(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138263
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】車両用シート空調システム及び車両用シート空調装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20230922BHJP
B60N 2/56 20060101ALI20230922BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20230922BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B60H1/34 651A
B60N2/56
A47C7/74 C
B60H1/00 102V
B60H1/34 671A
【審査請求】未請求
【請求項の数】57
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154444
(22)【出願日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2022043320
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022043321
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022043349
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022043425
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】牧田 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】井上 健彦
(72)【発明者】
【氏名】前田 好彦
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 健
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3L211
【Fターム(参考)】
3B084JG02
3B084JG05
3B084JG06
3B087DE10
3L211BA01
3L211DA53
3L211EA02
3L211EA58
3L211FB08
3L211GA53
(57)【要約】
【課題】シートに着座する乗員に対してより快適な空調環境を提供し得る車両用シート空調システムを提供する。
【解決手段】本開示における車両用シート空調システム3は、車両1000の複数のシート1にそれぞれ設けられた複数の車両用シート空調装置30と、複数の車両用シート空調装置30を制御する制御部60と、を備える。車両用シート空調装置30は、送風機36と、送風機36によって導かれた空気を、シート1の側面に設けられた吐出口から吐出する吐出ダクトと、を備える。制御部60は、複数の車両用シート空調装置30のそれぞれからの空気の吐出目標位置を取得し、吐出目標位置に基づいて、吐出口から吐出する空気の吐出タイミング、吐出方向及び空気を吐出する吐出口の選択の少なくとも1つを制御する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の複数のシートにそれぞれ設けられた複数の車両用シート空調装置と、
前記複数の車両用シート空調装置を制御する制御部と、を備える車両用シート空調システムであって、
前記車両用シート空調装置は、
送風機と、
前記送風機によって導かれた空気を、前記シートの側面に設けられた吐出口から吐出する吐出ダクトと、を備え、
前記制御部は、複数の前記車両用シート空調装置のそれぞれからの空気の吐出目標位置を取得し、前記吐出目標位置に基づいて、前記吐出口から吐出する空気の吐出タイミング、吐出方向及び空気を吐出する前記吐出口の選択の少なくとも1つを制御する、
車両用シート空調システム。
【請求項2】
前記車両用シート空調装置は、前記車両の左右方向に隣接する2つの前記シートである第1シート及び第2シートにそれぞれ設けられ、
前記吐出口は、前記第1シートの前記第2シートに対向する側面と、前記第2シートの前記第1シートに対向する側面とにそれぞれ設けられ、
前記制御部は、前記吐出目標位置に基づいて、前記第1シート及び前記第2シートのそれぞれに設けられた前記吐出口から吐出する空気の前記吐出タイミングをずらすこと、及び、前記第1シート及び前記第2シートのそれぞれに設けられた前記吐出口から吐出する空気の干渉を低減するように前記吐出方向及び空気を吐出する前記吐出口の選択を設定することの少なくとも1つを実行する、
請求項1に記載の車両用シート空調システム。
【請求項3】
前記吐出口は、前記第1シート及び前記第2シートにそれぞれ複数設けられ、
前記吐出ダクトは、前記送風機によって導かれた空気を、複数の前記吐出口である第1吐出口及び第2吐出口からそれぞれ吐出する第1吐出ダクト及び第2吐出ダクトを含み、
前記車両用シート空調装置は、通風路を選択する吐出ダクト選択切替え部を更に備え、
前記吐出ダクト選択切替え部は、前記送風機によって導かれた空気を前記第1吐出ダクトに導く第1モードと、前記送風機によって導かれた空気を前記第2吐出ダクトに導く第2モードとを有し、
前記制御部は、前記吐出目標位置に基づいて、前記第1シート及び前記第2シートのそれぞれについて、前記吐出ダクト選択切替え部の前記第1モード及び前記第2モードであるモードを切り替えることで、空気を吐出する前記吐出口の選択を制御する、
請求項2に記載の車両用シート空調システム。
【請求項4】
前記第2吐出口は、前記第1吐出口よりも下方に設けられてなる、
請求項3に記載の車両用シート空調システム。
【請求項5】
前記吐出目標位置は、隣接する前記シートに着座する乗員の第1部分と、前記乗員の前記第1部分より下方の第2部分とを含む前記乗員の複数の部分から選択され、
前記制御部は、前記吐出目標位置に基づいて、前記吐出方向及び前記吐出ダクト選択切替え部の前記モードを制御する、
請求項3又は請求項4に記載の車両用シート空調システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記吐出目標位置に基づいて、前記吐出方向及び前記吐出ダクト選択切替え部の前記モードを所定時間ごとに切り替える、
請求項3又は請求項4に記載の車両用シート空調システム。
【請求項7】
前記吐出口は、前記第1シート及び前記第2シートにそれぞれ1つずつ設けられてなる、
請求項2に記載の車両用シート空調システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記吐出目標位置に基づいて、前記第1シート及び前記第2シートにそれぞれ設けられた前記吐出口から吐出される空気が互いに干渉するか否かを判定し、
干渉すると判定した場合、
前記第1シートに設けられた前記吐出口から、第1時間帯に空気を吐出し、前記第1時間帯と異なる第2時間帯に空気を吐出しないように、前記第1シートに設けられた前記車両用シート空調装置を制御し、
前記第2シートに設けられた前記吐出口から、前記第2時間帯に空気を吐出し、前記第1時間帯に空気を吐出しないように、前記第2シートに設けられた前記車両用シート空調装置を制御する、
請求項7に記載の車両用シート空調システム。
【請求項9】
前記第1時間帯は、前記第2時間帯の後に連続する時間帯であり、
前記第2時間帯は、前記第1時間帯の後に連続する時間帯である、
請求項8に記載の車両用シート空調システム。
【請求項10】
前記吐出目標位置は、隣接する前記シートに着座する乗員の第1部分と、前記乗員の前記第1部分より下方の第2部分とを含む前記乗員の複数の部分から選択され、
前記制御部は、前記吐出目標位置に基づいて、前記吐出タイミング及び前記吐出方向の少なくとも1つを制御する、
請求項8又は請求項9に記載の車両用シート空調システム。
【請求項11】
前記第1シートに設けられた前記吐出口と、前記第2シートに設けられた前記吐出口とは、互いに対応する高さの位置に設けられ、
前記制御部は、複数の前記車両用シート空調装置のそれぞれの前記吐出目標位置が、いずれも前記第1部分である場合、又は、いずれも前記第2部分である場合に、前記第1シート及び前記第2シートにそれぞれ設けられた前記吐出口から吐出される空気が互いに干渉すると判定する、
請求項10に記載の車両用シート空調システム。
【請求項12】
車両の第1シートに設けられ、前記第1シート以外の他のシートの空調を行う車両用シート空調装置であって、
送風機と、
前記送風機によって導かれた空気を、前記第1シートの側面に設けられた吐出口から吐出する吐出ダクトと、
前記送風機を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1シート及び前記他のシートのそれぞれから吐出される空気の吐出目標位置を取得し、前記吐出目標位置に基づいて、前記吐出口から吐出する空気の吐出タイミング、吐出方向及び空気を吐出する前記吐出口の選択の少なくとも1つを制御する、
車両用シート空調装置。
【請求項13】
前記他のシートは、前記第1シートに対して前記車両の左右方向に隣接する第2シートであり、
前記第1シートに設けられた前記吐出口は、前記第1シートの前記第2シートに対向する側面に設けられ、
前記制御部は、前記吐出目標位置に基づいて、前記第1シートに設けられた前記吐出口から吐出する空気の前記吐出タイミングを前記第2シートに設けられた前記吐出口から吐出する空気の前記吐出タイミングに対してずらすこと、及び、前記第1シート及び前記第2シートのそれぞれに設けられた前記吐出口から吐出する空気の干渉を低減するように前記吐出方向及び空気を吐出する前記吐出口の選択を設定することの少なくとも1つを実行する、
請求項12に記載の車両用シート空調装置。
【請求項14】
通風路を選択する吐出ダクト選択切替え部を更に備え、
前記第1シートに設けられた前記吐出口は、前記第1シートの側面に複数設けられ、
前記吐出ダクトは、前記送風機によって導かれた空気を、複数の前記吐出口である第1吐出口及び第2吐出口からそれぞれ吐出する第1吐出ダクト及び第2吐出ダクトを含み、
前記吐出ダクト選択切替え部は、前記送風機によって導かれた空気を前記第1吐出ダクトに導く第1モードと、前記送風機によって導かれた空気を前記第2吐出ダクトに導く第2モードとを有し、
前記制御部は、前記吐出目標位置に基づいて、前記吐出ダクト選択切替え部の前記第1モード及び前記第2モードであるモードを切り替えることで、空気を吐出する前記吐出口の選択を制御する、
請求項13に記載の車両用シート空調装置。
【請求項15】
前記第2吐出口は、前記第1吐出口よりも下方に設けられてなる、
請求項14に記載の車両用シート空調装置。
【請求項16】
前記第1シートに設けられた前記車両用シート空調装置の前記吐出目標位置は、前記第2シートに着座する乗員の第1部分と、前記乗員の前記第1部分より下方の第2部分とを含む前記乗員の複数の部分から選択され、
前記制御部は、前記吐出目標位置に基づいて、前記吐出方向及び前記吐出ダクト選択切替え部の前記モードを制御する、
請求項14又は請求項15に記載の車両用シート空調装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記吐出目標位置に基づいて、前記吐出方向及び前記吐出ダクト選択切替え部の前記モードを所定時間ごとに切り替える、
請求項14又は請求項15に記載の車両用シート空調装置。
【請求項18】
前記第1シートに設けられた前記吐出口は、前記第1シートの側面に1つ設けられてなる、
請求項13に記載の車両用シート空調装置。
【請求項19】
前記制御部は、
前記吐出目標位置に基づいて、前記第1シートに設けられた前記吐出口及び前記第2シートに設けられた前記吐出口から吐出される空気が互いに干渉するか否かを判定し、
干渉すると判定した場合、
前記第1シートに設けられた前記吐出口から、前記第2シートに設けられた前記吐出口から空気が吐出されない第1時間帯に空気を吐出し、前記第1時間帯と異なり、前記第2シートに設けられた前記吐出口から空気が吐出される第2時間帯に空気を吐出しないように、前記吐出タイミングを制御する、
請求項18に記載の車両用シート空調装置。
【請求項20】
前記第1時間帯は、前記第2時間帯の後に連続する時間帯であり、
前記第2時間帯は、前記第1時間帯の後に連続する時間帯である、
請求項19に記載の車両用シート空調装置。
【請求項21】
前記第1シートに設けられた前記車両用シート空調装置の前記吐出目標位置は、前記第2シートに着座する乗員の第1部分と、前記乗員の前記第1部分より下方の第2部分とを含む前記乗員の複数の部分から選択され、
前記制御部は、前記吐出目標位置に基づいて、前記吐出タイミング及び前記吐出方向の少なくとも1つを制御する、
請求項19又は請求項20に記載の車両用シート空調装置。
【請求項22】
前記第1シートに設けられた前記吐出口は、前記第2シートに設けられた前記吐出口に対応する高さの位置に設けられ、
前記制御部は、前記第1シート及び前記第2シートのそれぞれの前記車両用シート空調装置の前記吐出目標位置が、いずれも前記第1部分である場合、又は、いずれも前記第2部分である場合に、前記第1シートに設けられた前記吐出口及び前記第2シートに設けられた前記吐出口から吐出される空気が互いに干渉すると判定する、
請求項21に記載の車両用シート空調装置。
【請求項23】
前記制御部は、前記吐出目標位置及び前記第2シートの席種に基づいて、前記吐出方向及び空気を吐出する前記吐出口の選択の少なくとも1つを制御する、
請求項13に記載の車両用シート空調装置。
【請求項24】
前記制御部は、前記吐出目標位置及び前記第2シートの前記席種に基づいて、前記吐出口から吐出された空気である空調風が前記吐出目標位置に到達するように、前記吐出方向及び空気を吐出する前記吐出口の選択の少なくとも1つを制御する、
請求項23に記載の車両用シート空調装置。
【請求項25】
通風路を選択する吐出ダクト選択切替え部を更に備え、
前記吐出口は、前記第1シートの側面に複数設けられ、
前記吐出ダクトは、前記送風機によって導かれた空気を、複数の前記吐出口である第1吐出口及び第2吐出口からそれぞれ吐出する第1吐出ダクト及び第2吐出ダクトを含み、
前記吐出ダクト選択切替え部は、前記送風機によって導かれた空気を前記第1吐出ダクトに導く第1モードと、前記送風機によって導かれた空気を前記第2吐出ダクトに導く第2モードとを有し、
前記制御部は、前記吐出目標位置に基づいて、前記吐出ダクト選択切替え部の前記第1モード及び前記第2モードであるモードを切り替える、
請求項23又は請求項24に記載の車両用シート空調装置。
【請求項26】
前記吐出目標位置は、前記第2シートに着座する乗員の第1部分と、前記乗員の前記第1部分より下方の第2部分とを含む前記乗員の複数の部分から選択され、
前記制御部は、前記吐出目標位置に基づいて、前記吐出方向を制御する、
請求項25に記載の車両用シート空調装置。
【請求項27】
前記第2シートの前記席種には、運転席及び助手席が含まれる、
請求項26に記載の車両用シート空調装置。
【請求項28】
前記第2シートの前記席種は、運転席である、
請求項27に記載の車両用シート空調装置。
【請求項29】
前記制御部は、前記吐出目標位置が前記第1部分である場合、前記吐出ダクト選択切替え部に前記第1モードを実行させる、
請求項28に記載の車両用シート空調装置。
【請求項30】
前記制御部は、前記吐出目標位置が前記第2部分である場合、前記吐出ダクト選択切替え部に前記第2モードを実行させる、
請求項28に記載の車両用シート空調装置。
【請求項31】
前記制御部は、前記第2シートに着座する乗員の姿勢を検知する乗員姿勢センサの検知結果に基づいて、前記吐出ダクト選択切替え部の前記モードを切替える、
請求項26に記載の車両用シート空調装置。
【請求項32】
前記制御部は、前記乗員姿勢センサの検知結果に基づいて、前記第2シートに着座する乗員が前記車両のステアリングを把持しているか否かを判定する、
請求項31に記載の車両用シート空調装置。
【請求項33】
前記制御部は、前記第2シートに着座する乗員が前記ステアリングを把持していると判定され、且つ、前記吐出目標位置が前記第1部分である場合、前記吐出ダクト選択切替え部に前記第1モードを実行させる、
請求項32に記載の車両用シート空調装置。
【請求項34】
前記制御部は、前記第2シートに着座する乗員が前記ステアリングを把持していると判定され、且つ、前記吐出目標位置が前記第2部分である場合、前記吐出ダクト選択切替え部に前記第2モードを実行させる、
請求項32に記載の車両用シート空調装置。
【請求項35】
前記第2シートの前記席種は、助手席である、
請求項27に記載の車両用シート空調装置。
【請求項36】
前記第2シートの側面には、前記第1シートの空調を行うための吐出口が設けられており、
前記制御部は、前記吐出目標位置が前記第2部分である場合、前記第1シートの側面に設けられた前記吐出口から吐出する空気の前記吐出方向を、前記第2シートの側面に設けられた前記吐出口から吐出する空気の前記吐出方向よりも、前記車両の前方側になるよう制御する、
請求項35に記載の車両用シート空調装置。
【請求項37】
前記制御部は、前記第2シートに着座する乗員の姿勢を検知する乗員姿勢センサの検知結果に基づいて、前記第1シートの側面に設けられた前記吐出口から吐出する空気の前記吐出方向を制御する、
請求項35に記載の車両用シート空調装置。
【請求項38】
前記制御部は、前記第2シートの温度に関する情報を検出する温度検出センサの検出結果に基づいて、前記吐出方向及び前記吐出口から吐出する空気の吐出量の少なくとも1つを制御する、
請求項13に記載の車両用シート空調装置。
【請求項39】
前記温度検出センサは、前記車両の内部に侵入する日射量を検出する日射センサである、
請求項38に記載の車両用シート空調装置。
【請求項40】
前記温度検出センサは、非接触温度計又はサーモグラフィである、
請求項38に記載の車両用シート空調装置。
【請求項41】
前記制御部は、前記温度検出センサにより検出された前記温度に関する情報を示す検出値が閾値以上である場合、前記検出値が閾値未満である場合の前記吐出方向よりも、前記吐出方向を前記車両の前方側になるよう制御する、
請求項38~請求項40のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項42】
前記制御部は、前記温度検出センサにより検出された前記温度に関する情報を示す検出値が閾値以上である場合、前記検出値が閾値未満である場合の前記吐出量よりも、前記吐出量を大きくするよう制御する、
請求項38~請求項40のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項43】
前記制御部は、
前記車両に搭載された車両用空調装置から吹き出される空調空気の吹出し方向及び風量に関する設定情報を取得し、
前記設定情報に基づいて、前記吐出方向及び前記吐出量の少なくとも1つを制御する、
請求項38~請求項40のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項44】
前記制御部は、
前記設定情報に基づいて、前記吐出口から吐出される空気と、前記車両用空調装置から吹き出される空調空気との合流点を算出し、
前記合流点に向けて空気を吐出するように、前記吐出方向を制御する、
請求項43に記載の車両用シート空調装置。
【請求項45】
前記制御部は、前記吐出口から吐出される空気が、前記車両用空調装置から吹き出される空調空気と合流して前記第2シートに着座する乗員の前記車両のドア側の部分に吹き付けられるように、前記吐出方向及び前記吐出量の少なくとも1つを制御する、
請求項43に記載の車両用シート空調装置。
【請求項46】
前記制御部は、前記温度検出センサにより検出された前記温度に関する情報を示す検出値が閾値以上である場合、前記吐出方向及び前記吐出量の少なくとも1つに加え、前記車両に搭載された車両用空調装置から吹き出される空調空気の吹出し方向及び風量の少なくとも1つを制御する、
請求項38~請求項40のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項47】
前記制御部は、前記吐出口から吐出される空気と、前記車両用空調装置から吹き出される空調空気とが合流するように、前記吐出口から吐出される空気の前記吐出方向及び前記車両用空調装置から吹き出される空調空気の前記吹出し方向を制御する、
請求項46に記載の車両用シート空調装置。
【請求項48】
前記制御部は、前記吐出口から吐出される空気が、前記車両用空調装置から吹き出される空調空気と合流して前記第2シートに着座する乗員の前記車両のドア側の部分に吹き付けられるように、前記吐出口から吐出される空気の前記吐出方向と前記吐出量との少なくとも1つ、及び、前記車両用空調装置から吹き出される空調空気の前記吹出し方向と前記風量との少なくとも1つを制御する、
請求項46に記載の車両用シート空調装置。
【請求項49】
通風路を選択する吐出ダクト選択切替え部を更に備え、
前記第1シートに設けられた前記吐出口は、前記第1シートに複数設けられ、
前記吐出ダクトは、前記送風機によって導かれた空気を、複数の前記吐出口である第1吐出口及び第2吐出口からそれぞれ吐出する第1吐出ダクト及び第2吐出ダクトを含み、
前記第1吐出口は、前記第1シートの側面に設けられ、
前記第2吐出口は、前記第1シートに前記第1吐出口よりも下方に設けられ、
前記吐出ダクト選択切替え部は、前記送風機によって導かれた空気を前記第1吐出ダクトに導く第1モードと、前記送風機によって導かれた空気を前記第2吐出ダクトに導く第2モードとを有し、
前記制御部は、前記第1シート及び前記第2シートのそれぞれのリクライニング角度及びスライド位置の少なくとも1つに基づいて、前記吐出ダクト選択切替え部の前記第1モード及び前記第2モードであるモードを切り替える、
請求項13に記載の車両用シート空調装置。
【請求項50】
前記第2吐出口は、前記第1シートのシートバックの側面において、前記第1吐出口よりも下方に設けられてなる、
請求項49に記載の車両用シート空調装置。
【請求項51】
前記制御部は、
前記第1シートのリクライニング角度から前記第2シートのリクライニング角度を減算した角度が第1角度以上であり、且つ、前記第1シートのスライド位置から前記第2シートのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上である場合、前記吐出ダクト選択切替え部に前記第2モードを実行させる、
請求項49又は請求項50に記載の車両用シート空調装置。
【請求項52】
前記制御部は、
前記第1シートのリクライニング角度から前記第2シートのリクライニング角度を減算した角度が前記第1角度よりも大きい第2角度以上である場合、前記第1シートのスライド位置から前記第2シートのスライド位置を減算した長さにかかわらず、前記吐出ダクト選択切替え部に前記第2モードを実行させる、
請求項51に記載の車両用シート空調装置。
【請求項53】
前記第2吐出口は、前記第1シートの座部の前記第2シート側の部分に設けられてなる、
請求項49に記載の車両用シート空調装置。
【請求項54】
前記制御部は、
前記第1シートのリクライニング角度から前記第2シートのリクライニング角度を減算した角度が第1角度以上であり、且つ、前記第1シートのスライド位置から前記第2シートのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上である場合、前記吐出ダクト選択切替え部に前記第2モードを実行させ、
前記第1シートのスライド位置から前記第2シートのスライド位置を減算した長さが前記第1長さよりも長い第2長さ以上である場合、前記第1シートのリクライニング角度から前記第2シートのリクライニング角度を減算した角度にかかわらず、前記吐出ダクト選択切替え部に前記第2モードを実行させる、
請求項53に記載の車両用シート空調装置。
【請求項55】
前記送風機によって導かれた空気を、前記第1シートの座部の前記第2シート側の部分に設けられた第3吐出口から吐出する第3吐出ダクトを更に備え、
前記吐出ダクト選択切替え部は、前記送風機によって導かれた空気を前記第3吐出ダクトに導く第3モードを更に有し、
前記制御部は、前記第1シート及び前記第2シートのそれぞれのリクライニング角度及びスライド位置の少なくとも1つに基づいて、前記吐出ダクト選択切替え部の前記第1モード、前記第2モード及び前記第3モードである前記モードを切り替える、
請求項50に記載の車両用シート空調装置。
【請求項56】
前記制御部は、
前記第1シートのリクライニング角度から前記第2シートのリクライニング角度を減算した角度が第1角度以上であり、且つ、前記第1シートのスライド位置から前記第2シートのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上である場合、前記吐出ダクト選択切替え部に前記第2モードを実行させ、
前記第1シートのスライド位置から前記第2シートのスライド位置を減算した長さが前記第1長さよりも長い第2長さ以上である場合、前記第1シートのリクライニング角度から前記第2シートのリクライニング角度を減算した角度にかかわらず、前記吐出ダクト選択切替え部に前記第3モードを実行させる、
請求項55に記載の車両用シート空調装置。
【請求項57】
前記制御部は、
前記第1シートのリクライニング角度から前記第2シートのリクライニング角度を減算した角度及び前記第1シートのスライド位置から前記第2シートのスライド位置を減算した長さと、前記吐出ダクト選択切替え部の前記モードとの対応関係を示すテーブルに基づいて、前記吐出ダクト選択切替え部の前記モードを切り替える、
請求項49又は請求項50に記載の車両用シート空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用シート空調システム及び車両用シート空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、シートに着座している人に対して快適な空調環境を提供することが求められている。例えば、特許文献1には、複数のシートが設置されたユーザ空間において、少なくとも1つの隣接シートに隣接した特定シートの空調を行うシート空調装置であって特定シートに空調風を供給する空調機と、特定シートについての空調の設定情報を取得する設定情報取得部と、隣接シートを空調する隣接空調装置の作動情報を取得する隣接情報取得部と、設定情報に基づいて空調機の作動を制御し、隣接空調装置の作動情報に基づいて空調機の作動を調整する空調制御部と、を備えるシート空調装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、シートに着座する乗員に対して快適な環境を提供できない場合がある。
【0005】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、シートに着座する乗員に対してより快適な空調環境を提供し得る車両用シート空調システム及び車両用シート空調装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における車両用シート空調システムは、複数の車両用シート空調装置と、制御部とを備える。複数の車両用シート空調装置は、車両の複数のシートにそれぞれ設けられている。制御部は、複数の車両用シート空調装置を制御する。車両用シート空調装置は、送風機と、吐出ダクトとを備える。吐出ダクトは、送風機によって導かれた空気を、シートの側面に設けられた吐出口から吐出する。制御部は、複数の車両用シート空調装置のそれぞれからの空気の吐出目標位置を取得し、吐出目標位置に基づいて、吐出口から吐出する空気の吐出タイミング、吐出方向及び空気を吐出する吐出口の選択の少なくとも1つを制御する。
【0007】
本開示における車両用シート空調装置は、車両の第1シートに設けられ、第1シート以外の他のシートの空調を行う。車両用シート空調装置は、送風機と、吐出ダクトと、制御部とを備える。吐出ダクトは、送風機によって導かれた空気を、第1シートの側面に設けられた吐出口から吐出する。制御部は、送風機を制御する。制御部は、第1シート及び他のシートのそれぞれから吐出される空気の吐出目標位置を取得し、吐出目標位置に基づいて、吐出口から吐出する空気の吐出タイミング、吐出方向及び空気を吐出する吐出口の選択の少なくとも1つを制御する。
【発明の効果】
【0008】
本開示における車両用シート空調システム及び車両用シート空調装置は、シートに着座する乗員に対してより快適な空調環境を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】車両の車室内に配置された実施の形態1における車両用シート空調システムの外観を示す図。
【
図2】実施の形態1における車両用シート空調装置が備えられたシートの外観を示す斜視図。
【
図3】
図2のI-I線における車両用シート空調装置が備えられたシートの断面図。
【
図4】
図2のII-II線における車両用シート空調装置が備えられたシートの断面図。
【
図6】実施の形態1における車両用シート空調システムを示すブロック図。
【
図7】実施の形態1における車両用シート空調システムの処理を示すフローチャート。
【
図8】
図7のステップS104を実行したときの運転席及び助手席における空気の流路を示す模式正面図。
【
図9】
図7のステップS105を実行したときの運転席及び助手席における空気の流路を示す模式正面図。
【
図10】
図7のステップS107を実行したときの運転席及び助手席における空気の流路を示す模式正面図。
【
図11】
図7のステップS108を実行したときの運転席及び助手席における空気の流路を示す模式正面図。
【
図12】
図7のステップS104の比較例を実行したときの運転席及び助手席における空気の流路を示す模式正面図。
【
図13】
図7のステップS104の比較例を実行したときの運転席及び助手席における空気の流路を示す模式正面図。
【
図14】実施の形態1の変形例1における車両用シート空調装置が備えられたシートの外観を示す斜視図。
【
図15】
図14のIII-III線における車両用シート空調装置が備えられたシートの断面図。
【
図16】実施の形態1の変形例1における車両用シート空調システムの処理を示すフローチャート。
【
図17】実施の形態1の変形例1における時差制御モードを示す模式図。
【
図18】実施の形態1の変形例1における通常制御モードを示す模式図。
【
図19】実施の形態1の変形例2における車両用シート空調装置を示すブロック図。
【
図20】実施の形態1の変形例2における車両用シート空調装置230Aの処理を示すフローチャート。
【
図21】実施の形態1の変形例2における車両用シート空調装置230Bの処理を示すフローチャート。
【
図22】実施の形態1の変形例3における車両用シート空調装置330Aの処理を示すフローチャート。
【
図23】実施の形態2における第1通気口をZ軸プラス方向側から見た拡大断面図。
【
図24】実施の形態2における車両用シート空調装置430Bの処理を示すフローチャート。
【
図25】実施の形態2における車両用シート空調装置430Aの処理を示すフローチャート。
【
図26】実施の形態2の変形例における車両用シート空調装置を示すブロック図。
【
図27】実施の形態2の変形例における車両用シート空調装置530Bの処理を示すフローチャート。
【
図28】実施の形態3における車両用シート空調装置を示すブロック図。
【
図29】実施の形態3における車両用シート空調装置の処理を示すフローチャート。
【
図30】実施の形態3の変形例1における車両用シート空調装置の処理を示すフローチャート。
【
図31】実施の形態3の変形例2における車両用シート空調装置の処理を示すフローチャート。
【
図32】実施の形態4における車両用シート空調装置を示すブロック図。
【
図33】実施の形態4における車両用シート空調装置の処理を示すフローチャート。
【
図34】実施の形態4の変形例における車両用シート空調装置が備えられたシートの外観を示す斜視図。
【
図35】
図34のIV-IV線における車両用シート空調装置が備えられたシートの座部の断面図。
【
図36】実施の形態4の変形例における車両用シート空調装置の処理を示すフローチャート。
【
図37】実施の形態5における車両用シート空調システムを示すブロック図。
【
図38】実施の形態5における車両用シート空調システムの処理を示すフローチャート。
【
図39】
図38の助手席のシート位置を考慮した空調制御処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【
図40】
図38の運転席のシート位置を考慮した空調制御処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【
図41】
図38のシート位置を考慮しない空調制御処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
以下の説明において、シートの前後方向をX軸方向と称し、シートの上下方向をZ軸方向と称す。さらに、シートの左右方向、すなわちX軸方向及びZ軸方向のそれぞれに垂直な方向をY軸方向と称す。また、X軸方向における、シートの前側をプラス方向側と称し、シートの後側をマイナス方向側と称す。また、Y軸方向における、シートの左側(
図2を見て右手前側)をプラス方向側と称し、その反対側をマイナス方向側と称す。また、右側とは、シートに乗員が着座したとき、車両の進行方向に対して乗員の右側であり、Y軸マイナス方向側である。また、左側とは、シートに乗員が着座したとき、車両の進行方向に対して乗員の左側であり、Y軸プラス方向側である。また、Z軸方向における、シートの上側をプラス方向側と称し、シートの下側とマイナス方向側と称す。
