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特開2023-138411コバルトフェライト粒子の製造方法とそれにより製造されたコバルトフェライト粒子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138411
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】コバルトフェライト粒子の製造方法とそれにより製造されたコバルトフェライト粒子
(51)【国際特許分類】
   C01G 51/00 20060101AFI20230922BHJP
   G03G 9/083 20060101ALI20230922BHJP
   C09D 11/03 20140101ALI20230922BHJP
【FI】
C01G51/00 B
G03G9/083 301
C09D11/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036445
(22)【出願日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2022042172
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227250
【氏名又は名称】日鉄鉱業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 翔
(72)【発明者】
【氏名】村谷 直紀
(72)【発明者】
【氏名】岸本 章
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英志
【テーマコード(参考)】
2H500
4G048
4J039
【Fターム(参考)】
2H500AA04
2H500CB02
4G048AA03
4G048AB02
4G048AB04
4G048AC03
4G048AC05
4G048AD03
4G048AE05
4G048AE06
4G048AE07
4G048AE08
4J039BA13
4J039BA37
4J039BA38
4J039CA10
4J039EA26
(57)【要約】
【課題】平均粒子径がμmオーダーで粒子径がそろったコバルトフェライト粒子を提供する。
【解決手段】錯化剤で安定化された二価鉄塩と二価コバルト塩を含む水溶液(フェライト前駆体)を加熱処理してなるコバルトフェライト粒子の製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錯化剤で安定化された二価鉄塩とコバルト塩を含む水溶液(フェライト前駆体)を加熱処理してなるコバルトフェライト粒子の製造方法。
【請求項2】
前記加熱処理が、圧力容器中で130℃~260℃の温度範囲において、水熱条件で行なう請求項1に記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
【請求項3】
前記加熱処理が、圧力容器中で190℃~240℃の温度範囲において、水熱条件で行なう請求項2に記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
【請求項4】
前記水溶液(フェライト前駆体)に、さらに三価鉄塩を添加する請求項1~3のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
【請求項5】
前記水溶液(フェライト前駆体)に、さらにpH緩衝剤を添加する請求項1~3のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
【請求項6】
前記二価鉄塩と前記コバルト塩が、塩化鉄(II)と塩化コバルト(II)である請求項1~3のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
【請求項7】
前記二価鉄塩と前記コバルト塩が、硫酸鉄(II)と硫酸コバルト(II)である請求項1~3のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
【請求項8】
前記錯化剤として、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸塩、又はリンゴ酸塩から選択された1つを使用することからなる請求項1~3のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
【請求項9】
前記加熱処理を、錯化剤に加えてさらに酸化剤の存在下でおこなう請求項1~3のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
【請求項10】
前記酸化剤が、硝酸塩であることからなる請求項9に記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
