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特開2023-138254感光性樹脂組成物、電子デバイスおよびその製造方法
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  • 特開-感光性樹脂組成物、電子デバイスおよびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138254
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、電子デバイスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/075 20060101AFI20230922BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G03F7/075 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140902
(22)【出願日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2022043842
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】住田 稜
(72)【発明者】
【氏名】森 清治
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H197CA01
2H197CE01
2H197HA03
2H225AF02P
2H225AM77P
2H225AN02P
2H225AN23P
2H225AN24P
2H225AN31P
2H225AN68P
2H225AN82P
2H225BA05P
2H225BA28P
2H225BA32P
2H225CA12
2H225CB02
2H225CC03
2H225CC21
(57)【要約】
【課題】基板上に塗布した際の密着性に優れる感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明の感光性樹脂組成物は、密着助剤と、アルカリ可溶性樹脂と、を含み、上記密着助剤が、構造式(1)で示される構造を含み、当該構造式(1)におけるAが、(1a)または(1b)で示される構造を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密着助剤と、
アルカリ可溶性樹脂と、を含み、
前記密着助剤が、以下構造式(1)で示される構造を含み、
当該構造式(1)におけるAが、以下(1a)または(1b)で示される構造を含む、感光性樹脂組成物。
【化1】
(前記構造式(1)において、Rはメチル基またはエチル基である。)
【化2】
(前記構造(1a)において、Rは炭素数が1以上5以下のアルキル鎖であり、Rは炭素数が1以上10以下のアルキル基である。)
【化3】
(前記構造(1b)において、Rは炭素数が1以上5以下のアルキル鎖である。)
【請求項2】
請求項1に記載の感光性樹脂組成物において、
前記アルカリ可溶性樹脂が、ポリイミド樹脂及びその前駆体、ポリベンゾオキサゾール樹脂及びその前駆体、フェノール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂からなる群より選択される1種または2種以上を含む、感光性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物において、
前記密着助剤の含有量が、前記アルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部とした時に、0.1質量部以上10質量部以下である、感光性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物において、
さらに前記密着助剤とは異なるシランカップリング剤を含む、感光性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物において、
さらに界面活性剤を含む、感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の感光性樹脂組成物において、
前記界面活性剤の含有量が、前記アルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部とした時に、0.001質量部以上0.5質量部以下である、感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物において、
さらに感光剤を含む、感光性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物であって、
電子デバイスにおける絶縁層の形成に用いられる、感光性樹脂組成物。
【請求項9】
基板上に、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂膜を形成する膜形成工程と、
前記感光性樹脂膜を露光する露光工程と、
露光された前記感光性樹脂膜を現像する現像工程と、
を含む、電子デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電子デバイスの製造方法であって、
前記現像工程の後に、露光された前記感光性樹脂膜を加熱して硬化させる熱硬化工程を含む、電子デバイスの製造方法。
【請求項11】
請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物の硬化膜を備える電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、電子デバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気・電子分野においては、絶縁層などの硬化膜を形成するために、ポリアミド樹脂およびポリイミド樹脂などを始めとするアルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物が用いられることがある。そのため、アルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物がこれまで検討されてきている。
【0003】
一例として、特許文献1には、約20,000ダルトン~約70,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;少なくとも1種の溶解度スイッチング化合物;少なくとも1種の光開始剤;および少なくとも1種の溶剤を含み、シクロペンタノンを現像剤として使用した場合に約0.15μm/秒を超える溶解速度を示すフィルムを形成することができる感光性組成物が記載されている。
【0004】
特許文献2、3などにも、ポリアミド樹脂および/またはポリイミド樹脂を含む感光性樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/172092号
【特許文献2】国際公開第2007/047384号
【特許文献3】特開2018-070829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者が検討した結果、上記特許文献1~3に記載の感光性樹脂組成物において、配線基板上に感光性樹脂組成物を塗布した際の密着性の点で改善の余地があることが判明した。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明は、基板上に塗布した際の密着性に優れる感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
【0009】
[1]
密着助剤と、
アルカリ可溶性樹脂と、を含み、
上記密着助剤が、以下構造式(1)で示される構造を含み、
当該構造式(1)におけるAが、以下(1a)または(1b)で示される構造を含む、感光性樹脂組成物。
【化1】
(上記構造式(1)において、Rはメチル基またはエチル基である。)
【化2】
(上記構造(1a)において、Rは炭素数が1以上5以下のアルキル鎖であり、Rは炭素数が1以上10以下のアルキル基である。)
【化3】
(上記構造(1b)において、Rは炭素数が1以上5以下のアルキル鎖である。)
[2]
上記[1]に記載の感光性樹脂組成物において、
上記アルカリ可溶性樹脂が、ポリイミド樹脂及びその前駆体、ポリベンゾオキサゾール樹脂及びその前駆体、フェノール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂からなる群より選択される1種または2種以上を含む、感光性樹脂組成物。
[3]
上記[1]または[2]に記載の感光性樹脂組成物において、
上記密着助剤の含有量が、上記アルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部とした時に、0.1質量部以上10質量部以下である、感光性樹脂組成物。
[4]
上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物において、
さらに上記密着助剤とは異なるシランカップリング剤を含む、感光性樹脂組成物。
[5]
上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物において、
さらに界面活性剤を含む、感光性樹脂組成物。
[6]
上記[5]に記載の感光性樹脂組成物において、
上記界面活性剤の含有量が、上記アルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部とした時に、0.001質量部以上0.5質量部以下である、感光性樹脂組成物。
[7]
