(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138416
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】環境空気を処理するための空気処理システム、方法、車両、及び車群
(51)【国際特許分類】
G06F 9/50 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
G06F9/50 120A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023037366
(22)【出願日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】22162891
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】505229863
【氏名又は名称】マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コルチク、マルクス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】環境空気を処理する空気処理システム及び環境空気を処理する空気処理システムを備える車両を提供する。
【解決手段】車両1は、環境空気5を処理するための空気処理システム10と、空気処理システムを制御する制御回路20と、車両の外部のコマンドを無線で送受信する通信インタフェース30と、を備える。制御回路は、通信インタフェースを介して、処理のリクエストを受信し、空気処理システムが利用可能な追加処理能力を有するかを判定し、追加処理能力が利用可能である場合、通信インタフェースを介して、確認応答を送信し、かつ、処理能力を上げるために空気処理システムを制御する。また、2つ以上の車両の車群の車両は、互いに動作可能に通信し、第1の車両(要求車両)が、第2の車両(供給車両)に空気処理を提供するようリクエストし、第2の車両が、リクエストを受信し、処理能力を上げるために第2の車両の空気処理システムを制御する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境空気(5)を処理するための空気処理システム(10)であって、
制御回路(20)と、
車両(1)の外部のコマンドを無線で送受信するように構成され、前記制御回路(20)に動作可能に結合された通信インタフェース(30)と、を備え、
前記制御回路(20)は、
前記通信インタフェース(30)を介して、処理のリクエスト(RQST)を受信し(110)、
前記空気処理システムが利用可能な追加処理能力を有するかを判定し(120)、
追加処理能力が利用可能である場合、前記通信インタフェース(30)を介して、確認応答(ACK)を送信する(130)ように構成され、
前記制御回路(20)は、処理能力を上げるために前記空気処理システム(10)を制御する(140)ように更に構成される空気処理システム(10)。
【請求項2】
前記制御回路(20)は、
ローカル処理リクエストが満たされない場合に、処理要求があるかを判定し(202)、
処理要求がある場合、前記通信インタフェース(30)を介して、遠隔処理能力のリクエスト(RQST’)を送信し(210)、確認応答(ACK’)を受信する(230)ように更に構成される請求項1に記載の空気処理システム(10)。
【請求項3】
前記確認応答(ACK、ACK’)は、追加処理能力(CAP1)を示すデータを含む請求項1に記載の空気処理システム(10)。
【請求項4】
処理能力を上げることは、前記追加処理能力(CAP1)によって上げることである請求項1に記載の空気処理システム(10)。
【請求項5】
処理のリクエスト(RQST)を受信する(110)ことは、要求(DEM1)を示すデータを受信することを含み、
前記空気処理システムが利用可能な追加処理能力を有するかを判定する(120)ことは、前記追加処理能力(CAP1)が前記要求(DEM1)以上であるかを判定することを含む請求項1に記載の空気処理システム(10)。
【請求項6】
前記確認応答(ACK、ACK’)は、前記追加処理能力のコスト率を示すデータを含み、
前記制御回路(20)は、処理能力を上げるために前記空気処理システム(10)を制御する(140)前に、リクエスト確認(CONF)を受信する(135)ように更に構成される請求項1に記載の空気処理システム(10)。
【請求項7】
前記制御回路は、メモリ上に利用された前記追加処理能力を示すデータを提供するように更に構成される請求項1に記載の空気処理システム(10)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の環境空気(5)を処理するための空気処理システム(10)を備える車両(1)。
【請求項9】
2つ以上の車両(2、1’)の車群(50)であって、
各車両は、請求項1~8のいずれか一項に記載の環境空気(5)を処理するための空気処理システム(10)を備え、
前記2つ以上の車両(2、1’)は、互いに動作可能に通信可能であり、
前記2つ以上の車両(2、1’)のうち第1の車両(2)は、第2の車両(1’)に空気処理を提供するようリクエストするように構成され、前記第2の車両(1’)は、前記リクエストを受信し、処理能力を上げるために前記第2の車両(1’)の空気処理システムを制御するように構成される車群(50)。
【請求項10】
3つ以上の車両(2、1’、1”)を含み、
前記第1の車両(2)は、少なくとも前記第2の車両(1’)を含む複数の車両(1’、1”)に空気処理を提供するようリクエストするように構成され、前記複数の車両(1’、1”)の各車両は、前記リクエストを受信可能であり、処理能力を上げるためにそれぞれの空気処理システムを制御するように構成される請求項9に記載の車群(50)。
【請求項11】
環境空気を処理するための方法(100)であって、
供給車両(1’)の通信インタフェース(30)によって、処理のリクエスト(RQST)を受信するステップ(110)と、
前記供給車両(1’)の制御回路(20)によって、空気処理システム(10)が利用可能な追加処理能力を有することを判定するステップ(120)と、
前記供給車両(1’)の通信インタフェース(30)によって、前記供給車両(1’)から確認応答(ACK)を送信するステップ(130)と、
前記供給車両(1’)の制御回路(20)によって、処理能力を上げるために前記供給車両(1’)の空気処理システム(10)を制御するステップ(140)と、を含む方法。
【請求項12】
要求車両(2)によって、供給車両(1’)に空気処理のリクエスト(RQST’)を通信インタフェース(30)により送信するステップ(210)と、
前記要求車両(2)によって、前記供給車両(1’)から確認応答(ACK)を受信するステップ(230)と、を更に含む請求項11に記載の方法(100)。
【請求項13】
前記要求車両(2)によって、空気処理のリクエストを送信する(210)前に、満たされないローカル処理リクエストがあることを判定することで、処理要求があることを判定するステップを更に含む請求項12に記載の方法(100)。
【請求項14】
利用された前記追加処理能力を示すデータを提供するステップ(250)を更に含み、
前記データは、前記供給車両(1’)又は前記要求車両(2)のローカルメモリに記憶されるか、前記供給車両(1’)又は前記要求車両(2)から離れたサーバーに記憶される請求項11に記載の方法(100)。
