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特開2023-138268設計支援システム、設計支援方法及び設計支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138268
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】設計支援システム、設計支援方法及び設計支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20230922BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20230922BHJP
   G06F 111/04 20200101ALN20230922BHJP
【FI】
G06F30/13
G06Q50/08
G06F111:04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164604
(22)【出願日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2022044279
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153040
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】郡 泰明
(72)【発明者】
【氏名】北沢 宏武
(72)【発明者】
【氏名】市川 翔太
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DC05
5B146DE12
5B146DG07
5B146DJ14
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】BIMモデルによる建物の設計において、BIMモデルによる建物の設計と、建物に用いられる建築構造物の適合判定の結果との間における双方向の連携を可能にすることにより、設計修正の手間及び人為的エラーの可能性の低減を図る。
【解決手段】設計支援システム1は、建物のBIMモデルを取得するBIMモデル取得部であって、BIMモデルは少なくとも建物において用いられる建築構造物に関する建築構造物情報を含み、建築構造物情報は少なくとも当該建築構造物の属性情報を含む、BIMモデル取得部と、各属性情報が当該属性情報に対して予め設定された適合基準に適合するか否かを判定する判定部と、判定の結果を示す判定結果情報を当該建築構造物の属性情報として建築構造物情報に含ませる判定結果反映部と、判定結果情報が反映された建築構造物情報を含むBIMモデルを出力する出力部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の設計を支援する設計支援システムであって、
建物のBIMモデルを取得するBIMモデル取得部であって、前記BIMモデルは少なくとも前記建物において用いられる建築構造物に関する建築構造物情報を含み、前記建築構造物情報は少なくとも当該建築構造物の属性情報を含む、BIMモデル取得部と、
各属性情報が、当該属性情報に対して予め設定された適合基準に適合するか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定の結果を示す判定結果情報を、当該建築構造物の属性情報として前記建築構造物情報に含ませる判定結果反映部と、
前記判定結果情報が反映された前記建築構造物情報を含む前記BIMモデルを出力する出力部と、
を備える設計支援システム。
【請求項2】
前記判定結果反映部は、前記属性情報が前記適合基準に適合することを示す肯定的判定結果情報、又は、前記属性情報が前記適合基準に適合していないことを示す否定的判定結果情報を、当該建築構造物の属性情報として前記建築構造物情報に含ませる、
請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項3】
前記属性情報は、属性項目及び該属性項目に対応する属性データからなり、
前記判定部により適合基準に適合するか否かが判定された前記属性情報の属性データを、対応する属性項目に対して予め設定されたデータ群のうちのいずれかのデータに変更する変更部、を更に含み、
前記判定部は、前記属性データが変更された前記属性情報に対する判定を実施し、
前記判定結果反映部は、前記判定部により適合基準に適合すると判定された場合に、前記変更部により変更された属性データを含む前記属性情報を前記建築構造物情報に含ませる、
請求項1または2に記載の設計支援システム。
【請求項4】
前記変更部は、前記判定部により適合基準に適合すると判定された前記属性情報の属性データを、対応する属性項目に対して予め設定されたデータの変化方向に変化するように変更し、
前記判定部は、前記属性データが変更された前記属性情報に対する判定を実施し、
前記判定結果反映部は、前記判定部により適合基準に適合すると判定された場合に、前記変更部により変更された属性データを含む前記属性情報を前記建築構造物情報に含ませる、
請求項3に記載の設計支援システム。
【請求項5】
前記判定結果反映部は、前記変更部により変更された属性データを含む前記属性情報、及び、前記変更部による変更の前の属性データを含む前記属性情報を、前記建築構造物情報に含ませる、
請求項3に記載の設計支援システム。
【請求項6】
前記出力部は、前記判定結果情報を視認可能な態様で前記建築構造物に関連付けて表示させる、
請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項7】
前記建築構造物は、前記建物のデッキスラブを構成するデッキプレートである、
請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項8】
前記建築構造物情報は、前記建物における当該建築構造物の配置位置を示す座標情報及び他の構造物との接続関係を示す接続情報を含み、
前記判定部は、前記デッキプレートの前記建築構造物情報を参照して、前記デッキプレートに接続されている梁の数を取得し、前記梁の数に基づいて前記デッキプレートの支持条件を判定し、判定した前記支持条件を前記属性情報として取得し、前記デッキプレートに関しての前記支持条件を含む前記属性情報が前記適合基準に適合するか否かを判定する、
請求項7に記載の設計支援システム。
【請求項9】
前記判定部は、前記デッキプレートと該デッキプレートに接続されている梁との接続位置を示す座標情報を取得し、該座標情報に基づいて前記接続位置の間の距離であるスパンを算出し、一のデッキプレートに対して算出された1以上のスパンのうちの最長値を当該デッキプレートのスパンに関する適合判定の対象である判定対象スパンとし、デッキプレートの適合基準を満たすか否かを判定する、
請求項7または8に記載の設計支援システム。
【請求項10】
前記BIMモデルは、前記建物の階数を示す階数情報を含み、
前記デッキプレートの前記建築構造物情報は、当該デッキプレートが設けられる階数を示す設置階数情報を含み、
前記判定部は、前記階数情報及び前記設置階数情報に応じて予め設定された適合基準に前記デッキプレートが適合するか否かを判定する、
請求項7に記載の設計支援システム。
【請求項11】
前記判定部により、前記建築構造物の属性情報が適合基準に適合することが判定された場合に、前記建築構造物に関して予め抽出対象として設定された属性項目及び該属性項目の属性データを抽出し、抽出した前記属性データを所定フォーマットで表示する標準仕様書データを出力する仕様書出力部、を更に備える、
請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項12】
