特開 2023-138256 車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023138256

(43)【公開日】2023-10-02

(54)【発明の名称】車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム

(51)【国際特許分類】

   B60K 35/00 20060101AFI20230922BHJP

   G09G 5/00 20060101ALI20230922BHJP

   G09G 5/10 20060101ALI20230922BHJP

   G09G 5/36 20060101ALI20230922BHJP

   G09G 5/02 20060101ALI20230922BHJP

   G06F 3/038 20130101ALI20230922BHJP

   G06F 3/04845 20220101ALI20230922BHJP

   G02B 27/01 20060101ALI20230922BHJP

【ＦＩ】

B60K35/00 Z

B60K35/00 A

G09G5/00 510Z

G09G5/00 550C

G09G5/10 B

G09G5/36 520P

G09G5/02 B

G06F3/038 310A

G06F3/04845

G02B27/01

【審査請求】有

【請求項の数】21

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022144667

(22)【出願日】2022-09-12

(31)【優先権主張番号】10-2022-0034056

(32)【優先日】2022-03-18

(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR

(71)【出願人】

【識別番号】522362556

【氏名又は名称】デンソーコリア株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】000004260

【氏名又は名称】株式会社デンソー

(74)【代理人】

【識別番号】100106149

【弁理士】

【氏名又は名称】矢作 和行

(74)【代理人】

【識別番号】100121991

【弁理士】

【氏名又は名称】野々部 泰平

(74)【代理人】

【識別番号】100145595

【弁理士】

【氏名又は名称】久保 貴則

(72)【発明者】

【氏名】パク ヨンソク

(72)【発明者】

【氏名】チェ ビョンヒョン

(72)【発明者】

【氏名】アン ジェウォン

【テーマコード（参考）】

2H199

3D344

5B087

5C182

5E555

【Ｆターム（参考）】

2H199DA03

2H199DA15

2H199DA31

2H199DA34

2H199DA36

2H199DA41

3D344AA22

3D344AB01

3D344AC25

3D344AD02

5B087AB04

5C182AA05

5C182AB25

5C182AB31

5C182BA56

5C182CA01

5C182CA34

5C182CB44

5E555AA74

5E555AA76

5E555BA23

5E555BB23

5E555BC08

5E555CA42

5E555CB65

5E555CC22

5E555DB03

5E555DC36

5E555FA00

(57)【要約】

【課題】運転者の視線方向に沿って眩しさを減らし、運転者の視線方向に表示される情報の視認性を高めながら運転者の走行方向に対する集中度を高めることができる車両のクラスタ及びヘッドアップディスプレイ：ＨＵＤのための統合制御システムを提供する。
【解決手段】システムは、クラスタ３００と、ＨＵＤ４００とを備える。システムは、これら両者のための統合制御部２００を備える。さらに、システムは、車両の運転席に搭乗した運転者の視線を追跡する視線追跡部５００を備える。クラスタ３００及びＨＵＤ４００のそれぞれは、表示されるイメージ又は映像の明るさを調節可能である。統合制御部２００は、視線追跡部５００が追跡した運転者の視線に沿ってクラスタ３００及びＨＵＤ４００を統合制御することにより、イメージ又は映像の明るさ、および／または、カラーを選択的に調節する。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

車両に設置された各種センサから前記車両の走行情報を受信するＥＣＵと、
前記ＥＣＵから信号の伝送を受けて前記車両の走行状態に関連した情報を演算する統合制御部と、
前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像でクラスタディスプレイに表示するクラスタと、
前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像で前記車両の前面ガラスに表示するＨＵＤと、
前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の運転席に搭乗した運転者の視線を追跡する視線追跡部を含み、
前記クラスタ及びＨＵＤのそれぞれは、
前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像の明るさが調節され、
前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線に沿って前記クラスタ及びＨＵＤを統合制御して、前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像の明るさを選択的に調節する
ことを特徴とする車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項2】

前記視線追跡部は、
前記運転者の視線が向かう方向を前記クラスタディスプレイに向かうクラスタ方向及び前記車両の前面ガラスに向かう前面ガラス方向の２つの方向に区分する
ことを特徴とする、請求項１に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項3】

前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記クラスタ方向に向かう場合、
前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げ、
前記ＨＵＤを制御して、前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げる
ことを特徴とする、請求項２に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項4】

前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記前面ガラス方向に向かう場合、
前記ＨＵＤを制御して、前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げ、
前記クラスタを制御して、前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げる
ことを特徴とする、請求項２に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項5】

前記視線追跡部は、
前記運転者の視線が向かう方向を前記クラスタディスプレイに向かうクラスタ方向、前記車両の前面ガラスに表示されるイメージ又は映像に向かうＨＵＤ情報方向及び前記車両の前面ガラスを超えて前方を見る前方走行方向の３つの方向に区分する
ことを特徴とする、請求項１に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項6】

前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記クラスタ方向に向かう場合、
前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げ、
前記ＨＵＤを制御して、前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げる
ことを特徴とする、請求項５に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項7】

前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記ＨＵＤ情報方向に向かう場合、
前記ＨＵＤを制御して、前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げ、
前記クラスタを制御して、前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げる
ことを特徴とする、請求項５に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項8】

前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記前方走行方向に向かう場合、
前記クラスタ及びＨＵＤを制御して、前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げる
ことを特徴とする、請求項５に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項9】

車両に設置された各種センサから前記車両の走行情報を受信するＥＣＵと、
前記ＥＣＵから信号の伝送を受けて前記車両の走行状態に関連した情報を演算する統合制御部と、
前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像でクラスタディスプレイに表示するクラスタと、
前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像で前記車両の前面ガラスに表示するＨＵＤと、
前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の運転席に搭乗した運転者の視線を追跡する視線追跡部を含み、
前記クラスタ及びＨＵＤのそれぞれは、
前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像のカラーが変更され、
前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線に沿って前記クラスタ及びＨＵＤを統合制御して、前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像のカラーを選択的に変更する
ことを特徴とする車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項10】

