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特開2023-13815表面変位計測方法および表面変位計測システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013815
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】表面変位計測方法および表面変位計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 7/02 20060101AFI20230119BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G01C7/02
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118247
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】512094410
【氏名又は名称】西華デジタルイメージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】北原 剛
(72)【発明者】
【氏名】木暮 睦
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 宏文
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 泰希
(72)【発明者】
【氏名】福里 克彦
(72)【発明者】
【氏名】直江 紀英
(72)【発明者】
【氏名】松島 進一
(72)【発明者】
【氏名】小林 周平
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA01
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA24
2F065FF04
2F065FF05
2F065FF09
2F065GG04
2F065GG21
2F065HH07
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065QQ08
2F065QQ17
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ26
2F065QQ31
2F065SS01
2F065SS09
(57)【要約】
【課題】工事中における測定対象面の隆起や沈下などの変位をリアルタイムで計測することができる表面変位計測方法および表面変位計測システムを提供すること。
【解決手段】表面変位計測方法は、ランダムドットパターンを測定対象面に投影する投影工程(S11)と、測定対象面を撮影する撮影工程(S12)と、撮影画像に基づいて測定対象面に投影されたドットの位置を三角測量により計測し、測定対象面の三次元形状を構築する計測工程(S13)と、三次元形状に対して予め指定された複数のメッシュを生成し、計測工程において計測されたドットの位置の情報に基づいて三次元形状をメッシュ毎に局所平面で近似する局所平面近似工程(S14)と、局所平面からメッシュの任意点の座標を計算し、任意点の高さを算出する高さ算出工程(S15、S18)と、任意点の高さの経時変化を算出する変化算出工程(S19)と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事中における測定対象面の変位を計測する表面変位計測方法であって、
投影部によりランダムドットパターンを前記測定対象面に投影する投影工程と、
前記測定対象面に設置されたステレオカメラを含む撮影部により、前記ランダムドットパターンが投影された前記測定対象面を撮影する撮影工程と、
前記撮影部により撮影された撮影画像に基づいて前記測定対象面に投影されたドットの位置を三角測量により計測し、前記測定対象面の三次元形状を構築する計測工程と、
前記三次元形状に対して予め指定された複数のメッシュを生成し、前記計測工程において計測された前記ドットの位置の情報に基づいて前記三次元形状を前記メッシュ毎に局所平面で近似する局所平面近似工程と、
前記局所平面から前記メッシュの任意点の座標を計算し、前記任意点の高さを算出する高さ算出工程と、
前記任意点の高さの経時変化を算出する変化算出工程と、
を備えたことを特徴とする表面変位計測方法。
【請求項2】
前記複数のメッシュのうちから変位が生じない少なくとも3つの不動領域を設定する不動領域設定工程と、
前記少なくとも3つの不動領域の不動点の座標に基づいて前記測定対象面を基準平面で近似する基準平面近似工程と、
をさらに備え、
前記高さ算出工程において、前記基準平面と前記メッシュの任意点の座標とを比較することにより前記メッシュの前記任意点の高さを算出することを特徴とする請求項1に記載の表面変位計測方法。
【請求項3】
前記不動領域設定工程において、前記ステレオカメラの視野の範囲内における周辺の領域を前記不動領域として設定することを特徴とする請求項2に記載の表面変位計測方法。
【請求項4】
前記投影工程において、複数の前記投影部により前記ランダムドットパターンを前記測定対象面の全面に投影し、