前記判定部は、各属性情報に対して設定された、施工時の安全性に関する所与の適合基準である施工時安全性基準、構造的な性能に関する所与の適合基準である構造性能基準、及び、耐火性能に関する所与の適合基準である耐火性能基準のうちの少なくとも一つに関する判定を実施し、
前記判定結果反映部は、前記施工時安全性基準、構造性能基準、及び、耐火性能基準のうちの少なくとも一つに関する判定の結果を示す前記判定結果情報を前記建築構造物情報に含ませ、前記耐火性能基準に関する判定が実施された場合には、判定に用いられた前記耐火性能基準の種別を示す耐火認定番号を更に前記判定結果情報として前記建築構造物情報に含ませる、
請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項13】
建物の設計を支援する設計支援システムにおける設計支援方法であって、
建物のBIMモデルを取得するBIMモデル取得ステップであって、前記BIMモデルは少なくとも前記建物において用いられる建築構造物に関する建築構造物情報を含み、前記建築構造物情報は少なくとも当該建築構造物の属性情報を含む、BIMモデル取得ステップと、
各属性情報が、当該属性情報に対して予め設定された適合基準に適合するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおける判定の結果を示す判定結果情報を、当該建築構造物の属性情報として前記建築構造物情報に含ませる判定結果反映ステップと、
前記判定結果情報が反映された前記建築構造物情報を含む前記BIMモデルを出力する出力ステップと、
を有する設計支援方法。
【請求項14】
コンピュータを、建物の設計を支援する設計支援システムとして機能させるための設計支援プログラムであって、
前記コンピュータに、
建物のBIMモデルを取得するBIMモデル取得機能であって、前記BIMモデルは少なくとも前記建物において用いられる建築構造物に関する建築構造物情報を含み、前記建築構造物情報は少なくとも当該建築構造物の属性情報を含む、BIMモデル取得機能と、
各属性情報が、当該属性情報に対して予め設定された適合基準に適合するか否かを判定する判定機能と、
前記判定機能による判定の結果を示す判定結果情報を、当該建築構造物の属性情報として前記建築構造物情報に含ませる判定結果反映機能と、
前記判定結果情報が反映された前記建築構造物情報を含む前記BIMモデルを出力する出力機能と、
を実現させる設計支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援システム、設計支援方法及び設計支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
BIM(Building Information Modeling)モデルを用いた建物の設計が行われている。BIMモデルは、コンピュータ上で作成した建物の形状を表す3次元のモデルに、コスト、管理情報、部材の情報等の種々の属性情報を付加して管理するモデルである。また、従来から、CADデータにより建物の設計を支援するシステムが知られている。例えば、下記特許文献1には、建物モデルの基本データと追加入力データとを用いて伏図を作成する構造設計支援システムが開示されている。このシステムでは、伏図のCADデータから、属性情報が設定された標準図形を抽出して、標準図形の配置データを管理することができる。また、標準図形を修正することにより、当該標準図形に用いられている各図面に、修正内容を自動的に反映することができる。また、構造計算プログラムにより決定した確定断面のデータを用いて伏図を作成する処理が可能である。また、下記特許文献2には、BIMを実現するCADシステムから熱負荷計算に必要なデータを作成する方法が開示されている。この方法では、CADシステムによりBIMから抽出されたデータが熱負荷計算に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-110658号公報
【特許文献2】特開2014-75037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムでは、構造に影響を及ぼすような設計変更が生じた場合には、設計変更の内容を自動的に構造計算プログラムに反映させることができないので、構造計算プログラムにおいて手動で条件を変更し、再度計算を実行する必要があった。このため、再計算のために非常に多くの手間を要し、人為的エラーが発生するおそれも大きかった。
【0005】
また、特許文献2に記載された方法では、熱負荷計算において得られた判定結果を自動的にBIMモデルにおいて反映及び管理することができなかった。即ち、熱負荷計算において不適合であることが判定された場合に、判定結果を参照して人手によりBIMモデルの修正を行う必要があった。このため、人為的エラーが発生するおそれがあった。また、BIMモデルの人手による修正及び再度の熱負荷計算に多くの手間を要していた。
【0006】
そこで、本発明は、BIMモデルによる建物の設計において、BIMモデルによる建物の設計と、建物に用いられる建築構造物の適合判定の結果との間における双方向の連携を可能にすることにより、設計修正の手間及び人為的エラーの可能性の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の一側面に係る係る設計支援システムは、建物の設計を支援する設計支援システムであって、建物のBIMモデルを取得するBIMモデル取得部であって、BIMモデルは少なくとも建物において用いられる建築構造物に関する建築構造物情報を含み、建築構造物情報は少なくとも当該建築構造物の属性情報を含む、BIMモデル取得部と、各属性情報が、当該属性情報に対して予め設定された適合基準に適合するか否かを判定する判定部と、判定部による判定の結果を示す判定結果情報を、当該建築構造物の属性情報として建築構造物情報に含ませる判定結果反映部と、判定結果情報が反映された建築構造物情報を含むBIMモデルを出力する出力部と、を備える。
【0008】
本開示の第1の一側面に係る設計支援方法は、建物の設計を支援する設計支援システムにおける設計支援方法であって、建物のBIMモデルを取得するBIMモデル取得ステップであって、BIMモデルは少なくとも建物において用いられる建築構造物に関する建築構造物情報を含み、建築構造物情報は少なくとも当該建築構造物の属性情報を含む、BIMモデル取得ステップと、各属性情報が、当該属性情報に対して予め設定された適合基準に適合するか否かを判定する判定ステップと、判定ステップにおける判定の結果を示す判定結果情報を、当該建築構造物の属性情報として建築構造物情報に含ませる判定結果反映ステップと、判定結果情報が反映された建築構造物情報を含むBIMモデルを出力する出力ステップと、を有する。
【0009】
本開示の第1の一側面に係る設計支援プログラムは、コンピュータを、建物の設計を支援する設計支援システムとして機能させるための設計支援プログラムであって、コンピュータに、建物のBIMモデルを取得するBIMモデル取得機能であって、BIMモデルは少なくとも建物において用いられる建築構造物に関する建築構造物情報を含み、建築構造物情報は少なくとも当該建築構造物の属性情報を含む、BIMモデル取得機能と、各属性情報が、当該属性情報に対して予め設定された適合基準に適合するか否かを判定する判定機能と、判定機能による判定の結果を示す判定結果情報を、当該建築構造物の属性情報として建築構造物情報に含ませる判定結果反映機能と、判定結果情報が反映された建築構造物情報を含むBIMモデルを出力する出力機能と、を実現させる。
【0010】
