(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138419
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】通気デバイス
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037984
(22)【出願日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】63/320,703
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/342,161
(32)【優先日】2022-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/842,810
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/172,346
(32)【優先日】2023-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521287935
【氏名又は名称】エクスメムス ラブズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ジオーン シー. ルオ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ジョージ リム
(72)【発明者】
【氏名】ジェム ユエ リヤーン
(72)【発明者】
【氏名】陳 文健
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BA09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】オクルージョン効果を抑制することができる通気デバイスを提供する。
【解決手段】ウェアラブルサウンドデバイス内に配置されるか又はウェアラブルサウンドデバイス内に配置される通気デバイス100は、アンカー構造体140と、フィルム構造体110と、フィルム構造体上に配置されるアクチュエータ120と、を含む。フィルム構造体は、アンカー構造体上に固定されたアンカー端AEと、自由端FEとを含み、ベントを形成するか又はベントを閉じるように構成され、空間を第1の容積VL1と第2の容積VL2とに仕切る。第1の容積と第2の容積とは、ベントが形成されたときにベントを介して接続される。通気デバイスは、コントローラがベントを閉じると決定すると、ベントを密閉するようにコントローラによって制御される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブルサウンドデバイス内に配置されるか又は前記ウェアラブルサウンドデバイス内に配置されることになる通気デバイスであって、
アンカー構造体と、
前記アンカー構造体上に固定されたアンカー端と、自由端とを備え、ベントを形成するか又は前記ベントを閉じるように構成されたフィルム構造体と、
前記フィルム構造体上に配置されたアクチュエータと
を備え、
前記フィルム構造体は、空間を第1の容積と第2の容積とに仕切り、前記第1の容積と前記第2の容積とは、前記ベントが形成されたときに前記ベントを介して接続され、
前記通気デバイスは、コントローラが前記ベントを閉じると決定すると、前記コントローラによって、前記ベントを密閉するように制御される、
通気デバイス。
【請求項2】
前記コントローラが前記ベントを閉じると決定すると、前記フィルム構造体は、前記コントローラによって生成された電圧に従って作動され、第1の位置として維持され、
前記第1の位置は、前記通気デバイスが配置される基体に平行である、
請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項3】
前記コントローラが前記ベントを閉じると決定すると、前記フィルム構造体を第1の位置に保持するように構成されたクランプ
を更に備える、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項4】
前記クランプが前記フィルム構造体を前記第1の位置に保持した後、前記アクチュエータに電圧は印加されず、前記ベントが閉じられる、請求項3に記載の通気デバイス。
【請求項5】
前記クランプは、前記フィルム構造体の前記自由端が下方又は上方に移動することを防止する、請求項3に記載の通気デバイス。
【請求項6】
前記クランプは、上から見て前記フィルム構造体の横に配置されている、請求項3に記載の通気デバイス。
【請求項7】
前記クランプは、前記クランプが作動されると水平に移動する、請求項3に記載の通気デバイス。
【請求項8】
前記クランプが前記フィルム構造体を前記第1の位置に保持した後、前記クランプに電圧は印加されず、前記ベントが閉じられる、請求項3に記載の通気デバイス。
【請求項9】
前記コントローラが前記ベントを閉じると決定しないと、前記フィルム構造体は、下方に屈曲して平坦位置より下になり、前記ベントが形成され、
前記平坦位置は、前記通気デバイスが配置される基体に平行である、
請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項10】
前記コントローラが前記ベントを閉じると決定しないと、前記アクチュエータに電圧が印加されず、前記フィルム構造体が下方に垂れ下がって平坦位置より下になり、前記ベントが形成され、
前記平坦位置は、前記通気デバイスが配置される基体に平行である、
請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項11】
前記フィルム構造体は、第1のフラップ及び第2のフラップを備え、
前記アクチュエータは、前記第1のフラップ上に配置された第1の作動部と、前記第2のフラップ上に配置された第2の作動部とを備える、
請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項12】
前記コントローラが前記ベントを閉じると決定すると、前記第1のフラップ及び前記第2のフラップは、前記ベントを閉じるために、第1の位置として作動及び維持される、請求項11に記載の通気デバイス。
【請求項13】
前記第1のフラップと前記第2のフラップとの間に配置された固定構造体
を備え、
前記コントローラが前記ベントを閉じると決定しないと、前記第1のフラップ及び前記第2のフラップは、下方に屈曲して平坦位置より下になり、前記ベントが形成され、
前記平坦位置は、前記通気デバイスが配置される基体に平行である、
請求項11に記載の通気デバイス。
【請求項14】
前記固定構造体は、前記基体に平行である、請求項13に記載の通気デバイス。
【請求項15】
前記コントローラが前記ベントを閉じると決定しないと、前記第1の作動部に電圧は印加されない、請求項11に記載の通気デバイス。
【請求項16】
前記コントローラが前記ベントを形成すると決定すると、前記第1のフラップは、第1の方向に向かって移動するように第1の電圧によって作動され、前記第2のフラップは、前記第1の方向とは反対の第2の方向に向かって移動するように第2の電圧によって作動され、
前記第1の電圧及び前記第2の電圧は、前記コントローラによって生成される、
請求項11に記載の通気デバイス。
【請求項17】
前記フィルム構造体にスリットが形成されてクランプ構造体を形成し、
前記フィルム構造体に形成された前記クランプ構造体は、前記コントローラが前記ベントを形成すると決定すると、前記フィルム構造体の変形を抑制するように構成される、
請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項18】
前記クランプ構造体は、2つのクランプ構成要素を有し、前記クランプ構成要素は、前記クランプ構造体が前記フィルム構造体の前記変形を抑制するときに互いにバックルされる、請求項17に記載の通気デバイス。
【請求項19】
基体上に配置され、前記フィルム構造体に隣接する固定構造体と、
前記固定構造体上に配置されたクランプと
を備える、請求項1に記載の通気デバイス。
【請求項20】
前記ウェアラブルサウンドデバイスは、前記コントローラと、音響変換を実行するように構成された音響トランスデューサとを備える、請求項1に記載の通気デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、通気デバイス(venting device)に関し、より具体的には、オクルージョン効果を除去することが可能な通気デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、インイヤー(外耳道に挿入する)イヤホン、オンイヤー又はオーバーイヤーイヤホンなどのウェアラブルサウンドデバイスは、一般に、音を発生させるため又は音を受信するために使用される。磁石及び可動コイル(MMC)ベースのマイクロスピーカは、数十年にわたって開発されており、多くのそのようなデバイスに広く使用されている。最近では、半導体製造プロセスを利用するMEMS(Micro Electro Mechanical System)音響トランスデューサが、ウェアラブルサウンドデバイス内の音発生/受信構成要素であり得る。
【0003】
オクルージョン効果は、外耳道の密閉された容積が、聴取者によって知覚される大きな音圧を引き起こすことに起因する。例えば、オクルージョン効果は、聴取者が骨伝導音を生成する特定の動作(複数可)(例えば、歩行、ジョギング、会話、食事、音響トランスデューサにタッチするなど)を行い、ウェアラブルサウンドデバイスを使用する(例えば、ウェアラブルサウンドデバイスが聴取者の外耳道に充填されている)間に生じる。特に、加速度ベースのSPL(音圧レベル)生成(SPL ∝ a =dD2/dt2)と圧縮ベースのSPL生成(SPL ∝ D)の違いから、低音に向かってオクルージョン効果が強くなる。例えば、20Hzにおけるわずか1μmの変位で、閉塞された外耳道において、SPL=1μm/25mm atm=106dBが生じる(25mmは成人に平均的な外耳道の長さ)。従って、オクルージョン効果が発生した場合、聴取者にはオクルージョンノイズが聞こえ、聴取者体験の品質が悪くなる。
【0004】
従来の技術では、ウェアラブルサウンドデバイスは、外耳道とデバイスの外部の周囲との間に存在する空気流チャネルを有し、オクルージョン効果によって生じる圧力をこの空気流チャネルから逃してオクルージョン効果を抑制することができるようになっている。しかしながら、空気流チャネルは常に存在するので、周波数応答において、より低い周波数(例えば、500Hzより低い)におけるSPLは、著しく低下する。例えば、従来のウェアラブルサウンドデバイスが典型的な115dBスピーカドライバを使用する場合、20HzにおけるSPLは、110dBよりもはるかに低い。加えて、空気流チャネルを形成するように構成された固定ベントのサイズがより大きい場合、SPLの低下はより大きくなり、防水及び防塵はより困難になる。
【0005】
場合によっては、従来のウェアラブルサウンドデバイスは、空気流チャネルの存在に起因するより低い周波数でのSPLの損失を補償するために、典型的な115dBスピーカドライバよりも強いスピーカドライバを使用し得る。例えば、SPLの損失が20dBであると仮定すると、空気流チャネルの存在下で同じ115dBのSPLを維持するために必要とされるスピーカドライバは、密閉された外耳道に使用される場合、135dBのSPLとなる。しかしながら、10倍強い低音出力には、スピーカ膜の移動も10倍にする必要であり、これは、スピーカドライバのコイル及び磁束間隙の両方の高さを10にする必要があることを意味する。従って、強力なスピーカドライバを有する従来のウェアラブルサウンドデバイスを小型且つ軽量にすることは困難である。
【0006】
従って、オクルージョン効果を抑制するために、従来技術を改善する必要がある。
【0007】
なお、本件の出願時に未公開である先行出願、米国特許出願第17/344,983号には、本発明と関連する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0211521号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0098390号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0121509号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2016/0176704号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2017/0021391号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2017/0325030号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2020/0213770号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2020/0178000号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2020/0100033号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2019/0039880号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2012/0053393号明細書
【特許文献12】米国特許第8724200号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2019/0349665号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2017/0164115号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2017/0217761号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2007/0007858号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2017/0201192号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2017/0260044号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2013/0223023号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2015/0163599号明細書
