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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138326
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230922BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230922BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20230922BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20230922BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230922BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01L21/304 643C
H01L21/68 A
B08B3/02 C
B08B3/02 D
B05C5/02
B05C11/10
H01L21/30 562
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003451
(22)【出願日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】P 2022043452
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】濱田 崇広
【テーマコード(参考)】
3B201
4F041
4F042
5F131
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
3B201AA02
3B201AB14
3B201BB22
3B201BB42
3B201BB45
3B201BB62
3B201BB92
3B201CD42
3B201CD43
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041CA04
4F041CA16
4F042AA02
4F042AA06
4F042BA08
4F042BA12
4F042CB01
4F042CB07
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA12
5F131AA32
5F131BA12
5F131BA14
5F131BA15
5F131BA18
5F131BA37
5F131BB13
5F131CA39
5F131DA33
5F131DC22
5F131EA06
5F131EA17
5F131EA22
5F131KA12
5F131KA35
5F131KB32
5F146LA11
5F146LA19
5F157AB95
5F157AC01
5F157BB13
5F157BB33
5F157DB02
5F157DC51
(57)【要約】
【課題】基板の処理ラインが長大になることを抑えることができる基板処理装置を提供することである。
【解決手段】基板を搬送路に沿って、一方向およびこれに逆行する逆方向の両方向に搬送可能な搬送装置20と、基板の搬送路の上方に、長手方向が前記搬送路に対して水平面内で交差する方向に沿って設けられ、搬送路に向けてスリット状の開口から処理液を吐出するアクアナイフ40と、を有する。アクアナイフ40は、搬送路側に開口を有し、処理液を貯留可能な貯留部41と、一端が前記開口から突出し、他端が貯留部の内部に入り込むように設けられ、処理液の吐出方向を導く吐出方向案内板42と、吐出方向案内板を回転させて、処理液の吐出方向を変更させる吐出方向変更部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送路に沿って、一方向およびこれに逆行する逆方向の両方向に搬送可能な搬送装置と、
前記基板の搬送路の上方に、長手方向が前記搬送路に対して水平面内で交差する方向に沿って設けられ、前記搬送路に向けてスリット状の開口から処理液を吐出するアクアナイフと、
を有し、
前記アクアナイフは、
前記搬送路側に開口を有し、処理液を貯留可能な貯留部と、
一端が前記開口から突出し、他端が前記貯留部の内部に入り込むように設けられ、前記処理液の吐出方向を導く吐出方向案内板と、
前記吐出方向案内板を回転させて、前記処理液の吐出方向を変更させる吐出方向変更部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記基板の搬送位置を検出する検出部をさらに有し、
前記検出部により検出された前記搬送位置に基づいて、前記吐出方向変更部により前記吐出方向案内板を回転させ、前記アクアナイフから、前記基板の搬送方向上流に向かって前記処理液を吐出する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記アクアナイフは、複数の処理液供給源に接続され、
前記基板を前記一方向に搬送するときと、前記基板を前記逆方向に搬送するときとで、前記アクアナイフから吐出される処理液を切り替える請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記アクアナイフは、前記スリット状の開口の幅を変更可能な請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記吐出方向変更部は、前記吐出方向案内板が固定された回転軸であって、
前記回転軸は、前記開口の幅における中央からずれた位置に設けられる請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記吐出方向案内板は、前記貯留部の内部に当接する後端部が弾性部材で設けられる請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理液の供給を停止する際の前記基板の搬送位置は、前記基板における搬送方向下流側の端部が前記アクアナイフの直下を通過した位置であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記搬送装置や前記アクアナイフを制御する制御装置と、
前記基板の有無を検出し、前記処理液の供給を停止するタイミングを前記制御装置が把握するための検出信号を前記制御装置に送信する検出部をさらに有する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や半導体装置の製造工程においては、ガラス基板や半導体ウェーハ等の基板に対して、処理液を供給し、洗浄処理や薬液処理を行う処理工程を有する。この処理工程では、処理液として純水や薬液などを用い、1枚1枚の基板に対してこの処理液を噴射して処理する枚葉方式が採用されることがある。
【0003】
枚葉方式によって基板を処理する場合、基板の搬送路の上方や下方にスリット状の開口を有するアクアナイフ(スリットノズル)を配置し、搬送される基板に対して、開口から処理液をカーテン状の処理液膜として供給することが行われる。アクアナイフは、シャワーノズルと比較し、基板に均一に処理液を供給できるため、処理斑(処理ムラ)が発生しやすい基板や、処理工程において好適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-305930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板は、その処理工程において、処理液の供給を複数回受けるが、処理毎にアクアナイフ等の処理液供給機構および、これが設けられたチャンバが必要となる。このため、基板の処理ライン全体が長大となってしまい、基板処理装置全体の大型化や、製造コストの増加につながる。
【0006】
そこで、本発明は、基板の処理ラインが長大になることを抑えることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る基板処理装置は、
