(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138428
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス材料およびその素子
(51)【国際特許分類】
C07D 405/14 20060101AFI20230922BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20230922BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20230922BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20230922BHJP
【FI】
C07D405/14 CSP
C09K11/06 690
C09K11/06 660
H10K50/12
H10K85/60
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038502
(22)【出願日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】202210262961.4
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519333413
【氏名又は名称】北京夏禾科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】李 鋒
(72)【発明者】
【氏名】王 陽
(72)【発明者】
【氏名】楊 剛
(72)【発明者】
【氏名】姚 剣飛
(72)【発明者】
【氏名】▲クアン▼ 志遠
(72)【発明者】
【氏名】夏 伝軍
【テーマコード(参考)】
3K107
4C063
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB07
3K107BB08
3K107CC04
3K107CC21
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD64
3K107DD67
3K107DD68
4C063AA03
4C063BB06
4C063CC76
4C063DD43
4C063EE10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有機エレクトロルミネッセンス素子におけるホスト材料、輸送材料などとして用いられることで、より良好な素子の性能、特に向上した素子の耐用年数を提供可能な、新規な化合物を提供する。
【解決手段】有機エレクトロルミネッセンス材料は、式1で表される構造を有する化合物である。本発明は、該化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子、および該化合物を含む化合物組成物をさらに開示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1で表される構造を有する、化合物。
【化1】
(Xは、O、SまたはSeから選ばれ、
X
1~X
6は、出現毎に同一または異なってCR
xまたはNから選ばれ、
Z
1~Z
8は、出現毎に同一または異なってC、CR
zまたはNから選ばれ、且つZ
1~Z
4のうちの1つは、Cから選ばれ、L
2に結合し、
Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
L
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~16のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
L
2は、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
R
yは、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換または無置換を表し、
R
xおよびR
zは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
R
yは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
xは、結合して環を形成していてもよく、
隣り合う置換基R
yは、結合して環を形成していてもよく、
隣り合う置換基R
zは、結合して環を形成していてもよい。)
【請求項2】
Xは、OまたはSから選ばれ、好ましくは、Xは、Oである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
X1~X6は、出現毎に同一または異なってCRxから選ばれ、および/またはZ1~Z8は、出現毎に同一または異なってCまたはCRzから選ばれ、且つZ1~Z4のうちの1つは、Cから選ばれ、L2に結合する、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
L1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基から選ばれ、
好ましくは、L1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換のフェニレン基、置換または非置換のビフェニレン基、置換または非置換のナフチレン基、またはこれらの組合せから選ばれる、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
L2は、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
好ましくは、L2は、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換のフェニレン基、置換または非置換のビフェニレン基、置換または非置換のナフチレン基、置換または非置換のピリジレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
より好ましくは、L2は、出現毎に同一または異なって単結合またはフェニレン基から選ばれる、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項6】
Rx、RyおよびRzは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
好ましくは、Rx、RyおよびRzは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のピリジン基、置換または非置換のナフタレン基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のテルフェニル基、置換または非置換のトリフェニレン基、置換または非置換のフルオレン基、置換または非置換のカルバゾール基、置換または非置換のジベンゾフラン基、置換または非置換のジベンゾチオフェン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項7】
Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~20のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
好ましくは、Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のナフタレン基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のテルフェニル基、置換または非置換のトリフェニレン基、置換または非置換のフルオレン基、置換または非置換のカルバゾール基、置換または非置換のジベンゾフラン基、置換または非置換のジベンゾチオフェン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物は、以下の化合物からなる群から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
(上記化合物A-1~化合物A-262における水素は、一部または全部重水素化されていてもよい。)
【請求項9】
陽極と、陰極と、前記陽極と陰極との間に設けられた有機層とを含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層のうちの少なくとも1層は、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
前記化合物を含む有機層は、発光層であり、
前記化合物は、ホスト化合物であり、
前記発光層には、少なくとも第1金属錯体が含まれる、請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
前記第1金属錯体は、M(L
a)
m(L
b)
n(L
c)
qの一般式を有する、請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(金属Mは、相対原子質量が40を超える金属から選ばれ、
配位子L
a、L
bおよびL
cは、それぞれ前記金属Mと配位する第1配位子、第2配位子および第3配位子であり、配位子L
a、L
bおよびL
cは、同一または異なってもよく、
配位子L
a、L
bおよびL
cは、結合して多座配位子を形成していてもよく、
mは1、2または3であり、nは0、1または2であり、qは0、1または2であり、m、n、qの和は、金属Mの参加状態に等しく、mが2以上である場合、複数のL
aは、同一または異なってもよく、nが2である場合、2つのL
bは、同一または異なってもよく、qが2である場合、2つのL
cは、同一または異なってもよく、
配位子L
aは、式2で表される構造を有し、
【化33】
環C
1および環C
2は、出現毎に同一または異なって環原子数5~30の芳香族環、環原子数5~30のヘテロ芳香族環、またはこれらの組合せから選ばれ、
Q
1およびQ
2は、出現毎に同一または異なってCまたはNから選ばれ、
R
11およびR
12は、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換または無置換を表し、
R
11およびR
12は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
11、R
12は、結合して環を形成していてもよく、
配位子L
bおよびL
cは、出現毎に同一または異なってモノアニオン性2座配位子から選ばれ、
好ましくは、前記配位子L
bおよびL
cは、出現毎に同一または異なって
【化34】
からなる群から選ばれ、
R
aおよびR
bは、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換、または無置換を表し、
X
bは、出現毎に同一または異なってO、S、Se、NR
N1およびCR
C1R
C2からなる群から選ばれ、
X
cおよびX
dは、出現毎に同一または異なってO、S、SeおよびNR
N2からなる群から選ばれ、
R
a、R
b、R
c、R
N1、R
N2、R
C1およびR
C2は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
a、R
b、R
c、R
N1、R
N2、R
C1およびR
C2は、結合して環を形成していてもよい。)
【請求項12】