【特許文献21】韓国公開特許第10-2015-0030691号公報
【特許文献22】中国特許出願公開第111063790号明細書
【特許文献23】特開2020-31444号公報
【特許文献24】特開2009-512375号公報
【特許文献25】韓国公開特許第10-2010-0002351号公報
【特許文献26】特開平11-307441号公報
【特許文献27】米国特許出願公開第2006/0131163号明細書
【特許文献28】米国特許第11399228号明細書
【特許文献29】米国特許第11323797号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】HYONSE KIM ET AL, A slim type microvalve driven by PZT films, Sensors and Actuators A: PHYSICAL, 18 January, 2005, pages 162-171, Vol. 121, Elsevier B. V., XP027806904
【発明の概要】
【0010】
従って、本発明の主な目的は、オクルージョン効果を抑制することができる通気デバイスを提供することである。
【0011】
本発明の一実施形態は、ウェアラブルサウンドデバイス内に配置された、又はウェアラブルサウンドデバイス内に配置されることとなる通気デバイスを提供する。通気デバイスは、アンカー構造体と、フィルム構造体と、アクチュエータとを含む。フィルム構造体は、アンカー構造体上に固定されたアンカー端と、自由端とを含み、フィルム構造体は、ベントを形成するか、又はベントを閉じるように構成される。アクチュエータは、フィルム構造体上に配置される。フィルム構造体は、空間を第1の容積と第2の容積とに仕切り、第1の容積と第2の容積とは、ベントが形成されたときにベントを介して接続される。通気デバイスは、コントローラがベントを閉じると決定すると、ベントを密閉するようにコントローラによって制御される。
【0012】
本発明のこれら及び他の目的は、様々な図及び図面に示す好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読めば、当業者には疑いもなく明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態による通気デバイス及びハウジング構造体を示す断面図の概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態による通気デバイスを示す上面図の概略図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による異なる位置での通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態による異なる位置での通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態による異なる位置での通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態による、フィルム構造体が異なる位置に配置された通気デバイスの周波数応答を示す概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態による通気デバイスを有するウェアラブルサウンドデバイスを示す概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態による通気デバイスを有するウェアラブルサウンドデバイスを示す概略図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態による異なるモードの通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態による異なるモードの通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態による通気デバイスのフィルム構造体の一部を示す上面図の概略図である。
【
図12】本発明の第3の実施形態による通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図13】本発明の第4の実施形態による通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図14】本発明の第5の実施形態による通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図15】本発明の第6の実施形態による通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図16】本発明の第6の実施形態による通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図17】本発明の第6の実施形態による通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図18】本発明の第7の実施形態による異なるモードの通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図19】本発明の第7の実施形態による異なるモードの通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図20】本発明の第8の実施形態による通気デバイスを示す上面図の概略図である。
【
図21】本発明の第9の実施形態による異なるモードの通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図22】本発明の第9の実施形態による異なるモードの通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図23】本発明の第9の実施形態による異なるモードの通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【
図24】本発明の第10の実施形態による通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当業者に本発明のより良い理解を与えるために、重要な構成要素のための好ましい実施形態及び典型的な材料又は範囲パラメータが、以下の説明において詳述される。本発明のこれらの好ましい実施形態は、達成されるべき内容及び効果を詳述するために、番号付けされた要素とともに添付の図面に示される。図面は簡略化された図であり、重要な構成要素の材料及びパラメータ範囲は、現代の技術に基づいて例示的であり、従って、本発明の基本的な構造、実装又は動作方法についてのより明確な説明を提供するために、本発明に関連付けられた構成要素及び組合せのみを示すことに留意されたい。構成要素は、実際にはより複雑であり、使用されるパラメータ又は材料の範囲は、技術が将来進歩するにつれて発展し得る。加えて、説明を容易にするために、図面に示す構成要素は、それらの実際の数、形状、及び寸法を表さない場合があり、詳細は、設計要件に従って調整され得る。
【0015】
以下の説明及び特許請求の範囲では、「含む(include)」、「備える(comprise)」、及び「有する(have)」という用語は、オープンエンド方式で使用され、従って、「~を含むが、これに限定されない」を意味するものと解釈されるべきである。従って、「含む(include)」、「備える(comprise)」、及び/又は「有する(have)」という用語が本発明の説明で使用されるとき、対応する特徴、エリア、ステップ、動作、及び/又は構成要素は、存在することが指摘されるが、1つ又は複数の対応する特徴、エリア、ステップ、動作、及び/又は構成要素の存在に限定されない。
【0016】
以下の説明及び特許請求の範囲において、「A1構成要素がB1によって形成される」とき、B1は、A1構成要素の形成において存在するか、又はB1は、A1構成要素の形成において使用され、1つ又は複数の他の特徴、エリア、ステップ、動作及び/又は構成要素の存在及び使用は、A1構成要素の形成において除外されない。
【0017】
以下の説明及び特許請求の範囲において、「実質的に」という用語は、一般に、小さな偏差が存在してもしなくてもよいことを意味する。例えば、「実質的に平行」及び「実質的に沿って」という用語は、2つの構成要素間の角度が、特定の度の閾値、例えば、10度、5度、3度、又は1度以下であり得ることを意味する。例えば、「実質的にアラインされた」という用語は、2つの構成要素間の偏差が、特定の差分閾値、例えば、2μm又は1μm以下であり得ることを意味する。例えば、「実質的に同じ」という用語は、偏差が、例えば、所与の値若しくは範囲の10%以内であることを意味するか、又は所与の値若しくは範囲の5%、3%、2%、1%、若しくは0.5%以内であることを意味する。
【0018】
本明細書及び以下の特許請求の範囲では、「水平方向」という用語は、一般に、水平面に平行な方向を意味し、「水平面」という用語は、一般に、図中の方向X及び方向Yに平行な面を意味し(すなわち、本発明の方向X及び方向Yは、水平方向と見なされ得る)、「垂直方向」という用語は、一般に、図中の方向Zに平行であり、水平方向に垂直な方向を意味し、方向X、方向Y、及び方向Zは、互いに垂直である。本明細書及び以下の特許請求の範囲では、「上面図」という用語は、一般に、垂直方向に沿って見た表示結果を意味する。本明細書及び以下の特許請求の範囲では、「断面図」という用語は、一般に、垂直方向に沿って切断した構造体を水平方向に沿って観察した観察結果を意味する。
【0019】
第1、第2、第3などの用語は、多様な構成要素を説明するために使用され得るが、そのような構成要素は,それらの用語によって限定されない。これらの用語は、本明細書において、ある構成要素を他の構成要素と区別する目的でのみ使用され、これらの用語は、本明細書に記載されていない限り、製造順序とは関係ない。特許請求の範囲は、同じ用語を使用しない場合があるが、代わりに、要素が特許請求される順序に関して、第1、第2、第3などの用語を使用し得る。従って、以下の説明において、第1の構成要素は、請求項における第2の構成要素であり得る。
【0020】
以下で説明される異なる実施形態における技術的特徴は、本発明の趣旨から逸脱することなく、別の実施形態を構成するために、互いに置換、再結合、又は混合され得ることに留意されたい。
【0021】
本発明では、オクルージョン効果を抑制することが可能な通気デバイス(又はMEMS通気デバイス)は、音響装置に関連付けられ得、及び/又は音響装置(ウェアラブルサウンドデバイスなど)内に配置され得る。例えば、通気デバイスは、ウェアラブルサウンドデバイス(例えば、インイヤーデバイス)内に配置され得るが、これに限定されない。
【0022】
本発明では、音響装置は、音響変換を実行するように構成された音響トランスデューサを含み得、音響変換は、信号(例えば、電気信号又は他の適切なタイプの信号)を音波に変換し得、又は音波を他の適切なタイプの信号(例えば、電気信号)に変換し得る。いくつかの実施形態では、音響トランスデューサは、電気信号を音波に変換するように、音生成デバイス、スピーカ、マイクロスピーカ、又は他の好適なデバイスであり得るが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、音響トランスデューサは、音波を電気信号に変換するように、音測定デバイス、マイクロフォン、又は他の好適なデバイスであり得るが、これに限定されない。本発明の通気デバイスの存在により、オクルージョン効果が抑制され、ユーザは、音響装置によって提供される音響変換を良好に体験することができる。
【0023】
以下では、本発明の通気デバイスは、音波を生成するように構成されたウェアラブルサウンドデバイスに関連し、その中に配置され得、以下の説明は、当業者に本発明をより良く理解させるように構成される。
【0024】
図1~
図5を参照すると、
図1は、本発明の第1の実施形態による通気デバイス及びハウジング構造体を示す断面図の概略図であり、
図2は、本発明の第1の実施形態による通気デバイスを示す上面図の概略図であり、
図3~
図5は、本発明の第1の実施形態による通気デバイスの異なる位置でのフィルム構造体を示す断面図の概略図である。
図1及び
図2に示すように、通気デバイス100は、基体BS上に配置される。基体BSは、硬質又は可撓性であり得、基体BSは、シリコン、ゲルマニウム、ガラス、プラスチック、石英、サファイア、金属、ポリマー(例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET))、任意の他の適切な材料又はそれらの組合せを含み得る。一例として、基体BSは、ラミネート(銅張積層板(CCL:copper clad laminate))を含む回路基板、ランドグリッドアレイ(LGA:land grid array)基板、又は導電材料を含む任意の他の適切な基板であり得るが、これに限定されない。一実施形態では、基体BSは、基板であり得る。
【0025】
図1において、基体BSは、方向X及び方向Yに平行な上面SHを有する(すなわち、基体BSの上面SHは水平面である)。
図1において、基体BSの上面SHの法線方向は、方向Zと平行である。
【0026】
通気デバイス100は、少なくとも1つのアンカー構造体140と、アンカー構造体140によって固定されたフィルム構造体110とを含み、アンカー構造体140は、フィルム構造体110の外側に配置されている。フィルム構造体110及びアンカー構造体140は、任意の適切な材料(複数可)を含み得る。いくつかの実施形態では、フィルム構造体110及びアンカー構造体140は、個々に、シリコン(例えば、単結晶シリコン又は多結晶シリコン)、シリコン化合物(例えば、炭化ケイ素、酸化ケイ素)、ゲルマニウム、ゲルマニウム化合物(例えば、窒化ガリウム又はガリウムヒ素)、ガリウム、ガリウム化合物、ステンレス鋼又はそれらの組合せを含み得るが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、フィルム構造体110及びアンカー構造体140は、同じ材料を有し得る。
【0027】