基板を搬送路に沿って、一方向およびこれに逆行する逆方向の両方向に搬送可能な搬送装置と、
前記基板の搬送路の上方に、長手方向が前記搬送路に対して水平面内で交差する方向に沿って設けられ、前記搬送路に向けてスリット状の開口から処理液を吐出するアクアナイフと、
を有し、
前記アクアナイフは、
前記搬送路側に開口を有し、処理液を貯留可能な貯留部と、
一端が前記開口から突出し、他端が前記貯留部の内部に入り込むように設けられ、前記処理液の吐出方向を導く吐出方向案内板と、
前記吐出方向案内板を回転させて、前記処理液の吐出方向を変更させる吐出方向変更部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、基板の処理ラインが長大になることを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す側面図である。
図2】第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
図3】第1の実施形態に係る基板処理装置において、アクアナイフの吐出方向案内板が第2の回転位置にある状態を示す側面図である。
図4】第2の実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す側面図である。
図5】第3の実施形態に係るアクアナイフの概略構成を示す側面図である。
図6】第4の実施形態に係るアクアナイフの概略構成を示す側面図である。
図7】第5の実施形態に係る基板処理装置において、アクアナイフが第1の回転位置にあり、検出部が初期位置に位置決めされている状態を示す側面図である。
図8】第5の実施形態に係る基板処理装置において、アクアナイフが第1の回転位置にあり、検出部が検出位置に位置決めされている状態を示す側面図である。
図9】第5の実施形態に係る基板処理装置において、アクアナイフの吐出方向案内板が第2の回転位置にあり、検出部が初期位置に位置決めされている状態を示す側面図である。
図10】第5の実施形態に係る基板処理装置において、アクアナイフの吐出方向案内板が第2の回転位置にあり、検出部が検出位置に位置決めされている状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1~3を参照して説明する。実施形態における基板処理装置1は、例えば、基板の洗浄処理装置や、基板の表面にフォトレジストの被膜を形成する処理装置、露光処理装置、現像処理装置、エッチング処理装置、剥離処理等のプロセス処理装置等とすることができる。
【0011】
(基本構成)
図1及び図2に示すように、第1の実施形態に係る基板処理装置1は、処理室10と、搬送装置20と、検出部30a、30bと、アクアナイフ40と、制御装置50とを備えている。処理対象の基板Wとしては、例えば、ガラス基板や、液晶基板、半導体基板などの矩形状の基板が用いられる。
【0012】
処理室10は、基板Wが搬送される搬送路H1を内部に有する筐体(チャンバ)であり、基板Wが搬送路H1に沿って処理室10内を移動可能に形成されている。この処理室10は、搬送路H1を移動する基板Wを処理する部屋として機能する。処理室10において、基板Wが搬送される搬送路H1の一方側には、基板Wを処理室10内に搬入するための開口である搬入口11を有している。また、基板Wが搬送される搬送路H1における他方側には、処理室10内の基板Wを搬出するための開口である搬出口12を有している。なお、処理室10の底面には、液を排出する排出口(図示せず)が形成されている。
【0013】
搬送装置20は、基板Wを搬送路H1に沿って、一方向およびこれに逆行する逆方向に往復動して搬送することが可能に形成されている。搬送装置20は、複数の搬送ローラ21を有しており、それらの搬送ローラ21により基板Wを搬送する。各搬送ローラ21は、それぞれの長手方向が基板Wの搬送方向A1に対し、水平面内で直交するように位置づけられ、搬送路H1を形成するように所定間隔で並べられている。これらの搬送ローラ21は、処理室10内に正回転および逆回転が可能に設けられており、駆動源(図示せず)により互いに同期して回転するように構成されている。搬送ローラ21は、それぞれ、複数のローラ21aと、シャフト21bを有している。各ローラ21aは、所定間隔でシャフト21bに取り付けられている。シャフト21bが回転すると、そのシャフト21bに取り付けられた各ローラ21aが回転する。このような各搬送ローラ21上に載置された基板Wは、回転する各搬送ローラ21によって、搬送路H1に沿って搬送される。
【0014】
検出部30a、検出部30bは、基板Wの到来および搬送位置を把握するため、基板Wを検出し、基板Wを検出したことを示す検出信号を制御装置50に出力する。検出部30aは、処理室10内において、基板の搬送方向A1の上流側で、搬送路H1の上方に設けられる。検出部30bは、処理室10内において、搬送方向A1の下流側で、搬送路H1の上方に設けられる。検出部30a、検出部30bはそれぞれ、例えば、搬送路H1に向けて、光(例えばレーザ光)を照射する投光部と、基板Wによって反射された反射光を検出する受光部を備える光センサである。
【0015】
検出部30a、検出部30bが後述するアクアナイフ40の近傍に設けられた場合、アクアナイフ40から吐出される処理液によって基板Wの検出が妨げられるおそれがある。そのため、検出部30a、30bは、アクアナイフ40から吐出される処理液が届かない位置に設けられることが好ましい。
【0016】
アクアナイフ40は、搬送路H1の上方に設けられ、搬送路H1に沿って搬送される基
板Wに処理液を供給する。アクアナイフ40は、下方にスリット状の開口を有し、その長手方向が搬送路H1に対して水平面内で交差する方向(本実施の形態では直交する方向)に沿って設けられる。搬送方向A1に水平面内で直交する方向において、アクアナイフ40が有するスリット状の開口の長さは、搬送される基板Wの長さ以上になっている。アクアナイフ40についての詳細は後述する。なお、アクアナイフ40は、不図示の処理液供給タンク等の処理液供給源およびポンプ等の送液機構に接続されている。送液機構は、例えばポンプの出力を変更することにより、アクアナイフ40からの処理液の吐出量(単位時間当たりの吐出量)を調整することができる。
【0017】
制御装置50は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、基板処理に関する処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部とを有している。制御装置50は、基板処理情報や各種プログラムに基づき、搬送装置20やアクアナイフ40などの各部を制御する。また、制御装置50は、検出部30a、検出部30bから出力された検出信号を受信する。制御装置50は、例えば、受信した検出信号に基づいて、基板Wの搬送位置を判断し、搬送ローラ21の回転方向を変更する。
【0018】
(アクアナイフ)
次にアクアナイフ40の構造を説明する。アクアナイフ40は、貯留部41と吐出方向案内板42と回転軸43(吐出方向変更部)とを備える。
【0019】
貯留部41は、搬送路H1側に開口を有している。この開口は、搬送路H1に近づくにつれ、開口面積が広くなるように設けられている。そして、後述の吐出方向案内板42によって、処理液を貯留可能に設けられるとともに、開口がスリット状に形成される。
【0020】
吐出方向案内板42は、貯留部41の下方に、一端が貯留部41の開口から突出し、他端が貯留部41の内部に入り込むように設けられた板状の部材である。搬送方向A1に水平面内で直交する方向において、吐出方向案内板42の長さは、貯留部41の開口と略同じである。以下、説明の便宜上、吐出方向案内板42において搬送路H1に近い側を先端部42a、搬送路H1に遠い側であって貯留部41の内部に入り込んだ部分を後端部42bとする。
【0021】