前記撮影工程において、複数の前記撮影部により、前記ランダムドットパターンが投影された前記測定対象面の全面を撮影することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の表面変位計測方法。
【請求項5】
前記投影工程において、前記投影部から赤外光を照射し、前記ランダムドットパターンを前記測定対象面に投影することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の表面変位計測方法。
【請求項6】
前記経時変化の変化量および変化率の少なくともいずれかを前記撮影部により撮影された前記撮影画像に重ねて表示する画像処理工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の表面変位計測方法。
【請求項7】
前記経時変化の変化量および変化率の少なくともいずれかが閾値を超えると、警告を報知する報知工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の表面変位計測方法。
【請求項8】
工事中における測定対象面の変位を計測する表面変位計測システムであって、
ランダムドットパターンを前記測定対象面に投影する投影部と、
前記測定対象面に設置され、前記ランダムドットパターンが投影された前記測定対象面を撮影するステレオカメラを含む撮影部と、
前記撮影部により撮影された撮影画像に基づいて前記測定対象面に投影されたドットの位置を三角測量により計測する計測処理端末と、
を備え、
前記計測処理端末は、前記ドットの位置の情報に基づいて前記測定対象面の三次元形状を構築し、前記三次元形状に対して予め指定された複数のメッシュを生成し、前記ドットの位置の情報に基づいて前記三次元形状を前記メッシュ毎に局所平面で近似し、前記局所平面から前記メッシュの任意点の座標を計算して前記任意点の高さを算出し、前記任意点の高さの経時変化を算出する制御を実行することを特徴とする表面変位計測システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地表面の隆起や沈下などの変位を計測する表面変位計測方法および表面変位計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、路面の沈下や地盤沈下等を非接触で計測する沈下測定方法が開示されている。特許文献1に記載された沈下測定方法では、複数回の測定毎に、レーザー測距手段を、沈下測定対象面外の非沈降領域に設定された前回の測定時と同一位置もしくはその近傍に配置し、レーザー光の照射方向を、前回の測定時と同じ方向に設定し、測定ポイントまでの斜め距離もしくは水平距離が前回の測定時と同一もしくはほぼ同じ距離である場合には、測定ポイントの沈下が無いと判定するか、もしくは微小であると判定する。
【0003】
特許文献1に記載されたレーザー測距手段は、水平角度方向と鉛直角度方向を指定することによって、指定された方向にレーザー光線を照射して、その反射光を測定し、反射点までの距離を測定して距離信号を出力する測距機能を備えている。
【0004】
ここで、地下工事や地盤改良工事などの屋外工事では、地表面の隆起や沈下などの変位をリアルタイムで計測することが望まれている。しかし、特許文献1に記載された沈下測定方法では、レーザー測距手段が地表面にレーザー光線を照射して、その反射光を測定し、反射点すなわち測定点の三次元座標を算出する。そのため、特許文献1に記載された沈下測定方法では、地表面の全体の三次元座標を計測するために比較的長い時間が必要であり、地表面の隆起や沈下などの変位をリアルタイムで計測することが困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-233245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、工事中における測定対象面の隆起や沈下などの変位をリアルタイムで計測することができる表面変位計測方法および表面変位計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、工事中における測定対象面の変位を計測する表面変位計測方法であって、投影部によりランダムドットパターンを前記測定対象面に投影する投影工程と、前記測定対象面に設置されたステレオカメラを含む撮影部により、前記ランダムドットパターンが投影された前記測定対象面を撮影する撮影工程と、前記撮影部により撮影された撮影画像に基づいて前記測定対象面に投影されたドットの位置を三角測量により計測し、前記測定対象面の三次元形状を構築する計測工程と、前記三次元形状に対して予め指定された複数のメッシュを生成し、前記計測工程において計測された前記ドットの位置の情報に基づいて前記三次元形状を前記メッシュ毎に局所平面で近似する局所平面近似工程と、前記局所平面から前記メッシュの任意点の座標を計算し、前記任意点の高さを算出する高さ算出工程と、前記任意点の高さの経時変化を算出する変化算出工程と、を備えたことを特徴とする本発明に係る表面変位計測方法により解決される。
【0008】
