(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138381
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】燃焼器用の燃料供給システム
(51)【国際特許分類】
F02C 7/224 20060101AFI20230922BHJP
F02C 7/228 20060101ALI20230922BHJP
F23R 3/34 20060101ALI20230922BHJP
F23R 3/28 20060101ALI20230922BHJP
F01K 23/10 20060101ALI20230922BHJP
F01K 17/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
F02C7/224
F02C7/228
F23R3/34
F23R3/28 A
F01K23/10 T
F01K17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023031753
(22)【出願日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】17/697,285
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ミランダ、カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ、マイケル ジョン
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BA11
3G081BB00
3G081BC07
3G081BD00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水素などの代替燃料を燃焼させるための適応性があり効率的な燃焼システムを可能にする燃焼器用燃料供給システムを提供する。
【解決手段】ガスタービン燃焼システム400は、燃焼器の燃焼室に燃料を噴射するように構成された少なくとも2つの噴射段402、414、416、418、420を有する燃焼器を含む。燃料供給回路404は、少なくとも2つの噴射段と流体連通しており、燃料供給部406から噴射段に燃料を供給する。燃料供給回路は、少なくとも2つの枝路を含み、各枝路は、対応する噴射段に流体的に結合される。ガスタービン燃焼システム400は、熱流体供給部412に流体的に結合された少なくとも1つの熱交換器410を更に含む。それぞれの熱交換器410は、少なくとも2つの枝路のうちの少なくとも1つの枝路に熱的に連通するように配置され、それぞれの枝路内の燃料の温度を変更する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン燃焼システム(400、500)であって、
少なくとも2つの噴射段(402、414、416、418、420、502、514、516、518)を含む燃焼器(18)であって、各噴射段は、前記燃焼器(18)の燃焼室(170)に燃料を噴射するように構成されている、燃焼器(18)、
少なくとも2つの噴射段(402、414、416、418、420、502、514、516、518)と流体連通し、第1の燃料供給部(250、252、254、406、506)から前記少なくとも2つの噴射段(402、414、416、418、420、502、514、516、518)に燃料を供給する燃料供給回路(404、504)であって、前記燃料供給回路(404、504)は、少なくとも2つの枝路(408、424、426、428、430、524、526、528)を含み、前記少なくとも2つの枝路(408、424、426、428、430、524、526、528)の各々の枝路は、前記少なくとも2つの噴射段(402、414、416、418、420、502、514、516、518)のうちの対応する噴射段に流体的に結合される、燃料供給回路(404、504)、及び
熱流体供給部(412、448、513、519)に流体的に結合された少なくとも1つの熱交換器(410、434、436、438、440、515、517)であって、前記少なくとも1つの熱交換器(410、434、436、438、440、515、517)の第1の熱交換器は、前記少なくとも2つの枝路(408、424、426、428、430、524、526、528)のうちの第1の枝路に熱的に連通するように配置され、前記第1の枝路(408、424、426、428、430、524、526、528)内の燃料の温度を変更する、少なくとも1つの熱交換器(410、434、436、438、440、515、517)
を含む、ガスタービン燃焼システム(400、500)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの噴射段(402、414、416、418、420、502、514、516、518)は、前記燃焼器(18)の軸方向中心線(270)に対して互いに軸方向に間隔を空けて配置されている、請求項1に記載のガスタービン燃焼システム(400、500)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの噴射段(402、414、416、418、420、502、514、516、518)のうちの第1の噴射段(414)が、端部カバー(142)に取り付けられた燃料ノズル(140)であって、燃料の第1の流れを前記燃焼器(18)の一次燃焼領域(172)に噴射するよう構成された燃料ノズル(140)であり、燃焼ライナ(146)が、前記燃料ノズル(140)から下流に後方フレーム(218)まで延在し、前記少なくとも2つの噴射段(402、414、416、418、420、502、514、516、518)の第2の噴射段(416)が、前記燃焼ライナ(146)に結合された噴射器(200、204)であって、前記燃料ノズル(140)の下流に配置された噴射器(200、204)であり、前記噴射器(200、204)は、前記燃料の第2の流れを前記燃焼器(18)の二次燃焼領域(174)に噴射するように構成される、請求項2に記載のガスタービン燃焼システム(400、500)。
【請求項4】
前記少なくとも2つの枝路(408、424、426、428、430、524、526、528)は、前記少なくとも2つの噴射段(402、414、416、418、420、502、514、516、518)のうちの第1の噴射段(414)に流体的に結合された前記第1の枝路(424)と、前記少なくとも2つの噴射段(402、414、416、418、420、502、514、516、518)のうちの第2の噴射段(416)に流体的に結合された第2の枝路(426)とを含む、請求項1に記載のガスタービン燃焼システム(400、500)。
【請求項5】
前記第2の枝路(426)は、前記第1の熱交換器(434)の下流において、前記第1の枝路(424)から延在する、請求項4に記載のガスタービン燃焼システム(400、500)。
【請求項6】
前記燃料供給回路(404、504)は、前記第1の燃料供給部(406、506)に流体的に結合された第3の枝路(428)であって、前記少なくとも2つの噴射段(402、414、416、418、420、502、514、516、518)のうちの第3の噴射段(418)まで延在する第3の枝路(428)を含む、請求項4に記載のガスタービン燃焼装置(400、500)。
【請求項7】
前記燃料供給回路(504)は、前記第1の枝路(524)と、前記第2の枝路(526)及び前記第3の枝路(528)のうちの一方の枝路との間に延在するバイパスライン(554)を含む、請求項6に記載のガスタービン燃焼システム(400、500)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの熱交換器(410、434、436、438、440、515、517)は、前記第1の枝路(424)に熱的に連通するように配置された前記第1の熱交換器(434)と、前記第2の枝路(426)に熱的に連通するように配置された第2の熱交換器(436)と、前記第3の枝路(428)に熱的に連通するように配置された第3の熱交換器(438)とを含む、請求項6に記載のガスタービン燃焼システム(400,500)。
【請求項9】
前記少なくとも2つの枝路(408、424、426、428、430、524、526、528)は、前記少なくとも2つの噴射段(402、414、416、418、420、502、514、516、518)のうちの第1の噴射段(414)に流体的に結合された第1の枝路(424)と、前記少なくとも2つの噴射段のうちの第2の噴射段(416)に流体的に結合された第2の枝路(426)とを含み、第3の枝路(428)が、第2の燃料供給部(252)に流体的に結合され、前記少なくとも2つの噴射段(402、414、416、418、420、502、514、516、518)のうちの第3の噴射段(420)まで延在し、前記第3の枝路(428)は、前記第1の燃料供給部(250)から流体的に分離されている、請求項1に記載のガスタービン燃焼システム(400、500)。
【請求項10】
前記燃料供給回路(404、504)は、前記第1の燃料供給部(406、506)から延在する主ライン(422、522)を更に含み、前記少なくとも2つの枝路(408、524、526、528)は前記主ライン(422、522)から延在する、請求項1に記載のガスタービン燃焼システム(400、500)。
【請求項11】
主熱流体供給部(448)に流体的に結合され、前記少なくとも1つの熱交換器(410、515、517)の上流において、主ライン(422、522)に熱的に結合するように配置された主熱交換器(446)を更に含む、請求項9に記載のガスタービン燃焼システム(400、500)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの熱交換器(410、515、517)は、高エネルギー熱交換器(515)及び低エネルギー熱交換器(517)のうちの一方の熱交換器である、請求項1に記載のガスタービン燃焼システム(400、500)。
【請求項13】
複合サイクル発電所(CCPP)(10)であって、
ガスタービン燃焼システム(400、500)と、
蒸気タービン(22)と、
前記ガスタービン(12)と前記蒸気タービン(22)との間に配置された熱回収蒸気発生器(HRSG)(32)であって、前記ガスタービン(12)と前記蒸気タービン(22)に流体的に結合された熱回収蒸気発生器(HRSG)(32)と
を含み、
前記ガスタービン燃焼システム(400、500)は、請求項1から12のうちのいずれか一項に記載のガスタービン燃焼システムである、複合サイクル発電所(CCPP)(10)。
【請求項14】
前記熱流体供給部(412、448、513、519)は、前記HRSG(32)に流体連通している、請求項13に記載のCCPP(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ガスタービン燃焼器の1つ以上の段に燃料を供給するためのシステムに関する。特に、本開示は、ガスタービン燃焼器の1つ以上の段に燃料を供給し、独立して燃料を加熱するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合サイクル発電所(CCPP)などのガスタービン発電所は、一般に、ガスタービンを含んでおり、ガスタービンは、圧縮機部、燃焼器部、タービン部、ガスタービンの下流に配置される熱回収蒸気発生器(HRSG)、及びHRSGと流体連通する少なくとも1つの蒸気タービンを有している。運転中、空気がインレットシステムを通って圧縮機に入り、その空気は、燃焼器を少なくとも部分的に取り囲む圧縮機の吐出口又はディフューザケーシングに向けて送られ、次第に圧縮される。圧縮された空気の少なくとも一部は燃料と混合され、燃焼器内の燃焼室で燃焼され、これによって、高温・高圧の燃焼ガスが発生する。