図3以降においても、同様に適用する。
【0013】
(実施の形態1)
<構成>
図1は、車両1000の車室内に配置された実施の形態1における車両用シート空調システム3の外観を示す図である。
【0014】
図1に示すように、車両1000には、運転席1A及び助手席1Bと、センターコンソール2aと、車両用空調装置2bとが設けられている。
【0015】
運転席1A及び助手席1Bは、乗員が着座するためのシートであり、車両1000の幅方向(左右方向)に沿って並んでいる。以降、運転席1A及び助手席1Bを総称してシート1とも呼ぶ。センターコンソール2aは、運転席1Aと助手席1Bとの間である車両1000の中央部分に設けられ、運転席1Aと助手席1Bとを区切っている。なお、運転席1Aと助手席1Bとの間とは、運転席1Aと助手席1Bとの隙間の空間だけでなく、運転席1A及び助手席1Bを含めた運転席1Aから助手席1Bまでの意味である。センターコンソール2aは、車両1000の長さ方向に沿って長尺であり、車両1000のインストルメントパネルに接続されている。
【0016】
車両用空調装置2bは、車室内を空調するための空調装置である。具体的には、車両用空調装置2bは、車両1000の車体に搭載され、車両1000のインストルメントパネルでおおわれている。本実施の形態では、車両1000の幅方向の中央部分に配置されているエアコンディショナ等の車両用空調装置2bの吐出口2cを例示している。なお、運転席1A及び助手席1Bは、それぞれ特許請求の範囲の「第1シート」及び「第2シート」のいずれかに相当し得る。
【0017】
次に、実施の形態1における車両用シート空調システム3について説明する。車両用シート空調システム3は、複数の車両用シート空調装置30と、複数の車両用シート空調装置30を制御する制御部(
図1では図示省略)と、を備える。複数の車両用シート空調装置30は、車両1000の複数のシートにそれぞれ設けられている。
【0018】
まず、各車両用シート空調装置30について説明する。ここで、運転席1Aに備えられた車両用シート空調装置30を車両用シート空調装置30Aといい、助手席1Bに備えられた車両用シート空調装置30を車両用シート空調装置30Bという。以下の説明では、車両用シート空調装置30A及び車両用シート空調装置30Bの総称である車両用シート空調装置30について説明する。
【0019】
図2は、実施の形態1における車両用シート空調装置30が備えられたシート1の外観を示す斜視図である。
図2では、破線の矢印が第2吸気ダクト32に導かれる空気に対応し、一点鎖線の矢印が第1吐出ダクト34及び第2吐出ダクト35に導かれる空気に対応している。
図3は、
図2のI-I線における車両用シート空調装置30が備えられたシート1の断面図である。
図4は、
図2のII-II線における車両用シート空調装置30が備えられたシート1の断面図である。
図5は、
図4の破線で示す枠部における拡大断面図である。
図6は、実施の形態1における車両用シート空調システム3を示すブロック図である。
【0020】
図2~
図4に示すように、例えば車両等に装備されているシート1は、乗員の身体に空気を吐出することで、シート1に隣接するシートに着座する乗員を冷やしたり暖めたりする。具体的には、シート1は、車両1000の幅方向に沿ってシート1に隣接するシートに着座する乗員の頭部、首、肩峰、背部、腰部、臀部及び大腿部等にシート1に用いられた第1吐出口34a又は第2吐出口35aから空気を吐出することで、乗員の身体を冷やしたり暖めたりすることが可能である。例えば、運転席1Aは、助手席1Bに着座する乗員の身体に運転席1Aに用いられた第1吐出口34Aa、第2吐出口35Aaから空気を吐出し、助手席1Bは、運転席1Aに着座する乗員の身体に助手席1Bに用いられた第1吐出口34Ba、第2吐出口35Baから空気を吐出する。このようなシート1は、乗員が着座するための座部11と、シートバック13と、ヘッドレスト15と、車両用シート空調装置30と、電源部70とを備える。
【0021】
[座部11]
図2~
図4に示すように、座部11は、シート1に着座する乗員の臀部及び大腿部等を支えるシートクッションである。座部11は、クッション材に相当する第1シートパッド11aと、その第1シートパッド11aを覆う第1シートカバー11bとを有する。
【0022】
第1シートパッド11aは、例えばウレタンフォーム等からなり、座部本体を構成する。第1シートパッド11aは、厚みのある略矩形の板状であり、X-Y平面と略平行な姿勢で配置される。第1シートパッド11aは、着座する乗員の臀部及び大腿部等を支える。
【0023】
第1シートパッド11aには、第1シートカバー11bのZ軸プラス方向側の面である座面11cの第1通気口12aから吸気した空気を導くための第1吸気ダクト31が設けられている。
【0024】
なお、
図3では、第1通気口12aと第1吸気ダクト31とが一対一で対応している例を示したが、この構成に限定されるものではない。すなわち、1つの第1吸気ダクト31に対して第1通気口12aが複数形成された構成であってもよい。この場合、例えば、1つの第1吸気ダクト31に対して複数の第1通気口12aと連通するように、第1シートパッド11aと第1シートカバー11bとの間にスポンジ状のクッション部材が配置されていてもよい。
【0025】
第1吸気口31aは、シート1に乗員が着座する側のシート1の部分である座面11cに形成されている。つまり第1吸気口31aは、車室内に向けて開口している。
【0026】
本実施の形態では、第1吸気口31aは、複数形成されている。具体的には、第1吸気口31aは、シート1に乗員が着座する側の面である座面11cの中央部11c1及び外縁部に形成されている。本実施の形態では、外縁部11c2は、中央部11c1に対して第1シートパッド11aのY軸プラス方向側の外縁部11c2、及び、中央部11c1に対して第1シートパッド11aのY軸マイナス方向側の外縁部11c2である。中央部11c1の第1吸気口31aは、X軸方向に沿って複数形成され、外縁部11c2の第1吸気口31aは、中央部11c1の第1吸気口31aに対してY軸プラス方向及びY軸マイナス方向側にそれぞれ配置され、X軸方向に沿って複数形成されている。つまり、第1シートパッド11aのZ軸プラス方向側の面には、X軸方向に沿って複数形成された第1吸気口31aが、Y軸方向に並ぶように複数列形成されている。
【0027】
また、第1シートパッド11aのZ軸マイナス方向側の空間には、第2吸気口32aから吸気した空気を導くための第2吸気ダクト32が設けられている。第2吸気口32aは、シート1に乗員が着座する側の面である座面11c以外の箇所に形成されている。本実施の形態では、第2吸気口32aは、第1シートパッド11aのZ軸マイナス方向側の空間に形成され、車両1000に搭載される車両用空調装置2bと接続される。なお、本実施の形態では、第2吸気口32aが車両用空調装置2bと接続される例について説明したが、この構成に限定されない。例えば、第2吸気口32aも、第1吸気口31aと同様に車室内に向けて開口している構成であってもよい。
【0028】
また、第1シートパッド11aには、第1吸気ダクト31及び第2吸気ダクト32の他に、送風ダクト33の一部及び送風機36(送風機36A、送風機36B)等が設けられている。送風機36の駆動によって、第1シートパッド11a内の第1吸気ダクト31及び第2吸気ダクト32の少なくとも一方に空気が流入する。第1シートパッド11aのZ軸マイナス方向側の空間に形成された第1吸気ダクト31は、例えば通気ダクトで構成されている。なお、第1吸気ダクト31は、第1シートパッド11aに形成されていてもよい。この場合、第1吸気ダクト31は、第1シートパッド11aに形成された単なる貫通穴であってもよく、通気ダクトで構成されていてもよい。また、第1シートパッド11aに形成された第2吸気ダクト32は、第1シートパッド11aに形成された単なる貫通穴であってもよく、通気ダクトで構成されていてもよい。
【0029】
第1シートカバー11bは、第1シートパッド11aを覆うカバーである。第1シートカバー11bは、例えば革カバー、繊維カバー等である。
【0030】
第1シートカバー11bには、空気を吸気するための第1通気口12aが形成されている。第1通気口12aは、座部11に乗員が着座する側の面である座面11cであり、車両用シート空調装置30の第1吸気口31aと対応する位置に形成されている。本実施の形態では、第1通気口12aは、第1シートカバー11bに対してX軸方向に沿って複数形成され、且つ、Y軸方向に並ぶ複数の列が形成されている。
図2では、実線の矢印の始点が第1通気口12aに対応している。
【0031】
第1通気口12aから吸い込まれた空気は、車両用シート空調装置30の第1吸気口31aに導かれ、第1吸気口31aから吸気されて第1吸気ダクト31に導かれる。このため、第1通気口12aは、車両用シート空調装置30の駆動による第1吸気口31aからの吸引力によって、座面11c上に対流する空気を吸引する吸気口ともなる。なお、第1通気口12aは、第1吸気ダクト31の一部であってもよい。この場合、第1通気口12aは第1吸気口31aの一例となる。
【0032】
なお、本実施の形態では第1シートカバー11bは第2吸気口32aを覆っていないが、第1シートカバー11bは第2吸気口32aを覆っていてもよい。この場合、第1吸気口31aに対応する第1通気口12aと同様に、第2吸気口32aに対応する通気口が第1シートカバー11bに形成されていてもよい。当該通気口から吸気された空気は、第2吸気ダクト32に導かれてもよい。
【0033】
[シートバック13]
シートバック13は、シート1に着座する乗員の肩峰、背部及び腰部等を支える背もたれ部である。シートバック13は、Z軸方向に沿って長尺であり、座部11に対して立ち上がるように配置される。シートバック13は、クッション材に相当する第2シートパッド13aと、その第2シートパッド13aを覆う第2シートカバー13bとを有する。
【0034】
第2シートパッド13aは、例えばウレタンフォーム等からなり、Y軸を中心に回動可能な姿勢で配置される。第2シートパッド13aは、着座する乗員の肩峰、背部及び腰部等を支える。
【0035】
第2シートパッド13aには、第1吸気口31a及び第2吸気口32aから吸気された空気を吐出するための送風ダクト33の一部、第1吐出ダクト34、第2吐出ダクト35及び吐出ダクト選択切替え部37等が設けられている。第2シートパッド13aでは、送風機36の駆動によって第1シートパッド11a内の第2吸気ダクト32に流入した空気が、第1吐出ダクト34の第1吐出口34a及び第2吐出ダクト35の第2吐出口35aのうちの少なくとも一方から吐出される。第2シートパッド13aに形成された送風ダクト33、第1吐出ダクト34及び第2吐出ダクト35は、第2シートパッド13aに形成された単なる貫通穴であってもよく、通気ダクトで構成されていてもよい。
【0036】
第2シートカバー13bは、第2シートパッド13aを覆うカバーである。第2シートカバー13bは、例えば革カバー、繊維カバー等である。
【0037】
第2シートカバー13bには、吸気された空気を吐出するための第2通気口12b及び第3通気口12cが形成されている。第2通気口12bは、シート1に隣接するシートに対向するシートバック13の側面における、第1吐出ダクト34の第1吐出口34aと対応する位置に設けられている。また、第3通気口12cは、シート1に隣接するシートに対向するシートバック13の側面における、第2吐出ダクト35の第2吐出口35aと対応する位置に設けられている。
【0038】
つまり、第1吐出口34a及び第2吐出口35aは、シート1に隣接するシートに対向するシートバック13の側面に形成されている。
【0039】
このように、本実施の形態では、第2通気口12b(第1吐出口34a)及び第3通気口12c(第2吐出口35a)は、シートバック13の側面のうち、エアバッグが搭載され得る車両1000のドア側の側面ではなく、センターコンソール2a側の側面に設けられている。
【0040】
なお、第2通気口12b及び第3通気口12cは、シートバック13から側方に張り出すように設けられていてもよいし、シートバック13に埋め込むように設けられていてもよい。
【0041】
第2通気口12bは、第3通気口12cよりも鉛直上方、つまりZ軸プラス方向側に配置されている。本実施の形態では、第2通気口12bは、シート1に隣接するシートに着座する乗員の頭部、首、肩峰及び背部のうちの少なくとも1以上の箇所と対応する第2シートカバー13bの部分に形成されており、第3通気口12cは、シート1に隣接するシートに着座する乗員の腰部、臀部及び大腿部のうちの少なくとも1以上の箇所と対応する第2シートカバー13bの部分に形成されている。
【0042】
第2通気口12bは、第2吸気ダクト32、送風ダクト33及び第1吐出ダクト34に導かれて第1吐出口34aから吐出された空気が通過する。つまり、車両用シート空調装置30の稼働によって第2吸気ダクト32、送風ダクト33及び第1吐出ダクト34に導かれた空気が第1吐出口34aから吐出されると、当該空気が第2通気口12bに導かれる。このため、第2通気口12bは、シート1の外部に空気を吐出する吐出口ともなる。
【0043】
また、第3通気口12cは、第2吸気ダクト32、送風ダクト33及び第2吐出ダクト35に導かれて第2吐出口35aから吐出された空気が通過する。つまり、車両用シート空調装置30の駆動によって第2吸気ダクト32、送風ダクト33及び第2吐出ダクト35に導かれた空気が第2吐出口35aから吐出されると、当該空気が第3通気口12cに導かれる。このため、第3通気口12cは、シート1の外部に空気を吐出する吐出口ともなる。
【0044】
図5に示すように、第2通気口12bは、第1吐出ダクト34に連通する空間を有するケース12dと、そのケース12dに設けられた開口部12eとを有している。このため、第2通気口12bは、第1吐出ダクト34を流れる空気を、その開口部12eから、シート1に隣接するシートに着座する乗員又はその周囲の空間に吐出することが可能である。
【0045】
第2通気口12bの内側には、風向変更部材120としての複数の横板フィン121、リンク機構122及び駆動部122a等が設けられている。複数の横板フィン121は、第2通気口12bから吐出される空気の向きを変えるための部材である。複数の横板フィン121は、リンク機構122によって接続されている。リンク機構122は、複数の横板フィン121の向きを同時に変えることが可能なように構成されている。駆動部122aは、リンク機構122に接続されており、駆動部122aの駆動により複数の横板フィン121の向きを変えられるように構成されている。なお、第3通気口12cも同様の構成である。
【0046】
[ヘッドレスト15]
ヘッドレスト15は、シート1に着座する乗員の頭部を支える頭あて部である。ヘッドレスト15は、シートバック13のZ軸プラス方向側の端部に固定されている。
【0047】
[車両用シート空調装置30]
車両用シート空調装置30は、車両1000のシート1に用いられ、シート1に隣接するシートに着座する乗員に向けて、乗員の側方から空気を吐出することができる空調装置である。車両用シート空調装置30は、車両1000に搭載される車両用空調装置2bから空気を吸気し、吸気した空気を乗員に吐出することで、送風を実行する。このため、車両用シート空調装置30が乗員に吐出する空気は、車両用空調装置2bから送られる空気の温度が常温よりも高ければ温風となり、常温よりも低ければ冷風となる。
【0048】
図3、
図4及び
図6に示すように、車両用シート空調装置30は、送風機36と、第2吸気ダクト32と、送風ダクト33と、第1吐出ダクト34と、第2吐出ダクト35と、吐出ダクト選択切替え部37と、個別制御部71と、を備える。
【0049】
送風機36は、第1シートパッド11aに形成された第2吸気口32aから空気を吸気し、吸気した空気を第2シートパッド13aに形成された第2通気口12b及び第3通気口12cから吐出することができる。具体的には、送風機36は、個別制御部71と電気的に接続され、個別制御部71に駆動制御されることで、第1吸気口31a及び第2吸気口32aの少なくとも一方から空気を吸気し、吸気した空気を第2吸気ダクト32、送風ダクト33、吐出ダクト選択切替え部37及び第1吐出ダクト34を経由して第1吐出口34aから吐出したり、吸気した空気を第2吸気ダクト32、送風ダクト33、吐出ダクト選択切替え部37及び第2吐出ダクト35を経由して第2吐出口35aから吐出したりする。
【0050】
また、送風機36は、シート1の座部11に内蔵されている。具体的には、送風機36は、第1シートパッド11aのZ軸マイナス方向側の空間に配置されている。送風機36が駆動すると、第1シートカバー11bの第1吸気口31a及び第2吸気口32aから空気が吸気される。
【0051】
また、送風機36は、吐出ダクト選択切替え部37の上流側に配置されている。具体的には、第1吸気口31aから第1吐出口34aまで流れる空気の流路、第1吸気口31aから第2吐出口35aまで流れる空気の流路、第2吸気口32aから第1吐出口34aまで流れる空気の流路、及び、第2吸気口32aから第2吐出口35aまで流れる空気の流路において、送風機36は、吐出ダクト選択切替え部37よりも上流側に配置されている。なお、第1吸気口31a及び第2吸気口32aから吐出ダクト選択切替え部37に空気が流れ、かつ、吐出ダクト選択切替え部37から第1吐出口34a及び第2吐出口35aの少なくとも一方に空気が流れればよいため、送風機36は第2吸気ダクト32の外側に配置されていてもよい。また、送風機36は、第1シートパッド11aの外側に配置されてもよく、配置位置は特に限定されない。
【0052】
第1吸気ダクト31は、シート1に内蔵されている。具体的には、第1吸気ダクト31は、座部11の座面11cから送風機36に至るように、座部11の内部に配置されている。
【0053】
また、第1吸気ダクト31は、送風機36によって、シート1の座部11に設けられた第1吸気口31aから吸気された空気を送風ダクト33に導く。第1吸気ダクト31は、例えば通気ダクトで構成されている。
【0054】
第1吸気ダクト31の一端は第1吸気口31aを形成し、他端は送風機36に接続されている。つまり、第1吸気ダクト31は第1吸気口31aから送風機36に至っている。
【0055】
また、第1吸気口31aは、座部11の座面11cから空気を吸気することが可能であり、第1シートカバー11bの第1通気口12aと対応している。Z軸方向に沿って見た場合に、第1吸気口31aは、第1通気口12aと重なっている。本実施の形態では、第1吸気口31aは、第1通気口12aを介して空気を吸い込むが、直接的に空気を吸い込む構成であってもよい。
【0056】
第2吸気ダクト32は、シート1のZ軸マイナス方向側に配置されている。具体的には、第2吸気ダクト32は、座部11の座面11c以外の箇所から送風機36に至るように、第1シートパッド11aのZ軸マイナス方向側の空間に配置されている。
【0057】
第2吸気ダクト32は、第1吸気ダクト31と異なる通風路である。第2吸気ダクト32は、第2吸気口32aから送風機36によって吸気された空気を送風ダクト33に導く。第2吸気ダクト32は、例えば通気ダクトで構成されている。
【0058】
第2吸気ダクト32の一端は第2吸気口32aを形成し、他端は送風機36に接続されている。つまり、第2吸気ダクト32は、第2吸気口32aから送風機36に至っている。
【0059】
また、第2吸気口32aは、第1吸気口31aと異なる吸気口である。第2吸気口32aは、座部11の座面11c以外の箇所に形成されている。本実施の形態では、第2吸気口32aは、第1シートパッド11aのZ軸マイナス方向側の空間に形成され、車両1000に搭載される車両用空調装置2bと接続される。
【0060】
送風ダクト33は、シート1に内蔵されている。具体的には、送風ダクト33は、送風機36から吐出ダクト選択切替え部37に至るようにシート1の内部に配置されており、送風ダクト33の一部は第1シートパッド11aのZ軸マイナス方向側の空間に配置され、送風ダクト33の残りの一部はシートバック13の内部に配置されている。
【0061】
送風ダクト33は、第1吸気ダクト31及び第2吸気ダクト32と異なる通風路である。送風ダクト33は、送風機36によって第1吸気ダクト31及び第2吸気ダクト32に導かれた空気を吐出ダクト選択切替え部37に導く。送風ダクト33は、例えば通気ダクトで構成されている。
【0062】
送風ダクト33の一端は送風機36に接続され、他端は吐出ダクト選択切替え部37に接続されている。つまり、送風ダクト33は、送風機36から吐出ダクト選択切替え部37に至っている。
【0063】
第1吐出ダクト34は、第1吸気ダクト31、第2吸気ダクト32及び送風ダクト33と異なる通風路である。第1吐出ダクト34は、送風機36によって送風ダクト33から導かれた空気を、吐出ダクト選択切替え部37からシート1に設けられる第1吐出口34aまで導く。具体的には、第1吐出ダクト34は、第1吸気口31aから吸気されて第1吸気ダクト31を通って送風ダクト33に導かれた空気、及び、第2吸気口32aから吸気されて第2吸気ダクト32を通って送風ダクト33に導かれた空気を第1吐出口34aに導く。
【0064】
第1吐出ダクト34は、例えば通気ダクトで構成されている。第1吐出ダクト34の一端は第1吐出口34aを形成し、他端は吐出ダクト選択切替え部37に接続されている。
【0065】
なお、第1吐出ダクト34は、送風機36を介して吐出ダクト選択切替え部37に接続されていてもよい。第1吐出口34aは、第2シートカバー13bの第2通気口12bと対応している。Y軸方向に沿ってみた場合に、第1吐出口34aは、第2通気口12bと重なっている。本実施の形態では、第1吐出口34aは、第2通気口12bを介して空気を吐出するが、直接的に空気を吐出する構成であってもよい。
【0066】
第1吐出ダクト34は、シート1に内蔵されている。具体的には、第1吐出ダクト34は、シートバック13の内部に配置されている。
【0067】
第1吐出ダクト34は、吐出ダクト選択切替え部37から第1吐出口34aに至っている。第1吐出ダクト34の一端である第1吐出口34aは、シート1に隣接するシートに着座する乗員の頭部、首、肩峰、背部、腰部、臀部及び大腿部のうちの少なくとも1以上の箇所と対応する位置に配置されている。
【0068】
第2吐出ダクト35は、第1吸気ダクト31、第2吸気ダクト32、送風ダクト33及び第1吐出ダクト34とは異なる通風路であり、送風機36によって送風ダクト33から導かれた空気を、吐出ダクト選択切替え部37からシート1に設けられる第2吐出口35aまで導く。
【0069】
具体的には、第2吐出ダクト35は、第1吸気口31aから吸気されて第1吸気ダクト31を通って送風ダクト33に導かれた空気、及び、第2吸気口32aから吸気されて第2吸気ダクト32を通って送風ダクト33に導かれた空気を第2吐出口35aに導く。第2吐出ダクト35は、例えば通気ダクトで構成されている。第2吐出ダクト35の一端は第2吐出口35aを形成し、他端は吐出ダクト選択切替え部37に接続されている。なお、第2吐出ダクト35は、送風機36を介して吐出ダクト選択切替え部37に接続されていてもよい。
【0070】
第2吐出口35aは、第2シートカバー13bの第3通気口12cと対応している。Y軸方向に沿ってみた場合に、第2吐出口35aは、第3通気口12cと重なっている。本実施の形態では、第2吐出口35aは、第3通気口12cを介して空気を吐出するが、直接的に空気を吐出する構成であってもよい。
【0071】
第2吐出ダクト35は、シート1に内蔵されている。具体的には、第2吐出ダクト35は、シートバック13の内部に配置されている。
【0072】
第2吐出ダクト35は、吐出ダクト選択切替え部37から第2吐出口35aに至っている。第2吐出ダクト35の一端である第2吐出口35aは、シート1に隣接するシートに着座する乗員の頭部、首、肩峰、背部、腰部、臀部及び大腿部のうちの少なくとも1以上の箇所と対応する位置に配置されている。
【0073】
このような第2吸気ダクト32、第1吐出ダクト34及び第2吐出ダクト35の構成により、第1吸気口31a、第2吸気口32a、第1吐出口34a及び第2吐出口35aは、以下の関係がある。第1吸気口31a及び第2吸気口32aは、第1吐出口34a及び第2吐出口35aよりも鉛直下方に配置されている。また、第1吐出口34aは、第2吐出口35aよりも鉛直上方に配置されている。これにより、車両1000に搭載される車両用空調装置2bから吸気した空気を、乗員の頭部、首、肩峰、背部、腰部、臀部及び大腿部等に対応する箇所から吐出することで、シート1に隣接するシートに着座した乗員に空気を吹き付ける。
【0074】
吐出ダクト選択切替え部37は、送風機36よりも第1吐出口34a及び第2吐出口35a側に設けられ、第1吐出ダクト34及び第2吐出ダクト35のうちの少なくとも1以上の通風路を選択して切り替え、送風ダクト33に導かれた空気を当該選択した通風路に導く。吐出ダクト選択切替え部37は、ダンパ等で構成され、空気の流路、つまり通風路を切り替えることができる。送風ダクト33に導かれる空気において、吐出ダクト選択切替え部37は、送風機36よりも下流側に配置されている。吐出ダクト選択切替え部37は、送風ダクト33に導かれた空気を、第1吐出ダクト34のみ又は第2吐出ダクト35のみのいずれかに選択的に導くことが可能である。
【0075】
具体的には、吐出ダクト選択切替え部37は、第1モードと、第2モードとを有する。第1モードは、送風ダクト33と第1吐出ダクト34とを接続するモードである。第1モードでは、吐出ダクト選択切替え部37は、送風ダクト33から導かれた空気を第1吐出ダクト34だけに導くことで第1吐出口34aから空気を吐出する。第2モードは、送風ダクト33と第2吐出ダクト35とを接続するモードである。第2モードでは、吐出ダクト選択切替え部37は、送風ダクト33から導かれた空気を第2吐出ダクト35に導くことで第2吐出口35aから空気を吐出する。吐出ダクト選択切替え部37は、個別制御部71と電気的に接続され、個別制御部71に駆動制御されることで、第1モード及び第2モードのいずれかのモードを選択する。
【0076】
[個別制御部71]
個別制御部71は、送風機36及び吐出ダクト選択切替え部37を制御する。個別制御部71は、送風機36及び吐出ダクト選択切替え部37に流す電流のオン/オフを切り替えたり電流値を変更することで送風機36の出力を制御したりするマイクロコンピュータである。また、個別制御部71は、第1モード及び第2モードのうちからいずれかのモードを選択することで、吐出ダクト選択切替え部37のモードを切り替える。
【0077】
[電源部70]
電源部70は、個別制御部71等を介して、送風機36及び吐出ダクト選択切替え部37に電力を供給する電源回路である。ここでは、電源部70は図示しないバッテリから供給される直流電源である。電源部70(電源部70A、電源部70B)は、個別制御部71によって制御されることで、送風機36及び吐出ダクト選択切替え部37に供給する電流を調節する。
【0078】
[車両用シート空調システム3]
図6に示すように、車両用シート空調システム3は、車両用シート空調装置30Aと、車両用シート空調装置30Bと、制御部60と、操作部65と、を備える。車両用シート空調装置30Aは、運転席1Aに用いられる車両用シート空調装置であり、運転席1Aに隣接する助手席1Bに着座する乗員に向けて空気を吐出することができる空調装置である。車両用シート空調装置30Bは、助手席1Bに用いられる車両用シート空調装置であり、助手席1Bに隣接する運転席1Aに着座する乗員に向けて空気を吐出することができる空調装置である。
【0079】
本実施の形態における制御部60は、運転席1A側の個別制御部71A及び助手席1B側の個別制御部71Bの上位システムとして配置されている。制御部60はマイクロコンピュータから構成されており、個別制御部71A及び個別制御部71Bに対して電気的に接続されている。
【0080】
制御部60は、個別制御部71A及び個別制御部71Bに対して制御信号を出力して、車両用シート空調装置30A及び車両用シート空調装置30Bの作動を制御することができ、車両用シート空調装置30A及び車両用シート空調装置30Bの作動を協調させることができる。
【0081】
また、制御部60には、操作部65が電気的に接続されている。操作部65は、車両1000に搭載された入力インターフェイスであり、乗員の操作入力を受け付けることで、例えば車両用シート空調装置30A及び車両用シート空調装置30Bの温度、風量及び吐出目標位置等の設定指示を制御部60に出力する。なお、操作部65は、車両用のコントロールパネル、タブレット端末、スマートフォン等である。
【0082】
制御部60は、操作部65から、運転席1Aに着座する乗員及び助手席1Bに着座する乗員のそれぞれに対する吐出目標位置を取得する。本実施の形態では、吐出目標位置として、乗員の頭部、首、肩峰及び背部のうちの少なくとも1以上の箇所と対応する第1部分、又は、乗員の腰部、臀部及び大腿部のうちの少なくとも1以上の箇所と対応する第2部分が選択される。制御部60は、操作部65に対する乗員の操作入力に基づいて、運転席1A側に対する吐出目標位置及び助手席1B側に対する吐出目標位置を取得する。
【0083】
そして、制御部60は、運転席1A側に対する吐出目標位置に空気を吐出するように、車両用シート空調装置30Bの吐出ダクト選択切替え部37Bを制御して第1モード及び第2モードのいずれかのモードを選択し、選択したモードに対応する吐出口の横板フィン121を制御して吐出方向を調節する。
【0084】
また、制御部60は、助手席1B側に対する吐出目標位置に空気を吐出するように、車両用シート空調装置30Aの吐出ダクト選択切替え部37Aを制御して第1モード及び第2モードのいずれかのモードを選択し、選択したモードに対応する吐出口の横板フィン121を制御して吐出方向を調節する。
【0085】
なお、吐出目標位置として、乗員の頭部、首、肩峰及び背部のうちの少なくとも1以上の箇所と対応する第1部分、又は、乗員の頭部、首、肩峰及び背部のうちの少なくとも1以上の箇所と対応し、第1部分とは異なる第2部分が選択される構成としてもよい。あるいは、吐出目標位置として、乗員の腰部、臀部及び大腿部のうちの少なくとも1以上の箇所と対応する第1部分、又は、乗員の腰部、臀部及び大腿部のうちの少なくとも1以上の箇所と対応し、第1部分とは異なる第2部分が選択される構成としてもよい。また、吐出目標位置は、上述した第1部分及び第2部分だけでなく、第1部分及び第2部分とは異なる第3部分を含む3以上の部分から選択されてもよい。
【0086】
また、車両用シート空調システム3には、乗員の皮膚温度を検知する温度センサが設けられていてもよい。このような温度センサは、例えば、赤外線等で乗員の皮膚温度を検知する非接触温度計やサーモグラフィ等である。この温度センサは、検知した温度を示す情報を制御部60に出力してもよく、制御部60は、操作部65に対する乗員の操作入力の代わりに当該温度を示す情報に基づいて車両用シート空調装置30A及び車両用シート空調装置30Bを制御してもよい。
【0087】
<処理>
図7は、実施の形態1における車両用シート空調システム3の処理を示すフローチャートである。
図8は、
図7のステップS104を実行したときの運転席1A及び助手席1Bにおける空気の流路を示す模式正面図である。
図9は、
図7のステップS105を実行したときの運転席1A及び助手席1Bにおける空気の流路を示す模式正面図である。
図10は、
図7のステップS107を実行したときの運転席1A及び助手席1Bにおける空気の流路を示す模式正面図である。
図11は、
図7のステップS108を実行したときの運転席1A及び助手席1Bにおける空気の流路を示す模式正面図である。
【0088】
図7のフローチャートでは、運転席1A及び助手席1Bに設けられた車両用シート空調装置30の機能がいずれもオンになった場合に開始する構成とすればよい。車両用シート空調装置30の機能のオン又はオフは、操作部65で受け付ける入力操作に応じて切り替えられる構成とすればよい。
【0089】
まず、ステップS101において、制御部60は、各車両用シート空調装置30の吐出目標位置、すなわち、運転席1A側に対する車両用シート空調装置30Bの吐出目標位置及び助手席1B側に対する車両用シート空調装置30Aの吐出目標位置を取得する。制御部60は、取得した各車両用シート空調装置30の吐出目標位置に基づいて、各車両用シート空調装置30の吐出ダクト選択切替え部37のモードを切り替える。
【0090】
具体的には、ステップS102において、制御部60は、運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。すなわち、制御部60は、車両用シート空調装置30Bの吐出目標位置が、運転席1Aに着座する乗員の頭部、首、肩峰及び背部のうちの少なくとも1以上の箇所であるか否かを判定する。
【0091】
制御部60により運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S102でYES)、処理はステップS103へ進む。ステップS103において、制御部60は、助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。すなわち、制御部60は、車両用シート空調装置30Aの吐出目標位置が、助手席1Bに着座する乗員の頭部、首、肩峰及び背部のうちの少なくとも1以上の箇所であるか否かを判定する。