上記の側面によれば、BIMモデルに含まれる建築構造物情報に関する属性情報が適合基準に適合するか否かが判定される。属性情報の適合基準に対する適合の判定の結果を示す判定結果情報が、当該建築構造物の属性情報として建築構造物情報に含められたBIMモデルが出力されるので、BIMモデルにおける適合判定の結果の参照が容易である。従って、BIMモデルによる建物の設計と、建物に用いられる建築構造物の適合判定の結果との間における双方向の連携が実現され、設計修正の手間及び人為的エラーの可能性を低減できる。
【0011】
第2の側面に係る設計支援システムでは、第1の側面に係る設計支援システムにおいて、判定結果反映部は、属性情報が適合基準に適合することを示す肯定的判定結果情報、又は、属性情報が適合基準に適合していないことを示す否定的判定結果情報を、当該建築構造物の属性情報として建築構造物情報に含ませることとしてもよい。
【0012】
上記の形態によれば、BIMモデルにおいて、属性情報の肯定的または否定的な判定結果を容易に参照できる。
【0013】
第3の側面に係る設計支援システムでは、第1または2の側面に係る設計支援システムにおいて、属性情報は、属性項目及び該属性項目に対応する属性データからなり、判定部により適合基準に適合するか否かが判定された属性情報の属性データを、対応する属性項目に対して予め設定されたデータ群のうちのいずれかのデータに変更する変更部、を更に含み、判定部は、属性データが変更された属性情報に対する判定を実施し、判定結果反映部は、判定部により適合基準に適合すると判定された場合に、変更部により変更された属性データを含む属性情報を建築構造物情報に含ませることとしてもよい。
【0014】
上記の形態によれば、適合基準に適合しないと判定された属性データが変更され、適合基準に適合すると判定された変更後の属性データが、建築構造物情報に含められる属性情報として、BIMモデルに関連付けられる。従って、BIMモデルにおける設計変更が容易となる。また、適合基準に適合すると判定された属性データが、対応する属性項目に対して予め設定されたデータ群のうちのいずれかのデータに変更され、変更後の属性データが、建築構造物情報に含められる属性情報として、BIMモデルに関連付けられる。従って、属性データの変更により、より好適な建物の設計を容易に行うことが可能となる。
【0015】
第4の側面に係る設計支援システムでは、第1~3の側面のいずれか一つの側面に係る設計支援システムにおいて、変更部は、判定部により適合基準に適合すると判定された属性情報の属性データを、対応する属性項目に対して予め設定されたデータの変化方向に変化するように変更し、判定部は、属性データが変更された属性情報に対する判定を実施し、判定結果反映部は、判定部により適合基準に適合すると判定された場合に、変更部により変更された属性データを含む属性情報を建築構造物情報に含ませることとしてもよい。
【0016】
上記の形態によれば、適合基準に適合すると判定された属性データが変更され、適合基準に適合すると判定された変更後の属性データが、建築構造物情報に含められる属性情報として、BIMモデルに関連付けられる。従って、属性データの変更により、より好適な建物の設計を容易に行うことが可能となる。
【0017】
第5の側面に係る設計支援システムでは、第3または4の側面に係る設計支援システムにおいて、判定結果反映部は、変更部により変更された属性データを含む属性情報、及び、変更部による変更の前の属性データを含む属性情報を、建築構造物情報に含ませることとしてもよい。
【0018】
上記の形態によれば、適合基準に適合の判定結果に応じて変更された属性データを含む属性情報と、属性データの変更前の属性情報とが併せて建築構造物情報に含められ、BIMモデルの一部として出力される。これにより、属性データの変更を保留しつつ、出力されたBIMモデルの参照により、属性データの変更の適否判断を実施できる。
【0019】
第6の側面に係る設計支援システムは、第1~5の側面のいずれか一つの側面に係る設計支援システムにおいて、出力部は、判定結果情報を視認可能な態様で建築構造物に関連付けて表示させることとしてもよい。
【0020】
上記の形態によれば、BIMモデルの参照により、属性情報に関する判定結果情報を容易に視認できる。従って、BIMモデルにおける設計修正が容易となる。
【0021】
第7の側面に係る設計支援システムでは、第1~6の側面のいずれか一つの側面に係る設計支援システムにおいて、建築構造物は、建物のデッキスラブを構成するデッキプレートであることとしてもよい。
【0022】
上記の形態によれば、デッキプレートに関する属性情報が適合基準に適合するか否かが判定され、属性情報の適合基準に対する適合の判定の結果を示す判定結果情報が、当該デッキプレートの属性情報として建築構造物情報に含められたBIMモデルが出力される。従って、BIMモデルにおけるデッキプレートの適合判定の結果の参照が容易である。
【0023】
第8の側面に係る設計支援システムでは、第7の側面に係る設計支援システムにおいて、建築構造物情報は、建物における当該建築構造物の配置位置を示す座標情報及び他の構造物との接続関係を示す接続情報を含み、判定部は、デッキプレートの建築構造物情報を参照して、デッキプレートに接続されている梁の数を取得し、梁の数に基づいてデッキプレートの支持条件を判定し、判定した支持条件を属性情報として取得し、デッキプレートに関しての支持条件を含む属性情報が適合基準に適合するか否かを判定することとしてもよい。
【0024】
上記の形態によれば、デッキプレートを支持する梁に関する支持条件が、建築構造物情報に基づいて判定される。従って、判定及び取得した支持条件に応じて、デッキプレートの適合基準に対する適切な判定が実現される。
【0025】
第9の側面に係る設計支援システムでは、第7または8の側面に係る設計支援システムにおいて、判定部は、デッキプレートと該デッキプレートに接続されている梁との接続位置を示す座標情報を取得し、該座標情報に基づいて接続位置の間の距離であるスパンを算出し、一のデッキプレートに対して算出された1以上のスパンのうちの最長値を当該デッキプレートのスパンに関する適合判定の対象である判定対象スパンとし、デッキプレートの適合基準を満たすか否かを判定することとしてもよい。
【0026】
上記の形態によれば、BIMモデルに含まれるデッキプレート及び梁の座標情報に基づいて、当該デッキプレートのスパンが算出される。スパンの長さに応じて当該デッキプレートに関する判定対象スパンが抽出される。従って、デッキプレートの適合基準に対する適切な判定が実現される。
【0027】
第10の側面に係る設計支援システムでは、第7~9の側面のいずれか一つの側面に係る設計支援システムにおいて、BIMモデルは、建物の階数を示す総階数情報を含み、デッキプレートの建築構造物情報は、当該デッキプレートが設けられる階数を示す設置階数情報を含み、判定部は、総階数情報及び設置階数情報に応じて予め設定された適合基準にデッキプレートが適合するか否かを判定することとしてもよい。
【0028】
上記の形態によれば、BIMモデルに含まれる総階数情報及びデッキプレートの設置階数情報に応じて、当該デッキプレートに適用すべき適切な適合基準が選択される。従って、当該デッキプレートにより構成されるスラブの適切な判定が実現される。
【0029】
第11の側面に係る設計支援システムは、第1~10の側面のいずれか一つの側面に係る設計支援システムにおいて、判定部により、建築構造物の属性情報が適合基準に適合することが判定された場合に、建築構造物に関して予め抽出対象として設定された属性項目及び該属性項目の属性データを抽出し、抽出した属性データを所定フォーマットで表示する標準仕様書データを出力する仕様書出力部、を更に備えることとしてもよい。
【0030】
上記の形態によれば、適合基準に適合することが判定された建築構造物の属性情報が抽出され、抽出された属性情報が所定フォーマットに従って表示される標準仕様書データが出力される。従って、建築構造物に関する標準仕様書を容易に得ることが可能となる。
