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特開2023-138303パンタグラフの加速度測定装置及び測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138303
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】パンタグラフの加速度測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/03 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
G01P15/03 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191598
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2022042894
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小井手 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】松尾 郁哉
(72)【発明者】
【氏名】川畑 匠朗
(72)【発明者】
【氏名】山本 大樹
(57)【要約】      (修正有)
【課題】パンタグラフの前後方向の加速度を測定し衝撃点を検出する、加速度測定装置を提供する。
【解決手段】パンタグラフの底面に取り付けられるマーカと、マーカを撮影する撮影手段9と、車両の走行中撮影された入力画像9aに基づいてパンタグラフの加速度を求める画像処理装置11と、を備え、画像処理装置は、入力画像からマーカの基準テンプレートを設定するテンプレート設定部13と、基準テンプレートを拡大・縮小するテンプレート拡大・縮小部15と、拡大・縮小した基準テンプレートを用いて入力画像の類似度を計算し、マーカを検出するパターンマッチング部17と、検出されたのマーカの変位を求めるパンタグラフ変位計算部19と、時系列で求められたマーカの変位の平滑化を行うフィルタリング処理部21と、平滑化されたマーカの変位を2階微分することによりパンタグラフの前後方向の加速度を算出する加速度計算部23と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両のパンタグラフの底面またはホーン部に取り付けられる第1のマーカと、
前記鉄道車両の屋根上に設置され前記第1のマーカを撮影する撮影手段と、
前記鉄道車両の走行中に前記撮影手段によって撮影した入力画像に基づいて前記パンタグラフの加速度を求める画像処理装置と、
を備え、
前記画像処理装置は、
前記入力画像から前記第1のマーカの第1の基準テンプレートを設定するテンプレート設定部と、
前記第1の基準テンプレートを前記入力画像に基づいて拡大・縮小するテンプレート拡大・縮小部と、
前記拡大・縮小した前記第1の基準テンプレートを用いて前記入力画像の類似度を計算し、前記第1のマーカを検出するパターンマッチング部と、
前記検出された第1のマーカの変位を求めるパンタグラフ変位計算部と、
時系列で求められた前記第1のマーカの変位の平滑化を行うフィルタリング処理部と、
前記平滑化された前記第1のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの前後方向の加速度を算出する加速度計算部と、を備える、
パンタグラフの加速度測定装置。
【請求項2】
前記パンタグラフの側面またはホーン部に取り付けられる第2のマーカを備え、
前記撮影手段は、前記第1のマーカと前記第2のマーカの双方を撮影する位置に配置され、
前記テンプレート設定部は、前記入力画像から前記第2のマーカの第2の基準テンプレートを設定し、
前記テンプレート拡大・縮小部は、前記第2の基準テンプレートを前記入力画像に基づいて拡大・縮小し、
前記パターンマッチング部は、前記拡大・縮小した前記第2の基準テンプレートを用いて前記入力画像の類似度を計算し、前記第2のマーカを検出し、
前記パンタグラフ変位計算部は、前記検出された前記第2のマーカの変位を求め、
前記フィルタリング処理部は、時系列で求められた前記第2のマーカの変位の平滑化を行い、
前記加速度計算部は、前記平滑化された前記第2のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出する、
請求項1に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【請求項3】
前記パンタグラフの側面またはホーン部に取り付けられる第2のマーカと、
前記鉄道車両の屋根上に設置され前記第2のマーカを撮影する第2の撮影手段と、
を備え、
前記鉄道車両の走行中に前記第2の撮影手段によって撮影した第2の入力画像は、前記画像処理装置に入力され、
前記テンプレート設定部は、前記第2の入力画像から前記第2のマーカの第2の基準テンプレートを設定し、
前記テンプレート拡大・縮小部は、前記第2の基準テンプレートを前記第2の入力画像に基づいて拡大・縮小し、
前記パターンマッチング部は、前記拡大・縮小した前記第2の基準テンプレートを用いて前記第2の入力画像の類似度を計算し、前記第2のマーカを検出し、
前記パンタグラフ変位計算部は、前記検出された前記第2のマーカの変位を求め、
前記フィルタリング処理部は、時系列で求められた前記第2のマーカの変位の平滑化を行い、
前記加速度計算部は、前記平滑化された前記第2のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出する、
請求項1に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【請求項4】
前記鉄道車両の屋根上に設置され前記パンタグラフの変位を測定する測域センサと、
を備え、
前記鉄道車両の走行中に前記測域センサによって測定された前記パンタグラフの変位は、前記画像処理装置に入力され、
前記パンタグラフ変位計算部は、前記測定された前記パンタグラフの変位を求め、
前記フィルタリング処理部は、時系列で求められた前記パンタグラフの変位の平滑化を行い、
前記加速度計算部は、前記平滑化された前記パンタグラフの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出する、
請求項1に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【請求項5】
前記撮影手段を鉄道車両の車両前後方向と水平の位置に備え、
前記撮影手段の撮影方向にミラーを設け、
前記ミラーを介して前記第1のマーカを撮影する、請求項1に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【請求項6】
前記パンタグラフの側面またはホーン部に取り付けられる第2のマーカと、
前記鉄道車両の屋根上に設置され前記第2のマーカを撮影する第2の撮影手段と、
を備え、
前記鉄道車両の走行中に前記第2の撮影手段によって撮影した第2の入力画像は、前記画像処理装置に入力され、
前記テンプレート設定部は、前記第2の入力画像から前記第2のマーカの第2の基準テンプレートを設定し、
前記テンプレート拡大・縮小部は、前記第2の基準テンプレートを前記第2の入力画像に基づいて拡大・縮小し、
前記パターンマッチング部は、前記拡大・縮小した前記第2の基準テンプレートを用いて前記第2の入力画像の類似度を計算し、前記第2のマーカを検出し、
前記パンタグラフ変位計算部は、前記検出された前記第2のマーカの変位を求め、
前記フィルタリング処理部は、時系列で求められた前記第2のマーカの変位の平滑化を行い、
前記加速度計算部は、前記平滑化された前記第2のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出する、
請求項5に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【請求項7】
前記パンタグラフ変位計算部で算出した前記第1のマーカの変位及び前記加速度計算部で算出した前記パンタグラフの前後方向の加速度に基づいて、前記パンタグラフに一定以上の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理を行う、衝撃判定処理部を備える、請求項2から請求項4または請求項6のいずれか一項に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【請求項8】
前記パンタグラフ変位計算部で算出した前記第1のマーカの変位及び前記加速度計算部で算出した前記パンタグラフの前後方向の加速度に基づいて、前記パンタグラフに一定以上の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理を行う、衝撃判定処理部を備える、請求項1または請求項5のいずれか一項に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【請求項9】
前記パンタグラフ変位計算部で算出した前記第2のマーカの変位または前記パンタグラフの変位、および前記加速度計算部で算出した前記パンタグラフの上下方向の加速度に基づいて、前記パンタグラフに一定以上の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理を行う、衝撃判定処理部を備える、請求項7に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【請求項10】
鉄道車両のパンタグラフの底面またはホーン部に第1のマーカを取り付けること、
前記第1のマーカを撮影すること、
前記鉄道車両の走行中に撮影した入力画像に基づいて前記パンタグラフの加速度を求めること、
を含み、
前記パンタグラフの加速度を求めるに際し、
前記入力画像から前記第1のマーカの第1の基準テンプレートを設定すること、
前記第1の基準テンプレートを前記入力画像に基づいて拡大・縮小すること、
前記拡大・縮小した前記第1の基準テンプレートを用いて前記入力画像の類似度を計算し、前記第1のマーカを検出すること、
前記検出された第1のマーカの変位を求めること、