【0092】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S103でYES)、処理はステップS104へ進む。ステップS104において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第2モードを実行させ、運転席1Aの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を上向きに調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第1モードを実行させ、助手席1Bの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS101に戻り処理を繰り返す。
【0093】
ステップS104を実行したときの運転席1A及び助手席1Bにおける空気の流路を
図8に示す。
図8に示すように、車両用シート空調装置30Aは、吸気した空気を第2吐出口35Aaから上向きに吐出することで、助手席1Bに着座している乗員の第1部分に空気を吹き付けることができる。また、車両用シート空調装置30Bは、吸気した空気を第1吐出口34Baから水平方向に吐出することで、運転席1Aに着座している乗員の第1部分に空気を吹き付けることができる。ここで、
図8では、各第1吸気ダクト31、各第2吸気ダクト32及び各送風ダクト33に導かれる空気を実線で示し、各第1吐出ダクト34又は各第2吐出ダクト35に導かれる空気を破線で示す。
【0094】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S103でNO)、処理はステップS105へ進む。ステップS105において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第2モードを実行させ、運転席1Aの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第1モードを実行させ、助手席1Bの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS101に戻り処理を繰り返す。
【0095】
ステップS105を実行したときの運転席1A及び助手席1Bにおける空気の流路を
図9に示す。
図9に示すように、車両用シート空調装置30Aは、吸気した空気を第2吐出口35Aaから水平方向に吐出することで、助手席1Bに着座している乗員の第2部分に空気を吹き付けることができる。また、車両用シート空調装置30Bは、吸気した空気を第1吐出口34Baから水平方向に吐出することで、運転席1Aに着座している乗員の第1部分に空気を吹き付けることができる。ここで、
図9では、各第1吸気ダクト31、各第2吸気ダクト32及び各送風ダクト33に導かれる空気を実線で示し、各第1吐出ダクト34又は各第2吐出ダクト35に導かれる空気を破線で示す。
【0096】
制御部60により運転席1A側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S102でNO)、処理はステップS106へ進む。ステップS106において、制御部60は、助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。
【0097】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S106でYES)、処理はステップS107へ進む。ステップS107において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第1モードを実行させ、運転席1Aの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させ、助手席1Bの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS101に戻り処理を繰り返す。
【0098】
ステップS107を実行したときの運転席1A及び助手席1Bにおける空気の流路を
図10に示す。
図10に示すように、車両用シート空調装置30Aは、吸気した空気を第1吐出口34Aaから水平方向に吐出することで、助手席1Bに着座している乗員の第1部分に空気を吹き付けることができる。また、車両用シート空調装置30Bは、吸気した空気を第2吐出口35Baから水平方向に吐出することで、運転席1Aに着座している乗員の第2部分に空気を吹き付けることができる。ここで、
図10では、各第1吸気ダクト31、各第2吸気ダクト32及び各送風ダクト33に導かれる空気を実線で示し、各第1吐出ダクト34又は各第2吐出ダクト35に導かれる空気を破線で示す。
【0099】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S106でNO)、処理はステップS108へ進む。ステップS108において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第1モードを実行させ、運転席1Aの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を下向きに調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させ、助手席1Bの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS101に戻り処理を繰り返す。
【0100】
ステップS108を実行したときの運転席1A及び助手席1Bにおける空気の流路を
図11に示す。
図11に示すように、車両用シート空調装置30Aは、吸気した空気を第1吐出口34Aaから下向きに吐出することで、助手席1Bに着座している乗員の第2部分に空気を吹き付けることができる。また、車両用シート空調装置30Bは、吸気した空気を第2吐出口35Baから水平方向に吐出することで、運転席1Aに着座している乗員の第2部分に空気を吹き付けることができる。ここで、
図11では、各第1吸気ダクト31、各第2吸気ダクト32及び各送風ダクト33に導かれる空気を実線で示し、各第1吐出ダクト34又は各第2吐出ダクト35に導かれる空気を破線で示す。
【0101】
なお、この処理では、ステップS102,S103,S106において、判定処理の順番は適宜入れ替えてもよい。例えば、制御部60は、ステップS102において助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定し、ステップS103及びS106において運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分か否かを判定してもよい。
【0102】
また、ステップS104,S105,S107,S108において、各車両用シート空調装置30の制御は上述したものに限られない。例えば、ステップS104において、制御部60は、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第1吐出口34Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第2吐出口35Baから上向きに吐出するように制御してもよい。
【0103】
また、ステップS105において、制御部60は、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第1吐出口34Aaから下向きに吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第1吐出口34Baから水平方向に吐出するように制御してもよい。あるいは、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第2吐出口35Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第2吐出口35Baから上向きに吐出するように制御してもよい。
【0104】
また、ステップS107において、制御部60は、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第2吐出口35Aaから上向きに吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第2吐出口35Baから水平方向に吐出するように制御してもよい。あるいは、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第1吐出口34Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第1吐出口34Baから下向きに吐出するように制御してもよい。
【0105】
また、ステップS108において、制御部60は、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第2吐出口35Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第1吐出口34Baから下向きに吐出するように制御してもよい。
【0106】
ここで、ステップS104,S105,S107,S108において、制御部60は、吐出方向及び吐出ダクト選択切替え部37のモードを所定時間ごとに切り替えるように制御してもよい。
【0107】
例えば、ステップS104において、制御部60は、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第2吐出口35Aaから上向きに吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第1吐出口34Baから水平方向に吐出する制御と、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第1吐出口34Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第2吐出口35Baから上向きに吐出する制御とを、所定時間ごとに切り替えるように制御してもよい。所定時間とは、例えば5秒~10秒の間の任意の時間である。なお、ここでいう所定時間は、車室内の温度環境、乗員の指示、運転の状況等によって可変であってもよい。また、所定時間は、ゆらぎ特性を有する不規則な間隔であってもよい。ゆらぎ特性は、例えば、1/fゆらぎ特性などである。
【0108】
また、ステップS105において、制御部60は、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第2吐出口35Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第1吐出口34Baから水平方向に吐出する制御と、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第1吐出口34Aaから下向きに吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第1吐出口34Baから水平方向に吐出する制御とを、所定時間ごとに切り替えるように制御してもよい。
【0109】
あるいは、上記のいずれかの制御と、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第2吐出口35Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第2吐出口35Baから上向きに吐出する制御とを、所定時間ごとに切り替えるように制御してもよい。
【0110】
また、ステップS107において、制御部60は、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第1吐出口34Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第2吐出口35Baから水平方向に吐出する制御と、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第2吐出口35Aaから上向きに吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第2吐出口35Baから水平方向に吐出する制御とを、所定時間ごとに切り替えるように制御してもよい。
【0111】
あるいは、上記のいずれかの制御と、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第1吐出口34Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第1吐出口34Baから下向きに吐出する制御とを、所定時間ごとに切り替えるように制御してもよい。
【0112】
また、ステップS108において、制御部60は、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第1吐出口34Aaから下向きに吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第2吐出口35Baから水平方向に吐出する制御と、車両用シート空調装置30Aについては吸気した空気を第2吐出口35Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置30Bについては吸気した空気を第1吐出口34Baから下向きに吐出する制御とを、所定時間ごとに切り替えるように制御してもよい。
【0113】
<作用効果>
次に、本実施の形態における車両用シート空調システム3の作用効果について説明する。
【0114】
上述したように、本実施の形態の車両用シート空調システム3は、車両1000の複数のシート1にそれぞれ設けられた複数の車両用シート空調装置30と、各車両用シート空調装置30を制御する制御部60とを備える。各車両用シート空調装置30は、送風機36と、送風機36によって導かれた空気をシート1の側面に設けられた吐出口(第1吐出口34a及び第2吐出口35aを含む)まで導く吐出ダクト(第1吐出ダクト34及び第2吐出ダクト35を含む)とを備える。そして、制御部60は、複数の車両用シート空調装置30のそれぞれからの空気の吐出目標位置を取得し、吐出目標位置に基づいて、吐出口から吐出する空気の吐出タイミング、空気の吐出方向及び空気を吐出する吐出口の選択の少なくとも1つを制御する。
【0115】
これによれば、各車両用シート空調装置30から吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。このため、各シート1に用いられる車両用シート空調装置30は、隣接するシートに着座する乗員の吐出目標位置に向けてより確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0116】
より具体的には、本実施の形態の複数の車両用シート空調装置30は、車両1000の左右方向に隣接する2つのシート1である運転席1A及び助手席1Bにそれぞれ用いられる車両用シート空調装置30A及び車両用シート空調装置30Bである。また、吐出口は、運転席1Aの助手席1Bに対向する側面と、助手席1Bの運転席1Aに対向する側面とにそれぞれ設けられる。また、制御部60は、吐出目標位置に基づいて、運転席1A及び助手席1Bのそれぞれに設けられた吐出口から吐出する空気の干渉を低減するように、吐出方向及び空気を吐出する吐出口の選択を設定する。
【0117】
これによれば、車両1000の左右方向に隣接する運転席1A及び助手席1Bにそれぞれ用いられる車両用シート空調装置30A及び車両用シート空調装置30Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。
【0118】
特に、シート1の吐出口は、シート1の隣接するシートに対向する側面に配置されているため、エアバッグ等の設けられていない箇所に吐出口を設けることができる。これにより、エアバッグ等の動作を妨げることなく空調を実行することができ、また、隣接するシートに着座する乗員の吐出目標位置に向けて更に確実に空気を吐出しやすい。
【0119】
また、シート1に設けられた車両用シート空調装置30が隣接するシートの空調を行うため、隣接するシートに着座する乗員の体格や衣服の影響を受けにくく、隣接するシートに着座する乗員の吐出目標位置に向けて空気を吐出しやすい。
【0120】
また、本実施の形態の車両用シート空調システム3では、吐出口は、運転席1A及び助手席1Bにそれぞれ複数設けられている。また、吐出ダクトは、送風機36によって導かれた空気を、複数の吐出口である第1吐出口34a及び第2吐出口35aからそれぞれ吐出する第1吐出ダクト34及び第2吐出ダクト35を含む。また、各車両用シート空調装置30は、通風路を選択する吐出ダクト選択切替え部37を更に備える。また、吐出ダクト選択切替え部37は、送風機36によって導かれた空気を第1吐出ダクト34に導く第1モードと、送風機36によって導かれた空気を第2吐出ダクト35に導く第2モードとを有する。また、制御部60は、吐出目標位置に基づいて、運転席1A及び助手席1Bのそれぞれについて、吐出ダクト選択切替え部37の第1モード及び第2モードであるモードを切り替えることで、空気を吐出する吐出口の選択を制御する。
【0121】
これによれば、運転席1A及び助手席1Bにそれぞれ複数の吐出口が設けられている場合にも、車両用シート空調装置30A及び車両用シート空調装置30Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。
【0122】
さらに、第2吐出口35aは、第1吐出口34aよりも下方に設けられている。
【0123】
これによれば、制御部60は、上下方向にずれて配置された第1吐出口34a及び第2吐出口35aのうちのいずれかの吐出口に対応するモードを選択することができるため、車両用シート空調装置30A及び車両用シート空調装置30Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを更に低減し得る。
【0124】
さらに、吐出目標位置は、隣接するシートに着座する乗員の第1部分と、乗員の第1部分よりも下方の第2部分とを含む乗員の複数の部分から選択される。また、制御部60は、吐出目標位置に基づいて、吐出方向及び吐出ダクト選択切替え部37のモードを制御する。
【0125】
これによれば、車両用シート空調装置30A及び車両用シート空調装置30Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減しながら、制御部60は、隣接するシートに着座する乗員の第1部分又は第2部分等に向けてより確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対して快適な空調環境を提供することができる。
【0126】
さらに、制御部60は、吐出目標位置に基づいて、吐出方向及び吐出ダクト選択切替え部37のモードを所定時間ごとに切り替える。
【0127】
これによれば、車両用シート空調装置30A及び車両用シート空調装置30Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減しながら、シートに着座する乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。より詳細には、乗員に対して同じ吐出口から同じ吐出方向で空気を吐出し続けた場合、局所的に冷えすぎたりして、乗員が不快に感じる場合があるが、この制御によれば、乗員の不快感を低減し、乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0128】
なお、このとき、制御部60は、車両用シート空調装置30A及び車両用シート空調装置30Bの両方の吐出方向及び吐出ダクト選択切替え部37のモードを所定時間ごとに切り替えてもよいし、一方の吐出方向及び吐出ダクト選択切替え部37のモードのみを所定時間ごとに切り替えてもよい。これによれば、運転席1Aに着座する乗員及び助手席1Bに着座する乗員の少なくとも一方の不快感を低減し、当該乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0129】
ここで、比較例の車両用シート空調システムについて説明する。
【0130】
図12及び
図13は、
図7のステップS104の比較例を実行したときの運転席1A及び助手席1Bにおける空気の流路を示す模式正面図である。
【0131】
図12に示す比較例では、車両用シート空調装置30Aは吸気した空気を第1吐出口34Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置30Bは吸気した空気を第1吐出口34Baから水平方向に吐出している。この場合、各車両用シート空調装置30が吐出した空気が互いに干渉し、当該空気が分散したり、空気の風軸が曲がったりして、空気の流れの乱れが発生するため、運転席1Aに着座している乗員の第1部分及び助手席1Bに着座している乗員の第1部分に吐出される空気が少なくなるおそれがある。
【0132】
また、
図13に示す比較例では、車両用シート空調装置30Aは吸気した空気を第2吐出口35Aaから上向きに吐出し、車両用シート空調装置30Bは吸気した空気を第2吐出口35Baから上向きに吐出している。この場合にも、各車両用シート空調装置30が吐出した空気が互いに干渉し、当該空気が分散したり、空気の風軸が曲がったりして、空気の流れの乱れが発生するため、運転席1Aに着座している乗員の第1部分及び助手席1Bに着座している乗員の第1部分に吐出される空気が少なくなるおそれがある。
【0133】
これらの比較例に対し、本実施の形態の車両用シート空調システム3では、吐出目標位置に基づいて、吐出方向及び吐出ダクト選択切替え部37のモードを制御することができるため、各車両用シート空調装置30から吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。したがって、各車両用シート空調装置30は、隣接するシートに着座する乗員の吐出目標位置に向けてより確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対して快適な空調環境を提供することができる。
【0134】
(実施の形態1の変形例1)
本変形例では、吐出口134aが各シート1のシートバック13の側面に1つずつ設けられる点で、実施の形態1の車両用シート空調システムと相違する。つまり、実施の形態1では各シート1に第1吐出口34aと第2吐出口35aとが設けられていたが、本変形例では1つの吐出口134aが設けられている。また、本変形例の車両用シート空調システム3aに備えられる各車両用シート空調装置130には、吐出ダクト選択切替え部は備えられていない。本変形例における他の構成は実施の形態1と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0135】
図14は、実施の形態1の変形例1における車両用シート空調装置130が備えられたシート1の外観を示す斜視図である。
図14では、破線の矢印が第2吸気ダクト32に導かれる空気に対応し、一点鎖線の矢印が吐出ダクト134に導かれる空気に対応している。
図15は、
図14のIII-III線における車両用シート空調装置130が備えられたシート1の断面図である。
【0136】
図14及び
図15に示すように、本変形例では、シートバック13の第2シートパッド13aには、第2吸気口32aから吸気された空気を吐出するための送風ダクト33の一部及び吐出ダクト134等が設けられている。また、第2シートカバー13bには、吸気された空気を吐出するための第4通気口112bが形成されている。第4通気口112bは、シート1に隣接するシートに対向するシートバック13の側面における、吐出ダクト134の吐出口134aと対応する位置に設けられている。なお、第4通気口112bの構成は、実施の形態1における第2通気口12b及び第3通気口12cと同様である。本変形例では、第4通気口112bは、シート1に隣接するシートに着座する乗員の背部と対応する第2シートカバー13bの部分に形成されている。
【0137】
また、運転席1Aに設けられる吐出口134Aaは、助手席1Bに設けられる吐出口134Baと対応する高さの位置に設けられる。対応する高さとは、同等の高さを指すが、厳密に同じ高さに限定するものではない。
【0138】
図16は、実施の形態1の変形例1における車両用シート空調システム3aの処理を示すフローチャートである。
図17は、実施の形態1の変形例1における時差制御モードを示す模式図である。
図18は、実施の形態1の変形例1における通常制御モードを示す模式図である。
【0139】
図16のフローチャートでは、運転席1A及び助手席1Bに設けられた車両用シート空調装置130の機能がいずれもオンになった場合に開始する構成とすればよい。車両用シート空調装置130の機能のオン又はオフは、操作部65で受け付ける入力操作に応じて切り替えられる構成とすればよい。
【0140】
まず、ステップS201において、制御部60は、各車両用シート空調装置130の吐出目標位置、すなわち運転席1A側に対する車両用シート空調装置130Bの吐出目標位置及び助手席1B側に対する車両用シート空調装置130Aの吐出目標位置を取得する。制御部60は、取得した各車両用シート空調装置130の吐出目標位置に基づいて、各車両用シート空調装置130の送風機36を制御する。
【0141】
具体的には、ステップS202において、制御部60は、運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。すなわち、制御部60は、車両用シート空調装置130Bの吐出目標位置が、運転席1Aに着座する乗員の頭部、首、肩峰及び背部のうちの少なくとも1以上の箇所であるか否かを判定する。
【0142】
制御部60により運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S202でYES)、処理はステップS203へ進む。ステップS203において、制御部60は、助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。すなわち、制御部60は、車両用シート空調装置130Aの吐出目標位置が、助手席1Bに着座する乗員の頭部、首、肩峰及び背部のうちの少なくとも1以上の箇所であるか否かを判定する。
【0143】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S203でYES)、処理はステップS204へ進む。ステップS204において、制御部60は、運転席1Aの第4通気口112bの横板フィン121を制御して吐出方向を上向きに調節し、助手席1Bの第4通気口112bの横板フィン121を制御して吐出方向を上向きに調節する。さらに、制御部60は、各シート1の送風機36を制御し、時差制御モードを実行する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS201に戻り処理を繰り返す。
【0144】
ここで、時差制御モードについて、
図17を用いて説明する。
図17では、横軸を時間軸とし、時刻t0~t4は所定の間隔で設定される時刻である。所定の間隔とは、例えば10秒である。そして、時刻t0と時刻t1との間及び時刻t2と時刻t3との間の期間を第1期間T1とし、時刻t1と時刻t2との間及び時刻t3と時刻t4との間の期間を第2期間T2とする。つまり、第1期間T1及び第2期間T2は、それぞれ所定の間隔に対応する期間であり、交互に連続して設定される期間である。なお、第1期間T1及び第2期間T2は、連続して設定されていなくてもよい。例えば、第1期間T1と第2期間T2との間に間隔を設けてもよい。また、第1期間T1の途中から第2期間T2を開始してもよい。
【0145】
図17に示すように、制御部60は、第1期間T1において、運転席1Aの送風機36Aをオフにし、助手席1Bの送風機36Bをオンにする。その後、制御部60は、第2期間T2において、運転席1Aの送風機36Aをオンにし、助手席1Bの送風機36Bをオフにする。制御部60は、その後も第1期間T1及び第2期間T2の制御を繰り返す。このように、制御部60は、助手席1Bの送風機36Bをオンにする第1期間T1と、運転席1Aの送風機36Aをオンにする第2期間T2とをずらすことにより、時差制御モードを実行する。
【0146】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S203でNO)、処理はステップS205へ進む。ステップS205において、制御部60は、運転席1Aの第4通気口112bの横板フィン121を制御して吐出方向を下向きに調節し、助手席1Bの第4通気口112bの横板フィン121を制御して吐出方向を上向きに調節する。このとき、制御部60は、各シート1の送風機36を制御し、通常制御モードを実行する。通常制御モードとは、
図18に示すように、運転席1Aの送風機36Aをオンにする期間と、助手席1Bの送風機36Bをオンにする期間とをずらさず、送風機36A及び送風機36Bを同時にオンにして動作させるモードである。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS201に戻り処理を繰り返す。
【0147】
制御部60により運転席1A側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S202でNO)、処理はステップS206へ進む。ステップS206において、制御部60は、助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。
【0148】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S206でYES)、処理はステップS207へ進む。ステップS207において、制御部60は、運転席1Aの第4通気口112bの横板フィン121を制御して吐出方向を上向きに調節し、助手席1Bの第4通気口112bの横板フィン121を制御して吐出方向を下向きに調節する。このとき、制御部60は、各シート1の送風機36を制御し、通常制御モードを実行する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS201に戻り処理を繰り返す。
【0149】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S206でNO)、処理はステップS208へ進む。ステップS208において、制御部60は、運転席1Aの第4通気口112bの横板フィン121を制御して吐出方向を下向きに調節し、助手席1Bの第4通気口112bの横板フィン121を制御して吐出方向を下向きに調節する。さらに、制御部60は、各シート1の送風機36を制御し、時差制御モードを実行する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS201に戻り処理を繰り返す。
【0150】
上述したように、本変形例の車両用シート空調システム3aでは、吐出口は、運転席1A及び助手席1Bにそれぞれ1つずつ設けられている。そして、制御部60は、吐出目標位置に基づいて、運転席1A及び助手席1Bのそれぞれに設けられた吐出口134aから吐出する空気の吐出タイミングをずらす。
【0151】
これによれば、運転席1A及び助手席1Bにそれぞれ1つずつ吐出口が設けられている場合にも、車両用シート空調装置130A及び車両用シート空調装置130Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。
【0152】
また、制御部60は、吐出目標位置に基づいて、運転席1A及び助手席1Bにそれぞれ設けられた吐出口134aから吐出される空気が互いに干渉するか否かを判定する。制御部60は、干渉すると判定した場合、運転席1Aに設けられた吐出口134Aaから、第1時間帯に空気を吐出し、第1時間帯と異なる第2時間帯に空気を吐出しないように、運転席1Aに設けられた車両用シート空調装置130Aを制御し、助手席1Bに設けられた吐出口134Baから、第2時間帯に空気を吐出し、第1時間帯に空気を吐出しないように、助手席1Bに設けられた車両用シート空調装置130Bを制御する。
【0153】
これによれば、運転席1Aに設けられた吐出口134Aaから空気を吐出する吐出タイミングと、助手席1Bに設けられた吐出口134Baから空気を吐出する吐出タイミングとをずらすことができる。このため、車両用シート空調装置130A及び車両用シート空調装置130Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。
【0154】
また、第1時間帯は、第2時間帯の後に連続する時間帯であり、第2時間帯は、第1時間帯の後に連続する時間帯である。
【0155】
これによれば、連続する時間帯である第1時間帯及び第2時間帯において、車両用シート空調装置130A及び車両用シート空調装置130Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。
【0156】
さらに、吐出目標位置は、隣接するシートに着座する乗員の第1部分と、乗員の第1部分よりも下方の第2部分とを含む乗員の複数の部分から選択される。また、制御部60は、吐出目標位置に基づいて、吐出タイミング及び吐出方向の少なくとも1つを制御する。
【0157】
これによれば、車両用シート空調装置130A及び車両用シート空調装置130Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減しながら、制御部60は、隣接するシートに着座する乗員の第1部分又は第2部分に向けてより確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対して快適な空調環境を提供することができる。
