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特開2023-138397農業用フィルム、および農業用害虫防除フィルム
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  • 特開-農業用フィルム、および農業用害虫防除フィルム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138397
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】農業用フィルム、および農業用害虫防除フィルム
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/02 20060101AFI20230922BHJP
   A01G 9/14 20060101ALI20230922BHJP
   A01M 29/08 20110101ALI20230922BHJP
【FI】
A01G13/02 E
A01G9/14 S
A01M29/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034851
(22)【出願日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2022041449
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】511169999
【氏名又は名称】石川県公立大学法人
(71)【出願人】
【識別番号】591074736
【氏名又は名称】宮城県
(71)【出願人】
【識別番号】504137956
【氏名又は名称】三菱ケミカルアグリドリーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】弘中 満太郎
(72)【発明者】
【氏名】関根 崇行
(72)【発明者】
【氏名】藤原 克宏
(72)【発明者】
【氏名】二上 由貴
(72)【発明者】
【氏名】小林 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】砥綿 梨絵
【テーマコード(参考)】
2B024
2B029
2B121
【Fターム(参考)】
2B024DA04
2B029EC13
2B121AA11
2B121DA28
2B121EA26
2B121FA13
2B121FA20
(57)【要約】
【解決課題】
害虫防除効果を有する農業用フィルムを提供すること。
【解決手段】
測定波長領域が300~650nmの範囲において、500~600nmの波長領域に反射率のピークを有し、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が10%以上、50%以下である、農業用フィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定波長領域が300~650nmの範囲において、
500~600nmの波長領域に反射率のピークを有し、
500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が10%以上、50%以下である、
農業用フィルム。
【請求項2】
300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率が15%以下である、請求項1に記載の農業用フィルム。
【請求項3】
600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率が5%以上、40%以下である、請求項1又は2に記載の農業用フィルム。
【請求項4】
500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率と、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率との比率が、1:0.6~1:0.8の範囲にある、請求項3に記載の農業用フィルム。
【請求項5】
測定波長領域が300~650nmの範囲において、
500~600nmの波長領域に反射率のピークを有し、
以下の条件式を満たす農業用フィルム。
(A)>(C)>(B)・・・式(1)
(A):500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率
(B):300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率
(C):600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の農業用フィルムを用いた農業用害虫防除フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用フィルム、特に農作物の害虫による被害を防止する農業用害虫防除フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、畝面の雑草繁茂の抑制、水分蒸散の調整、地温を調整する目的で畝面をマルチフィルムで覆って農作物を栽培する方法が一般的に行われている。このようなマルチフィルムにおいて、防虫効果を付与することが種々検討されている。
例えば、特許文献1では、アルミニウム粉末を含有する熱可塑性樹脂から基材層の少なくとも一方の表面に、害虫忌避剤を含有する熱可塑性樹脂層を積層してなる防虫マルチフィルムが提案されている。
【0003】
しかしながら、このような害虫忌避剤を含有する層を有するマルチフィルムでは、害虫忌避剤が経時的にフィルム外部に流出(ブリードアウト)するため、長期間の防虫効果を得ることができない。また、フィルム表面に流出した害虫忌避剤により、フィルムの防汚性が損なわれるという問題もあった。
【0004】
一方、近年、天敵類を活用した生物農薬や各種物理的防除手段など、化学合成した農薬だけに頼らない病害虫防除体系の普及が拡大してきている。このような中、露地園芸品目(キャベツ、春タマネギ等)における総合的病害虫管理技術の普及、拡大を目的として、リビングマルチを導入したIPM体系が提案されている(非特許文献1)。
【0005】
リビングマルチとは、主として栽培する作物の生育中に地表を覆うように同時に生育させる別の植物を指す。リビングマルチとして利用する植物は、「発芽が容易」、「主作物との栄養競合が少ない」、「雑草化のリスクが少ない」、「斉一性」などの条件が求められ、キャベツやタマネギの栽培において大麦が利用されている。
【0006】
キャベツにおいて、大麦をリビングマルチとして導入することにより、モンシロチョウ(アオムシ)、アブラムシ類、ネギアザミウマに対して高い密度抑制効果を示すことが報告されている(非特許文献1)。タマネギにおいて、大麦をリビングマルチとして導入することにより、アザミウマ類に対して高い密度抑制効果を示すことが報告されている(非特許文献1及び2)。また、大麦はタマナギンウワバ等のヤガ類に対しても密度抑制効果を示すことが報告されている。
【0007】
このように、リビングマルチの技術が進展してきているが、これを農業用マルチフィルムに適用するような試みは何らなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9-248069号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】関根崇行・大坂正明(2020)植物防疫74:680-686
【非特許文献2】Takayuki Sekine et al.(2021)Applied Entomology and Zoology56:59-68.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、害虫防除効果を有する農業用フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
昆虫は餌である作物を探す際に、作物と地面との境界部分を視覚によりまずは探索して、作物を発見すると考えられている。本発明者らは、リビングマルチの技術をマルチフィルムで実現できないかと考えたところ、リビングマルチによる虫の視覚攪乱は、リビングマルチに囲まれていることで、作物と地面の境界を虫が認識できないことにより引き起こされているのではないかと推測した。ここで、昆虫の可視光線は概ね人間より100nm短波長寄りになっているが、そのうち、キャベツ葉は550nm付近にピークを持つ。そこで、キャベツなどの植物の葉に似た反射特性を有するフィルムであれば、昆虫の攪乱効果を引き起こせるのではないかと考えた。すなわち、植物の葉に似せたフィルムが作物を取り囲むよう配置されることで、害虫は作物と地面との境界を認識できず、フィルムと地面との境界を強く認識し、一定時間そこを探索したのちに諦めてしまい、作物を発見することなく移動すると考え、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、
[1]
測定波長領域が300~650nmの範囲において、500~600nmの波長領域に反射率のピークを有し、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が10%以上、50%以下である、農業用フィルム。
[2]
300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率が15%以下である、[1]の農業用フィルム。
[3]
600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率が5%以上、40%以下である、[1]又は[2]に記載の農業用フィルム。
[4]
500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率(A)と、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率(C)との比率が、1:0.6~1:0.8の範囲にある、[3]に記載の農業用フィルム。
[5]
測定波長領域が300~650nmの範囲において、500~600nmの波長領域に反射率のピークを有し、以下の条件式を満たす農業用フィルム。