【0003】
燃焼ガスは、燃焼器からタービン部の高温ガス経路に沿って流れ、タービン部で、燃焼ガスは、固定ベーンとローターシャフトに連結された回転可能なタービンブレードとの交互の段を流れるときに次第に膨張する。運動エネルギーは燃焼ガスからタービンブレードに伝達され、したがってローターシャフトが回転する。ローターシャフトの回転エネルギーは、発電機によって電気エネルギーに変換することができる。燃焼ガスはガスタービンから排気ガスとして排出され、排気ガスはHRSGに流入する。排気ガスの熱エネルギーは、HRSGの1つ以上の熱交換器を流れる水に伝達され、それによって過熱蒸気が生成される。過熱された蒸気は蒸気タービンに送られ、更に電気を発生するために使用することができ、したがって、発電所全体の効率を高めることができる。
【0004】
従来のガスタービンエンジンは1つ以上の燃焼器を含んでおり、燃焼器は、燃焼室内で天然ガスと空気の混合物を燃焼させ、高温高圧の燃焼ガスを発生させる。副産物として、窒素酸化物(NOx)及びその他の汚染物質(CO2など)が発生し、排気部によって排出される。ガスタービンからの排出を低くする規制の要求は更に厳しく、絶えず大きくなっており、世界中の環境機関は、新しいガスタービンと既存のガスタービンとの両方のガスタービンからNOx及びその他の汚染物質が排出される割合を更に低くするよう要求している。
【0005】
天然ガスと大量の水素の混合物を燃焼させるか、及び/又は天然ガスの代わりに純水素を燃焼器内で燃焼させると、NOx及びその他の汚染物質(CO2など)の排出が大幅に削減又は排除されると考えられる。しかし、水素の物理的特性は天然ガスとは異なるため、燃焼特性が異なり、それによって、例えば、燃焼力学の度合い、燃焼器を通る質量流量、燃料ノズルから出る火炎速度などが決定される。したがって、燃料を供給し燃焼する従来のシステムは、高濃度の水素及び/又は純水素を問題なく燃焼器に供給することができない。例えば、水素は反応性が高いので、従来の燃焼システム内で単に高濃度の水素及び/又は純水素を燃料として提供するだけで、燃焼火炎がノズルによって供給されている燃料に向かって移動するフラッシュバック又は火炎保持状態を促進し、比較的短時間でノズルに深刻な損傷を与える恐れがある。
【0006】
更に、従来の燃焼システムに供給される天然ガス燃料を加熱して、燃料供給と燃焼器に入る圧縮空気との間の温度差を小さくし、それによって所望の燃焼温度に到達するのに必要とされる燃料の量を減らし、ガスタービンの出力を増加させることが一般的である。水素含有燃料を加熱すると、燃料の密度が下がり、燃料の速度が増加するため、上述の問題が悪化する恐れがある。
【0007】
このように、水素などの代替燃料を燃焼させるための適応性があり効率的な燃焼システムを可能にする改良された燃料供給システムが望まれており、このような燃料供給システムは当該技術分野で高く評価されると考えられる。
【発明の概要】
【0008】
本開示によるガスタービン燃焼システム及び複合サイクル発電所の態様及び利点は、以下の発明を実施するための形態において部分的に説明されている、発明を実施するための形態から明らかである、又は技術を実施することによって知ることができる。
【0009】
一実施形態によれば、ガスタービン燃焼システムが提供される。ガスタービン燃焼システムは、少なくとも2つの噴射段を含む燃焼器であって、各噴射段は、前記燃焼器の燃焼室に燃料を噴射するように構成されている、燃焼器を含んでいる。ガスタービン燃焼システムは、更に、少なくとも2つの噴射段と流体連通し、燃料供給部から前記少なくとも2つの噴射段に燃料を供給する燃料供給回路を含む。前記燃料供給回路は、少なくとも2つの枝路を含む。前記少なくとも2つの枝路の各々の枝路は、前記少なくとも2つの噴射段のうちの対応する噴射段に流体的に結合される。ガスタービン燃焼システムは、更に、熱流体供給部に流体的に結合された少なくとも2つの熱交換器を含む。前記少なくとも2つの熱交換器の各熱交換器は、前記少なくとも2つの枝路のうちの対応する枝路に熱的に連通するように配置され、前記対応する枝路内の燃料の温度を変更する。
【0010】
別の実施形態によれば、ガスタービン燃焼システムが提供される。ガスタービン燃焼システムは、第1の噴射段、第2の噴射段、及び第3の噴射段を含む燃焼器を含み、各噴射段は、流体を燃焼器の燃焼室に噴射するように構成されている。ガスタービン燃焼システムは、少なくとも第1の噴射段及び第2の噴射段と流体連通する燃料供給回路であって、流体としての燃料を第1の噴射段及び第2の噴射段の各々に供給する燃料供給回路を更に含む。燃料供給回路は、第1の噴射段まで延在する第1の枝路と、第2の噴射段まで延在する第2の枝路とを含んでいる。ガスタービン燃焼システムは、第1の枝路及び第2の枝路のうちの一方の枝路に熱的に連通するように配置された少なくとも1つの熱交換器を更に含む。
【0011】
更に別の実施形態によれば、複合サイクル発電所(CCPP)が提供される。CCPPはガスタービンを含み、ガスタービンは、ガスタービン燃焼システムと、蒸気タービンと、前記ガスタービンと前記蒸気タービンとの間に配置された熱回収蒸気発生器(HRSG)とを含む。ガスタービン燃焼システムは、少なくとも2つの噴射段を含む燃焼器を含み、各噴射段は、前記燃焼器の燃焼室に燃料を噴射するように構成されている。ガスタービン燃焼システムは、少なくとも2つの噴射段と流体連通し、燃料供給部から前記少なくとも2つの噴射段に燃料を供給する燃料供給回路を更に含む。前記燃料供給回路は、少なくとも2つの枝路を含む。前記少なくとも2つの枝路の各枝路は、前記少なくとも2つの噴射段のうちの対応する噴射段に流体的に結合される。ガスタービン燃焼システムは、熱流体供給部に流体的に結合された少なくとも2つの熱交換器を更に含む。前記少なくとも2つの熱交換器の各熱交換器は、前記少なくとも2つの枝路のうちの対応する枝路に熱的に連通するように配置され、前記対応する枝路内の燃料の温度を変更する。
【0012】
本発明のガスタービン燃焼システム及び複合サイクル発電所の上記の及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を参照することにより、より理解される。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本技術の実施形態を示し、本明細書とともに、本技術の原理を説明する助けとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のガスタービン燃焼システム及び複合サイクル発電所を当業者が完全に実現できるようにするための開示は、本システム及び方法を製造及び使用するための最良の態様を含んでおり、添付の図を参照する本明細書に記載されている。
【
図1】本開示の実施形態に係る複合サイクル発電所(CCPP)を概略図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る燃焼器の断面概略図である。
【
図3】本開示の実施形態に係るバンドルチューブ燃料ノズルの一部の断面側面図である。
【
図4】本開示の実施形態に係るガスタービン燃焼システムの概略図である。
【
図5】本開示の実施形態に係るガスタービン燃焼システムの概略図である。
【
図6】本開示の実施形態に係るガスタービン燃焼システムの概略図である。
【
図7】本開示の実施形態に係るガスタービン燃焼システムの概略図である。
【
図8】本開示の実施形態に係るガスタービン燃焼システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明のガスタービン燃焼システム及び複合サイクル発電所の実施形態について詳細に説明するが、ガスタービン燃焼システム及び複合サイクル発電所の1つ以上の実施例が図面に示されている。各実施例は、技術を限定するのではなく、説明するために記載されている。実際、請求された技術の範囲又は趣旨から逸脱することなく、本技術において修正及び変形できることは、当業者には明らかである。例えば、一実施形態の一部として図示された又は説明された特徴を、別の実施形態に使用して、更に別の実施形態を得ることができる。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれるような修正及び変形を含むことが意図されている。
【0015】
本明細書では、単語「例示的」は、「一実施例、一例、又は一実例としての役割を果たす」という意味で使用される。本明細書において「例示的」なものとして説明される実装は、必ずしも、他の実装よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。更に、別段の定めがない限り、本明細書で説明される全ての実施形態は、例示的であると考えるべきである。
【0016】
発明を実施するための形態では、数字及び文字による符号を使用して図面中の特徴を参照している。図面及び発明を実施するための形態における類似の符号は、本発明の類似の構成要素を表すために使用されている。本明細書において、用語「第1」、「第2」、及び「第3」は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために互換可能に使用することができ、個々の構成要素の位置又は重要性を意味することを意図するものではない。
【0017】
用語「流体」は、気体であってもよいし、液体であってもよい。用語「流体連通」は、流体が指定された領域間を接続できることを意味する。用語「熱的に連通する」は、第1の流体が第2の流体と直接接触することなく、第1の流体と第2の流体との間の障壁又は壁を通って熱が伝達されることを意味する。
【0018】
本明細書において、用語「上流」(又は「前方」)及び「下流」(又は「後方」)は、流体経路における流体の流れに対する相対的な方向を表す。例えば、「上流」は、流体が流れて来る方向を表し、「下流」は、流体が流れて行く方向を表す。ただし、本明細書で使用する用語「上流」及び「下流」は、電気の流れを表す場合もある。用語「軸の」又は「軸方向に」は、特定の構成要素(例えば、燃焼器又はガスタービン)の軸方向中心線に対して実質的に平行及び/又は同軸に並ぶ相対的な方向を表す。用語「半径の」又は「半径方向に」は、特定の構成要素の軸方向中心線に対して実質的に垂直である相対的な方向を表す。用語「円周の」又は「周方向に」は、特定の構成要素の軸方向中心線の周りの相対的な方向を表す。
【0019】
「およそ」、「約」、「概ね」、及び「実質的に」などの近似の用語は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくとも一部の例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応する場合や、構成要素及び/若しくはシステムを構築若しくは製造するための方法若しくは機械の精度に対応する場合がある。例えば、近似を表す文言は、個々の値、値の範囲、及び/又は値の範囲を画定する端の値のいずれかにおいて、1%、2%、4%、5%、10%、15%、又は20%のマージン内にあることを表す場合がある。角度又は方向の文脈で使用される場合、このような用語は、言及された角度又は方向より10度大きい又は小さい範囲内の値を含む。例えば、「概ね垂直」は、垂直から任意の方向(例えば、時計回りの方向又は反時計回りの方向)に対して10度以内の方向を含む。