【0158】
また、運転席1Aに設けられた吐出口134Aaと、助手席1Bに設けられた吐出口134Baとは、互いに対応する高さの位置に設けられている。制御部60は、各車両用シート空調装置130の吐出目標位置が、いずれも第1部分である場合、又は、いずれも第2部分である場合に、運転席1A及び助手席1Bにそれぞれ設けられた吐出口134aから吐出される空気が互いに干渉すると判定する。
【0159】
これによれば、各車両用シート空調装置130の吐出目標位置が、いずれも第1部分である場合、又は、いずれも第2部分である場合に、運転席1Aに設けられた吐出口134Aaから空気を吐出する吐出タイミングと、助手席1Bに設けられた吐出口134Baから空気を吐出する吐出タイミングとをずらすことができる。このため、車両用シート空調装置130A及び車両用シート空調装置130Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。
【0160】
例えば、運転席1A側に対する吐出目標位置と助手席1B側に対する吐出目標位置とがいずれも第1部分である場合、又は、いずれも第2部分である場合において通常制御モードを実行すると、運転席1Aの吐出口134Aaから吐出される空気と助手席1Bの吐出口134Baから吐出される空気とが互いに干渉し、空気の流れの乱れが発生する可能性がある。これにより、運転席1Aに着座している乗員と助手席1Bに着座している乗員とのそれぞれの吐出目標位置に吐出される空気が少なくなる場合がある。
【0161】
このため、本変形例では、運転席1A側に対する吐出目標位置と助手席1B側に対する吐出目標位置とがいずれも第1部分である場合、又は、いずれも第2部分である場合、制御部60は、時差制御モードを実行する。これにより、運転席1Aの吐出口134Aaから吐出される空気と助手席1Bの吐出口134Baから吐出される空気とが互いに干渉することを低減し得る。
【0162】
そして、運転席1Aに着座している乗員と助手席1Bに着座している乗員とのそれぞれの吐出目標位置に、より確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0163】
一方で、運転席1A側に対する吐出目標位置及び助手席1B側に対する吐出目標位置のうちの一方が第1部分であり他方が第2部分である場合、制御部60は、通常制御モードを実行する。言い換えれば、運転席1Aの吐出口134Aaから吐出される空気と助手席1Bの吐出口134Baから吐出される空気とが互いに干渉しにくいと認定できる場合には、制御部60は、時差制御モードを実行しない。
【0164】
(実施の形態1の変形例2)
本変形例では、車両用シート空調システムの制御部が存在せず、個別制御部271が独立して車両用シート空調装置230を制御する点で、実施の形態1の車両用シート空調装置等と相違する。本変形例における他の構成は実施の形態1等と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。特に、本変形例における車両用シート空調装置230の構成は、
図2~
図4に示した実施の形態1における車両用シート空調装置30の構成と同様である。
【0165】
図19は、実施の形態1の変形例2における車両用シート空調装置230を示すブロック図である。
【0166】
図19に示すように、運転席1Aに用いられる車両用シート空調装置230Aに備えられる個別制御部271Aには、操作部65が電気的に接続されている。個別制御部271Aは、操作部65から、助手席1Bに着座する乗員に対する吐出目標位置を取得する。また、個別制御部271Aは、助手席1Bに用いられる車両用シート空調装置230Bに備えられる個別制御部271Bから、運転席1Aに着座する乗員に対する吐出目標位置を取得する。なお、個別制御部271Aは、操作部65から、運転席1Aに着座する乗員に対する吐出目標位置を取得してもよい。
【0167】
そして、個別制御部271Aは、助手席1B側に対する吐出目標位置に空気を吐出するように、車両用シート空調装置230Aの吐出ダクト選択切替え部37Aを制御して第1モード及び第2モードのいずれかのモードを選択し、選択したモードに対応する吐出口の横板フィン121を制御して吐出方向を調節する。なお、個別制御部271は、特許請求の範囲の「制御部」に相当し得る。
【0168】
図20は、実施の形態1の変形例2における車両用シート空調装置230Aの処理を示すフローチャートである。
図21は、実施の形態1の変形例2における車両用シート空調装置230Bの処理を示すフローチャートである。
【0169】
図20及び
図21のフローチャートでは、運転席1A及び助手席1Bに設けられた車両用シート空調装置230の機能がいずれもオンになった場合に開始する構成とすればよい。車両用シート空調装置230の機能のオン又はオフは、操作部65で受け付ける入力操作に応じて切り替えられる構成とすればよい。
【0170】
図20に示すように、車両用シート空調装置230Aの個別制御部271Aは、まずステップS301において、各車両用シート空調装置230の吐出目標位置、すなわち、運転席1A側に対する車両用シート空調装置230Bの吐出目標位置及び助手席1B側に対する車両用シート空調装置230Aの吐出目標位置を取得する。個別制御部271Aは、取得した各車両用シート空調装置230の吐出目標位置に基づいて、車両用シート空調装置230Aの吐出ダクト選択切替え部37Aのモードを切り替える。
【0171】
具体的には、ステップS302において、個別制御部271Aは、助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。すなわち、個別制御部271Aは、車両用シート空調装置230Aの吐出目標位置が、助手席1Bに着座する乗員の頭部、首、肩峰及び背部のうちの少なくとも1以上の箇所であるか否かを判定する。
【0172】
個別制御部271Aにより助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S302でYES)、処理はステップS303へ進む。ステップS303において、個別制御部271Aは、運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。すなわち、個別制御部271Aは、車両用シート空調装置230Bの吐出目標位置が、運転席1Aに着座する乗員の頭部、首、肩峰及び背部のうちの少なくとも1以上の箇所であるか否かを判定する。
【0173】
個別制御部271Aにより運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S303でYES)、処理はステップS304へ進む。ステップS304において、個別制御部271Aは、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第2モードを実行させ、運転席1Aの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を上向きに調節する。そして、個別制御部271Aは、処理を終了し、ステップS301に戻り処理を繰り返す。
【0174】
個別制御部271Aにより運転席1A側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S303でNO)、処理はステップS305へ進む。ステップS305において、個別制御部271Aは、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第1モードを実行させ、運転席1Aの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、個別制御部271Aは、処理を終了し、ステップS301に戻り処理を繰り返す。
【0175】
個別制御部271Aにより助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S302でNO)、処理はステップS306へ進む。ステップS306において、個別制御部271Aは、運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。
【0176】
個別制御部271Aにより運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S306でYES)、処理はステップS307へ進む。ステップS307において、個別制御部271Aは、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第2モードを実行させ、運転席1Aの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、個別制御部271Aは、処理を終了し、ステップS301に戻り処理を繰り返す。
【0177】
個別制御部271Aにより運転席1A側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S306でNO)、処理はステップS308へ進む。ステップS308において、個別制御部271Aは、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第1モードを実行させ、運転席1Aの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を下向きに調節する。そして、個別制御部271Aは、処理を終了し、ステップS301に戻り処理を繰り返す。
【0178】
また、このとき車両用シート空調装置230Bの個別制御部271Bは、
図21に示すように、まずステップS311において、車両用シート空調装置230Bの吐出目標位置、すなわち、運転席1A側に対する車両用シート空調装置230Bの吐出目標位置を取得する。個別制御部271Bは、取得した車両用シート空調装置230Bの吐出目標位置に基づいて、車両用シート空調装置230Bの吐出ダクト選択切替え部37Bのモードを切り替える。
【0179】
具体的には、ステップS312において、個別制御部271Bは、運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。
【0180】
個別制御部271Bにより運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S312でYES)、処理はステップS313へ進む。ステップS313において、個別制御部271Bは、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第1モードを実行させ、助手席1Bの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、個別制御部271Bは、処理を終了し、ステップS311に戻り処理を繰り返す。
【0181】
個別制御部271Bにより運転席1A側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S312でNO)、処理はステップS314へ進む。ステップS314において、個別制御部271Bは、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させ、助手席1Bの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、個別制御部271Bは、処理を終了し、ステップS311に戻り処理を繰り返す。
【0182】
上述したように、本変形例の車両用シート空調装置230は、車両1000のシート1に設けられ、当該シート1以外の他のシートの空調を行う。車両用シート空調装置230は、送風機36と、送風機36によって導かれた空気をシート1の側面に設けられた吐出口(第1吐出口34a及び第2吐出口35aを含む)まで導く吐出ダクト(第1吐出ダクト34及び第2吐出ダクト35を含む)と、送風機36を制御する個別制御部271とを備える。そして、個別制御部271は、シート1及び他のシートのそれぞれから吐出される空気の吐出目標位置を取得し、吐出目標位置に基づいて、吐出口から吐出する空気の吐出方向及び空気を吐出する吐出口の選択の少なくとも1つを制御する。
【0183】
これによれば、各車両用シート空調装置230から吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。このため、シート1に用いられる車両用シート空調装置230は、隣接するシートに着座する乗員の吐出目標位置に向けてより確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対して快適な空調環境を提供することができる。
【0184】
より具体的には、本変形例の車両用シート空調装置230Aは、運転席1Aに設けられ、運転席1Aに対して車両1000の左右方向に隣接する助手席1Bの空調を行う。また、運転席1Aに設けられた吐出口は、運転席1Aの助手席1Bに対向する側面に設けられる。また、個別制御部271Aは、吐出目標位置に基づいて、運転席1A及び助手席1Bのそれぞれに設けられた吐出口から吐出する空気の干渉を低減するように、吐出方向及び空気を吐出する吐出口の選択を設定する。
【0185】
これによれば、車両1000の左右方向に隣接する運転席1A及び助手席1Bにそれぞれ用いられる車両用シート空調装置230A及び車両用シート空調装置230Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。
【0186】
また、本変形例の車両用シート空調装置230Aは、通風路を選択する吐出ダクト選択切替え部37Aを更に備える。また、運転席1Aに設けられた吐出口は、運転席1Aの側面に複数設けられている。また、吐出ダクトは、送風機36Aによって導かれた空気を、複数の吐出口である第1吐出口34Aa及び第2吐出口35Aaからそれぞれ吐出する第1吐出ダクト34A及び第2吐出ダクト35Aを含む。
【0187】
また、吐出ダクト選択切替え部37Aは、送風機36Aによって導かれた空気を第1吐出ダクト34Aに導く第1モードと、送風機36Aによって導かれた空気を第2吐出ダクト35Aに導く第2モードとを有する。また、個別制御部271Aは、吐出目標位置に基づいて、吐出ダクト選択切替え部37Aの第1モード及び第2モードであるモードを切り替えることで、空気を吐出する吐出口の選択を制御する。
【0188】
これによれば、運転席1Aに複数の吐出口が設けられている場合にも、車両用シート空調装置230A及び車両用シート空調装置230Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。
【0189】
さらに、第2吐出口35Aaは、第1吐出口34Aaよりも下方に設けられている。
【0190】
これによれば、個別制御部271Aは、上下方向にずれて配置された第1吐出口34Aa及び第2吐出口35Aaのうちのいずれかの吐出口に対応するモードを選択することができるため、車両用シート空調装置230A及び車両用シート空調装置230Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを更に低減し得る。
【0191】
さらに、吐出目標位置は、助手席1Bに着座する乗員の第1部分と、乗員の第1部分よりも下方の第2部分とを含む乗員の複数の部分から選択される。また、個別制御部271Aは、吐出目標位置に基づいて、吐出方向及び吐出ダクト選択切替え部37Aのモードを制御する。
【0192】
これによれば、車両用シート空調装置230A及び車両用シート空調装置230Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減しながら、個別制御部271Aは、助手席1Bに着座する乗員の第1部分又は第2部分等に向けてより確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対して快適な空調環境を提供することができる。
【0193】
また、本変形例では、車両用シート空調装置230Bの個別制御部271Bは、助手席1B側に対する車両用シート空調装置230Aの吐出目標位置を取得せずに、運転席1A側に対する車両用シート空調装置230Bの吐出目標位置に基づいて車両用シート空調装置230Bを制御しているが、このような場合でも、車両用シート空調装置230Aは、上述した作用効果を奏することが可能である。
【0194】
なお、本変形例では、車両用シート空調装置230Bの個別制御部271Bは、助手席1B側に対する車両用シート空調装置230Aの吐出目標位置を取得せずに、運転席1A側に対する車両用シート空調装置230Bの吐出目標位置に基づいて車両用シート空調装置230Bを制御しているが、個別制御部271Bの制御はこれに限られない。
【0195】
個別制御部271Bは、運転席1A側に対する車両用シート空調装置230Bの吐出目標位置及び助手席1B側に対する車両用シート空調装置230Aの吐出目標位置に基づいて、車両用シート空調装置230Bの吐出ダクト選択切替え部37Bのモードを選択し、選択したモードに対応する吐出口の横板フィン121を制御して吐出方向を調節してもよい。また、この場合、車両用シート空調装置230Aの個別制御部271Aは、運転席1A側に対する車両用シート空調装置230Bの吐出目標位置を取得せずに、助手席1B側に対する車両用シート空調装置230Aの吐出目標位置に基づいて車両用シート空調装置230Aを制御してもよい。
【0196】
また、ステップS304,S305,S307,S308において、個別制御部271Aは、吐出方向及び吐出ダクト選択切替え部37Aのモードを所定時間ごとに切り替え、ステップS313,S314において、個別制御部271Bは、吐出方向及び吐出ダクト選択切替え部37Bのモードを所定時間ごとに切り替えるように制御してもよい。
【0197】
例えば、ステップS304において、個別制御部271Aは、車両用シート空調装置230Aについて、吸気した空気を第2吐出口35Aaから上向きに吐出する制御と、第1吐出口34Aaから水平方向に吐出する制御とを、所定時間ごとに切り替えるように制御する。そして、ステップS313において、個別制御部271Bは、車両用シート空調装置230Bについて、吸気した空気を第1吐出口34Baから水平方向に吐出する制御と、第2吐出口35Baから上向きに吐出する制御とを、所定時間ごとに切り替えるように制御してもよい。
【0198】
このとき、ある期間においては、車両用シート空調装置230Aについては吸気した空気を第2吐出口35Aaから上向きに吐出し、車両用シート空調装置230Bについては吸気した空気を第1吐出口34Baから水平方向に吐出する制御が実行される。
【0199】
また、別のある期間においては、車両用シート空調装置230Aについては吸気した空気を第1吐出口34Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置230Bについては吸気した空気を第2吐出口35Baから上向きに吐出する制御が実行される。
【0200】
また、ステップS305において、個別制御部271Aは、車両用シート空調装置230Aについて、吸気した空気を第1吐出口34Aaから水平方向に吐出する制御と、第2吐出口35Aaから上向きに吐出する制御とを、所定時間ごとに切り替えるように制御してもよい。
【0201】
このとき、ある期間においては、車両用シート空調装置230Aについては吸気した空気を第1吐出口34Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置230Bについては吸気した空気を第2吐出口35Baから水平方向に吐出する制御が実行される。
【0202】
また、別のある期間においては、車両用シート空調装置230Aについては吸気した空気を第2吐出口35Aaから上向きに吐出し、車両用シート空調装置230Bについては吸気した空気を第2吐出口35Baから水平方向に吐出する制御が実行される。
【0203】
あるいは、個別制御部271Bは、車両用シート空調装置230Bについて、吸気した空気を第2吐出口35Baから水平方向に吐出する制御と、第1吐出口34Baから下向きに吐出する制御とを、所定時間ごとに切り替えるように制御してもよい。
【0204】
また、ステップS307において、個別制御部271Aは、車両用シート空調装置230Aについて、吸気した空気を第2吐出口35Aaから水平方向に吐出する制御と、第1吐出口34Aaから下向きに吐出する制御とを、所定時間ごとに切り替えるように制御してもよい。
【0205】
このとき、ある期間においては、車両用シート空調装置230Aについては吸気した空気を第2吐出口35Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置230Bについては吸気した空気を第1吐出口34Baから水平方向に吐出する制御が実行される。
【0206】
また、別のある期間においては、車両用シート空調装置230Aについては吸気した空気を第1吐出口34Aaから下向きに吐出し、車両用シート空調装置230Bについては吸気した空気を第1吐出口34Baから水平方向に吐出する制御が実行される。
【0207】
あるいは、個別制御部271Bは、車両用シート空調装置230Bについて、吸気した空気を第1吐出口34Baから水平方向に吐出する制御と、第2吐出口35Baから上向きに吐出する制御とを、所定時間ごとに切り替えるように制御してもよい。
【0208】
また、ステップS308において、個別制御部271Aは、車両用シート空調装置230Aについて、吸気した空気を第1吐出口34Aaから下向きに吐出する制御と、第2吐出口35Aaから水平方向に吐出する制御とを、所定時間ごとに切り替えるように制御する。そして、ステップS314において、個別制御部271Bは、車両用シート空調装置230Bについて、吸気した空気を第2吐出口35Baから水平方向に吐出する制御と、第1吐出口34Baから下向きに吐出する制御とを、所定時間ごとに切り替えるように制御してもよい。
【0209】
このとき、ある期間においては、車両用シート空調装置230Aについては吸気した空気を第1吐出口34Aaから下向きに吐出し、車両用シート空調装置230Bについては吸気した空気を第2吐出口35Baから水平方向に吐出する制御が実行される。また、別のある期間においては、車両用シート空調装置230Aについては吸気した空気を第2吐出口35Aaから水平方向に吐出し、車両用シート空調装置230Bについては吸気した空気を第1吐出口34Baから下向きに吐出する制御が実行される。
【0210】
上述した制御によれば、車両用シート空調装置230A及び車両用シート空調装置230Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減しながら、シートに着座する乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0211】
(実施の形態1の変形例3)
本変形例では、上記の変形例2と同様に、車両用シート空調システムの制御部が存在せず、個別制御部271が独立して車両用シート空調装置330を制御する点で、上記の実施の形態1及び変形例1の車両用シート空調装置と相違する。さらに、本変形例では、吐出口134aがシート1のシートバック13の側面に1つだけ設けられ、車両用シート空調装置330に吐出ダクト選択切替え部が備えられていない点で、上記の変形例2とも相違する。
【0212】
なお、本変形例における車両用シート空調装置330を示すブロック図は吐出ダクト選択切替え部の有無を除いて
図19に示した上記の変形例2と同様であり、本変形例における他の構成も実施の形態1等と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。特に、本変形例における車両用シート空調装置330の構成は、
図14及び
図15に示した上記の変形例1における車両用シート空調装置130と同様である。
【0213】
図22は、実施の形態1の変形例3における車両用シート空調装置330Aの処理を示すフローチャートである。
【0214】
図22のフローチャートでは、運転席1A及び助手席1Bに設けられた車両用シート空調装置330の機能がいずれもオンになった場合に開始する構成とすればよい。車両用シート空調装置330の機能のオン又はオフは、操作部65で受け付ける入力操作に応じて切り替えられる構成とすればよい。
【0215】
図22に示すように、車両用シート空調装置330Aの個別制御部271Aは、まずステップS401において、各車両用シート空調装置330の吐出目標位置、すなわち、運転席1A側に対する車両用シート空調装置330Bの吐出目標位置及び助手席1B側に対する車両用シート空調装置330Aの吐出目標位置を取得する。個別制御部271Aは、取得した各車両用シート空調装置330の吐出目標位置に基づいて、車両用シート空調装置330Aの送風機36Aを制御する。
【0216】
具体的には、ステップS402において、個別制御部271Aは、助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。すなわち、個別制御部271Aは、車両用シート空調装置330Aの吐出目標位置が、助手席1Bに着座する乗員の頭部、首、肩峰及び背部のうちの少なくとも1以上の箇所であるか否かを判定する。
【0217】
個別制御部271Aにより助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S402でYES)、処理はステップS403へ進む。ステップS403において、個別制御部271Aは、運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。すなわち、個別制御部271Aは、車両用シート空調装置330Bの吐出目標位置が、運転席1Aに着座する乗員の頭部、首、肩峰及び背部のうちの少なくとも1以上の箇所であるか否かを判定する。
【0218】
個別制御部271Aにより運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S403でYES)、処理はステップS404へ進む。ステップS404において、個別制御部271Aは、運転席1Aの第4通気口112bの横板フィン121を制御して吐出方向を上向きに調節する。さらに、個別制御部271Aは、運転席1Aの送風機36Aを制御し、時差制御モードを実行する。そして、個別制御部271Aは、処理を終了し、ステップS401に戻り処理を繰り返す。
【0219】
個別制御部271Aにより運転席1A側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S403でNO)、処理はステップS405へ進む。ステップS405において、個別制御部271Aは、運転席1Aの第4通気口112bの横板フィン121を制御して吐出方向を上向きに調節する。このとき、個別制御部271Aは、運転席1Aの送風機36Aを制御し、通常制御モードを実行する。そして、個別制御部271Aは、処理を終了し、ステップS401に戻り処理を繰り返す。
【0220】
個別制御部271Aにより助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S402でNO)、処理はステップS406へ進む。ステップS406において、個別制御部271Aは、運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。
【0221】
個別制御部271Aにより運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S406でYES)、処理はステップS407へ進む。ステップS407において、個別制御部271Aは、運転席1Aの第4通気口112bの横板フィン121を制御して吐出方向を下向きに調節する。このとき、個別制御部271Aは、運転席1Aの送風機36Aを制御し、通常制御モードを実行する。そして、個別制御部271Aは、処理を終了し、ステップS401に戻り処理を繰り返す。
【0222】
個別制御部271Aにより運転席1A側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S406でNO)、処理はステップS408へ進む。ステップS408において、個別制御部271Aは、運転席1Aの第4通気口112bの横板フィン121を制御して吐出方向を下向きに調節する。さらに、個別制御部271Aは、運転席1Aの送風機36Aを制御し、時差制御モードを実行する。そして、個別制御部271Aは、処理を終了し、ステップS401に戻り処理を繰り返す。
【0223】
また、車両用シート空調装置330Bの個別制御部271Bも、上述した個別制御部271Aの処理と同様の処理を実行する。
【0224】
上述したように、本変形例の車両用シート空調装置330Aでは、運転席1Aに設けられる吐出口は、運転席1Aの側面に1つ設けられている。そして、個別制御部271Aは、吐出目標位置に基づいて、運転席1Aに設けられた吐出口134Aaから吐出する空気の吐出タイミングを助手席1Bに設けられた吐出口134Baから吐出する空気の吐出タイミングに対してずらす。
【0225】
これによれば、運転席1Aに1つ吐出口が設けられている場合にも車両用シート空調装置330A及び車両用シート空調装置330Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。
【0226】
また、個別制御部271Aは、吐出目標位置に基づいて、運転席1Aに設けられる吐出口134Aa及び助手席1Bに設けられた吐出口134Baから吐出される空気が互いに干渉するか否かを判定する。個別制御部271Aは、干渉すると判定した場合、運転席1Aに設けられる吐出口134Aaから、助手席1Bに設けられた吐出口134Baから空気が吐出されない第1時間帯に空気を吐出し、第1時間帯と異なり、助手席1Bに設けられる吐出口134Baから空気が吐出される第2時間帯に空気を吐出しないように、吐出タイミングを制御する。
【0227】
これによれば、運転席1Aに設けられた吐出口134Aaから空気を吐出する吐出タイミングと、助手席1Bに設けられた吐出口134Baから空気を吐出する吐出タイミングとをずらすことができる。このため、車両用シート空調装置330A及び車両用シート空調装置330Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。
【0228】
また、第1時間帯は、第2時間帯の後に連続する時間帯であり、第2時間帯は、第1時間帯の後に連続する時間帯である。
【0229】
これによれば、連続する時間帯である第1時間帯及び第2時間帯において、車両用シート空調装置330A及び車両用シート空調装置330Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。
【0230】
さらに、運転席1Aに設けられた車両用シート空調装置330Aの吐出目標位置は、助手席1Bに着座する乗員の第1部分と、乗員の第1部分よりも下方の第2部分とを含む乗員の複数の部分から選択される。また、個別制御部271Aは、吐出目標位置に基づいて、吐出タイミング及び吐出方向の少なくとも1つを制御する。
【0231】
これによれば、車両用シート空調装置330A及び車両用シート空調装置330Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減しながら、個別制御部271Aは、助手席1Bに着座する乗員の第1部分又は第2部分等に向けてより確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対して快適な空調環境を提供することができる。
【0232】
また、運転席1Aに設けられた吐出口134Aaは、助手席1Bに設けられた吐出口134Baに対応する高さの位置に設けられている。個別制御部271Aは、各車両用シート空調装置330の吐出目標位置が、いずれも第1部分である場合、又は、いずれも第2部分である場合に、運転席1A及び助手席1Bにそれぞれ設けられた吐出口134aから吐出される空気が互いに干渉すると判定する。
【0233】
これによれば、各車両用シート空調装置330の吐出目標位置が、いずれも第1部分である場合、又は、いずれも第2部分である場合に、運転席1Aに設けられた吐出口134Aaから空気を吐出する吐出タイミングと、助手席1Bに設けられた吐出口134Baから空気を吐出する吐出タイミングとをずらすことができる。このため、車両用シート空調装置330A及び車両用シート空調装置330Bのそれぞれから吐出される空気が互いに干渉することを低減し得る。
【0234】
例えば、運転席1A側に対する吐出目標位置と助手席1B側に対する吐出目標位置とがいずれも第1部分である場合、又は、いずれも第2部分である場合において通常制御モードを実行すると、運転席1Aの吐出口134Aaから吐出される空気と助手席1Bの吐出口134Baから吐出される空気とが互いに干渉し、空気の流れの乱れが発生する可能性がある。これにより、運転席1Aに着座している乗員と助手席1Bに着座している乗員とのそれぞれの吐出目標位置に吐出される空気が少なくなる場合がある。
【0235】
このため、本変形例では、運転席1A側に対する吐出目標位置と助手席1B側に対する吐出目標位置とがいずれも第1部分である場合、又は、いずれも第2部分である場合、個別制御部271A及び個別制御部271Bは、時差制御モードを実行する。これにより、運転席1Aの吐出口134Aaから吐出される空気と助手席1Bの吐出口134Baから吐出される空気とが互いに干渉することを低減し得る。そして、運転席1Aに着座している乗員と助手席1Bに着座している乗員とのそれぞれの吐出目標位置に、より確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0236】
