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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013841
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20230119BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118279
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000190611
【氏名又は名称】日東シンコー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】高山 雅充
(72)【発明者】
【氏名】木原 靖之
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004CA04
4J004CA06
4J004CB01
4J004CB03
4J004CC02
4J040BA202
4J040DB022
4J040DF001
4J040DF041
4J040DF051
4J040DM001
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA26
4J040KA31
4J040LA01
(57)【要約】
【課題】 初期の粘着力が良好であり、且つ、粘着力の経時的な低下が抑制された粘着テープを提供することを課題としている。
【解決手段】 基材層と、該基材層の少なくとも一方の面に重なった粘着層とを備え、前記粘着層は、アクリル系ポリマーと、粘着付与剤とを含み、前記粘着付与剤は、淡色化ロジン系粘着付与剤と、スチレン系粘着付与剤とを含有する、粘着テープを提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、該基材層の少なくとも一方の面に重なった粘着層とを備え、
前記粘着層は、アクリル系ポリマーと、粘着付与剤とを含み、
前記粘着付与剤は、淡色化ロジン系粘着付与剤と、スチレン系粘着付与剤とを含有する、粘着テープ。
【請求項2】
前記粘着付与剤は、高軟化点ロジン系粘着付与剤をさらに含有する、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着層は、可塑剤をさらに含有する、請求項1又は2に記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばワイヤーハーネスにおいて複数の電線を結束するための粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基材層と、該基材層の少なくとも一方の面に重なった粘着層とを有する粘着テープが知られている。
【0003】
具体的には、この種の粘着テープとしては、(メタ)アクリル系ブロック共重合体100質量部と、粘着付与剤50~135質量部と、可塑剤40~90質量部とを含む粘着層を備えた粘着テープが知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載の粘着テープでは、上記の粘着付与剤が、ロジン系粘着付与剤(I)及びスチレン系粘着付与剤(II)を含み、且つ上記ロジン系粘着付与剤(I)と上記スチレン系粘着付与剤(II)との質量比[(I)/(II)]が0.5~4である。
特許文献1に記載の粘着テープは、被着体に貼り付けられた初期段階において、比較的良好な粘着力を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-010142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1などに記載された従来の粘着テープは、被着体に貼り付けられた状態で長期間にわたって使用されると、粘着力が経時的に低下するという問題を有する。
【0007】
上記の問題点等に鑑み、本発明は、初期の粘着力が良好であり、且つ、粘着力の経時的な低下が抑制された粘着テープを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明に係る粘着テープは、基材層と、該基材層の少なくとも一方の面に重なった粘着層とを備え、
前記粘着層は、アクリル系ポリマーと、粘着付与剤とを含み、
前記粘着付与剤は、淡色化ロジン系粘着付与剤と、スチレン系粘着付与剤とを含有することを特徴とする。
上記の粘着テープは、初期の粘着力が良好であり、且つ、粘着力の経時的な低下が抑制されている。
【0009】
上記の粘着テープでは、前記粘着付与剤は、高軟化点ロジン系粘着付与剤をさらに含有することが好ましい。
斯かる構成により、粘着テープを被着体に複数回巻き付けていったんほどいた後に、粘着層の一部が基材層に貼り付いたままで残ってしまう現象が抑制される。
【0010】
上記の粘着テープでは、前記粘着層は、可塑剤をさらに含有することが好ましい。
