(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138160
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】多層接合型光電変換素子及び多層接合型光電変換素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 30/50 20230101AFI20230922BHJP
【FI】
H01L31/04 122
H01L31/04 112Z
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044709
(22)【出願日】2022-03-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五反田 武志
(72)【発明者】
【氏名】淺谷 剛
(72)【発明者】
【氏名】齊田 穣
(72)【発明者】
【氏名】戸張 智博
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA11
5F151DA03
5F151DA15
5F151FA04
5F151FA06
(57)【要約】
【課題】ペロブスカイト層への水の接触を防止することができる多層接合型光電変換素子及び多層接合型光電変換素子の製造方法を提供することである。
【解決手段】実施形態の多層接合型光電変換素子は、積層体を持つ。積層体は、第1電極機能層と、第1光活性層と、中間機能層と、第2光活性層と、第2電極機能層と、が積層されてなる。第1光活性層は、結晶シリコンからなる。第2光活性層は、ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる。第2電極機能層に含まれる一部の層が、積層体の内部において積層されるとともに、積層体の端面にある第2の光活性層の端部を覆うように端面上に延在して積層されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極機能層と、
結晶シリコンからなる第1光活性層と、
中間機能層と、
ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる第2光活性層と、
第2電極機能層と、
が積層されてなる積層体から構成され、
前記第2電極機能層に含まれる一部の層が、前記積層体の内部において積層されるとともに、前記積層体の端面にある前記第2の光活性層の端部を覆うように前記端面上に延在して積層されている、多層接合型光電変換素子。
【請求項2】
前記第2電極機能層に含まれる一部の層が、前記端面上において、前記第1光活性層まで延在して積層されている、請求項1に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項3】
前記第2電極機能層に含まれる一部の層が、前記積層体の端面の全部を覆うように積層されている、請求項1に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項4】
前記第2電極機能層に含まれる一部の層が、前記積層体の端面の全部を覆い、かつ、前記第1光活性層の前記第1電極機能層側の面の一部を覆うように積層されている、請求項1に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項5】
第2電極機能層は、前記第2の光活性層に積層されて正孔注入層または電子輸送層として機能する第2機能層と、前記第2機能層に積層される第2電極と、から構成され、
前記第2機能層が、前記積層体の端面にある前記第2の光活性層の端部を覆うように前記端面上に延在して積層されている、請求項1に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項6】
前記第2電極機能層に含まれる一部の層が、無機酸化物からなる、請求項1に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項7】
前記第2電極機能層に含まれる一部の層が、スズ酸化物またはチタン酸化物からなる、請求項1に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項8】
前記第1電極機能層は、第1電極と、前記第1電極と前記第1光活性層との間に配置されたパッシベーション膜と、前記パッシベーション膜を貫通して前記第1電極と前記第2光活性層とを電気的に接続する第1導電層とを有し、
前記中間機能層は、第2光活性層に積層された第2導電層と、透明電極層と、前記透明電極層と前記第1光活性層との間に配置された第1機能層とを有し、
前記第2電極機能層は、前記第2光活性層に積層された第2機能層と、前記第2機能層に積層された第2電極とを有し、
前記第2機能層が、前記第2光活性層と前記第2電極との間に積層されるとともに、前記積層体の端面にある前記第2の光活性層の端部を覆うように前記端面上に延在して積層されている、請求項1に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項9】
前記第1機能層および前記第2機能層がそれぞれ、前記第2光活性層に対して、正孔注入層または電子輸送層として機能するものである、請求項8に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項10】
前記第2機能層が、無機酸化物からなる、請求項8に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項11】
前記第2機能層が、スズ酸化物またはチタン酸化物からなる、請求項8に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項12】
第1電極機能層と、結晶シリコンからなる第1光活性層と、中間機能層と、ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる第2光活性層とを有する中間積層体を用意し、前記中間積層体の前記第2光活性層に第2電極機能層を積層する工程を備え、
前記工程には、前記第2電極機能層に含まれる一部の層を原子層堆積法によって形成する積層工程が含まれ、
前記積層工程は、前記第2電極機能層に含まれる一部の層を、前記中間積層体の前記第2光活性層上に積層するとともに、前記積層体の端面にある前記第2の光活性層の端部上に積層する工程である、多層接合型光電変換素子の製造方法。
【請求項13】
前記積層工程は、少なくとも前記第1電極機能層を覆う治具に前記中間積層体を装着した状態で、前記第2電極機能層に含まれる一部の層を積層する工程である、請求項12に記載の多層接合型光電変換素子の製造方法。
【請求項14】
前記積層工程は、少なくとも前記第1電極機能層を覆う治具に前記中間積層体を装着した状態で、前記第2電極機能層に含まれる一部の層を、前記中間積層体の前記第2光活性層上に積層するとともに、前記積層体の端面の全部を覆うように積層する工程である、請求項12に記載の多層接合型光電変換素子の製造方法。
【請求項15】
前記積層工程は、少なくとも前記第1電極機能層を覆う治具に前記中間積層体を装着した状態で、前記第2電極機能層に含まれる一部の層を、前記中間積層体の前記第2光活性層上に積層するとともに、前記積層体の端面の全部を覆い、かつ、前記第1光活性層の前記第1電極機能層側の面の一部を覆うように積層する工程である、請求項12に記載の多層接合型光電変換素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、多層接合型光電変換素子及び多層接合型光電変換素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層接合型光電変換素子として、タンデム型太陽電池が知られている。タンデム型太陽電池は、半導体基板の受光面側に、第2の光活性層を含む第2の光電変換素子が備えられるとともに、半導体基板の受光面側とは反対側に、この半導体基板を第1の光活性層として機能させる第1の光電変換素子が備えられて構成される。第2の光活性層として、ペロブスカイト型結晶構造の材料からなる光活性層(以下、ペロブスカイト層という)を持つものが知られている。