前記視線追跡部は、
前記運転者の視線が向かう方向を前記クラスタディスプレイに向かうクラスタ方向及び前記車両の前面ガラスに向かう前面ガラス方向の２つの方向に区分する
ことを特徴とする、請求項９に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項11】

前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記クラスタ方向に向かう場合、
前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が高いカラーに変更し、
前記ＨＵＤを制御して、前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更する
ことを特徴とする、請求項１０に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項12】

前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記前面ガラス方向に向かう場合、
前記ＨＵＤを制御して、前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が高いカラーに変更し、
前記クラスタを制御して、前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更する
ことを特徴とする、請求項１０に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項13】

前記視線追跡部は、
前記運転者の視線が向かう方向を前記クラスタディスプレイに向かうクラスタ方向、前記車両の前面ガラスに表示されるイメージ又は映像に向かうＨＵＤ情報方向及び前記車両の前面ガラスを超えて前方を見る前方走行方向の３つの方向に区分する
ことを特徴とする、請求項９に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項14】

前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記クラスタ方向に向かう場合、
前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が高いカラーに変更し、
前記ＨＵＤを制御して、前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更する
ことを特徴とする、請求項１３に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項15】

前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記ＨＵＤ情報方向に向かう場合、
前記ＨＵＤを制御して、前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が高いカラーに変更し、
前記クラスタを制御して、前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更する
ことを特徴とする、請求項１３に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項16】

前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記前方走行方向に向かう場合、
前記クラスタ及びＨＵＤを制御して、前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更する
ことを特徴とする、請求項１３に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項17】

車両に設置された各種センサから前記車両の走行情報を受信するＥＣＵと、
前記ＥＣＵから信号の伝送を受けて前記車両の走行状態に関連した情報を演算する統合制御部と、
前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像でクラスタディスプレイに表示するクラスタと、
前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像で前記車両の前面ガラスに表示するＨＵＤと、
前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の運転席に搭乗した運転者の視線を追跡する視線追跡部を含み、
前記クラスタ及びＨＵＤのそれぞれは、
前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像の明るさ調節及びカラー変更が制御され、
前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線に沿って前記クラスタ及びＨＵＤを統合制御して、前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像の明るさ及びカラーを選択的に制御する
ことを特徴とする車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項18】

前記視線追跡部は、
前記運転者の視線が向かう方向を前記クラスタディスプレイに向かうクラスタ方向、前記車両の前面ガラスに表示されるイメージ又は映像に向かうＨＵＤ情報方向及び前記車両の前面ガラスを超えて前方を見る前方走行方向の３つの方向に区分する
ことを特徴とする、請求項１７に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項19】

前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記クラスタ方向に向かう場合、
前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げながら視認性が高いカラーに変更し、
前記ＨＵＤを制御して、前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げながら視認性が低いカラーに変更する
ことを特徴とする、請求項１８に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項20】

前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記ＨＵＤ情報方向に向かう場合、
前記ＨＵＤを制御して、前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げながら視認性が高いカラーに変更し、
前記クラスタを制御して、前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げながら視認性が低いカラーに変更する
ことを特徴とする、請求項１８に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【請求項21】

前記統合制御部は、
前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記前方走行方向に向かう場合、
前記クラスタ及びＨＵＤを制御して、前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げながら視認性が低いカラーに変更する
ことを特徴とする、請求項１８に記載の車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システム。

【発明の詳細な説明】

【関連出願の相互参照】

【0001】

この出願は、２０２２年３月１８日に大韓民国に出願された特許出願１０－２０２２－００３４０５６を基礎としており、基礎の出願の内容を、全体的に、参照により援用している。

【技術分野】

【0002】

この明細書における開示は、クラスタ及びヘッドアップディスプレイ（以下、ＨＵＤと記載する）を統合制御する車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムに関する。

【背景技術】

【0003】

クラスタ及びＨＵＤは、車両の速度、エンジン回転数、燃料量、温度及び警告灯のような多様な種類の情報を運転者に表示する車両の表示装置、または、車両のメータ装置とも呼ばれる。

【0004】

現在、ヒトの生活空間を見ると大きく家、職場、そして移動空間の３つに区分することができる。特に、殆どの移動空間を占めているものが車両である。

【0005】

このような車両には一般的に自動車の走行状態に関連した様々な情報が表示されるクラスタ（ｃｌｕｓｔｅｒ）が設置されているが、前記クラスタには速度計、燃料計、温度計及び様々な警告灯のような多様な情報を表示し、運転者は前記クラスタを見ることによって現在車両の走行状態を把握して安全運転をするようになっている。したがって、前記クラスタは運転者が運転中に容易に視線が向くことができるダッシュボードの前面に設置される。

【0006】

しかしながら、運転者は車両の前面ガラスを通じて前方視野を確認しながら運転するようになり、随時にダッシュボードに視線を移してクラスタを確認するようになるが、この時、視線の移動が多くてまた前方景色との間に目の焦点距離の変化も多くなって前記のような状況が続くと容易に疲労感が発生し、特に走行中に運転者がクラスタに視線を向ける間に前方視野を確認することができなくて事故の危険が発生しやすい。

【0007】

このような運転者の運転中の走行安全を確保しようと車両走行情報と周辺状況情報を効果的に運転者に伝達する装置としてヘッドアップディスプレイ（ＨＵＤ，Ｈｅａｄ Ｕｐ Ｄｉｓｐｌａｙ）が脚光を浴びている。

【0008】

車両のヘッドアップディスプレイは車両走行中運転者の正面、即ち、運転者の主視野線を外れない範囲で車両走行情報や他の情報を提供する表示装置であって、草創期には航空機、特に戦闘機に取り付けられて開発されるようになったものが最近では車両にも設置され始めたものである。