吐出方向案内板42の搬送方向A1に水平面内で直交する方向における端部のそれぞれには、回転軸43が設けられている。吐出方向案内板42は、回転軸43に固定されていて、回転軸43が回転することにより、吐出方向案内板42が回転する。また、吐出方向案内板42の後端部42bは、貯留部41の内部に当接して、その回転が規制される。処理液供給源から送液され、貯留部41に貯留された処理液は、貯留部41の開口および吐出方向案内板42の先端部42aによって形成されたスリット状の開口から、先端部42aに沿うように導かれて、吐出される。吐出方向案内板42の回転位置によって、処理液が吐出される方向を変更することができる。つまり、吐出方向案内板42は、処理液の吐出方向を導く。
【0022】
(基板処理工程)
次に、前述の基板処理装置1が行う基板処理工程の一例について説明する。この例は、基板Wが処理室内を1.5往復して、アクアナイフ40による処理液の供給を3回受けるものである。
【0023】
図1及び図2に示す基板処理装置1では、搬送装置20の各搬送ローラ21が正回転している。基板Wは、搬入口11から搬入されると、搬送ローラ21の回転により、搬送路H1に沿って移動する。搬入される基板Wは、例えば、第1の実施形態に係る基板処理装置1より上流工程の装置(処理槽)において、シャワーノズル等から処理液(例えば、剥離液や、現像液)の供給を受け、表面に液膜が形成された基板である。
【0024】
検出部30aによって基板Wが検出されると、検出信号が制御装置50に送信される。この検出信号を受信した制御装置50は、アクアナイフ40からの処理液(例えば、純水や、CO2水などの洗浄液)の吐出を開始する。このとき、吐出方向案内板42は、先端部42aが後端部42bより搬送方向A1における上流側になるような回転位置(以下、第1の回転位置という。)に位置づけられている。これにより、アクアナイフ40から、搬送される基板Wに対して搬送方向A1の上流側に向けて処理液が吐出される。基板の搬送方向上流側に向けて処理液を吐出させると、アクアナイフ40から吐出された処理液と、搬送される基板との相対速度が増すため、効率よく基板上の液体(液膜)を排除して、アクアナイフ40から吐出された処理液に置換することができる。
【0025】
なお、検出部30aによって基板Wが検出されるとは、検出部30aによって基板Wにおける搬送方向下流側の端部を検出したり、検出部30aによって基板Wにおける搬送方向上流側の端部を検出したりすることである。検出部30aは、基板Wにおける搬送方向下流側の端部を検出することで検出信号を制御装置50に送信してもよいし、基板Wにおける搬送方向上流側の端部を検出することで検出信号を制御装置50に送信してもよい。検出部30aが基板Wにおける搬送方向下流側の端部を検出する場合、検出部30aは、基板Wにおける搬送方向下流側の端部によって反射された反射光を検出することで検出信号を制御装置50に送信する。また、検出部30aが基板Wにおける搬送方向上流側の端部を検出する場合、検出部30aは、基板Wから反射された反射光を検出した後、反射光が検出できなくなると検出信号を制御装置50に送信する。
【0026】
アクアナイフ40から処理液が吐出されている状態で、基板Wがアクアナイフ40に対向する位置を通過すると、基板Wの表面に処理液が供給され、基板Wが処理液により処理されていく。このとき、基板Wの表面から落下した処理液は、処理室10内の底面に設けられた排出口から排出される。
【0027】
アクアナイフ40により処理液の供給を受けた基板Wは、処理室10の搬送方向A1における下流側まで搬送される。検出部30bによって基板Wにおける搬送方向下流側の端部が検出されると、検出信号が制御装置50に送信される。この検出信号を受信した制御装置50は、搬送装置20の駆動を一時的に停止させ、アクアナイフ40からの処理液の吐出も一時的に停止させる。さらに、アクアナイフ40の回転軸43を回転(図1では反時計回りに回転)させることで、吐出方向案内板42の回転位置を変更する。
このときの状態を図3に示す。図3に示すように、吐出方向案内板42は、先端部42aが後端部42bより搬送方向A2における上流側になるような回転位置(以下、第2の回転位置という。)に位置づけられる。なお、搬送方向A2は、搬送方向A1に逆行する方向である。また、処理液の供給を停止する際の基板Wの搬送位置は、基板Wにおける搬送方向下流側の端部がアクアナイフ40の直下を通過した位置である。
【0028】
吐出方向案内板42の回転位置の変更が完了すると、制御装置50は、アクアナイフ40からの処理液の吐出を再開させる。また、搬送装置20の搬送ローラ21を逆回転で駆動させる。これにより、基板Wは搬送方向A2に搬送され、再びアクアナイフ40からの処理液の供給を受ける。このときも、アクアナイフ40からの処理液は、基板Wに対して基板の搬送方向の上流側(搬送方向A2における上流側)に向けて吐出されることになる。そして、処理室10の搬送方向A2における下流側(つまり、搬送方向A1における上流側)まで搬送される。
【0029】
処理室10の搬送方向A2における下流側まで搬送された基板Wにおける搬送方向下流側の端部が検出部30aによって検出されると、検出信号が制御装置50に送信される。この検出信号を受信した制御装置は、搬送装置20の駆動を一時的に停止させ、アクアナイフ40からの処理液の吐出も一時的に停止させる。さらに、アクアナイフ40の回転軸43を回転(図3では時計回りに回転)させることにより、吐出方向案内板42の回転位置を再び第1の回転位置に変更する。吐出方向案内板42の回転位置の変更が完了すると、制御装置50は、アクアナイフ40からの処理液の吐出を再開させ、搬送ローラ21も正回転にて駆動させる。
【0030】
基板Wは、前述と同様に、搬送方向A1の下流側まで搬送されながらアクアナイフ40からの処理液の供給を受ける。そして、搬送方向A1における下流まで搬送された基板Wは、搬出口12から搬出される。
【0031】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、正回転と逆回転が可能な搬送ローラ21を有することにより、基板Wを搬送路H1に沿って、一方向(搬送方向A1)およびこれに逆行する逆方向(搬送方向A2)の両方向に搬送される。基板Wが、処理室10内の搬送路H1を往復するように搬送されることで、基板Wに対して、複数回、アクアナイフ40から処理液を供給することができる。これにより、アクアナイフが1つでも、基板Wに対して複数回処理液を供給することができる。あるいは、アクアナイフが1つでも、基板Wに対して長時間または大量に処理液を供給することができる。したがって、処理ラインが長くなり、装置全体が大型化することを抑えることができる。
【0032】
しかも、基板Wに処理液を供給するアクアナイフ40は、処理液を吐出する方向を変更することが可能になっている。より具体的には、アクアナイフ40が有する吐出方向案内板42が回転することで、基板Wがいずれの方向に搬送されているときでも、基板の搬送方向の上流側に向かって処理液を供給することができる。これにより、処理室10内で基板Wを往復させるように基板を搬送し、処理したとしても、基板の搬送方向によらず、効率よく基板W上の液体(液膜)を排除して、アクアナイフ40から新たに供給された処理液に置換することができる。
【0033】
ここで、処理室10における基板Wの搬送方向の長さを小さくすることについて検討する。基板Wにおける搬送方向上流側の端部を検出部30aあるいは検出部30bによって検出する場合、検出部30a、検出部30bをアクアナイフ40の近傍に設ける必要がある。しかし、前述のように、検出部30a、検出部30bをアクアナイフ40の近傍に設けると、アクアナイフ40から吐出される処理液によって基板Wの検出が妨げられるおそれがある。
【0034】
基板Wにおける搬送方向下流側の端部を検出部30aあるいは検出部30bによって検出すれば、検出部30a、検出部30bをアクアナイフ40から離れた位置に設けることができる。この場合、基板Wが処理室10内を往復して処理液の供給を受けるためには、搬送方向A2に沿って搬送される基板Wにおける搬送方向下流側の端部に吐出方向案内板42が第2の回転位置にあるアクアナイフ40から処理液が供給される位置まで、搬送方向A1に沿って基板Wは搬送される。
【0035】
