(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138361
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】漏洩防止装置
(51)【国際特許分類】
F16L 55/172 20060101AFI20230922BHJP
F16L 23/02 20060101ALI20230922BHJP
F16J 15/06 20060101ALI20230922BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
F16L55/172
F16L23/02 D
F16J15/06 L
F16J15/10 T
F16J15/10 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023387
(22)【出願日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2022042126
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】東海林 卓也
【テーマコード(参考)】
3H016
3H025
3J040
【Fターム(参考)】
3H016AC01
3H016AD04
3H016AD15
3H025EA03
3H025EB06
3H025EC05
3H025ED01
3J040AA13
3J040AA17
3J040BA03
3J040EA03
3J040EA16
3J040FA05
(57)【要約】
【課題】漏洩防止効果を長期にわたり維持することができる漏洩防止装置を提供すること。
【解決手段】円環状のフランジ3Aと外周面の一部に径方向の外側に突出する突出部20を有するフランジ3Cとが密封状に接続されたフランジ継手部3の外周に亘って密封し、フランジ継手部3における漏洩を防止する漏洩防止装置30であって、フランジ継手部3の外周に亘って密封するパッキン33A,33Bと、パッキン33A,33Bを収容する溝部39を有しフランジ継手部3に外嵌される取付部材34A,34Bと、を備え、取付部材34Bにおける突出部20に対応する部分には、該突出部20を収容可能な収容凹部40が形成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状の第1フランジと外周面の一部に径方向の外側に突出する突出部を有する第2フランジとが密封状に接続されたフランジ継手部の外周に亘って密封し、前記フランジ継手部における漏洩を防止する漏洩防止装置であって、
前記フランジ継手部の外周に亘って密封する漏洩防止部材と、
該漏洩防止部材を収容する収容部を有し前記フランジ継手部に外嵌される取付部材と、
を備え、
前記取付部材における前記突出部に対応する部分には、該突出部を収容可能な凹部が形成されていることを特徴とする漏洩防止装置。
【請求項2】
前記取付部材は、互いに連結可能な複数の分割部材からなり、該複数の分割部材のうち一の分割部材に前記凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の漏洩防止装置。
【請求項3】
前記突出部は、管軸に対し直交する線に平行な一対の案内面を有し、
前記凹部は、前記一対の案内面に対向する互いに平行な一対の被案内面を有することを特徴とする請求項1または2に記載の漏洩防止装置。
【請求項4】
前記漏洩防止部材における前記突出部に対応する部分には切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の漏洩防止装置。
【請求項5】
前記取付部材における管軸方向の両端縁各々から内径方向に突出する一対の突出壁部を備え、前記一対の突出壁部の少なくとも一方に形成されたネジ孔に螺挿したボルトにより、前記第1フランジと前記第2フランジとを挟持可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の漏洩防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジ継手部における漏洩を防止する漏洩防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フランジ継手部の漏洩を防止する漏洩防止装置は、既設流体管や弁等の配管部材のフランジ継手部が長期使用で腐食するなど劣化したり、あるいは地震等の不測の外力が発生して、内部流体が漏洩する虞が生じる場合に、不断流状態で漏洩を防止する装置であり、フランジ外周面に沿って配置される漏洩防止部材と、この漏洩防止部材を収容してフランジに外嵌される取付部材とから構成され、フランジ継手部の外周面に亘って密封することで漏洩を防止するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-19867号公報(第6-8頁、第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の漏洩防止装置にあっては、フランジ継手部を構成するフランジは円環状に形成されているため、フランジ継手部が振動や地震等の不測の外力の発生により管軸を中心として回動すると、フランジ継手部に対し取付部材が周方向に相対移動することがあり、これにより漏洩防止部材が損傷して漏洩防止効果が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、漏洩防止効果を長期にわたり維持することができる漏洩防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の漏洩防止装置は、
円環状の第1フランジと外周面の一部に径方向の外側に突出する突出部を有する第2フランジとが密封状に接続されたフランジ継手部の外周に亘って密封し、前記フランジ継手部における漏洩を防止する漏洩防止装置であって、
前記フランジ継手部の外周に亘って密封する漏洩防止部材と、
該漏洩防止部材を収容する収容部を有し前記フランジ継手部に外嵌される取付部材と、
を備え、
前記取付部材における前記突出部に対応する部分には、該突出部を収容可能な凹部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、フランジ継手部が振動や地震等の不測の外力の発生により管軸を中心として回動しても、突出部と凹部とが干渉することで、フランジ継手部に対する取付部材の周方向への相対回動が規制され、これにより漏洩防止部材の損傷が防止されるため、漏洩防止効果を長期にわたり維持することができる。