【0009】

普通、時速約１００ｋｍ／ｈ運転中に、視野をクラスタに向けてから前方に視野を固定させる時間が約２秒程度、約５５ｍ移動するので危険は存在する。このような危険を減らす方法の１つとして車両のヘッドアップディスプレイが出てくるようになった背景であり、車両のヘッドアップディスプレイは車両の前面ガラスに運転者の主視野線にクラスタの情報（速度、走行距離、ＲＰＭ、ナビ情報等）を現れるようにして運転者が運転中にも容易に走行情報を把握することができるようにする。これで運転者は前方道路から目を離さなくても重要な走行情報を認知することによって安全運行を維持することができるようになるものである。

【0010】

図１は一般的なクラスタ及びＨＵＤが設置された車両を図示した概略図であって、車両（１）に設置された各種センサから情報を受信するＥＣＵ（１０）と、前記ＥＣＵ（１０）から信号の伝送を受けて前記車両（１）の走行状態に関連した情報を演算し、前記車両（１）の走行状態に関連した情報を表示するクラスタ（２０）と、前記ＥＣＵ又は前記クラスタ（２０）から信号の伝送を受けて前記車両（１）の走行状態に関連した情報を前記車両（１）の前面ガラス（２）にイメージ又は映像で表示するＨＵＤ（３０）を含んでなる。

【0011】

この時、前記クラスタ（２０）及びＨＵＤ（３０）によって車両（１）の走行状態がクラスタディスプレイ（２１）や車両（１）の前面ガラス（２）にイメージ又は映像で表示されるが、車両（１）の各種センサからＥＣＵ（１０）が情報を受信した後、クラスタ（２０）又はＨＵＤ（３０）に如何に伝送され、如何なる過程を経てそれぞれ表示されるかを見ると、大きく直列式と並列式制御方式がある。例えば、登録特許第１０－１１６８５６５号の「車両の計器盤及びヘッドアップディスプレイ制御装置」の背景技術でこれについて詳細に説明しており、また、従来クラスタ（２０）及びＨＵＤ（３０）制御方式の問題点を解決して一致する表示によって運転者に信頼感を与えることができるようにしている。

【0012】

さらに、クラスタ（２０）及びＨＵＤ（３０）が別個に製作されて組み立てられる場合は勿論、クラスタ（２０）及びＨＵＤ（３０）が１つのハウジングを通じて共に製作されて組み立てられる一体型クラスタ－ＨＵＤ装置ではクラスタ（２０）及びＨＵＤ（３０）を共に制御する統合制御部を備えている。例えば、公開特許公報第１０－２０１３－００６７５８４号の「ヘッドアップ機能を有する車両用クラスタ」及び登録特許公報第１０－１８４６７３７号の「車両用ヘッドアップディスプレイ一体型クラスタシステム」等がある。

【0013】

即ち、図２は従来技術による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムを図示した構成図であって、車両（１）に設置された各種センサから前記車両（１）の走行情報を受信するＥＣＵ（１０）と、前記ＥＣＵ（１０）から信号の伝送を受けて前記車両（１）の走行状態に関連した情報を演算する統合制御部（４０）と、前記統合制御部（４０）と信号を送受信し、前記車両（１）の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像でクラスタディスプレイ（２１）に表示するクラスタ（２０）と、前記統合制御部（４０）と信号を送受信し、前記車両（１）の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像で前記車両（１）の前面ガラス（２）に表示するＨＵＤ（３０）を含んでなる。

【0014】

前記のような従来技術による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムでクラスタ（２０）及びＨＵＤ（３０）を統合制御する統合制御部（４０）を通じて表示される情報を一致させて信頼性を高め、部品工数を減らして生産単価を低くしながら生産性を向上させることができるようになる。

【0015】

また、最近では多様な機能を有する便宜装置が車両（１）に設置されて運転者の便宜を増大させており、特に登録特許第１０－２０１７７６６号の「ディープラーニング基盤の車両運転者視線追跡装置及び方法」のように運転者の視線を追跡する技術と共に、公開特許公報第１０－２０１９－０１０５３９６号の「運転者前方注視維持装置及び方法」や、登録特許公報第１０－１３３８７９１号の「運転者の視線を利用した車両のワイパー駆動装置及び方法」等のように運転者の視線を追跡する技術を通じて車両の多様な機能を制御することもある。

【0016】

このように提示される最近の視線追跡技術を前述したクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムに適用し、運転者の視線方向に沿って眩しさを減らし、運転者の視線方向に表示される情報の視認性を高めながら運転者の走行方向に対する集中度を高めることができる新たな便宜機能を提案しようとする。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0017】

【特許文献1】韓国登録特許第１０－１１６８５６５号公報

【特許文献2】韓国公開特許第１０－２０１３－００６７５８４号公報

【特許文献3】韓国登録特許第１０－１８４６７３７号公報

【特許文献4】韓国登録特許第１０－２０１７７６６号公報

【特許文献5】韓国公開特許第１０－２０１９－０１０５３９６号公報

【特許文献6】韓国登録特許第１０－１３３８７９１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0018】

前記のような観点で案出された本発明の目的は、運転者の視線方向に沿って眩しさを減らし、運転者の視線方向に表示される情報の視認性を高めながら運転者の走行方向に対する集中度を高めることができる新たな便宜機能が備えられた車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0019】

前記のような目的を達成するために本発明による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムの第１実施例は、車両に設置された各種センサから前記車両の走行情報を受信するＥＣＵと、前記ＥＣＵから信号の伝送を受けて前記車両の走行状態に関連した情報を演算する統合制御部と、前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像でクラスタディスプレイに表示するクラスタと、前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像で前記車両の前面ガラスに表示するＨＵＤと、前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の運転席に搭乗した運転者の視線を追跡する視線追跡部を含み、前記クラスタ及びＨＵＤのそれぞれは、前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像の明るさが調節され、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線に沿って前記クラスタ及びＨＵＤを統合制御して前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像の明るさを選択的に調節することを特徴とする。