【0031】
第12の側面に係る設計支援システムでは、第1~11の側面のいずれか一つの側面に係る設計支援システムにおいて、判定部は、各属性情報に対して設定された、施工時の安全性に関する所与の適合基準である施工時安全性基準、構造的な性能に関する所与の適合基準である構造性能基準、及び、耐火性能に関する所与の適合基準である耐火性能基準のうちの少なくとも一つに関する判定を実施し、判定結果反映部は、施工時安全性基準、構造性能基準、及び、耐火性能基準のうちの少なくとも一つに関する判定の結果を示す判定結果情報を建築構造物情報に含ませ、耐火性能基準に関する判定が実施された場合には、判定に用いられた耐火性能基準の種別を示す耐火認定番号を更に判定結果情報として建築構造物情報に含ませることとしてもよい。
【0032】
上記の形態によれば、施工時安全性基準、構造性能基準及び耐火性能基準に対する建築構造物の属性情報の適合の判定の結果を示す判定結果情報、並びに、耐火性能基準の種別を示す耐火認定番号が当該建築構造物の属性情報として建築構造物情報に含められる。従って、これらの適合基準に対する判定の結果をBIMモデルにおいて容易に参照できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の一側面によれば、BIMモデルによる建物の設計において、BIMモデルによる建物の設計と、建物に用いられる建築構造物の適合判定の結果との間における双方向の連携を可能にすることにより、設計修正の手間及び人為的エラーの可能性の低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本実施形態に係る設計支援システムの装置構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る設計支援装置の機能的構成を示すブロック図である。
図3】設計支援装置のハードウェア構成を示す図である。
図4】BIMモデルの一部により実現されるスラブの平面図の例を示す図である。
図5】BIMシステムからBIMモデルの一部として出力される建築構造物情報であって、デッキスラブの属性情報の一例を示す図である。
図6】デッキスラブの属性情報の例の一覧を示す図である。
図7】設計支援装置から出力されるBIMモデルの一部を構成する建築構造物情報であって、肯定的な判定結果情報が含められた建築構造物情報の一例を示す図である。
図8】設計支援装置から出力されるBIMモデルの一部を構成する建築構造物情報であって、否定的な判定結果情報が含められた建築構造物情報の一例を示す図である。
図9】設計支援装置から出力されるBIMモデルの一部を構成する建築構造物情報であって、否定的な判定結果に基づいて変更された属性データと共に判定結果情報が含められた建築構造物情報の一例を示す図である。
図10】設計支援装置から出力されるBIMモデルの一部を構成する建築構造物情報であって、肯定的な判定結果に基づいて変更された属性データと共に判定結果情報が含められた建築構造物情報の一例を示す図である。
図11】BIMシステムにおいて表示されるデッキスラブの平面図の一例であって、各デッキスラブに関する判定結果情報の表示例である。
図12】適合判定のための条件判定の例を説明するためのデッキスラブの例を示す図である。
図13図12のケース1~3のデッキスラブの条件判定において、参照される参照値、取得値及び属性値の例を示す図である。
図14図12に示されるのケース1(C1)のデッキスラブの断面図である。
図15】12に示されるのケース3(C3)のデッキスラブの断面図である。
図16】判定対象スパンの判定の例を示す図である。
図17】建築構造物情報に基づいて出力される標準仕様書データの一例を模式的に示す図である。
図18】設計支援システムにおいて実施される設計支援方法の処理内容を示すフローチャートである。
図19】設計支援プログラムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0036】
図1は、本実施形態に係る設計支援システムの装置構成を示す図である。図1に示されるように、設計支援システム1は、建物の設計を支援するシステムである。設計支援装置10及びBIMシステム20を含む。
【0037】
BIMシステム20は、BIMモデルを用いた建物の設計を行うためのシステムである。BIMモデルは、コンピュータ上で作成した建物の形状を表す3次元のモデルに、コスト、管理情報、部材の情報等の種々の属性情報を付加して管理するモデルである。
【0038】
設計支援装置10は、BIMモデルBMをBIMシステム20から取得する。また、設計支援装置10は、属性情報を付加及び変更した建築構造物情報を含むBIMモデルBMをBIMシステムに送出する。
【0039】
図2は、設計支援装置10の機能的構成を示すブロック図である。図2に示すように、設計支援装置10は、BIMモデル取得部11、判定部12、判定結果反映部13、変更部14、出力部15及び仕様書出力部16を備える。なお、設計支援装置10において、BIMモデル取得部11、判定部12、判定結果反映部13及び出力部15は必須の構成である。
【0040】
本実施形態の設計支援装置10に含まれる各機能部11~16は、複数の装置に分散されて構成されてもよい。また、設計支援装置10に含まれる各機能部11~16は、ハードウェア及びソフトウェアのいずれか、または任意の組み合わせによって実現される。また、本実施形態では、設計支援システム1は、設計支援装置10及びBIMシステム20の2つの装置/システムにより構成されることとしているが、これらの装置/システムは一体に構成されてもよい。また、設計支援装置10に含まれる機能部11~16の一部がBIMシステム20に構成されてもよい。
【0041】
図3は、設計支援システム1のハードウェア構成図である。設計支援装置10は、物理的には、図3に示すように、CPU101、RAM及びROMといったメモリにより構成される主記憶装置102、ハードディスク及びメモリ等で構成される補助記憶装置103、通信制御装置104などを含むコンピュータシステムとして構成されている。設計支援装置10は、入力デバイスであるキーボード、タッチパネル、マウス等の入力装置105及びディスプレイ等の出力装置106をさらに含むこととしてもよい。
【0042】
図2に示した各機能は、図3に示すCPU101、主記憶装置102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信制御装置104等を動作させるとともに、主記憶装置102及び補助記憶装置103等におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。処理に必要なデータやデータベースは主記憶装置102及び補助記憶装置103内に格納される。
【0043】
再び図2を参照して、設計支援装置10の機能部を説明する。BIMモデル取得部11は、設計対象の建物のBIMモデルBMを取得する。BIMモデルBMは、少なくとも建物において用いられる部材である建築構造物に関する建築構造物情報を含む。建築構造物情報は、少なくとも建築構造物の属性情報を含む。即ち、BIMモデルBMは、建物及び建物に用いられている部材の位置及び形状を示すモデルの情報に加えて、建物及び部材等に関連付けられた種々の情報を属性情報として含むことができる。
【0044】
図4は、BIMモデルBMの一部により表現される、建物の床構造fc1の一例の平面図である。建物の床構造fc1は、複数のデッキスラブds1,ds2,ds4,ds5により構成される。デッキスラブは、建物の床を構成する部材であって、建築構造物の一例を構成する。デッキスラブは、デッキプレート及びコンクリートにより形成される。