【0007】
前記取付部材は、互いに連結可能な複数の分割部材からなり、該複数の分割部材のうち一の分割部材に前記凹部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、複数の分割部材のうち一の分割部材にのみ凹部が形成されているので、凹部を形成することによる分割部材の強度低下を最小限に抑えることができる。
【0008】
前記突出部は、管軸に対し直交する線に平行な一対の案内面を有し、
前記凹部は、前記一対の案内面に対向する互いに平行な一対の被案内面を有することを特徴としている。
この特徴によれば、取付部材をフランジ継手部に外嵌するときに、突出部の一対の案内面により凹部の一対の被案内面が内径方向に案内されるため、締付け作業が容易になるとともに、取付部材の周方向への移動を好適に規制できる。
【0009】
前記漏洩防止部材における前記突出部に対応する部分に切欠部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、取付部材がフランジ継手部に外嵌されたときに、漏洩防止部材における突出部に対応する部分が該突出部により径方向の外側に向けて過剰に押圧されることで、その周辺部分が径方向の外側に引っ張られて密封状態が解除されてしまうことを防止できる。
【0010】
前記取付部材における管軸方向の両端縁各々から内径方向に突出する一対の突出壁部を備え、前記一対の突出壁部の少なくとも一方に形成されたネジ孔に螺挿したボルトにより、前記第1フランジと前記第2フランジとを挟持可能としたことを特徴としている。
この特徴によれば、一対の突出壁部の少なくとも一方に形成されたネジ孔に螺挿したボルトを締め付けることで、第1フランジと第2フランジとが管軸方向に挟み込まれるため、漏洩防止装置が管軸方向へ移動することを規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】漏洩防止装置が取付けられた流体管及び弁体を示す一部破断正面図である。
【
図2】(a)は
図1のA-A断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【
図7】(a)は漏洩防止装置の取付け工程を示す図、(b)は(a)のD-D断面図である。
【
図8】(a)~(c)は分割体をフランジ継手部の外周に取付ける工程を示す断面図である。
【
図9】(a)は分割体の取付け工程(仮設置)を示す図、(b)は(a)のE-E断面図である。
【
図10】(a)は分割体の取付け工程(設置完了)を示す図、(b)は(a)のF-F断面図である。
【
図11】フランジ継手部に対する分割体の相対回転が規制される状態を示す図である。
【
図12】(a)は本発明の変形例1を示す図、(b)は(a)のG-G断面図である。
【
図15】(a)、(b)は本発明の変形例4を示す図である。
【
図16】(a)は本発明の変形例5を示す図、(b)は(a)のH-H断面図である。
【
図17】(a)は本発明の変形例6を示す図、(b)は(a)のI-I断面図である。
【
図18】本発明の変形例6としての取付部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る漏洩防止装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0013】
本発明の実施例に係る漏洩防止装置について、
図1~
図11を参照して説明する。尚、以下の説明において、
図1の手前側を漏洩防止装置の前方側(正面側)、奥側を後方側として説明する。
【0014】
図1に示されるように、流体を上流側から下流側に輸送する既設の流体管1Aと流体管1Bとは、配管の一部を構成する仕切弁10を介して接続されている。詳しくは、仕切弁10はソフトシール仕切弁であり、流体管1Aと流体管1Bとを連通させる円筒状の流路2cが内部に形成された弁箱11と、弁箱11の上部に形成された開口部を覆うように径方向の外側(例えば、上側)に密封状に接続された弁体収容部13と、流体管1A,1B及び流路2cの管軸に対し直交する方向(例えば、上下方向)に移動可能に設けられた弁体14と、弁体14を移動可能に支持する弁棒15と、を備え、弁体収容部13から外部に突出した弁棒15の一端15aを軸周りに回転操作することにより、弁体収容部13内に収容される収容位置と流路2cを仕切る仕切位置との間で弁体14を進退移動させることで、流路2cを開閉可能とされている。尚、本実施例では、流体管1A,1B及び流路2c内の流体は上水であるが、上水に限らず、例えば工業用水や農業用水、下水などの液体の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。
【0015】
流体管1A,1B及び弁箱11は、ダクタイル鋳鉄製であって、断面視略円筒形状に形成され、内周面がエポキシ樹脂層(図示略)で被覆されている。尚、本発明に係る流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール製、ポリエチレン製若しくはポリオレフィン製等であってもよい。さらに尚、流体管の内周面はエポキシ樹脂層に限らず、例えばモルタル等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。
【0016】
(フランジ3C、3A、3B)
図1及び
図2(a)、(b)に示されるように、弁箱11における流路2cの両端には、フランジ3C,3Cが径方向の外側に向けて突出して形成されている。フランジ3C,3Cは、流路2cの管軸を中心として非円形の環状に形成されている。より詳しくは、フランジ3C,3Cの外周面3dの一部に、径方向の外側に向けて突出する突出部20が形成されており、この突出部20を除く外周面3dは略円弧状に形成されている。つまり、外周面3dは、管軸P0を中心とする半径Rの外周面からなる円弧面部と、該円弧状面に対し径方向の外側に向けて突出する突出部20に相当する非円弧面部と、から構成される。
【0017】
図2(b)に示されるように、突出部20は、略水平に延びる第1面21aと、第1面21aの両端辺に外周面3d側に向けて垂直に立設される第2面21b,21bと、からなり、下方に凸状に構成されている。
【0018】