斯かる構成により、初期の粘着力がより良好となり、且つ、粘着力の経時的な低下がより抑制される。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る粘着テープは、初期の粘着力が良好であり、且つ、粘着力の経時的な低下が抑制されているという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係る粘着テープの断面図である。
図2図2は、実施例及び比較例の各粘着テープの粘着力を示すグラフである。
図3図3は、実施例及び比較例の各粘着テープの粘着力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る粘着テープの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
本実施形態の粘着テープ1は、図1に示すように、基材層2と、該基材層2の少なくとも一方の面に重なった粘着層3とを備え、粘着層3は、アクリル系ポリマーと、粘着付与剤とを含み、粘着付与剤は、淡色化ロジン系粘着付与剤を含有する。
【0015】
本実施形態の粘着テープ1は、帯形状(長尺シート状)に形成されている。本実施形態での粘着テープ1では、1つの基材層2の一方の面に1つの粘着層3が重なっている。なお、1つの基材層2の両方の面にそれぞれ粘着層3が重なっていてもよい。
粘着テープ1は、複数の基材層2を備えてもよく、基材層2に重なった複数の粘着層3を備えてもよい。
【0016】
粘着層3は、アクリル系ポリマーと、粘着付与剤(タッキファイヤー)とを少なくとも含み、可塑剤、酸化防止剤などをさらに含み得る。
【0017】
上記のアクリル系ポリマーは、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル(モノマー)が重合した重合体である。上記のアクリル系ポリマーは、通常、異なる2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(モノマー)が共重合したコポリマーである。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」との表記は、メタクリル酸及びアクリル酸のうちの少なくとも一方を表す。
【0018】
上記のアクリル系ポリマーは、質量平均分子量(Mw)が10,000以上である点で、後述する可塑剤としての低分子アクリル系重合体とは異なる。上記のアクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)は、100,000(10万)以下であってもよい。
質量平均分子量(Mw)の測定においては、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)測定を下記の測定条件にて行い、標準ポリスチレン換算値を求める。
(GPC測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC装置「HLC-8220GPC」
分離カラム:東ソー株式会社製「TSKgelSuperMultiporeHZ-M(カラム径=4.6mm、カラム長=15cm)」(2本を直列に繋いで使用)
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.35mL/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)
【0019】
上記のアクリル系ポリマーを構成することとなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル(モノマー)は、(メタ)アクリル酸と、炭素数2以上12以下の1価アルキルアルコールとのエステル化合物である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(モノマー)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、i-ノニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0020】
上記のアクリル系ポリマーは、好ましくはブロックコポリマーである。ブロックコポリマーは、例えば、単独重合ブロック単位Aと、単独重合ブロック単位Bとを有する。
ブロックコポリマーとしては、市販されている製品を用いることができる。このような製品としては、例えば、製品名「クラリティ LAシリーズ」(クラレ社製)などが挙げられる。
【0021】
好ましくは、ブロックコポリマーは、メチル(メタ)アクリレートの単独重合ブロック単位Aと、n-ブチル(メタ)アクリレートの単独重合ブロック単位Bとを有する。
【0022】
上記のブロックコポリマーにおいて、単独重合ブロック単位Aと、単独重合ブロック単位Bとの共重合比は、特に限定されないが、モル比で、メチル(メタ)アクリレート:n-ブチル(メタ)アクリレート=10:90~50:50であることが好ましい。
【0023】
本実施形態において、粘着層3は、淡色化ロジン系粘着付与剤と、スチレン系粘着付与剤とを粘着付与剤として含む。粘着層3は、高軟化点ロジン系粘着付与剤を粘着付与剤として含んでもよい。粘着層3は、淡色化ロジン系粘着付与剤、スチレン系粘着付与剤、高軟化点ロジン系粘着付与剤以外の他のロジン系粘着付与剤を粘着付与剤として含んでもよい。
