(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138223
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】映像連携空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 3/044 20060101AFI20230922BHJP
F24F 13/10 20060101ALI20230922BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20230922BHJP
A63B 26/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
F24F3/044
F24F13/10 B
F24F11/74
A63B26/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084892
(22)【出願日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2022040890
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】矢野 宏
(72)【発明者】
【氏名】末広 善文
(72)【発明者】
【氏名】吉川 翔太
(72)【発明者】
【氏名】須藤 良太
【テーマコード(参考)】
3L053
3L081
3L260
【Fターム(参考)】
3L053BB02
3L053BB04
3L081FA00
3L260BA49
3L260FA07
3L260FB44
(57)【要約】
【課題】本開示は、所望の空調された空気(気流)を得るための二つの異なる気流を合流(混合)する構成を容易に実現可能な映像連携空調システムを提供する。
【解決手段】本開示における映像連携空調システムは、第一空調室と、第一送風機と、第二空調室と、第二送風機と、第一送出流と第二送出流とを合流させ第一空調室および第二空調室と異なる空調空間へ吹き出す合流器と、空調空間から吸い込まれる空気を第一空調室へ吹出す第一分流と第二空調室へ吹出す第二分流とに分流する分流器と、合流器と分流器とを接続するダンパシャフトと、前記第一送風機および前記第二送風機の動作を制御するコントローラと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一空調室と、
前記第一空調室の空気を第一送出流として前記第一空調室から送出する第一送風機と、
第二空調室と、
前記第二空調室の空気を第二送出流として前記第二空調室から送出する第二送風機と、
前記第一送出流と前記第二送出流とを合流させ前記第一空調室および前記第二空調室と異なる空調空間へ吹き出す合流器と、
前記空調空間から吸い込まれる空気を前記第一空調室へ吹出す第一分流と前記第二空調室へ吹出す第二分流とに分流する分流器と、
前記合流器と前記分流器とを接続するダンパシャフトと、
前記第一送風機および前記第二送風機の動作を制御するコントローラと、を備え、
前記合流器は、
前記第一送出流が流通する流路の開度と前記第二送出流が流通する流路の開度とを調整し、前記第一送出流と前記第二送出流とが合流する際の風量を所定割合で合流するように調整するための合流ダンパを有し、
前記分流器は、
前記第一分流が流通する流路の開度と前記第二分流が流通する流路の開度とを調整し、前記第一分流と前記第二分流とに分流する際の風量を前記所定割合で分流するように調整するための分流ダンパを有し、
前記コントローラは、
前記空調空間へ吹き出すべき気流の温度が前記空調空間に設けられるディスプレイに表示する映像に対応した温度となるように前記合流ダンパおよび前記分流ダンパの少なくとも一方の前記所定割合を制御し、
前記合流ダンパおよび前記分流ダンパは、
前記ダンパシャフトの回動により同期する、映像連携空調システム。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記ディスプレイに表示する第一映像に対応した第一温度が前記第一空調室の温度に近いか、または前記第二空調室の温度に近いかを判定する第一温度判定部を有し、
前記第一温度判定部により前記第一温度が前記第一空調室の温度に近いと判定した場合、前記第一送出流を導く流路の開度が前記第二送出流を導く流路の開度に比して大きくなるように前記所定割合を制御する、請求項1記載の映像連携空調システム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記ディスプレイに表示する、前記第一映像と異なる第二映像に対応した第二温度が前記第一温度に比べて高いか、または低いかを判定する第二温度判定部を有し、
前記第二温度判定部により前記第二温度が前記第一温度に比べて高いと判定した場合、前記第二温度が前記第一温度に比べて高いと判定する前に比べて前記第一送出流を導く流路の開度が大きくなるように前記所定割合を制御し、
前記第二温度判定部により前記第二温度が前記第一温度に比べて低いと判定した場合、前記第二温度が前記第一温度に比べて低いと判定する前に比べて前記第一送出流を導く流路の開度が小さくなるように前記所定割合を制御する、請求項2記載の映像連携空調システム。
【請求項4】
前記ダンパシャフトを回動可能に軸支するモータを備え、
前記コントローラは、
前記モータにより前記合流ダンパおよび前記分流ダンパの少なくとも一方の前記所定割合を制御する、請求項1記載の映像連携空調システム。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記第一送風機の風量と前記第二送風機の風量とにより前記合流ダンパおよび前記分流ダンパの少なくとも一方の前記所定割合を制御する、請求項1記載の映像連携空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像連携空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、臨場感のあふれた変化の多い環境の中で運動を行うことができる健康増進用ルームを開示する。この健康増進用ルームは、空調装置900を備える。
図10に示すように、空調装置900は、二つの空調ユニット910、920と、空調ユニット920に付設された加湿器930、両空調ユニット910、920から供給される風を混合するとともに吹出口941を備えた混合室940、空調ユニット910に付設された開閉用ダンパ950、960、そして空調ユニット920に付設された開閉用ダンパ970、980を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示する技術は、所望の空調された空気(気流)を得るために異なる二つの気流を混合室940において混合する。それぞれの気流の風量は、複数のダンパの動作を独立して制御することで調整される。そのため、特許文献1に開示する技術は、異なる二つの気流を混合する構成を実現するにあたり、その構成が複雑になるという点で改善の余地があった。
【0005】
