(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138193
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/48 20060101AFI20230922BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20230922BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20230922BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01L23/48 H
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H01L29/78 655A
H01L23/48 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044756
(22)【出願日】2022-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】川城 史義
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安全動作領域が広く信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、第1ベッド部3と、第1アウターリード6と、を有するリードフレームと、半導体チップ10と、リードフレームの第1上面4と半導体チップ10を接合し、制御電極16の下の第1接合材部分70aの第1膜厚t1が、第1接合材部分70aの下の第1ベッド部3の第1部分3aと第1アウターリード6の間に設けられた第1ベッド部3の第2部分3bの上の第2接合材部分70bの第2膜厚t2より薄い第1接合材70と、電極14の上に設けられた第1端部51aと、第2上面57の上に設けられた第2端部51bと、を有する第1コネクタ50と、電極14と第1端部51aの間に設けられ、電極14と第1端部51aを接合する第2接合材20と、第2上面57と第2端部51bの間に設けられ、第1コネクタ50と第2端部51bを接合する第3接合材59と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1上面を有する第1ベッド部と、前記第1ベッド部に接続された第1アウターリードと、を有するリードフレームと、
第2上面を有する第2ベッド部と、前記第2ベッド部に接続された第2アウターリードと、を有する第1ポスト部であって、前記第1ベッド部は、前記第1アウターリードと前記第1ポスト部の間に配置されるように設けられた前記第1ポスト部と、
第3上面を有する第3ベッド部と、前記第3ベッド部に接続された第3アウターリードと、を有する第2ポスト部と、
前記第1上面の上に設けられ、
電極と、制御電極と、を有する第4上面と、
前記電極の上に設けられた第1開口部と、前記制御電極の上に設けられた第2開口部と、を有し、前記第4上面の上に設けられた絶縁膜と、
を有する半導体チップと、
前記第1上面と前記半導体チップの間に設けられ、前記第1上面と前記半導体チップを接合し、前記制御電極の下の第1接合材部分の第1膜厚は、前記第1接合材部分の下の前記第1ベッド部の第1部分と前記第1アウターリードの間に設けられた前記第1ベッド部の第2部分の上の第2接合材部分の第2膜厚より薄い第1接合材と、
前記電極の上に設けられた第1端部と、前記第2上面の上に設けられた第2端部と、を有する第1コネクタと、
前記電極と前記第1端部の間に設けられ、前記電極と前記第1端部を接合する第2接合材と、
前記第2上面と前記第2端部の間に設けられ、前記制御電極と前記第2端部を接合する第3接合材と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第2膜厚と前記第1膜厚の差は15μm以上である、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2開口部の下、及び前記第2開口部から1mm以内の距離の範囲の下に設けられた前記第1接合材は、最大径15μm以上のボイドを含まない、
請求項1又は請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2接合材に接合された前記第1端部の接合部の下の前記第1接合材は、最大径15μm以上のボイドを含む、