本発明に係る表面変位計測方法によれば、例えばトータルステーションや三次元スキャナなどを用いて測定対象面の全体の三次元座標を取得するわけではなく、ランダムドットパターンが投影部により投影された測定対象面を、測定対象面に設置されたステレオカメラを含む撮影部により撮影する。そして、撮影部により撮影された撮影画像に基づいて測定対象面に投影されたドットの位置を三角測量により計測し、測定対象面の三次元形状を構築する。続いて、三次元形状に対して予め指定された複数のメッシュを生成し、計測工程において計測されたドットの位置の情報に基づいて三次元形状をメッシュ毎に局所平面で近似する。続いて、局所平面からメッシュの任意点の座標を計算して任意点の高さを算出し、任意点の高さの経時変化を算出する。
【0009】
そのため、本発明に係る表面変位計測方法では、測定対象面の変位(例えば、高さの変化)を計測する時間を短縮化し、工事中における測定対象面の隆起や沈下などの変位をリアルタイムで計測することができる。また、本発明に係る表面変位計測方法では、パターンやマーキングを測定対象面に塗装するわけではなく、ランダムドットパターンを測定対象面に投影するため、測定対象面(すなわち地表面)の利用者(例えばパイロット等)がパターンやマーキングを誤認することを抑えることができる。さらに、本発明に係る表面変位計測方法では、測定対象面の三次元形状に対して複数のメッシュを生成し三次元形状をメッシュ毎に局所平面で近似するため、投影されたドットの位置の部分に変位が生じた場合でも、より高い精度で測定対象面の変位を計測できる。
【0010】
本発明に係る表面変位計測方法は、好ましくは、前記複数のメッシュのうちから変位が生じない少なくとも3つの不動領域を設定する不動領域設定工程と、前記少なくとも3つの不動領域の不動点の座標に基づいて前記測定対象面を基準平面で近似する基準平面近似工程と、をさらに備え、前記高さ算出工程において、前記基準平面と前記メッシュの任意点の座標とを比較することにより前記メッシュの前記任意点の高さを算出することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る表面変位計測方法によれば、複数のメッシュのうちから変位(例えば、高さの変化)が生じない少なくとも3つの不動領域を設定し、少なくとも3つの不動領域の不動点の座標に基づいて測定対象面を基準平面で近似する。そして、高さ算出工程において、基準平面とメッシュの任意点の座標とを比較することによりメッシュの任意点の高さを算出する。そのため、ステレオカメラを含む撮影部が測定対象面に設置されていても、撮影部が設置された領域の変位による影響を抑え、工事中における測定対象面の隆起や沈下などの変位をより高い精度で計測することができる。
【0012】
本発明に係る表面変位計測方法は、好ましくは、前記不動領域設定工程において、前記ステレオカメラの視野の範囲内における周辺の領域を前記不動領域として設定することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る表面変位計測方法によれば、不動領域設定工程において、ステレオカメラの視野の範囲内における周辺の領域を不動領域として設定する。そのため、変位が生じない不動領域をより適切に設定することができ、工事中における測定対象面の隆起や沈下などの変位をより高い精度で計測することができる。
【0014】
本発明に係る表面変位計測方法は、好ましくは、前記投影工程において、複数の前記投影部により前記ランダムドットパターンを前記測定対象面の全面に投影し、前記撮影工程において、複数の前記撮影部により、前記ランダムドットパターンが投影された前記測定対象面の全面を撮影することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る表面変位計測方法によれば、投影工程において、複数の投影部によりランダムドットパターンを測定対象面の全面に投影する。また、撮影工程において、複数の撮影部により、ランダムドットパターンが投影された測定対象面の全面を撮影する。これにより、測定対象面の全面の隆起や沈下などの変位をリアルタイムかつより高い精度で計測することができる。
【0016】
本発明に係る表面変位計測方法は、好ましくは、前記投影工程において、前記投影部から赤外光を照射し、前記ランダムドットパターンを前記測定対象面に投影することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る表面変位計測方法によれば、投影部から赤外光を照射してランダムドットパターンを測定対象面に投影するため、工事が夜間に行われる場合であっても、測定対象面の隆起や沈下などの変位をリアルタイムで計測することができる。
【0018】
本発明に係る表面変位計測方法は、好ましくは、前記経時変化の変化量および変化率の少なくともいずれかを前記撮影部により撮影された前記撮影画像に重ねて表示する画像処理工程をさらに備えたことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る表面変位計測方法によれば、経時変化の変化量および変化率の少なくともいずれかが、撮影部により撮影された測定対象面の画像に重ねて表示される。そのため、工事の作業者等は、測定対象面の変位が比較的大きい位置を視覚的に認識することができる。
【0020】