【0003】
ペロブスカイト層を持つ多層接合型光電変換素子では、構造上、その端面にペロブスカイト層が露出している。このため、ペロブスカイト層は、水が接触しやすい状態に置かれている。ペロブスカイト層が水に触れると、ペロブスカイト層が分解してしまい、これにより第1の光電変換素子が短絡してしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ペロブスカイト層への水の接触を防止することができる多層接合型光電変換素子及び多層接合型光電変換素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の多層接合型光電変換素子は、積層体を持つ。
積層体は、第1電極機能層と、第1光活性層と、中間機能層と、第2光活性層と、第2電極機能層と、が積層されてなる。
第1光活性層は、結晶シリコンからなる。
第2光活性層は、ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる。
第2電極機能層に含まれる一部の層は、積層体の内部に積層されるとともに、積層体の端面にある第2の光活性層の端部を覆うように端面上に延在して積層されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の多層接合型光電変換素子を示す断面模式図。
【
図2】
図2は、第2の実施形態の多層接合型光電変換素子を示す断面模式図。
【
図3】
図3は、第2の実施形態の多層接合型光電変換素子の変形例を示す断面模式図。
【
図4】
図4は、第3の実施形態の多層接合型光電変換素子の製造方法を説明する工程図。
【
図5】
図5は、第3の実施形態の多層接合型光電変換素子の製造方法を説明する工程図。
【
図6】
図6は、第3の実施形態の多層接合型光電変換素子の製造方法を説明する工程図。
【
図7】
図7は、第4の実施形態の多層接合型光電変換素子の別の例を示す断面模式図。
【
図8】
図8は、第4の実施形態の多層接合型光電変換素子の製造方法を説明する工程図。
【
図9】
図9は、第4の実施形態の多層接合型光電変換素子の製造方法を説明する工程図。
【
図10】
図10は、第4の実施形態の多層接合型光電変換素子の製造方法を説明する工程図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の多層接合型光電変換素子及び多層接合型光電変換素子の製造方法を、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1に、第1の実施形態の多層接合型光電変換素子1を示す。
図1に示す多層接合型光電変換素子1は、第1電極機能層2と、結晶シリコンからなる第1光活性層3と、中間機能層4と、ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる第2光活性層5と、第2電極機能層6と、が積層されてなる積層体7から構成される。
図1に示す多層接合型光電変換素子1において、第1光活性層3および第2光活性層5の受光面は、第2電極機能層6側の面とされている。
【0010】
積層体7の端面7aには、第1電極機能層2の端部2a、第1光活性層3の端部3a、中間機能層4の端部4a、第2光活性層5の端部5a、及び第2電極機能層6の端部6aが位置している。
【0011】
図1に示す多層接合型光電変換素子1は、第2電極機能層6に含まれる一部の層6bが、積層体7の内部に積層されるとともに、積層体7の端面7aの一部を覆うように延在して積層されている。具体的には、第2電極機能層6に含まれる一部の層6bが、第2の光活性層5の端部5aを覆うように端面7a上に延在して積層されている。これにより、第2の光活性層5の端部5aが、第2電極機能層6に含まれる一部の層6bに被覆されている。
【0012】
第1電極機能層2は、第1電極と、第1電極と第1光活性層との間に配置された第1導電層とを含んでもよい。
【0013】
第1光活性層3は、第一導電型の結晶シリコン層から構成される。第1光活性層3を構成する結晶シリコンは、一般的に光電池に用いられるシリコンと同様の構成を採用することができる。具体的には、単結晶シリコン、多結晶シリコン、ヘテロ接合型シリコンなどの結晶シリコンを含む結晶シリコンなどが挙げられる。また、結晶シリコンは、シリコンウェハーから切り出した薄膜であってもよい。シリコンウェハーとしては、リンやヒ素などをドープしたn型シリコン結晶、ホウ素やガリウムなどをドーピングしたp型シリコン結晶も使用できる。p型シリコン結晶中の電子は長い拡散長を有しているので、第一導電型の結晶シリコンとしてはp型の結晶シリコンが好ましい。
【0014】
中間機能層4は、第1光活性層3を主体とするボトムセルと、第2光活性層を主体とするトップセルとを直列に接続する機能を少なくとも備える。中間機能層4は、例えば、第1光活性層に接する第2導電層と、透明導電層と、第2光活性層に接する第1機能層とを含んでもよい。
【0015】
第2光活性層5は、ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる。ペロブスカイト型結晶構造とは、ペロブスカイトと同じ結晶構造をいう。典型的には、ペロブスカイト構造はイオンA、B、およびXからなり、イオンBがイオンAに比べて小さい場合にペロブスカイト構造をとる場合がある。この結晶構造の化学組成は、下記一般式(1)で表すことができる。
【0016】
ABX3 …(1)
【0017】
ここで、Aは、1級アンモニウムイオンを利用できる。具体的にはCH3NH3
+(以下、MAということがある)、C2H5NH3
+、C3H7NH3
+、C4H9NH3
+、およびHC(NH2)2
+(以下、FAということがある)などが挙げられ、CH3NH3
+が好ましいがこれに限定されるものではない。また、Aは、Cs+、1,1,1-トリフルオロ-エチルアンモニウムアイオダイド(FEAI)も好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0018】
また、Bは、2価の金属イオンであり、Pb2+またはSn2+が好ましいがこれに限定されるものではない。また、Xは、ハロゲンイオンが好ましい。例えばF-、Cl-、Br-、I-、およびAt-から選択され、Cl-、Br-、I-が好ましいがこれに限定されるものではない。
【0019】
イオンA、BまたはXを構成する材料は、それぞれ単一であっても混合であってもよい。構成するイオンはABX3の化学量論比と必ずしも一致しなくても機能できる。
【0020】
第2光活性層5のペロブスカイトを構成するイオンAは、原子量または、イオンを構成する原子量の合計(分子量)が45以上から構成されることが好ましい。更に好ましくは133以下のイオンを含むことが好ましい。これらの条件のイオンAは単体では安定性が低いため、一般的なMA(分子量32)を混合する場合があるが、MAを混合するとシリコンのバンドギャップ1.1eVに近づいて、波長分割して効率を向上させるタンデムとしては、全体の特性が低下してしまうので好ましくない。また、イオンAが複数のイオンの組み合わせであり、Csを含む場合、イオンAの全体個数に対してCsの個数の割合が0.1から0.9であることがより好ましい。
【0021】