上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物において、
さらに感光剤を含む、感光性樹脂組成物。
[8]
上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物であって、
電子デバイスにおける絶縁層の形成に用いられる、感光性樹脂組成物。
[9]
基板上に、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂膜を形成する膜形成工程と、
上記感光性樹脂膜を露光する露光工程と、
露光された上記感光性樹脂膜を現像する現像工程と、
を含む、電子デバイスの製造方法。
[10]
上記[9]に記載の電子デバイスの製造方法であって、
上記現像工程の後に、露光された上記感光性樹脂膜を加熱して硬化させる熱硬化工程を含む、電子デバイスの製造方法。
[11]
上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物の硬化膜を備える電子デバイス。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板上に塗布した際の密着性に優れる感光性樹脂組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る電子デバイスの構成の一例を示す縦断面図である。
図2図1の鎖線で囲まれた領域の部分拡大図である。
図3図1に示す電子デバイスを製造する方法を示す工程図である。
図4図1に示す電子デバイスを製造する方法を説明するための図である。
図5図1に示す電子デバイスを製造する方法を説明するための図である。
図6図1に示す電子デバイスを製造する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応しない。
【0013】
本明細書中、数値範囲の説明における「X~Y」との表記は、特に断らない限り、X以上Y以下のことを表す。例えば、「1~5質量部」とは「1質量部以上5質量部以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」「(メタ)アクリロイル基」等の類似の表記についても同様である。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
本明細書における「電子デバイス」の語は、半導体チップ、半導体素子、プリント配線基板、電気回路ディスプレイ装置、情報通信端末、発光ダイオード、物理電池、化学電池など、電子工学の技術が適用された素子、デバイス、最終製品等を包含する意味で用いられる。
【0014】
[感光性樹脂組成物]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、密着助剤と、アルカリ可溶性樹脂と、を含み、上記密着助剤が、以下構造式(1)で示される構造を含み、当該構造式(1)におけるAが、以下(1a)または(1b)で示される構造を含む。
【0015】
【化4】
【0016】
上記構造式(1)において、Rはメチル基またはエチル基である。
【0017】
【化5】
【0018】
上記構造(1a)において、Rは炭素数が1以上5以下のアルキル鎖であり、Rは炭素数が1以上10以下のアルキル基である。
【0019】
【化6】
【0020】
上記構造(1b)において、Rは炭素数が1以上5以下のアルキル鎖である。
【0021】
ここで、「炭素数が1以上5以下のアルキル鎖」とは、「-C2n-」の構造におけるnが1以上5以下の構造を指す。同様に、「炭素数が1以上10以下のアルキル基」とは、「-C2n+1」の構造におけるnが1以上10以下の構造を指す。
【0022】
電子デバイス中の硬化膜には、基板や基板上に設置される金属配線との密着性が求められるが、本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物から形成される樹脂膜は、基板との密着性が良好である。
詳細は不明であるが、密着助剤中における上記Aの構造が、基板や基板上に設置される金属配線と非結合的に相互作用するものと考えられる。このことにより、本実施形態の感光性樹脂組成物は、基板上に塗布した際の密着性をより一層向上されるものと考えられる。
【0023】
上記のような事項から、本実施形態の感光性樹脂組成物は、電子デバイスにおける絶縁層の形成に好ましく用いられる。
【0024】
本実施形態の感光性樹脂組成物が含むことができる成分や、本実施形態の感光性樹脂組成物の性状、物性などについて説明を続ける。
【0025】
<密着助剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、密着助剤を含み、上記密着助剤が、上記構造式(1)で示される構造を含み、当該構造式(1)におけるAが、上記(1a)または(1b)で示される構造を含む。上述の理由により、本実施形態の感光性樹脂組成物は、基板上に塗布した際の密着性をより一層向上されるものと考えられる。
このような密着助剤としては、例えば、信越シリコーン株式会社製のX-12-989MSなどが挙げられる。
【0026】
本実施形態における上記構造式(1)で示される構造を含み、当該構造式(1)におけるAが、上記(1a)または(1b)で示される構造を含む密着助剤の含有量の下限値は、後述のアルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部としたとき、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上、さらに好ましくは3.0質量部以上、さらに好ましくは5.0質量部以上、さらに好ましくは6.0質量部以上である。密着助剤の含有量が上記下限値以上であることにより、本実施形態の感光性樹脂組成物を基板上に塗布した際の密着性をより向上させることができる。
また、本実施形態における上記構造式(1)で示される構造を含み、当該構造式(1)におけるAが、上記(1a)または(1b)で示される構造を含む密着助剤の含有量の上限値は、後述のアルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部としたとき、好ましくは10質量部以下、より好ましくは9質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下である。密着助剤の含有量が上記上限値以下であることにより、本実施形態の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する際の塗布性をより向上させることができる。
【0027】
また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに上記構造式(1)で示される構造を含み、当該構造式(1)におけるAが、上記(1a)または(1b)で示される構造を含む密着助剤とは異なるシランカップリング剤を含むことが好ましい。上記シランカップリング剤としては、例えば、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、ビニル基含有シランカップリング剤、ウレイド基含有シランカップリング剤、スルフィド基含有シランカップリング剤、環状無水物構造を有するシランカップリング剤、などのシランカップリング剤を用いることができる。
【0028】
アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えばビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノ-プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシ基含有シランカップリング剤としては、例えばγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシジルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤としては、例えばγ-((メタ)アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-((メタ)アククリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ-((メタ)アクリロイルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプト基含有シランカップリング剤としては、例えば3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ビニル基含有シランカップリング剤としては、例えばビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ウレイド基含有シランカップリング剤としては、例えば3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
スルフィド基含有シランカップリング剤としては、例えばビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
環状無水物構造を有するシランカップリング剤としては、例えば3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシシリルプロピルコハク酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられる。これらは上記構造式(1)で示される構造を含む密着助剤に加えて単独で用いられてもよいし、2種以上のシランカップリング剤が併用されてもよい。
【0029】