【0020】

また、前記視線追跡部は、前記運転者の視線が向かう方向を前記クラスタディスプレイに向かうクラスタ方向及び前記車両の前面ガラスに向かう前面ガラス方向の２つの方向に区分することを特徴とする。

【0021】

また、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記クラスタ方向に向かう場合、前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げ、前記ＨＵＤを制御して前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げることを特徴とする。

【0022】

また、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記前面ガラス方向に向かう場合、前記ＨＵＤを制御して前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げ、前記クラスタを制御して前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げることを特徴とする。

【0023】

また、前記視線追跡部は、前記運転者の視線が向かう方向を前記クラスタディスプレイに向かうクラスタ方向、前記車両の前面ガラスに表示されるイメージ又は映像に向かうＨＵＤ情報方向及び前記車両の前面ガラスを超えて前方を見る前方走行方向の３つの方向に区分することを特徴とする。

【0024】

また、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記クラスタ方向に向かう場合、前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げ、前記ＨＵＤを制御して前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げることを特徴とする。

【0025】

また、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記ＨＵＤ情報方向に向かう場合、前記ＨＵＤを制御して前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げ、前記クラスタを制御して前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げることを特徴とする。

【0026】

また、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記前方走行方向に向かう場合、前記クラスタ及びＨＵＤを制御して前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げることを特徴とする。

【0027】

一方、本発明による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムの第２実施例は、車両に設置された各種センサから前記車両の走行情報を受信するＥＣＵと、前記ＥＣＵから信号の伝送を受けて前記車両の走行状態に関連した情報を演算する統合制御部と、前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像でクラスタディスプレイに表示するクラスタと、前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像で前記車両の前面ガラスに表示するＨＵＤと、前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の運転席に搭乗した運転者の視線を追跡する視線追跡部を含み、前記クラスタ及びＨＵＤのそれぞれは、前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像のカラーが変更され、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線に沿って前記クラスタ及びＨＵＤを統合制御して前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像のカラーを選択的に変更することを特徴とする。

【0028】

また、前記視線追跡部は、前記運転者の視線が向かう方向を前記クラスタディスプレイに向かうクラスタ方向及び前記車両の前面ガラスに向かう前面ガラス方向の２つの方向に区分することを特徴とする。

【0029】

また、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記クラスタ方向に向かう場合、前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が高いカラーに変更し、前記ＨＵＤを制御して前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更することを特徴とする。

【0030】

また、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記前面ガラス方向に向かう場合、前記ＨＵＤを制御して前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が高いカラーに変更し、前記クラスタを制御して前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更することを特徴とする。

【0031】

また、前記視線追跡部は、前記運転者の視線が向かう方向を前記クラスタディスプレイに向かうクラスタ方向、前記車両の前面ガラスに表示されるイメージ又は映像に向かうＨＵＤ情報方向及び前記車両の前面ガラスを超えて前方を見る前方走行方向の３つの方向に区分することを特徴とする。

【0032】

また、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記クラスタ方向に向かう場合、前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が高いカラーに変更し、前記ＨＵＤを制御して前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更することを特徴とする。

【0033】

また、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記ＨＵＤ情報方向に向かう場合、前記ＨＵＤを制御して前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が高いカラーに変更し、前記クラスタを制御して前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更することを特徴とする。

【0034】

また、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記前方走行方向に向かう場合、前記クラスタ及びＨＵＤを制御して前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更することを特徴とする。

【0035】

さらに一方、本発明による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムの第３実施例は、車両に設置された各種センサから前記車両の走行情報を受信するＥＣＵと、前記ＥＣＵから信号の伝送を受けて前記車両の走行状態に関連した情報を演算する統合制御部と、前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像でクラスタディスプレイに表示するクラスタと、前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像で前記車両の前面ガラスに表示するＨＵＤと、前記統合制御部と信号を送受信し、前記車両の運転席に搭乗した運転者の視線を追跡する視線追跡部を含み、前記クラスタ及びＨＵＤのそれぞれは、前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像の明るさ調節及びカラー変更が制御され、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線に沿って前記クラスタ及びＨＵＤを統合制御して前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像の明るさ及びカラーを選択的に制御することを特徴とする。

【0036】

また、前記視線追跡部は、前記運転者の視線が向かう方向を前記クラスタディスプレイに向かうクラスタ方向、前記車両の前面ガラスに表示されるイメージ又は映像に向かうＨＵＤ情報方向及び前記車両の前面ガラスを超えて前方を見る前方走行方向の３つの方向に区分することを特徴とする。

【0037】

また、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記クラスタ方向に向かう場合、前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げながら視認性が高いカラーに変更し、前記ＨＵＤを制御して前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げながら視認性が低いカラーに変更することを特徴とする。

【0038】

また、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記ＨＵＤ情報方向に向かう場合、前記ＨＵＤを制御して前記車両の前面ガラスに表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げながら視認性が高いカラーに変更し、前記クラスタを制御して前記クラスタディスプレイに表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げながら視認性が低いカラーに変更することを特徴とする。

【0039】

また、前記統合制御部は、前記視線追跡部が追跡した運転者の視線が前記前方走行方向に向かう場合、前記クラスタ及びＨＵＤを制御して前記クラスタディスプレイ及び前記車両の前面ガラスにそれぞれ表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げながら視認性が低いカラーに変更することを特徴とする。

【0040】

本発明による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムは、視線追跡部が追跡した運転者の視線に沿って統合制御部を通じてクラスタ及びＨＵＤを統合制御してクラスタディスプレイ及び車両の前面ガラスにそれぞれ表示されるイメージ又は映像の明るさ及びカラーを選択的に制御して運転者の視線方向に沿ってクラスタ及びＨＵＤの眩しさを減らし、運転者の走行方向に対する集中度を高めることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【0041】