したがって、基板Wにおける搬送方向下流側の端部にアクアナイフ40から処理液が供給される位置に基板Wが有ることを検出部30bあるいは、検出部30aによって検出することが好ましい。さらに、基板Wにおける搬送方向下流側の端部にアクアナイフ40から処理液が供給される位置よりも基板Wが搬送方向下流側の位置に搬送されることは、処理室10における基板Wの搬送方向の長さの増大を招く。
【0036】
したがって、検出部30aは、搬入口11が設けられた処理室10の内壁またはその近傍に設けられることが好ましい。検出部30bは、搬出口12が設けられた処理室10の内壁またはその近傍に設けられることが好ましい。検出部30a、検出部30bを前述のように設けることで、処理室10における基板Wの搬送方向の長さを最も小さく形成できる。したがって、基板Wの処理ラインが長大になることを抑えることができる。
【0037】
なお、検出部30a(検出部30b)が搬入口11(搬出口12)に設けられることで基板Wの処理ラインが長大になることを抑えることができるのは、搬入口11からアクアナイフ40までの長さと、アクアナイフ40から搬出口12までの長さが等しい場合である。また、搬入口11からアクアナイフ40までの長さおよびアクアナイフ40から搬出口12までの長さは、それぞれ基板Wにおける搬送方向の長さより若干長くなる。
【0038】
また、基板Wにおける搬送方向下流側の端部を検出部30aあるいは検出部30bによって検出することで、処理液の供給を停止することが好ましい。さらに、基板Wにおける搬送方向下流側の端部が検出部30aあるいは検出部30bによって検出されたタイミングでアクアナイフ40の回転軸43を回転させることが好ましい。さらに、吐出方向案内板42の回転位置の変更が完了すると、アクアナイフ40からの処理液の吐出を再開させ、搬送ローラ21の回転方向を切り替えるようにすることが好ましい。
【0039】
なお、上述の説明では、基板Wが処理室内を1.5往復するようにして、アクアナイフ40からの処理液の供給を3回受ける例を挙げたが、これに限られない。往復の回数を変更することで、基板Wに処理液を供給する回数を変更することができる。この回数に応じて、供給される処理液量または処理時間も調整できる。また、処理室10に搬出口12を設けず、搬入口と搬出口を共用するようにしてもよい。すなわち、処理室に設けられた開口から搬入されて、所定回数の処理を受けた基板Wは、同じ開口から搬出されるようにしてもよい。
【0040】
<第2の実施形態>
つぎに第2の実施形態について、図4を参照して説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点(処理液を切り替える点)について説明し、その他の説明は省略する。
【0041】
第2の実施形態に係るアクアナイフ40は、処理液供給タンク等の処理液供給源が、複数設けられている点で第1の実施形態と相違する。複数の処理液供給源は、切り替えるためのバルブなどを介して、アクアナイフ40に接続されている。これにより、アクアナイフ40から吐出する処理液の種類を変更できるように設けられる。第2の実施形態においては、基板に対し、第1の処理液(例えば剥離液や、現像液)と、第2の処理液(例えば、純水や、CO2水などの洗浄液)の2種類の処理液で処理する例を説明する。処理対象の基板は、例えば、表面にRGBレジスト膜が形成された基板や、カラーフィルタ工程または回路パターンを形成する成膜基板、TFTアレイ工程の基板とすることができる。なお、基板の種類および処理液の種類は、これに限られない。
【0042】
アクアナイフ40には、途中で分岐した配管を介して、第1の処理液供給源61と、第2の処理液供給源62が接続されている。アクアナイフ40と第1の処理液供給源61との間には、第1のバルブ63が設けられる。アクアナイフ40と第2の処理液供給源62との間には、第2のバルブ64が設けられる。第1のバルブ63および第2のバルブ64は、その開閉が、制御装置50により制御される。制御装置50は、第1のバルブ63および第2のバルブ64の開閉と、不図示のポンプ等の送液機構を制御することで、アクアナイフ40からいずれかの処理液を吐出させる。
【0043】
搬入口11から搬入された基板Wが、検出部30aによって検出されると、検出信号が制御装置50に送信される。この検出信号を受信した制御装置50は、第1のバルブ63を開状態、第2のバルブ64を閉状態にし、アクアナイフ40から第1の処理液(例えば、剥離液)の吐出を開始する。このとき、吐出方向案内板42は、第1の回転位置である。基板Wは、搬送方向A1に搬送されながら、アクアナイフ40より第1の処理液の供給を受ける。
【0044】
第1の処理液の供給を受けた基板Wが、処理室10の搬送方向A1における下流側まで搬送されると、基板Wにおける搬送方向下流側の端部が検出部30bに検出され、制御装置50に検出信号が送信される。この検出信号を受信した制御装置50は、搬送装置20の駆動を一時的に停止する。
【0045】
つづいて、制御装置50は、第1のバルブ63を閉状態にし、第1の処理液の吐出を停止する。第1の処理液の吐出が停止されたら、回転軸43を回転させ、吐出方向案内板42を第2の回転位置に変更する。そして、第2のバルブ64を開状態にし、アクアナイフ40から第2の処理液(例えば、純水)を吐出させる。つまり、基板Wを一方向に搬送するときと、基板Wを一方向とは逆行する逆方向に搬送するときとで、アクアナイフ40から吐出される処理液を切り替える。貯留部41の内部にある第1の処理液が、第2の処理液に置換されたら、搬送装置20の駆動を再開し、基板Wを搬送方向A2に搬送する。基板Wは、搬送方向A2に搬送されながら、アクアナイフ40から第2の処理液の供給を受ける。なお、予め実験等により貯留部の41の内部の液が完全に置換されるまでの所定時間を求めておき、第2の処理液の吐出を開始してから所定時間が経過したら、第2の処理液に置換されたものとして、搬送装置20の駆動を再開すればよい。
【0046】
基板Wが、第2の処理液の供給を受け、搬送方向A2における下流側まで搬送されたことが、検出部30aにより検出されると、第2のバルブ64を閉状態にし、アクアナイフ40からの処理液の吐出を停止する。そして、搬送ローラ21を正回転させ、基板Wを搬送方向A1に搬送する。搬送方向A1における下流まで搬送された基板Wは、搬出口12から搬出される。
【0047】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、処理ラインが長くなり、装置全体が大型化することを抑えることができる。また、吐出方向案内板42を有することにより、基板Wをいずれの方向に搬送しているときでも、基板の搬送方向上流側に向かって処理液を供給することができるので、効率よく基板W上の液体を置換することができる。
【0048】
さらに、第2の実施形態によれば、アクアナイフ40に複数の処理液供給源が接続され、吐出する処理液を切り替えることが可能であるため、1つの処理室で異なる処理液を用いた処理を行うことができる。これにより、複数の処理液により基板Wを処理する場合においても、複数の処理室を設けなくてもよくなるため、処理ラインが長くなり、装置が大型化することを抑えることができる。
【0049】
<第3の実施形態>
つぎに第3の実施形態について、図5を参照して説明する。第3の実施形態は、上述した第1の実施形態または第2の実施形態の変形例であるため、第1の実施形態または第2の実施形態との相違点(アクアナイフからの処理液の吐出方向によって、吐出圧が異なる点)について説明し、その他の説明は省略する。
【0050】
第3の実施形態に係るアクアナイフ140は、回転軸143の中心S(回転軸)が、貯留部141の開口の幅(アクアナイフ140が延びる方向に直交する方向の長さであって、図5における左右方向の長さ)における中央Cに対して、搬送方向A1の下流側にずれた位置に設けられる。これにより、回転軸143に固定された吐出方向案内板142が第1の回転位置にあるとき(図5(a))よりも、吐出方向案内板142が第2の回転位置にあるとき(図5(b))の方が、貯留部141の開口と吐出方向案内板142により形成されるスリットの幅が狭くなる。つまり、アクアナイフ140は、貯留部141のスリット状の開口の幅を変更可能である。スリットの幅が狭くなると、単位時間当たりの吐出量が同じでも、基板Wに対する処理液の吐出圧を強くすることができる。