本開示の目的のひとつは、所望の空調された空気(気流)を得るための二つの異なる気流を合流(混合)する構成を容易に実現可能な映像連携空調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における一態様の映像連携空調システムは、第一空調室と、第一空調室の空気を第一送出流として第一空調室から送出する第一送風機と、第二空調室と、第二空調室の空気を第二送出流として第二空調室から送出する第二送風機と、第一送出流と第二送出流とを合流させ第一空調室および第二空調室と異なる空調空間へ吹き出す合流器と、空調空間から吸い込まれる空気を第一空調室へ吹出す第一分流と第二空調室へ吹出す第二分流とに分流する分流器と、合流器と分流器とを接続するダンパシャフトと、第一送風機および第二送風機の動作を制御するコントローラと、を備える。合流器は、第一送出流が流通する流路の開度と前記第二送出流が流通する流路の開度とを調整し、第一送出流と第二送出流とが合流する際の風量を所定割合で合流するように調整するための合流ダンパを有する。分流器は、第一分流が流通する流路の開度と第二分流が流通する流路の開度とを調整し、第一分流と第二分流とに分流する際の風量を所定割合で分流するように調整するための分流ダンパを有する。コントローラは、空調空間へ吹き出すべき気流の温度が空調空間に設けられるディスプレイに表示する映像に対応した温度となるように合流ダンパおよび分流ダンパの少なくとも一方の所定割合を制御する。合流ダンパおよび分流ダンパは、ダンパシャフトの回動により同期する。
【発明の効果】
【0007】
本開示における映像連携空調システムは、ダンパシャフトの回動に同期して合流ダンパ及び分流ダンパが回動する。そのため、所望の空調された空気(気流)を得るための二つの異なる気流を所定割合で混合する構成を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態1における映像連携空調システムを含む運動支援システムの構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1における映像連携空調システムの構成を模式的に示す正面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1における合流器及び分流器の構成を模式的に示す側面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1における映像連携空調システムの制御系の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1における第一送風機及び第二送風機の動作制御の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態2における映像連携空調システムの構成を模式的に示す正面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2における合流器及び分流器の構成を模式的に示す側面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2における映像連携空調システムの制御系の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2におけるモータの動作制御の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、従来の健康増進用ルームが備える空調装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図5を用いて、実施の形態1を説明する。
【0012】
[1-1.構成]
図1に示すように、映像連携空調システム1は、空調空間Sに設けたディスプレイ210に表示される映像を視聴しながら、その映像に連携した空調を行う。本実施の形態では、映像連携空調システム1の一例として、映像連携空調システム1は、映像に対応した温度環境においてエルゴメータ220による運動を行うことが可能な運動支援システム200の一部を構成する。エルゴメータ220の使用者であるユーザーUは、ディスプレイ210に表示される映像に対応した温度に空調された空調空間Sにおいて運動を行うことができる。映像連携空調システム1は、空調空間Sに設けた吸込口230を介して吸い込んだ空気を二つの気流に分流し、分流した二つの気流をそれぞれ異なる空調室で異なる温度に空調する。映像連携空調システム1は、空調した二つの気流を合流(混合)し、合流した気流を空調空間Sに設けた吹出口240から空調空間Sへ向けて吹き出すことで、空調空間Sを所望の空気環境に調整する。
【0013】
図2~3に示すように、映像連携空調システム1は、第一空調室10と、第二空調室20と、合流器30と、分流器40と、ベアリング50と、ダンパシャフト60と、コントローラ70と、ダクト81と、ダクト82と、ダクト91と、ダクト92と、を備える。
【0014】
第一空調室10は、空調空間Sから吸い込む気流BFのうち分流器40により分流された第一分流BF1を、ダクト91を介して吸込み、吸い込んだ第一分流BF1の温度を調整したあと、第一送出流AF1としてダクト81を介して合流器30へ向けて送出する。第一空調室10は、第一送風機11と、第一空調機12と、吸込口13と、吹出口14と、を有する。
【0015】
第一送風機11は、第一空調室10の空気を第一送出流AF1として第一空調室10から送出する。第一送風機11は、公知の遠心送風機を採用する。
【0016】
第一空調機12は、第一空調室10の空気を所定の空調温度Taに調整する。空調温度Taは、例えば40℃とする。第一空調機12は、公知のヒーター技術や、冷凍サイクル技術、またはそれらを組み合わせた技術を用いて実現されるエアコンディショナーを採用する。
【0017】
吸込口13は、第一分流BF1を吸い込む開口であり、ダクト91を介して、後述する吹出口41aと連通する。
【0018】
吹出口14は、第一送出流AF1を吹き出す開口であり、ダクト81を介して、後述する吸込口31aと連通する。
【0019】
第二空調室20は、空調空間Sから吸い込む気流BFのうち分流器40により分流された第二分流BF2を、ダクト92を介して吸込み、吸い込んだ第二分流BF2の温度を調整したあと、第二送出流AF2としてダクト82を介して合流器30へ向けて送出する。第二空調室20は、第二送風機21と、第二空調機22と、吸込口23と、吹出口24と、を有する。
【0020】
第二送風機21は、第二空調室20の空気を第二送出流AF2として第二空調室20から送出する。第二送風機21は、公知の遠心送風機を採用する。第二送風機21は、第一送風機11と同じ仕様のものを採用することが好ましい。
【0021】
第二空調機22は、第二空調室20の空気を所定の空調温度Tbに調整する。空調温度Tbは、空調温度Taよりも低い温度であり、例えば20℃とする。第二空調機22は、公知のヒーター技術や、冷凍サイクル技術、またはそれらを組み合わせた技術を用いて実現されるエアコンディショナーを採用する。
【0022】
吸込口23は、第二分流BF2を吸い込む開口であり、ダクト92を介して、後述する吹出口42aと連通する。