【図1】図１は一般的なクラスタ及びＨＵＤが設置された車両を図示した概略図である。

【図2】図２は従来技術による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムを図示した構成図である。

【図3】図３は本発明による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムの第１実施例を図示した構成図である。

【図4】図４は図３の実施例が設置された車両に搭乗した運転者の視線をクラスタ方向及び前面ガラス方向の２つの方向に区分して図示した概略図である。

【図5】図５は図４の実施例で運転者の視線がクラスタ方向に向かう場合、クラスタディスプレイ及び車両の前面ガラスにそれぞれ表示されるイメージ又は映像の明るさを調節する過程を図示した概略図である。

【図6】図６は図４の実施例で運転者の視線が前面ガラス方向に向かう場合、クラスタディスプレイ及び車両の前面ガラスにそれぞれ表示されるイメージ又は映像の明るさを調節する過程を図示した概略図である。

【図7】図７は図３の実施例が設置された車両に搭乗した運転者の視線をクラスタ方向、ＨＵＤ情報方向及び前方走行方向の３つの方向に区分して図示した概略図である。

【図8】図８は図７の実施例で運転者の視線がＨＵＤ情報方向に向かう場合、クラスタディスプレイ及び車両の前面ガラスにそれぞれ表示されるイメージ又は映像の明るさを調節する過程を図示した概略図である。

【図9】図９は図７の実施例で運転者の視線が前方走行方向に向かう場合、クラスタディスプレイ及び車両の前面ガラスにそれぞれ表示されるイメージ又は映像の明るさを調節する過程を図示した概略図である。

【図10】図１０は本発明による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムの第２実施例を図示した構成図である。

【図11】図１１は図１０の実施例が設置された車両に搭乗した運転者の視線がクラスタ方向に向かう場合、クラスタディスプレイ及び車両の前面ガラスにそれぞれ表示されるイメージ又は映像のカラーを変更して視認性を調節する過程を図示した概略図である。

【図12】図１２は図１０の実施例が設置された車両に搭乗した運転者の視線が前面ガラス方向に向かう場合、クラスタディスプレイ及び車両の前面ガラスにそれぞれ表示されるイメージ又は映像のカラーを変更して視認性を調節する過程を図示した概略図である。

【図13】図１３は図１０の実施例が設置された車両に搭乗した運転者の視線がＨＵＤ情報方向に向かう場合、クラスタディスプレイ及び車両の前面ガラスにそれぞれ表示されるイメージ又は映像のカラーを変更して視認性を調節する過程を図示した概略図である。

【図14】図１４は図１０の実施例が設置された車両に搭乗した運転者の視線が前方走行方向に向かう場合、クラスタディスプレイ及び車両の前面ガラスにそれぞれ表示されるイメージ又は映像のカラーを変更して視認性を調節する過程を図示した概略図である。

【図15】図１５は本発明による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムの第３実施例を図示した構成図である。

【図16】図１６は図１５の実施例が設置された車両に搭乗した運転者の視線がクラスタ方向に向かう場合、クラスタディスプレイ及び車両の前面ガラスにそれぞれ表示されるイメージ又は映像の明るさ調節及びカラー変更を共に制御する過程を図示した概略図である。

【図17】図１７は図１５の実施例が設置された車両に搭乗した運転者の視線がＨＵＤ情報方向に向かう場合、クラスタディスプレイ及び車両の前面ガラスにそれぞれ表示されるイメージ又は映像の明るさ調節及びカラー変更を共に制御する過程を図示した概略図である。

【図18】図１８は図１５の実施例が設置された車両に搭乗した運転者の視線が前方走行方向に向かう場合、クラスタディスプレイ及び車両の前面ガラスにそれぞれ表示されるイメージ又は映像の明るさ調節及びカラー変更を共に制御する過程を図示した概略図である。

【発明を実施するための形態】

【0042】

以下では添付された図面を参照として本発明による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムを詳細に説明する。

【0043】

先ず、本発明による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムの第１実施例は、図３に図示されたようにＥＣＵ（１００）、統合制御部（２００）、クラスタ（３００）、ＨＵＤ（４００）及び視線追跡部（５００）を含んでなる。この時、前記クラスタ（３００）及びＨＵＤ（４００）はクラスタディスプレイ（３１０）及び車両（１）の前面ガラス（２）にそれぞれ表示されるイメージ又は映像の明るさが調節され、前記統合制御部（２００）は運転者の視線に沿ってそれぞれの明るさを選択的に調節することを特徴とする。

【0044】

統合制御システムは、車両のメータシステムとも呼ばれる場合がある。ここで、統合の語は、クラスタのイメージ又は映像の外観と、ＨＵＤのイメージ又は映像の外観との両方を共通の統合制御部によって調節する態様を含む。さらに、統合の語は、クラスタのイメージ又は映像の外観と、ＨＵＤのイメージ又は映像の外観とを互いに関連付けて変化させる態様を含む。

【0045】

ＥＣＵ（１００）は図３、図４及び図７に図示されたように車両（１）に設置された各種センサから前記車両（１）の走行情報を受信する。ＥＣＵ（１００）は電子制御ユニット（Ｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃ Ｃｏｎｔｒｏｌ Ｕｎｉｔ）であって自動車用コンピュータと言え、ＥＣＵ（１００）の中にはＲＡＭとＲＯＭがある。ＥＣＵ（１００）のＲＡＭは車両（１）が運行中に発生する様々な信号を臨時に保存する機能をし、ＲＯＭは車両（１）が動くのに必要な制御用データとして設計時に作られる。このようなＥＣＵ（１００）は車両（１）の電源がオン（ｏｎ）になると同時に車両（１）に設置された各種センサ、例えば、エンジンと関連したエンジン回転数、エンジンオイル量等をチェックするセンサと、冷暖房関連温度センサ等と、安全と関連したエアバック、シートベルトセンサだけではなく、車両（１）の動きと関連した速度、ＡＢＳ、左右回転センサ等、各種センサから情報を受信する。この時、ＥＣＵ（１００）に受信又は伝送される全ての信号の通信は自動車通信標準であるＣＡＮ通信によってなされる。前記ＥＣＵ（１００）の機能及び作動や車両（１）に設置された各種センサは従来自動車技術でも広く知られているのでその詳細な説明は省略する。

