(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138239
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】外観検査システム、及び外観検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
G01N21/892 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127381
(22)【出願日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2022044151
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【弁理士】
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】元永 郁夫
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA32
2G051AA61
2G051AB13
2G051AB20
2G051BA06
2G051BB01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB01
(57)【要約】
【課題】本実施形態は、テーピング包装における熱圧着の不具合の判定が可能な外観検査システム、及び外観検査方法を提供する。
【解決手段】本実施形態によれば、赤外撮像装置と、判定部と、を備える。赤外撮像装置は、内部に電子部品を挿入可能であり、重ねられた第1テープが所定領域で熱圧着された第2テープにおいて、所定領域の少なくとも一部を含んで赤外光で撮像する。判定部は、赤外撮像装置が所定領域の少なくとも一部を含んで撮像した赤外画像を用いて、所定領域の熱圧着の状態を判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電子部品を挿入可能であり、重ねられた第1テープが所定領域で熱圧着された第2テープにおいて、前記所定領域の少なくとも一部を含んで赤外光で撮像する赤外撮像装置と、
前記赤外撮像装置が前記所定領域の少なくとも一部を含んで撮像した赤外画像を用いて、前記所定領域の熱圧着の状態を判定する判定部と、
を備える、外観検査システム。
【請求項2】
前記第2テープの赤外光の吸収率は、前記第1テープよりも高く、
前記判定部は、前記所定領域における所定濃度以上の領域に基づき、前記熱圧着の状態を判定する、請求項1に記載の外観検査システム。
【請求項3】
前記第1テープは、前記赤外光を透過し、前記第2テープは、前記赤外光を吸収する色をしており、
前記判定部は、前記所定濃度以上の領域が、前記所定領域を占める割合により前記判定を行う、請求項2に記載の外観検査システム。
【請求項4】
前記判定部は、前記所定領域を占める割合が所定値以下である場合に、前記所定領域の前記熱圧着が不良であると判定する、請求項3に記載の外観検査システム。
【請求項5】
前記第1テープは、透明又は半透明なビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリスチレン(PS)のいずれかであり、
前記第2テープは、黒色系のカーボン樹脂、及びプラスチック樹脂のいずれかである、請求項4に記載の外観検査システム。
【請求項6】
前記所定濃度以上の領域は、前記第1テープ及び前記第2テープが熱融合した領域に対応する、請求項3に記載の外観検査システム。
【請求項7】
前記第2テープは、前電子部品を収納するポケット及びガイド穴が長手方向に沿って複数個形成されたエンボステープであり、前記第1テープは、前記第2テープ上に配置されたカバーテープである、請求項6に記載の外観検査システム。
【請求項8】
前記判定部は、前記赤外撮像装置が撮像した赤外画像に基づき、前記電子部品が前記ポケット内の所定の位置に配置されているか否かを判定する、請求項7に記載の外観検査システム。
【請求項9】
前記所定領域を熱圧着する熱圧着装置と、
前記赤外光の赤外光源と、
を更に備える、
請求項1に記載の外観検査システム。
【請求項10】
内部に電子部品を挿入した第2テープに重ねられた第1テープを所定領域で熱圧着する熱圧着工程と、
前記所定領域を赤外光で赤外画像を撮像する撮像工程と、
前記赤外画像内の前記所定領域における情報を用いて、前記所定領域の熱圧着の状態を判定する判定工程と、
を備える外観検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、外観検査システム、及び外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置などの電子部品の包装には、取り扱いが容易で電子部品の実装効率が良好なエンボステープを使ったテーピング包装が多用されている。このテーピング包装には、熱圧着が用いられる。