本実施形態におけるシランカップリング剤としては、特に、環状無水物構造を有するシランカップリング剤が好ましく用いられる。詳細は不明だが、環状無水物構造は、アルカリ可溶性樹脂の主鎖、側鎖および/または末端と反応しやすく、そのために特に良好な密着性向上効果が得られると推測される。
【0030】
本実施形態におけるシランカップリング剤の含有量の下限値は、後述のアルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部としたとき、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上である。シランカップリング剤の含有量が上記下限値以上であることにより、本実施形態の感光性樹脂組成物を基板上に塗布した際の密着性をより向上させることができる。
また、本実施形態におけるシランカップリング剤の含有量の上限値は、後述のアルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部としたとき、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。シランカップリング剤の含有量が上記上限値以下であることにより、本実施形態の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する際の塗布性をより向上させることができる。
【0031】
また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに上記構造式(1)で示される構造を含み、当該構造式(1)におけるAが、上記(1a)または(1b)で示される構造を含む密着助剤および上記シランカップリング剤とは異なる任意の密着助剤を、本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化を阻害しない範囲で含んでもよい。
本実施形態における上記構造式(1)で示される構造を含み、当該構造式(1)におけるAが、上記(1a)または(1b)で示される構造を含む密着助剤およびシランカップリング剤を含むすべての密着助剤の含有量の合計の下限値は、後述のアルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部としたとき、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは5.0質量部以上、さらに好ましくは8.0質量部以上、さらに好ましくは10.0質量部以上である。密着助剤の含有量が上記下限値以上であることにより、本実施形態の感光性樹脂組成物を基板上に塗布した際の密着性をより向上させることができる。
また、本実施形態における上記密着助剤の含有量の合計の上限値は、後述のアルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部としたとき、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。密着助剤の含有量が上記上限値以下であることにより、本実施形態の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する際の塗布性をより向上させることができる。
【0032】
<アルカリ可溶性樹脂>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含む。
アルカリ可溶性樹脂は、感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して得られる塗膜を露光後、露光部と非露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が変化するようなものであれば特に限定されないが、水酸基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などの酸性の官能基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂がより好ましい。また、硬化性の観点からエチレン性不飽和基を有するものが好ましく、硬化性と現像性の観点からエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂がより好ましい。具体的には、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、アクリル共重合樹脂、ポリイミド樹脂及びその前駆体、ポリベンゾオキサゾール樹脂及びその前駆体、フェノール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂等が挙げられ、より具体的には、ポリイミド樹脂及びその前駆体、ポリベンゾオキサゾール樹脂及びその前駆体、フェノール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂からなる群より選択される1種または2種以上を含むことが好ましい。
【0033】
本実施形態の感光性樹脂組成物におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分中、好適には1質量部以上、より好適には5質量部以上、さらに好適には10質量部以上である。ある程度多量のアルカリ可溶性樹脂を用いることで、適度な厚さの樹脂膜を形成しやすくなる。また、アルカリ可溶性樹脂の上限値は特に限定されないが、通常は70質量部以下、好適には50質量部以下である。
【0034】
本実施形態の感光性樹脂組成物におけるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量の下限値は、好ましくは10000以上、より好ましくは12000以上、さらに好ましくは15000以上である。アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が上記下限値以上であることにより、感光性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂膜について、基板との好適な密着性に加えて、十分な耐薬品性が得られるほか、さらに十分な耐熱性も得ることができる。
また、アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量の上限値は、好ましくは100000以下、より好ましくは75000以下、さらに好ましくは50000以下である。アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が上記上限値以下であることにより、感光性樹脂組成物の流動性が向上し、塗布性および塗布時の平坦性が向上する。
重量平均分子量は、通常、ポリスチレンを標準物質として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めることができる。
【0035】
このようなアルカリ可溶性樹脂は以下の(製造例)にて示す方法で製造することができる。
(製造例)
下記式(PA1)で表される構造単位を含むポリアミド樹脂を、例えば、150~380℃以下の温度で、30分間~50時間の条件で熱処理されることによって、脱水閉環する。ここで、下記式(PA1)の構造単位は、脱水閉環によって、下記式(PBO1)で示される構造単位となる。
【0036】
【化7】
【0037】
【化8】
【0038】
<その他の成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上述した密着助剤およびアルカリ可溶性樹脂以外の成分を任意で含有することができる。
【0039】
(溶解促進剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、好ましくは、溶解促進剤を含む。
溶解促進剤は、典型的には、アルカリ可溶性基を1つ以上有する低分子化合物である。なお、ここでの「低分子化合物」とは、例えば分子量1000以下、好ましくは分子量750以下、より好ましくは分子量500以下である化合物のことをいう。分子量の下限は特にないが、典型的には50以上である。
感光性樹脂組成物が溶解促進剤を含むことで、本実施形態の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する際の塗布性をより向上させることができる。
【0040】
溶解促進剤が有するアルカリ可溶性基としてはカルボキシル基等であってもよいが、アルカリ現像液との親和性の観点からフェノール性水酸基であることが好ましい。また、溶解促進剤一分子中のアルカリ可溶性基の数は、本実施形態の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する際の塗布性の点から、1~6個であることが好ましい。
つまり、溶解促進剤としては、一分子中に1~6個のフェノール性水酸基を有する化合物が特に好ましい。
【0041】
溶解促進剤の例としては、例えば、以下が挙げられる。
4-エチルレソルシノール、2-プロピルレソルシノール、4-ブチルレソルシノール、4-ヘキシルレソルシノール、2-ヒドロキシ安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'-ジヒドロキシジフェニルジスルフィド、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2'-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2'-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビフェノール、2,2'-メチレンビスフェノール、4,4'-(1,3-ジメチルブチリデン)ジフェノール、4,4'-(2-エチルヘキシリデン)ジフェノール、4,4'-エチリデンビスフェノール、2,2'-エチレンジオキシジフェノール、3,3'-エチレンジオキシジフェノール、ビフェニル-2,3',4,5',6-ペンタオール(フロログルシド)、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)プロピオネート]、1,5-ビス(o-ヒドロキシフェノキシ)-3-オキサペンタン、ビスフェノールA、ビスフェノールF等。