時系列で求められた前記第1のマーカの変位の平滑化を行うこと、
前記平滑化された前記第1のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの前後方向の加速度を算出すること、を含む、
パンタグラフの加速度測定方法。
【請求項11】
前記パンタグラフの側面またはホーン部に第2のマーカを取り付けること、
前記第1のマーカと前記第2のマーカの双方を撮影すること、を含み、
前記パンタグラフの加速度を求めるに際し、
前記入力画像から前記第2のマーカの第2の基準テンプレートを設定すること、
前記第2の基準テンプレートを前記入力画像に基づいて拡大・縮小すること、
前記拡大・縮小した前記第2の基準テンプレートを用いて前記入力画像の類似度を計算し、前記第2のマーカを検出すること、
前記検出された前記第2のマーカの変位を求めること、
時系列で求められた前記第2のマーカの変位の平滑化を行うこと、
前記平滑化された前記第2のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出すること、を含む、
請求項10に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【請求項12】
前記パンタグラフの側面またはホーン部に第2のマーカを取り付けること、
前記第2のマーカを撮影し、第2の入力画像を得ること、
を含み、
前記パンタグラフの加速度を求めるに際し、
前記第2の入力画像から前記第2のマーカの第2の基準テンプレートを設定すること、
前記第2の基準テンプレートを前記第2の入力画像に基づいて拡大・縮小すること、
前記拡大・縮小した前記第2の基準テンプレートを用いて前記第2の入力画像の類似度を計算し、前記第2のマーカを検出すること、
前記検出された前記第2のマーカの変位を求めること、
時系列で求められた前記第2のマーカの変位の平滑化を行うこと、
前記平滑化された前記第2のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出すること、を含む、
請求項10に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【請求項13】
前記鉄道車両の走行中に測域センサにより前記パンタグラフの変位を測定すること、
を含み、
前記パンタグラフの加速度を求めるに際し、
前記測域センサにより測定された前記パンタグラフの変位を求めること、
時系列で求められた前記パンタグラフの変位の平滑化を行うこと、
前記平滑化された前記パンタグラフの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出すること、を含む、
請求項10に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【請求項14】
第1のマーカを撮影する方向にミラーを設け、
前記ミラーを介して前記第1のマーカを撮影する、請求項10に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【請求項15】
前記パンタグラフの側面またはホーン部に第2のマーカを取り付けること、
前記第2のマーカを撮影し、第2の入力画像を得ること、
を含み、
前記パンタグラフの加速度を求めるに際し、
前記第2の入力画像から前記第2のマーカの第2の基準テンプレートを設定すること、
前記第2の基準テンプレートを前記第2の入力画像に基づいて拡大・縮小すること、
前記拡大・縮小した前記第2の基準テンプレートを用いて前記第2の入力画像の類似度を計算し、前記第2のマーカを検出すること、
前記検出された前記第2のマーカの変位を求めること、
時系列で求められた前記第2のマーカの変位の平滑化を行うこと、
前記平滑化された前記第2のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出すること、を含む、
請求項14に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【請求項16】
前記第1のマーカの変位及び前記パンタグラフの前後方向の加速度に基づいて、前記パンタグラフに一定以上の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理を行うこと、を含む、
請求項11から請求項13または請求項15のいずれか一項に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【請求項17】
前記第1のマーカの変位及び前記パンタグラフの前後方向の加速度に基づいて、前記パンタグラフに一定以上の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理を行うこと、を含む、
請求項10または請求項14のいずれか一項に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【請求項18】
前記第2のマーカの変位または前記パンタグラフの変位、および前記パンタグラフの上下方向の加速度に基づいて、前記パンタグラフに一定以上の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理を行うこと、を含む、
請求項16に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンタグラフの加速度測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気鉄道設備においては、検査項目の一つとしてトロリ線の硬点の計測が挙げられる。例えば、トロリ線はちょう架線にハンガで吊り下げられた状態になっている。このハンガが設置されている箇所や、その他、トロリ線の接続箇所や曲線引がある部分などは他の部分に比べトロリ線の重量が部分的に増加しており、「トロリ線の硬点」と呼ばれる。
【0003】
このトロリ線の硬点を、車両の屋根上に設置されトロリ線に摺動する集電装置であるパンタグラフが通過するとき、トロリ線の重量によりパンタグラフが急激に下降する場合がある。このような場合、トロリ線がパンタグラフから離線し、アークと呼ばれる放電現象が発生する。このときトロリ線にはアークによって生じる熱によって局所的な摩耗が生じる。そのため、トロリ線の硬点においては、他の部分に比較して摩耗の進行が早まることが考えられる。以上のことから、トロリ線の硬点を検出することは、電気鉄道設備を保守し、運用・管理する上で重要な事項となっている。
【0004】
特許文献1及び特許文献2には、硬点を検出するための装置や方法が開示されている。これらの文献では、パンタグラフに取り付けられたマーカをラインセンサカメラで撮影し、撮影した入力画像を画像処理することによりパンタグラフの加速度を求め硬点を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-266341号公報
【特許文献2】特開2020-144049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、鉄道設備の保守点検分野においては、前述の硬点の検出に加え、パンタグラフの衝撃点を検出するという課題がある。この課題に対しては、パンタグラフの前後方向の加速度を測定することで、パンタグラフの衝撃点を検出することが可能となる。特許文献1及び特許文献2では、パンタグラフの上下方向の加速度を測定し硬点検出を行っているが、これに加え前後方向の加速度を測定することが要求されてきている。
【0007】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、パンタグラフの前後方向の加速度を測定し衝撃点を検出することが可能となる、パンタグラフの加速度測定装置及び測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のパンタグラフの加速度測定装置は、鉄道車両のパンタグラフの底面またはホーン部に取り付けられる第1のマーカと、前記鉄道車両の屋根上に設置され前記第1のマーカを撮影する撮影手段と、前記鉄道車両の走行中に前記撮影手段によって撮影した入力画像に基づいて前記パンタグラフの加速度を求める画像処理装置と、を備え、前記画像処理装置は、前記入力画像から前記第1のマーカの第1の基準テンプレートを設定するテンプレート設定部と、前記第1の基準テンプレートを前記入力画像に基づいて拡大・縮小するテンプレート拡大・縮小部と、前記拡大・縮小した前記第1の基準テンプレートを用いて前記入力画像の類似度を計算し、前記第1のマーカを検出するパターンマッチング部と、前記検出された第1のマーカの変位を求めるパンタグラフ変位計算部と、時系列で求められた前記第1のマーカの変位の平滑化を行うフィルタリング処理部と、前記平滑化された前記第1のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの前後方向の加速度を算出する加速度計算部と、を備える。
【0009】
本発明のパンタグラフの加速度測定装置では、鉄道車両のパンタグラフの底面またはホーン部に取り付けられる第1のマーカを鉄道車両の走行中に撮影手段によって撮影し、得られた入力画像からパンタグラフの前後方向の変位を求め、その変位を2階微分することによりパンタグラフの前後方向の加速度を算出するので、トロリ線の衝撃点を検出することができる。
【0010】
本発明の一態様では、前記パンタグラフの側面またはホーン部に取り付けられる第2のマーカを備え、前記撮影手段は、前記第1のマーカと前記第2のマーカの双方を撮影する位置に配置され、前記テンプレート設定部は、前記入力画像から前記第2のマーカの第2の基準テンプレートを設定し、前記テンプレート拡大・縮小部は、前記第2の基準テンプレートを前記入力画像に基づいて拡大・縮小し、前記パターンマッチング部は、前記拡大・縮小した前記第2の基準テンプレートを用いて前記入力画像の類似度を計算し、前記第2のマーカを検出し、前記パンタグラフ変位計算部は、前記検出された前記第2のマーカの変位を求め、前記フィルタリング処理部は、時系列で求められた前記第2のマーカの変位の平滑化を行い、前記加速度計算部は、前記平滑化された前記第2のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出する。