【0023】
吹出口24は、第二送出流AF2を吹き出す開口であり、ダクト82を介して、後述する吸込口32aと接続する。
【0024】
合流器30は、矩形の六面体に形成され、第一送出流AF1と第二送出流AF2とを所定割合で合流(混合)し、気流AFとして空調空間Sへ吹き出す。合流器30は、第一側面31と、第二側面32と、第三側面33と、底面34と、天面35と、合流ダンパ36と、を有する。
【0025】
第一側面31は、合流ダンパ36を挟んで第二側面32と対向して配置される矩形の平板であり、吸込口31aを有する。
【0026】
吸込口31aは、第一送出流AF1を吸い込む円形の開口であり、ダクト81を介して吹出口14と連通する。
【0027】
第二側面32は、合流ダンパ36を挟んで第一側面31と対向して配置される矩形の平板であり、吸込口32aを有する。
【0028】
吸込口32aは、第二送出流AF2を吸い込む円形の開口であり、ダクト82を介して吹出口24と連通する。
【0029】
第三側面33は、第一側面31、第二側面32、底面34及び天面35に隣接する矩形の平板であり、吹出口33aを有する。
【0030】
吹出口33aは、気流AFを吹き出す円形の開口であり、図示しないダクトを介して空調空間Sに設けた吹出口240と連通する。
【0031】
底面34は、第一側面31、第二側面32及び第三側面33に隣接し、天面35の下方に配置される矩形の平板である。
【0032】
天面35は、合流ダンパ36を挟んで底面34の上方に配置されると共に第一側面31、第二側面32及び第三側面33に隣接する矩形の平板である。
【0033】
合流ダンパ36は、合流器30の内部空間に配置される矩形の平板である。合流ダンパ36は、第一送出流AF1が流通するダクト81の開度(開口率)と第二送出流AF2が流通するダクト82の開度(開口率)とを調整する。ダクト81の開度(開口率)が大きいほど、ダクト81を流通する第一送出流AF1の風量は大きくなる。ダクト82の開度(開口率)が大きいほど、ダクト82を流通する第二送出流AF2の風量は大きくなる。つまり、合流ダンパ36は、第一送出流AF1と第二送出流AF2とが合流する際の風量(単位時間当たりに搬送される空気の体積)を所定割合で合流するように調整する。合流ダンパ36は、底面34との間に3mm程度の隙間を設けて配置されると共に、天面35との間に3mm程度の隙間を設けて配置される。合流ダンパ36は、第一側面31と第二側面32とに対して略平行となるように配置される。
【0034】
分流器40は、矩形の六面体に形成され、空調空間Sから吸い込んだ気流BFを第一分流BF1と第二分流BF2とに所定割合で分流する。分流器40は、合流器30と同一の部品で構成されることが好ましい。分流器40は、第一側面41と、第二側面42と、第三側面43と、底面44と、天面45と、分流ダンパ46と、を有する。
【0035】
第一側面41は、分流ダンパ46を挟んで第二側面42と対向して配置される矩形の平板であり、吹出口41aを有する。
【0036】
吹出口41aは、第一分流BF1を吹き出す円形の開口であり、ダクト91を介して吸込口13と連通する。
【0037】
第二側面42は、分流ダンパ46を挟んで第一側面41と対向して配置される矩形の平板であり、吹出口42aを有する。
【0038】
吹出口42aは、第二分流BF2を吹き出す円形の開口であり、ダクト92を介して吸込口23と連通する。
【0039】
第三側面43は、第一側面41、第二側面42、底面44及び天面45に隣接する矩形の平板であり、吸込口43aを有する。
【0040】
吸込口43aは、気流BFを吸い込む円形の開口であり、図示しないダクトを介して空調空間Sに設けた吸込口230と連通する。
【0041】
底面44は、第一側面41、第二側面42及び第三側面43に隣接し、天面45の下方に配置される矩形の平板である。
【0042】
天面45は、分流ダンパ46を挟んで底面44の上方に配置されると共に第一側面41、第二側面42及び第三側面43に隣接する矩形の平板である。
【0043】
分流ダンパ46は、分流器40の内部空間に配置される矩形の平板である。分流ダンパ46は、第一分流BF1が流通するダクト91の開度(開口率)と第二分流BF2が流通するダクト92の開度(開口率)とを調整する。ダクト91の開度(開口率)が大きいほど、ダクト91を流通する第一分流BF1の風量は大きくなる。ダクト92の開度(開口率)が大きいほど、ダクト92を流通する第二分流BF2の風量は大きくなる。つまり、分流ダンパ46は、気流BFを第一分流BF1と第二分流BF2とに分流する際の風量を所定割合で分流するように調整する。分流ダンパ46は、底面44との間に3mm程度の隙間を設けて配置されると共に、天面45との間に3mm程度の隙間を設けて配置される。分流ダンパ46は、第一側面41と第二側面42とに対して略平行となるように配置される。分流ダンパ46は、合流ダンパ36と同一平面上に配置される。
【0044】
第一分流BF1と第二分流BF2とに分流する際の風量の割合は、第一送出流AF1と第二送出流AF2とが合流する際の風量の割合に等しい。つまり、第一分流BF1の風量と第一送出流AF1の風量とは等しく、また第二分流BF2の風量と第二送出流AF2の風量とは等しい。
【0045】
ベアリング50は、ダンパシャフト60を回動可能に軸支する軸受けである。ベアリング50は、底面34と、天面35と、底面44と、天面45とに合計4つが同心円状に配置される。
【0046】
ダンパシャフト60は、ベアリング50に接続し、ベアリング50を介して合流器30と分流器40とを接続する。ダンパシャフト60は、底面34と天面45に設けた図示しない孔を介して合流器30と分流器40とに貫通する。ダンパシャフト60は、合流ダンパ36の一側端と、分流ダンパ46の一側端とに接続すると共に、合流ダンパ36と分流ダンパ46を接続(連結)することで、ダンパシャフト60の回動に同期して合流ダンパ36と分流ダンパ46を回動させる。ダンパシャフト60は、第一送風機11により生成される気流(第一送出流AF1及び第一分流BF1)の風量と第二送風機21により生成される気流(第二送出流AF2及び第二分流BF2)の風量との比率に応じて回動する。すなわち、ダンパシャフト60は、合流ダンパ36による第一送出流AF1と第二送出流AF2とが合流する際の風量の所定割合および分流ダンパ46による第一分流BF1と第二分流BF2とに分流する際の風量の所定割合の少なくとも一方の所定割合に応じて回動する。
【0047】
図4に示すように、コントローラ70は、少なくとも、第一送風機11と、第二送風機21とに電気的に通信可能に接続し、映像連携空調システム1の動作を統括的に制御する。各機能ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。コントローラ70は、第二空調室20に設けられる。コントローラ70は、記憶部71と、第一温度判定部72と、第二温度判定部77と、処理部73と、第一動作制御部74と、第二動作制御部75と、を有する。
【0048】