(A)>(C)>(B)・・・式(1)
(A):500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率
(B):300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率
(C):600~650nmの班長領域に亘っての平均反射率
[6]
[1]~[5]のいずれか1項に記載の農業用フィルムを用いた農業用害虫防除フィルム。
を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、害虫防除効果を有する農業用フィルムを提供することができる。
また、本発明の農業用フィルムは、従来技術のように害虫忌避剤を含有するものではないため、害虫忌避剤のブリードアウトによる害虫防除効果の低下の問題がないことから、一般的な農業用フィルムとしての機能を果たす期間中において害虫防除効果を維持することが可能である。
また、本発明の農業用フィルムは、優れた害虫防除効果を有することから、農薬の使用量を削減することが可能であり、環境面に配慮した栽培技術を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】各種作物及び各種フィルムの反射率特性
図2】各種フィルムの反射率特性(実施例4及び5、比較例3)
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施態様1
本発明の1つの実施態様は、測定波長領域が300~650nmの範囲において、500~600nmの波長領域に反射率のピークを有し、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が10%以上、50%以下である、農業用フィルム(以下「本発明の農業用フィルム1」ともいう)。
【0016】
理論に拘束されることを意図するものではないが、昆虫の可視光線領域は、300~650nmの範囲であり、言い換えれば、この範囲外は昆虫は認識できない領域と考えている。
昆虫の可視光線領域である300~650nmの範囲において、キャベツ葉は550nm付近にピークを持つことから、植物の葉に似た反射特性を有するフィルムについて種々検討したところ、500~600nmの波長領域に反射率のピークを有し、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が10%以上、50%以下であるフィルムにおいて害虫の防除効果が優れることを見出した。
本発明の農業用フィルム1は、このような光学特性を有することにより、優れた害虫防除効果を有する。
なお、本明細書において、反射率とは、フィルム及び被覆対象の反射による光のフィルム外部における総和を示すものとする。フィルムの表面及び内部からの反射光と、フィルムにより被覆される土などの基質からの反射がフィルムを透過した透過光という両方を含むものを意味する。
農業用フィルム1は、測定波長領域が300~650nmの範囲において、500~600nmの波長領域に反射率のピークを有する。反射率のピークが500~600nmにあれば、対象植物の葉の反射率のピーク値の近くに、農業用フィルム1のピーク値を有することができ、昆虫が対象植物の葉と、農業用フィルム1との境を認識しずらく、昆虫の錯乱効果を引き起こすことができると考えている。農業用フィルム1の反射率のピークは、510~590nmの範囲にあることが好ましく、520~580nmの範囲にあることが更に好ましい。
また、農業用フィルム1において、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が10%以上、50%以下である。平均反射率が10%以上であれば、昆虫は認識することができると考えられ、50%以下であれば対象植物の葉の反射率と差が大きくならず、昆虫の錯乱効果を引き起こすことができ、害虫忌避効果を促すことができると考えている。下限は、12%以上が好ましく、15%以上が更に好ましい。上限は48%以下が好ましく、45%以下が更に好ましい。
【0017】
本発明の農業用フィルム1の好ましい側面においては、300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率が15%以下である。
害虫の錯乱効果を促すためには、全体の反射特性をキャベツ等の対象植物の葉に似せる必要がある。
害虫は、紫外線領域である300~400nmの波長領域において、物体が植物であると判断すると考えられている。例えば、反射率が低ければ、地面にある植物などの物体であると害虫は判断し、反射率が高ければ、空や水面であると害虫は判断すると考えられている。
キャベツ等の植物の葉に類似するものとして、害虫の視覚錯乱効果を促すためには、15%以下であることが好ましく、13%以下であることが好ましく、10%以下であることが更に好ましい。
紫外線領域である300~400nmの波長領域での反射率が高すぎると、害虫は空と勘違して、背を下にする上下反転反応をおこし、フィルム上に落下する現象が発生し、害虫を留めてしまうため好ましくない。
【0018】
本発明の農業用フィルム1の好ましい側面においては、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率が5%以上、40%以下である。
害虫の錯乱効果を促すためには、全体の反射特性をキャベツ等の対象植物の葉に似せる必要がある。
害虫は、長波長領域である600~650nmの反射率成分が加わるとキャベツ等の葉が、明るく、若い葉に見えると考えられている。このことにより、農業用フィルム1は、保護すべき対象植物よりも害虫にとって魅力的に見えるようになり、害虫は農業用フィルム1と地面との境界を強く認識し、一定時間そこを探索したのちに諦めてしまい、対象植物を発見することなく移動すると考えている。
それゆえ害虫の視覚錯乱効果を促すためには、更に長波長側の反射特性を似せる必要があると考えている。600~650nmの波長領域での反射率が低すぎたり、高すぎたりすると、害虫の撹乱効果が逆に阻害されてしまうため、5%以上40%以下が好ましく、5%以上30%以下が更に好ましく、5%以上20%以下が最も好ましい。
【0019】
本発明の農業用フィルム1の好ましい側面においては、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率(A)と、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率(A)との比率が、1:0.6~1:0.8の範囲内であることが好ましい。
500~600nmの波長領域での反射光は、緑色成分として視認される。600~650nmの波長領域で反射光は、黄色成分として視認される。両成分を合成することで、黄緑色成分として視認される。キャベツ等の葉を、明るく、若い葉に見せるためには、更に、両成分の割合も重要であると考えている。
500~600nmの反射領域に亘っての平均反射率が1に対して、600~650nmの反射領域に亘っての平均反射率が0.6以上であれば、キャベツ等の葉が濃い緑色になりすぎず、成熟した葉と視認されにくいため、明るく、若い葉に見せることができると考えている。600~650nmの反射領域に亘っての平均反射率は0.62以上がより好ましく、0.64以上が更に好ましい。
500~600nmの反射領域に亘っての平均反射率が1に対して、600~650nmの反射領域に亘っての平均反射率が0.8以下であれば、キャベツ等の葉の黄色成分が強くなりすぎず、老いた葉や枯れた葉と認識されにくいため、明るく、若い葉に見せることができると考えている。500~600nmの反射領域に亘っての平均反射率が1に対して、600~650nmの反射領域に亘っての平均反射率は0.78以下がより好ましく、0.76以下が更に好ましい。
【0020】
本発明の農業用フィルム1に使用する材質は、特に限定することはなく公知の熱可塑性樹脂を使用することができる。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルや、脂肪族芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルなどの生分解性樹脂、及びこれらの2以上の組み合わせを使用することができる。
これらの熱可塑性樹脂を用いて透明なフィルムを製造することができ、また、これらの熱可塑性樹脂には後述する本発明の農業用フィルム1に使用できる染料、顔料を良好に分散させることができることから、当該熱可塑性樹脂をフィルムの材質として用いることで、500~600nmの波長領域に亘って平均反射率が10%以上、50%以下であるという反射特性を達成することができる。
生分解性樹脂は、農業用フィルムや栽培畝の間に展張して使用した後、土中で分解させることができるため、本発明においては好ましく使用することができる。生分解性樹脂は、単独で使用することができ、また、生分解性樹脂を主成分として、上記した熱可塑性樹脂(好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等)と組み合わせて使用することもできる。
土中分解の観点では、生分解性樹脂を単独使用することが好ましい。
【0021】
本発明の農業用フィルム1に使用できる生分解性樹脂は、特に限定することはなく、一般的に入手することができる生分解性樹脂を使用することができる。例えば、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、セルロースエステル、乳酸系ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂などがあげられる。なかでもフィルムを作製する時の生産性や圃場に展張する際の作業性、また使用後の生分解性を考慮すると、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、乳酸系ポリエステル系樹脂などを使用することが好ましい。
【0022】
<脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂>