【0011】
この一態様では、パンタグラフの側面またはホーン部に取り付けられる第2のマーカを備え、撮影手段は、第1のマーカと第2のマーカの双方を鉄道車両の走行中に撮影し、得られた入力画像からパンタグラフの上下方向の変位を求め、その変位を2階微分することによりパンタグラフの上下方向の加速度を算出するので、トロリ線の衝撃点に加え硬点も一つの撮影手段で検出することができる。
【0012】
本発明の一態様では、前記パンタグラフの側面またはホーン部に取り付けられる第2のマーカと、前記鉄道車両の屋根上に設置され前記第2のマーカを撮影する第2の撮影手段と、を備え、前記鉄道車両の走行中に前記第2の撮影手段によって撮影した第2の入力画像は、前記画像処理装置に入力され、前記テンプレート設定部は、前記第2の入力画像から前記第2のマーカの第2の基準テンプレートを設定し、前記テンプレート拡大・縮小部は、前記第2の基準テンプレートを前記第2の入力画像に基づいて拡大・縮小し、前記パターンマッチング部は、前記拡大・縮小した前記第2の基準テンプレートを用いて前記第2の入力画像の類似度を計算し、前記第2のマーカを検出し、前記パンタグラフ変位計算部は、前記検出された前記第2のマーカの変位を求め、前記フィルタリング処理部は、時系列で求められた前記第2のマーカの変位の平滑化を行い、前記加速度計算部は、前記平滑化された前記第2のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出する。
【0013】
この一態様では、パンタグラフの側面またはホーン部に取り付けられる第2のマーカを備え、第2の撮影手段は、第2のマーカを鉄道車両の走行中に撮影し、得られた第2の入力画像からパンタグラフの上下方向の変位を求め、その変位を2階微分することによりパンタグラフの上下方向の加速度を算出するので、トロリ線の衝撃点に加え硬点も検出することができる。
【0014】
本発明の一態様では、前記鉄道車両の屋根上に設置され前記パンタグラフの変位を測定する測域センサと、を備え、前記鉄道車両の走行中に前記測域センサによって測定された前記パンタグラフの変位は、前記画像処理装置に入力され、前記パンタグラフ変位計算部は、前記測定された前記パンタグラフの変位を求め、前記フィルタリング処理部は、時系列で求められた前記パンタグラフの変位の平滑化を行い、前記加速度計算部は、前記平滑化された前記パンタグラフの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出する。
【0015】
この一態様では、測域センサによりパンタグラフの変位を測定し、測定から得られたパンタグラフの上下方向の変位を2階微分することによりパンタグラフの上下方向の加速度を算出するので、トロリ線の衝撃点に加え硬点も検出することができる。
【0016】
本発明の一態様では、前記撮影手段または/および前記第2の撮影手段は、ラインセンサカメラ、エリアセンサカメラのいずれかである。
この一態様では、撮影手段として適切なものを選択することができる。
【0017】
本発明のパンタグラフの加速度測定方法は、鉄道車両のパンタグラフの底面またはホーン部に第1のマーカを取り付けること、前記第1のマーカを撮影すること、前記鉄道車両の走行中に撮影した入力画像に基づいて前記パンタグラフの加速度を求めること、を含み、前記パンタグラフの加速度を求めるに際し、前記入力画像から前記第1のマーカの第1の基準テンプレートを設定すること、前記第1の基準テンプレートを前記入力画像に基づいて拡大・縮小すること、前記拡大・縮小した前記第1の基準テンプレートを用いて前記入力画像の類似度を計算し、前記第1のマーカを検出すること、前記検出された第1のマーカの変位を求めること、時系列で求められた前記第1のマーカの変位の平滑化を行うこと、前記平滑化された前記第1のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの前後方向の加速度を算出すること、を含む。
【0018】
本発明のパンタグラフの加速度測定方法では、鉄道車両のパンタグラフの底面またはホーン部に取り付けられる第1のマーカを鉄道車両の走行中に撮影し、得られた入力画像からパンタグラフの前後方向の変位を求め、その変位を2階微分することによりパンタグラフの前後方向の加速度を算出するので、トロリ線の衝撃点を検出することができる。
【0019】
本発明の一態様では、前記パンタグラフの側面またはホーン部に第2のマーカを取り付けること、前記第1のマーカと前記第2のマーカの双方を撮影すること、を含み、前記パンタグラフの加速度を求めるに際し、前記入力画像から前記第2のマーカの第2の基準テンプレートを設定すること、前記第2の基準テンプレートを前記入力画像に基づいて拡大・縮小すること、前記拡大・縮小した前記第2の基準テンプレートを用いて前記入力画像の類似度を計算し、前記第2のマーカを検出すること、前記検出された前記第2のマーカの変位を求めること、時系列で求められた前記第2のマーカの変位の平滑化を行うこと、前記平滑化された前記第2のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出すること、を含む。
【0020】
この一態様では、第1のマーカと第2のマーカの双方を鉄道車両の走行中に撮影し、得られた入力画像からパンタグラフの上下方向の変位を求め、その変位を2階微分することによりパンタグラフの上下方向の加速度を算出するので、トロリ線の衝撃点に加え硬点も検出することができる。
【0021】
本発明の一態様では、前記パンタグラフの側面またはホーン部に第2のマーカを取り付けること、前記第2のマーカを撮影し、第2の入力画像を得ること、を含み、前記パンタグラフの加速度を求めるに際し、前記第2の入力画像から前記第2のマーカの第2の基準テンプレートを設定すること、前記第2の基準テンプレートを前記第2の入力画像に基づいて拡大・縮小すること、前記拡大・縮小した前記第2の基準テンプレートを用いて前記第2の入力画像の類似度を計算し、前記第2のマーカを検出すること、前記検出された前記第2のマーカの変位を求めること、時系列で求められた前記第2のマーカの変位の平滑化を行うこと、前記平滑化された前記第2のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出すること、を含む。
【0022】
この一態様では、第2のマーカを鉄道車両の走行中に撮影し、得られた第2の入力画像からパンタグラフの上下方向の変位を求め、その変位を2階微分することによりパンタグラフの上下方向の加速度を算出するので、トロリ線の衝撃点に加え硬点も検出することができる。
【0023】
本発明の一態様では、前記鉄道車両の走行中に測域センサにより前記パンタグラフの変位を測定すること、を含み、前記パンタグラフの加速度を求めるに際し、前記測域センサにより測定された前記パンタグラフの変位を求めること、時系列で求められた前記パンタグラフの変位の平滑化を行うこと、前記平滑化された前記パンタグラフの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出すること、を含む。
【0024】
この一態様では、測域センサによりパンタグラフの変位を測定し、測定から得られたパンタグラフの上下方向の変位を2階微分することによりパンタグラフの上下方向の加速度を算出するので、トロリ線の衝撃点に加え硬点も検出することができる。
【0025】
本発明の一態様では、前記入力画像または/および前記第2の入力画像は、ラインセンサカメラ、エリアセンサカメラのいずれかにより撮影される。
この一態様では、撮影装置として適切なものを選択することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、パンタグラフの前後方向の加速度を測定し衝撃点を検出することが可能となる、パンタグラフの加速度測定装置及び測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の設置例を示す説明図である。
図2】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置において加速度測定のため取得される画像例である。
図5】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置において設定されるテンプレートの例を示す説明図である。
図6】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置におけるマーカの検出位置を示す説明図である。
図7】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の設置例を示す説明図である。
図8】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の設置例を示す説明図である。
図9】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の構成を示すブロック図である。
図10】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の設置例を示す説明図である。
図11】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の構成を示すブロック図である。
図12】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の設置例を示す説明図である。
図13】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の構成を説明する機能ブロック図である。
図14】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置40の動作を示すフローチャートである。
図15】本発明の実施形態に係る衝撃判定処理の動作を示すフローチャートである。
