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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138367
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20230922BHJP
   G01B 7/16 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A61B5/11 300
G01B7/16 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027519
(22)【出願日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2022044669
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】浅川 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】北村 厚
【テーマコード(参考)】
2F063
4C038
【Fターム(参考)】
2F063AA25
2F063BA29
2F063BD11
2F063EC00
2F063EC05
2F063EC06
2F063GA52
4C038VA05
4C038VB08
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】顎関節の歪みを簡単に測定する。
【解決手段】測定装置30は、ユーザの左右の顎関節の位置における顔の歪みを抵抗値として検出するセンサ部1A、1Bと、センサ部1A、1Bの出力する抵抗値に基づいて、ユーザの顎関節の歪みの有無を特定する左右差特定部22と、を備え、前記センサ部1A、1Bは、顔の左側面および右側面の顎関節の位置にそれぞれ1つ以上装着される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの左右の顎関節の位置における顔の歪みを抵抗値として検出するセンサ部と、
前記センサ部の出力する前記抵抗値に基づいて、前記ユーザの顎関節の歪みの有無を特定する左右差特定部と、を備え、
前記センサ部は、顔の左側面および右側面の顎関節の位置にそれぞれ1つ以上装着される、測定装置。
【請求項2】
前記ユーザの顔の左側面および右側面にそれぞれ複数個ずつ追加の前記センサ部を有し、
前記左右差特定部は、前記ユーザの顔の左側面に配置されたセンサ部の出力する抵抗値を総合した抵抗値と、前記ユーザの顔の右側面に配置されたセンサ部の出力する抵抗値を総合した抵抗値と、に基づき、前記ユーザの顎関節の歪みの有無を特定する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記ユーザの下顎および額関節の部分を少なくとも含む顔側面を覆うバンドと、
前記バンドの長さおよび/または締め付け力を調整可能なアクチュエータを備え、
前記アクチュエータは、前記左右差特定部の特定した前記顎関節の左右の歪み度合に応じて、前記バンドの長さおよび/または締め付け力を調整する、請求項1または2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記センサ部は前記バンドに固定されており、前記ユーザが前記バンドを装着することで、前記ユーザの顔の左側面および右側面の顎関節の位置に装着される、請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記センサ部は、粘着層を有する支持体によって前記ユーザの肌に接着されることで前記ユーザの顔の左側面および右側面の顎関節の位置に装着される、請求項1~3のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項6】
前記左右差特定部は、前記顎関節の左右の歪み度合に基づいて、前記ユーザの顎関節の左右のずれの度合を示す指標を特定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記センサ部は、ひずみセンサまたはひずみゲージである、請求項1~6のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記センサ部は、Cr、CrN、及びCrNを含む膜から形成された抵抗体を有するひずみゲージを含む、請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
ユーザの左右の顎関節の位置における顔の歪みを直接または間接的に検出するセンサ部と、
前記センサ部の出力に基づいて、前記ユーザの顎関節の歪みの有無を特定する左右差特定部と、を備え、
前記センサ部は、顔の左側面および右側面の顎関節の位置にそれぞれ1つ以上装着される、測定装置。
【請求項10】
前記ユーザの顔の左側面および右側面にそれぞれ複数個ずつ追加の前記センサ部を有し、
前記左右差特定部は、前記ユーザの顔の左側面に配置されたセンサ部の総合的な出力と、前記ユーザの顔の右側面に配置されたセンサ部の総合的な出力と、に基づき、前記ユーザの顎関節の歪みの有無を特定する、請求項9に記載の測定装置。
【請求項11】
前記ユーザの下顎および額関節の部分を少なくとも含む顔側面を覆うバンドと、
前記バンドの長さおよび/または締め付け力を調整可能なアクチュエータを備え、
前記アクチュエータは、前記左右差特定部の特定した前記顎関節の左右の歪み度合に応じて、前記バンドの長さおよび/または締め付け力を調整する、請求項9または10に記載の測定装置。
【請求項12】
前記センサ部は前記バンドに固定されており、前記ユーザが前記バンドを装着することで、前記ユーザの顔の左側面および右側面の顎関節の位置に装着される、請求項11に記載の測定装置。
【請求項13】
前記センサ部は、粘着層を有する支持体によって前記ユーザの肌に接着されることで前記ユーザの顔の左側面および右側面の顎関節の位置に装着される、請求項9~11のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項14】
前記左右差特定部は、前記顎関節の左右の歪み度合に基づいて、前記ユーザの顎関節の左右のずれの度合を示す指標を特定する、請求項9~11のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項15】
前記センサ部は、前記ユーザの左右の顎関節の歪みによって前記センサ部にかかる圧力および/または歪みを、磁気変化として検出する検出素子を有するひずみゲージを含む、請求項9~14のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項16】
前記検出素子は磁性体を含み、
前記検出素子は、前記センサ部にかかる圧力および/または歪みによって前記磁性体に圧力が加わったときの前記磁性体の磁化の強さの変化を検出する検出素子である、請求項15に記載の測定装置。
【請求項17】
前記検出素子は、磁性膜で絶縁膜を挟んだ磁気トンネル接合の構造を含んでおり、
前記検出素子は、前記センサ部にかかる圧力および/または歪みによって前記構造で発生する磁気変化を検出する検出素子である、請求項15に記載の測定装置。
【請求項18】
前記センサ部は半導体式のひずみゲージを含む、請求項9~14のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項19】
前記センサ部は静電容量式の圧力センサを含む、請求項9~14のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項20】
前記センサ部は光ファイバ式のひずみゲージを含む、請求項9~14のいずれか一項に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顎関節症などの疾患を予防または改善するため、顎関節の動きが正常か否かを測定する技術が開発されている。例えば、特許文献1では、外耳内に挿入した変位検出センサを用いて、下顎運動に起因する顎関節の動作に対応する変位を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-246574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、変位検出センサを外耳道に挿入する必要がある。したがって、耳の穴の形に添ったセンサ保持部を設計する必要がある上に、衛生上同じ装置を他の人が使用することに問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みたものであり、顎関節の歪みを簡単に測定可能な測定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の一態様に係る測定装置は、ユーザの左右の顎関節の位置における顔の歪みを抵抗値として検出するセンサ部と、前記センサ部の出力する前記抵抗値に基づいて、前記ユーザの顎関節の歪みの有無を特定する左右差特定部と、を備え、前記センサ部は、顔の左側面および右側面の顎関節の位置にそれぞれ1つ以上装着される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、顎関節の歪みを簡単に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る測定装置の概要を示す図である。
図2】前記測定装置の要部構成を示すブロック図である。
図3】ユーザの顎の開閉運動と、顎関節付近の皮膚の伸縮とを模式的に示した図である。
図4】実施形態1に係るひずみゲージを例示する平面図である。
図5】前記ひずみゲージを例示する断面図である。
図6】前記ひずみゲージの他の例を示す断面図である。
