(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138408
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】反応性電荷制御剤を含むトナー
(51)【国際特許分類】
G03G 9/097 20060101AFI20230922BHJP
G03G 9/08 20060101ALI20230922BHJP
G03G 9/093 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G03G9/097 346
G03G9/08 381
G03G9/097 351
G03G9/093
G03G9/097 374
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036219
(22)【出願日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】17/697,809
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン、エー.、フランク
(72)【発明者】
【氏名】コンコン、チー
(72)【発明者】
【氏名】チーミン、チョン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル、エフ.、ゾナ
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス、ケイ.、プリエベ
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500AA07
2H500AA08
2H500AA09
2H500BA11
2H500BA17
2H500BA25
2H500CA06
2H500CA31
2H500CA34
2H500CB05
2H500EA04C
2H500EA05C
2H500EA46D
2H500EA60A
2H500EA62C
(57)【要約】 (修正有)
【課題】全ての環境的極限下での良好な印刷性能を保証する。
【解決手段】エマルション凝集トナーであって、1種の樹脂と着色剤とワックスとを含むトナー粒子並びに反応性電荷制御剤で、3以上の炭素原子を有するアミン化合物、3以上の炭素原子を有するアンモニウム化合物、3以上の炭素原子を有するホスホニウム化合物、3以上の炭素原子を有するボロニウム化合物から選択される1種の正帯電化合物と、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、無水物、アルデヒド、ケトン、ビニルから選択される1種の反応性アンカー化合物とを含み、電荷制御剤は芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノンから選択される負帯電化合物を更に含む反応性電荷制御剤を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エマルション凝集トナーであって、
少なくとも1種の樹脂と、任意選択的な着色剤と、任意選択的なワックスとを含むトナー粒子、並びに
前記トナー粒子の表面上に配置された反応性電荷制御剤であって、
前記反応性電荷制御剤は、少なくとも1種の正帯電化合物であって、少なくとも3個の炭素原子を有するアミン化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するアンモニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するホスホニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の正帯電化合物と、少なくとも1種の反応性アンカー化合物であって、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、無水物、アルデヒド、ケトン、ビニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の反応性アンカー化合物と、を含み、前記電荷制御剤は、任意選択的に、負帯電化合物を更に含み、前記負帯電化合物は、芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、反応性電荷制御剤、を含む、エマルション凝集トナー。
【請求項2】
前記反応性電荷制御剤が、フェニルシラン、アミノ-シルセスキオキサン、及びこれらの組み合わせからなる群のメンバーを含む、請求項1に記載のエマルション凝集トナー。
【請求項3】
前記反応性電荷制御剤が、フェニルトリエトキシシランを含む、請求項1に記載のエマルション凝集トナー。
【請求項4】
前記反応性電荷制御剤が、アミノプロピル-シルセスキオキサンを含む、請求項1に記載のエマルション凝集トナー。
【請求項5】
前記正帯電化合物が、芳香族アミン化合物、芳香族アンモニウム化合物、芳香族ホスホニウム化合物、少なくとも3~約50個の炭素原子を有するアルキルアミン化合物、少なくとも3~約50個の炭素原子を有するアルキルアンモニウム化合物、少なくとも3~約50個の炭素原子を有するアルキルホスホニウム化合物、少なくとも3~約50個の炭素原子を有するアルキルボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群のメンバーから選択される、請求項1に記載のエマルション凝集トナー。
【請求項6】
前記トナー粒子が、コアシェル構造を含み、
前記反応性電荷制御剤が、前記トナー粒子シェルの表面上に配置されている、請求項1に記載のエマルション凝集トナー。
【請求項7】
前記トナーが、TiO2を含まない、請求項1に記載のエマルション凝集トナー。
【請求項8】
エマルション凝集トナー粒子及びトナー担体を含む現像剤であって、
前記エマルション凝集トナー粒子は、少なくとも1種の樹脂と、任意選択的な着色剤と、任意選択的なワックスと、前記トナー粒子の表面上に配置された反応性電荷制御剤と、を含み、
前記反応性電荷制御剤は、少なくとも1種の正帯電化合物であって、少なくとも3個の炭素原子を有するアミン化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するアンモニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するホスホニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の正帯電化合物と、少なくとも1種の反応性アンカー化合物であって、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、無水物、アルデヒド、ケトン、ビニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の反応性アンカー化合物と、を含み、前記電荷制御剤は、任意選択的に、負帯電化合物を更に含み、前記負帯電化合物は、芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、現像剤。
【請求項9】
前記トナー粒子が、コアシェル構造を含み、
前記反応性電荷制御剤が、前記トナー粒子シェルの表面上に配置されている、請求項8に記載の現像剤。
【請求項10】
前記電荷制御剤が、フェニルシラン、アミノ-シルセスキオキサン、及びこれらの組み合わせからなる群のメンバーを含む、請求項8に記載の現像剤。
【請求項11】
前記電荷制御剤が、フェニルトリエトキシシランを含む、請求項8に記載の現像剤。
【請求項12】
前記電荷制御剤が、アミノプロピル-シルセスキオキサンを含む、請求項8に記載の現像剤。
【請求項13】
前記正帯電化合物が、芳香族アミン化合物、芳香族アンモニウム化合物、芳香族ホスホニウム化合物、少なくとも3~約50個の炭素原子を有するアルキルアミン化合物、少なくとも3~約50個の炭素原子を有するアルキルアンモニウム化合物、少なくとも3~約50個の炭素原子を有するアルキルホスホニウム化合物、少なくとも3~約50個の炭素原子を有するアルキルボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群のメンバーから選択される、請求項8に記載の現像剤。
【請求項14】
前記トナー粒子が、TiO2を含まない、請求項8に記載の現像剤。
【請求項15】
エマルション凝集トナープロセスであって、
少なくとも1種の樹脂のラテックスを得ることと、
任意選択的に、任意選択的な着色剤の水性分散液を得ることと、
任意選択的に、任意選択的なワックスの水性分散液を得ることと、
前記少なくとも1種の樹脂のラテックス、前記任意選択的な着色剤の前記水性分散液、及び前記任意選択的なワックスの前記水性分散液の混合物を形成することと、
前記混合物を第1の温度に加熱することと、
前記第1の温度を維持して、凝集トナー粒子を形成することと、
シェル樹脂のラテックスを添加して、前記凝集粒子上にシェルを形成することと、
任意選択的に、キレート剤の溶液を添加することと、
更なる凝集を停止し、前記第1の温度よりも高い第2の温度まで温度を上昇させて、前記凝集粒子を合着させることと、
前記エマルション凝集トナー粒子を冷却、任意選択的に洗浄、任意選択的に乾燥、及び回収することと、
反応性電荷制御剤を前記エマルション凝集トナー粒子に導入し、前記反応性電荷制御剤を含有するエマルション凝集トナー粒子を形成することと、を含み、前記反応性電荷制御剤は、少なくとも1種の正帯電化合物であって、少なくとも3個の炭素原子を有するアミン化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するアンモニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するホスホニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の正帯電化合物と、少なくとも1種の反応性アンカー化合物であって、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、無水物、アルデヒド、ケトン、ビニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の反応性アンカー化合物と、を含み、前記電荷制御剤は、任意選択的に、負帯電化合物を更に含み、前記負帯電化合物は、芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、エマルション凝集トナープロセス。
【請求項16】
前記エマルション凝集トナー粒子をトナー担体と組み合わせて、現像剤を形成することを更に含む、請求項15に記載のエマルション凝集トナープロセス。
【請求項17】
前記電荷制御剤が、フェニルシラン、アミノ-シルセスキオキサン、及びこれらの組み合わせからなる群のメンバーを含む、請求項15に記載のエマルション凝集トナープロセス。
【請求項18】
前記電荷制御剤が、フェニルトリエトキシシランを含む、請求項15に記載のエマルション凝集トナープロセス。
【請求項19】
前記電荷制御剤が、アミノプロピル-シルセスキオキサンを含む、請求項15に記載のエマルション凝集トナープロセス。
【請求項20】
前記トナー粒子が、TiO2を含まない、請求項15に記載のエマルション凝集トナープロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本明細書と同時に出願され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、同一出願人による米国特許出願第17/697,783号(「Toner Comprising Charge Control Agent」と題された代理人整理番号20210493US01)には、エマルション凝集トナーであって、少なくとも1種の樹脂と、任意選択的な着色剤と、任意選択的なワックスとを含むトナー粒子、及びトナー粒子の表面上に配置された電荷制御剤であって、金属イオン供与体と、フミン酸を含むポリ芳香族酸、ピラノン系配位子、フラノン系配位子、又はこれらの組み合わせからなる群のメンバーから選択される配位子のうちの少なくとも1つとから形成された錯体を含む、電荷制御剤、を含む、エマルション凝集トナーが記載されている。
【0002】
本明細書と同時に出願され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、同一出願人による米国特許出願第17/697,800号(「Toner Comprising Charge Control Agent」と題された代理人整理番号20210496US01)には、エマルション凝集トナーであって、少なくとも1種の樹脂と、任意選択的な着色剤と、任意選択的なワックスとを含むトナー粒子、並びにトナー粒子の表面上に配置された電荷制御剤であって、フェニルシロキサンと、金属イオン供与体、及びフミン酸を含むポリ芳香族酸、ピラノン配位子、フラノン、又はこれらの組み合わせからなる群のメンバーから選択される配位子のうちの少なくとも1つから形成された錯体と、を含む、電荷制御剤、を含む、エマルション凝集トナーが記載されている。
【背景技術】
【0003】
本明細書では、エマルション凝集トナーであって、少なくとも1種の樹脂と、任意選択的な着色剤と、任意選択的なワックスとを含むトナー粒子、並びにトナー粒子の表面上に配置された反応性電荷制御剤であって、反応性電荷制御剤が、少なくとも1種の正帯電化合物であって、少なくとも3個の炭素原子を有するアミン化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するアンモニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するホスホニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の正帯電化合物と、少なくとも1種の反応性アンカー化合物であって、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、無水物、アルデヒド、ケトン、ビニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の反応性アンカー化合物と、を含み、電荷制御剤が、任意選択的に、負帯電化合物を更に含み、負帯電化合物が、芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、反応性電荷制御剤、を含む、エマルション凝集トナーが開示される。
【0004】
また、本明細書では、エマルション凝集トナー粒子及びトナー担体を含む現像剤であって、エマルション凝集トナー粒子が、少なくとも1種の樹脂と、任意選択的な着色剤と、任意選択的なワックスと、トナー粒子の表面上に配置された反応性電荷制御剤と、を含み、反応性電荷制御剤が、少なくとも1種の正帯電化合物であって、少なくとも3個の炭素原子を有するアミン化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するアンモニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するホスホニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の正帯電化合物と、少なくとも1種の反応性アンカー化合物であって、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、無水物、アルデヒド、ケトン、ビニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の反応性アンカー化合物と、を含み、電荷制御剤が、任意選択的に、負帯電化合物を更に含み、負帯電化合物が、芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、現像剤が開示される。
【0005】
また、本明細書では、エマルション凝集トナープロセスであって、少なくとも1種の樹脂のラテックスを得ることと、任意選択的に、任意選択的な着色剤の水性分散液を得ることと、任意選択的に、任意選択的なワックスの水性分散液を得ることと、少なくとも1種の樹脂のラテックス、任意選択的な着色剤の水性分散液、及び任意選択的なワックスの水性分散液の混合物を形成することと、混合物を第1の温度に加熱することと、第1の温度を維持して、凝集トナー粒子を形成することと、シェル樹脂のラテックスを添加して、凝集粒子上にシェルを形成することと、任意選択的に、キレート剤の溶液を添加することと、更なる凝集を停止し、第1の温度よりも高い第2の温度まで温度を上昇させて、凝集粒子を合着させることと、エマルション凝集トナー粒子を冷却、任意選択的に洗浄、任意選択的に乾燥、及び回収することと、反応性電荷制御剤をエマルション凝集トナー粒子に導入し、反応性電荷制御剤を含有するエマルション凝集トナー粒子を形成することと、を含み、反応性電荷制御剤が、少なくとも1種の正帯電化合物であって、少なくとも3個の炭素原子を有するアミン化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するアンモニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するホスホニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の正帯電化合物と、少なくとも1種の反応性アンカー化合物であって、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、無水物、アルデヒド、ケトン、ビニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の反応性アンカー化合物と、を含み、電荷制御剤が、任意選択的に、負帯電化合物を更に含み、負帯電化合物が、芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、エマルション凝集トナープロセスが開示される。