図16】本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の設置例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の設置例を示す説明図である。図2は、本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置1は、鉄道車両3のパンタグラフ5の底面に取り付けられる第1のマーカ7と、鉄道車両3の屋根上に設置され第1のマーカ7を撮影する撮影手段9と、鉄道車両3の走行中に撮影手段9によって撮影した入力画像に基づいてパンタグラフ5の加速度を求める画像処理装置11と、を備える。
【0029】
画像処理装置11は、鉄道車両3内部に設置される。また、鉄道車両3の屋根上には、撮影手段9によって撮影される第1のマーカ7に光を照射する照明装置8が設置されている。撮影手段9としては、例えば、ラインセンサカメラまたは、ROI(Region Of Interest)機能を有するエリアセンサカメラのいずれかを使用することができる。
【0030】
図1の破線A内に示す図は、パンタグラフ5を下方からみた斜視図である。図に示すようにマーカ7は、パンタグラフ5の底面に取り付けられた、パンタグラフ5の前後方向の変位を検知するマーカ7であって、破線B内で示されるように、幅の異なる2本の白線を有している。マーカ7は、光を反射する素材と光を反射しない素材とで形成され、2本の白線は、光を反射する素材で形成されている。2本の白線を異なる太さにすることで、画像中のマーカ位置の特定における誤検出を抑えることができる。なお、マーカ7はホーン部6に取り付けられていてもよい。
【0031】
図2に示すように、撮影手段9によって撮影された入力画像9aは、画像処理装置11に送られる。入力画像9aは、データ処理部12で受信され、以下に示す各機能ブロックと連係して種々の処理を行う。画像処理装置11は機能ブロックとして、入力画像9aから第1のマーカ7の第1の基準テンプレートを設定するテンプレート設定部13と、第1の基準テンプレートを入力画像9aに基づいて拡大・縮小するテンプレート拡大・縮小部15と、拡大・縮小した第1の基準テンプレートを用いて入力画像9aの類似度を計算し、第1のマーカ7を検出するパターンマッチング部17と、検出された第1のマーカ7の変位を求めるパンタグラフ変位計算部19と、時系列で求められた第1のマーカ7の変位の平滑化を行うフィルタリング処理部21と、平滑化された第1のマーカ7の変位を2階微分することによりパンタグラフ5の前後方向の加速度を算出する加速度計算部23と、を備える。
【0032】
本実施形態における画像処理装置11は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置上に実装される。データ処理部12、テンプレート設定部13、テンプレート拡大・縮小部15、パターンマッチング部17、パンタグラフ変位計算部19、フィルタリング処理部21、加速度計算部23は、上記情報処理装置内のCPUやGPUによって実行されるソフトウェア、プログラムであってよい。データ処理部12は、例えば半導体メモリ、ハードディスク(HDD)やソリッド・ステート・ドライブ(SSD)等で構成する記憶装置を含む。
【0033】
図3は、本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置1の動作を示すフローチャートである。この図を参照して、パンタグラフの加速度測定装置1の動作について説明する。
(1)テンプレート設定部13では、図4に示すような入力画像9aから図5に示す一ライン分の第1の基準テンプレート13aを設定する(S01)。
【0034】
(2)テンプレート拡大・縮小部15では、図4の入力画像9aを、図上横方向に、任意の数に分割し、特開2010-169505におけるキャリブレーション方法により求めた各画素の分解能に基づいて各分割した区間毎に第1の基準テンプレート13aを拡大・縮小する(S02)。
【0035】
(3)パターンマッチング部17では、入力画像9aに対して上述の(2)テンプレート拡大・縮小処理を行いながら、入力画像9aと第1の基準テンプレート13aとの類似度を計算し、図4に示すマーカ位置mを検出することでマーカ変位[pix]を求める。第1の基準テンプレート13aと入力画像9aとの類似度計算には、特に指定はしないが、本件では正規化相互相関の1種であるZNCC(Zero-mean Normalized Cross Correlation)を使用する(S03)。
【0036】
(4)パンタグラフ変位計算部19では、前述の(3)パターンマッチング処理で求めたマーカ変位[pix]から、より高精度なマーカ変位を求めるために、検出されたマーカの範囲内で図6に示すようにマーカの2本ある白線の内、下側の白線の下端kをエッジ検出により求め、サブピクセル推定を行うことで高精度なマーカ変位[pix]を検出する。高精度なマーカ変位[pix]算出後、特開2010-169505におけるキャリブレーション方法により求めたキャリブレーション係数を乗じることでマーカ変位[mm]を算出し、予め測定したパンタグラフを基準とするマーカとの位置関係からパンタグラフ変位[mm]を求める(S04)。
【0037】
(5)フィルタリング処理部21は、時系列の架線変位に対応したパンタグラフ変位[mm]に対してフィルタリング処理による平滑化を行う(S05)。
【0038】
(6)加速度計算部23では、(5)のフィルタリング処理が行われた平滑化後の変位データを2階微分することで、パンタグラフ5の前後方向の加速度を算出する(S06)。
【0039】
以上述べたように、本実施形態では、パンタグラフ5の底面に取り付けられたマーカ7を、撮影手段9によって撮影し、そこで得られた入力画像9aを画像処理することによってパンタグラフの前後方向の時系列の変位を検知し、その変位を平滑化処理し2階微分によって前後方向の加速度を算出する。したがって、撮影手段を用いた画像解析による非接触なパンタグラフの加速度を算出し、その加速度に対して閾値を設けて観測することにより、パンタグラフの衝撃点を容易に検出することができる。また非接触な測定システムであるため、保守車両を用いた夜間等の停電時間帯の運用だけでなく、通常の営業車両にも適用することが可能である。
【0040】
(第2実施形態)
図7は、本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の設置例を示す説明図である。本実施形態におけるパンタグラフの加速度測定装置10は、第1実施形態のパンタグラフの加速度測定装置1の構成に加え、パンタグラフ5の側面に取り付けられる第2のマーカ25を備える。また、撮影手段9は、第1のマーカと第2のマーカの双方を撮影する位置に配置される。照明装置8は、撮影手段9によって撮影される第1のマーカ7、第2のマーカ25の双方に光を照射する位置に設置されている。
【0041】
図7の破線C内に示す図は、パンタグラフ5を下方からみた斜視図である。図に示すように第1のマーカ7に加え、第2のマーカ25は、パンタグラフ5の側面に取り付けられた、パンタグラフ5の上下方向の変位を検知する第2のマーカ25であって、第1のマーカ7と同様に破線B内で示されるように、幅の異なる2本の白線を有している。第2のマーカ25は、光を反射する素材と光を反射しない素材とで形成され、2本の白線は、光を反射する素材で形成されている。破線D内に示す図は、パンタグラフ5の第1のマーカ7、第2の25に対応する位置の断面図である。図に示すとおり、第1のマーカ7と第2のマーカ25は、互いに90度角度の異なる面に配置されている。なお、第1のマーカ7及び第2のマーカ25はホーン部6に取り付けられていてもよい。
【0042】
画像処理装置11の機能ブロック図は、図2に示すように第1実施形態と同じであるが、第1実施形態の動作に加え、第2のマーカ25の測定動作を行う。すなわち、テンプレート設定部13は、入力画像9aから第2のマーカ25の第2の基準テンプレートを設定し、テンプレート拡大・縮小部15は、第2の基準テンプレートを入力画像9aに基づいて拡大・縮小し、パターンマッチング部17は、拡大・縮小した第2の基準テンプレートを用いて入力画像9aの類似度を計算し、第2のマーカ25を検出し、パンタグラフ変位計算部19は、検出された第2のマーカ25の変位を求め、フィルタリング処理部21は、時系列で求められた第2のマーカ25の変位の平滑化を行い、加速度計算部23は、平滑化された第2のマーカ25の変位を2階微分することによりパンタグラフの上下方向の加速度を算出する。
【0043】
本実施形態におけるパンタグラフの加速度測定装置10も、図3に示すフローチャートにしたがって動作する。異なる点は、第1のマーカ7に加えて、第2のマーカ25の測定動作が加わる点である。本実施形態では、第1実施形態における(1)~(6)の動作を、第2のマーカ25に対しても行う。異なる点は、以下に示す(4)の動作である。
(4)第1実施形態における高精度なマーカ変位[pix]算出後、特開2016-218815におけるL字ターゲット情報から座標推定する技術を応用し、前後用および上下用それぞれのマーカ変位[pix]情報からマーカ変位[mm]を算出し、予め測定したパンタグラフを基準とするマーカとの位置関係からパンタグラフ変位[mm]を求める。以下第1実施形態における(5)、(6)の動作によって、パンタグラフ5の前後方向の加速度に加え、上下方向の加速度を算出する。
【0044】
本実施形態では、非接触な測定によって、パンタグラフ5の前後方向の加速度に加え、上下方向の加速度も検出するので、第1実施形態の作用効果に加え、パンタグラフ5の上下方向の加速度から、パンタグラフ5の硬点の検出が可能となる。また、ラインセンサカメラあるいはエリアセンサカメラ1台のみでパンタグラフ5の前後及び上下加速度を測定可能であるため、コストを抑えられる。
【0045】
(第3実施形態)