【請求項11】
前記水溶液(フェライト前駆体)に、さらに種粒子を添加する請求項1~3のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
【請求項12】
前記種粒子が酸化鉄である請求項11に記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
【請求項13】
前記加熱処理の途中、あるいは終了後の圧力容器中に、アルカリ水溶液、またはフェライト前駆体を圧入し、さらに加熱処理をおこなう請求項1~3のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
【請求項14】
粒子径の変動係数であるCV値が0.1~0.3であり、丸みを帯びた形状で、平均粒子径が5~50μmであるコバルトフェライト粒子。
【請求項15】
残留磁気モーメントが10emu/g以上であり、保磁力が100~1000Oeである請求項14に記載のコバルトフェライト粒子。
【請求項16】
請求項15記載のコバルトフェライト粒子からなるコピー用トナー。
【請求項17】
請求項15に記載のコバルトフェライト粒子からなる磁性インク。
【請求項18】
請求項15に記載のコバルトフェライト粒子からなるMR流体。
【請求項19】
請求項15に記載のコバルトフェライト粒子の表面に、酸化チタン膜と金属銀膜とをこの順に有する白色粉体。
【請求項20】
明度L*が75以上である請求項15に記載の白色粉体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コバルトフェライト粒子の製造方法、及びそれにより製造されたコバルトフェライト粒子に関するもので、特に平均粒子径が比較的大きく、さらに粒子径分布もそろったコバルトフェライト粒子を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
フェライト粒子は、高透磁率材料や永久磁石材料として知られ、今日では磁性粉体はコピー用トナー、磁性インク、MR流体等の新たな素材に用いられるようになり、その品質や性能の向上が期待されている。
特にコバルトフェライトは、スピネル型フェライトの中でも結晶磁気異方性が大きく、保磁力の大きい磁性材料として知られている。また、コバルトは鉄と化学的な挙動が似ているため、その製造工程において各種制御が容易にできるという利点がある。
【0003】
フェライト粒子の製造方法としては、共沈法、湿式酸化法、水熱法などの方法が知られている。
共沈法は、二種類以上のイオンを同時に沈殿させる反応で、コバルトフェライト粒子を製造する場合、Fe3+とCо2+イオンを含む水溶液にアルカリを投入後、加熱することで反応を促進させてナノサイズのフェライト粒子を得る。この方法では、80~100℃の温度で反応をおこない、得られた粒子の平均粒子径は20~50nm程度で、比較的粒度分布の広い粒子しか得られない(特許文献1)。
【0004】
湿式酸化法は、Fe2+とCо2+イオンを含む原料水溶液に加熱しながら空気等の酸化剤を反応させる方法である。酸化剤として空気を使用した場合には、反応温度は60~100℃程度で、0.05~0.3μm程度の粒子を得ている(特許文献2、特許文献3)。また、原料水溶液と酸化剤液との反応を連続的におこなう方法では、30~100℃の温度で反応をおこない、3~20nmのフェライト粒子を得ている(特許文献4)。
【0005】
水熱法は、Fe2+イオンを含む水溶液にCо2+イオンを含む水溶液を混合し、オートクレーブ中で水熱合成する方法で、160~300℃という高温反応により、0.3~8μmという比較的大きな粒子径のフェライト粒子を製造している(特許文献5)。
【0006】
従来技術によりフェライト粒子を製造する場合、共沈法や湿式酸化法によれば、比較的低い温度で製造することができるが、得られたフェライト粒子はnmオーダーの微細な粒子しか得られない。また、水熱法によればμmオーダーの比較的大きな粒子を得ることができるが、高温高圧で水熱反応(シッコール反応)を行なわせる必要があり、設備やコストの面で問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4138344号公報
【特許文献2】特公平3-24412号公報
【特許文献3】特公昭60-47722号公報
【特許文献4】特許第5504399号公報
【特許文献5】特開平5-275224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来の技術の問題点を克服し、平均粒子径が従来のものよりも大きくかつ均一な粒子径を持つコバルトフェライト粒子を、より低いエネルギーで合成することができる製造方法及び、これにより製造された、丸みを帯びた形状を有し粒子径のそろったコバルトフェライト粒子を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、本発明では、次の構成からなる手段を採用する。