【請求項15】
前記確認応答(ACK)は、追加処理能力(CAP1)を示すデータを含む請求項11に記載の方法(100)。
【請求項16】
処理能力を上げるために前記空気処理システム(10)を制御するステップ(140)は、前記追加処理能力(CAP1)による請求項15に記載の方法(100)。
【請求項17】
処理のリクエストを受信するステップ(110)は、要求(DEM1)を示すデータを受信することを含み、
前記空気処理システム(10)が利用可能な追加処理能力を有することを判定するステップ(120)は、前記追加処理能力(CAP1)が前記要求(DEM1)以上であることを判定することを含む請求項11に記載の方法(100)。
【請求項18】
処理能力を上げるために前記空気処理システム(10)を制御するステップ(140)の前に、リクエスト確認(CONF)を受信するステップを更に含む請求項11に記載の方法(100)。
【請求項19】
処理は濾過を含み、処理することは濾過することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の空気処理システム(10)、請求項8に記載の車両(1)、請求項9又は10に記載の車群(50)、又は請求項11~18のいずれか一項に記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一態様は、環境空気を処理するための空気処理システムに関する。本開示の別の態様は、環境空気を処理するための空気処理システムを備える車両に関する。本開示の別の態様は、2つ以上の車両の車群に関する。本開示の別の態様は、環境空気を処理するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
都市化の進展に伴い、産業廃棄物、道路交通、家庭用の炉により、特に特定の気象条件(雨が降らない、逆転現象、低風速、高度間の空気交換がない)で、大気が粒子状物質やオゾン、NOx、COなどのガスの規制値を何度も超えてしまう問題がある。
【0003】
近年、交通関連排出ガスの問題は、NOxや特定物質の排出により大気汚染が特に激しい地域で、特定の車両群、特にディーゼル車の運転禁止を求める声により深刻化している。独国実用新案第202006019335号明細書では、内燃機関の正味の排出量を削減するために大気濾過が提案されているが、空気処理能力に制限があるエアフィルタを内燃機関に搭載する必要がある。
【0004】
したがって、空気清浄を改善するために課題が残されている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様は、環境空気を処理するための空気処理システムであって、車両に設置される及び/又は車両の一部として構成される空気処理システムに関する。本開示の一態様は、空気処理システムを備える車両に関する。空気処理システムは、空気処理システムを制御する制御回路を備え得る。空気処理システム又は車両は、車両の外部のコマンドを無線で送受信するように構成され、制御回路に動作可能に結合された通信インタフェースを更に備え得る。制御回路は、通信インタフェースを介して、処理のリクエストを受信するように構成され得る。制御回路は、空気処理システムが利用可能な追加処理能力を有するかを判定するように構成され得る。制御回路は、追加処理能力が利用可能である場合、通信インタフェースを介して、確認応答を送信するように構成され得る。制御回路は、処理能力を上げるために空気処理システムを制御するように更に構成され得る。様々な実施形態によると、処理は濾過を含み、処理することは濾過することを含む。
【0006】
様々な実施形態によると、制御回路は、ローカル処理リクエストが処理システムによって満たされない場合に、処理要求があるかを判定するように更に構成され得る。制御回路は、処理要求がある場合、通信インタフェースを介して、遠隔処理能力のリクエストを送信し、確認応答を受信するように更に構成され得る。制御回路は、利用された追加処理能力を示すデータをメモリ上に提供する(例えば、記録する)ように更に構成され得る。例えば、メモリは、Dフリップフリップなどに基づく、情報を記憶することができる任意の電子回路、及び/又は、フラッシュメモリとして実装される。例えば、メモリは、これらに限定されないが、ローカルメモリ、リモートメモリ、キャッシュ、汎用レジスタ、通信インタフェースのレジスタ、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0007】
様々な実施形態によると、総処理をメモリに記録してもよく、例えば、全処理能力が利用される場合、総処理は、ローカル処理能力と1つ以上の追加処理能力との合計であってもよい。本明細書において、また、様々な実施形態によると、(例えば追加処理能力における)追加処理は、遠隔処理を意味し得る。
【0008】
様々な実施形態によると、確認応答は、リクエストされた追加処理能力が利用可能であることを示し、及び/又は、確認応答は、利用可能な追加処理能力を示すデータを含み得る。
【0009】
様々な実施形態によると、処理能力を上げることは、追加処理能力によって処理能力を上げることを意味し得る。追加処理能力が現在のリクエストに関連して完全に利用される場合、総処理は、ローカル処理能力と追加処理能力との合計としてメモリに記憶され得る。いくつかの実施形態では、様々な実施形態による空気処理システム及び/又は方法は、確認応答時に追加処理能力が完全に利用されるように構成され得る。
【0010】
様々な実施形態によると、処理のリクエストを受信することは、本明細書において処理要求、又は単に要求と称される、必要とされる能力を示すデータを受信することを含み得る。様々な実施形態によると、空気処理システムが利用可能な追加処理能力を有するかを判定することは、追加処理能力が要求以上であるかを判定することを含み得る。例えば、能力は、制御回路によって使用される「ハートビート」クロック等によって提供される所定の時間スロットあたりの能力であり、この能力は、既知であってもよく、予め決められていてもよく、及び/又は要求車両に送られ得る。別のタイミングを使用してもよく、例えば通信ハンドシェイク時に、処理の時間枠を決定してもよい。
【0011】
様々な実施形態によると、確認応答は、追加処理能力のコスト率を示すデータを含み得る。制御回路は、処理能力を上げるために空気処理システムを制御する前に、リクエスト確認を受信するように更に構成され得る。任意に、リクエスト確認は、マイクロトランザクション(マイクロペイメントなど)又はマイクロペイメント表示データを含んでもよい。マイクロペイメントは、例えば、空気処理のためのエネルギー支出、及び/又は、汚染に関連するコストと相関する。様々な実施形態によると、処理は濾過を含み、処理することは濾過することを含む。
【0012】