本発明に係る表面変位計測方法は、好ましくは、前記経時変化の変化量および変化率の少なくともいずれかが閾値を超えると、警告を報知する報知工程をさらに備えたことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る表面変位計測方法によれば、工事の作業者等は、測定対象面において比較的大きい変位が生じたことをリアルタイムで認識できる。また、工事の作業者等は、隆起や沈下などの変位が生ずる場所を予測することが困難な場合であっても、変位の初期段階において変位の兆候をリアルタイムで認識できる。さらに、工事の作業者等が変位の初期段階において変位の兆候をリアルタイムで認識できるため、測定対象面の隆起や沈下などのトラブルが工事中に生ずることを未然に抑えることができる。
【0022】
前記課題は、工事中における測定対象面の変位を計測する表面変位計測システムであって、ランダムドットパターンを前記測定対象面に投影する投影部と、前記測定対象面に設置され、前記ランダムドットパターンが投影された前記測定対象面を撮影するステレオカメラを含む撮影部と、前記撮影部により撮影された撮影画像に基づいて前記測定対象面に投影されたドットの位置を三角測量により計測する計測処理端末と、を備え、前記計測処理端末は、前記ドットの位置の情報に基づいて前記測定対象面の三次元形状を構築し、前記三次元形状に対して予め指定された複数のメッシュを生成し、前記ドットの位置の情報に基づいて前記三次元形状を前記メッシュ毎に局所平面で近似し、前記局所平面から前記メッシュの任意点の座標を計算して前記任意点の高さを算出し、前記任意点の高さの経時変化を算出する制御を実行することを特徴とする本発明に係る表面変位計測システムにより解決される。
【0023】
本発明に係る表面変位計測システムによれば、例えばトータルステーションや三次元スキャナなどを用いて測定対象面の全体の三次元座標を取得するわけではなく、投影部がランダムドットパターンを測定対象面に投影し、ステレオカメラを含む撮影部が、ランダムドットパターンが投影された測定対象面を撮影する。また、計測処理端末は、撮影部により撮影された撮影画像に基づいて測定対象面に投影されたドットの位置を三角測量により計測する。そして、計測処理端末は、ドットの位置の情報に基づいて測定対象面の三次元形状を構築し、三次元形状に対して予め指定された複数のメッシュを生成し、ドットの位置の情報に基づいて三次元形状をメッシュ毎に局所平面で近似し、局所平面からメッシュの任意点の座標を計算して任意点の高さを算出し、任意点の高さの経時変化を算出する制御を実行する。
【0024】
そのため、本発明に係る表面変位計測システムは、測定対象面の変位(例えば、高さの変化)を計測する時間を短縮化し、工事中における測定対象面の隆起や沈下などの変位をリアルタイムで計測することができる。また、本発明に係る表面変位計測システムは、パターンやマーキングを測定対象面に塗装するわけではなく、ランダムドットパターンを測定対象面に投影するため、測定対象面(すなわち地表面)の利用者(例えばパイロット等)がパターンやマーキングを誤認することを抑えることができる。さらに、本発明に係る表面変位計測システムは、測定対象面の三次元形状に対して複数のメッシュを生成し三次元形状をメッシュ毎に局所平面で近似するため、投影されたドットの位置の部分に変位が生じた場合でも、より高い精度で測定対象面の変位を計測できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、工事中における測定対象面の隆起や沈下などの変位をリアルタイムで計測することができる表面変位計測方法および表面変位計測システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る表面変位計測システムを表す模式図である。
図2】本実施形態の計測処理端末を表すブロック図である。
図3】本実施形態の計測ユニットを表す平面図である。
図4】本実施形態に係る表面変位計測方法を説明するフローチャートである。
図5】本実施形態に係る表面変位計測方法の投影工程を説明する模式図である。
図6】本実施形態に係る表面変位計測方法の撮影工程および計測工程を説明する模式図である。
図7】本実施形態に係る表面変位計測方法の局所平面近似工程を説明する模式図である。
図8】本実施形態に係る表面変位計測方法の高さ算出工程の少なくとも一部を説明する模式図である。
図9】本実施形態に係る表面変位計測方法の不動領域設定工程および基準平面近似工程を説明する模式図である。
図10】本実施形態に係る表面変位計測方法の高さ算出工程の少なくとも一部を説明する模式図である。
図11】メッシュの任意点の高さの経時変化の一例を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る表面変位計測システムを表す模式図である。
図2は、本実施形態の計測処理端末を表すブロック図である。
図3は、本実施形態の計測ユニットを表す平面図である。
【0029】