換言すると、粘着層3の粘着付与剤は、少なくとも淡色化ロジン系粘着付与剤とスチレン系粘着付与剤とを含有し、高軟化点ロジン系粘着付与剤をさらに含有してもよい。
【0024】
粘着付与剤としては、上記のもの以外にも、例えば、上記他のロジン系粘着付与剤、フェノール系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、キシレン系粘着付与剤などが挙げられる。これらの粘着付与剤は、1種が単独で、又は、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0025】
淡色化ロジン系粘着付与剤は、軟化点が95℃以上105℃以下であり且つ色調(ハーゼン)が250以下のロジン系粘着付与剤である。淡色化ロジン系粘着付与剤の色調(ハーゼン)は、200以下であることが好ましく、150以下であることがより好ましい。淡色化ロジン系粘着付与剤の酸価は、通常、2[KOHmg/g]以上10[KOHmg/g]以下である。淡色化ロジン系粘着付与剤は、色調(ハーゼン)が上記のごとく比較的低くなるように、例えば、通常のロジン系粘着付与剤に対して、低分子量の成分(着色成分)を減らす精製処理(淡色化処理)を施すことによって調製される。
【0026】
上記の軟化点は、以下の方法によって測定される。具体的には、JIS K2207-1996 軟化点試験方法(環球法)に従って測定される。
上記の測定は、例えば、自動軟化点試験器「asp-6」(田中科学機器製作 社製)を用いて実施できる。測定方法の詳細は、下記の通りである。
規定の環に測定用試料を充てんし、グリセリン浴中に水平に支える。測定用試料の中央に規定の質量の球を置き、グリセリン浴の温度を規定の速さで上昇させる。軟化した測定用試料に球が沈み込み、環台の底板に触れたときの温度を軟化点とする。
・測定条件
球:鋼製球(直径9.53mm、質量3.5g)
球と環台の底板との距離:25mm
グリセリン浴の昇温速度:5℃/分
環球式2個がけ
グリセリン浴+撹拌モード
マグネチックスターラ80~300rpm
【0027】
上記の色調(ハーゼン)は、K 0071-1:2017に準じて測定される値である。色調(ハーゼン)は、例えば市販されているハーゼン色数計を用いて測定される。
【0028】
淡色化ロジン系粘着付与剤としては、市販されている製品を用いることができる。このような製品としては、例えば、製品名「パインクリスタル KE-100」、製品名「パインクリスタル KE-311」、製品名「パインクリスタル PE-590」、製品名「パインクリスタル KE-359」(以上、荒川化学工業社製)などが挙げられる。
【0029】
高軟化点ロジン系粘着付与剤は、軟化点が120℃以上130℃以下のロジン系粘着付与剤である。高軟化点ロジン系粘着付与剤の色調(ガードナー)は、通常、10以下である。また、高軟化点ロジン系粘着付与剤の酸価は、通常、20[KOHmg/g]以下である。
軟化点は、上述した測定法によって測定される。
【0030】
高軟化点ロジン系粘着付与剤としては、市販されている製品を用いることができる。このような製品としては、例えば、製品名「スーパーエステル A-125」(荒川化学工業社製)などが挙げられる。
【0031】
淡色化ロジン系粘着付与剤や高軟化点ロジン系粘着付与剤などのロジン系粘着付与剤は、アビエチン酸などのロジン酸を含む松ヤニ由来のものである。これら以外の他のロジン系粘着付与剤も同様である。なお、淡色化ロジン系粘着付与剤以外のロジン系粘着付与剤は、色調(ハーゼン)が例えば2000以上となり得る。
ロジン系粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、不均化ロジン樹脂、不均化ロジンエステル樹脂、重合ロジン樹脂、重合ロジンエステル樹脂及びこれらの水素添加物が挙げられる。ロジン系粘着付与剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0032】
スチレン系粘着付与剤は、分子中にスチレン構造単位を有する重合体である。
スチレン系粘着付与剤の軟化点は、例えば95℃以上105℃以下である。
スチレン系粘着付与剤としては、スチレン単独重合体、α-メチルスチレン単独重合体、α-メチルスチレン/スチレン共重合体、スチレン/脂肪族共重合体、α-メチルスチレン/スチレン/脂肪族共重合体、フェノール変性スチレン重合体、及び、これらの水素添加物などが挙げられる。スチレン系粘着付与剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
スチレン系粘着付与剤としては、市販されている製品を用いることができる。このような製品としては、例えば、製品名「YSレジン SX-100」(ヤスハラケミカル社製)などが挙げられる。
【0033】
テルペン系粘着付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂水素化テルペン樹脂などが挙げられる。