(1) 錯化剤で安定化された二価鉄塩とコバルト塩を含む水溶液(フェライト前駆体)を加熱処理してなるコバルトフェライト粒子の製造方法。
(2) 加熱処理が、圧力容器中で130℃~260℃の温度範囲において、水熱条件で行なう(1)に記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
(3) 加熱処理が、圧力容器中で190℃~240℃の温度範囲において、水熱条件で行なう(2)に記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
(4) 水溶液(フェライト前駆体)に、さらに三価鉄塩を添加する(1)~(3)のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
(5) 水溶液(フェライト前駆体)に、さらにpH緩衝剤を添加する(1)~(4)のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
(6) 二価鉄塩と前記コバルト塩が、塩化鉄(II)と塩化コバルト(II)である(1)~(5)のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
(7) 二価鉄塩と前記コバルト塩が、硫酸鉄(II)と硫酸コバルト(II)である(1)~(6)のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
(8) 錯化剤として、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸塩、又はリンゴ酸塩から選択された1つを使用することからなる(1)~(7)のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
(9) 加熱処理を、錯化剤に加えてさらに酸化剤の存在下でおこなう(1)~(8)のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
(10) 酸化剤が、硝酸塩であることからなる(9)に記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
(11) 水溶液(フェライト前駆体)に、さらに種粒子を添加する(1)~(10)のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
(12) 種粒子が酸化鉄である(11)に記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
(13) 加熱処理の途中、あるいは終了後の圧力容器中に、アルカリ水溶液、またはフェライト前駆体を圧入し、さらに加熱処理をおこなう(1)~(12)のいずれかに記載のコバルトフェライト粒子の製造方法。
(14) 粒子径の変動係数であるCV値が0.1~0.3であり、丸みを帯びた形状で、平均粒子径が5~50μmであるコバルトフェライト粒子。
(15) 残留磁気モーメントが10emu/g以上であり、保磁力が100~1000Oeである(14)に記載のコバルトフェライト粒子。
(16) (15)に記載のコバルトフェライト粒子からなるコピー用トナー。
(17) (15)に記載のコバルトフェライト粒子からなる磁性インク。
(18) (15)に記載のコバルトフェライト粒子からなるMR流体。
(19) (15)に記載のコバルトフェライト粒子の表面に、酸化チタン膜と金属銀膜とをこの順に有する白色粉体。
(20) 明度L*が75以上である(15)に記載の白色粉体。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法を採用することにより、従来方法で製造された磁性粒子と比較して、より低いエネルギーで、粒子径のそろったコバルトフェライトからなる磁性粒子を製造することができる。
本発明の製造方法で得られたコバルトフェライト粒子は、丸みをおびた形状で粒子径がそろっているので、コピー用トナー、磁性インク、MR流体としての用途が期待される。また、本発明のコバルトフェライト粒子は、公知の方法で白色化することにより、白色、あるいはさらに着色層を設けて、明度の高い白色粉体あるいは鮮やかな色に着色されたカラー粉体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は実施例1の粉体試料のSEM写真である。
図2図2は実施例2の粉体試料のSEM写真である。
図3図3は実施例3の粉体試料のSEM写真である。
図4図4は実施例4の粉体試料のSEM写真である。
図5図5は実施例5の粉体試料のSEM写真である。
図6図6は実施例6の粉体試料のSEM写真である。
図7図7は実施例7の粉体試料のSEM写真である。
図8図8は実施例8の粉体試料のSEM写真である。
図9図9は実施例9の粉体試料のSEM写真である。
図10図10は参考例1の粉体試料のSEM写真である。