図1図3に表したように、本実施形態に係る表面変位計測システム2は、計測処理端末3と、BFF(Backends For Frontends)4と、各種端末5と、を備える。図1に表したように、計測処理端末3は、測定対象面6に設置される。測定対象面6は、地下工事や地盤改良工事などの屋外工事が施工される現場の地表面である。測定対象面6として、例えば空港の滑走路などが挙げられる。但し、本実施形態の測定対象面6は、空港の滑走路に限定されるわけではない。例えば、測定対象面6は、橋梁工事の張出施工中やPC緊張中の橋面や、打設中のコンクリート表面や、根切掘削作業中の山留め表面、斜面および底面や、近接施工中の既存構造物の表面や、擁壁や補強盛土壁施工中の壁面などであってもよい。
【0030】
測定対象面6の一辺の長さL1、L2は、例えば約40メートル以上、60メートル以下程度である。図1に表したように、測定対象面6は、例えば、第1計測領域61と、第2計測領域62と、第3計測領域63と、第4計測領域64と、に分けられる。各計測領域61、62、63、64の一辺の長さL3、L4は、例えば約20メートル以上、30メートル以下程度である。なお、測定対象面6の一辺の長さL1、L2、測定対象面6を各計測領域61、62、63、64の分ける方法、および各計測領域61、62、63、64の一辺の長さL3、L4は、一例であり、これだけに限定されるわけではない。
【0031】
図1に表したように、計測処理端末3は、各計測領域61、62、63、64の隅に設置される。なお、計測処理端末3の設置位置は、これだけに限定されず、例えば各計測領域61、62、63、64の中心部であってもよい。
【0032】
図2に表したように、計測処理端末3は、計測処理部32と、中継処理機33と、を有する。また、本実施形態の計測処理端末3は、計測ユニット31をさらに有する。なお、計測ユニット31は、計測処理端末3として計測処理部32および中継処理機33と一体的に設けられていてもよく、計測処理部32および中継処理機33とは別体として設けられていてもよい。すなわち、計測ユニット31と、計測処理部32および中継処理機33と、は、計測処理端末3として一体的に設けられていてもよく、互いに別体として設けられていてもよい。本実施形態の説明では、計測ユニット31が、計測処理端末3として計測処理部32および中継処理機33と一体的に設けられた場合を例に挙げる。
【0033】
図3に表したように、計測ユニット31は、投影部311と、撮影部312と、を有する。投影部311は、赤外光を測定対象面6に向かって照射し、ランダムドットパターン316(図5参照)を測定対象面6に投影する。投影部311としては、例えばドットプロジェクタが挙げられる。ランダムドットパターン316は、例えば500点以上の複数のドット317(図5参照)を含む。すなわち、投影部311は、例えば500点以上の複数のドット317を含むランダムドットパターン316を測定対象面6に投影する。
【0034】
撮影部312は、第1カメラ313と、第2カメラ314と、を有する。第1カメラ313および第2カメラ314は、ステレオカメラを構成する。すなわち、撮影部312は、第1カメラ313および第2カメラ314により構成されたステレオカメラを含む。撮影部312は、第1カメラ313および第2カメラ314により、ランダムドットパターン316が投影された測定対象面6を撮影する。
【0035】
計測ユニット31は、三脚等の支持装置を用いて測定対象面6に設置される。具体的には、計測ユニット31は、測定対象面6から例えば約2メートル以上、3メートル以下程度の高さに設置される。なお、計測ユニット31の設置高さは、これだけに限定されるわけではない。また、計測処理端末3は、複数の計測ユニット31を有していてもよい。これによれば、各計測領域61、62、63、64において、ランダムドットパターン316が広範囲にわたって投影されるとともに、測定対象面6が広範囲にわたって撮影される。
【0036】
計測処理部32は、撮影部312により撮影された撮影画像を撮影部312から受信し、撮影部312により撮影された撮影画像に基づいて測定対象面6に投影されたドット317の位置を三角測量により計測する。ランダムドットパターン316が複数のドット317を含むため、計測処理部32は、ランダムドットパターン316に含まれる複数のドット317のすべての位置を三角測量により計測する。計測処理部32は、ドット317の位置として三次元座標を算出する。ランダムドットパターン316が複数のドット317を含むため、計測処理部32は、複数のドット317の位置として複数の三次元座標を含む点群データを算出する。計測処理部32が実行する処理の詳細については、後述する。
【0037】
中継処理機33は、例えばWi-Fiなどの無線通信のアクセスポイントを兼ねており、計測処理部32の計測結果に関するデータを無線通信によりBFF4に送信する。あるいは、中継処理機33は、後述するように、計測処理部32により生成された警告報知に関するデータを無線通信によりBFF4に送信する。警告報知に関するデータは、例えば、測定対象面6の高さの経時変化の変化量ΔH(図11参照)および変化率R1(図11参照)の少なくともいずれかが閾値を超えると、計測処理部32により生成される。
【0038】