【0045】
デッキスラブの例としては、デッキ合成スラブ、デッキ複合スラブ等が知られている。デッキ合成スラブは、デッキプレートと、デッキプレート上に打設されたコンクリートとを備える。デッキ合成スラブは、スラブに発生する圧縮力にはコンクリートが抵抗し、スラブに発生する引張力にはデッキプレートが抵抗する構造を有する。デッキ複合スラブは、デッキプレートと、デッキプレート上に打設されたコンクリートと、引張鉄筋と、を備える。デッキ復号スラブは、スラブに発生する圧縮力にはコンクリートが抵抗し、スラブに発生する引張力には引張鉄筋が抵抗する構造を有する。
【0046】
図5は、BIMシステム20からBIMモデルBMの一部として出力される建築構造物情報であって、一のデッキスラブの建築構造物情報に含まれる属性情報の一例を示す図である。図5に示されるように、属性情報AT0は、属性項目及び当該属性項目に対応する属性データからなる。属性情報AT0は、例えば、属性データ「DS1」により識別されるスラブを構成するデッキプレートに関する属性項目「デッキ品種-板厚」の属性データ「EZ50-S-1.2」、当該スラブを構成するコンクリートに関する属性項目「コンクリート 種類」、「コンクリート 基準強度」、「コンクリート 山上厚さ」の属性データ「普通コンクリート」、「FC21」、「80」等の属性情報を含んでもよい。また、属性情報AT0は、デッキプレートに関する属性項目「スパン」の属性データ「2400」を含んでもよい。スパンは、デッキプレートにおける、当該デッキプレートに接続する梁間の距離である。
【0047】
図6は、BIMシステム20からBIMモデルBMの一部として出力される建築構造物情報であって、一のデッキスラブの建築構造物情報に含まれる属性情報の例の一覧を示す図である。デッキスラブに関する属性情報の属性項目及び属性データは図6に示されるものを含んでもよく、また、必要に応じて追加の属性項目及び属性データを含んでもよい。
【0048】
再び図2を参照して、判定部12は、建築構造物情報に含まれる各属性情報が、当該属性情報に対して予め設定された所定の適合基準に適合するか否かを判定する。具体的には、判定部12は、例えば、各属性情報に対して設定された、施工時の安全性に関する所与の適合基準である施工時安全性基準、構造的な性能に関する所与の適合基準である構造性能基準、及び、耐火性能に関する所与の適合基準である耐火性能基準のうちの少なくとも一つに関する判定を実施してもよい。
【0049】
判定結果反映部13は、判定部12による判定の結果を示す判定結果情報を、当該建築構造物の属性情報として建築構造物情報に含ませる。具体的には、判定結果反映部13は、例えば、施工時安全性基準、構造性能基準、及び、耐火性能基準のうちの少なくとも一つに関する判定の結果を示す判定結果情報を建築構造物情報に含ませてもよい。また、耐火性能基準に関する判定が実施された場合には、判定結果反映部13は、判定に用いられた耐火性能基準の種別を示す耐火認定番号を更に判定結果情報として建築構造物情報に含ませてもよい。
【0050】
変更部14は、判定部12による適合基準に対する適合の判定が実施された属性情報の属性データを、対応する属性項目に対して予め設定された所与のデータ群のうちのいずれかのデータに変更し、または、当該属性データの値を対応する属性項目に対して予め設定された変化の方向に変更する。
【0051】
図7図10を参照して、判定部12、判定結果反映部13及び変更部14における処理内容について具体的に説明する。
【0052】
図7は、設計支援装置10から出力されるBIMモデルの一部を構成する建築構造物情報であって、肯定的な判定結果情報が属性情報として含められた建築構造物情報の一例を示す図である。
【0053】
判定部12により、建築構造物情報に含まれる各種の属性情報が当該属性情報に対する所与の適合基準に適合することが判定された場合に、判定結果反映部13は、各種の属性情報が適合基準に該当することを示す肯定的判定結果情報を、当該建築構造物の属性情報として建築構造物情報に含ませる。図7に例示されるように、判定結果反映部13は、各属性情報が、施工時安全性基準、構造性能基準及び耐火性能基準に適合することを示す肯定的な判定結果情報dr1を、建築構造物情報AT1に含ませる。
【0054】
なお、判定結果反映部13は、判定に用いられた耐火性能基準の種別を示す耐火認定番号「FP120FL-0198-1」を更に判定結果情報として建築構造物情報AT1に含ませる。
【0055】
図8は、設計支援装置10から出力されるBIMモデルの一部を構成する建築構造物情報であって、否定的な判定結果情報が含められた建築構造物情報の一例を示す図である。
【0056】
判定部12により、建築構造物情報に含まれる各種の属性情報が当該属性情報に対する所与の適合基準に適合していないことが判定された場合に、判定結果反映部13は、当該属性情報が適合基準に該当していないことを示す否定的判定結果情報を、当該建築構造物の属性情報として建築構造物情報に含ませる。
【0057】
図8に例示されるように、判定結果反映部13は、各属性情報が、施工時安全性基準、構造性能基準及び耐火性能基準に対する適合判定の結果を示す判定結果情報dr2を、建築構造物情報AT2に含ませる。そして、判定部12により、建築構造物情報AT2に含まれる属性情報が耐火性能基準に適合していないことが判定された場合に、判定結果反映部13は、建築構造物情報AT2に含まれる当該属性情報が、耐火性能基準に適合していないことを示す否定的な判定結果情報dr21を、建築構造物情報AT2に含ませる。
【0058】
図9は、設計支援装置10から出力されるBIMモデルの一部を構成する建築構造物情報であって、否定的な判定結果に基づいて変更された属性データと共に判定結果情報が含められた建築構造物情報の一例を示す図である。
【0059】
変更部14は、判定部12により適合基準に適合しないと判定された属性情報の属性データを、対応する属性項目に対して予め設定されたデータ群のうちのいずれかのデータに変更する。判定部12は、属性データが変更された属性情報の適合基準に対する再判定を実施し、判定結果反映部13は、判定部12による再判定において適合基準に適合すると判定された場合に、変更部14により変更された属性データを含む属性情報を建築構造物情報に含ませる。
【0060】
図9に例示されるように、判定部12により建築構造物情報AT3に含まれる各種の属性情報に関する適合基準に対する判定が実施され、判定結果反映部13は、判定の結果を示す判定結果情報dr31を建築構造物情報AT3に含ませることができる。この判定において、属性項目「コンクリート 山上厚さ」の属性データat31「70」が、耐火性能基準に適合していないと判定されたため、判定結果情報dr31は、否定的判定結果情報を含む。
【0061】
変更部14は、判定部12により適合基準に適合しないと判定された属性項目「コンクリート 山上厚さ」の属性データat31「70」を、属性項目「コンクリート 山上厚さ」に対して予め設定されたデータ群(例えば、「70,80,90,・・・,100」)のうちの「80」に変更し、属性データat32とする。
【0062】
図9に例示されるように、否定的判定結果が得られた場合には、属性データを変更し適合基準に適合する結果が得られるまで繰り返し判定を行うことにより変更後の属性データを得ることができる。
【0063】
また、判定結果反映部13は、図9に示される変更前の属性データ及び変更後の属性データを含む属性情報並びに判定結果情報dr31,dr32を、建築構造物情報AT3に含ませてもよい。これにより、変更した属性情報の履歴をBIMモデルBMに残すことが可能となる。また、属性データの変更を保留しつつ、出力されたBIMモデルの参照により、他の属性情報との整合を加味しながら、属性データの変更の適否判断を実施できる。