図8は、本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の設置例を示す説明図である。図9は、本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の構成を説明する機能ブロック図である。本実施形態におけるパンタグラフの加速度測定装置20は、第1実施形態のパンタグラフの加速度測定装置1の構成に加え、パンタグラフ5の側面に取り付けられる第2のマーカ25を備える。また、鉄道車両3の屋根上に設置され第2のマーカ25を撮影する第2の撮影手段27と、を備える。撮影手段27としては、第1の撮影手段9と同様に、例えば、ラインセンサカメラまたは、ROI(Region Of Interest)機能を有するエリアセンサカメラのいずれかを使用することができる。照明装置8は、撮影手段9によって撮影される第1のマーカ7と、第2の撮影手段27によって撮影される第2のマーカ25にそれぞれ光を照射する位置に設置されている。なお、第1のマーカ7及び第2のマーカ25はホーン部6に取り付けられていてもよい。
【0046】
図9に示すように、本実施形態では、鉄道車両3の走行中に撮影装置9によって撮影された入力画像9aと第2の撮影装置27によって撮影された第2の入力画像27aとの双方が、画像処理装置11に送られる。本実施形態における画像処理装置11では、第1実施形態における入力画像9aに対する処理に加え、第2の入力画像27aに対して、第2のマーカ25の測定動作を行う。すなわち、テンプレート設定部13は、第2の入力画像27aから第2のマーカ25の第2の基準テンプレートを設定し、テンプレート拡大・縮小部15は、第2の基準テンプレートを第2の入力画像27aに基づいて拡大・縮小し、パターンマッチング部17は、拡大・縮小した第2の基準テンプレートを用いて第2の入力画像27aの類似度を計算し、第2のマーカ25を検出し、パンタグラフ変位計算部19は、検出された第2のマーカ25の変位を求め、フィルタリング処理部21は、時系列で求められた第2のマーカ25の変位の平滑化を行い、加速度計算部23は、平滑化された第2のマーカ25の変位を2階微分することによりパンタグラフ5の上下方向の加速度を算出する。
【0047】
本実施形態におけるパンタグラフの加速度測定装置20も、図3に示すフローチャートにしたがって動作する。第1実施形態と異なる点は、第1のマーカ7に加えて、第2の入力画像27aを画像処理する第2のマーカ25の測定動作が加わる点である。本実施形態では、第1実施形態における(1)~(6)の動作を、第2の入力画像27aを使用し第2のマーカ25に対しても行う。
【0048】
本実施形態では、非接触な測定によって、パンタグラフ5の前後方向の加速度に加え、上下方向の加速度も検出するので、第1実施形態の作用効果に加え、パンタグラフ5の上下方向の加速度から、パンタグラフ5の硬点の検出が可能となる。また、第1のマーカ7と第2のマーカ25に対して、それぞれ撮影手段9と第2の撮影手段27を専用で用いて画像を取得し処理するので、前後方向および上下方向の加速度をより高精度に求めることができる。
【0049】
(第4実施形態)
図10は、本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の設置例を示す説明図である。図11は、本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の構成を説明する機能ブロック図である。本実施形態におけるパンタグラフの加速度測定装置30は、第1実施形態のパンタグラフの加速度測定装置1の構成に加え、鉄道車両3の屋根上に設置されパンタグラフ5の変位を測定する測域センサ31と、を備える。測域センサ31は、レーザ光を鉄道車両3の進行方向に平行な面内でパンタグラフ5へ向けて放射線状に投光し、その反射光を受光することによってパンタグラフ5までの距離及び角度を測定する。図10に示すように、本実施形態に係る測域センサ31は、パンタグラフ5の高さ方向の変位を測定している。なお、第1のマーカ7はホーン部6に取り付けられていてもよい。
【0050】
図11に示すように、測域センサ31で測定されたパンタグラフ5の変位であるレーザデータ31aは、画像処理装置11に送られる。画像処理装置11では、第1実施形態における入力画像9aに対する処理に加え、レーザデータ31aに対して、パンタグラフ5の変位の測定動作を行う。すなわち、パンタグラフ変位計算部19は、測定されたパンタグラフ5のレーザデータ31aからパンタグラフ5の上下方向の変位を求め、フィルタリング処理部21は、時系列で求められたパンタグラフ5の変位の平滑化を行い、加速度計算部は、平滑化されたパンタグラフの変位を2階微分することによりパンタグラフの上下方向の加速度を算出する。
【0051】
本実施形態におけるパンタグラフの加速度測定装置30も、図3に示すフローチャートにしたがって動作する。第1実施形態と異なる点は、第1のマーカ7の処理に加えて、測域センサ31のレーザデータ31aに対する上述した処理を、(4)~(6)の動作において行う。
【0052】
本実施形態では、非接触な測定によって、パンタグラフ5の前後方向の加速度に加え、上下方向の加速度も検出するので、第1実施形態の作用効果に加え、パンタグラフ5の上下方向の加速度から、パンタグラフ5の硬点の検出が可能となる。また、上下方向の加速度の測定を測域センサ31において行うので、装置構成を簡素化することができる。
【0053】
(第5実施形態)
図12は、本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の設置例を示す説明図である。図13は、本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の構成を説明する機能ブロック図である。本実施形態におけるパンタグラフの加速度測定装置40は、第3実施形態のパンタグラフの加速度測定装置20の構成と同様であるが、画像処理装置11とは異なる画像処理装置51を備える。第1のマーカ7及び第2のマーカ25の貼り付け箇所は、第3実施形態と同様にパンタグラフの船底及び側面に取り付けられているが、第1のマーカ7及び第2のマーカ25はホーン部6に取り付けられていてもよい。また、いずれの実施形態においても、第1のマーカ7と第2のマーカ25の取り付け箇所はホーン部6でも、パンタグラフ5の船底及び側面でも、どちらでもよい。また、第1のマーカ7と第2のマーカ25の取り付け箇所は、これらに限定されない。
【0054】
図13に示すように、撮影手段9によって撮影された入力画像9a(水平変位算出用マーカ画像9a)及び第2の撮影手段27によって撮影された第2の入力画像27a(高さ算出用マーカ画像27a)は、画像処理装置51に送られる。入力画像9a及び第2の入力画像27aは、データ処理部12で受信され、以下に示す各機能ブロックと連係して種々の処理を行う。撮影手段9及び第2の撮影手段27としては、例えば、ラインセンサカメラまたは、ROI(Region Of Interest)機能を有するエリアセンサカメラのいずれかを使用することができる。
【0055】
画像処理装置51は機能ブロックとして、入力画像9aから第1のマーカ7の第1の基準テンプレート及び第2の入力画像27aから第2のマーカ25の第2の基準テンプレートを設定するテンプレート設定部13と、第1の基準テンプレートを入力画像9a及び第2の基準テンプレートを第2の入力画像27aに基づいて拡大・縮小するテンプレート拡大・縮小部15と、拡大・縮小した第1の基準テンプレート及び第2の基準テンプレートを用いて入力画像9a及び第2の入力画像27aの類似度を計算し、第1のマーカ7及び第2のマーカ25を検出するパターンマッチング部17と、第2の入力画像27aまたは検出された第2のマーカ25からパンタグラフ5の高さを算出する高さ算出部14と、検出された第1のマーカ7の変位を求めるパンタグラフ変位計算部19と、時系列で求められた第1のマーカ7の変位の平滑化を行うフィルタリング処理部21と、平滑化された第1のマーカ7の変位を2階微分することによりパンタグラフ5の前後方向の加速度を算出する加速度計算部23と、パンタグラフ変位計算部19で算出した第1のマーカ7の変位及び加速度計算部23で算出したパンタグラフ5の前後方向の加速度に基づいてパンタグラフ5に一定以上の前後方向の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理部16と、を備える。
【0056】
衝撃判定処理部16は、加速度計算部23で算出したパンタグラフ5の前後方向の加速度と予め設定された衝撃閾値を比較する衝撃加速度判定部16-1と、予め設定された衝撃閾値を超えたパンタグラフ5の前後方向の加速度の箇所の前後の変位データにあたる前後変位データを取り出し、取り出した前後変位データの最大値と最小値の差を算出し、取り出した前後変位データの最大値と最小値の差が予め設定された変位閾値よりも大きいとき、当該箇所を衝撃箇所として衝撃箇所データを出力する衝撃変位判定部16-2が設けられている。
【0057】
本実施形態における画像処理装置51は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置上に実装される。データ処理部12、テンプレート設定部13、高さ算出部14、テンプレート拡大・縮小部15、衝撃判定処理部16、衝撃加速度判定部16-1、衝撃変位判定部16-2、パターンマッチング部17、パンタグラフ変位計算部19、フィルタリング処理部21、加速度計算部23は、上記情報処理装置内のCPUやGPUによって実行されるソフトウェア、プログラムであってよい。データ処理部12は、例えば半導体メモリ、ハードディスク(HDD)やソリッド・ステート・ドライブ(SSD)等で構成する記憶装置を含む。
【0058】
図14は、本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置40の動作を示すフローチャートである。この図を参照して、パンタグラフの加速度測定装置40の動作について説明する。
【0059】
(1)テンプレート設定部13では、図4に示すような入力画像9aから図5に示す一ライン分の第1の基準テンプレート13aを設定する(S01)。第2の入力画像27aに対しても同様の動作を行い、第2の基準テンプレート13bを設定する
【0060】
(2)テンプレート拡大・縮小部15では、図4の入力画像9aを、図上横方向に、任意の数に分割し、特開2010-169505におけるキャリブレーション方法により求めた各画素の分解能に基づいて各分割した区間毎に第1の基準テンプレート13aを拡大・縮小する(S02)。第2の基準テンプレート13bに対しても同様の動作を行い、第2の基準テンプレート13bを拡大・縮小する。
【0061】
