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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013812
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】商品陳列棚及び商品陳列用什器
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/06 20060101AFI20230119BHJP
   A47F 5/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
A47F3/06
A47F5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118242
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅弘
【テーマコード(参考)】
3B110
3B118
【Fターム(参考)】
3B110AA12
3B110CA12
3B110GA28
3B110JA13
3B118AA14
3B118BB13
3B118CA12
3B118DA12
(57)【要約】
【課題】棚支柱の設置間隔(左右方向)の変化に対応できる商品陳列棚を提供する。
【解決手段】商品陳列棚は、棚板と、左右一対のブラケット部材と、左右方向に移動可能にブラケット部材を取り付ける幅調節部材7とを備え、少なくとも一方のブラケット部材3Aは、幅調節部材7を介して棚支柱5に支持される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚板と、
左右一対のブラケット部材と、
左右方向に移動可能に前記ブラケット部材を取り付ける幅調節部材と
を備え、
少なくとも一方のブラケット部材は、前記幅調節部材を介して棚支柱に支持される、
商品陳列棚。
【請求項2】
前記ブラケット部材は、前記棚支柱の係合孔に挿入可能な係合片を有し、
前記幅調節部材は、
前記棚支柱の係合孔より開口幅の大きい調節孔と、
前記棚支柱の係合孔に係合する係合片と、
を有し、
前記一方のブラケット部材の係合片が、前記調節孔に対して、左右方向に移動可能に係合する、
請求項1に記載の商品陳列棚。
【請求項3】
前記幅調節部材は、第1板部と第2板部とを折曲部を介して折曲状に有し、
前記調節孔は、前記第1板部と前記折曲部とに連続する状態で設けられ、
前記幅調節部材の係合片が前記第2板部に設けられている、
請求項2に記載の商品陳列棚。
【請求項4】
前記一方のブラケット部材が前記幅調節部材を介して前記棚支柱に支持され、
前記一方のブラケット部材の前後方向の長さは、他方のブラケット部材の前後方向の長さよりも短い、
請求項1~3の何れか1項に記載の商品陳列棚。
【請求項5】
前記幅調節部材は、前記第2板部と直交する方向に屈曲する屈曲部を前記第2板部に有する、
請求項4に記載の商品陳列棚。
【請求項6】
前記幅調節部材は、前記第1板部における前記第2板部と反対側端から、前記第2板部と直交する方向に屈曲する第3板部を有する、
請求項4又は5に記載の商品陳列棚。
【請求項7】
商品陳列棚と、前記商品陳列棚が取り付けられる棚支柱とを備える商品陳列用什器において、
前記商品陳列棚は、請求項1~6の何れか1項に記載の商品陳列棚である、
商品陳列用什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚板と一対のブラケット部材とを備える商品陳列棚等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ショーケース等の商品載置棚はブラケット部材及び棚板を備えて構成されている。ブラケット部材は、ショーケースの収納室の背面側において上下方向に所定間隔で係止孔が形成された棚支柱に対し、自身の係止片が所定の係止孔に挿入されることで、該棚支柱に支持される左右一対のものである(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-10833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の商品載置棚は、左右一対のブラケット部材が、棚支柱の所定の設置間隔に対応して取付けられているため、棚支柱の設置間隔(左右方向)の変化には対応できないという欠点があった。