本開示の一態様は、様々な実施形態による2つ以上の車両の車群に関する。2つ以上の車両は、互いに動作可能に通信可能に構成され得る。第1の車両(要求車両とも称される)は、第2の車両(供給車両とも称される)に空気処理を提供するようリクエストするように構成され、第2の車両は、リクエストを受信し、処理能力を上げるために第2の車両の空気処理システムを制御するように構成され得る。様々な実施形態によると、処理は濾過を含み、処理することは濾過することを含む。いくつかの実施形態では、要求車両及び供給車両は、1つ以上の移動データ、例えば、ルーティング又は速度ベクトルを通信する。これらは、第1の車両を中心とする円の半径や第1の車両が所定の時間内に通過した又は通過する領域などの、第1の車両の所望の領域内の第2の車両の距離又は重複を求めるために役立つ。例えば、供給車両における距離を求めるため、要求車両の移動データを供給車両に送信してもよく、要求車両における距離を求めるため、供給車両の移動データを要求車両に送信してもよく、及び/又は、距離を求めるため、供給車両及び要求車両の移動データを両方の車両の外部のプロセッサ(例えば、クラウド又は別の車両)に送信してもよい。
【0013】
本明細書において、また、様々な実施形態によると、第1の車両と第2の車両、あるいは上記2つ以上の車両以外の更なる車両は、必ずしもそれらが同型や同社に属するからではなく、空気処理のため共に動作可能であるという事実により、車群とみなされる。例えば、他の車両は、ローカルな交通の一部であっても、車群の一部ではない場合がある。
【0014】
様々な実施形態によると、車群は3つ以上の車両を含み、第1の車両は、少なくとも第2の車両を含む複数の車両に空気処理をリクエストするように構成され、複数の車両の各車両は、リクエストを受信して処理能力を上げるためにそれぞれの空気処理システムを制御するように構成され得る。
【0015】
本開示の一態様は、環境空気を処理するための方法に関する。本方法は、供給車両の通信インタフェースによって、要求車両から、処理のリクエストを受信するステップを含み得る。様々な実施形態によると、処理のリクエストは、所定の距離、時間、速度ベクトル、又はそれらの組み合わせを含み得る。本方法は、供給車両の制御回路によって、空気処理システムが利用可能な追加処理能力を有することを判定するステップを更に含み得る。本方法は、供給車両の通信インタフェースによって、供給車両から確認応答を送信するステップを更に含み得る。本方法は、供給車両の制御回路によって、処理能力を上げるため、供給車両の空気処理システムを制御するステップを更に含み得る。本明細書において、また、様々な実施形態によると、空気処理システムを制御することは、空気処理システムを動作させるという意味を含み得る。
【0016】
様々な実施形態によると、本方法は、要求車両によって、供給車両に空気処理のリクエストを通信インタフェースにより送信するステップを更に含み得る。本方法は、要求車両によって、供給車両から確認応答を受信するステップを更に含み得る。
【0017】
様々な実施形態によると、本方法は、要求車両によって、空気処理のリクエストを送信する前に、処理システムによって満たされないローカル処理リクエストがあることを判定することで、空気処理要求があることを判定するステップを更に含み得る。ここでは、「ローカル」という用語は、要求車両からを意味する。
【0018】
様々な実施形態によると、本方法は、供給車両のローカルメモリ上に、利用された追加処理能力を示すデータを提供する(例えば、記録する)ステップを更に含み得る。例えば、メモリは、Dフリップフリップなどに基づく、情報を記憶することができる任意の電子回路、及び/又は、フラッシュメモリとして実装される。例えば、メモリは、これらに限定されないが、ローカルメモリ、リモートメモリ、キャッシュ、汎用レジスタ、通信インタフェースのレジスタ、又はそれらの組み合わせであってもよい。様々な実施形態によると、確認応答は、追加処理能力を示すデータを含み得る。
【0019】
様々な実施形態によると、処理能力を上げるために空気処理システムを制御することは、追加処理能力によって処理能力を上げるという意味を含み得る。
【0020】
様々な実施形態によると、処理のリクエストを受信するステップは、要求を示すデータを受信することを含み得る。空気処理システムが利用可能な追加処理能力を有することを判定するステップは、追加処理能力が要求以上であることを判定することを含み得る。
【0021】
様々な実施形態によると、本方法は、処理能力を高めるために空気処理システムを制御する前に、任意でマイクロトランザクション(マイクロペイメントなど)又はマイクロペイメント指示データを含む、リクエスト確認を受信するステップを更に含み得る。確認応答は、追加処理能力のコスト率を示すデータを含み得る。
【0022】
様々な実施形態によると、本方法は、供給車両から、利用された追加処理能力を示すデータを送信するステップを含み得る。
【0023】
様々な実施形態によると、本方法は、要求車両によって、利用された追加処理を示すデータを受信するステップを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】様々な実施形態による、環境空気5を処理するための空気処理システム10を備える車両を示す図である。
【
図1B】様々な実施形態による、環境空気を処理するための方法100を示す図である。
【
図2】いくつかの実施形態による方法200の説明図である。
【
図3】いくつかの実施形態による方法100の例を示す図である。
【
図4】いくつかの実施形態による方法100の例を示す図である。
【
図5】いくつかの実施形態による車両の車群を説明するための図である。
【
図6】いくつかの実施形態による環境空気を処理する方法が、要求側と供給側とで同時に実行され得ることを示す図である。
【
図7】いくつかの実施形態による車両の車群を説明するための図である。
【
図8】いくつかの様々な実施形態による車両1、2、3を含む車群の概略上面図である。
【
図9】様々な実施形態による車両1’及び2を含む車群の概略図である。
【
図10】様々な実施形態による環境空気を浄化するための空気処理システム10の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
様々な実施形態によると、車両は、空気処理システムを備える。本明細書において、また、様々な実施形態によると、環境空気という用語は、車両の客室の外部にある空気、例えば、車両の周囲空気とも称される環境空気を指し、空気処理システムによる空気処理中に車両を通過することができる。
【0026】
車両は、例えば2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の車輪を有する、モータ駆動の車両であってもよい。車両の例としては、乗用車、トラック、バス、ローリー、又は鉄道車両、例えば機関車が挙げられる。車両は、空気の侵入を可能にするため、空気処理システムの上流側(例えば、前部領域)に空気入口開口部と、空気の排出を可能にするため、空気処理システムの下流側に空気出口とを含み得る。後方に大気浄化装置が存在する空気入口開口部は、特に、冷却空気入口開口部であってよく、例えば、ラジエータグリルによって覆われていてよい。例えば、これは、車両の垂直軸に関してフロントヘッドライトと同じ高さにあってもよく、これらの下方又は上方に位置してもよい。空気入口開口部の断面積は、可能な限り大きな空気量を供給できるように、可能な限り大きくすることができる。いくつかの実施形態において、車両は、電気自動車又はハイブリッド(内燃機関及び電気)車であってもよい。いくつかの実施形態では、車両は、内燃機関(ICE)車(すなわち、非ハイブリッド)であってもよい。例えば、このようなICE車両のバッテリは、比較的大きな容量を有し、オルタネータによって充電されていない場合であっても、大きなドレインなしに長時間(例えば、1h以上)ファンを作動させることができる。いくつかの実施形態において、車両は内燃機関を備え、(高温側からの)冷却流体温度は、エンジン温度の表現として使用され得る。いくつかの実施形態では、車両は燃料電池を備え、(高温側からの)冷却流体温度は、燃料電池温度の表現として使用され得る。いくつかの実施形態では、車両はバッテリを備え、バッテリの温度を制御するための(冷却流体を含む)熱交換システムが想定され得る。