記憶部71は、第一空調室10に設定する空調温度Taに係る情報と、第二空調室20に設定する空調温度Tbに係る情報と、空調空間Sに設けられるディスプレイ210に表示する映像に紐づいた温度T(第一温度T1、第二温度T2)に係る情報と、を記憶する。
【0049】
第一温度判定部72は、ディスプレイ210に表示する第一映像に対応した第一温度T1が空調温度Taに近いか、または温度Tが空調温度Tbに近いかを判定し、判定結果を処理部73へ送信する。
【0050】
第二温度判定部77は、ディスプレイ210に表示する、第一映像と異なる第二映像に対応した第二温度T2が第一温度T1に比べて高いか、または低いかを判定し、判定結果を処理部73へ送信する。
【0051】
処理部73は、記憶部71から第一温度T1に係る情報を参照すると共に第一温度判定部72へ第一温度T1に係る情報を送信し、第一温度判定部72の判定結果を受信する。処理部73は、記憶部71から第二温度T2に係る情報を参照すると共に第二温度判定部77へ第一温度T1および第二温度T2に係る情報を送信し、第二温度判定部77の判定結果を受信する。処理部73は、第一温度判定部72および第二温度判定部77の少なくとも一方から受信した判定結果に基づく処理を実行し、処理の結果を第一動作制御部74及び第二動作制御部75のいずれか、または両方に対して出力する。
【0052】
第一動作制御部74は、処理部73から出力される情報に基づき第一送風機11の動作を制御する。処理部73から出力される情報は、第一送風機11の運転出力に係る情報を含む。
【0053】
第二動作制御部75は、処理部73から出力される情報に基づき第二送風機21の動作を制御する。処理部73から出力される情報は、第二送風機21の運転出力に係る情報を含む。
【0054】
第一送出流AF1を流通するダクト81の通風抵抗は、第二送出流AF2を流通するダクト82の通風抵抗に等しい。第一分流BF1が流通するダクト91の通風抵抗は、第二分流BF2を流通するダクト92の通風抵抗に等しい。
【0055】
[1-2.動作]
以上のように構成された映像連携空調システム1について、第一送風機11及び第二送風機21の動作制御に基づく合流ダンパ36の所定割合と分流ダンパ46の所定割合の制御の一例を、
図5を用いて説明する。
【0056】
映像連携空調システム1に対して電源が投入されるか、または図示しない操作パネル等を用いた運転開始の指示がコントローラ70に送信されると、映像連携空調システム1の運転が開始される。
【0057】
(ステップS1)
映像連携空調システム1の運転が開始されると、コントローラ70は、第一空調室10の空気の温度が空調温度Ta=40℃となるように第一空調機12の運転を制御する動作と、第二空調室20の空気の温度が空調温度Tb=20℃となるように第二空調機22の運転を制御する動作と、を実行する。ステップS1を実行した後、コントローラ70は、ステップS2を実行する。
【0058】
(ステップS2)
コントローラ70は、第一送風機11の運転出力と第二送風機21の運転出力が等しくなるように制御する。このとき、第一送出流AF1の風量AQ1と第二送出流AF2の風量AQ2とは等しくなり、AQ1:AQ2=1:1となる。合流ダンパ36は、第一送出流AF1及び第二送出流AF2の風圧を受けることでダンパシャフト60を中心に回動し、第一送出流AF1と第二送出流AF2とが合流する際にAQ1:AQ2=1:1の所定割合で合流する位置へ移動する。このとき、ダクト81の開度とダクト82の開度とは等しくなる。分流ダンパ46は、合流ダンパ36の回動に同期してダンパシャフト60を中心に回動し、その位置が確定する。このとき、ダクト91の開度とダクト92の開度とは等しくなる。位置が確定した分流ダンパ46は、第一分流BF1の風量BQ1と第二分流BF2の風量BQ2との比がBQ1:BQ2=1:1の所定割合となるように気流BFを分流する。第一分流BF1は、第一空調室10において空調温度Ta=40℃を有する第一送出流AF1となる。第二分流BF2は、第二空調室20において空調温度Tb=20℃を有する第二送出流AF2となる。合流器30において、第一送出流AF1と第二送出流AF2とはAQ1:AQ2=1:1の所定割合で合流するので、第一送出流AF1と第二送出流AF2とが合流して生成される気流AFの温度は、空調温度Taと空調温度Tbの中間の値である約30℃となる。すなわち、約30℃の温度を有する気流AFが吹出口240から空調空間Sへ吹き出す。ステップS2を実行した後、コントローラ70は、ステップS3を実行する。
【0059】
(ステップS3)
コントローラ70は、ディスプレイ210に表示する第一映像に紐づいた(対応した)第一温度T1に係る情報を記憶部71から読み出し、第一温度T1が第一空調室10の空調温度Taに近いか、または第二空調室20の空調温度Tbに近いかを第一温度判定部72を用いて判定する。詳細には、コントローラ70は、第一温度判定部72を用いて、空調温度Taと空調温度Tbとの間の中心温度に対して、第一温度T1が高いか、または低いかを判定する。第一温度T1=32℃であり、第一温度T1は第一空調室10の空調温度Taに近いという判定結果が出力された場合(ステップS3のY)、コントローラ70は、ステップS4を実行する。第一温度T1=28℃であり、第一温度T1は第二空調室20の空調温度Tbに近いという判断結果が出力された場合(ステップS3のN)、コントローラ70は、ステップS5を実行する。
【0060】
(ステップS4)
コントローラ70は、第一送出流AF1の風量AQ1と第二送出流AF2の風量AQ2との比がAQ1:AQ2=3:2となるように、第一送風機11および第二送風機21の運転を制御する。合流ダンパ36は、第一送出流AF1及び第二送出流AF2の風圧を受けることでダンパシャフト60を中心に回動し、第一送出流AF1と第二送出流AF2とが合流する際にAQ1:AQ2=3:2の所定割合で合流する位置へ移動する。このとき、ダクト81の開度は、ダクト82の開度に比して大きくなる。分流ダンパ46は、合流ダンパ36の回動に同期してダンパシャフト60を中心に回動し、その位置が確定する。このとき、ダクト91の開度は、ダクト92の開度に比して大きくなる。位置が確定した分流ダンパ46は、第一分流BF1の風量BQ1と第二分流BF2の風量BQ2との比がBQ1:BQ2=3:2の所定割合となるように気流BFを分流する。第一分流BF1は、第一空調室10において空調温度Ta=40℃を有する第一送出流AF1となり、第二分流BF2は、第二空調室20において空調温度Tb=20℃を有する第二送出流AF2となる。合流器30において、第一送出流AF1と第二送出流AF2とはAQ1:AQ2=3:2の所定割合で合流するので、気流AFの温度は、空調温度Taに近しい約32℃となる。すなわち、約32℃の温度を有する気流AFが吹出口240から空調空間Sへ吹き出す。ステップS4を実行した後、コントローラ70は、ステップS6を実行する。
【0061】
(ステップS5)