【0003】
ところが、テーピング包装の熱圧着の不具合により、包装の不良が生じる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態は、テーピング包装における熱圧着の不具合の判定が可能な外観検査システム、及び外観検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、赤外撮像装置と、判定部と、を備える。赤外撮像装置は、内部に電子部品を挿入可能であり、重ねられた第1テープが所定領域で熱圧着された第2テープにおいて、所定領域の少なくとも一部を含んで赤外光で撮像する。判定部は、赤外撮像装置が所定領域の少なくとも一部を含んで撮像した赤外画像を用いて、所定領域の熱圧着の状態を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る外観検査システムの構成例を示す図。
【
図2A】熱圧着されたエンボステープが巻取りリールに巻かれた状態を示す図。
【
図4】エンボステープにカバーテープが重なった状態の平面図。
【
図5】エンボステープにカバーテープが熱圧着された後の平面図。
【
図9】判定状態が良い場合の領域内の赤外撮像画像の一例を示す図。
【
図10】判定状態が良くない場合の領域内の赤外撮像画像の一例を示す図。
【
図14】判定部により異常判定された場合の表示装置の表示画像例を示す図。
【
図15】
図13のステップS30の詳細な処理例を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る外外観検査システム、及び外観検査方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0009】
(一実施形態)
図1は、本実施形態に係る外観検査システム1の構成例を示す図である。この外観検査システム1は、例えば赤外光を用いた検査により、テーピング包装の熱圧着の不具合の判定が可能なシステムである。
【0010】
すなわち、この外観検査システム1は、外観検査装置100と、制御装置200と、表示装置300とを備える。外観検査装置100は、エンボステープ2に、カバーテープ3を熱圧着し、熱圧着したエンボステープ2を赤外撮像可能な装置である。なお、本実施形態に係るエンボステープ2が第2テープに対応し、カバーテープ3が第1テープに対応する。また、本実施形態では、エンボステープ2に、カバーテープ3を熱圧着することをテーピング包装と称する。
【0011】
図2A~
図2Cを用いて、まずエンボステープ2について説明する。
図2Aは、熱圧着されたエンボステープ2が巻取りリール7に巻かれた状態を示す図である。
図2Bは、熱圧着されたエンボステープ2の平面図である。
図2Cは、
図2BのA-A線に沿う断面図である。
【0012】
図2A~
図2Cに示すように、エンボステープ2は、電子部品4を収納するためのポケット5の上面開口がX方向(テープの送り方向)に一定間隔で連続的に形成されている。エンボステープ2は、カバーテープ3よりも赤外光の吸収率の高い材質で構成されている。エンボステープ2は、例えば黒色系統の赤外光の光吸収率の高い材質で構成されている。
【0013】
より詳細には、エンボステープ2は、例えばカーボン樹脂、汎用プラスチック樹脂からなる。プラスチック樹脂は、例えば汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)、ゴムを加えた耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)、などのポリスチレン樹脂(PS)、或いは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル樹脂(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などである。そして、エンボステープ2の一端にはガイド穴6が一定間隔で連続的に形成されている。
【0014】
カバーテープ3は、例えば、透明又は半透明なテープである。カバーテープ3は、例えば、ビニル製、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン樹脂(PS)などである。本実施形態における透明又は半透明とは、例えば赤外光との相互作用が抑制され、カバーテープ3の上面側から照射された赤外光により、カバーテープ3の下面側にあるものが透けて見えることを意味する。一方で、エンボステープ2は、赤外光の光吸収率がカバーテープ3よりも高く、赤外光を透過しない色又は材質で構成される。
【0015】