請求項1又は請求項2記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2接合材に接合された前記第1端部の前記接合部の面積は、前記第4上面の面積の80%以上である、
請求項1乃至請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
上方から見た場合に、前記第2接合材に接合された前記第1端部の前記接合部の面積は、前記第4上面の面積の50%以上70%以下であり、
上方から見た場合に、前記第2接合材に接合された前記第1端部の前記接合部の中心は、前記第1開口部の中心と前記第1ポスト部の間に配置されている、
請求項1乃至請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1コネクタの重心と前記第1端部の先端の距離は、前記第1コネクタの前記重心と前記第2端部の先端の距離より長い、
請求項1乃至請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1コネクタは、
前記第2端部を含み、第1方向に延伸する第3コネクタと、
前記第3コネクタに接続され、前記第1方向と90度未満の角度で交差する第2方向に延伸する第4コネクタと、
を有する請求項1乃至請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1端部は、前記第2接合材に接する第5コネクタと、前記第2接合材に接し前記第2端部との距離がより短い第6コネクタと、を有し、
前記第1上面に垂直な方向における前記第5コネクタの厚みは、前記第1上面に垂直な方向における前記第6コネクタの厚みより薄い、
請求項1乃至請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体チップを有する半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。例えば、上述の半導体装置が縦型のMOSFETである場合、半導体チップの上面に設けられたソース電極は、例えばMOSFETの上に設けられたコネクタと接続されている。MOSFETの両面は、はんだを介してコネクタやリードと接合するが、はんだ中にボイドを含むことでMOSFETの放熱性が低下し、安全動作領域が狭まり、熱暴走に弱い構造となる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、安全動作領域が広く信頼性の高い半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1上面を有する第1ベッド部と、第1ベッド部に接続された第1アウターリードと、を有するリードフレームと、第2上面を有する第2ベッド部と、第2ベッド部に接続された第2アウターリードと、を有する第1ポスト部であって、第1ベッド部は、第1アウターリードと第1ポスト部の間に配置されるように設けられた第1ポスト部と、第3上面を有する第3ベッド部と、第3ベッド部に接続された第3アウターリードと、を有する第2ポスト部と、第1上面の上に設けられ、電極と、制御電極と、を有する第4上面と、電極の上に設けられた第1開口部と、制御電極の上に設けられた第2開口部と、を有し、第4上面の上に設けられた絶縁膜と、を有する半導体チップと、第1上面と半導体チップの間に設けられ、第1上面と半導体チップを接合し、制御電極の下の第1接合材部分の第1膜厚は、第1接合材部分の下の第1ベッド部の第1部分と第1アウターリードの間に設けられた第1ベッド部の第2部分の上の第2接合材部分の第2膜厚より薄い第1接合材と、電極の上に設けられた第1端部と、第2上面の上に設けられた第2端部と、を有する第1コネクタと、電極と第1端部の間に設けられ、電極と第1端部を接合する第2接合材と、第2上面と第2端部の間に設けられ、制御電極と第2端部を接合する第3接合材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【
図2】第1実施形態の半導体装置の要部の模式断面図である。
【
図3】第1実施形態の半導体装置の要部の模式断面図である。
【
図4】第1実施形態の半導体装置の作用効果を説明する模式断面図である。
【
図5】第2実施形態の半導体装置の要部の模式断面図である。
【
図6】第2実施形態の半導体装置の要部の模式上面図である。
【
図7】第3実施形態の半導体装置に用いられる第1コネクタの模式断面図である。
【