【0051】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、搬送方向A1の上流側に向けて処理液を吐出するときよりも、搬送方向A2の上流側に向けて処理液を吐出するときの方が、基板Wに対する吐出圧を強くすることができる。
【0052】
例えば、搬送方向A1に搬送しながら弱い吐出圧で基板を粗洗浄した後に、搬送方向A2に搬送しながら強い吐出圧で仕上げ洗浄することができる。これにより、処理斑(処理ムラ)が発生しやすい基板においても、処理斑の発生を抑えることができ、基板の品質を向上させることができる。
【0053】
さらに、上述の第2の実施形態として説明したように、複数の処理液を切り替え可能に設ければ、処理液の種類によって、吐出圧を選択することができる。より詳細には、吐出する処理液の種類によって(つまり処理工程によって)、基板Wの搬送方向と、吐出方向案内板142の回転位置を選択することで、吐出圧を変更することができる。これにより、処理工程に適した吐出圧にすることができる。
【0054】
例えば、表面にRGBレジスト膜が形成された基板や、各種エッチング工程後のレジスト基板の処理において、搬送方向A1に搬送しながら弱い吐出圧で剥離液を供給した後に、搬送方向A2に搬送しながら強い吐出圧で処理液(例えば純水)を供給することができる。液晶基板に対して剥離液を供給する場合、基板に対する吐出圧を弱めることで、厚い液膜が形成されて、基板表面の膜を十分に膨潤させることができる。この後、処理液の供給においては、剥離液の供給時よりも、基板に対する吐出圧を強めることで、基板表面の液の流れが速くなるので、膨潤した膜を均一に除去することができる。
【0055】
<第4の実施形態>
つぎに第4の実施形態について図6を参照して説明する。第4の実施形態は、上述した第1の実施形態または第2の実施形態の変形例であるため、第1の実施形態または第2の実施形態との相違点(アクアナイフからの処理液の吐出圧が調整可能な点)について説明し、その他の説明は省略する。
【0056】
第4の実施形態に係るアクアナイフ240の吐出方向案内板242は、その後端部242bが弾性部材で形成され、押圧を受けると撓る(曲がる)ようになっている。弾性部材は、例えば樹脂である。
【0057】
図6(a)に示すようなアクアナイフ240の回転軸243を回転させると、吐出方向案内板242の後端部242bが、貯留部241の内部に当接する。これにより、図6(b)に示すように、搬送方向上流側(図6においては左側)に向けて処理液を吐出可能に、先端部242a側にスリットが形成される。ここで、さらに回転軸243を回転させると、図6(c)に示すように、吐出方向案内板242も回転するが、後端部242bは貯留部241の内部に当接しているため、さらに撓りが大きくなる。このように、後端部242bが撓ることにより、処理液を吐出するスリットの幅を小さくすることができる。
【0058】
このように、第4の実施形態によれば、アクアナイフ240の後端部242bを弾性部材で形成することにより、吐出方向案内板242の回転量によって、処理液を吐出するスリット幅を調整することができる。スリット幅を調整することにより、処理対象の基板Wの種類や、処理液の種類、処理工程によって、好ましい吐出圧に調整することが可能になり、基板の品質を向上させることができる。
【0059】
<第5の実施形態>
つぎに第5の実施形態について、図7から図10を参照して説明する。なお、第5の実施形態では、第1の実施形態との相違点(処理液の供給を停止するための検出器をさらに設ける点)について説明し、その他の説明は省略する。
【0060】
第5の実施形態に係る検出部30cは、処理液の供給を停止するタイミングを制御装置50が把握するため、基板Wの有無を検出する。検出部30cが基板Wの有無を検出すると、基板Wの有無を検出したことを示す検出信号を制御装置50に送信する。つまり、検出部30cは、基板Wの有無を検出し、処理液の供給を停止するタイミングを制御装置50が把握するための検出信号を制御装置50に送信する。
【0061】
検出部30cは、図7に示すように、隣接する2つの搬送ローラ21の間に設けられる。検出部30cは、基板Wへ処理液が当たらなくなる瞬間に制御装置50へ送る検出信号が変化する位置に設けられることが好ましい。例えば、検出部30cは、アクアナイフ40の近傍にあり、互いに隣接する2つの搬送ローラ21の間に設けられることが好ましい。検出部30cは、振り子部材30c1、支軸30c2、検出用ローラ30c3、ウエイト30c4、マグネット30c5、検出センサ30c6を有する。
【0062】
振り子部材30c1は、処理室10の内壁に設けられた不図示の取付け部に支点となる支軸30c2を中心にして揺動可能に取付けられている。振り子部材30c1は、一端と他端を有する直線状の板部材である。振り子部材30c1は、支軸30c2を中心にして、不図示の取付け部に沿って、基板Wの搬送方向と垂直な方向と基板Wの搬送方向で形成される面内において、回転方向Rと逆回転方向R1に沿って揺動可能である。
【0063】
検出用ローラ30c3は、不図示の取付け軸部を用いて振り子部材30c1の一端に、回転可能に取り付けられている。振り子部材30c1の他端には、金属製のウエイト30c4が固定されている。ウエイト30c4は、検出用ローラ30c3との重量バランスを取るために設けられている。ウエイト30c4の中には、マグネット30c5が取り付けられている。
【0064】
検出センサ30c6は、振り子部材30c1が後述する初期位置P1に位置されている状態で、マグネット30c5にわずかな間隔を離した状態で対面するように、不図示の取付け部に固定されている。検出センサ30c6は、不図示の電気配線を介して制御装置50と接続される。検出センサ30c6は、振り子部材30c1が後述する検出位置P2あるいは、後述する検出位置P3になった時に、すなわち基板Wが検出用ローラ30c3を押し下げた時に、マグネット30c5の発生する磁界の変化を検出する。基板Wが検出用ローラ30c3を押し下げた時に発生するマグネット30c5の磁界の変化を検出することにより、検出センサ30c6は、基板Wを検出した信号を制御装置50に送る。
【0065】
振り子部材30c1は、基板Wと接触していない状態では、図7に示すように、初期位置P1に位置決めされている。振り子部材30c1が初期位置P1に位置決めされていることで、振り子部材30c1の長手方向は、基板Wの搬送方向と垂直な方向と平行である。初期位置P1において、検出用ローラ30c3は、搬送装置20により搬送される基板Wの高さに位置する。そして、基板Wが搬送方向A1に移動したときに検出用ローラ30c3に接触し、振り子部材30c1が支軸30c2を中心として回転方向Rへ回動する。回転方向Rへ回動した振り子部材30c1は、図8で示すように検出位置P2に設置される。
【0066】
検出位置P2は、搬送方向A1に沿って搬送された基板Wが検出用ローラ30c3を押し下げたときの検出部30cの位置である。図8に示すように、振り子部材30c1が検出位置P2に回転した時に、すなわち基板Wが検出用ローラ30c3を押し下げた時には、振り子部材30c1の長手方向は、基板Wの搬送方向と垂直な方向に対して、所定の角度だけ、支軸30c2を中心にして回転方向Rに回転される。これにより、マグネット30c5は、検出センサ30c6から回転方向Rに離れる。
【0067】
また、検出位置P3は、搬送方向A2に沿って搬送された基板Wが検出用ローラ30c3を押し下げたときの検出部30cの位置である。基板Wが搬送方向A2に沿って移動した基板Wが検出用ローラ30c3に接触すると、振り子部材30c1が支軸30c2を中心として逆回転方向R1へ所定の角度だけ回動する。そして、振り子部材30c1は、図10で示すように検出位置P3の位置へと回転する。これにより、マグネット30c5は、検出センサ30c6から逆回転方向R1に離れる。