(3)パターンマッチング部17では、入力画像9aに対して上述の(2)テンプレート拡大・縮小処理を行いながら、入力画像9aと第1の基準テンプレート13aとの類似度を計算し、図4に示すマーカ位置mを検出することで前後方向のマーカ変位[pix]を求める。第1の基準テンプレート13aと入力画像9aとの類似度計算には、特に指定はしないが、本件では正規化相互相関の1種であるZNCC(Zero-mean Normalized Cross Correlation)を使用する(S03)。ここでは、ZNCCを使用しているが、ZNCCとパラボラフィッティングを使用してもよい。第2の入力画像27aと第2の基準テンプレート13bに対しても同様の動作を行い、マーカ位置mを検出することで上下方向のマーカ変位[pix]を求めてもよい。
【0062】
(4)高さ算出部14では、第2の入力画像27aまたは検出された第2のマーカ25からパンタグラフ5の高さ[mm]を算出する(S04)。パンタグラフ5の高さの算出については、特許第4635657号における技術を用いて算出するが、パンタグラフ5の高さが算出できればよく、特許第4635657号における技術に限定されない。
【0063】
(5)パンタグラフ変位計算部19では、前述の(3)パターンマッチング処理で求めた前後方向のマーカ変位[pix]から、より高精度なマーカ変位を求めるために、検出されたマーカの範囲内で図6に示すようにマーカの2本ある白線の内、下側の白線の下端kをエッジ検出により求め、サブピクセル推定を行うことで高精度な前後方向のマーカ変位[pix]を検出する。高精度な前後方向のマーカ変位[pix]算出後、特開2010-169505におけるキャリブレーション方法により求めたキャリブレーション係数を乗じることで前後方向のマーカ変位[mm]を算出し、予め測定したパンタグラフを基準とするマーカとの位置関係から前後方向のパンタグラフ変位[mm]を求める(S05)。前後方向のマーカ変位[mm]を算出する際には、前述の(4)高さ算出処理で求めたパンタグラフの高さ[mm]を用いてもよい。前述の(3)パターンマッチング処理で求めた上下方向のマーカ変位[pix]に対しても同様の動作を行い、上下方向のパンタグラフ変位[mm]を求めてもよい。
【0064】
(6)フィルタリング処理部21は、時系列の架線変位に対応した前後方向のパンタグラフ変位[mm]に対してフィルタリング処理による平滑化を行う(S06)。また、フィルタリング処理部21は、時系列の架線変位に対応した上下方向のパンタグラフ変位[mm]に対してフィルタリング処理による平滑化を行ってもよい。
【0065】
(7)加速度計算部23では、(6)のフィルタリング処理が行われた平滑化後の前後方向の変位データ(前後変位データともいう)を2階微分することで、パンタグラフ5の前後方向の加速度を算出する(S07)。加速度計算部23では、(6)のフィルタリング処理が行われた平滑化後の上下方向の変位データ(上下変位データともいう)を2階微分することで、パンタグラフ5の上下方向の加速度を算出してもよい。
【0066】
(8)衝撃判定処理部16では、パンタグラフ変位計算部19で算出した第1のマーカ7の変位及び加速度計算部23で算出したパンタグラフ5の前後方向の加速度に基づいてパンタグラフ5に一定以上の前後方向の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理を行う(S08)。衝撃判定処理部16では、パンタグラフ変位計算部19で算出した第2のマーカ25の変位及び加速度計算部23で算出したパンタグラフ5の上下方向の加速度に基づいてパンタグラフ5に一定以上の上下方向の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理を行ってもよい。
【0067】
図15は、本発明の実施形態に係る衝撃判定処理S08の動作を示すフローチャートである。衝撃加速度判定部16-1において、加速度計算部23で算出したパンタグラフ5の前後方向の加速度と予め設定された衝撃閾値を比較する衝撃加速度判定処理を行う(S08-1)。予め設定された衝撃閾値は、実験結果に基づいた閾値である。予め設定された衝撃閾値よりも加速度計算部23で算出したパンタグラフ5の前後方向の加速度が大きい場合(前後方向の加速度>衝撃閾値の場合)、衝撃変位判定部16-2における衝撃変位判定処理に移行する。予め設定された衝撃閾値よりも加速度計算部23で算出したパンタグラフ5の前後方向の加速度が小さい場合(前後方向の加速度≦衝撃閾値の場合)、衝撃変位判定部16-2における衝撃変位判定処理に移行せず、衝撃ではないと判定する。
【0068】
予め設定された衝撃閾値よりも加速度計算部23で算出したパンタグラフ5の前後方向の加速度が大きい場合、衝撃変位判定部16-2において、衝撃変位判定処理を行う(S08-2)。具体的には、衝撃変位判定部16-2は、衝撃加速度判定部16-1における衝撃加速度判定処理において、予め設定された衝撃閾値を超えた加速度計算部23で算出したパンタグラフ5の前後方向の加速度の箇所の前後の変位データにあたる前後変位データを取り出す。時系列で第1のマーカ7の変位を記録しているので、パンタグラフ5の前後方向の加速度の箇所の前後の変位データにあたる前後変位データを取り出すことが可能となっている。
【0069】
次に、取り出した前後変位データの最大値と最小値の差を算出し、取り出した前後変位データの最大値と最小値の差を予め設定された変位閾値とを比較する。取り出した前後変位データの最大値と最小値の差が予め設定された変位閾値よりも大きい場合(前後変位データ>変位閾値)、当該箇所を衝撃箇所と判定し、衝撃箇所データを出力する。
【0070】
取り出した前後変位データの最大値と最小値の差が予め設定された変位閾値よりも小さい場合(前後変位データ≦変位閾値)、衝撃ではないと判定する。小さい変位((前後変位データ≦変位閾値))が何度も起こった場合、車両の振動と判断して衝撃ではないと判定する。予め設定された変位閾値は、実験結果に基づいた閾値である。
【0071】
前後方向の加速度は、鉄道車両3の走行速度が速いので振動等で加速度が跳ね上がることがある。その際、パンタグラフに取り付けられているマーカが上下に揺れるので、前後方向の加速度だけでなく、前後変位データも用いて衝撃判定を行う。
【0072】
本実施形態では、走行時の前後方向に対する衝撃を検出するため、前後方向の加速度及び前後変位データに基づいて衝撃判定を行った。しかしながら、パンタグラフ5の上下方向の加速度及びパンタグラフ5の上下方向の加速度の箇所の前後の変位データにあたる上下変位データに基づいて衝撃判定を行ってもよい。その際、S05において、上下方向のパンタグラフ変位[mm]を求め、S06において、時系列の架線変位に対応した上下方向のパンタグラフ変位[mm]に対してフィルタリング処理による平滑化を行い、S07において、パンタグラフ5の上下方向の加速度を算出して、S08において、衝撃判定を行う。
【0073】
本実施形態では、撮影手段9及び第2の撮影手段27の2つの撮影手段を用いた。しかしながら、第2実施形態のように、第2の撮影手段27を設けずに、撮影手段9が第1のマーカ及び第2のマーカの双方を撮影するようにしてもよい。
【0074】
本実施形態では、取り出した前後変位データの最大値と最小値の差が予め設定された変位閾値よりも大きい場合(前後変位データ>変位閾値)、当該箇所を衝撃箇所と判定し、衝撃箇所データを出力するとした。しかしながら、衝撃箇所データを出力するだけでなく、衝撃箇所データを画像処理装置51等の情報処理装置に表示してもよい。また、衝撃箇所データが出力された場合、鉄道車両3の保守員などに通知し、警告表示(警告音)をしてもよい。
【0075】
以上述べたように、本実施形態では、パンタグラフ5に取り付けられたマーカ7及びマーカ25を、撮影手段9及び第2の撮影手段27によって撮影し、そこで得られた入力画像9a及び第2の入力画像27aを画像処理することによってパンタグラフの前後方向の時系列の変位及びパンタグラフの上下方向の時系列の変位を検知し、パンタグラフの前後方向の時系列の変位を平滑化処理し2階微分によって前後方向の加速度を算出する。また、パンタグラフの前後方向の時系列の変位を検知する際には、パンタグラフの高さ情報を用いて検知する。したがって、撮影手段を用いた画像解析による非接触なパンタグラフの加速度を算出し、その加速度に対して閾値を設けて観測することにより、パンタグラフの衝撃点を容易に検出することができる。また非接触な測定システムであるため、保守車両を用いた夜間等の停電時間帯の運用だけでなく、通常の営業車両にも適用することが可能である。また、前後変位データまたは上下変位データを用いることで、従来技術では用いられていない衝撃判定処理を行うことも出来る。
【0076】
(第6実施形態)
図16は、本発明の実施形態に係るパンタグラフの加速度測定装置の設置例を示す説明図である。本実施形態におけるパンタグラフの加速度測定装置40は、第5実施形態のパンタグラフの加速度測定装置40の構成と同様であるが、撮影手段9がパンタグラフの下ではなく、鉄道車両3の車両前後方向と水平の位置に備えられている。また、撮影手段9の撮影方向にミラー28を設け、ミラー28を介してパンタグラフの下(船底)にある第1のマーカ7を撮影する。その他の構成及び動作は第5実施形態と同様である。
【0077】
以上述べたように、本実施形態では、第5実施形態の作用効果に加えて、撮影手段を鉄道車両3の車両前後方向と水平の位置に備え、撮影手段9の撮影方向にミラー28を設け、ミラー28を介してパンタグラフの下(船底)にある第1のマーカ7を撮影するようにしたため、パンタグラフの下以外にも撮影手段を設置することが可能となる。
【0078】
(第7実施形態)
本実施形態におけるパンタグラフの加速度測定装置40は、第5実施形態のパンタグラフの加速度測定装置40の構成と同様であるが、撮影手段9及び第2の撮影手段27がカラーラインセンサカメラであることが異なる点である。その他の構成及び動作は第5実施形態と同様である。撮影手段9及び第2の撮影手段27のどちらか一方のみがカラーラインセンサカメラであってもよい。
【0079】