この結晶構造は、立方晶、正方晶、直方晶等の単位格子をもち、各頂点にAが、体心にB、これを中心として立方晶の各面心にXが配置している。この結晶構造において、単位格子に包含される、一つのBと6つのXとからなる八面体は、Aとの相互作用により容易にひずみ、対称性の結晶に相転移する。この相転移が結晶の物性を劇的に変化させ、電子または正孔が結晶外に放出され、発電が起こるものと推定されている。
【0022】
第2電極機能層6は、第2電極6cと、第2電極6cと第2光活性層5との間に配置された第2機能層6dとを含んでもよい。第2機能層6dが、第2電極機能層6に含まれる一部の層6bとして、第2の光活性層5の端部5aを覆うように積層体7の端面上に延在して積層されている。
【0023】
第1電極機能層2に含まれる図示略の第1機能層と、第2電極機能層6に含まれる第2機能層6dは、第2の光活性層5に対して、いずれかが正孔輸送層として機能し、他方が電子輸送層として機能する。本実施形態の多層接合型光電変換素子1が、より優れた変換効率を達成するためには、これらの層の両方を具備することが好ましいが、少なくとも第2機能層6dのみが具備されていてもよい。
【0024】
第1電極機能層2に含まれる図示略の第1導電層と、中間機能層4に含まれる図示略の第2導電層は、第1光活性層3の特性に応じて、n型層、p型層、p+型層、p++型層などを、キャリア収集効率の改良など、目的に応じて組み合わせることができる。具体的には第1光活性層3としてp型シリコンを用いる場合には、第2導電層としてリンドープシリコン膜(n層)を、第1導電層としてp+層をそれぞれ組み合わせることができる。
【0025】
図1に示す多層接合型光電変換素子1は、光活性層3、5を2つ具備しており、第2光活性層5を具備する単位をトップセル、第1光活性層3を具備する単位をボトムセルとして、これらを中間機能層4により直列に接続した構造を有するタンデム太陽電池とされる。第1電極機能層2と第2電極機能層6は、陽極または陰極となり、そこから素子によって生成した電気エネルギーが取り出される。
【0026】
図1に示す多層接合型光電変換素子1では、第2電極機能層6に含まれる一部の層6bが、第2の光活性層5の端部5aを覆うように端面7a上に延在して積層されている。第2の光活性層5の端部5aは、第2電極機能層6に含まれる一部の層6bに被覆された状態になる。これにより、第2光活性層5に素子1の外部から水が付着するおそれがなく、第2光活性層5を構成するペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料が、水によって分解するおそれがない。これにより、トップセルの短絡を防止することができる。
【0027】
なお、
図1に示す例に限らず、第2電極機能層6に含まれる一部の層6bが、第1光活性層3の端部3aまでを覆うように端面7a上に延在して積層されていてもよい。水は、積層体7の端部7aと、第2電極機能層6に含まれる一部の層6bとの間の界面を侵入経路とする可能性があるが、第2電極機能層6に含まれる一部の層6bを、第1光活性層3まで延在させることで、水の侵入経路が長くなり、第2光活性層5に素子1の外部から水が侵入するおそれを、より低減できるようになる。
【0028】
(第2の実施形態)
図2に、第2の実施形態の多層接合型光電変換素子200を示す。
図2に示す多層接合型光電変換素子200は、第1電極機能層202と、結晶シリコンからなる第1光活性層203と、中間機能層204と、ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる第2光活性層205と、第2電極機能層206と、が積層されてなる積層体207から構成される。
図2に示す多層接合型光電変換素子200において、第1光活性層203および第2光活性層205の受光面は、第2電極機能層206側の面とされている。
【0029】
積層体207の端面207aには、第1電極機能層202の端部202a、第1光活性層203の端部203a、中間機能層204の端部204a、第2光活性層205の端部205a、及び第2電極機能層206の端部206aが位置している。そして、第2電極機能層206に含まれる一部の層(以下、被覆層206bという)が、積層体207の内部に積層されるとともに、積層体207の端面207aの一部を覆うように延在して積層されている。
【0030】
以下、本実施形態の多層接合型光電変換素子200の積層体207の構成を順次説明する。
【0031】
第1電極機能層202は、第1電極202bと、パッシベーション膜202cと、第1導電層202dとを有する。
【0032】
第1電極202bは、第1光活性層203の全面を覆うように形成される。第1電極202bは、電極として機能するとともに、入射光を反射させる反射層としても機能させることができる。すなわり、第1光活性層203と第2光活性層205で吸収できなかった光を反射して、再度、第1光活性層203と第2光活性層205で吸収させることができ、その結果、発生する電流量を増加させることができる。
【0033】
第1電極202bは、導電性を有するものであれば、従来知られている任意の材料から選択することができる。第1電極202bの材料は、金、銀、銅、白金、アルミニウム、チタン、鉄、パラジウム等が用いられるが、アルミニウムまたは銀が好ましい。特にアルミニウムは光反射性とコストの面から好ましい。
【0034】
第1電極202bの厚さは、10~10000nmであることが好ましく、15~1000nmであることがより好ましく、20~300nmであることが特に好ましい。
【0035】
パッシベーション膜202cは、第1光活性層203と第1電極202bとの間に配置される。パッシベーション膜202cは、第1光活性層203と第1電極202bとを電気的に絶縁するが、開口部202eを有しており、開口部202eを通じて、第1導電層202dが第1光活性層203と第1電極202bとの間の電気的接続を確保している。このため、キャリア移動が可能な領域が限定されるので、効率的にキャリアを収集することができる。
【0036】
パッシベーション膜202cを構成するのに用いられる材料は、特に限定されない。具体的には、シリコン材料の表面を熱酸化処理することによって形成されるシリコン酸化膜、plasma-enhanced chemical vapor deposition(PECVD)、plasma-assisted atomic layer deposition(PAALD)などにより成膜されたAlOx、SiNxなどの膜が挙げられる。
【0037】
第1導電層202dは、第1光活性層203と第1電極202bとの間に配置される層である。第1導電層202dは、後述する第2導電層204aとともに、第1光活性層203の特性に応じて、n型層、p型層、p+型層、p++型層などを、キャリア収集効率の改良など、目的に応じて組み合わせることができる。例えば、第1光活性層203としてp型シリコンを用いる場合には、第1導電層202dをp+層とし、第2導電層204aをリンドープシリコン膜(n層)とする。第1導電層202dは、例えば、第1光活性層203としてp型シリコンを用いる場合に、第1光活性層203にAlをドープすることにより形成される。
【0038】
第1光活性層203は、第1の実施形態で説明した第1光活性層3と同等のものでよい。第1光活性層203の厚さは、50μm~500μmであることが好ましく、100~300μmであることがより好ましい。
【0039】
中間機能層204は、第1光活性層203に接する第2導電層204aと、透明導電層204bと、第2光活性層205に接する第1機能層204cと、を有する。
【0040】
第2導電層204aは、第1光活性層203と透明導電層204bとの間に配置される層である。第2導電層204aは、例えばアモルファスシリコン(a-Si)に必要なドーパントを導入することで形成させることができる。すなわち、例えば、シリコンをPECVD法などで堆積してa-Si層を形成させ、次いで、リンをドープさせることで、n型のシリコン層よりなる第2導電層204aを形成できる。または、PECVD法などでa-Si層を堆積させる際に導入ガスにリンをドープしてもよい。