BFF4は、中継処理機33を経由して計測処理部32から受信した計測結果に関するデータおよび警告報知に関するデータを、例えばWi-FiやLTE(Long Term Evolution)などの無線通信により各種端末5に送信する。本実施形態の各種端末5は、操作携帯端末51と、監視用携帯端末52と、拠点監視用端末53と、を含む。例えば、BFF4は、測定対象面6の近傍や周囲に存在する操作携帯端末51および監視用携帯端末52に対してWi-Fi通信により各種データを送信する。例えば、BFF4は、測定対象面6から遠隔地に存在する拠点監視用端末53に対してLTE通信により各種データを送信する。なお、中継処理機33およびBFF4に使用される無線通信規格は、Wi-FiおよびLTEに限定されるわけではない。
【0039】
次に、本実施形態に係る表面変位計測方法を、図面を参照して詳しく説明する。
図4は、本実施形態に係る表面変位計測方法を説明するフローチャートである。
図5は、本実施形態に係る表面変位計測方法の投影工程を説明する模式図である。
図6は、本実施形態に係る表面変位計測方法の撮影工程および計測工程を説明する模式図である。
図7は、本実施形態に係る表面変位計測方法の局所平面近似工程を説明する模式図である。
図8は、本実施形態に係る表面変位計測方法の高さ算出工程の少なくとも一部を説明する模式図である。
図9は、本実施形態に係る表面変位計測方法の不動領域設定工程および基準平面近似工程を説明する模式図である。
図10は、本実施形態に係る表面変位計測方法の高さ算出工程の少なくとも一部を説明する模式図である。
図11は、メッシュの任意点の高さの経時変化の一例を例示するグラフである。
【0040】
本実施形態に係る表面変位計測方法において、まず、図5に表したように、投影部311により赤外光を測定対象面6に向かって照射し、複数のドット317を含むランダムドットパターン316を測定対象面6に投影する(ステップS11)。具体的には、投影部311により複数のドット317を含むランダムドットパターン316を各計測領域61、62、63、64に投影する。本実施形態のステップS11の処理工程は、本発明の「投影工程」の一例である。ステップS11では、複数の投影部311によりランダムドットパターン316を測定対象面6の全面に投影することが望ましい。
【0041】
続いて、図6に表したように、測定対象面6に設置されたステレオカメラを含む撮影部312により、ランダムドットパターン316が投影された測定対象面6を撮影する(ステップS12)。本実施形態のステップS12の処理工程は、本発明の「撮影工程」の一例である。ステップS12では、複数の撮影部312により、ランダムドットパターン316が投影された測定対象面6の全面を撮影することが望ましい。
【0042】
続いて、図6に表したように、撮影部312により撮影された撮影画像に基づいて測定対象面6に投影されたドット317の位置を三角測量により計測する(ステップS13)。具体的には、ランダムドットパターン316が複数のドット317を含むため、ランダムドットパターン316に含まれる複数のドット317のすべての位置を三角測量により計測する。そして、測定対象面6の三次元形状を構築する(ステップS13)。ステップS13の処理は、計測処理部32により実行される。本実施形態のステップS13の処理工程は、本発明の「計測工程」の一例である。
【0043】
続いて、図7に表したように、ステップS13において構築された三次元形状に対して予め指定された複数のメッシュ66を生成する(ステップS14)。メッシュ66の一辺の長さL5、L6は、例えば約5メートル程度である。そして、ステップS13において計測されたドット317の位置の情報(すなわち三次元座標データ)に基づいて、ステップS13において構築された三次元形状をメッシュ66毎に局所平面で近似する(ステップS14)。具体的には、ステップS13において計測されたドット317の位置の情報(すなわち三次元座標データ)に基づいて、最小二乗法によりメッシュ66の局所平面関数を計算する。ステップS14の処理は、計測処理部32により実行される。本実施形態のステップS14の処理工程は、本発明の「局所平面近似工程」の一例である。
【0044】
続いて、図8に表したように、ステップS14において生成された局所平面、すなわち最小二乗法により算出されたメッシュ66の局所平面関数からメッシュ66の任意点318の座標を計算する(ステップS15)。メッシュ66の任意点318としては、例えばメッシュ66の中心点が挙げられる。但し、任意点318は、必ずしもメッシュ66の中心点でなくともよく、メッシュ66の範囲内の任意の点であればよい。ステップS15の処理は、計測処理部32により実行される。本実施形態のステップS15の処理工程は、本発明の「高さ算出工程」の一例である。
【0045】
続いて、図9に表したように、複数のメッシュ66のうちから変位(例えば、高さの変化)が生じない少なくとも3つの不動領域67を設定する(ステップS16)。ステップS16の処理は、計測処理部32により自動的に実行されてもよく、本実施形態に係る表面変位計測システム2の使用者の操作に応じて計測処理部32により実行されてもよい。このとき、計測処理部32は、例えば、ステレオカメラの視野の範囲内における周辺の領域を不動領域67として設定する。本実施形態のステップS16の処理工程は、本発明の「不動領域設定工程」の一例である。
【0046】