【0027】
様々な実施形態によると、送風機は、ファンであってもよい。ファンは、電気ファンであってもよい。様々な実施形態によると、ファンは、ファンの動作が空気流(例えば、体積空気流m3/s又は質量空気流kg/s)を変えることができる速度範囲である、ファン影響速度範囲内で動作する(当該範囲外では動作しない)。言い換えれば、ファン影響速度範囲外(ファンの影響を受けない速度範囲内)では、空気流量は実質的に車速によって決定され、ファンの動作によって変化することはない。このように、ファン影響速度範囲外でファンを動作させないことで、エネルギーを節約することができる。ファン影響速度範囲及び非ファン影響速度範囲は、ファンをその最大公称動作速度で回転させた状態で、異なる車両速度に対する気流速度を測定することによって求めることができる。このような測定は、風(すなわち、測定に影響を与える外部風)がなく、悪天候のない既知の温度、例えばT=30℃で実施することができる。これらの測定により、車両の種類及び/又は空気処理システムの種類に固有のファン影響閾値を求めることができる。様々な実施形態によると、ファン影響速度範囲は、0km/hからファン影響閾値までであり、非ファン影響速度範囲は、ファン影響閾値を超える速度以上である。測定は、特定の車種及び特定のファン種について行われてもよい。測定結果は、後でアクセスできるように車両のメモリ(ここでは車両のコンピュータメモリとも称する)に記憶されてもよく、例えば、測定結果は、所定のファン影響閾値、ファン影響速度範囲、又は非ファン影響速度範囲として処理された形式で記憶されてもよい。所定のファン影響閾値は、任意でヒステリシスを含む単一の値であってよい。あるいは、所定のファン影響閾値は、車速の変化方向(加速又は減速)に応じた異なる値であってもよく、及び/又は、ヒステリシスによってオフセットされてもよい。ヒステリシスは、後でアクセスできるように車両のメモリに記憶されてもよい。
【0028】
様々な実施形態によると、制御回路は、ECUでもよく、ECUの一部であってもよいが、本開示はこれに限定されない。また、制御回路は、ECUと動作可能に接続される別個の回路であってもよい。別の代替案では、制御回路は、別個の回路とECUとを含んでよく、別個の回路は、ECUと動作可能に接続可能である。同様に、メモリは、上記のデバイスのうちの1つに存在してもよいし、2つ以上に分散して存在してもよい。動作可能に接続可能とは、CANバスなどのデータ通信バスを介して接続可能という意味を含み得る。
【0029】
様々な実施形態によると、制御回路は、例えばフィルタなどの空気処理手段の上流側で、車両に組み込まれた(例えば、固定された)センサから、データを受信することにより、気象データ、空気品質、及び/又は空気温度を取得することができる。センサは、空気温度、空気品質データ、空気相対湿度のうちの1つ又は両方を測定するように構成され得る。また、雨センサは、雨の情報を提供することができる。
【0030】
様々な実施形態によると、空気品質データは、PM10濃度、PM2.5濃度、PM1濃度、相対湿度、VOC濃度、NOX濃度のうちの1つ以上を含んでもよい。様々な実施形態において、空気品質データは、少なくとも1つの粒子状物質濃度の測定値を含んでもよい。
【0031】
車両のセンサからデータを得ることに代わって又は加えて、上記データ(又はその一部)は、(例えば、無線通信を介して)車両の外部の気象データベース、例えばクラウドから得ることもできる。このような気象データベースは、例えば、気象サービスプロバイダによって提供されるような気象データベースであってもよい。無線通信は、限定されないが、セルラーインフラ(3G、4G、5G、6G以上)及び/又はWIFIにより提供され得る。気象データベースは、悪天候イベントを表すデータ及び/又は大気質データなどの情報を提供し得る。
【0032】
本明細書において、また、様々な実施形態によると、悪天候イベントは、雪、雨、砂嵐、火山灰降下のうちの少なくとも1つを意味し得る。
【0033】
種々の実施形態によると、空気処理システムは、処理手段としてフィルタを含む濾過システムであってもよい。フィルタは、例えば、PM10以上の粒子、PM2.5以上の粒子、又はPM1以上の粒子を濾過する(通過させない)粒子フィルタであってもよい。フィルタは、微粉塵フィルタであってもよい。
【0034】
様々な実施形態によると、フィルタは、少なくとも1つのフィルタベローズに折り畳まれる少なくとも1つの濾材を含む少なくとも1つの濾過要素を有する。フィルタは、フィルタベローズを支持し、例えば150mm以下及び15mm以上、例えば70mmの横方向距離で互いに離間する複数の折り畳み安定化手段を含んでもよい。濾材は、1Nm2以上、例えば2Nm2以上の固有曲げ剛性を有するように構成されてもよい。これは、濾材の固有曲げ剛性、すなわち、未加工又は折り畳まれていない状態での固有曲げ剛性を指す。フィルタは、プリーツ安定化手段を含んでもよい。濾過装置は、1つの水分離装置を含んでもよい。
【0035】
様々な実施形態によると、車両の長手方向における濾過要素の深さは、150mm未満、例えば110mm未満である。深さは、そうでない場合は使用可能なフィルタ面積が非常に小さくなるため、好ましくは15mm未満である。本願の一実施形態において、大気浄化装置の流入面の寸法は、例えば、典型的な中型乗用車の場合、45cm(高さ)×65cm(幅)である。しかしながら、車両の大きさに応じて、この範囲から大幅な逸脱が可能であり、幅20cm~120cm、高さ15cm~100cmの範囲の寸法が原則的に可能である。
【0036】
様々な実施形態によると、大気浄化装置の濾過要素の濾材は、単層又は多層濾材であり、耐水性であってもよい。これは、少なくとも1つの排水層及び/又は1つの前分離層を含む多層濾材であってもよい。これに代わって又はこれに加えて、濾材は、ガラス繊維及び/又はプラスチック繊維、特にポリエステル及び/又はポリエチレンを含んでもよく、これらから構成されてもよい。さらに、濾材は、厚さ方向に、好ましくは気流方向に孔径が減少するような多孔度勾配を有するように構成されてもよい。
【0037】
様々な実施形態によると、濾過要素の設計(体積流量圧力損失特性)に応じて、ファンとの組み合わせで、大気清浄装置によって車両の微粉塵排出を完全に補償することで、粉塵に関して、例えばPM10又はPM2.5に関して、ゼロエミッション車とすることができる。典型的な中型乗用車の場合、粒子状物質の総排出量は約25mg/kmである。
【0038】
様々な実施形態によると、フィルタは、フィルタフレーム、例えば、濾過要素(例えば、フィルタベローズ)が収容される少なくとも部分的に円周状のフレームを含んでもよい。一例では、フレームはL字型断面形状を有し、例えば、フレームのL字型断面の1つの脚部が濾過要素のフィルタベローズに係合することで、動圧の影響に対抗してこれを支持するように構成されてもよい。フィルタは、2つ以上の濾過要素を含んでもよく、濾過要素は、単一のフィルタフレームに配置(例えば、固定)されてもよく、あるいは、各濾過要素は、フィルタフレームの別々のフレーム要素に配置されてもよい。