前記発光層には、第2ホスト化合物がさらに含まれ、前記第2ホスト化合物は、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、カルバゾール、アザカルバゾール、インドロカルバゾール、ジベンゾチオフェン、アザジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アザジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、フルオレン、シリコンフルオレン、ナフタレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、フェナントレン、アザフェナントレン、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1種の化学基を含み、
好ましくは、前記第2ホスト化合物は、ベンゼン、カルバゾール、インドロカルバゾール、フルオレン、シリコンフルオレン、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1種の化学基を含む、請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項13】
第2ホスト化合物は、式3または式4で表される構造を有する、請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化35】
(Gは、出現毎に同一または異なってC(R
g)
2、NR
g、OまたはSから選ばれ、
L
Tは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
Tは、出現毎に同一または異なってC、CR
tまたはNから選ばれ、
R
t、R
gは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
Ar
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
隣り合う置換基R
t、R
gは、結合して環を形成していてもよく、
好ましくは、前記第2ホスト化合物は、式3-a~式3-j、式4-a~式4-fのうちの1つで表される構造を有し、
【化36】
式3-a~式3-j中、T、L
T、Ar
1の定義は、式3におけるものと同様な定義を有し、
式4-a~式4-f中、T、G、L
T、Ar
1の定義は、式4におけるものと同様な定義を有する。)
【請求項14】
請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物を含む、化合物組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子などの有機電子素子に用いられる化合物に関する。より特に、式1で表される構造を有するヘテロ環化合物、該化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子、および該化合物を含む化合物組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電子素子は、有機発光ダイオード(OLEDs)、有機電界効果トランジスタ(O-FETs)、有機発光トランジスタ(OLETs)、有機起電セル(OPVs)、色素-増感太陽電池(DSSCs)、有機光検出器、有機感光装置、有機電界効果素子(OFQDs)、発光電気化学セル(LECs)、有機レーザダイオードおよび有機プラズマ発光素子を含むが、それに限定されない。
【0003】
1987年、イーストマンコダック(Eastman Kodak)のTangおよびVan Slykeにより、電子輸送層および発光層として、アリールアミン正孔輸送層とトリス-8-ヒドロキシキノリン-アルミニウム層とを含む二層有機エレクトロルミネセント素子が報道されている(Applied Physics Letters、1987、51(12):913~915)。素子に対してバイアスが一旦印加されると、緑色光が素子から発射される。この発明は、現代の有機発光ダイオード(OLEDs)の発展に対する基礎を築き上げている。最も先進的なOLEDsは、電荷注入・輸送層、電荷・励起子ブロッキング層、および陰極と陽極との間の1つまたは複数の発光層などの複数の層を含んでもよい。OLEDsは、自発光性ソリッドステート素子であるので、表示および照明の適用に対して極めて大きな潜在力を提供している。また、有機材料の固有な特性、例えばそれらの可撓性は、可撓性基板で行った製造などの特殊な適用に非常に適合するようになっている。
【0004】
OLEDは、その発光メカニズムに応じて、3種の異なるタイプに分けられている。Tangおよびvan Slykeにより発明されたOLEDは、蛍光OLEDであり、一重項発光のみを使用する。素子において生成した三重項が非輻射減衰通路により浪費され、蛍光OLEDの内部量子効率(IQE)が25%に過ぎないため、この制限はOLEDの商業化を妨害している。1997年、ForrestおよびThompsonにより、錯体含有重金属からの三重項発光を発光体として用いるりん光OLEDが報道されている。そのため、一重項および三重項を収穫し、100%のIQEを実現することができる。その効率が高いため、りん光OLEDの発見および発展は、直接的にアクティブマトリクスOLED(AMOLED)の商業化に貢献する。最近、Adachiは、有機化合物の熱活性化遅延蛍光(TADF)によって高効率を実現している。これらの発光体は、小さい一重項-三重項ギャップを有するため、励起子が三重項から一重項に戻るトランジションが可能となる。TADF素子において、三重項励起子がリバースシステム間で貫通すること(逆項間交差)によって一重項励起子を生成することに起因してIQEが高くなっている。
【0005】
OLEDsは、さらに、所用材料の形態に応じて、小分子とポリマーOLEDに分けられてもよい。小分子とは、ポリマーではない、有機または有機金属のいずれかの材料を指し、精確な構造を有すれば、小分子の分子量が大きくてもよい。明確な構造を有するデンドリマーは、小分子と認められている。ポリマーOLEDは、共役ポリマーと、側鎖の発光基を有する非共役ポリマーとを含む。製造過程において後重合を発生すると、小分子OLEDがポリマーOLEDになり得る。
【0006】
様々なOLEDの製造方法が公知されている。小分子OLEDは、一般的に、真空熱蒸発により製造されるものである。ポリマーOLEDは、例えばスピンコート、インクジェット印刷およびノズル印刷などの溶液法により製造されるものである。材料が溶剤に溶解または分散することが可能であれば、小分子OLEDも溶液法により製造されることができる。
【0007】
OLEDの発光色は、発光材料の構造設計により実現することができる。OLEDは、所望のスペクトルを実現するように、1つまたは複数の発光層を含んでもよい。緑色、黄色、赤色OLEDにおいて、りん光材料は、既に商業化の実現に成功したが、青色のりん光素子には、依然として、青色が飽和せず、耐用年数が短く、作業電圧が高いなどの問題が存在する。市販のフルカラーOLEDディスプレイは、一般的に混合策略を用い、青色の蛍光、および黄色、赤色または緑色のりん光を用いる。現在、りん光OLEDの効率が高輝度の場合に急速に低下するという問題が存在する。また、より飽和した発光スペクトル、より高い効率、およびより長いデバイス耐用年数を有することが望まれている。
【0008】
CN113227085Aでは、下記式で表される有機化合物、および前記化合物を含む有機発光素子が開示されている。
【0009】
【化1】
(ただし、Ar
2およびAr
3は、それぞれ独立して水素、または置換または非置換のC
6-60アリール基であり、Lは、フェニレン基、ビフェニルジイル基、テルフェニルジイル基、ナフタレンジイル基、またはナフタレン基で置換されたフェニレン基である。)
【0010】
該出願では、具体的な構造のうち、以下の化合物が開示されている。
【0011】
【0012】
該出願では、直接結合されたジベンゾチオフェン基を有しなければならないトリアジン骨格化合物が開示されているが、本願に係る式1で表される構造を有する化合物、および有機エレクトロルミネッセンス素子における使用が開示、教示されていない。
【0013】
WO2019190101A1では、発光層には、下記構造一般式を有する有機化合物が含まれる有機発光素子が開示されている。
【0014】
【化3】
(ただし、X
2は、N-L
6-Ar
7、O、S、またはCR’R’’である。)
【0015】
該化合物は、以下の第二級の一般式構造を有してもよいことがさらに開示されている。
【0016】
【0017】
該出願では、具体的な構造のうち、以下の化合物が開示されている。
【0018】
【0019】
該出願では、本願に係る式1で表される構造を有する化合物が開示、教示されておらず、特に、L3またはL5によってトリアジンに結合されたジフェニル5員環の1位に置換または非置換のフェニル基を有する化合物、および有機エレクトロルミネッセンス素子における使用が開示、教示されていない。
【0020】
US20190198775A1では、以下の一般式構造を有する化合物を含む組合せが開示されており、
【化7】
且つ、Ar
1~Ar
3のうちの少なくとも1つは、以下の構造を有する。
【化8】
【0021】
該化合物は、以下の第二級の一般式構造を有してもよいことがさらに開示されている。
【0022】
【0023】
そのうち、開示された具体的な構造は、以下の通りである。
【0024】
【0025】
該出願では、ジベンゾ5員ヘテロ環およびトリアジン構造を同時に有する化合物がたくさん開示されているが、本願に係る式1で表される構造を有する化合物、素子の性能に対する影響が開示、教示されていない。
【0026】
CN108250189Aでは、下記式で表される有機化合物、および前記化合物を含む有機発光素子が開示されている。
【0027】
【化12】
(ただし、Xは、O、SまたはSiR
5R
6であり、R
1a~R
4aは、それぞれ独立してL
1-HAr
1またはA
1であり、R
1a~R
4aのうちの少なくとも1以上は、L
1-HAr
1であり、R
1b~R
4bは、それぞれ独立してL
2-HAr
2またはA
2であり、R
1b~R
4bのうちの少なくとも1以上は、L
2-HAr
2であり、HAr
1およびHAr
2は、それぞれ独立して
【化13】
であってもよく、且つX
1~X
3のうちの少なくとも2つは、Nから選ばれる。)
【0028】
該出願では、具体的な構造のうち、以下の化合物が開示されている。
【0029】
【0030】
該出願では、本願に係る式1で表される構造を有する化合物が開示、教示されておらず、特に、ジベンゾフランの1位が置換または非置換のフェニル基である化合物、および素子の性能に対する影響が開示、教示されていない。
【0031】
CN110294703Aでは、化学式1と化学式2の組合せで表される化合物、および前記化合物を含む有機発光素子が開示されている。
【0032】
【化16】
(ただし、X
1およびX
2は、独立してOまたはSであり、化学式1における隣り合う2つの*は、化学式2における*に結合する。)
【0033】
該出願では、具体的な構造のうち、以下の化合物が開示されている。
【0034】
【0035】
該出願では、本願に係る式1で表される構造を有する化合物、素子の性能に対する影響が開示、教示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】CN113227085A