カバーテープ3の幅(Y方向の長さ)はガイド穴6を塞がないようにエンボステープ2の幅よりも狭く形成されている。このため、電子部品4が収納されたエンボステープ2のポケット5の上面開口を覆うようにカバーテープ3をエンボステープ2に重ね合わせても、ガイド穴6を塞ぐことはないように構成される。電子部品4は、例えばICなどの半導体装置である。上述のように、内部に電子部品4などを収納し、カバーテープ3をエンボステープ2に重ねて熱圧着することをテービング包装と称する場合がある。また、本実施形態ではポケット5の内部に電子部品4を収納するがこれに限定されない。
【0016】
再び
図1に示すように、外観検査装置100は、複数のリール7、11と、スプロケット8と、ロール12と、回転滑車13と、熱圧着装置15と、赤外撮像装置20と、赤外光源22と、を有する。
【0017】
制御装置200は、外観検査システム1全体の制御を行う。すなわち、この制御装置200は、外観検査装置100を制御し、エンボステープ2の熱圧着の状態を判定可能である。なお、制御装置200の詳細は後述する。なお、熱圧着を熱溶着と称する場合がある。
【0018】
表示装置300は、例えばモニタである。この表示装置300は、例えばエンボステープ2の赤外画像、及びエンボステープ2の良否判定の結果などを表示可能である。
【0019】
入力装置400は、例えば、キーボード、マウスなどにより構成される。入力装置400は、例えば、エンボステープ2の送りピッチなどを設定する。
【0020】
ここで、外観検査装置100の詳細を説明する。外観検査装置100のリール7は、例えば駆動モータを有している。これにより、リール7は、制御装置200の制御に従い、カバーテープ3が熱圧着された後のエンボステープ2をスプロケット8と同期して巻き取ることが可能である。
【0021】
スプロケット8は、ガイド穴6に係合する歯先を有している。そして、このスプロケット8は、制御装置200の制御に従い、回転する。これにより、エンボステープ2はスプロケット8の回転駆動により所定のピッチで間欠送りされる。
【0022】
リール11には、エンボステープ2が巻かれている。ロール12には、カバーテープ3が巻かれている。
【0023】
熱圧着装置15は、制御装置200の制御に従い動作し、受け台15aと溶着ヘッド15bとを有する。
図3は、熱圧着装置15の溶着ヘッド15bの構成例を示す図である。
【0024】
図3に示すように、溶着ヘッド15bは、加熱ユニット150bと、熱圧着ヘッド152bとを有する。加熱ユニット150bは、ヒータ154bを内蔵する。熱圧着ヘッド152bは、下面に突設されてX方向(テープ送り方向)に沿って帯状に延びる一対の脚部156bを有している。加熱ユニット150bにより、例えば160度に加熱された脚部156bの下面は、一対の溶着面となる。
【0025】
図4は、エンボステープ2にカバーテープ3が重なった状態の平面図である。領域78a、80aは、脚部156bの一対の溶着面が接する溶着領域である。すなわち、領域78a、80aは、エンボステープ2にカバーテープ3が重なった領域である。溶着ヘッド15bの直下領域A5に領域78a、80aが間欠送りされる毎に、溶着ヘッド15bは、受け台15aに向けて下降し、脚部156bの一対の溶着面が領域78a、80aを順に熱圧着する。
【0026】
間欠送りされる長さは、例えば熱圧着装置15の溶着面のX方向の長さに対して1~1/3程度の長さとされる。これにより、脚部156bの一対の溶着面の長さと同じ長さのエンボステープ2、カバーテープ3が重なった領域78a、80aに対して例えば1~3回の熱圧着が施される。
【0027】
図5は、エンボステープ2にカバーテープ3が熱圧着された後の平面図である。カバーテープ3の左右の領域78b、80bは熱圧着された領域である。領域78b、80bでは、エンボステープ2、及びカバーテープ3の材質が熱で溶着され一体化している。領域A10は、赤外撮像装置20の撮像範囲を示す。
【0028】
再び
図1に示すように、赤外撮像装置20は、制御装置200の制御に従い動作し、例えばベイヤー配列された、R(赤)、G(緑)、B(青)画素を有するCCDで構成される。R、G、B画素それぞれのカラーフィルタは赤外領域の光を透過する。
【0029】
図6は、赤外撮像装置20の感度特性を示す図である。縦軸はR、G、B画素の感度(任意単位)を示し、横軸は波長を示す。
図6に示すように、赤外撮像装置20は、例えば赤外域の850ナノメートルの波長を含む、波長域750~900ナノメートに感度を有する。このように、赤外撮像装置20が有効な感度を示す赤外光の波長範囲は750~900ナノメートルを含むことが望ましい。
【0030】
再び
図1に示すように、赤外光源22は、制御装置200の制御に従い動作する。
図7は、赤外光源22の波長特性を示す図である。縦軸は発光強度(任意単位)を示し、横軸は波長を示す。
図7に示すように、赤外光源22の発光強度は、赤外域の850ナノメートルにピークを有する。
【0031】
再び
図1に示すように、赤外撮像装置20は、制御装置200の制御に従い、熱圧着されたエンボステープ2、及びカバーテープ3が、領域A10(