第1面21aは、下面視で長方形状の平坦面とされ、管軸P0から第1面21aの長手方向の略中央位置までの長さが半径Rとされている。尚、本実施例では、第1面21aは、管軸P0から第1面21aの長手方向の略中央位置までの長さ寸法が半径Rとされているが、管軸P0から第1面21aの長手方向の略中央位置までの長さ寸法が半径Rよりも大寸または小寸であってもよい。
【0019】
第2面21b,21bは、第1面21aに対し略垂直に立設され互いに平行をなす長方形状の平坦面とされている。第1面21aの長手方向の長さ寸法L1は、第2面21bの長手方向の長さ寸法L2よりも長寸とされている(L1>L2)。また、第1面21aの長さ寸法L1は、フランジ3Cの外径寸法φ1よりも短寸とされている(L1<φ1)。
【0020】
このように構成される突出部20は、管軸P0から第1面21aの長手方向の略中央位置までの長さ寸法が半径Rであるため、第1面21aの一方側と第2面21bとを有する第1凸部20aと、第1面21aの他方側と第2面21bとを有する第2凸部20bと、からなる。
【0021】
突出部20は、その下面に管軸に対し平行な平坦状の第1面21aを有しており、所謂、仕切弁10の「台座部」を構成する。台座部(突出部20)は、地中に埋設された配管の一部(例えば、流体管1A,1Bの一部及び弁箱11など。
図1参照)が露出されたとき、または、露出配管(
図12参照)において、弁箱11を図示しない支持部材により下方から受支する場合や、仕切弁10が管軸周りに回転しないように地面等の載置面に載置する場合に用いられる。
【0022】
一方、
図3に示されるように、流体管1A,1B各々の一端には、全周に亘り円環状のフランジ3A,3Bが径方向の外側に向けて突出して形成されている。
【0023】
図1~
図3に示されるように、弁箱11における流路2cの一端に形成されたフランジ3C,3Cと、フランジ3C,3Cに対向する流体管1A,1Bのフランジ3A,3Bには、管軸方向を向く接続孔3c(
図8(a)参照)が周方向に複数形成されており、各接続孔3cにボルトを挿通してナットを取付け、締付け固定することで、密封性を備えたボルト・ナット7によりフランジ3C,3A及びフランジ3C,3B同士が接続されている。
【0024】
フランジ3C,3Aと、該フランジ3C,3Aを管軸方向に接続するボルト・ナット7と、から構成されるフランジ継手部3や、フランジ3C,3Bと、該フランジ3C,3Bを管軸方向に接続するボルト・ナット7と、から構成されるフランジ継手部3には、漏洩防止装置30が該フランジ継手部3の外周に亘って密封して取付けられることで、フランジ継手部3における漏洩を防止するようになっている。
【0025】
(漏洩防止装置)
次に、漏洩防止装置30の構造について、
図1~
図6を用いて説明する。
図1~
図3に示されるように、漏洩防止装置30は、フランジ継手部3の外周に上下から取付け可能な複数(本実施例では2つ)の分割体31A,31Bと、分割体31A,31B同士を接続(連結)して環状に構成するボルト・ナット32(締結部材)と、から主に構成される。尚、本実施例では、漏洩防止装置30は、上下2つの分割体31A,31Bにて構成されているが、3つ以上の分割体にて構成されてもよい。
【0026】
各分割体31A,31Bは、フランジ継手部3の外周に亘って密封する漏洩防止部材としてのパッキン33A,33B(
図7参照)と、パッキン33A,33Bを収容する溝部39(収容部)を有し、フランジ継手部3に外嵌される取付部材34A,34B(
図7参照)と、を備えている。以下、取付部材34A,34Bとパッキン33A,33Bについて説明する。
【0027】
(取付部材)
次に、取付部材34A,34Bについて、
図4に基づいて説明する。尚、上方の分割体31Aの取付部材34Aと下方の分割体31Bの取付部材34Bとは、取付部材34Bには突出部20を収容可能な後述する収容凹部40が形成されており、取付部材34Aには収容凹部40が形成されていない点が異なるだけで、その他の構造は同一であるため、以下においては取付部材34Bについて説明し、取付部材34Aの詳細な説明は省略する。
【0028】
図4(a)~
図4(c)に示されるように、分割体31Bの取付部材34Bは、ダクタイル鋳鉄製であり、半円弧状をなす本体部35と、本体部35の両端部に設けられる接続部36,36と、を備えている。接続部36,36は、他方の取付部材34Aと接続する際に用いられ、本体部35の端部において径方向の外側に向けて突出するように形成されている。接続部36,36の径方向の外側には、ボルト・ナット32,32を挿通する貫通孔37が設けられ、径方向の内側には、パッキン33A,33Bが嵌合可能な嵌合部43が形成されている。尚、貫通孔37は、接続部36,36に対し垂直に設けられている。
【0029】
また、本実施例では、取付部材34B(取付部材34A)はダクタイル鋳鉄製とされていたが、材質は上記のものに限定されるものではなく、例えば、鋼製など、他の素材にて構成されていてもよい。
【0030】
本体部35は、フランジ3A,3B,3Cの外周面に対向して配置される湾曲状の外壁部38aと、外壁部38aの管軸方向両端縁から内径方向に延びる側壁部38b,38cと、から断面視略コ字形状に形成され、外壁部38a及び側壁部38b,38cの内径側には、断面略凹状の溝部39が周方向に亘って形成されている。
【0031】
側壁部38bには、フランジ3Cに形成された突出部20を収容可能な収容凹部40が、側壁部38bの内縁から径方向の外側に向けて切り欠かれるように形成されている。収容凹部40は、突出部20の第1凸部20aを収容可能な第1凹部40aと、突出部20の第2凸部20bを収容可能な第2凹部40bと、を有し、第1凹部40aと第2凹部40bとは、側壁部38bの下端部を成す円弧状部41の周方向の両側に別個に形成されている。
【0032】
第1凹部40a及び第2凹部40bは、略水平に延びる第1面42aと、第1面42aに対し垂直に立設され互いに平行をなす第2面42bとにより略L字状に形成されている。一方の第1面42aの一端から他方の第1面42aの他端までの長手方向の長さ寸法L3は、第2面42bの長さ寸法L4よりも長寸とされている(L3>L4)。また、長さ寸法L3は、突出部20の長さ寸法L1よりも若干長寸とされている(L3>L1)。
【0033】
尚、本実施例では、収容凹部40は、円弧状部41の両側に別個に形成された第1凹部40aと第2凹部40bとから構成されていたが、例えば、長さ寸法L4を長寸とし、円弧状部41により分断されない一の凹部にて構成されていてもよい。