図8】第4実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【
図9】第5実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0008】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0009】
(第1実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1上面を有する第1ベッド部と、第1ベッド部に接続された第1アウターリードと、を有するリードフレームと、第2上面を有する第2ベッド部と、第2ベッド部に接続された第2アウターリードと、を有する第1ポスト部であって、第1ベッド部は、第1アウターリードと第1ポスト部の間に配置されるように設けられた第1ポスト部と、第3上面を有する第3ベッド部と、第3ベッド部に接続された第3アウターリードと、を有する第2ポスト部と、第1上面の上に設けられ、電極と、制御電極と、を有する第4上面と、電極の上に設けられた第1開口部と、制御電極の上に設けられた第2開口部と、を有し、第4上面の上に設けられた絶縁膜と、を有する半導体チップと、第1上面と半導体チップの間に設けられ、第1上面と半導体チップを接合し、制御電極の下の第1接合材部分の第1膜厚は、第1接合材部分の下の第1ベッド部の第1部分と第1アウターリードの間に設けられた第1ベッド部の第2部分の上の第2接合材部分の第2膜厚より薄い第1接合材と、電極の上に設けられた第1端部と、第2上面の上に設けられた第2端部と、を有する第1コネクタと、電極と第1端部の間に設けられ、電極と第1端部を接合する第2接合材と、第2上面と第2端部の間に設けられ、制御電極と第2端部を接合する第3接合材と、を備える。
【0010】
図1は、本実施形態の半導体装置100の模式上面図である。
図1(a)は、本実施形態の半導体装置100の模式上面図である。
図1(b)は、本実施形態の半導体チップ10、絶縁膜12、第2接合材20及び第4接合材80を図示した模式上面図である。
図2は、本実施形態の半導体装置100の要部の模式断面図である。
図2(a)は、
図1におけるA-A’断面の模式図である。
図2(b)は、
図1におけるB-B’断面の模式図である。
【0011】
図1及び
図2を用いて、本実施形態の半導体装置100の説明をする。
【0012】
リードフレーム2は、半導体チップ10が配置される、Cu(銅)等の導電性材料を含む部材である。リードフレーム2は、第1ベッド部3と、第1アウターリード6と、を有する。第1ベッド部3は、第1上面4を有する。第1上面4の上に、半導体チップ10が設けられている。第1アウターリード6は第1ベッド部3に接続されている。第1アウターリード6は、半導体チップ10と、図示しない外部回路との接続に用いられる。
【0013】
ここで、X方向と、X方向に対して垂直に交差するY方向と、X方向及びY方向に垂直に交差するZ方向を定義する。第1上面4は、XY面に平行に配置されている。
【0014】
第1ポスト部(第1リードポスト、ソースリードポスト)54は、第2ベッド部58と、第2アウターリード56と、を備える。第1ポスト部54は、Cu等の導電性材料を含む。第2ベッド部58は、第2上面57を有する。ここで、第1ベッド部3は、第1アウターリード6と第1ポスト部54の間に配置されるように設けられている。第2アウターリード56は、半導体チップ10と、図示しない外部回路との接続に用いられる。
【0015】
第2ポスト部(第2リードポスト、ゲートリードポスト)64は、第3ベッド部68と、第3アウターリード66と、を備える。第3ベッド部68は、第3上面67を有する。第2ポスト部64は、Cu等の導電性材料を含む。ここで、例えば、第1ベッド部3は、第1アウターリード6と第2ポスト部64の間に配置されるように設けられている。第3アウターリード66は、半導体チップ10と、図示しない外部回路との接続に用いられる。
【0016】
例えば、第2ポスト部64は、第1ポスト部54と隣接して設けられている。例えば、第2ポスト部64は、第1ポスト部54と並んで設けられている。
【0017】
半導体チップ10は、リードフレーム2の第1上面4の上に設けられている。半導体チップ10は、例えばSi(シリコン)、SiC(炭化珪素)、GaAs(ヒ化ガリウム)、又はGaN(窒化ガリウム)等の半導体基板に、縦型のMOSFETやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等が設けられたものである。