通気デバイス100の動作において、フィルム構造体110は、動きを有するように作動され得、アンカー構造体140は、固定化され得る。すなわち、アンカー構造体140は、通気デバイス100の動作中にフィルム構造体110に対して固定された端部(又は固定された縁部)であり得る。いくつかの実施形態では、フィルム構造体110は、上方及び下方に移動するように作動され得るが、これに限定されない。本発明では、「上方に移動する」及び「下方に移動する」という用語は、フィルム構造体110が実質的に方向Zに沿って移動することを表す。
【0028】
図1及び
図2に示すように、通気デバイス100のフィルム構造体110は、フィルム構造体110は、アンカー構造体140に固定された少なくとも1つのアンカー端AEと、通気デバイス100内のいずれの構成要素にも恒久的に固定されていない少なくとも1つの自由端FEとを有し得るように、少なくとも1つのスリット130を含む。いくつかの実施形態では、フィルム構造体110は、スリット(複数可)130によって複数のフラップに分割され得る。例えば、
図1及び
図2に示すように、フィルム構造体110は、スリット130によって第1のフラップ112及び第2のフラップ114に分割され得、第1のフラップ112及び第2のフラップ114は、互いに分離され、第1のフラップ112は、アンカー構造体140に固定された第1のアンカー端AE1(又は第1のアンカー縁部)と第1のアンカー端AE1の反対側の第1の自由端FE1(又は第1の自由縁部)とを有し得、第2のフラップ114は、アンカー構造体140に固定された第2のアンカー端AE2(又は第2のアンカー縁部)と第2のアンカー端AE2の反対側の第2の自由端FE2(又は第2の自由縁部)とを有し得、スリット130の対向する2つの側壁は、第1の自由端FE1及び第2の自由端FE2にそれぞれ属する(すなわち、1つの側壁は第1の自由端FE1に属し、別の側壁は第2の自由端FE2に属する)。例えば、スリット130は、フィルム構造体110の境界及び/又はフラップの境界であり得るが、これに限定されない。
【0029】
本発明では、フィルム構造体110に含まれるスリット(複数可)130の数は、要件(複数可)に基づいて調整され得、スリット(複数可)130は、フィルム構造体110の任意の適切な位置に配置され、任意の適切な上面視パターンを有し得る。例えば、スリット130は、直線スリット、曲線スリット、直線スリットの組合せ、曲線スリットの組合せ、又は直線スリット(複数可)及び曲線スリット(複数可)の組合せであり得る。
【0030】
通気デバイス100は、フィルム構造体110上に配置され、フィルム構造体110を作動させるように構成されたアクチュエータ120を含む。例えば、
図1において、アクチュエータ120は、フィルム構造体110と接触し得るが、これに限定されない。
図1に示すように、アクチュエータ120は、方向Zにおいてフィルム構造体110と完全に重ならなくてもよいが、これに限定されない。
【0031】
図1及び
図2に示すように、アクチュエータ120は、フィルム構造体110の複数のフラップ上に配置された複数の作動部を含み得る。例えば(
図1に示すように)、フィルム構造体110は第1のフラップ112及び第2のフラップ114を有するので、アクチュエータ120は、第1のフラップ112上に配置された第1の作動部122と、第2のフラップ114上に配置された第2の作動部124とを含む。
【0032】
アクチュエータ120は、方向Zに沿ったフィルム構造体110の移動に関して、単調な電気機械変換関数を有する。いくつかの実施形態では、アクチュエータ120は、圧電アクチュエータ、静電アクチュエータ、ナノスコピック静電駆動(NED)アクチュエータ、電磁アクチュエータ、又は任意の他の適切なアクチュエータを含み得るが、これに限定されない。例えば、一実施形態では、アクチュエータ120は、圧電アクチュエータを含み得、圧電アクチュエータは、例えば、2つの電極と、電極間に配置された圧電材料層(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛、PZT)とを含み得、圧電材料層は、電極によって受信された駆動信号(例えば、駆動電圧及び/又は2つの電極間の駆動電圧差)に基づいてフィルム構造体110を作動させ得るが、これに限定されない。例えば、別の実施形態では、アクチュエータ120は、電磁アクチュエータ(平面コイルなど)を含み得、電磁アクチュエータは、受信した駆動信号(例えば、駆動電流)及び磁場に基づいてフィルム構造体110を作動させ得る(すなわち、フィルム構造体110は、電磁力によって作動され得る)が、これに限定されない。例えば、更に別の実施形態では、アクチュエータ120は、静電アクチュエータ(導電板など)又はNEDアクチュエータを含み得、静電アクチュエータ又はNEDアクチュエータは、受信した駆動信号(例えば、駆動電圧)及び静電場に基づいてフィルム構造体110を作動させ得る(すなわち、フィルム構造体110は、静電力によって作動され得る)が、これに限定されない。以下において、アクチュエータ120は、例えば、圧電アクチュエータであり得る。
【0033】
この実施形態では、通気デバイス100は、オプションで、基体BSの上面SH上に配置されたチップCPを含み得、チップCPは、少なくともフィルム構造体110、アンカー構造体140、及びアクチュエータ120を含み得る。チップCPの製造方法は限定されない。例えば、本実施形態では、チップCPは、少なくとも1つの半導体プロセスによってMEMSチップとなるように形成され得るが、これに限定されない。
【0034】
加えて、
図1に示すように、基体BSとフィルム構造体110との間にチャンバCBが存在し得る。
図1に示すように、基体BSは、背面開口部BVTを更に含み、チャンバCBは、背面開口部BVTを通して通気デバイス100の後方外部(即ち、基体BSの後方空間)に接続される。
【0035】
図1に示すように、通気デバイス100及び基体BSは、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの内側のハウジング構造体HSS内に配置される。
図1において、ハウジング構造体HSSは、第1のハウジング開口部HO1及び第2のハウジング開口部HO2を有し得、第1のハウジング開口部HO1は、ウェアラブルサウンドデバイスユーザの外耳道に接続され得、第2のハウジング開口部HO2は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲に接続され得、フィルム構造体110は、第1のハウジング開口部HO1と第2のハウジング開口部HO2との間にある。ウェアラブルサウンドデバイスWSDのアンビエント(ambient)は、外耳道の内側でなくてもよい(例えば、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのアンビエントは、耳の外側の空間に直接接続されてもよい)ことに留意されたい。更に、
図1において、チャンバCBは基体BSとフィルム構造体110との間に存在し得るので、チャンバCBは、基体BSの背面開口部BVT及びハウジング構造体HSSの第2のハウジング開口部HO2を通してウェアラブルサウンドデバイスWSDのアンビエントに接続され得る。
【0036】
図1に示すように、通気デバイス100のフィルム構造体110は、ハウジング構造体HSS内に形成された空間を、ウェアラブルサウンドデバイスユーザの外耳道に接続される第1の容積VL1と、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのアンビエントに接続される第2の容積VL2とに仕切る。
図1では、第1の容積VL1は、ハウジング構造体HSSの第1のハウジング開口部HO1に接続されており、第2の容積VL2は、ハウジング構造体HSSの第2のハウジング開口部HO2に接続されている。従って、第1の容積VL1は、第1のハウジング開口部HO1を通してウェアラブルサウンドデバイスユーザの外耳道に接続され、第2の容積VL2は、第2のハウジング開口部HO2を通してウェアラブルサウンドデバイスWSDのアンビエントに接続されるべきである。
図1に示すように、チャンバCBは、第2の容積VL2の一部である。
【0037】
フィルム構造体110は、アクチュエータ120によって上方及び下方に移動するように作動され得る。従って、
図1~
図5に示すように、第1のフラップ112の第1の自由端FE1は、第1の上下動を行うように構成され得、第2のフラップ114の第2の自由端FE2は、第2の上下動を行うように構成され得る。要件(複数可)に基づいて、第1の自由端FE1の第1の上下動の移動方向は、第2の自由端FE2の第2の上下動の移動方向と同じであってもよいし、反対であってもよい。
【0038】
図1~
図5に示すように、フィルム構造体110は、スリット130に関連するベント130Tが形成されるか又は閉じられるように、アクチュエータ120によって上方及び下方に移動するように作動され得(すなわち、フィルム構造体110は、ベント130Tを形成するか又はベント130Tを閉じるように構成され)、ベント130Tは、スリット130の対向する2つの側壁の間に形成される(すなわち、スリット130があるためにベント130Tは形成される)。通気デバイス100が、ベント130Tが一時的に閉じられる第1のモードにあるとき(例えば、
図1及び
図3)、第1の容積VL1は、第2の容積VL2から実質的に切り離され、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのアンビエント及びウェアラブルサウンドデバイスユーザの外耳道が互いに実質的に分離される(隔離される)ようにする。反対に、通気デバイス100が、ベント130Tを一時的に形成させる第2のモードにあるとき(例えば、
図4)、第1の容積VL1は、ベント130Tを通して第2の容積VL2に接続され、ウェアラブルサウンドデバイスWSDのアンビエント及びウェアラブルサウンドデバイスユーザの外耳道が互いに接続されるようにする。本発明では、第1のモードではベント130Tが一時的に閉じられ、第2のモードではベント130Tが一時的に形成されるので、第1のモードで第1の容積VL1と第2の容積VL2との間を流れる空気流は、第2のモードで第1の容積VL1と第2の容積VL2との間を流れる空気流よりもはるかに少ない。
【0039】
「ベント130Tが閉じている」状態では、空気が、スリット130の対向する2つの側壁の間の空間を通って第1の容積VL1と第2の容積VL2との間を流れることは困難である。「ベント130Tが形成/開かれている」状態では、空気が、スリット130の対向する2つの側壁の間の空間を通って第1の容積VL1と第2の容積VL2との間を流れることは容易である。いくつかの実施形態では、第1のモード(すなわち、ベント130Tが閉じている)におけるスリット130の対向する2つの側壁の間の開口サイズは、第2のモード(すなわち、ベント130Tが形成/開かれている)におけるスリット130対向する2つの側壁の間の開口サイズよりもはるかに小さい。例えば、ベント130Tが閉じられているとき、フィルム構造体110は、基体BSの上面SHに平行又は実質的に平行であり、スリット130の対向する2つの側壁は、水平方向において互いに部分的に又は完全に重なるが、これに限定されない。例えば、ベント130Tが形成/開かれているとき、フィルム構造体110は、基体BSの上面SHに対して平行ではないか、又は実質的に平行ではない。
【0040】
図1及び
図3は、第1のモードにある通気デバイス100の一例を示す。
図1及び
図3に示すように、フィルム構造体110は、ベント130Tを閉じた状態にするために、基体BSの上面SHに平行又は実質的に平行な第1の位置として作動及び維持される。例えば、
図1及び
図3において、スリット130の対向する2つの側壁は、ベント130Tを閉じた状態にするために、水平方向において互いに部分的に又は完全に重なる。
図1及び
図3では、フィルム構造体110が第1のフラップ112及び第2のフラップ114を有するので、第1のフラップ112及び第2のフラップ114は、ベント130Tを閉じるために、それらの第1の位置として作動及び維持される。
【0041】
図1及び
図3に示すように、フィルム構造体110は第1の位置として作動及び維持されるので、スリット130の対向する2つの側壁の間に間隙130Pが存在する。例えば、間隙130Pは、基体BSの上面SHに平行な平面において、スリット130の対向する2つの側壁の間に存在し得、間隙130Pは、スリット130に沿った幅方向の空間を指すものとし、間隙130Pの幅は、スリット130の幅と等しいか又は実質的に等しくてもよいが、これに限定されない。スリット130の幅(間隙130Pの幅)は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。例えば、スリット130の幅は、5μm以下、3μm以下又は2μm以下であってもよいし、1μm~2μmの範囲であってもよいが、これに限定されない。
【0042】
間隙130Pの幅は十分に小さくあるべきであるので、間隙130P(すなわち、狭いチャネル)を通る空気流は、流体力学の分野内の境界層効果として知られる、空気流経路の壁に沿って粘性力/抵抗により高度に減衰され得る。従って、第1のモードにおいて間隙130Pを通って第1の容積VL1と第2の容積VL2との間を流れる空気流は、極めて小さいか又は無視できる程度である。言い換えると、通気デバイス100が第1のモードにあるとき、ベント130Tは閉じられ、更には密閉される。
【0043】
第1のモードでは、第1のモードの間隙130Pを通って第1の容積VL1と第2の容積VL2との間を流れる空気流が著しく小さいか又は無視できる程度であるので、ウェアラブルサウンドデバイスユーザは、オーディオ周波数範囲全体において高性能の音響変換(例えば、高性能音)を経験することになり、音響変換は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの音響トランスデューサによって提供される。
【0044】
図4は、第2のモードにある通気デバイス100の例を示す。
図4に示すように、第1のフラップ112(例えば、第1の自由端FE1)は、第1の方向に向かって移動するように作動され得、第2のフラップ114(例えば、第2の自由端FE2)は、第1の方向とは反対の第2の方向に向かって移動するように作動され得、その結果、方向Zにおいてスリット130の対向する2つの側壁の間にベント130Tが一時的に形成される。すなわち、第1のフラップ112の第1の自由端FE1の第1の上下動の移動方向は、第2のフラップ114の第2の自由端FE2の第2の上下動の移動方向と反対である。例えば、第1の方向及び第2の方向は、方向Zと実質的に平行であり得る。例えば(