【0034】
(パッキン)
次に、パッキン33A,33Bについて、
図5に基づいて説明する。尚、上方の分割体31Aのパッキン33Aと下方の分割体31Bのパッキン33Bとは、パッキン33Bには突出部20を収容可能な後述する切欠凹部60が形成されており、パッキン33Aには切欠凹部60が形成されていない点が異なるだけで、その他の構造は同一であるため、以下においてはパッキン33Bについて説明し、パッキン33Aの詳細な説明は省略する。
【0035】
図5(a)~
図5(c)に示されるように、分割体31Bのパッキン33Bは、スチレンブタジエンゴムからなる弾性部材から構成されており、半円弧状をなす本体部55と、本体部55の周方向の両端部に設けられ、他方のパッキン33Aと接続する際に用いられる接続部56,56と、を備えている。尚、パッキンは、弾性を有する部材であればよく、例えばニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム等であっても構わない。
【0036】
接続部56,56は、本体部55の端部において径方向の外側に向けて突出して形成され、取付部材34Bの嵌合部43に嵌合可能な接続片56aを有する。また、本体部55の一端部には、接続片56aに対し周方向に突出する接続凸部55aが形成され、本体部55の他端部には、接続片56aに対し周方向に凹む接続凹部55bが形成されている。つまり、一方の接続部56は接続片56aと接続凸部55aとから構成され、他方の接続部56は接続片56aと接続凹部55bとから構成されている。
【0037】
図5(c)に示されるように、本体部55は、周方向に亘り略同じ断面形状を有しており、取付部材34Bの溝部39に嵌合される基部57と、基部57の中央部から内径方向に周方向に亘って膨出する断面視半円形状の第1膨出部58と、基部57から第1膨出部58を管軸方向に挟むように内径方向に周方向に亘って膨出する第2膨出部59,59と、を備えている。基部57の管軸方向の両側面には、凹部57a,57aが周方向に亘って形成されている。これら第1膨出部58及び第2膨出部59,59は、後述するようにフランジ3A,3Cやフランジ3B,3Cの外周に亘って密封する密封部として機能する。
【0038】
また、第1膨出部58と第2膨出部59,59との間には、溝部58m,58mが周方向に沿って形成されており、第1膨出部58の径方向の厚み寸法L11(本体部55の外周端から第1膨出部58の内周端までの長さ寸法)は、第2膨出部59,59の径方向の厚み寸法L12(本体部55の外周端から第2膨出部59,59の内周端までの長さ寸法)よりも大きくなっている(L11>L12)。言い換えれば、第2膨出部59,59の頭部(内径側の先端部)は、第1膨出部58の頭部(内径側の先端部)よりも外径側に位置する。また、第2膨出部59,59の頭部(内径側の先端部)は、周方向に延びる溝部59m,59mにより二又状に分かれており、2つの頭部は各々断面視略半円形状に形成されている。
【0039】
第2膨出部59,59のうち一方には、フランジ3Cに形成された突出部20を収容可能な切欠凹部60が、第2膨出部59の周方向の一部が切り欠かれるように形成されている。切欠凹部60は、略水平に延びる第1面62aと、第1面62aに対し垂直に立設され互いに平行をなす第2面62b,62bとにより略凹状に形成されている。第1面62aの長手方向の長さ寸法L5は、第2面62bの長さ寸法L6、及び突出部20の長さ寸法L1よりも長寸とされ(L5>L6、L5>L1)、また、収容凹部40の第1面42aの長さ寸法L3とほぼ同寸とされている(L5≒L3)。
【0040】
(分割体)
図6に示されるように、取付部材34A,34Bの溝部39に、パッキン33A,33Bの本体部55を径方向の内側から押し込んで収容するとともに、取付部材34A,34Bの嵌合部43にパッキン33A,33Bの接続片56aを配置することで、分割体31A,31Bが構成される。尚、パッキン33Bの本体部55を取付部材34Bの溝部39に収容するときに、取付部材34Bの収容凹部40とパッキン33Bの切欠凹部60とが管軸方向に隣接して配置され、これら収容凹部40と切欠凹部60とにフランジ3Cの突出部20が収容可能となる。
【0041】
そして、上下の分割体31A,31Bを互いに突き合わせ、取付部材34A,34Bの接続部36,36の貫通孔37にボルトを挿通してナットを螺合し、接続部36,36同士をボルト・ナット32,32により接続することで円環状に形成される。このとき、パッキン33A,33Bのうち一方の接続凸部55aと他方の接続凹部55bとが互いに周方向に圧接される。
【0042】
(漏洩防止装置の取付け工程)
次に、漏洩防止装置30の取付け工程について、
図7~
図10を用いて説明する。尚、以下においては、露出配管または地中に埋設された既設の流体管1A,1Bと弁箱11とのフランジ継手部3,3に対して漏洩防止装置30,30を取付ける形態を例示する。尚、フランジ3A,3Cのフランジ継手部3とフランジ3B,3Cのフランジ継手部3とは同様に構成されているため、以下においては、フランジ3A,3Cのフランジ継手部3に漏洩防止装置30を取付ける工程を説明し、フランジ3B,3Cのフランジ継手部3に漏洩防止装置30を取付ける工程についての説明は省略する。
【0043】
先ず、
図7(a)(b)及び
図8(a)に示すように、フランジ3A,3C同士を接続する既存のボルト・ナット(図示略)を取外し、高い密封性を備えたボルト・ナット7に、1本ずつ又は数本ずつ交換する。ボルト・ナット7は、フランジ3A,3Cとの間にシールリング7dが配設されていることで、接続孔3cからの漏洩が防止される。尚、汎用のボルト・ナットを用いてシールワッシャを介在させて漏洩を防止してもよいし、両ネジまたは全ネジあるいは一部ネジのボルトを用い、その両端にシールワッシャを介してナットを取付けて漏洩を防止してもよい。
【0044】
次いで、各取付部材34A,34Bの溝部39にパッキン33A,33Bを収容して分割体31A,31Bを構成し、分割体31A,31Bをフランジ継手部3の外周に上下に配置する。このとき、分割体31Bについては、取付部材34Bの収容凹部40及びパッキン33Bの切欠凹部60が、フランジ3Cの突出部20に対応する位置、つまり、突出部20の直下に位置するように配置する。
【0045】
次いで、