図5参照)に送られて来る毎に、赤外光源22により照明される領域A10内の画像を撮像する。この赤外撮像装置20は、撮像した画像を、後述する制御装置200内の記憶部202に記憶させる。
【0032】
ここで、
図8を用いて制御装置200の詳細な構成例を説明する。
図8は、制御装置200の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、制御装置200は、たとえば例えばCPU(CentralProcessingUnit)、記憶部202などを備えたマイクロコンピュータである。制御装置200は、記憶部202に記憶されるプログラムにしたがい、制御を行う。すなわち、制御装置200は、記憶部202に記憶されるプログラムにしたがい、回転制御部204と、撮像制御部206と、圧着制御部208と、判定部210と、表示制御部212と、を構成する。なお、回転制御部204と、撮像制御部206と、圧着制御部208と、判定部210と、表示制御部212と、を電子回路又は処理ユニットとして構成してもよい。
【0033】
記憶部202は、外観検査システム1の各種の情報を記憶する。例えば、記憶部202は、リール7の回転数及び回転位置、スプロケット8の回転数及び回転位置、熱圧着装置15の上下の位置、赤外撮像装置20の画像データなどの情報を記憶する。
【0034】
回転制御部204は、入力装置400で設定されたエンボステープ2の送りピッチに従い、リール7、及びスプロケット8を同期させて回転させる制御を行う。また、リール7、及びスプロケット8の回転情報に基づき、領域A10(
図5参照)で赤外撮像された領域78b、80bの位置をガイド穴6の位置と関連づけて、記憶部202に記憶させる。また、本実施形態に係る回転制御部204は、例えば、エンボステープ2の最初のガイド穴6から最後のガイド穴6まで番号を割振り、エンボステープ2の位置を管理する。
【0035】
撮像制御部206は、エンボステープ2の間欠送りと同期させて、領域A10(
図5参照)内の所定領域78b、80bを赤外撮像装置20に撮像させる制御を行う。この際に、撮像制御部206は、赤外光源22の発光も制御する。撮像制御部206は、回転制御部204の情報に応じて、赤外撮像装置20で撮像された画像データを、エンボステープ2のガイド穴6の位置と関連づけて、記憶部202に記憶させる。
【0036】
圧着制御部208は、エンボステープ2の間欠送りと同期させて、熱圧着装置15の溶着ヘッド15bの上下動を制御する。
【0037】
判定部210は、赤外撮像装置20が撮像した赤外画像を用いて、熱圧着されるべき所定領域78b、80b(
図5参照)の状態を判定する。また、判定部210は、赤外撮像装置20が撮像した赤外画像を用いて、ポケット5内の電子部品4の位置、外観などの検査も行い、電子部品4の位置状態を判定する。なお、判定部210の詳細な構成は後述する。
【0038】
表示制御部212は、判定部210の判定結果を赤外撮像装置20が撮像した赤外画像とともに、表示装置300に表示させる。例えば表示制御部212は、判定部210により異常判定された場合に、赤外画像と、判定情報を表示装置300に表示さる。
【0039】
図9は、判定状態が良い場合の領域A10(
図5参照)内の赤外撮像画像の一例を示す図である。断面画像I90は、BB断面における分析画像例を模式的に示す図である。領域78b、80bの熱圧着の状態が良い場合には、エンボステープ2の上面とカバーテープ3の下面が融合し一体化した融合領域f7aが形成される。この融合領域f7aを赤外撮像すると黒色として撮像される。つまり、赤外光源22から照射された赤外光に対する融合領域f7aの吸収率が他の領域よりも高くなる。
【0040】
領域76a、bは電子部品4のリード位置の判定領域を示す。一方で領域76c、dは電子部品4の電子部品4の本体部の判定領域を示す。
図9の例では、領域76a、bにリードの両端における先頭領域が適切に配置されている例である。また、領域76c、dにリード本体における対角領域が適切に配置されている例である。
【0041】
一般の可視撮像では、カバーテープ3内に可視光が浸透せず、エンボステープ2にカバーテープ3を重ねた状態での内部検査は困難であった。これに対して、本実施形態に係る外観検査装置では、赤外撮像装置20を有しているので、エンボステープ2にカバーテープ3を重ねた状態でも、カバーテープ3内の撮像が可能となっている。これにより、本実施形態に係る外観検査装置は、エンボステープ2にカバーテープ3を重ねた状態での内部検査が可能となっている。
【0042】
図10は、判定状態が良くない場合の領域A10(