【0020】
用語「結合された」、「固定された」、「に取り付けられた」などは、本明細書で特段の記載が無い限り、直接的に結合されている、直接的に固定されている、又は直接的に取り付けられていることと、1つ以上の構成要素又は特徴部分が介在することによって間接的に結合されている、間接的に固定されている、又は間接的に取り付けられていることの両方を表す。本明細書において、用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、又はそれらの用語の他の変形は、非排他的に包含することを意図している。例えば、特徴部分のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの特徴部分のみに限定されるわけではなく、明示的に列挙されていない他の特徴部分又はそのようなプロセス、方法、物品、又は装置に固有の特徴部分を含むことができる。更に、明示的に反対のことを定めていない限り、「又は」は「包括的な又は」を意味し、「排他的な又は」を意味するものではない。例えば、条件A又はBは、「Aが真(又は存在する)でBが偽(又は存在しない)」、「Aが偽(又は存在しない)でBが真(又は存在する)」、及び「A及びBの両方が真(又は存在する)」、のいずれかを満たす。
【0021】
ここで、並びに本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、範囲を限定する部分は、組み合わされ、交換され、そのような範囲は特定され、文脈又は文言が他のことを示していない限り、その範囲に含まれる全てのサブ範囲を含む。例えば、本明細書に開示される全ての範囲は、その範囲の端の値を含み、その端の値を独立して互いに組み合わせることが可能である。
【0022】
図1は、複合サイクル発電システム又は複合サイクル発電所(CCPP)10の一実施形態の概略的なフロー図である。CCPP10は、第1の負荷14を駆動するためのガスタービン12を含むことができる。第1の負荷14は、例えば、電力を生成するための発電機とすることができる。ガスタービン12は、タービン部16と、燃焼器18と、圧縮機部20とを含むことができる。タービン部16と圧縮機部20は、1つ以上のシャフト23によって接続することができる。
【0023】
ガスタービン12の運転中、空気などの作動流体が圧縮機部20に流入し、圧縮機部20で空気が次第に圧縮され、したがって、燃焼器18に圧縮空気が供給される。圧縮空気は燃料と混合され、各燃焼器18内で燃焼して燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、燃焼器18から高温ガス経路を通ってタービン部16に流入し、エネルギー(運動エネルギー及び/又は熱エネルギー)が燃焼ガスからロータブレードに伝達され、1つ以上のシャフト23が回転する。そして、機械的な回転エネルギーを使用して、圧縮機部20に電力を供給すること、及び/又は負荷14によって電気を発生させることができる。そして、タービン部16から出る加熱された排気ガス34は、ガスタービン12から排気され、熱回収蒸気発生器(HRSG)32に流入し、排気スタック(図示せず)を通って大気中に放出することができる。
【0024】
また、CCPP10は、第2の負荷24を駆動するための蒸気タービン22を含むことができる。第2の負荷24は、電力を発生する発電機とすることができる。しかしながら、第1の負荷14と第2の負荷24との両方は、ガスタービン12及び蒸気タービン22によって駆動可能な他のタイプの負荷であってもよい。更に、ガスタービン12及び蒸気タービン22は、図示された実施形態に示されるように、別個の負荷14、24を駆動することができるが、ガスタービン12及び蒸気タービン22をタンデムで利用して、単一のシャフトによって単一の負荷を駆動してもよい。図示された実施形態では、蒸気タービン22は、1つの低圧部26(LP ST)、1つの中圧部28(IP ST)、及び1つの高圧部30(HP ST)を含むことができる。しかしながら、ガスタービン12と同様に、蒸気タービン22の具体的な構成は、実装ごとに固有のものであってよく、任意の部分の組合せを含んでいてもよい。
【0025】
また、CCPP10は、複数の段を有するHRSG32を含むことができる。図示された実施形態におけるHRSG32の構成要素は、HRSG32を簡略化して示したものであり、限定することを意図するものではない。図示されたHRSG32は、そのようなHRSGシステムの一般的な動作を説明するために示されている。ガスタービン12からの加熱された排気ガス34は、HRSG32に流れて、蒸気タービン22に動力を供給するために使用される蒸気を加熱するために使用することができる。蒸気タービン22の低圧部26からの排気は、凝縮器36に供給することができる。次に、凝縮器36からの凝縮水は、凝縮水ポンプ38の助けよって、HRSG32の低圧部に供給することができる。
【0026】
凝縮水は、低圧エコノマイザ40(LPECON)を通って流れることができる。低圧エコノマイザ40は、より高い温度のガスで給水(例えば、凝縮水)を加熱するように構成された装置である。凝縮水は、低圧エコノマイザ40から低圧蒸発器42(LPEVAP)に流入させてもよいし、中圧エコノマイザ44(IPECON)に向けて供給してもよい。低圧蒸発器42からの蒸気は、蒸気タービン22の低圧部26に戻すことができる。同様に、凝縮水は、中圧エコノマイザ44から、中圧蒸発器46(IPEVAP)に流入させてもよいし、高圧エコノマイザ48(HPECON)に向けて供給してもよい。更に、中圧エコノマイザ44からの水及び/又は蒸気は、1つ以上の燃料熱交換器(例えば、再熱器60)に送ることができる。燃料熱交換器では、水及び/又は蒸気を使用して、ガスタービン12の燃焼器18で使用するための燃料ガスを加熱することができる。中圧蒸発器46からの蒸気は、蒸気タービン22の中圧部28に送ることができる。図示された実施形態は、本実施形態の固有の態様を採用することができるHRSGシステムの一般的な動作の単なる典型を示しているだけであるので、エコノマイザ、蒸発器、及び蒸気タービン22の間の接続は実施形態間で異なる場合がある。
【0027】
最後に、高圧エコノマイザ48からの凝縮水は、高圧蒸発器50(HPEVAP)に供給することができる。高圧蒸発器50を出た蒸気は、一次高圧過熱器52及び最終高圧過熱器54に供給することができ、蒸気は過熱器で過熱され、最終的に蒸気タービン22の高圧部30に送られる。次に、蒸気タービン22の高圧部30からの排気は、蒸気タービン22の中圧部28に供給することができ、蒸気タービン22の中圧部28からの排気は、蒸気タービン22の低圧部26に供給することができる。
【0028】
段間過熱低減器56は、一次高圧過熱器52と最終高圧過熱器54との間に配置することができる。段間過熱低減器56によって、最終高圧過熱器54からの蒸気の排気温度を、より安定に制御することができる。具体的には、段間過熱低減器56は、最終高圧過熱器54から出る蒸気の排気温度が所定値を超えるたびに、最終高圧過熱器54の上流側の過熱蒸気に冷却給水スプレーを噴射することによって、最終高圧過熱器54から出る蒸気の温度を制御するように構成することができる。
【0029】
更に、蒸気タービン22の高圧部30からの排気は、一次再熱器58及び二次再熱器60に供給することができる。排気は再熱器で再加熱され、蒸気タービン22の中圧部28に供給される。また、一次再熱器58及び二次再熱器60は、再熱器からの排気蒸気温度を制御するための段間過熱低減器62に結合することができる。具体的には、段間過熱低減器62は、二次再熱器60から出る蒸気の排気温度が所定値を超えるたびに、二次再熱器60の上流の過熱蒸気に冷却水スプレーを噴射することによって、二次再熱器60から出る蒸気の温度を制御するように構成することができる。
【0030】
CCPP10などの複合サイクルシステムでは、高温の排気34は、ガスタービン12から流れてHRSG32を通過し、高温の排気34を使用して、高圧高温の蒸気、及び高温の水を生成することができる。HRSG32によって生成された蒸気は、蒸気タービン22を通過し、負荷24によって発電することができる。更に、生成された蒸気は、過熱蒸気を使用することができる他の処理に供給することもできる。
【0031】
ガスタービン12の発電サイクルは、しばしば「トッピングサイクル」と呼ばれ、一方、蒸気タービン22の発電サイクルは、しばしば「ボトミングサイクル」と呼ばれる。
図1に示されるように、これら2つのサイクルを組み合わせることによって、複合サイクル発電所10は、両方のサイクルで、高出力及び高効率を得ることができる。特に、トッピングサイクルからの排気熱を回収し、使用することで、ボトミングサイクルで使用するための蒸気を生成することができる。
【0032】
有利なこととして、CCPP10は、HRSG32を使用することによって、加熱された排気ガス34から熱を再回収する。
図1に示されるように、ガスタービン12及びHRSG32の構成要素は、別個の機能ユニットに分離することができる。言い換えれば、ガスタービン12は、加熱された排気ガス34を生成し、加熱された排気ガス34をHRSG32に向けて供給し、HRSG32は、過熱蒸気を生成することによって加熱された排気ガス34から熱を再回収することを主に担当することができる。過熱蒸気は、蒸気タービン22により、動力源として使用することができる。加熱された排気ガス34は、一連のダクト系を流れてHRSG32に送ることができ、一連のダクト系は、CCPP10の特定の設計に基づいて異なるようにしてもよい。
【0033】
例示的な実施形態では、HPECON48、IPECON44、及びLPECON40からの加熱された水(又は他の熱流体)は抽出され、CCPP10及び/又はガスタービン12において、1つ以上の他の動作に使用することができる。例えば、HPECON水68は、HPECON48から抽出することができ、IPECON水69は、IPECON44から抽出することができ、LPECON水70は、LPECON40から抽出することができる。多くの実施形態において、HPECON水68は、IPECON水69とLPECON水70との両方よりも高い温度(一部の実施形態では、圧力)とすることができる。更に、IPECON水69は、LPECON水70よりも高い温度(一部の実施形態では圧力)とすることができる。
【0034】
図2は、ガスタービン12用の環状缶型燃焼システムに含むことができる燃焼器18の概略図である。環状缶型燃焼システムでは、複数の燃焼器18(例えば、8個、10個、12個、14個、16個、又はそれ以上の燃焼器)が、圧縮機部20をタービン部16に接続するシャフト23を中心として環状に配置される。
【0035】
図2に示すように、燃焼器18は、軸方向中心線270に沿って延在する軸方向Aを画定することができる。燃焼器は、軸方向A及び軸方向中心線270の周囲に延在する周方向Cを画定することもできる。燃焼器18は、軸方向A及び軸方向中心線270に垂直な半径方向Rを画定することもできる。