一方で、運転席1A側に対する吐出目標位置及び助手席1B側に対する吐出目標位置のうちの一方が第1部分であり他方が第2部分である場合、個別制御部271A及び個別制御部271Bは、通常制御モードを実行する。言い換えれば、運転席1Aの吐出口134Aaから吐出される空気と助手席1Bの吐出口134Baから吐出される空気とが互いに干渉しにくいと認定できる場合には、個別制御部271A及び個別制御部271Bは、時差制御モードを実行しない。
【0237】
(実施の形態2)
本実施の形態では、シート1に用いられる車両用シート空調装置430が、当該シート1に隣接するシートの席種に基づいて空調を制御する点で、実施の形態1の車両用シート空調装置と相違する。シートの席種とは、例えば運転席1A及び助手席1Bである。本実施の形態における車両用シート空調装置430の構成は実施の形態1の変形例2における車両用シート空調装置230と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0238】
図23は、実施の形態2における第2通気口212bをZ軸プラス方向側から見た拡大断面図である。
【0239】
本実施の形態において、
図23に示すように、第2通気口212bには、風向変更部材220として、複数の横板フィン121、リンク機構122及び駆動部122aに加え、更に複数の縦板フィン123、リンク機構124及び駆動部124a等が設けられている。複数の縦板フィン123は、第2通気口212bから吐出される空気の向きを変えるための部材である。複数の縦板フィン123は、リンク機構124によって接続されている。リンク機構124は、複数の縦板フィン123の向きを同時に変えることが可能なように構成されている。駆動部124aは、リンク機構124に接続されており、駆動部124aの駆動により複数の縦板フィン123の向きを変えられるように構成されている。なお、本実施の形態における第3通気口212cも同様の構成である。
【0240】
なお、本実施の形態において、運転席1Aに形成される第2通気口212b及び第3通気口212cが複数の縦板フィン123及びリンク機構124を有する構成であればよく、助手席1Bに形成される第2通気口212b及び第3通気口212cは、複数の縦板フィン123及びリンク機構124を有していてもよいし、これらを有していない構成、すなわち実施の形態1における第2通気口12b及び第3通気口12cと同様の構成であってもよい。
【0241】
<処理>
図24は、実施の形態2における車両用シート空調装置430Bの処理を示すフローチャートである。
図25は、実施の形態2における車両用シート空調装置430Aの処理を示すフローチャートである。
【0242】
図24に示すように、車両用シート空調装置430Bの個別制御部271Bは、まずステップS501において、車両用シート空調装置430Bの吐出目標位置、すなわち、運転席1A側に対する車両用シート空調装置430Bの吐出目標位置を取得する。個別制御部271Bは、取得した車両用シート空調装置430Bの吐出目標位置に基づいて、車両用シート空調装置430Bの吐出ダクト選択切替え部37Bのモードを切り替える。
【0243】
具体的には、ステップS502において、個別制御部271Bは、運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。すなわち、個別制御部271Bは、車両用シート空調装置430Bの吐出目標位置が、運転席1Aに着座する乗員の頭部、首、肩峰及び背部のうちの少なくとも1以上の箇所であるか否かを判定する。
【0244】
個別制御部271Bにより運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S502でYES)、処理はステップS503へ進む。ステップS503において、個別制御部271Bは、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第1モードを実行させ、助手席1Bの第2通気口212bの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、個別制御部271Bは、処理を終了し、ステップS501に戻り処理を繰り返す。
【0245】
個別制御部271Bにより運転席1A側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S502でNO)、処理はステップS504へ進む。ステップS504において、個別制御部271Bは、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させ、助手席1Bの第3通気口212cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、個別制御部271Bは、処理を終了し、ステップS501に戻り処理を繰り返す。
【0246】
一方、車両用シート空調装置430Aの個別制御部271Aは、
図25に示すように、まずステップS511において、車両用シート空調装置430Aの吐出目標位置、すなわち、助手席1B側に対する車両用シート空調装置430Aの吐出目標位置を取得する。個別制御部271Aは、取得した車両用シート空調装置430Aの吐出目標位置に基づいて、車両用シート空調装置430Aの吐出ダクト選択切替え部37Aのモードを切り替える。
【0247】
具体的には、ステップS512において、個別制御部271Aは、助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であるか否かを判定する。
【0248】
個別制御部271Aにより助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S512でYES)、処理はステップS513へ進む。ステップS513において、個別制御部271Aは、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aのモードを選択する。また、個別制御部271Aは、選択したモードに対応する通気口から吐出される空気の上下の吐出方向を決定する。
【0249】
つまり、個別制御部271Aは、当該通気口から空気を上向きに吐出するか、下向きに吐出するか、水平方向に吐出するかを決定する。個別制御部271Aは、当該通気口の横板フィン121を制御して吐出方向を調節する。個別制御部271Aは、例えば、所定の条件に基づいて吐出ダクト選択切替え部37Aのモード及び対応する通気口からの吐出方向を選択する。
【0250】
所定の条件とは、例えば実施の形態1において説明した条件である。具体的には、ステップS501~S504において決定された吐出ダクト選択切替え部37Bのモード及び対応する通気口からの吐出方向に応じて、車両用シート空調装置430Aから吐出される空気と車両用シート空調装置430Bから吐出される空気との干渉を低減するように、吐出ダクト選択切替え部37Aのモード及び対応する通気口からの吐出方向を選択する。
【0251】
また、個別制御部271Aは、「助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分である場合、第2モードを選択する」のように予め設定されたルールを記憶しておき、そのルールに基づいて吐出ダクト選択切替え部37Aのモードを選択し、対応する通気口からの吐出方向を決定してもよい。
【0252】
その後、ステップS514において、個別制御部271Aは、ステップS513において選択された吐出ダクト選択切替え部37Aのモードに対応する通気口を制御して吐出方向を前方寄り(X軸プラス方向寄り)に制御する。個別制御部271Aは、当該通気口の縦板フィン123を制御して吐出方向を前方寄りに調節する。そして、個別制御部271Aは、処理を終了し、ステップS511に戻り処理を繰り返す。
【0253】
個別制御部271Aにより助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S512でNO)、処理はステップS515へ進む。ステップS515において、個別制御部271Aは、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aのモードを選択する。また、個別制御部271Aは、選択したモードに対応する通気口から吐出される空気の上下の吐出方向を決定する。個別制御部271Aは、当該通気口の横板フィン121を制御して吐出方向を調節する。個別制御部271Aによる吐出ダクト選択切替え部37Aのモード及び対応する通気口からの吐出方向の選択方法は、ステップS513で用いられる方法と同様である。そして、個別制御部271Aは、処理を終了し、ステップS511に戻り処理を繰り返す。
【0254】
<作用効果>
次に、本実施の形態における車両用シート空調装置の作用効果について説明する。
【0255】
上述したように、本実施の形態に係る車両用シート空調装置430は、車両1000の第1シートに設けられ、第1シートに対して車両1000の左右方向に隣接して配置された第2シートの空調を行う。車両用シート空調装置430は、送風機36と、送風機36によって導かれた空気を、第1シートの側面に設けられた吐出口から吐出する吐出ダクトと、送風機36を制御する個別制御部(制御部)271とを備える。個別制御部271は、第1シートから吐出される空気の吐出目標位置を取得し、吐出目標位置及び第2シートの席種に基づいて、吐出口から吐出する空気の吐出方向及び空気を吐出する吐出口の選択の少なくとも1つを制御する。
【0256】
これによれば、第1シートに設けられた車両用シート空調装置430は、第2シートに着座する乗員の吐出目標位置に向けてより確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0257】
より具体的には、本実施の形態の車両用シート空調装置430において、個別制御部271は、吐出目標位置及び第2シートの席種に基づいて、吐出口から吐出された空気である空調風が吐出目標位置に到達するように、吐出口から吐出する空気の吐出方向及び空気を吐出する吐出口の選択の少なくとも1つを制御する。
【0258】
これによれば、第1シートに設けられた車両用シート空調装置430は、第2シートに着座する乗員の吐出目標位置に向けてより確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対して快適な空調環境を提供することができる。
【0259】
また、本実施の形態の車両用シート空調装置430は、通風路を選択する吐出ダクト選択切替え部37を更に備える。吐出口は、第1シートの側面に複数設けられている。吐出ダクトは、送風機36によって導かれた空気を、複数の吐出口である第1吐出口34a及び第2吐出口35aからそれぞれ吐出する第1吐出ダクト34及び第2吐出ダクト35を含む。吐出ダクト選択切替え部37は、送風機36によって導かれた空気を第1吐出ダクト34に導く第1モードと、送風機36によって導かれた空気を第2吐出ダクト35に導く第2モードとを有する。個別制御部271は、吐出目標位置に基づいて、吐出ダクト選択切替え部37の第1モード及び第2モードであるモードを切り替える。
【0260】
これによれば、第1シートに複数の吐出口が設けられている場合にも、第2シートに着座する乗員の吐出目標位置に向けてより確実に空気を吐出することができる。
【0261】
さらに、吐出目標位置は、第2シートに着座する乗員の第1部分と、乗員の第1部分より下方の第2部分とを含む乗員の複数の部分から選択される。個別制御部271は、吐出目標位置に基づいて、吐出方向を制御する。
【0262】
これによれば、第2シートに着座する乗員の吐出目標位置に向けてより確実に空気を吐出することを実現しながら、個別制御部271は、第2シートに着座する乗員の第1部分又は第2部分等に向けてより確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対して快適な空調環境を提供することができる。
【0263】
また、第2シートの席種には、運転席1A及び助手席1Bが含まれる。
【0264】
これによれば、運転席1A又は助手席1Bに着座する乗員の吐出目標位置に向けてより確実に空気を吐出することができる。
【0265】
また、第2シートの席種が運転席1Aである場合、助手席1Bの個別制御部271Bは、吐出目標位置が第1部分である場合、吐出ダクト選択切替え部37Bに第1モードを実行させる。
【0266】
これによれば、運転席1Aに着座する乗員の第1部分が吐出目標位置である場合に、当該乗員の腕等に吐出した空気が遮られることを抑制し得る。そして、運転席1Aに着座する乗員の吐出目標位置により確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0267】
さらに、個別制御部271Bは、吐出目標位置が第2部分である場合、吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させる。
【0268】
これによれば、運転席1Aに着座する乗員の第2部分が吐出目標位置である場合に、当該乗員の腕等に吐出した空気が遮られることを抑制し得る。そして、運転席1Aに着座する乗員の吐出目標位置により確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0269】
また、第2シートの席種が助手席1Bである場合、運転席1Aの個別制御部271Aは、吐出目標位置が第2部分である場合、運転席1Aの側面に設けられた吐出口から吐出する空気の吐出方向を、助手席1Bの側面に設けられた吐出口から吐出する空気の吐出方向よりも、車両1000の前方側になるよう制御する。
【0270】
これによれば、助手席1Bに着座する乗員の吐出目標位置により確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0271】
通常、車両1000の走行中、運転席1Aに着座する乗員はステアリングを把持していることが想定される。このとき、運転席1Aに着座する乗員の第1部分に車両用シート空調装置430Bの第3通気口212cから空気を吐出したり、第2部分に車両用シート空調装置430Bの第2通気口212bから空気を吐出したりすると、ステアリングを把持している乗員の腕に空気が当たってしまい、吐出目標位置に吐出される空気が少なくなる場合がある。
【0272】
本実施の形態では、運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分である場合、個別制御部271Bは、吐出ダクト選択切替え部37Bに第1モードを実行させ、第2通気口212bの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。また、運転席1A側に対する吐出目標位置が第2部分である場合、個別制御部271Bは、吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させ、第3通気口212cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。
【0273】
これによれば、運転席1Aに着座する乗員の腕等に吐出した空気が遮られることを抑制し得る。そして、運転席1Aに着座する乗員の吐出目標位置により確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0274】
また、本実施の形態に係る車両用シート空調装置430Aにおいて、第2通気口212b及び第3通気口212cには、複数の縦板フィン123及びリンク機構124が設けられており、個別制御部271Aは、助手席1B側に対する吐出目標位置に基づいて、縦板フィン123を制御する。
【0275】
一般的に、助手席1Bに着座する乗員の腰部、臀部及び大腿部は、運転席1Aに着座する乗員と比べて前方寄りに位置している。助手席1Bに着座する乗員の第2部分に空気を吐出するときに、運転席1Aに着座する乗員の第2部分に空気を吐出するのと同様に制御した場合、吐出目標位置に吐出される空気が少なくなる場合がある。
【0276】
本実施の形態では、助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分である場合、個別制御部271Aは、空気を吐出する通気口の縦板フィン123を制御して吐出方向を前方寄りに調節する。これによれば、助手席1Bに着座する乗員と助手席1Bとの間に空気を吐出することを抑制し得る。そして、助手席1Bに着座する乗員の吐出目標位置により確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0277】
このように、本実施の形態に係る車両用シート空調装置430は、空気を吐出する対象であるシートの席種に基づいて空調を制御する。具体的には、空気を吐出する対象であるシートが運転席1Aであるか助手席1Bであるかに応じて異なる処理を実行する。つまり、車両用シート空調装置430Aと車両用シート空調装置430Bとで異なる処理を実行する。そして、各車両用シート空調装置430において上述した処理を実行することにより、それぞれの吐出目標位置により確実に空気を吐出することができ、空気を吐出される乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0278】
(実施の形態2の変形例)
本変形例では、個別制御部271が乗員姿勢センサ51の検知結果に基づいて空調制御を実行する点で、実施の形態2の車両用シート空調装置と相違する。本変形例における他の構成は実施の形態2と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0279】
図26は、実施の形態2の変形例における車両用シート空調装置530を示すブロック図である。
【0280】
図26に示すように、車両用シート空調装置530では、個別制御部271が乗員姿勢センサ51に対して電気的に接続されている。乗員姿勢センサ51は、車両1000の乗員の姿勢を検知し、検知した乗員の姿勢を示す姿勢情報を個別制御部271に出力する。乗員姿勢センサ51は、運転席1Aに着座する乗員及び助手席1Bに着座する乗員の少なくともいずれかの姿勢を検知する。
【0281】
運転席1Aに着座する乗員の姿勢を検知する乗員姿勢センサ51は、例えば、車両1000のステアリングに配置される把持センサである。把持センサは、運転席1Aに着座する乗員がステアリングを把持していることを検知することができる。また、運転席1Aに着座する乗員の姿勢を検知する乗員姿勢センサ51は、カメラやサーモグラフィ等であってもよく、これらによっても運転席1Aに着座する乗員がステアリングを把持していることを検知することができる。
【0282】
助手席1Bに用いられる車両用シート空調装置530Bの個別制御部271Bは、乗員姿勢センサ51の検知結果に基づいて、運転席1Aに着座する乗員がステアリングを把持しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて車両用シート空調装置530Bを制御する。
【0283】
図27は、実施の形態2の変形例における車両用シート空調装置530Bの処理を示すフローチャートである。
【0284】
図27に示すように、車両用シート空調装置530Bの個別制御部271Bは、まずステップS601において、車両用シート空調装置530Bの吐出目標位置、すなわち、運転席1A側に対する車両用シート空調装置530Bの吐出目標位置を取得する。
【0285】
次にステップS602において、個別制御部271Bは、運転席1Aに着座する乗員の姿勢情報を取得する。個別制御部271Bは、運転席1Aに着座する乗員がステアリングを把持していることを検知する乗員姿勢センサ51から、運転席1Aに着座する乗員の姿勢情報を取得する。
【0286】
ステップS603において、個別制御部271Bは、運転席1Aに着座する乗員がステアリングを把持しているか否かを判定する。個別制御部271Bは、乗員姿勢センサ51の検知結果である姿勢情報に基づいて、運転席1Aに着座する乗員がステアリングを把持しているか否かを判定する。
【0287】
個別制御部271Bにより運転席1Aに着座する乗員がステアリングを把持していると判定された場合(S603でYES)、処理はステップS604へ進む。ステップS604において、個別制御部271Bは、運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。すなわち、個別制御部271Bは、車両用シート空調装置530Bの吐出目標位置が、運転席1Aに着座する乗員の頭部、首、肩峰及び背部のうちの少なくとも1以上の箇所であるか否かを判定する。
【0288】
個別制御部271Bにより運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S604でYES)、処理はステップS605へ進む。ステップS605において、個別制御部271Bは、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第1モードを実行させ、助手席1Bの第2通気口212bの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、個別制御部271Bは、処理を終了し、ステップS601に戻り処理を繰り返す。
【0289】
個別制御部271Bにより運転席1A側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S604でNO)、処理はステップS606へ進む。ステップS606において、個別制御部271Bは、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させ、助手席1Bの第3通気口212cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、個別制御部271Bは、処理を終了し、ステップS601に戻り処理を繰り返す。
【0290】
個別制御部271Bにより運転席1Aに着座する乗員がステアリングを把持していないと判定された場合(S603でNO)、処理はステップS607へ進む。ステップS607において、個別制御部271Bは、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bのモードを選択する。また、個別制御部271Bは、選択したモードに対応する通気口から吐出される空気の吐出方向を決定する。
【0291】
つまり、個別制御部271Bは、当該通気口から空気を上向きに吐出するか、下向きに吐出するか、水平方向に吐出するかを決定する。個別制御部271Bは、当該通気口の横板フィン121を制御して吐出方向を調節する。個別制御部271Bによる吐出ダクト選択切替え部37Bのモード及び対応する通気口からの吐出方向の選択方法は、実施の形態2におけるステップS513及びS515で用いられる方法と同様である。そして、個別制御部271Bは、処理を終了し、ステップS601に戻り処理を繰り返す。
【0292】
なお、運転席1Aに着座する乗員の姿勢を検知する乗員姿勢センサ51としてカメラやサーモグラフィ等を使用する場合には、乗員姿勢センサ51は、運転席1Aに着座する乗員がステアリングを把持していることに加え、運転席1Aに着座する乗員の腕の位置を検知することが可能である。このとき、個別制御部271Bは、乗員姿勢センサ51の検知結果に基づいて、運転席1Aに着座する乗員の腕に妨げられずに吐出目標位置に空気を吐出できるように吐出方向を調節してもよい。
【0293】
また、助手席1Bに着座する乗員の姿勢を検知する乗員姿勢センサ51は、例えば、カメラやサーモグラフィ等である。これらのセンサは、助手席1Bに着座する乗員の姿勢を検知することができ、例えば、助手席1Bに着座する乗員の腰部、臀部及び大腿部が前方寄りに位置していることを検知することができる。
【0294】
運転席1Aに用いられる車両用シート空調装置530Aの個別制御部271Aは、乗員姿勢センサ51の検知結果に基づいて、助手席1Bに着座する乗員の腰部、臀部及び大腿部が前方寄りに位置しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて車両用シート空調装置530Aを制御する。
【0295】
具体的には、個別制御部271Aにより助手席1Bに着座する乗員の腰部、臀部及び大腿部が前方寄りに位置していると判定され、かつ、助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分である場合、個別制御部271Aは、空気を吐出する通気口の縦板フィン123を制御して吐出方向を前方寄りに調節する。また、個別制御部271Aは、乗員姿勢センサ51の検知結果に基づいて、助手席1Bに着座する乗員の吐出目標位置に空気を吐出できるように吐出方向を調節してもよい。
【0296】
上述したように、本変形例の車両用シート空調装置530では、乗員姿勢センサ51の検知結果に基づいて、吐出ダクト選択切替え部37のモード及び吐出方向を制御することができるため、吐出目標位置に更に確実に空気を吹き付けることができ、空気を吐出される乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0297】
より具体的には、助手席1Bの個別制御部271Bは、運転席1Aに着座する乗員の姿勢を検知する乗員姿勢センサ51の検知結果に基づいて、吐出ダクト選択切替え部37Bのモードを切り替える。
【0298】
これによれば、乗員姿勢センサ51により検知された運転席1Aに着座する乗員の姿勢に基づいて吐出ダクト選択切替え部37Bのモードを切り替えることができ、運転席1Aに着座する乗員の吐出目標位置により確実に空気を吐出することができる。
【0299】
さらに、個別制御部271Bは、乗員姿勢センサ51の検知結果に基づいて、運転席1Aに着座する乗員が車両1000のステアリングを把持しているか否かを判定する。
【0300】
これによれば、乗員姿勢センサ51により検知された、運転席1Aに着座する乗員がステアリングを把持しているか否かの判定結果に基づいて、吐出ダクト選択切替え部37Bのモードを切り替えることができ、運転席1Aに着座する乗員の吐出目標位置により確実に空気を吐出することができる。
【0301】
さらに、個別制御部271Bは、運転席1Aに着座する乗員がステアリングを把持していると判定され、且つ、吐出目標位置が第1部分である場合、吐出ダクト選択切替え部37Bに第1モードを実行させる。
【0302】
これによれば、運転席1Aに着座する乗員の第1部分が吐出目標位置である場合に、ステアリングを把持している当該乗員の腕等に吐出した空気が遮られることを抑制し得る。そして、運転席1Aに着座する乗員の吐出目標位置により確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0303】
さらに、個別制御部271Bは、運転席1Aに着座する乗員がステアリングを把持していると判定され、且つ、吐出目標位置が第2部分である場合、吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させる。
【0304】
これによれば、運転席1Aに着座する乗員の第2部分が吐出目標位置である場合に、ステアリングを把持している当該乗員の腕等に吐出した空気が遮られることを抑制し得る。そして、運転席1Aに着座する乗員の吐出目標位置により確実に空気を吐出することができ、当該乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。
【0305】
また、運転席1Aの個別制御部271Aは、助手席1Bに着座する乗員の姿勢を検知する乗員姿勢センサ51の検知結果に基づいて、運転席1Aの側面に設けられた吐出口から吐出する空気の吐出方向を制御する。
【0306】
これによれば、乗員姿勢センサ51により検知された助手席1Bに着座する乗員の姿勢に基づいて運転席1Aの側面に設けられた吐出口から吐出する空気の吐出方向を制御することができ、助手席1Bに着座する乗員の吐出目標位置により確実に空気を吐出することができる。
【0307】
(実施の形態3)
本実施の形態では、シート1に用いられる車両用シート空調装置630が日射量に応じて空調を制御する点で、実施の形態2の車両用シート空調装置等と相違する。本実施の形態における車両用シート空調装置630の構成は実施の形態2における車両用シート空調装置430と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0308】
図28は、実施の形態2における車両用シート空調装置630を示すブロック図である。
【0309】
本実施の形態において、
図28に示すように、個別制御部271が日射センサ52に対して電気的に接続されている。日射センサ52は、車両1000の車室内に侵入する日射の量及び方向を検知するセンサである。日射センサ52は、例えば車室内のダッシュボード等に設けられる。日射センサ52は、例えば、それぞれ異なる方向への指向性を持って配置された複数の受光素子を備えている。日射センサ52は、複数の受光素子のそれぞれが検出する日射量に基づいて日射の方向を演算する演算部を備えている。なお、日射センサ52は特許請求の範囲の「温度検出センサ」の一例である。
【0310】
また、本実施の形態におけるシート1は特許請求の範囲の「第1シート」に、シート1に隣接するシートは特許請求の範囲の「第2シート」にそれぞれ相当し得る。
【0311】
また、個別制御部271は、車両用空調装置2bと電気的に接続されている。なお、本実施の形態において、個別制御部271が車両用空調装置2bと電気的に接続されていることは必須の構成要件ではない。
【0312】
<処理>
図29は、実施の形態3における車両用シート空調装置630の処理を示すフローチャートである。
【0313】
図29に示すように、車両用シート空調装置630の個別制御部271は、まずステップS701において、日射センサ52から日射量及び日射方向の情報を取得する。なお、個別制御部271は、日射センサ52から直接日射量及び日射方向の情報を取得してもよいし、日射センサ52と接続された車両用空調装置2bからこれらの情報を取得してもよい。
【0314】
次にステップS702において、個別制御部271は、日射センサ52から取得した日射量が日射量閾値以上であるか否かを判定する。日射量閾値とは、日射方向に基づいて車両用シート空調装置630からの吐出方向を制御する処理を開始する必要があるか否かを判定するための閾値である。日射量閾値は、シート1に隣接するシートに着座する乗員に対する日射の照射部位が日射方向の変化により変化することが、当該乗員の温熱感にある程度以上の変化をもたらすと判断できる大きさの日射量が設定される。日射量閾値は、実験等に基づいてあらかじめ決定される。日射量閾値は、例えば、800W/m2である。
【0315】
個別制御部271により日射量が日射量閾値以上であると判定された場合(S702でYES)、処理はステップS703へ進む。ステップS703において、個別制御部271は、日射センサ52から取得した日射方向が所定角度範囲内か否かを判定する。所定角度範囲は、シート1に隣接するシートに着座する乗員の温熱感が、当該乗員の右側と左側とである程度以上異なると判断できる日射の角度範囲である。ここで、車両1000の前方(X軸プラス方向)を日射方向で0度とすると、日射方向が0度から180度までの間だと車両1000の右側(Y軸マイナス方向側)から日射が照射され、日射方向が180度から360度までの間だと車両1000の左側(Y軸プラス方向側)から日射が照射されることになる。
【0316】
所定角度範囲は、例えば、車両1000の右側(Y軸マイナス方向側)のシート1に用いられる車両用シート空調装置630においては30度から150度までであり、車両1000の左側(Y軸プラス方向側)のシート1に用いられる車両用シート空調装置630においては210度から330度までである。
【0317】
すなわち、車両1000の右側のシートに着座する乗員にとっては、日射方向が30度から150度までの範囲内である場合、右側(車両1000のドア側)から日射が照射されることとなり、右側の方が左側(車両1000のセンターコンソール2a側)に比べて暑いと感じると判断できる。
【0318】
また、車両1000の左側のシートに着座する乗員にとっては、日射方向が210度から330度までの範囲内である場合、左側(車両1000のドア側)から日射が照射されることとなり、左側の方が右側(車両1000のセンターコンソール2a側)に比べて暑いと感じると判定できる。
【0319】
個別制御部271により日射方向が所定角度範囲内であると判定された場合(S703でYES)、処理はステップS704へ進む。ステップS704において、個別制御部271は、シート1の第2通気口212b又は第3通気口212cの縦板フィン123を制御して吐出方向を前方(X軸プラス方向)寄りに調節する。
【0320】
具体的には、個別制御部271は、シート1に隣接するシートに着座する乗員とステアリングとの間に空気を吐出するように、その吐出方向を当該乗員よりも前方寄りに調節する。個別制御部271は、吐出した空気を車両用空調装置2bから吹き出される空調空気と合流させ、当該乗員の体のうち車両1000のドア側の部分に空気を吹き付けられるように、吐出方向をシート1に隣接するシートに着座する乗員とステアリングとの間に向かう方向に調節し得る。
【0321】
例えば、個別制御部271は、車両用シート空調装置630から吐出された空気と、車両1000のインストルメントパネルの窓側に配置されているエアコンディショナ等の車両用空調装置2bの吐出口から吐出された空気とを合流させることで、シート1に隣接するシートに着座する乗員の体のうち車両1000のドア側の部分に吹き付けられるように、吐出方向を調節する。そして、個別制御部271は、処理を終了し、ステップS701に戻り処理を繰り返す。