本発明の農業用フィルム1に使用できる脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂は、脂肪族ジカルボン酸単位と、芳香族ジカルボン酸単位と、鎖状脂肪族及び/または脂環式ジオール単位とを含み、芳香族ジカルボン酸単位の含有量は、脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の全量を基準(100モル%)として、5~60モル%である。
【0023】
本発明の農業用フィルム1に使用できる脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂は、具体的には、例えば、下記式(1)で表される脂肪族ジオール単位、下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位及び、下記式(3)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。
【0024】
-O-R1-O- (1)
(式中、R1は2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
-OC-R2-CO- (2)
(式中、R2は直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
-OC-R3CO- (3)
(式中、R3は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
【0025】
式(1)のジオール単位を与えるジオール成分は、炭素数が通常2~10のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも、炭素数2以上4以下のジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4-ブタンジオールがより好ましく、1,4-ブタンジオールが特に好ましい。
【0026】
式(2)のジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。中でも、コハク酸またはアジピン酸が好ましい。
【0027】
式(3)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。また、芳香環の一部がスルホン酸塩で置換されている芳香族ジカルボン酸が挙げられる。なお、脂肪族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成分および芳香族ジカルボン酸成分は、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
【0028】
本発明の農業用フィルム1における脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2-ヒドロキシ-n-酪酸、2-ヒドロキシカプロン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル酪酸、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、またはこれらの混合物等が挙げられる。さらに、これらの低級アルキルエステル又は分子内エステルであってもよい。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液のいずれであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸またはグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することができる。
【0029】
この脂肪族オキシカルボン酸の量は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を構成する全構成成分中、0~30モル%であるのが好ましく、更に0.01~20モル%であるのが好ましい。
【0030】
本発明の農業用フィルム1における脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kg荷重で測定した場合、好ましくは0.1~100g/10分であり、更に好ましくは0.1~50g/10分であり、特に好ましくは0.1~30g/10分である。
【0031】
このような脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂の具体例としては、BASF社製「Ecoflex」、S-EnPol社製「EnPol」、Xinjiang Blue Ridge Tunhe Polyester社製「TH801T」などが挙げられる。
【0032】
<脂肪族ポリエステル系樹脂>
本発明の農業用フィルム1に使用できる脂肪族ポリエスエステル系樹脂は、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含む脂肪族ポリエステル系樹脂やジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂等を使用することができる。
【0033】
本発明の農業用フィルム1に使用できる脂肪族ポリエステル系樹脂の構成成分である脂肪族ポリエステル系樹脂は、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。ここで、「主成分」とは、脂肪族ポリエステルを構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上であることをいう。
【0034】
脂肪族ポリエステル系樹脂を具体的に示すと、例えば下記式(4)で表される鎖状脂肪族および/または脂環式ジオール単位、並びに、下記式(5)で表される鎖状脂肪族および/または脂環式ジカルボン酸単位からなるものである。
-O-R4-O- (4)
(式中、R4は2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のR4が含まれていてもよい。)
-OC-R5-CO- (5)
(式中、R5は2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のR5が含まれていてもよい。)
なお、上記式(4)、式(5)において、「2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基」とは、2価の鎖状脂肪族炭化水素基と2価の脂環式炭化水素基の両方を含んでいてもよいという意味である。また、以下「鎖状脂肪族および/または脂環式」を単に「脂肪族」と略記する場合がある。
【0035】
前記脂肪族ポリエステル系樹脂は、上記式(4)のジオール単位として、1,4ブタンジオール単位を必須成分として含むものである。1,4ブタンジオール単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、30~60モル%、特に40~50モル%であるのが好ましい。
1,4ブタンジオール単位以外のジオール単位としては特に限定されないが、炭素数3~10個の脂肪族ジオール単位が好ましく、炭素数4~6個の脂肪族ジオール単位が特に好ましい。具体的には1,3-プロパンジオール、1,4-ヘキサンジメタノール等が挙げられる。前記脂肪族ジオール単位を与えるジオール成分は2種類以上を用いることもできる。
【0036】
前記脂肪族ポリエステル系樹脂は、更に、ジカルボン酸単位としてコハク酸単位を必須成分として含むものである。
また、脂肪族ポリエステル系樹脂はジカルボン酸単位としてアジピン酸を必須成分として含む場合、アジピン酸単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、0.5~20モル%であるのが好ましく、1~15モル%であるのが更に好ましい。
コハク酸単位、アジピン酸単位以外のジカルボン酸単位としては特に限定されないが、炭素数2~10個の脂肪族ジカルボン酸単位が好ましく、炭素数4~8個の脂肪族ジカルボン酸単位が特に好ましい。具体的には、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は2種類以上を用いることもできる。
【0037】
更に、前記脂肪族ポリエステル系樹脂は、脂肪族オキシカルボン酸単位を含有していてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2-ヒドロキシ-n-酪酸、2-ヒドロキシカプロン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル酪酸、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸等、またはこれらの低級アルコールもしくは分子内エステルが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液の何れであってもよい。これらの中で特に好ましいのは、乳酸またはグリコール酸である。これらの脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
脂肪族オキシカルボン酸単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、0~30モル%であるのが好ましく、更に0.01~20モル%であるのが好ましく、特に0.01~10モル%であるのが好ましい。
このような脂肪族ポリエステル系樹脂の具体例としては、PTTMCC社製「BioPBS」、Xinjiang Blue Ridge Tunhe Polyester社製「TH803S」などが挙げられる。
【0038】
<乳酸系ポリエステル系樹脂>
本発明の農業用フィルム1に使用できる乳酸系ポリエステル系樹脂は、L-乳酸、D-乳酸、DL-乳酸またはそれらの混合物、ラクチドなどのホモポリマーまたはコポリマーなどが使用できる。乳酸系ポリエステル系樹脂は、これらの原料から直接脱水縮合またはラクチドの開環重合などによって製造することができるが、製法は特に限定されない。また、乳酸系ポリエステル系樹脂の性質を損なわない程度に、乳酸以外の他のヒドロキシカルボン酸、脂肪族多価アルコール、脂肪族多塩基酸等を共重合してもかまわない。