【0036】
図2の燃焼器18は、燃焼室170を画定する燃焼ライナ146を含む。燃焼ライナ146は、外側スリーブ148内に(すなわち、外側スリーブ148によって周方向に取り囲まれるように)配置することができ、燃焼ライナ146と外側スリーブ148との間に環状部147が形成されている。少なくとも1つの燃料ノズル140は、燃焼器18の前方端に配置することができる。燃料は、端部カバー142を貫通する第1の燃料供給導管138を流れて燃料ノズル140に供給することができる。燃料ノズル140は、燃料及び圧縮空気115を一次燃焼領域172に送り、一次燃焼領域172で燃焼が起こる。一部の実施形態では、燃料及び圧縮空気115が一次燃焼領域172に到達する前に、混合物として結合される。燃焼器18は、明細書で更に説明するように、燃料ノズル140の下流に1つ以上の例示的な燃料噴射アセンブリ180(軸方向燃料ステージング(AFS)システムとも呼ばれる)を更に含む。
【0037】
燃焼ライナ146は、燃焼ガスを収容し、燃焼ガスをタービン部16に供給することができる。燃焼ライナ146は、燃焼が起きる燃焼室170を画定する。
図2に示すように、燃焼ライナ146は、燃料ノズル140と後方フレーム218との間に延在することができる。燃焼ライナ146は、多くの従来の燃焼システムのように、円筒形ライナ部分と、円筒形ライナ部分とは別のテーパー状の移行部分とを有することができる。代替例として、燃焼ライナ146は、円筒形部分とテーパー状の部分とが互いに一体化された一体化本体部(又は「ユニボディ」)の構造を有することができる。したがって、本明細書における燃焼ライナ146の説明は、別個のライナ及び移行部品を有する従来の燃焼システムと、ユニボディライナを有する燃焼システムの両方を包含することが意図される。更に、本開示は、移行部品とタービン部16の段(stage)の1つのノズルとが単一ユニットとして一体化された燃焼システム(「移行ノズル」又は「一体化された出口部品」と呼ばれることがある)にも同様に適用可能である。
【0038】
上記のように、燃焼ライナ146は、燃焼ライナ146の半径方向外側に間隔を空けて配置された外側スリーブ148によって囲まれて、環状部147を画定し、圧縮空気115は環状部147を通って燃焼器18のヘッド端部に流れる。熱は燃焼ライナ146から圧縮空気115に対流的に伝達され、したがって燃焼ライナ146が冷却され、圧縮空気115が温められる。
【0039】
例示的な実施形態では、外側スリーブ148は、前方端に流れスリーブ210を含み、後方端に衝突スリーブ212を含むことができる。流れスリーブ210及び衝突スリーブ212は互いに結合されてもよい。代替的に、外側スリーブ148は、流れスリーブ210と衝突スリーブ212とが軸方向に互いに一体化された一体化本体(又は「ユニスリーブ」)構造を有することができる。先に述べたように、本明細書における外側スリーブ148の説明は、別個の流れスリーブ210及び衝突スリーブ212を有する従来の燃焼システムと、ユニスリーブの外側スリーブを有する燃焼システムとの両方を包含することを意図している。
【0040】
燃焼器18の前方ケーシング150及び端部カバー142は、ヘッド端部空気プレナム222を画定する。プレナム222は、1つ以上の燃料ノズル140を含んでいる。燃料ノズル140は、バンドルチューブ燃料ノズル300(
図3、しばしば「マイクロミキサ」と呼ばれる)又はスワイラノズル(しばしば「スウォズル(swozzle)」と呼ばれる)などの任意のタイプの燃料ノズルとすることができる。例えば、燃料ノズル140は、前方ケーシング150によって少なくとも部分的に画定されたヘッド端部空気プレナム222内に配置される。多くの実施形態において、燃料ノズル140は、端部カバー142から延在することができる。例えば、各燃料ノズル140は、フランジ(図示せず)によって端部カバー142の後方端面に結合することができる。
図2に示すように、少なくとも1つの燃料ノズル140を、燃焼ライナ146によって部分的に取り囲むことができる。燃料ノズル140の後方端部、すなわち下流端部は、燃焼室170の上流端部を画定するキャッププレート144を貫通する。
【0041】
燃料ノズル140は、燃料ノズル140に第1の燃料258を供給するように構成された第1の燃料供給部250と流体連通することができる。多くの実施形態では、第1の燃料258は、天然ガス(メタン、エタン、プロパン、又は他の適切な天然ガスなど)と水素とを含む燃料混合物とすることができる。他の実施形態では、第1の燃料258は、純天然ガスであってもよいし、純水素であってもよく(例えば、100%の水素であり、これは、ある量の汚染物質を含んでいても含んでいなくてもよい)、第1の燃料258は複数の燃料の混合物ではない。
【0042】
例示的な実施形態では、第1の燃料258及び圧縮空気115を、燃料ノズル140内で一緒に混合して、圧縮空気115と第1の燃料258との第1の混合物を形成し、その後で、混合物を、燃料ノズル140によって一次燃焼領域172に噴出(又は噴射)することができる。第1の燃料258と圧縮空気115との第1の混合物を一次燃焼領域172に噴射して点火し、第1の温度を有する燃焼ガス264の第1の流れを発生することができる。
【0043】
以下に記載するように、多量の水素(例えば、約80%よりも大きい量)を含む全燃料で燃焼器18が動作している間、一次燃焼領域172内の燃焼ガス(例えば、燃焼ガス264の第1の流れ)の温度は、燃焼室170内の任意の燃焼ガスの最も低い温度(例えば、二次燃焼領域174内の燃焼ガスより低い温度)になる。このように動作すると、一次燃焼領域172内の燃焼ガスの温度は、二次燃焼領域174の燃焼ガスよりも低い温度とすることができ、有利なことに、損傷を与える恐れがある火炎保持状態及び/又はフラッシュバック状態を生成することなく、燃焼器18が多量の水素で動作することができる。
【0044】
前方ケーシング150は、圧縮機吐出ケーシング160に流体的及び機械的に接続することができ、これによって、燃焼ライナ146及び外側スリーブ148の周囲に高圧プレナム166が画定される。圧縮機部20からの圧縮空気115は、高圧プレナム166を流れ、外側スリーブ148の下流端部の開口(図示せず)を通じて(後方フレーム218の近くの矢印で示されるように)燃焼器18に流入する。圧縮空気は、環状体147を通って上流に移動し、端部カバー142により曲がって燃料ノズル140に入り、ヘッド端部を冷却する。特に、圧縮空気115は、高圧プレナム166から、外側スリーブ148に画定された開口部を通って、燃焼器18の後方端部の環状体147に流入する。圧縮空気115は、燃焼器18の後方端部からヘッド端部空気プレナム222まで上流に移動し、空気プレナム222において圧縮空気115は方向を反転して燃料ノズル140に入る。
【0045】
例示的な実施形態では、第2の燃料/空気混合物及び/又は純燃料の流れ(例えば、空気及び他のオキシダントが混合されていない水素などの100%の燃料)を二次燃焼領域174に送るために、燃料噴射アセンブリ180が提供される。例えば、燃料と空気の第2の流れは、1つ以上の予混合噴射器200によって二次燃焼領域174に導入することができ、補助燃料の流れ(空気又はオキシダントと混合されていない補助燃料)は、1つ以上の補助噴射器又は埋込型噴射器204によって導入することができる。
【0046】
一次燃焼領域172及び二次燃焼領域174はそれぞれ、燃焼室170の一部とすることができ、したがって、燃焼ライナ146によって画定することができる。例えば、一次燃焼領域172は、燃料ノズル140の出口から予混合噴射器200までの部分によって画定することができ、二次燃焼領域174は、予混合噴射器200から後方フレーム218までの部分によって画定することができる。この構造では、予混合噴射器200の最前方部の境界は、一次燃焼領域172の終了部と二次燃焼領域174の開始部(例えば、燃料と空気の第2の流れが導入される軸方向の位置)を画定することができる。
【0047】
軸方向に分離された燃焼領域を有するこのような燃焼システムは、「軸方向燃料ステージング」(AFS)システムとして説明される。複数の燃料噴射アセンブリ180は、外側スリーブ148に、周方向に互いに間隔を空けて(例えば、一部の実施形態では等間隔に離れるように)配置することができる。多くの実施形態では、燃焼器18は、互いに間隔を空けて配置された4つの燃料噴射アセンブリ180を含み、燃焼器18は、燃焼ガス34の体積及び温度を増加させるために、予混合噴射器200によって燃料と空気の第2の混合物を二次燃焼領域174に噴射し、埋込型噴射器204によって、純補助燃料(例えば、純水素、又はオキシダントを含まない燃料混合物)の流れを噴射するよう構成することができる。他の実施形態では、燃焼器18は、任意の数の燃料噴射アセンブリ180(例えば、1個、2個、3個、又は最大で10個など)を含むことができる。
【0048】
図2に示すように、各燃料噴射アセンブリ180は、予混合噴射器200と、埋込型噴射器204と、予混合噴射器200に第2の燃料(純水素、又は80%を超える水素を含む、天然ガスと水素との混合物など)を供給する第2の燃料供給導管202と、埋込型噴射器204に純燃料(例えば、燃料混合物又は純水素)を供給する第3の燃料供給導管203とを含むことができる。例えば、各予混合噴射器200は、少なくとも部分的に第2の燃料供給導管202を通じて第2の燃料供給部252と流体連通することができ、第2の燃料供給部252は、第2の燃料260を各予混合噴射器200に供給するように構成され、各予混合噴射器で、第2の燃料260は空気と混合されて、二次燃焼領域174に導入することができる。多くの実施形態では、第2の燃料260は、天然ガス(メタン、エタン、プロパン、又は他の適切な天然ガスなど)と水素とを含む燃料混合物とすることができる。他の実施形態では、第2の燃料260は、第2の燃料が他の燃料を含まない純天然ガス又は純水素(例えば、100%水素)とすることができる。
【0049】
同様に、各埋込型噴射器204は、少なくとも部分的に第3の燃料供給導管203を通じて第3の燃料供給部254と流体連通することができ、第3の燃料供給部254は、第3の燃料262を各埋込型噴射器204に供給するように構成され、各噴射器204で、第3の燃料は空気と混合されずに二次燃焼領域174に直接導入することができる。例示的な実施形態では、第3の燃料262は、純燃料(例えば、燃料混合物又は純水素)とすることができる。一部の実施形態では、第1の燃料供給部250、第2の燃料供給部252、及び第3の燃料供給部254は、同じ燃料混合物が燃料ノズル140、予混合噴射器200、及び埋込型噴射器204に供給されるように、共通の燃料供給部とすることができる(
図4から
図7に示すように、第1の燃料供給部506は全ての注入ステージ514、516及び518に共通である)。あるいは、第1の燃料供給部250及び第2の燃料供給部252は、同じ燃料又は同じ燃料混合物が燃料ノズル140及び予混合噴射器200に供給されるように、共通の燃料供給部とすることができる。そのような実施形態では、第3の燃料供給部254は、埋込型噴射器204が燃料ノズル140及び予混合噴射器200とは異なる燃料又は異なる燃料混合物を受け取るように、(
図8に示すように)独立の燃料供給部とすることができる。
【0050】