【特許文献2】WO2019190101A1
【特許文献3】US20190198775A1
【特許文献4】CN108250189A
【特許文献5】CN110294703A
【非特許文献】
【0037】
【非特許文献1】Applied Physics Letters、1987、51(12):913~915
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
本発明は、上述した問題の少なくとも一部を解決するために、式1で表される構造を有する一連のヘテロ環化合物を提供することを目的とする。これらの新規な化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子に適用されることができ、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子におけるホスト材料、輸送材料などとして用いられることで、より良好な素子の性能、特に、向上した素子の耐用年数を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明の一実施例によれば、式1で表される構造を有する化合物が開示される。
【0040】
【化19】
(Xは、O、SまたはSeから選ばれ、
X
1~X
6は、出現毎に同一または異なってCR
xまたはNから選ばれ、
Z
1~Z
8は、出現毎に同一または異なってC、CR
zまたはNから選ばれ、且つZ
1~Z
4のうちの1つは、Cから選ばれ、L
2に結合し、
Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
L
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~16のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
L
2は、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
R
yは、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換または無置換を表し、
R
xおよびR
zは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
R
yは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
xは、結合して環を形成していてもよく、
隣り合う置換基R
yは、結合して環を形成していてもよく、
隣り合う置換基R
zは、結合して環を形成していてもよい。)
【0041】
本発明の他の実施例によれば、陽極と、陰極と、前記陽極と陰極との間に設けられた有機層とを含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層のうちの少なくとも1層は、上記実施例に記載された化合物を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子が開示される。
【0042】
本発明の他の実施例によれば、上記実施例に記載された化合物を含む化合物組成物がさらに開示される。
【0043】
本発明は、式1で表される構造を有する一連のヘテロ環化合物を開示する。これらの新規な化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子に適用されることができ、より良好な素子の性能、特に、向上した素子の耐用年数を提供することができ、素子の綜合性能を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明に係る化合物および化合物組成物を含んでもよい有機発光装置の模式図である。
【
図2】本発明に係る化合物および化合物組成物を含んでもよい他の有機発光装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
OLEDは、ガラス、プラスチック、および金属などの様々な基板で製造することができる。
図1は、有機発光装置100を例示的に制限せずに示している。図面に対して、必ずしも縮尺どおりに製作するわけではなく、図において、必要に応じて一部の層構造を省略してもよい。装置100には、基板101、陽極110、正孔注入層120、正孔輸送層130、電子ブロッキング層140、発光層150、正孔ブロッキング層160、電子輸送層170、電子注入層180および陰極190が含まれてもよい。装置100は、記載される層を順に堆積することにより製造されてもよい。各層の性質、機能および例示的な材料については、米国特許US7279704B2の第6~10欄においてより詳細に記載されており、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【0046】
これらの層のそれぞれには、より多くの実例がある。例示的には、全文を援用するように組み込まれた米国特許第5844363号において、可撓性で透明な基板-陽極の組合せが開示されている。例えば、全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2003/0230980号において、p型ドープの正孔輸送層の実例は50:1のモル比でF4-TCNQがドーピングされたm-MTDATAであることが開示されている。全文を援用するように組み込まれた、トンプソン(Thompson)らによる米国特許第6303238号において、ホスト材料の実例が開示されている。例えば、全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2003/0230980号において、n型ドープの電子輸送層の実例は1:1のモル比でLiがドーピングされたBPhenであることが開示されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許第5703436号および第5707745号において、例えばMg:Agなどの金属薄層と、その上に被覆された、スパッタ堆積された透明な導電ITO層とを有する複合陰極を含む陰極の実例が開示されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許第6097147号および米国特許出願公開第2003/0230980号において、より詳細に、ブロッキング層の原理と使用が記載されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2004/0174116号において注入層の実例が提供されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2004/0174116号において、保護層が記載されている。
【0047】
非限定的な実施例により上述した分層構造が提供される。上述した各種の層を組み合わせることによってOLEDの機能が実現することができ、或いは、一部の層を完全に省略することができる。それは、明確に記載されていない他の層を含んでもよい。それぞれの層内に、最適な性能を実現するように、単一の材料または多種の材料の混合物を使用することができる。機能層はいずれも、複数なサブ層を含んでもよく、例えば、発光層は、所望の発光スペクトルを実現するように、2層の異なる発光材料を有してもよい。
【0048】
一実施例において、OLEDは、陰極と陽極との間に設けられた「有機層」を有すると記載されてもよい。当該有機層は、1つまたは複数の層を含んでもよい。
【0049】
OLEDにもカプセル化層が必要であり、
図2に示すように、有機発光装置200が例示的に制限せずに示されている。
図1との相違点は、水分および酸素などの外界からの有害物質を防止するように、陰極190上にカプセル化層102を含んでもよい。ガラス、または有機-無機混合層などのカプセル化機能を提供可能ないかなる材料も、カプセル化層として用いられてもよい。カプセル化層は、OLED素子の外部に、直接または間接的に配置されるべきである。多層薄膜カプセル化については、米国特許US7968146B2において記載されており、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【0050】
本発明の実施例により製造される素子は、当該素子の1つまたは複数の電子部材モジュール(或いは、ユニット)を有する各種の消費製品に組み込まれてもよい。これらの消費製品は、例えば、フラットパネルディスプレイ、モニタ、医療用モニタ、テレビ、ビルボード、室内または室外用照明ランプおよび/または信号ランプ、ヘッドアップディスプレイ、全部または一部透明のディスプレイ、可撓性ディスプレイ、スマートフォン、フラットパネルコンピューター、フラットパネル携帯電話、ウェアラブル素子、スマートウォッチ、ラップトップコンピューター、デジタルカメラ、携帯型ビデオカメラ、ファインダー、マイクロディスプレイ、3-Dディスプレイ、車載ディスプレイおよびテールライトを含む。
【0051】
本明細書に記載される材料および構造は、上述にて列挙されている他の有機電子素子にも用いられてもよい。
【0052】
「頂部」とは、基板から最も遠く、「底部」とは、基板から最も近いことを意味する。第1層が第2層「上」に設けられていると記載されている場合、第1層が基板から相対的に遠いように設けられている。第1層が第2層「と」「接触する」ことを規定していない限り、第1層と第2層との間に他の層が存在してもよい。例示的には、陰極と陽極との間に各種の有機層が存在しても、依然として、陰極が陽極「上」に設けられていると記載されることができる。
【0053】
「溶液が処理可能である」とは、溶液または懸濁液の形態で液体媒体に溶解、分散または輸送可能であり、および/または液体媒体から堆積可能であることを意味する。
【0054】
配位子は、直接的に発射材料の感光性質を促成すると、「感光性」と呼ばれてもよいことが信じられている。配位子は、発射材料の感光性質を促成しないと、「補助性」と呼ばれてもよい。しかし、補助性の配位子は、感光性配位子の性質を変更することができることが信じられている。
【0055】
蛍光OLEDの内部量子効率(IQE)は、遅延蛍光の存在によって25%のスピン統計による制限を超えてもよいことが信じられている。遅延蛍光は、一般的に2つのタイプ、すなわちP型遅延蛍光およびE型遅延蛍光に分けられてもよい。P型遅延蛍光は、三重項-三重項消滅(TTA)により生成される。
【0056】
一方、E型遅延蛍光は、2つの三重項の衝突ではなく、三重項と一重項との励起状態の変換に依存する。E型遅延蛍光を生成可能な化合物は、エネルギー状態の変換を行うように、極めて小さい一重項-三重項ギャップを有することが必要である。熱エネルギーは、三重項から一重項までの遷移を活性化することができる。このようなタイプの遅延蛍光は、熱活性化遅延蛍光(TADF)とも呼ばれる。TADFの顕著な特徴は、遅延成分が温度の上昇と伴って向上することにある。リバースシステム(RISC)間の貫通(逆項間交差)の速度が十分に速いと、三重項からの非輻射減衰を最小化させ、バックフィルした一重項の励起状態の割合は75%に達することができる。一重項の合計割合は100%であってもよく、エレクトロによる励起子のスピン統計の25%をはるかに超えている。
【0057】