【0046】

統合制御部（２００）は図３、図４及び図７に図示されたように前記ＥＣＵ（１００）から信号の伝送を受けて前記車両（１）の走行状態に関連した情報を演算する。統合制御部（２００）から演算された車両（１）の走行状態に関連した情報は後述するクラスタ（３００）及びＨＵＤ（４００）に伝送して表示されるように制御し、また後述する視線追跡部（５００）と送受信してクラスタ（３００）及びＨＵＤ（４００）の明るさを統合して制御する。

【0047】

クラスタ（３００）は図３、図４及び図７に図示されたように前記統合制御部（２００）と信号を送受信し、前記車両（１）の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像でクラスタディスプレイ（３１０）に表示する。クラスタ（３００）はいわゆる計器盤として広く知られているように運転席正面、即ち、ステアリングホイール前に各種情報を示すものであって、普通、車両（１）の走行速度と走行距離、時計を共に表示する運行記録計（ｔａｃｈｏｇｒａｐｈ）、エンジンの回転数（ｒｐｍ）を知らせる回転速度計（ｔａｃｈｏｍｅｔｅｒ）、走行距離を示す積算距離計（ｔｒｉｐｍｅｔｅｒ）等が表示され、以外に車両（１）の状態を示す注油計と水温計、エンジン温度計及び各種警告灯もやはり表示される。

【0048】

前記のようなクラスタ（３００）は作動方式によってアナログ又はデジタル方式に分かれるようになり、アナログ方式は駆動モータで作動されるポインタを通じて車両（１）の走行情報を表示する方式であり、デジタル方式は走行情報がデジタルデータである数字及びイメージや映像を通じてディスプレイに表示される方式である。また、アナログ方式とデジタル方式が全て表示されるアナログアンドデジタル方式もあり、前記クラスタ（３００）が如何なる方式を使用しても前記ＥＣＵ（１００）から信号の伝送を受けて前記車両（１）の走行状態に関連した情報をクラスタディスプレイ（３１０）に表示することができれば十分である。

【0049】

ＨＵＤ（４００）は図３、図４及び図７に図示されたように前記統合制御部（２００）と信号を送受信し、前記車両（１）の走行状態に関連した情報をイメージ又は映像で前記車両（１）の前面ガラス（２）に表示する。ＨＵＤ（４００）もまた現在広く知られているようにヘッドアップディスプレイ（Ｈｅａｄ－Ｕｐ Ｄｉｓｐｌａｙ）であって、車両（１）の走行情報を運転者の手前の前面ガラス（２）に仮想のイメージで表示する。ＨＵＤ（４００）を通じて車両（１）の前面ガラス（２）にイメージ又は映像を表示することができれば十分であるだけで、透明ディスプレイ方式、直接反射方式又は投射方式等、如何なる方式を使用しても関係ない。

【0050】

視線追跡部（５００）は図３、図４及び図７に図示されたように前記統合制御部（２００）と信号を送受信し、前記車両（１）の運転席に搭乗した運転者の視線を追跡する。図面上、視線追跡部（５００）がクラスタディスプレイ（３１０）の上方に設置されているが、クラスタディスプレイ（３１０）上に共に設置されることもでき、運転者の正面ダッシュボードの上部に設置されることもできる。即ち、運転者の視線をリアルタイムで追跡することができれば如何なる位置でも関係ない。また、視線追跡部（５００）の視線追跡方式は角膜反射光中心を利用した方式、３次元視線追跡方式又は顔面認識と共に運転者の瞳孔の動きを利用した視線方向を追跡する方式等の多様な方式があるが、如何なる方式を使用しても運転者の視線をリアルタイムで追跡することができれば十分である。

【0051】

この時、図３に図示されたように前記クラスタ（３００）及びＨＵＤ（４００）のそれぞれは、前記クラスタディスプレイ（３１０）及び前記車両（１）の前面ガラス（２）にそれぞれ表示される前記イメージ又は映像の明るさが調節される。この場合、前記統合制御部（２００）は前記視線追跡部（５００）が追跡した運転者の視線に沿って前記クラスタ（３００）及びＨＵＤ（４００）を統合制御して前記クラスタディスプレイ（３１０）及び前記車両（１）の前面ガラス（２）にそれぞれ表示される前記イメージ又は映像の明るさを選択的に調節する。

【0052】

例えば、図４に図示されたように前記視線追跡部（５００）は前記運転者の視線が向かう方向を前記クラスタディスプレイ（３１０）に向かうクラスタ方向（５１０）及び前記車両（１）の前面ガラス（２）に向かう前面ガラス方向（５２０）の２つの方向に区分することができる。この時、前記統合制御部（２００）は図５に図示されたように前記視線追跡部（５００）が追跡した運転者の視線が前記クラスタ方向（５１０）に向かう場合、前記クラスタディスプレイ（３１０）に表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げ、前記ＨＵＤ（４００）を制御して前記車両（１）の前面ガラス（２）に表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げるように調節する。また、前記統合制御部（２００）は図６に図示されたように前記視線追跡部（５００）が追跡した運転者の視線が前記前面ガラス方向（５２０）に向かう場合、前記ＨＵＤ（４００）を制御して前記車両（１）の前面ガラス（２）に表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げ、前記クラスタ（３００）を制御して前記クラスタディスプレイ（３１０）に表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げるように調節する。