【0039】
様々な実施形態によると、濾過要素は、特に、プラスチック成形された濾過要素を含むか又はプラスチック成形された濾過要素であり、少なくとも部分的に円周状のフレームは、材料間結合によって濾材に接続することができる。しかしながら、本発明は材料結合に限定されず、濾材のフレームへの材料結合の代わりに、濾過要素をフレームに単に挿入し、フォームフィット方式でL字型の後脚部に支持されるように構成してもよい。
【0040】
様々な実施形態によると、フィルタは、収容部に配置される(配置可能である)。収容部は、車両に固定されてもよく、フィルタのフレームに対応してもよく、その内部に、任意に着脱可能な締結手段、例えばクリップ接続によって、フィルタが保持される。収容部は、少なくとも1つの濾過要素が直線的に挿入される取り付けシャフトとして機能するように更に構成されてもよい。これにより、例えば、フロントフードのロックキャリアの上側から、又は、昇降台での整備中に容易にアクセスできる下部側から、濾過要素を容易に交換することが可能となる。
【0041】
いくつかの実施形態では、フィルタが、熱交換器の入射流面の75%以下を覆うように熱交換器に対して配置され、これにより、濾過要素が搭載されていても十分な残留熱放散が可能であるように構成される。これを実現するため、濾過要素は、車両の縦方向及び/又は横方向について熱交換器からオフセットして配置されてもよい。熱放射器の非被覆部分は、開閉可能なバイパスを形成してもよい。他の実施形態では、バイパスは、熱交換器の表面から独立した開閉可能な空気通路であってもよく、バイパスが開状態である場合に、フィルタが搭載されていても、空気が熱交換器を流通可能であるように、フィルタと熱交換器とが十分に大きい距離で互いに離間していてもよい。
【0042】
本明細書において、また、様々な実施形態によると、必要とされる能力(capacity)は要求(demand)とも呼ばれ、その逆もまた然りである。要求は、車両排出量、例えば、当技術分野で知られているように、エンジン、燃料パラメータ、フィルタ状態、触媒装置状態のうちの1つ以上に基づいて測定又は計算される現在の車両排出量から求めることができる。
【0043】
本明細書において、また、様々な実施形態によると、能力は、フィルタ状態及びフィルタパラメータに基づいて決定することができる。例えば、フィルタ状態は、フィルタの使用履歴及び/又は較正データに基づいて決定することができる。これに代わって又はこれに加えて、能力は、センサにより、例えば濾材にわたる圧力差測定値により決定することができ、較正曲線に基づいて濾過能力を求めることができる。濾過能力を求めるための他の方法は、当業者に知られている。
【0044】
いくつかの実施形態が車両に関連して説明されるが、実施形態は、車両で使用するのに適した、例えば、車両に設置される及び/又は車両の一部となる空気処理システムについて詳述及び説明する。
【0045】
図1A及び
図1Bは、環境空気5を処理するための空気処理システム10を備える車両1及び環境空気を処理するための方法100を示す。車両は、空気処理システム10を制御する制御回路20を更に備え、制御回路20は、空気処理システム10の外部に設けられてもよいし、空気処理システム10によって構成されてもよい。車両は、車両1の外部のコマンドを無線で送受信するように構成され、制御回路20に動作可能に結合された通信インタフェース30を更に備え得る。通信インタフェース30は、空気処理システム10の外部に設けられてもよいし、空気処理システム10によって構成されてもよい。制御回路20は、通信インタフェース30を介して、処理のリクエストRQSTを受信110するように構成され得る。制御回路20は、空気処理システムが利用可能な追加処理能力を有するかを判定120するように構成され得る。制御回路20は、追加処理能力が利用可能である場合、通信インタフェース30を介して、確認応答ACKを送信130するように構成され得る。制御回路20は、処理能力を上げるために空気処理システム10を制御140するように更に構成され得る。様々な実施形態によると、処理は濾過を含み、処理することは濾過することを含む。
【0046】
様々な実施形態によると、また、方法200について説明する
図2を参照すると、制御回路20は、ローカル処理リクエストが空気処理システムによって満たされない場合に、処理要求があるかを判定202するように構成され得る。制御回路20は、処理要求がある場合、通信インタフェース30を介して、遠隔処理能力のリクエストRQST’(又は単に処理能力のリクエストと称する)を送信210し、確認応答ACK’を受信230するように更に構成され得る。制御回路20は、利用された追加処理能力を示すデータをメモリ上に提供250する(例えば、記録する)ように更に構成され得る。上記データは、例えば、ローカル処理能力及び遠隔処理能力の合計であってもよい。一例では、メモリは、制御ユニットのメモリ又は制御ユニットに接続されたメモリなど、車両内のローカルメモリであってもよい。いくつかの実施形態では、制御回路20は、利用された追加処理能力を示すデータを、例えば供給車両から受信するように更に構成され得る。したがって、方法100は、利用された追加処理能力を示すデータを送信することを更に含み得る。また、方法200は、利用された追加的処理を示すデータを受信することを更に含み得る。
【0047】
様々な実施形態によると、メモリは、Dフリップフリップなどに基づく、情報を記憶することができる任意の電子回路、及び/又は、フラッシュメモリとして実装される。様々な実施形態によると、メモリは、これらに限定されないが、ローカルメモリ、リモートメモリ、キャッシュ、汎用レジスタ、通信インタフェースのレジスタ、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態によると、制御ユニットは、例えば、フィルタ効率、フィルタ負荷のレベル、及び空気品質データ(例えば、供給車両の位置に対する粒子状物質の測定値を含む)に基づき、様々なパラメータに従って、要求に対して空気処理を実行可能であることを判定する。
【0049】
様々な実施形態によると、車両は、遠隔処理をリクエストする方法(例えば、200)を実行するように構成され且つ実行可能な要求車両として構成されてもよく、処理のリクエストを受信して処理を実行する方法(例えば、100)を実行するように構成され且つ実行可能であってもよく、両方の方法を実行するように構成され且つ実行可能であってもよい。このように、車両は、必要に応じて、ある時は要求車両として、別の時には供給車両として機能することができる。
【0050】
様々な実施形態によると、確認応答ACK、ACK’は、追加処理能力CAP1を示すデータを含み得る。様々な実施形態によると、処理能力を上げることは、追加処理能力CAP1によって処理能力を上げることを意味し得る。
【0051】
様々な実施形態によると、制御回路は、空気処理の要求があることを判定するように構成され且つ判定可能である。このような判定は、異なる要因によるものであってもよい。例えば、車両の正味の排出区分は、その微粉塵大気フィルタが働いていることを要するが、微粉塵大気フィルタがほぼ満杯の状態である可能性があるため、遠隔空気処理を活用することでフィルタの寿命を延ばすことができる。
【0052】