【0041】
第2導電層204aの厚さを薄くすることで、キャリアの生成領域をさらに限定することができるので、さらに生成する電流の量を増加させることができる。具体的には、第2導電層204aの厚さは、1~10nmであることが好ましく、2~4nmであることがより好ましい。
【0042】
透明導電層204bは、第2導電層204aに接するように配置される。透明導電層204bは、第1光活性層202を主体とするボトムセルと、第2光活性層205を主体とするトップセルとを隔絶しながら電気的に連結し、かつ第2光活性層205で吸収されなかった光を第1光活性層202に導く機能を有する。
【0043】
透明導電層204bの材質は、透明または半透明の導電性を有する材料から選択することができる。このような材料としては、導電性の金属酸化物膜が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド(IZO)等が用いられる。このような金属酸化物からなる透明導電層204bは、一般に知られている方法で形成させることができる。具体的には、スパッタリングにより形成できる。
【0044】
透明導電層204bの全厚は、5nm~70nmであることが好ましい。5nmよりも薄いと膜欠損が多く、透明導電層204bに隣接する層の隔絶が不十分になる。70nmよりも厚いと、回折効果により光透過性が低下し、第1光活性層側での発電量の低下を招くことがある。
【0045】
第1機能層204cは、透明導電層204bと第2光活性層205との間に存在させる。第1機能層204cは、後述する第2機能層第206dとともに、電子またはホールを輸送する優先的に取り出す層であり、正孔輸送層または電子輸送層として機能する。
【0046】
第2光活性層205は、第1の実施形態で説明した第2光活性層5と同等のものでよい。第2光活性層205の厚さを厚くすると光吸収量が増えて短絡電流密度(Jsc)が増えるが、キャリア輸送距離が増える分、失活によるロスが増える傾向にある。このため最大効率を得るためには最適な厚さがある。具体的には、第2光活性層205の厚さは30~1000nmが好ましく、60~600nmがさらに好ましい。
【0047】
第2電極機能層206は、第2金属電極206cと、第2透明電極206eと、第2機能層206dとを備える。第2機能層206dは、第2電極機能層206に含まれる一部の層である。更に、第2電極機能層206の一部は、被覆層206bとして、第2の光活性層205の端部205aを覆うように積層体207の端面207a上に延在して積層されている。
【0048】
第2電極機能層206は光入射面側に配置される。
図2において、第2金属電極206cと第2透明電極206eは、それぞれ特性が異なるので、特性に応じて、いずれか一方を用いても、組み合わせて用いてもよい。
【0049】
第2透明電極206eは、透明または半透明の導電性層である。第2透明電極206eは、複数の材料が積層された構造を有していてもよい。また、透明電極は光を透過するので、積層体の全面に形成することができる。
【0050】
第2透明電極206eの材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド(IZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作製された膜(NESA等)や、アルミニウム、金、白金、銀、銅等が用いられる。特に、ITOまたはIZOなどの金属酸化物が好ましい。このような金属酸化物からなる第2透明電極206eは、一般に知られている方法で形成させることができる。具体的には、スパッタリングにより形成される。
【0051】
第2透明電極206eの厚さは、30~300nmであることが好ましい。第2透明電極206eの厚さが30nmより薄いと導電性が低下して抵抗が高くなる傾向にある。抵抗が高くなると光電変換効率低下の原因となることがある。一方、第2透明電極206eの厚さが300nmよりも厚いと、電極の可撓性が低くなる傾向にある。この結果、厚さが厚い場合には応力が作用するとひび割れてしまうことがある。第2透明電極206eは単層構造であっても、異なる仕事関数の材料で構成される層を積層した複層構造であってもよい。
【0052】
第2金属電極206cは、導電性を有するものであればよく、具体的には、金、銀、銅、白金、アルミニウム、チタン、鉄、パラジウムなどの導電性材料を用いることができる。
【0053】
第2金属電極206cは、複数の金属線が実質的に平行に配置された形状を有している。第2金属電極206cの厚さは例えば30~300nmであることが好ましい。第2金属電極206cの厚さが30nmより薄いと導電性が低下して抵抗が高くなる傾向にある。抵抗が高くなると光電変換効率低下の原因となることがある。第2金属電極206cの厚さが100nm以下であれば、光透過性を有するので、発電効率や発光効率を向上できるために好ましい。第2金属電極206cは単層構造であっても、異なる材料で構成される層を積層した複層構造であってもよい。
【0054】
第2機能層206dは、第2透明電極206eと第2光活性層205との間に存在させる。第2機能層206dは、電子またはホールを輸送する優先的に取り出す層であり、正孔輸送層または電子輸送層として機能する。
【0055】
第2機能層206dを、正孔輸送層または電子輸送層として機能させる場合、第2機能層206dを無機酸化物で構成するとよい。第2機能層206dを正孔輸送層とする場合は、第2機能層206dを酸化チタンで構成するとよい。また、第2機能層206dを電子輸送層とする場合は、第2機能層206dを酸化スズで構成するとよい。
【0056】
第2機能層206dを正孔注入層とする場合、その厚さは30nm以下であることが好ましく、15~25nmでもよい。これは正孔注入層としての膜抵抗を低くし、変換効率を高めることができるからである。一方で、正孔注入層としての厚さは5nm以上とすることができる。
【0057】
第2機能層206dを電子輸送層とする場合、その厚さは30nm以下であることが好ましく、15~25nmでもよい。これは電子輸送層としての膜抵抗を低くし、変換効率を高めることができるからである。一方で、電子輸送層としての厚さは5nm以上とすることができる。
【0058】
第2機能層206dの一部である被覆層206bは、積層体207の端面207aに積層されている。被覆層206bは、第2光活性層205の端部205aを覆っている。被覆層206bは、第2機能層206dと一体で形成されたものであり、第2機能層206dに連続している。被覆層206bの材質は、第2機能層206dの材質と同等である。すなわち、被覆層206bは、無機酸化物で構成され、より具体的には、酸化チタンまたは酸化スズで構成される。また、被覆層206bの厚みは、第2機能層206dの厚みと同等である。
【0059】
図2に示す多層接合型光電変換素子201では、第2機能層206dが、積層体207の内部に積層されるとともに、第2機能層206dの一部である被覆層206bが、第2の光活性層205の端部205aを覆うように端面207a上に延在して積層されている。すなわち、第2の光活性層205の端部205aが、被覆層206bに被覆されている。これにより、第2光活性層205に素子201の外部から水が侵入するおそれがなく、第2光活性層205を構成するペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料が、水によって分解するおそれがない。これにより、トップセルの短絡を防止することができる。
【0060】
図3には、本実施形態の変形例を示す。