【0068】
検出用ローラ30c3(不図示の取付け軸部)と支軸30c2との間の距離は、支軸30c2とマグネット30c5(ウエイト30c4)との間の距離に比べて、好ましくは短く設定されている。これにより、振り子部材30c1が検出位置P2(検出位置P3)から初期位置P1へと逆回転方向R1(回転方向R)に回転して復帰することができる。
【0069】
まず、アクアナイフ40の吐出方向案内板42が第1の回転位置にあるときのアクアナイフ40からの処理液の供給を停止する方法を説明する。図7に示すように、アクアナイフ40の吐出方向案内板42が第1の回転位置にあるとき、基板Wが搬送方向A1に沿って搬送される途中で、検出用ローラ30c3は、基板Wの裏面により押される。そのため、振り子部材30c1は、図7に示す初期位置P1から、図8に示す検出位置P2に支軸30c2を中心にして回転方向Rに回転する。
【0070】
振り子部材30c1が支軸30c2を中心にして回転方向Rに回転することにより、マグネット30c5も支軸30c2を中心にして回転方向Rに回転される。マグネット30c5が回転すると、マグネット30c5は、図7に示す検出センサ30c6に対向した状態から図8に示す検出センサ30c6から離れた位置に移動する。したがって、マグネット30c5から発生する磁界が検出センサ30c6によって検出できなくなる。検出センサ30c6は、磁界を検出できなくなったことを示す検出信号を制御装置50に送る。検出信号を受け取った制御装置50は、基板Wを検出していると判断する。
【0071】
制御装置50は、基板Wの搬送方向を確認する。制御装置50は、基板Wが搬送方向A1に沿って搬送されていることを確認すると、基板Wの搬送位置は、基板Wにおける搬送方向下流側の端部がアクアナイフ40の直下を通過した位置ではないと判断する。この場合、制御装置50は、基板Wの搬送位置に関する判断を行う前と同様に、搬送装置20やアクアナイフ40などの各部の制御を維持する。
【0072】
基板Wがさらに搬送方向A1に搬送されて、基板Wが検出用ローラ30c3から離れると、振り子部材30c1は、重力の力で逆回転方向R1に回転して検出位置P2から初期位置P1に復帰する。振り子部材30c1が初期位置P1に復帰すると、マグネット30c5が検出センサ30c6から離れた状態から対向した状態に戻る。マグネット30c5が検出センサ30c6と対向した状態に戻ると、マグネット30c5の磁界を検出センサ30c6が検出する。マグネット30c5の磁界を検出センサ30c6が検出すると、検出センサ30c6は、磁界を検出できなくなったことを示す検出信号を制御装置50に送ることを停止する。すると、制御装置50はマグネット30c5の磁界を検出したことを認識して、基板Wは検出していないと判断する。
【0073】
制御装置50は、基板Wの搬送方向を確認する。制御装置50は、基板Wが搬送方向A1に沿って搬送されていることを確認すると、基板Wの搬送位置は、基板Wにおける搬送方向下流側の端部がアクアナイフ40の直下を通過した位置であると判断する。この場合、制御装置50は、基板Wの搬送位置は、基板Wにおける搬送方向下流側の端部がアクアナイフ40の直下を通過した位置であると判断してから数秒後にアクアナイフ40からの処理液の供給を停止する。このようにすることで、検出部30bで基板Wを検出してから処理液の供給を停止する場合と比べて、基板Wに処理液が当たらなくなってからすぐに処理液の供給を停止することができる。したがって、処理液の消費を抑制することができる。
【0074】
次に、アクアナイフ40の吐出方向案内板42が第2の回転位置にあるときのアクアナイフ40からの処理液の供給を停止する方法を説明する。図9に示すように、アクアナイフ40の吐出方向案内板42が第2の回転位置にあるとき、基板Wが搬送方向A2に沿って搬送される途中で、検出用ローラ30c3は、基板Wの裏面により押される。そのため、振り子部材30c1は、図9に示す初期位置P1から、図10に示す検出位置P3に支軸30c2を中心にして逆回転方向R1に回転する。
【0075】
振り子部材30c1が支軸30c2を中心にして逆回転方向R1に回転することにより、マグネット30c5も支軸30c2を中心にして逆回転方向R1に回転される。マグネット30c5が回転すると、マグネット30c5は、図9に示す検出センサ30c6に対向した状態から図10に示す検出センサ30c6から離れた位置に移動する。したがって、マグネット30c5から発生する磁界が検出センサ30c6によって検出できなくなる。検出センサ30c6は、磁界を検出できなくなったことを示す検出信号を制御装置50に送る。検出信号を受け取った制御装置50は、基板Wを検出していると判断する。
【0076】
制御装置50は、基板Wの搬送方向を確認する。制御装置50は、基板Wが搬送方向A2に沿って搬送されていることを確認すると、基板Wの搬送位置は、基板Wにおける搬送方向下流側の端部がアクアナイフ40の直下を通過した位置であると判断する。この場合、制御装置50は、基板Wの搬送位置は、基板Wにおける搬送方向下流側の端部がアクアナイフ40の直下を通過した位置であると判断してから数秒後にアクアナイフ40からの処理液の供給を停止する。このようにすることで、検出部30aで基板Wを検出してから処理液の供給を停止する場合と比べて、基板Wに処理液が当たらなくなってからすぐに処理液の供給を停止することができる。したがって、処理液の消費を抑制することができる。
【0077】
以上説明したように、第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、処理ラインが長くなり、装置全体が大型化することを抑えることができる。また、処理液の消費量を抑えることができる。
【0078】
基板処理装置1は、搬送路H1において基板Wを往復させながら基板Wの端から端まで処理液を供給する。そのため、搬送ローラ21が正回転する場合と逆回転する場合で基板Wにおける搬送方向下流側の端部に処理液が当たる位置が異なる。搬送ローラ21の正回転と逆回転で基板Wに処理液が最初に当たる位置が異なる分、処理室10の搬送方向の長さを長くする必要がある。したがって、基板Wへ処理液が当たらなくなってから基板Wにおける搬送方向下流側の端部が検出部30aあるいは検出部30bによって検出されるまでに時間がかかってしまう。
【0079】
そのため、検出部30cで基板Wの有無を検出することで、処理液が無駄に供給される時間を削減することができる。その結果、処理液の消費量を抑えることができる。処理液が無駄に供給される時間を削減するため、検出部30cは、基板Wへ処理液が当たらなくなる瞬間に制御装置50へ送る検出信号が変化する位置に設けられることが好ましい。例えば、検出部30cは、アクアナイフ40の近傍にあり、互いに隣接する2つの搬送ローラ21の間に設けられることが好ましい。なお、制御装置50が基板Wを検出していると判断してから何秒後にアクアナイフ40からの処理液の供給を停止するかは、実験やシミュレーションなどで予め求めておけばよい。
【0080】
また、検出部30cによって処理液の吐出を停止させることは、搬送方向と平行な方向の長さが異なる複数種類の基板Wを基板処理装置1が洗浄する場合に好ましい。例えば、基板処理装置1は、搬送方向と平行な方向の長さが最も長い基板Wにおいて、処理室10における基板Wの搬送方向の長さが最も小さくなるよう形成される。この場合、搬送方向と平行な方向の長さが最も長い基板Wにおいては、基板Wの処理ラインが長大になることを抑えることができる。
【0081】
しかし、その他の種類の基板Wにおいては、基板Wの処理ラインが長大となってしまう。このような場合でも、検出部30cによって処理液の吐出を停止させることで、処理液が無駄に供給される時間を削減することができる。その結果、処理液の消費量を抑えることができる。
【0082】
なお、第5の実施形態について、第1の実施形態との相違点について説明したが、第2の実施形態から第4の実施形態の少なくとも1つの実施形態を組み合わせて実施してもよい。
【0083】
<その他の実施形態>