本発明は、棚支柱の設置間隔(左右方向)の変化に対応できる商品陳列棚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る商品陳列棚は、棚板と、左右一対のブラケット部材と、左右方向に移動可能に前記ブラケット部材を取り付ける幅調節部材とを備え、少なくとも一方のブラケット部材は、前記幅調節部材を介して棚支柱に支持される。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、幅調節部材を備えるため、棚支柱の設置間隔(左右方向)の変化に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る複数段の商品陳列棚を上方から見た斜視図であり、一部を拡大している。
図2】棚板と幅調節部材とを棚支柱から外した状態を上方から見た斜視図である。
図3】棚板と幅調節部材とを棚支柱から外した状態を下方から見た斜視図である。
図4】幅調節部材を介したブラケット部材の棚支柱への取付状態を示す斜視図であり、(a)は前側から見た図であり、(b)は後側から見た図であって棚支柱の一部を切り欠いている。
図5】幅調節部材の使用例を説明する図である。
図6】変形例に係る幅調節部材の斜視図である。
【0008】
<概要>
実施形態の一態様に係る第1の商品陳列棚は、棚板と、左右一対のブラケット部材と、左右方向に移動可能に前記ブラケット部材を取り付ける幅調節部材とを備え、少なくとも一方のブラケット部材は、前記幅調節部材を介して棚支柱に支持される。これにより、左右の棚支柱の設置間隔の変化に対応して棚板を設置できる。
実施形態の別態様に係る第2の商品陳列棚は、第1の商品陳列棚において、前記ブラケット部材は、前記棚支柱の係合孔に挿入可能な係合片を有し、前記幅調節部材は、前記棚支柱の係合孔より開口幅の大きい調節孔と、前記棚支柱の係合孔に係合する係合片と、を有し、前記一方のブラケット部材の係合片が、前記調節孔に対して、左右方向に移動可能に係合する。これにより、容易に、一方のブラケット部材を幅調節部材に設置間隔に合わせて取り付けることができる。
【0009】
実施形態の別態様に係る第3の商品陳列棚は、第2の商品陳列棚において、前記幅調節部材は、第1板部と第2板部とを折曲部を介して折曲状に有し、前記調節孔は、前記第1板部と前記折曲部とに連続する状態で設けられ、前記幅調節部材の係合片が前記第2板部に設けられている。これにより、例えば、幅調節部材をプレス加工で製造する場合、その加工(折り曲げ)が容易となり、製造効率を高めることができる。また、ブラケット部材の係合片を調節孔における第2板部側に寄せることができ、調節孔の幅寸法を最大限利用できる。
実施形態の別態様に係る第4の商品陳列棚は、第1~第3の何れかの商品陳列棚において、前記一方のブラケット部材が前記幅調節部材を介して前記棚支柱に支持され、前記一方のブラケット部材の前後方向の長さは、他方のブラケット部材の前後方向の長さよりも短い。これにより、棚板の幅寸法を調節しても、棚板の後端部と前端部とを平行に支持できる。つまり、棚板の前端面において、左右で前後方向にズレが生じず、帳尻合わせできる。
【0010】
実施形態の別態様に係る第5の商品陳列棚は、第4の商品陳列棚において、前記幅調節部材は、前記第2板部と直交する方向に屈曲する屈曲部を前記第2板部に有する。これにより、幅調節部材の係合片を棚支柱の係合孔に挿入した際に、屈曲部が棚支柱に当接することで、棚板側から支柱側への押圧力や左右方向の揺れ等を受けて、棚板を安定した状態で支持できる。
実施形態の別態様に係る第6の商品陳列棚は、第4又は第5の商品陳列棚において、前記幅調節部材は、前記第1板部における前記第2板部と反対側端から、前記第2板部と直交する方向に屈曲する第3板部を有する。これにより、幅調節部材を機械的特性を向上できる。