図3に示す多層接合型光電変換素子300では、被覆層206bが、第1光活性層203の端部203aまでを覆うように端面207a上に延在して積層されている。水は、積層体207の端面207aと、被覆層206bとの間の界面を侵入経路とする可能性があるが、被覆層206bを、第1光活性層203まで延在させることで、水の侵入経路が長くなり、第2光活性層205に素子301の外部から水が侵入するおそれを、より低減できるようになる。
【0061】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態である多層接合型光電変換素子の製造方法を説明する。本実施形態の製造方法は、第2の実施形態の変形例の製造方法であり、中間積層体に第2電極機能層を積層する工程を備える。この工程には、第2電極機能層に含まれる一部の層を原子層堆積法によって形成する積層工程が含まれる。積層工程では、第2電極機能層に含まれる一部の層を、中間積層体の第2光活性層上に積層するとともに、中間積層体の端面にある第2の光活性層の端部上に積層する工程である。
【0062】
図4に示すように、中間積層体407は、第1電極機能層202と、結晶シリコンからなる第1光活性層203と、中間機能層204と、ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる第2光活性層205とを有する。
【0063】
第1電極機能層202は、第2の実施形態で説明したように、第1電極202bと、第1電極202bと第1光活性層203との間に配置されたパッシベーション膜202cと、パッシベーション膜202cを貫通して第1電極202bと第2光活性層203とを電気的に接続する第1導電層204とを有する。
【0064】
第1光活性層203は、第2の実施形態で説明したものと同等である。
【0065】
中間機能層204は、第2光活性層203に積層された第2導電層204aと、透明電極層204bと、透明電極層204bと第1光活性層205との間に配置された第1機能層204cとを有する。
【0066】
第2光活性層205は、第2の実施形態で説明したものと同等である。
【0067】
中間積層体407の製造方法は特に限定する必要はないが、例えば、以下の手順で製造してもよい。
【0068】
すなわち、第1光活性層203となる結晶シリコン基板を用意し、その一方の面にパッシベーション膜202cを形成する。パッシベーション膜202cは、例えば、結晶シリコン基板の表面を熱酸化処理することによって形成する。
【0069】
次いで、第1導電層202dを形成しようとする部分にFire through用ペーストを塗布し、660~1000℃の焼成温度で高温焼成して、ペーストとパッシベーション膜202cとを反応させて、第1導電層202dを形成する。この方法では、パッシベーション膜202cにあらかじめ開口部202eは形成させないが、第1導電層204の形成時にパッシベーション膜202cが変性するので、実施形態においては、便宜的にパッシベーション膜202cの変性した部分が開口部202eとなる。なお、この方法により形成される第1導電層202dは、典型的にはドーム状の構造を有する。
【0070】
Fire through用ペーストとして、銀またはアルミニウムを含む金属ペーストを塗布する場合は、スクリーン印刷法を用いることが好ましい。金属ペーストはガラスフリットや有機溶剤をさらに含んでいてもよい。アルミニウムペーストを印刷した後に熱処理すると、アルミが高濃度に拡散したp+層(第1導電層202d)が形成される。
【0071】
次に、第1光活性層203となる結晶シリコン基板の他面側に、第2導電層204aを形成する。第2導電層204aは、第2の実施形態で述べたように、アモルファスシリコン(a-Si)に必要なドーパントを導入することで形成させることができる。
【0072】
次に、第2導電層204aの上に透明導電層204bを形成し、更に、透明導電層204bの上に第1機能層204cを形成する。する。透明導電層204b及び第1機能層204cは、それぞれ、スパッタリングにより形成する。
【0073】
次に、第1機能層204cの上に、第2光活性層205を形成する。第2光活性層205は、塗布法で形成することがコストの観点から好ましい。
【0074】
すなわち、ペロブスカイト構造の前駆体化合物と、この前駆体化合物を溶解し得る有機溶媒とを含む塗布液を、下地、例えば第1機能層204cの上に塗布して塗膜を形成させる。なお、第1機能層204cの表面は、第2光活性層205を形成する塗布液に対して高い濡れ性が得られるように事前の表面処理を行っておくことが好ましい。具体的には、UV-オゾン処理やプラズマ処理が挙げられる。
【0075】
塗布液に用いられる溶媒は、例えばN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが用いられる。溶媒は材料を溶解できるものであれば制約されず、混合してもよい。第2光活性層205は、ペロブスカイト構造を形成するすべての原材料を1つの溶液に溶解させた単一の塗布液を塗布することで形成することができる。また、ペロブスカイト構造を形成する複数の原材料を個別に、複数の溶液としたもの、複数の塗布液を準備し、それを順次塗布してもよい。塗布には、スピンコーター、スリットコーター、バーコーター、ディップコーターなどを用いることができる。
【0076】
塗布液は添加剤をさらに含んでいてもよい。このような添加剤としては、1,8-ジヨードオクタン(DIO)、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン(CHP)が好ましい。
【0077】
ペロブスカイト構造の前駆体を含む塗布液を2回以上塗布してもよい。このような場合には、最初の塗布で形成される第2光活性層205は、格子不整合層となりやすいので比較的薄い厚さとなる様に塗布されることが好ましい。2回目以降の塗布の条件は、具体的には、スピンコーターの回転数が相対的に早い、スリットコーターやバーコーターのスリット幅が相対的に狭い、ディップコーターの引き上げ速度が相対的に速い、塗布溶液中の溶質濃度が相対的に薄い等の膜厚を薄くするような条件であることが好ましい。
【0078】
ペロブスカイト構造形成反応の完了後は、溶媒を乾燥させるためにアニールを行うことが好ましい。このアニールはペロブスカイト層に含まれる溶媒を取り除くために行われるため、第2光活性層205の上に、次の層、例えば第2機能層206dを形成する前に行うことが好ましい。
【0079】
以上のようにして、中間積層体407を製造する。
【0080】
次に、中間積層体407の第2光活性層205に、第2電極機能層を積層する工程を行う。第2電極機能層を積層する工程は、第2機能層206dを形成する工程と、第2透明電極206eおよび第2金属電極206cを形成する工程とを有する。
【0081】
第2機能層206dを形成する工程では、第2電極機能層に含まれる一部の層である第2機能層206dを原子層堆積法によって形成する。原子層堆積法では、第2機能層206dの被形成面に対して、複数の気相原料(プリカーサ)を交互に暴露させることで第2機能層204cを形成する。これにより、第2機能層206dは、第2光活性層205の上面のみならず、中間積層体407の端面407aにも積層される。
【0082】
図5には、第2機能層206dが形成された後の中間積層体407を示す。
図5に示す例では、原子層堆積法を行うにあたり、中間積層体407が治具500に装着されている。治具500は、第1電極機能層202を覆うものである。第1電極機能層202が治具500で覆われているため、原子層堆積法によって第2機能層206dを形成する場合、第2機能層206dは、第2光活性層205上に形成されるとともに、中間積層体の端面207aのうち、第1光活性層203から第2光活性層205が積層されている部分にも形成される。このようにして、被覆層206bを含む第2機能層206dが形成される。