E型遅延蛍光の特徴は、励起複合物系または単一の化合物から見える。理論に限定されず、E型遅延蛍光は、発光材料が小さい一重項-三重項エネルギーギャップ(ΔES-T)を有する必要がある。有機非金属含有の供与体・受容体発光材料は、この点を実現する可能性がある。これらの材料の発射は、通常、供与体・受容体電荷遷移(CT)型発射であると特徴付けられる。これらの供与体・受容体型化合物において、HOMOとLUMOとの空間分離は、一般的に小さいΔES-Tを生成することになる。これらの状態は、CT状態を含んでもよい。通常、供与体・受容体発光材料は、電子供与体部分(例えば、アミン基またはカルバゾール誘導体)と電子受容体部分(例えば、N含有の六員芳香族環)を結合することにより構築される。
【0058】
置換基の専門用語の定義について
【0059】
ハロゲンまたはハロゲン化物とは、本明細書に用いられるように、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。
【0060】
アルキル基とは、本明細書に用いられるように直鎖および分岐鎖のアルキル基を含む。アルキル基は、炭素原子数1~20のアルキル基であってもよく、炭素原子数1~12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~6のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基の実例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、ネオペンチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-ペンチルヘキシル、1-ブチルペンチル、1-ヘプチルオクチル、および3-メチルペンチルを含む。そのうち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチルおよびn-ヘキサンであることが好ましい。また、アルキル基は、置換されていてもよい。
【0061】
シクロアルキル基とは、本明細書に用いられるように環状のアルキル基を含む。シクロアルキル基は、環炭素原子数3~20のシクロアルキル基であってもよく、炭素原子数4~10のシクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の実例は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、4,4-ジメチルシクロヘキシル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ノルボルニル基、2-ノルボルニル基などを含む。そのうち、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、4,4-ジメチルシクロヘキシルであることが好ましい。また、シクロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0062】
ヘテロアルキル基とは、本明細書に用いられるように、アルキル鎖のうちの1つまたは複数の炭素が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、リン原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれるヘテロ原子で置換されてなる。ヘテロアルキル基は、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基であってもよく、炭素原子数1~10のヘテロアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~6のヘテロアルキル基であることがより好ましい。ヘテロアルキル基の実例は、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、エチルチオエチル基、メトキシメトキシメチル基、エトキシメトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メルカプトメチル基、メルカプトエチル基、メルカプトプロピル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、ジメチルアミノメチル基、トリメチルゲルマニウムメチル基、トリメチルゲルマニウムエチル基、トリメチルゲルマニウムイソプロピル基、ジメチルエチルゲルマニウムメチル基、ジメチルイソプロピルゲルマニウムメチル基、tert-ブチルジメチルゲルマニウムメチル基、トリエチルゲルマニウムメチル基、トリエチルゲルマニウムエチル基、トリイソプロピルゲルマニウムメチル基、トリイソプロピルゲルマニウムエチル基、トリメチルシリルメチル基、トリメチルシリルエチル基、トリメチルシリルイソプロピル基、トリメチルシリルイソプロピル基、トリイソプロピルシリルメチル基、トリイソプロオイルシリルエチル基。また、ヘテロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0063】
アルケニル基とは、本明細書に用いられるように、直鎖、分岐鎖および環状オレフィン基を含む。鎖状のアルケニル基は、炭素原子数2~20のアルケニル基であってもよく、炭素原子数2~10のアルケニル基であることが好ましい。アルケニル基の例は、ビニル基、プロピレン基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、1-メチルビニル基、スチリル基、2,2-ジフェニルビニル基、1,2-ジフェニルビニル基、1-メチルアリル基、1,1-ジメチルアリル基、2-メチルアリル基、1-フェニルアリル基、2-フェニルアリル基、3-フェニルアリル基、3,3-ジフェニルアリル基、1,2-ジメチルアリル基、1-フェニル-1-ブテニル基、3-フェニル-1-ブテニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、シクロオクテニル基、シクロオクタテトラエニル基およびノルボルニルアルケニル基を含む。また、アルケニル基は、置換されていてもよい。
【0064】
アルキニル基とは、本明細書に用いられるように、直鎖のアルキニル基を含む。アルキニル基は、炭素原子数2~20のアルキニル基であってもよく、炭素原子数2~10のアルキニル基であることが好ましい。アルキニル基の実例は、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3,3-ジメチル-1-ブチニル基、3-エチル-3-メチル-1-ペンチニル基、3,3-ジイソプロピル1-ペンチニル基、フェニルエチニル基、フェニルプロピニル基などを含む。そのうち、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、フェニルエチニル基であることが好ましい。また、アルキニル基は、置換されていてもよい。
【0065】
アリール基または芳香族基とは、本明細書に用いられるように、非縮合および縮合系を考慮する。アリール基は、炭素原子数6~30のアリール基であってもよく、炭素原子数6~20のアリール基であることが好ましく、炭素原子数6~12のアリール基であることがより好ましい。アリール基の例は、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、およびアズレンを含み、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニレン、フルオレンおよびナフタレンであることが好ましい。非縮合アリール基の例は、フェニル、ビフェニル-2-イル、ビフェニル-3-イル、ビフェニル-4-イル、p-ターフェニル-4-イル、p-ターフェニル-3-イル、p-トリビフェニル-2-イル、m-ターフェニル-4-イル、m-ターフェニル-3-イル、m-ターフェニル-2-イル、o-トリル、m-トリル、p-トリル、p-(2-フェニルプロピル)フェニル、4’-メチルビフェニル、4’’-tert-ブチル-p-ターフェニル-4-イル、o-クミル、m-クミル、p-クミル、2,3-キシリル、3,4-キシリル、2,5-ジメチルフェニル、メシチレンおよびm-テトラフェニルを含む。また、アリール基は、置換されていてもよい。
【0066】
複素環基または複素環とは、本明細書に用いられるように、非芳香族の環状基を考慮する。非芳香族複素環基は、環原子数3~20の飽和複素環基および環原子数3~20の不飽和非芳香族複素環基を含み、そのうちの少なくとも1つの環原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれ、非芳香族複素環基は、環原子数3~7のものであることが好ましく、窒素、酸素、ケイ素または硫黄などの少なくとも1つのヘテロ原子を含む。非芳香族複素環基の実例は、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキソペンチル、ジオキサニル、アジリジニル、ジヒドロピロール、テトラヒドロピロリル、ピペリジニル、オキサゾリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、オキサシクロヘプタトリエニル、チアシクロヘプタトリエニル、アザシクロヘプタトリエニルおよびテトラヒドロシロールを含む。また、複素環基は、置換されていてもよい。
【0067】
ヘテロアリール基とは、本明細書に用いられるように、ヘテロ原子数1~5の非縮合および縮合ヘテロ芳香族基を含んでもよく、そのうちの少なくとも1つのヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれる。イソアリール基とは、ヘテロアリール基も指す。ヘテロアリール基は、炭素原子数3~30のヘテロアリール基であってもよく、炭素原子数3~20のヘテロアリール基であることが好ましく、炭素原子数3~12のヘテロアリール基であることがより好ましい。好適なヘテロアリール基は、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリドインドール、ピロロピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インデノアジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、ベンゾフランピリジン、フランジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノビピリジン、ベンゾセレノピリジン、およびセレンベンゾピリジンを含み、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、1,2-アザボラン、1,3-アザボラン、1,4-アザボラン、ボラゾールおよびそのアザ類似物を含むことが好ましい。また、ヘテロアリール基は、置換されていてもよい。
【0068】
アルコキシ基とは、本明細書に用いられるように、-O-アルキル基、-O-シクロアルキル基、-O-ヘテロアルキル基または-O-複素環基で表される。アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基および複素環基の例および好ましい例は、上記例と同様である。アルコキシ基は、炭素原子数1~20のアルコキシ基であってもよく、炭素原子数1~6のアルコキシ基であることが好ましい。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、メトキシプロピルオキシ、エトキシエチルオキシ、メトキシメチルオキシおよびエトキシメチルオキシを含む。また、アルコキシ基は、置換されていてもよい。