【0064】
判定部12により、変更された属性データat32が適合基準に適合すると判定された場合に、判定結果反映部13は、変更された属性データat32を含む属性情報を、建築構造物情報AT3に含ませる。また、判定結果反映部13は、再判定の結果を示す判定結果情報dr32を建築構造物情報AT3に含ませることができる。
【0065】
なお、図9の例では、判定部12により適合基準に適合しないと判定された属性情報の属性データを変更する変更処理を説明したが、判定部12により適合基準に適合すると判定された属性情報の属性データを変更してもよい。即ち、変更部14は、判定部12により適合基準に適合すると判定された属性情報の属性データを、対応する属性項目に対して予め設定されたデータ群のうちのいずれかのデータに変更してもよい。変更後の属性データが、建築構造物情報に含められる属性情報として、BIMモデルに関連付けられることにより、より好適な建物の設計を容易に行うことが可能となる。
【0066】
図10は、設計支援装置から出力されるBIMモデルの一部を構成する建築構造物情報であって、肯定的な判定結果に基づいて変更された属性データと共に判定結果情報が含められた建築構造物情報の一例を示す図である。
【0067】
変更部14は、判定部12により適合基準に適合すると判定された属性情報の属性データを、対応する属性項目に対して予め設定されたデータの変化方向に変化するように変更する。データの変化方向は、属性データが数値である場合には、大きく又は小さくする方向であって、例えば、建物のコストがより小さくなるような変化方向に設定されてもよい。判定部12は、属性データが変更された属性情報の適合基準に対する再判定を実施し、判定結果反映部13は、判定部12による再判定において適合基準に適合すると判定された場合に、変更部14により変更された属性データを含む属性情報を前記建築構造物情報に含ませる。
【0068】
図10に例示されるように、判定部12により建築構造物情報AT4に含まれる各種の属性情報に関する適合基準に対する判定が実施され、判定結果反映部13は、肯定的な判定の結果を示す判定結果情報dr4を建築構造物情報AT4に含ませることができる。
【0069】
変更部14は、判定部12により適合基準に適合すると判定された属性項目のうちの属性項目「デッキ品種-板厚」の属性データat41「EZ50-S-1.2」を、板厚の値が小さくなる方向に変更して、属性データat42「EZ50-S-1.0」とすることができる。板厚の値を小さくする変更は、建物のコストが小さくなる方向への変更である。
【0070】
判定部12により、変更された属性データat42が適合基準に適合すると判定された場合に、判定結果反映部13は、変更された属性データat42を含む属性情報を、建築構造物情報AT4に含ませる。
【0071】
また、判定結果反映部13は、図10に示される変更前の属性データ及び変更後の属性データを含む属性情報並びに判定結果情報dr41,dr42を、建築構造物情報AT4に含ませてもよい。これにより、変更した属性情報の履歴をBIMモデルBMに残すことが可能となる。また、属性データの変更を保留しつつ、出力されたBIMモデルの参照により、他の属性情報との整合を加味しながら、属性データの変更の適否判断を実施できる。
【0072】
再び図2を参照して、出力部15は、判定結果情報が反映された建築構造物情報を含むBIMモデルを出力する。本実施形態では、出力部15は、属性情報が追加及び変更等された建築構造物情報を含むBIMモデルBMを、BIMシステム20に出力する。
【0073】
また、出力部15は、判定結果情報を視認可能な態様で建築構造物に関連付けて表示させてもよい。即ち、BIMシステム20は、設計支援装置10の出力部15から出力されたBIMモデルBMを取得し、BIMモデルBMにより表される建物の形状等をBIMシステム20において表示することができる。
【0074】
図11は、BIMシステム20において表示されるデッキスラブの平面図の一例であって、各デッキスラブに関する判定結果情報の表示例である。図11に例示される建物の床構造fc2は、設計支援装置10から出力されたBIMモデルBMにより表される。建物の床構造fc2は、複数のデッキスラブds1,ds2,ds4,ds5により構成される。
【0075】
図11に示されるように、出力部15は、デッキスラブds1に関する各属性情報が適合基準に適合していると判定されたことを示す肯定的判定結果情報r1をデッキスラブds1に関連付けて、BIMシステム20において表示させる。また、出力部15は、デッキスラブds5に関する属性情報が適合基準に適合していないと判定されたことを示す否定的判定結果情報r5をデッキスラブds5に関連付けて、BIMシステム20において表示させる。
【0076】
また、出力部15は、変更部14により属性データが変更された属性情報r2をデッキスラブds2に関連付けて、BIMシステム20において表示させてもよい。また、出力部15は、判定部12により、デッキスラブds4を所定の適合基準に適合させるために部材の追加が必要であることが判定された場合に、その旨の属性情報r4をデッキスラブds4に関連付けて、BIMシステム20において表示させてもよい。
【0077】
次に、図12図16を参照して、判定部12による、デッキスラブを構成するデッキプレートの適合基準に対する適合判定のための条件判定の例を説明する。
【0078】
建築構造物情報は、建物における当該建築構造物(部材)の配置位置を示す座標情報及び他の構造物との接続関係を示す接続情報を含む。判定部12は、デッキプレートの建築構造物情報を参照して、デッキプレートに接続されている梁の数を取得する。
【0079】
例えば、デッキスラブの構造物情報が、デッキプレートにおける梁の各々の接続位置を示す接続情報(例えば、デッキプレート一端部から接続位置までの長さ、及び、接続位置の座標等)を有している場合には、判定部12は、構造物情報を参照して接続位置の数をカウントすることにより、デッキプレートに接続されている梁の数を取得できる。また、デッキスラブの構造物情報が、デッキプレートに接続されている梁の数を含む場合には、判定部12は、構造物情報を参照してデッキプレートに接続されている梁の数を取得できる。また、判定部12は、デッキプレートにおける梁の接続位置を示す接続情報を参照することにより、梁の接続位置間の距離、及び、接続位置間の距離の比であるスパン比を算出及び取得できる。
【0080】
図12は、適合判定のための条件判定の例を説明するためのデッキスラブの例を示す図であって、ケース1~3のデッキスラブの平面図である。図13は、図12のケース1~3のデッキスラブの条件判定において、参照される参照値、取得値及び属性値の例を示す図である。図14は、図12に示されるのケース1(C1)のデッキスラブの断面図である。
【0081】
図14には、デッキプレートdp11及びコンクリートcc11からなるデッキスラブが示されている。デッキプレートdp11には、梁bm1,bm2,bm3,bm4が接続されている。図12のケース1(C1)のデッキスラブ及び図13のケース1(C1)の参照値に示されるように、判定部12は、梁bm1,bm2,bm3,bm4のそれぞれの配置位置を示す情報として、各梁のデッキ強軸方向座標bmY1(=0),bmY2(=2000),bmY3(=4000),bmY4(=6000)を取得する。従って、判定部12は、梁の接続位置の数が4であることに基づき、梁の本数n=4を取得する。
【0082】
ケース1(C1)における第1のスパン(l11)L(1,2)は、デッキプレートdp11と梁bm1との接続位置と、デッキプレートdp11と梁bm2との接続位置との間の距離であるので、判定部12は、デッキ強軸方向座標bmY1(=0)及びデッキ強軸方向座標bmY2(=2000)に基づいて、第1のスパンl11の長さL(1,2)=2000を取得する。同様に、判定部12は、第2のスパンl12の長さL(2,3)=2000、及び、第3のスパンl13の長さL(3,4)=2000を取得する。