図7(b)及び
図8(a)に示されるように、上方の分割体31Aを径方向の内側(下方)に向けて移動してフランジ継手部3の外周面3dの上半部に外嵌させ、下方の分割体31Bを径方向の内側(上方)に向けて移動してフランジ継手部3の外周面3dの下半部に外嵌させる。
【0046】
ここで、
図8(b)に示されるように、まず、最も径方向の内側に膨出した第1膨出部58がフランジ3A,3Bの対向面3b,3bの間隙に挿入されていく。詳しくは、第1膨出部58の管軸方向の幅寸法は、フランジ3A,3Cの離間幅寸法よりも大きいため、フランジ3A,3Bの対向面3b,3bと外周面3d,3dとで形成されるエッジ部分に第1膨出部58が圧接されながらフランジ3A,3Cの対向面3b,3bの間隙に挿入される。そのため、第1膨出部58における前記エッジ部分よりも外径側の部分(対向面3b,3bの間隙に挿入されていない部分)は、管軸方向に膨らむように弾性変形しながら(管軸方向の反力を得ながら)フランジ3A,3Cの対向面3b,3bの間隙に挿入されることとなり、これに伴い両側の第2膨出部59,59は管軸方向に位置決めされる。
【0047】
また、
図9に示されるように、第1膨出部58は、周方向の両端側が中央部より先にフランジ3A,3Bの対向面3b,3bの間隙に挿入され、分割体31A,31Bの径方向の内側への移動に応じて、間隙に挿入される部分が周方向の中央部に向けて拡がっていく。
【0048】
第1膨出部58における間隙に挿入される部分が周方向の中央部に向けて拡がっていくと、第2膨出部59,59における周方向の両側が中央部より先にフランジ3A,3Bの外周面3d,3dに当接する(
図8(b)参照)。そして、分割体31A,31Bの径方向の内側への移動に応じて、径方向の外側に向けて押し潰されていくとともに、押し潰される部分が周方向の中央部に向けて拡がっていく。このとき、第1膨出部58及び第2膨出部59,59間の溝部58m,58mと第2膨出部59,59の溝部59m,59mとは、第1膨出部58及び第2膨出部59,59の弾性変形の逃げ代として機能することで平坦となる(
図8(c)参照)。
【0049】
その後、上下の分割体31A,31Bの接続部36,36同士が近接したら、各々の貫通孔37にボルトを挿通してナットを螺合し、接続部36,36同士をボルト・ナット32,32により接続して仮設置する。ここで、
図9に示されるように、フランジ3Cの突出部20が分割体31A,31Bの収容凹部40及び切欠凹部60内に近接したとき、分割体31Bを周方向に回動させて、突出部20に対し収容凹部40及び切欠凹部60を対応する位置に配置し、仮設置した状態でボルト・ナット32,32を締付けていく。
【0050】
ここで、収容凹部40の第2面42b,42b及び切欠凹部60の第2面62b,62bと、ボルト・ナット32,32の貫通孔37と、は平行に設けられている。つまり、収容凹部40の第2面42b,42b及び切欠凹部60の第2面62b,62bは、ボルト・ナット32,32の締付け方向に対し平行に設けられているため、仮設置の際に、突出部20に対する収容凹部40及び切欠凹部60の周方向の位置を調整しておけば、あとはボルト・ナット32,32を締付けるだけで、突出部20を収容凹部40の第2面42b,42b及び切欠凹部60の第2面62b,62bに沿って案内して、収容凹部40及び切欠凹部60に容易に収容させることができる。
【0051】
また、収容凹部40の第2面42b,42bが突出部20の第2面21b,21bの周方向の外側に配置されることで、突出部20に対して収容凹部40及び切欠凹部60が周方向に僅かにずれた状態で径方向の内側に向けて移動してきた場合、収容凹部40の第2面42b,42bが突出部20の角部や第2面21b,21bに接触して径方向の内側に向けて摺動案内されるため、作業性が向上する。
【0052】
このように、分割体31A,31Bをフランジ継手部3の外周に仮設置した状態からボルト・ナット32,32を緊締すると、
図10に示されるように、突出部20が収容凹部40及び切欠凹部60に収容される。つまり、外周面3dの一部に突出部20を有するフランジ3Cに分割体31Bを外嵌させる場合に、取付部材34Bに形成された収容凹部40に突出部20を収容させることで、突出部20が取付部材34Bに接触して分割体31Bの径方向の内側への移動が阻害されることを回避できる。
【0053】
また、パッキン33Bにおいて、第1膨出部58とは別個に形成された第2膨出部59,59のうち、突出部20を有するフランジ3C側の第2膨出部59に突出部20を収容可能な切欠凹部60が形成されていることで、第2膨出部59の周方向の一部が突出部20により径方向の外側に向けて押圧され周方向に伸長することにより、その付近の第1膨出部58がフランジ3C,3Aの間隙から径方向の外側に引っ張られて密封状態が解除されて漏洩が生じることを防止できる。
【0054】
また、分割体31Bは、パッキン33Bにおける切欠凹部60に対応する部分に第2膨出部59が存在せず、また、取付部材34Bにおける収容凹部40に対応する部分に側壁部38bが存在しないことで、
図10に示されるように、フランジ3Cに分割体31Bが外嵌されて第1膨出部58がフランジ3Cにより圧縮されると、第1膨出部58における収容凹部40及び切欠凹部60に対応する部分が管軸方向に膨出しやすくなるが、突出部20が収容凹部40及び切欠凹部60に収容されることで、突出部20の第1凸部20a及び第2凸部20bにより第1膨出部58の管軸方向への膨出が阻止されるため、密封性の低下が防止される。
【0055】
また、取付部材34Bにおける突出部20に対応する部分には、該突出部20を収容可能な収容凹部40が形成されていることで、例えば、
図11に示されるように、フランジ継手部3が振動や地震等の不測の外力の発生により、取付部材34Bが、フランジ継手部3に対して管軸を中心として相対回動しようとする力が作用しても、突出部20と収容凹部40とが接触(干渉)することで、フランジ継手部3に対する取付部材34Bの周方向への大きな相対回動(例えば、
図11中の矢印方向への回動など)が規制され、これによりパッキン33Bの摺接による損傷や破損が防止されるため、漏洩防止効果を長期にわたり維持することができる。
【0056】
また、突出部20が収容凹部40に収容するように分割体31Bをフランジ継手部3の外周に外嵌することで、フランジ継手部3の外周面3dに対する各分割体31A,31Bの周方向の取付位置を容易に決定できるため、例えば、対角線上にある接続部36,36が水平となるように配置することができる。