【0083】
次に、
図6に示すように、第2透明電極206eおよび第2金属電極206cを例えばスパッタリング法により形成する。以上により、
図3に示した多層接合型光電変換素子300が製造される。
【0084】
本実施形態の製造方法によれば、第2機能層206dを原子層堆積法によって形成することで、少なくとも第2光活性層205の端部を覆う被覆層204bを、第2機能層206dの形成と同時に同時に形成できるので、工程の簡素化が図られる。
【0085】
また、第2機能層206dを原子層堆積法によって形成する際に、少なくとも第1電極機能層202を覆う治具500を中間積層体407に装着するので、第1電極機能層202には第2機能層206dが積層されない。これにより、多層接合型光電変換素子300の第2透明電極206eと第1電極202bとが短絡する畏れがない。
【0086】
なお、
図2に示す多層接合型光電変換素子200を製造する場合は、上記の治具500に代えて、中間積層体407の端面407aのうち、第2光活性層205の端部を除く部分を覆う治具を使用し、その治具を中間積層体に装着した状態で、第2機能層206dを原子層堆積法によって形成すればよい。
【0087】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態である多層接合型光電変換素子およびその製造方法を説明する。
【0088】
図7に示す多層接合型光電変換素子601は、第1電極機能層602と、結晶シリコンからなる第1光活性層603と、中間機能層604と、ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる第2光活性層605と、第2電極機能層606と、が積層されてなる積層体6077から構成される。
図7に示す多層接合型光電変換素子601において、第1光活性層603および第2光活性層605の受光面は、第2電極機能層606側の面とされている。
【0089】
積層体607の端面607aには、第1光活性層603の端部603a、中間機能層604の端部604a、第2光活性層605の端部605a、及び第2電極機能層606の端部606aが位置している。
【0090】
図7に示す多層接合型光電変換素子601は、第2電極機能層606に含まれる一部の層606bが、積層体607の内部に積層されるとともに、少なくとも積層体607の端面7aの全部を覆うように延在して積層されている。
図7に示す例では、第2電極機能層606に含まれる一部の層606bが、積層体607の端面607aの全部を覆うとともに、第1光活性層603の下面603bの一部を覆うように形成されている。ただし、一部の層606bは、第1電極機能層602には接触しないようになっている。
【0091】
第1電極機能層602は、
図7に示すように、帯状に形成されている。
図7には、第1電極機能層602が、帯状の第1電極機能層602をその長手方向に直交する断面として示されている。
【0092】
第1光活性層603、中間機能層604、第2光活性層605は、第1の実施形態の第1光活性層3、中間機能層4、第2光活性層5と同等のものでよい。
【0093】
第2電極機能層606は、第2電極606cと、第2電極606cと第2光活性層605との間に配置された第2機能層606dとを含んでもよい。第2機能層606dが、第2電極機能層606に含まれる一部の層606bとして、少なくとも積層体607の端面607aを覆うように積層されている。
【0094】
図1に示す多層接合型光電変換素子1は、光活性層603、605を2つ具備しており、第2光活性層605を具備する単位をトップセル、第1光活性層603を具備する単位をボトムセルとして、これらを中間機能層604により直列に接続した構造を有するタンデム太陽電池とされる。第1電極機能層602と第2電極機能層606は、陽極または陰極となり、そこから素子によって生成した電気エネルギーが取り出される。
【0095】
図7に示す多層接合型光電変換素子601では、第2電極機能層606に含まれる一部の層606bが、少なくとも積層体607の端面607aを覆うように積層されている。第2の光活性層605の端部605aは、第2電極機能層606に含まれる一部の層606bに被覆された状態になる。これにより、第2光活性層605に素子601の外部から水が侵入するおそれがなく、第2光活性層605を構成するペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料が、水によって分解するおそれがない。これにより、トップセルの短絡を防止することができる。
【0096】
また、第2電極機能層606に含まれる一部の層606bが、少なくとも積層体607の端面607aの全部を覆うように積層されていることで、水分が第2光活性層605までに到達するための侵入経路が長くなり、これにより、水分の侵入が大幅に制限され、第2光活性層605を構成する光活性材料が、水によって分解するおそれがより少なくなる。これにより、トップセルの短絡をより確実に防止できる。
【0097】
次に、
図8~
図10を参照しつつ、
図7に示す多層接合型光電変換素子601の製造方法を説明する。
【0098】
本実施形態の製造方法は、中間積層体に第2電極機能層を積層する工程を備える。この工程には、第2電極機能層に含まれる一部の層を原子層堆積法によって形成する積層工程が含まれる。積層工程では、第2電極機能層に含まれる一部の層を、中間積層体の第2光活性層上に積層するとともに、中間積層体の端面にある第2の光活性層の端部上に積層する工程である。特に、本実施形態の積層工程では、第2電極機能層に含まれる一部の層を、中間積層体の第2光活性層上に積層するとともに、中間積層体の端面の全面上に少なくとも積層する工程である。更に積層工程では、第2電極機能層に含まれる一部の層を、第1光活性層の第1電極機能層602側の下面603bの一部に積層してもよい。
【0099】
図8に示すように、中間積層体707は、第1電極機能層602と、結晶シリコンからなる第1光活性層603と、中間機能層604と、ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる第2光活性層605とを有する。
【0100】
中間積層体407の製造方法は特に限定する必要はないが、例えば、以下の手順で製造してもよい。
【0101】
すなわち、第1光活性層603となる結晶シリコン基板を用意し、その一方の面に第1電極機能層602を形成する。次いで、第1光活性層603となる結晶シリコン基板の他方の面に、中間機能層604と、ペロブスカイト型結晶構造を有する第2光活性層605とを順次積層する。
【0102】
中間機能層604は、例えばスパッタリング法により製造することが好ましい。また、第2光活性層605は、例えば第3の実施形態において説明したように、塗布法で形成することがコストの観点から好ましい。
【0103】
以上のようにして、中間積層体707を製造する。
【0104】
次に、中間積層体707の第2光活性層605に、第2電極機能層を積層する工程を行う。第2電極機能層を積層する工程は、第2機能層606dを形成する工程と、第2電極606cを形成する工程とを有する。
【0105】
図9に示すように、第2機能層606dを形成する工程では、中間積層体707に治具800を装着してから、第2電極機能層606の一部を構成する第2機能層606dを、原子層堆積法によって形成する。原子層堆積法では、第2機能層606dの被形成面に対して、複数の気相原料(プリカーサ)を交互に暴露させることで第2機能層606dを形成する。これにより、第2機能層206dは、第2光活性層605の上面に形成されるとともに、その一部606bが、中間積層体707の端面607aおよび第1光活性層603の下面603bの一部にも積層される。
【0106】