図11図11は参考例2の粉体試料のSEM写真である。
図12図12は比較例1の粉体試料のSEM写真である。
図13図13Aは実施例6の粉体の断面概念図であり、図13Bは実施例9の粉体の断面概念図であり、両者はTEM観察に基づくものである。なお、本明細書において、走査型電子顕微鏡を「SEM」、透過型電子顕微鏡を「TEM」と表記する場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明においては、二価鉄塩とコバルト塩からフェライト前駆体を形成し、フェライト前駆体を錯化剤の存在下で高温・高圧条件下で加熱処理をおこなうことに特徴がある。
【0013】
以下では、本発明のコバルトフェライト粒子の製造方法を、工程にそって説明する。
(フェライト前駆体の製造)
まず、二価鉄塩とコバルト塩を脱塩脱気水に溶解して原料水溶液を調製する。
本発明の方法において使用する二価鉄塩としては特に限定されず、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、酢酸鉄(II)等が例示でき、高炉や電炉の鉄洗廃液なども安価な原料として良い。また、コバルト塩についても特に限定されず、二価コバルト塩、例えば、硫酸コバルト(II)、塩化コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)等が例示できる。入手の容易性等から、二価鉄塩としては硫酸鉄(II)、または塩化鉄(II)、二価コバルト塩としては硫酸コバルト(II)、または塩化コバルト(II)が好ましい。
なお、後述の粒子径の調整の欄で説明するように、原料水溶液には、更に、三価鉄塩を添加してもよい。三価鉄塩としては特に限定されず、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)等が例示できる。
ここで脱塩脱気水を使用するのは、溶液中に溶解した鉄等の金属イオンの電荷状態が、溶存している塩や酸素の影響を受けることを防ぐためである。例えば、反応系中に遊離酸素が存在すると二価鉄が三価鉄に酸化してしまい、目的としない粒子径の微粒子が発生してしまうことが知られている。
【0014】
次に、アルカリと錯化剤を脱塩脱気水に溶解してアルカリ水溶液を調製する。その後に、原料水溶液とアルカリ水溶液を混合する。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニアなどの任意のアルカリが選ばれる。原料水溶液とアルカリ水溶液を混合することにより、フェライト前駆体となる原料の金属錯体を形成する。
【0015】
錯体を安定的に形成させるためには、上記した順番で混合することが好ましい。また、錯体が分解した後に良好な特性を持つフェライト粒子を合成するためには、混合液のpHは7~13程度に調整することが好ましい。
【0016】
(錯化剤)
本発明においては、前記したとおり、加熱処理を行う前に、錯化剤によりフェライト前駆体を錯体化させて酸化剤による酸化から保護することに特徴がある。
本発明における錯化剤としては、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸塩、及びリンゴ酸塩等が使われる。
クエン酸塩を使用した場合には、平均粒子径が5~50μm程度の大きな粒子径のコバルトフェライト粒子が得られる。ニトリロ三酢酸塩やリンゴ酸塩を使用した場合には、平均粒子径が1μm以下の微細な粒子が得られる。
【0017】
本発明におけるフェライト生成反応は、次のとおり進行するものと考えられる。
水熱処理を開始する前の段階では、酸化剤による酸化反応は行なわれず、錯化剤の配位子による錯化作用によりフェライト前駆体は溶液中に安定的に存在する。これにより、酸化されやすく不安定な水酸化物の生成を防ぎ、前駆体を安定的に保護する。
次に、加熱が開始されるとフェライト前駆体を保護していた錯体が徐々に分解し、フェライト前駆体は酸化作用を受けやすくなる。この際に、フェライト形成のための酸化反応を均一に促進するために、硝酸ナトリウム等の酸化剤を添加してもよい。フェライト前駆体が酸化剤の環境下にあれば酸化剤の酸化作用を受け、酸化剤がない場合でも水熱環境の作用で酸化され、フェライトが形成される。
【0018】
本発明においては、錯化剤による錯化作用により、水熱条件下での熱処理においてフェライト前駆体の酸化反応の進行を遅らせることができる。これにより、合成されるフェライト粒子の粒子径を大きくすることができ、さらに粒子径がそろった粒子を製造することができる。
【0019】
(熱処理)
本発明においては、圧力容器を用いた水熱法による熱処理がおこなわれる。
本発明で使用する圧力容器は、通常の高圧反応容器であれば良く、オートクレーブ、圧力釜、ボイラー等が例示できるが、汎用性等からオートクレーブが好ましい。