【0053】

前記のようにクラスタ（３００）及びＨＵＤ（４００）のための統合制御システムにおいて、運転者の視線追跡をクラスタ方向（５１０）及び前面ガラス方向（５２０）の２つの方向だけに区分して視線追跡方式を低価の簡単な方式で具現することができる。また、図５に図示されたように運転者の視線がクラスタ方向（５１０）に向かう時にはクラスタディスプレイ（３１０）の明るさを上げて直観力を向上させ、ＨＵＤ（４００）を通じて前面ガラス（２）に表示されるイメージ又は映像の明るさを下げて注意力が分散されることを防ぐことができる。これと共に、図６に図示されたように運転者の視線が前面ガラス方向（５２０）に向かう時にはＨＵＤ（４００）を通じて前面ガラス（２）に表示されるイメージ又は映像の明るさを上げて直観力を向上させ、クラスタディスプレイ（３１０）の明るさを下げて注意力の分散及び眩しさを防止することができる。

【0054】

一方、前記視線追跡部（５００）は図７に図示されたように前記運転者の視線が向かう方向を前記クラスタディスプレイ（３１０）に向かうクラスタ方向（５１０）、前記車両（１）の前面ガラス（２）に表示されるイメージ又は映像に向かうＨＵＤ情報方向（５２１）及び前記車両（１）の前面ガラス（２）を超えて前方を見る前方走行方向（５２２）の３つの方向に区分することができる。

【0055】

この時、前記統合制御部（２００）は図５を参照して前記視線追跡部（５００）が追跡した運転者の視線が前記クラスタ方向（５１０）に向かう場合、前記クラスタディスプレイ（３１０）に表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げ、前記ＨＵＤ（４００）を制御して前記車両（１）の前面ガラス（２）に表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げるように調節する。また、前記統合制御部（２００）は図８に図示されたように前記視線追跡部（５００）が追跡した運転者の視線が前記ＨＵＤ情報方向（５２１）に向かう場合、前記ＨＵＤ（３００）を制御して前記車両（１）の前面ガラス（２）に表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げ、前記クラスタ（３００）を制御して前記クラスタディスプレイ（３１０）に表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げるように調節する。さらに、前記統合制御部（２００）は図９に図示されたように前記視線追跡部（５００）が追跡した運転者の視線が前記前方走行方向（５２２）に向かう場合、前記クラスタ（３００）及びＨＵＤ（４００）を制御して前記クラスタディスプレイ（３１０）及び前記車両（１）の前面ガラス（２）にそれぞれ表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げるように調節する。

【0056】

即ち、このような３つの方向に対する視線追跡は前記２つの方向に対する視線追跡よりは高価な複雑な追跡方式が必要であるが、便宜性はより増大する。例えば、運転者の視線がクラスタ方向（５１０）及びＨＵＤ情報方向（５２１）に向かう場合の制御効果は前述した内容と同一であるが、これと併せて運転者の視線が前方走行方向（５２２）に向かう場合には図９に図示されたようにクラスタディスプレイ（３１０）及び車両（１）の前面ガラス（２）にそれぞれ表示されるイメージ又は映像の明るさを全て下げて運転者の走行方向に対する視線の分散を抑制しながら眩しさを減らして運転者の走行方向に対する集中度を高めることができる。

【0057】

次に、本発明による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムの第２実施例は、図１０に図示されたように前述した第１実施例と構成が同一であるので同一の説明は省略し、視線追跡部（５００）もやはり前述した第１実施例と同様に低価の簡単な方式の２つの方向であるクラスタ方向（５１０）及び前面ガラス方向（５２０）に区分することができ、高価な複雑であるが便宜性を高めた方式の前述した３つの方向であるクラスタ方向（５１０）、ＨＵＤ情報方向（５２１）及び前方走行方向（５２２）に区分することができる。

【0058】

もっとも、本発明による第２実施例の前記クラスタ（３００）及びＨＵＤ（４００）はクラスタディスプレイ（３１０）及び車両（１）の前面ガラス（２）にそれぞれ表示されるイメージ又は映像のカラーが変更され、前記統合制御部（２００）は運転者の視線に沿ってそれぞれのカラーを選択的に変更することを特徴とする。

【0059】

即ち、本発明の前述した第１実施例が注意力分散及び眩しさ防止のために明るさを調節するものであれば、本発明の第２実施例は注意力分散防止及び直観力向上のために視認性が高いか低いカラーを変更することが特徴である。ここで、色の視認性は周囲色と差が明確であるので容易に目立つ現象を意味し、色の明示性とも言う。

【0060】

したがって、周囲色（背景色）が如何なる色であるかによって変わるので１つの色に特定することができない。例えば、黒色背景の時には黄色や橙色等が視認性が高く、紫や青等は視認性が低く、白色背景の時にはこれと反対である。このような色の視認性を高める決定的な条件は明度差を大きくすることである。普通、車両（１）のクラスタディスプレイ（３１０）は背景が黒色であるので黄色や橙色等が視認性が高い色相であり、紫や青等が視認性が低い色相になる。ＨＵＤ（４００）を通じて前面ガラス（２）に表示されるイメージ又は映像の背景は昼間及び夜間を区分して又はトンネル内（又は地下）及びトンネル外（又は地上）に区分して視認性が高いか低い色相に変更することができるはずである。

【0061】

具体的に、第２実施例の視線追跡部（５００）が運転者の視線方向をクラスタ方向（５１０）及び前面ガラス方向（５２０）の２つの方向に区分する場合である。即ち、統合制御部（２００）は図１１に図示されたように前記視線追跡部（５００）が前記クラスタ方向（５１０）に向かう場合、前記クラスタディスプレイ（３１０）に表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が高いカラーに変更し、前記ＨＵＤ（４００）を制御して前記車両（１）の前面ガラス（２）に表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更する。また、統合制御部（２００）は図１２に図示されたように前記視線追跡部（５００）が前記前面ガラス方向（５２０）に向かう場合、前記ＨＵＤ（４００）を制御して前記車両（１）の前面ガラス（２）に表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が高いカラーに変更し、前記クラスタ（３００）を制御して前記クラスタディスプレイ（３１０）に表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更する。