【0322】
個別制御部271により日射量が日射閾値未満であると判定された場合(S702でNO)、及び、個別制御部271により日射方向が所定角度範囲外であると判定された場合(S703でNO)、個別制御部271は、処理を終了し、ステップS701に戻り処理を繰り返す。
【0323】
なお、シート1の側面に2つの通気口である第2通気口212b及び第3通気口212cが設けられていなくてもよく、実施の形態1の変形例3のように、シート1の側面に通気口が1つだけ設けられており、その通気口に更に縦板フィン123が設けられた構成としてもよい。
【0324】
また、個別制御部271は、日射センサ52から取得した日射量に応じて吐出量を変化させるように送風機36を制御してもよい。個別制御部271は、例えば、取得した日射量が第1日射量閾値以上で第2日射量閾値未満であれば吐出量を第1風量とし、第2日射量閾値以上で第3日射量閾値未満であれば吐出量を第1風量よりも大きい第2風量とし、第3日射量閾値以上であれば吐出量を第2風量よりも大きい第3風量とする。例えば、第1日射量閾値は800W/m2であり、第2日射量閾値は900W/m2であり、第3日射量閾値は1000W/m2である。第1風量は20m3/hであり、第2風量は25m3/hであり、第3風量は30m3/hである。
【0325】
また、日射センサ52は、ダッシュボードに設けられていなくてもよく、シート1及びシート1に隣接するシートのドア側の部分に設けられていてもよい。この場合、個別制御部271は、左右のシートのそれぞれに設けられた日射センサ52が検知した日射量を比較することにより、日射方向を判定してもよい。具体的には、それぞれの日射センサ52が検知した日射量の比が所定値以上である場合に、個別制御部271は、上記のステップS704の処理を実行してもよい。
【0326】
また、個別制御部271は、日射センサ52の代わりに、非接触温度計やサーモグラフィ等の温度センサから取得した情報に基づいて、上述した処理を実行してもよい。具体的には、個別制御部271は、温度センサから取得した情報に基づいて、シート1に隣接するシートに着座する乗員の体のうちドア側の部分が所定値以上であると判定した場合に、上記のステップS704の処理を実行してもよい。
【0327】
<作用効果>
次に、本実施の形態における車両用シート空調装置の作用効果について説明する。
【0328】
上述したように、本実施の形態に係る車両用シート空調装置630は、車両1000の第1シートに設けられ、第1シートに対して車両1000の左右方向に隣接して配置された第2シートの空調を行う。車両用シート空調装置630は、送風機36と、送風機36によって導かれた空気を、第1シートの側面に設けられた吐出口から吐出する吐出ダクトと、送風機36を制御する個別制御部(制御部)271とを備える。個別制御部271は、第2シートの温度に関する情報を検出する温度検出センサの検出結果に基づいて、吐出口から吐出する空気の吐出方向及び吐出量の少なくとも1つを制御する。
【0329】
これによれば、温度検出センサにより検出された第2シートの温度に関する情報に基づいて、吐出口から吐出する空気の吐出方向及び吐出量の少なくとも1つを制御することができ、第2シートに着座する乗員の日射による快適性の低下を抑制し得る。このため、本実施の形態に係る車両用シート空調装置630は、当該乗員に対してより快適な空調環境を提供し得る。
【0330】
また、温度検出センサは、車両1000の内部に侵入する日射量を検出する日射センサ52であってもよい。
【0331】
これによれば、日射センサ52により検出された日射量に基づいて、吐出口から吐出する空気の吐出方向及び吐出量の少なくとも1つを制御することができ、第2シートに着座する乗員の日射による快適性の低下を抑制し得る。
【0332】
また、温度検出センサは、非接触温度計又はサーモグラフィであってもよい。
【0333】
これによれば、非接触温度計又はサーモグラフィにより検出された温度に関する情報に基づいて、吐出口から吐出する空気の吐出方向及び吐出量の少なくとも1つを制御することができ、第2シートに着座する乗員の日射による快適性の低下を抑制し得る。
【0334】
さらに、個別制御部271は、温度検出センサにより検出された温度に関する情報を示す検出値が閾値以上である場合、検出値が閾値未満である場合の吐出方向よりも、吐出方向を車両1000の前方側になるよう制御する。
【0335】
これによれば、第2シートの温度に関する検出値が閾値以上である場合に、吐出方向を車両1000の前方側になるように制御することができ、車両用シート空調装置630から吐出される空気を車両用空調装置2bから吹き出される空気と合流させやすくできる。このため、第2シートに着座する乗員の体のうち日射により熱くなっているドア側の部分に空気を吐出しやすくなり、第2シートに着座する乗員の日射による快適性の低下を抑制し得る。
【0336】
さらに、個別制御部271は、温度検出センサにより検出された温度に関する情報を示す検出値が閾値以上である場合、検出値が閾値未満である場合の吐出量よりも、吐出量を大きくするように制御する。
【0337】
これによれば、第2シートの温度に関する検出値が閾値以上である場合に、吐出量を大きくするように制御することができ、第2シートに着座する乗員の日射による快適性の低下を抑制し得る。
【0338】
(実施の形態3の変形例1)
本変形例では、個別制御部271が車両用空調装置2bの空調の設定情報に応じて車両用シート空調装置630を制御する点で、実施の形態3の車両用シート空調装置と相違する。本変形例における他の構成は実施の形態3と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能についての説明を省略する。
【0339】
図30は、実施の形態3の変形例1における車両用シート空調装置630の処理を示すフローチャートである。
【0340】
図30に示すように、車両用シート空調装置630の個別制御部271は、まずステップS801において、日射センサ52から日射量及び日射方向の情報を取得する。
【0341】
次にステップS802において、個別制御部271は、車両用空調装置2bから空調の設定情報を取得する。具体的には、個別制御部271は、車両用空調装置2bから吹き出される空調空気の風量及び吹出し方向を取得する。
【0342】
ステップS803において、個別制御部271は、日射センサ52から取得した日射量が日射量閾値以上であるか否かを判定する。日射量閾値は、実施の形態3における日射量閾値と同様でよい。
【0343】
個別制御部271により日射量が日射量閾値以上であると判定された場合(S803でYES)、処理はステップS804へ進む。ステップS804において、個別制御部271は、日射センサ52から取得した日射方向が所定角度範囲内か否かを判定する。所定角度範囲は、実施の形態3における所定角度範囲と同様でよい。
【0344】
個別制御部271により日射方向が所定角度範囲内であると判定された場合(S804でYES)、処理はステップS805へ進む。ステップS805において、個別制御部271は、車両用シート空調装置630から吐出する空気と車両用空調装置2bから吹き出される空調空気との合流点を算出する。
【0345】
個別制御部271は、車両用シート空調装置630から吐出する空気と車両用空調装置2bから吹き出される空調空気とが合流することで、シート1に隣接するシートに着座する乗員の体のうち車両1000のドア側の部分に空気が吹き付けられるような、合流点を算出する。個別制御部271は、車両用空調装置2bから取得した風量及び吹出し方向に関する設定情報に基づいて、合流点を算出する。
【0346】
次に、ステップS806において、個別制御部271は、シート1の第2通気口212b又は第3通気口212cの縦板フィン123を制御して吐出方向を合流点に向かう方向に調節する。また、個別制御部271は、合流した空気がシート1に隣接するシートに着座する乗員の体のうちドア側の部分に吹き付けられるように、更に送風機36を制御して吐出量を調節してもよい。
【0347】
個別制御部271は、例えば、車両用空調装置2bの風量及び吹出し方向と、車両用シート空調装置630の吐出量及び吐出方向との対応関係を示すテーブルを記憶している。個別制御部271は、このテーブルを読み出し、読み出したテーブルを用いて、車両用空調装置2bの風量及び吹出し方向に応じて車両用シート空調装置630の吐出量及び吐出方向を制御する。そして、個別制御部271は、処理を終了し、ステップS801に戻り処理を繰り返す。
【0348】
個別制御部271により日射量が日射閾値未満であると判定された場合(S803でNO)、及び、個別制御部271により日射方向が所定角度範囲外であると判定された場合(S804でNO)、個別制御部271は、処理を終了し、ステップS801に戻り処理を繰り返す。
【0349】
なお、個別制御部271は、車両用空調装置2bの吹出し方向を取得しなくてもよい。この場合、個別制御部271は、実施の形態3と同様にシート1に隣接するシートに着座する乗員とステアリングとの間に空気を吐出するように車両用シート空調装置630の吐出方向を調節し、車両用空調装置2bの風量に応じて車両用シート空調装置630の吐出量を調節してもよい。
【0350】
個別制御部271は、例えば、車両用空調装置2bの風量が大きいほど車両用シート空調装置630の吐出量を小さくし、車両用空調装置2bの風量が小さいほど車両用シート空調装置630の吐出量を大きくすることで、合流した後の風量が一定の値に近づくように制御する。
【0351】
上述したように、本変形例において、車両1000の第1シートに設けられた車両用シート空調装置630の個別制御部271は、車両1000に搭載された車両用空調装置2bから吹き出される空調空気の吹出し方向及び風量に関する設定情報を取得し、取得した車両用空調装置2bの設定情報に応じて車両用シート空調装置630の吐出方向及び吐出量の少なくとも1つを制御する。
【0352】
これによれば、車両用空調装置2bの設定情報に応じて車両用シート空調装置630の吐出方向や吐出量等を制御することができるため、第1シートに対して車両1000の左右方向に隣接して配置された第2シートに着座する乗員にとって、日射による快適性の低下を更に抑制し得る。
【0353】
さらに、個別制御部271は、車両用空調装置2bの設定情報に基づいて、車両用シート空調装置630の吐出口から吐出される空気と、車両用空調装置2bから吹き出される空調空気との合流点を算出し、当該合流点に向けて空気を吐出するように、車両用シート空調装置630から吐出される空気の吐出方向を制御する。
【0354】
これによれば、車両用シート空調装置630から吐出される空気を車両用空調装置2bから吹き出される空気と合流させやすくなり、第2シートに着座する乗員にとって、日射による快適性の低下を更に抑制し得る。
【0355】
さらに、個別制御部271は、車両用シート空調装置630の吐出口から吐出される空気が、車両用空調装置2bから吹き出される空調空気と合流して第2シートに着座する乗員の車両1000のドア側の部分に吹き付けられるように、吐出方向及び吐出量の少なくとも1つを制御する。
【0356】
これによれば、車両用シート空調装置630の吐出口から吐出される空気と車両用空調装置2bから吹き出される空気とが合流した空気を、第2シートに着座する乗員の体のうち日射により熱くなっているドア側の部分に空気を吐出しやすくなり、第2シートに着座する乗員にとって、日射による快適性の低下を更に抑制し得る。
【0357】
(実施の形態3の変形例2)
本変形例では、個別制御部271が車両用空調装置2bを制御する点で、実施の形態3及びその変形例1の車両用シート空調装置と相違する。本変形例における他の構成は実施の形態3と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能についての説明を省略する。
【0358】
図28に示すように、個別制御部271は、車両用空調装置2bと電気的に接続されている。個別制御部271は、車両用空調装置2bに対して指示を出力することで、車両用空調装置2bの吐出口2cから吹き出される空調空気の吹出し方向及び風量の少なくとも一方を調節させる。
【0359】
図31は、実施の形態3の変形例2における車両用シート空調装置630の処理を示すフローチャートである。
【0360】
図31に示されるステップS901からS904までの処理は、実施の形態3の変形例1における車両用シート空調装置におけるステップS801からS804までの処理と同様である。
【0361】
個別制御部271により日射方向が所定角度範囲内であると判定された場合(S904でYES)、処理はステップS905へ進む。ステップS905において、個別制御部271は、車両用シート空調装置630から吐出する空気と車両用空調装置2bから吹き出される空調空気との合流点を算出する。
【0362】
個別制御部271は、車両用シート空調装置630から吐出する空気と車両用空調装置2bから吹き出される空調空気とが合流することで、シート1に隣接するシートに着座する乗員の体のうち車両1000のドア側の部分に空気が吹き付けられるような、合流点を算出する。個別制御部271は、例えば、シート1に隣接するシートに着座する乗員に対する吐出目標位置に応じて、合流点を算出する。具体的には、吐出目標位置が第1部分である場合の合流点を、吐出目標位置が第2部分である場合の合流点よりも高い位置に設定してもよい。
【0363】
次に、ステップS906において、個別制御部271は、車両用シート空調装置630及び車両用空調装置2bを制御して、車両用シート空調装置630と車両用空調装置2bとのそれぞれから吐出される空気の吐出方向を合流点に向かう方向に調節する。また、個別制御部271は、車両用シート空調装置630と車両用空調装置2bとのそれぞれから吐出される空気の吐出量を、合流後にシート1に隣接するシートに着座する乗員に向かうように調節してもよい。あるいは、個別制御部271は、車両用空調装置2bについては吐出量のみ制御し、車両用空調装置2bの吐出方向は制御しなくてもよい。
【0364】
個別制御部271は、例えば、車両用空調装置2bの吹出し方向と、車両用空調装置2bの風量、車両用シート空調装置630の吐出量及び吐出方向との対応関係を示すテーブルを記憶している。個別制御部271は、このテーブルを読み出し、読み出したテーブルを用いて、車両用空調装置2bの吹出し方向に応じて、車両用空調装置2bの風量、車両用シート空調装置630の吐出量及び吐出方向を制御する。そして、個別制御部271は、処理を終了し、ステップS901に戻り処理を繰り返す。
【0365】
個別制御部271により日射量が日射閾値未満であると判定された場合(S903でNO)、及び、個別制御部271により日射方向が所定角度範囲外であると判定された場合(S904でNO)、個別制御部271は、処理を終了し、ステップS901に戻り処理を繰り返す。
【0366】
なお、車両用空調装置2bは、車両用シート空調装置630の空調の設定情報に応じて、車両用空調装置2bの空調を制御してもよい。より具体的には、車両用空調装置2bは、車両用シート空調装置630から吐出される空気の吐出量及び吐出方向を取得し、車両用シート空調装置630から吐出される空気との合流点を算出し、車両用空調装置2bから吹き出される空調空気が当該合流点に向かうように、空調空気の吹出し方向及び風量を調節する。
【0367】
この場合、車両用シート空調装置630から車両用空調装置2bに対して指示は出力されず、車両用シート空調装置630から吐出される空気の吐出量及び吐出方向についての情報が出力される構成とすればよい。この構成によっても、車両用シート空調装置630から吐出される空気と車両用空調装置2bから吹き出される空調空気とを合流させ、シート1に隣接するシートに着座する乗員の体のうち車両1000のドア側の部分に空気を吹き付けるような空調制御が可能となる。
【0368】
上述したように、本変形例において、車両1000の第1シートに設けられた車両用シート空調装置630の個別制御部271は、温度検出センサにより検出された温度に関する情報を示す検出値が閾値以上である場合、吐出方向及び吐出量の少なくとも1つに加え、車両1000に搭載された車両用空調装置2bから吹き出される空調空気の吹出し方向及び風量の少なくとも1つを更に制御する。
【0369】
これによれば、個別制御部271が車両用シート空調装置630及び車両用空調装置2bを制御することができるため、第1シートに対して車両1000の左右方向に隣接して配置された第2シートに着座する乗員にとって、日射による快適性の低下を更に抑制し得る。
【0370】
さらに、個別制御部271は、車両用シート空調装置630の吐出口から吐出される空気と、車両用空調装置2bから吹き出される空調空気とが合流するように、車両用シート空調装置630の吐出口から吐出される空気の吐出方向及び車両用空調装置2bから吹き出される空調空気の吹出し方向を制御する。
【0371】
これによれば、車両用シート空調装置630から吐出される空気と車両用空調装置2bから吹き出される空気とを合流させやすくなり、第2シートに着座する乗員にとって、日射による快適性の低下を更に抑制し得る。
【0372】
さらに、個別制御部271は、車両用シート空調装置630の吐出口から吐出される空気が、車両用空調装置2bから吹き出される空調空気と合流して第2シートに着座する乗員の車両1000のドア側の部分に吹き付けられるように、車両用シート空調装置630の吐出口から吐出される空気の吐出方向と吐出量との少なくとも1つ、及び、車両用空調装置2bから吹き出される空調空気の吹出し方向と風量との少なくとも1つを制御する。
【0373】
これによれば、車両用シート空調装置630の吐出口から吐出される空気と車両用空調装置2bから吹き出される空気とが合流した空気を、第2シートに着座する乗員の体のうち日射により熱くなっているドア側の部分に空気を吐出しやすくなり、第2シートに着座する乗員にとって、日射による快適性の低下を更に抑制し得る。
【0374】
(実施の形態4)
本実施の形態では、シート1に用いられる車両用シート空調装置730が、シート1及びシート1に隣接するシートのシート位置に応じて空調を制御する点で、実施の形態2の車両用シート空調装置等と相違する。本実施の形態における車両用シート空調装置730の構成は実施の形態2における車両用シート空調装置430と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0375】
図32は、実施の形態4における車両用シート空調装置730を示すブロック図である。
【0376】
図32に示すように、車両用シート空調装置730では、個別制御部271がシート位置センサ53に対して電気的に接続されている。シート位置センサ53は、シート1のシート位置と、シート1に隣接するシートのシート位置とを検知する。
【0377】
ここでいうシート位置は、シートのリクライニング角度とスライド位置とを含む。例えば、シート1のリクライニング角度及びスライド位置を電動で変化可能な場合、シート位置センサ53は、シート1のリクライニング角度を調節する調節部やシート1のスライド位置を調節する調節部であってもよい。
【0378】
つまり、個別制御部271は、これらの調節部からシート1のリクライニング角度及びスライド位置をそれぞれ取得してもよい。
【0379】
また、シート1のリクライニング角度及びスライド位置を手動でのみ変化可能な場合、シート位置センサ53は、シート1に設けられたリクライニング角度を検出するためのジャイロセンサやシート1のスライド位置を検出するためのセンサであってもよい。つまり、個別制御部271はこれらのセンサの検出結果からシート1のリクライニング角度及びスライド位置をそれぞれ取得してもよい。
【0380】
なお、リクライニング角度は、例えば、シートバック13がZ軸方向に対して略平行な状態を基準となる状態とし、当該基準となる状態からのリクライニングモータの回転角度である。また、スライド位置は、例えば、シート1が最も前方(X軸プラス方向側)に位置する状態を基準となる状態とし、当該基準となる状態を原点としたX軸方向に移動した距離で表される。
【0381】
また、ここでいうシート1は特許請求の範囲の「第1シート」に、シート1に隣接するシートは特許請求の範囲の「第2シート」にそれぞれ相当し得る。
【0382】
<処理>
図33は、実施の形態4における車両用シート空調装置730の処理を示すフローチャートである。
【0383】
図33に示すように、車両用シート空調装置730の個別制御部271は、まずステップS1001において、シート位置センサ53から運転席1A及び助手席1Bのシート位置を取得する。
【0384】
次にステップS1002において、個別制御部271は、シート位置センサ53から取得した運転席1Aのリクライニング角度と助手席1Bのリクライニング角度との差が第1角度以上であるか否かを判定する。第1角度は、例えば10度である。
【0385】
ここで、運転席1Aの個別制御部271Aは、運転席1Aのリクライニング角度から助手席1Bのリクライニング角度を減算した角度が第1角度以上であるか否かを判定する。つまり、個別制御部271Aは、運転席1Aが助手席1Bよりも第1角度以上後方(X軸マイナス方向側)に傾いているか否かを判定する。
【0386】
また、助手席1Bの個別制御部271Bは、助手席1Bのリクライニング角度から運転席1Aのリクライニング角度を減算した角度が第1角度以上であるか否かを判定する。つまり、個別制御部271Bは、助手席1Bが運転席1Aよりも第1角度以上後方に傾いているか否かを判定する。
【0387】
個別制御部271によりリクライニング角度の差が第1角度以上であると判定された場合(S1002でYES)、処理はステップS1003へ進む。ステップS1003において、個別制御部271は、シート位置センサ53から取得した運転席1Aのリクライニング角度と助手席1Bのリクライニング角度との差が第2角度以上であるか否かを判定する。第2角度は、例えば20度である。
【0388】
ここで、ステップS1002と同様に、運転席1Aの個別制御部271Aは、運転席1Aのリクライニング角度から助手席1Bのリクライニング角度を減算した角度が第2角度以上であるか否かを判定する。つまり、個別制御部271Aは、運転席1Aが助手席1Bよりも第2角度以上後方(X軸マイナス方向側)に傾いているか否かを判定する。また、助手席1Bの個別制御部271Bは、助手席1Bのリクライニング角度から運転席1Aのリクライニング角度を減算した角度が第2角度以上であるか否かを判定する。つまり、個別制御部271Bは、助手席1Bが運転席1Aよりも第2角度以上後方に傾いているか否かを判定する。
【0389】
個別制御部271によりリクライニング角度の差が第2角度未満であると判定された場合(S1003でNO)、処理はステップS1004へ進む。ステップS1004において、個別制御部271は、シート位置センサ53から取得した運転席1Aのスライド位置と助手席1Bのスライド位置との差が第1長さ以上であるか否かを判定する。第1長さは、例えば150mmである。
【0390】
ここで、運転席1Aの個別制御部271Aは、運転席1Aのスライド位置から助手席1Bのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上であるか否かを判定する。つまり、個別制御部271Aは、運転席1Aが助手席1Bよりも第1長さ以上後方に位置しているか否かを判定する。また、助手席1Bの個別制御部271Bは、助手席1Bのスライド位置から運転席1Aのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上であるか否かを判定する。つまり、個別制御部271Bは、助手席1Bが運転席1Aよりも第1長さ以上後方に位置しているか否かを判定する。
【0391】
個別制御部271によりリクライニング角度の差が第2角度以上であると判定された場合(S1003でYES)、及び、個別制御部271によりスライド位置の差が第1長さ以上であると判定された場合(S1004でYES)、処理はステップS1005へ進む。ステップS1005において、個別制御部271は、吐出ダクト選択切替え部37を制御して第2モードを実行させる。そして、個別制御部271は、処理を終了し、ステップS1001に戻り処理を繰り返す。
【0392】
個別制御部271によりリクライニング角度の差が第1角度未満であると判定された場合(S1002でNO)、及び、個別制御部271によりスライド位置の差が第1長さ未満であると判定された場合(S1004でNO)、個別制御部271は、処理を終了し、ステップS1001に戻り処理を繰り返す。
【0393】
なお、個別制御部271は、リクライニング角度の差及びスライド位置の差と、吐出ダクト選択切替え部37のモードとの対応関係を示すテーブルを記憶していてもよい。この場合、個別制御部271は、このテーブルを読み出し、読み出したテーブルを用いて、リクライニング角度の差及びスライド位置の差に応じて、吐出ダクト選択切替え部37を制御する。
【0394】
また、個別制御部271は、リクライニング角度の差及びスライド位置の差に応じて吐出ダクト選択切替え部37のモードを選択する構成に限られず、リクライニング角度の差のみに応じて吐出ダクト選択切替え部37のモードを選択してもよい。例えば、上記のステップS1003において個別制御部271によりリクライニング角度の差が第2角度未満であると判定された場合、ステップS1004へ進まずに、処理を終了してステップS1001に戻ることとしてもよい。
【0395】
<作用効果>
次に、本実施の形態における車両用シート空調装置の作用効果について説明する。
【0396】
上述したように、本実施の形態に係る車両用シート空調装置730は、車両1000の第1シートに設けられ、第1シートに対して車両1000の左右方向に隣接して配置された第2シートの空調を行う。車両用シート空調装置730は、送風機36と、送風機によって導かれた空気を、第1シートの側面に設けられた第1吐出口34aから吐出する第1吐出ダクト34と、送風機36によって導かれた空気を、第1シートに第1吐出口34aよりも下方に設けられた第2吐出口35aから吐出する第2吐出ダクト35と、通風路を選択する吐出ダクト選択切替え部37と、送風機36及び吐出ダクト選択切替え部37を制御する個別制御部(制御部)271とを備える。
【0397】
吐出ダクト選択切替え部37は、送風機36によって導かれた空気を第1吐出ダクト34に導く第1モードと、送風機によって導かれた空気を第2吐出ダクト35に導く第2モードとを有する。個別制御部271は、第1シート及び第2シートのそれぞれのリクライニング角度及びスライド位置の少なくとも1つに基づいて、吐出ダクト選択切替え部37の第1モード及び第2モードであるモードを切り替える。
【0398】
これによれば、第1シート及び第2シートのそれぞれのリクライニング角度及びスライド位置の少なくとも1つに基づいて吐出ダクト選択切替え部37のモードを切り替えることができ、第2シートに着座する乗員の吐出目標位置に空気をより確実に吐出し得る。このため、本実施の形態に係る車両用シート空調装置730は、当該乗員に対してより快適な空調環境を提供し得る。
【0399】
また、第2吐出口35aは、第1シートのシートバック13の側面において、第1吐出口34aよりも下方に設けられている。
【0400】
これによれば、第1シートのシートバック13の側面に2つの吐出口が設けられている場合に、第1シート及び第2シートのそれぞれのリクライニング角度及びスライド位置の少なくとも1つに基づいて、リクライニング及びスライドの影響を受けにくい第2吐出口35aから空気を吐出させる第2モードを実行させることができる。このため、第2シートに着座する乗員の吐出目標位置に空気をより確実に吐出し得る。
【0401】
また、個別制御部271は、第1シートのリクライニング角度から第2シートのリクライニング角度を減算した角度が第1角度以上であり、且つ、第1シートのスライド位置から第2シートのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上である場合、吐出ダクト選択切替え部37に第2モードを実行させる。
【0402】
これによれば、第1シートのリクライニング及びスライドにより第1シートのシートバック13が第2シートよりもある程度以上後方側に位置している場合に、吐出ダクト選択切替え部37に第2モードを実行させ、リクライニング及びスライドの影響を受けにくい第2吐出口35aから空気を吐出させることができる。このため、第2シートに着座する乗員の吐出目標位置に空気をより確実に吐出し得る。
【0403】
さらに、個別制御部271は、第1シートのリクライニング角度から第2シートのリクライニング角度を減算した角度が第1角度よりも大きい第2角度以上である場合、第1シートのスライド位置から第2シートのスライド位置を減算した長さにかかわらず、吐出ダクト選択切替え部37に第2モードを実行させる。
【0404】
これによれば、第1シートのリクライニングにより第1シートのシートバック13が第2シートよりもある程度以上後方側に位置している場合に、吐出ダクト選択切替え部37に第2モードを実行させ、リクライニング及びスライドの影響を受けにくい第2吐出口35aから空気を吐出させることができる。このため、第2シートに着座する乗員の吐出目標位置に空気をより確実に吐出し得る。
【0405】
さらに、個別制御部271は、第1シートのリクライニング角度から第2シートのリクライニング角度を減算した角度及び第1シートのスライド位置から第2シートのスライド位置を減算した長さと、吐出ダクト選択切替え部37のモードとの対応関係を示すテーブルに基づいて、吐出ダクト選択切替え部37のモードを切り替える。
【0406】
これによれば、第1シート及び第2シートのシート位置の関係と吐出ダクト選択切替え部37のモードとの対応関係を示すテーブルに基づいて吐出ダクト選択切替え部37のモードを切り替えることができ、第2シートに着座する乗員の吐出目標位置に空気をより確実に吐出し得る。
【0407】
例えば、助手席1Bが運転席1Aに比べて所定角度以上リクライニングをしてシートバック13を後方に傾けている場合等、助手席1Bのシートバック13が運転席1Aのシートバック13よりもある程度後方に位置している場合に、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第1モードを実行させると、第1吐出口34Aaから吐出した空気が運転席1Aのシートバック13の後ろ側(X軸マイナス方向側)の面に吐出されるため、運転席1Aに着座する乗員の吐出目標位置に空気を吐出できないおそれがある。
【0408】
本実施の形態によれば、隣接するシート間のリクライニング角度の差及びスライド位置の差に応じて吐出ダクト選択切替え部37のモードを選択することができ、具体的には、リクライニング角度の差が第2角度以上である場合、及び、リクライニング角度の差が第1角度以上であり且つスライド位置の差が第1長さ以上である場合に吐出ダクト選択切替え部37に第2モードを実行させ得る。
【0409】
このため、例えば、助手席1Bが運転席1Aに比べて所定角度以上リクライニングをしてシートバック13を後方に傾けている場合等であっても、リクライニングの影響を第1吐出口34Baに比べて受けにくい第2吐出口35Baから空気を吐出することができ、空気を吐出目標位置に更に確実に吐出することができる。
【0410】
なお、S1005において、個別制御部271は、車両用空調装置2bに対して指示を出力し、車両用空調装置2bの吐出口2cから吹き出される空調空気の吹出し方向を調節してもよい。詳細には、個別制御部271は、乗員の吐出目標位置に空気が向かうように、車両用空調装置2bからの吹出し方向及び風量を調節してもよい。これによれば、例えば車両用シート空調装置730が第2吐出口35aを備えていない場合、すなわち吐出口を1つ備えている場合にも、リクライニング及びスライドの影響をほとんど受けない車両用空調装置2bから空調空気を吹き出すことができる。また、このとき、個別制御部271は、車両用シート空調装置730から空気を吐出しないように、車両用シート空調装置730を制御してもよい。
【0411】
(実施の形態4の変形例)
本変形例では、シート1の座部11に、第2吐出口35aの代わりに第3吐出口38aが設けられている点で、実施の形態4の車両用シート空調装置と相違する。本変形例における他の構成は実施の形態4と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0412】
図34は、実施の形態4の変形例における車両用シート空調装置730が備えられたシート1の外観を示す斜視図である。
図35は、
図34のIV-IV線における車両用シート空調装置730が備えられたシート1の座部11の断面図である。
【0413】
図34及び
図35に示すように、本変形例に係る車両用シート空調装置730が備えられたシート1の座部11には、第3吐出口38aが形成されている。本変形例では、第3吐出口38aは、シート1に乗員が着座する側の面である座面11cのY軸方向の両端部のうち、シート1に隣接するシート側の端部に形成されている。この端部は、例えば、座面11cからZ軸プラス方向へ凸となっている部分である。なお、第3吐出口38aは、シート1に隣接するシートに対向するシート1の側面に形成されていてもよい。
【0414】
第3吐出口38aには、送風機36によって第3吐出ダクト38を介して空気が導かれる。第3吐出口38aは、第3吐出ダクト38を介して吐出ダクト選択切替え部37と接続されている。なお、この第3吐出ダクト38は、第1シートパッド11aに形成された単なる貫通穴であってもよい。第3吐出ダクト38は、特許請求の範囲の「第2吐出ダクト」又は「第3吐出ダクト」に相当し得る。また、第3吐出口38aは、特許請求の範囲の「第2吐出口」又は「第3吐出口」に相当し得る。