通常の高温シッコール法では200℃以上の高温で反応が進められることが多いが、本発明では、錯化剤を選択することにより130~300℃程度、好ましくは130~280℃程度、より好ましくは130~260℃、よりさらに好ましくは130~240℃程度の温度範囲でコバルトフェライトからなる磁性粒子を合成することができる。
熱処理の温度が高いほど反応が促進され、190℃よりも高い温度、例えば200℃程度で熱処理した場合にコバルトフェライト粒子の反応率を90%程度まで上げることができる。
高反応率が期待できる観点からは、熱処理の温度は、190℃よりも高く300℃以下が好ましい。一方、反応温度が270℃を超えた辺りから不純物が入ってくる傾向がある。このことより、純度と反応率のバランスを図る観点からは、反応時温度は190~270℃が好ましく、190~260℃がより好ましい。
【0020】
(粒子径の調整1:三価鉄塩の添加)
本発明に係るコバルトフェライト粒子の製造方法では、その製造方法の各工程において、製造するコバルトフェライト粒子の粒子径を調整する手段を採用することができる。以下では、いくつかの粒子径調整手段を列記する。これらの手段は単独で、あるいは複数の手段を組み合わせて採用することができる。
原料水溶液(二価鉄塩とコバルト塩の水溶液)に三価鉄塩を添加することで、錯化剤で安定化された二価鉄塩とコバルト塩を含む水溶液に三価鉄塩を添加し、これにより、コバルトフェライト粒子の粒子径を調整することができる。これによれば、三価鉄塩の三価鉄イオンがフェライト粒子形成の核の作用をするので、酸化剤の有無に関わらずフェライト形成の反応が促進されるとともに、製造されるフェライト粒子の粒子径を調整することが可能である。
ここで使用する三価鉄塩としては特に限定されず、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)等が例示でき、高炉や電炉の鉄洗廃液なども安価な原料として良い。
【0021】
(粒子径の調整2:pH緩衝剤の添加)
アルカリ水溶液(アルカリと錯化剤の水溶液)にpH緩衝剤を添加することで、錯化剤で安定化された二価鉄塩とコバルト塩を含む水溶液にpH緩衝液を添加し、これにより、コバルトフェライト粒子の粒子径を調整することができる。フェライト生成反応はpH低下を伴う反応であり、pHが低下するとフェライト前駆体の分解が抑えられてフェライト生成反応が抑制されてしまう。そこで、pHの低下を抑制するためにpH緩衝剤を添加することにより、フェライト粒子の成長を促進させることができる。
ここで使用するpH緩衝剤としては、ホウ酸、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウムなどから選ばれる。
【0022】
(粒子径の調整3:種粒子の添加)
フェライト前駆体に種粒子を添加することで、コバルトフェライト粒子が析出する基体となる核を与えることができ、これにより、コバルトフェライト粒子の粒子径を調整することができる。ここで使用する種粒子としては特に限定されず、金属や合金、酸化物等の水に不溶な無機化合物等から選ばれる。特に、コバルトフェライトとの親和性から、酸化鉄が好ましい。酸化鉄としてはマグネタイトを用いることができる。
【0023】
(粒子径の調整4:熱処理時にアルカリ水溶液、フェライト前駆体の圧入)
熱処理工程の途中あるいは終了後に、圧力容器中にアルカリ水溶液またはフェライト前駆体(錯体)を圧入し、その後も熱処理を継続することにより、コバルトフェライト粒子の粒子径を調整することができる。
アルカリ水溶液を圧入すると、反応容器中のpHが上昇することで未反応のフェライト前駆体の分解が進み、フェライト生成反応が促進される。これにより粒子成長(粗粒化)をはかることができる。アルカリ水溶液として特に限定されることはなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等から適宜選択することができる。
一方、フェライト前駆体(錯体)を圧入すると、フェライト形成原料が追加されることになり、フェライト粒子の粒子成長を促進することができる。フェライト前駆体の製造方法は前記したとおりである。
【0024】
(コバルトフェライト粒子)
本発明で製造されたコバルトフェライト粒子は、平均粒子径が5~50μmにもなる比較的大きな粒子径の磁性粒子である。丸みをおびた形状で粒子径のそろった粒子となっている。粒子のアスペクト比はほぼ1である。
後述の図13の説明にあるように、コバルトフェライト粒子の一態様として、コアシェル型構造を有する粒子が挙げられる。
本発明のコバルトフェライト粒子は、比較的粒子径が大きく、丸みをおび、粒子径の分布幅も狭いので、粒子相互間の凝集性が少なく、成形した場合に最密充填が可能なので成形体の磁性特性を向上することができる、あるいは嵩密度を大きくできるという特徴を有する。また、粒子表面に適度な凹凸があるため、表面が平滑な球形粒子と比較して、磁性インクとする場合に顔料が乗りやすくなる効果を有する。
このため、コピー用トナー、磁性インク、MR流体の用途に用いることで、その特性を充分に発揮することができる。