図7】実施形態2に係る測定装置の概要を示す図である。
図8】実施形態3に係るひずみセンサが単体の状態の圧力検出面側を示す斜視図である。
図9図8に示すひずみセンサの圧力検出側の正面図である。
図10】実施形態4に係るひずみゲージに含まれる検出素子の一例を示す平面図および断面図である。
図11】実施形態5に係るひずみゲージに含まれる検出素子の一例を示す斜視図、平面図、および断面図である。
図12】実施形態5に係るひずみゲージに含まれる検出素子の他の一例を示す斜視図、平面図、および断面図である。
図13】実施形態5に係るひずみゲージに含まれる検出素子の、更に他の一例を示す斜視図、平面図、および断面図である。
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。なお、以降の図面において、「右」「左」という用語は、図面上での左右を指すものとする。
【0010】
〔実施形態1〕
図1は、本実施形態に係る測定装置3の概要を示す図である。測定装置3は、ひずみセンサ1Aおよび1Bと、情報処理装置2とを含む。ひずみセンサ1Aは、測定装置3のユーザ(以下、単に「ユーザ」とも称する)の左側面の顎関節の位置に装着されている。ひずみセンサ1Bはユーザの右側面の顎関節の位置に装着されている。
【0011】
ひずみセンサ1Aおよび1Bの装着方法は特に限定されない。例えば、ひずみセンサ1Aおよび1Bは、パッチまたは絆創膏の粘着部分など、粘着層を有する支持体によってユーザの肌に接着されることで、ユーザの顔の左側面および右側面の顎関節の位置にそれぞれ装着される構成であってもよい。もしくは、ユーザの下顎および額関節の部分を少なくとも含む顔側面を覆うバンドまたはベルトのような支持体に、ひずみセンサ1Aおよび1Bを固定しておいてもよい。この場合、前述のバンドまたはベルトをユーザの顔側面に巻きつけて固定することで、ひずみセンサ1Aおよび1Bがちょうどユーザの顔の左側面および右側面の顎関節の位置にそれぞれ固定される。
【0012】
ひずみセンサ1Aおよび1Bはそれぞれ、ユーザの左右の顎関節の位置における顔の歪みを抵抗値として検出するセンサ部としてはたらく。具体的には、ひずみセンサ1Aは左の顎関節の位置における顔の歪みを抵抗値として検出する。ひずみセンサ1Bは、右の顎関節の位置における顔の歪みを抵抗値として検出する。ひずみセンサ1Aおよび1Bの種類は限定しないが、例えば、抵抗体ひずみゲージ、特にCr系の高感度ひずみゲージを用いたひずみセンサを好適に用いることができる。
【0013】
ひずみセンサ1Aおよび1Bはそれぞれ、情報処理装置2に抵抗値を送信する。情報処理装置2は、ひずみセンサ1Aおよび1Bから受信した抵抗値に基づいて、左右の顎関節の歪み度合を特定する。なお、図1では、情報処理装置2の例としてパーソナルコンピュータ(PC)を示しているが、情報処理装置2の種類は特に限定されない。例えば、情報処理装置2は、腕時計型のウェアラブルデバイスであってもよいし、スマートフォンであってもよいし、タブレットPCであってもよい。
【0014】
図2は、測定装置3の要部構成を示すブロック図である。なお、ひずみセンサ1Bの要部構成はひずみセンサ1Aと同様であるため、図2では記載を省略している。
【0015】
ひずみセンサ1Aは、ひずみゲージ12a、12b、12c、および12dと、アナログフロントエンド(AFE)13と、信号処理部14と、バッテリー15と、通信部16とを有している。
【0016】
ひずみゲージ12a、12b、12c、および12dはそれぞれ、ひずみセンサ1Aの貼り付け位置における歪みを抵抗値として検出する。ひずみゲージ12a、12b、12c、および12dの詳細な構造については後述する。
【0017】
アナログフロントエンド(AFE)13は、例えば、ブリッジ回路、増幅器、アナログ/デジタル変換回路(A/D変換回路)等を備えている。AFE13は、温度補償回路を備えていてもよい。ひずみゲージ12aの端子部はAFE13のブリッジ回路に接続されている。ブリッジ回路は、ひずみゲージ12aの抵抗体の抵抗値に対応した電圧(アナログ信号)を出力する。ブリッジ回路から出力された電圧は、増幅器で増幅された後、A/D変換回路によりデジタル信号に変換され、信号処理部14に送られる。AFE13が温度補償回路を備えている場合には、温度補償されたデジタル信号が信号処理部14に送られる。
【0018】
AFE13では、例えば、ひずみゲージ12a、12b、12c、12dの全ての端子部である電極125及び126(図4参照)がブリッジ回路に接続され、フルブリッジが組まれる。これにより、4つのひずみゲージ12a、12b、12c、12dの各抵抗体の抵抗値の変化に対応した電圧(アナログ信号)をブリッジ回路から出力することができる。
【0019】
このような構成の複数のひずみゲージ12a、12b、12c、12dの抵抗値が変化した場合には、ひずみゲージ12a、12b、12c、12dの位置関係が変化したことを検出できる。なお、本実施形態では、各ひずみセンサがそれぞれ4つのひずみゲージを有する例を示した。しかしながら、各ひずみセンサの有するひずみゲージの数は1個以上であれば、その数は特に限定されない。なお、ひずみセンサが1つのひずみゲージを有している場合、「ひずみセンサの抵抗値」とは、「ひずみゲージの抵抗値」と略同義である。なお、左右のひずみを検出する手段として、ひずみゲージが1つの場合は、1つのひずみゲージがセンサ部として働く。
【0020】
また、ひずみセンサ1Aにおいて、ひずみゲージ12a~12dの少なくとも一部、AFE13、信号処理部14、バッテリー15、および通信部16は、ひずみセンサ1A内に配置されていなくてもよい。例えば、各ひずみゲージを貼り付けた起歪体のみをユーザに装着させ、AFE13、信号処理部14、バッテリー15、および通信部16は、各ひずみゲージとケーブル等で接続された外部装置に内蔵されている構成であってもよい。あるいは、1つのひずみゲージそのものを直接ユーザに貼り付けて、当該ひずみゲージをAFE13、信号処理部14、バッテリー15、および通信部16に接続してもよい。このように、ひずみゲージとAFE13、信号処理部14、バッテリー15、および通信部16とを別体の構成とする場合、AFE13、信号処理部14、バッテリー15、および通信部16は、各ひずみゲージで共通の部材であってもよい。また、この場合、各ひずみゲージの出力値を通信部16を介して情報処理装置2に送り、情報処理装置2の側にAFE13、信号処理部14を設ける構成としてもよい。
【0021】
信号処理部14は、AFE13から送られたデジタル信号を、通信部16を介して情報処理装置2へ出力する。信号処理部14は、例えば、マイクロプロセッサや、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の演算部に加えて、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、メインメモリ等を含む構成とすることができる。信号処理部14は、例えば、情報処理装置2からの指示に応じてひずみゲージ12a、12b、12c、12dで抵抗値を取得するように指示したり、ひずみゲージ12a、12b、12c、12dからAFE13を介して出力された抵抗値を取得して送信する等指示したりするように、プログラムされている。信号処理部14の各種機能は、ROM等に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現できる。但し、信号処理部14の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。又、信号処理部14は、物理的に複数の装置等により構成されてもよい。
【0022】
バッテリー15は、ひずみセンサ1Aの各部に電力を供給する電源である。なお、ひずみセンサ1Aはバッテリー15を備える代わりに、外部電源から電力の供給を受けてもよい。通信部16は、ひずみセンサ1Aと情報処理装置2との間の通信を行う。具体的には、通信部16は、ひずみゲージ12aの出力する抵抗値を情報処理装置2に送信する。また、ひずみセンサ1Aが情報処理装置2の指示に基づき動作する場合、通信部16は、情報処理装置2からひずみセンサ1Aに対する制御指示を受信する。
【0023】
通信部16の通信方式は特に限定されない。例えば、通信部16は、Wifi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等、無線または有線LANなどの通信方式を用いてもよい。
【0024】
情報処理装置2は、通信部21と、制御部22とを少なくとも有する。また、情報処理装置2は、記憶部23および/または表示部24を有していてもよい。
【0025】
通信部21は、ひずみセンサ1Aおよび1Bの各通信部16から発信された抵抗値データを取得する。抵抗値データは、抵抗値そのものの値であってもよいし、抵抗値の変化量を示す値(後述する抵抗変化量)であってもよいし、これら両方を含んでいてもよい。また、情報処理装置2がひずみセンサ1Aおよび1Bに対して稼働/停止等の動作の指示を行う場合、通信部21は、ひずみセンサ1Aおよび1Bに対して制御指示を送信する。
【0026】
表示部24は、制御部22の処理内容および/または処理結果に関連する文字や画像等を表示する。表示の態様は特に限定されない。また、情報処理装置2は、表示部24とともに、もしくは表示部24の代わりに、音声出力部を備えていてもよい。そして、音声出力部は、制御部22の処理内容および/または処理結果に関連する音声を出力してもよい。
【0027】
記憶部23は、情報処理装置2の動作に必要な情報を記憶する。記憶部23は、例えば、閾値データと、相関データと、を記憶している。また、記憶部23には、制御部22が顎関節に歪みがあるか否かを判定する際の閾値が記憶されていてもよい。また、記憶部23には、ひずみセンサ1Aおよび1Bの抵抗値の差分の値と、当該差分の値に対応する、顎関節の歪みの大きさの指標と、を紐づけたデータである指標データが記憶されていてもよい。なお、ここで言う「指標」の基準は特に限定されない。例えば、歪み度合を「大」、「中」、および「小」の3段階で示してもよいし、レベル1~5の5段階で示してもよい。