図4に示すように)、第1の自由端FE1及び第2の自由端FE2の一方は、第1の位置及び平坦位置(平坦位置は、基体BSの上面SHに平行である)より上に移動し、第1の自由端FE1及び第2の自由端FE2の他方は、第1の位置及び平坦位置より下に移動するが、これに限定されない。
【0045】
ベント130Tが一時的に開かれると、フィルム構造体110の両側の間の圧力差により、第1の容積VL1と第2の容積VL2との間を流れるように空気流が形成され得、オクルージョン効果によって引き起こされる圧力が解放され得(すなわち、外耳道とウェアラブルサウンドデバイスWSDのアンビエントとの間の圧力差が、ベント130Tを通って流れる空気流を通して解放され得)、オクルージョン効果が抑制され得る。
【0046】
本発明では、ベント130Tのサイズは、第1のフラップ112の第1の自由端FE1と第2のフラップ114の第2の自由端FE2との間の距離によって決定され得る。オクルージョン効果を抑制する効果は、ベント130Tのサイズを大きくすることによって高められ得る。
【0047】
従って、
図3及び
図4に示すように、第1のモードではスリット130の対向する2つの側壁の間に間隙130Pが存在し、第2のモードではスリット130の対向する2つの側壁の間にベント130Tが存在する。第1のモードにおける間隙130Pを通る空気流は、第2のモードのベント130Tを通る空気流と比較して、はるかに小さくてもよい(例えば、第1のモードにおける間隙130Pを通る空気流は、無視できる程度であるか、又は第2のモードのベント130Tを通る空気流よりも10倍低くてもよい)。言い換えると、間隙130Pの幅は、第1のモードにおける間隙130Pを通る空気流/漏れが、第2のモードにおけるベント130Tを通る空気流(例えば、その10%未満)と比較して、無視できる程度に十分に小さい。
【0048】
図3に示すような第1のモードから
図4に示すような第2のモードへの移行では、第1のフラップ112の第1の自由端FE1は、上方に移動し得、第2のフラップ114の第2の自由端FE2は、下方に移動し得る。逆に、
図4に示す第2のモードから
図3に示す第1のモードに戻る移行では、第1のフラップ112の第1の自由端FE1は、下方に移動し得、第2のフラップ114の第2の自由端FE2は、上方に移動し得る。
【0049】
加えて、
図3に示す第1のモードから
図4に示す第2のモードへの移行、又は
図4に示す第2のモードから
図3に示す第1のモードに戻る遷移では、第1のフラップ112の第1の自由端FE1は、第1の方向に向かう第1の変位Uz_aを有するように作動され得、第2のフラップ114の第2の自由端FE2は、第2の方向に向かう第2の変位Uz_bを有するように作動され得る。第1のモードから第2のモードへの移行では、第1の変位Uz_aと第2の変位Uz_bとの和は、フィルム構造体110の厚さよりも大きくてもよい。
【0050】
一実施形態では、第1の変位Uz_a及び第2の変位Uz_bは、距離は実質的に等しいが、方向は反対であり得る。第1のフラップ112の第1の自由端FE1の第1の変位Uz_aと、第2のフラップ114の第2の自由端FE2の第2の変位Uz_bとは、(一時的に)対称であり得る。第1の自由端FE1及び第2の自由端FE2の移動は、長さに関しては実質的に等しいが、任意の期間にわたって方向は反対である。すなわち、第1のフラップ112及び第2のフラップ114が第1の位置として維持されて第1のモードになる場合(
図3に示すように)、フィルム構造体110が第2のモードに変化するように作動されるか、又は第1のモードと第2のモードとの間の移行(例えば、第1のモードから第2のモードへの移行)にあるとき、その第1の位置に対する第1のフラップ112の移動距離は、その第1の位置に対する第2のフラップ114の移動距離に等しくてもよい(
図4に示すように)。
【0051】
第1の自由端FE1及び第2の自由端FE2の移動が一時的に対称である場合、1つのスリット130に関して、第1のフラップ112が第1の方向に向かって移動するように作動されるので第1の空気移動が生成され、第1の空気移動の方向は第1の方向に関連し、第2のフラップ114が第1の方向とは反対の第2の方向に向かって移動するように作動されるので第2の空気移動が生成され、第2の空気移動の方向は第2の方向に関連する。第1の空気移動及び第2の空気移動は、それぞれ反対方向に関連し得るので、第1のフラップ112及び第2のフラップ114が同時に作動されてベント130Tを開閉するとき、第1の空気移動の少なくとも一部及び第2の空気移動の少なくとも一部は、互いに打ち消し合い得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1の空気移動及び第2の空気移動は、第1のフラップ112及び第2のフラップ114が同時に作動されてベント130Tを開閉するとき、実質的に打ち消し合い得る(例えば、第1の方向に向かう第1の変位Uz_a及び第2の方向に向かう第2の変位Uz_bは、距離は等しいが、方向は反対であり得る)。すなわち、ベント130Tの開閉によって生じる、第1の空気移動と第2の空気移動とを含む正味の空気移動は、実質的にゼロである。その結果、ベント130Tの開閉動作中の正味の空気移動は実質的にゼロであるので、ベント130Tの動作から、通気デバイス100のユーザに知覚可能な音響妨害が生じず、ベント130Tの開閉動作は、「隠れている」と考えられている。
【0053】
オプションで、
図5に示すように、通気デバイス100は、第3のモードを更に含み得、ここでは、フィルム構造体110は下方に屈曲し、第1の位置及び平坦位置より下にある。
図5において、第1のフラップ112の第1の自由端FE1及び第2のフラップ114の第2の自由端FE2は、第3のモードでは基体BSに向かって移動/屈曲し得る(すなわち、フィルム構造体110は下方に垂れ下がる)。
【0054】
図5に示す第3のモードでは、ベント130Tは実質的に閉じられているが、第3のモードにおけるスリット130の対向する2つの側壁の間に存在する空間の幅は、(
図3に示すような)第1のモードにおけるスリット130の対向する2つの側壁の間に存在する間隙130Pの幅よりも大きい。従って、
図3~
図5に示すように、第3のモードにおけるスリット130の対向する2つの側壁の間に存在する空間を通る空気流は、第2のモードにおけるベント130Tを通る空気流と比較して、はるかに小さくてもよいが、第3のモードにおけるスリット130の対向する2つの側壁の間に存在する空間を通る空気流は、第1のモードにおける間隙130Pを通る空気流と比較して、大きくてもよい。
【0055】
更に、
図3~
図5に示すように、第1のモード、第2のモード、第3のモード、及び2つのモード間の移行では、第1のフラップ112の第1の自由端FE1は、第1の自由端FE1が第1の上下動を行うときに、通気デバイス100内の他の構成要素と物理的に接触せず、第2のフラップ114の第2の自由端FE2は、第2の自由端FE2が第2の上下動を行うときに、通気デバイス100内の任意の他の構成要素と物理的に接触しない。
【0056】
図6は、フィルム構造体110が異なる位置に配置された通気デバイス100の周波数応答を示し、
図6は、それぞれ第1のモード(
図3に示すような)、第2のモード(
図4に示すような)、及び第3のモード(
図5に示すような)における通気デバイス100の周波数応答を示す。
図6に示すように、第1のモード及び第3のモードでは、ベント130Tが閉じられているので、第1のモード及び第3のモードの低周波数ロールオフ(LFRO)コーナー周波数は低く、第1のモードにおける低周波数のSPLの低下及び第3のモードにおける低周波数のSPLの低下は目立たない。
図6に示すように、第2のモードでは、ベント130Tが開かれているため、第2のモードにおけるLFROコーナー周波数は、第1のモード及び第3のモードにおけるLFROコーナー周波数よりも大幅に高くなり、第2のモードの低周波数のSPLの低下は明らかである。例えば、第1のモード(
図3に示すような)では、間隙130Pの幅が十分に小さくなければならないので、
図6に示すように、第1のモードにおけるSPLのLFROコーナー周波数は、35Hz以下であり、第3のモードにおけるSPLのLFROコーナー周波数よりも低くてもよいが、これに限定されない。例えば、ベント130Tが(
図4に示すように)第2のモードにおいて形成/開かれているとき、
図6に示すように、第2のモードにおけるLFROコーナー周波数は、ベント130Tの開口サイズに応じて、80~400Hzの間に入り得るが、これに限定されない。
【0057】
アクチュエータ120は、少なくとも1つの適切な駆動信号を受信してフィルム構造体110を作動させ、フィルム構造体110にその位置を維持又は変更させ、それによって、通気デバイス100のモードを維持又は変更させ得る。
図3~
図5に示すように、通気デバイス100は、アクチュエータ120によって受信された駆動信号(複数可)に基づいて、第1のモード、第2のモード、又は第3のモードに切り替えられ得る。フィルム構造体110が複数のフラップ(例えば、
図3~
図5)に分割される場合、アクチュエータ120の作動部は、同じ駆動信号又は異なる駆動信号を受信し得る。例えば、アクチュエータ120が圧電アクチュエータである場合、駆動信号(複数可)は、2つの電極間の駆動電圧(複数可)及び/又は駆動電圧差(複数可)であり得、フィルム構造体110の変位(自由端FEの変位)と駆動信号とは線形関係を有し得る。
【0058】
図3に示すように、第1のモードでは、第1のフラップ112上に配置された第1の作動部122が駆動信号DV1_1を受信し、第2のフラップ114上に配置された第2の作動部124が駆動信号DV2_1を受信する。第1のフラップ112及び第2のフラップ114は、ベント130Tを閉じるために、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1に従って第1の位置に移動するか、又は第1の位置として維持される。駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。いくつかの実施形態では、駆動信号DV1_1は、第1の閾値を有する定電圧であり得、駆動信号DV2_1は、第2の閾値を有する定電圧であり得、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1は、同じ又は実質的に同じであってもよい(すなわち、第1の閾値は、第2の閾値と同じ又は実質的に同じであってもよい)が、これに限定されない。例えば、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1は、15Vであり得るが、これに限定されない。例えば、第1のモードにおいて通気デバイス100によって消費される電力は、0.16mWであり得るが、これに限定されない。
【0059】
図4に示すように、第2のモードでは、第1のフラップ112上に配置された第1の作動部122が駆動信号DV1_2を受信し、第2のフラップ114上に配置された第2の作動部124が駆動信号DV2_2を受信する。駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2に従って、第1の自由端FE1及び第2の自由端FE2のうちの一方(例えば、
図4の第1の自由端FE1)は、第1の位置及び平坦位置より上に移動し、第1の自由端FE1及び第2の自由端FE2のうちの他方(例えば、
図4の第2の自由端FE2)は、第1の位置及び平坦位置より下に移動して、ベント130Tを形成する。駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。いくつかの実施形態では、駆動信号DV1_2は、第1の閾値よりも高い(又は低い)定電圧であり得、駆動信号DV2_2は、第2の閾値よりも低い(又は高い)定電圧であり得、駆動信号DV1_2と駆動信号DV2_2とは異なっていてもよい。例えば、駆動信号DV1_2は30Vであり得、駆動信号DV2_2は0Vであり得るが、これに限定されない。例えば、第2のモードにおいて通気デバイス100によって消費される電力は、0.2mWであり得るが、これに限定されない。
【0060】
本発明では、ベント130Tのサイズは、第1のフラップ112の第1の自由端FE1と第2のフラップ114の第2の自由端FE2との間の距離によって決定され得るので、ベント130Tのサイズは、要件(複数可)に基づいて駆動信号(複数可)によって変更及び制御され得る。
【0061】
更に、駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2の設計により、第1の自由端FE1及び第2の自由端FE2の移動は、第1の位置及び平坦位置に対して一時的に対称である。例えば、駆動信号DV1_2と第1の閾値との差は、駆動信号DV2_2と第2の閾値との差と同じであり得るが、これに限定されない。
【0062】
図5に示すように、第3のモードでは、第1のフラップ112上に配置された第1の作動部122が駆動信号DV1_3を受信し、第2のフラップ114上に配置された第2の作動部124が駆動信号DV2_3を受信する。駆動信号DV1_3及び駆動信号DV2_3に従って、第1の自由端FE1及び第2の自由端FE2は、第1の位置及び平坦位置より下に移動して(すなわち、フィルム構造体110が下方に垂れ下がって)、ベント130Tを閉じる。駆動信号DV1_3及び駆動信号DV2_3は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。いくつかの実施形態では、駆動信号DV1_3は、第1の閾値よりも低い定電圧であり得、駆動信号DV2_3は、第2の閾値よりも低い定電圧であり得、駆動信号DV1_3及び駆動信号DV2_3は、同じ又は実質的に同じであってもよいが、これに限定されない。例えば、駆動信号DV1_3及び駆動信号DV2_3は、0V又は接地電圧であってもよいが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の作動部122及び第2の作動部124は、浮動していてもよいが、これに限定されない。例えば、第3のモードにおいて通気デバイス100によって消費される電力は、0.3μWであり得るが、これに限定されない。
【0063】