このような乳酸系ポリエステル系樹脂の具体例としては、Nature Works社製「Ingeo Biopolymer」、浙江海正生物材料社製「REVODE」、Total Corbion社製「Luminy」などが挙げられる。
また、この様にして製造された乳酸系ポリエステル系樹脂を、他の脂肪族ポリエステル系樹脂、または、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂と事前に混合された原料を用いることもできる。
このような乳酸系ポリエステル系樹脂との混合系樹脂の具体例としては、BASF社製「Ecovio Fブレンド C2224」などが挙げられる。
【0039】
本発明の農業用フィルム1においては、500~600nmの波長領域に亘って平均反射率が10%以上、50%以下であるという反射特性を達成できるものであれば、種々の染料、顔料を所定の配合量で添加することができる。本発明の農業用フィルム1に使用できる染料、顔料としては、例えば 酸化亜鉛や酸化鉄、二酸化チタンなどの酸化物類や、群青、紺青、ビリジアン、カーボンブラックやチタンブラックなどの無機系顔料や、アゾ系顔料やフタロシアニン系顔料などの有機系顔料が挙げられ、これらを組み合わせて用いることが好ましい。
なかでも、酸化亜鉛や二酸化チタン、硫酸バリウムなどの白色系着色材と、ビリジアンやピグメントグリーン、フタロシアニングリーンなどの緑色系着色材を組み合わせて用いることにより、500~600nmの波長領域に亘って平均反射率が10%以上、50%以下である農業用フィルムの製作がしやすくなる。白色系着色材と緑色系着色材とを組み合わせて用いる場合は、顔料として、これらの着色材の組み合わせのみを使用してもよく、また、これらの着色材の組み合わせ以外に、カーボンブラックやその他の顔料を所定量添加することもできる。
また、例えば、白色系着色剤として二酸化チタン、緑色系着色剤として銅フタロシアニンを用いる場合、含有比率としては、二酸化チタン:銅フタロシアニンが90:10~99:1であることが好ましく、98:2~93:7であることがより好ましい。
また、染料、顔料などの着色材の配合量(2種以上の染料、顔料を用いる場合は合計の配合量)としては、農業用フィルム1の材質である熱可塑性樹脂の全重量100重量部に対して、通常、1~20重量部であり、3~15重量部が好ましく、さらに好ましくは5~12重量部である。
【0040】
本発明の農業用フィルム1の1つの好ましい側面においては、白色色材とその他の色の色材(染料又は顔料)を組み合わせて用いられる。ここで、白色色材としては、酸化亜鉛、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、リトポン等が用いられる。
また、本発明の農業用フィルム1のもう1つの好ましい側面においては、二酸化チタンとその他の顔料を組み合わせて用いられる。
【0041】
<その他の成分>
本発明の農業用フィルム1中には、本発明の効果を阻害しない範囲でさらに、従来公知の各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、その他安定剤、耐衝撃性改善剤、架橋剤、充填材、発泡剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、蛍光剤、防黴剤、抗菌剤、殺菌剤、金属不活性剤、結晶核剤、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、耐光剤、可塑剤、安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、分散剤、界面活性剤、加水分解防止剤、加工助剤などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中で特にスリップ剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、耐光剤は配合した方が好ましい。
【0042】
スリップ剤としては、炭素数6~30の不飽和脂肪酸からなる不飽和脂肪酸アマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイドが挙げられ、エルカ酸アマイド、エルカ酸ビスアマイドが好ましい。
【0043】
アンチブロッキング剤としては、炭素数6~30の飽和脂肪酸アマイド、または飽和脂肪酸ビスアマイド(例えばステアリン酸アマイド、ステアリン酸ビスアマイド)、メチロールアマイド、エタノールアマイド、天然シリカ、合成シリカ、合成ゼオライト、タルク等が挙げられる。
【0044】
紫外線吸収剤としては、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸系、シアノアクリレート系等が挙げられ、その中でも、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系またはベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。
【0045】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチロキシ)フェノール:CAS Number2725-22-6で表される化合物(例えばCytecのCYASORB UV-1164)や、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール:CAS Number 147315-50-2(例えばBASFジャパンのTinuvin1577FF)、2-[4,6-ビス(ジフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-フェノール(例えば、BASFジャパンのTinuvin1600)を用いることができる。
【0046】
ベンゾトリアゾール系またはベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル6-(tert-ブチル)フェノール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α、α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、オクタベンゾン、2,2’-ジヒドロキシ-4-4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-4,4’-テトラヒドロベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0047】
耐光剤としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-n-ブチル-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)マロネート、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-n-ブチル-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)マロネート、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチル-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)マロネート、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチル-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)マロネート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/β,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-〔2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〕ジエチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/β,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-〔2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〕ジエチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,2-ビス(3-オキソ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)エタン、1-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,1-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシカルボニル)ペンタン、ポリ〔1-オキシエチレン(2,2,6,6-テトラメチル-1,4-ピペリジル)オキシスクシニル〕、ポリ〔2-(1,1,4-トリメチルブチルイミノ)-4,6-トリアジンジイル-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノヘキサメチレン-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス〔N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ〕-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物及びそのN-メチル化合物、コハク酸と1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[{6-((1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、オレフィン(C20-C24)・無水マレイン酸・4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン共重合物等が挙げられる。
【0048】