【0006】
化学的に生成されたトナー粒子の出現により、長年にわたって印刷品質及び転写効率の大幅な改善が可能になったが、これらの粒子の配合に関与する化学物質は、製造プロセス内で著しい相互作用を生み出す場合があり、不十分な顧客性能をもたらし得る。特に、エマルション凝集(emulsion aggregation、EA)プロセスで使用される化学物質及び原料は、帯電速度及び平均電荷の両方の環境安定性が損なわれ得る粒子を生み出す。低湿度条件では、典型的なポリエステル及び/又はスチレンアクリレート粒子は、非常に高く帯電し、現像剤中で新しいトナーが経年劣化したトナーと組み合わされたときに電荷分布が安定かつ均一になるためには、担体との長い混合時間を必要とする。逆に、これらの粒子の平均電荷ピークは、高湿度条件では非常に低い場合がある。これは、全ての環境的極限下での良好な印刷性能を保証する際に課題を生み出す。従来の粒子プロセス(押出/粉砕)の時代には、内部電荷制御剤(charge control agent、CCA)を樹脂の溶融混合物に組み込んで、最終的なトナーの改善された環境安定性を提供していた。市販のCCAのほとんどは小分子であり、分子芳香族ヒドロキシカルボン酸配位子の、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄、クロム原子、ホウ素、ジルコニウム、チタンなどからの金属イオンとの金属錯体(負電荷のトナー用)、又は分子アジン化合物及び四級アンモニウム塩(正電荷のトナー用)のいずれかである。EAプロセスでは、粒子プロセスに悪影響を及ぼすことなく同様の電荷制御剤を粒子に組み込むことは困難であることが示されている。更に、分子CCAは、EAプロセス中に浸出及び分解し得る。粒子配合物の懸濁重合方法は、そのプロセスにおいて溶媒を使用して、粒子中に内部CCAを容易に組み込むことができる。分子配位子及び重金属イオンの有害性のために、これらの電荷制御剤の製造及び適用は、環境及び健康上の課題をもたらし得る。トナー粒子の電荷を調節するために、より持続可能なCCAを開発することが非常に望ましい。EA粒子における環境不安定性に対処するための1つの代替的な方法は、トナー配合物中に外部添加剤として二酸化チタン(TiO2)を使用することである。この添加剤は、高湿度帯電性能に深刻な影響を与えることなく、低湿度条件において平均帯電を低減し、かつ帯電速度(混合)を改善する傾向があり、それによって環境安定性をはるかに良好にする。しかしながら、TiO2がヒトに対する起こり得る健康リスクとみなされているため、TiO2に関して、トナー配合物中で使用することができるTiO2の量を1重量%未満までなどに規制することなどの最近の規制が実施されているか、又はそれが期待されている。
【0007】
現在入手可能なトナーは、それらの意図される目的に好適である。しかしながら、改善されたトナーが依然として必要とされている。更に、低減した量のTiO2で調製することができるか、又はTiO2を全く含まなくてもよく、一方で全ての環境的極限下での安定した帯電性能も提供する、改善されたトナー、実施形態ではエマルション凝集トナーが依然として必要とされている。
【0008】
上記の米国特許及び特許出願公開のそれぞれの適切な構成要素及びプロセスの態様は、本開示のためにその実施形態において選択され得る。更に、本出願全体を通して、様々な刊行物、特許、及び公開された特許出願は、特定の引用によって参照される。本出願において参照される刊行物、特許、及び公開された特許出願の開示は、本発明が関係する最新技術をより完全に説明するために、参照により本開示に組み込まれる。
【発明の概要】
【0009】
エマルション凝集トナーであって、少なくとも1種の樹脂と、任意選択的な着色剤と、任意選択的なワックスとを含むトナー粒子、並びにトナー粒子の表面上に配置された反応性電荷制御剤であって、反応性電荷制御剤が、少なくとも1種の正帯電化合物であって、少なくとも3個の炭素原子を有するアミン化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するアンモニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するホスホニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の正帯電化合物と、少なくとも1種の反応性アンカー化合物であって、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、無水物、アルデヒド、ケトン、ビニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の反応性アンカー化合物と、を含み、電荷制御剤が、任意選択的に、負帯電化合物を更に含み、負帯電化合物が、芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、反応性電荷制御剤、を含む、エマルション凝集トナーが記載されている。
【0010】
また、エマルション凝集トナー粒子及びトナー担体を含む現像剤であって、エマルション凝集トナー粒子が、少なくとも1種の樹脂と、任意選択的な着色剤と、任意選択的なワックスと、トナー粒子の表面上に配置された反応性電荷制御剤と、を含み、反応性電荷制御剤が、少なくとも1種の正帯電化合物であって、少なくとも3個の炭素原子を有するアミン化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するアンモニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するホスホニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の正帯電化合物と、少なくとも1種の反応性アンカー化合物であって、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、無水物、アルデヒド、ケトン、ビニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の反応性アンカー化合物と、を含み、電荷制御剤が、任意選択的に、負帯電化合物を更に含み、負帯電化合物が、芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、現像剤が記載されている。
【0011】
また、エマルション凝集トナープロセスであって、少なくとも1種の樹脂のラテックスを得ることと、任意選択的に、任意選択的な着色剤の水性分散液を得ることと、任意選択的に、任意選択的なワックスの水性分散液を得ることと、少なくとも1種の樹脂のラテックス、任意選択的な着色剤の水性分散液、及び任意選択的なワックスの水性分散液の混合物を形成することと、混合物を第1の温度に加熱することと、第1の温度を維持して、凝集トナー粒子を形成することと、シェル樹脂のラテックスを添加して、凝集粒子上にシェルを形成することと、任意選択的に、キレート剤の溶液を添加することと、更なる凝集を停止し、第1の温度よりも高い第2の温度まで温度を上昇させて、凝集粒子を合着させることと、エマルション凝集トナー粒子を冷却、任意選択的に洗浄、任意選択的に乾燥、及び回収することと、反応性電荷制御剤をエマルション凝集トナー粒子に導入し、反応性電荷制御剤を含有するエマルション凝集トナー粒子を形成することと、を含み、反応性電荷制御剤が、少なくとも1種の正帯電化合物であって、少なくとも3個の炭素原子を有するアミン化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するアンモニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するホスホニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の正帯電化合物と、少なくとも1種の反応性アンカー化合物であって、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、無水物、アルデヒド、ケトン、ビニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の反応性アンカー化合物と、を含み、電荷制御剤が、任意選択的に、負帯電化合物を更に含み、負帯電化合物が、芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、エマルション凝集トナープロセスが記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本出願は、電荷制御剤、実施形態では、反応性無金属電荷制御剤を含有するエマルション凝集トナーを提供する。実施形態では、電荷制御剤をエマルション凝集トナー粒子に導入し、電荷制御剤を含有するエマルション凝集トナー粒子を形成する。
【0013】
実施形態では、電荷制御剤(CCA)をトナー粒子の表面上に組み込む方法であって、CCAをエマルション凝集(EA)製造プロセス中又はEAプロセス後に配置することができる、方法が記載される。実施形態では、エマルション凝集トナープロセスは、ラテックスを形成することと、凝集させて、凝集粒子を形成することと、凝集粒子を合着させることと、冷却、任意選択的に洗浄、及び任意選択的に乾燥させて、エマルション凝集トナー粒子を調製することと、を含む。本明細書における実施形態では、電荷制御剤は、冷却工程後に、エマルション凝集トナー粒子の表面上に配置、実施形態では、沈着される。実施形態では、電荷制御剤は、冷却工程と洗浄工程との間に、エマルション凝集トナー粒子の表面上に配置される。他の実施形態では、電荷制御剤は、乾燥工程後にエマルション凝集トナー粒子の表面上に配置される。実施形態では、本明細書における電荷制御剤は、内部電荷制御剤である。本明細書で使用するとき、内部電荷制御剤は、トナープロセスの湿潤部分中に組み込まれる電荷制御剤を意味する。これは、トナーが乾燥した後にトナーに添加される外部添加剤とは対照的である。「内部電荷制御剤」という用語は、エマルション凝集トナープロセスの湿潤部分中に、実施形態では、合着中又はその後に、具体的な実施形態では、合着後に組み込まれる電荷制御剤を表すように意図されている。
【0014】
したがって、電荷制御剤を組み込む方法が提供される。実施形態では、正帯電アミノシロキサンと組み合わせて、負帯電フェニル-トリエトキシシラン電荷制御剤が、実施形態では、EAプロセスに組み込まれ、これにより、実施形態では、増加した帯電速度(混合速度)の形態で改善された帯電性能、及び広範囲の湿度にわたって改善された環境安定性が提供される。
【0015】
実施形態では、本明細書におけるプロセスは、乾燥工程後、又は冷却工程と洗浄工程との間に、エマルション凝集トナープロセスにおいて電荷制御剤分子を粒子の表面上に沈着させることを含む。好ましい実施形態では、電荷制御剤の沈着は、追加の再分散プロセスを介してエマルション凝集トナー粒子を冷却、洗浄、及び乾燥させた後に実行される。実施形態では、フェニル-トリエトキシシランを含む電荷制御剤は、洗浄及び乾燥の前に、EA粒子の表面上に沈着される。実施形態では、フェニル-トリエトキシシランは、EAプロセスに組み込まれ、広範囲の湿度にわたって改善された環境安定性の形態で改善された帯電性能を提供する。
【0016】
更なる実施形態では、正帯電アミノシロキサンと組み合わせて、アミノプロピル-シルセスキオキサン電荷制御剤がEAプロセスの中に又はその後に組み込まれ、これにより、実施形態では、増加した帯電速度(混合速度)の形態で改善された帯電性能、及び広範囲の湿度にわたる改善された環境安定性が提供される。
【0017】
実施形態では、本明細書におけるエマルション凝集トナーは、少なくとも1種の樹脂と、任意選択的な着色剤と、任意選択的なワックスとを含むトナー粒子、並びにトナー粒子の表面上に配置された反応性電荷制御剤であって、反応性電荷制御剤が、少なくとも1種の正帯電化合物であって、少なくとも3個の炭素原子を有するアミン化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するアンモニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するホスホニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の正帯電化合物と、少なくとも1種の反応性アンカー化合物であって、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、無水物、アルデヒド、ケトン、ビニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の反応性アンカー化合物と、を含み、電荷制御剤が、任意選択的に、負帯電化合物を更に含み、負帯電化合物が、芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、反応性電荷制御剤、を含む。
【0018】
実施形態では、トナー粒子は、コアシェル構造を含み、電荷制御剤は、トナー粒子シェルの表面上に配置される。
【0019】
任意の好適な又は所望の正帯電化合物を選択することができ、実施形態では、正帯電化合物は、エマルション凝集トナー粒子の負電荷を中和することによって電荷制御剤として働く。実施形態では、正電荷化合物は、疎水性である。実施形態では、電荷制御剤は、少なくとも1種の正帯電化合物を含み、少なくとも1種の正帯電化合物は、少なくとも3個の炭素原子を有するアミン化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するアンモニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するホスホニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせを含む。実施形態では、少なくとも1種の正帯電化合物は、芳香族アミン化合物、芳香族アンモニウム化合物、芳香族ホスホニウム化合物、少なくとも3~約50個の炭素原子を有するアルキルアミン化合物、少なくとも3~約50個の炭素原子を有するアルキルアンモニウム化合物、少なくとも3~約50個の炭素原子を有するアルキルホスホニウム化合物、少なくとも3~約50個の炭素原子を有するアルキルボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む。実施形態では、少なくとも1種の正帯電化合物は、芳香族アミン、実施形態では、フェニルアミン、ナフタリルアミン、アンモニウム、ホスホニウム、ボロニウム、及びこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、正帯電化合物は、硝酸アンモニウム、3~約50個の炭素原子を有するアルキル硝酸アンモニウム、臭化アンモニウム、硝酸ホスホニウム、臭化ホスホニウム、硝酸ボロニウム、臭化ボロニウム、及びこれらの組み合わせからなる群のメンバーから選択される。
【0020】
電荷制御剤は、少なくとも1種のアンカー化合物(又は官能基)を更に含む。実施形態では、電荷制御剤は、少なくとも1種の反応性アンカー化合物を更に含み、少なくとも1種の反応性アンカー化合物は、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、無水物、アルデヒド、ケトン、ビニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む。
【0021】
電荷制御剤は、任意選択的に、負帯電化合物を更に含む。実施形態では、任意選択的な負帯電化合物は、芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む。特定の実施形態では、負帯電化合物は、安息香酸、tert-ブチル安息香酸、サリチル酸、t-ブチルサリチル酸、フェニルシラノール、t-ブチルフェニルシラノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、tert-ブチルフェノール、スルホンフェノール、フミン酸、デヒドロ酢酸、ヒドロキシピラノン、チオピラノン、ピラノン酸、ヒドロキシフラノン、チオフラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む。
【0022】
実施形態では、電荷制御剤は、フェニルシラン、アミノ-シルセスキオキサン、及びこれらの組み合わせからなる群のメンバーを含む。実施形態では、電荷制御剤は、フェニルトリエトキシシラン、アミノプロピル-シルセスキオキサン、及びこれらの組み合わせからなる群のメンバーを含む。一実施形態では、電荷制御剤は、フェニルトリエトキシシランを含む。別の実施形態では、電荷制御剤は、アミノプロピル-シルセスキオキサンを含む。
【0023】
更なる実施形態では、エマルション凝集トナー粒子及びトナー担体を含む現像剤であって、エマルション凝集トナー粒子が、少なくとも1種の樹脂と、任意選択的な着色剤と、任意選択的なワックスと、トナー粒子の表面上に配置された反応性電荷制御剤と、を含み、反応性電荷制御剤が、少なくとも1種の正帯電化合物であって、少なくとも3個の炭素原子を有するアミン化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するアンモニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するホスホニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の正帯電化合物と、少なくとも1種の反応性アンカー化合物であって、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、無水物、アルデヒド、ケトン、ビニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の反応性アンカー化合物と、を含み、電荷制御剤が、任意選択的に、負帯電化合物を更に含み、負帯電化合物が、芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、現像剤が記載されている。