これらのモードにおける駆動信号によれば、通気デバイス100は、第3のモードにおいて電力消費が最も低い。いくつかの実施形態では、第3のモードでは、アクチュエータ120に電圧は印加されない(すなわち、アクチュエータ120に印加される駆動信号は0V若しくは接地電圧であるか、又はアクチュエータ120は浮動している)。従って、通気デバイス100の電力消費を減少させるために、通気デバイス100は、通常は第3のモードにあり得(すなわち、ベント130Tが閉じられており)、通気デバイス100は、必要に応じて第1のモード又は第2のモードに変更され得る(例えば、通気デバイス100は、高性能の音響変換のために第1のモードに変更され得、通気デバイス100は、オクルージョン効果を抑制するために第2のモードに変更され得る)が、これに限定されない。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1の作動部122に印加される駆動信号及び第2の作動部124に印加される駆動信号は、接地電圧に対して単極性であり得る。例えば、上述した駆動信号DV1_1、DV1_2、DV1_3、DV2_1、DV2_2及びDV2_3によれば、第1の作動部122に印加される駆動信号及び第2の作動部124に印加される駆動信号は、0V~30Vの範囲であり得るが、これに限定されない。
【0065】
本発明では、アクチュエータ120に印加される駆動信号は、通気デバイス100の動作を安定させるために、又は通気デバイス100の歪みを少なくするために、アクチュエータ120の破壊電圧を超えないが、これに限定されない。例えば、アクチュエータ120に印加される駆動信号が0Vよりも大きい場合、駆動信号は、コントローラ(例えば、駆動回路)から出力される最大電圧未満であり得るが、これに限定されない。
【0066】
上記によれば、本発明のスリット130は、通気デバイス100の動的フロントベントとして機能するように駆動され得、ハウジング構造体HSS内の第1の容積VL1及び第2の容積VL2は、動的フロントベントが開かれる/形成されると、接続され、ハウジング構造体HSS内の第1の容積VL1及び第2の容積VL2は、動的フロントベントが閉じられると、互いに分離される。
【0067】
更に、本発明の通気デバイス100は、動的フロントベントにより、より良好な防水及びより良好な防塵を有し得る。
【0068】
図7を参照すると、
図7は、本発明の一実施形態による通気デバイスを有するウェアラブルサウンドデバイスを示す概略図である。
図7に示すように、ウェアラブルサウンドデバイスWSDは、感知デバイス150と、感知デバイス150、音響トランスデューサ、及び通気デバイス100(例えば、通気デバイス100のアクチュエータ120)に電気的に接続されたコントローラ160とを更に含み得る。
図7では、構成要素SEDは、
図7を簡単且つ明確にするために、音響トランスデューサ及び通気デバイス100を含む。
【0069】
感知デバイス150は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの外部の任意の必要な要因を感知し、対応して、感知結果を生成するように構成され得る。例えば、感知デバイス150は、赤外線(IR)感知方法、光学感知方法、音響感知方法、超音波感知方法、容量感知方法、又は他の適切な感知方法を使用して、任意の必要な要因を感知し得るが、これに限定されない。
【0070】
いくつかの実施形態では、ベント130Tが形成されているかどうかは、感知結果に従って決定される。ベント130Tは、感知結果によって示される感知量が第1の極性で特定の閾値を越えたときに開かれ(又は形成され)、ベント130Tは、感知量が第1の極性と反対の第2の極性で特定の閾値を越えたときに閉じられる。例えば、第1の極性は、低から高であり得、第2の極性は、高から低であり得、そのため、感知量が特定の閾値よりも低い状態から特定の閾値よりも高い状態に変化したときにベント130Tが開かれ、感知量が特定の閾値よりも高い状態から特定の閾値よりも低い状態に変化したときにベント130Tが閉じられるが、これに限定されない。
【0071】
更に、いくつかの実施形態では、ベント130Tの開度は、感知結果によって示される感知量に単調に関連し得る。すなわち、感知量の増減に応じて、ベント130Tの開度が増減する。
【0072】
いくつかの実施形態では、感知デバイス150は、オプションで、ユーザの身体動作及び/又はウェアラブルサウンドデバイスWSDの動作を検出するように構成された動きセンサを含み得る。例えば、感知デバイス150は、歩行、ジョギング、会話、食事など、オクルージョン効果を引き起こす身体動作を検出し得る。いくつかの実施形態では、感知結果によって示される感知量は、ユーザの身体動作及び/又はウェアラブルサウンドデバイスWSDの動作を表し、ベント130Tの開度は、感知された動作に相関する。例えば、ベント130Tの開度は、動作が大きくなるにつれて大きくなる。
【0073】
いくつかの実施形態では、感知デバイス150は、オプションで、物体と近接センサとの間の距離を感知するように構成された近接センサを含み得る。いくつかの実施形態では、感知結果によって示される感知量は、物体と近接センサとの間の距離を表し、ベント130Tの開度は、感知された距離に相関する。例えば、この距離が所定の距離よりも小さい場合には、ベント130Tが開かれ(形成され)、この距離が小さくなるにつれて、ベント130Tの開度が大きくなる。例えば、ユーザがベント130Tを開く(又は形成する)ことを望む場合、ユーザは、任意の適切な物体(例えば、手)を使用してウェアラブルサウンドデバイスWSDに接近し、近接センサにこの物体を感知させ、それに対応して感知結果を生成させ、それによってベント130Tを開く/形成することができる。
【0074】
加えて、近接センサは、ユーザが通気デバイス100を有するウェアラブルサウンドデバイスWSDに(予測可能に)タップ又はタッチしたことを検出するための機能を更に有し得る。なぜなら、これらの動作もオクルージョン効果を引き起こし得るからである。
【0075】
いくつかの実施形態では、感知デバイス150は、オプションで、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの力センサに加えられた力を感知するように構成された力センサを含み得、感知結果によって示される感知量は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDを押す力を表し、ベント130Tの開度は、感知された力に相関する。
【0076】
いくつかの実施形態では、感知デバイス150は、オプションで、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの周囲光を感知するように構成された光センサを含み得、感知結果によって示される感知量は、光センサによって感知された周囲光の輝度を表し、ベント130Tの開度は、感知された周囲光の輝度に相関する。
【0077】
いくつかの実施形態では、感知デバイス150は、オプションで、オクルージョン事象を検出するためにウェアラブルサウンドデバイスWSDの外側の音を感知するように構成された、マイクロフォンなどの音響センサを含み得る。例えば、感知結果によって示される感知量は、音響センサによって感知された音のSPLを表し、ベント130Tの開度は、音響センサによって感知された音に相関するが、これに限定されない。例えば、通気デバイス100は、音響センサが、オクルージョン事象が発生したことを検出すると、ベント130Tを開くように作動されるが、これに限定されない。
【0078】
コントローラ160は、音響変換を実行し、通気デバイス100のモードを制御するように音響トランスデューサを制御するために、音響トランスデューサ及び通気デバイス100に印加される駆動信号を生成するように構成される。
【0079】
コントローラ160は、要件(複数可)に基づいて設計され得、コントローラ160は、任意の適切な構成要素を含み得る。例えば、
図7において、コントローラ160は、アナログ/デジタル変換器(ADC)162、デジタル信号処理(DSP)ユニット164、デジタル/アナログ変換器(DAC)166、任意の他の適切な構成要素又はそれらの組合せを含み得る。例えば、コントローラ160は、集積回路であり得るが、これに限定されない。
【0080】
コントローラ160は、通気デバイス100のモードを制御するために、通気デバイス100のアクチュエータ120に印加される駆動信号を生成する。従って、コントローラ160は、オクルージョン効果を抑制するためにベント130Tを形成したり、ウェアラブルサウンドデバイスユーザにオーディオ周波数範囲全体において高性能の音響変換を体験させるためにベント130Tを閉じたりするように、通気デバイス100を制御する。
【0081】
図3及び
図5に示すように、通気デバイス100は、コントローラ160がベント130Tを閉じると決定すると、ベント130Tを閉じる/密閉するようにコントローラ160によって制御される(通気デバイス100は第1のモード又は第3のモードにある)。従って、
図3では、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1が第1の作動部122及び第2の作動部124にそれぞれ印加され、第1のフラップ112及び第2のフラップ114を第1の位置に移動させるか、又は第1の位置として維持させ、それによってベント130Tを閉じる/密閉する。
図5では、駆動信号DV1_3及び駆動信号DV2_3が第1の作動部122及び第2の作動部124にそれぞれ印加され、第1のフラップ112及び第2のフラップ114を第1の位置及び平坦位置より下の位置に移動させ(又は維持し)、それによってベント130Tを閉じる。
【0082】
特に、
図5に示す第3のモードでは、駆動信号DV1_3及び駆動信号DV2_3は0V又は接地電圧であってもよし、第1の作動部122及び第2の作動部124は浮遊していてもよい。従って、いくつかの実施形態では、コントローラ160がベント130Tを閉じると決定し、通気デバイス100を第3のモードにすると決定すると、アクチュエータ120に電圧は印加されず(すなわち、第1の作動部122及び第2の作動部124に電圧は印加されず)、ベント130Tが閉じられる。
【0083】
図4に示すように、通気デバイス100は、コントローラ160がベント130Tを閉じると決定しない(例えば、コントローラ160がベント130Tを形成すると決定する)と、ベント130Tを形成するようにコントローラ160によって制御される(通気デバイス100は第2のモードにある)。従って、
図3では、駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2が第1の作動部122及び第2の作動部124にそれぞれ印加され、ベント130Tを形成するように第1のフラップ112及び第2のフラップ114を制御する。例えば、第1のフラップ112(例えば、第1の自由端FE1)は、第1の位置より上の位置に到達するために第1の方向に向かって移動するように作動され、第2のフラップ114(例えば、第2の自由端FE2)は、第1の位置より下の位置に到達するために第1の方向とは反対の第2の方向に向かって移動するように作動され得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、通気デバイス100のアクチュエータ120に印加される駆動信号は、感知結果に従って生成され得るが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、ベント130Tの開度は、感知結果によって示される感知量に単調に関連し得るため、アクチュエータ120に印加される駆動信号は、感知結果によって示される感知量と単調な関係を有し得る。
【0085】
感知デバイス150が動きセンサを含む場合、アクチュエータ120に印加される駆動信号の大きさは、運動が増加するにつれて増加(又は減少)し得るが、これに限定されない。同様に、感知デバイス150が近接センサを含む場合、アクチュエータ120に印加される駆動信号の大きさは、距離が減少につれて又は閾値を下回ると増加(又は減少)し得るが、これに限定されない。同様に、感知デバイス150が力センサを含む場合、アクチュエータ120に印加される駆動信号の大きさは、力が増加するにつれて増加(又は減少)し得るが、これに限定されない。同様に、感知デバイス150が光センサを含む場合、アクチュエータ120に印加される駆動信号の大きさは、周辺周囲光の輝度が減少するにつれて増加(又は減少)し得るが、これに限定されない。
【0086】
図8を参照すると、
図8は、本発明の一実施形態による通気デバイスを有するウェアラブルサウンドデバイスを示す概略図である。
図8に示すウェアラブルサウンドデバイスWSDは、音響変換を実行するように構成された複数の音響トランスデューサ(例えば、音響トランスデューサSPK1及びSPK2)を含み得る。すなわち、音波は、音響トランスデューサSPK1及びSPK2によって生成され、通気デバイス100は、オクルージョン効果を抑制するためにベント130Tを開閉するように作動されるように構成される。
図8に示すように、音響トランスデューサSPK1及びSPK2によって生成された音波は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの前方チャンバFBCからウェアラブルサウンドデバイスユーザの外耳道に伝搬し得る。
【0087】
各音響トランスデューサによって生成される音波の周波数範囲は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。例えば、音響トランスデューサの一実施形態は、人間の可聴周波数範囲(例えば、20Hz~20kHz)をカバーする周波数範囲を有する音波を生成し得るが、これに限定されない。例えば、音響トランスデューサの別の実施形態は、特定の周波数よりも高い周波数を有する音波を生成し得、この音響トランスデューサは、高周波数サウンドユニット(ツイーター)とすることができるが、これに限定されない。例えば、音響トランスデューサの別の実施形態は、特定の周波数よりも低い周波数を有する音波を生成し得、この音響トランスデューサは、低周波数サウンドユニット(ウーファー)とすることができるが、これに限定されない。なお、特定の周波数は、800Hz~4kHzの範囲の値(例えば1.44kHz)であり得るが、これに限定されない。高周波数サウンドユニット及び低周波数サウンドユニットの詳細については、出願人が出願した米国出願第17/153,849号が参照することができるが、簡潔のため本明細書では叙述しない。
【0088】