【0034】
石油系粘着付与剤としては、例えば、脂肪族(C5)系、芳香族(C9)系、C5/C9共重合系、脂環族系などの各粘着付与剤が挙げられる。
【0035】
粘着層3は、淡色化ロジン系粘着付与剤及びスチレン系粘着付与剤を粘着付与剤として含むことが好ましい。これにより、初期の粘着力がより良好となり、且つ、粘着力の経時的な低下がより抑制されるという利点がある。
【0036】
粘着層3は、淡色化ロジン系粘着付与剤及び高軟化点ロジン系粘着付与剤を粘着付与剤として含むことが好ましい。これにより、粘着テープ1を複数回巻き付けてから、いったんほどいて再度巻き付けようとしたときに、粘着テープ1の基材層2に、粘着層3の一部が付着して残ってしまうことを抑制できるという利点がある。
【0037】
本実施形態において、粘着層3に含まれ得る可塑剤としては、例えば、質量平均分子量(Mw)が5,000未満の低分子アクリル系重合体、動植物油及び鉱物油又はそれらの誘導体、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ビス2-エチルヘキシルフタレート、ジデシルフタレート、ジイソデシルフタレートなどのフタル酸エステル類、ビス2-エチルヘキシルアジペート、ジオクチルアジペートなどのアジピン酸エステル類、ビス2-エチルヘキシルセバケート、ジブチルセバケートなどのセバシン酸エステル類、ビス2-エチルヘキシルアゼレートなどのアゼライン酸エステル類などの脂肪酸エステル類、塩素化パラフィンなどのパラフィン類、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ系高分子可塑剤、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェートなどのリン酸エステル類、トリフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類、アジピン酸と1,3-ブチレングリコールとのエステル化物などのエステルオリゴマー類などが挙げられる。
可塑剤は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
可塑剤としては、上記の低分子アクリル系重合体が好ましい。低分子アクリル系重合体は、上記のアクリル系ポリマーとの相溶性が良いため、可塑剤としての機能をより発揮することができる。
【0039】
低分子アクリル系重合体は、上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステル(モノマー)の重合体であるが、質量平均分子量(Mw)が10,000未満であるという点で、上記のアクリル系ポリマーと異なる。低分子アクリル系重合体の質量平均分子量(Mw)は、2,000以上であってもよい。
低分子アクリル系重合体の質量平均分子量(Mw)は、上述した測定法によって測定される値である。
低分子アクリル系重合体としては、市販されている製品を用いることができる。このような製品としては、例えば、製品名「アルフォン UP-1000」(東亜合成社製)(質量平均分子量Mw:3,000、ガラス転移点:-77℃)などが挙げられる。
【0040】
粘着層3は、アクリル系ポリマーを40質量%以上70質量%以下含んでもよい。粘着層3は、淡色化ロジン系粘着付与剤を15質量%以上35質量%以下含んでもよい。粘着層3は、スチレン系粘着付与剤を3質量%以上8質量%以下含んでもよい。粘着層3は、高軟化点ロジン系粘着付与剤を5質量%以上20質量%以下含んでもよい。
【0041】
粘着層3において、スチレン系粘着付与剤の含有量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、好ましくは8質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。
また、粘着層3において、スチレン系粘着付与剤の含有量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、好ましくは15質量部以下、より好ましくは13質量部以下である。
スチレン系粘着付与剤の含有量が上記の範囲であることにより、ポリエチレンに対する粘着力がより向上するという利点がある。
【0042】
粘着層3において、淡色化ロジン系粘着付与剤の含有量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、好ましくは30質量部以上70質量部以下である。
粘着層3において、高軟化点ロジン系粘着付与剤の含有量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、好ましくは10質量部以上35質量部以下である。
【0043】
粘着層3は、淡色化ロジン系粘着付与剤と、スチレン系粘着付与剤と、高軟化点ロジン系粘着付与剤とを粘着付与剤として含み、且つ、低分子アクリル系重合体を可塑剤として含むことが好ましい。これにより、初期の粘着力がより良好となり、且つ、粘着力の経時的な低下がより抑制されるという利点がある。
【0044】