【0028】
制御部22は、情報処理装置2を統括的に制御する。制御部22は、例えば、マイクロプロセッサや、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現することができる。また、制御部22はメモリを備えていてもよい。制御部22の各種機能は、ROM等に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現できる。但し、制御部22の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。又、制御部22は、物理的に複数の装置等により構成されてもよい。
【0029】
制御部22は、通信部21を介して、ひずみセンサ1Aおよび1Bから抵抗値を受信する。制御部22は、ひずみセンサ1Aおよび1Bから受信した抵抗値に基づいて、ユーザの左右の顎関節の歪み度合を特定する、左右差特定部として機能する。例えば、制御部は以下の処理手順で、ユーザの左右の額関節の歪み度合を特定する。
【0030】
まず初めに、制御部22は、ひずみセンサ1Aの抵抗値と、ひずみセンサ1Bの抵抗値を比較することで、いずれの抵抗値の方が高いか特定する。次に、制御部22は、両者のうち、大きい方の抵抗値から、小さい方の抵抗値を差し引く。これにより、ひずみセンサ1Aの抵抗値と、ひずみセンサ1Bの抵抗値の差分の値が算出される。次に、制御部22は、算出した差分の値が、記憶部23に記憶されている閾値以上であるか否かを判定する。差分が閾値以上である場合、制御部22は、ユーザの顎関節に歪みが生じていると判定する。制御部22は、判定結果を表示部24に表示させてもよい。
【0031】
なお、記憶部23に指標データが記憶されている場合、制御部22は、指標データを参照して、算出した差分の値に対応する指標を特定する。この場合も、制御部22は判定結果を表示部24に表示させてもよい。
【0032】
図3は、ユーザの顎の開閉運動と、顎関節付近の皮膚の伸縮とを模式的に示した図である。より詳しくは、図3の(a)は、ユーザが閉口(すなわち、口を閉じて歯を噛み締めずに静止した状態)している状態を示しており、図3の(b)および(c)はユーザが開口している状態を示している。また、図3の(b)および(c)に示す矢印は、顔の皮膚が主に伸びる方向とその伸び具合の大きさを示している。
【0033】
図3の(a)に示すように、ユーザが閉口しているとき、顔の皮膚の伸びは無い、もしくは非常に小さいものである。なお、制御部22は、このような閉口時のひずみセンサ1Aおよび1Bの抵抗値を取得して、これを閉口時抵抗値として、記憶部23に記憶させてもよい。
【0034】
ユーザが顎を開閉すると、顎関節のずれが無い場合、図3の(b)に示すように、左右の顎関節付近の顔の皮膚が同程度に伸び縮みする。したがって、制御部22が受信するひずみセンサ1Aの抵抗値と、ひずみセンサ1Bの抵抗値との差は小さい値となる。
【0035】
一方、顎関節のずれが有る場合、図3の(c)に示すように、ユーザの口の開き具合が左右で異なるため、顎関節付近の顔の皮膚の伸び具合が、左右で異なることとなる。したがって、制御部22が受信するひずみセンサ1Aの抵抗値と、ひずみセンサ1Bの抵抗値との差は顎関節のずれが無い場合に比べ、大きな値となる。
【0036】
このように、顎関節のずれが無い場合と、有る場合とで、ひずみセンサ1Aの抵抗値と、ひずみセンサ1Bの抵抗値との差分の値が変化する。したがって、顎関節のずれが無い場合の差分の値と、顎関節のずれが有る場合の差分の値と、の境界となる程度の値を閾値として定めて記憶部23に記憶しておくことが望ましい。これにより、制御部22において、額関節のずれの有無を適切に判定することができる。なお、この閾値は、測定装置3の出荷時に予め定められていてもよいし、測定装置3を使用するユーザによって登録および書き換えが可能であってもよい。後者の場合、例えば、ユーザは一度測定装置3を装着して、測定装置3に、顎を開閉する際の各ひずみセンサの抵抗値を測定させる。制御部22は、この測定結果に基づいて、前述の閾値を定め、記憶部23に記憶させる。
【0037】
以上の処理によれば、測定装置3は、顎関節の歪みを簡単に測定することができる。また、ユーザの顔の皮膚にひずみセンサ1Aおよび1Bを装着させるだけで額関節のずれを測定することができるため、衛生的である。また、測定装置3によれば、ひずみセンサ1Aおよび1Bを保持するための特殊なセンサ保持具が不要であり、ひずみセンサ1Aおよび1Bを簡単に着脱することができる。したがって、ユーザにとって利便性の高い測定装置を実現することができる。
【0038】
本実施形態では、ひずみセンサを左右に1つずつ設けた例について説明した。しかしながら、ひずみセンサは、顔の右側および左側それぞれに複数設けられていてもよい。この場合、左右それぞれ少なくとも1つのひずみセンサは、ユーザの額関節付近に装着されることが望ましい。顔の右側および左側それぞれに複数のひずみセンサを設ける場合、制御部22は、顔の右側のひずみセンサから受信した抵抗値を総合した抵抗値と、顔の左側のひずみセンサから受信した抵抗値を総合した抵抗値と、を比較し、これらの差分の値をとってよい。そして、これらの差分の値と、閾値とを比較し、顎関節のずれの有無を判定してもよい。なお、ここで言う「総合して」とは、例えば複数の抵抗値の平均値、合計値、最大値、または最小値をとることを意味する。
【0039】
[ひずみゲージの構成]
次に図4図5を参照してひずみゲージの構成について説明する。図4は、本発明の実施形態に係るひずみゲージを例示する平面図である。図5は、実施形態に係るひずみゲージを例示する断面図であり、図4のA-A線に沿う断面を示している。なお、下記ではひずみゲージ12aを用いて構成を説明するが、ひずみゲージ12b、12c、12dも同様の構成である。
【0040】
図4及び図5を参照すると、ひずみゲージ12aは、基材121と、抵抗体122と、配線123、124と、電極125、126と、カバー層127とを有している。なお、図4では、便宜上、カバー層127の外縁のみを破線で示している。なお、カバー層127は、必要に応じて設けることができる。
【0041】
図4に示すひずみゲージ12aは、基材121において構成要素がない側が、ユーザの肌、又はひずみセンサ1Aの梁部等に貼り付けられる。なお、左右の各センサ部において、ひずみゲージが1つの場合は、後述する起歪体等を設けずに、1つのひずみゲージがセンサ部となる。この際、基材121の構成要素がない側が接着剤等で梁部112aの下面(背面)に貼り付けられる。又、図4の平面視とは、基材121の上面121Fに対する上側から下側への法線方向で対象物を視ることを指すものとする。そして、平面形状とは、前記法線方向で対象物を視たときの、対象物の形状を指すものとする。
【0042】
基材121は、抵抗体122等を形成するためのベース層となる部材である。基材121は可撓性を有する。基材121の厚さは特に限定されないが、例えば、5μm~500μm程度であってよい。なお、起歪体または起歪体に相当する部材の外面から受感部へのひずみの伝達性、および、環境変化に対する寸法安定性の観点から考えると、基材121の厚さは5μm~200μmの範囲内であることが好ましい。また、絶縁性の観点から考えると、基材121の厚さは10μm以上であることが好ましい。
【0043】
基材121は、例えば、PI(ポリイミド)樹脂、エポキシ樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、LCP(液晶ポリマー)樹脂、ポリオレフィン樹脂等の絶縁樹脂フィルムから形成される。なお、フィルムとは、厚さが500μm以下程度であり、かつ可撓性を有する部材を指す。
【0044】
基材121が絶縁樹脂フィルムから形成される場合、当該絶縁樹脂フィルムには、フィラーや不純物等が含まれていてもよい。例えば、基材121は、シリカやアルミナ等のフィラーを含有する絶縁樹脂フィルムから形成されてもよい。
【0045】
基材121の樹脂以外の材料としては、例えば、SiO、ZrO(YSZも含む)、Si、Si、Al(サファイヤも含む)、ZnO、ペロブスカイト系セラミックス(CaTiO、BaTiO)等の結晶性材料が挙げられる。又、前述の結晶性材料以外に非晶質のガラス等を基材121の材料としてもよい。又、基材121の材料として、アルミニウム、アルミニウム合金(ジュラルミン)、チタン等の金属を用いてもよい。金属を用いる場合、金属製の基材121上に絶縁膜が設けられる。
【0046】
抵抗体122は、基材121の上側に所定のパターンで形成された薄膜である。ひずみゲージ12aにおいて、抵抗体122は、ひずみを受けて抵抗変化を生じる受感部である。抵抗体122は、基材121の上面121Fに直接形成されてもよいし、基材121の上面121Fに他の層を介して形成されてもよい。なお、図4では、便宜上、抵抗体122を濃い梨地模様で示している。
【0047】
抵抗体122は、複数の細長状部が長手方向を同一方向(図4の例では±横方向)に向けて所定間隔で配置され、隣接する細長状部の端部が互い違いに連結されて、全体としてジグザグに折り返す構造である。複数の細長状部の長手方向がグリッド方向となり、グリッド方向と垂直な方向がグリッド幅方向(図4の例では縦方向)となる。
【0048】
抵抗体122において、図4中、最も上側に位置する細長状部の左側の端部は、上方向に屈曲し、抵抗体122のグリッド幅方向の一方の終端122eに達する。また、図4中、最も下側に位置する細長状部の左側の端部は、下方向に屈曲し、抵抗体122のグリッド方向の他方の終端122eに達する。各々の終端122e及び122eは、配線123、124を介して、電極125、126と電気的に接続されている。言い換えれば、配線123、124は、抵抗体122のグリッド幅方向の各々の終端122e及び122eと各々の電極125、126とを電気的に接続している。