【0042】
組成物が溶解促進剤を含む場合、溶解促進剤の含有量の下限値は、アルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部としたときに、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上である。溶解促進剤の含有量の下限値が上記下限値以上であることにより、本実施形態の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する際の塗布性をより向上させることができる。
また、上記溶解促進剤の含有量の上限値は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。溶解促進剤の含有量の上限値が上記上限値以下であることにより、本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化性をより向上させることができる。
溶解促進剤を用いる場合は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
(界面活性剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤を含むことにより、感光性樹脂組成物の塗布性や、感光性樹脂組成物により形成される樹脂膜の平坦性が一層高められる。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アルキル系界面活性剤、アクリル系界面活性剤などが挙げられる。
別観点として、界面活性剤は、非イオン性であることが好ましい。非イオン性の界面活性剤の使用は、例えば、組成物中の他成分との非意図的な反応を抑え、組成物の保存安定性を高める点で好ましい。
【0044】
界面活性剤は、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含む界面活性剤を含むことが好ましい。これにより、均一な樹脂膜を得られること(塗布性の向上)や、現像性の向上に加え、接着強度の向上にも寄与する。このような界面活性剤としては、例えば、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含むノニオン系界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤として使用可能な市販品としては、例えば、DIC株式会社製の「メガファック(登録商標)」シリーズの、F-251、F-253、F-281、F-430、F-477、F-551、F-552、F-553、F-554、F-555、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-562、F-563、F-565、F-568、F-569、F-570、F-572、F-574、F-575、F-576、R-40、R-40-LM、R-41、R-94等のフッ素を含有するオリゴマー構造の界面活性剤、株式会社ネオス製のフタージェント250、フタージェント251等のフッ素含有ノニオン系界面活性剤、ワッカー・ケミー社製のSILFOAM(登録商標)シリーズ(例えばSD 100 TS、SD 670、SD 850、SD 860、SD 882)等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
また、スリーエム社製のFC4430やFC4432なども、好ましい界面活性剤として挙げることができる。
【0045】
界面活性剤が用いられる場合、単独で用いられてもよいし、2種以上の界面活性剤を併用してもよい。
【0046】
本実施形態の感光性樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量の下限値は、アルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部としたとき、好ましくは0.001質量部以上であり、より好ましくは0.003質量部以上であり、さらに好ましくは0.005質量部以上である。界面活性剤の含有量の下限値が上記下限値以上であることにより、感光性樹脂組成物により形成される樹脂膜の平坦性が一層高められるほか、基板との密着性を向上させることができる。
また、界面活性剤の含有量の上限値は、アルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部としたとき、好ましくは0.5質量部以下であり、より好ましくは0.3質量部以下であり、さらに好ましくは0.1質量部以下である。界面活性剤の含有量の上限値が上記上限値以下であることにより、感光性樹脂組成物の塗布性を向上させることができる。
界面活性剤の含有量としては、例えば0.001~0.5質量部、好ましくは0.005~0.3質量部である。
【0047】
(感光剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに感光剤を含むことが好ましい。
感光剤は、光により活性種を発生して感光性樹脂組成物を硬化させることが可能なものである限り、特に限定されない。
【0048】
用いることができる感光剤は特に限定されず、公知のものを適宜用いることができる。
例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシー2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-〔(4-メチルフェニル)メチル〕-1-〔4-(4-モルホリニル)フェニル〕-1-ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;ベンゾフェノン、4,4′-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ等のベンゾイン系化合物;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカルボキニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロメチル化トリアジン系化合物;2-トリクロロメチル-5-(2′-ベンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2′-ベンゾフリル)ビニル〕-1,3,4-オキサジアゾール、4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-フリル-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール系化合物;2,2′-ビス(2-クロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール、2,2′-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール、2,2′-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル〕-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステル等のナフトキノン系化合物;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;p-ジメチルアミノ安息香酸、p-ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;9-フェニルアクリジン等のアクリジン系化合物;等を挙げることができる。これらの中でも、特にナフトキノン系化合物を好ましく用いることができる。
【0049】
感光剤を用いる場合、1のみの感光剤を用いてもよいし、2以上の感光剤を用いてもよい。
感光剤の含有量の下限値は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは5質量部以上であり、さらに好ましくは10質量部以上であり、さらに好ましくは15質量部以上である。感光剤の含有量の下限値が上記下限値以上であることにより、感光性樹脂組成物の硬化性が向上する。
また、感光剤の含有量の上限値は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは25質量部以下であり、さらに好ましくは20質量部以下である。感光剤の含有量の上限値が上記上限値以下であることにより、感光性樹脂組成物の硬化性が向上する。
【0050】
(エポキシ樹脂)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記アルカリ可溶性樹脂とは異なるエポキシ樹脂を含んでもよい。エポキシ樹脂は、アルカリ可溶性樹脂と結合を形成すると考えられ、このようにして形成された結合により、感光性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂膜の機械物性(引張り伸びなど)を高めることが可能である。
【0051】