【0024】
更なる実施形態では、エマルション凝集トナープロセスであって、少なくとも1種の樹脂のラテックスを得ることと、任意選択的に、任意選択的な着色剤の水性分散液を得ることと、任意選択的に、任意選択的なワックスの水性分散液を得ることと、少なくとも1種の樹脂のラテックス、任意選択的な着色剤の水性分散液、及び任意選択的なワックスの水性分散液の混合物を形成することと、混合物を第1の温度に加熱することと、第1の温度を維持して、凝集トナー粒子を形成することと、シェル樹脂のラテックスを添加して、凝集粒子上にシェルを形成することと、任意選択的に、キレート剤の溶液を添加することと、更なる凝集を停止し、第1の温度よりも高い第2の温度まで温度を上昇させて、凝集粒子を合着させることと、エマルション凝集トナー粒子を冷却、任意選択的に洗浄、任意選択的に乾燥、及び回収することと、反応性電荷制御剤をエマルション凝集トナー粒子に導入し、反応性電荷制御剤を含有するエマルション凝集トナー粒子を形成することと、を含み、反応性電荷制御剤が、少なくとも1種の正帯電化合物であって、少なくとも3個の炭素原子を有するアミン化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するアンモニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するホスホニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の正帯電化合物と、少なくとも1種の反応性アンカー化合物であって、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、無水物、アルデヒド、ケトン、ビニル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の反応性アンカー化合物と、を含み、電荷制御剤が、任意選択的に、負帯電化合物を更に含み、負帯電化合物が、芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、エマルション凝集トナープロセスが記載されている。
【0025】
実施形態では、トナー粒子は、コア-シェル構造を含み、反応性電荷制御剤は、エマルション凝集トナープロセスの湿潤部分の間にトナー粒子シェルの表面上に配置される。
【0026】
本開示のトナーを形成する際に、任意のトナー樹脂を利用することができる。そのような樹脂は、次に、任意の好適な重合方法を介して任意の好適な1つ又は複数のモノマーから作製されてもよい。実施形態では、樹脂は、エマルション重合によって調製される。実施形態では、樹脂は、エマルション重合以外の方法によって調製され得る。更なる実施形態では、樹脂は、縮合重合によって調製され得る。
【0027】
実施形態では、エマルション凝集トナーは、コアシェル構造を有するトナー粒子を含む。トナー粒子コア及びシェルは、本明細書に記載の樹脂を含む任意の好適な又は所望の樹脂を含むことができる。特定の実施形態では、粒子コアは、少なくとも1種の非晶質ポリエステル、少なくとも1種の結晶性ポリエステル、任意選択的な着色剤、及び任意選択的なワックスを含み、粒子シェルは、少なくとも1種の非晶質ポリエステルを含む。
【0028】
本開示のトナー組成物は、実施形態では、非晶質樹脂を含む。非晶質樹脂は、直鎖状又は分枝状であってもよい。実施形態では、非晶質樹脂は、少なくとも1種の低分子量非晶質ポリエステル樹脂を含み得る。多数の供給源から入手可能な低分子量非晶質ポリエステル樹脂は、例えば、約30℃~約120℃、実施形態では約75℃~約115℃、実施形態では約100℃~約110℃、又は実施形態では約104℃~約108℃の様々な融点を有し得る。本明細書で使用するとき、低分子量非晶質ポリエステル樹脂は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィ(gel permeation chromatography、GPC)によって測定されるとき、例えば、約1,000~約10,000、実施形態では、約2,000~約8,000、実施形態では、約3,000~約7,000、及び実施形態では、約4,000~約6,000の数平均分子量(number average molecular weight、Mn)を有する。樹脂の重量平均分子量(weight average molecular weight、Mw)は、ポリスチレン標準を使用するGPCによって決定されるとき、50,000以下、例えば、実施形態では、約2,000~約50,000、実施形態では、約3,000~約40,000、いくつかの実施形態では、約10,000~約30,000、及び実施形態では、約18,000~約21,000である。低分子量非晶質樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、約2~約6、実施形態では約3~約4である。低分子量非晶質ポリエステル樹脂は、約8~約20mg KOH/g、実施形態では、約9~約16mg KOH/g、及び実施形態では、約10~約14mg KOH/gの酸価を有し得る。
【0029】
利用され得る直鎖状非晶質ポリエステル樹脂の例としては、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-co-フマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA-co-フマレート)、ポリ(ブチルオキシレート化ビスフェノールA-co-フマレート)、ポリ(co-プロポキシル化ビスフェノールA-co-エトキシル化ビスフェノールA-co-フマレート)、ポリ(1,2-プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-co-マレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA-co-マレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールA-co-マレエート)、ポリ(co-プロポキシル化ビスフェノールA-co-エトキシル化ビスフェノールA-co-マレエート)、ポリ(1,2-プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-co-イタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA-co-イタコネート)、ポリ(ブチレン化ビスフェノールA-co-イタコネート)、ポリ(co-プロポキシル化ビスフェノールA-co-エトキシル化ビスフェノールA-co-イタコネート)、ポリ(1,2-プロピレンイタコネート)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
実施形態では、好適な非晶質樹脂としては、アルコキシル化ビスフェノールAフマレート/テレフタレート系ポリエステル及びコポリエステル樹脂を挙げることができる。実施形態では、好適な非晶質ポリエステル樹脂は、以下の式(I)を有するコポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-co-フマレート)-コポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-co-テレフタレート)樹脂であってもよく、
【0031】
【0032】
式中、Rは水素又はメチル基であってもよく、m及びnはコポリマーのランダム単位を表し、mは約2~10であってよく、nは約2~10であってもよい。そのような樹脂及びその製造プロセスの例には、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,063,827号に開示されているものが含まれる。
【0033】
ラテックス樹脂として利用され得る直鎖状プロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂の例は、Resana S/A Industrias Quimicas(Sao Paulo Brazil)から商品名SPARII(商標)で入手可能である。他の好適な直鎖状樹脂としては、各々が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,533,614号、同第4,957,774号、及び同第4,533,614号に開示されているものが挙げられ、これらは、テレフタル酸、ドデシルコハク酸、トリメリト酸、フマル酸、及び、例えば、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物及びビスフェノールAプロピレンオキシド付加物など、アルキルオキシル化ビスフェノールAを含む直鎖状ポリエステル樹脂であり得る。利用され得る、市販されている他のプロポキシル化ビスフェノールAテレフタレート樹脂としては、Kao Corporation,Japanから市販されるGTU-FC115などが挙げられる。
【0034】
実施形態では、低分子量非晶質ポリエステル樹脂は、飽和又は不飽和非晶質ポリエステル樹脂であってもよい。本開示のプロセス及び粒子に選択される飽和及び不飽和非晶質ポリエステル樹脂の例示的な例としては、ポリエチレン-テレフタレート、ポリプロピレン-テレフタレート、ポリブチレン-テレフタレート、ポリペンチレン-テレフタレート、ポリヘキサレン-テレフタレート、ポリヘプタデン-テレフタレート、ポリオクタレン-テレフタレート、ポリエチレン-イソフタレート、ポリプロピレン-イソフタレート、ポリブチレン-イソフタレート、ポリペンチレン-イソフタレート、ポリヘキサレン-イソフタレート、ポリヘプタデン-イソフタレート、ポリオクタレン-イソフタレート、ポリエチレン-セバケート、ポリプロピレンセバケート、ポリブチレン-セバケート、ポリエチレン-アジパート、ポリプロピレン-アジパート、ポリブチレン-アジパート、ポリペンチレン-アジパート、ポリヘキサレン-アジパート、ポリヘプタデン-アジパート、ポリオクタレン-アジパート、ポリエチレン-グルタラート、ポリプロピレン-グルタラート、ポリブチレン-グルタラート、ポリペンチレン-グルタラート、ポリヘキサレン-グルタラート、ポリヘプタデン-グルタラート、ポリオクタレン-グルタラート、ポリエチレン-ピメラート、ポリプロピレン-ピメラート、ポリブチレン-ピメラート、ポリペンチレン-ピメラート、ポリヘキサレン-ピメラート、ポリヘプタデン-ピメラート、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA-フマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA-サクシネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA-アジパート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA-グルタラート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA-テレフタレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA-イソフタレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA-ドデセニルサクシネート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-フマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-サクシネート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-アジパート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-グルタラート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-テレフタレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-イソフタレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-ドデセニルサクシネート)、SPAR(Dixie Chemicals)、BECKOSOL(登録商標)(Reichhold Inc.)、ARAKOTE(Ciba-Geigy Corporation)、HETRON(商標)(Ashland Chemical)、PARAPLEX(登録商標)(Rohm & Haas)、POLYLITE(登録商標)(Reichhold Inc.)、PLASTHALL(登録商標)(Rohm & Haas)、CELANEX(登録商標)(Celanese Corporation)、RYNITE(登録商標)(DuPont(商標))、STYPOL(登録商標)(Polynt Composites,Inc.)、及びこれらの組み合わせなどの、様々な非晶質ポリエステルのうちのいずれかが挙げられる。樹脂はまた、カルボキシル化、スルホン化など、特に所望であれば、例えばナトリウムスルホン化のように官能化されてもよい。
【0035】
低分子量直鎖状非晶質ポリエステル樹脂は、一般に、有機ジオール、二酸又はジエステル、及び重縮合触媒の重縮合によって調製される。低分子量非晶質樹脂は、一般に、トナー又は固体の約60~約90重量%、実施形態では約50~約65重量%など、様々な好適な量でトナー組成物中に存在する。
【0036】
低分子量樹脂の調製のために選択される有機ジオールの例としては、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールなどの約2~約36個の炭素原子を有する脂肪族ジオール、ソジオ2-スルホ-1,2-エタンジオール、リチオ2-スルホ-1,2-エタンジオール、ポタシオ2-スルホ-1,2-エタンジオール、ソジオ2-スルホ-1,3-プロパンジオール、リチオ2-スルホ-1,3-プロパンジオール、ポタシオ2-スルホ-1,3-プロパンジオール、これらの混合物などが挙げられる。脂肪族ジオールは、例えば、樹脂の約45~約50モル%の量で選択され、アルカリスルホ-脂肪族ジオールは、樹脂の約1~約10モル%の量で選択することができる。
【0037】
低分子量非晶質ポリエステルの調製に選択される二酸又はジエステルの例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、無水ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、無水ドデセニルコハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカンジ二酸、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジエチルイソフタレート、ジメチルフタレート、無水フタル酸、ジエチルフタレート、ジメチルサクシネート、ジメチルフマレート、ジメチルマレエート、ジメチルグルタレート、ジメチルアジパート、ジメチルドデシルサクシネート、ジメチルドデセニルサクシネート、及びこれらの組み合わせなどの、ジカルボン酸又はジエステルが挙げられる。有機二酸又はジエステルは、例えば、樹脂の約45~約52モル%の量で選択される。
【0038】
低分子量非晶質ポリエステル樹脂又は結晶性樹脂(以下に記載)のいずれかの好適な重縮合触媒の例としては、テトラアルキルチタネート、ジブチルスズオキシドなどのジアルキルスズオキシド、ジブチルスズジラウレートなどのテトラアルキルスズ、ブチルスズオキシドヒドロキシドなどのジアルキルスズオキシドヒドロキシド、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ、又はこれらの混合物が挙げられ、この触媒は、ポリエステル樹脂を生成するために使用される出発材料である二酸又はジエステルに基づいて、例えば、約0.01モル%~約5モル%の量で利用され得る。
【0039】
低分子量非晶質ポリエステル樹脂は、分枝状樹脂であってもよい。本明細書で使用するとき、用語「分枝状」又は「分枝」は、分枝状樹脂及び/又は架橋樹脂を含む。これらの分枝状樹脂を形成する際に使用するための分岐剤としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレン-カルボキシルプロパン、テトラ(メチレン-カルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、その酸無水物、その1~約6個の炭素原子の低級アルキルエステルなどの多価ポリ酸、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトラロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、スクロース、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタトリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン、これらの混合物などが挙げられる。選択される分岐剤の量は、例えば、樹脂の約0.1~約5モル%である。
【0040】
得られる不飽和ポリエステルは、2つの面で、すなわち、(i)ポリエステル鎖に沿った不飽和部位(二重結合)、及び(ii)カルボキシル基、ヒドロキシ基などの官能基、酸塩基反応に適した基において、反応性(例えば、架橋性)である。実施形態では、不飽和ポリエステル樹脂は、二酸及び/又は無水物並びにジオールを使用して、溶融重縮合又は他の重合プロセスによって調製される。
【0041】
実施形態では、低分子量非晶質ポリエステル樹脂又は低分子量非晶質樹脂の組み合わせは、約30℃~約80℃、実施形態では、約35℃~約70℃のガラス転移温度を有してもよい。更なる実施形態では、組み合わせた非晶質樹脂は、約130℃で約10~約1,000,000Pa*S、実施形態では、約50~約100,000Pa*Sの融解粘度を有してもよい。