【0049】
抵抗体122は、例えば、Cr(クロム)を含む材料、Ni(ニッケル)を含む材料、又はCrとNiの両方を含む材料から形成することができる。すなわち、抵抗体122は、CrとNiの少なくとも一方を含む材料から形成することができる。Crを含む材料としては、例えば、Cr混相膜が挙げられる。Niを含む材料としては、例えば、Cu-Ni(銅ニッケル)が挙げられる。CrとNiの両方を含む材料としては、例えば、Ni-Cr(ニッケルクロム)が挙げられる。
【0050】
ここで、Cr混相膜とは、Cr、CrN、及びCrN等が混相した膜である。Cr混相膜は、酸化クロム等の不可避不純物を含んでいてもよい。
【0051】
抵抗体122の厚さは特に限定されないが、例えば、0.05μm~2μm程度であってよい。特に、抵抗体122の厚さが0.1μm以上である場合、抵抗体122を構成する結晶の結晶性(例えば、α-Crの結晶性)が向上する。また、抵抗体122の厚さが1μm以下である場合、抵抗体122を構成する膜の内部応力に起因する、(i)膜のクラックおよび(ii)膜の基材121からの反りが、低減される。
【0052】
横感度を生じ難くすることと、断線対策とを考慮すると、抵抗体122の幅は10μm以上100μm以下であることが好ましい。更に言えば、抵抗体122の幅は10μm以上70μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であるとより好ましい。
【0053】
例えば、抵抗体122がCr混相膜である場合、安定な結晶相であるα-Cr(アルファクロム)を主成分とすることで、ゲージ特性の安定性を向上させることができる。又例えば、抵抗体122がCr混相膜である場合、抵抗体122がα-Crを主成分とすることで、ひずみゲージ12aのゲージ率を10以上、かつゲージ率温度係数TCS及び抵抗温度係数TCRを-1000ppm/℃~+1000ppm/℃の範囲内とすることができる。ここで、「主成分」とは、抵抗体を構成する全物質の50重量%以上を占める成分のことを意味する。ゲージ特性を向上させるという観点から考えると、抵抗体122はα-Crを80重量%以上含むことが好ましい。更に言えば、同観点から考えると、抵抗体122はα-Crを90重量%以上含むことがより好ましい。なお、α-Crは、bcc構造(体心立方格子構造)のCrである。
【0054】
又、抵抗体122がCr混相膜である場合、Cr混相膜に含まれるCrN及びCrNは20重量%以下であることが好ましい。Cr混相膜に含まれるCrN及びCrNが20重量%以下であることで、ひずみゲージ12aのゲージ率の低下を抑制することができる。
【0055】
又、Cr混相膜におけるCrNとCrNとの比率は、CrNとCrNの重量の合計に対し、CrNの割合が80重量%以上90重量%未満となるようにすることが好ましい。更に言えば、同比率は、CrNとCrNの重量の合計に対し、CrNの割合が90重量%以上95重量%未満となるようにすることがより好ましい。CrNは半導体的な性質を有する。そのため、前述のCrNの割合を90重量%以上95重量%未満とすることで、TCRの低下(負のTCR)が一層顕著となる。更に、前述のCrNの割合を90重量%以上95重量%未満とすることで抵抗体122のセラミックス化を低減することができるため、抵抗体122の脆性破壊が起こりにくくすることができる。
【0056】
一方で、CrNは化学的に安定であるという利点も有する。Cr混相膜にCrNをより多く含むことで、不安定なNが発生する可能性を低減することができるため、安定なひずみゲージを得ることができる。ここで「不安定なN」とは、Cr混相膜の膜中に存在し得る、微量のNもしくは原子状のNのことを意味する。これらの不安定なNは、外的環境(例えば高温環境)によっては膜外へ抜け出ることがある。不安定なNが膜外へ抜け出るときに、Cr混相膜の膜応力が変化し得る。
【0057】
配線123、124は、基材121上に設けられている。配線123、124は、抵抗体122及び電極125、126と電気的に接続されている。配線123、124は、直線状には限定されず、任意のパターンとすることができる。また、配線123、124は、任意の幅及び任意の長さとすることができる。なお、図4では、便宜上、配線123、124を抵抗体122よりも薄い梨地模様で示している。
【0058】
電極125、126は、基材121上に設けられている。電極125、126は、配線123、124を介して抵抗体122と電気的に接続されている。電極125、126は、平面視において、配線123、124よりも拡幅して略矩形状に形成されている。電極125、126は、ひずみにより生じる抵抗体122の抵抗値の変化を外部に出力するための一対の電極である。電極125、126には、例えば外部接続用のリード線(不図示)が接合される。電極125、126の上面に、銅等の抵抗の低い金属層、または、金等のはんだ付け性が良好な金属層を積層してもよい。抵抗体122と配線123、124と電極125、126とは便宜上別符号としているが、両者は同一工程において同一材料により一体に形成することができる。なお、図4では、便宜上、電極125、126を配線123、124と同じ梨地模様で示している。
【0059】
カバー層127は、必要に応じて、基材121上に設けられる。カバー層127は、基材121の上面121Fに、抵抗体122及び配線123、124を被覆し電極125、126を露出するように設けられる。カバー層127の材料としては、例えば、PI樹脂、エポキシ樹脂、PEEK樹脂、PEN樹脂、PET樹脂、PPS樹脂、複合樹脂(例えば、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂)等の絶縁樹脂が挙げられる。なお、カバー層127は、フィラーや顔料を含有しても構わない。カバー層127の厚さは、例えば、2μm~30μm程度とすることができる。カバー層127を設けることで、抵抗体122に機械的な損傷等が生じることを抑制することができる。又、カバー層127を設けることで、抵抗体122を湿気等から保護することができる。
【0060】
ひずみゲージ12aにおいて、抵抗体122の材料としてCr混相膜を用いた場合、高感度化かつ、小型化を実現することができる。例えば、従来のひずみゲージの出力が0.04mV/2V程度であったのに対して、抵抗体122の材料としてCr混相膜を用いた場合は0.3mV/2V以上の出力を得ることができる。また、従来のひずみゲージの大きさ(ゲージ長×ゲージ幅)が3mm×3mm程度であったのに対して、抵抗体122の材料としてCr混相膜を用いた場合の大きさ(ゲージ長×ゲージ幅)は0.3mm×0.3mm程度に小型化することができる。
【0061】
したがって、抵抗体122の材料としてCr混相膜を用いたひずみゲージ12aは、起歪体またはそれに相当する部材に対してコンパクトに設置できるため、ユーザに装着されるひずみセンサ1A~1Fに適用される際、ユーザにとっての違和感を低減できる。また、抵抗体122の材料としてCr混相膜を用いたひずみゲージ12aは、従来のひずみゲージよりも高抵抗である。したがって、バッテリー15として電池でひずみゲージ12aを駆動する場合に、低消費電力化が可能となるため、電池寿命を長くし、より長く、あるいは繰り返し、顎運動を測定することができる。
【0062】
(ひずみゲージの他の積層構造)
図6は、実施形態のひずみゲージの他の例を示す断面図である。図6は、抵抗体122、配線123、124、及び電極125、126の下地層として機能層128を設けた場合のひずみゲージ12a-1の断面形状を示している。
【0063】
機能層128の平面形状は、例えば抵抗体122、配線123、124、及び電極125、126の平面形状と略同一にパターニングされてよい。しかしながら、機能層128と抵抗体122、配線123、124、及び電極125、126との平面形状は略同一でなくてもよい。例えば、機能層128が絶縁材料から形成される場合には、機能層128を抵抗体122、配線123、124、及び電極125、126の平面形状と異なる形状にパターニングしてもよい。この場合、機能層128は例えば抵抗体122、配線123、124、及び電極125、126が形成されている領域にベタ状に形成されてもよい。或いは、機能層128は、基材121の上面全体にベタ状に形成されてもよい。
【0064】
本構成では、配線等の構成要素が形成された金属層の下層に機能層128を設けることにより、金属層の結晶成長を促進可能となり、安定な結晶相からなる金属層を作製することができる。その結果、ひずみゲージ12a-1において、ゲージ特性の安定性が向上する。又は、機能層を構成する材料が金属層に拡散することにより、ひずみゲージ12a-1において、ゲージ特性が向上する。
【0065】
〔実施形態2〕
本開示の測定装置は、ユーザの下顎および額関節の部分を少なくとも含む顔側面を覆うバンドと、前記バンドの長さおよび/または締め付け力を調整可能なアクチュエータを備えていてもよい。以下、本開示の実施形態2について、図7を用いて説明する。なお、本実施形態において実施形態1と同様の部分については説明を繰り返さない。
【0066】
図7は、本実施形態に係る測定装置30の概要を示す図である。測定装置30は、バンド4と、アクチュエータ5とを含む点で、実施形態1に係る測定装置3と異なる。また、図7に示す測定装置30は、ひずみセンサ1Aおよび1Bの他に、追加のひずみセンサとしてひずみセンサ1C~1Fを含んでいる。ひずみセンサ1A、1C、1Eは顔の左側、ひずみセンサ1B、1D、1Fは顔の右側に、図示のように配置されている。
【0067】