【0025】
(白色粉体)
本発明のコバルトフェライト粒子は、白色化して白色粉体としたり、白色化した後にさらに着色層を設けてカラー粉体とすることができる。
公知の方法で白色化できるが、例えば、本件出願人が特許権を有する白色化方法(特許第4113045号)によることが望ましい。
この白色化方法は、基体粒子と金属銀膜の間に酸化チタン膜を設けることによる粉体の白色化方法である。具体的には、チタンアルコキシドの加水分解(例えば、国際公開96/28269号)やチタン塩水溶液からの反応(例えば、特開平11-131102号)等により、コバルトフェライト粒子の表面に酸化チタン膜を形成し、その後に、無電解メッキ法等の公知の方法により金属銀膜を形成することにより行うことができる。この方法により、本発明のコバルトフェライト粒子の表面に酸化チタン膜と金属銀膜とをこの順に有する白色粉体を製造することができ、その結果、コバルトフェライト粒子の明度L*を75以上に向上させることができる。
【実施例0026】
以下に本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、合成したフェライト粒子の平均粒子径と粒子径分布は、次の方法により測定した。
【0027】
(平均粒子径の測定)
粉体試料の走査型電子顕微鏡(SEM)像上に縦線、横線を16本ずつグリッド状に均等配置した画像を印刷し、縦線と横線の交点にある粒子あるいは交点に最も近い粒子計256個の直径をノギスで測定して平均値を求めた。また、SEM像上のスケールバーの長さを測定し、その値を用いてmm単位で測定した粒子径をμm単位に変換して平均粒子径とした。
【0028】
(粒子径分布の測定)
本発明のコバルトフェライトの粒子径がそろっている点は、粒子径の変動係数であるCV値により特定した。すなわち、統計学上はデータ分布のばらつきの1つの尺度として標準偏差が用いられるが、これをデータの算術平均値で割ることで規格化して、デー夕のばらつきを評価することが行なわれている。これが変動係数であるCV値で、本発明でも、形成されたコバルトフェライト粒子の粒子径にばらつきが少ないことを、CV値を用いて評価することにした。CV値が小さいことが、粒子径分布にばらつきが少ないことを示しており、特にCV値が0.1以下の粒子は単分散粒子であるとされ、その特性が注目されている。
【0029】
(磁気特性の測定)
本発明のコバルトフェライトの磁気特性は、振動試料型磁力計(VSM)(玉川製作所製、型番「TM-VSM101483N7-MRO」)により評価した。最大磁界10,000Oeでヒステリシス曲線または減磁曲線を取得し、飽和磁気モーメント、残留磁気モーメント、保磁力を測定した。
【0030】
[実施例1](コバルトフェライト粒子の製造)
(1) 脱塩脱気水の調製
脱塩水480gを2.5L/minのNで30分脱気し、脱塩脱気水を調製した。
(2) 原料水溶液の調製
塩化鉄(II)四水和物(FeCl・4HO)32g、塩化コバルト(II)六水和物(CоCl・6HO)8gを脱塩脱気水172gに溶解し、原料水溶液を調製した。
(3) 錯化剤水溶液の調製
クエン酸三ナトリウム二水和物(CNa・2HO)86g、硝酸ナトリウム(NaNO)5gを脱塩脱気水168gに溶解し、錯化剤水溶液を調製した。
(4) アルカリ水溶液の調製
水酸化ナトリウム(NaOH)10gを脱塩脱気水25gに溶解し、アルカリ水溶液を調製した。
(5) 前駆体の調製
置換した容器の中で原料水溶液と錯化剤水溶液を混合した後、アルカリ水溶液を添加してpH10に調整することで前駆体を調製した。
(6) 前駆体の水熱処理による磁性粒子の調製
前駆体をN置換したオートクレーブに入れ、攪拌しながら190℃で20時間水熱処理を行い、磁性粒子を得た。
(7) 磁性粒子の洗浄
磁性粒子をろ過し、脱塩水で通水洗浄した。
(8) 磁性粒子の乾燥
洗浄後の磁性粒子を大気雰囲気の下110℃で2時間乾燥させた。
【0031】
[実施例2]
実施例1で酸化剤として添加した硝酸ナトリウムを使用しなかった以外は実施例1と同じ条件で、磁性粒子を製造した。
【0032】
[実施例3]
実施例1から(5)のアルカリ水溶液の添加により10に調整したpHを8とし、(6)の水熱処理時間を40時間に代えた以外は実施例1と同じ条件で磁性粒子を製造した。
【0033】
[実施例4]
実施例1から(2)の塩化鉄(II)四水和物(FeCl・4HO)の量を25.7gへ、塩化コバル卜(II)六水和物(CоCl・6HO)の量を15.4gへ、(3)のクエン酸三ナトリウム二水和物(CNa・2HO)の量を59.9gへ、硝酸ナトリウム(NaNO)の量を1.7gへ変更した以外は、実施例1と同じ条件で磁性粒子を製造した。
【0034】
[実施例5]