粘着層3において、淡色化ロジン系粘着付与剤及びスチレン系粘着付与剤の合計含有量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、好ましくは40質量部以上であり、より好ましくは42質量部以上である。
粘着層3において、上記2種の粘着付与剤の含有量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、好ましくは80質量部以下であり、より好ましくは78質量部以下である。
上記2種の粘着付与剤の含有量が上記の範囲であることにより、初期の粘着力がより良好となり、且つ、粘着力の経時的な低下がより抑制されるという利点がある。
【0045】
粘着層3において、淡色化ロジン系粘着付与剤、スチレン系粘着付与剤、及び高軟化点ロジン系粘着付与剤の合計含有量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、好ましくは60質量部以上であり、より好ましくは65質量部以上である。
粘着層3において、上記3種の粘着付与剤の含有量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、好ましくは85質量部以下であり、より好ましくは80質量部以下である。
上記3種の粘着付与剤の含有量が上記の範囲であることにより、初期の粘着力がより良好となり、且つ、粘着力の経時的な低下がより抑制されるという利点がある。
【0046】
粘着層3は、可塑剤(特に低分子アクリル系重合体)を5質量%以上15質量%以下含んでもよい。
粘着層3において、可塑剤の含有量(特に低分子アクリル系重合体の含有量)は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、好ましくは10質量部以上である。
粘着層3において、可塑剤の含有量(特に低分子アクリル系重合体の含有量)は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは25質量部以下である。
可塑剤の含有量(特に低分子アクリル系重合体の含有量)が上記の範囲であることにより、初期の粘着力がより良好となり、且つ、粘着力の経時的な低下がより抑制されるという利点がある。
【0047】
粘着層3において、スチレン系粘着付与剤(B-2)と、淡色化ロジン系粘着付与剤(B-1)との質量比(B-1/B-2)は、好ましくは2以上7以下であり、より好ましくは3以上6以下である。
斯かる質量比が上記の範囲であることによって、初期の粘着力がより良好となり、且つ、粘着力の経時的な低下がより抑制されるという利点がある。
【0048】
粘着層3において、スチレン系粘着付与剤(B-2)の量に対する、淡色化ロジン系粘着付与剤(B-1)及び高軟化点ロジン系粘着付与剤(B-3)の合計量の質量比[(B-1+B-3)/B-2]は、好ましくは4以上8以下であり、より好ましくは5以上7以下である。
斯かる質量比が上記の範囲であることによって、初期の粘着力がより良好となり、且つ、粘着力の経時的な低下がより抑制されるという利点がある。
【0049】
粘着層3において、淡色化ロジン系粘着付与剤(B-1)と、高軟化点ロジン系粘着付与剤(B-3)との質量比(B-1/B-3)は、好ましくは1以上7以下であり、より好ましくは1以上6以下である。
斯かる質量比が上記の範囲であることによって、初期の粘着力がより良好となり、且つ、粘着力の経時的な低下がより抑制されるという利点がある。
【0050】
本実施形態の粘着テープ1を構成する基材層2は、樹脂フィルムであってもよく、繊維シートなどの多孔質シートであってもよい。
【0051】
基材層2の材質は、例えば、アセテート(酢酸セルロース)、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンなどの樹脂である。
本実施形態の粘着テープ1が被着体に複数回巻き付けられたときに、基材層2の材質がポリエチレンであると、粘着テープ1の粘着層3は、ポリエチレン製の基材層2に粘着することとなる。本実施形態における粘着層3は、後の実施例でも示されるように、ポリエチレンに対する粘着力が良好である。そのため、粘着テープ1が巻き付けられたときに、自背面(基材層2の露出面)への粘着が良好となる。よって、基材層2の材質がポリエチレンである粘着テープ1は、巻き付け用途に適している。
【0052】
基材層2が繊維シートである場合、基材層2は、織布であってもよく、不織布であってもよい。具体的には、基材層2は、ポリエチレンテレフタレート繊維の布であってもよい。
【0053】
なお、本実施形態の粘着テープ1において、基材層2の厚さは、例えば50μm以上500μm以下であり、好ましくは50μm以上150μm以下である。基材層2の厚さが150μm以下の比較的薄い厚さであることによって、粘着テープ1を複数回巻き付けたときに、端末部分の粘着層3が基材層2からはがれる現象をより十分に抑制できる。
また、粘着層3の厚さは、例えば3μm以上100μm以下である。
【0054】
本実施形態の粘着テープ1は、以上のように構成されていることから、初期の粘着力が良好であり、且つ、粘着力の経時的な低下が抑制されている。
【0055】