実施形態の一態様に係る商品陳列用什器は、商品陳列棚と、前記商品陳列棚が取り付けられる棚支柱とを備え、前記商品陳列棚は、上記第1~第6の何れかの商品陳列棚である。これにより、左右の棚支柱の設置間隔の変化に対応して棚板を設置できる。
【0011】
<実施形態>
1.全体構成
商品陳列用什器、所謂、ショーケースは、図1に示すように、上下方向に配される複数枚の棚板1と、棚板1が取り付けられる左右一対のブラケット部材3A,3Bと、ブラケット部材3A,3Bが取り付け可能な一対の棚支柱5と、左右の少なくとも一方のブラケット部材3Aの位置を左右方向に調節可能に棚支柱5に取り付けるための幅調節部材7とを備える。なお、ブラケット部材3Bは、図面に現れていない。
幅調節部材7を備えることで、棚板1に取り付けられた一対のブラケット部材3A,3Bの間隔を変更できない場合でも、一対の棚支柱5の間隔が異なる複数種類の棚支柱5にも取り付け可能となる。
なお、商品陳列棚は、棚板1と、左右一対のブラケット部材3A,3Bと、幅調節部材7とを備える。このため、商品陳列什器は、商品陳列棚と棚支柱5とを備えるともいえる。
以下、各部材について説明する。
【0012】
2.各部材
(1)棚板
棚板1は、図1に示すように左右及び前後に広がる棚板部10と、図3に示すように棚板部10の左右両端をブラケット部材3A,3Bに取り付ける棚取付部材12とを有している。
ここでの棚板1は、棚支柱5に対し前後方向にスライド可能に取り付けられる。具体的には、棚取付部材12は、一対の取付部14,16をスライド可能に備え、一方の取付部14が棚板部10の左右方向の端部に固定される。具体的には、一方の取付部14が、他方の取付部16に対して前方に移動可能に支持されている。なお、固定には、ねじ18(図3参照)が利用される。
【0013】
(2)ブラケット部材
ブラケット部材3A,3Bは、図2及び図3に示すように、棚板1の左右方向の端部に取り付けられるブラケット本体部30と、棚支柱5に取り付けるためのブラケット取付部31とを有している。これにより、棚板1がブラケット部材3A,3Bを介して棚支柱5により支持される。
ブラケット部材3A,3Bは、例えば、板部材(金属板材料)により構成される。ここでの板部材は、平坦な板状をし、上下前後方向に延伸する。つまり、板部材の主面が左右方向と直交する。
ブラケット部材3A,3Bの棚板1への取り付けは、例えば、固定具(ねじやリベット等である)や、ブラケット部材や棚板が金属製である場合は溶接等を利用できる。ここでは、図2に示すように、ねじ32を利用して、他方の取付部16に取り付けられる。ブラケット本体部30はねじ用の貫通孔を有する。
【0014】
ブラケット部材3A,3Bの棚支柱5への取付けは、例えば、固定具、係合構造(係合部)を利用でき、ここでは、係合構造により行われる。これにより、ブラケット部材3A,3B(棚板1)の棚支柱5への取り付け及び取り外しが容易に行える。ここでは、ブラケット取付部31は、係合部としての係合片33により構成され、棚支柱5の係合部として機能する係合孔51に係合する。係合片33は、ブラケット本体部30の後端から後方に延伸した後に下方に延伸し、基部側の下部に係合欠部34が形成されている。係合片33が係合孔51に挿入されて係合欠部34が係合孔51の下側部分51aに係合(嵌合)する。
これにより、ブラケット部材3A,3Bのそれぞれは、厚み方向の中央を通り且つ主面と平行(上下方向)に延伸する仮想線に対し、左右対称となり、棚板1の左右の両端部に取り付け可能となる。
係合片33は1個以上設けられている。ここでの係合片33は、2個以上、より具体的には、3個設けられている。3個の内、上の2個は、棚支柱5の上下に隣接する2個の係合孔51(図4の(b)参照)に係合可能に設けられている。3個の内、下2個の係合片33は、棚支柱5の上下に1個以上(ここでは2個であり、図4の(b)参照)の係合孔51を挟んだ2つの係合孔51に係合する。つまり、上から2個目の係合片33が係合する棚支柱5の係合孔51と、上から3個目の係合片33が係合する棚支柱5の係合孔51との間に、1個又は複数個(ここでは2個である)の係合孔51がある。これにより、2個の係合片33が上下に間隔をおいて係合孔51に係合するため、ブラケット部材3A,3Bを安定した状態で、棚板1を棚支柱5に取り付けることができる。