治具800は、第1電極機能層602を覆い、第1光活性層603の下面603bに接する中空箱状のものである。第1電極機能層602が治具800で覆われているため、原子層堆積法によって第2機能層606dを形成する場合、第2機能層606dは、第1電極機能層602には接合せずに、第2光活性層605上に形成されるとともに、その一部606bが、中間積層体707の端面707a全部と第1光活性層603の下面603bの一部に形成される。このようにして、第2機能層206dが形成される。
【0107】
第2機能層606dおよびその一部606bを積層する範囲は、治具800の形状を変更することで調整可能である。例えば、治具の別の例として、第1電極機能層602および第1光活性層603の下面603bの全部を覆う治具を用いることで、第2機能層606dおよびその一部606bを、中第2光活性層605上および間積層体707の端面707の全面を覆うように積層できる。
【0108】
次に、
図10に示すように、第2電極606cを例えばスパッタリング法により形成する。以上により、
図7に示した多層接合型光電変換素子601が製造される。
【0109】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、積層体の端面にある第2の光活性層の端部を覆うように端面上に延在して積層されている被覆層を持つことにより、ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる第2光活性層への水の接触を防止することができる。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0111】
1…多層接合型光電変換素子、2…第1電極機能層、3…第1光活性層、4…中間機能層、5…第2光活性層、6…第2電極機能層、6a…第2の光活性層の端部、6b…第2電極機能層に含まれる一部の層、6c…第2電極、6d、206d…第2機能層、7…積層体、7a…積層体の端面、202b…第1電極、202c…パッシベーション膜、202d…第1導電層、204a…第2導電層、204b…透明電極層、204c…第1機能層、407…中間積層体、500…治具。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極機能層と、
結晶シリコンからなる第1光活性層と、
中間機能層と、
ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる第2光活性層と、
第2電極機能層と、
が積層されてなる積層体から構成され、
前記第2電極機能層は、前記第2光活性層に積層されて正孔注入層または電子輸送層として機能する第2機能層と、前記第2機能層に積層される第2電極と、から構成され、
前記第2機能層が、前記積層体の内部において積層されるとともに、前記積層体の端面にある前記第2光活性層の端部を覆うように前記端面上に延在して積層されている、多層接合型光電変換素子。
【請求項2】
前記第2機能層が、前記積層体の端面の全部を覆い、かつ、前記第1光活性層の前記第1電極機能層側の面の一部を覆うように積層されている、請求項1に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項3】
前記第1電極機能層は、第1電極と、前記第1電極と前記第1光活性層との間に配置されたパッシベーション膜と、前記パッシベーション膜を貫通して前記第1電極と前記第1光活性層とを電気的に接続する第1導電層とを有し、
前記中間機能層は、前記第1光活性層に積層された第2導電層と、透明電極層と、前記透明電極層と前記第2光活性層との間に配置された第1機能層とを有し、
前記第2機能層が、前記第2光活性層と前記第2電極との間に積層されるとともに、前記積層体の端面にある前記第2光活性層の端部を覆うように前記端面上に延在して積層されている、請求項1に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項4】
前記第1機能層が、前記第2光活性層に対して、正孔注入層または電子輸送層として機能するものである、請求項3に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項5】
第1電極機能層と、
結晶シリコンからなる第1光活性層と、
中間機能層と、
ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる第2光活性層と、
第2電極機能層と、
が積層されてなる積層体から構成され、
前記第2電極機能層に含まれる一部の層が、前記積層体の内部において積層されるとともに、前記第2光活性層の端部を含む前記積層体の端面の全部を覆い、かつ、前記第1光活性層の前記第1電極機能層側の面の一部を覆うように積層されている、多層接合型光電変換素子。
【請求項6】
前記第2電極機能層に含まれる一部の層が、無機酸化物からなる、請求項5に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項7】
前記第2電極機能層に含まれる一部の層が、スズ酸化物またはチタン酸化物からなる、請求項5に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項8】
第1電極機能層と、
結晶シリコンからなる第1光活性層と、
中間機能層と、
ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる第2光活性層と、
第2電極機能層と、
が積層されてなる積層体から構成され、
前記第1電極機能層は、第1電極と、前記第1電極と前記第1光活性層との間に配置されたパッシベーション膜と、前記パッシベーション膜を貫通して前記第1電極と前記第1光活性層とを電気的に接続する第1導電層とを有し、
前記中間機能層は、前記第1光活性層に積層された第2導電層と、透明電極層と、前記透明電極層と前記第2光活性層との間に配置された第1機能層とを有し、
前記第2電極機能層は、前記第2光活性層に積層された第2機能層と、前記第2機能層に積層された第2電極とを有し、
前記第2機能層が、前記第2光活性層と前記第2電極との間に積層されるとともに、前記積層体の端面にある前記第2光活性層の端部を覆うように前記端面上に延在して積層されている、多層接合型光電変換素子。
【請求項9】
前記第2機能層が、前記端面上において、前記第1光活性層まで延在して積層されている、請求項1または請求項8に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項10】
前記第2機能層が、前記積層体の端面の全部を覆うように積層されている、請求項1または請求項8に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項11】
前記第1機能層および前記第2機能層がそれぞれ、前記第2光活性層に対して、正孔注入層または電子輸送層として機能するものである、請求項8に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項12】
前記第2機能層が、無機酸化物からなる、請求項1ないし請求項3または請求項8の何れか一項に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項13】
前記第2機能層が、スズ酸化物またはチタン酸化物からなる、請求項1ないし請求項3または請求項8の何れか一項に記載の多層接合型光電変換素子。
【請求項14】
第1電極機能層と、結晶シリコンからなる第1光活性層と、中間機能層と、ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる第2光活性層とを有する中間積層体を用意し、前記中間積層体の前記第2光活性層に第2電極機能層を積層する工程を備え、
前記工程には、前記第2電極機能層に含まれる一部の層を原子層堆積法によって形成する積層工程が含まれ、