【0062】

一方、第２実施例の視線追跡部（５００）が運転者の視線方向をクラスタ方向（５１０）、ＨＵＤ情報方向（５２１）及び前方走行方向（５２２）の３つの方向に区分する場合である。即ち、前記統合制御部（２００）は図１１を参照して前記視線追跡部（５００）が前記クラスタ方向（５１０）に向かう場合、前記クラスタディスプレイ（３１０）に表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が高いカラーに変更し、前記ＨＵＤ（４００）を制御して前記車両（１）の前面ガラス（２）に表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更する。また、前記統合制御部（２００）は図１３に図示されたように前記視線追跡部（５００）が追跡した運転者の視線が前記ＨＵＤ情報方向（５２１）に向かう場合、前記ＨＵＤ（４００）を制御して前記車両（１）の前面ガラス（２）に表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が高いカラーに変更し、前記クラスタ（３００）を制御して前記クラスタディスプレイ（３１０）に表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更する。また、前記統合制御部（２００）は図１４に図示されたように前記視線追跡部（５００）が追跡した運転者の視線が前記前方走行方向（５２２）に向かう場合、前記クラスタ（３００）及びＨＵＤ（４００）を制御して前記クラスタディスプレイ（３１０）及び前記車両（１）の前面ガラス（２）にそれぞれ表示される前記イメージ又は映像のカラーを視認性が低いカラーに変更する。

【0063】

最後に、本発明による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムの第３実施例は、図１５に図示されたように前述した第１及び第２実施例と構成は同一であるので同一の説明は省略する。

【0064】

もっとも、本発明による第３実施例の前記クラスタ（３００）及びＨＵＤ（４００）はクラスタディスプレイ（３１０）及び車両（１）の前面ガラス（２）にそれぞれ表示されるイメージ又は映像の明るさ調節及びカラー変更が共に制御され、前記統合制御部（２００）は運転者の視線に沿ってそれぞれの明るさ及びカラーを選択的に制御することを特徴とする。また、視線追跡部（５００）は前述した第１及び第２実施例とは異なるように高価な複雑であるが便宜性を高めた方式の前述した３つの方向であるクラスタ方向（５１０）、ＨＵＤ情報方向（５２１）及び前方走行方向（５２２）だけに区分することができる。即ち、第３実施例は前述した第１及び第２実施例が組み合わせた構成でありながら視線追跡方式もやはり３つの方向に区分される高価な方式を使用してフラッグシップモデルのような高価な車両だけに適用するための構成である。

【0065】

具体的に、第３実施例の視線追跡部（５００）は運転者の視線方向をクラスタ方向（５１０）、ＨＵＤ情報方向（５２１）及び前方走行方向（５２２）の３つの方向に区分する。この時、前記統合制御部（２００）は図１６を参照して前記視線追跡部（５００）が前記クラスタ方向（５１０）に向かう場合、前記クラスタディスプレイ（３１０）に表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げながら視認性が高いカラーに変更し、前記ＨＵＤ（４００）を制御して前記車両（１）の前面ガラス（２）に表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げながら視認性が低いカラーに変更する。また、前記統合制御部（２００）は図１７に図示されたように前記視線追跡部（５００）が追跡した運転者の視線が前記ＨＵＤ情報方向（５２１）に向かう場合、前記ＨＵＤ（４００）を制御して前記車両（１）の前面ガラス（２）に表示される前記イメージ又は映像の明るさを上げながら視認性が高いカラーに変更し、前記クラスタ（３００）を制御して前記クラスタディスプレイ（３１０）に表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げながら視認性が低いカラーに変更する。さらに、前記統合制御部（２００）は図１８に図示されたように前記視線追跡部（５００）が追跡した運転者の視線が前記前方走行方向（５２２）に向かう場合、前記クラスタ（３００）及びＨＵＤ（４００）を制御して前記クラスタディスプレイ（３１０）及び前記車両（１）の前面ガラス（２）にそれぞれ表示される前記イメージ又は映像の明るさを下げながら視認性が低いカラーに変更する。

【0066】

前述したように本発明による車両のクラスタ及びＨＵＤのための統合制御システムは、視線追跡部（５００）が追跡した運転者の視線に沿って統合制御部（２００）を通じてクラスタ（３００）及びＨＵＤ（４００）を統合制御してクラスタディスプレイ（３１０）及び車両（１）の前面ガラス（２）にそれぞれ表示されるイメージ又は映像の明るさ及びカラーを選択的に制御して運転者の視線方向に沿ってクラスタ（３００）及びＨＵＤ（４００）の眩しさを減らし、運転者の走行方向に対する集中度を高めることができる効果がある。

【0067】

前述され、図面に図示された本発明の実施例は、本発明の技術的思想を限定するものと解釈されてはならない。本発明の保護範囲は請求の範囲に記載された事項だけによって制限され、本発明の技術分野で通常の知識を有した者は本発明の技術的思想を多様な形態に改良変更することが可能である。したがって、このような改良及び変更は通常の知識を有した者に自明なものである限り、本発明の保護範囲に属するようになるはずである。

【符号の説明】

【0068】

１：車両
２：前面ガラス
１００：ＥＣＵ
２００：統合制御部
３００：クラスタ
３１０：クラスタディスプレイ
４００：ＨＵＤ
５００：視線追跡部
５１０：クラスタ方向
５２０：前面ガラス方向
５２１：ＨＵＤ情報方向
５２２：前方走行方向

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】