続いて、ステップS16において設定された少なくとも3つの不動領域67の不動点319の座標に基づいて測定対象面6を基準平面で近似する(ステップS17)。具体的には、ステップS16において設定された少なくとも3つの不動領域67の不動点319の座標に基づいて、少なくとも3つの不動領域67の不動点319を含む基準平面関数を計算する。不動領域67の不動点319としては、例えば不動領域67の中心点が挙げられる。ステップS17の処理は、計測処理部32により実行される。本実施形態のステップS17の処理工程は、本発明の「基準平面近似工程」の一例である。
【0047】
続いて、図10に表したように、ステップS17において近似された基準平面、すなわち少なくとも3つの不動領域67の不動点319を含む基準平面関数と、ステップS15において計算されたメッシュ66の任意点318の座標と、を比較することによりメッシュ66の任意点318の高さを算出する(ステップS18)。つまり、少なくとも3つの不動領域67の不動点319を含む基準平面からのメッシュ66の任意点318の高さを算出する。これにより、メッシュ66の任意点318の高さが、高さマップに変換される。ステップS18の処理は、計測処理部32により実行される。本実施形態のステップS18の処理工程は、本発明の「高さ算出工程」の一例である。
【0048】
続いて、ステップS18において算出されたメッシュ66の任意点318の高さの経時変化を算出する(ステップS19)。図11に表したグラフは、ステップS19において算出されたメッシュ66の任意点318の高さの経時変化の一例である。図11に表したグラフの横軸は、時間を表す。本実施形態に係る表面変位計測システム2および表面変位計測方法が使用される時間は、例えば約5時間以上、12時間以下程度である。図11に表したグラフの縦軸は、メッシュ66の任意点318の高さを表す。ステップS19の処理は、計測処理部32により実行される。本実施形態のステップS19の処理工程は、本発明の「変化算出工程」の一例である。
【0049】
続いて、ステップS19において算出されたメッシュ66の任意点318の高さの経時変化の変化量ΔHおよび変化率R1の少なくともいずれかを、撮影部312により撮影された撮影画像(すなわち測定対象面6の画像)に重ねて表示する(ステップS20)。例えば、計測処理部32は、メッシュ66の任意点318の初期の高さH0と、メッシュ66の任意点318の任意タイミングの高さH1と、の差(すなわち変化量ΔH)を、撮影部312により撮影された撮影画像に重ねて各種端末5の画面に表示する処理を実行する。あるいは、計測処理部32は、メッシュ66の任意点318の高さの経時変化の変化率R1、すなわち単位時間当たり変化量を、撮影部312により撮影された撮影画像に重ねて各種端末5の画面に表示する処理を実行する。あるいは、計測処理部32は、変化量ΔHおよび変化率R1の両方を撮影部312により撮影された撮影画像に重ねて各種端末5の画面に表示する処理を実行する。本実施形態のステップS20の処理工程は、本発明の「画像処理工程」の一例である。
【0050】
続いて、ステップS21において、ステップS19において算出されたメッシュ66の任意点318の高さの経時変化の変化量ΔHおよび変化率R1の少なくともいずれかが閾値を超えたか否かを判断する。例えば、メッシュ66の任意点318の初期の高さH0と、メッシュ66の任意点318の任意タイミングの高さH1と、の差(すなわち変化量ΔH)が、閾値を超えた場合には(ステップS21:YES)、計測処理部32は、警告報知に関するデータを生成し、中継処理機33およびBFF4を経由して警告報知に関するデータを各種端末5に送信する。これにより、計測処理部32は、各種端末5を介して本実施形態に係る表面変位計測システム2の使用者に対して警告を報知する(ステップS22)。
【0051】
あるいは、例えば、メッシュ66の任意点318の高さの経時変化の変化率R1、すなわち単位時間当たり変化量が、閾値を超えた場合には(ステップS21:YES)、計測処理部32は、警告報知に関するデータを生成し、中継処理機33およびBFF4を経由して警告報知に関するデータを各種端末5に送信する。これにより、計測処理部32は、各種端末5を介して本実施形態に係る表面変位計測システム2の使用者に対して警告を報知する(ステップS22)。本実施形態のステップS21およびステップS22の処理工程は、本発明の「報知工程」の一例である。
【0052】
警告の報知は、例えば、計測処理部32が各種端末5の画面に警告を表示する画像処理を実行することにより達成されてもよく、計測処理部32が各種端末5のLEDランプ等を点灯させる処理を実行することにより達成されてもよく、あるいは、計測処理部32が各種端末5に対して音を発生させる処理を実行することにより達成されてもよい。
【0053】