エポキシ樹脂の具体例としては、以下を挙げることができる。もちろん、エポキシ樹脂はこれらのみに限定されない。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4'-(1,3-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4'-(1,4-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4'-シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタン型ノボラック型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂などのアラルキル型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2~4官能エポキシ型ナフタレン樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂などのナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ樹脂;N,N,N',N'-テトラグリシジルメタキシレンジアミン、N,N,N',N'-テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン、N,N-ジグリシジルアニリンなどのグリシジルアミン類や、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物との共重合物;ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂;ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物;ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物;フェノール類のグリシジルエーテル化物など。
【0052】
エポキシ樹脂を添加剤として用いる場合、その量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、例えば0.5~100質量部、好ましくは1~50質量部、さらに好ましくは3~20質量部である。
【0053】
添加剤としてエポキシ樹脂を用いる場合、1のみのエポキシ樹脂を用いてもよいし、2以上のエポキシ樹脂を併用してもよい。
【0054】
(硬化触媒)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、硬化触媒を含んでもよい。
感光性樹脂組成物が添加剤としてエポキシ樹脂を含有する場合、硬化触媒を用いることにより、エポキシ樹脂の重合反応が促進され、例えば感光性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂膜の引張り伸び率を一層向上させることができる。
【0055】
硬化触媒としては、エポキシ樹脂の硬化触媒(しばしば、硬化促進剤とも呼ばれる)として知られている化合物を挙げることができる。例えば、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7等のジアザビシクロアルケンおよびその誘導体;トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等のアミン系化合物;2-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ安息香酸ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイックアシッドボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイルオキシボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフチルオキシボレート、テトラフェニルホスホニウム・4,4'-スルフォニルジフェノラート等のテトラ置換ホスホニウム塩;ベンゾキノンをアダクトしたトリフェニルホスフィン等が挙げられる。なかでも、有機ホスフィン類が好ましく挙げられる。
【0056】
硬化触媒を用いる場合、その量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、例えば1~80質量部、好ましくは5~50質量部、より好ましくは5~30質量部である。
【0057】
(溶剤/組成物の性状)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、好ましくは溶剤を含む。これにより、基材(特に、段差を有する基材)に対して塗布法により感光性樹脂膜を容易に形成することができる。
溶剤は、通常、有機溶剤を含む。上述の各成分を溶解または分散可能で、かつ、各構成成分と実質的に化学反応しないものである限り、有機溶剤は特に限定されない。
【0058】
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロプレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数組み合わせて用いてもよい。
【0059】
本実施形態の感光性樹脂組成物が溶剤を含む場合、本実施形態の感光性樹脂組成物は、通常、ワニス状である。本実施形態の感光性樹脂組成物がワニス状であることにより、塗布による均一な膜形成を行うことができる。また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、ワニス状であり且つ少なくとも耐熱性樹脂(A)が溶剤に溶解していることが好ましい。
【0060】
溶剤を用いる場合は、感光性樹脂組成物中の全固形分(不揮発成分)の濃度が、好ましくは10~50質量部、より好ましくは20~45質量部となるように用いられる。この範囲とすることで、各成分を十分に溶解または分散させることができる。また、良好な塗布性を担保することができ、ひいてはスピンコート時の平坦性の良化にもつながる。さらに、不揮発成分の含有量を調整することにより、感光性樹脂組成物の粘度を適切に制御できる。
【0061】
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記の成分に加えて、必要に応じて、上掲の成分以外の成分を含んでもよい。そのような成分としては、例えば、酸化防止剤、シリカ等の充填材、増感剤、フィルム化剤等が挙げられる。
【0062】
<電子デバイスの製造方法、電子デバイス>
本実施形態の電子デバイスの製造方法は、
基板上に、上述の感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂膜を形成する膜形成工程と、
感光性樹脂膜を露光する露光工程と、
露光された感光性樹脂膜を現像する現像工程と、
を含む。
また、本実施形態の電子デバイスの製造方法は、上述の現像工程の後に、露光された感光性樹脂膜を加熱して硬化させる熱硬化工程を含むことが好ましい。これにより、耐熱性が十二分な硬化膜を得ることができる。
以上のようにして、本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化膜を備える電子デバイスを製造することができる。
【0063】
本実施形態の電子デバイスの製造方法や、本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物を備える電子デバイスの構造などについて、以下、図面を交えつつより詳細に説明する。
【0064】
図1は、本実施形態の電子デバイスの一例を示す縦断面図である。また、図2は、図1の鎖線で囲まれた領域の部分拡大図である。
以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0065】
図1に示す電子デバイス1は、貫通電極基板2と、その上に実装された半導体パッケージ3と、を備えた、いわゆるパッケージオンパッケージ構造を有する。
【0066】
貫通電極基板2は、絶縁層21と、絶縁層21の上面から下面を貫通する複数の貫通配線221と、絶縁層21の内部に埋め込まれた半導体チップ23と、絶縁層21の下面に設けられた下層配線層24と、絶縁層21の上面に設けられた上層配線層25と、下層配線層24の下面に設けられた半田バンプ26と、を備えている。
【0067】
半導体パッケージ3は、パッケージ基板31と、パッケージ基板31上に実装された半導体チップ32と、半導体チップ32とパッケージ基板31とを電気的に接続するボンディングワイヤー33と、半導体チップ32やボンディングワイヤー33が埋め込まれた封止層34と、パッケージ基板31の下面に設けられた半田バンプ35と、を備えている。
【0068】
そして、貫通電極基板2上に半導体パッケージ3が積層されている。これにより、半導体パッケージ3の半田バンプ35と、貫通電極基板2の上層配線層25と、が電気的に接続されている。
【0069】
このような電子デバイス1では、貫通電極基板2においてコア層を含む有機基板のような厚い基板を用いる必要がないため、低背化を容易に図ることができる。このため、電子デバイス1を内蔵する電子機器の小型化にも貢献することができる。
【0070】
また、互いに異なる半導体チップを備えた貫通電極基板2と半導体パッケージ3とを積層しているため、単位面積当たりの実装密度を高めることができる。このため、小型化と高性能化との両立を図ることができる。
【0071】
以下、貫通電極基板2および半導体パッケージ3についてさらに詳述する。
図2に示す貫通電極基板2が備える下層配線層24および上層配線層25は、それぞれ絶縁層、配線層および貫通配線等を含んでいる。これにより、下層配線層24および上層配線層25は、内部や表面に配線を含むとともに、絶縁層21を貫通する貫通配線221を介して相互の電気的接続が図られる。
【0072】
下層配線層24に含まれる配線層は、半導体チップ23や半田バンプ26と接続されている。このため、下層配線層24は半導体チップ23の再配線層として機能するとともに、半田バンプ26は半導体チップ23の外部端子として機能する。