【0042】
本開示のトナー粒子中の低分子量非晶質ポリエステル樹脂の量は、任意のコア、任意のシェル、又はその両方において、トナー粒子(すなわち、外部添加剤及び水を除くトナー粒子)の25~約50重量%、実施形態では、約30~約45重量%、及び実施形態では、約35~約43重量%の量で存在してもよい。
【0043】
実施形態では、トナー組成物は、少なくとも1種の結晶性樹脂を含む。本明細書で使用するとき、「結晶性」は、3次元秩序を有するポリエステルを指す。本明細書で使用するとき、「半結晶性樹脂」は、例えば、約10~約90%、実施形態では、約12~約70%の結晶率を有する樹脂を指す。更に、以下で使用するとき、「結晶性ポリエステル樹脂」及び「結晶性樹脂」は、特に指定しない限り、結晶性樹脂及び半結晶性樹脂の両方を包含する。
【0044】
実施形態では、結晶性ポリエステル樹脂は、飽和結晶性ポリエステル樹脂又は不飽和結晶性ポリエステル樹脂である。
【0045】
多くの供給源から入手可能な結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、約30℃~約120℃、実施形態では、約50℃~約90℃の様々な融点を有し得る。結晶性樹脂は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるとき、例えば、約1,000~約50,000、実施形態では、約2,000~約25,000、実施形態では、約3,000~約15,000、及び実施形態では、約6,000~約12,000の数平均分子量(Mn)を有し得る。樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン標準を使用するGPCによって決定されるとき、50,000以下、例えば、約2,000~約50,000、実施形態では、約3,000~約40,000、実施形態では、約10,000~約30,000、及び実施形態では、約21,000~約24,000である。結晶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、約2~約6、実施形態では約3~約4である。結晶性ポリエステル樹脂は、約2~約20mg KOH/g、実施形態では、約5~約15mg KOH/g、及びの実施形態では、約8~約13mg KOH/gの酸価を有し得る。
【0046】
結晶性ポリエステル樹脂の例示的な例としては、ポリ(エチレン-アジパート)、ポリ(プロピレン-アジパート)、ポリ(ブチレン-アジパート)、ポリ(ペンチレン-アジパート)、ポリ(ヘキシレン-アジパート)、ポリ(オクチレン-アジパート)、ポリ(エチレン-サクシネート)、ポリ(プロピレン-サクシネート)、ポリ(ブチレン-サクシネート)、ポリ(ペンチレン-サクシネート)、ポリ(ヘキシレン-サクシネート)、ポリ(オクチレン-サクシネート)、ポリ(エチレン-セバケート)、ポリ(プロピレン-セバケート)、ポリ(ブチレン-セバケート)、ポリ(ペンチレン-セバケート)、ポリ(ヘキシレン-セバケート)、ポリ(オクチレン-セバケート)、ポリ(ノニレン-セバケート)、ポリ(デシレン-セバケート)、ポリ(ウンデシレン-セバケート)、ポリ(ドデシレン-セバケート)、ポリ(エチレン-ドデカンジオエート)、ポリ(プロピレン-ドデカンジオエート)、ポリ(ブチレン-ドデカンジオエート)、ポリ(ペンチレン-ドデカンジオエート)、ポリ(ヘキシレン-ドデカンジオエート)、ポリ(オクチレン-ドデカンジオエート)、ポリ(ノニレン-ドデカンジオエート)、ポリ(デシレン-ドデカンジオエート)、ポリ(ウンデシレン-ドデカンジオエート)、ポリ(ドデシレン-ドデカンジオエート)、ポリ(エチレン-フマレート)、ポリ(プロピレン-フマレート)、ポリ(ブチレン-フマレート)、ポリ(ペンチレン-フマレート)、ポリ(ヘキシレン-フマレート)、ポリ(オクチレン-フマレート)、ポリ(ノニレン-フマレート)、ポリ(デシレン-フマレート)、コポリ(5-スルホイソフタロイル)-コポリ(エチレン-アジパート)、コポリ(5-スルホイソフタロイル)-コポリ(プロピレン-アジパート)、コポリ(5-スルホイソフタロイル)-コポリ(ブチレン-アジパート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ペンチレン-アジパート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ヘキシレン-アジパート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(オクチレン-アジパート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(エチレン-アジパート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(プロピレン-アジパート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ブチレン-アジパート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ペンチレン-アジパート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ヘキシレン-アジパート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(オクチレン-アジパート)、コポリ(5-スルホイソフタロイル)-コポリ(エチレン-サクシネート)、コポリ(5-スルホイソフタロイル)-コポリ(プロピレン-サクシネート)、コポリ(5-スルホイソフタロイル)-コポリ(ブチレン-サクシネート)、コポリ(5-スルホイソフタロイル)-コポリ(ペンチレン-サクシネート)、コポリ(5-スルホイソフタロイル)-コポリ(ヘキシレン-サクシネート)、コポリ(5-スルホイソフタロイル)-コポリ(オクチレン-サクシネート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(エチレン-セバケート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(プロピレン-セバケート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ブチレン-セバケート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ペンチレン-セバケート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ヘキシレン-セバケート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(オクチレン-セバケート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(エチレン-アジパート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(プロピレン-アジパート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ブチレン-アジパート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ペンチレン-アジパート)、コポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ヘキシレン-アジパート)、及びこれらの組み合わせなどの任意の様々な結晶性ポリエステルを挙げることができる。
【0047】
結晶性樹脂は、重縮合触媒の存在下で、好適な有機ジオールと好適な有機二酸とを反応させることによる重縮合プロセスによって調製することができる。一般に、有機ジオール及び有機二酸の化学量論的等モル比が利用されるが、場合によっては、有機ジオールの沸点は約180℃~約230℃であり、過剰量のジオールを使用し、重縮合プロセス中に除去することができる。利用される触媒の量は様々であり、例えば、樹脂の約0.01~約1モル%の量で選択することができる。更に、有機二酸の代わりに有機ジエステルを選択することができ、その結果アルコール副生成物が生成される。更なる実施形態では、結晶性ポリエステル樹脂は、ポリ(ドデカン二酸-co-ノナンジオール)である。
【0048】
結晶性ポリエステル樹脂の調製のために選択される有機ジオールの例としては、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールなどの約2~約36個の炭素原子を有する脂肪族ジオール、ソジオ2-スルホ-1,2-エタンジオール、リチオ2-スルホ-1,2-エタンジオール、ポタシオ2-スルホ-1,2-エタンジオール、ソジオ2-スルホ-1,3-プロパンジオール、リチオ2-スルホ-1,3-プロパンジオール、ポタシオ2-スルホ-1,3-プロパンジオール、これらの混合物などが挙げられる。脂肪族ジオールは、例えば、樹脂の約45~約50モル%の量で選択され、アルカリスルホ-脂肪族ジオールは、樹脂の約1~約10モル%の量で選択することができる。
【0049】
結晶性ポリエステル樹脂の調製に選択される有機二酸又はジエステルの例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸及びメサコン酸、これらのジエステル又はその無水物;並びにアルカリスルホ-有機二酸、例えば、ジメチル-5-スルホ-イソフタレート、ジアルキル-5-スルホ-イソフタレート-4-スルホ-1,8-ナフタル酸無水物、4-スルホ-フタル酸、ジメチル-4-スルホ-フタレート、ジアルキル-4-スルホ-フタレート、4-スルホフェニル-3,5-ジカルボメトキシベンゼン、6-スルホ-2-ナフチル-3,5-ジカルボメトキシベンゼン、スルホ-テレフタル酸、ジメチル-スルホ-テレフタレート、5-スルホ-イソフタル酸、ジアルキル-スルホ-テレフタレート、スルホ-p-ヒドロキシ安息香酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホネートのナトリウム、リチウム若しくはカリウム塩、又はこれらの混合物が挙げられる。有機二酸は、例えば、樹脂の約40~約50モルパーセントの量で選択され、アルカリスルホ脂肪族二酸は、樹脂の約1~約10モルパーセントの量で選択することができる。
【0050】
好適な結晶性ポリエステル樹脂としては、米国特許第7,329,476号及び米国特許出願公開第2006/0216626号、同第2008/0107990号、同第2008/0236446号、及び同第2009/0047593号に開示されているものが挙げられ、これらの各々が、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。実施形態では、好適な結晶性樹脂は、以下の式(II)を有するエチレングリコール又はノナンジオールと、ドデカン二酸及びフマル酸コモノマーの混合物とからなる樹脂を含んでもよく、
【0051】
【0052】
式中、bは約5~約2000であり、dは約5~約2000である。
【0053】
半結晶性ポリエステル樹脂が本明細書で使用される場合、半結晶性樹脂としては、ポリ(3-メチル-1-ブテン)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)、ポリ(エチレン-p-カルボキシフェノキシ-ブチレート)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ(ドコシルアクリレート)、ポリ(ドデシルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(オクタデシルメタクリレート)、ポリ(ベヘニルポリエトキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレンアジパート)、ポリ(デカメチレンアジパート)、ポリ(デカメチレンアゼラート(azelaate))、ポリ(ヘキサメチレンオキサレート)、ポリ(デカメチレンオキサレート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブタジエンオキシド)、ポリ(デカメチレンオキシド)、ポリ(デカメチレンスルフィド)、ポリ(デカメチレンジスルフィド)、ポリ(エチレンセバケート)、ポリ(デカメチレンセバケート)、ポリ(エチレンスベラート)、ポリ(デカメチレンサクシネート、ポリ(エイコサメチレンマロネート)、ポリ(エチレン-p-カルボキシフェノキシ-ウンデカノエート)、ポリ(エチレンジチオンエソフタレート)、ポリ(メチルエチレンテレフタレート)、ポリ(エチレン-p-カルボキシフェノキシ-バレレート)、ポリ(ヘキサメチレン-4,4,-オキシジベンゾエート)、ポリ(10-ヒドロキシカプリン酸)、ポリ(イソフタルアルデヒド)、ポリ(オクタメチレンドデカンジオエート)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(ジプロピルシロキサン)、ポリ(テトラメチレンフェニレンジアセテート)、ポリ(テトラメチレントリチオジカルボキシレート)、ポリ(トリメチレンドデカンジオエート)、ポリ(m-キシレン)、ポリ(p-キシリレンピメラミド)、及びこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0054】
本開示のトナー粒子中の結晶性ポリエステル樹脂の量は、コア、シェル、又はその両方において、トナー粒子(すなわち、外部添加剤及び水を除くトナー粒子)の1~約15重量%、実施形態では、約5~約10重量%、及び実施形態では、約6~約8重量%の量で存在してもよい。
【0055】
実施形態では、本開示のトナーはまた、少なくとも1種の高分子量分枝状又は架橋非晶質ポリエステル樹脂を含んでもよい。この高分子量樹脂としては、実施形態では、例えば、分枝状非晶質樹脂若しくは非晶質ポリエステル、架橋非晶質樹脂若しくは非晶質ポリエステル、又はこれらの混合物、又は架橋を受けた非架橋非晶質ポリエステル樹脂を挙げることができる。本開示によれば、高分子量非晶質ポリエステル樹脂の約1重量%~約100重量%は、分枝状であっても、又は架橋されてもよく、実施形態では、高分子量非晶質ポリエステル樹脂の約2重量%~約50重量%は分枝状であっても、又は架橋されていてもよい。
【0056】
本明細書で使用するとき、高分子量非晶質ポリエステル樹脂は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるとき、例えば、約1,000~約10,000、実施形態では、約2,000~約9,000、実施形態では、約3,000~約8,000、及び実施形態では、約6,000~約7,000の、数平均分子量(Mn)を有してよい。樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン標準を使用するGPCによって決定されるとき、55,000超、例えば、約55,000~約150,000、実施形態では、約60,000~約100,000、実施形態では、約63,000~約94,000、及び実施形態では、約68,000~約85,000である。多分散指数(PD)は、GPCによって標準ポリスチレン標準樹脂に対して測定されるとき、例えば、約4超、実施形態では約4~約20、実施形態では約5~約10、及び実施形態では約6~約8など、約4を超える。PD指数は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である。低分子量非晶質ポリエステル樹脂は、約8~約20mg KOH/g、実施形態では、約9~約16mg KOH/g、及び実施形態では、約11~約15mg KOH/gの酸価を有し得る。多数の供給源から入手可能である高分子量非晶質ポリエステル樹脂は、例えば、約30℃~約140℃、実施形態では、約75℃~約130℃、実施形態では、約100℃~約125℃、及び実施形態では、約115℃~約121℃の様々な融点を有し得る。
【0057】
多数の供給源から入手可能な高分子量非晶質樹脂は、示差走査熱量分析(differential scanning calorimetry、DSC)によって測定されるとき、例えば、約40℃~約80℃、実施形態では、約50℃~約70℃、及び実施形態では、約54℃~約68℃の様々なガラス転移温度(Tg)を有し得る。実施形態では、直鎖状及び分枝状非晶質ポリエステル樹脂は、飽和又は不飽和樹脂であってもよい。
【0058】
高分子量非晶質ポリエステル樹脂は、直鎖状ポリエステル樹脂を分岐又は架橋することによって調製することができる。三官能性又は多官能性モノマーなどの分岐剤を利用することができ、これらの薬剤は、通常、ポリエステルの分子量及び多分散性を増加させる。好適な分岐剤としては、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジグリセロール、トリメリト酸、無水トリメリト酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、これらの組み合わせなどが挙げられる。これらの分岐剤は、樹脂を作製に使用される出発材料である二酸又はジエステルに基づいて、約0.1モル%~約20モル%の有効量で利用することができる。
【0059】
高分子量ポリエステル樹脂を形成する際に利用され得る多塩基性カルボン酸を有する変性ポリエステル樹脂を含有する組成物としては、米国特許第3,681,106号に開示されているもの、並びに各々の開示が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,863,825号、同第4,863,824号、同第4,845,006号、同第5,143,809号、同第5,057,596号、同第4,988,794号、同第4,981,939号、同第4,980,448号、同第4,933,252号、同第4,931,370号、同第4,917,983号、及び同第4,973,539号に例示される多価酸又はアルコール由来の分枝状又は架橋ポリエステルが挙げられる。