様々な実施形態によると、処理のリクエストRQSTを受信110することは、要求DEM1(すなわち、必要とされる能力)を示すデータを受信することを含み得る。空気処理システムが利用可能な追加処理能力を有するかを判定120することは、追加処理能力CAP1が要求DEM1以上であるかを判定することを含み得る。
【0053】
例示のために、
図3を参照して説明する。供給車両は、処理能力のRQSTを受信110する。例えば、車群の要求車両は、空気処理の要求があることを判定202し、供給車両に処理能力のリクエストRQSTを送信210する。このリクエストは、要求DEM1、例えば、供給車両のフィルタによって保持される粒子の質量を含んでもよい。供給車両は、例えば、供給車両の能力CAP1が要求DEM1以上である場合、要求に対して空気処理を実行可能であると判定120する。判定後、供給車両は、確認応答ACKを(例えば、要求車両に)送信130し、空気処理の実行140を開始する。あるいは、供給車両は、判定後、確認応答ACKを(例えば、要求車両に)送信130し、確認CONFを受信135するのを待ち、確認CONFを受信135した後にのみ空気処理の実行140を開始してもよい。この例は、限定的なものではなく、任意の変更が可能であり、例えば、供給車両がその状態データを要求車両に送信し、要求車両が、供給車両が要求に対して十分な能力を有するかの判定を行ってもよいことが理解される。また、判定の一部は、車両の外部で、例えば、両方の車両が通信するクラウドで実行されてもよい。
【0054】
様々な実施形態によると、処理のリクエストRQSTを受信110することは、要求DEM1(すなわち、必要とされる能力)を示すデータを受信することを含み得る。空気処理システムが利用可能な追加処理能力を有するかを判定120することは、追加処理能力CAP1が要求DEM1以上であるかを判定することを含み得る。例えば、能力は、制御回路によって使用される「ハートビート」クロック等によって提供される所定の時間スロットあたりの能力であり、この能力は、既知であってもよく、予め決められていてもよく、及び/又は要求車両に送られ得る。別のタイミングを使用してもよく、例えば通信ハンドシェイク時に、処理の時間枠を決定してもよい。
【0055】
例示のために、
図4を参照して説明する。供給車両は、処理能力のRQSTを受信110する。例えば、車群の要求車両は、空気処理の要求DEM1があることを判定202し、供給車両に処理能力のリクエストRQSTを送信210する。供給車両は、例えば、供給車両のフィルタによって保持される粒子の質量について、ゼロより大きい能力CAP1があるかを判定120する。判定後、供給車両は、能力CAP1を含む確認応答ACKを(例えば、要求車両に)送信130する。供給車両は、確認CONFを受信してもよく、例えば、要求車両は、CAP1を要求と比較し、CAP1を使用できるか(例えば、要求又は要求の一部をカバーするのに十分であるか、CAP1≧DEM1?)を判定し、供給車両に確認CONFを送信する。確認CONFを受信した後、供給車両は、空気処理の実行140を開始する。この例は、限定的なものではなく、任意の変更が可能であり、例えば、供給車両がその状態データを要求車両に送信し、要求車両が、供給車両が要求に対して十分な能力を有するかの判定を行ってもよいことが理解される。また、判定の一部は、車両の外部で、例えば、両方の車両が通信するクラウドで実行されてもよい。別の変形例では、供給車両は、受信したリクエストの種類又は形式に応じて異なる方法を実行するように構成されてもよい。例えば、供給車両は、空気処理のリクエストRQSTを受信し、リクエストが要求データを含まない場合、供給車両は利用可能な能力を送信し、リクエストが要求データを含む場合、供給車両は能力≧要求の判定を行い、判定が正であれば確認応答ACKのみを送信し、また、任意に能力<要求の部分確認応答を送信してもよい。要求車両が能力をリクエストするのには様々な理由があり、第1の理由が限られた能力を必要とする一方で、第2の理由は任意の利用可能な能力を必要とする可能性があるため、これにより、柔軟な対応が可能になる。このように、方法と制御回路が多様なリクエストを受け入れることで、全体的な空気処理を改善することができる。
【0056】
いくつかの実施形態によると、確認応答ACK、ACK’は、追加処理能力のコスト率を示すデータを含み得る。様々な実施形態によると、制御回路20は、処理能力を上げるために空気処理システムを制御140する前に、リクエスト確認CONFを受信135するように更に構成され得る。確認は、マイクロトランザクション(マイクロペイメントなど)又はマイクロペイメント表示データを含んでもよい。
【0057】
図5は、例示のため、いくつかの実施形態による車両の車群を示す。様々な実施形態は、様々な実施形態による2つ以上の車両2、1’の車群50に関する。2つ以上の車両2、1’は、互いに動作可能に通信可能に構成され得る。第1の車両2(要求車両)は、第2の車両1’(供給車両)に空気処理を提供するようリクエストするように構成され、第2の車両1’は、様々な実施形態に従って、リクエストを受信し、処理能力を上げるために第2の車両1’の空気処理システムを制御するように構成され得る。
【0058】
様々な実施形態によると、車群50は3つ以上の車両2、1’、1”を含み、第1の車両2は、少なくとも第2の車両1’を含む複数の車両1’、1”に空気処理をリクエストするように構成され、複数の車両1’、1”の各車両は、様々な実施形態に従って、リクエストを受信して処理能力を上げるためにそれぞれの空気処理システムを制御するように構成され得る。これにより、車両1’、1”は、第1の車両2からの正味の排出量を補うことができる。(例えば、本開示に従って構成されていない)他の車両は、ローカルな交通の一部であっても、車群の一部ではない場合がある。
【0059】
図1B、
図2、
図3、
図4は、(これに限定されないが)主に要求車両と供給車両のどちらかの説明に重点を置いているが、
図6は、環境空気の処理方法を要求側と供給側で併行して実行する方法を説明するために使用される。
【0060】
本開示の一態様は、環境空気を処理するための方法100に関する。様々な実施形態によると、方法100は、要求車両2によって、供給車両1’に空気処理のリクエストRQST’を通信インタフェース30により送信210することを更に含み得る。方法100は、供給車両1’の通信インタフェース30によって、要求車両2から、処理のリクエストRQSTを受信110することを含み得る。方法100は、供給車両1’の制御回路20によって、空気処理システム10が利用可能な追加処理能力を有することを判定120することを更に含み得る。方法100は、供給車両1’の通信インタフェース30によって、供給車両1’から確認応答ACKを送信130することを更に含み得る。方法100は、要求車両2によって、供給車両1’から確認応答ACKを受信230することを更に含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、要求車両2によって、確認CONFを送信235することと、供給車両1’によって、確認CONFを受信135することと、を含み得る。このような更なるステップにより、例えば、ACKとともに利用可能な能力を送信することが可能であり、供給車両1’はその利用可能な能力の使用を確認する選択肢を有する。方法100は、供給車両1’の制御回路20によって、処理能力を上げるため、供給車両1’の空気処理システム10を制御140することを更に含み得る。空気処理システム10の制御140は、空気処理システムを動作させることを含み得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、要求車両2及び供給車両1’は、1つ以上の移動データ、例えば、ルーティング又は速度ベクトルを通信する。これらは、第1の車両を中心とする円の半径や第1の車両が所定の時間内に通過した又は通過する領域などの、第1の車両の所望の領域内の第2の車両の距離又は重複を求めるために役立つ。例えば、供給車両1’における距離を求めるため、要求車両2の移動データを供給車両1’に送信してもよく、要求車両2における距離を求めるため、供給車両1’の移動データを要求車両2に送信してもよく、及び/又は、距離を求めるため、供給車両1’及び要求車両2の移動データを両方の車両の外部のプロセッサ(例えば、クラウド又は別の車両)に送信してもよい。