図5参照)内の赤外撮像画像の一例を示す図である。断面画像I92は、CC断面における分析画像例を模式的に示す図である。領域78b、80bの熱圧着の状態が良くない場合には、エンボステープ2の上面とカバーテープ3の下面が融合し一体化した融合領域f7b、cが領域78b、80bの一部領域に形成される。換言すると、領域78b、80bの熱圧着の状態が良くない場合には、エンボステープ2の上面とカバーテープ3の下面が融合せずに一体化していない領域を有する。この融合領域f7b、cを赤外撮像すると黒色領域として撮像される。一方で、融合領域f7b、cが形成されていない領域は白色系の白色領域f7d、eとして撮像される。
【0043】
つまり、赤外光源22から照射された赤外光に対する融合領域f7b、cの吸収率が他の領域よりも高くなる。一方で、融合領域f7b、cが形成されていない領域の赤外光に対する吸収率は、融合領域f7b、cの吸収率よりも低くなる。換言すると、融合領域f7b、cが形成されていない領域の赤外光の反射率は、融合領域f7b、cの反射率よりも高くなる。
【0044】
図10の例では、電子部品4は、傾いてしまっている。このため、領域76a、bにリードの両端における先頭領域が適切に配置されなくなっている。同様に、領域76c、dにリード本体における対角領域が適切に配置されなくなっている。
【0045】
図11は、黒色化の現象を模式的に説明する図である。
図11に示すように、融合領域f7b、cに入射する赤外光L11、L13は、融合領域f7b、cにより吸収され、反射が抑制される。一方で、融合領域f7b、c外に入射する赤外光L12は、エンボステープ2の上面又は電子部品4の上面で反射して、撮像される。このような現象の詳細は解析中であるが、エンボステープ2の黒色がカバーテープ3に融合し、黒色領域がカバーテープ3の上面側に近づくことにより赤外光の吸収率が上がり、反射光が減少すると考えられている。
【0046】
図12は、判定部210の構成例を示すブロック図である。
図12に示すように、判定部210は、二値化処理部210aと、ラベリング処理部210bと、外形抽出処理部210cと、判定処理部210dとを有する。
【0047】
二値化処理部210aは、領域A10(
図5参照)内の画像から領域78b、80bに対応する画像を抽出する。そして、二値化処理部210aは、実験的に予め定められた閾値により抽出した画像を2値化する。
【0048】
ラベリング処理部210bは、二値化処理部210aが2値化した画像領域から、融合領域f7a、b、c(
図9、10参照)に対応する黒色領域をラベリングする。そして、ラベリング処理部210bは、ラベリングした黒色領域の画素数をカウントする。
【0049】
外形抽出処理部210cは、圧着領域78b、80bの内側の画像領域の外接輪郭線を抽出する。このような外接輪郭線は、一般的な画像処理により行うことが可能である。
【0050】
判定処理部210dは、ラベリング処理部210bがカウントした画素数により領域78b、80bの圧着状態を判定する。判定処理部210dは、例えば所定領域78b、80bを占める黒色領域の割合が所定値以下である場合に、所定領域78b、80bの熱圧着が不良状態であると判定する。より具体的には、判定処理部210dは、ラベリング処理部210bがカウントした画素数が第1閾値よりも多ければ圧着が良状態と判定する。一方で、判定処理部210dは、カウントした画素数が第1閾値より小さい値である第2閾値よりも少なければ圧着が不良状態と判定する。なお、閾値の設定はこれらに限定されず、例えば第1閾値と第2閾値を同値にしても良いし、3以上の閾値を設定してもよい。閾値を増やすことにより、圧着状態の判定をより細分化することが可能である。
【0051】
また、判定処理部210dは、外形抽出処理部210cが抽出した外接輪郭線に基づき、領域76a、b、領域76c、dに所定の向きの直角形の輪郭線がそれぞれ配置されている場合に、電子部品4の位置が良状態であると判定する。一方で、判定処理部210dは、領域76a、b、領域76c、dに所定の向きの直角形の輪郭線がそれぞれ配置されていない場合に、電子部品4の位置が不良状態であると判定する。
【0052】
以上が、外観検査システム1の構成の説明であるが、以下に
図13乃至15を用いて制御装置200の制御例を説明する。
図13は、制御装置200の制御例を示すフローチャートである。
図14は、判定部210により異常判定された場合の表示装置300の表示画像例を示す図である。
図15は、
図13のステップS30の詳細な処理例を示すフローチャートである。
【0053】
図13に示すように、制御装置200の回転制御部204は、エンボステープ2の送りピッチに従い、リール7、及びスプロケット8を同期させて回転させる。これにより、エンボステープ2、カバーテープ3が間欠送りされて溶着ヘッド15bの下方領域A5(
図4参照)に位置すると、テープ送りが中断される。そして、加熱ユニット150bにより一定の温度、例えば160度に加熱された脚部156bの一対の溶着面が下降して、カバーテープ3の左右の領域78a、80aでエンボステープ2と重なる重合部を押圧、及び溶着する。すなわちエンボステープ2とカバーテープ3とを溶着面が熱圧着して、エンボステープ2のポケット5の上面開口をカバーテープ3でシールする(ステップS10)。このように、電子部品4は、エンボステープ2のポケット5の上面開口をカバーテープ3でシールすることにより、テーピング包装される。