燃料ノズル140、予混合噴射器200、及び埋込型噴射器204は、(例えば、燃料供給部250、252、及び254によって)別々に燃料供給することができるので、燃料ノズル140、予混合噴射器200、及び埋込型噴射器204によって、燃焼器18が幅広い柔軟性をもって動作することができる。例えば、燃料ノズル140、予混合噴射器200、及び埋込型噴射器204の各々は、異なる燃料又は燃料混合物を供給することができる。特に、例示的な実施形態では、燃料ノズル140、予混合噴射器200、及び埋込型噴射器204の各々に、純水素、又は主に水素(例えば、80%以上の水素)と天然ガス(メタン、エタン、プロパン、又は他の天然ガスなど)を含む燃料混合物を供給することができる。しかしながら、一部の実施形態では、燃料ノズル140、予混合噴射器200、及び埋込型噴射器204の各々は、同じ燃料混合物又は純燃料が、燃料ノズル140、予混合噴射器200、及び埋込型噴射器204の全てに供給されるように、同じ燃料供給部によって燃料が供給されるようにしてもよいことを理解するべきである。
【0051】
本明細書において、用語「予混合」は、燃焼室170に噴射される前に燃料と空気が一緒に混合される構成要素、通路、又は空洞を説明するのに使用することができる。多くの実施形態において、各予混合噴射器200は、高圧プレナム166を二次燃焼領域174に流体的に結合することができる。例えば、高圧プレナム166からの圧縮空気115は、予混合噴射器200に供給することができ、予混合噴射器200において、圧縮空気115が第2の燃料260と混合され、二次燃焼領域174に噴射される。例えば、例示的な実施形態では、各予混合噴射器200は、外側スリーブ148、環状体147、及び燃焼ライナ146を貫通し、二次燃焼領域174に流れを向けることができる。具体的には、予混合噴射器200はそれぞれ、高圧プレナム166から、外側スリーブ148、環状体147、及び燃焼ライナ146を通って半径方向に延在することができ、予混合噴射器200が、燃料と空気の第2の流れを二次燃焼領域174に供給することができる。予混合噴射器200は燃焼ライナ146及び/又は外側スリーブ148に結合することができ、各予混合噴射器200は、第2の燃料/空気混合物を、一次燃焼領域172で生成された燃焼ガス264のクロスフロー(例えば、ある角度で交差するクロスフロー、傾斜したクロスフロー、直交するクロスフロー、斜めのクロスフロー、対角的なクロスフロー、横断するクロスフロー、又は非平行なクロスフロー)に流入するジェットとして導入する。例示的な構成において、予混合噴射器200は、燃焼器18の長手方向軸270に対して半径方向に第2の燃料/空気混合物を導入する。第2の燃料/空気混合物は、一次燃焼領域172からの燃焼ガス264によって点火され、二次燃焼領域174で燃焼する。
【0052】
予混合噴射器200は、外側スリーブ148に結合され、外側スリーブ148及び燃焼ライナ146を貫通することができる。一実施形態では、予混合噴射器200を支持するボス(図示せず)は、外側スリーブ148を燃焼ライナ146に固定するための締結具として機能する。他の実施形態では、予混合噴射器200は、任意の好適な方法で外側スリーブ148に結合することができ、外側スリーブ148は、燃料噴射アセンブリ180が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の好適な方法で、前方ケーシング150のフランジとタービンノズルとの間に結合された適切な数の構成要素を有することができる。
【0053】
例示的な実施形態では、第2の燃料260及び圧縮空気115を予混合噴射器200内で一緒に混合して圧縮空気115と第2の燃料260の第2の混合物を形成した後に、予混合噴射器200によって二次燃焼領域174に噴出(又は噴射)することができる。第2の燃料260と圧縮空気115の第2の混合物は、二次燃焼ゾーン174に(例えば、概ね半径方向などのクロスフローとして)噴射され、点火され、第2の温度を有する燃焼ガス266の第2の流れを生成することができる。
【0054】
埋込型噴射器204は、予混合噴射器を通って(例えば、予混合噴射器200の中心を通って)二次燃焼領域174に入り込むように、半径方向に延在することができる。例えば、埋込型噴射器204は、燃焼室170の二次燃焼領域174に入り込むように半径方向に延在し、燃焼器18の動作中に埋込型噴射器204が燃焼ガスに直接に晒されるようにすることができる。上記のように、埋込型噴射器204は予混合噴射器200を通るが、埋込型噴射器204は予混合噴射器200から流体的に分離されていてもよい。この構造では、埋込型噴射器204は、第3の燃料262の流れ(例えば、水素及び天然ガスなどの燃料混合物、又は空気及び他のオキシダントが混合されていない純水素などの完全燃料)を二次燃焼領域174に直接に別に噴射して、燃焼ガス268の第3の流れを発生させることができる。このようにして、第3の燃料262は、埋込型噴射器204(又は補助噴射器)によって、燃焼室170の出口の近くに(例えば、端部カバー142よりも後方フレーム218の近くに)追加の燃焼ガスを生成する補助燃料として導入され、これにより、燃焼器18は、有利なことに、危険なフラッシュバックや危険な火炎保持事象は発生させずに、より望ましい排出プロファイルを有し且つ望ましい出口温度を有する出口燃焼ガス272を生成することができる。
【0055】
理解されるように、第3の燃料262は、予混合せずに導入されてもよい(すなわち、空気及び他のオキシダントは燃焼領域174に導入される前は、混合されない)。したがって、第3の燃料262を送る場合及び導入する場合、第3の燃料262は純燃料であってもよいし、純水素であってもよい。例示的な実施態様では、燃焼ガス264の第1の流れ、燃焼ガス266の第2の流れ、及び燃焼ガス268の第3の流れを、二次燃焼領域174内で一緒に混合して、目標出口温度を有する出口燃焼ガス272(
図1の34)を形成することができる。出口燃焼ガス272は、後方フレーム218を通って燃焼器18を流出し、ガスタービン12のタービン部16に流入することができる。
【0056】
図2の埋込型噴射器204は、半径方向に延在して、予混合噴射器200を通り、二次燃焼領域174に入り込むが、埋込型噴射器204は、燃焼ガスの流れに対して予混合噴射器200の下流に、予混合噴射器200から軸方向に間隔を置いて配置してもよいことが理解される。例えば、埋込型噴射器204は、軸方向中心線270に関して、予混合噴射器200と後方フレーム218との間において、軸方向に配置することができる。そのような実施形態では、埋込型噴射器204は、外側スリーブ148、環状部147、及び燃焼ライナ146を通って、二次燃焼領域174に入り込むことができる。
【0057】
図3は、バンドルチューブ燃料ノズル300の一部の断面側面図を示す。例示的な実施形態では、
図2に示された1つ以上の燃料ノズル140は、それぞれ、バンドルチューブ燃料ノズル300とすることができる。
図3に示すように、バンドルチューブ燃料ノズル300は燃料プレナム本体部302を含んでおり、燃料プレナム本体部302は、前方又は上流プレート304と、前方プレート304から軸方向に間隔を空けて配置された後方プレート306と、前方プレート304と後方プレート306との間において軸方向に延在する外側バンド308とを有している。燃料プレナム本体部302内には、燃料プレナム310が画定されている。特定の実施形態では、前方プレート304、後方プレート306、及び外側バンド308は、少なくとも部分的に燃料プレナム310を画定することができる。特定の実施形態では、第1の燃料供給導管138は、燃料(純水素、又は80%を超える水素を含む燃料混合物など)を燃料プレナム310に供給するために、前方プレート304を貫通することができる。様々な実施形態において、バンドルチューブ燃料ノズル300は、後方プレート306から軸方向に間隔を空けて配置されたキャッププレート312を含む。キャッププレート312の高温側314は、一般に、一次燃焼領域172に隣接又は近接して配置される。キャッププレート312は、各バンドルチューブ燃料ノズル300に固有のものであってもよいし、全てのバンドルチューブ燃料ノズル300に共通のものであってもよい(例えば、
図2に示すキャッププレート144など)。
【0058】
図3に示すように、バンドルチューブ燃料ノズル300は、複数の予混合チューブ206を含むチューブバンドル316を含むことができる。各予混合チューブ206は、前方プレート304、燃料プレナム310、後方プレート306、及びキャッププレート312を貫通することができる。予混合チューブ206は、後方プレート306に固定的に接続される、及び/又は後方プレート306に対してシールを形成する。例えば、予混合チューブ206は、溶接、ろう付け、又はその他の方法で、後方プレート306に接続することができる(例えば、積層造形により燃料プレナム本体302と一体的に形成される)。各予混合チューブ206は、各チューブ206の上流端部322において画定された入口320と、各チューブ206の下流端部326において画定された出口324と、入口320と後方プレート306との間に画定された1つ以上の燃料ポート330とを含む。
【0059】
ヘッド端部空気プレナム222からの圧縮空気は、予混合チューブ206の各々の入口から流入し、(1つ以上の燃料ポート330を通じて燃料プレナム310から導入される)燃料と混合され、燃料/空気混合物を一次燃焼領域172に排出することができる。例えば、各予混合チューブ206は、バンドルチューブ燃料ノズル300を貫通する予混合流路328を画定し、その流路で、燃料(純水素、又は80%を超える水素を含む燃料混合物など)を圧縮空気と混合することができる。
【0060】
ここで
図4を参照すると、本開示の実施形態によるガスタービン燃焼システム400が図示されている。図示されているように、ガスタービン燃焼システム400は、燃焼器18(
図2を参照して上述した燃焼器18又は別の燃焼器など)を含むことができる。燃焼器18は、少なくとも2つの噴射段402を含むことができる。少なくとも2つの噴射段402の各噴射段は、燃料の流れ(独立した個別の燃料の流れなど)を燃焼器18の燃焼室170に噴射するように構成することができる。例示的な実施形態では、少なくとも2つの噴射段は、燃焼器18の軸方向中心線270に対して互いに軸方向に間隔を空けて配置することができる。
【0061】
多くの実施形態において、ガスタービン燃焼システム400は、燃料供給部406から少なくとも2つの噴射段402に燃料を供給するために、少なくとも2つの噴射段402と流体連通する燃料供給回路404を更に含むことができる。燃料供給回路404は、燃料供給部406に結合された主ライン422と、主ライン422に流体的に結合された2以上の枝路408と、2以上の枝路408のうちの少なくとも1つの枝路408にそれぞれ配置された1つ以上の熱交換器410と、1つ以上の熱交換器410の下流に位置する燃料弁450と、任意選択で、主熱流体供給口448に流体的に結合された主熱交換機446であって、熱交換器410の上流に位置する主ライン422に熱的に連通するように配置される主熱交換器446と、を含む。
【0062】
多くの実施形態では、燃料供給部406は、天然ガス(メタン、エタン、プロパン、又は他の適切な天然ガスなど)と水素とを含む燃料混合物を含むことができる。例えば、燃料混合物は、約60%と約90%との間の水素(例えば、約70%と約90%との間の水素、約80%の水素)を含むことができ、各例において、残りは天然ガスである。他の実施形態では、燃料供給部406は、純燃料(他の燃料が混合されていない純水素又は純天然ガスなど)を含むことができる。