【0083】
スパン比は、接続位置間の距離の比であるので、判定部12は、第1のスパンl11及び第2のスパンl12に基づいて、スパン比r[L(1,2)/L(2,3)]=1.0を取得する。また、判定部12は、第2のスパンl12及び第3のスパンl13に基づいて、スパン比r[L(2,3)/L(3,4)]=1.0を取得する。
【0084】
ケース2(C2)のデッキスラブについても同様に、図13に示されるとおり、判定部12は、梁の本数n=2、第1のスパンの長さL(1,2)=2000を取得する。同様に、ケース3(C3)のデッキスラブについて、図13に示されるとおり、判定部12は、梁の本数n=3、第1のスパンl31の長さL(1,2)=3200、第2のスパンl32の長さL(2,3)=2000、スパン比r[L(1,2)/L(2,3)]=0.6を取得する。
【0085】
判定部12は、取得した梁の数の情報に基づいてデッキプレートの支持条件を判定する。そして、判定部12は、判定した支持条件を属性情報として取得し、デッキプレートに関しての支持条件を含む属性情報が適合基準に適合するか否かを判定する。
【0086】
具体的には、判定部12は、デッキプレートに接続される梁の本数nに応じて、以下のように、施工時安全性基準に対する適合判定(主にスパンに関する適合判定)に際してのデッキプレートの支持条件を判定する。
n=2:単純支持
n=3:2連続支持
n=4:3連続支持
n≧5:2連続及び3連続支持の組合せとして、許容されるスパンが小さい方を判定対象スパンとする。
【0087】
ケース1(C1)のデッキスラブに関して、判定部12は、梁の本数nは4であるので、3連続支持であることを判定する。ケース2(C2)のデッキスラブに関して、判定部12は、梁の本数nは2であるので、単純支持であることを判定する。ケース3(C3)のデッキスラブに関して、判定部12は、梁の本数nは3であるので、2連続支持であることを判定する。
【0088】
また、判定部12は、デッキプレートに接続される梁の本数nに応じて、以下のように、耐火性能基準に対する適合判定(主にスパンに関する適合判定)に際してのデッキプレートの支持条件を判定する。
n=2:単純支持
n≧3且つ均等スパン:連続支持
n≧3且つ不均等スパン:単純支持
【0089】
なお、判定部12は、一のデッキプレートに構成される複数のスパンの比が3:2以下である場合には、当該デッキプレートのスパンが均等スパンであることを判定し、図13の取得値のスパン均等性に示されるように、スパン均等性が「OK」であることを取得する。図15は、図12に示されるのケース3(C3)のデッキスラブの断面図であって、デッキプレートが均等スパンを有するか否かの判定の例を示す図である。図15には、デッキプレートdp13及びコンクリートcc13からなるデッキスラブが示されている。デッキプレートdp13には、梁bm1,bm2,bm3が接続されている。第1のスパン(l31)L(1,2)は、デッキプレートdp13と梁bm1との接続位置と、デッキプレートdp13と梁bm2との接続位置との間の距離である。第2のスパン(l32)L(2,3)は、デッキプレートdp13と梁bm2との接続位置と、デッキプレートdp13と梁bm3との接続位置との間の距離である。第1のスパン(l31)L(1,2)は3200mmであり、第2のスパン(l32)L(2,3)は2000mmであり、それらの比が3:2を超えるので、判定部12は、デッキプレートdp13のスパンが不均等スパンであることを判定し、スパン均等性がNGであることを取得する。ケース3(C3)のデッキスラブでは、梁の本数nが3であり、スパン均等性がNGの不均等スパンであることから、耐火性能に対する適合判定に用いる支持条件は、単純支持となる。
【0090】
図16は、一のデッキプレートが複数のスパンを有する場合における判定対象スパンの判定の例を示す図である。図16には、デッキプレートdp2及びコンクリートcc2からなるデッキスラブが示されている。デッキプレートdp2には、梁bm21,bm22,・・・,bm2(n-1),bm2nが接続されている。
【0091】
判定部12は、耐火性能基準及び構造性能基準に対する適合判定のためのスパンl(n=1,2,・・・、nー1)を算出する。耐火及び構造性能基準の適合判定のための第1のスパンlは、デッキプレートdp2と梁bm21との接続位置と、デッキプレートdp2と梁bm22との接続位置との間の距離L(1,2)である。耐火及び構造性能基準の適合判定のための第(n-1)のスパンln-1は、デッキプレートdp2と梁bm2(n―1)との接続位置と、デッキプレートdp2と梁bm2nとの接続位置との間の距離L(n-1,n)である。
【0092】
例えば、図12に例示したケース1(C1)のデッキスラブでは、第1のスパン(l)L(1,2)は2000であり、第2のスパン(l)L(2,3)は2000であり、第3のスパン(l)L(3,4)は2000である。また、ケース2(C2)のデッキスラブでは、第1のスパン(l)L(1,2)は2000である。また、ケース3(C3)のデッキスラブでは、第1のスパン(l)L(1,2)は3200であり、第2のスパン(l)L(2,3)は2000である。
【0093】
判定部12は、施工時安全性基準に対する適合判定のためのスパンlsを算出する。施工時安全性基準の適合判定のための第1のスパンlsは、デッキプレートdp2と梁bm21との接続位置と、デッキプレートdp2と梁bm22との接続位置との間の距離L(1,2)から、梁bm21の幅Wの2分の1の長さと梁bm22の幅Wの2分の1の長さとの和を減じた距離Ls(1,2)である。施工時安全性基準の適合判定のための第(n-1)のスパンlsn-1は、デッキプレートdp2と梁bm2(n-1)との接続位置と、デッキプレートdp2と梁bm2nとの接続位置との間の距離L(n-1,n)から、梁bm2(n-1)の幅Wn-1の2分の1の長さと梁bm2nの幅Wの2分の1の長さとの和を減じた距離Ls(n―1,n)である。
【0094】
例えば、図12に例示したケース1(C1)のデッキスラブでは、第1のスパンlsは、L(1,2)(=2000)から梁bm1のフランジ幅W(=300)の2分の1の長さである150及び梁bm2のフランジ幅W(=200)の2分の1の長さである100を減じることにより算出され、その値は1750となる。同様に、第2のスパンlsは1800となり、第3のスパンlsは1750となる。
【0095】
また、図12に例示したケース3(C3)のデッキスラブでは、第1のスパンlsは、L(1,2)(=3200)から梁bm1のフランジ幅W(=300)の2分の1の長さである150及び梁bm2の幅W(=200)の2分の1の長さである100を減じることにより算出され、その値は2950となる。同様に、第2のスパンlsは、L(2,3)(=2000)から梁bm2のフランジ幅W(=200)の2分の1の長さである100及び梁bm3の幅W(=300)の2分の1の長さである150を減じることにより算出され、その値は1750となる。
【0096】
判定部12は、一のデッキプレートに対して算出された1以上のスパンのうちの最長値を当該デッキプレートのスパンに関する適合判定の対象である判定対象スパンとし、デッキプレートの適合判定に用いる。
【0097】
即ち、判定部12は、耐火性能基準及び構造性能基準に対する適合判定のために算出したスパンl,・・・,ln-1のうちの最も大きいスパン(maxL)を判定対象スパンとして抽出する。そして、判定部12は、抽出した判定対象スパンを用いて、耐火性能基準及び構造性能基準に対する適合判定を実施する。図12に例示したケース1(C1)のデッキスラブに関しては、判定部12は、判定対象スパンとして、maxL=2000を抽出する。また、ケース3(C3)のデッキスラブに関しては、判定部12は、判定対象スパンとして、maxL=3200を抽出する。