酸化防止剤としては、BHT、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-tert-ブチル-α,α’,α”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H、3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H、3H,5H)-トリオン、カルシウムジエチルビス[{3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル}メチル]ホスホネート、ビス(2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ-tert-ブチル-5,5’-ジメチルフェニル)エタン、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオンアミド、n-オクタデシル3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’―ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系酸化防止剤、3-ヒドロキシ-5,7-ジ-tert-ブチル-フラン-2-オンとキシレンの反応生成物等のラクトン系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤及びこれらの2種以上の混合物などが例示できる。
【0049】
安定剤としては脂肪酸金属塩が挙げられる。脂肪酸金属塩の脂肪酸成分としてはカルボキシル基を有する通常炭素数が6~30の鎖状のカルボン酸であり、直鎖状でも分岐状でもよく、また飽和結合のみでも不飽和結合を有していてもよい。脂肪酸の具体例としてはカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エイコセン酸、エルシン酸、エライジン酸、トランス11エイコセン酸、トランス13ドコセン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エルカ酸等が挙げられる。
【0050】
一方、金属原子としては、周期表の1A、2A、2B及び3B族の原子が好ましい。好ましい例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛などが挙げられる。
【0051】
脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸アルミニウム、モンタン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種でもよく2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でもステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム及びラウリン酸アルミニウムが好ましい。
【0052】
分散剤としては、エチレンビスアマイド、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンンワックス等の低分子量樹脂ワックス、モンタンワックス等のエステル系ワックスが挙げられる。
【0053】
また、本発明の農業用フィルム1には、無機充填材を含有してもよい。無機充填剤の含有量は、樹脂成分の全重量100重量部に対して、好ましくは0.05~10重量部、より好ましくは0.1~9.5重量部、更に好ましくは0.5~9.0重量部である。無機充填材を上記のように含有させることで、より良好な成形性を得ることが可能となる。
【0054】
本発明に使用できる無機充填材としては、シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、珪酸カルシウム及び珪酸ナトリウム等の珪酸塩、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム並びに硫酸バリウム等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0055】
また、本発明の農業用フィルム1中には、本発明の効果を阻害しない範囲で生分解性樹脂及び天然物、例えば、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル等や澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末またはこれらの混合物を配合することができる。
【0056】
本発明の農業用フィルム1を作製する場合の、熱可塑性樹脂組成物の混錬方法は、樹脂組成物の混錬方法として一般的な方法が使用できる。具体的には、ペレットや粉体、固体の細片などをヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸や2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混錬機に供給して溶融混錬することができる。
【0057】
熱可塑性樹脂組成物からフィルムを成形加工する方法は、例えば、溶融押出成形法(Tダイ法、インフレーション法を含む)、カレンダー加工、ロール加工、押出成型加工、ブロー成型、溶融流延法、加圧成形加工、ペースト加工、粉体成型などの方法を好適に使用することができる。
【0058】
本発明の農業用フィルム1の厚みについては、5μm~50μmが好ましく、5μm~40μmが好ましく、5μm~35μmが更に好ましく、5μm~30μmがとりわけ好ましい。農業用フィルム1の厚みをこの範囲とすることで、フィルムの成形をより安定させることができ、展張作業などに使用するときに強度が不十分になることを抑制することができる。
【0059】
本発明の農業用フィルム1は、単層であっても多層の構成であってもよい。
多層とする場合には、農業用フィルム1の裏面側に光の透過を遮断する層として、黒色層を設けてもよい。黒色層を設けることにより、透過光をほぼ100%遮断することができるので、防草効果を高めることができる。
【0060】
実施態様2
本発明のもう1つの実施態様は、測定波長領域が300~650nmの範囲において、500~600nmの波長領域に反射率のピークを有し、
以下の条件式を満たす農業用フィルム(以下「本発明の農業用フィルム2」ともいう)。
(A)>(C)>(B)・・・式(1)
(A):500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率
(B):300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率
(C):600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率
【0061】
理論に拘束されることを意図するものではないが、キャベツ葉は550nm付近にピークを持ち、500~600nmの波長領域に比べ、長波長側と短波長側の平均反射率が低い値を示していることから、植物の葉に似た反射特性を有するフィルムについて種々検討したところ、500~600nmの波長領域に反射率のピークを有し、以下の条件式を満たす農業用フィルム(以下「本発明の農業用フィルム2」ともいう)。
(A)>(C)>(B)・・・式(1)
(A):500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率
(B):300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率
(C):600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率
においても害虫の防除効果が優れることを見出した。
本発明の農業用フィルム2は、このような光学特性を有することにより、優れた害虫防除効果を有する。
【0062】
本発明の農業用フィルム2に使用する材質は、特に限定することはなく公知の熱可塑性樹脂を使用することができる。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルや、脂肪族芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルなどの生分解性樹脂を使用することができる。中でも、生分解性樹脂は、マルチフィルムや栽培畝の間に展張して使用した後、土中で分解させることができるため、本発明においては好ましく使用することができる。
【0063】
本発明の農業用フィルム2に使用できる生分解性樹脂は、特に限定することはなく、一般的に入手することができる生分解性樹脂を使用することができる。例えば、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、セルロースエステル、乳酸系ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂などがあげられる。なかでもフィルムを作製する時の生産性や圃場に展張する際の作業性、また使用後の生分解性を考慮すると、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、乳酸系ポリエステル系樹脂などを使用することが好ましい。
脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、乳酸系ポリエステル系樹脂は、本発明の農業用フィルム1で詳述したものと同様のものを用いることができる。
【0064】
本発明の農業用フィルム2においては、特定波長領域における平均反射率の関係式(1)を達成できるものであれば、種々の染料、顔料を所定の配合量で添加することができる。本発明の農業用フィルム2に使用できる染料、顔料としては、例えば、酸化亜鉛や酸化鉄、二酸化チタンなどの酸化物類や、群青、紺青、ビリジアン、カーボンブラックやチタンブラックなどの無機系顔料や、アゾ系顔料やフタロシアニン系顔料などの有機系顔料が挙げられ、これらを組み合わせて用いることが好ましい。なかでも、酸化亜鉛や二酸化チタン、硫酸バリウムなどの白色系着色材と、カーボンブラックやチタンブラック、アセチレンブラックなどの黒色系着色材を組み合わせて用いることで、500~600nmの波長領域に亘って、反射率が10%程度である農業用フィルムの製作がしやすくなる。白色系着色材と緑色系着色材とを組み合わせて用いる場合は、顔料として、これらの着色材の組み合わせのみを使用してもよく、また、これらの着色材の組み合わせ以外に、カーボンブラックやその他の顔料を所定量添加することもできる。