音響トランスデューサSPK1及びSPK2は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、音響トランスデューサSPK1は、高周波数サウンドユニット(ツイーター)であり得、音響トランスデューサSPK2は、低周波数サウンドユニット(ウーファー)であり得るが、これに限定されない。
【0089】
図8に示すウェアラブルサウンドデバイスWSDの前方チャンバFBCは、(
図1に示す)通気デバイス100が配置されるハウジング構造体HSS内の第1の容積VL1に接続され得る。例えば、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの前方チャンバFBCは、ハウジング構造体HSS内の第1の容積VL1に直接接続され得るか、又は、ウェアラブルサウンドデバイスユーザの外耳道を通してハウジング構造体HSS内の第1の容積VL1に接続され得る。また、
図8に示すウェアラブルサウンドデバイスWSDの後方チャンバBBCは、(
図1に示す)通気デバイス100が配置されたハウジング構造体HSS内の第2の容積VL2に接続され得る。例えば、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの後方チャンバBBCは、ハウジング構造体HSS内の第2の容積VL2に直接接続され得るか、又はウェアラブルサウンドデバイスWSDのアンビエントを通してハウジング構造体HSS内の第2の容積VL2に接続され得る。
【0090】
音響センサ(複数可)(例えば、マイクロフォン(複数可))を含み得る感知デバイス150は、ウェアラブルサウンドデバイスWSDの前方チャンバFBC及び/又は後方チャンバBBCに配置され得、感知デバイス150は、オクルージョン事象を検出するように構成される。
【0091】
通気デバイス100、音響トランスデューサSPK1及びSPK2並びに感知デバイス150は、コントローラ160に電気的に接続され得る。コントローラ160は、音響トランスデューサSPK1及びSPK2によって生成される音波が音響駆動信号に対応し得るように、音響駆動信号を音響トランスデューサSPK1及びSPK2に印加し得る。コントローラ160は、感知デバイス150の感知結果に基づいて駆動信号を通気デバイス100に印加して、オクルージョン効果を抑制するためにベント130Tを開閉し得る。例えば、コントローラ160は、デバイスコントローラ168a及びデバイスドライバ168bを含み得るが、これに限定されない。例えば、デバイスコントローラ168aは、感知デバイス150によって生成された感知結果に従って、アクチュエータ120の作動部に印加される、又は印加されることとなる電圧を決定し得るが、これに限定されない。
【0092】
本発明の通気デバイスは、上記の実施形態(複数可)によって限定されない。本発明の他の実施形態について、以下で説明する。比較を容易にするために、同じ構成要素は、以下では同じ記号でラベル付けされる。以下の説明では、実施形態の各々間の相違点について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0093】
以下の実施形態では、通気デバイスは、低電力消費の条件下でベント130Tが形成/開かれるように設計される。通気デバイスは、以下の実施形態に限定されないことに留意されたい。
【0094】
図9及び
図10を参照すると、
図9及び
図10は、本発明の第2の実施形態による異なるモードの通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図であり、
図9に示す通気デバイス200は第1のモードにあり、
図10に示す通気デバイス200は第2のモードにある。
図9及び
図10に示すように、通気デバイス200は、基体BS上に配置され、フィルム構造体110に隣接する固定構造体210を更に含む(例えば、チャンバCBも固定構造体210と基体BSとの間にある)。
図9及び
図10において、固定構造体210は、水平方向(例えば、方向X)に第1のフラップ112と第2のフラップ114との間に配置され得る。
図9及び
図10では、固定構造体210は、固定構造体210が移動するように作動され得ないように、通気デバイス200の動作中、固定化され得る。
【0095】
固定構造体210は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。例えば、
図9及び
図10に示すように、固定構造体210は、基体BS(例えば、基体BSの上面SH)に平行であり得るが、これに限定されない。
図9及び
図10に示すように、第1のフラップ112と第2のフラップ114との間、第1のフラップ112と固定構造体210との間、及び/又は第2のフラップ114と固定構造体210との間にスリット130が形成され得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、上面図において、固定構造体210は、水平方向(例えば、方向X)において、第1のフラップ112の第1の自由端FE1(すなわち、第1の自由縁部)全体及び第2のフラップ114の第2の自由端FE2(すなわち、第2の自由縁部)全体に対応し得る。スリット130のうちの1つは、第1のフラップ112と固定構造体210との間に形成され(すなわち、このスリット130の対向する2つの側壁はそれぞれ、第1のフラップ112及び固定構造体210に属し)、スリット130のうちの別の1つは、第2のフラップ114と固定構造体210との間に形成される(すなわち、このスリット130の対向する2つの側壁はそれぞれ、第2のフラップ114及び固定構造体210に属する)。従って、水平方向(例えば、方向X)において、この場合の通気デバイス200(
図9及び
図10)における第1のフラップ112の第1の自由端FE1と第2のフラップ114の第2の自由端FE2との間の距離は、第1の実施形態の通気デバイス100(
図1~
図5)における第1のフラップ112の第1の自由端FE1と第2のフラップ114の第2の自由端FE2との間の距離よりも大きい。
図9に示すように、通気デバイス200が第1のモードにあるとき、間隙130Pのうちの1つは、第1のフラップ112の第1の自由端FE1と固定構造体210との間に存在し、間隙130Pのうちの別の1つは、第2のフラップ114の第2の自由端FE2と固定構造体210との間に存在する(すなわち、間隙130Pは、スリット130があるために形成される)。
図10に示すように、通気デバイス200が第2のモードにあるとき、ベント130Tのうちの1つは、第1のフラップ112の第1の自由端FE1と固定構造体210との間に形成され、ベント130Tのうちの別の1つは、第2のフラップ114の第2の自由端FE2と固定構造体210との間に形成される(すなわち、ベント130Tは、スリット130があるために形成される)。
【0097】
いくつかの実施形態では、上面図において、固定構造体210は、水平方向(例えば、方向X)において、第1の自由端FE1(すなわち、第1の自由縁部)の対応部分に対応し、第1の自由端FE1(すなわち、第1の自由縁部)の非対応部分に対応しなくてもよく、固定構造体210は、水平方向(例えば、方向X)において、第2の自由端FE2(すなわち、第2の自由縁部)の対応部分に対応し、第2の自由端FE2(すなわち、第2の自由縁部)の非対応部分に対応しなくてもよい。第1のフラップ112と第2のフラップ114との間、第1のフラップ112と固定構造体210との間、及び第2のフラップ114と固定構造体210との間にスリット130が形成され得る(すなわち、スリット130の側壁の一部は固定構造体210に属する)。従って、水平方向(例えば、方向X)において、この場合の通気デバイス200(
図9及び
図10)における第1のフラップ112の第1の自由端FE1の対応部分と第2のフラップ114の第2の自由端FE2の対応部分との間の距離は、第1の実施形態の通気デバイス100(
図1~
図5)における第1のフラップ112の第1の自由端FE1と第2のフラップ114の第2の自由端FE2との間の距離よりも大きい。この場合、水平方向(例えば、方向X)において、第1のフラップ112の第1の自由端FE1の対応部分と第2のフラップ114の第2の自由端FE2の対応部分との間の距離は、第1のフラップ112の第1の自由端FE1の非対応部分と第2のフラップ114の第2の自由端FE2の非対応部分との間の距離よりも大きい。この場合、通気デバイス200が第1のモードにあるとき、第1の自由端FE1の対応部分と固定構造体210との間、第2の自由端FE2の対応部分と固定構造体210との間、及び第1の自由端FE1の非対応部分と第2の自由端FE2の非対応部分との間に間隙130Pが存在し得る(すなわち、間隙130Pは、スリット130があるために形成される)。この場合、通気デバイス200が第2のモードにあるとき、第1の自由端FE1の対応部分と固定構造体210との間、第2の自由端FE2の対応部分と固定構造体210との間、及び第1の自由端FE1の非対応部分と第2の自由端FE2の非対応部分との間にベント130Tが形成され得る(すなわち、ベント130Tは、スリット130があるために形成される)。
【0098】
図9に示すように、通気デバイス200は、コントローラ160がベント130Tを閉じると決定すると、ベント130Tを閉じる/密閉するようにコントローラ160によって制御される(すなわち、通気デバイス200は第1のモードにある)。従って、
図9では、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1が第1の作動部122及び第2の作動部124にそれぞれ印加されて、第1のフラップ112及び第2のフラップ114を第1の位置に移動させるか、又は第1の位置として維持し、それによってベント130Tを閉じる/密閉する。例えば、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1は、15Vであり得るが、これに限定されない。例えば、第1のモードにおいて通気デバイス200によって消費される電力は、0.16mWであり得るが、これに限定されない。
【0099】
図10に示すように、通気デバイス200は、コントローラ160がベント130Tを閉じると決定しない(例えば、コントローラ160がベント130Tを形成すると決定する)と、ベント130Tを形成するようにコントローラ160によって制御される(すなわち、通気デバイス200は第2のモードにある)。従って、
図10では、駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2が第1の作動部122及び第2の作動部124にそれぞれ印加され、ベント130Tを形成するように第1のフラップ112及び第2のフラップ114を制御する。
【0100】
図10に示すように、コントローラ160がベント130Tを閉じると決定しない(例えば、コントローラ160がベント130Tを形成すると決定する)と、通気デバイス200は第2のモードにあり、第1のフラップ112及び第2のフラップ114(すなわち、フィルム構造体110)は、ベント130Tが形成されるように、屈曲して下方に垂れ下がり、平坦位置の下にくる。いくつかの実施形態では、第2のモードにおいて、駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2は0V又は接地電圧であってもよいが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、第2のモードにおいて、第1の作動部122及び第2の作動部124(すなわち、アクチュエータ120)は、浮動していてもよいが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の作動部122及び第2の作動部124(すなわち、アクチュエータ120)に電圧は印加されなくてもよいが、これに限定されない。例えば、第2のモードにおいて通気デバイス200によって消費される電力は、0.3μWであり得るが、これに限定されない。
【0101】
第2のモードにおいて、第1のフラップ112と第2のフラップ114との間に固定構造体210が存在するので、第1のフラップ112の第1の自由端FE1と第2のフラップ114の第2の自由端FE2との間の距離が拡大されており、そのため、第1のフラップ112及び第2のフラップ114が下方に垂れ下がって平坦位置よりも下にあるときに、ベント130Tが形成される。
【0102】
これらのモードにおける駆動信号によれば、通気デバイス200は、第2のモードにおいて電力消費が最も低い。いくつかの実施形態では、第2のモードでは、アクチュエータ120に電圧は印加されない(すなわち、アクチュエータ120に印加される駆動信号は0V若しくは接地電圧であるか、又はアクチュエータ120は浮動している)。従って、通気デバイス200の電力消費を減少させるために、通気デバイス200は、通常は第2のモードにあり得(すなわち、ベント130Tが形成され)、通気デバイス200は、必要に応じて第1のモードに変更され得る(例えば、通気デバイス200は、高性能の音響変換のために第1のモードに変更され得る)が、これに限定されない。
【0103】
図11及び
図12を参照すると、
図11は、本発明の第3の実施形態による通気デバイスのフィルム構造体の一部を示す上面図の概略図であり、
図12は、本発明の第3の実施形態による通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図であり、
図12に示す通気デバイス300は第2のモードにある。
図11及び
図12に示すように、フィルム構造体110が屈曲して下方に垂れ下がり、平坦位置より下になって、ベント(複数可)130Tを形成する(すなわち、通気デバイス300が第2のモードにある)状態では、フィルム構造体110は、コントローラ160がベント130Tを形成すると決定する(すなわち、コントローラ160が通気デバイス300を第2のモードにすることを決定する)と、フィルム構造体110の変形を抑制するように構成されたクランプ構造体310を更に含み得る。例えば、
図12では、第1のフラップ112及び第2のフラップ114が屈曲して下方に垂れ下がり、平坦位置より下にある条件下で、クランプ構造体310は、方向Zに沿った第1のフラップ112(例えば、第1の自由端FE1)の移動距離及び方向Zに沿った第2のフラップ114(例えば、第2の自由端FE2)の移動距離が距離閾値より大きいとき、第1のフラップ112及び第2のフラップ114をロックし得る。
【0104】