メッシュ66の任意点318の高さの経時変化の変化量ΔHおよび変化率R1が閾値を超えない場合(ステップS21:NO)、およびステップS22に続いて、計測処理部32は、表面変位計測を終了するか否かを判断する(ステップS23)。表面変位計測を終了する場合には(ステップS23:YES)、計測処理部32は、表面変位計測を終了する。一方で、表面変位計測を終了しない場合には(ステップS23:NO)、ステップS11に関して前述した処理を実行する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る表面変位計測システム2および表面変位計測方法によれば、例えばトータルステーションや三次元スキャナなどを用いて測定対象面6の全体の三次元座標を取得するわけではなく、ランダムドットパターン316が投影部311により投影された測定対象面6を、測定対象面6に設置されたステレオカメラを含む撮影部312により撮影する。そして、撮影部312により撮影された撮影画像に基づいて測定対象面6に投影されたドット317の位置を三角測量により計測し、測定対象面6の三次元形状を構築する。続いて、三次元形状に対して予め指定された複数のメッシュ66を生成し、計測工程において計測されたドット317の位置の情報に基づいて三次元形状をメッシュ66毎に局所平面で近似する。続いて、局所平面からメッシュ66の任意点318の座標を計算して任意点318の高さを算出し、任意点318の高さの経時変化を算出する。
【0055】
そのため、本実施形態に係る表面変位計測システム2および表面変位計測方法では、測定対象面6の変位(例えば、高さの変化)を計測する時間を短縮化し、工事中における測定対象面6の隆起や沈下などの変位をリアルタイムで計測することができる。また、本実施形態に係る表面変位計測システム2および表面変位計測方法では、パターンやマーキングを測定対象面6に塗装するわけではなく、ランダムドットパターン316を測定対象面6に投影するため、測定対象面6(すなわち地表面)の利用者(例えばパイロット等)がパターンやマーキングを誤認することを抑えることができる。さらに、本実施形態に係る表面変位計測システム2および表面変位計測方法では、測定対象面6の三次元形状に対して複数のメッシュ66を生成し三次元形状をメッシュ66毎に局所平面で近似するため、投影されたドット317の位置の部分に変位が生じた場合でも、より高い精度で測定対象面6の変位を計測できる。
【0056】
また、前述したように、本実施形態に係る表面変位計測システム2および表面変位計測方法によれば、複数のメッシュ66のうちから変位が生じない少なくとも3つの不動領域67を設定し、少なくとも3つの不動領域67の不動点319の座標に基づいて測定対象面6を基準平面で近似する。そして、高さ算出工程において、基準平面とメッシュ66の任意点318の座標とを比較することによりメッシュ66の任意点318の高さを算出する。そのため、ステレオカメラを含む撮影部312が測定対象面6に設置されていても、撮影部312が設置された領域の変位による影響を抑え、工事中における測定対象面6の隆起や沈下などの変位をより高い精度で計測することができる。
【0057】
また、不動領域設定工程において、ステレオカメラの視野の範囲内における周辺の領域を不動領域67として設定する。そのため、変位が生じない不動領域67をより適切に設定することができ、工事中における測定対象面6の隆起や沈下などの変位をより高い精度で計測することができる。
【0058】
また、投影工程において、複数の投影部311によりランダムドットパターン316を測定対象面6の全面に投影し、撮影工程において、複数の撮影部312により、ランダムドットパターン316が投影された測定対象面6の全面を撮影する場合には、測定対象面6の全面の隆起や沈下などの変位をリアルタイムかつより高い精度で計測することができる。
【0059】
また、投影工程において、投影部311から赤外光を照射してランダムドットパターン316を測定対象面6に投影するため、工事が夜間に行われる場合であっても、測定対象面6の隆起や沈下などの変位をリアルタイムで計測することができる。
【0060】
また、画像処理工程において、メッシュ66の任意点318の高さの経時変化の変化量ΔHおよび変化率R1の少なくともいずれかを撮影部312により撮影された撮影画像に重ねて表示するため、工事の作業者等は、測定対象面6の変位が比較的大きい位置を視覚的に認識することができる。
【0061】
また、報知工程において、メッシュ66の任意点318の高さの経時変化の変化量ΔHおよび変化率R1の少なくともいずれかが閾値を超えると警告を報知するため、工事の作業者等は、測定対象面6において比較的大きい変位が生じたことをリアルタイムで認識できる。また、工事の作業者等は、隆起や沈下などの変位が生ずる場所を予測することが困難な場合であっても、変位の初期段階において変位の兆候をリアルタイムで認識できる。さらに、工事の作業者等が変位の初期段階において変位の兆候をリアルタイムで認識できるため、測定対象面の隆起や沈下などのトラブルが工事中に生ずることを未然に抑えることができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0063】
2:表面変位計測システム、 3:計測処理端末、 4:BFF、 5:各種端末、 6:測定対象面、 31:計測ユニット、 32:計測処理部、 33:中継処理機、 51:操作携帯端末、 52:監視用携帯端末、 53:拠点監視用端末、 61:第1計測領域、 62:第2計測領域、 63:第3計測領域、 64:第4計測領域、 66:メッシュ、 67:不動領域、 311:投影部、 312:撮影部、 313:第1カメラ、 314:第2カメラ、 316:ランダムドットパターン、 317:ドット、 318:任意点、 319:不動点、 R1:変化率、 ΔH:変化量

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11