コントローラ70は、第一送出流AF1の風量AQ1と第二送出流AF2の風量AQ2との比がAQ1:AQ2=2:3となるように、第一送風機11および第二送風機21の運転を制御する。合流ダンパ36は、第一送出流AF1及び第二送出流AF2の風圧を受けることでダンパシャフト60を中心に回動し、第一送出流AF1と第二送出流AF2とが合流する際にAQ1:AQ2=2:3の所定割合で合流する位置へ移動する。このとき、ダクト81の開度は、ダクト82の開度に比して小さくなる。分流ダンパ46は、合流ダンパ36の回動に同期してダンパシャフト60を中心に回動し、その位置が確定する。このとき、ダクト91の開度は、ダクト92の開度に比して小さくなる。位置が確定した分流ダンパ46は、第一分流BF1の風量BQ1と第二分流BF2の風量BQ2との比がBQ1:BQ2=2:3の所定割合となるように気流BFを分流する。第一分流BF1は、第一空調室10において空調温度Ta=40℃を有する第一送出流AF1となり、第二分流BF2は、第二空調室20において空調温度Tb=20℃を有する第二送出流AF2となる。合流器30において、第一送出流AF1と第二送出流AF2とはAQ1:AQ2=2:3の所定割合で合流するので、気流AFの温度は、空調温度Tbに近しい約28℃となる。すなわち、約28℃の温度を有する気流AFが吹出口240から空調空間Sへ吹き出す。ステップS5を実行した後、コントローラ70は、ステップS6を実行する。
【0062】
(ステップS6)
コントローラ70は、ディスプレイ210に表示する、第一映像と異なる第二映像に対応した第二温度T2に係る情報を記憶部71から読み出し、第二温度T2が第一温度T1に比べて高いか、または低いかを第二温度判定部77を用いて判定する。一例として、コントローラ70がステップS4の処理を経由してステップS6を実行する場合について説明する。第二温度T2=36℃であり、第二温度T2は第一温度T1に比べて高い場合(ステップS6のY)、コントローラ70は、ステップS7を実行する。第二温度T2=24℃であり、第二温度T2は第一温度T1に比べて低い場合(ステップS6のN)、コントローラ70は、ステップS8を実行する。
【0063】
(ステップS7)
コントローラ70は、第一送出流AF1の風量AQ1と第二送出流AF2の風量AQ2との比がAQ1:AQ2=4:1となるように、第一送風機11および第二送風機21の運転を制御する。合流ダンパ36は、第一送出流AF1及び第二送出流AF2の風圧を受けることでダンパシャフト60を中心に回動し、第一送出流AF1と第二送出流AF2とが合流する際にAQ1:AQ2=4:1の所定割合で合流する位置へ移動する。このとき、ステップS6の判定前に比べてダクト81の開度は大きくなり、ステップS6の判定前に比べてダクト82の開度は小さくなる。分流ダンパ46は、合流ダンパ36の回動に同期してダンパシャフト60を中心に回動し、その位置が確定する。このとき、ステップS6の判定前に比べてダクト91の開度は大きくなり、ステップS6の判定前に比べてダクト92の開度は小さくなる。位置が確定した分流ダンパ46は、第一分流BF1の風量BQ1と第二分流BF2の風量BQ2との比がBQ1:BQ2=4:1の所定割合となるように気流BFを分流する。第一分流BF1は、第一空調室10において空調温度Ta=40℃を有する第一送出流AF1となり、第二分流BF2は、第二空調室20において空調温度Tb=20℃を有する第二送出流AF2となる。合流器30において、第一送出流AF1と第二送出流AF2とはAQ1:AQ2=4:1の所定割合で合流するので、気流AFの温度は、第二温度T2に近しい約36℃となる。すなわち、約36℃の温度を有する気流AFが吹出口240から空調空間Sへ吹き出す。
【0064】
(ステップS8)
コントローラ70は、第一送出流AF1の風量AQ1と第二送出流AF2の風量AQ2との比がAQ1:AQ2=1:4となるように、第一送風機11および第二送風機21の運転を制御する。合流ダンパ36は、第一送出流AF1及び第二送出流AF2の風圧を受けることでダンパシャフト60を中心に回動し、第一送出流AF1と第二送出流AF2とが合流する際にAQ1:AQ2=1:4の所定割合で合流する位置へ移動する。このとき、ステップS6の判定前に比べてダクト81の開度は小さくなり、ステップS6の判定前に比べてダクト82の開度は大きくなる。分流ダンパ46は、合流ダンパ36の回動に同期してダンパシャフト60を中心に回動し、その位置が確定する。このとき、ステップS6の判定前に比べてダクト91の開度は小さくなり、ステップS6の判定前に比べてダクト92の開度は大きくなる。位置が確定した分流ダンパ46は、第一分流BF1の風量BQ1と第二分流BF2の風量BQ2との比がBQ1:BQ2=1:4の所定割合となるように気流BFを分流する。第一分流BF1は、第一空調室10において空調温度Ta=40℃を有する第一送出流AF1となり、第二分流BF2は、第二空調室20において空調温度Tb=20℃を有する第二送出流AF2となる。合流器30において、第一送出流AF1と第二送出流AF2とはAQ1:AQ2=1:4の所定割合で合流するので、気流AFの温度は、第二温度T2に近しい約24℃となる。すなわち、約24℃の温度を有する気流AFが吹出口240から空調空間Sへ吹き出す。
【0065】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、映像連携空調システム1は、合流ダンパ36の回動に同期して分流ダンパ46が回動するので、分流ダンパ46の位置を容易に確定することができる。分流器40において気流BFを第一分流BF1と第二分流BF2とに分流する際の風量の所定割合と、合流器30において第一送出流AF1と第二送出流AF2とが合流する際の風量の所定割合とは、AQ1:AQ2=BQ1:BQ2となる。つまり、合流ダンパ36および分流ダンパ46の少なくとも一方の所定割合を制御することで、所望する温度、すなわちディスプレイ210に表示する映像に紐づく温度T(第一温度T1、第二温度T2)を有する気流AFを容易に生成することができる。そのため、合流ダンパ36と分流ダンパ46とを独立して制御する場合に比べて、映像連携空調システム1は、所望の空調された空気(気流)を得るための二つの異なる気流を合流(混合)する構成を容易に実現することができる。
【0066】
また、映像連携空調システム1は、第一送風機11および第二送風機21の運転出力(風量)を制御することにより合流ダンパ36および分流ダンパ46を回動させることができる。そのため、モータ等の駆動装置を用いて合流ダンパ36を回動する場合と比べて、その機構を単純化して実現することにより、映像連携空調システム1の組立性やメンテナンス性を向上する効果が期待できる。
【0067】
また、映像連携空調システム1は、第一温度判定部72および第二温度判定部77を用いることで所望する温度T(第一温度T1、第二温度T2)を有する気流AFを得ることができる。そのため、映像連携空調システム1は、所望の空調された空気(気流)を得るための二つの異なる気流を合流(混合)する構成を実現するにあたり、温度センサ―を備えることなく低コスト且つ容易に実現することが可能となる。
【0068】
(実施の形態2)
以下、
図6~9を用いて、実施の形態2を説明する。
【0069】
[2-1.構成]
実施の形態2に係る映像連携空調システム101は、少なくとも、モータ160を備える点で、実施の形態1に係る映像連携空調システム1と異なる。また、これに伴い、映像連携空調システム101の制御方法は映像連携空調システム1のそれとは異なるため、映像連携空調システム101は、コントローラ70ではなく、コントローラ170を搭載する。