【0057】
また、パッキン33A,33Bの一方の接続凸部55aと他方の接続凹部55bとが互いに周方向に嵌合して圧接されることで接続部56,56が密封状態で接続され、連続する環状のパッキンが構成される。
【0058】
このように、分割体31A,31Bの接続部36,36をボルト・ナット32,32により接続して該ボルト・ナット32,32を緊締することで、漏洩防止装置30がフランジ継手部3に固定される(
図1参照)。漏洩防止装置30をフランジ継手部3に固定して設置が完了した状態において、
図10に示されるように、フランジ3Cの突出部20は、分割体31Bの収容凹部40及び切欠凹部60に収容される。
【0059】
また、
図8(c)に示されるように、第1膨出部58によりフランジ3A,3Cの対向面3b,3b間とエッジ部分とに亘って密封することができるとともに、第2膨出部59,59によりフランジ3A,3Cの外周面3d,3dを密封することができる。つまり、フランジ3A,3Cの対向面3b,3bから外周面3d,3dに亘って面状に密封領域が形成されるため、フランジ継手部3の内部の流体圧力に対抗して漏洩を防止するための十分な密封力を得ることができ、また、取付部材34A,34Bを、パッキン33A,33Bを収容してフランジ3A,3Cに外嵌するだけで容易に施工することができる。
【0060】
また、第1膨出部58は、フランジ3A,3Cの対向面3b,3b間に対して管軸方向に圧接し、第2膨出部59,59は、フランジ3A,3Cの外周面3d,3dに対して径方向に圧接する。すなわち、第1膨出部58と第2膨出部59,59とがそれぞれ独立しているため、種々の方向からの内部流体の圧力に対抗することができる。
【0061】
(作用・効果)
以上説明したように、本発明の実施例としての漏洩防止装置30にあっては、円環状のフランジ3Aと外周面の一部に径方向の外側に突出する突出部20を有するフランジ3Cとが密封状に接続されたフランジ継手部3の外周に亘って密封し、フランジ継手部3における漏洩を防止する漏洩防止装置30であって、フランジ継手部3の外周に亘って密封するパッキン33A,33Bと、パッキン33A,33Bを収容する溝部39を有しフランジ継手部3に外嵌される取付部材34A,34Bと、を備え、取付部材34Bにおける突出部20に対応する部分には、該突出部20を収容可能な収容凹部40が形成されている。
【0062】
このようにすることで、フランジ継手部3が振動や地震等の不測の外力の発生により、取付部材34Bが、フランジ継手部3に対して管軸を中心として正逆方向のいずれに相対回動しても、突出部20と収容凹部40とが接触(干渉)することで、フランジ継手部3に対する取付部材34Bの周方向への相対回動が規制され、これによりパッキン33Bの損傷が防止されるため、漏洩防止効果を長期にわたり維持することができる。
【0063】
また、収容凹部40は、外壁部38aから径方向の内側に向けて立設される側壁部38bの内周縁に径方向の外側に向けて切り欠くように形成されていることで、取付部材34Bは、外壁部38aの外周面3dにおける収容凹部40に対応する部分を径方向の外側に向けて突出させることなく、他の取付部材34Aと同じように半円環形状に形成されていることで、取付部材34Aを切削加工することにより形成することもできるので、製造コストを低減できる。
【0064】
また、取付部材は、互いに連結可能な複数の取付部材34A,34Bからなり、該複数の取付部材34A,34Bのうち一の取付部材34Bに収容凹部40が形成されていることで、収容凹部40を形成することによる取付部材34Bの強度低下を最小限に抑えることができる。
【0065】
また、突出部20は、管軸に対し直交する上下方向を向く直線(例えば、上下方向を向く半径R)に平行な一対の第2面21b,21b(案内面)を有し、収容凹部40は、一対の第2面21b,21bに対向する互いに平行な一対の第2面42b,42b(被案内面)を有する。このようにすることで、取付部材34Bをフランジ継手部3に外嵌するときに、突出部20の一対の第2面21b,21bにより収容凹部40の一対の第2面42b,42bが径方向の内側に案内されるため、締付け作業が容易になるとともに、取付部材34Bの周方向への移動を好適に規制できる。
【0066】
また、パッキン33Bにおける突出部20に対応する部分に切欠凹部60が形成されていることで、取付部材34Bがフランジ継手部3に外嵌されたときに、パッキン33Bにおける突出部20に対応する部分が該突出部20により径方向の外側に向けて過剰に押圧されることで、その周辺部分が径方向の外側に引っ張られて密封状態が解除されてしまうことを防止できる。
【0067】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0068】
(変形例1)
次に、本発明の変形例1について、
図12に基づいて説明する。前記実施例では、収容凹部40が形成された取付部材34Bの外周面は円弧状に形成されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
図12(a)(b)に示されるように、本変形例としての分割体131Bは、取付部材34Bの外周面における収容凹部40に対応する位置に、径方向の外側に突出する突出部70が形成されていてもよい。この突出部70は、その下面70aが平坦面に形成されている。尚、突出部70は、突出部20と同じように、取付部材34Bの外壁部38aの外周面から径方向の外側に向けて突出するように形成されていればよい。
【0069】
このように、突出部20に対応する下方の分割体131Bには、取付部材34Bの外壁部38aの外周面に突出部70を形成することで、フランジ継手部3の外周に漏洩防止装置30を取付けることによってフランジ3Cの突出部20が被覆された状態であっても、取付部材34Bの突出部70が台座部として機能する。よって、
図12に示されるように、露出配管において設置面Y上に突出部70の下面70aを載置することで、仕切弁10を含む配管の荷重を下方から安定して受支することができる。
【0070】
(変形例2)
次に、本発明の変形例2について、