【0018】
半導体チップ10は、第4上面18を有する。第4上面18には、電極14及び制御電極16が設けられている。例えば、半導体チップ10がMOSFETを有する場合、電極14は、MOSFETのソース電極に相当する。また、半導体チップ10がMOSFETを有する場合、制御電極16は、MOSFETのゲート電極に相当する。
【0019】
半導体チップ10は、絶縁膜12を有する。絶縁膜12は、第4上面18の上に設けられている。絶縁膜12は、第1開口部12aと、第2開口部12bと、を有する。第1開口部12a及び第2開口部12bは、それぞれ、絶縁膜12を貫通している。第1開口部12aは、電極14の上に設けられている。第2開口部12bは、制御電極16の上に設けられている。絶縁膜12は、例えば、ポリイミド等の絶縁材料を含む。
【0020】
第1接合材70は、第1上面4と半導体チップ10の間に設けられている。第1接合材70は、第1上面4と半導体チップ10を接合している。例えば半導体チップ10にMOSFETが設けられている場合、第1接合材70は、図示しない半導体チップ10のドレイン電極と、第1上面4を接合している。
【0021】
制御電極16の下における第1接合材70の第1接合材部分70aの第1膜厚t
1は、第1接合材部分70aの下の第1ベッド部3の第1部分3aと、第1アウターリード6の間に設けられた第1ベッド部3の第2部分3bの上の第2接合材部分70bの第2膜厚t
2より薄い(
図2(b))。
【0022】
第2膜厚t2と第1膜厚t1の差は、15μm以上であることが好ましい。なお、第2膜厚t2と第1膜厚t1の差は、30μm以上であることがさらに好ましい。
【0023】
第1コネクタ50は、第1端部51aと、第2端部51bと、を有する。第1端部51aは、電極14の上に設けられている。第2端部51bは、第2上面57の上に設けられている。第1コネクタ50は、例えば、Cu等の導電性材料を含む。なお、第1コネクタ50の表面に、例えばFe、Crを含みエポキシ樹脂と共有結合してM-O-Si (O-Si間は三重結合、Mは金属元素)を形成する無機密着強化層やM-O-ポリマー結合となる有機密着強化層が施されていてもかまわない。また、Cu表面を硫酸で荒らす黒化処理などの表面粗化が施されていてもかまわない。
【0024】
第2接合材20は、電極14と第1端部51aの間に設けられている。第2接合材20は、電極14と第1端部51aを接合している。
【0025】
第3接合材59は、第2上面57と第2端部51bの間に設けられている。第3接合材59は、第2上面57と第2端部51bを接合している。
【0026】
第2コネクタ60は、第3端部61aと、第4端部61bと、を有する。第2コネクタ60は、例えば、Cu等の導電性材料を含む。なお、第2コネクタ60の表面に、例えばFe、Crを含みエポキシ樹脂と共有結合してM-O-Si (O-Si間は三重結合、Mは金属元素)を形成する無機密着強化層やM-O-ポリマー結合となる有機密着強化層が施されていてもかまわない。また、Cu表面を硫酸で荒らす黒化処理などの表面粗化が施されていてもかまわない。第3端部61aは、制御電極16の上に設けられた第4接合材80を介して、半導体チップ10と電気的に接続されている。
【0027】
なお、第1コネクタ50及び第2コネクタ60は、容易に曲げたりすることが出来ない、硬いコネクタであり、ボンディングに用いられるワイヤとは異なるものである。
【0028】
なお、第2コネクタ60の代わりに、ワイヤが用いられていてもかまわない。
【0029】
第5接合材69は、第3上面67と第4端部61bの間に設けられている。第5接合材69は、第3上面67と第4端部61bを接合している。
【0030】
第2接合材20は、第2接合材20の内部に、ボイド22を含んでいてもかまわない。
図1(b)には、ボイド22a及びボイド22bが示されている。ただし、第2開口部12bの下、及び第2開口部12bから1mm以内の距離L
1に設けられた第1接合材70は、ボイドを有しないことが好ましい。
【0031】
接合部53は、第1端部51aが第2接合材20に接合されている部分である。
図1(b)には、接合部53が、破線で示されている。第2接合材20に接合された第1端部51aの接合部53の下の第1接合材70は、最大径15μm以上のボイド22を含んでいてもかまわない。
【0032】
ボイド22の最大径は、例えば、断面顕微鏡写真等により、測定することが可能である。
【0033】