実施例1から(1)の脱塩水の量を2300.0gへ、(2)の塩化鉄(II)四水和物(FeCl・4HO)の量を337.3gへ、塩化コバルト(II)六水和物(CoCl・6HO)の量を80.7gへ、脱塩脱気水の量を827.5gへ、(3)のクエン酸三ナトリウム二水和物(CNa・2HO)の量を604.7gへ、硝酸ナトリウム(NaNO)の量を17.3gへ、脱塩脱気水の量を807.8gへ、(4)の水酸化ナトリウム(NaOH)を86.4gへ、脱塩脱気水の量を93.6gへ、(6)の水熱処理を200℃で16時間へ、(8)の乾燥を250℃で1時間へ変更した以外は、実施例1と同じ条件で磁性粒子を製造した。
【0035】
[実施例6]
実施例1から(1)の脱塩水の量を13,000.0gへ、Nの流量を10L/minへ、(2)の塩化鉄(II)四水和物(FeCl・4HO)32gを硫酸鉄(II)七水和物(FeSO・7HO)2,690.0gへ、塩化コバルト(II)六水和物(CoCl・6HO)8gを硫酸コバルト(II)七水和物(CoSO・7HO)544.0gへ、脱塩脱気水の量を4718.7gへ、(3)のクエン酸三ナトリウム二水和物(CNa・2HO)の量を3,448.0gへ、硝酸ナトリウム(NaNO)の量を99.0gへ、脱塩脱気水の量を4606.3gへ、(4)の水酸化ナトリウム(NaOH)の量を480.0gへ、脱塩脱気水の量を520.0gへ、(5)のpHを9ヘ、(6)の水熱処理を240℃で0時間(240℃へ到達後直ちに冷却)へ、(8)の乾燥を250℃で1時間へ変更した以外は、実施例1と同じ条件で磁性粒子を製造した。
【0036】
[実施例7]
実施例1から(1)の脱塩水の量を12,000.0gへ、Nの流量を10L/minへ、(2)の塩化鉄(II)四水和物(FeCl・4HO)の量を1,923.0gへ、塩化コバルト(II)六水和物(CoCl・6HO)の量を460.0g、脱塩脱気水の量を4436.3gへ、(3)のクエン酸三ナトリウム二水和物(CNa・2HO)の量を3,448.0gへ、硝酸ナトリウム(NaNO)の量を99.0gへ、脱塩脱気水の量を4330.7gへ、(4)の水酸化ナトリウム(NaOH)の量を480.0gへ、脱塩脱気水の量を520.0gへ、(5)のpHを9ヘ、(6)の水熱処理を260℃で0時間(260℃へ到達後直ちに冷却)へ、(8)の乾燥を250℃で1時間へ変更した以外は、実施例1と同じ条件で磁性粒子を製造した。
【0037】
[実施例8]
実施例1から、(1)の脱塩水の量を750.0gへ、(2)の塩化鉄(II)四水和物(FeCl・4HO)32gを硫酸鉄(II)七水和物(FeSO・7HO)125.8gへ、塩化コバルト(II)六水和物(CoCl・6HO)8gを硫酸コバルト(II)七水和物(CoSO・7HO)63.6gへ、脱塩脱気水の量を142.7gへ、(3)のクエン酸三ナトリウム二水和物(CNa・2HO)の量を205.6gへ、硝酸ナトリウム(NaNO)の量を5.8gへ、脱塩脱気水の量を394.0gへ、(4)の水酸化ナトリウム(NaOH)の量を35.0gへ、脱塩脱気水の量を37.9gへ変更した以外は、実施例1と同じ条件で磁性粒子を製造した。
【0038】
[実施例9]
実施例1から(3)の硝酸ナトリウム(NaNO)の量を1.7g、へ変更し、(6)で前駆体と共に酸化鉄の一種であるマグネタイト(Fe)0.8gを種粒子としてオートクレーブへ入れた以外は、実施例1と同じ条件で磁性粒子を製造した。
【0039】
[参考例1]
実施例1から(1)の脱塩水の量を12,000.0gへ、Nの流量を10L/minへ、(2)の塩化鉄(II)四水和物(FeCl・4HO)の量を1,923.0gへ、塩化コバルト(II)六水和物(CoCl・6HO)の量を460.0g、脱塩脱気水の量を4436.3gへ、(3)のクエン酸三ナトリウム二水和物(CNa・2HO)の量を3,448.0gへ、硝酸ナトリウム(NaNO)の量を99.0gへ、脱塩脱気水の量を4330.7gへ、(4)の水酸化ナトリウム(NaOH)の量を480.0gへ、脱塩脱気水の量を520.0gへ、(5)のpHを9ヘ、(6)の水熱処理を300℃で0.5時間へ、(8)の乾燥を250℃で1時間へ変更した以外は、実施例1と同じ条件で磁性粒子を製造した。
【0040】
[参考例2]
実施例1から(1)の脱塩水の量を13,000.0gへ、Nの流量を10L/minへ、(2)の塩化鉄(II)四水和物(FeCl・4HO)32gを硫酸鉄(II)七水和物(FeSO・7HO)2,690.0gへ、塩化コバルト(II)六水和物(CoCl・6HO)8gを硫酸コバルト(II)七水和物(CoSO・7HO)544.0gへ、脱塩脱気水の量を4718.7gへ、(3)のクエン酸三ナトリウム二水和物(CNa・2HO)の量を3,448.0gへ、硝酸ナトリウム(NaNO)の量を99.0gへ、脱塩脱気水の量を4606.3gへ、(4)の水酸化ナトリウム(NaOH)の量を480.0gへ、脱塩脱気水の量を520.0gへ、(5)のpHを9ヘ、(6)の水熱処理を300℃で0.5時間へ、(8)の乾燥を250℃で1時間へ変更した以外は、実施例1と同じ条件で磁性粒子を製造した。
【0041】
[比較例1]
実施例1で錯化剤と酸化剤を使用しなかった以外は実施例1と同じ条件で、磁性粒子を製造した。
【0042】