【0069】
アリールオキシ基とは、本明細書に用いられるように、-O-アリール基または-O-ヘテロアリール基で表される。アリール基およびヘテロアリール基の例および好ましい例は、上記例と同様である。アリールオキシ基は、炭素原子数6~30のアリールオキシ基であってもよく、炭素原子数6~20のアリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例は、フェノキシおよびビフェノキシを含む。また、アリールオキシ基は、置換されていてもよい。
【0070】
アラルキル基とは、本明細書に用いられるように、アリール基で置換されたアルキル基を含む。アラルキル基は、炭素原子数7~30のアラルキル基であってもよく、炭素原子数7~20のアラルキル基であることが好ましく、炭素原子数7~13のアラルキル基であることがより好ましい。アラルキル基の例は、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルイソプロピル、2-フェニルイソプロピル、フェニル-tert-ブチル、α-ナフチルメチル、1-α-ナフチルエチル、2-α-ナフチルエチル、1-α-ナフチルイソプロピル、2-α-ナフチルイソプロピル、β-ナフチルメチル、1-β-ナフチル-エチル、2-β-ナフチル-エチル、1-β-ナフチルイソプロピル、2-β-ナフチルイソプロピル、p-メチルベンジル、m-メチルベンジル、o-メチルベンジル、p-クロロベンジル、m-クロロベンジル、o-クロロベンジル、p-ブロモベンジル、m-ブロモベンジル、o-ブロモベンジル、p-ヨードベンジル、m-ヨードベンジル、o-ヨードベンジル、p-ヒドロキシベンジル、m-ヒドロキシベンジル、o-ヒドロキシベンジル、p-アミノベンジル、m-アミノベンジル、o-アミノベンジル、p-ニトロベンジル、m-ニトロベンジル、o-ニトロベンジル、p-シアノベンジル、m-シアノベンジル、o-シアノベンジル、1-ヒドロキシ-2-フェニルイソプロピルおよび1-クロロ-2-フェニルイソプロピルを含む。そのうち、ベンジル、p-シアノベンジル、m-シアノベンジル、o-シアノベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルイソプロピルおよび2-フェニルイソプロピルであることが好ましい。また、アラルキル基は、置換されていてもよい。
【0071】
アルキルシリル基とは、本明細書に用いられるように、アルキル基で置換されたシリル基を含む。アルキルシリル基は、炭素原子数3~20のアルキルシリル基であってもよく、炭素原子数3~10のアルキルシリル基であることが好ましい。アルキルシリル基の例は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メチルジエチルシリル、エチルジメチルシリル、トリプロピルシリル、トリブチルシリル、トリイソプロピルシリル、メチルジイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、トリ-tert-ブチルシリコン、トリイソブチルシリル、ジメチル-tert-ブチルシリル、およびメチルジ-tert-ブチルシリルを含む。また、アルキルシリル基は、置換されていてもよい。
【0072】
アリールシリル基とは、本明細書に用いられるように、少なくとも1つのアリール基で置換されたシリル基を含む。アリールシリル基は、炭素原子数6~30のアリールシリル基であってもよく、炭素原子数8~20のアリールシリル基であることが好ましい。アリールシリル基の例は、トリフェニルシリル、フェニルジビフェニルシリル、ジフェニルビフェニルシリル、フェニルジエチルシリル、ジフェニルエチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジイソプロピルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、ジフェニルブチルシリル、ジフェニルイソブチルシリル、ジフェニル-tert-ブチルシリルを含む。また、アリールシリル基は、置換されていてもよい。
【0073】
アルキルゲルマニウム基とは、本明細書に用いられるように、アルキル基で置換されたゲルマニウム基を含む。アルキルゲルマニウム基は、炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基であってもよく、炭素原子数3~10のアルキルゲルマニウム基であることが好ましい。アルキルゲルマニウム基の例は、トリメチルゲルマニウム基、トリエチルゲルマニウム基、メチルジエチルゲルマニウム基、エチルジメチルゲルマニウム基、トリプロピルゲルマニウム基、トリブチルゲルマニウム基、トリイソプロピルゲルマニウム基、メチルジイソプロピルゲルマニウム基、ジメチルイソプロピルゲルマニウム基、トリ-tert-ブチルゲルマニウム基、トリイソブチルゲルマニウム基、ジメチル-tert-ブチルゲルマニウム基、メチルジ-tert-ブチルゲルマニウム基を含む。また、アルキルゲルマニウム基は、置換されていてもよい。
【0074】
アリールゲルマニウム基とは、本明細書に用いられるように、少なくとも1つのアリール基またはヘテロアリール基で置換されたゲルマニウム基を含む。アリールゲルマニウム基は、炭素原子数6~30のアリール基ゲルマニウム基であってもよく、炭素原子数8~20のアリールゲルマニウム基であることが好ましい。アリールゲルマニウム基の例は、トリフェニルゲルマニウム基、フェニルジビフェニルゲルマニウム基、ジフェニルビフェニルゲルマニウム基、フェニルジエチルゲルマニウム基、ジフェニルエチルゲルマニウム基、フェニルジメチルゲルマニウム基、ジフェニルメチルゲルマニウム基、フェニルジイソプロピルゲルマニウム基、ジフェニルイソプロピルゲルマニウム基、ジフェニルブチルゲルマニウム基、ジフェニルイソブチルゲルマニウム基、ジフェニル-tert-ブチルゲルマニウム基を含む。また、アリールゲルマニウム基は、置換されていてもよい。
【0075】
アザジベンゾフラン、アザジベンゾチオフェンなどにおける「アザ」とは、対応する芳香族フラグメントにおける1つまたは複数のC-H基が窒素原子に置換されることを指す。例えば、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリン、ジベンゾ[f,h]キノリン、および環系において2つ以上の窒素を有する他の類似物を含む。当業者であれば、上述したアザ誘導体の他の窒素類似物を容易に想到することができ、且つこれらの類似物は、すべて本明細書に記載される専門用語に含まれるものとして確定される。
【0076】
本発明において、特に断りのない限り、置換のアルキル基、置換のシクロアルキル基、置換のヘテロアルキル基、置換の複素環基、置換のアラルキル基、置換のアルコキシ基、置換のアリールオキシ基、置換のアルケニル基、置換のアルキニル基、置換のアリール基、置換のヘテロアリール基、置換のアルキルシリル基、置換のアリールシリル基、置換のアルキルゲルマニウム基、置換のアリールゲルマニウム基、置換のアミノ基、置換のアシル基、置換のカルボニル基、置換のカルボキシル基、置換のエステル基、置換のスルフィニル基、置換のスルホニル基、置換のホスフィノ基からなる群のうちのいずれかの用語を使用すると、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロシクリル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、アルキニル、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基、アリールシリル基、アルキルゲルマニウム基、アリールゲルマニウム基、アミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、スルフィニル基、スルホニル基、およびホスフィノ基のうちのいずれか1つの基が、重水素、ハロゲン、非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、非置換の環原子数3~20の複素環基、非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、非置換の炭素原子数6~30のアリール基、非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基およびこれらの組合せから選ばれる1つまたは複数により置換され得ることを意味する。
【0077】
分子フラグメントについて、置換基または他の形態で他の部分に結合させると記載する場合、フラグメント(例えば、フェニル基、フェニレン基、ナフチル基、ジベンゾフラニル基)であるか否か、或いは、分子全体(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるか否かにより、その名称を確定することができることを理解すべきである。本明細書に用いられるように、置換基の指定、或いはフラグメントの結合の異なる形態は、均等であると認められている。
【0078】
本明細書で言及される化合物において、水素原子が重水素で一部または全部置換されてもよい。他の原子、例えば炭素および窒素も、それらの他の安定した同位体で置換されてもよい。素子の効率および安定性を向上させるために、化合物において他の安定した同位体の置換が好ましい可能性がある。
【0079】
本明細書で言及される化合物において、複数置換とは、二重置換を含む、最も多くの使用可能な置換に達するまでの範囲を指す。本明細書で言及される化合物中のある置換基は、複数置換(二重置換、三重置換、四重置換などを含む)を意味すると、その置換基はその結合構造上の複数の利用可能な置換位置に存在してもよいことを意味し、複数の利用可能な置換位置にいずれも存在する当該置換基は、同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
【0080】
本明細書で言及される化合物において、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいように特に限定されない限り、前記化合物における隣り合う置換基は結合して環を形成することができない。本明細書で言及される化合物において、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいことは、隣り合う置換基が結合して環を形成してもよい情況を含むだけでなく、隣り合う置換基が結合して環を形成しない情況を含む。隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよい場合、形成される環は、単環または多環、および脂環、ヘテロ脂環、アリール環、またはヘテロアリール環であってもよい。このような記述において、隣り合う置換基は、同一の原子に結合された置換基、互いに直接結合する炭素原子に結合された置換基、または更に離れた炭素原子に結合された置換基を指してもよい。好ましくは、隣り合う置換基は、同一の炭素原子に結合された置換基および互いに直接結合する炭素原子に結合された置換基を指す。
【0081】
隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、同一の炭素原子に結合された2つの置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【0082】
