一端(上端)が固定されており、他端(下端)が試験片5の一端(上端)を保持する。増幅ホーン4は、超音波発生部3から一端(上端)に入力した超音波の振幅を増幅して他端(下端)から試験片5に出力する。ただし、増幅ホーン4は、棒状部を有しない形状であってもよく、例えば下端に向かって縮径するテーパー状の形状であってもよい。
【0026】
試験片5は、両端(上端及び下端)を増幅ホーン4の棒状部4a及びホーン6の棒状部6aにそれぞれ固定され、ねじり方向の振幅を有する超音波により共振する。試験片5は、特に限定されないが、例えば金属片であり、材料を加工したいわゆる試験片形状であったり、材料を未加工のまま(例えば線材を線状まま)使用したりすることができる。
【0027】
ホーン6は、増幅ホーン4と対向して配置されており、棒状部6aと、棒状部6aと中心軸が一致する拡径部6bと、を有する。ホーン6は、増幅ホーン4と反対側の一端(下端)が固定されており他端(上端)が試験片5の他端(下端)を保持する。ただし、ホーン6は、棒状部を有しない形状であってもよく、例えば上端に向かって縮径するテーパー状の形状であってもよい。
【0028】
増幅ホーン4、試験片5、及びホーン6は、超音波発生部3からのねじり方向の振幅を有する超音波により互いに共振し、試験片5の中心に節が、増幅ホーン4及びホーン6の試験片5と反対側の端部に腹が位置するように質量や剛性が調整されている。
【0029】
固定治具7は、ホーン6の一部を試験片5と反対側に押圧することにより、ホーン6の拡径部6bを第1XYステージ8に固定する。ただし、固定治具7がホーン6を押圧する方向は特に限定されない。固定治具7は、第1固定治具71と、第2固定治具72と、を有する。
【0030】
第1固定治具71は、ホーン6の一部(例えば試験片5と反対側の端部に形成されているフランジ部)を試験片5と反対側から押圧することにより、ホーン6の拡径部6bの端部を固定する。第1固定治具71は、例えば第2固定治具72にネジで固定される。
【0031】
第2固定治具72は、第1XYステージ8に固定されている。
【0032】
第1XYステージ8は、ホーン6と回転ステージ10の間に位置し、ホーン6の中心軸と回転ステージ10の回転中心軸との軸ずれを調整可能である。
【0033】
六分力計9は、試験片5に付与されるモーメントを計測する。具体的には、六分力計9は、直交する3軸方向に沿ってかかる力と、各軸周りのモーメントとを計測する。図2は、試験片に対するモーメントの方向を表す図である。図2に示すように、六分力計9は、x、y、z軸方向に沿ってかかる力Fx、Fy、Fzと、各軸周りのモーメントMx、My、Mzを計測する。なお、六分力計9は、試験片5に付与される力とモーメントとを計測な位置に配置されていればよい。
【0034】
回転ステージ10は、試験片5に付与する平均ねじり応力を調整可能である。
【0035】
第2XYステージ11は、回転ステージ10を載置し、増幅ホーン4の中心軸とホーン6の中心軸との軸ずれを例えば閾値以下に調整可能である。閾値は、例えば0.05mmであるが特に限定されない。
【0036】
次に、超音波疲労試験機1を用いた超音波疲労試験方法について説明する。図3は、図1に示す超音波疲労試験機を用いた超音波疲労試験方法のフローチャートである。図3に示すように、はじめに、試験片5に増幅ホーン4の棒状部4a及びホーン6の棒状部6aを接続する(ステップS1)。図4は、試験片に増幅ホーンの棒状部及びホーンの棒状部を接続した状態を表す図である。図4に示すように、試験片5の一端(上端)に形成されているネジに、増幅ホーン4の一端(下端)に形成されているネジ穴を螺合することにより、増幅ホーン4の棒状部4aに試験片5を保持させる。また、試験片5の他端(下端)に形成されているネジに、ホーン6の他端(上端)に形成されているネジ穴を螺合することにより、ホーン6の棒状部6aに試験片5を保持させる。