上述の説明において、アクアナイフ40(140、240)は、その長手方向が搬送方向A1に水平面内で直交する方向に沿って設けられるとしたが、これに限られない。アクアナイフ40(140、240)の長手方向を搬送方向A1に水平面内で傾斜して交差する方向に設けてもよい。
【0084】
また、上述の説明において、吐出方向案内板42(142、242)を回転させることにより、基板Wの搬送方向の上流側に向けて処理液を供給することを説明したが、これに限られない。例えば、吐出方向案内板42を回転させることにより、搬送方向の下流側に向けて処理液を供給するようにしてもよい。搬送方向の下流側に向けて処理液を供給すれば、基板Wに供給された処理液が、基板W上で搬送方向上流側に流れることを抑えることができる。これにより、表面が乾燥した基板を処理する場合では、アクアナイフ40から供給された処理液が、基板上で搬送方向上流側の乾燥面に流れることを抑えることができる。アクアナイフから吐出された処理液が、基板の搬送に伴って、順次、基板の乾燥面に供給されることになるので、均一に処理することができる。
【0085】
また、上述の説明において、検出部30aあるいは検出部30bによって基板Wを検出することを説明したが、検出部30aあるいは検出部30bに代えて検出部30cによって基板Wを検出するようにしてもよい。
【0086】
また、上述の説明において、搬送路H1における搬送方向下流側に基板Wがある場合に、基板Wにおける搬送方向下流側の端部が検出部30aあるいは検出部30bによって検出されると、検出信号が制御装置に送信されてアクアナイフ40からの処理液の吐出を一時的に停止させることを説明したが、これに限られない。搬送路H1における搬送方向上流側に基板Wがある場合に、基板Wにおける搬送方向下流側の端部が検出部30aあるいは検出部30bによって検出されてから所定の時間が経過したらアクアナイフ40からの処理液の吐出を一時的に停止させるようにしてもよい。
【0087】
前述の通り、基板Wへ処理液が当たらなくなってから基板Wにおける搬送方向下流側の端部が検出部30aあるいは検出部30bによって検出されるまでに時間がかかってしまう。そのため、搬送路H1における搬送方向上流側に基板Wがある場合に、基板Wにおける搬送方向下流側の端部が検出部30aあるいは検出部30bによって検出されてから処理液が基板Wに当たらなくなるまでの時間を予め求めておき、その時間を所定の時間として制御装置50に記憶させる。このようにすることで、処理液が無駄に供給される時間を削減することができる。その結果、処理液の消費量を抑えることができる。なお、所定の時間は、実験やシミュレーションなどで予め求めておけばよい。
【0088】
また、搬送路H1における搬送方向上流側に基板Wがある場合に、基板Wにおける搬送方向下流側の端部が検出部30aあるいは検出部30bによって検出されてから所定の時間後に処理液の吐出を停止させることは、検出部30cと同様、搬送方向と平行な方向の長さが異なる複数種類の基板Wを基板処理装置1が洗浄する場合に好ましい。
【0089】
また、上述の説明において、検出部30a、検出部30b、および検出部30cは、基板Wの所定箇所(例えば、基板Wにおける搬送方向下流側の端部)を検出するとしたが、これに限られない。例えば、検出部30a、検出部30b、および検出部30cにより基板Wが検出された時点を基準として、基板Wの搬送位置を判断する制御装置50も検出部に含まれる。つまり、制御装置50は、検出部30a、検出部30b、および検出部30cによって基板Wが検出された時間や基板Wの搬送速度に基づき基板Wの搬送位置を検出する。
【0090】
また、上述の第2の実施形態の説明において、基板Wに対し、搬送方向A1に搬送しながら第1の処理液を供給し、搬送方向A2に搬送しながら第2の処理液を供給したが、これに限られない。例えば、搬送方向A1と搬送方向A2に搬送しながら、2回以上第1の処理液を供給したあとに、第2の処理液に切り替えてもよい。同様に、第2の処理液を2回以上供給してもよい。
【0091】
また、第1の処理液、第2の処理液の2種類を例示して説明したが、アクアナイフ40に3種類以上の処理液供給源を接続し、3種類以上の処理液による処理をできるようにしてもよい。この場合においても、各処理液による処理は、1回ずつでもよく、複数回ずつでもよい。
【0092】
また、上述の第3の実施形態の説明において、回転軸143の中心S(回転軸)が、貯留部141の開口の幅における中央Cに対して、搬送方向A1の下流側にずれた位置に設けられるとしたが、搬送方向A1の上流側にずれた位置に設けてもよい。この場合、搬送方向A1の上流側に向けて処理液を吐出するときの方が、搬送方向A2の上流側に向けて処理液を吐出するときよりも、スリット幅が狭くなるため吐出圧が強くなる。
【0093】
また、上述の第4の実施形態の説明において、後端部242bが弾性部材で形成されるとしたが、吐出方向案内板242全体を、弾性を有する同一材料で形成してもよく、先端部242aと後端部242bとを異なる材料で形成してもよい。少なくとも後端部242bを弾性部材で形成すれば、スリット幅を調整することが可能である。また、先端部242aを剛性のある材料(後端部242bより剛性の高い材料)で形成すれば、吐出する処理液の重みによって、スリット幅が変わってしまうことを抑えることができる。
【0094】
また、上述の第5の実施形態の説明において、1つの検出センサ30c6によって処理液の供給を停止させるとしたが、複数の検出センサ30c6が処理室10内に設けられてもよい。例えば、アクアナイフ40と搬出口12との間に検出センサ30c6を設けても良い。
【0095】
また、上述の第5の実施形態の説明において、検出センサ30c6がマグネット30c5から発生する磁界を検出するとしたが、検出光や荷重を検出してもよく、振り子部材30c1が検出センサ30c6と接触して導通することを検出してもよい。
【0096】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1 基板処理装置
10 処理室
20 搬送装置
21 搬送ローラ
21a ローラ
21b シャフト
30 検出装置
30a 検出部
30b 検出部
30c 検出部
30c1 振り子部材
30c2 支軸
30c3 検出用ローラ
30c4 ウエイト
30c5 マグネット
30c6 検出センサ
40 アクアナイフ
41 貯留部
42 吐出方向案内板
42a 先端部
42b 後端部
43 回転軸
50 制御装置
61 第1の処理液供給源
62 第2の処理液供給源
63 第1のバルブ
64 第2のバルブ
140 アクアナイフ
141 貯留部
142 吐出方向案内板
143 回転軸
240 アクアナイフ
241 貯留部
242 吐出方向案内板
242a 先端部
242b 後端部
243 回転軸
A1 搬送方向
A2 搬送方向
H1 搬送路
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送路に沿って、一方向およびこれに逆行する逆方向の両方向に搬送可能な搬送装置と、
前記基板の搬送路の上方に、長手方向が前記搬送路に対して水平面内で交差する方向に沿って設けられ、前記搬送路に向けてスリット状の開口から処理液を吐出するアクアナイフと、
を有し、
前記アクアナイフは、
前記搬送路側に開口を有し、処理液を貯留可能な貯留部と、
一端が前記開口から突出し、他端が前記貯留部の内部に入り込むように設けられ、前記処理液の吐出方向を導く吐出方向案内板と、
前記吐出方向案内板を回転させて、前記処理液の吐出方向を変更させる吐出方向変更部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記基板の搬送位置を検出する検出部をさらに有し、
前記検出部により検出された前記搬送位置に基づいて、前記吐出方向変更部により前記吐出方向案内板を回転させ、前記アクアナイフから、前記基板の搬送方向上流に向かって前記処理液を吐出する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記アクアナイフは、複数の処理液供給源に接続され、