【0060】
実施形態では、架橋ポリエステル樹脂は、フリーラジカル条件下で反応できる不飽和部位を含有する、直鎖非晶質ポリエステル樹脂から作製され得る。そのような樹脂の例としては、各々の開示が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,227,460号、同第5,376,494号、同第5,480,756号、同第5,500,324号、同第5,601,960号、同第5,629,121号、同第5,650,484号、同第5,750,909号、同第6,326,119号、同第6,358,657号、同第6,359,105号、及び同第6,593,053号に開示されたものが挙げられる。実施形態では、好適な不飽和ポリエステル系樹脂は、例えば、無水マレイン酸、テレフタル酸、トリメリト酸、フマル酸など、及びこれらの組み合わせなどの二酸及び/又は無水物、並びに、例えば、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物、ビスフェノールA-プロピレンオキシド付加物など、及びこれらの組み合わせなどのジオールから調製することができる。実施形態では、好適なポリエステルは、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-co-フマル酸)である。
【0061】
実施形態では、架橋分枝状ポリエステルは、高分子量非晶質ポリエステル樹脂として利用され得る。このようなポリエステル樹脂は、2つ以上のヒドロキシル基又はそのエステルを有する少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1種の脂肪族又は芳香族多官能性酸又はそのエステル又は少なくとも3つの官能基を有するこれらの混合物と、任意選択的に、少なくとも1種の長鎖脂肪族カルボン酸若しくはそのエステル、又は芳香族モノカルボン酸若しくはそのエステル、又はこれらの混合物と、を含む、少なくとも2種のプレゲル組成物から形成されてもよい。2つの成分を反応させて、別々の容器内で実質的に完了させ、第1の反応器において、カルボキシル末端基を有するプレゲルを含む第1の組成物、及び第2の反応器において、ヒドロキシル末端基を有するプレゲルを含む第2の組成物を生成してもよい。次いで、2つの組成物を混合して、架橋分枝状ポリエステル高分子量樹脂を作製してもよい。そのようなポリエステル及びそれらの合成方法の例としては、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,592,913号に開示されているものが挙げられる。
【0062】
好適なポリオールは、約2~約100個の炭素原子を含有し、少なくとも2つ以上のヒドロキシル基、又はこれらのエステルを有し得る。ポリオールとしては、グリセロール、ペンタエリスリトール、ポリグリコール、ポリグリセロールなど、又はこれらの混合物を含んでもよい。ポリオールはグリセロールを含んでもよい。グリセロールの好適なエステルとしては、グリセロールパルミテート、グリセロールセバケート、グリセロールアジパート、トリアセチントリプロピオニンなどが挙げられる。ポリオールは、反応混合物の約20重量%~約30重量%、実施形態では、反応混合物の約22重量%~約26重量%の量で存在してもよい。
【0063】
少なくとも2つの官能基を有する脂肪族多官能性酸としては、約2~約100個の炭素原子、いくつかの実施形態では、約4~約20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和酸、又はこれらのエステルを挙げてよい。他の脂肪族多官能性酸としては、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など、又はこれらの混合物が挙げられる。利用され得る他の脂肪族多官能性酸としては、C3~C6環状構造及びその位置異性体を含有するジカルボン酸が挙げられ、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、又はシクロプロパンジカルボン酸が挙げられる。
【0064】
利用され得る少なくとも2つの官能基を有する芳香族多官能性酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリト酸、ピロメリット酸、及びナフタレン1,4-、2,3-、及び2,6-ジカルボン酸が挙げられる。
【0065】
脂肪族多官能性酸又は芳香族多官能性酸は、反応混合物の約40重量%~約65重量%、実施形態では、反応混合物の約44重量%~約60重量%の量で存在してもよい。
【0066】
長鎖脂肪族カルボン酸又は芳香族モノカルボン酸としては、約12~約26個の炭素原子を含有するもの、実施形態では、約14~約18個の炭素原子を含有するもの、又はこれらのエステルを挙げることができる。長鎖脂肪族カルボン酸は、飽和又は不飽和であってもよい。好適な飽和長鎖脂肪族カルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、セロチン酸など、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。好適な不飽和長鎖脂肪族カルボン酸としては、ドデシレン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸など、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。芳香族モノカルボン酸としては、安息香酸、ナフトエ酸、及び置換ナフトエ酸を挙げることができる。好適な置換ナフトエ酸としては、1-メチル-2ナフトエ酸及び/又は2-イソプロピル-1-ナフトエ酸などの、約1~約6個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状アルキル基で置換されたナフトエ酸を挙げることができる。長鎖脂肪族カルボン酸又は芳香族モノカルボン酸は、反応混合物の約0重量%~約70重量%、実施形態では、反応混合物の約15重量%~約30重量%の量で存在してもよい。
【0067】
所望であれば、追加のポリオール、イオン種、オリゴマー、又はこれらの誘導体を使用してもよい。これらの追加のグリコール又はポリオールは、反応混合物の約0重量%~約50重量%の量で存在してもよい。追加のポリオール又はその誘導体としては、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、トリアセチン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、セルロースエーテル、酢酸セルロース、スクロース酢酸イソブチルなどのセルロースエステルなどを挙げることができる。
【0068】
実施形態では、高分子量非晶質ポリエステル樹脂の架橋分枝状ポリエステルは、ジメチルテレフタレート、1,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、及びペンタエリスリトールの反応から生じるものを含んでもよい。
【0069】
実施形態では、高分子量樹脂、例えば分枝状ポリエステルは、本開示のトナー粒子の表面上に存在してもよい。トナー粒子の表面上の高分子量樹脂はまた、本来粒子状であってもよく、約100ナノメートル~約300ナノメートル、実施形態では約110ナノメートル~約150ナノメートルの直径を有する高分子量樹脂粒子であってもよい。
【0070】
本開示のトナー粒子中の高分子量非晶質ポリエステル樹脂の量は、任意のコア、任意のシェル、又はその両方において、トナー(すなわち、外部添加剤及び水を除くトナー粒子)の約25重量%~約50重量%、実施形態では、約30重量%~約45重量%、他の実施形態では、トナーの約40重量%~約43重量%であってもよい。
【0071】
結晶性樹脂対低分子量非晶質樹脂対高分子量非晶質ポリエステル樹脂の比は、約1:1:98~約98:1:1~約1:98:1、実施形態では約1:5:5~約1:9:9、実施形態では約1:6:6~約1:8:8の範囲であり得る。
【0072】
本明細書におけるトナー、実施形態では本明細書におけるトナーコアは、スチレン-アクリレートコポリマーのうちの1つ又は組み合わせを含み得る。実施形態では、樹脂は、スチレン、アクリレート、メタクリレート、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0073】
トナー樹脂に使用され得る例示的なポリマーとしては、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン、スチレンメタクリレート、より具体的には、ポリ(スチレン-アルキルアクリレート)、ポリ(スチレン-1,3-ジエン)、ポリ(スチレン-アルキルメタクリレート)、ポリ(スチレン-アルキルアクリレート-アクリル酸)、ポリ(スチレン-1,3-ジエン-アクリル酸)、ポリ(スチレン-アルキルメタクリレート-アクリル酸)、ポリ(アルキルメタクリレート-アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート-アリールアクリレート)、ポリ(アリールメタクリレート-アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート-アクリル酸)、ポリ(スチレン-アルキルアクリレート-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(スチレン-1,3-ジエン-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(アルキルアクリレート-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(メチルスチレン-ブタジエン)、ポリ(メチルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(エチルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(プロピルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(ブチルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(メチルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(エチルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(プロピルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(ブチルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(スチレン-イソプレン)、ポリ(メチルスチレン-イソプレン)、ポリ(メチルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(エチルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(プロピルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(ブチルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(メチルアクリレート-イソプレン)、ポリ(エチルアクリレート-イソプレン)、ポリ(プロピルアクリレート-イソプレン)、ポリ(ブチルアクリレート-イソプレン)、ポリ(スチレン-プロピルアクリレート)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート)、ポリ(スチレン-ブタジエン-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブタジエン-メタクリル酸)、ポリ(スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-メタクリル酸)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリロニトリル)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(スチレン-イソプレン)、ポリ(スチレン-ブチルメタクリレート)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブチルメタクリレート-アクリル酸)、ポリ(ブチルメタクリレート-ブチルアクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート-アクリル酸)、ポリ(アクリロニトリル-ブチルアクリレート-アクリル酸)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマーは、ブロック、ランダム、又は交互コポリマーであってもよい。
【0074】
特定の実施形態では、樹脂は、ポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(メチルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(エチルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(プロピルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(ブチルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(メチルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(エチルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(プロピルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(ブチルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(スチレン-イソプレン)、ポリ(メチルスチレン-イソプレン)、ポリ(メチルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(エチルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(プロピルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(ブチルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(メチルアクリレート-イソプレン)、ポリ(エチルアクリレート-イソプレン)、ポリ(プロピルアクリレート-イソプレン)、ポリ(ブチルアクリレート-イソプレン)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート)、ポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(スチレン-イソプレン)、ポリ(スチレン-ブチルメタクリレート)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブタジエン-アクリル酸)、ポリ(スチレン-イソプレン-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブチルメタクリレート-アクリル酸)、ポリ(ブチルメタクリレート-ブチルアクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(アクリロニトリル-ブチルアクリレート-アクリル酸)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0075】
実施形態では、トナー組成物を形成するために利用される樹脂、ワックス、及び他の添加剤は、界面活性剤を含む分散液の形態に含まれてよく、界面活性剤を含む分散液の形態で提供されてよい。更に、樹脂及びトナーの他の成分を1種以上の界面活性剤中に入れ、エマルションを形成し、トナー粒子を凝集させ、合着させ、本発明の電荷制御剤をプロセスの湿潤部分中にトナー表面上に沈着させ、こうして配置された電荷制御剤を有するトナーを任意選択的に洗浄及び乾燥させ、回収する、エマルション凝集方法によって、トナー粒子が形成され得る。したがって、実施形態では、本明細書のトナー粒子は、エマルション凝集トナー粒子を含む。
【0076】
1つ、2つ、又はそれ以上の界面活性剤を利用してもよい。界面活性剤は、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選択され得る。アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤は、用語「イオン性界面活性剤」に包含される。実施形態では、界面活性剤は、トナー組成物の約0.01重量%~約5重量%、例えば、トナー組成物の約0.75重量%~約4重量%、実施形態では、トナー組成物の約1重量%~約3重量%の量で存在するように利用されてもよい。
【0077】
非イオン性界面活性剤の例としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシセイレンオクチルエーテル(polyoxytheylene octyl ether)、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、Rhone-Poulenc Inc.から入手可能なIGEPAL CA-210(登録商標)、IGEPAL CA-520(登録商標)、IGEPAL CA-720(登録商標)、IGEPAL CO-890(登録商標)、IGEPAL CO-720(登録商標)、IGEPAL CO-290(登録商標)、IGEPAL CA-210(登録商標)、ANTAROX 890(登録商標)、及びANTAROX 897(登録商標)が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の例は、主にアルキルフェノールエトキシレートからなるRhone-Poulenc Inc.から入手可能なANTAROX(登録商標)897である。好適な非イオン性界面活性剤の他の例としては、SYNPERONIC PE/F、実施形態では、SYNPERONIC PE/F 108として市販されているものを含む、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーが挙げられる。