【0083】
隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、互いに直接結合する炭素原子に結合された2つ置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【0084】
【0085】
隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、さらに離れる炭素原子に結合された2つの置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【0086】
【0087】
また、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、互いに直接結合する炭素原子に結合された2つ置換基の一方が水素を表す場合に、第2置換基は水素原子が結合された位置に結合されて環を形成することを意味すると認められている。下記式で例示する。
【0088】
【0089】
本発明の一実施例によれば、式1で表される構造を有する化合物が開示される。
【0090】
【化24】
(Xは、O、SまたはSeから選ばれ、
X
1~X
6は、出現毎に同一または異なってCR
xまたはNから選ばれ、
Z
1~Z
8は、出現毎に同一または異なってC、CR
zまたはNから選ばれ、且つZ
1~Z
4のうちの1つは、Cから選ばれ、L
2に結合し、
Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
L
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~16のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
L
2は、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
R
yは、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換または無置換を表し、
R
xおよびR
zは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
R
yは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
xは、結合して環を形成していてもよく、
隣り合う置換基R
yは、結合して環を形成していてもよく、
隣り合う置換基R
zは、結合して環を形成していてもよい。)
【0091】
本明細書において、「隣り合う置換基Rxは、結合して環を形成していてもよい」とは、そのうちの隣り合う置換基グループ、例えば、いずれか2つの置換基Rx同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0092】
本明細書において、「隣り合う置換基Ryは、結合して環を形成していてもよい」とは、そのうちの隣り合う置換基グループ、例えば、いずれか2つの置換基Ry同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0093】
本明細書において、「隣り合う置換基Rzは、結合して環を形成していてもよい」とは、そのうちの隣り合う置換基グループ、例えば、いずれか2つの置換基Rz同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0094】
本発明の一実施例によれば、Xは、OまたはSから選ばれる。
【0095】
本発明の一実施例によれば、Xは、Oである。
【0096】
本発明の一実施例によれば、X1~X6は、出現毎に同一または異なってCRxから選ばれる。
【0097】
本発明の一実施例によれば、X1~X6は、出現毎に同一または異なってCRxまたはNから選ばれ、且つX1~X6のうちの少なくとも1つは、Nから選ばれ、例えば、X1~X6のうちの1つまたは2つは、Nから選ばれる。
【0098】
本発明の一実施例によれば、Z1~Z8は、出現毎に同一または異なってCまたはCRzから選ばれ、且つZ1~Z4のうちの1つは、Cから選ばれ、L2に結合する。
【0099】
本発明の一実施例によれば、Z1~Z8は、出現毎に同一または異なってC、CRzまたはNから選ばれ、且つZ1~Z8のうちの少なくとも1つは、Nから選ばれ、例えば、Z1~Z8のうちの1つまたは2つは、Nから選ばれる。
【0100】
本発明の一実施例によれば、L1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基から選ばれる。
【0101】
本発明の一実施例によれば、L1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~12のアリーレン基から選ばれる。
【0102】
本発明の一実施例によれば、L1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換のフェニレン基、置換または非置換のビフェニレン基、置換または非置換のナフチレン基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0103】
本発明の一実施例によれば、L2は、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0104】
本発明の一実施例によれば、L2は、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数6~12のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~12のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0105】
本発明の一実施例によれば、L2は、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換のフェニレン基、置換または非置換のビフェニレン基、置換または非置換のナフチレン基、置換または非置換のピリジレン基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0106】
本発明の一実施例によれば、L2は、出現毎に同一または異なって単結合またはフェニレン基から選ばれる。
【0107】
本発明の一実施例によれば、前記化合物は、式1-1で表される構造を有する。
【0108】
【化25】
(Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
L
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基から選ばれ、
L
2は、出現毎に同一または異なって単結合、または置換または非置換の炭素原子数6~30のアリーレン基から選ばれ、
R
x、R
yおよびR
zは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
xは、結合して環を形成していてもよく、
隣り合う置換基R
yは、結合して環を形成していてもよく、
隣り合う置換基R
zは、結合して環を形成していてもよい。)
【0109】
本発明の一実施例によれば、Rx、RyおよびRzは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0110】
本発明の一実施例によれば、Rx、RyおよびRzは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のピリジン基、置換または非置換のナフタレン基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のテルフェニル基、置換または非置換のトリフェニレン基、置換または非置換のフルオレン基、置換または非置換のカルバゾール基、置換または非置換のジベンゾフラン基、置換または非置換のジベンゾチオフェン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0111】
本発明の一実施例によれば、RxおよびRzは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のナフタレン基、置換または非置換のビフェニル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0112】
本発明の一実施例によれば、Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~20のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0113】
本発明の一実施例によれば、Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~12のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~12のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0114】
本発明の一実施例によれば、Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のナフタレン基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のテルフェニル基、置換または非置換のトリフェニレン基、置換または非置換のフルオレン基、置換または非置換のカルバゾール基、置換または非置換のジベンゾフラン基、置換または非置換のジベンゾチオフェン基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0115】
本発明の一実施例によれば、前記化合物は、化合物A-1~化合物A-262からなる群から選ばれる。化合物A-1~化合物A-262の具体的な構造は、請求項8に示される。
【0116】
本発明の一実施例によれば、化合物A-1~化合物A-262における水素は、一部または全部重水素化されていてもよい。
【0117】
本発明の一実施例によれば、陽極と、陰極と、前記陽極と陰極との間に設けられた有機層とを含む有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層のうちの少なくとも1層は、上述したいずれか1つの実施例に記載された化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子が開示される。
【0118】
本発明の一実施例によれば、前記化合物を含む有機層は、発光層であり、前記化合物は、ホスト化合物であり、前記発光層は、少なくとも第1金属錯体を含む。
【0119】
本発明の一実施例によれば、前記第1金属錯体は、M(L
a)
m(L
b)
n(L
c)
qの一般式を有する。
(金属Mは、相対原子質量が40を超える金属から選ばれ、
配位子L
a、L
bおよびL
cは、それぞれ前記金属Mと配位する第1配位子、第2配位子および第3配位子であり、配位子L
a、L
bおよびL
cは、同一または異なってもよく、
配位子L
a、L
bおよびL
cは、結合して多座配位子を形成していてもよく、例えば、L
a、L
bおよびL
cのうちのいずれか2つは、結合して4座配位子を形成してもよく、また例えば、L
a、L
bおよびL
cは、互いに結合して6座配位子を形成してもよく、或いは、さらに例えば、L