【0415】
つまり、吐出ダクト選択切替え部37は、個別制御部271に駆動制御されることで、送風ダクト33から導かれた空気を第1吐出ダクト34だけに導く第1モード、及び、送風ダクト33から導かれた空気を第3吐出ダクト38だけに導く第3モードの中から1つのモードを選択する。なお、この第3モードは、特許請求の範囲の「第2モード」又は「第3モード」に相当し得る。
【0416】
図36は、実施の形態4の変形例における車両用シート空調装置730の処理を示すフローチャートである。
【0417】
図36に示されるステップS1101からS1103までの処理は、実施の形態4における車両用シート空調装置におけるステップS1001からS1003までの処理と同様である。
【0418】
個別制御部271によりリクライニング角度の差が第2角度未満であると判定された場合(S1103でNO)、処理はステップS1104へ進む。ステップS1104において、個別制御部271は、シート位置センサ53から取得した運転席1Aのスライド位置と助手席1Bのスライド位置との差が第1長さ以上であるか否かを判定する。第1長さは、例えば100mmである。
【0419】
ここで、運転席1Aの個別制御部271Aは、運転席1Aのスライド位置から助手席1Bのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上であるか否かを判定する。つまり、個別制御部271Aは、運転席1Aが助手席1Bよりも第1長さ以上後方に位置しているか否かを判定する。また、助手席1Bの個別制御部271Bは、助手席1Bのスライド位置から運転席1Aのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上であるか否かを判定する。つまり、個別制御部271Bは、助手席1Bが運転席1Aよりも第1長さ以上後方に位置しているか否かを判定する。
【0420】
一方、個別制御部271によりリクライニング角度の差が第1角度未満であると判定された場合(S1102でNO)、処理はステップS1105へ進む。ステップS1105において、個別制御部271は、シート位置センサ53から取得した運転席1Aのスライド位置と助手席1Bのスライド位置との差が第2長さ以上であるか否かを判定する。第2長さは、例えば150mmである。
【0421】
ここで、運転席1Aの個別制御部271Aは、運転席1Aのスライド位置から助手席1Bのスライド位置を減算した長さが第2長さ以上であるか否かを判定する。つまり、個別制御部271Aは、運転席1Aが助手席1Bよりも第2長さ以上後方に位置しているか否かを判定する。
【0422】
また、助手席1Bの個別制御部271Bは、助手席1Bのスライド位置から運転席1Aのスライド位置を減算した長さが第2長さ以上であるか否かを判定する。つまり、個別制御部271Bは、助手席1Bが運転席1Aよりも第2長さ以上後方に位置しているか否かを判定する。
【0423】
個別制御部271によりリクライニング角度の差が第2角度以上であると判定された場合(S1103でYES)、個別制御部271によりスライド位置の差が第1長さ以上であると判定された場合(S1104でYES)、及び、個別制御部271によりスライド位置の差が第2長さ以上であると判定された場合(S1105でYES)、処理はステップS1106へ進む。ステップS1106において、個別制御部271は、吐出ダクト選択切替え部37を制御して第3モードを実行させる。そして、個別制御部271は、処理を終了し、ステップS1101に戻り処理を繰り返す。
【0424】
個別制御部271によりスライド位置の差が第1長さ未満であると判定された場合(S1104でNO)、及び、個別制御部271によりスライド位置の差が第2長さ未満であると判定された場合(S1105でNO)、個別制御部271は、処理を終了し、ステップS1101に戻り処理を繰り返す。
【0425】
これによれば、リクライニング角度の差が所定角度以上ある場合等であっても、リクライニングの影響を第1吐出口34aに比べて受けにくい第3吐出口38aから空気を吐出することができる。また、スライド位置の差が第1長さ以上ある場合等であっても、スライドの影響を第1吐出口34aに比べて受けにくい第3吐出口38aから空気を吐出することができる。このため、空気を吐出目標位置に更に確実に吐出することができる。
【0426】
なお、第1長さと第2長さとは、同じ長さであってもよい。例えば、第1長さと第2長さとは、いずれも150mmであってもよい。
【0427】
また、車両用シート空調装置730において、第1吐出口34a及び第2吐出口35aに加えて、第3吐出口38aを設ける構成でもよい。
【0428】
この場合、例えば、個別制御部271は、
図33に示される処理において、スライド位置の差が第2長さ以上である場合に、吐出ダクト選択切替え部37に第3モードを実行させてもよい。第2長さは一例として200mmである。
【0429】
具体的には、助手席1Bの個別制御部271Bは、助手席1Bが運転席1Aに比べて第2長さ以上スライドをしている場合に、吐出ダクト選択切替え部37に第3モードを実行させる。
【0430】
これによれば、スライドの差が大きい場合でも、スライドの影響を第1吐出口34a及び第2吐出口35aに比べて受けにくい第3吐出口38aから空気を吐出することができ、空気を吐出目標位置に更に確実に吐出することができる。
【0431】
上述したように、本変形例の車両用シート空調装置730は、車両1000の第1シートに設けられ、第1シートに対して車両1000の左右方向に隣接して配置された第2シートの空調を行う。第3吐出口38aは、実施の形態4の車両用シート空調装置の第2吐出口35aの代わりに、第1シートの座部11の第2シート側の部分に設けられている。
【0432】
これによれば、リクライニング及びスライドの影響をより受けにくい位置に第3吐出口38aが設けられているため、第1シート及び第2シートのそれぞれのリクライニング角度及びスライド位置の少なくとも1つに基づいて第3モードを実行させることにより、第2シートに着座する乗員の吐出目標位置に空気を更に確実に吐出し得る。
【0433】
さらに、個別制御部271は、第1シートのリクライニング角度から第2シートのリクライニング角度を減算した角度が第1角度以上であり、且つ、第1シートのスライド位置から第2シートのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上である場合、吐出ダクト選択切替え部37に第2モードを実行させる。また、個別制御部271は、第1シートのスライド位置から第2シートのスライド位置を減算した長さが第1長さよりも長い第2長さ以上である場合、第1シートのリクライニング角度から第2シートのリクライニング角度を減算した角度にかかわらず、吐出ダクト選択切替え部37に第3モードを実行させる。
【0434】
これによれば、第1シートのスライドにより第1シートのシートバック13が第2シートよりもある程度以上後方側に位置している場合に、吐出ダクト選択切替え部37に第2モードを実行させ、スライドの影響を受けにくい第3吐出口38aから空気を吐出させることができる。このため、第2シートに着座する乗員の吐出目標位置に空気をより確実に吐出し得る。
【0435】
また、本変形例の車両用シート空調装置730は、送風機36によって導かれた空気を、第1シートの座部11の第2シート側の部分に設けられた第3吐出口38aから吐出する第3吐出ダクト38を更に備えてもよい。吐出ダクト選択切替え部37は、送風機36によって導かれた空気を第3吐出ダクト38に導く第3モードを更に有する。個別制御部271は、第1シート及び第2シートのそれぞれのリクライニング角度及びスライド位置の少なくとも1つに基づいて、吐出ダクト選択切替え部37の第1モード、第2モード及び第3モードであるモードを切り替える。
【0436】
これによれば、リクライニング及びスライドの影響をより受けにくい位置に第3吐出口38aが設けられているため、第1シート及び第2シートのそれぞれのリクライニング角度及びスライド位置の少なくとも1つに基づいて第3モードを実行させることにより、第2シートに着座する乗員の吐出目標位置に空気を更に確実に吐出し得る。
【0437】
さらに、個別制御部271は、第1シートのリクライニング角度から第2シートのリクライニング角度を減算した角度が第1角度以上であり、且つ、第1シートのスライド位置から第2シートのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上である場合、吐出ダクト選択切替え部37に第2モードを実行させる。また、個別制御部271は、第1シートのスライド位置から第2シートのスライド位置を減算した長さが第1長さよりも長い第2長さ以上である場合、第1シートのリクライニング角度から第2シートのリクライニング角度を減算した角度にかかわらず、吐出ダクト選択切替え部37に第3モードを実行させる。
【0438】
これによれば、第1シートのスライドにより第1シートのシートバック13が第2シートよりもある程度以上後方側に位置している場合に、吐出ダクト選択切替え部37に第2モードを実行させ、スライドの影響を受けにくい第3吐出口38aから空気を吐出させることができる。このため、第2シートに着座する乗員の吐出目標位置に空気をより確実に吐出し得る。
【0439】
(実施の形態5)
本実施の形態では、車両用シート空調システム3bが、実施の形態1~4のそれぞれに記載された制御を実行する。本実施の形態における車両用シート空調システム3bの構成は実施の形態1における車両用シート空調システム3と同様であり、また、車両用シート空調システム3bが備える車両用シート空調装置830の構成は実施の形態2における車両用シート空調装置430と同様である。
【0440】
図37は、実施の形態5における車両用シート空調システム3bを示すブロック図である。
【0441】
図37に示すように、車両用シート空調システム3bでは、制御部60が日射センサ52及びシート位置センサ53に対して電気的に接続されている。なお、これらはそれぞれ実施の形態3における日射センサ52及び実施の形態4におけるシート位置センサ53と同様である。
【0442】
<処理>
図38は、実施の形態5における車両用シート空調システム3bの処理を示すフローチャートである。
図39は、
図38の助手席1Bのシート位置を考慮した空調制御処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
図40は、
図38の運転席1Aのシート位置を考慮した空調制御処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
図41は、
図38のシート位置を考慮しない空調制御処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0443】
図38に示すように、車両用シート空調システム3bの制御部60は、まずステップS1201において、各車両用シート空調装置830の吐出目標位置、すなわち、運転席1A側に対する車両用シート空調装置830Bの吐出目標位置及び助手席1B側に対する車両用シート空調装置830Aの吐出目標位置を取得する。
【0444】
また、制御部60は、日射センサ52から日射量及び日射方向の情報を取得する。
【0445】
なお、制御部60は、日射センサ52から直接日射量及び日射方向の情報を取得してもよいし、日射センサ52と接続された車両用空調装置2bからこれらの情報を取得してもよい。さらに、制御部60は、シート位置センサ53から運転席1A及び助手席1Bのシート位置を取得する。
【0446】
次にステップS1202において、制御部60は、シート位置センサ53から取得した運転席1Aのリクライニング角度と助手席1Bのリクライニング角度との差が第1角度以上であるか否かを判定する。第1角度は、例えば10度である。
【0447】
制御部60によりリクライニング角度の差が第1角度以上であると判定された場合(S1202でYES)、処理はステップS1203へ進む。ステップS1203において、制御部60は、シート位置センサ53から取得した運転席1Aのリクライニング角度と助手席1Bのリクライニング角度との差が第2角度以上であるか否かを判定する。第2角度は、例えば20度である。
【0448】
制御部60によりリクライニング角度の差が第2角度未満であると判定された場合(S1203でNO)、処理はステップS1204へ進む。ステップS1204において、制御部60は、シート位置センサ53から取得した運転席1Aのスライド位置と助手席1Bのスライド位置との差が第1長さ以上であるか否かを判定する。第1長さは、例えば150mmである。
【0449】
ここで、制御部60は、ステップS1202において運転席1Aのリクライニング角度から助手席1Bのリクライニング角度を減算した角度が第1角度以上であると判定した場合、運転席1Aのスライド位置から助手席1Bのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上であるか否かを判定する。
【0450】
また、制御部60は、ステップ1202において助手席1Bのリクライニング角度から運転席1Aのリクライニング角度を減算した角度が第1角度以上であると判定した場合、助手席1Bのスライド位置から運転席1Aのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上であるか否かを判定する。
【0451】
制御部60によりリクライニング角度の差が第2角度以上であると判定された場合(S1203でYES)、及び、制御部60によりスライド位置の差が第1長さ以上であると判定された場合(S1204でYES)、処理はステップS1205へ進む。ステップS1205において、制御部60は、助手席1Bが運転席1Aよりも後方に位置しているか否かを判定する。
【0452】
ステップS1205では、制御部60は、ステップS1203において助手席1Bのリクライニング角度から運転席1Aのリクライニング角度を減算した角度が第2角度以上であると判定した場合、又は、ステップS1204において助手席1Bのスライド位置から運転席1Aのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上であると判定した場合、助手席1Bが運転席1Aよりも後方に位置していると判定する。また、制御部60は、ステップS1203において運転席1Aのリクライニング角度から助手席1Bのリクライニング角度を減算した角度が第2角度以上であると判定した場合、又は、ステップS1204において運転席1Aのスライド位置から助手席1Bのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上であると判定した場合、運転席1Aが助手席1Bよりも後方に位置していると判定する。
【0453】
制御部60により助手席1Bが運転席1Aよりも後方に位置していると判定された場合(S1205でYES)、処理はステップS1206へ進む。ステップS1206では、助手席1Bのシート位置を考慮した空調制御処理が実行され、その後、処理はステップS1209へ進む。
【0454】
制御部60により運転席1Aが助手席1Bよりも後方に位置していると判定された場合(S1205でNO)、処理はステップS1207へ進む。ステップS1207では、運転席1Aのシート位置を考慮した空調制御処理が実行され、その後、処理はステップS1209へ進む。
【0455】
制御部60によりリクライニング角度の差が第1角度未満であると判定された場合(S1202でNO)、及び、制御部60によりスライド位置の差が第1長さ未満であると判定された場合(S1204でNO)、処理はステップS1208へ進む。ステップS1208では、シート位置を考慮しない空調制御処理が実行され、その後、処理はステップS1209へ進む。
【0456】
ステップS1209では、日射情報に応じた空調制御処理が実行される。日射情報に応じた空調制御処理として、制御部60は、
図29に示される処理を実行する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS1201に戻り処理を繰り返す。
【0457】
ステップS1206の助手席1Bのシート位置を考慮した空調制御処理では、
図39に示すように、制御部60は、まずステップS1211において、運転席1A及び助手席1Bに設けられた車両用シート空調装置830の機能がいずれもオンであるか否かを判定する。車両用シート空調装置830の機能のオンまたはオフは、操作部65で受け付ける入力操作に応じて切り替えられる構成とすればよい。
【0458】
制御部60により運転席1A及び助手席1Bに設けられた車両用シート空調装置830の機能がいずれもオンであると判定された場合(ステップS1211でYES)、処理はステップS1212へ進む。ステップS1212において、制御部60は、運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。
【0459】
制御部60により運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S1212でYES)、処理はステップS1213へ進む。ステップS1213において、制御部60は、助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。
【0460】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S1213でYES)、処理はステップS1214へ進む。ステップS1214において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第1モードを実行させ、運転席1Aの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させ、助手席1Bの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を上向きに調節する。そして、制御部60は、助手席1Bのシート位置を考慮した空調制御処理を終了する。
【0461】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S1213でNO)、処理はステップS1215へ進む。ステップS1215において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第2モードを実行させ、運転席1Aの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させ、助手席1Bの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を上向きに調節する。そして、制御部60は、助手席1Bのシート位置を考慮した空調制御処理を終了する。
【0462】
制御部60により運転席1A側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S1212でNO)、処理はステップS1216へ進む。ステップS1216において、制御部60は、助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。
【0463】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S1216でYES)、処理はステップS1217へ進む。ステップS1217において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第1モードを実行させ、運転席1Aの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させ、助手席1Bの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、制御部60は、助手席1Bのシート位置を考慮した空調制御処理を終了する。
【0464】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S1216でNO)、処理はステップS1218へ進む。ステップS1218において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第1モードを実行させ、運転席1Aの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を下向きに調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させ、助手席1Bの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、制御部60は、助手席1Bのシート位置を考慮した空調制御処理を終了する。
【0465】
ステップS1214,S1215,S1217及びS1218によれば、後に実行されるS1209と合わせて、各車両用シート空調装置830から吐出される空気が互いに干渉することを低減し得、日射による快適性の低下を抑制し得、さらに、各シート1のリクライニング角度及びスライド位置によらず乗員の吐出目標位置に空気をより確実に吐出し得る。なお、これらの処理では隣接するシートの席種を考慮した空調の制御が十分に行われない場合があるが、各シートのシート位置に応じた空調の制御を優先して行うことにより、吐出した空気が隣接するシートのシートバック13の後ろ側(X軸マイナス方向側)の面の吐出されることを抑制し、空気を吐出目標位置に対してより確実に吐出し得る。
【0466】
ステップS1207の運転席1Aのシート位置を考慮した空調制御処理では、
図40に示すように、制御部60は、まずステップS1221において、運転席1A及び助手席1Bに設けられた車両用シート空調装置830の機能がいずれもオンであるか否かを判定する。車両用シート空調装置830の機能のオンまたはオフは、操作部65で受け付ける入力操作に応じて切り替えられる構成とすればよい。
【0467】
制御部60により運転席1A及び助手席1Bに設けられた車両用シート空調装置830の機能がいずれもオンであると判定された場合(ステップS1221でYES)、処理はステップS1222へ進む。ステップS1222において、制御部60は、運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。
【0468】
制御部60により運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S1222でYES)、処理はステップS1223へ進む。ステップS1223において、制御部60は、助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。
【0469】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S1223でYES)、処理はステップS1224へ進む。ステップS1224において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第2モードを実行させ、運転席1Aの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を上向きに調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第1モードを実行させ、助手席1Bの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、制御部60は、運転席1Aのシート位置を考慮した空調制御処理を終了する。
【0470】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S1223でNO)、処理はステップS1225へ進む。ステップS1225において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第2モードを実行させ、運転席1Aの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。
【0471】
また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させ、助手席1Bの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を上向きに調節する。そして、制御部60は、運転席1Aのシート位置を考慮した空調制御処理を終了する。
【0472】
制御部60により運転席1A側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S1222でNO)、処理はステップS1226へ進む。ステップS1226において、制御部60は、助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。
【0473】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S1226でYES)、処理はステップS1227へ進む。ステップS1227において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第2モードを実行させ、運転席1Aの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を上向きに調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させ、助手席1Bの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、制御部60は、運転席1Aのシート位置を考慮した空調制御処理を終了する。
【0474】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S1226でNO)、処理はステップS1228へ進む。ステップS1228において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第2モードを実行させ、運転席1Aの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第1モードを実行させ、助手席1Bの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を下向きに調節する。そして、制御部60は、運転席1Aのシート位置を考慮した空調制御処理を終了する。
【0475】
ステップS1224,S1225,S1227及びS1228によれば、後に実行されるS1209と合わせて、各車両用シート空調装置830から吐出される空気が互いに干渉することを低減し得、日射による快適性の低下を抑制し得、さらに、各シート1のリクライニング角度及びスライド位置によらず乗員の吐出目標位置に空気をより確実に吐出し得る。なお、これらの処理では隣接するシートの席種を考慮した空調の制御が十分に行われない場合があるが、各シートのシート位置に応じた空調の制御を優先して行うことにより、吐出した空気が隣接するシートのシートバック13の後ろ側(X軸マイナス方向側)の面の吐出されることを抑制し、空気を吐出目標位置に対してより確実に吐出し得る。
【0476】
ステップS1208のシート位置を考慮しない空調制御処理では、
図41に示すように、制御部60は、まずステップS1231において、運転席1A及び助手席1Bに設けられた車両用シート空調装置830の機能がいずれもオンであるか否かを判定する。車両用シート空調装置830の機能のオンまたはオフは、操作部65で受け付ける入力操作に応じて切り替えられる構成とすればよい。
【0477】
制御部60により運転席1A及び助手席1Bに設けられた車両用シート空調装置830の機能がいずれもオンであると判定された場合(ステップS1231でYES)、処理はステップS1232へ進む。ステップS1232において、制御部60は、運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であるか否かを判定する。
【0478】
制御部60により運転席1A側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S1232でYES)、処理はステップS1233へ進む。ステップS1233において、制御部60は、助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であるか否かを判定する。
【0479】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S1233でYES)、処理はステップS1234へ進む。ステップS1234において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第2モードを実行させ、運転席1Aの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。
【0480】
さらに、制御部60は、運転席1Aの第3通気口12cの縦板フィン123を制御して吐出方向を前方寄り(X軸プラス方向寄り)に調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第1モードを実行させ、助手席1Bの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、制御部60は、シート位置を考慮しない空調制御処理を終了する。
【0481】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S1233でNO)、処理はステップS1235へ進む。
【0482】
ステップS1235において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第2モードを実行させ、運転席1Aの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を上向きに調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第1モードを実行させ、助手席1Bの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、制御部60は、シート位置を考慮しない空調制御処理を終了する。
【0483】
制御部60により運転席1A側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S1232でNO)、処理はステップS1236へ進む。ステップS1236において、制御部60は、助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であるか否かを判定する。
【0484】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第2部分であると判定された場合(S1236でYES)、処理はステップS1237へ進む。ステップS1237において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第1モードを実行させ、運転席1Aの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を下向きに調節する。
【0485】
さらに、制御部60は、運転席1Aの第3通気口12cの縦板フィン123を制御して吐出方向を前方寄り(X軸プラス方向寄り)に調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させ、助手席1Bの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、制御部60は、シート位置を考慮しない空調制御処理を終了する。
【0486】
制御部60により助手席1B側に対する吐出目標位置が第1部分であると判定された場合(S1236でNO)、処理はステップS1238へ進む。ステップS1238において、制御部60は、運転席1Aの吐出ダクト選択切替え部37Aに第1モードを実行させ、運転席1Aの第2通気口12bの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。また、制御部60は、助手席1Bの吐出ダクト選択切替え部37Bに第2モードを実行させ、助手席1Bの第3通気口12cの横板フィン121を制御して吐出方向を水平方向に調節する。そして、制御部60は、シート位置を考慮しない空調制御処理を終了する。
【0487】
ステップS1234,S1235,S1237及びS1238によれば、後に実行されるS1209と合わせて、各車両用シート空調装置830から吐出される空気が互いに干渉することを低減し得、隣接するシートの席種を考慮した空調の制御を実行でき、さらに、日射による快適性の低下を抑制し得る。これらの処理では、各シートのシート位置を考慮しなくても空気を吐出目標位置に対して十分に吐出できると想定されるため、隣接するシートの席種を考慮した空調の制御を実行することができ、隣接するシートに着座する乗員の姿勢等によらず吐出目標位置に対してより確実に空気を吐出し得る。
【0488】
なお、上述した処理において、判定処理の順番は適宜入れ替えてもよい。また、各車両用シート空調装置830の処理は上述したものに限られない。
【0489】
また、実施の形態1の変形例1のように、運転席1A及び助手席1Bのそれぞれのシートバック13の側面には、吐出口134aが1つずつ設けられていてもよい。この場合、制御部60は、
図38のステップS1201の処理の後に、
図16に示される処理を実行し、さらに、