【0015】
一方のブラケット部材3Aは、その前後方向の長さが、後述の幅調節部材7の前後方向の寸法分だけ、他方のブラケット部材3Bの前後方向の長さよりも短く構成されている。これにより、左右の一対のブラケット部材3A,3Bにおける棚支柱5から前端までの距離(長さ)が左右同じとなり、意匠性を高めることできる。また、一方のブラケット部材3Aを短くしない場合は、一方のブラケット部材3Aが他方のブラケット部材3Bよりも前側に張り出すこととなり、人や物が衝突するおそれがあるが、一方のブラケット部材3Aを短くすることで、このようなことを防止できる。
なお、一方のブラケット部材3Aの係合片33は、後述の幅調節部材7に係合するが、棚支柱5にも係合可能である。
【0016】
(3)棚支柱
棚支柱5は、横断面が、例えば、矩形状、方形状、「L」字状、「T」字状をし、上下方向に延伸する支柱部50を有する。ここでは、前後方向に長い矩形状であって中空状(矩形筒状)をしている。棚支柱5は、上下方向に間隔をおいて形成された複数の係合孔51を少なくとも支柱部50の前面に有する。ここでは、複数の係合孔51は上下方向に等間隔で設けられている。係合孔51にブラケット部材3A,3Bの係合片33が挿入して係合する。なお、係合孔51の左右方向の開口幅はブラケット部材3A,3Bの左右方向の厚みに対応する。
複数の係合孔51は、上下方向に延伸する1本の仮想線上に位置する。棚支柱5は、上下方向に形成された複数の係合孔51を左右方向に複数列で有してもよい。ここでは、棚支柱5は、左右2列で複数個の係合孔51を有している。これにより、1本の棚支柱5によって、その左右で2枚の棚板1の支持が可能となる。なお、左右方向に隣接する2列の係合孔51の左右方向の間隔は、左右の係合孔51のそれぞれにブラケット部材3A,3Bの係合片33が干渉することなく挿入(係合)できる間隔である。
【0017】
(4)幅調節部材
幅調節部材7は、少なくとも、棚支柱5の係合孔51よりも開口幅の大きい調節孔74と、棚支柱5に着脱可能に取り付けられる幅調節部材取付部(以下、係合片76ともする)を有している。
調節孔74には、一方のブラケット部材3Aの係合片33が挿入されて係合する。調節孔74の左右方向の開口幅は、棚支柱5の係合孔51の左右方向の開口幅よりも大きい。つまり、調節孔74の開口幅は、一方のブラケット部材3Aの係合片33の厚みより大きい。このため、ブラケット部材3Aの係合片33が、調節孔74に対して左右方向の広い範囲で係合できる。
なお、他方のブラケット部材3Bの係合片33は、幅調節部材7を介さずに、直接他方の棚支柱5の係合孔51に係合する。これにより、棚板1の左右方向のガタツキを防止できる。
幅調節部材7の棚支柱5への取付けは、例えば、固定具や係合構造等を利用でき、ここでは、係合構造(係合部)を利用している。これにより、幅調節部材7の棚支柱5への取り付け及び取り外しが容易に行える。ここでは、幅調節部材7は係合部として係合片76を有し、棚支柱5の係合部として機能する係合孔51に係合する。
【0018】
以下、幅調節部材7について具体的に説明する。
幅調節部材7は、上下方向に長い形状をしている。幅調節部材7の上下方向の長さは、棚支柱5における上下方向に1個以上離れた上下の係合孔51の上端と下端との距離よりも大きい。これにより、幅調節部材7を安定した状態で棚支柱5に取り付けることができる。
幅調節部材7は、第1板部70と第2板部71とを有し、折曲部72を介して折曲げられている。第1板部70の主面は前後方向と直交し、第2板部71の主面は左右方向と直交する。つまり、第1板部70と第2板部71は、直交するように、折曲部72で折り曲げられている。