【0070】
図6~7に示すように、モータ160は、ダンパシャフト60を回動可能に軸支する両軸用のステッピングモータである。モータ160は、合流器30と分流器40との間に配置され、その一端に軸支するダンパシャフト60を介して合流ダンパ36と接続し、その他端に軸支するダンパシャフト60を介して分流ダンパ46と接続する。
【0071】
図8に示すように、コントローラ170は、少なくとも、第一送風機11と、第二送風機21と、モータ160とに電気的に通信可能に接続し、映像連携空調システム101の動作を統括的に制御する。コントローラ170は、第二空調室20に設けられる。コントローラ170は、記憶部71と、第一温度判定部72と、処理部73と、第一動作制御部74と、第二動作制御部75と、第二温度判定部77と、第三動作制御部176と、を有する。記憶部71、第一温度判定部72、処理部73、第一動作制御部74、第二動作制御部75および第二温度判定部77は、実施の形態1に係る構成要素と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0072】
第三動作制御部176は、処理部73から出力される情報に基づきモータ160の動作を制御する。処理部73から出力される情報は、モータ160の回転方向(正転・逆転)、回転角度(パルスの数)及び回転速度(パルスの速度)の情報を含む。
【0073】
[2-2.動作]
以上のように構成された映像連携空調システム101について、第一送風機11、第二送風機21及びモータ160の動作制御に基づく合流ダンパ36の所定割合と分流ダンパ46の所定割合の制御の一例を、
図9を用いて説明する。
【0074】
映像連携空調システム101に対して電源が投入されるか、または図示しない操作パネル等を用いた運転開始の指示がコントローラ170に送信されると、映像連携空調システム101の運転が開始される。
【0075】
(ステップS101)
映像連携空調システム101の運転が開始されると、コントローラ170は、第一空調室10の空気の温度が空調温度Ta=40℃となるように第一空調機12の運転を制御すると共に、第二空調室20の空気の温度が空調温度Tb=20℃となるように第二空調機22の運転を制御する。ステップS101を実行後、コントローラ170は、ステップS102へ移行する。
【0076】
(ステップS102)
コントローラ70は、第一送風機11により生成される風量と第二送風機21により生成される風量とが等しくなるように第一送風機11および第二送風機21の動作を制御する。ステップS102を実行後、コントローラ170は、ステップS103へ移行する。
【0077】
(ステップS103)
コントローラ170は、モータ160の運転を制御して、第一送出流AF1が流通するダクト81の開度(開口率)と第二送出流AF2が流通するダクト82の開度(開口率)とが等しくなる位置へ合流ダンパ36を移動する。このとき、第一送出流AF1に対する圧力損失と第二送出流AF2に対する圧力損失とは等しくなるので、第一送出流AF1の風量AQ1と第二送出流AF2の風量AQ2との比は、AQ1:AQ2=1:1の所定割合となる。分流ダンパ46は、合流ダンパ36の回動に同期してダンパシャフト60を中心に回動し、その位置が確定する。このとき、第一分流BF1が流通するダクト91の開度(開口率)と第二分流BF2を流通するダクト92の開度(開口率)とは等しくなるので、第一分流BF1に対する圧力損失と第二分流BF2に対する圧力損失とは等しくなる。位置が確定した分流ダンパ46は、第一分流BF1の風量BQ1と第二分流BF2の風量BQ2との比がBQ1:BQ2=1:1の所定割合となるように気流BFを分流する。第一分流BF1は、第一空調室10において空調温度Ta=40℃を有する第一送出流AF1となる。第二分流BF2は、第二空調室20において空調温度Tb=20℃を有する第二送出流AF2となる。合流器30において、第一送出流AF1と第二送出流AF2とはAQ1:AQ2=1:1の所定割合で合流するので、第一送出流AF1と第二送出流AF2とが合流して生成される気流AFの温度は、空調温度Ta=40℃と空調温度Tb=20℃の中間の値である約30℃となる。すなわち、約30℃の温度を有する気流AFが吹出口240から空調空間Sへ吹き出す。ステップS103を実行後、コントローラ170は、ステップS104を実行する。
【0078】
(ステップ104)
コントローラ170は、ディスプレイ210に表示する第一映像に紐づいた(対応した)第一温度T1に係る情報を記憶部71から読み出し、第一温度T1が第一空調室10の空調温度Taに近いか、または第二空調室20の空調温度Tbに近いかを第一温度判定部72を用いて判定する。詳細には、コントローラ170は、第一温度判定部72を用いて、空調温度Taと空調温度Tbとの間の中心温度に対して、第一温度T1が高いか、または低いかを判定する。第一温度T=32℃であり、第一温度T1は第一空調室10の空調温度T1に近いという判定結果が出力された場合(ステップS104のY)、コントローラ170は、ステップS105へ移行する。第一温度T1=28℃であり、第一温度T1は第二空調室20の空調温度Tbに近いという判断結果が出力された場合(ステップS104のN)、コントローラ170は、ステップS106へ移行する。
【0079】
(ステップS105)
コントローラ170は、モータ160の動作を制御して、第一送出流AF1の風量AQ1と第二送出流AF2の風量AQ2との所定割合がAQ1:AQ2=3:2となるように、第一送出流AF1を流通する風路の開度(開口率)が第二送出流AF2を流通する風路の開度(開口率)に比して大きくなる位置へ合流ダンパ36を回動する。言い換えると、コントローラ170は、モータ160の動作を制御して、AQ1:AQ2=3:2となるように第一送出流AF1に対する圧力損失が第二送出流AF2に対する圧力損失に比して小さくなる位置へ合流ダンパ36を回動する。分流ダンパ46は、合流ダンパ36の回動に同期してダンパシャフト60を中心に回動し、その位置が確定する。このとき、第一分流BF1を流通するダクト91の開度(開口率)は、第二分流BF2を流通するダクト92の開度(開口率)に比して大きくなる。位置が確定した分流ダンパ46は、第一分流BF1の風量BQ1と第二分流BF2の風量BQ2との比がBQ1:BQ2=3:2の割合となるように気流BFを分流する。第一分流BF1は、第一空調室10において空調温度Ta=40℃を有する第一送出流AF1となり、第二分流BF2は、第二空調室20において空調温度Tb=20℃を有する第二送出流AF2となる。合流器30において、第一送出流AF1と第二送出流AF2とはAQ1:AQ2=3:2の所定割合で合流するので、気流AFの温度は、空調温度Taに近しい約32℃となる。すなわち、約32℃の温度を有する気流AFが空調空間Sへ吹き出す。ステップS105を実行した後、コントローラ170は、ステップS107を実行する。
【0080】
(ステップS106)