以上述べたように、本実施形態では、第5実施形態の作用効果に加えて、撮影手段9及び第2の撮影手段27にカラーラインセンサカメラを用いた。パンタグラフ又はホーン部におけるマーカ塗装の面積が狭く、グレースケール情報のみではテンプレートマッチングの特徴が弱くマーカ検出率が悪くなる場合があるが、本実施形態のようにカラーラインセンサカメラを用いることで、カラー情報を用いてマーカ探索処理を行うことができ、マーカ検出率を向上させることが可能となる。
【0080】
上述の実施形態1~7のいずれの構成を適宜組み合わせることも可能である。例えば、第1実施形態の撮影手段9を第7実施形態のようにカラーラインセンサカメラにしてもよい。
【0081】
上述の実施形態1~7のいずれの実施形態においても、第1のマーカ7と第2のマーカ25の取り付け箇所はホーン部6でも、パンタグラフ5の船底及び側面でも、どちらでもよい。また、第1のマーカ7と第2のマーカ25の取り付け箇所は、これらに限定されない。
【0082】
上述の実施形態1~7のいずれの実施形態においても、撮影手段9がパンタグラフの下ではなく、鉄道車両3の車両前後方向と水平の位置に備えられ、撮影手段9の撮影方向にミラー28を設け、ミラー28を介してパンタグラフの下(船底)にある第1のマーカ7を撮影してもよい。
【0083】
上述の実施形態5~7において、画像処理装置51を用いた衝撃判定処理を説明したが、実施形態1~4においても画像処理装置51を用いた衝撃判定処理を行ってもよい。また、実施形態1~4においても、走行時の前後方向に対する衝撃を検出するため、前後方向の加速度及び前後変位データに基づいて衝撃判定処理を行ってもよいし、パンタグラフ5の上下方向の加速度及びパンタグラフ5の上下方向の加速度の箇所の前後の変位データにあたる上下変位データに基づいて衝撃判定処理を行ってもよい。つまり、パンタグラフ変位計算部で算出した第1のマーカの変位及び加速度計算部で算出したパンタグラフの前後方向の加速度に基づいて、パンタグラフに一定以上の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理を行ってもよいし、パンタグラフ変位計算部で算出した第2のマーカの変位またはパンタグラフの変位 、および加速度計算部で算出したパンタグラフの上下方向の加速度に基づいて、パンタグラフに一定以上の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理を行ってもよい。
【0084】
本開示は下記の条項による実施例を含む。
条項1
鉄道車両のパンタグラフの底面またはホーン部に取り付けられる第1のマーカと、
前記鉄道車両の屋根上に設置され前記第1のマーカを撮影する撮影手段と、
前記鉄道車両の走行中に前記撮影手段によって撮影した入力画像に基づいて前記パンタグラフの加速度を求める画像処理装置と、
を備え、
前記画像処理装置は、
前記入力画像から前記第1のマーカの第1の基準テンプレートを設定するテンプレート設定部と、
前記第1の基準テンプレートを前記入力画像に基づいて拡大・縮小するテンプレート拡大・縮小部と、
前記拡大・縮小した前記第1の基準テンプレートを用いて前記入力画像の類似度を計算し、前記第1のマーカを検出するパターンマッチング部と、
前記検出された第1のマーカの変位を求めるパンタグラフ変位計算部と、
時系列で求められた前記第1のマーカの変位の平滑化を行うフィルタリング処理部と、
前記平滑化された前記第1のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの前後方向の加速度を算出する加速度計算部と、を備える、
パンタグラフの加速度測定装置。
【0085】
条項2
前記パンタグラフの側面またはホーン部に取り付けられる第2のマーカを備え、
前記撮影手段は、前記第1のマーカと前記第2のマーカの双方を撮影する位置に配置され、
前記テンプレート設定部は、前記入力画像から前記第2のマーカの第2の基準テンプレートを設定し、
前記テンプレート拡大・縮小部は、前記第2の基準テンプレートを前記入力画像に基づいて拡大・縮小し、
前記パターンマッチング部は、前記拡大・縮小した前記第2の基準テンプレートを用いて前記入力画像の類似度を計算し、前記第2のマーカを検出し、
前記パンタグラフ変位計算部は、前記検出された前記第2のマーカの変位を求め、
前記フィルタリング処理部は、時系列で求められた前記第2のマーカの変位の平滑化を行い、
前記加速度計算部は、前記平滑化された前記第2のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出する、
条項1に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【0086】
条項3
前記パンタグラフの側面またはホーン部に取り付けられる第2のマーカと、
前記鉄道車両の屋根上に設置され前記第2のマーカを撮影する第2の撮影手段と、
を備え、
前記鉄道車両の走行中に前記第2の撮影手段によって撮影した第2の入力画像は、前記画像処理装置に入力され、
前記テンプレート設定部は、前記第2の入力画像から前記第2のマーカの第2の基準テンプレートを設定し、
前記テンプレート拡大・縮小部は、前記第2の基準テンプレートを前記第2の入力画像に基づいて拡大・縮小し、
前記パターンマッチング部は、前記拡大・縮小した前記第2の基準テンプレートを用いて前記第2の入力画像の類似度を計算し、前記第2のマーカを検出し、
前記パンタグラフ変位計算部は、前記検出された前記第2のマーカの変位を求め、
前記フィルタリング処理部は、時系列で求められた前記第2のマーカの変位の平滑化を行い、
前記加速度計算部は、前記平滑化された前記第2のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出する、
条項1に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【0087】
条項4
前記鉄道車両の屋根上に設置され前記パンタグラフの変位を測定する測域センサと、
を備え、
前記鉄道車両の走行中に前記測域センサによって測定された前記パンタグラフの変位は、前記画像処理装置に入力され、
前記パンタグラフ変位計算部は、前記測定された前記パンタグラフの変位を求め、
前記フィルタリング処理部は、時系列で求められた前記パンタグラフの変位の平滑化を行い、
前記加速度計算部は、前記平滑化された前記パンタグラフの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出する、
条項1に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【0088】
条項5
前記パンタグラフ変位計算部で算出した前記第1のマーカの変位及び前記加速度計算部で算出した前記パンタグラフの前後方向の加速度に基づいて、前記パンタグラフに一定以上の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理を行う、衝撃判定処理部を備える、条項1に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【0089】
条項6
前記衝撃判定処理部は、前記加速度計算部で算出した前記パンタグラフの前後方向の加速度と予め設定された衝撃閾値を比較する衝撃加速度判定処理を行う衝撃加速度判定部と、前後変位データの最大値と最小値の差を予め設定された変位閾値とを比較する衝撃変位判定処理を行う衝撃変位判定部を備える、条項5に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【0090】
条項7
前記衝撃加速度判定部において、予め設定された衝撃閾値よりも前記加速度計算部で算出した前記パンタグラフの前後方向の加速度が大きい場合、前記衝撃変位判定部における衝撃変位判定処理に移行し、
予め設定された衝撃閾値よりも前記加速度計算部で算出した前記パンタグラフの前後方向の加速度が小さい場合、前記衝撃変位判定部における衝撃変位判定処理に移行せず、衝撃ではないと判定する、条項6に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【0091】
条項8
前記衝撃変位判定処理に移行した場合、前記衝撃変位判定部は、前記衝撃加速度判定部における衝撃加速度判定処理において、予め設定された衝撃閾値を超えた前記加速度計算部で算出した前記パンタグラフの前後方向の加速度の箇所の前後の変位データにあたる前後変位データを取り出し、
取り出した前後変位データの最大値と最小値の差を算出し、取り出した前後変位データの最大値と最小値の差を予め設定された変位閾値とを比較し、
取り出した前後変位データの最大値と最小値の差が予め設定された変位閾値よりも大きい場合、前記パンタグラフの前後方向の加速度の箇所を衝撃箇所と判定し、衝撃箇所データを出力する、条項7に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【0092】
条項9
前記パンタグラフ変位計算部で算出した前記第2のマーカの変位及び前記加速度計算部で算出した前記パンタグラフの上下方向の加速度に基づいて、前記パンタグラフに一定以上の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理を行う、衝撃判定処理部を備える、条項3に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【0093】
条項10
前記衝撃判定処理部は、前記加速度計算部で算出した前記パンタグラフの上下方向の加速度と予め設定された衝撃閾値を比較する衝撃加速度判定処理を行う衝撃加速度判定部と、上下変位データの最大値と最小値の差を予め設定された変位閾値とを比較する衝撃変位判定処理を行う衝撃変位判定部を備える、条項9に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【0094】
条項11
前記衝撃加速度判定部において、予め設定された衝撃閾値よりも前記加速度計算部で算出した前記パンタグラフの上下方向の加速度が大きい場合、前記衝撃変位判定部における衝撃変位判定処理に移行し、
予め設定された衝撃閾値よりも前記加速度計算部で算出した前記パンタグラフの上下方向の加速度が小さい場合、前記衝撃変位判定部における衝撃変位判定処理に移行せず、衝撃ではないと判定する、条項10に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【0095】