前記積層工程は、少なくとも前記第1電極機能層を覆う治具に前記中間積層体を装着した状態で、前記第2電極機能層に含まれる一部の層を、前記中間積層体の前記第2光活性層上に積層するとともに、前記中間積層体の端面にある前記第2光活性層の端部上に積層する工程である、多層接合型光電変換素子の製造方法。
【請求項15】
前記積層工程は、少なくとも前記第1電極機能層を覆う治具に前記中間積層体を装着した状態で、前記第2電極機能層に含まれる一部の層を、前記中間積層体の前記第2光活性層上に積層するとともに、前記中間積層体の端面の全部を覆うように積層する工程である、請求項14に記載の多層接合型光電変換素子の製造方法。
【請求項16】
前記積層工程は、少なくとも前記第1電極機能層を覆う治具に前記中間積層体を装着した状態で、前記第2電極機能層に含まれる一部の層を、前記中間積層体の前記第2光活性層上に積層するとともに、前記中間積層体の端面の全部を覆い、かつ、前記第1光活性層の前記第1電極機能層側の面の一部を覆うように積層する工程である、請求項14に記載の多層接合型光電変換素子の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
中間機能層4は、第1光活性層3を主体とするボトムセルと、第2光活性層5を主体とするトップセルとを直列に接続する機能を少なくとも備える。中間機能層4は、例えば、第1光活性層3に接する第2導電層と、透明導電層と、第2光活性層5に接する第1機能層とを含んでもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
中間機能層4に含まれる図示略の第1機能層と、第2電極機能層6に含まれる第2機能層6dは、第2の光活性層5に対して、いずれかが正孔輸送層として機能し、他方が電子輸送層として機能する。本実施形態の多層接合型光電変換素子1が、より優れた変換効率を達成するためには、これらの層の両方を具備することが好ましいが、少なくとも第2機能層6dのみが具備されていてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
図1に示す多層接合型光電変換素子1では、第2電極機能層6に含まれる一部の層6bが、
第2光活性層5の端部5aを覆うように端面7a上に延在して積層されている。
第2光活性層5の端部5aは、第2電極機能層6に含まれる一部の層6bに被覆された状態になる。これにより、第2光活性層5に素子1の外部から水が付着するおそれがなく、第2光活性層5を構成するペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料が、水によって分解するおそれがない。これにより、トップセルの短絡を防止することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
透明導電層204bは、第2導電層204aに接するように配置される。透明導電層204bは、第1光活性層203を主体とするボトムセルと、第2光活性層205を主体とするトップセルとを隔絶しながら電気的に連結し、かつ第2光活性層205で吸収されなかった光を第1光活性層203に導く機能を有する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
第1機能層204cは、透明導電層204bと第2光活性層205との間に存在させる。
第1機能層204cは、後述する第2機能層206dとともに、電子またはホールを輸送する優先的に取り出す層であり、正孔輸送層または電子輸送層として機能する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
次に、第2導電層204aの上に透明導電層204bを形成し、更に、透明導電層204bの上に第1機能層204cを形成する。透明導電層204b及び第1機能層204cは、それぞれ、スパッタリングにより形成する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
第2機能層206dを形成する工程では、第2電極機能層に含まれる一部の層である第2機能層206dを原子層堆積法によって形成する。原子層堆積法では、第2機能層206dの被形成面に対して、複数の気相原料(プリカーサ)を交互に暴露させることで第2機能層204dを形成する。これにより、第2機能層206dは、第2光活性層205の上面のみならず、中間積層体407の端面407aにも積層される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0084】
本実施形態の製造方法によれば、第2機能層206dを原子層堆積法によって形成することで、少なくとも第2光活性層205の端部を覆う被覆層206bを、第2機能層206dの形成と同時に同時に形成できるので、工程の簡素化が図られる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
図7に示す多層接合型光電変換素子601は、第1電極機能層602と、結晶シリコンからなる第1光活性層603と、中間機能層604と、ペロブスカイト型結晶構造を有する光活性材料からなる第2光活性層605と、第2電極機能層606と、が積層されてなる積層体
607から構成される。
図7に示す多層接合型光電変換素子601において、第1光活性層603および第2光活性層605の受光面は、第2電極機能層606側の面とされている。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0098
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0098】
本実施形態の製造方法は、中間積層体に第2電極機能層を積層する工程を備える。この工程には、第2電極機能層に含まれる一部の層を原子層堆積法によって形成する積層工程が含まれる。積層工程では、第2電極機能層に含まれる一部の層を、中間積層体の第2光活性層上に積層するとともに、中間積層体の端面にある第2光活性層の端部上に積層する工程である。特に、本実施形態の積層工程では、第2電極機能層に含まれる一部の層を、中間積層体の第2光活性層上に積層するとともに、中間積層体の端面の全面上に少なくとも積層する工程である。更に積層工程では、第2電極機能層に含まれる一部の層を、第1光活性層の第1電極機能層602側の下面603bの一部に積層してもよい。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0105
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0105】
図9に示すように、第2機能層606dを形成する工程では、中間積層体707に治具800を装着してから、第2電極機能層606の一部を構成する第2機能層606dを、原子層堆積法によって形成する。原子層堆積法では、第2機能層606dの被形成面に対して、複数の気相原料(プリカーサ)を交互に暴露させることで第2機能層606dを形成する。これにより、第2機能層
606dは、第2光活性層605の上面に形成されるとともに、その一部606bが、中間積層体707の端面607aおよび第1光活性層603の下面603bの一部にも積層される。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
第2機能層606dおよびその一部606bを積層する範囲は、治具800の形状を変更することで調整可能である。例えば、治具の別の例として、第1電極機能層602および第1光活性層603の下面603bの全部を覆う治具を用いることで、第2機能層606dおよびその一部606bを、第2光活性層605上および中間積層体707の端面707aの全面を覆うように積層できる。