コントローラ170は、モータ160の動作を制御して、第一送出流AF1の風量AQ1と第二送出流AF2の風量AQ2との比がAQ1:AQ2=2:3となるように、ダクト81の開度がダクト82の開度に比して小さくなる位置へ合流ダンパ36を回動する。言い換えると、コントローラ170は、モータ160の動作を制御して、AQ1:AQ2=2:3となるように第一送出流AF1に対する圧力損失が第二送出流AF2に対する圧力損失に比して大きくなる位置へ合流ダンパ36を回動する。分流ダンパ46は、合流ダンパ36の回動に同期してダンパシャフト60を中心に回動し、その位置が確定する。このとき、ダクト91の開度は、ダクト92の開度に比して小さくなる。位置が確定した分流ダンパ46は、第一分流BF1の風量BQ1と第二分流BF2の風量BQ2との比がBQ1:BQ2=2:3の所定割合となるように気流BFを分流する。第一分流BF1は、第一空調室10において空調温度Ta=40℃を有する第一送出流AF1となり、第二分流BF2は、第二空調室20において空調温度Tb=20℃を有する第二送出流AF2となる。合流器30において、第一送出流AF1と第二送出流AF2とはAQ1:AQ2=2:3の割合で合流するので、気流AFの温度は、空調温度Tbに近しい約28℃となる。すなわち、約28℃の温度を有する気流AFが吹出口240から空調空間Sへ吹き出す。ステップS106を実行した後、コントローラ170は、ステップS107を実行する。
【0081】
(ステップS107)
コントローラ170は、ディスプレイ210に表示する、第一映像と異なる第二映像に対応した第二温度T2に係る情報を記憶部71から読み出し、第二温度T2が第一温度T1に比べて高いか、または低いかを第二温度判定部77を用いて判定する。一例として、コントローラ170がステップS105の処理を経由してステップS107を実行する場合について説明する。第二温度T2=36℃であり、第二温度T2は第一温度T1に比べて高い場合(ステップS107のY)、コントローラ170は、ステップS108を実行する。第二温度T2=24℃であり、第二温度T2は第一温度T1に比べて低い場合(ステップS107のN)、コントローラ170は、ステップS109を実行する。
【0082】
(ステップS108)
コントローラ170は、モータ160の動作を制御して、第一送出流AF1の風量AQ1と第二送出流AF2の風量AQ2との比がAQ1:AQ2=4:1となるように、ステップS107の判定前に比してダクト81の開度が大きくなり、ステップS107の判定前に比べてダクト82の開度が小さくなる位置へ合流ダンパ36を回動する。言い換えると、コントローラ170は、モータ160の動作を制御して、第一送出流AF1に対する圧力損失がステップS107の判定前に比べて小さくなり、第二送出流AF2に対する圧力損失がステップS107の判定前に比べて大きくなる位置へ合流ダンパ36を回動する。分流ダンパ46は、合流ダンパ36の回動に同期してダンパシャフト60を中心に回動し、その位置が確定する。このとき、ステップS107の判定前に比べてダクト91の開度は大きくなり、ステップS107の判定前に比べてダクト92の開度は小さくなる。位置が確定した分流ダンパ46は、第一分流BF1の風量BQ1と第二分流BF2の風量BQ2との比がBQ1:BQ2=4:1の所定割合となるように気流BFを分流する。第一分流BF1は、第一空調室10において空調温度Ta=40℃を有する第一送出流AF1となり、第二分流BF2は、第二空調室20において空調温度Tb=20℃を有する第二送出流AF2となる。合流器30において、第一送出流AF1と第二送出流AF2とはAQ1:AQ2=4:1の割合で合流するので、気流AFの温度は、第一温度T1=32℃よりも高い約36℃となる。すなわち、約36℃の温度を有する気流AFが吹出口240から空調空間Sへ吹き出す。
【0083】
(ステップS109)
コントローラ170は、モータ160の動作を制御して、第一送出流AF1の風量AQ1と第二送出流AF2の風量AQ2との比がAQ1:AQ2=1:4となるように、ステップS107の判定前に比してダクト81の開度が小さくなり、ステップS107の判定前に比べてダクト82の開度が大きくなる位置へ合流ダンパ36を回動する。言い換えると、コントローラ170は、モータ160の動作を制御して、第一送出流AF1に対する圧力損失がステップS107の判定前に比べて大きくなり、第二送出流AF2に対する圧力損失がステップS107の判定前に比べて小さくなる位置へ合流ダンパ36を回動する。分流ダンパ46は、合流ダンパ36の回動に同期してダンパシャフト60を中心に回動し、その位置が確定する。このとき、ステップS107の判定前に比べてダクト91の開度は小さくなり、ステップS107の判定前に比べてダクト92の開度は大きくなる。位置が確定した分流ダンパ46は、第一分流BF1の風量BQ1と第二分流BF2の風量BQ2との比がBQ1:BQ2=1:4の所定割合となるように気流BFを分流する。第一分流BF1は、第一空調室10において空調温度Ta=40℃を有する第一送出流AF1となり、第二分流BF2は、第二空調室20において空調温度Tb=20℃を有する第二送出流AF2となる。合流器30において、第一送出流AF1と第二送出流AF2とはAQ1:AQ2=1:4の割合で合流するので、気流AFの温度は、第一温度T1=32℃よりも低い約24℃となる。すなわち、約24℃の温度を有する気流AFが吹出口240から空調空間Sへ吹き出す。
【0084】
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、映像連携空調システム101は、ダンパシャフト60を回動可能に軸支するステッピングモータであるモータ160を備えた。
【0085】
これにより、映像連携空調システム101は、合流ダンパ36および分流ダンパ46の少なくとも一方の所定割合を制御するにあたり、第一送風機11及び第二送風機21により生成される気流を利用する場合に比べて精度よく所定割合を制御することが可能となる。により依存せずに合流ダンパ36及び分流ダンパ46の回動を制御可能となる。
【0086】
また、映像連携空調システム101は、第一送風機11及び第二送風機21の運転出力を一定とした状態で、モータ160の動作を制御することにより合流ダンパ36および分流ダンパ46の少なくとも一方の所定割合を制御する。
【0087】
これにより、第一送風機11及び第二送風機21の運転出力変更に伴い発生する、変更後の運転出力へ移行するまでの時間と移行後に運転出力が安定するまでの時間とを削減することができる。そのため、第一送出流AF1と第二送出流AF2を合流する際の風量の所定割合と第一分流BF1と第二分流BF2とに分流する際の風量の所定割合とを調整するのに要する時間を削減することができる。よって、ディスプレイ210に映像を表示するタイミングと映像に対応した温度を有する気流AFを空調空間Sへ吹き出すタイミングとの間の誤差を小さくし、応答性を高める効果が期待できる。
【0088】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0089】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0090】