図38のステップS1209の処理を実行してもよい。
【0490】
また、実施の形態1の変形例2及び変形例3のように、車両用シート空調システムの制御部が存在せず、個別制御部271が独立して車両用シート空調装置830を制御してもよい。
【0491】
また、実施の形態2の変形例のように、制御部60は、乗員姿勢センサ51に対して電気的に接続されていてもよい。この場合、制御部60は、
図41のステップS1234,S1235,S1237及びS1238の処理において、
図27に示される処理等に基づいて、吐出ダクト選択切替え部37のモード及び吐出方向を制御してもよい。
【0492】
また、実施の形態3の変形例1及び2のように、制御部60は、車両用空調装置2bと電気的に接続されていてもよい。この場合、制御部60は、
図38のステップS1209の処理において、
図30又は
図31に示される処理を実行してもよい。
【0493】
(その他変形例等)
以上、本開示において、実施の形態1~5に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態1~5に限定されるものではない。
【0494】
例えば、上記各実施の形態1~5に係る車両用シート空調装置は、車両1000の幅方向に沿って隣接するシートに着座する乗員に空気を吐出しなくてもよく、例えば前後方向に沿って隣接するシートに着座する乗員に空気を吐出してもよいし、斜め方向に沿って隣接するシートに着座する乗員に空気を吐出してもよい。
【0495】
また、上記実施の形態1に係る車両用シート空調システムは、隣接する2つのシートにそれぞれ備えられた車両用シート空調装置を制御しているが、隣接する3つ以上のシートにそれぞれ備えられた車両用シート空調装置を制御してもよい。このような車両用シート空調システムは、一般的な普通車だけでなく、3つ以上のシートが隣接し得るバス等にも適用可能である。
【0496】
また、上記各実施の形態1~5に係る車両用シート空調システム及び車両用シート空調装置において、シートの側面に前後方向に並んで吐出口が設けられていてもよい。
【0497】
また、上記各実施の形態1~5に係る車両用シート空調システム及び車両用シート空調装置に含まれる各処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0498】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0499】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0500】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態1~5は例示された数字に制限されない。
【0501】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを1つの機能ブロックとして実現したり、1つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0502】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0503】
その他、実施の形態1~5に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態1~5における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0504】
(付記)
上記実施の形態から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施の形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0505】
第1の態様の車両用シート空調システム(3,3a,3b)は、複数の車両用シート空調装置(30,130,830)と、制御部(60)と、を備える。複数の車両用シート空調装置(30,130,830)は、車両(1000)の複数のシート(1)に設けられている。制御部(60)は、複数の車両用シート空調装置(30,130,830)を制御する。車両用シート空調装置(30,130,830)は、送風機(36)と、吐出ダクト(34,35,134,38)と、を備える。吐出ダクト(34,35,134,38)は、送風機(36)によって導かれた空気を、シート(1)の側面に設けられた吐出口(34a,35a,134a,38a)から吐出する。制御部(60)は、複数の車両用シート空調装置(30,130,830)のそれぞれからの空気の吐出目標位置を取得し、吐出目標位置に基づいて、吐出口(34a,35a,134a,38a)から吐出する空気の吐出タイミング、吐出方向及び空気を吐出する吐出口(34a,35a,134a,38a)の選択の少なくとも1つを制御する。
【0506】
第2の態様の車両用シート空調システム(3,3a,3b)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様では、車両用シート空調装置(30,130,830)は、車両(1000)の左右方向に隣接する2つのシート(1)である第1シート及び第2シートにそれぞれ設けられている。吐出口(34a,35a,134a)は、第1シートの第2シートに対向する側面と、第2シートの第1シートに対向する側面とにそれぞれ設けられている。制御部(60)は、吐出目標位置に基づいて、第1シート及び第2シートのそれぞれに設けられた吐出口(34a,35a,134a)から吐出する空気の吐出タイミングをずらすこと、及び、第1シート及び第2シートのそれぞれに設けられた吐出口(34a,35a,134a)から吐出する空気の干渉を低減するように吐出方向及び空気を吐出する吐出口(34a,35a,134a)の選択を設定することの少なくとも1つを実行する。
【0507】
第3の態様の車両用シート空調システム(3,3b)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。吐出口(34a,35a)は、第1シート及び第2シートにそれぞれ複数設けられている。吐出ダクト(34,35)は、送風機(36)によって導かれた空気を、複数の吐出口(34a,35a)である第1吐出口(34a)及び第2吐出口(35a)からそれぞれ吐出する第1吐出ダクト(34)及び第2吐出ダクト(35)を含む。車両用シート空調装置(30,830)は、通風路を選択する吐出ダクト選択切替え部(37)を更に備える。吐出ダクト選択切替え部(37)は、送風機(36)によって導かれた空気を第1吐出ダクト(34)に導く第1モードと、送風機(36)によって導かれた空気を第2吐出ダクト(35)に導く第2モードとを有する。制御部(60)は、吐出目標位置に基づいて、第1シート及び第2シートのそれぞれについて、吐出ダクト選択切替え部(37)の第1モード及び第2モードであるモードを切り替えることで、空気を吐出する吐出口(34a,35a)の選択を制御する。
【0508】
第4の態様の車両用シート空調システム(3,3b)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様では、第2吐出口(35a)は、第1吐出口(34a)よりも下方に設けられている。
【0509】
第5の態様の車両用シート空調システム(3,3b)は、第3又は第4の態様との組合せにより実現され得る。第5の態様では、吐出目標位置は、隣接するシートに着座する乗員の第1部分と、乗員の第1部分より下方の第2部分とを含む乗員の複数の部分から選択される。制御部(60)は、吐出目標位置に基づいて、吐出方向及び吐出ダクト選択切替え部(37)のモードを制御する。
【0510】
第6の態様の車両用シート空調システム(3,3b)は、第3~第5の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第6の態様では、制御部(60)は、吐出目標位置に基づいて、吐出方向及び吐出ダクト選択切替え部(37)のモードを所定時間ごとに切り替える。
【0511】
第7の態様の車両用シート空調システム(3a)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第7の態様では、吐出口(134a)は、第1シート及び第2シートにそれぞれ1つずつ設けられている。
【0512】
第8の態様の車両用シート空調システム(3a)は、第7の態様との組合せにより実現され得る。第8の態様では、制御部(60)は、吐出目標位置に基づいて、第1シート及び第2シートにそれぞれ設けられた吐出口(134a)から吐出される空気が互いに干渉するか否かを判定する。制御部(60)は、干渉すると判定した場合、第1シートに設けられた吐出口(134a)から、第1時間帯に空気を吐出し、第1時間帯と異なる第2時間帯に空気を吐出しないように、第1シートに設けられた車両用シート空調装置(130)を制御し、第2シートに設けられた吐出口(134a)から、第2時間帯に空気を吐出し、第1時間帯に空気を吐出しないように、第2シートに設けられた車両用シート空調装置(130)を制御する。
【0513】
第9の態様の車両用シート空調システム(3a)は、第8の態様との組合せにより実現され得る。第9の態様では、第1時間帯は、第2時間帯の後に連続する時間帯である。第2時間帯は、第1時間帯の後に連続する時間帯である。
【0514】
第10の態様の車両用シート空調システム(3a)は、第8又は第9の態様との組合せにより実現され得る。第10の態様では、吐出目標位置は、隣接するシートに着座する乗員の第1部分と、乗員の第1部分より下方の第2部分とを含む乗員の複数の部分から選択される。制御部(60)は、吐出目標位置に基づいて、吐出タイミング及び吐出方向の少なくとも1つを制御する。
【0515】
第11の態様の車両用シート空調システム(3a)は、第10の態様との組合せにより実現され得る。第11の態様では、第1シートに設けられた吐出口(134a)と、第2シートに設けられた吐出口(134a)とは、互いに対応する高さの位置に設けられる。制御部(60)は、複数の車両用シート空調装置(130)のそれぞれの吐出目標位置が、いずれも第1部分である場合、又は、いずれも第2部分である場合に、第1シート及び第2シートにそれぞれ設けられた吐出口(134a)から吐出される空気が互いに干渉すると判定する。
【0516】
第12の態様の車両用シート空調装置(230,330,430,530,630,730)は、車両(1000)の第1シートに設けられ、第1シート以外の他のシートの空調を行う。車両用シート空調装置(230,330,430,530,630,730)は、送風機(36)と、吐出ダクト(34,35,134,38)と、制御部(271)と、を備える。吐出ダクト(34,35,134,38)は、送風機(36)によって導かれた空気を、第1シートの側面に設けられた吐出口(34a,35a,134a,38a)から吐出する。制御部(271)は、送風機(36)を制御する。制御部(271)は、第1シート及び他のシートのそれぞれから吐出される空気の吐出目標位置を取得し、吐出目標位置に基づいて、吐出口(34a,35a,134a,38a)から吐出する空気の吐出タイミング、吐出方向及び空気を吐出する前記吐出口(34a,35a,134a,38a)の選択の少なくとも1つを制御する。
【0517】
第13の態様の車両用シート空調装置(230,330,430,530,630,730)は、第12の態様との組合せにより実現され得る。第13の態様では、他のシートは、第1シートに対して車両(1000)の左右方向に隣接する第2シートである。第1シートに設けられた吐出口(34a,35a,134a)は、第1シートの第2シートに対向する側面に設けられる。制御部(271)は、吐出目標位置に基づいて、第1シートに設けられた吐出口(34a,35a,134a)から吐出する空気の吐出タイミングを第2シートに設けられた吐出口(34a,35a,134a)から吐出する空気の吐出タイミングに対してずらすこと、及び、第1シート及び第2シートのそれぞれに設けられた吐出口(34a,35a,134a)から吐出する空気の干渉を低減するように吐出方向及び空気を吐出する吐出口(34a,35a,134a)の選択を設定することの少なくとも1つを実行する。
【0518】
第14の態様の車両用シート空調装置(230)は、第13の態様との組合せにより実現され得る。第14の態様では、車両用シート空調装置(230)は、通風路を選択する吐出ダクト選択切替え部(37)を更に備える。第1シートに設けられた吐出口(34a,35a)は、第1シートの側面に複数設けられている。吐出ダクト(34,35)は、送風機(36)によって導かれた空気を、複数の吐出口である第1吐出口(34a)及び第2吐出口(35a)からそれぞれ吐出する第1吐出ダクト(34)及び第2吐出ダクト(35)を含む。吐出ダクト選択切替え部(37)は、送風機(36)によって導かれた空気を第1吐出ダクト(34)に導く第1モードと、第2吐出ダクト(35)に導く第2モードとを有する。制御部(271)は、吐出目標位置に基づいて、吐出ダクト選択切替え部(37)の第1モード及び第2モードであるモードを切り替えることで、空気を吐出する吐出口(34a,35a)の選択を制御する。
【0519】
第15の態様の車両用シート空調装置(230)は、第14の態様との組合せにより実現され得る。第15の態様では、第2吐出口(35a)は、第1吐出口(34a)よりも下方に設けられている。
【0520】
第16の態様の車両用シート空調装置(230)は、第14又は第15の態様との組合せにより実現され得る。第16の態様では、第1シートに設けられた車両用シート空調装置(230)の吐出目標位置は、第2シートに着座する乗員の第1部分と、乗員の第1部分より下方の第2部分とを含む乗員の複数の部分から選択される。制御部(271)は、吐出目標位置に基づいて、吐出方向及び吐出ダクト選択切替え部(37)ののモードを制御する。
【0521】
第17の態様の車両用シート空調装置(230)は、第14~第16の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第17の態様では、制御部(271)は、吐出目標位置に基づいて、吐出方向及び吐出ダクト選択切替え部(37)のモードを所定時間ごとに切り替える。
【0522】
第18の態様の車両用シート空調装置(330)は、第13の態様との組合せにより実現され得る。第18の態様では、第1シートに設けられた吐出口(134a)は、第1シートの側面に1つ設けられている。
【0523】
第19の態様の車両用シート空調装置(330)は、第18の態様との組合せにより実現され得る。第19の態様では、制御部(271)は、吐出目標位置に基づいて、第1シートに設けられた吐出口(134a)及び第2シートに設けられた吐出口(134a)から吐出される空気が互いに干渉するか否かを判定する。制御部(271)は、干渉すると判定した場合、第1シートに設けられた吐出口(134a)から、第2シートに設けられた吐出口(134a)から空気が吐出され合い第1時間帯に空気を吐出し、第1時間帯と異なり、第2シートに設けられた吐出口(134a)から空気が吐出される第2時間帯に空気を吐出しないように、吐出タイミングを制御する。
【0524】
第20の態様の車両用シート空調装置(330)は、第19の態様との組合せにより実現され得る。第20の態様では、第1時間帯は、第2時間帯の後に連続する時間帯である。第2時間帯は、第1時間帯の後に連続する時間帯である。
【0525】
第21の態様の車両用シート空調装置(330)は、第19又は第20の態様との組合せにより実現され得る。第21の態様では、第1シートに設けられた車両用シート空調装置(330)の吐出目標位置は、第2シートに着座する乗員の第1部分と、乗員の第1部分より下方の第2部分とを含む乗員の複数の部分から選択される。制御部(271)は、吐出目標位置に基づいて、吐出タイミング及び吐出方向の少なくとも1つを制御する。
【0526】
第22の態様の車両用シート空調装置(330)は、第21の態様との組合せにより実現され得る。第22の態様では、第1シートに設けられた吐出口(134a)は、第2シートに設けられた吐出口(134a)に対応する高さの位置に設けられている。制御部(271)は、第1シート及び第2シートのそれぞれの車両用シート空調装置(330)の吐出目標位置が、いずれも第1部分である場合、又はいずれも第2部分である場合に、第1シートに設けられた吐出口(134a)及び第2シートに設けられた吐出口(134a)から吐出される空気が互いに干渉すると判定する。
【0527】
第23の態様の車両用シート空調装置(430,530)は、第13の態様との組合せにより実現され得る。第23の態様では、制御部(271)は、吐出目標位置及び第2シートの席種に基づいて、吐出方向及び空気を吐出する吐出口(34a,35a,134a)の選択の少なくとも1つを制御する。
【0528】
第24の態様の車両用シート空調装置(430,530)は、第23の態様との組合せにより実現され得る。第24の態様では、制御部(271)は、吐出目標位置及び第2シートの席種に基づいて、吐出口(34a,35a,134a)から吐出された空気である空調風が吐出目標位置に到達するように、吐出方向及び空気を吐出する吐出口(34a,35a,134a)の選択の少なくとも1つを制御する。
【0529】
第25の態様の車両用シート空調装置(430,530)は、第23又は第24の態様との組合せにより実現され得る。第25の態様では、車両用シート空調装置(430,530)は、通風路を選択する吐出ダクト選択切替え部(37)を更に備える。吐出口(34a,35a)は、第1シートの側面に複数設けられている。吐出ダクト(34,35)は、送風機(36)によって導かれた空気を、複数の吐出口である第1吐出口(34a)及び第2吐出口(35a)からそれぞれ吐出する第1吐出ダクト(34)及び第2吐出ダクト(35)を含む。吐出ダクト選択切替え部(37)は、送風機(36)によって導かれた空気を第1吐出ダクト(34)に導く第1モードと、送風機(36)によって導かれた空気を第2吐出ダクト(35)に導く第2モードとを有する。制御部(271)は、吐出目標位置に基づいて、吐出ダクト選択切替え部(37)の第1モード及び第2モードであるモードを切り替える。
【0530】
第26の態様の車両用シート空調装置(430,530)は、第25の態様との組合せにより実現され得る。第26の態様では、吐出目標位置は、第2シートに着座する乗員の第1部分と、乗員の第1部分より下方の第2部分とを含む乗員の複数の部分から選択される。制御部(271)は、吐出目標位置に基づいて、吐出方向を制御する。
【0531】
第27の態様の車両用シート空調装置(430)は、第26の態様との組合せにより実現され得る。第27の態様では、第2シートの席種には、運転席及び助手席が含まれる。
【0532】
第28の態様の車両用シート空調装置(430)は、第27の態様との組合せにより実現され得る。第28の態様では、第2シートの席種は、運転席である。
【0533】
第29の態様の車両用シート空調装置(430)は、第28の態様との組合せにより実現され得る。第29の態様では、制御部(271)は、吐出目標位置が第1部分である場合、吐出ダクト選択切替え部(37)に第1モードを実行させる。
【0534】
第30の態様の車両用シート空調装置(430)は、第28又は第29の態様との組合せにより実現され得る。第30の態様では、制御部(271)は、吐出目標位置が第2部分である場合、吐出ダクト選択切替え部(37)に第2モードを実行させる。
【0535】
第31の態様の車両用シート空調装置(530)は、第26の態様との組合せにより実現され得る。第31の態様では、制御部(271)は、第2シートに着座する乗員の姿勢を検知する乗員姿勢センサ(51)の検知結果に基づいて、吐出ダクト選択切替え部(37)のモードを切り替える。
【0536】
第32の態様の車両用シート空調装置(530)は、第31の態様との組合せにより実現され得る。第32の態様では、制御部(271)は、乗員姿勢センサ(51)の検知結果に基づいて、第2シートに着座する乗員が車両(1000)のステアリングを把持しているか否かを判定する。
【0537】
第33の態様の車両用シート空調装置(530)は、第32の態様との組合せにより実現され得る。第33の態様では、制御部(271)は、第2シートに着座する乗員がステアリングを把持していると判定され、且つ、吐出目標位置が第1部分である場合、吐出ダクト選択切替え部(37)に第1モードを実行させる。
【0538】
第34の態様の車両用シート空調装置(530)は、第32又は第33の態様との組合せにより実現され得る。第34の態様では、制御部(271)は、第2シートに着座する乗員がステアリングを把持していると判定され、且つ、吐出目標位置が第2部分である場合、吐出ダクト選択切替え部(37)に第2モードを実行させる。
【0539】
第35の態様の車両用シート空調装置(430,530)は、第27の態様との組合せにより実現され得る。第35の態様では、第2シートの席種は、助手席である。
【0540】
第36の態様の車両用シート空調装置(430)は、第35の態様との組合せにより実現され得る。第36の態様では、第2シートの側面には、第1シートの空調を行うための吐出口(34a,35a)が設けられている。制御部(271)は、吐出目標位置が第2部分である場合、第1シートの側面に設けられた吐出口(34a,35a)から吐出する空気の吐出方向を、第2シートの側面に設けられた吐出口(34a,35a)から吐出する空気の吐出方向よりも、車両(1000)の前方側になるよう制御する。
【0541】
第37の態様の車両用シート空調装置(530)は、第35又は第36の態様との組合せにより実現され得る。第37の態様では、制御部(271)は、第2シートに着座する乗員の姿勢を検知する乗員姿勢センサ(51)の検知結果に基づいて、第1シートの側面に設けられた吐出口(34a,35a)から吐出する空気の吐出方向を制御する。
【0542】
第38の態様の車両用シート空調装置(630)は、第13の態様との組合せにより実現され得る。第38の態様では、制御部(271)は、第2シートの温度に関する情報を検出する温度検出センサの検出結果に基づいて、吐出方向及び吐出口(34a,35,134a)から吐出する空気の吐出量の少なくとも1つを制御する。
【0543】
第39の態様の車両用シート空調装置(630)は、第38の態様との組合せにより実現され得る。第39の態様では、温度検出センサは、車両(1000)の内部に侵入する日射量を検出する日射センサ(52)である。
【0544】
第40の態様の車両用シート空調装置(630)は、第38の態様との組合せにより実現され得る。第40の態様では、温度検出センサは、非接触温度計又はサーモグラフィである。
【0545】
第41の態様の車両用シート空調装置(630)は、第38~第40の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第41の態様では、制御部(271)は、温度検出センサにより検出された温度に関する情報を示す検出値が閾値以上である場合、検出値が閾値未満である場合の吐出方向よりも、吐出方向を車両(1000)の前方側になるよう制御する。
【0546】
第42の態様の車両用シート空調装置(630)は、第38~第41の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第42の態様では、制御部(271)は、温度検出センサにより検出された温度に関する情報を示す検出値が閾値以上である場合、検出値が閾値未満である場合の吐出量よりも、吐出量を大きくするよう制御する。
【0547】
第43の態様の車両用シート空調装置(630)は、第38~第40の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第43の態様では、制御部(271)は、車両(1000)に搭載された車両用空調装置(2b)から吹き出される空調空気の吹出し方向及び風量に関する設定情報を取得する。制御部(271)は、設定情報に基づいて、吐出方向及び吐出量の少なくとも1つを制御する。
【0548】
第44の態様の車両用シート空調装置(630)は、第43の態様との組合せにより実現され得る。第44の態様では、制御部(271)は、設定情報に基づいて、吐出口(34a,35a,134a)から吐出される空気と、車両用空調装置(2b)から吹き出される空調空気との合流点を算出する。制御部(271)は、合流点に向けて空気を吐出するように、吐出方向を制御する。
【0549】
第45の態様の車両用シート空調装置(630)は、第43又は第44の態様との組合せにより実現され得る。第45の態様では、制御部(271)は、吐出口(34a,35a,134a)から吐出される空気が、車両用空調装置(2b)から吹き出される空調空気と合流して第2シートに着座する乗員の車両(1000)のドア側の部分に吹き付けられるように、吐出方向及び吐出量の少なくとも1つを制御する。
【0550】
第46の態様の車両用シート空調装置(630)は、第38~第40の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第46の態様では、制御部(271)は、温度検出センサにより検出された温度に関する情報を示す検出値が閾値以上である場合、吐出方向及び吐出量の少なくとも1つに加え、車両(1000)に搭載された車両用空調装置(2b)から吹き出される空調空気の吹出し方向及び風量の少なくとも1つを制御する。
第47の態様の車両用シート空調装置(630)は、第46の態様との組合せにより実現され得る。第47の態様では、制御部(271)は、吐出口(34a,35a,134a)から吐出される空気と、車両用空調装置(2b)から吹き出される空調空気とが合流するように、吐出口(34a,35a,134a)から吐出される空気の吐出方向及び車両用空調装置(2b)から吹き出される空調空気の吹出し方向を制御する。
【0551】
第48の態様の車両用シート空調装置(630)は、第46又は第47の態様との組合せにより実現され得る。第48の態様では、制御部(271)は、吐出口(34a,35a,134a)から吐出される空気が、車両用空調装置(2b)から吹き出される空調空気と合流して第2シートに着座する乗員の車両(1000)のドア側の部分に吹き付けられるように、吐出口(34a,35a,134a)から吐出される空気の吐出方向と吐出量との少なくとも1つ、及び、車両用空調装置(2b)から吹き出される空調空気の吹出し方向と風量との少なくとも1つを制御する。
【0552】
第49の態様の車両用シート空調装置(730)は、第13の態様との組合せにより実現され得る。第49の態様では、車両用シート空調装置(730)は、通風路を選択する吐出ダクト選択切替え部(37)を更に備える。第1シートに設けられた吐出口(34a,35a,38a)は、第1シートに複数設けられている。吐出ダクト(34,35,38)は、送風機(36)によって導かれた空気を、複数の吐出口である第1吐出口(34a)及び第2吐出口(35a,38a)からそれぞれ吐出する第1吐出ダクト(34)及び第2吐出ダクト(35,38)を含む。第1吐出口(34a)は、第1シートの側面に設けられている。第2吐出口(35a,38a)は、第1シートに第1吐出口(34a)よりも下方に設けられている。吐出ダクト選択切替え部(37)は、送風機(36)によって導かれた空気を第1吐出ダクト(34)に導く第1モードと、送風機(36)によって導かれた空気を第2吐出ダクト(35,38)に導く第2モードとを有する。制御部(271)は、第1シート及び第2シートのそれぞれのリクライニング角度及びスライド位置の少なくとも1つに基づいて、吐出ダクト選択切替え部(37)の第1モード及び第2モードであるモードを切り替える。
【0553】
第50の態様の車両用シート空調装置(730)は、第49の態様との組合せにより実現され得る。第50の態様では、第2吐出口(35a)は、第1シートのシートバック(13)の側面において、第1吐出口(34a)よりも下方に設けられている。
【0554】
第51の態様の車両用シート空調装置(730)は、第49又は第50の態様との組合せにより実現され得る。第51の態様では、制御部(271)は、第1シートのリクライニング角度から第2シートのリクライニング角度を減算した角度が第1角度以上であり、且つ、第1シートのスライド位置から第2シートのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上である場合、吐出ダクト選択切替え部(37)に第2モードを実行させる。
【0555】
第52の態様の車両用シート空調装置(730)は、第51の態様との組合せにより実現され得る。第52の態様では、制御部(271)は、第1シートのリクライニング角度から第2シートのリクライニング角度を減算した角度が第1角度よりも大きい第2角度以上である場合、第1シートのスライド位置から第2シートのスライド位置を減算した長さにかかわらず、吐出ダクト選択切替え部(37)に第2モードを実行させる。
【0556】
第53の態様の車両用シート空調装置(730)は、第49の態様との組合せにより実現され得る。第53の態様では、第2吐出口(38a)は、第1シートの座部(11)の第2シート側の部分に設けられている。
【0557】
第54の態様の車両用シート空調装置(730)は、第53の態様との組合せにより実現され得る。第54の態様では、制御部(271)は、第1シートのリクライニング角度から第2シートのリクライニング角度を減算した角度が第1角度以上であり、第1シートのスライド位置から第2シートのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上である場合、吐出ダクト選択切替え部(37)に第2モードを実行させる。制御部(271)は、第1シートのスライド位置から第2シートのスライド位置を減算した長さが第1長さよりも長い第2長さ以上である場合、第1シートのリクライニング角度から第2シートのリクライニング角度を減算した角度にかかわらず、吐出ダクト選択切替え部(37)に第2モードを実行させる。
【0558】
第55の態様の車両用シート空調装置(730)は、第50の態様との組合せにより実現され得る。第55の態様では、車両用シート空調装置(730)は、送風機(36)によって導かれた空気を、第1シートの座部(11)の第2シート側の部分に設けられた第3吐出口(38a)から吐出する第3吐出ダクト(38)を更に備える。吐出ダクト選択切替え部(37)は、送風機(36)によって導かれた空気を第3吐出ダクト(38)に導く第3モードを更に有する。制御部(271)は、第1シート及び第2シートのそれぞれのリクライニング角度及びスライド位置の少なくとも1つに基づいて、吐出ダクト選択切替え部(37)の第1モード、第2モード及び第3モードであるモードを切り替える。
【0559】
第56の態様の車両用シート空調装置(730)は、第55の態様との組合せにより実現され得る。第56の態様では、制御部(271)は、第1シートのリクライニング角度から第2シートのリクライニング角度を減算した角度が第1角度以上であり、且つ、第1シートのスライド位置から第2シートのスライド位置を減算した長さが第1長さ以上である場合、吐出ダクト選択切替え部(37)に第2モードを実行させる。制御部(271)は、第1シートのスライド位置から第2シートのスライド位置を減算した長さが第1長さよりも長い第2長さ以上である場合、第1シートのリクライニング角度から第2シートのリクライニング角度を減算した角度にかかわらず、吐出ダクト選択切替え部(37)に第3モードを実行させる。
【0560】
第57の態様の車両用シート空調装置(730)は、第49~第56の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第57の態様では、制御部(271)は、第1シートのリクライニング角度から第2シートのリクライニング角度を減算した角度及び第1シートのスライド位置から第2シートのスライド位置を減算した長さと、吐出ダクト選択切替え部(37)のモードとの対応関係を示すテーブルに基づいて、吐出ダクト選択切替え部(37)のモードを切り替える。
【符号の説明】
【0561】
1 シート
1A 運転席
1B 助手席
2a センターコンソール
2b 車両用空調装置
2c 吐出口
3,3a,3b 車両用シート空調システム
11 座部
11a 第1シートパッド
11b 第1シートカバー
11c 座面
12a 第1通気口
12b,212b 第2通気口
12c,212c 第3通気口
112b 第4通気口
12d ケース
12e 開口部
120,220 風向変更部材
121 横板フィン
122 リンク機構
122a 駆動部
123 縦板フィン
124 リンク機構
124a 駆動部
13 シートバック
13a 第2シートパッド
13b 第2シートカバー
15 ヘッドレスト
30,30A,30B,130,130A,130B,230,230A,230B,330,330A,330B,430,430A,430B,530,530A,530B,630,730,830,830A,830B 車両用シート空調装置
31 第1吸気ダクト
31a 第1吸気口
32 第2吸気ダクト
32a 第2吸気口
33 送風ダクト
34,34A 第1吐出ダクト
34a,34Aa,34Ba 第1吐出口
35,35A 第2吐出ダクト
35a,35Aa,35Ba 第2吐出口
134 吐出ダクト
134a,134Aa,134Ba 吐出口
36,36A,36B 送風機
37,37A,37B 吐出ダクト選択切替え部
38 第3吐出ダクト
38a 第3吐出口
51 乗員姿勢センサ
52 日射センサ
60 制御部
65 操作部
70,70A,70B 電源部
71,71A,71B,271,271A,271B 個別制御部
1000 車両