【0073】
図2に示す貫通配線221は、前述したように、絶縁層21を貫通するように設けられている。これにより、下層配線層24と上層配線層25との間が電気的に接続され、貫通電極基板2と半導体パッケージ3との積層が可能になるため、電子デバイス1の高機能化を図ることができる。
【0074】
図2に示す上層配線層25に含まれる配線層253は、貫通配線221や半田バンプ35と接続されている。このため、上層配線層25は、半導体チップ23と電気的に接続されることとなり、半導体チップ23の再配線層として機能するとともに、半導体チップ23とパッケージ基板31との間に介在するインターポーザーとしても機能する。本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化膜を、再配線層の絶縁層を構成するために用いることができる。
【0075】
本実施形態によれば、半導体チップ23と、半導体チップ23の表面上に設けられた再配線層(上層配線層25)と、を備え、再配線層中の絶縁層が、本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物で構成される、電子デバイスを実現できる。
【0076】
また、図1に示す電子デバイス1は、貫通配線221の他に、半導体チップ23の上面に位置する絶縁層21を貫通するように設けられた貫通配線222も備えている。これにより、半導体チップ23の上面と上層配線層25との電気的接続を図ることができる。
【0077】
絶縁層21は、半導体チップ23を覆うように設けられている。これにより、半導体チップ23を保護する効果が高められる。その結果、電子デバイス1の信頼性を高めることができる。また、本実施形態に係るパッケージオンパッケージ構造のような実装方式にも容易に適用可能な電子デバイス1が得られる。
【0078】
貫通配線221の直径W(図2参照)は、特に限定されないが、1~100μm程度であるのが好ましく、2~80μm程度であるのがより好ましい。これにより、絶縁層21の機械的特性を損なうことなく、貫通配線221の導電性を確保することができる。
【0079】
図1に示す半導体パッケージ3は、いかなる形態のパッケージであってもよい。例えば、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded Package)、SON(Small Outline Non-leaded Package)、LF-BGA(Lead Flame BGA)等の形態が挙げられる。
【0080】
半導体チップ32の配置は、特に限定されないが、一例として図1では複数の半導体チップ32が積層されている。これにより、実装密度の高密度化が図られている。なお、複数の半導体チップ32は、平面方向に併設されていてもよく、厚さ方向に積層されつつ平面方向にも併設されていてもよい。
【0081】
パッケージ基板31は、いかなる基板であってもよいが、例えば図示しない絶縁層、配線層および貫通配線等を含む基板とされる。このうち、貫通配線を介して半田バンプ35とボンディングワイヤー33とを電気的に接続することができる。
【0082】
封止層34は、例えば公知の封止樹脂材料で構成されている。このような封止層34を設けることにより、半導体チップ32やボンディングワイヤー33を外力や外部環境から保護することができる。
【0083】
貫通電極基板2が備える半導体チップ23と半導体パッケージ3が備える半導体チップ32は、互いに近接して配置されることになる。これにより、相互通信の高速化や低損失化等のメリットを享受することができる。かかる観点から、例えば、半導体チップ23と半導体チップ32のうち、一方をCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、AP(Application Processor)等の演算素子とし、他方をDRAM(Dynamic Random Access Memory)やフラッシュメモリー等の記憶素子等にすれば、同一装置内においてこれらの素子同士を近接して配置することができる。これにより、高機能化と小型化とを両立した電子デバイス1を実現することができる。
【0084】
次に、図1に示す電子デバイス1を製造する方法について説明する。
【0085】
図3は、図1に示す電子デバイス1を製造する方法を示す工程図である。また、図4図6は、それぞれ図1に示す電子デバイス1を製造する方法を説明するための図である。
【0086】
電子デバイス1の製造方法は、基板202上に設けられた半導体チップ23および貫通配線221、222を埋め込むように絶縁層21を得るチップ配置工程S1と、絶縁層21上および半導体チップ23上に上層配線層25を形成する上層配線層形成工程S2と、基板202を剥離する基板剥離工程S3と、下層配線層24を形成する下層配線層形成工程S4と、半田バンプ26を形成し、貫通電極基板2を得る半田バンプ形成工程S5と、貫通電極基板2上に半導体パッケージ3を積層する積層工程S6と、を有する。
【0087】
このうち、上層配線層形成工程S2は、絶縁層21上および半導体チップ23上に感光性樹脂ワニス5(ワニス状の感光性樹脂組成物)を配置し、感光性樹脂層2510を得る第1樹脂膜配置工程S20と、感光性樹脂層2510に露光処理を施す第1露光工程S21と、感光性樹脂層2510に現像処理を施す第1現像工程S22と、感光性樹脂層2510に硬化処理を施す第1硬化工程S23と、配線層253を形成する配線層形成工程S24と、感光性樹脂層2510および配線層253上に感光性樹脂ワニス5を配置し、感光性樹脂層2520を得る第2樹脂膜配置工程S25と、感光性樹脂層2520に露光処理を施す第2露光工程S26と、感光性樹脂層2520に現像処理を施す第2現像工程S27と、感光性樹脂層2520に硬化処理を施す第2硬化工程S28と、開口部424(貫通孔)に貫通配線254を形成する貫通配線形成工程S29と、を含む。
【0088】
以下、各工程について順次説明する。以下の製造方法は一例であり、これに限定されるものではない。
【0089】
[1]チップ配置工程S1
まず、図4(a)に示すように、基板202と、基板202上に設けられた半導体チップ23および貫通配線221、222と、これらを埋め込むように設けられた絶縁層21と、を備えるチップ埋込構造体27を用意する。
【0090】
基板202の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、金属材料、ガラス材料、セラミック材料、半導体材料、有機材料等が挙げられる。また、基板202には、シリコンウェハのような半導体ウエハー、ガラスウエハー等を用いるようにしてもよい。
【0091】
半導体チップ23は、基板202上に接着されている。本製造方法では、一例として、複数の半導体チップ23を互いに離間させつつ同一の基板202上に併設する。複数の半導体チップ23は、互いに同じ種類のものであってもよいし、互いに異なる種類のものであってもよい。また、ダイアタッチフィルムのような接着剤層(図示せず)を介して基板202と半導体チップ23との間を固定するようにしてもよい。
【0092】
必要に応じて、基板202と半導体チップ23との間にインターポーザー(図示せず)を設けるようにしてもよい。インターポーザーは、例えば半導体チップ23の再配線層として機能する。したがって、インターポーザーは、後述する半導体チップ23の電極と電気的に接続させるための図示しないパッドを備えていてもよい。これにより、半導体チップ23のパッド間隔や配列パターンを変換することができ、電子デバイス1の設計自由度をより高めることができる。
インターポーザーには、例えば、シリコン基板、セラミック基板、ガラス基板のような無機系基板、樹脂基板のような有機系基板等が用いられる。
【0093】
絶縁層21は、例えば感光性樹脂組成物の成分として挙げたような熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を含む樹脂膜(有機絶縁層)であってもよく、半導体の技術分野で用いる通常の封止材であってもよい。
【0094】
貫通配線221、222の構成材料としては、例えば銅または銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金、金または金合金、銀または銀合金、ニッケルまたはニッケル合金等が挙げられる。
【0095】
なお、上記とは異なる方法で作製したチップ埋込構造体27を用意するようにしてもよい。
【0096】
[2]上層配線層形成工程S2
次に、絶縁層21上および半導体チップ23上に、上層配線層25を形成する。
【0097】
[2-1]第1樹脂膜配置工程S20
まず、図4(b)に示すように、絶縁層21上および半導体チップ23上に感光性樹脂ワニス5を塗布する(配置する)。これにより、図4(c)に示すように、感光性樹脂ワニス5の液状被膜が得られる。感光性樹脂ワニス5は、本実施形態の感光性樹脂組成物である。
【0098】
感光性樹脂ワニス5の塗布は、例えば、スピンコーター、バーコーター、スプレー装置、インクジェット装置等を用いて行われる。
【0099】
感光性樹脂ワニス5の粘度は、特に限定されないが、10cP~6000cP、好ましくは20cP~5000cP、より好ましくは30cP~4000cPである。感光性樹脂ワニス5の粘度が上記範囲内であることにより、より薄い感光性樹脂層2510(図4(d)参照)を形成することができる。その結果、上層配線層25をより薄くすることができ、電子デバイス1の薄型化が容易になる。
感光性樹脂ワニス5の粘度は、例えば、コーンプレート型粘度計(TV-25、東機産業製)を用い、回転速度100rpmの条件で測定された値とされる。
【0100】