ここでの幅調節部材7は、第1板部70における左右方向の端であって第2板部71と反対側端から、第1板部70の厚み方向に折り曲げられた第3板部73を有する。なお、第3板部73の主面は左右方向と直交する。つまり、第1板部70と第3板部73は直交するように折り曲げられている。
【0019】
調節孔74は主に第1板部70に設けられている。ここでは、調節孔74は、第1板部70と折曲部72とに連続する状態で設けられている。これにより、一方のブラケット部材3Aの係合片33と、第2板部71とが近接することが可能となり、調節孔74の開口幅を大きくできる。これにより、幅調節部材7の左右方向の寸法が大きくなるのを抑えることできる。
調節孔74は、ブラケット部材3Aの係合片33の数と同じ数又は係合片33の数より1つ少ない数設けられている。ここでは、係合片33の数よりも1つ少ない数の調節孔74が設けられている。より具体的には、ブラケット部材3Aの係合片33は3個あり、上から2個目及び3個目の係合片33に対応した部位に調節孔74が設けられ、一番の上の係合片33に対応した部位に調節欠部75が設けられている。なお、調節欠部75の左右方向の欠け幅は、調節孔74の左右方向の開口幅と同じに構成されている。これにより、調節孔74と同様に、ブラケット部材3Aの係合片33が、調節欠部75に対して左右方向の広い範囲で係合可能となる。
ブラケット部材3Aの一番上の係合片33は、その係合欠部34が幅調節部材7の調節欠部75の下側部分75aに係合(嵌合)する。
なお、ブラケット部材3Aにおける上から2個目及び3個目の係合片33は、その係合欠部34が調節孔74の下側部分74aに係合(嵌合)する。
【0020】
係合片76は第2板部71に設けられている。具体的には、係合片76は、第2板部71からそのまま後方に延伸した後に下方に延伸し、その基部側の下部に係合欠部77を有し、係合片76が棚支柱5の係合孔51に挿入されて、係合片76の係合欠部77が係合孔51の下側部分51aに係合(嵌合)する。
係合片76は1個以上設けられている。ここでの係合片76は、2個以上、より具体的には、3個設けられている。つまり、ブラケット部材3A,3Bの係合片33と同じ数の係合片76が設けられている。
3個の係合片76の内、上の2個は、棚支柱5の上下に隣接する2個の係合孔51(図4の(b)参照)に係合可能に設けられている。3個の内、下2個の係合片76は、棚支柱5の上下に1個以上(ここでは2個であり、図4の(b)参照)の係合孔51を挟んだ2つの係合孔51に係合する。つまり、上から2個目の係合片76が係合する棚支柱5の係合孔51と、上から3個目の係合片76が係合する棚支柱5の係合孔51との間に、1個又は複数個(ここでは2個である)の係合孔51がある。これにより、2個の係合片76が上下に間隔をおいて係合孔51に係合するため、幅調節部材7を安定した状態で、棚支柱5に取り付けることできる。
ここでの幅調節部材7の係合片76は、少なくとも一方のブラケット部材3Aの係合片33と同じ構成を有している。つまり、幅調節部材7の3個の係合片76の位置関係は、ブラケット部材3A,3Bの3個の係合片33の位置関係と同じである。
【0021】
幅調節部材7は、第2板部71の後端から、第2板部71と直交する左右方向に屈曲する屈曲部78,79を有している。屈曲部78,79は、幅調節部材7が棚支柱5に取り付けられた際に、棚支柱5の前面に当接又は近接する。これにより、幅調節部材7が、棚支柱5に対してガタ付くのを防止できると共に、左右方向を回転軸として前後方向に回転(揺動)するのを防止できる。屈曲部78,79は、少なくとも1個あればよく、ここでは、左右方向の両方向に屈曲する。
第3板部73は、ここでは、第1板部70から前側に折り曲げられている。第3板部73は、幅調節部材7を補強する機能を有する。
【0022】
3.使用例
一対の棚支柱5の係合孔51の間隔が異なる2種類の棚支柱5A,5Bに、ブラケット部材3Aを取り付ける場合を説明する。
(1)棚支柱5A
図5の(A)を用いて説明する。
棚支柱5Aは、上下方向に係合孔51を有する。ブラケット部材3Aの係合片33は、(a)に示すように、棚支柱5Aの係合孔51に対して、左右方向の他方側(他のブラケット部材3B)側にズレている。このため、ブラケット部材3Aの係合片33を棚支柱5Aの係合孔51に直接挿入することができない。