前記基板を前記一方向に搬送するときと、前記基板を前記逆方向に搬送するときとで、前記アクアナイフから吐出される処理液の吐出方向を切り替える請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記アクアナイフは、前記スリット状の開口の幅を変更可能な請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記吐出方向変更部は、前記吐出方向案内板が固定された回転軸であって、
前記回転軸は、前記開口の幅方向における中央からずれた位置に設けられる請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記吐出方向案内板は、前記貯留部の内部に当接する後端部が弾性部材で設けられる請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理液の供給を停止する際の前記基板の搬送位置は、前記基板における搬送方向上流側の端部が前記アクアナイフの直下を通過した位置であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記搬送装置や前記アクアナイフを制御する制御装置と、
前記基板の有無を検出し、前記処理液の供給を停止するタイミングを前記制御装置が把握するための検出信号を前記制御装置に送信する検出部をさらに有する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
アクアナイフ40により処理液の供給を受けた基板Wは、処理室10の搬送方向A1における下流側まで搬送される。検出部30bによって基板Wにおける搬送方向下流側の端部が検出されると、検出信号が制御装置50に送信される。この検出信号を受信した制御装置50は、搬送装置20の駆動を一時的に停止させ、アクアナイフ40からの処理液の吐出も一時的に停止させる。さらに、アクアナイフ40の回転軸43を回転(図1では反時計回りに回転)させることで、吐出方向案内板42の回転位置を変更する。
このときの状態を図3に示す。図3に示すように、吐出方向案内板42は、先端部42aが後端部42bより搬送方向A2における上流側になるような回転位置(以下、第2の回転位置という。)に位置づけられる。なお、搬送方向A2は、搬送方向A1に逆行する方向である。また、処理液の供給を停止する際の基板Wの搬送位置は、基板Wにおける搬送方向流側の端部がアクアナイフ40の直下を通過した位置である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
処理室10の搬送方向A2における下流側まで搬送された基板Wにおける搬送方向下流側の端部が検出部30aによって検出されると、検出信号が制御装置50に送信される。この検出信号を受信した制御装置50は、搬送装置20の駆動を一時的に停止させ、アクアナイフ40からの処理液の吐出も一時的に停止させる。さらに、アクアナイフ40の回転軸43を回転(図3では時計回りに回転)させることにより、吐出方向案内板42の回転位置を再び第1の回転位置に変更する。吐出方向案内板42の回転位置の変更が完了すると、制御装置50は、アクアナイフ40からの処理液の吐出を再開させ、搬送ローラ21も正回転にて駆動させる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、正回転と逆回転が可能な搬送ローラ21を有することにより、基板Wを搬送路H1に沿って、一方向(搬送方向A1)およびこれに逆行する逆方向(搬送方向A2)の両方向に搬送される。基板Wが、処理室10内の搬送路H1を往復するように搬送されることで、基板Wに対して、複数回、アクアナイフ40から処理液を供給することができる。これにより、アクアナイフ40が1つでも、基板Wに対して複数回処理液を供給することができる。あるいは、アクアナイフ40が1つでも、基板Wに対して長時間または大量に処理液を供給することができる。したがって、処理ラインが長くなり、装置全体が大型化することを抑えることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
なお、上述の説明では、基板Wが処理室内を1.5往復するようにして、アクアナイフ40からの処理液の供給を3回受ける例を挙げたが、これに限られない。往復の回数を変更することで、基板Wに処理液を供給する回数を変更することができる。この回数に応じて、供給される処理液量または処理時間も調整できる。また、処理室10に搬出口12を設けず、搬入口と搬出口を共用するようにしてもよい。すなわち、処理室10に設けられた開口から搬入されて、所定回数の処理を受けた基板Wは、同じ開口から搬出されるようにしてもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
つづいて、制御装置50は、第1のバルブ63を閉状態にし、第1の処理液の吐出を停止する。第1の処理液の吐出が停止されたら、回転軸43を回転させ、吐出方向案内板42を第2の回転位置に変更する。そして、第2のバルブ64を開状態にし、アクアナイフ40から第2の処理液(例えば、純水)を吐出させる。つまり、基板Wを一方向に搬送するときと、基板Wを一方向とは逆行する逆方向に搬送するときとで、アクアナイフ40から吐出される処理液を切り替える。貯留部41の内部にある第1の処理液が、第2の処理液に置換されたら、搬送装置20の駆動を再開し、基板Wを搬送方向A2に搬送する。基板Wは、搬送方向A2に搬送されながら、アクアナイフ40から第2の処理液の供給を受ける。なお、予め実験等により貯留部41の内部の液が完全に置換されるまでの所定時間を求めておき、第2の処理液の吐出を開始してから所定時間が経過したら、第2の処理液に置換されたものとして、搬送装置20の駆動を再開すればよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
また、検出位置P3は、搬送方向A2に沿って搬送された基板Wが検出用ローラ30c3を押し下げたときの検出部30cの位置である。搬送方向A2に沿って移動した基板Wが検出用ローラ30c3に接触すると、振り子部材30c1が支軸30c2を中心として逆回転方向R1へ所定の角度だけ回動する。そして、振り子部材30c1は、図10で示すように検出位置P3の位置へと回転する。これにより、マグネット30c5は、検出センサ30c6から逆回転方向R1に離れる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0084】
また、上述の説明において、吐出方向案内板42(142、242)を回転させることにより、基板Wの搬送方向の上流側に向けて処理液を供給することを説明したが、これに限られない。例えば、吐出方向案内板42を回転させることにより、搬送方向の下流側に向けて処理液を供給するようにしてもよい。搬送方向の下流側に向けて処理液を供給すれば、基板Wに供給された処理液が、基板W上で搬送方向上流側に流れることを抑えることができる。これにより、表面が乾燥した基板を処理する場合では、アクアナイフ40(140、240)から供給された処理液が、基板W上で搬送方向上流側の乾燥面に流れることを抑えることができる。アクアナイフ40(140、240)から吐出された処理液が、基板Wの搬送に伴って、順次、基板Wの乾燥面に供給されることになるので、均一に処理することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
また、上述の説明において、搬送路H1における搬送方向下流側に基板Wがある場合に、基板Wにおける搬送方向下流側の端部が検出部30aあるいは検出部30bによって検出されると、検出信号が制御装置50に送信されてアクアナイフ40からの処理液の吐出を一時的に停止させることを説明したが、これに限られない。搬送路H1における搬送方向上流側に基板Wがある場合に、基板Wにおける搬送方向下流側の端部が検出部30aあるいは検出部30bによって検出されてから所定の時間が経過したらアクアナイフ40からの処理液の吐出を一時的に停止させるようにしてもよい。