【0063】
様々な実施形態において、燃料供給回路404は、少なくとも2つの枝路408を含む。少なくとも2つの枝路408の各枝路は、少なくとも2つの噴射段402のそれぞれの噴射段に流体的に結合することができる。このようにして、少なくとも2つの枝路408の各枝路は、少なくとも2つの噴射段402のそれぞれの噴射段に別々に燃料を供給することができる。理解されるように、燃料供給回路404は、1つ以上の第1の位置から1つ以上の第2の位置に流体を供給するための一連のパイプ、ホース、又は他の適切な構造とすることができる。
【0064】
例示的な実施形態では、ガスタービン燃焼システム400は、熱流体供給部412に流体的に結合された少なくとも2つの熱交換器410を更に含む。少なくとも2つの熱交換器410の各熱交換器は、少なくとも2つの枝路408のそれぞれの枝路内の燃料の温度を変更するために、少なくとも2つの枝路408のそれぞれの枝路に熱的に連通するように配置することができる。このようにして、少なくとも2つの枝路408のそれぞれの枝路内の燃料の温度は、燃焼室170に燃料を噴射する前に独立して変更する(例えば、増加又は減少させる)ことができる。各噴射段において燃料温度を独立して変更することにより、燃焼器18は、水素を多量に含む燃料(例えば、80%以上の水素)などの様々な種類の燃料で動作することができ、これによって、有利なことに、NOxの生成が低減される。
【0065】
図4に示すように、少なくとも2つの噴射段402は、第1の噴射段414、第2の噴射段416、第3の噴射段418、及び第4の噴射段420を含むことができる。噴射段414、416、418、420の各々は、燃焼器18の軸方向中心線270に対して軸方向に互いに間隔を空けて配置することができる。例えば、第1の噴射段414は、燃焼室170の前方端部において、燃料/空気混合物(又は空気がは混合されていない燃料のみ)を軸方向中心線270と平行な方向に(例えば、
図2に示す少なくとも1つの燃料ノズル140によって)噴射するように構成することができる。一部の実施形態では、第1の噴射段414と第2の噴射段416の両方は、燃焼室170の前方端部において、燃料/空気混合物(又は空気が混合されていない燃料のみ、又は燃料が混合されていない空気のみ)を、(例えば、
図2に示す少なくとも1つの燃料ノズル140によって)軸方向中心線270と平行な方向に噴射するように構成することができる。他の実施形態では、第2の噴射段416、第3の噴射段418、第4の噴射段420、及び任意の後続の噴射段は、燃焼器18の前方端部の下流において、追加の燃料/空気混合物(又は空気が混合されていない燃料のみ、又は燃料が混合されていない空気のみ)を、(
図2に示す軸方向に間隔を空けて配置された1つ以上の予混合噴射器200によって)軸方向中心線270に概ね垂直な方向に噴射するように構成することができる。
【0066】
代替的に、又は追加的に、第2の噴射段416、第3の噴射段418、又は第4の噴射段420の1つ以上の噴射段は、他の噴射段に対し固有の軸方向位置において半径方向に延在して燃焼室170内に入り込む埋込型噴射器(
図2に示す埋込型噴射器204など)とすることができる。このようにして、噴射段414、416、418、420の各々は、固有の軸方向位置において、燃料を個別に噴射することができる。
図4は4つの噴射段を例示しているが、燃焼器18は任意の数の噴射段(1個、2個、3個、5個、6個、最大で10個、又はそれ以上の個数)を含んでいてもよく、特許請求の範囲に特に記載されていない限り、特定の数の噴射段に限定されるべきものではない。
【0067】
様々な実施形態において、噴射段414、416、418、及び420は、燃料ノズル(
図2に示す燃料ノズル140など)、予混合噴射器(
図2に示す予混合噴射器200など)、及び/又は埋込型噴射器(
図2に示す埋込型噴射器204など)の任意の組み合わせとすることができる。しかしながら、例示的な実施形態では、第1の噴射段414及び第2の噴射段416は、端部カバー142に取り付けられた1つ以上の燃料ノズル140であって、燃料の第1の流れを燃焼器18の一次燃焼領域172に噴射するように構成された1つ以上の燃料ノズル140とすることができる。更に、例示的な実施形態では、第3の噴射段418は、燃焼ライナ146に結合された予混合噴射器200であって、燃料ノズル140の下流に配置された予混合噴射器200とすることができる。予混合噴射器200は、燃焼器18の二次燃焼領域174に燃料の第2の流れを噴射するように構成することができる。更に、例示的な実施形態において、第4の噴射段420は、予混合噴射器200の軸方向の位置に配置された埋込型噴射器204とすることができる。あるいは、第4の噴射段420は、燃焼ガスの流れに対して予混合噴射器200の下流に配置された埋込型噴射器204であってもよい。更に別の代替案として(図示せず)、第4の噴射段420は、第3の噴射段418に関連し
図2に示される予混合噴射器200の下流に配置された、予混合噴射器200の第2のセットに結合するようにしてもよい。
【0068】
各実施形態において、燃料供給回路404は、燃料供給部406から延在する主ライン422を含む。少なくとも2つの枝路408の各枝路は主ライン422から延在し、主ライン422は燃料供給部406から少なくとも2つの枝路408まで延在する。本明細書において、用語「ライン」及び/又は「枝路」はそれぞれ、流体を送るために使用されるホース、パイプ、流体導管、又は他の適切な構造を表すことがある。燃料供給回路404の少なくとも2つの枝路408は、第1の枝路424、第2の枝路426、第3の枝路428、及び第4の枝路430を含むことができる。第1の枝路424は、第1の噴射段414に流体的に結合することができ、第2の枝路426は、第2の噴射段416に流体的に結合することができ、第3の枝路428は、第3の噴射段418に流体的に結合することができ、第4の枝路430は、第4の噴射段420に流体的に結合することができる。このようにして、少なくとも2つの噴射段402の各噴射段414、416、418、及び420は、それぞれの軸方向位置において、少なくとも2つの噴射段402の他の噴射段に対して固有の(又は異なる)量の燃料を供給することができる。
【0069】
例示的な実施形態では、少なくとも2つの熱交換器410は、第1の枝路424に熱的に連通するように配置された第1の熱交換器434と、第2の枝路426に熱的に連通するように配置された第2の熱交換器436と、第3の枝路428に熱的に連通するように配置された第3の熱交換器438と、第4の枝路430に熱的に連通するように配置された第4の熱交換器440とを含むことができる。各熱交換器434、436、438、440は、熱交換器が取り付けられた対応する枝路424、426、428、430内の燃料の温度を調整又は変更(すなわち、増加又は減少)するように動作可能である。
【0070】
例えば、各熱交換器434、436、438、440は、熱交換器を流れる熱流体と、対応する枝路を流れる燃料との間で熱的に連通する(例えば、熱を伝達する)ために、対応する枝路424、426、428、430の外側(又は内側)に結合又は取り付けることができる。各熱交換器434、436、438、440は、熱交換器434、436、438、440を流れる熱流体が枝路424、426、428、430内の燃料と混合しないように、熱交換器が取り付けられている枝路424、426、428、430から流体的に分離されている間接式熱交換器とすることができる。
【0071】
各熱交換器434、436、438、440は、熱流体供給部412と流体連通することができる。例えば、熱流体供給ライン442は、熱流体供給部412と熱交換器434、436、438、440の各々との間に延在することができる。熱流体供給部412は、熱流体(例えば、水、蒸気、又は他の適切な熱流体)を収容して熱交換器434、436、438、440の各々に供給する、独立したタンク、容器、又は他の構造とすることができる。代替的に又は追加的に、熱流体供給部412は、各熱交換器434、436、438、440で使用される熱流体をHRSG32から取り出すように、HRSG32と流体連通することができる。例えば、熱流体供給部412は、HPECON水68、IPECON水69、及び/又はLPECON水70を熱交換器434、436、438、440の各々に供給するように、HPECON48、IPECON44、及び/又はLPECON40の1つ以上に流体的に結合することができる。
【0072】
多くの実施形態では、熱流体供給ライン442は、第1の熱交換器434に流体的に結合された第1の枝路435と、第2の熱交換器436に流体的に結合された第2の枝路437と、第3の熱交換器438に流体的に結合された第3の枝路439と、第4の熱交換器440に流体的に結合された第4の枝路441とを含むことができる。様々な実施形態において、熱流体供給弁444は、熱交換器434、436、438、及び440に流れる熱流体の流量を制御するために、枝路435、437、439、及び441の各々に配置することができる。例えば、熱流体供給弁444は、開位置と閉位置との間で選択的に作動することができる。例えば、熱流体供給弁444を選択的に開いて、熱流体を、熱流体供給部412から熱交換器434、436、438、440に流すことができる。対照的に、熱流体供給弁444が閉位置にあるとき、熱流体供給部412からの流体の流れは、制限されるか、又は防止される。更に、熱流体供給弁444の各々は、供給弁を流れる流量を制御するために、部分的に開くことができる(例えば、完全には閉じておらず、完全に開いてもいない)。
【0073】
特定の実施形態では、燃料弁450は、噴射段414、416、418、420への燃料の流量を制御するために、枝路424、426、428、430の各々に配置することができる。例えば、燃料弁450は、開位置と閉位置との間で独立して作動させることができる。特に、燃料弁450は、選択的に開いて、燃料が、燃料供給部406からそれぞれの噴射段414、416、418、420に流れるようにすることができる。対照的に、燃料弁450が閉位置にあるとき、燃料供給部406からの燃料の流れは制限されるか、又は阻止される。更に、燃料弁450の各々は、部分的に開くようにして(例えば、完全には閉じておらず、完全に開いてもいない)、燃料弁を流れる流量を制御することができる。
【0074】
図4に示すように、ガスタービン燃焼システム400は、主熱流体供給部448に流体的に結合された主熱交換器446であって、少なくとも2つの熱交換器410の上流で主ライン422に熱的に連通するように配置された主熱交換器446を更に含むことができる。例えば、主熱交換器446は、燃料が枝路424、426、428、430の間で分岐される前に、燃料を予熱することができる。主熱流体供給部448は、熱流体(例えば、水、蒸気、又は他の適切な熱流体)を収容して熱流体を主熱交換器446に供給するスタンドアロンタンク、容器、又は他の構造とすることができる。あるいは、主熱流体供給部448は、熱流体供給部412と同じものであってもよい。更に、主熱流体供給部448は、HPECON水68、IPECON水69、及び/又はLPECON水70を主熱交換器446に供給することができるように、エコノマイザHPECON48、IPECON44、及び/又はLPECON40のうちの1つ以上のエコノマイザに流体的に結合することができる。