続いて、本実施形態の粘着テープ1の製造方法について説明する。
【0056】
本実施形態の粘着テープ1は、例えば、上記の粘着層3を構成することとなる各成分と、有機溶媒とを含む粘着層用組成物を調製し、粘着層用組成物を基材層2に塗布し、塗布された粘着層用組成物に含まれる有機溶媒を揮発させることによって、製造できる。
【0057】
上記の有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンなどを用いることができる。
【0058】
粘着層用組成物を基材層2に塗布するときは、ダイコーティング法、リバースコーティング法など、一般的な塗布方法を採用することができる。塗布における温度は、通常、室温(15~25℃)である。
【0059】
上記のごとく製造された粘着テープ1は、例えば、ワイヤーハーネスにおいて、複数の電線を結束させるために使用される。
【0060】
本実施形態の粘着テープ1は上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の粘着テープに限定されるものではない。
即ち、一般的な粘着テープにおいて用いられる種々の形態が、本発明の効果を損ねない範囲において、採用され得る。
【実施例0061】
次に実験例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0062】
以下のようにして、粘着層用組成物を調製し、調製した粘着層用組成物を基材層に塗布して、粘着テープを製造した。各試験例の粘着テープを製造するための配合組成を表1に示す。
【0063】
<粘着テープの原料>
・粘着層の構成成分
(A)アクリル系ポリマー(成分名:メチル(メタ)アクリレートの単独重合ブロック単位Aと、n-ブチル(メタ)アクリレートの単独重合ブロック単位Bとを有するブロック共重合体)
(A-1)製品名「クラリティ LA2330」(クラレ社製)
質量平均分子量:64,000
(B)粘着付与剤
(B-1)淡色化ロジン系粘着付与剤(軟化点:95~105℃/色調:200以下/酸価:2~10[KOHmg/g])
製品名「パインクリスタル KE-100」(荒川化学工業社製)
(B-2)スチレン系粘着付与剤(スチレンの低分子量重合体)
製品名「YSレジン SX-100」(ヤスハラケミカル社製)
(B-3)高軟化点ロジン系粘着付与剤(軟化点:120~130℃/色調:8/酸価:10[KOHmg/g]以下)
製品名「スーパーエステル A-125」(荒川化学工業社製)
(B-4)水素添加ロジン系粘着付与剤(軟化点:70℃以上90℃以下)
製品名「エステルガム HP」(荒川化学工業社製)
(C)可塑剤(低分子アクリル系重合体)
製品名「アルフォン UP-1000」(東亜合成社製)
質量平均分子量:3,000
(D)酸化防止剤 製品名「Irganox1010」(BASFジャパン社製)
・有機溶媒
メチルエチルケトン(MEK)
・基材層
低密度ポリエチレンフィルム
製品名「スミカセンF200」(住友化学社製)厚さ70μm
【0064】
(実施例1~3、比較例1~3)
表1に示す配合組成により、各成分を23℃で混合して、その後室温まで冷却し、粘着層用組成物を調製した。
さらに、調製した粘着層用組成物を、ダイコーティング塗工によって基材層の片面側に塗工して、100℃において4分間放置し、MEKを揮発させ、粘着層を作製した。このようにして、粘着テープを製造した。
【0065】
【表1】
【0066】
以下のようにして、実施例及び比較例で製造した粘着テープについて、初期粘着力及び貼り付け後14日経過後の粘着力をそれぞれ評価した。
【0067】
<初期粘着力及び14日経過後の粘着力>
各試験例の粘着テープから幅19mmの短冊状試料を切り出した。
次に、板状の被着体(厚さ:0.4mm)の表面に対して、上記の短冊状試料の粘着層を貼り付けた。なお、2kgのゴムローラーを5mm/sの速度で1往復させることによって、粘着テープを被着体に貼り付けた。その後、室温まで十分に冷却させて、引張試験用の試験体を作製した。被着体としては、以下のいずれか一方を用いた。
・表面を#360のサンドペーパーで磨きトルエンで洗浄したSUS板
・表面を#360のサンドペーパーで磨いたがトルエンで洗浄していないポリエチレン樹脂板
引張り試験機を用いて、室温(23℃)の環境下、300mm/minの試験速度で、SUS板又はポリエチレン樹脂板から上記の試験体を引っ張ることで、180度ピール試験を実施し、室温の環境下におけるピール強度(N/19mm)を求めた。
試験結果を図2及び図3に示す。
【0068】
図2及び図3から把握されるように、実施例の粘着テープは、比較例の粘着テープに比べて、粘着力が高く、また、経時的に粘着力が低下することが抑制されていた。特に、被着体がポリエチレン(PE)である場合に、良好な結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の粘着テープは、被着体に貼り付けられて好適に使用される。例えば、複数の電線を結束させるために、好適に使用される。
【符号の説明】
【0070】
1:粘着テープ、 2:基材層、 3:粘着層。
図1
図2
図3