【0054】
押圧、及び溶着後、溶着ヘッド15bが上昇してカバーテープ3から離れると、スプロケット8の駆動により、溶着ヘッド15bの下にエンボステープ2がリール11から間欠送りされるとともに、カバーテープ3がロール12から回転滑車13を折り返して送り込まれる。これにより、カバーテープ3がエンボステープ2に被せられ、加熱状態の溶着ヘッドが再び下降してエンボステープ2、及びカバーテープ3を押圧、及び溶着する。すなわちエンボステープ2とカバーテープ3とを溶着面が熱圧着する。溶着ヘッド15bの昇降、エンボステープ2、及びカバーテープ3の送りが繰り返されて熱圧着されたエンボステープ2、及びカバーテープ3はリール7に順に巻き取られる。
【0055】
撮像制御部206は、エンボステープ2、及びカバーテープ3の間欠送りが繰り返され、撮像領域A10に送られたエンボステープ2を、赤外光源22を発光させるとともに、赤外撮像装置20に撮像させる。そして、撮像制御部206は、撮像した赤外画像をガイド穴6の位置に関連付けて記憶部202に記憶させる(ステップS20)。
【0056】
判定部210は、赤外撮像装置20が撮像した赤外画像を用いて、熱圧着された領域78b、80b(
図5参照)の状態を判定する。また、判定部210は、赤外画像を用いて、電子部品4の位置状態を判定する(ステップS30)。そして、表示制御部212は、判定部210により異常判定された場合に、赤外画像と、判定情報(
図14参照)を表示装置300に表示させる。
【0057】
図14に示すように、表示装置300の表示画像M10内に、異常判定された赤外画像M12と判定情報M14が表示される。判定情報M14には、ガイド穴6の位置情報、異常の理由が表示される。
【0058】
ここで、
図15を用いてステップS30のより詳細な処理例を説明する。二値化処理部210aは、赤外画像から圧着領域78b、80bの画像を抽出して2値化する(ステップS100)。
【0059】
次に、ラベリング処理部210bは、二値化処理部210aが2値化した黒色部領域をラベリングする。そして、ラベリング処理部210bは、ラベリングした黒色部領域の画素数をカウントする(ステップS102)。
【0060】
次に、外形抽出処理部210cは、圧着領域78b、80bの内側の画像領域の外接輪郭線を抽出する(ステップS104)。
【0061】
そして、判定処理部210dは、処理が正常か否かを判定する(ステップS106)。すなわち、判定処理部210dは、ラベリング処理部210bがカウントした画素数が第1閾値よりも多ければ熱圧着が良状態(正常)と判定し、且つ、領域76a、b、領域76c、dに所定の向きの直角形の輪郭線がそれぞれ配置されている場合に、電子部品4の位置が良状態(正常)であると判定する(ステップS106のY)。そして、判定処理部210dは、判定処理を終了させる。
【0062】
一方で、判定処理部210dは、カウントした画素数が第2閾値よりも少なければ圧着が不良状態と判定し、判定処理部210dは、領域76a、b、領域76c、dに所定の向きの直角形の輪郭線がそれぞれ配置されていない場合に、電子部品4の位置が不良状態であると判定する。判定処理部210dは、熱圧着が不良状態又は電子部品4の位置が不良状態である場合に、処理が正常でないと判定する(ステップS106のN)。
【0063】
また、判定処理部210dは、ガイド穴6の位置情報、異常の理由を関連づけて、記憶部202に記憶させる(ステップS108)。そして、表示制御部212は、表示装置300の表示画像M10内に、異常判定された赤外画像M12と判定情報M14(
図14参照)を表示させる(ステップS110)。そして、判定処理部210dは、判定処理を終了させる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、赤外撮像装置20は、内部に電子部品4を挿入可能であり、重ねられたカバーテープ3が所定領域78b、80bで熱圧着されたエンボステープ2において、所定領域78b、80bを赤外光で撮像し、判定部210は、赤外撮像装置20が所定領域78b、80bの少なくとも一部を含んで撮像した赤外画像を用いて、所定領域78b、80bの熱圧着の状態を判定することとした。これにより、赤外画像内の所定領域78b、80bの情報により、所定領域78b、80bの熱圧着の状態判定が可能となる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1:外観検査システム、2:エンボステープ、3:カバーテープ、4:電子部品、6:ガイド穴、15:熱圧着装置、20:赤外撮像装置、22:赤外光源、78a、80a:所定領域(熱圧着前)、78b、80b:所定領域(熱圧着後)、100:外観検査装置、210:判定部。