磁性粒子の各種特性を整理すると次のとおりとなる。
【表1】
【0043】
表中の反応率は、基本的に下記式Aに従い算出し、実施例6、7、参考例1、2については、加温中のオートクレーブから部分的に内容物を取り出すことで磁性粒子を得たため、前駆体の全量が完全に反応した際のコバルトフェライト収量を分母とする式Aでは不適切である、という理由より式Bに従って算出した。
式A:フェライト前駆体の水熱処理によって実際に得られた粉体の質量/{仕込んだ原料中の鉄およびコバルトが全て反応した場合に得られるコバルトフェライト(CoFe(3-x))の理論的な質量}×100
式B:{1-(水熱処理終了後の水溶液中に溶存する鉄およびコバルトの質量濃度)/(水熱処理前のフェライト前駆体中の鉄およびコバルトの理論的な質量濃度)}×100
【0044】
実施例1~9は、いずれも錯化剤で安定化されたフェライト前駆体を加熱処理してフェライト粒子を形成しており、得られた粒子は平均粒子径が大きく、粒子径のばらつきの少ないフェライト粒子であった。CV値が0.15、0.17、0.16、0.21、0.23、0.24、0.22、0.20、0.20であるので、単分散粒子に近い粒子であった。一方、比較例1の条件で製造した場合には、平均粒子径が小さくばらつきの大きな粒子しか得られなかった。
【0045】
図1~9は実施例1~9の粉体試料のSEM写真であり、図10,11は参考例1、2の粉体試料のSEM写真であり、図12は比較例1の粉体試料のSEM写真である。製造したフェライト粒子の形状のSEM観察より、実施例1~7のフェライト粒子は丸みをおびている点で、図12の比較例1のフェライト粒子とは異なることが示された。
【0046】
実施例5の結果より、反応温度を200℃にすることにより、粉体試料の反応率が91.4%になることが示された。このことより、反応温度を190℃よりも高くすることにより、粉体試料の反応率が向上することが示された。
【0047】
参考例1,2の結果より、反応温度を300℃にすることにより、粉体試料の反応率が99.9%になることが示された。このことより、粉体試料の反応率を高めるには反応温度を300℃にすることが好ましいことが示された。一方、反応温度を300℃にすることにより、不純物が入ってくることが示された。これらより、純度と反応率のバランスを図る観点からは、反応温度は300℃未満であることが好ましいことが示された。また実施例7と参考例1の対比より、反応時間は260℃以下がより好ましいことが示された。
【0048】
得られた粒子の断面構造を確認するために透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行った。そして、種粒子なし粒子の代表例として、図13Aに実施例6の粉体の断面概念図を示し、種粒子ありの代用例として図13Bに実施例9の粉体の断面概念図を示す。
図13Aに示すように、粒子は、複数のナノ粒子からなるコア部と、表面に丸みを帯びた突部が連なるシェル部とを備えるコアシェル構造を有することが確認された。
図13Bに示すように、種粒子を用いて粒子を作製した場合、コア部は、複数のナノ粒子からなる海に複数の種粒子が浮かぶ、いわゆる海島構造を有することが確認された。
本明細書において、単に「粒子径」という場合は、図13Aの矢印Aで示されるように、コアシェル構造粒子の最外殻の直径を指すものとする。
【0049】
[実施例10](コバルトフェライト粒子の白色化)
脱イオン水19.8gに4塩化チタン溶液(16.0~17.0%asTi)2.2mL、アンモニア水5.84g、過酸化水素水10.0gを混合して黄色透明のペルオキソチタン酸溶液を作成した。脱イオン水535.81gに無水ホウ酸9.92g、塩化カリウ厶11.72g、水酸化ナトリウム2.55gを溶解し、実施例4で得られたフェライ卜粒子16.75gを懸濁した。懸濁液を撹拌しながらペルオキソチタン酸溶液を滴下混合し、その後に懸濁物の乾燥を行うことで、酸化チタン被覆粉末を得た。
脱イオン水26.56gにブドウ糖1.2g、酒石酸0.12g、エタノール2.12gを溶解して還元液を調製した。脱イオン水90gに水酸化ナトリウム1.25g、硝酸銀1.75g、アンモニア水3gを混合して銀アンミン錯体溶液を調製し、これに酸化チタン被覆粉末6.3gを懸濁した。懸濁液に超音波照射を行いながら還元液を混合し、懸濁物を乾燥して銀膜被覆粉体を得た。得られた白色粉体は、明度L*が79.98であった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の製造方法で得られたコバルトフェライト粒子は、丸みをおびた形状で粒子径がそろっているので、コピー用トナー、磁性インク、MR流体としての用途が期待される。
図1
図2
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図10
図11
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図13