また、例えば、白色系着色剤として二酸化チタン、緑色系着色剤として銅フタロシアニンを用いる場合、含有比率としては、二酸化チタン:銅フタロシアニンが90:10~99:1であることが好ましく、98:2~93:7であることがより好ましい。
また、染料、顔料の配合量(2種以上の染料、顔料を用いる場合は合計の配合量)としては、農業用フィルム2の材質である熱可塑性樹脂全重量100重量部に対して、通常、1~20重量部であり、3~15重量部が好ましく、さらに好ましくは5~12重量部である。
【0065】
本発明の農業用フィルム2の1つの好ましい側面においては、白色色材とその他の色の色材(染料又は顔料)を組み合わせて用いられる。ここで、白色色材としては、酸化亜鉛、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、リトポン等が用いられる。
また、本発明の農業用フィルム2のもう1つの好ましい側面においては、二酸化チタンとその他の顔料を組み合わせて用いられる。
【0066】
本発明の農業用フィルム2中には、本発明の効果を阻害しない範囲でさらに、従来公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、耐光剤、可塑剤、安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑剤、分散剤や各種界面活性剤、加水分解防止剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中で特にスリップ剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤は配合した方が好ましい。本発明の農業用フィルム2で用いられる上記添加剤は、本発明の農業用フィルム1で詳述したものと同様のものを用いることができる。
【0067】
本発明の農業用フィルム2を作製する場合の、熱可塑性樹脂組成物の混錬方法は、樹脂組成物の混錬方法として一般的な方法が使用できる。具体的には、ペレットや粉体、固体の細片などをヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸や2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混錬機に供給して溶融混錬することができる。
【0068】
熱可塑性樹脂組成物からフィルムを成形加工する方法は、例えば、溶融押出成形法(Tダイ法、インフレーション法を含む)、カレンダー加工、ロール加工、押出成型加工、ブロー成型、溶融流延法、加圧成形加工、ペースト加工、粉体成型などの方法を好適に使用することができる。
【0069】
本発明の農業用フィルム2の厚みについては、5μm~50μmが好ましく、5μm~40μmがより好ましく、5μm~35μmが更に好ましく、5μm~30μmがとりわけ好ましい。農業用フィルムの厚みをこの範囲とすることでフィルムの成形をより安定させることができ、展張作業などに使用するときに強度が不十分になることを抑制することができる。
【0070】
本発明の農業用フィルム2は、単層であっても多層の構成であってもよい。
多層とする場合には、農業用フィルム2の裏面側に光の透過を遮断する層として、黒色層を設けてもよい。黒色層を設けることにより、透過光をほぼ100%遮断することができるので、防草効果を高めることができる。
【0071】
農業用害虫防除フィルム
本発明のもう1つの実施態様は、本発明の農業用フィルム1又は本発明の農業用フィルム2を用いた農業用害虫防除フィルムである。
【0072】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例0073】
[評価方法]
(1)反射率の測定方法(単位:%)
分光器,朝日分光HSU-100Sとコンパクト・キセノン光源朝日分光LAX-C100を用いて、暗室にて測定した。測定条件は、L1:50、測定モード:物体色測定、露光時間(白色基準板):4000、露光時間(サンプル測定時):自動検出、積算回数は1、補正データ:SRS-99-010-OD95C-8820、リミットデータ:指定なしとした。
黒色の無反射植毛布の上に測定するフィルムを置き、積分球にて反射光のフォトン数を1nmごとに測定した。(図1図2参照)
前記の測定値から、500~600nmの反射率ピーク値、500~600nmの平均反射率(A)、300~400nmの平均反射率(B)、600~650nmの平均反射率(C)を読み取った。
【0074】
(2)キャベツの害虫抑制効果の確認(a)、(b)、(c)、(d)
宮城県名取市の農地に2021年9月6日に農業用フィルムを展張し、キャベツを栽培し、9月6日から11月1日(計57日間)の所定の期間毎にキャベツの対象害虫の数を目視にて数え24株当たりの累積寄生数(卵+幼虫、アブラムシ類の場合は全生育ステージ)を算出し、下記の基準で評価した。
(a)対象害虫:モンシロチョウ
○:モンシロチョウの寄生数が120未満
△:モンシロチョウの寄生数が120以上、150未満
×:モンシロチョウの寄生数が150以上
(b)対象害虫:ウワバ類
○:ウワバ類の寄生数が320未満
△:ウワバ類の寄生数が320以上、350未満
×:ウワバ類の寄生数が350以上
(c)対象害虫:コナガ
○:コナガの寄生数が10未満
△:コナガの寄生数が10以上、20未満
×:コナガの寄生数が20以上
(d)対象害虫:アブラムシ類
○:アブラムシ類の寄生数が200未満
△:アブラムシ類の寄生数が200以上、250未満
×:アブラムシ類の寄生数が250以上
【0075】
(3)ダイコンの害虫抑制効果の確認(e)、(f)
宮城県名取市の農地に2021年9月6日に、農業用フィルムを展張し、ダイコンを栽培し、9月6日から10月8日(計33日間)の所定の期間毎にダイコンの対象害虫の数を目視にて数え、24株当たりの累積寄生数(卵+幼虫)を算出し、下記の基準で評価した。
(e)対象害虫:モンシロチョウ
○:モンシロチョウの寄生数が5未満
△:モンシロチョウの寄生数が5以上、10未満
×:モンシロチョウの寄生数が10以上
(f)対象害虫:ウワバ類
○:ウワバ類の寄生数が20未満
△:ウワバ類の寄生数が20以上、30未満
×:ウワバ類の寄生数が30以上
【0076】
(4)キャベツの害虫抑制効果の確認(g)、(h)
宮城県名取市の農地に2022年8月30日に、農業フィルムを展長し、キャベツを栽培し、8月30日から11月7日(計69日間)の所定の期間毎にキャベツ対象害虫の数を目視にて数え36株あたりの累計寄生数(産卵数、アブラムシ類の場合は全生育ステージ)を算出し、下記の基準で評価した。
(g)対象害虫:モンシロチョウ
○:モンシロチョウの寄生数が150未満
△:モンシロチョウの寄生数が150以上、300未満
×:モンシロチョウの寄生数が300以上
(h)対象害虫:アブラムシ類
○:アブラムシ類の寄生数が200未満
△:アブラムシ類の寄生数が200以上、500未満
×:アブラムシ類の寄生数が500以上
【0077】
[使用材料]
実施例に用いた材料を以下に示す通り用いた。
【0078】
<生分解性樹脂>
・脂肪族芳香族ポリエステル樹脂(Xinjiang Blue Ridge Tunhe Polyester社製 商品名「TH801T」
・脂肪族ポリエステル樹脂(三菱ケミカル社製 商品名「BioPBS」)
<ポリエチレン樹脂>
・ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン株式会社製 商品名「ノバテックLD LF240」)
<着色剤>
以下のマスターバッチを用いて、二酸化チタン、銅フタロシアニン、カーボンブラック及びその他顔料を添加した。
<緑系顔料のマスターバッチ>
東京インキ社製(グレード名:GPM 6CA026GREEN)を用いた。
生分解樹脂 38質量%
二酸化チタン 50質量%
銅フタロシアニン 3.5質量%
カーボンブラック 0.5質量%
その他顔料 8質量%
<白系顔料のマスターバッチ>
大日精化工業社製(グレード名:BR-RM 17N3940 WH)を用いた。
生分解樹脂 40質量%
二酸化チタン 60質量%
<黒系マスターバッチ>
東京インキ社製(グレード名:GPM 9BH092 BLACK AL)を用いた。
生分解樹脂 60質量%
カーボンブラック 40質量%
<他添加剤>
以下のマスターバッチを用いて、タルク、紫外線吸収剤、光安定剤を含む添加剤を添加した。
<添加剤1のマスターバッチ>
脂肪族芳香族ポリエステル樹脂(Xinjiang Blue Ridge Tunhe Polyester社製 商品名「TH801T」) 49.6質量%、
タルク(IMERYS社製 商品名「ミストトロン850JS」)40質量%、
紫外線吸収剤、光安定剤等を含む添加剤 10.4質量%
<添加剤2のマスターバッチ>
生分解樹脂(三菱ケミカル社製 商品名「BioPBS」)87.5質量%
紫外線吸収剤、光安定剤等を含む添加剤 12.5質量%
【0079】
[フィルムの成膜方法]
使用材料をブレンドした後、シリンダ及びダイス温度は脂肪族芳香族ポリエステル樹脂の溶融温度+40~60℃に設定し、住友重機械モダン社のインフレーション成形機を用いて、厚み18μmのフィルムを成形した。
【0080】
[実施例1]
生分解樹脂として、脂肪族芳香族ポリエスル92.3重量部と脂肪族ポリエステル樹脂7.7重量部の合計100重量部に対して、各種顔料・添加剤を表1に示す配合量に調整し、前述のフィルム成膜方法にて、フィルムの成形した。得られたフィルムを展張し前述の(a)~(f)の評価を行った。
300~650nm測定波長領域において、500~600nmの波長領域のピークは535nm付近であり、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率は41.2%であった。
キャベツの葉に対するモンシロチョウの寄生数は98、ウワバ類の寄生数は339、コナガの寄生数は8、アブラムシ類の寄生数は82であり、ダイコンの葉に対するモンシロチョウの寄生数は4、ウワバ類の寄生数は13であった。