第2接合材20に接合された第1端部51aの接合部53の面積は、第4上面18の面積の80%以上であることが好ましい。
【0034】
第1接合材70、第2接合材20、第3接合材59、第4接合材80及び第5接合材69としては、例えば、Pb(鉛)及びSn(スズ)を含むはんだ、Pb、Ag(銀)及びSn(スズ)を含むはんだ、Sn及びSb(アンチモン)を含むはんだ、Au(金)及びSnを含むはんだ、Au及びSiを含むはんだ、又はAu及びGe(ゲルマニウム)を含むはんだ等を好ましく用いることができる。第1接合材70、第2接合材20、第3接合材59、第4接合材80及び第5接合材69は、例えば、それぞれ、第1はんだ、第2はんだ、第3はんだ、第4はんだ及び第5はんだである。
【0035】
図3は、実施形態の半導体装置100の要部を示す模式断面図である。
図3においては、半導体装置100のうち、第1ベッド部3、第1接合材70及び半導体チップ10が図示されている。半導体チップ10は、半導体チップ10の底面17よりも下方に突き出ており、第4上面18に垂直な方向の長さが15μm以上であるバリを有していてもかまわない。
図3及び
図2(a)には、バリ11a及びバリ11bが図示されている。第4上面18に垂直な方向におけるバリ11aの長さL
11は、15μm以上であってもかまわない。第4上面18に垂直な方向におけるバリ11bの長さL
12は、15μm以上であってもかまわない。
【0036】
図2(b)には、バリ11c及びバリ11dが示されている。バリ11c及びバリ11dについても、バリ11a及びバリ11bと同様に、第1上面4に垂直な方向における長さは15μm以上であってもかまわない。
【0037】
次に、本実施形態の半導体装置の作用効果を記載する。
【0038】
図4は、本実施形態の半導体装置の作用効果を説明する模式断面図である。
図4は、半導体装置100の製造工程の一部を示す模式断面図である。
【0039】
図4(a)及び
図4(b)には、硬化後に第1接合材70となる第1クリームはんだ70c、硬化後に第2接合材20となる第2クリームはんだ20a、硬化後に第3接合材59となる第3クリームはんだ59a、硬化後に第4接合材80となる第4クリームはんだ80a、及び硬化後に第5接合材69となる第5クリームはんだ69aが図示されている。かかる状態で、製造途中の半導体装置を、例えば真空中で加熱してリフローを行う。このときに、クリームはんだに含まれるフラックス成分や水分等を含むボイド22が形成される。
図4(a)には、形成されたボイド22として、ボイド22cが図示されている。
図4(b)には、形成されたボイド22として、ボイド22fが図示されている。上記のように、加熱は真空中で行われているため、ボイド22cは、第1クリームはんだ70cの外部に放出されようとする。そのため、ボイド22cは、第1クリームはんだ70cの端部に移動し、ボイド22d及びボイド22eとなる。同様に、ボイド22fは、第1クリームはんだ70cの外部に放出されようとする。そのため、ボイド22fは、ボイド22g及びボイド22hとなる。ここで、第1クリームはんだ70cが硬化されて第1接合材70となった際に、第1接合材70の外部に放出されずに、ボイド22が第1接合材70の内部に残留することがある。かかるボイド22は、他の第1接合材70が設けられている部分と比較して、熱抵抗が高いと考えられる。第1接合材70に含まれている金属等の電気伝導性材料と比較して、ボイド22に含まれるフラックス成分や水分の熱伝導率は低いと考えられるためである。また、ボイド22が残留して第1接合材70内に存在する場合、ボイド22の部分の電気抵抗率は、その他の第1接合材70の部分の電気抵抗率と比較して、大きい。そのため、ボイド22が残留している場合には、通電可能な電流の大きさが、小さくなってしまう。そのため、かかるボイド22は、半導体装置100の安全動作領域を狭くし、信頼性を低下させる。
【0040】
ボイド22が信頼性に与える悪影響の程度は、ボイド22が形成される場所に依存して異なる。半導体チップ10に発生した熱の一部は、例えば、第1コネクタ50の第1端部51aを経由して半導体チップ10の外部に伝わる。ここで、制御電極16の下及びその周辺にボイド22が残留することがある。この場合、第1端部51aとの距離が比較的長いため、制御電極16の下及びその周辺から発生した熱は、第1コネクタ50の第1端部51aを経由しづらくなる。そのため、制御電極16の下及びその周辺にボイド22を残留させないようにすることが求められていた。
【0041】