【0078】
使用され得るアニオン性界面活性剤としては、硫酸塩及びスルホン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキル硫酸塩及びスルホン酸塩、例えば、Aldrichから入手可能なアビエチン酸、並びにNEOGEN(登録商標)ブランドのアニオン性界面活性剤が挙げられる。好適なアニオン性界面活性剤の例は、Daiichi Kogyo Seiyaku co.Ltd.から入手可能なNEOGEN(登録商標)R、NEOGEN(登録商標)RK、及びNEOGEN(登録商標)SC、又は主に分枝状ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムからなる、Tayca Corporation(Japan)からのTAYCA POWER BN2060である。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、実施形態では、The Dow Chemical Companyから入手可能なジスルホン酸アルキルジフェニルオキシドである、DOWFAX(商標)2A1が挙げられる。これらの界面活性剤の組み合わせを使用してもよい。これらの界面活性剤と前述のアニオン性界面活性剤のいずれかとの組み合わせを、実施形態で利用してもよい。
【0079】
カチオン性界面活性剤の例としては、通常、正電荷を持つものとして、アルキルベンジルジメチル塩化アンモニウム、ジアルキルベンゼンアルキル塩化アンモニウム、ラウリルトリメチル塩化アンモニウム、アルキルベンジルメチル塩化アンモニウム、アルキルベンジルジメチル臭化アンモニウム、塩化ベンザルコニウム、セチル臭化ピリジニウム、C12、C15、C17トリメチル臭化アンモニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、ドデシルベンジルトリエチル塩化アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。具体的な例として、Alkaril Chemical Companyから入手可能なMIRAPOL(登録商標)及びALKAQUAT(登録商標)、Kao Chemicalsから入手可能なSANISOL(登録商標)(塩化ベンザルコニウム)、などが挙げられる。好適なカチオン性界面活性剤の例は、主にベンジルジメチルアルコニウムクロリドからなる、Kao Corp.から入手可能なSANISOL(登録商標)B-50である。これらの界面活性剤及び他の界面活性剤の混合物を、実施形態で利用してもよい。
【0080】
上記のようにして生成されたラテックス粒子を着色剤に添加して、トナーを生成することができる。実施形態では、着色剤は分散体であってもよい。着色剤分散体は、例えば、約50~約500ナノメートルの体積平均直径、実施形態では約100~約400ナノメートルの体積平均直径のサイズを有するサブミクロン着色剤粒子を含んでもよい。着色剤粒子は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含有する水性水相中に懸濁されてもよい。好適な界面活性剤としては、上記の界面活性剤のうち任意のものが挙げられる。実施形態では、界面活性剤はイオン性であってもよく、着色剤の約0.1~約25重量%、実施形態では着色剤の約1~約15重量%の量で分散体中に存在してもよい。
【0081】
本開示によるトナーの形成に有用な着色剤としては、顔料、染料、顔料と染料との混合物、顔料の混合物、染料の混合物などが挙げられる。着色剤は、例えば、カーボンブラック、シアン、イエロー、マゼンタ、レッド、オレンジ、ブラウン、グリーン、ブルー、バイオレット、又はこれらの混合物であってもよい。
【0082】
着色剤が顔料である実施形態では、顔料は、例えば、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン又はRHODAMINE B(商標)型、レッド、グリーン、オレンジ、ブラウン、バイオレット、イエロー、蛍光着色剤などであってもよい。
【0083】
例示的な着色剤としては、REGAL 330(登録商標)マグネタイトのようなカーボンブラック、MO8029(商標)、M08060(商標)を含む、Mobayマグネタイト、Columbianマグネタイト、MAPICO BLACKS(商標)及び表面処理されたマグネタイト、CB4799(商標)、CB5300(商標)、CB5600(商標)、MCX6369(商標)を含むPfizerマグネタイト、BAYFERROX8600(商標)、8610(商標)を含むBayerマグネタイト、NP-604(商標)、NP-608(商標)を含むNorthern Pigmentsマグネタイト、Paul Uhlich and Company, Inc.から入手可能なTMB-100(商標)、又はTMB-104(商標)、HELIOGEN BLUE L6900(商標)、D6840(商標)、D7080(商標)、D7020(商標)、PYLAM OIL BLUE(商標)、PYLAM OIL YELLOW(商標)、PIGMENT BLUE 1(商標)を含むMagnoxマグネタイト、Dominion Color Corporation,Ltd.,Toronto,Ontarioから入手可能なPIGMENT VIOLET 1(商標)、PIGMENT RED 48(商標)、LEMON CHROME YELLOW DCC 1026(商標)、E.D.TOLUIDINE RED(商標)及びBON RED C(商標)、Hoechstから入手可能なNOVAPERM YELLOW FGL(商標)、HOSTAPERM PINK E(商標)、並びに、E.I.DuPont de Nemours and Companyから入手可能なCINQUASIA MAGENTA(商標)が挙げられる。他の着色剤としては、カラーインデックスでCI 60710として識別される2,9-ジメチル置換キナクリドン及びアントラキノン染料、CI Dispersed Red15、カラーインデックスでCI 26050として識別されるジアゾ染料、CI Solvent Red19、銅テトラ(オクタデシルスルホンアミド)フタロシアニン、カラーインデックスでCI 74160として記載されるx-銅フタロシアニン顔料、CI Pigment Blue、カラーインデックスでCI 69810として識別されるAnthrathrene Blue、Special Blue X-2137、ジアリーライドイエロー3,3-ジクロロベンジデンアセトアセトアニリド、カラーインデックスでCI 12700として識別されるモノアゾ顔料、CI Solvent Yellow16、カラーインデックスでForon Yellow SE/GLNとして識別されるニトロフェニルアミンスルホンアミド、CI Dispersed Yellow33、2,5-ジメトキシ-4-スルホンアニリド フェニルアゾ-4’-クロロ-2,5-ジメトキシアセトアセトアニリド、Yellow180、及びPermanent Yellow FGLが挙げられる。利用され得る色域のための高純度を有する有機溶媒可溶性染料としては、Neopen Yellow 075、Neopen Yellow 159、Neopen Orange 252、Neopen Red 336、Neopen Red 335、Neopen Red 366、Neopen Blue 808、Neopen Black X53、Neopen Black X55が挙げられ、染料は、様々な好適な量、例えば、トナーの約0.5~約20重量%、実施形態ではトナーの約5~約18重量%で選択される。
【0084】
実施形態では、着色剤の例としては、カラーインデックス番号74160のPigment Blue 15:3、カラーインデックス番号45160:3のMagenta Pigment Red 81:3、及びカラーインデックス番号21105のYellow17、並びに食用染料、イエロー、ブルー、グリーン、レッド、マゼンタ染料などの既知の染料が挙げられる。
【0085】
他の実施形態では、マゼンタ顔料、Pigment Red 122(2,9-ジメチルキナクリドン)、Pigment Red 185、Pigment Red 192、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 235、Pigment Red 269、これらの組み合わせなどを、着色剤として利用してもよい。
【0086】
特定の実施形態では、着色剤は、ブラック顔料、シアン顔料、又はこれらの組み合わせを含む。
【0087】
任意選択的に分散体中の得られるラテックス、及び着色剤分散体を撹拌し、約35℃~約70℃、実施形態では、約40℃~約65℃の温度まで加熱すると、体積平均直径が約2マイクロメートル~約10マイクロメートル、実施形態では、体積平均直径が約5マイクロメートル~約8マイクロメートルのトナー凝集体をもたらし得る。
【0088】
任意選択的に、ワックスはまた、樹脂と組み合わせて、トナー粒子を形成してもよい。含まれる場合、ワックスは、例えば、トナー粒子の約1重量%~約25重量%、実施形態ではトナー粒子の約5重量%~約20重量%の量で存在してもよい。
【0089】
選択され得るワックスとしては、例えば、約500~約20,000、実施形態では約1,000~約10,000の重量平均分子量を有するワックスが挙げられる。使用され得るワックスとしては、例えば、Allied Chemical and Petrolite Corporationから市販されているようなポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブテンワックスなどのポリオレフィン、例えば、Baker Petrolite製のPOLYWAX(商標)ポリエチレンワックス、Michaelman,Inc.及びDaniels Products Companyから入手可能なワックスエマルション、Eastman Chemical Products,Inc.から市販されているEPOLENE N-15(商標)、並びにSanyo Kasei K.K.から入手可能な低重量平均分子量ポリプロピレンであるVISCOL 550-P(商標)、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ウルシワックス、及びホホバオイルなどの植物系ワックス、蜜蝋などの動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレジン、パラフィンワックス、微結晶ワックス、及びFischer-Tropschワックスなどの鉱物系ワックス及び石油系ワックス、ステアリルステアレート及びベヘニルベヘネートなどの高級脂肪酸及び高級アルコールから得られるエステルワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸プロピル、グリセリドモノステアレート、グリセリドジステアレート、及びペンタエリスリトールテトラベヘネートなどの高級脂肪酸及び一価又は多価低級アルコールから得られるエステルワックス、ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、ジグリセリルジステアレート、及びトリグリセリルテトラステアレートなどの高級脂肪酸及び多価アルコールマルチマーから得られるエステルワックス、ソルビタンモノステアレートなどのソルビタン高級脂肪酸エステルワックス、並びにコレステリルステアレートなどのコレステロール高級脂肪酸エステルワックスが挙げられる。使用され得る官能化ワックスの例としては、例えば、アミン、アミド、例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なAQUA SUPERSLIP 6550(商標)、SUPERSLIP 6530(商標)、フッ素化ワックス、例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なPOLYFLUO 190(商標)、POLYFLUO 200(商標)、POLYSILK 19(商標)、POLYSILK 14(商標)、混合フッ素化アミドワックス(例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なMICROSPERSION 19(商標))、イミド、エステル、第四級アミン、カルボン酸、又はアクリルポリマーエマルション(例えば、全てSC Johnson Waxから入手可能なJONCRYL 74(商標)、89(商標)、130(商標)、537(商標)、及び538(商標))、並びにAllied Chemical、及びPetrolite Corporation、及びSC Johnson waxから入手可能な塩素化ポリプロピレン及びポリエチレンが挙げられる。前述のワックスの混合物及び組み合わせもまた、実施形態で使用されてもよい。ワックスは、例えば、フューザーロール剥離剤として含まれてもよい。
【0090】
実施形態では、トナー組成物は、任意選択的なワックス、及び任意の他の所望の又は必要な添加剤の混合物と、任意選択的に上記の界面活性剤中で上記の樹脂を含むエマルションとを凝集させることと、次いで凝集混合物を合着させることと、を含むプロセスなどの、エマルション凝集プロセスによって調製され得る。混合物は、任意選択的なワックス又は他の材料(任意選択的に界面活性剤を含む分散体中にもあり得る)をエマルション(樹脂を含有する2種以上のエマルションの混合物であり得る)に添加することによって調製されてもよい。得られた混合物のpHは、例えば、酢酸、硝酸などの酸によって調整することができる。実施形態では、混合物のpHは、約2~約4.5に調整され得る。加えて、実施形態では、混合物は均質化されてもよい。混合物が均質化される場合、均質化は、毎分約4,000~約6,000回転で混合することによって達成され得る。均質化は、例えば、IKA ULTRA TURRAX(登録商標)T50プローブホモジナイザを含む任意の好適な手段によって達成され得る。
【0091】
上記混合物の調製に続いて、凝集剤を混合物に添加してもよい。任意の好適な凝集剤を利用して、トナーを形成してもよい。好適な凝集剤としては、例えば、二価カチオン又は多価カチオン材料の水溶液が挙げられる。凝集剤は、例えば、ポリ塩化アルミニウム(polyaluminum chloride、PAC)などのポリアルミニウムハロゲン化物、又は対応する臭化物、フッ化物、若しくはヨウ化物、ポリアルミニウムスルホシリケート(polyaluminum sulfosilicate、PASS)などのポリケイ酸アルミニウム、及び塩化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、オキシ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、臭化マグネシウム、塩化銅、硫酸銅、を含む水溶性金属塩、及びこれらの組み合わせであってもよい。実施形態では、凝集剤は、樹脂のガラス転移温度(Tg)未満の温度で混合物に添加されてもよい。
【0092】
凝集剤は、トナーを形成するために利用される混合物に、混合物中の樹脂の約0.1重量%~約8重量%、実施形態では約0.2%~約5重量%、他の実施形態では約0.5%~約5重量%の量で添加されてもよい。これは、凝集のために十分な量の薬剤を提供する。
【0093】
粒子の凝集及び合着を制御するために、実施形態では、凝集剤は、経時的に混合物中に計量して投入され得る。例えば、薬剤は、約5~約240分、実施形態では約30~約200分にわたって混合物中に計量して投入されてもよい。薬剤の添加は、混合物を、実施形態では約50rpm~約1,000rpm、他の実施形態では約100rpm~約500rpmの撹拌条件下で、かつ、実施形態では約30℃~約90℃、実施形態では約35℃~約70℃の上記樹脂のガラス転移温度未満の温度で維持している間に、行われ得る。
【0094】
その粒子を、所定の所望の粒径が得られるまで凝集してもよい。所定の所望の径とは、形成前に決定される得るべき所望の粒径を指し、粒径は、そのような粒径に達するまで成長プロセス中に監視される。試料は、成長プロセス中に採取され、平均粒径について、例えば、Coulter Counterで分析されてもよい。したがって、凝集は、高温を維持し、又は温度を、例えば、約40℃~約100℃へとゆっくり上昇させて、この温度で約0.5時間~約6時間、実施形態では約1~約5時間の時間にわたって混合物を保持し、撹拌を維持しながら、凝集粒子を提供することによって進行してもよい。所定の所望の粒径に達すると、成長プロセスは停止される。実施形態では、所定の所望の粒径は、上記のトナー粒径範囲内である。
【0095】
凝集剤の添加後の粒子の成長及び成形は、任意の好適な条件下で達成され得る。例えば、成長及び成形は、凝集が合着とは別に生じる条件下で行われてもよい。別個の凝集及び合着段階について、凝集プロセスは、高温、例えば、上記樹脂のガラス転移温度未満であり得る、約40℃~90℃、実施形態では約45℃~約80℃の剪断条件下で行われてもよい。
【0096】
実施形態では、凝集後であるが合着前に、シェルを凝集粒子に適用してもよい。
【0097】