条項12
前記衝撃変位判定処理に移行した場合、前記衝撃変位判定部は、前記衝撃加速度判定部における衝撃加速度判定処理において、予め設定された衝撃閾値を超えた前記加速度計算部で算出した前記パンタグラフの上下方向の加速度の箇所の上下の変位データにあたる上下変位データを取り出し、
取り出した上下変位データの最大値と最小値の差を算出し、取り出した上下変位データの最大値と最小値の差を予め設定された変位閾値とを比較し、
取り出した上下変位データの最大値と最小値の差が予め設定された変位閾値よりも大きい場合、前記パンタグラフの上下方向の加速度の箇所を衝撃箇所と判定し、衝撃箇所データを出力する、条項11に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【0096】
条項13
前記撮影手段を鉄道車両の車両前後方向と水平の位置に備え、
前記撮影手段の撮影方向にミラーを設け、
前記ミラーを介して前記第1のマーカを撮影する、条項5から12のいずれか1項に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【0097】
条項14
前記撮影手段または/および前記第2の撮影手段は、ラインセンサカメラ、エリアセンサカメラ、またはカラーラインセンサカメラのいずれかである、条項1から12のいずれか1項に記載のパンタグラフの加速度測定装置。
【0098】
条項15
鉄道車両のパンタグラフの底面またはホーン部に第1のマーカを取り付けること、
前記第1のマーカを撮影すること、
前記鉄道車両の走行中に撮影した入力画像に基づいて前記パンタグラフの加速度を求めること、
を含み、
前記パンタグラフの加速度を求めるに際し、
前記入力画像から前記第1のマーカの第1の基準テンプレートを設定すること、
前記第1の基準テンプレートを前記入力画像に基づいて拡大・縮小すること、
前記拡大・縮小した前記第1の基準テンプレートを用いて前記入力画像の類似度を計算し、前記第1のマーカを検出すること、
前記検出された第1のマーカの変位を求めること、
時系列で求められた前記第1のマーカの変位の平滑化を行うこと、
前記平滑化された前記第1のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの前後方向の加速度を算出すること、を含む、
パンタグラフの加速度測定方法。
【0099】
条項16
前記パンタグラフの側面またはホーン部に第2のマーカを取り付けること、
前記第1のマーカと前記第2のマーカの双方を撮影すること、を含み、
前記パンタグラフの加速度を求めるに際し、
前記入力画像から前記第2のマーカの第2の基準テンプレートを設定すること、
前記第2の基準テンプレートを前記入力画像に基づいて拡大・縮小すること、
前記拡大・縮小した前記第2の基準テンプレートを用いて前記入力画像の類似度を計算し、前記第2のマーカを検出すること、
前記検出された前記第2のマーカの変位を求めること、
時系列で求められた前記第2のマーカの変位の平滑化を行うこと、
前記平滑化された前記第2のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出すること、を含む、
条項15に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【0100】
条項17
前記パンタグラフの側面またはホーン部に第2のマーカを取り付けること、
前記第2のマーカを撮影し、第2の入力画像を得ること、
を含み、
前記パンタグラフの加速度を求めるに際し、
前記第2の入力画像から前記第2のマーカの第2の基準テンプレートを設定すること、
前記第2の基準テンプレートを前記第2の入力画像に基づいて拡大・縮小すること、
前記拡大・縮小した前記第2の基準テンプレートを用いて前記第2の入力画像の類似度を計算し、前記第2のマーカを検出すること、
前記検出された前記第2のマーカの変位を求めること、
時系列で求められた前記第2のマーカの変位の平滑化を行うこと、
前記平滑化された前記第2のマーカの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出すること、を含む、
条項15に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【0101】
条項18
前記鉄道車両の走行中に測域センサにより前記パンタグラフの変位を測定すること、
を含み、
前記パンタグラフの加速度を求めるに際し、
前記測域センサにより測定された前記パンタグラフの変位を求めること、
時系列で求められた前記パンタグラフの変位の平滑化を行うこと、
前記平滑化された前記パンタグラフの変位を2階微分することにより前記パンタグラフの上下方向の加速度を算出すること、を含む、
条項15に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【0102】
条項19
前記第1のマーカの変位及び前記パンタグラフの前後方向の加速度に基づいて、前記パンタグラフに一定以上の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理を行うこと、を含む、
条項15に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【0103】
条項20
前記パンタグラフの前後方向の加速度と予め設定された衝撃閾値を比較する衝撃加速度判定処理を行うことと、
前後変位データの最大値と最小値の差を予め設定された変位閾値とを比較する衝撃変位判定処理を行うこと、を含む、
条項19に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【0104】
条項21
予め設定された衝撃閾値よりも前記パンタグラフの前後方向の加速度が大きい場合、衝撃変位判定処理に移行し、
予め設定された衝撃閾値よりも前記パンタグラフの前後方向の加速度が小さい場合、衝撃変位判定処理に移行せず、衝撃ではないと判定すること、を含む、
条項20に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【0105】
条項22
前記衝撃変位判定処理に移行した場合、予め設定された衝撃閾値を超えた前記パンタグラフの前後方向の加速度の箇所の前後の変位データにあたる前後変位データを取り出し、
取り出した前後変位データの最大値と最小値の差を算出し、取り出した前後変位データの最大値と最小値の差を予め設定された変位閾値とを比較し、
取り出した前後変位データの最大値と最小値の差が予め設定された変位閾値よりも大きい場合、前記パンタグラフの前後方向の加速度の箇所を衝撃箇所と判定し、衝撃箇所データを出力すること、を含む、
条項21に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【0106】
条項23
前記第2のマーカの変位及び前記パンタグラフの上下方向の加速度に基づいて、前記パンタグラフに一定以上の衝撃が生じた否かを判定する衝撃判定処理を行うこと、を含む、
条項17に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【0107】
条項24
前記パンタグラフの上下方向の加速度と予め設定された衝撃閾値を比較する衝撃加速度判定処理を行うことと、
上下変位データの最大値と最小値の差を予め設定された変位閾値とを比較する衝撃変位判定処理を行うこと、を含む、
条項23に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【0108】
条項25
予め設定された衝撃閾値よりも前記パンタグラフの上下方向の加速度が大きい場合、衝撃変位判定処理に移行し、
予め設定された衝撃閾値よりも前記パンタグラフの上下方向の加速度が小さい場合、衝撃変位判定処理に移行せず、衝撃ではないと判定すること、を含む、
条項24に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【0109】
条項26
前記衝撃変位判定処理に移行した場合、予め設定された衝撃閾値を超えた前記パンタグラフの上下方向の加速度の箇所の上下の変位データにあたる上下変位データを取り出し、
取り出した上下変位データの最大値と最小値の差を算出し、取り出した上下変位データの最大値と最小値の差を予め設定された変位閾値とを比較し、
取り出した上下変位データの最大値と最小値の差が予め設定された変位閾値よりも大きい場合、前記パンタグラフの上下方向の加速度の箇所を衝撃箇所と判定し、衝撃箇所データを出力すること、を含む、
条項25に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【0110】
条項27
第1のマーカを撮影する方向にミラーを設け、
前記ミラーを介して前記第1のマーカを撮影する、条項15から26のいずれか1項に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【0111】
条項28
前記入力画像または/および前記第2の入力画像は、ラインセンサカメラ、エリアセンサカメラ、またはカラーラインセンサカメラのいずれかにより撮影される、条項15から26のいずれか1項に記載のパンタグラフの加速度測定方法。
【符号の説明】
【0112】
1、10、20、30 40 パンタグラフの加速度測定装置
3 鉄道車両
5 パンタグラフ
6 ホーン部
7 第1のマーカ
8 照明装置
9 撮影手段
9a 入力画像
11 画像処理装置
12 データ処理部
13 テンプレート設定部
13a 第1の基準テンプレート
13b 第2の基準テンプレート
14 高さ算出部
15 テンプレート拡大・縮小部
16 衝撃判定処理部
16-1 衝撃加速度判定部
16-2 衝撃変位判定部
17 パターンマッチング部
19 パンタグラフ変位計算部
21 フィルタリング処理部
23 加速度計算部
25 第2のマーカ
27 第2の撮影手段
27a 第2の入力画像
28 ミラー
31 測域センサ
51 画像処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16