また、半導体チップ10は、ダイシングの際に形成された、半導体チップ10よりも下方に突き出たバリ11を有することがある。かかるバリ11が、第1接合材70の外部へのボイド22の放出を阻害することがあった。
【0042】
そこで、本実施形態の半導体装置100は、制御電極16の下の第1接合材部分70aの第1膜厚t1は、第1接合材部分70aの下の第1ベッド部3の第1部分3aと第1アウターリード6の間に設けられた第1ベッド部3の第2部分3bの上の第2接合材部分70bの第2膜厚t2より薄い第1接合材70を備える。
【0043】
本実施形態の半導体装置100によれば、形成されたボイド22c及びボイド22fは、第1クリームはんだ70cの内部の、より膜厚の大きな方に移動していく。なぜなら、膜厚の大きな方に移動する方が、膜厚の小さな方に移動するよりも、ボイド22にとって移動抵抗が小さいために移動しやすいためである。このために、制御電極16の下及びその周辺に、ボイド22が残留しづらくなる。このため、半導体装置の熱抵抗を低く保つことができる。また、半導体装置における、通電可能な電流の大きさを確保することができる。よって、安全動作領域が広く信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0044】
なお、第2膜厚t2と第1膜厚t1の差は、15μm以上であることが好ましい。第1クリームはんだ70c内におけるボイド22の移動を容易にするためである。また、最大径15μm以上のボイド22は、特に熱伝導性を悪化させる。そのため、最大径15μm以上のボイド22の移動を容易にさせることが好ましいためである。
【0045】
第2開口部12bの下、及び第2開口部12bから1mm以内の範囲の下に設けられた第1接合材70は、最大径15μm以上のボイド22を含まないことが好ましい。かかる箇所にボイド22が残留した場合、特に熱伝導性の悪化による信頼性の低下が問題となるためである。
【0046】
第2接合材20に接合された第1端部51aの接合部53の下の第1接合材70は、最大径15μm以上のボイド22を含んでいてもかまわない。これは、比較的信頼性が低下しにくいためである。なぜなら、接合部53の下の第1接合材70が最大径15μm以上のボイド22を含んでいても、第1端部51aから熱が容易に逃げやすいためである。
【0047】
第2接合材20に接合された第1端部51aの接合部53の面積は、第4上面18の面積の80%以上であることが好ましい。接合部53の面積が大きいことにより、たとえボイド22が残留していたとしても、第1端部51aから熱が容易に逃げやすくなるためである。
【0048】
本実施形態の半導体装置100においては、半導体チップ10が、半導体チップ10の下面17よりも下方に突き出ており、第4上面18に垂直な方向の長さが15μm以上であるバリ11を有していてもかまわない。第1接合材70の膜厚が上記の関係を有することにより、たとえ半導体チップ10がバリ11を有していても、ボイド22の排出が容易になっているためである。
【0049】
本実施形態の半導体装置によれば、安全動作領域が広く信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
【0050】
(第2実施形態)
本実施形態の半導体装置は、上方から見た場合に、第2接合材に接合された第1端部の接合部の面積は、第4上面の面積の50%以上70%以下である点で、第1実施形態の半導体装置と異なっている。
【0051】
また、本実施形態の半導体装置は、上方から見た場合に、第2接合材に接合された第1端部の接合部の中心は、第1開口部の中心と第1ポスト部の間に配置されている点で、第1実施形態の半導体装置と異なっている。
【0052】
ここで、第1実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0053】
図5は、本実施形態の半導体装置110の模式断面図である。
図5(a)は、本実施形態の半導体装置110の模式断面図である。なお、
図5(b)に、第1実施形態の半導体装置100の模式断面図を、比較のために示している。
図6は、本実施形態の半導体装置110の要部の模式上面図である。
図6は、本実施形態の半導体チップ10、絶縁膜12、第2接合材20、第1ポスト部54及び第4接合材80を図示した模式上面図である。
【0054】
図5及び
図6を用いて、本実施形態の半導体装置110の説明をする。
【0055】