a、L
bおよびL
cは、いずれも結合せずに多座配位子を形成せず、
mは1、2または3であり、nは0、1または2であり、qは0、1または2であり、m、n、qの和は、金属Mの参加状態に等しく、mが2以上である場合、複数のL
aは、同一または異なってもよく、nが2である場合、2つのL
bは、同一または異なってもよく、qが2である場合、2つのL
cは、同一または異なってもよく、
配位子L
aは、式2で表される構造を有し、
【化26】
環C
1および環C
2は、出現毎に同一または異なって環原子数5~30の芳香族環、環原子数5~30のヘテロ芳香族環、またはこれらの組合せから選ばれ、
Q
1およびQ
2は、出現毎に同一または異なってCまたはNから選ばれ、
R
11およびR
12は、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換または無置換を表し、
R
11およびR
12は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
11、R
12は、結合して環を形成していてもよく、
配位子L
bおよびL
cは、出現毎に同一または異なってモノアニオン性2座配位子から選ばれる。)
【0120】
本発明の一実施例によれば、配位子L
bおよびL
cは、出現毎に同一または異なって
【化27】
からなる群から選ばれる。
(R
aおよびR
bは、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換、または無置換を表し、
X
bは、出現毎に同一または異なってO、S、Se、NR
N1およびCR
C1R
C2からなる群から選ばれ、
X
cおよびX
dは、出現毎に同一または異なってO、S、SeおよびNR
N2からなる群から選ばれ、
R
a、R
b、R
c、R
N1、R
N2、R
C1およびR
C2は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
a、R
b、R
c、R
N1、R
N2、R
C1およびR
C2は、結合して環を形成していてもよい。)
【0121】
該実施例において、「隣り合う置換基Ra、Rb、Rc、RN1、RN2、RC1およびRC2は、結合して環を形成していてもよい」とは、そのうちの隣り合う置換基グループ、例えば、2つの置換基Ra同士、2つの置換基Rb同士、置換基RaおよびRb同士、置換基RaおよびRc同士、置換基RbおよびRc同士、置換基RaおよびRN1同士、置換基RbおよびRN1同士、置換基RaおよびRC1同士、置換基RaおよびRC2同士、置換基RbおよびRC1同士、置換基RbおよびRC2同士、並びにRC1およびRC2同士、置換基RaおよびRN2同士、置換基RbおよびRN2同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0122】
本発明の一実施例によれば、第1金属錯体は、Ir(La)m(Lb)3-mの一般式構造を有し、且つ式5で表される構造を有する。
【0123】
【化28】
(mは、0、1、2または3であり、mが2または3である場合、複数のL
aは、同一または異なり、mが0または1である場合、複数のL
bは、同一または異なり、
T
1~T
6は、出現毎に同一または異なってCR
TまたはNから選ばれ、
R
a、R
bおよびR
dは、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換、または無置換を表し、
R
a、R
b、R
dおよびR
Tは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、スルファニル基、ヒドロキシル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
a、R
bは、結合して環を形成していてもよく、
隣り合う置換基R
d、R
Tは、結合して環を形成していてもよい。)
【0124】
本実施例において、「隣り合う置換基Ra、Rbは、結合して環を形成していてもよい」とは、そのうちの隣り合う置換基グループ、例えば、2つの隣り合う置換基Ra同士、2つの隣り合う置換基Rb同士、並びに隣り合う置換基RaおよびRb同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0125】
本実施例において、「隣り合う置換基Rd、RTは、結合して環を形成していてもよい」とは、そのうちの隣り合う置換基グループ、例えば、2つの隣り合う置換基RT同士、2つの隣り合う置換基Rd同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0126】
本発明の一実施例によれば、T1~T6のうちの少なくとも1つは、CRTから選ばれ、且つ前記RTは、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、または置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基から選ばれる。
【0127】
本発明の一実施例によれば、T1~T6のうちの少なくとも1つは、CRTから選ばれ、且つ前記RTは、フッ素またはシアノ基から選ばれる。
【0128】
本発明の一実施例によれば、T1~T6のうちの少なくとも2つは、CRTから選ばれ、且つそのうちの1つのRTは、フッ素またはシアノ基から選ばれ、他のRTは、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、または置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基から選ばれる。
【0129】
本発明の一実施例によれば、T1~T6は、出現毎に同一または異なってCRTまたはNから選ばれ、且つT1~T6のうちの少なくとも1つは、Nから選ばれ、例えば、T1~T6のうちの1つまたは2つは、Nから選ばれる。
【0130】
本発明の一実施例によれば、前記第1金属錯体は、GD1~GD76からなる群から選ばれるがそれに限定されない。GD1~GD76の具体的な構造は、以下の通りである。
【0131】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【0132】
本発明の一実施例によれば、前記化合物を含む有機層は、電子輸送層であり、前記化合物は、電子輸送化合物である。
【0133】
本発明の一実施例によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光層には、第2ホスト化合物がさらに含まれ、前記第2ホスト化合物は、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、カルバゾール、アザカルバゾール、インドロカルバゾール、ジベンゾチオフェン、アザジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アザジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、フルオレン、シリコンフルオレン、ナフタレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、フェナントレン、アザフェナントレン、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1種の化学基を含む。
【0134】
本発明の一実施例によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光層には、第2ホスト化合物がさらに含まれ、前記第2ホスト化合物は、ベンゼン、カルバゾール、インドロカルバゾール、フルオレン、シリコンフルオレン、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1種の化学基を含む。
【0135】
本発明の一実施例によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子において、第2ホスト化合物は、式3で表される構造を有する。
【0136】
【化34】
(L
Tは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
Tは、出現毎に同一または異なってC、CR
tまたはNから選ばれ、
R
tは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
Ar
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
隣り合う置換基R
tは、結合して環を形成していてもよい。)
【0137】
本明細書において、「隣り合う置換基Rtは、結合して環を形成していてもよい」とは、そのうちの隣り合う置換基グループ、例えば、いずれか2つの置換基Rt同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0138】
本発明の一実施例によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子において、第2ホスト化合物は、式4で表される構造を有する。
【0139】
【化35】
(Gは、出現毎に同一または異なってC(R
g)
2、NR
g、OまたはSから選ばれ、
Tは、出現毎に同一または異なってC、CR
tまたはNから選ばれ、
L
Tは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
R
t、R
gは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
Ar
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
隣り合う置換基R
t、R
gは、結合して環を形成していてもよい。)
【0140】
本明細書において、「隣り合う置換基Rt、Rgは、結合して環を形成していてもよい」とは、2つの隣り合う置換基Rt同士、2つの隣り合う置換基Rg同士、隣り合う置換基RtおよびRg同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0141】
本発明の一実施例によれば、式3および式4中、Tは、出現毎に同一または異なってCおよびCRtから選ばれる。
【0142】
本発明の一実施例によれば、式3中、Tは、出現毎に同一または異なってC、CRtまたはNから選ばれ、且つそのうちの少なくとも1つは、Nから選ばれ、例えば、1つのTまたは2つのTは、Nから選ばれる。
【0143】
本発明の一実施例によれば、式4中、Tは、出現毎に同一または異なってC、CRtまたはNから選ばれ、且つそのうちの少なくとも1つは、Nから選ばれ、例えば、1つのTまたは2つのTは、Nから選ばれる。
【0144】
本発明の一実施例によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子において、第2ホスト化合物は、式3-a~式3-jのうちの1つで表される構造を有する。
【0145】
【化36】
(L
Tは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
Tは、出現毎に同一または異なってCR
tまたはNから選ばれ、
R
tは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