バンド4は、ユーザの下顎および額関節の部分を少なくとも含む顔側面を覆うバンドである。バンド4は、アクチュエータ5によって長さおよび/または締め付け力を調整可能であれば、その材質、大きさ、および形状は特に限定されない。本実施形態では、ひずみセンサ1A~1Fは、バンド4に固定されている。そして、バンド4をユーザが装着することによって、ひずみセンサ1A~1Fがユーザの顔の肌に接触する(すなわち、各ひずみセンサがユーザに装着される)ことになる。
【0068】
なお、詳しくは後述するが、バンド4の長さおよび/または締め付け力はアクチュエータ5によって調整される。したがって、バンド4において、ひずみセンサ1A~1Fは、バンド4の長さおよび/または締め付け力が変わっても、ひずみセンサ1A~1Fの配置位置および位置関係が極端に変化しないような方法で固定されていることが望ましい。
【0069】
アクチュエータ5は、バンド4の長さおよび/または締め付け力を調整する装置である。本実施形態に係るアクチュエータ5は、実施形態1において説明した情報処理装置2を含んでおり、情報処理装置2としての機能も有する。アクチュエータ5は、制御部22における判定結果に応じて、アクチュエータ5に内蔵されたモータ等の駆動装置を駆動させることによって、バンド4の長さおよび/または締め付け力を調整する。例えば、アクチュエータ5は制御部22の判定結果に応じてモータを駆動させることにより、バンド4に取り付けられているギアを動作させる。そして、ギアの動作によって、バンド4の巻き取りまたは巻き出しが行われることで、バンド4の長さおよび/または締め付け力が調整される。
【0070】
例えば、制御部22が「額関節のずれ無し」と判定した場合、アクチュエータ5は特に稼働しない。一方、顎関節のずれが有る場合、アクチュエータ5は、制御部22左右いずれか、歪み(すなわち、ひずみセンサの抵抗値)が大きかった方のバンド4の長さを短くする、および/または締め付け力を強くする。これにより、左右の顎関節の歪みの差が小さくなるため、顎関節のずれを補正することができる。また、制御部22が顎関節のずれ度合を示す指標を特定する場合、アクチュエータ5は、当該指標に応じて、バンド4の長さおよび/または締め付け力の調整度合を変化させてもよい。例えば、指標が「ずれ大」の場合、「ずれ小」に比べて、バンド4の長さをより短くする、および/または、締め付け力をより強くすることとしてもよい。
【0071】
以上の処理によれば、測定装置30は顎関節のずれの有無の特定だけではなく、顎関節のずれの矯正を行うことができる。
【0072】
〔実施形態3〕
前記実施形態1に記載のひずみセンサ1Aおよび1Bは、周状の外周部分と、十字状の梁部とを備えていてもよく、前記ひずみセンサ1Aおよび1Bは前記十字状の梁部に設けられていてもよい。以下、本実施形態に係るひずみセンサ1Aおよび1Bについて図8図9を用いて説明する。以下の説明では一例としてひずみセンサ1Aについて説明するが、ひずみセンサ1Bも同様の構成であってよい。また、ひずみセンサを2個以上設ける場合、追加のひずみセンサ(例えば、ひずみセンサ1C~1F)についてもひずみセンサ1Aと同様の構成であってよい。
【0073】
図8は、ひずみセンサ1Aが単体の状態の圧力検出面側を示す斜視図である。図9は、ひずみセンサ1Aの圧力検出面側の正面図である。
【0074】
図8を参照すると、ひずみセンサ1Aは、肌と接触する圧力検出面以外は、筐体10で囲われている。筐体10は、筒壁101と、背面壁(不図示)と、を有している。
【0075】
そして、筐体10がない圧力検出面には、複数のひずみゲージ12a、12b、12c、12dが取り付けられた起歪体11が設けられている。
【0076】
また、圧力検出面において、起歪体11の外周側には、円環状の貼付部18が設けられている。実施形態1では、貼付部18の圧力検出面側は、肌に対して粘着する素材で構成されている。なお、実施形態2では、バンド4を巻き付けることによってひずみセンサ1A~1Fも肌に圧接するように設けられるため、貼付部18の圧力検出面側は粘着性を有する必要はなく、肌あたりをよくするためクッション性のあるスポンジ材等で構成される。あるいは、実施形態では、貼付部18は、設けられていなくてもよい。
【0077】
また、筐体10の内部には、フレキシブル基板である制御基板(不図示)が設けられている。そして、制御基板上には、図2に示したAFE13と、信号処理部14と、バッテリー15と、通信部16が設けられている。ひずみゲージ12a、12b、12c、12dはAFE13とリード線で接続されている。
【0078】
図8図9を参照して、起歪体11は、基部111と、梁部112a、112b、112c、112dと、負荷部113と、延伸部114a、114b、114c、114dとを有している。起歪体11は、例えば、平面視で4回対称の形状である。起歪体11の材料としては、例えば、SUS(ステンレス鋼)、銅、及びアルミニウム等を用いることができる。起歪体11は例えば平板状であり、各構成要素は、例えばプレス加工法等により一体に形成されている。起歪体11における、梁部112a、112b、112c、112dは平面であってもよいし、圧力検出側が凸となるようにドーム状等に突起した形状であってもよい。負荷部113を除く起歪体11の厚さは、例えば、一定であって、0.01mm以上0.25mm以下である。
【0079】
ひずみセンサ1Aにおいて、筐体10は起歪体11を保持する部分である。筐体10は円筒状であって、外側が塞がれ圧力検出側が開口されている。筐体10は、例えば、金属や樹脂等から形成できる。筐体10の圧力検出側の開口を塞ぐように、略円板状の起歪体11が接着剤等により固定されている。起歪体11は、複数のひずみゲージ12a、12b、12c、12dが配置されており、ひずみ量を検出する部分である。
【0080】
起歪体11において、基部111は、図8及び図9で示す円形の破線よりも外側の円形枠状(リング状)の領域である。なお、円形の破線よりも内側の領域を円形開口部と称する場合がある。つまり、起歪体11の基部111は、円形開口部を備えている。基部111の幅wは、例えば、1mm以上5mm以下である。基部111の内径d(すなわち、円形開口部の直径)は、例えば、5mm以上40mm以下である。
【0081】
梁部112a、112b、112c、112dは、基部111の内側を橋渡しするように設けられている。梁部112a、112b、112c、112dは、例えば、平面視で十字状に交差する2本の梁を有し、2本の梁の交差する領域は円形開口部の中心を含む。十字を構成する1本の梁が図9の横方向を長手方向とし、十字を構成する他の1本の梁が図9の縦方向を長手方向とし、両者は直交している。直交する2本の梁の各々は、基部111の内径d(円形開口部の直径)より内側にあり、かつ可能な限り長いことが好ましい。つまり、各々の梁の長さは、円形開口部の直径と略等しいことが好ましい。梁部112a、112b、112c、112dを構成する各々の梁において、交差する領域以外の幅wは一定であり、例えば、1mm以上5mm以下である。幅wが一定であることは必須ではないが、幅wを一定とすることで、ひずみをリニアに検出するできる点で好ましい。
【0082】
負荷部113は、梁部112a、112b、112c、112dの中央に設けられている。負荷部113は、例えば、梁部112a、112b、112c、112dを構成する2本の梁が交差する領域に設けられる。負荷部113は、梁部112a、112b、112c、112dの上面(圧力検出面)から突起している。梁部112a、112b、112c、112dの上面を基準とする負荷部113の突起量は、例えば、0.1mm程度である。梁部112a、112b、112c、112dは可撓性を有しており、負荷部113に負荷が加わると弾性変形する。
【0083】
4つの延伸部114a、114b、114c、114dは、平面視で基部111の内側から中央に向かって、梁部112a、112b、112c、112dの間で延伸する扇形の部分である。各々の延伸部114a、114b、114c、114dと梁部112a、112b、112c、112dとの間には、1mm程度の隙間が設けられている。なお、当該隙間を例えば0.05~0.2mm程度とした場合には、外部から筐体10内部へのコンタミ侵入を防止することが可能である。延伸部114a、114b、114c、114dは、ひずみセンサ1Aのセンシングには寄与しないため、設けなくてもよい。
【0084】
ひずみセンサ1Aにおいて、起歪体11の中央の負荷部113が、筐体10の筒壁101の開口部から突出して、ユーザの皮膚に接触可能な状態で、測定対象であるユーザの顎関節の位置に取り付けられる。
【0085】
ひずみセンサ1Aは、貼り付け前の状態において、起歪体11の負荷部113が、貼付部18よりも、外側に突出していることが好ましい。負荷部113が、外側(ユーザの皮膚側)に突出する場合、貼り付け前の突出量は3mm~7mm程度とすることが好ましい。
【0086】
この突出構成により、ひずみセンサ1Aが、顎関節、顎の角部、側頭筋の部分に装着された場合であっても、ひずみセンサ1Aが浮かびあがらず、肌や頭皮の外側面に適度な値の初圧をかけて、初期値でもひずみセンサ1Aは所定の抵抗値を示すことができる。
【0087】
ひずみゲージ12a、12b、12c、12dは、起歪体11の一方の面に設けられている。ひずみゲージ12a、12b、12c、12dは、例えば、梁部112a、112b、112c、112dの圧力検出面と対向する背面側に設けることができる。梁部112a、112b、112c、112dは平板状であるため、ひずみゲージを容易に貼り付けることができる。ひずみゲージ12a、12b、12c、12dは、1個以上設ければよいが、本実施形態では、4つのひずみゲージ12a、12b、12c、12dを設けている。4つのひずみゲージ12a、12b、12c、12dを設けることで、フルブリッジにより、ひずみを検出することができる。これにより、ひずみセンサの起歪体に傾きが発生した場合の、傾き(ひずみ)の向きも検出することができる。