【0075】
図5~
図8は、本開示の代替実施形態によるガスタービン燃焼システム500の様々な実施形態を示す図である。
図5から
図8の実施形態に示され説明された複数の特徴を互いに組み合わせて、更に他の実施形態が生成できることを理解されたい。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に入るような修正及び変形を含むことが意図される。ガスタービン燃焼システム500は、噴射段が独立に加熱されるため、以前の設計よりも様々な種類の燃料及び/又は燃料混合物で動作することができる。図示されるように、ガスタービン燃焼システム500は、燃焼器18(
図2を参照して説明した燃焼器18又は別の燃焼器など)を含むことができる。燃焼器18は、少なくとも2つの噴射段502を含むことができる。少なくとも2つの噴射段502の各噴射段は、燃料の流れ(独立した個別の燃料の流れなど)を燃焼器18の燃焼室170に噴射するように構成することができる。例示的な実施形態では、少なくとも2つの噴射段は、燃焼器18の軸方向中心線270に対して互いに軸方向に間隔を空けて配置することができる。
【0076】
図5~
図8に示すように、少なくとも2つの噴射段502は、第1の噴射段514、第2の噴射段516、及び第3の噴射段518を含むことができる。噴射段514、516、518の各々は、燃焼器18の軸方向中心線270に対して軸方向に互いに間隔を空けて配置することができる。
図5~
図8は3つの噴射段を例示しているが、燃焼器18は任意の数の噴射段(1個、2個、3個、5個、6個、最大で10個、又はそれ以上の個数)を含んでいてもよく、特許請求の範囲に特に記載されていない限り、特定の数の噴射段に限定されるべきものではない。
【0077】
多くの実施形態において、ガスタービン燃焼システム500は、第1の燃料供給部506から少なくとも2つの噴射段502に燃料を供給するために、少なくとも2つの噴射段502と流体連通する燃料供給回路504を更に含むことができる。燃料供給回路504は、第1の燃料供給部506に結合された主ライン522と、主ライン522に流体的に結合された2つ以上の枝路524、526、528と、2つ以上の枝路524、526、528のうちの2つの枝路を接続する選択可能なバイパスライン554と、2つ以上の枝路524、526、528のうちの少なくとも1つ以上の枝路にそれぞれ配された1つ以上の熱交換器515、517と、1つ以上の熱交換器515、517の下流に位置する燃料弁550と、任意選択で、主熱流体供給部(図示せず)に流体的に結合された主熱交換器であって、熱交換器515、517の上流側で主ライン522に熱的に連通するように配置された主熱交換器(図示せず)とを含む。
【0078】
多くの実施形態では、第1の燃料供給部506は、天然ガス(メタン、エタン、プロパン、又は他の適切な天然ガスなど)と水素とを含む燃料混合物を含むことができる。例えば、燃料混合物は、約60%と約90%との間の水素(例えば、約70%と約90%との間の水素、約80%の水素)を含むことができ、各例において、残りは天然ガスである。他の実施形態では、第1の燃料供給部506は、純燃料(他の燃料が混合されていない純水素又は純天然ガスなど)を含むことができる。
【0079】
一部の実施形態(
図8に示す実施形態など)では、ガスタービン燃焼システム500は、少なくとも2つの噴射段502の第3の噴射段518に流体的に結合された第2の燃料供給部507を更に含むことができる。そのような実施形態では、第3の噴射段518は、第1の燃料供給部506及び他の噴射段514、516から流体的に分離することができる。第2の燃料供給部507は、第1の燃料供給部506の燃料(又は燃料混合物)とは異なる燃料(又は燃料混合物)を含むことができる。例えば、例示的な実施形態では、第1の燃料供給部506は、天然ガス(メタン、エタン、プロパン、又は他の適切な天然ガスなど)と水素とを含む燃料混合物を供給することができ、第2の燃料供給部507は、純燃料(他の燃料及び空気が混合されていない純天然ガス又は純水素など)を含むことができる。
【0080】
様々な実施形態において、燃料供給回路504は、第1の噴射段514まで延在する第1の枝路524と、第2の噴射段516まで延在する第2の枝路526と、第3の噴射段518まで延在する第3の枝路528とを含むことができる。このようにして、各ブランチ524、526、528は、それぞれの噴射段514、516、518に燃料を別々に供給することができる。
図5~
図8に示す実施形態では、第1の枝路524及び第2の枝路526は、第1の燃料供給部506に流体的に結合することができる。一部の実施形態(
図5及び
図6に示す実施形態など)では、第3の枝路528は、第1の燃料供給部506に流体的に結合することができる。他の実施形態(
図8に示す実施形態など)では、第3の枝路528は、第1の燃料供給部506から流体的に分離されていてもよい。このような実施形態では、第3の枝路528は、第2の燃料供給部507に流体的に結合することができる。一部の実施形態では(
図7に示すような実施形態)、第3の噴射段518は、第1の燃料供給部506及び第2の燃料供給部507のいずれにも流体的に結合されず、第3の噴射段518に燃料が供給されないようにしてもよい。このような実施形態では、第3の噴射段518は、流体(例えば、空気)552の流れを燃焼室170に供給することができる。
【0081】
一部の実施形態(
図6及び
図7に示す実施形態など)では、燃料供給回路504は、第1の枝路524と、第2の枝路526と第3の枝路528とのうちの一方の枝路との間に延在するバイパスライン554を含むことができる。例えば、
図6に示すように、バイパスライン554は、第1の枝路524から第3の枝路528まで延在することができる。あるいは、
図7に示すように、バイパスライン554は、第1の枝路524から第2の枝路526まで延在するようにしてもよい。一部の実施形態において、制御弁556は、バイパスライン554上に配置することができる。制御弁556は、開位置と閉位置との間で作動することができる。更に、制御弁556は、部分的に開いて(例えば、完全には閉じておらず、完全に開いてもいない)、制御弁を流れる燃料の流量を制御することができる。
【0082】
例示的な実施形態では、ガスタービン燃焼システム500は、熱流体供給部に流体的に結合された少なくとも1つの熱交換器を更に含むことができる。少なくとも1つの熱交換器は、熱交換器が取り付けられる枝路内の燃料の温度を変更するために、第1の枝路524、第2の枝路526、及び第3の枝路528のうちの1つの枝路に熱的に連通するように配置することができる。特に、少なくとも1つの熱交換器は、第1の熱交換器534と第2の熱交換器536とを含むことができる。第1の熱交換器534は、第1の枝路524上に熱的に連通するように配置し、第2の熱交換器536は、第2の枝路526と第3の枝路528とのうちの1つの枝路に熱的に連通するように配置して、枝路を流れる燃料の温度を変更することができる。
【0083】
例えば、
図5及び
図8に示すように、第1の熱交換器534は、第1の枝路524に熱的に連通するように配置することができ、第2の熱交換器536は、第3の枝路528に熱的に連通するように配置することができる。あるいは、
図6に示すように、高エネルギー熱交換器515は第3の枝路528に熱的に連通するように配置され、バイパスライン554は熱交換器515の下流で第1の枝路524に接続され、それによって、温度が変更された燃料のフローを第1の枝路524に供給し、主ライン522からの燃料と混合することができる。あるいは、
図7に示すように、第1の熱交換器534は、第1の枝路524に熱的に連通するように配置することができ、第2の熱交換器536は、第2の枝路526に熱的に連通するように配置することができる。多くの実施形態において、第2の枝路526は、第1の熱交換器534の下流において、第1の枝路から延在するようにしてもよい。
【0084】
例示的な実施形態において、第1の熱交換器534及び第2の熱交換器536は、高エネルギー熱交換器515及び低エネルギー熱交換器517のうちの一方の熱交換器とすることができる。例えば、第1の熱交換器534は、高エネルギー熱交換器515及び低エネルギー熱交換器517のうちの一方の熱交換器とすることができ、第2の熱交換器536は、高エネルギー熱交換器515及び低エネルギー熱交換器517のうちの他方の熱交換器とすることができる。あるいは、
図7に示すように、第1の熱交換器534及び第2の熱交換器536を、それぞれ高エネルギー熱交換器515a、515bとすることができる。高エネルギー熱交換器515は、高エネルギー熱流体供給部513に流体的に結合することができ、低エネルギー熱交換器517は、低温熱流体供給部519に流体的に結合することができる。理解されるべきこととして、高エネルギー熱交換器515は、低エネルギー熱交換器517よりも高い温度で動作してもよいし、低エネルギー熱交換器517よりも多くの熱量を燃料供給回路504と交換してもよい。このようにして、高エネルギー熱流体供給部513からの熱流体は、低温熱流体供給部519からの熱流体よりも高い温度とすることができる。多くの実施形態では、高/低エネルギー熱流体供給部513、519は、熱流体(例えば、水、蒸気、又は他の適切な熱流体)を収容して、それぞれの高/低エネルギー熱交換器515、517に供給するスタンドアロンタンク、容器、又は他の構造とすることができる。
【0085】
代替的に又は追加的に、高エネルギー熱流体供給部513及び低エネルギー熱流体供給部519の各々は、それぞれの熱交換器で使用される熱流体をHRSG32から取り出すように、HRSG32と流体連通することができる。例えば、高エネルギー及び低エネルギーの熱流体供給部513、519は、高エネルギー及び低エネルギーの熱流体供給部513、519がHPECON水68、IPECON水69、及び/又はLPECON水70を熱交換器に供給するように、HPECON48、IPECON44、及び/又はLPECON40のうちの1つ以上と流体的に結合することができる。特に、高エネルギー熱流体供給部513は、HPECON水68及びIPECON水69のうちの一方の水を高エネルギー熱交換器515に供給することができ、低エネルギー熱流体供給部519は、IPECON水69及びLPECON水70のうちの一方の水を低エネルギー熱交換器517に供給することができる。
【0086】
多くの実施形態では、燃料供給回路504は、第1の燃料供給部506から延在する主ライン522を更に含むことができる。一部の実施形態(
図5及び
図6に示す実施形態など)では、第1の枝路524及び第3の枝路528は主ライン522から延在し、第1の燃料供給部からの燃料が第1の枝路524と第3の枝路528の間で分割されるようにすることができる。他の実施形態(
図7及び
図8に示す実施形態など)では、第1の枝路524及び第2の枝路526は主ライン522から延在し、第1の燃料供給部506からの燃料が第1の枝路524と第2の枝路526との間で分割されるようにすることができる。
【0087】
特定の実施形態では、
図5から