幅調節部材7の係合片76は、上下方向の間隔等が棚支柱5Aの係合孔51に対応しており、(a)に示すように、棚支柱5の係合孔51に係合可能である。
幅調節部材7の調節孔74及び調節欠部75は、左右方向の開口幅がブラケット部材3Aの係合片33より大きく構成されている。このため、ブラケット部材3Aの係合片33を幅調節部材7の調節孔74と調節欠部75とに係合させることができる。
このように、ブラケット部材3Aを棚支柱5Aに直接係合できない場合でも、調節孔74及び調節欠部75を有する幅調節部材7を利用することで、棚支柱5Aに取り付けることができる。
なお、本例の場合、ブラケット部材3Aの係合片33は、調節孔74及び調節欠部75において、第2板部71や係合片76側に位置する。
【0023】
(2)棚支柱5B
図5の(B)を用いて説明する。
棚支柱5Bは、上下方向に係合孔51を有する。ブラケット部材3Aの係合片33は、(a)に示すように、棚支柱5Bの係合孔51に対して、左右方向の他方側(他のブラケット部材3B)側にズレている。このため、ブラケット部材3Aの係合片33を棚支柱5Bの係合孔51に直接挿入することができない。
幅調節部材7の係合片76は、上下方向の間隔等が棚支柱5Bの係合孔51に対応しており、(a)に示すように、棚支柱5の係合孔51に係合可能である。
幅調節部材7の調節孔74及び調節欠部75は、左右方向の開口幅がブラケット部材3Aの係合片33より大きく構成されている。このため、ブラケット部材3Aの係合片33を幅調節部材7の調節孔74と調節欠部75とに係合させることができる。
このように、ブラケット部材3Aを棚支柱5Bに直接係合できない場合でも、調節孔74及び調節欠部75を有する幅調節部材7を利用することで、棚支柱5Bに取り付けることができる。
なお、本例の場合、ブラケット部材3Aの係合片33は、調節孔74及び調節欠部75において、第3板部73側に位置する。
【0024】
(3)まとめ
上記のように、一対のブラケット部材3A,3Bの間隔が、一対の棚支柱5の間隔と異なる場合でも、調節孔74及び調節欠部75を有する幅調節部材7を利用することで、複数種類の棚支柱5に棚板1を取り付けることができる。
特に、使用されている棚支柱の内、一対の棚支柱5の各係合孔51の間隔が最大のものと最小のものとに対応するように、調節孔74及び調節欠部75の開口幅を設定することで、多くの種類の棚支柱5に対応でき、汎用性を高めることができる。
なお、棚支柱5の係合孔51は略一定であり、多くの種類の棚支柱5の係合孔51に係合可能に係合片76が構成されている。
【0025】
以上、実施形態を説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものであってもよい。
また、実施形態や変形例に記載していていない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0026】
<変形例>
1.棚板
棚板1は、一対のブラケット部材3A,3Bに対して前後方向にスライド可能に取り付けられていたが、スライド不可能に一対のブラケット部材に固定されてもよいし、着脱可能に取り付けられてもよい。
【0027】
2.ブラケット部材
(1)ブラケット部材3A,3Bは、ブラケット本体部30と係合片33とを同一平面内に有しているが、例えば係合片33をブラケット本体部30から段差状に後方に延伸するように設けてもよい。
(2)ブラケット部材3A,3Bは、係合片33を3個有していたが、3個以外であってもよい。例えば、1個の係合片33を設け、棚支柱5の前面又は幅調節部材7の第1板部70の前面に当接する当接部をさらに設けてもよい。つまり、ブラケット部材3A,3Bを棚支柱5に付け外し可能に取り付けられる構造であればよい。
(3)係合片33は、後方に延伸した後に下方に延伸するような形状(下向きの「L」字状)をしていたが、例えば、後方に延伸した後に上方に延伸するような形状(上向きの「L」字状)等の他の形状であってもよい。