シェルを形成するために利用され得る樹脂としては、コアで使用するための上記の非晶質樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。このような非晶質樹脂は、低分子量樹脂、高分子量樹脂、又はこれらの組み合わせであってもよい。実施形態では、本開示によるシェルを形成するために使用され得る非晶質樹脂として、上記式Iの非晶質ポリエステルを挙げることができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、シェルを形成するために使用される非晶質樹脂は、架橋されてもよい。例えば、架橋は、非晶質樹脂を、本明細書では時に実施形態において反応開始剤と称される架橋剤と組み合わせることによって達成され得る。好適な架橋剤の例としては、例えば、コア内にゲルを形成するのに好適な、上記の有機過酸化物及びアゾ化合物などのフリーラジカル又は熱反応開始剤が挙げられるが、これらに限定されない。好適な有機過酸化物の例としては、ジアシルペルオキシド、例えば、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、及びベンゾイルペルオキシドなど、ケトンペルオキシド、例えば、シクロヘキサノンペルオキシド、及びメチルエチルケトンなど、アルキルペルオキシエステル、例えば、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、2,5-ジメチル2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、t-アミルペルオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシアセテート、t-アミルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-アミルペルオキシベンゾエート、oo-t-ブチルo-イソプロピルモノペルオキシカルボネート、2,5-ジメチル2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、oo-t-ブチルo-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカルボネート、及びoo-t-アミルo-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカルボネートなど、アルキルペルオキシド、例えば、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルペルオキシド、α-α-ビス(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジ-t-ブチルペルオキシド、及び2,5-ジメチル2,5ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3など、アルキルヒドロペルオキシド、例えば、2,5-ジヒドロペルオキシ2,5-ジメチルヘキサン、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、及びt-アミルヒドロペルオキシドなど、並びに、アルキルペルオキシケタール、例えば、n-ブチル4,4-ジ(t-ブチルペルオキシ)バレレート、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-アミルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブタン、エチル3,3-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブチレート及びエチル3,3-ジ(t-アミルペルオキシ)ブチレート、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。好適なアゾ化合物の例としては、2,2,’-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、アゾビス-イソブチロニトリル、2,2,-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2,-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シアノシクロヘキサン)、他の類似の既知の化合物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0099】
架橋剤及び非晶質樹脂は、架橋ポリエステルゲルを形成するのに十分な時間及び十分な温度で組み合わされてもよい。実施形態では、架橋剤及び非晶質樹脂を、約25℃~約99℃、実施形態では、約30℃~約95℃の温度まで、約1分~約10時間、実施形態では約5分~約5時間の時間にわたって加熱して、シェルとして使用するのに好適な架橋ポリエステル樹脂又はポリエステルゲルを形成してもよい。
【0100】
使用される場合、架橋剤は、樹脂の約0.001%重量%~約5重量%、実施形態では樹脂の約0.01%重量%~約1重量%の量で存在してもよい。CCAの量は、架橋剤又は反応開始剤の存在下で低減され得る。
【0101】
単一のポリエステル樹脂をシェルとして利用してもよく、又は上記のように、実施形態では、第1のポリエステル樹脂を他の樹脂と組み合わせてシェルを形成してもよい。複数の樹脂が、任意の好適な量で利用されてもよい。実施形態では、第1の非晶質ポリエステル樹脂、例えば上記式Iの低分子量非晶質樹脂は、全シェル樹脂の約20重量%~約100重量%、実施形態では全シェル樹脂の約30重量%~約90重量%の量で存在してもよい。したがって、実施形態では、第2の樹脂は、実施形態では高分子量非晶質樹脂は、シェル樹脂の約0重量%~約80重量%、実施形態ではシェル樹脂の約10重量%~約70重量%の量でシェル樹脂中に存在してもよい。
【0102】
所望の粒径への凝集及び任意選択的なシェルの適用に続いて、次いで、粒子は、所望の最終形状に合着されてもよく、その合着は、例えば、約45℃~約100℃、実施形態では約55℃~約99℃の温度に混合物を加熱し(この温度は、トナー粒子を形成するために利用される樹脂のガラス転移温度以上であってもよい)、及び/又は撹拌を、例えば、約100rpm~約400rpm、実施形態では約200rpm~約300rpmへと低減することによって達成される。融着された粒子は、所望の形状が達成されるまで、SYSMEX FPIA 3000アナライザなどを用いて、形状係数又は真円度を測定され得る。
【0103】
合着は、約0.01~約9時間、実施形態では約0.1~約4時間の時間を掛けて達成されてもよい。
【0104】
実施形態では、凝集及び/又は合着後、トナー凝集体を更に合着するため、混合物のpHが、約3.5~約6、実施形態では約3.7~約5.5まで、例えば、酸で、低下され得る。好適な酸としては、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、クエン酸、及び/又は酢酸が挙げられる。添加される酸の量は、混合物の約0.1~約30重%、実施形態では混合物の約1~約20重量%であってもよい。
【0105】
混合物を冷却し、洗浄し、乾燥させてもよい。冷却は、約20℃~約40℃、実施形態では約22℃~約30℃の温度で、約1時間~約8時間、実施形態では約1.5時間~約5時間にわたるものであってもよい。
【0106】
実施形態では、スラリーを少なくとも1種の熱交換器を通過させて、合着後のスラリーの温度を急冷してもよい。合着後、混合物を、約40℃未満の温度などの、樹脂のガラス転移温度を下回るまで急冷してもよい。冷却は、所望に応じて急速であっても遅くてもよい。好適な冷却方法は、少なくとも1つの熱交換器の周りのジャケットに冷水を導入して、急冷することを含み得る。
【0107】
次に、トナースラリーを洗浄することができる。洗浄は、約7~約12のpH、実施形態では約9~約11のpHで実施してもよい。洗浄は、約30℃~約70℃、実施形態では、約40℃~約67℃の温度であってもよい。洗浄は、脱イオン水中にトナー粒子を含む濾過ケークを濾過及び再スラリー化することを含んでもよい。濾過ケークは、脱イオン水によって1回以上洗浄してもよく、又はスラリーのpHを酸で調整して約4のpHで1回の脱イオン水洗浄、続いて任意選択的に1回以上の脱イオン水洗浄によって洗浄してもよい。
【0108】
乾燥は、約35℃~約75℃、及び実施形態では約45℃~約60℃の温度で実施してもよい。乾燥は、粒子の水分レベルが設定ターゲットである約1重量%、実施形態では約0.7重量%未満を下回るまで継続してもよい。
【0109】
本明細書におけるプロセスは、本明細書に記載されるように電荷制御剤を配置することを含む。実施形態では、本明細書におけるエマルション凝集トナープロセスは、少なくとも1種の樹脂のラテックスを得ることと、任意選択的に、任意選択的な着色剤の水性分散液を得ることと、任意選択的に、任意選択的なワックスの水性分散液を得ることと、少なくとも1種の樹脂のラテックス、任意選択的な着色剤の水性分散液、及び任意選択的なワックスの水性分散液の混合物を形成することと、混合物を第1の温度に加熱することと、第1の温度を維持して、凝集トナー粒子を形成することと、シェル樹脂のラテックスを添加して、凝集粒子上にシェルを形成することと、任意選択的に、キレート剤の溶液を添加することと、更なる凝集を停止し、第1の温度よりも高い第2の温度まで温度を上昇させて、凝集粒子を合着させて合着したトナー粒子を形成することと、冷却し、任意選択的に洗浄し、及び任意選択的に乾燥させて、エマルション凝集トナー粒子を形成することと、電荷制御剤をエマルション凝集トナー粒子に導入し、そうして、電荷制御剤を含有するエマルション凝集トナー粒子を形成することと、を含み、反応性電荷制御剤は、少なくとも1種の正帯電化合物であって、少なくとも3個の炭素原子を有するアミン化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するアンモニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するホスホニウム化合物、少なくとも3個の炭素原子を有するボロニウム化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の正帯電化合物と、少なくとも1種の反応性アンカー化合物であって、アミノ、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、シラノール、シアン化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、少なくとも1種の反応性アンカー化合物と、を含み、電荷制御剤は、任意選択的に、負帯電化合物をさらに含み、負帯電化合物は、芳香族カルボン酸、シラノール、フェノール、ピラノン、フラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む。
【0110】
実施形態では、このプロセスは、エマルション凝集トナー粒子をトナー担体と組み合わせて、現像剤を形成することを更に含む。
【0111】
実施形態では、本明細書におけるトナー粒子は、所望又は必要に応じて、本明細書に記載の内部電荷制御剤に加えて、任意選択的な添加剤を含み得る。例えば、トナーは、例えば、トナーの約0.1~約10重量%、実施形態ではトナーの約1~約3重量%の量で正又は負の電荷制御剤を含んでもよい。好適な電荷制御剤の例としては、アルキルピリジニウムハロゲン化物を含む第四級アンモニウム化合物、二硫酸塩、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,298,672号に開示されるものを含む、アルキルピリジニウム化合物、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,338,390号に開示されるものを含む、有機硫酸塩及びスルホン酸塩組成物、セチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、ジステアリルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、BONTRON E84(商標)又はE88(商標)(Orient Chemical Industries,Ltd.)などのアルミニウム塩、及びこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。このような電荷制御剤は、上記シェル樹脂と同時に適用されても、シェル樹脂の適用後に適用されてもよい。
【0112】
また、形成後に流動助剤添加剤を含む外部添加剤粒子をトナー粒子外部添加剤粒子と配合することもでき、この添加剤は、トナー粒子の表面上に存在してもよい。これらの添加剤の例としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スズ、これらの混合物などの金属酸化物、AEROSIL(登録商標)などのコロイダルシリカ及び非晶質シリカ、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムを含む金属塩及び脂肪酸金属塩、又はUNILIN(商標)700などの長鎖アルコール、並びにこれらの混合物が挙げられる。実施形態では、本明細書のトナーは、ステアリン酸塩、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される洗浄添加剤を更に含む。
【0113】
これらの外部添加剤の各々は、トナーの約0重量%~約3重量%、実施形態では、トナーの約0.25重量%~約2.5重量%の量で存在し得るが、添加剤の量は、これらの範囲外であり得る。実施形態では、トナーは、例えば、約0重量%~約3重量%のチタニア、約0重量%~約3重量%のシリカ、及び約0重量%~約3重量%のステアリン酸亜鉛を含み得る。
【0114】
特定の実施形態では、トナーは、TiO2外部添加剤を含まない、すなわち、含有していない。
【0115】
実施形態では、本開示のトナーは、超低溶融(ultra-low melt、ULM)トナーとして利用されてもよい。実施形態では、コア及び/又はシェルを有する乾燥トナー粒子は、外部表面添加剤を除いて、1つ以上の以下の特性を有し得る。
【0116】
(1)約3~約25マイクロメートル(μm)、実施形態では約4~約15μm、他の実施形態では約5~約12μmの体積平均直径(「体積平均粒径」とも称される)。
【0117】
(2)数平均幾何粒度分布(Number Average Geometric Size Distribution、GSDn)及び/又は体積平均粒度分布(Volume Average Geometric Size Distribution、GSDv):実施形態では、上記(1)に記載のトナー粒子は、約1.15~約1.38、他の実施形態では約1.31未満の低い数比GSDを有する狭い粒径分布を有し得る。本開示のトナー粒子はまた、体積による上限GSDが、約1.20~約3.20、他の実施形態では約1.26~約3.11の範囲となるような大きさを有し得る。体積平均粒径であるD50V、GSDv、及びGSDnは、製造業者の指示に従って操作されるBeckman Coulter Multisizer 3などの測定器具によって測定することができる。代表的なサンプリングは、次のように行われ得る:約1グラムである少量のトナー試料を得て、25マイクロメートルの篩を通して濾過し、次いで、等張液に入れて約10%の濃度を得て、次いで、その試料をBeckman Coulter Multisizer 3で測定する。
【0118】
(3)約0.92~約0.99、他の実施形態では約0.94~約0.975の真円度。粒子の真円度の測定に使用される器具は、製造業者の指示に従い、SYSMEXによって製造されたFPIA-3000であってもよい。
【0119】
トナー粒子の特性は、任意の好適な技術及び装置によって決定することができ、上記の器具及び技術に限定されない。
【0120】
このように形成されたトナー粒子は、現像剤組成物に配合され得る。トナー粒子を担体粒子と混合して、2成分現像剤組成物を得ることができる。現像剤中のトナー濃度は、現像剤の総重量の約1重量%~約25%、実施形態では、現像剤の総重量の約2重量%~約15%であってもよい。
【0121】
トナーと混合するために利用され得る担体粒子の例には、トナー粒子の極性とは反対の極性の電荷を摩擦電気的に得ることができる粒子が含まれる。好適な担体粒子の例示的な例には、顆粒状ジルコン、粒状ケイ素、ガラス、鋼、ニッケル、フェライト、鉄フェライト、二酸化ケイ素などが含まれる。他の担体としては、米国特許第3,847,604号、同第4,937,166号、及び同第4,935,326号に開示されているものが挙げられる。
【0122】
選択される担体粒子は、コーティングあり、又はコーティングなしで使用されてもよい。実施形態では、担体粒子は、その上にコーティングを有するコアを含み得、このコアは、摩擦電気系列で接近していないポリマーの混合物から形成され得る。コーティングには、フルオロポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、スチレンのターポリマー、メチルメタクリレート、及び/又は、シラン、例えばトリエトキシシラン、テトラフルオロエチレン、他の既知のコーティングなどが含まれ得る。例えば、KYNAR 301F(商標)として入手可能なポリフッ化ビニリデン、及び/又は例えば、Sokenから入手可能であるような約300,000~約350,000の重量平均分子量を有するポリメチルメタクリレートを含有するコーティングが、例えば、使用され得る。実施形態では、ポリフッ化ビニリデン及びポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)は、約30対約70重量%~約70対約30重量%、実施形態では、約40対約60重量%~約60対約40重量%の割合で混合され得る。コーティングは、例えば、担体の約0.1~約5重量%、実施形態では、担体の約0.5~約2重量%のコーティング重量を有し得る。
【0123】