図8に示すように、燃料弁550は、噴射段514、516、518への燃料の流量を制御するために、枝路524、526、528の各々に配置することができる。例えば、燃料弁550は、開位置と閉位置との間で独立して作動させることができる。特に、燃料弁550を選択的に開いて、第1の燃料供給部506及び/又は第2の燃料供給部507からそれぞれの噴射段514、516、518に燃料が流れるようにすることができる。対照的に、燃料弁550が閉位置にあるとき、第1の燃料供給部506及び/又は第2の燃料供給部507からの燃料の流れは、制限されるか、又は防止される。更に、燃料弁550の各々は、燃料弁を流れる流量を制御するために、部分的に開くことができる(例えば、完全には閉じておらず、完全に開いてもいない)。
【0088】
図4~
図8に示す各実施形態では、高い割合の水素(80%を超え、最大で100%の水素)を含む燃料を導入する場合、熱交換器410、515(515a、515b)、517を使用して水素含有燃料の温度を下げ、それによって燃料の反応性及び火炎速度を下げることが望まれることがある。更に、水素含有燃料の燃料温度が低下すると、例えば、(
図3に示すように)バンドルチューブ燃料ノズル300を通じて水素含有燃料を導入する場合、ダイナミクスを制御するのに望ましい。各燃料段の温度を独立に制御することにより、ガスタービンオペレータは、出口温度プロファイル、排出物、及びダイナミクスを管理するために、燃焼システムを十分適切に操作することができる。個々の燃料回路用に独立して燃料を加熱することによって、燃料質量流量とは独立して、燃焼器ノズル出口速度を、より高度に制御することができる。例えば、燃料回路は所与の質量流に対して調整され、フラッシュバックに対してより多くのマージンを持つことができる。燃料供給温度が高く、質量流が同じであれば、ノズル出口速度が高くなるからである。
【0089】
ここに記載された説明は、実施例を用いて本発明(最良の態様を含む)を開示し、また、当業者が本発明を実施できるようにする(任意の装置又はシステムを製造すること及び使用すること、並びに組み込まれた任意の方法を実行することを含む)ものである。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって画定され、当業者に思い浮かぶ他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異なっていない構造要素を含む場合、又は特許請求の範囲の文言と実質的に異なっていない均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0090】
本発明のさらなる態様は、以下に記載される。
[実施形態1]
ガスタービン燃焼システムであって、少なくとも2つの噴射段を含む燃焼器であって、各噴射段は、前記燃焼器の燃焼室に燃料を噴射するように構成されている、燃焼器、少なくとも2つの噴射段と流体連通し、第1の燃料供給部から前記少なくとも2つの噴射段に燃料を供給する燃料供給回路であって、前記燃料供給回路は、少なくとも2つの枝路を含み、前記少なくとも2つの枝路の各々の枝路は、前記少なくとも2つの噴射段のうちの対応する噴射段に流体的に結合される、燃料供給回路、及び熱流体供給部に流体的に結合された少なくとも2つの熱交換器であって、前記少なくとも2つの熱交換器の各熱交換器は、前記少なくとも2つの枝路のうちの対応する枝路に熱的に連通するように配置され、前記対応する枝路内の燃料の温度を変更する、少なくとも2つの熱交換器を含む、ガスタービン燃焼システム。
[実施形態2]
前記少なくとも2つの噴射段は、前記燃焼器の軸方向中心線に対して互いに軸方向に間隔を空けて配置されている、実施形態1に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態3]
前記少なくとも2つの枝路は、前記少なくとも2つの噴射段のうちの第1の噴射段に流体的に結合された第1の枝路と、前記少なくとも2つの噴射段のうちの第2の噴射段に流体的に結合された第2の枝路と、前記少なくとも2つの噴射段のうちの第3の噴射段に流体的に結合された第3の枝路とを含む、実施形態1及び2のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態4]
前記少なくとも2つの熱交換器は、前記第1の枝路に熱的に連通するように配置された前記第1の熱交換器と、前記第2の枝路に熱的に連通するように配置された第2の熱交換器と、前記第3の枝路に熱的に連通するように配置された第3の熱交換器とを含む、実施形態1~3のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態5]
前記燃料供給回路は、前記燃料供給部から延在する主ラインを更に含み、前記少なくとも2つの枝路は前記主ラインから延在する、実施形態1~4のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態6]
主熱流体供給部に流体的に結合され、前記少なくとも2つの熱交換器の上流において、主ラインに熱的に結合するように配置された主熱交換器を更に含む、実施形態1~5のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態7]
前記少なくとも2つの噴射段の第1の噴射段が、端部カバーに取り付けられた燃料ノズルであって、燃料の第1の流れを前記燃焼器の一次燃焼領域に噴射するよう構成された燃料ノズルである、実施形態1~6のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態8]
燃焼ライナが、前記燃料ノズルから下流に後方フレームまで延在し、前記少なくとも2つの噴射段の第2の噴射段が、前記燃焼ライナに結合された噴射器であって、前記燃料ノズルの下流に配置された噴射器であり、前記予混合噴射器は、前記燃料の第2の流れを前記燃焼器の二次燃焼領域に噴射するように構成される、実施形態1~7のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態9]
ガスタービン燃焼システムであって、第1の噴射段、第2の噴射段、及び第3の噴射段を含む燃焼器であって、各噴射段は、流体を燃焼器の燃焼室に噴射するように構成されている、燃焼器、少なくとも第1の噴射段及び第2の噴射段と流体連通し、流体としての燃料を第1の噴射段及び第2の噴射段の各々に供給する燃料供給回路であって、第1の噴射段まで延在する第1の枝路と、第2の噴射段まで延在する第2の枝路とを含む燃料供給回路、及び第1の枝路及び第2の枝路のうちの一方の枝路に熱的に連通するように配置された少なくとも1つの熱交換器を含む、ガスタービン燃焼システム。
[実施形態10]
前記第1の枝路及び第2の枝路は、第1の燃料供給部に流体的に結合されている、実施形態1~9のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態11]
前記燃料供給回路は、前記第1の燃料供給部に流体的に結合された第3の枝路であって、前記第3の噴射段まで延在する第3の枝路を含む、実施形態1~10のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態12]
第3の枝路が、第2の燃料供給部に流体的に結合され、第3の噴射段まで延在し、前記第3の枝路は、前記第1の燃料供給部から流体的に分離されている、実施形態1~11のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態13]
前記燃料供給回路は、前記第3の噴射段まで延在する第3の枝路、並びに前記第1の枝路と前記第2の枝路及び前記第3の枝路のうちの一方の枝路との間に延在するバイパスラインを更に含む、実施形態1~12のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態14]
前記少なくとも1つの熱交換器は、高エネルギー熱交換器及び低エネルギー熱交換器のうちの一方の熱交換器である、実施形態1~13のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態15]
前記少なくとも1つの熱交換器は、前記第1の枝路に熱的に連通するように配置された第1の熱交換器を含む、実施形態1~14のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態16]
前記第2の枝路は、前記第1の熱交換器の下流において、前記第1の枝路から延在する、実施形態1~15のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態17]
前記少なくとも1つの熱交換器は、前記第2の枝路に熱的に連通するように配置された第2の熱交換器を含む、実施形態1~16のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態18]
前記燃料供給回路は、前記第3の噴射段まで延在する第3の枝路を含み、前記少なくとも1つの熱交換器は、前記第3の枝路に熱的に連通するように配置された第2の熱交換器を含む、実施形態1~17のうちのいずれかの実施形態に記載のガスタービン燃焼システム。
[実施形態19]
複合サイクル発電所(CCPP)であって、CCPPはガスタービンを含み、ガスタービンは、ガスタービン燃焼システムと、蒸気タービンと、前記ガスタービンと前記蒸気タービンとの間に配置された熱回収蒸気発生器(HRSG)とを含む。ガスタービン燃焼システムは、少なくとも2つの噴射段を含む燃焼器であって、各噴射段は、前記燃焼器の燃焼室に燃料を噴射するように構成されている、燃焼器、少なくとも2つの噴射段と流体連通し、燃料供給部から前記少なくとも2つの噴射段に燃料を供給する燃料供給回路であって、前記燃料供給回路は、少なくとも2つの枝路を含み、前記少なくとも2つの枝路の各枝路は、前記少なくとも2つの噴射段のうちの対応する噴射段に流体的に結合される、燃料供給回路、及び熱流体供給部に流体的に結合された少なくとも2つの熱交換器であって、前記少なくとも2つの熱交換器の各熱交換器は、前記少なくとも2つの枝路のうちの対応する枝路に熱的に連通するように配置され、前記対応する枝路内の燃料の温度を変更する、少なくとも2つの熱交換器を含む。
[実施形態20]
前記熱流体供給部は、前記HRSGに流体連通している、実施形態1~19のうちのいずれかの実施形態に記載のCCPP。
【符号の説明】
【0091】
10 CCPP
12 ガスタービン
18 燃焼器
22 蒸気タービン
32 HRSG
140 燃焼ノズル
142 端部カバー
146 燃焼ライナ
170 燃焼室
172 一次燃焼領域
174 二次燃焼領域
206 予混合チューブ
218 後方フレーム
250 燃料供給部
252 燃料供給部
254 燃料供給部
400 ガスタービン燃焼システム
402 噴射段
404 燃料供給回路
406 燃料供給部
408 枝路
410 熱交換器
412 熱流体供給部
414 噴射段
416 噴射段
418 噴射段
420 噴射段
422 主ライン
424 枝路
426 枝路
428 枝路
430 枝路
434 熱交換器
436 熱交換器
438 熱交換器
440 熱交換器
446 主熱交換器
448 熱流体供給部
500 ガスタービン燃焼システム
502 噴射段
504 燃料供給回路
506 燃料供給部
513 高エネルギー熱流体供給部
514 噴射段
515 熱交換器
516 噴射段
517 熱交換器
518 噴射段
519 熱流体供給部
522 主ライン
524 枝路
526 枝路
528 枝路
554 バイパスライン
【外国語明細書】