(4)係合片33は、上下方向に延伸していたが、例えば、左右方向に延伸してもよい。つまり、係合片は、左右・前後方向の板状に延伸した後に、下方又は上方に延伸してもよい。
(5)ブラケット本体部30は板状であったが、例えば、断面形状が「C」字状、「U」字状のチャネル材を「L」字に形成したものであってもよい。この場合、長辺側にブラケット取付部を、短辺側に係合片をそれぞれ設けることで実施できる。
【0028】
3.幅調節部材
(1)幅調節部材7は、一方のブラケット部材3A用として説明したが、他方のブラケット部材3Bに使用してもよい。この場合、幅調節部材は、実施形態で説明した幅調節部材7を左右方向と直交する仮想面で左右対称となるように構成することで実施できる。また、両方のブラケット部材3A,3Bを幅調節部材7を利用して棚支柱5に取り付ける場合、ブラケット部材3A,3Bの前後方向の長さを同じとしてもよい。
(2)調節欠部
幅調節部材7は、上部側に調節欠部75を有していたが、調節欠部75に代えて調節孔74を設けてもよい。但し、調節欠部75を設ける方が、調節孔74を設けるよりも上下方向の寸法を小さくできる。なお、調節欠部75を利用できるのは、ブラケット部材3Aの係合片33の係合欠部34が、幅調節部材7の調節孔74や調節欠部75に上方から係合する場合である。
【0029】
(3)係合片
係合片76の個数及び構造は、ブラケット部材3A,3Bの係合片33の個数及び構造と同じであったが、幅調節部材7を棚支柱5の係合孔51に係合できればよく、ブラケット部材3A,3Bの係合片33の個数及び構造と異なってもよい。
複数個(実施形態では3個である)の係合片76の位置関係は、ブラケット部材3A,3Bの複数個(実施形態では3個である)の係合片33の位置関係と同じであったが、幅調節部材7を棚支柱5の係合孔51に係合できればよく、ブラケット部材3A,3Bの係合片33の位置関係と異なってもよい。
(4)第3板部
第3板部73は、前方に屈曲しているが、後方に屈曲してもよい。なお、後方に屈曲しても、補強効果が得られる。
また、第3板部73は上下方向に連続して同じ側(例えば、前側)に屈曲しているが、例えば、上下方向に複数の屈曲部分を有し、上下方向に交互に前後に屈曲してもよいし、不規則に前後に屈曲してもよい。
(5)屈曲部
屈曲部78,79は、上から2個目の係合片76と上から3個目の係合片76との間に設けられているが、例えば、3個目の係合片76の下側に設けられてもよい。また、上から1個目と2個目との間に屈曲部を設けるスペースがあれば、当該部位に屈曲部78,79の両方又は片方を設けてもよい。
屈曲部78,79は、屈曲した部分が棚支柱5の前面に対して面で接触又は対向するように、構成されている。しかしながら、屈曲した部分が線で接触又は対向するようにしてもよい。ここでの面とは、屈曲部78,79の上下方向が、屈曲部の厚みの1倍より長いものとし、線とは厚みの1倍以下のものとする。なお、屈曲部を線状とすることで、幅調節部材7の上下方向の長さが同じ場合、屈曲部を上下方向に複数個設けることができる。
【0030】
4.その他
ブラケット部材3A,3Bは3個の係合片を有し、幅調節部材7は、2個の調節孔74と1個の調節欠部75とを有している。しかしながら、例えば、ブラケット部材の係合片を上下2個とし、幅調節部材は上下に2個の調節孔を有する場合、図6に示すように、係合片233の係合欠部234を上下に設け、上下の係合片233の中央を通り且つ上下方向と直交する仮想面に対して、上下対称な形状とすることで、幅調節部材207を上下反転して使用できるようにしてもよい。これにより、1つの幅調節部材207で、1本の棚支柱5の左右の係合孔51に係合できるし、左右の一対のブラケット部材を一対の棚支柱5の係合孔51に係合できるため、部品の共通化を図ることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 棚板
3A ブラケット
5 支柱
7 幅調節部材
33 係合片
51 係合孔
74 調節孔
76 係合片(幅調節部材取付部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6