本実施形態の半導体装置110においては、上方から見た場合に、言い換えるとZ方向から見た場合に、第2接合材20に接合された第1端部51aの接合部113の、Y方向における長さは、L2である。一方、第1実施形態の半導体装置100においては、上方から見た場合に、第2接合材20に接合された第1端部51aの接合部53の、Y方向における長さは、L1である。L1はL2より長い。
【0056】
これにより、上方から見た場合に、第2接合材20に接合された第1端部51aの接合部113の面積を、第4上面18の面積の50%以上70%とすることができる。
【0057】
また、上方から見た場合に、第2接合材20に接合された第1端部51aの接合部113の中心112は、第1開口部12aの中心12cと第1ポスト部54の間に配置されている。
【0058】
なお、上方から見た場合に、第2接合材20に接合された第1端部51aの接合部113の面積を、第4上面18の面積の50%以上70%とする手法は、上記のものに限定されない。
【0059】
また、上方から見た場合に、第2接合材20に接合された第1端部51aの接合部113の中心112を、第1開口部12aの中心12cと第1ポスト部54の間に配置する方法は、上記のものに限定されない。
【0060】
本実施形態の半導体装置110の場合は、第1コネクタ50が、第1ポスト部54の側により傾きやすくなる。そのため、制御電極16の下における第1接合材70の第1接合材部分70aの第1膜厚t1が、第1接合材部分70aの下の第1ベッド部3の第1部分3aと、第1アウターリード6の間に設けられた第1ベッド部3の第2部分3bの上の第2接合材部分70bの第2膜厚t2より薄い第1接合材70を、容易に実現できる。
【0061】
本実施形態の半導体装置によれば、安全動作領域が広く信頼性の高い信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
【0062】
(第3実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1コネクタの重心と第1端部の先端の距離は、第1コネクタの重心と第2端部の先端の距離より長い点で、第1実施形態及び第2実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1実施形態及び第2実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0063】
図7は、本実施形態の半導体装置に用いられる第1コネクタの模式断面図である。
【0064】
図7(a)は、本実施形態の半導体装置に用いられる第1コネクタ250の模式断面図である。第1コネクタ250は、第2端部51bを含み、第1方向に延伸する第3コネクタ51gと、第3コネクタ51gに接続され、第1方向に交差する第2方向に延伸する第4コネクタ51hと、を有する。第4コネクタ51hは、第4コネクタ51hの上面51h1に、凸部51eを有する。第1コネクタ250の重心251と第1端部51aの先端51cの距離d
1は、第1コネクタ250の重心251と第2端部51bの先端51dの距離d
2より長い。
【0065】
図7(b)は、本実施形態の半導体装置に用いられる第1コネクタ252の模式断面図である。第4コネクタ51hは、第4コネクタ51hの下面51h2に、凸部51fを有する。第1コネクタ252の重心253と第1端部51aの先端51cの距離d
1は、第1コネクタ252の重心253と第2端部51bの先端51dの距離d
2より長い。
【0066】
本実施形態の第1コネクタ250及び第1コネクタ252を用いることにより、第1コネクタ250及び第1コネクタ252が、第1ポスト部54の側により傾きやすくなる。そのため、制御電極16の下における第1接合材70の第1接合材部分70aの第1膜厚t1が、第1接合材部分70aの下の第1ベッド部3の第1部分3aと、第1アウターリード6の間に設けられた第1ベッド部3の第2部分3bの上の第2接合材部分70bの第2膜厚t2より薄い第1接合材70を、容易に実現できる。
【0067】
本実施形態の半導体装置によれば、安全動作領域が広く信頼性の高い信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
【0068】