図13に基づいて説明する。前記実施例では、取付部材34Bに形成された収容凹部40は、突出部20の大きさに合わせて形成された形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、変形例2としての収容凹部140は、第1面42aの長手方向の長さ寸法L3Aが、突出部20の第1面21aの長手方向の長さ寸法L1よりも長寸で、かつ、前記実施例の長さ寸法L3よりも長寸とされている(L3A>L3>L1)。
【0071】
このように、収容凹部140が突出部20よりも大きい場合、突出部20の第2面21bと収容凹部140の第2面42bとの間にスペーサ部材80,80を配置して、突出部20の第2面21bと収容凹部140の第2面42bとの間に形成される間隙を小さくすることで、フランジ継手部3に対する取付部材34Bの周方向の回転を規制してもよい。このようにすることで、幅寸法が異なる複数種類の突出部20がある場合でも、収容凹部140が形成された一の取付部材34Bと適宜用意したスペーサ部材80で対応することができるため、取付部材の製造コストを抑制することができる。
【0072】
(変形例3)
次に、本発明の変形例3について、
図14に基づいて説明する。前記実施例では、第1膨出部58及び第2膨出部59,59は、溝部58m,58mにより第1膨出部58と第2膨出部59,59とがそれぞれ独立しているため、例えば、
図14に示される変形例3のように、径方向に位置ずれが生じた状態や径方向に寸法Lxの差があった状態で互いに接続されたフランジ103A,103Cであっても、取付部材34A,34Bを管軸方向に傾倒させることなく、第1膨出部58をフランジ103A,103Cの対向面3b,3b間に圧接させることができるとともに、第2膨出部59,59をフランジ103A,103Cの外周面3d,3dに圧接させることができる。
【0073】
(変形例4)
次に、本発明の変形例4について、
図15に基づいて説明する。前記実施例では、第2膨出部59,59は、径方向の内側に向けて断面視略半円形状に膨出する2つの頭部を有する二股状に形成された形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、
図15(a)に示されるように、パッキン133A,133Bの第2膨出部59A,59Aの頭部は、径方向の内側に向けて半円形状に膨出してなくてもよく、管軸方向に向けて平坦な平坦面にて形成されていてもよい。また、
図15(b)に示されるように、パッキン233A,233Bの第2膨出部59B,59Bの頭部は、径方向の内側に向けて半円形状に膨出する1つの頭部にて形成されていてもよい。
【0074】
このように、第2膨出部59,59や第1膨出部58の形状は前記実施例や本変形例4の形状に限定されるものではなく、種々に変形可能である。また、
図14(a)(b)に示される本変形例4の第2膨出部59A,59Aを有するパッキン133A,133Bや第2膨出部59B,59Bを有するパッキン233A,233Bに適用する場合において、切欠凹部60は、前記実施例と同様に、収容凹部40に対応する側の第2膨出部59A,59Bに形成されることが好ましい。
【0075】
このように、漏洩防止部材としてのパッキンの形状は種々に変更可能であり、前記実施例や本変形例のものに限定されるものではない。特に、前記実施例や変形例では、第1膨出部58と第2膨出部59,59とから構成されているが、特に第1膨出部58と第2膨出部59,59とに独立していなくてもよく、1の膨出部にて形成されていてもよい。また、各膨出部の断面視形状も半円形状に限定されるものではなく、半円形以外の形状であってもよい。
【0076】
(変形例5)
次に、本発明の変形例5について、
図16に基づいて説明する。
図16(a)(b)に示されるように、本変形例5の分割体331A,331Bは、前記実施例の分割体31A,31Bとは外形が異なるが、構成はほぼ同様であるため、同様の構成や部位については前記実施例の符号に「300」を加算した符号を付すことで詳細な説明は省略する。
【0077】
本変形例5の分割体331A,331Bは、取付部材334A,334Bのフランジ3C側の周縁に、径方向の内側に向けて突出する第1突出壁部90が周方向にわたり複数形成されている。一方、取付部材334A,334Bのフランジ3A側の周縁には、径方向の内側に向けて突出する第2突出壁部95が、反対側の各第1突出壁部90の周方向の両側に形成されている。また、第2突出壁部95には、管軸方向に貫通するネジ孔96aが形成されており、該ネジ孔96aにはボルト96が外側から螺挿されている。
【0078】
これによれば、第1突出壁部90と第2突出壁部95とが、フランジ継手部3の管軸方向の両側を挟むように配置されることで、分割体331A,331Bをフランジ継手部3の外周に仮設置する作業が容易である。また、第1突出壁部90を一方側のフランジ3Cに当接させながら漏洩防止装置330をフランジ継手部3に仮設置できるとともに、漏洩防止装置330をフランジ継手部3に固定した際に、ボルト96をネジ孔96aに螺挿することで、該ボルト96と第1突出壁部90とによりフランジ3C,3Aを管軸方向に挟み込んで、漏洩防止装置330が管軸方向に移動することを規制できる。
【0079】
(変形例6)
次に、本発明の変形例6について、
図17~
図19に基づいて説明する。
図17に示されるように、本変形例6の漏洩防止装置430の分割体431A,431Bは、前記実施例の分割体31A,31Bとは外形が異なるが、構成はほぼ同様であるため、同様の構成や部位については前記実施例の符号に「400」を加算した符号を付すことで詳細な説明は省略する。
【0080】
図17及び
図18に示されるように、本変形例6の分割体431A,431Bは、下方の取付部材434Bにおけるフランジ3C側の側壁部438bに、径方向の内側に向けて突出する突出壁部490a,490bが接続部436,436の近傍位置に形成されている。一方、取付部材434Bのフランジ3A側の側壁部438cに、径方向の内側に向けて突出する突出壁部491a,491bが接続部436,436の近傍位置に形成されている。尚、フランジ継手部3の両側方の突出壁部490aと突出壁部491a及び突出壁部490bと突出壁部491bは、周方向の同位置に互いに対向するように配設されている。
【0081】
また、突出壁部490a,490b及び突出壁部491a,491bには、管軸方向に貫通するネジ孔492a,492b,493a,493bが形成されており、各ネジ孔492a,492b,493a,493bにはボルト494a,494b,495a,495bが外側から螺挿されている。
【0082】
これによれば、
図17及び