500~600nmの波長領域にピーク値を有し、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が10%以上、50%以下であり、対象植物の葉の反射特性に近づけることができ、害虫抑制効果を確認できた。
500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が41.2%と高めであるため、モンシロチョウ等の昼行性の害虫に対して特に効果があることが確認できた。
300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率は9.5%であり、平均反射率が15%以下であることから、害虫をフィルム上に留めることを抑制することができ、害虫抑制効果につながったと推測している。
600~650nm波長領域に亘っての平均反射率は30.1%であり、平均反射率が5%以上、40%以下であることから、対象植物であるキャベツ等の葉が、明るく、若い葉の時期においても、害虫の視覚錯乱効果を促すことができ、害虫抑制効果につながったと推測している。
500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率と、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率との比率が、1:0.73であった。500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率に対する600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率の比率が、0.6以上0.8以下であることから、対象植物の葉が、明るく、若い葉の時期においても、害虫の視覚錯乱効果を促すことができ、害虫抑制効果につながったと推測している。
500~600nmの波長領域に反射率のピーク値(43.4%)を有し、かつ、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率(A)は41.2%、300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率(B)は9.5%、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率(C)は30.1%であり、(A)>(C)>(B)の関係式(1)を満たすものであった。
【0081】
[実施例2]
生分解樹脂として、脂肪族芳香族ポリエスル95.9重量部と脂肪族ポリエステル樹脂4.1重量部の合計100重量部に対して、各種顔料・添加剤を表1に示す配合量に調整し、前述のフィルム成膜方法にて、フィルムの成形した。得られたフィルムを展張し前述の(a)~(f)の評価を行った。
300~650nm測定波長領域において、500~600nmの波長領域のピークは542nm付近であり、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率は31.9%であった。
キャベツの葉に対するモンシロチョウの寄生数は112、ウワバ類の寄生数は305、コナガの寄生数は7、アブラムシ類の寄生数は159であり、ダイコンの葉に対するモンシロチョウの寄生数は7、ウワバ類の寄生数は7であった。
500~600nmの波長領域にピーク値を有し、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が10%以上、50%以下であり、対象植物の葉の反射特性に近づけることができ、害虫抑制効果を確認できた。
500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が31.9%と中間であるため、すべての害虫に対して、バランスのとれた効果を確認できた。
300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率は8.2%であり、平均反射率が15%以下であることから、害虫をフィルム上に留めることを抑制することができ、害虫抑制効果につながったと推測している。
600~650nm波長領域に亘っての平均反射率は18.7%であり、平均反射率が5%以上、40%以下であることから、対象植物であるキャベツ等の葉が、明るく、若い葉の時期においても、害虫の視覚錯乱効果を促すことができ、害虫抑制効果につながったと推測している。
500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率と、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率との比率が、1:0.63であった。500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率に対する600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率の比率が、0.6以上0.8以下であることから、対象植物の葉が、明るく、若い葉の時期においても、害虫の視覚錯乱効果を促すことができ、害虫抑制効果につながったと推測している。
500~600nmの波長領域に反射率のピーク値(31.9%)を有し、かつ、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率(A)は29.5%、300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率(B)は8.2%、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率(C)は18.7%であり、(A)>(C)>(B)の関係式(1)を満たすものであった。
【0082】
[実施例3]
生分解樹脂として、脂肪族芳香族ポリエスル95.8重量部と脂肪族ポリエステル樹脂4.2重量部の合計100重量部に対して、各種顔料・添加剤を表1に示す配合量に調整し、前述のフィルム成膜方法にて、フィルムの成形した。得られたフィルムを展張し前述の(a)~(f)の評価を行った。
300~650nm測定波長領域において、500~600nmの波長領域のピークは517nm付近であり、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率は19.3%であった。
キャベツの葉に対するモンシロチョウの寄生数は132、ウワバ類の寄生数は276、コナガの寄生数は6、アブラムシ類の寄生数は84であり、ダイコンの葉に対するモンシロチョウの寄生数は6、ウワバ類の寄生数は7であった。
500~600nmの波長領域にピーク値を有し、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が10%以上、50%以下であり、対象植物の葉の反射特性に近づけることができ、害虫抑制効果を確認できた。
500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が19.3%と低めであるため、ウワバ類等の夜行性の害虫に対して特に効果があることが確認できた。
300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率は7.5%であり、平均反射率が15%以下であることから、害虫をフィルム上に留めることを抑制することができ、害虫抑制効果につながったと推測している。
600~650nm波長領域に亘っての平均反射率は13.7%であり、平均反射率が5%以上、40%以下であることから、対象植物であるキャベツ等の葉が、明るく、若い葉の時期においても、害虫の視覚錯乱効果を促すことができ、害虫抑制効果につながったと推測している。
500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率と、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率との比率が、1:0.75であった。500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率に対する600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率の比率が、0.6以上0.8以下であることから、対象植物の葉が、明るく、若い葉の時期においても、害虫の視覚錯乱効果を促すことができ、害虫抑制効果につながったと推測している。
500~600nmの波長領域に反射率のピーク値(19.3%)を有し、かつ、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率(A)は18.3%、300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率(B)は7.5%、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率(C)は13.7%であり、(A)>(C)>(B)の関係式(1)を満たすものであった。
【0083】
[比較例1]
市販品の白黒2層フィルム(東罐興産社製 商品名「白黒マルチ ブラック&ホワイト」)を展張し前述の(a)~(f)の評価を行った。
300~650nm測定波長領域において、500~600nmの波長領域のピークは確認できなく、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率は57.0%であった。
キャベツの葉に対するモンシロチョウの寄生数は136、ウワバ類の寄生数は563、コナガの寄生数は34、アブラムシ類の寄生数は258であり、ダイコンの葉に対するモンシロチョウの寄生数は7、ウワバ類の寄生数は32であった。
500~600nmの波長領域にピーク値を有さず、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が50%を超えるものであり、いずれの害虫に対しても、産卵抑制効果は低く、特に、ウワバ類の夜行性の害虫に対して効果が低いことが確認できた。