【0098】
また、判定部12は、施工時安全性基準に対する適合判定のために算出したスパンls,・・・,lsn-1のうちの最も大きいスパン(maxLs)を判定対象スパンとして抽出する。そして、判定部12は、抽出した判定対象スパンを用いて、施工時安全性基準に対する適合判定を実施する。図12に例示したケース1(C1)のデッキスラブに関しては、判定部12は、判定対象スパンとして、maxLs=1800を抽出する。また、ケース2(C2)のデッキスラブに関しては、判定部12は、判定対象スパンとして、maxLs=1750を抽出する。また、ケース3(C3)のデッキスラブに関しては、判定部12は、判定対象スパンとして、maxLs=2950を抽出する。
【0099】
なお、施工時安全基準に対する適合判定のためのスパンは、耐火性能基準及び構造性能基準に対する適合判定のためのl,・・・,ln-1のうちの最も大きいスパンを判定対象スパンとして抽出してもよい。これは、梁のサイズに関わらず、スパンl≧ls(n=1,2,・・・,n―1)となるためであり、より厳しい条件で判定を行うことから、上記の方法でも施工時安全の適合判定は可能である。これにより、1つのスパン算出方法により、耐火性能基準、構造性能基準及び施工時安全性基準に用いるスパンを抽出することができる。
【0100】
また、デッキプレートを含むデッキスラブの適合基準に対する適合判定に際して、判定部12は、当該デッキスラブが設けられた階数に応じた属性データの判定及び抽出を実施する。判定部12は、例えば、デッキスラブが設けられた階数に応じた要求耐火時間の判定を実施する。
【0101】
具体的には、図13に示されるように、BIMモデルBMが、建物の総階数を示す総階数情報ntlを含み、デッキプレートを含むデッキスラブの建築構造物情報が、当該デッキスラブが設けられる階数を示す設置階数情報nを含むので、判定部12は、総階数情報ntl及び設置階数情報nを取得する。そして、判定部12は、例えば以下のような耐火性能に関する属性データを取得してもよい。
tl-n≧4である場合:2時間の耐火
tl-n<4である場合:1時間の耐火
判定部12は、上記のように建物の総階数及びデッキスラブが設けられた階数に応じて取得した属性データに応じて、当該デッキスラブの適合判定を実施する。
【0102】
ケース1(C1)~3(C3)のデッキスラブでは、総階数情報nt1が13であり、設置階数情報nが8であるので、nt1-n=5≧4であるので、判定部12は、要求耐火時間に関するデータ「2時間の耐火」を取得する。なお、設置階数情報nが10の場合では、nt1-n=3<4となるので、要求耐火時間は、「1時間の耐火」である。
【0103】
再び図2を参照して、仕様書出力部16は、建築構造物の属性情報が適合基準に適合することが判定部12により判定された場合に、当該建築構造物に関して予め抽出対象として設定された属性項目及び該属性項目の属性データを抽出し、抽出した属性データを所定フォーマットで表示する標準仕様書データを出力する。
【0104】
図17は、建築構造物情報に基づいて出力される標準仕様書データの一例を模式的に示す図である。前述のとおり、建築構造物の属性情報が適合基準に適合するか否かが判定部12により判定され、肯定的判定結果情報及び適合基準に適合するように変更された属性データ等を属性情報として含み得る建築構造物情報が生成される。
【0105】
仕様書出力部16は、そのように生成された建築構造物情報から、予め設定された標準仕様書に含めさせるべき属性情報を抽出し、抽出した属性情報を所定フォーマットに従って表示するための標準仕様書データSDを生成及び出力する。標準仕様書は、資材の品名、寸法及び施工方法等が記載された、施工者に指示するための図面である。標準仕様書SDは、建物の平面図、立面図及び断面図等を含む設計図書の一部として、施工者に供される。
【0106】
次に、図18を参照して、本実施形態の設計支援システムの動作について説明する。図18は、設計支援システム1において実施される設計支援方法の処理内容を示すフローチャートである。
【0107】
ステップS1において、BIMモデル取得部11は、設計対象の建物のBIMモデルBMを取得する。
【0108】
ステップS2において、判定部12は、建築構造物情報に含まれる各属性情報が、当該属性情報に対して予め設定された所定の適合基準に適合するか否かを判定する。
【0109】
ステップS3において、判定結果反映部13は、判定部12による判定の結果を示す判定結果情報を、当該建築構造物の属性情報として建築構造物情報に含ませる。
【0110】
ステップS4において、出力部15は、判定結果情報が反映された建築構造物情報を含むBIMモデルを出力する。具体的には、出力部15は、属性情報が追加及び変更等された建築構造物情報を含むBIMモデルBMを、BIMシステム20に出力する。
【0111】
次に、図19を参照して、コンピュータを設計支援装置10及び設計支援システム1として機能させるための設計支援プログラムを説明する。設計支援プログラムP1は、メインモジュールm10、BIMモデル取得モジュールm11、判定モジュールm12、判定結果反映モジュールm13、変更モジュールm14、出力モジュールm15及び仕様書出力モジュールm16を含む。
【0112】
メインモジュールm10は、設計支援処理を統括的に制御する部分である。BIMモデル取得モジュールm11、判定モジュールm12、判定結果反映モジュールm13、変更モジュールm14、出力モジュールm15及び仕様書出力モジュールm16を実行することにより実現される機能はそれぞれ、図2に示される設計支援装置10のBIMモデル取得部11、判定部12、判定結果反映部13、変更部14、出力部15及び仕様書出力部16の機能と同様である。
【0113】
設計支援プログラムP1は、例えば、磁気ディスクや光ディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体M1によって提供される。また、設計支援プログラムP1は、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0114】
以上説明した本実施形態の設計支援システム1、設計支援方法及び設計支援プログラムP1によれば、BIMモデルに含まれる建築構造物情報に関する属性情報が適合基準に適合するか否かが判定される。属性情報の適合基準に対する適合の判定の結果を示す判定結果情報が、当該建築構造物の属性情報として建築構造物情報に含められたBIMモデルが出力されるので、BIMモデルにおける適合判定の結果の参照が容易である。従って、BIMモデルによる建物の設計と、建物に用いられる建築構造物の適合判定の結果との間における双方向の連携が実現され、設計修正の手間及び人為的エラーの可能性を低減できる。
【0115】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0116】
1…設計支援システム、10…設計支援装置、11…BIMモデル取得部、12…判定部、13…判定結果反映部、14…変更部、15…出力部、16…仕様書出力部、20…BIMシステム、BM…BIMモデル、M1…記憶媒体、m10…メインモジュール、m11…BIMモデル取得モジュール、m12…判定モジュール、m13…判定結果反映モジュール、m14…変更モジュール、m15…出力モジュール、m16…仕様書出力モジュール、P1…設計支援プログラム。
図1
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