【0088】
図9に示すように、4つのひずみゲージのうちの2つのひずみゲージ12b、12dは、梁の負荷部113に近い側(円形開口部の中心側)に、平面視で負荷部113を挟んで対向するように配置されている。4つのひずみゲージのうちの他の2つのひずみゲージ12a、12cは、梁の基部111に近い側に、平面視で負荷部113を挟んで対向するように配置されている。このような配置により、圧縮力と引張力を有効に検出してフルブリッジにより大きな出力を得ることができる。
【0089】
ひずみセンサ1Aは、負荷部113が、ユーザの顎関節の位置にある皮膚に当たるように貼り付けられて使用される。顎関節の動きに応じて負荷部113に負荷が加わって梁部112a、112b、112c、112dが弾性変形すると、ひずみゲージ12a、12b、12c、12dの抵抗体の抵抗値が変化する。ひずみセンサ1Aは、梁部112a、112b、112c、112dの変形に伴なうひずみゲージ12a、12b、12c、12dの抵抗体の抵抗値の変化に基づいて、顎関節のひずみを検出できる。
【0090】
<変形例1>
実施形態2に示す測定装置30において、アクチュエータ5と情報処理装置2とを別個の装置として設けてもよい。この場合、情報処理装置2とアクチュエータ5とは通信可能に接続されている。情報処理装置2の制御部22は、各ひずみセンサから抵抗値を受信すると、実施形態1に示したように、左右の額関節のずれの有無(および、ずれ度合を示す指標)を特定する。
【0091】
顎関節のずれが無い場合、制御部22は特に処理を行わない(表示部24には結果を表示してもよい)。一方、顎関節のずれが有る場合、制御部22は、左右いずれの額関節の歪みが大きいかを示す情報を、通信部21を介してアクチュエータ5に送信する。なお、顎関節のずれの指標を特定している場合、制御部22は、当該指標もアクチュエータ5に送信する。
【0092】
アクチュエータ5は情報処理装置2から受信した情報に基づき、バンド4の長さおよび/または締め付け力を調整する。例えば、左右いずれの額関節の歪みが大きいかを示す情報のみを受信している場合、アクチュエータ5は、バンド4の歪みが大きい方の部分の長さを短くする、および/または締め付け力を強くする。これにより、左右の顎関節の歪みの差が小さくなるため、顎関節のずれを補正することができる。
【0093】
[実施形態4]
上述した各実施形態およびその変形例では、本開示に係るセンサ部(ひずみセンサ1Aおよび1B)が、抵抗体を用いたひずみゲージを含む場合について説明した。すなわち、前記実施形態では、本開示に係るひずみゲージが電気抵抗式の金属ひずみゲージである場合について説明した。しかしながら、本開示に係るセンサ部に含まれるひずみゲージは金属ひずみゲージに限定されない。例えば、本開示に係るひずみゲージは、当該ひずみゲージに含まれる検出素子によって、起歪体(または、起歪体に相当する構造物)にかかる圧力および/またはひずみによって引き起こされる磁気変化を検出するひずみゲージであってもよい。
【0094】
具体的には、本開示に係るセンサ部は、ビラリ現象(後述)を利用した検出素子を有するひずみゲージを含んでいてもよい。また、本開示に係るセンサ部は、磁気トンネル接合(後述)の構造を有する検出素子を有するひずみゲージを含んでいてもよい。以下、実施形態4では、ビラリ現象を利用した検出素子を含むひずみゲージについて説明する。また、実施形態5では、磁気トンネル接合の構造を有する検出素子を含んだひずみゲージについて説明する。
【0095】
なお、本明細書の各実施形態では、同様の機能を有する部材には同様の名称および部材番号を付し、説明を繰り返さないこととする。また、以降の各実施形態に係る各図面(図10以降の図面)におけるx軸、y軸、およびz軸の方向は、図4図6で示したx軸、y軸、およびz軸の方向と同一である。また、以降の説明では、z軸の正方向を「上」、z軸の負方向を「下」と称する。すなわち、以降の説明において「上側」とはz軸の正方向側であり、「上面」はz軸の正方向側にある面を示す。また、「下側」とはz軸の負方向側であり、「下面」とはz軸の負方向側にある面を示す。
【0096】
図10は、実施形態4に係るひずみゲージに含まれる検出素子300の一例を示す図である。図10の(a)は検出素子300をz軸の正方向から負方向(すなわち、上面から下面側)に見下ろしたときの平面図である。一方、図10の(b)は、図10の(a)に示す検出素子300のα-α´直線での断面図を示している。なお、図10の(a)および(b)では、検出素子300から延びる配線は図示していない。しかしながら、検出素子300には、後述する駆動コイル320と電源とを接続する配線と、感知コイル380によって検出された電流を伝達するための配線が接続されていてもよい。
【0097】
図10の(a)に示す通り、検出素子300は、駆動コイル320と、感知コイル380と、ベース層310とを含む。ベース層310は駆動コイル320および感知コイル380の芯材となる層である。感知コイル380は、ベース層310(より厳密には、後述するベース金属370)の磁化の強さを検出するためのコイルである。駆動コイル320は、磁界を発生させるためのコイルである。検出素子300は、ベース層310を芯材として、感知コイル380が内側、そして駆動コイル320が外側に巻かれた2重構造を有している。なお、駆動コイル320および感知コイル380の材料は、Cu、Ag、Al、およびAu等の導電性金属、ならびに、これらの金属の合金であることが望ましい。また、駆動コイル320および感知コイル380の巻き数および断面積の大きさは、検出素子300に要求されるひずみの検知感度に応じて適宜設計されてよい。
【0098】
後で詳述するが、ベース層310に応力が加わると、ベース層310に含まれるベース金属370(後述)の磁化の強さが変化する。検出素子300は、感知コイル380でこの磁化の強さの変化を検出することによって、ベース層310にかかる応力の強さ(すなわち、ひずみ度合)を特定することができる。
【0099】
図10の(b)の断面図を参照して、検出素子300の構成について更に説明する。なお、図10の(b)において、駆動コイル320、感知コイル380、および3つの絶縁層340、350、および360はそれぞれ、芯材であるベース金属370を取り囲むように形成されている。すなわち、図10の(b)において同じ部材番号を付した層は、ベース金属370を取り囲んで繋がっている。
【0100】
ベース金属370は、各種コイルおよび絶縁層の芯材となる部材である。ベース金属370は、例えば略平板状の金属板であってよい。ベース金属370は絶縁層360で取り囲むように被覆されている。ベース金属370は、例えば、センダスト等のFe-Si-Al系合金、および、パーマロイ等のNi-Fe系合金等の軟磁性体材料で構成されることが望ましい。前述のベース層310は、図10の(b)に示す通り、このベース金属370と絶縁層360から成る。
【0101】
絶縁層360の外側には、絶縁層360を取り囲むように絶縁層350が形成される。そして、絶縁層350の外側には、更に絶縁層340が形成されている。絶縁層350は、感知コイル380を含む層であり、感知コイル380の間隙を絶縁材料で充填した層である。絶縁層340は、駆動コイル320を含む層であり、駆動コイル320の間隙を絶縁材料で充填した層である。絶縁層340、350、および360は、磁界に影響しないドライフィルムまたは感光性ポリイミド等のレジスト硬化物から成ることが望ましい。
【0102】
検出素子300の一面は、図10の(b)に示すように、基材110に貼り付けられていてよい。基材110は、検出素子300を固定する部材である。例えば、基材110は、プラスチックフィルム等で構成されるフレキシブル基板であってよい。検出素子300は基材110を介して起歪体11に貼り付けられる。なお、検出素子300は、全体として平板または薄膜状の検出素子であってもよい。検出素子300が平板または薄膜状である場合、検出素子300を基材110により容易に貼り付けることができる。また、検出素子300において基材110は必須の構成ではない。例えば、検出素子300に基材110を設けず、検出素子300の下面を起歪体11に直接貼り付けて使用してもよい。
【0103】
本実施形態に係る起歪体11は、基本的には実施形態1~3およびその変形例に係る起歪体11と同様の構成および材料であってよい。しかしながら、本実施形態において、起歪体11は、非磁性体から成ることがより望ましい。本実施形態に係る起歪体11は、例えば、非磁性ステンレスを材料として作製することができる。
【0104】
次に、検出素子300を用いてひずみを検出する原理を概説する。検出素子300は、磁性体であるベース金属370を含んでいる。電源から駆動コイル320に交流電流が供給されると、駆動コイル320はその周囲に交番磁界を生じさせる。これにより磁界が発生し、ベース金属370は磁化される。この状態で起歪体11が変形すると、ひずみが生じる。ひずみは基材110を伝わり、ベース金属370に応力が加わる。なお、検出素子300を、基材110を介さずに起歪体11に貼り付けている場合は、起歪体11からベース金属370(およびそれを被覆する絶縁層340~360)に直接応力が伝わる。
【0105】
ベース金属370に応力が加わると、その応力に応じてベース金属370の透磁率が変化する。したがって、ベース金属370の磁化の強さ(磁化の程度)が変化する。このように、磁性体に応力がかかると磁性体の透磁率および磁化の強さが変化する現象のことを「ビラリ現象」という。検出素子300の構成によれば、ピックアップコイルである感知コイル380には、ベース金属370の磁化の強さに応じた交流電圧が誘起される。したがって、ビラリ現象の原理に基づけば、この交流電圧の値から、ベース金属370にかかる応力を算出することができる。そして、当該算出した応力から、起歪体11のひずみ度合を特定することができる。なお、検出素子300が図10の(a)および(b)に示す形状である場合、検出素子300のグリッド方向は、図10の(a)におけるα-α´方向に等しい。以上説明した原理に基づいて、検出素子300は、起歪体11のひずみを検出することができる。すなわち、検出素子300は、センサ部の検出素子として機能する。