【0037】
続いて、第1XYステージ8を操作することにより、ホーン6の中心軸と回転ステージ10の回転中心軸との軸ずれを調整する(ステップS2)。図5は、第1XYステージ及び第2XYステージにより軸ずれを調整する様子を表す図である。図5に示すように、増幅ホーン4の上端を固定した状態で、第1XYステージ8を操作することにより、ホーン6の中心軸A1と回転ステージ10の回転中心軸A2との軸ずれを閾値以下に調整する。
【0038】
さらに、ホーン6を第1固定治具71及び第2固定治具72により固定する(ステップS3)。図6は、第1固定治具を第2固定治具に固定する様子を表す図である。図6に示すように、第1固定治具71がホーン6のフランジ部を試験片5と反対側(上側)に押圧することにより、ホーン6の拡径部6bの端部を予め第1XYステージ8に固定されている第2固定治具72に固定する。第1固定治具71は、第2固定治具72にネジで固定される。第1固定治具71と第2固定治具72とがz軸方向に沿ってホーン6を挟み込んで固定するため、他の方向からホーン6を押圧する場合よりも、固定する際のホーン6の中心軸のずれ量を小さくすることができる。
【0039】
その後、第2XYステージ11を操作することにより、増幅ホーン4の中心軸とホーン6の中心軸との軸ずれが、例えば閾値以下になるように調整する(ステップS4)。具体的には、回転ステージ10を回転させた際の曲げモーメントMx又はMyの変化量が小さくなるように、第2XYステージ11を操作すればよい。
【0040】
そして、回転ステージ10を反時計回りに回転させ、試験片5に付与する平均ねじり応力を調整する(ステップS5)。図7は、回転ステージにより試験片に対するねじり方向の応力を調整する様子を表す図である。図7に示すように、回転ステージ10を反時計回りに回転させることにより、試験片5に付与する平均ねじり応力が例えば閾値以下になるように調整することができる。
【0041】
図8は、回転ステージを回転させた場合にモーメントが変化する様子を表す図である。図8に示すように、回転ステージ10を反時計回りに回転させた場合に、ねじりモーメントMzは変化するが、曲げモーメントMx及びMyは変化量が閾値以下であることにより、ホーン6の中心軸と回転ステージ10の回転中心軸との軸ずれ、及び増幅ホーン4の中心軸とホーン6の中心軸との軸ずれが十分小さいことがわかる。
【0042】
以上説明した実施の形態によれば、第1XYステージ8、及び第2XYステージ11を操作することにより、ホーン6の中心軸と回転ステージ10の回転中心軸との軸ずれ、及び増幅ホーン4の中心軸とホーン6の中心軸との軸ずれを調整した状態で、回転ステージ10により試験片5に対してねじり方向に適切な応力を付与して超音波疲労試験を行うことができる。
【0043】
なお、この超音波疲労試験機1によれば、試験片5に付与される平均ねじり応力が略ゼロの状態で超音波疲労試験を行うこともできるし、試験片5に所定の大きさの平均ねじり応力を付与した状態で超音波疲労試験を行うこともできる。
【0044】
また、超音波疲労試験機1を用いて、第1XYステージ8、及び第2XYステージ11を予め任意の方向に操作することにより、平均ねじり応力以外に、他の方向に応力を付与した状態で超音波疲労試験を行うこともできる。
【符号の説明】
【0045】
1 超音波疲労試験機
2 制御装置
3 超音波発生部
4 増幅ホーン
4a、6a 棒状部
4b、6b 拡径部
5 試験片
6 ホーン
7 固定治具
8 第1XYステージ
9 六分力計
10 回転ステージ
11 第2XYステージ
31 超音波発振器
32 ねじり変換機
71 第1固定治具
72 第2固定治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8