【0062】
様々な実施形態によると、方法100は、要求車両2によって、空気処理のリクエストを送信210する前に、処理システムによって満たされないローカル処理リクエストがあることを判定することで、空気処理要求があることを判定することを更に含み得る。ここでは、「ローカル」という用語は、要求車両2からを意味する。
【0063】
様々な実施形態によると、方法100は、供給車両1’のローカルメモリ上に、利用された追加処理能力を示すデータを記録250することを更に含み得る。様々な実施形態によると、確認応答ACKは、追加処理能力CAP1を示すデータを含み得る。様々な実施形態によると、処理能力を上げるために空気処理システム10を制御140することは、追加処理能力CAP1によって処理能力を上げるという意味を含み得る。様々な実施形態によると、処理のリクエストを受信110することは、要求DEM1(すなわち、必要とされる能力)を示すデータを受信することを含み得る。空気処理システムが利用可能な追加処理能力を有するかを判定120することは、追加処理能力CAP1が要求DEM1以上であることを判定することを含み得る。
【0064】
様々な実施形態によると、方法100は、処理能力を高めるために空気処理システムを制御140する前に、任意でマイクロトランザクション(マイクロペイメントなど)又はマイクロペイメント指示データを含む、リクエスト確認CONFを受信することを更に含み得る。確認応答ACKは、追加処理能力のコスト率を示すデータを含み得る。
【0065】
図7は、例示のため、様々な実施形態による車両の車群を示す。様々な実施形態は、様々な実施形態による2つ以上の車両2、1’、1”の車群50に関する。2つ以上の車両2、1’、1”は、互いに動作可能に通信可能に構成され得る。いくつかの実施形態では、2つ以上の車両2、1’、1”は、車両間通信VVを介して、例えば直接(車両外部のトランスポンダ又はトランシーバを用いず)互いに通信可能である。これに代わって又はこれに加えて、2つ以上の車両2、1’、1”は、車両外部のインフラ、例えば衛星(車両衛星通信VS)、携帯電話ネットワークVT、トランスポンダ、トランシーバ、又はそれらの組み合わせを介して互いに通信してもよく、例えば、通信は更にサーバ、例えばクラウドを経由してもよい。
【0066】
様々な実施形態によると、直接的(車両間)又は間接的(例えば、インフラを介した)な2つの車両間の通信は、これらに限定されないが、以下の無線通信技術及び/又は規格のいずれか1つ以上によって提供され、1つ以上に従って動作し得る:移動通信用グローバルシステム(GSM:Global System for Mobile Communications)無線通信技術、汎用パケット無線サービス(GPRS:General Packet Radio Service)無線通信技術、GSM進化型高速データレート(EDGE:Enhanced Data Rates for GSM Evolution)無線通信技術、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)無線通信技術、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS:Universal Mobile Telecommunications System)、FOMA(Freedom of Multimedia Access)、3GPP LTE(Long
Term Evolution)、3GPP LTE Advanced(Long Term Evolution
Advanced)、CDM2000(符号分割多重アクセス2000)、CDPD(セルラー方式デジタルパケットデータ:Cellular Digital Packet Data)、Mobitex、3G(第3世代)、CSD(回線交換データ:Circuit Switched Data)、HSCSD(高速回線交換データ:High-Speed
Circuit-Switched Data)、UMTS(3G)(ユニバーサル移動通信システム(第3世代))、W-CDMA(UMTS)(広帯域符号分割多重アクセス(ユニバーサル移動通信システム))、HSPA(高速パケットアクセス:High Speed Packet Access)、HSDPA(ハイスピード・ダウンリンク・パケット・アクセス)、HSUPA(ハイスピード・アップリンク・パケット・アクセス)、HSPA+(高速パケットアクセスプラス)、UMTS-TDD(ユニバーサル移動通信システム-時分割複信)、TD-CDMA(時分割-符号分割多重アクセス)、TD-CDMA(時分割-同期符号分割多重アクセス)、3GPP Rel.8(Pre-4G)(第3世代パートナーシップ・プロジェクト・リリース8(プレ第4世代))、3GPPリリース9~17のいずれか及びそれ以降(Rel.18、Rel.19等)、3GPP 5G、3GPP LTE Extra、LTE-Advanced Pro、LTE LAA(Licensed-Assisted Access)、MuLTEfire、UTRA(UMTS
Terrestrial Radio Access)、E-UTRA(Evolved UMTS
Terrestrial Radio Access)、LTE-Advanced(4G)(Long Term
Evolution Advanced(第4世代))、cdmaOne(2G)、CDMA2000(3G)(符号分割多重アクセス2000(第3世代))、EV-DO(Evolution-Data Optimized or Evolution-Data Only)、AMPS(1G)(Advanced Mobile Phone System(第1世代))、TACS/ETACS(Total Access Communication System/Extended Total Access
Communication System)、D-AMPS(2G)(デジタルAMPS(第2世代))、PTT(プッシュトゥトーク)、MTS(移動電話システム:Mobile Telephone System)、IMTS(改良型移動電話システム:Improved
Mobile Telephone System)、AMTS(進化型移動電話システム:Advanced
Mobile Telephone System)、OLT(ノルウェー語で公的陸上移動電話方式の略)、MTD(スウェーデン語で移動電話方式Dの略)、Autotel/PALM(公的自動陸上移動電話)、ARP(フィンランド語で「カーラジオ電話」)、NMT(スカンジナビア移動電話方式)、Hicap(NTT(日本電信電話株式会社)の高容量バージョン)、CDPD(セルラー方式デジタルパケットデータ)、Mobitex、DataTAC、iDEN(Integrated Digital Enhanced Network)、PDC(Personal