この実施形態では、クランプ構造体310及び固定構造体210は、通気デバイス300に含まれ得、クランプ構造体310及び固定構造体210は、水平方向(例えば、方向X)において、第1の自由端FE1の異なる部分(例えば、上述した対応部分及び非対応部分)にそれぞれ対応し、第2の自由端FE2の異なる部分(例えば、上述した対応部分及び非対応部分)にそれぞれ対応し得る。従って、断面図の断面線が方向Xに沿って延在する場合、クランプ構造体310及び固定構造体210は、異なる断面図で示される。例えば、
図10は、第2のモードにある通気デバイス300の第1の部分を示し、
図12は、第2のモードにある通気デバイス300の第2の部分を示し、
図10に示す第1の部分は、固定構造体210、第1のフラップ112及び第2のフラップ114を含み、
図12に示す第2の部分は、クランプ構造体310、第1のフラップ112及び第2のフラップ114を含む。
【0105】
クランプ構造体310は、要件(複数可)に基づいて任意の適切な設計を有し得る。
図11に示すように、クランプ構造体310は、スリット(複数可)130があるために形成され得る。例えば、
図11において、スリット130は、順に互いに接続された第1のスリットセグメント130a、第2のスリットセグメント130b、第3のスリットセグメント130c、第4のスリットセグメント130d、及び第5のスリットセグメント130eを含み得、第1のスリットセグメント130a、第3のスリットセグメント130c、及び第5のスリットセグメント130eは、1つの水平方向(例えば、方向Y)に平行であり得、第2のスリットセグメント130b及び第4のスリットセグメント130dは、別の水平方向(例えば、方向X)に平行であり得る。
【0106】
図11において、クランプ構造体310は、第1のクランプ構成要素312及び第2のクランプ構成要素314を含み得、第1のクランプ構成要素312は、第1のフラップ112の一部であり得(同等に、第1のクランプ構成要素312は、第1のフラップ112に属し得)、第2のクランプ構成要素314は、第2のフラップ114の一部であり得る(同等に、第2のクランプ構成要素314は、第2のフラップ114に属し得る)。
図11において、第1のクランプ構成要素312は、第2のフラップ114の第2のクランプ構成要素314と第2のフラップ114の別の部分との間に配置され得、第2のクランプ構成要素314は、第1のフラップ112の第1のクランプ構成要素312と第1のフラップ112の別の部分との間に配置され得る。例えば、
図11において、第1のクランプ構成要素312の長さ方向及び第2のクランプ構成要素314の長さ方向は、方向Yに実質的に平行であり得るが、これに限定されない。例えば、クランプ構造体310は、ラッチ構造であり得るが、これに限定されない。
【0107】
図11及び
図12に示すように、第1のフラップ112(例えば、第1の自由端FE1)及び第2のフラップ114(例えば、第2の自由端FE2)が距離閾値よりも大きい変位で方向Zに沿って移動すると、第1のクランプ構成要素312及び第2のクランプ構成要素314は、第1のフラップ112及び第2のフラップ114をロックしてそれらの変形を抑制するために、互いにバックルされる。スリット130の幅及びクランプ構成要素のサイズは、クランプ構造体310のバックル効果に関連することに留意されたい。
【0108】
この実施形態では、フィルム構造体110がクランプ構造体310によって抑制される場合であっても、通気デバイス300が第2のモードにあるとき、ベント130Tは依然として形成される(例えば、
図10に示すように、フラップと固定構造体210との間にベント130Tが形成される)。クランプ構造体310の設計は、ベント130Tのサイズに関連することに留意されたい。
【0109】
クランプ構造体310の存在により、異なる通気デバイス300のベント130Tの開口サイズは、実質的に同じになり得る。
【0110】
図13を参照すると、
図13は、本発明の第4の実施形態による通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図であり、
図13に示す通気デバイス400は第1のモードにある。
図9及び
図10に示す通気デバイス200と比較して、
図13に示す通気デバイス400は、コントローラ160がベント130Tを閉じると決定する(すなわち、コントローラ160が通気デバイス400を第1のモードにすると決定する)と、フィルム構造体110を第1の位置に保持するように構成されたクランプ470を更に含む。従って、クランプ470は、フィルム構造体110(フラップ)の自由端FEが下方又は上方に移動するのを防止し得る。
【0111】
クランプ470は、要件(複数可)に基づいて任意の適切な設計を有し得、クランプ470は、任意の適切な方法によって移動するように作動され得る。いくつかの実施形態では、クランプ470の作動は、電気信号によって制御され得る。例えば、クランプ470の移動は、熱作動、静電作動、磁気作動、圧電作動、又は他の適切な作動によって引き起こされ得る。いくつかの実施形態では、クランプ470は、電気信号を受信してクランプ470を移動させたり、電気信号を受信せずクランプ470の移動を停止させたりするであろうが、これに限定されない。
【0112】
図13に示すように、クランプ470は、上から見てフィルム構造体110の横に配置され得、クランプ470は、フィルム構造体110を保持するために移動するように、又はフィルム構造体110を解放するように作動され得る。例えば、
図13において、クランプ470は、固定構造体210上に配置され得、クランプ470は、クランプ470が作動されると水平に移動し得るが、これに限定されない。例えば、
図13において、クランプ470は、水平方向(例えば、方向X)にフィルム構造体110の自由端FEに向かって移動してフィルム構造体110を固定し得、クランプ470は、水平方向(例えば、方向Xとは反対の方向)にフィルム構造体110の自由端FEから離れるように移動してフィルム構造体110を解放し得るが、これに限定されない。
図13において、クランプ470がフィルム構造体110を保持するとき、クランプ470は、フィルム構造体110が下方に移動するのを防止する。
【0113】
第1のモードから第2のモードへの移行では、アクチュエータ120(例えば、第1の作動部122及び第2の作動部124)にモード変更駆動信号を印加することによって、フィルム構造体110の自由端FE(例えば、第1のフラップ112の第1の自由端FE1及び第2のフラップ114の第2の自由端FE2)は、上方に移動して第1の位置より上になり得、次いで、クランプ470は、フィルム構造体110の自由端FEから離れるように移動し得、最後に、アクチュエータ120(例えば、第1の作動部122及び第2の作動部124)に第2のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2)を印加することによって、フィルム構造体110の自由端FE(例えば、第1のフラップ112の第1の自由端FE1及び第2のフラップ114の第2の自由端FE2)は、下方に垂れ下がって第1の位置及び平坦位置より下になり得る。
【0114】
逆に、第2のモードから第1のモードへ戻る移行では、アクチュエータ120(例えば、第1の作動部122及び第2の作動部124)にモード変更駆動信号を印加することによって、フィルム構造体110の自由端FE(例えば、第1のフラップ112の第1の自由端FE1及び第2のフラップ114の第2の自由端FE2)は、上方に移動して第1の位置より上になり得、次いで、クランプ470は、フィルム構造体110の自由端FEに向かって移動し得、最後に、アクチュエータ120(例えば、第1の作動部122及び第2の作動部124)に第1のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1)を印加することによって、フィルム構造体110の自由端FE(例えば、第1のフラップ112の第1の自由端FE1及び第2のフラップ114の第2の自由端FE2)は、第1の位置まで下方に移動し得、その結果、クランプ470は、フィルム構造体110を第1の位置に保持し得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、クランプ470がフィルム構造体110を第1の位置に保持するので、第1のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1)は、第1の位置に対応する駆動信号以下であり得る。例えば、第1のモードにおける通気デバイス400の電力消費を減少させる(例えば、第1のモードにおいて通気デバイス400によって消費される電力は、0.3μWであり得る)ために、第1のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1)は0V又は接地電圧であってもよいし、アクチュエータ120は、第1のモードにおいて浮動しているが、これに限定されない。すなわち、クランプ470がフィルム構造体110を第1の位置に保持した後、アクチュエータ120に電圧は印加されず、ベント130Tは閉じられる(通気デバイス400は第1のモードにある)。
【0116】
この場合、通気デバイス400の電力消費を減少させるために、第1のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV1_1及び駆動信号DV2_1)及び第2のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2)は0V又は接地電圧であってもよいし、アクチュエータ120は、第1のモード及び第2のモードにおいて浮遊している。
【0117】
更に、いくつかの実施形態では、クランプ470がフィルム構造体110を第1の位置に保持した後、通気デバイス400の電力消費を減少させるために、クランプ470に電圧は印加されず、ベント130Tは閉じられる。いくつかの実施形態では、クランプ470がフィルム構造体110を解放した後、通気デバイス400の電力消費を減少させるために、クランプ470に電圧は印加されない。
【0118】
図14を参照すると、
図14は、本発明の第5の実施形態による通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図であり、
図14に示す通気デバイス500は第1のモードにある。
図13に示す通気デバイス400と比較して、クランプ470の設計は異なる。
図14において、クランプ470がフィルム構造体110を保持するとき、クランプ470は、間隙130Pのサイズを制御するために、第1のモードにおいてフィルム構造体110が第1の位置より上に移動すること(例えば、この移動は残留応力によって引き起こされ得る)を防止する。
【0119】
図15~
図17を参照すると、
図15~
図17は、本発明の第6の実施形態による通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図であり、
図15は、通気デバイス600の第1のモードを示し、
図16及び
図17は、通気デバイス600の第2のモードを示す。
図1~
図5に示す通気デバイス100と比較して、
図15~
図17に示す通気デバイス600のフィルム構造体110は、1つのフラップ(すなわち、第1のフラップ112)のみを有し、スリット130は、フィルム構造体110の境界である。すなわち、スリット130の対向する2つの側壁は、それぞれ、第1のフラップ112及び他の構成要素(例えば、
図15~
図17に示す右側のアンカー構造体140)に属し、その結果、スリット130の1つの側壁は、通気デバイス600の動作中に静止/固定である。
【0120】
図15に示すように、第1のモードにおいて、第1のフラップ112上に配置された第1の作動部122は、駆動信号DV3_1を受信する。第1のフラップ112は、ベント130Tを閉じるために、駆動信号DV3_1に従って第1の位置に移動するか、又は第1の位置として維持される。駆動信号DV3_1は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。いくつかの実施形態では、駆動信号DV3_1は、第3の閾値を有する定電圧であり得るが、これに限定されない。
【0121】
図16に示すように、第2のモードにおいては、第1のフラップ112上に配置された第1の作動部122は、駆動信号DV3_2を受信する。駆動信号DV3_2に従って、第1の自由端FE1は、第1の位置及び平坦位置より下に移動して、ベント130Tを形成する。駆動信号DV3_2は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。いくつかの実施形態では、駆動信号DV3_2は、第3の閾値よりも低い定電圧であり得る。例えば、駆動信号DV3_2が0Vであるとき、方向Zにおける第1の自由端FE1の変位は、第1の位置(又は平坦位置)と比較して、-18μmであり得る。フィルム構造体110の厚さが5μmであると仮定すると、一例として、駆動信号DV3_2が0Vであるとき、ベント130Tは、13μm(18μm-5μm)の開口サイズで「開かれる」。
【0122】
図17に示すように、別のタイプの第2のモードにおいて、第1のフラップ112上に配置された第1の作動部122は、駆動信号DV3_3を受信する。駆動信号DV3_3に従って、第1の自由端FE1は、第1の位置及び平坦位置より上に移動して、ベント130Tを形成する。駆動信号DV3_3は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。いくつかの実施形態では、駆動信号DV3_3は、第3の閾値よりも高い定電圧であり得る。
【0123】
図18及び
図19を参照すると、
図18及び
図19は、本発明の第7の実施形態による異なるモードにおける通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図であり、
図18は、通気デバイス700の第1のモードを示し、
図19は、通気デバイス700の第2のモードを示す。
図15~
図17に示す通気デバイス600と比較して、
図18~
図19に示す通気デバイス700は、水平方向(例えば、方向X)においてフィルム構造体110(すなわち、第1のフラップ112)の側に配置され、フィルム構造体110に隣接する固定構造体210を更に含む。
図18及び
図19において、固定構造体210は、固定構造体210が移動するように作動され得ないように、通気デバイス700の動作中、固定化され得る。
【0124】
固定構造体210は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。例えば、
図18及び
図19に示すように、固定構造体210は、基体BS(例えば、基体BSの上面SH)に平行であり得るが、これに限定されない。