次に、感光性樹脂ワニス5の液状被膜を乾燥させる。これにより、図4(d)に示す感光性樹脂層2510を得る。
【0101】
感光性樹脂ワニス5の乾燥条件は、特に限定されないが、例えば80~150℃の温度で、1~60分間加熱する条件が挙げられる。
【0102】
本工程では、感光性樹脂ワニス5を塗布するプロセスに代えて、感光性樹脂ワニス5をフィルム化してなる感光性樹脂フィルムを配置するプロセスを採用するようにしてもよい。感光性樹脂フィルムは、本実施形態の感光性樹脂組成物であって、感光性を有する樹脂フィルムである。
【0103】
感光性樹脂フィルムは、例えば感光性樹脂ワニス5を各種塗布装置によってキャリアーフィルム等の下地上に塗布し、その後、得られた塗膜を乾燥させることによって製造される。
【0104】
このようにして感光性樹脂層2510を形成した後、必要に応じて、感光性樹脂層2510に対して露光前加熱処理を施す。露光前加熱処理を施すことにより、感光性樹脂層2510に含まれる分子が安定化して、後述する第1露光工程S21における反応の安定化を図ることができる。また、その一方、後述するような加熱条件で加熱されることで、加熱による光酸発生剤への悪影響を最小限に留めることができる。
【0105】
露光前加熱処理の温度は、好ましくは70~130℃、より好ましくは75~120℃、さらに好ましくは80~110℃である。露光前加熱処理の温度が上記下限値を下回ると、露光前加熱処理による分子の安定化という目的が果たされないおそれがある。一方、露光前加熱処理の温度が上記上限値を上回ると、光酸発生剤の動きが活発になりすぎ、後述する第1露光工程S21において光が照射されても酸が発生しにくくなるという影響が広範囲化してパターニングの加工精度が低下するおそれがある。
【0106】
露光前加熱処理の時間は、露光前加熱処理の温度に応じて適宜設定されるが、上記温度において好ましくは1~10分間とされ、より好ましくは2~8分間とされ、さらに好ましくは3~6分間とされる。露光前加熱処理の時間が上記下限値を下回ると、加熱時間が不足するため、露光前加熱処理による分子の安定化という目的が果たされないおそれがある。一方、露光前加熱処理の時間が上記上限値を上回ると、加熱時間が長すぎるため、露光前加熱処理の温度が上記範囲内に収まっていたとしても、光酸発生剤の作用が阻害されてしまうおそれがある。
【0107】
加熱処理の雰囲気は、特に限定されない。不活性ガス雰囲気や還元性ガス雰囲気等であってもよいが、作業効率等を考慮すれば大気下とされる。
【0108】
雰囲気圧力は、特に限定されない。減圧下や加圧下であってもよいが、作業効率等を考慮すれば常圧とされる。なお、常圧とは、30~150kPa程度の圧力のことをいい、好ましくは大気圧である。
【0109】
[2-2]第1露光工程S21
次に、感光性樹脂層2510に露光処理を施す。
【0110】
まず、図4(d)に示すように、感光性樹脂層2510上の所定の領域にマスク412を配置する。そして、マスク412を介して光(活性放射線)を照射する。これにより、マスク412のパターンに応じて感光性樹脂層2510に露光処理が施される。
【0111】
図4(d)では、感光性樹脂層2510がいわゆるネガ型の感光性を有している場合を図示している。この例では、感光性樹脂層2510のうち、マスク412の遮光部に対応する領域は、現像液に溶解する。
【0112】
一方、マスク412の透過部に対応する領域では、感光性樹脂組成物から活性化学種が発生する。活性化学種は、硬化反応の触媒として作用する。
【0113】
露光処理における露光量は、特に限定されない。100~2000mJ/cmが好ましく、200~1000mJ/cmがより好ましい。これにより、感光性樹脂層2510における露光不足および露光過剰を抑制することができる。その結果、最終的に高いパターニング精度を実現することができる。
その後、必要に応じて、感光性樹脂層2510に露光後加熱処理を施す。
【0114】
露光後加熱処理の温度は、特に限定されない。好ましくは50~150℃、より好ましくは50~130℃、さらに好ましくは55~120℃、特に好ましくは60~110℃とされる。このような温度で露光後加熱処理を施すことにより、発生した酸の触媒作用が十分に増強され、熱硬化性樹脂をより短時間でかつ十分に反応させることができる。温度を上記範囲内とすることにより、酸拡散の促進によるパターニングの加工精度の低下を抑制できる。
露光後加熱処理の温度を上記下限値以上とすることにより、熱硬化性樹脂の反応率を高められ、生産性を高めることができる。一方、露光後加熱処理の温度を上記上限値以下とすることにより、酸拡散の促進によるパターニングの加工精度の低下を抑制できる。
【0115】
露光後加熱処理の時間は、露光後加熱処理の温度に応じて適宜設定される。上記温度において、好ましくは1~30分間、より好ましくは2~20分間、さらに好ましくは3~15分間とされる。このような時間で露光後加熱処理を施すことにより、熱硬化性樹脂を十分に反応させることができるとともに、酸の拡散を抑えてパターニングの加工精度が低下するのを抑制することができる。
【0116】
露光後加熱処理の雰囲気は、特に限定されない。不活性ガス雰囲気や還元性ガス雰囲気等であってもよいが、作業効率等を考慮すれば大気下とされる。
【0117】
露光後加熱処理の雰囲気圧力は、特に限定されない。減圧下や加圧下であってもよいが、作業効率等を考慮すれば常圧とされる。これにより、比較的容易に露光前加熱処理を施すことができる。なお、常圧とは、30~150kPa程度の圧力のことをいい、好ましくは大気圧である。
【0118】
[2-3]第1現像工程S22
次に、感光性樹脂層2510に現像処理を施す。これにより、マスク412の遮光部に対応した領域に、感光性樹脂層2510を貫通する開口部423が形成される(図5(e)参照)。
【0119】
現像液としては、例えば、有機系現像液、水溶性現像液等が挙げられる。本実施形態においては、現像液は、有機溶剤を含有することが好ましい。より具体的には、現像液は、有機溶剤を主成分とする現像液(成分の95質量%以上が有機溶剤である現像液)であることが好ましい。有機溶剤を含有する現像液で現像することにより、アルカリ現像液(水系)で現像する場合よりも、現像液によるパターンの膨潤を抑えること等が可能になる。つまり、よりファインなパターンを得やすい。
【0120】
現像液に使用可能な有機溶剤として具体的には、シクロペンタノンなどのケトン系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)や酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤、等が挙げられる。
現像液としては、有機溶剤のみからなり、不可避的に含まれる不純物以外は含まない有機溶剤現像液を使用してもよい。不可避的に含まれる不純物としては、金属元素や水分があるが、電子デバイスの汚染防止などの観点からは不可避的に含まれる不純物は少ないに越したことは無い。
【0121】
現像液を感光性樹脂層2510に接触させる方法は特に限定されない。一般的に知られている、浸漬法、パドル法、スプレー法などを適宜適用することができる。
【0122】
現像工程の時間は、通常5~300秒程度、好ましくは10~120秒程度の範囲で、樹脂膜の膜厚や形成されるパターンの形状などに基づき適宜調整される。
【0123】
[2-4]第1硬化工程S23
現像処理の後、感光性樹脂層2510に対して硬化処理(現像後加熱処理)を施す。硬化処理の条件は、特に限定されないが、160~250℃程度の加熱温度で、30~240分程度の加熱時間とされる。これにより、半導体チップ23に対する熱影響を抑えつつ、感光性樹脂層2510を硬化させ、有機絶縁層251を得ることができる。
【0124】
[2-5]配線層形成工程S24
次に、有機絶縁層251上に配線層253を形成する(図5(f)参照)。配線層253は、例えばスパッタリング法、真空蒸着法等の気相成膜法を用いて金属層を得た後、フォトリソグラフィー法およびエッチング法によりパターニングされることによって形成される。
配線層253の形成に先立ち、プラズマ処理のような表面改質処理を施すようにしてもよい。
【0125】
[2-6]第2樹脂膜配置工程S25
次に、図5(g)に示すように、第1樹脂膜配置工程S20と同様にして感光性樹脂層2520を得る。感光性樹脂層2520は、配線層253を覆うように配置される。
その後、必要に応じて、感光性樹脂層2520に対して露光前加熱処理を施す。処理条件は、例えば第1樹脂膜配置工程S20で記載した条件とされる。
【0126】
[2-7]第2露光工程S26
次に、感光性樹脂層2520に露光処理を施す。処理条件は、例えば第1露光工程S21で記載した条件とされる。
その後、必要に応じて、感光性樹脂層2520に対して露光後加熱処理を施す。処理条件は、例えば第1露光工程S21で記載した条件とされる。
【0127】
[2-8]第2現像工程S27
次に、感光性樹脂層2520に現像処理を施す。処理条件は、例えば第1現像工程S22で記載した条件とされる。これにより、感光性樹脂層2510、2520を貫通する開口部424が形成される(図5(h)参照)。
【0128】
[2-9]第2硬化工程S28
現像処理の後、感光性樹脂層2520に対して硬化処理(現像後加熱処理)を施す。硬化条件は、例えば第1硬化工程S23で記載した条件とされる。これにより、感光性樹脂層2520を硬化させ、有機絶縁層252を得る(図6(i)参照)。
【0129】
本実施形態では、上層配線層25が有機絶縁層251と有機絶縁層252の2層を有しているが、3層以上を有していてもよい。この場合、第2硬化工程S28の後、配線層形成工程S24から第2硬化工程S28までの一連の工程を繰り返し追加するようにすればよい。
【0130】
[2-10]貫通配線形成工程S29
次に、開口部424に対し、図6(i)に示す貫通配線254を形成する。