【0106】
なお、駆動コイル320は、感知コイル380の外側、かつ当該感知コイル380が存在している領域全体に、できる限り均一に巻き付けられることが望ましい。これにより、ベース金属370の、感知コイル380が存在する領域全体に、より均一に交番磁界を加えることができる。これにより、ビラリ現象によるベース金属370の磁化の強さの変化をより精密に検出することができる。したがって、検出素子300の性能が向上する。
【0107】
また、絶縁層360は、ベース金属370の全部ではなく一部に形成されていてもよい。例えば、ベース金属370のうち、感知コイル380および駆動コイル320を巻き付ける領域の部分を絶縁層360で覆い、絶縁層360の上から感知コイル380を含む絶縁層350で覆い、更に、絶縁層350の上から駆動コイル320を含む絶縁層340で覆うような構成であってもよい。
【0108】
また、ベース金属370が略平板状である場合、絶縁層360はベース金属370の、コイルを巻く方向のみ取り囲んで形成されていてもよい。すなわち、図10の(b)において、ベース金属370のx方向の両端部は絶縁層360で覆われていなくてもよい。
【0109】
本実施形態に係る測定装置において、起歪体11が変形する(すなわち、起歪体にひずみが生じる)と、ひずみゲージの基材110(または、検出素子300自体)がひずむ。検出素子300は、このひずみによって生じる磁性変化を、前述のビラリ現象の原理に基づき検出することができる。検出素子300を含むセンサ部は、検出結果を情報処理装置2に出力する。これにより、実施形態4に係る測定装置は、実施形態1~3に係る測定装置のように、センサ部の出力に基づいて、ユーザの顎関節の歪みの有無を特定することができる。
【0110】
本実施形態に係る検出素子300を含んだひずみゲージは、実施形態1~3およびその変形例で示したあらゆる配置パターンで起歪体11に配置可能である。すなわち、本実施形態に係る検出素子300を用いて、電気抵抗式のひずみゲージを用いたときと同様に起歪体11のひずみを検出することができる。したがって、本実施形態に係るひずみゲージは、実施形態1~3およびこれらの変形例に係るひずみゲージと同様の効果を奏する。
【0111】
[実施形態5]
図11は、実施形態5に係るひずみゲージに含まれる検出素子の一例である検出素子500を示す図である。図12は、実施形態5に係るひずみゲージに含まれる検出素子の他の一例である検出素子600を示す図である。また、図13は、実施形態5に係るひずみゲージに含まれる検出素子の更に他の一例である検出素子700を示す図である。図11~13の(a)はそれぞれ、検出素子500、600、および700の斜視図である。図11~13の(b)はそれぞれ、検出素子500、600、および700をz軸の正方向から負方向に見下ろしたときの平面図である。図11~13の(c)は、検出素子500、600、および700の、zx平面に平行な面での断面図である。なお、図11~13のいずれの図も、検出素子から延びる配線は図示していない。しかしながら、これらの検出素子500、600、および700には、後述する上流電極510と電源とを接続する配線と、下流電極520と電源とを接続する配線とが接続されていてもよい。
【0112】
図11~13の(a)に示す通り、検出素子500、600、および700は、上流電極510と、下流電極520と、磁性膜530と、絶縁膜540と、を含む。絶縁膜540は、図示のように磁性膜530で挟まれている。この磁性膜530と絶縁膜540によって、磁気トンネル接合が形成される。すなわち、検出素子500、600、および700は、磁気トンネル接合の構造に電極を接続した構造である。
【0113】
なお、検出素子500、600、および700の下面は、実施形態1~3に係る基材121と同様の基材に貼り付けられていてもよい。そして、検出素子500は基材を介して起歪体11に貼り付けられてよい。また、検出素子500、600、および700は、全体として平板または薄膜状の検出素子であってもよい。検出素子500、600、および700が平板または薄膜状である場合、検出素子500、600、および700を基材または起歪体11により容易に貼り付けることができる。また例えば、検出素子500、600、および700の下面を起歪体11に直接貼り付けて使用してもよい。
【0114】
磁性膜530は磁性ナノ薄膜である。絶縁膜540は絶縁体のナノ薄膜である。磁気トンネル接合の構造が形成可能であれば、磁性膜530と、絶縁膜540の材料は特に限定されない。例えば、磁性膜530としてコバルト鉄ボロン、または、Fe、Co、Niなどの3d遷移金属強磁性体及びそれらを含む合金等を用いることができる。また、絶縁膜540として、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムや酸化マグネシウム等を用いることができる。
【0115】
上流電極510および下流電極520は、磁気トンネル接合の構造に対し電圧を印加するための電極である。図11~13の例では、電流は上流電極510から下流電極520へと流れる。例えば図11の(c)の場合、上流電極510と下流電極520の間に電圧を印加すると、電子は上側(z軸正方向側)の磁性膜530から、絶縁膜540を超えて下側(z軸負方向側)の磁性膜530に流れ込む。これは「トンネル効果」と呼ばれている現象であり、電子が絶縁膜540を通過するときの電気抵抗は、「トンネル抵抗」と呼ばれている。なお、図11~13の例では、電極の各部の接合部は、磁気トンネル接合の構造をショートパスする電流が流れない様に端部が処理された構造となっている。
【0116】
ところで、基材110等を介して検出素子500にひずみがかかると、トンネル接合の構造において、磁気変化が起こる。より具体的には、上側と下側の磁性膜530の磁化方向がずれる。このように、上下の磁性膜530の磁化方向がずれると、磁化方向が平行な場合に比べて、トンネル抵抗が大きくなる(トンネル磁気抵抗効果)。したがって、前述の構成を備えた検出素子500では、検出素子500(より厳密には、磁気トンネル接合の部分)のひずみの大きさに応じて、電極間を流れる電流が小さくなる。すなわち、ひずみが大きくなるにつれ、電気抵抗が大きくなる。検出素子500は、このように、印加した電圧に対する電流値に基づきひずみを検出することができる。したがって、検出素子500を起歪体11に貼り付けることによって、起歪体11にかかるひずみを測定することができる。
【0117】
磁気トンネル接合の構造を有する検出素子は、図11に示した例に限定されない。例えば、図12および図13に示すような検出素子600および700を採用することも可能である。図12に示す検出素子600も、図13に示す検出素子700も、上流電極510、下流電極520、磁性膜530、および絶縁膜540で構成されること、および、これらの構成によってひずみを検出する原理については、検出素子500と同様である。また、検出素子600および700の基本的な動作についても、検出素子500と同様である。なお、検出素子500、600、および700のグリッド方向は、それぞれ図11図13におけるx軸方向(x軸の正方向およびx軸の負方向)に相当する。図12に示す検出素子600は図示の通り、上側の磁性膜530と下側の磁性膜530が、一部繋がった構造をしている。すなわち、磁性膜530の一部の領域においてのみ、磁気トンネル接合の構造が形成されており、当該構造においてトンネル磁気抵抗効果が生じる。一方、図13に示す検出素子700は、基板710を介して基材110に貼り付けられる。図11図13に示すように、検出素子は前述の原理を超えない範囲であれば、要求されるサイズ、耐久性、および検出すべき応力の大きさ等に応じて、適宜その設計が変更されてよい。
【0118】
なお、本実施形態に係る起歪体11は、基本的には実施形態3に係る起歪体11と同様の構成および材料であってよい。しかしながら、本実施形態において、起歪体11は、非磁性体から成ることがより望ましい。本実施形態に係る起歪体11は、例えば、非磁性ステンレスを材料として作製することができる。また、検出素子500、600、および700は素子全体として、フィルム型などの略平板状の形状であってよい。これにより、起歪体11に、検出素子500を容易に貼り付けることができる。また、検出素子500、600、および700は、駆動コイル等、磁気トンネル接合の構造部分に対して、微弱な磁界を印加するための構造を有していてもよい。磁気トンネル接合の構造部分に対して磁界を印加することにより、前述のトンネル磁気抵抗効果をより安定して測定することができるため、安定してひずみを検出することができる。
【0119】
また、検出素子500、600、および700における「上流電極」および「下流電極」は便宜上の名称であり、電流の流れる方向は逆であってもよい。つまり、図11図13で示した検出素子500、600、および700において、下流電極520の方から、上流電極510の方へと電流が流れる設計であってもよい。
【0120】
本実施形態に係る測定装置において、起歪体11が変形する(すなわち、起歪体にひずみが生じる)と、ひずみゲージの基材(または、検出素子500、600、または700自体)がひずむ。検出素子500、600、または700は、このひずみによって生じる磁性変化を、前述のトンネル磁気抵抗効果の原理に基づき検出することができる。検出素子500、600、または700を有するひずみゲージを含むセンサ部は、検出結果を情報処理装置2に出力する。これにより、実施形態5に係る測定装置は、実施形態1~3に係る測定装置のように、センサ部の出力に基づいて、ユーザの顎関節の歪みの有無を特定することができる。