実施形態では、得られるコポリマーが好適な粒径を保持する限り、PMMAは、任意選択的に、任意の所望のコモノマーと共重合されてもよい。好適なコモノマーとしては、モノアルキル、又はジアルキルアミン、例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジイソプロピルアミノエチルメタクリレート、又はt-ブチルアミノエチルメタクリレートなどを挙げることができる。担体粒子は、機械的衝撃及び/又は静電引力によって担体コアに付着するまで、コーティングされた担体粒子の重量に基づいて、約0.05~約10重量%、実施形態では、約0.01~約3重量%の量のポリマーと担体コアを混合することにより調製することができる。
【0124】
様々な効果的で好適な手段、例えば、カスケードロールミキシング、タンブリング、製粉、振とう、静電粉体雲スプレー、流動層、静電ディスク処理、静電カーテン、これらの組み合わせなどを使用してポリマーを担体コア粒子の表面に適用し得る。担体コア粒子とポリマーとの混合物は、次いで、ポリマーが溶融し、担体コア粒子に融着することを可能にするために加熱され得る。次いで、コーティングされた担体粒子を冷却し、その後、所望の粒径に分類し得る。
【0125】
実施形態では、好適な担体は、米国特許第5,236,629号及び同第5,330,874号に記載されたプロセスを使用して、例えば、メチルアクリレート及びカーボンブラックなどを含む、約0.5重量%~約10重量%、実施形態では、約0.7重量%~約5重量%の導電性ポリマー混合物でコーティングされた、例えば、径約25~約100μm、実施形態では径約50~約75μmの鋼コアを含んでもよい。
【0126】
担体粒子は、様々な好適な組み合わせで、トナー粒子と混合することができる。濃度は、トナー組成物の約1重量%~約20重量%であってもよい。しかしながら、異なるトナー及び担体百分率を使用して、所望の特性を有する現像剤組成物を得ることができる。
【0127】
トナーは、静電写真プロセス又は電子写真プロセスに利用することができる。実施形態では、任意の既知の種類の現像システムが、例えば、磁気ブラシ現像、ジャンピング単一構成現像、ハイブリッドスカベンジレス現像(HSD)などを含む現像装置において使用され得る。これら及び類似の開発システムは、当業者の意図の範囲内である。
【0128】
撮像プロセスには、例えば、帯電構成要素、撮像構成要素、光導電性構成要素、現像構成要素、転写構成要素、及び定着構成要素を含む電子写真式装置で画像を調製することが含まれる。実施形態では、現像構成要素は、担体を本明細書に記載のトナー組成物と混合することによって調製される現像剤を含んでもよい。電子写真式装置は、高速プリンタ、白黒高速プリンタ、カラープリンタなどを含んでもよい。
【0129】
上述の方法のいずれか1つのような好適な現像方法を介して画像がトナー/現像剤で形成されると、画像は、次いで、紙などの画像受容媒体に転送され得る。実施形態では、トナーを、フューザーロール部材を利用する現像装置での現像に使用してよい。フューザーロール部材は、当業者の意図の範囲内にある接触定着装置であり、ロールからの熱及び圧力を使用して、トナーを画像受容媒体に定着させることができる。実施形態では、フューザー部材は、画像受容基材上への溶融後又は溶融中に、トナーの定着温度を超える温度、例えば、約70℃~約160℃、実施形態では約80℃~約150℃、他の実施形態では約90℃~約140℃の温度まで加熱されてもよい。
【0130】
トナー樹脂が架橋性である実施形態では、このような架橋は、任意の好適な方法で達成され得る。例えば、トナー樹脂は、トナーの定着中に、トナー樹脂が定着温度で架橋可能な基材に架橋されてもよい。架橋はまた、定着画像を、例えば、定着後の操作において、トナー樹脂が架橋される温度まで加熱することによって達成され得る。実施形態では、架橋は、約160℃以下、実施形態では約70℃~約160℃、他の実施形態では約80℃~約140℃の温度で達成され得る。
【実施例0131】
以下の実施例は、本開示の様々な種類を更に定義するために提示される。これらの実施例は、例示のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、別途記載のない限り、割合及び百分率は重量による。
【0132】
ポリエステル粒子プロセス。凝集/合着方法を使用して、エマルション凝集トナー粒子を合成した。コアポリエステルラテックス、顔料、ワックス、硝酸、及び凝集剤(flocculent)を均質化し、次いで、反応容器中で約46℃の温度で混合しながら凝集させた。約5.3マイクロメートルの目標粒径(D50v)では、シェルポリエステルラテックスと硝酸との混合物を添加し、ラテックスを既存のトナー凝集体に完全に付着させるのに十分な時間、バッチを保持した。次いで、凝集反応を停止させるために、水酸化ナトリウム及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を使用してpHを約7.8まで上昇させた。次いで、材料を0.972の目標真円度の粒子に合着させるために、バッチ温度を85℃まで上昇させた。最後に、トナー粒子を40℃未満に急速に冷却するために、バッチを熱交換器に通過させた。次いで、得られたスラリーを洗浄し、乾燥させて、原料トナー親粒子を得た。
【0133】
【0134】
高MW(分子量)非晶質ポリエステルを、70,000超の平均分子量(Mw)、並びに50℃超の開始ガラス転移温度(Tg開始)、約70nm(ナノメートル)の粒径、及び約35%の固形分の組成のビスフェノールポリエステル樹脂を有するエマルション中の非晶質ポリエステル樹脂から調製した。
【0135】
低MW(分子量)非晶質ポリエステルを、約19,400のMw、5,000のMn、約60℃のTg開始、約170~230nmの粒径、及び約35%の固形分の組成のターポリ-(プロポキシ化ビスフェノールA-テレフタレート)ターポリ-(プロポキシ化ビスフェノールA-ドデセニルスクシネート)ターポリ-(プロポキシ化ビスフェノールAフマレート)を有するエマルション中の非晶質ポリエステル樹脂から調製した。
【0136】
結晶性ポリエステルは、ドデカン二酸及び1,9-ノナンジオールから作製されたポリエステルを含む結晶性ポリエステル樹脂である。
【0137】
カーボンブラックは、酸化されていない低構造のファーネスブラック顔料である。
【0138】
シアン顔料は、C.I.ピグメントブルー15:3である。
【0139】
Fischer-Tropschワックスは、約92℃の融点を有する蒸留された合成ポリメチレンワックスである。
【0140】
EDTAは、エチレンジアミン四酢酸である。
【0141】
全ての実施例の親粒子形成手順は、上記の通りである。全ての実施例を、本明細書に記載のFuji-millブレンド手順及び電荷スペクトログラフ分析手順を使用して調製した。以下の実施例は、同じ手順を使用するが、酸配位子及び金属イオン供与体のタイプ/量によって区別される。
【0142】
トナーの配合及びブレンド。全てのトナー試料を、750ミリリットルのベンチブレンダー(FujiMill)を使用して、70~75グラムの黒色粒子、並びにヒュームドSiO2、コロイダルSiO2、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、及び光受容体を潤滑するためのワックスを含む添加剤パッケージと9600rpm(毎分回転数)で9分間ブレンドした。ブレンダーを3分間オン、次いで、3分間オフ(3回)で操作して、ブレンド容器が過熱して粗い粒子を作製するのを阻止した。
【0143】
実施例1
実施例1のための親粒子の供給源は、湿式ふるい分け後、並びに濾液除去及び洗浄の前に取っておいた上記の原料ポリエステル粒子であった。スラリーが乾燥重量で5.0kgのトナーを含有するように、約13%固形分のスラリーのアリコートを混合タンクに入れた。アミノプロピル/メチルシルセスキオキサンを約3%の溶液に希釈するために、5.0グラムの20%アミノプロピル/メチルシルセスキオキサンと30グラムの脱イオン水との混合物を調製し、蠕動ポンプを介して混合タンクに添加した。目標添加時間は、20分であった。次に、0.3MのHNO3溶液(約1,600グラム)を添加することによって、pHを8.3から4.5に調整した。次いで、バッチを2時間撹拌して、アミノプロピル/メチルシルセスキオキサンをトナー粒子に均一にコーティングした。次いで、1NのNaOH溶液を添加することによって、pHを約5.1から7.8に調整した。次いで、最後に、得られたスラリーを洗浄し、乾燥させて、処理したトナー親粒子を得た。処理した粒子、すなわち、CCAを組み込んだ粒子を、上記の様式でFuji-Millを使用してブレンドした。得られたトナーを、Aゾーンのピークq/d及びJゾーンのピークq/dについて、5秒、10秒、15秒、及び30秒の混合時間で評価し、結果を表5及び表6に提供する。
【0144】
実施例2~4
実施例2~4を、表2に従って、アミノプロピル/メチルシルセスキオキサンの量を除いて実施例1の様式で調製した。得られたトナーを、Aゾーンのピークq/d及びJゾーンのピークq/dについて、5秒、10秒、15秒、及び30秒の混合時間で評価し、結果を表5及び表6に提供する。
【0145】
比較実施例5
比較実施例5は、実施例1~4と同じ親粒子供給源を使用して調製したが、アミノプロピル/メチルシルセスキオキサン処理を適用しなかった。スラリーが乾燥重量で5.0kgのトナーを含有するように、約13%固形分のスラリーのアリコートを分配し、直ちに洗浄し、乾燥させて、乾燥トナー親粒子を得た。未処理の粒子を、上記の様式でFuji-Millを使用してブレンドした。得られたトナーを、Aゾーンのピークq/d及びJゾーンのピークq/dについて、5秒、10秒、15秒、及び30秒の混合時間で評価し、結果を表5及び表6に提供する。
【0146】
【0147】
実施例6
実施例6のための親粒子の供給源は、十分に洗浄し、乾燥させた後の上記の原料ポリエステル粒子であった。80グラムの乾燥トナー親粒子を、360グラムの脱イオン水と20グラムのエタノールとの混合物中に分散させた。0.8グラムのフェニルトリエトキシシランと5.0グラムのエタノールとの混合物を調製し、分散液に滴下して添加し、2時間撹拌した。次いで、得られた分散液を濾過し、洗浄し、凍結乾燥させて、乾燥処理したトナー親粒子を得た。処理した粒子を、上記の様式でFuji-Millを使用してブレンドした。得られたトナーを、Aゾーンのピークq/d及びJゾーンのピークq/dについて、5秒、10秒、15秒、及び30秒の混合時間で評価し、結果を表5及び表6に提供する。
【0148】
実施例7
実施例7を、表3に従って、フェニルトリエトキシシランの量を除いて実施例6の様式で調製した。得られたトナーを、Aゾーンのピークq/d及びJゾーンのピークq/dについて、5秒、10秒、15秒、及び30秒の混合時間で評価し、結果を表5及び表6に提供する。
【0149】
比較実施例8
比較実施例8を、実施例6~7と同じ親粒子供給源を使用して調製した。しかしながら、フェニルトリエトキシシラン処理は適用しなかった。未処理の粒子を、上記の様式でFuji-Millを使用してブレンドした。得られたトナーを、Aゾーンのピークq/d及びJゾーンのピークq/dについて、5秒、10秒、15秒、及び30秒の混合時間で評価し、結果を表5及び表6に提供する。
【0150】
【0151】
実施例9
実施例9のための親粒子の供給源は、湿式ふるい分け後、並びに濾液除去及び洗浄の前に取っておいた上記の原料ポリエステル粒子であった。スラリーが乾燥重量で5.0kgのトナーを含有するように、約13%固形分のスラリーのアリコートを混合タンクに入れた。アミノプロピル/メチルシルセスキオキサンを約3%の溶液に希釈するために、15.0gの20%アミノプロピル/メチルシルセスキオキサンと85グラムの脱イオン水との混合物を調製し、蠕動ポンプを介して混合タンクに添加した。目標添加時間は、20分であった。次に、0.3MのHNO3溶液(約1,600グラム)を添加することによって、pHを8.3から4.5に調整した。次いで、バッチを2時間撹拌して、アミノプロピル/メチルシルセスキオキサンをトナー粒子に均一にコーティングした。次いで、フェニルトリエトキシシランを5%の溶液に希釈するために、10.0グラムのフェニルトリエトキシシランと190グラムのエタノールとの混合物を調製し、蠕動ポンプを介して分散液に添加した。目標添加時間は、20分であった。次いで、バッチを更に2時間撹拌するために撹拌した。次いで、1NのNaOH溶液を添加することによって、pHを約5.3から7.8に調整した。次いで、最後に、得られたスラリーを洗浄し、乾燥させて、処理したトナー親粒子を得た。処理した粒子を、上記の様式でFuji-Millを使用してブレンドした。得られたトナーを、Aゾーンのピークq/d及びJゾーンのピークq/dについて、5秒、10秒、15秒、及び30秒の混合時間で評価し、結果を表5及び表6に提供する。
【0152】
実施例10~13
実施例10~13を、表4に従って、アミノプロピル/メチルシルセスキオキサン及びフェニルトリエトキシシランの量を除いて実施例9の様式で調製した。得られたトナーを、Aゾーンのピークq/d及びJゾーンのピークq/dについて、5秒、10秒、15秒、及び30秒の混合時間で評価し、結果を表5及び表6に提供する。
【0153】
比較実施例14
比較実施例14を、実施例9~13と同じ親粒子供給源を使用して調製した。しかしながら、アミノプロピル/メチルシルセスキオキサン処理もフェニルトリエトキシシラン処理も適用しなかった。未処理の粒子を、上記の様式でFuji-Millを使用してブレンドした。得られたトナーを、Aゾーンのピークq/d及びJゾーンのピークq/dについて、5秒、10秒、15秒、及び30秒の混合時間で評価し、結果を表5及び表6に提供する。
【0154】
【0155】
評価結果。各実施例を、トナーの5%の濃度でフェライト担体を使用して混和電荷分布に供した。この手順では、現像剤の合計100部当たり5部のトナーを含んだ、100分の5(parts per hundred、pph)のトナー濃度を使用して試料現像剤を作製した。80°F及び80パーセント相対湿度(relative humidity、RH)並びに70°F及び10パーセントRHの両方で順応させた後、試料を、96rpmで作動するTurbulaミキサーを使用して10分間混合した。摩擦を、バルベッタボックスを使用して測定し、電荷スペクトログラフ(charge spectrograph、CSG)標本をこの10分マークで作製した。2.5pphの新しいトナー試料をこの同じ現像剤(総TC=7.5pph)に添加し、同じ混合設定を使用して5秒間、10秒間、15秒間、及び30秒間混合した。各混合時間で、混和性能が4つの混合時間の各々でどのようであったかを理解するために、CSG標本を作成した。次いで、各CSG標本を、q/d(直径当たりの電荷、fc/マイクロメートルの単位)に対してプロットした粒子数のチャートに変換する。現像剤の混和速度の尺度を提供するために、表5及び表6の測定基準をこのデータから計算した。
【0156】
表5及び6に示されるように、ピーク幅は、テール及び外れ値が除外されるように、CSGの98パーセンタイルと2パーセンタイルとの間の差として定義される。低電荷%は、-0.10fc/マイクロメートルより大きいCSGの%として定義され、適切に現像することが困難であると予想されるトナー粒子を表す。ピークq/dは、テールで生じるものを除く、CSGの極大値である。この測定基準は、トナーについての摩擦帯電能力の大きさを示す。ピークA/Jは、Aゾーンピークq/d対Jゾーンピークq/dの比であり、様々な環境条件において一貫して帯電するトナーの性能を表す。
【0157】
5秒のピーク幅を減少させ、A/J比を1に向けて増加させ、低電荷%を最小化することが望ましい。
【0158】
実施例1~4についてのデータは、アミノプロピル/メチルシルセスキオキサンの量が増加するにつれて、J-ゾーン電荷-q/d(表5)が著しく減少したことを示している。結果として、A/J比は、未処理の比較実施例5よりも改善され、これは、様々な環境条件における一貫した電子写真性能を予測するものである。実施例3は、1.0に近いA/Jを有し、これは、理想的であった。この処理はまた、最低量のアミノプロピル/メチルシルセスキオキサン(すなわち、実施例1)であっても、Aゾーンピーク幅を減少させるいくらかの能力を実証した(表6)。ほとんどの場合、低電荷%が増加し、これは通常、減少した電荷に関連する。これは、いくつかの状況では電子写真性能を妨げ得る。
【0159】
実施例6及び7についてのデータは、フェニルトリエトキシシランによる処理が、比較実施例8と比較してAゾーン電荷を増加させ、A/J比を改善するいくらかの可能性を有することを示唆している。この効果は、最も多量のフェニルトリエトキシシランを含有する実施例7において最も明らかである。全体として、電荷分布は、主分布とは別の逆極性電荷の集団を含有する実施例7を除いて、形状が類似していた。
【0160】
実施例9~13についてのデータは、アミノプロピル/メチルシルセスキオキサン及びフェニルトリエトキシシラン処理の組み合わせの効果を詳述する。A/J電荷比は、未処理の比較実施例14と比較してはるかに改善されており、実施例9は特に良好な結果を示した。組み合わされた処理はまた、帯電性の全体的な減少にもかかわらず、低電荷%において強い性能を維持した。これは狭いピーク分布によって助けられ、最大の改善が実施例9~12についてのJゾーンにおいて観察された。全体として、組み合わされた処理は、我々が検討した様々な測定基準における性能の良好なバランスを可能にした。処理の組み合わせはまた、単独での各処理と比較して、有意に改善された性能を可能にした。
【0161】
【0162】
【表6】
様々な上記で開示された及び他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又は用途に望ましく組み合わされ得ることが理解されるであろう。また、様々な現在予期されない、又は先行例のない代替、改変、変形、又は改善が、今後、当業者によって行われ得、これらもまた、以下の「特許請求の範囲」によって包含されることが意図されている。特許請求の範囲に具体的に列挙されない限り、特許請求の範囲の工程又は構成要素は、いかなる特定の順序、数、位置、サイズ、形状、角度、色、又は材料に関しても、暗示されるべきではなく、本明細書又は任意の他の特許請求の範囲から取り込まれるべきでもない。