300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率は10.3%であり、平均反射率が15%以下であった。
600~650nm波長領域に亘っての平均反射率は51.9%であり、平均反射率が40%より高く、対象植物であるキャベツ等の葉が、明るく、若い葉の時期に、害虫の視覚錯乱効果を十分に発揮することができず、害虫抑制効果が低かったと推測する。
500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率と、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率との比率が、1:0.91であった。500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率に対する600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率の比率が、0.8より大きく、フィルムはやや黄色が強く、老いた葉のように視認され、対象植物であるキャベツ等の葉が、明るく、若い葉の時期に、害虫の視覚錯乱効果を十分に発揮することができず、害虫抑制効果が低かったと推測する。
500~600nmの波長領域に反射率のピークは確認できなかった。
【0084】
[比較例2]
市販品の黒フィルム(三菱ケミカルアグリドリーム社製 商品名「カエルーチ」)を展張し前述の(a)~(f)の評価を行った。
300~650nm測定波長領域において、500~600nmの波長領域のピークは確認できなく、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率は4.6%であった。
キャベツの葉に対するモンシロチョウの寄生数は155、ウワバ類の寄生数は373、コナガの寄生数は8、アブラムシ類の寄生数は41であり、ダイコンの葉に対するモンシロチョウの寄生数は10、ウワバ類の寄生数は7であった。
500~600nmの波長領域にピーク値を有さず、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が10%未満であり、キャベツに対するモンシロチョウ、ウワバ類と、ダイコンに対するモンシロチョウの寄生抑制効果が低く、特に、モンシロチョウの昼行性の害虫に対して効果が低いことが確認できた。
300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率は5.4%であり、平均反射率が15%以下であったものの、600~650nm波長領域に亘っての平均反射率は4.5%であり、平均反射率が5%より低く、対象植物であるキャベツ等の葉が、明るく、若い葉の時期に、害虫の視覚錯乱効果を十分に発揮することができず、害虫抑制効果が低かったと推測する。
500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率と、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率との比率が、1:0.98であった。500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率に対する600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率の比率が、0.8より大きく、フィルムはやや黄色が強く、老いた葉のように視認され、対象植物であるキャベツ等の葉が、明るく、若い葉の時期に、害虫の視覚錯乱効果を十分に発揮することができず、害虫抑制効果が低かったと推測する。
500~600nmの波長領域に反射率のピークは確認できず、また、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率(A)は4.6%、300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率(B)は5.4%、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率(C)は4.5%であり、(A)>(C)>(B)の関係式(1)を満たさないものであった。
【0085】
[参考例1]
市販品のダークグリーンフィルム(住化積水フィルム社製 商品名「ダークグリーンマルチ」)の前述する反射率の測定を行った。
300~650nm測定波長領域において、500~600nmの波長領域のピークは確認できなく、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率は4.0%であった。
害虫抑制効果は確認できていないが、比較例2の反射特性と似ていることから、害虫抑制効果は低いと推察する。
【0086】
[参考例2]
市販品のダークグリーンフィルム(大倉工業社製 商品名「ダークグリーンマルチ」)の前述する反射率の測定を行った。
300~650nm測定波長領域において、500~600nmの波長領域のピークは確認できなく、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率は4.4%であった。
害虫抑制効果は確認できていないが、比較例2の反射特性と似ていることから、害虫抑制効果は低いと推察する。
【0087】
[参考例3]
市販品のライトグリーンフィルム(大倉工業社製 商品名「ライトグリーンマルチ」)の前述する反射率の測定を行った。
300~650nm測定波長領域において、500~600nmの波長領域のピークは確認できなく、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率は5.0%であった。
害虫抑制効果は確認できていないが、比較例2の反射特性と似ていることから、害虫抑制効果は低いと推察する。
【0088】
[参考例4]
キャベツの葉を前述する反射率の測定を行った。
【0089】
得られたフィルムを上記の試験方法により、各波長域における反射率測定結果、および害虫抑制効果の確認結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
[実施例4]
実施例1と同様のフィルムを展長し、前述の(g)及び(h)の評価を行った。
キャベツの葉に対するモンシロチョウの寄生数は126、アブラムシ類の寄生数は63であった。
光学特性は、実施例1と同様の結果であった。
【0092】
[実施例5]
ポリエチレン樹脂として、ポリエチレン樹脂85.2重量部と添加剤や顔料の含まれている生分解性樹脂14.8重量部の合計100重量部に対して、各種顔料・添加剤を表2に示す配合量に調整し、前述のフィルムの成膜方法にて、フィルムの成形した。得られたフィルムを展張し前述の(g)及び(h)の評価を行った。
キャベツの葉に対するモンシロチョウの寄生数は123、アブラムシ類の寄生数は167であった。
500~600nmの波長領域にピーク値を有し、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が10%以上、50%以下であり、対象植物の葉の反射特性に近づけることができ、害虫抑制効果を確認できた。
500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率が29.9%と中間であるため、モンシロチョウとアブラムシ類に対して効果があることが確認できた。
300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率は7.3%であり、平均反射率が15%以下であることから、害虫をフィルム上に留めることを抑制することができ、害虫抑制効果につながったと推測している。
600~650nm波長領域に亘っての平均反射率は21.2%であり、平均反射率が5%以上、40%以下であることから、対象植物であるキャベツ等の葉が、明るく、若い葉の時期においても、害虫の視覚錯乱効果を促すことができ、害虫抑制効果につながったと推測している。
500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率と、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率との比率が、1:0.71であった。500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率に対する600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率の比率が、0.6以上0.8以下であることから、対象植物の葉が、明るく、若い葉の時期においても、害虫の視覚錯乱効果を促すことができ、害虫抑制効果につながったと推測している。
500~600nmの波長領域に反射率のピーク値(32.1%)を有し、かつ、500~600nmの波長領域に亘っての平均反射率(A)は29.9%、300~400nmの波長領域に亘っての平均反射率(B)は7.3%、600~650nmの波長領域に亘っての平均反射率(C)は21.2%であり、(A)>(C)>(B)の関係式(1)を満たすものであった。
実施例5での主成分樹脂は、ポリエチレン樹脂であったが、光学特性を満たせば、害虫防除効果が得られることが確認できた。
【0093】
[比較例3]
比較例2と同様のフィルムを展長し、前述の(g)及び(h)の評価を行った。
キャベツの葉に対するモンシロチョウの寄生数は367、アブラムシ類の寄生数は685であった。
光学特性は比較例2と同様の結果であった。
【0094】
得られたフィルムを上記の試験方法におり、各波長域における反射率測定結果、および害虫抑制効果の確認結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明により、害虫防除効果を有する農業用フィルムを提供することができる。本発明の農業用フィルムは、従来技術のように害虫忌避剤を含有するものではないため、害虫忌避剤のブリードアウトによる害虫防除効果の低下の問題がないことから、一般的な農業用フィルムとしての機能を果たす期間中において害虫防除効果を維持することが可能である。また、本発明の農業用フィルムは、優れた害虫防除効果を有することから、農薬の使用量を削減することが可能であり、環境面に配慮した栽培技術を提供することが可能である。
図1
図2