図18及び
図19に示すように、第1のフラップ112と固定構造体210との間にスリット130が形成され得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、上面図において、固定構造体210は、水平方向(例えば、方向X)において、第1のフラップ112の第1の自由端FE1(すなわち、第1の自由縁部)の全体又は第1の自由端FE1の一部に対応し得る。
図18に示すように、通気デバイス700が第1のモードにあるとき、第1のフラップ112の第1の自由端FE1と固定構造体210との間に間隙130Pが存在する(すなわち、間隙130Pは、スリット130のために形成される)。
図19に示すように、通気デバイス700が第2のモードにあるとき、第1のフラップ112の第1の自由端FE1と固定構造体210との間にベント130Tが形成される(すなわち、ベント130Tは、スリット130のために形成される)。
【0126】
(
図19に示すような)第2のモードでは、固定構造体210の存在により、第1のフラップ112の第1の自由端FE1と左側のアンカー構造体140との間の距離が拡大される。従って、ベント130Tの効果が高められ得、オクルージョン効果の抑制効果を高めることができる。
【0127】
図20を参照すると、
図20は、本発明の第8の実施形態による通気デバイスを示す上面図の概略図であり、
図20は、通気デバイス800の第1のモードを示す。
図18~
図19に示す通気デバイス700と比較して、
図20に示す通気デバイス800は、コントローラ160がベント130Tを閉じると決定する(すなわち、コントローラ160が通気デバイス800を第1のモードにすると決定する)と、フィルム構造体110を第1の位置に保持するように構成されたクランプ470を更に含む。従って、
図20に示すように、クランプ470は、フィルム構造体110の自由端FE(第1のフラップ112の第1の自由端FE1)が下方又は上方に移動するのを防止し得る。クランプ470の詳細な設計は、上記を参照することができ、重複する部分については説明を省略する。
【0128】
図20に示すように、クランプ470は、上から見てフィルム構造体110の横に配置され得、クランプ470は、フィルム構造体110を保持するために移動するように、又はフィルム構造体110を解放するように作動され得る。例えば、
図20において、クランプ470は、基体BS上に、第1のフラップ112の側縁部110S(すなわち、フィルム構造体110の側縁部)に隣接して配置され得、側縁部110Sは、第1の自由端FE1(すなわち、第1の自由縁部)に直接接続され得るが、これに限定されない。例えば、
図20において、クランプ470は、クランプ470が作動されると水平に移動し得るが、これに限定されない。例えば、
図20において、クランプ470は、水平方向(例えば、方向Y)に第1のフラップ112の側縁部110Sに向かって移動して第1のフラップ112を保持し得、クランプ470は、水平方向(例えば、方向Yとは反対の方向)に第1のフラップ112の側縁部110Sから離れて移動して第1のフラップ112を解放し得るが、これに限定されない。
図20において、通気デバイス800は、第1のフラップ112が下方及び上方に移動するのを防止するために、対向する2つの側縁部110Sにおいて第1のフラップ112を捕らえるための2つのクランプ470を有し得る。
【0129】
第1のモードから第2のモードへの移行では、クランプ470は、フィルム構造体110(すなわち、第1のフラップ112)の側縁部110Sから離れるように移動してフィルム構造体110を解放し(
図20では、通気デバイス800は、状態TU1から状態TU2に変化する)、その後、第2のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV3_2)をアクチュエータ120(例えば、第1の作動部122)に印加することによって、フィルム構造体110の自由端FE(例えば、第1のフラップ112の第1の自由端FE1)は、移動して下方に垂れ下がって、第1の位置及び平坦位置より下になる。
【0130】
逆に、第2のモードから第1のモードへ戻る移行では、アクチュエータ120(例えば、第1の作動部122)にモード変更駆動信号を印加することによって、フィルム構造体110の自由端FE(例えば、第1のフラップ112の第1の自由端FE1及び第2のフラップ114の第2の自由端FE2)が第1の位置まで上方に移動し、その後、クランプ470がフィルム構造体110の側縁部110Sに向かって移動してフィルム構造体110を第1の位置に保持する(
図20では、通気デバイス800は、状態TU2から状態TU1に変化する)。
【0131】
いくつかの実施形態では、クランプ470がフィルム構造体110を第1の位置に保持するので、第1のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV3_1)は、第1の位置に対応する駆動信号以下であり得る。例えば、第1のモードにおける通気デバイス800の電力消費を減少させる(例えば、第1のモードにおいて通気デバイス800によって消費される電力は、0.3μWであり得る)ために、第1のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV3_1)は、0V又は接地電圧であってもよいし、アクチュエータ120は、第1のモードにおいて浮遊しているが、これに限定されない。すなわち、クランプ470がフィルム構造体110を第1の位置に保持した後、アクチュエータ120に電圧は印加されず、ベント130Tは閉じられる(通気デバイス800は第1のモードにある)。
【0132】
この場合、通気デバイス800の電力消費を減少させるために、第1のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV3_1)及び第2のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV3_2)は0V又は接地電圧であってもよいし、アクチュエータ120は、第1のモード及び第2のモードにおいて浮動している。
【0133】
更に、いくつかの実施形態では、クランプ470がフィルム構造体110を第1の位置に保持した後、通気デバイス800の電力消費を減少させるために、クランプ470に電圧は印加されず、ベント130Tは閉じられる。いくつかの実施形態では、クランプ470がフィルム構造体110を解放した後、通気デバイス800の電力消費を減少させるために、クランプ470に電圧は印加されない。
【0134】
図21~
図23を参照すると、
図21~
図23は、本発明の第9の実施形態による異なるモードの通気デバイスのフィルム構造体110を示す断面図の概略図であり、
図21は、通気デバイス900の第2のモードを示し、
図23は、通気デバイス900の第1のモードを示し、
図22は、第1のモードと第2のモードとの間の移行を示す。
図18~
図19に示す通気デバイス700と比較して、
図21~
図23に示す通気デバイス900は、コントローラ160がベント130Tを閉じると決定する(すなわち、コントローラ160が通気デバイス900を第1のモードにすると決定する)と、フィルム構造体110を第1の位置に保持するように構成されたクランプ470を更に含む。従って、
図23に示すように、クランプ470は、フィルム構造体110の自由端FE(第1のフラップ112の第1の自由端FE1)が下方又は上方に移動するのを防止し得る。クランプ470の詳細な設計は、上記を参照することができ、重複する部分については説明を省略する。
【0135】
図21~
図23に示すように、クランプ470は、上から見てフィルム構造体110の横に配置され得、クランプ470は、フィルム構造体110を保持するために移動するように、又はフィルム構造体110を解放するように作動され得る。例えば、
図21~
図23において、クランプ470は、固定構造体210上に、フィルム構造体110の自由端FE(すなわち、第1のフラップ112の第1の自由端FE1)に隣接して配置され得る。例えば、
図21~
図23において、クランプ470は、クランプ470が作動されると水平に移動し得るが、これに限定されない。例えば、
図20において、クランプ470は、水平方向(例えば、方向X)にフィルム構造体110の自由端FEに向かって移動してフィルム構造体110を保持し、クランプ470は、水平方向(例えば、方向Xとは反対の方向)にフィルム構造体110の自由端FEから離れるように移動してフィルム構造体110を解放し得るが、これに限定されない。
図23において、クランプ470がフィルム構造体110を保持しているとき、クランプ470は、フィルム構造体110が下方に移動することを防止する。
【0136】
第2のモード(
図21)から第1のモード(
図23)への移行では、
図22に示すように、アクチュエータ120(例えば、第1の作動部122)にモード変更駆動信号DV3_Cを印加することによって、フィルム構造体110の自由端FE(例えば、第1のフラップ112の第1の自由端FE1)は、上方に移動して第1の位置より上になり得る。その後、
図23に示すように、アクチュエータ120に第1のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV3_1)を印加することによって、クランプ470は、フィルム構造体110の自由端FEに向かって移動し、フィルム構造体110の自由端FEは、第1の位置まで下方に移動し、その結果、クランプ470は、フィルム構造体110を第1の位置に保持し得る。
【0137】
逆に、第1のモード(
図23)から第2のモード(
図21)への移行では、アクチュエータ120(例えば、第1の作動部122)にモード変更駆動信号DV3_Cを印加することによって、フィルム構造体110の自由端FE(例えば、第1のフラップ112の第1の自由端FE1)は、上方に移動して第1の位置より上になり得る。その後、アクチュエータ120に第2のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV3_2)を印加することによって、クランプ470は、フィルム構造体110の自由端FEから離れるように移動し得、フィルム構造体110の自由端FEは、下方に垂れ下がって第1の位置及び平坦位置より下になり得る。
【0138】
例えば、クランプ470がフィルム構造体110を第1の位置に保持するので、第1のモードにおいて通気デバイス900の電力消費を減少させる(例えば、第1のモードで通気デバイス900によって消費される電力は0.3μWであり得る)ために、第1のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV3_1)は0V又は接地電圧であってもよし、アクチュエータ120は、第1のモードにおいて浮遊しているが、これに限定されない。すなわち、クランプ470がフィルム構造体110を第1の位置に保持した後、アクチュエータ120に電圧は印加されず、ベント130Tは閉じられる(通気デバイス900は第1のモードにある)。
【0139】
この場合、通気デバイス900の電力消費を減少させるために、第1のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV3_1)及び第2のモード駆動信号(例えば、駆動信号DV3_2)は、0V又は接地電圧であってもよいし、アクチュエータ120は、第1のモード及び第2のモードにおいて浮遊している。
【0140】
更に、いくつかの実施形態では、クランプ470がフィルム構造体110を第1の位置に保持した後、通気デバイス900の電力消費を減少させるために、クランプ470に電圧は印加されず、ベント130Tは閉じられる。いくつかの実施形態では、クランプ470がフィルム構造体110を解放した後、通気デバイス900の電力消費を減少させるために、クランプ470に電圧は印加されない。
【0141】
図24を参照すると、
図24は、本発明の第10の実施形態による通気デバイスのフィルム構造体を示す断面図の概略図であり、
図21は、通気デバイス1000の第2のモードを示す。
図1~
図5に示す通気デバイス100と比較して、
図24に示す通気デバイス1000は、同じアンカー構造体140又は異なるアンカー構造体140によって固定された複数のフィルム構造体110を有する。第1のモードでは、フィルム構造体110は、第1の位置に移動し、第1の位置として維持され得る。第2のモードでは、フィルム構造体110は、下方に屈曲し、第1の位置及び平坦位置より下になり得る。複数のフィルム構造体110は、同じチップCPに集積されて得るか、又は異なるチップCPに属し得る(例えば、
図24において、複数のフィルム構造体110は、異なるチップCPに属している)ことに留意されたい。
【0142】
図24に示す第2のモードでは、複数の小さなベント130TSがフィルム構造体110によって形成され得る。第2のモードにおけるスリット130の対向する2つの側壁の間に形成される小さいベント130TSの幅は、第1のモードにおけるスリット130の対向する2つの側壁の間に存在する間隙130Pの幅よりも大きい。通気デバイス1000は、複数のフィルム構造体110を有し、複数の小さいベント130TSを形成するので、
図24に示す複数の小さいベント130TSの効果は、他の実施形態の1つのベント130Tの効果と同等である。従って、オクルージョン効果は、
図24に示す第2のモードにある通気デバイス1000によって抑制されるであろう。
【0143】
更に、フィルム構造体110は下方に屈曲し得るので、駆動信号DV1_2及び駆動信号DV2_2は、0V又は接地電圧であってもよいし、第1の作動部122及び第2の作動部124は、浮遊であってもよいが、これに限定されない。従って、第2のモードにおける通気デバイス1000の電力消費が低減される。
【0144】
要約すると、スリットの存在により、通気デバイスは、オクルージョン効果を抑制するためにベントを形成するか、又は音響トランスデューサに高性能で音響変換を実行させるためにベントを閉じ得る。すなわち、スリットは、通気デバイスの動的フロントベントとして機能する。
【0145】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、デバイス及び方法の多数の修正及び変更を行うことができることを容易に観測するであろう。従って、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界によってのみ限定されると解釈されるべきである。