(第4実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1コネクタは、第2端部を含み、第1方向に延伸する第3コネクタ(第1コネクタ部分)と、第3コネクタに接続され、第1方向と90度未満の角度で交差する第2方向に延伸する第4コネクタ(第2コネクタ部分)と、を有する点で、第1乃至第3実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1乃至第3実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0069】
図8は、本実施形態の半導体装置130の模式断面図である。第3コネクタ51gが延伸する第1方向と、第4コネクタ51hが延伸する第2方向が交差する角度θは、90度未満である。
【0070】
本実施形態の第1コネクタ350を用いることにより、第1コネクタ350が、第1ポスト部54の側により傾きやすくなる。そのため、制御電極16の下における第1接合材70の第1接合材部分70aの第1膜厚t1は、第1接合材部分70aの下の第1ベッド部3の第1部分3aと、第1アウターリード6の間に設けられた第1ベッド部3の第2部分3bの上の第2接合材部分70bの第2膜厚t2より薄い第1接合材70を、容易に実現できる。
【0071】
本実施形態の半導体装置によれば、安全動作領域が広く信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
【0072】
(第5実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1端部は、第2接合材に接する第5コネクタ(第3コネクタ部分)と、第2接合材に接し第2端部との距離がより短い第6コネクタ(第4コネクタ部分)と、を有し、第1上面に垂直な方向における第5コネクタの厚みは、第1上面に垂直な方向における第6コネクタの厚みより薄い点で、第1乃至第4実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1乃至第4実施形態の半導体装置と重複する内容の記載は、省略する。
【0073】
図9は、本実施形態の半導体装置140の模式断面図である。
【0074】
本実施形態の第1コネクタ450において、第1端部51aは、第2接合材20に接する第5コネクタ51iと、第2接合材20に接し第2端部51bとの距離がより短い第6コネクタ51jを有する。第1上面4に垂直な方向における第5コネクタ51iの厚みt11は、第1上面4に垂直な方向における第6コネクタ51jの厚みt12より薄い。そして、第6コネクタ51jの下面51j1は、第5コネクタ51iの下面51i1よりも、下方に突き出ている。
【0075】
本実施形態の第1コネクタ450を用いることにより、第1コネクタ350が、第1ポスト部54の側により傾きやすくなる。そのため、制御電極16の下における第1接合材70の第1接合材部分70aの第1膜厚t1が、第1接合材部分70aの下の第1ベッド部3の第1部分3aと、第1アウターリード6の間に設けられた第1ベッド部3の第2部分3bの上の第2接合材部分70bの第2膜厚t2より薄い第1接合材70を、容易に実現できる。
【0076】
本実施形態の半導体装置によれば、安全動作領域が広く信頼性の高い信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
2 :リードフレーム
3 :第1ベッド部
3a :第1部分
3b :第2部分
4 :第1上面
6 :第1アウターリード
10 :半導体チップ
12 :絶縁膜
12a :第1開口部
12b :第2開口部
12c :中心
14 :電極
16 :制御電極
18 :第4上面
20 :第2接合材
22 :ボイド
50 :第1コネクタ
51a :第1端部
51b :第2端部
51c :先端
51d :先端
51g :第3コネクタ
51h :第4コネクタ
51i :第5コネクタ
51j :第6コネクタ
53 :接合部
54 :第1ポスト部(第1リードポスト、ソースリードポスト)
56 :第2アウターリード
57 :第2上面
58 :第2ベッド部
59 :第3接合材
64 :第2ポスト部(第2リードポスト、ゲートリードポスト)
66 :第3アウターリード
67 :第3上面
68 :第3ベッド部
70 :第1接合材
70a :第1接合材部分
70b :第2接合材部分
100 :半導体装置
110 :半導体装置
130 :半導体装置
140 :半導体装置
250 :第1コネクタ
251 :重心
252 :第1コネクタ
252 :重心
253 :重心
350 :第1コネクタ
450 :第1コネクタ
L1 :距離
d1 :距離
d2 :距離
t1 :第1膜厚
t11 :厚み
t12 :厚み
t2 :第2膜厚
θ :角度