【0121】
本実施形態に係る検出素子500、600、および700を含んだひずみゲージは、実施形態1~3およびその変形例に示したあらゆる配置パターンで起歪体11に配置可能である。すなわち、本実施形態に係る検出素子500、600、および700を用いて、電気抵抗式のひずみゲージを用いたときと同様に起歪体11のひずみを検出することができる。したがって、本実施形態に係るひずみゲージは、実施形態1~3およびその変形例に係るひずみゲージ12a,12b,12c,および12dと同様の効果を奏する。
【0122】
[実施形態6]
本開示に係るセンサ部は、実施形態1~3に示したひずみゲージとは異なる種類のひずみゲージ、または圧力センサを含んでいてもよい。例えば、本開示に係るセンサ部は、半導体式のひずみゲージ、静電容量式の圧力センサ、または光ファイバ式のひずみゲージを含んでいてもよい。また、本開示に係るセンサ部は、機械式圧力センサ、振動式圧力センサ、または圧電式圧力センサを含んでいてもよい。以下、各種ひずみゲージ及び圧力センサの原理を説明する。
【0123】
(半導体式のひずみゲージ)
半導体式のひずみゲージは、半導体の圧抵抗効果を利用してひずみを検出するひずみゲージである。すなわち、半導体式のひずみゲージは、半導体をひずみの検出素子として用いるひずみゲージである。
【0124】
半導体に応力が印加されると、半導体の結晶格子にひずみが生じて半導体中のキャリアの数及び移動度が変化するため、結果として電気抵抗が変化することが知られている。半導体式のひずみゲージは、電気抵抗式の金属ひずみゲージと同様、起歪体11に直接貼り付けて使用することができる。この場合、起歪体11が伸縮すると、貼り付けられた半導体(より詳しくは、半導体の結晶格子)がひずみ電気抵抗が変化する。そのため、当該電気抵抗を測定することで起歪体11のひずみ量を特定することができる。
【0125】
また、半導体式のひずみゲージは、ダイアフラム構造を備えたひずみセンサとして構成することもできる。この場合、ひずみセンサは例えば、非金属のダイアフラム(又は、金属ダイアフラム上に電気絶縁層を形成したもの)と、当該ダイアフラムの上に形成された半導体(例えば、シリコン薄膜の半導体)と、を有する。そして、この様にダイアフラムを含む構造において、ダイアフラムに印加された垂直応力によりダイアフラムがひずむと、半導体の電気抵抗が変化する。そのため、当該電気抵抗を測定することでダイアフラムのひずみ量(ひいては、起歪体11のひずみ量)を特定することができる。
【0126】
(静電容量式の圧力センサ)
静電容量式の圧力センサは、ダイアフラムにかかる圧力を一対の電極の静電容量の変化として計測する圧力センサである。すなわち、静電容量式の圧力センサは、一対の電極を検出素子として用いる圧力センサである。静電容量式の圧力センサは例えば、可動電極としてのダイアフラムと、1つ以上の固定電極と、を備える。ダイアフラムは例えば不純物を含んだシリコン(すなわち、導体として機能するシリコン)等で形成される。
【0127】
ダイアフラムに圧力が印加されると、当該ダイアフラムが変位し、固定電極と可動電極との間の距離が変化する。電極間の静電容量は、電極間媒質の誘電率と電極の面積が一定ならば、電極間の距離に応じて定まることが知られている。したがって、静電容量を計測することで、ダイアフラムの変位量(すなわち、圧力の大きさ)を特定することができる。
【0128】
(光ファイバ式のひずみゲージ)
光ファイバ式のひずみゲージとは、ファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG)が形成されている光ファイバを用いてひずみを検出するひずみゲージである。すなわち、光ファイバ式のひずみゲージは、光ファイバをひずみの検出素子として用いるひずみゲージである。FBGは光ファイバの他の部分とは異なる光の反射を起こす回折格子であり、この格子の一つ一つは一定間隔で形成されている。光ファイバがひずんで伸びると、FBGの格子間隔が広がるため、光ファイバに入射した光(例えば、レーザ光)の反射光の波長が変化する。また、光ファイバがひずんで縮むと、FBGの格子間隔は狭くなるため、ファイバに入射した光(例えば、レーザ光)の反射光の波長が変化する。
【0129】
このような特性を有する光ファイバを起歪体11に貼り付けておき、光ファイバの反射光の波長スペクトルを計測することで、光ファイバのひずみ量(すなわち、起歪体11のひずみ量)を特定することができる。なお、光ファイバ式のひずみゲージは、光ファイバ内で生じるブリルアン散乱光の周波数の変化から当該光ファイバのひずみ量を特定するひずみゲージであってもよい。
【0130】
(機械式圧力センサ)
機械式圧力センサは機械的構造物の変位量を計測することで、当該構造物にかかる圧力を特定するセンサである。機械式圧力センサは、例えば、ばね又は曲げた管を備えており、このばねの伸縮量又は曲げた管の伸縮量を計測する。これらの伸縮量(すなわち、変位量)は、ばね又は曲げた管にかかる圧力の大きさに応じて変化する。したがって、当該伸縮量を計測することで、ばね又は曲げた管にかかる圧力を特定することができる。なお、ばね又は曲げた管の形状や大きさは、機械式圧力センサの取り付け対象の大きさ及び形状に応じて適宜定められてよい。
【0131】
(振動式圧力センサ)
振動式圧力センサは、弾性梁の固有振動数が、当該弾性梁の軸に沿って生じる圧力(すなわち、軸力)によって変化するという現象を利用して圧力を検出するセンサである。振動式圧力センサは、電気抵抗式の金属ひずみゲージと同様、起歪体11に直接貼り付けて使用することができる。また例えば、振動式圧力センサは、基板上に形成されたダイアフラムと、当該ダイアフラムの表面に形成された梁状の振動子と、で構成される圧力センサであってもよい。
【0132】
いずれの場合でも、起歪体11がひずむと、その圧力は直接または間接的に振動子に伝わり、振動子に軸力が生じる。振動子の固有振動数は、軸力に応じて変化する。したがって、振動子の固有振動数を計測することで、起歪体11に対する圧力の大きさを特定することができる。
【0133】
(圧電式圧力センサ)
圧電式圧力センサとは、圧電素子(ピエゾ素子とも称する)を含んでおり、この圧電素子の特性を用いて圧力を検出するセンサである。圧電素子は、力が加わり変形する(ひずむ)と、その力に応じた起電力を発生する特性を持っている。また、圧電素子は、電圧をかけると、その電圧に応じた力を発生させて伸縮する特性を持っている。
【0134】
圧電式圧力センサは、圧電素子の起電力を測定することで、圧電素子にかかった力(すなわち、圧電素子のひずみ量)を特定することができる。したがって、圧電式圧力センサを起歪体11に貼り付けておくことで、起歪体11のひずみ量を特定することができる。
【0135】
以上の説明の通り、半導体式のひずみゲージ、静電容量式の圧力センサ、光ファイバ式のひずみゲージ、機械式圧力センサ、振動式圧力センサ、および圧電式圧力センサを用いた場合でも、実施形態1~3およびその変形例に係るひずみゲージ12a,12b,12c,および12dと同様に、起歪体11のひずみ、及び/又は起歪体11にかかる圧力を検出することができる。即ち、実施形態6に係るひずみゲージまたは圧力センサは、起歪体11を介して、ユーザの左右の顎関節の位置における顔の歪みを間接的に検出する。そして、実施形態6の各種ひずみゲージまたは圧力センサを含むセンサ部は、検出結果を情報処理装置2に出力する。これにより、実施形態4~6に係る測定装置は、実施形態1~3に係る測定装置のように、センサ部の出力に基づいて、ユーザの顎関節の歪みの有無を特定することができる。
【0136】
なお、実施形態4~6に係るひずみゲージまたは圧力センサは、起歪体11ではなく、ユーザの肌(例えば、顎関節、顎の角部、側頭筋のある部位の肌等)に直接装着されてもよい。この場合、実施形態4~6に係るひずみゲージまたは圧力センサは、ユーザの肌表面のひずみを、起歪体11を介さず直接受ける。即ち、この場合、実施形態4~6に係るひずみゲージまたは圧力センサは、各センサ部として、ユーザの左右の顎関節の位置における顔の歪みを直接検出する。そして、実施形態4~6に係る各種ひずみゲージまたは圧力センサを含むセンサ部は、検出結果を情報処理装置2に出力する。これにより、実施形態4~6に係る各種ひずみゲージまたは圧力センサを含むセンサ部を有する測定装置は、センサ部の出力に基づいて、ユーザの顎関節の歪みの有無を特定することができる。それ以外は、実施形態4~6に係るに係るひずみゲージまたは圧力センサの作用および効果は、各実施形態において先に説明したものと同様である。
【0137】
以上、好ましい実施形態等について詳説した。しかしながら、本開示に係る測定装置は、上述した実施形態および変形例等に限定されない。例えば、上述した実施形態等に係る測定装置について、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0138】
1A,1B,1C,1D,1E,1F ひずみセンサ(センサ部)、 2 情報処理装置、 3 測定装置、 4 バンド、 5 アクチュエータ、 10 筐体、 11 起歪体、 12a,12b,12c,12d ひずみゲージ(センサ部)、 16 通信部、 18 貼付部、 20 情報処理装置、 21 通信部、 22 制御部(左右差特定部)、 23 記憶部、 30 測定装置、 300,500,600,700 検出素子、310 ベース層、320 駆動コイル、340,350,360 絶縁層、370 ベース金属、380 感知コイル、510 上流電極、520 下流電極、530 磁性膜、540 絶縁膜、710 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13