図19に示されるように、突出壁部490aと突出壁部491a及び突出壁部490bと突出壁部491bが、フランジ継手部3の管軸方向の両側を挟むように配置されることで、分割体431A,431Bをフランジ継手部3の外周に仮設置する作業が容易になる。また、漏洩防止装置430をフランジ継手部3に固定した際に、ネジ孔492a,492b,493a,493bに螺挿したボルト494a,494b,495a,495bを締め付けることでフランジ3C,3Aが管軸方向に挟み込まれるため、漏洩防止装置430が管軸方向に移動することを規制できる。
【0083】
また、管軸方向の両側の突出壁部490a,491a、490b,491bのネジ孔492a,493a、492b,493bにボルト494a,495a、494b,495bが螺挿されていることで、管軸方向の両側でボルト494a,495a、494b,495bのねじ込み深さを調整することができるため、漏洩防止装置430のフランジ継手部3に対する管軸方向の取付位置の調整を容易に行うことができる。
【0084】
図17及び
図18に示されるように、上方の取付部材434Aは、外壁部438aの外周面が側面視円弧状に形成されている一方で、下方の取付部材434Bは、外壁部438aの下部における収容凹部440に対応する位置が外径方向に膨出して突出部470が形成され、その下面470aは平坦面状に形成されている。
【0085】
このように、突出部420に対応する下方の分割体431Bの下部に平坦面状の下面470aが形成されていることで、フランジ継手部3の外周に漏洩防止装置430を取付けることによってフランジ3Cの突出部420が被覆された状態であっても、取付部材434Bの突出部470及び下面470aが台座部として機能する。
【0086】
そして、突出部470が形成されたことにより、収容凹部440の第1面442aの長手方向の長さ寸法L43は、前記実施例の収容凹部40の第1面42aの長手方向の長さ寸法L3よりも長寸とされるとともに(L43>L3)、第2面442bの長手方向の長さ寸法L44は、前記実施例の第2面42bの長手方向の長さ寸法L4よりも長寸とされている(L44>L4)。
【0087】
このように収容凹部440が大きくなったことで、第1面442aと第2面442bとの間の角部が外壁部438aの内周面よりも外径方向に位置するため、収容凹部440を切削加工などにより形成する際に、外壁部438aの内周面における第1面442aと第2面442bとの間の角部に対応する部分に、切欠溝部450a,450b(
図18参照)が管軸方向の略中央位置に向けて延設される。
【0088】
また、特に図示しないが、パッキン433Bにおける切欠溝部450a,450bに対応する箇所は切り欠かれており、切欠溝部450a,450bにフランジ3Cの突出部420の角部が直接配置されるので、この切欠溝部450a,450b各々の側面450c(
図18参照)にフランジ3Cを当接させることで、フランジ3Cに対する取付部材434Bの管軸方向の取付位置を決定することができる。
【0089】
尚、本変形例6では、管軸方向に互いに対向して配置される一対の突出壁部490a,491a及び一対の突出壁部490b,491bを例示したが、一対の突出壁部は取付部材434Bに少なくとも1つ設けられていればよい。また、3つ以上設けられていてもよい。さらに、上方の取付部材434Aにも一対の突出壁部が設けられていてもよい。
【0090】
また、本変形例6では、突出壁部490a,491a及び一対の突出壁部490b,491bは管軸方向に互いに対向して配置される形態を例示したが、一対の突出壁部は、取付部材434Bにおける管軸方向の両端縁に各々設けられていれば、必ずしも管軸方向に互いに対向して配置されていなくてもよい。
【0091】
さらに、本変形例6では、管軸方向に互いに対向して配置される一対の突出壁部490a,491aの各々にネジ孔492a,493aが形成されているが、これに限らず、一対の突出壁部490a,491aのうちいずれか一方のみにネジ孔が形成されていてもよい。この場合でも、いずれか一方の突出壁部のネジ孔に螺挿したボルトと、他方の突出壁部の管軸方向の端面とによりフランジ継手部3を管軸方向に挟み込むことができる。同様に、一対の突出壁部490b,491bのうちいずれか一方のみにネジ孔が形成されていてもよい。
【0092】
また、前記実施例及び変形例1~6では、突出部20,320,420は、仕切弁10における弁箱11の上流側と下流側とに形成されたフランジ3Cに形成された形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、弁箱11の上流側と下流側とのうち少なくとも一方に形成されていてもよいし、流体管1A,1Bのうち少なくとも一方に形成されていてもよい。また、仕切弁10以外の配管部材に形成されていてもよい。
【0093】
また、前記実施例及び変形例1~6では、フランジ3Cの突出部20,320,420が外周面3dの下部に設けられた形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、外周面3dの下部以外の個所に設けられてもよい。また、外周面3dの複数個所に設けられていてもよい。また、突出部20,320,420は、流体管1A,1Bのフランジ3A,3B側に設けられていてもよい。
【0094】
また、前記実施例及び変形例1~6では、フランジ3Cの突出部20,320,420は、第1面21aと第1面21aに対し垂直な第2面21b,21bとにより、管軸方向視で略凸形状に形成された形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、管軸方向視で略三角形状や略半円形状等に形成されていてもよく、形状は種々に変更可能である。また、この場合、収容凹部40,340,440や切欠凹部60についても、突出部20,320,420の形状に応じた形状に変更すればよい。さらに、収容凹部40,340,440は、側壁部38b以外の個所(例えば、外壁部38aなど)に形成されていてもよい。
【0095】
また、前記実施例及び変形例1~6では、パッキン33B、133B,233B,333Bに切欠凹部60が形成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、密封に影響が及ぶものでなければ、必ずしもパッキン33B、133B,233B,333Bに切欠凹部60が形成されていなくてもよい。