Digital Cellular)、CSD(回線交換データ:Circuit Switched Data)、PHS(簡易型携帯電話)、WiDEN(Wideband Integrated Digital Enhanced Network)、iBurst、UMA(Unlicensed Mobile Access、3GPPジェネリックアクセスネットワーク又はGAN規格とも呼ばれる)、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)、IEEE802.15.4準拠のプロトコル(例えば、6LoWPAN:IPv6 over Low power Wireless Personal Area Networks、WirelessHART、MiWi、Thread、802.11a))、WiFi-direct、ANT/ANT+、ZigBee、Z-Wave、3GPP D2D(device-to-device)又はProSe(Proximity Services)、LPWAN(Low-Power Wide-Area-sNetwork)、SEMTECH社及びLoRa Allianceにより開発されたLoRA(Long Range Wide Area Network)又はLoRaWANTM、Sigfox、WiGig(Wireless Gigabit Alliance)規格、mmWave汎用規格(WiGigなどの10~300GHz以上で動作する無線システム、IEEE802.11ad、IEEE802.11ay)、300GHz及びTHz帯以上で動作する技術、(3GPP/LTEベース又はIEEE802.11pなど)V2X通信技術、3GPPセルラーV2X、高度道路交通システムなどのDSRC(Dedicated Short Range Communications)通信システム、欧州ITS-G5システム(すなわち、ITS-G5a、ITS-G5b、ITS-G5cなどのIEEE802.11pベースのDSRCの欧州実装)。上記の無線通信技術及び/又は規格に加えて、例えば、ITU(国際電気通信連合)、又はETSI(欧州電気通信標準化機構)が発行する規格に準拠した無線機、特にStarlinkTMを含む任意の数の衛星アップリンク技術を使用することもできる。したがって、本明細書で提供される実施形態は、既存の、及びまだ策定されていない、様々な他の通信技術に適用可能であると理解される。
【0067】
様々な実施形態によると、本方法は、供給車両が要求車両の所定の半径内にあるかを判定し、所定の半径内にある供給車両の空気処理のみを実行することを含み得る。
【0068】
図8は、様々な実施形態による車両1、2、3を含む車群の概略図である。車両2は、要求車両であってもよく、供給車両1及び3に空気処理のリクエストを送信するように構成され得る。本方法は、供給車両1及び3が空気処理のため、要求車両2を中心とする所定の半径TR1内にあるかを判定することを含み得る。所定の半径TR1の中心は、車両の所定の位置上であってよく、例えば、通信に使用される通信インタフェースのアンテナ又は通信インタフェースに接続されたアンテナの位置であってよい。所定の半径TR1を有する円の中心に対する要求車両の距離は、中心から車両の所定の位置、例えば、供給車両における通信に使用される通信インタフェースのアンテナ又は通信インタフェースに接続されたアンテナの位置で決定されてもよい。図示された所定の半径TR1に関して、車両1は、所定の半径TR1内の半径R1に位置することが分かる。これに対し、車両3は、半径R2がTR1より大きい。したがって、供給車両2と要求車両1との間、供給車両2と要求車両3との間で通信が確立され得るとしても、判定結果では、車両2が所定の半径TR1内にあり、車両3が所定の半径TR1内にないと判定される。これにより、供給車両1は、空気処理を提供することができ、供給車両3は、例えば、リクエストRQSTを受信しないことで、確認CONFを受信しないことで、確認ACKを送信しないことで、又はそれらの組み合わせによって、空気処理を提供しない。
【0069】
様々な実施形態によると、本方法は、供給車両のルートが、異なる時間、例えば、1日の異なる時間であっても、要求車両のルートを通過するか(例えば、重なるか)を判定することを含み得る。これに代わって又はこれに加えて、本方法は、例えば、供給車両及び要求車両の位置を照合することで、供給車両が要求車両の以前の位置又はその近く(所定の半径内)を通過するかを判定することを含んでもよい。
【0070】
図9は、様々な実施形態による車両1’、2を含む車群の概略図である。時間t1において、要求車両は位置P1にある。本方法は、車群のうちどの他の車両が、将来の時刻t2において位置P1を通過又はその近く(例えば、所定の半径内)を通過するルートを有するかを判定することを含み得る。これは、少なくとも1つの供給車両1’が時刻t2において位置P1を通過又はその近くを通過するかを判定することを含んでもよい。一例では、判定は、リクエストRQSTを送信することを含み、将来の時間に対するルートデータ又は位置確認を、例えば「[P1,t2]」の形態で、受信することを更に含み得る。本方法は、t2より前の時間(例えば、時間t1)に要求車両2から供給車両1’に空気処理のリクエストを送信することと、時間t2に供給車両1’によって空気処理を実行することと、を更に含み得る。これにより、要求車両2が位置P1を通過する時刻t1において、所定の半径内に供給車両が存在しない場合であっても、位置P1の空気を処理し、空気品質を改善することができる。車群のうちどの他の車両が、将来の時刻t2において位置P1を通過又はその近くを通過するルートを有するかを判定することは、時刻t2を所定の時間枠又は時間スロット内、例えば同じ日又は同じ期間、例えば1h以上24h以下から選択される期間内、例えば24h以内に限定することを含んでもよい。
【0071】
図10は、環境空気を清浄化するための空気処理システム10の他の実施形態の概略図である。この概略図は、本開示の説明を容易にするために簡略化されている。空気処理システム10は、フィルタ43を収容するように構成された収容部44を含む。図から分かるように、フィルタ43は、収容部44に設置されると、車両1の送風機42(例えば、ファン)の気流に置かれ、空気がフィルタ43を通る空気流が生じる。空気処理システム10は、様々な実施形態による方法をマイクロプロセッサ21に実行させるための命令を記憶するコンピュータメモリ22を含む。
図10の空気処理システム10は、シャッター47に加え、追加のシャッター及び/又はバイパスを含んでもよい。空気処理システム10は、フィルタ43を更に含んでもよい。また、送風機が省略されてもよく、車両1が移動しているときにフィルタを通る空気流が発生してもよい。
【0072】
本開示の様々な実施形態により、車両の粒子などの排出を他の車両で補うことが可能になる。また、この補助は同じ場所、別の場所、又は同じ場所の別の時間になされてもよい。この車両の近傍での補助によって、車群の近くの車両や、同じ場所を直前又は直後に通過する車両が必要な空気処理を提供することで、汚染ピークを効果的に回避し、よりクリーンな車両を作り出すことができる。
【外国語明細書】