実施の形態1および2において、第一空調室10の空気の第一温度T1を第二空調室20の空気の第二温度T2に対して高温と設定したが、これに限定されず、第一空調室10の空気の第一温度T1を第二空調室20の空気の第二温度T2に対して低温と設定してもよい。
【0091】
実施の形態1において、コントローラ70は、第一温度判定部72の判定結果に基づき第一送風機11及び第二送風機21の動作を制御したが、これに限定されない。例えば、所望の温度を有する気流AFを生成するための第一送出流AF1と第二送出流AF2とを合流する際の所定割合(混合比)に係る情報を記憶部71に記憶する。そして、コントローラ70は、記憶部71に記憶した混合比に係る情報を参照して、第一送風機11及び第二送風機21の運転を制御してもよい。
【0092】
実施の形態2において、コントローラ170は、第一温度判定部72の判定結果に基づきモータ160の動作を制御したが、これに限定されない。例えば、所望の温度を有する気流AFを生成するためのモータ160の回転方向(正転・逆転)、回転角度(パルスの数)及び回転速度(パルスの速度)に係る情報を記憶部71に記憶する。そして、コントローラ170は、記憶部71に記憶したモータ160の回転方向(正転・逆転)、回転角度(パルスの数)及び回転速度(パルスの速度)に係る情報を参照して、モータ160の動作を制御してもよい。
【0093】
実施の形態1及び2において、映像連携空調システム1及び映像連携空調システム101は、二つの異なる気流(第一送出流AF1と第二送出流AF2)を合流(混合)して所望の温度Tに空調された気流AFを生成したが、これに限定されない。映像連携空調システム1及び映像連携空調システム101は、温度に替えて所望の湿度に空調された気流AFを生成してもよい。
【0094】
実施の形態1及び2において、コントローラ70及びコントローラ170は、第二空調室20に配置したが、第一空調室10に配置してもよい。なお、コントローラ70及びコントローラ170の動作中の発熱に伴う部品及びハンダ部の劣化や熱暴走の発生を抑制する観点から、コントローラ70及びコントローラ170は、温度の低い側の空調室へ配置することが好ましい。
【0095】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0096】
(発明の概要)
本開示における発明の概要を以下に記載する。
【0097】
映像連携空調システム1は、第一空調室10と、第一空調室10の空気を第一送出流AF1として第一空調室10から送出する第一送風機11と、第二空調室20と、第二空調室20の空気を第二送出流AF2として第二空調室20から送出する第二送風機21と、第一送出流AF1と第二送出流AF2とを合流させ第一空調室10および第二空調室20と異なる空調空間Sへ吹き出す合流器30と、空調空間Sから吸い込まれる空気を第一空調室10へ吹出す第一分流BF1と第二空調室20へ吹出す第二分流BF2とに分流する分流器40と、合流器30と分流器40とを接続するダンパシャフト60と、第一送風機11および第二送風機21の動作を制御するコントローラ70と、を備える。合流器30は、第一送出流AF1が流通する流路(ダクト81)の開度と第二送出流AF2が流通する流路(ダクト82)の開度とを調整し、第一送出流AF1と第二送出流AF2とが合流する際の風量を所定割合で合流するように調整するための合流ダンパ36を有する。分流器40は、第一分流BF1が流通する流路(ダクト91)の開度と第二分流BF2が流通する流路(ダクト92)の開度とを調整し、第一分流BF1と第二分流BF2とに分流する際の風量を所定割合で分流するように調整するための分流ダンパ46を有する。コントローラ70は、空調空間Sへ吹き出す気流の温度が空調空間Sに設けられるディスプレイ210に表示する映像に対応した温度となるように合流ダンパ36および分流ダンパ46の少なくとも一方の所定割合を制御する。合流ダンパ36および分流ダンパ46は、ダンパシャフト60の回動により同期する。
【0098】
映像連携空調システム1において、コントローラ70は、ディスプレイ210に表示する第一映像に対応した第一温度が第一空調室10の温度に近いか、または第二空調室の温度に近いかを判定する第一温度判定部72を有する。コントローラ70は、第一温度判定部72により第一温度が第一空調室の温度に近いと判定した場合、第一送出流を導く流路の開度が第二送出流を導く流路の開度に比して大きくなるように所定割合を制御する。
【0099】
映像連携空調システム1において、コントローラ70は、ディスプレイ210に表示する、第一映像と異なる第二映像に対応した第二温度が第一温度に比べて高いか、または低いかを判定する第二温度判定部77を有し、第二温度判定部77により第二温度が第一温度に比べて高いと判定した場合、第二温度が第一温度に比べて高いと判定する前に比べて第一送出流AF1を導く流路(ダクト81)の開度が大きくなるように所定割合を制御し、第二温度判定部77により第二温度が第一温度に比べて低いと判定した場合、第二温度が第一温度に比べて低いと判定する前に比べて第一送出流AF1を導く流路(ダクト81)の開度が小さくなるように所定割合を制御する。
【0100】
映像連携空調システム101は、ダンパシャフト60を回動可能に軸支するモータ160を備える。コントローラ170は、モータ160により合流ダンパ36および分流ダンパ46の少なくとも一方の所定割合を制御する。
【0101】
映像連携空調システム1において、コントローラ70は、第一送風機11の風量と第二送風機21の風量とにより合流ダンパ36および分流ダンパ46の少なくとも一方の所定割合を制御する。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本開示は、二つの異なる気流を合流(混合)することで所望の温度(または湿度)に空調された気流を生成し得る映像連携空調システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 映像連携空調システム
10 第一空調室
11 第一送風機
12 第一空調機
13 吸込口
14 吹出口
20 第二空調室
21 第二送風機
22 第二空調機
23 吸込口
24 吹出口
30 合流器
31 第一側面
31a 吸込口
32 第二側面
32a 吸込口
33 第三側面
33a 吹出口
34 底面
35 天面
36 合流ダンパ
40 分流器
41 第一側面
41a 吹出口
42 第二側面
42a 吹出口
43 第三側面
43a 吸込口
44 底面
45 天面
46 分流ダンパ
50 ベアリング
60 ダンパシャフト
70 コントローラ
71 記憶部
72 第一温度判定部
73 処理部
74 第一動作制御部
75 第二動作制御部
77 第二温度判定部
81 ダクト
82 ダクト
91 ダクト
92 ダクト
101 映像連携空調システム
160 モータ
170 コントローラ
176 第三動作制御部
200 運動支援システム
210 ディスプレイ
220 エルゴメータ
230 吸込口
240 吹出口
AF1 第一送出流
AF2 第二送出流
AF 気流
BF 気流
BF1 第一分流
BF2 第二分流
S 空調空間