【0131】
貫通配線254の形成には、公知の方法が用いられるが、例えば以下の方法が用いられる。
【0132】
まず、有機絶縁層252上に、図示しないシード層を形成する。シード層は、開口部424の内面(側面および底面)とともに、有機絶縁層252の上面に形成される。
シード層としては、例えば、銅シード層が用いられる。また、シード層は、例えばスパッタリング法により形成される。
シード層は、形成しようとする貫通配線254と同種の金属で構成されていてもよいし、異種の金属で構成されていてもよい。
【0133】
次いで、図示しないシード層のうち、開口部424以外の領域上に図示しないレジスト層を形成する。そして、このレジスト層をマスクとして、開口部424内に金属を充填する。この充填には、例えば電解めっき法が用いられる。充填される金属としては、例えば銅または銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金、金または金合金、銀または銀合金、ニッケルまたはニッケル合金等が挙げられる。このようにして開口部424内に導電性材料が埋設され、貫通配線254が形成される。
【0134】
次いで、図示しないレジスト層を除去する。さらに、有機絶縁層252上の図示しないシード層を除去する。これには、例えばフラッシュエッチング法を用いることができる。
貫通配線254の形成箇所は、図示の位置に限定されない。
【0135】
[3]基板剥離工程S3
次に、図6(j)に示すように、基板202を剥離する。これにより、絶縁層21の下面が露出することとなる。
【0136】
[4]下層配線層形成工程S4
次に、図6(k)に示すように、絶縁層21の下面側に下層配線層24を形成する。下層配線層24は、いかなる方法で形成されてもよく、例えば上述した上層配線層形成工程S2と同様にして形成されてもよい。
このようにして形成された下層配線層24は、貫通配線221を介して上層配線層25と電気的に接続される。
【0137】
[5]半田バンプ形成工程S5
次に、図6(l)に示すように、下層配線層24に半田バンプ26を形成する。また、上層配線層25や下層配線層24には、必要に応じてソルダーレジスト層のような保護膜を形成するようにしてもよい。
以上のようにして、貫通電極基板2が得られる。
【0138】
図6(l)に示す貫通電極基板2は、複数の領域に分割可能になっている。したがって、例えば図6(l)に示す一点鎖線に沿って貫通電極基板2を個片化することにより、複数の貫通電極基板2を効率よく製造することができる。なお、個片化には、例えばダイヤモンドカッター等を用いることができる。
【0139】
[6]積層工程S6
次に、個片化した貫通電極基板2上に半導体パッケージ3を配置する。これにより、図1に示す電子デバイス1が得られる。
【0140】
以上のようにして、本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化膜を備える電子デバイスが得られる。
【0141】
このような電子デバイス1の製造方法は、大面積の基板を用いたウエハーレベルプロセスやパネルレベルプロセスに適用することが可能である。これにより、電子デバイス1の製造効率を高め、低コスト化を図ることができる。
【0142】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例0143】
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。念のため述べておくと、本発明は実施例のみに限定されない。
【0144】
[感光性樹脂組成物の調製]
後掲の表1に従い各原料を配合し、室温下で原料が完全に溶解するまで撹拌し、溶液を得た。その後、その溶液を孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルターで濾過した。このようにして、ワニス状の感光性樹脂組成物を得た。
【0145】
表1における各成分の原料の詳細は下記のとおりである。
【0146】
<アルカリ可溶性樹脂>
(A-1)上記(製造例)に従って調製した、以下式(PB01)で表される構造単位を含むポリベンゾオキサゾール樹脂
【0147】
【化9】
【0148】
<溶解促進剤>
(B-1)フロログルシド
(B-2)チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)プロピオネート](BASFジャパン株式会社製、製品名:IRGANOX1035)
(B-3)2,2'-メチレンビスフェノール(本州化学工業株式会社製、製品名:o,o'-BPF)
【0149】
<密着助剤>
(C-1)3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤、信越シリコーン株式会社製、製品名:KBM-503)
(C-2)キレート官能型シランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製、製品名:X-12-989MS、以下式(A)の化合物)
【0150】
【化10】
【0151】
(C-3)以下化学式(B)で表される、カルボキシ基を有する密着助剤を、以下の通り作製した。
滴下ロートおよび攪拌装置を備えた丸底フラスコに、無水マレイン酸210gとメチルセロソルブ644gを仕込んだ。その後、この丸底フラスコに、滴下ロートよりアミノプロピルトリエトキシシラン360gを20℃でゆっくり滴下したのち、さらに20℃で3時間攪拌した。
【0152】
【化11】
【0153】
(C-4)以下化学式(C)で表される、カルボキシ基を有する密着助剤を、以下の通り作製した。
滴下ロートおよび攪拌装置を備えた丸底フラスコに、3,3'-4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物322gとメチルセロソルブ644gを仕込んだ。その後、この丸底フラスコに、滴下ロートよりアミノプロピルトリエトキシシラン360gを20℃でゆっくり滴下したのち、さらに20℃で5時間攪拌した。
【0154】
【化12】
【0155】
<感光剤>
(D-1)ナフトキノン系感光剤(東洋合成工業株式会社製、製品名:Tek-300)
【0156】
<界面活性剤>
(E-1)FC4432(3M社製、フッ素系界面活性剤)
【0157】
[評価]
各実施例および比較例の感光性樹脂組成物について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0158】
<密着性>
(構造体の作製)
各実施例および各比較例の感光性樹脂組成物を12インチのシリコンウェハ上に乾燥後の膜厚が10μmとなるようにスピンコートにて塗布し、続いて120℃で4分間のプリベーク処理を行った。その後、窒素雰囲気下、320℃、30分の条件で熱処理して硬化させることにより、感光性樹脂組成物の硬化物からなる樹脂膜を得た。次に、得られた上記樹脂膜に対して、カッターを用いて、縦横に1mm間隔で11個ずつ切れこみを入れた。このようにして、100個の独立した樹脂膜を有する作製直後の構造体を得た。
【0159】
また、同様の手法にて100個の独立した樹脂膜を有する構造体をさらに2サンプル得た。このうち1サンプルについては以下の処理を行った。
得られた構造体に対して、プレッシャークッカーテスター装置を用いて、125℃、相対湿度100%、24時間の処理(プレッシャークッカー処理)を行なった。このようにして、温度125℃湿度100%の環境に24時間放置後の構造体を得た。
【0160】
さらに、残りの1サンプルについては以下の処理を行った。
得られた構造体に対して、プレッシャークッカーテスター装置を用いて、125℃、相対湿度100%、100時間の処理(プレッシャークッカー処理)を行なった。このようにして、温度125℃湿度100%の環境に100時間放置後の構造体を得た。
【0161】
(密着性の評価)
得られた評価サンプルについて、作製直後の構造体、温度125℃湿度100%の環境に24時間放置後の構造体、および上記環境に100時間放置後の構造体の密着性を評価した。
上記処理後の構造体における樹脂膜に対して、接着力が3N/10mm以上のセロテープ(登録商標)を十分に貼り付けてから該テープを剥離するという剥離試験を実施した。その後、各サンプルのうち、シリコンウェハと樹脂膜の剥離が発生しているサンプルの個数を評価した。
【0162】
【表1】
【0163】
表1に示されるとおり、実施例1の感光性樹脂組成物は、基板との密着性に優れていた。
【符号の説明】
【0164】
1 電子デバイス
1A 電子デバイス
1B 電子デバイス
2 貫通電極基板
3 半導体パッケージ
5 感光性樹脂ワニス
21 絶縁層
23 半導体チップ
24 下層配線層
24A 下層配線層
24B 下層配線層
25 上層配線層
26 半田バンプ
27 チップ埋込構造体
31 パッケージ基板
32 半導体チップ
33 ボンディングワイヤー
34 封止層
35 半田バンプ
202 基板
221 貫通配線
222 貫通配線
231 ランド
240 有機絶縁層
241 有機絶縁層
242 有機絶縁層
243 配線層
245 バンプ密着層
251 有機絶縁層
252 有機絶縁層
253 配線層
254 貫通配線
412 マスク
423 開口部
424 開口部
2510 感光性樹脂層
2520 感光性樹脂層
S1 チップ配置工程
S2 上層配線層形成工程
S20 第1樹脂膜配置工程
S21 第1露光工程
S22 第1現像工程
S23 第1硬化工程
S24 配線層形成工程
S25 第2樹脂膜配置工程
S26 第2露光工程
S27 第2現像工程
S28 第2硬化工程
S29 貫通配線形成工程
S3 基板剥離工程
S4 下層配線層形成工程
S5 半田バンプ形成工程
S6 積層工程
W 直径
図1
図2
図3
図4
図5
図6