Ar
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
隣り合う置換基R
tは、結合して環を形成していてもよい。)
【0146】
本発明の一実施例によれば、式3-a~3-j中、Tは、出現毎に同一または異なってCRtまたはNから選ばれ、且つそのうちの少なくとも1つは、Nから選ばれ、例えば、1つのTまたは2つのTは、Nから選ばれる。
【0147】
本発明の一実施例によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子において、第2ホスト化合物は、式4-a~式4-fのうちの1つで表される構造を有する。
【0148】
【化37】
(Gは、出現毎に同一または異なってC(R
g)
2、NR
g、OまたはSから選ばれ、
Tは、出現毎に同一または異なってCR
tまたはNから選ばれ、
L
Tは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
R
t、R
gは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
Ar
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
隣り合う置換基R
t、R
gは、結合して環を形成していてもよい。)
【0149】
本発明の一実施例によれば、式3-a~3-jおよび式4-a~4-f中、Tは、出現毎に同一または異なってCRtから選ばれる。
【0150】
本発明の一実施例によれば、式4-a~4-f中、Tは、出現毎に同一または異なってCRtまたはNから選ばれ、且つそのうちの少なくとも1つは、Nから選ばれ、例えば、1つのTまたは2つのTは、Nから選ばれる。
【0151】
本発明の一実施例によれば、すべてのTのうち、少なくとも1つは、Nから選ばれ、例えば、1つのまたは2つTは、Nである。
【0152】
本発明の一実施例によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、緑色光を放射する。
【0153】
本発明の一実施例によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子は、白色光を放射する。
【0154】
本発明の一実施例によれば、前記第1金属錯体は、前記化合物および第2ホスト化合物にドーピングされ、前記第1金属錯体は、発光層の合計重量に対して1%~30%である。
【0155】
本発明の一実施例によれば、前記第1金属錯体は、前記化合物および第2ホスト化合物にドーピングされ、前記第1金属錯体は、発光層の合計重量に対して3%~13%である。
【0156】
本発明の一実施例によれば、上述したいずれか1つの実施例に記載された化合物を含む化合物組成物が開示される。
【0157】
本発明の一実施例によれば、上述したいずれか1つの実施例に記載された有機エレクトロルミネッセンス素子を含む電子デバイスが開示される。
【0158】
他の材料との組合せ
【0159】
本発明に記載される有機発光素子に用いられる特定層の材料は、素子に存在する各種の他の材料と組み合わせて使用することができる。これらの材料の組合せについて、米国特許出願US2016/0359122A1の第0132~0161段落において詳細に記載されており、その内容を全て本明細書に援用する。記載または言及された材料は、本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用可能な材料の非限定的な実例であり、且つ当業者にとっては、文献を容易に参照して組み合わせて使用可能な他の材料を識別することができる。
【0160】
本明細書において、有機発光素子に用いられる具体的な層の材料は、前記素子に存在する多種の他の材料と組み合わせて使用することができると記載されている。例示的には、本明細書において開示される発光ドーパントは、多種のホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極および他の存在可能な層と組み合わせて使用することができる。これらの材料の組合せは、特許出願US2015/0349273A1の第0080~0101段落において詳細に記載されており、その内容を全て本明細書に援用する。記載または言及された材料は、本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用可能な材料の非限定的な実例であり、且つ当業者にとっては、文献を容易に参照して組み合わせて使用可能な他の材料を識別することができる。
【0161】
材料合成の実施例において、説明しない限り、すべての反応が窒素の保護で行われる。すべての反応溶剤は、無水であり、且つ市販品由来のまま使用される。合成される生成物に対して、本分野通常の1種または多種の機器(Bruker製の核磁気共鳴装置、Shimadzu製の液体クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー/質量分析計、気体クロマトグラフィー/質量分析計、示差熱走査熱量装置、上海リョウ光技術製の蛍光分光光度計、武漢科思特製の電気化学作業ステーション、安徽貝意克製の昇華装置などを含むがそれに限定されず)を用いて、当業者にとって熟知の方法で構造確認と特性テストを行った。素子の実施例において、素子の特性に対しても、本分野通常の機器(Angstrom Engineering製の蒸着機、蘇州弗士達製の光学テストシステム、耐用年数テストシステム、北京量拓製のエリプソメーターなどを含むがそれに限定されず)を用いて、当業者にとって熟知の方法でテストを行った。当業者は上述した機器の使用、テスト方法などの関連内容を知っているので、サンプルの固有データを確実に、影響を受けずに取得することができるため、上記関連内容を本明細書において繰り返し説明はしない。
【実施例0162】
材料合成の実施例:
【0163】
本発明に係る化合物の調製方法は限定されない。典型的であるが非限定的に以下の化合物を例として、その合成経路および調製方法は、以下のとおりである。
【0164】
合成の実施例1:化合物A-1の合成
【0165】
ステップ1:中間体Cの合成
【0166】
【0167】
丸底三口フラスコに、A(11.0g、29.7mmol)、B(12.6g、44.6mmol)、Pd(PPh3)4(0.69g、0.59mmol)、K2CO3(8.21g、59.4mmol)をトルエン(80mL)、EtOH(20mL)、H2O(20mL)に添加した。N2の保護下で、1晩加熱し還流した。TLCプレートで反応の完了が確認された場合、加熱を停止し、室温までに冷却させた。分液し、液相をDCMで抽出し、有機相を合併した。無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧して濃縮させた。粗品をカラムクロマトグラフィー(PE)によって精製して、収率94.4%の白色固体である中間体C(11.2g、28.05mmol)を得た。
【0168】
ステップ2:中間体Dの合成
【0169】
【0170】
丸底三口フラスコに、C(11.2g、28.05mmol)、ビスピナコラートジボロン(10.7g、42.07mmol)、Pd(dppf)Cl2(0.41g、0.56mmol)、KOAc(5.51g、56.1mmol)を1,4-ジオキサン(120mL)に添加した。N2の保護下で、1晩加熱し還流した。TLCプレートで反応の完了が確認された場合、加熱を停止し、室温までに冷却させた。反応系を珪藻土で濾過し、溶液を濾過し、減圧して濃縮させた。粗品をカラムクロマトグラフィー(PE/DCM=5:1~2:1)によって精製して、収率82.3%の白色固体である中間体D(10.3g、23.08mmol)を得た。
【0171】
ステップ3:化合物A-1の合成
【0172】
【0173】
丸底三口フラスコに、D(4.0g、8.96mmol)、E(3.2g、8.96mmol)、Pd(PPh3)4(0.31g、0.27mmol)、K2CO3(2.48g、17.92mmol)をトルエン(48mL)、EtOH(12mL)、H2O(12mL)に添加した。N2の保護下で、1晩加熱し還流した。TLCプレートで反応の完了が確認された場合、加熱を停止し、室温までに冷却させた。減圧し吸引濾過して、得た固体を順に水およびメタノールでリンスした。固体をさらにトルエンで再結晶させて、収率87.0%の白色固体である化合物A-1(5.0g、7.79mmol)を得た。製品は、分子量641.2の目標生成物である化合物A-1として確認された。
【0174】
合成の実施例2:化合物A-3の合成
【0175】
ステップ1:化合物A-3の合成
【0176】
【0177】
丸底三口フラスコに、D(4.46g、10.0mmol)、F(3.58g、10.0mmol)、Pd(PPh3)4(0.35g、0.30mmol)、K2CO3(2.76g、20.0mmol)をトルエン(48mL)、EtOH(12mL)、H2O(12mL)に添加した。N2の保護下で、1晩加熱し還流した。TLCプレートで反応の完了が確認された場合、加熱を停止し、室温までに冷却させた。減圧し吸引濾過して、得た固体を順に水およびメタノールでリンスした。固体をさらにトルエンで再結晶させて、収率77.9%の白色固体である化合物A-3(5.0g、7.79mmol)を得た。製品は、分子量641.2の目標生成物である化合物A-3として確認された。
【0178】
合成の実施例3:化合物A-4の合成
【0179】
ステップ1:化合物A-4の合成
【0180】
【0181】
丸底三口フラスコに、D(4.46g、10.0mmol)、G(3.58g、10.0mmol)、Pd(PPh3)4(0.23g、0.20mmol)、K2CO3(2.76g、20.0mmol)をトルエン(40mL)、EtOH(10mL)、H2O(10mL)に添加した。N2の保護下で、1晩加熱し還流した。TLCプレートで反応の完了が確認された場合、加熱を停止し、室温までに冷却させた。減圧し吸引濾過して、得た固体を順に水およびメタノールでリンスした。固体をさらにトルエンで再結晶させて、収率90.4%の白色固体である化合物A-4(5.8g、9.04mmol)を得た。製品は、分子量641.2の目標生成物である化合物A-4として確認された。
【0182】
当業者であれば、上記調製方法は、例示的なものに過ぎず、それを改良することによって本発明の他の化合物の構造を取得することができることを知るべきである。
【0183】
素子の実施例
【0184】
素子の実施例1
【0185】
まず、厚みが80nmのインジウムスズ酸化物(ITO)陽極を有するガラス基板を洗浄した後、酸素プラズマおよびUVオゾンで処理した。処理した後、基板をグローブボックスで乾燥させて水を除去した。その後、基板を基板ホルダ上に取り付けて真空室に置いた。以下、指定された有機層に対して、真空度が約10-8トルの場合、0.2~2オングストローム/秒の速度でホット真空蒸着によって順にITO陽極上に蒸着を行った。化合物HIを正孔注入層(HIL)として用いた。化合物HTを正孔輸送層(HTL)として用いた。化合物H1を電子ブロッキング層(EBL)として用いた。そして、化合物GD23を化合物H1および本発明における化合物A-1にドーピングし、共蒸着して発光層(EML)として用いた。化合物H2を正孔ブロッキング層(HBL)として用いた。正孔ブロッキング層上において、化合物ETおよび8-ヒドロキシキノリン-リチウム(Liq)を電子輸送層(ETL)として共蒸着した。最後に、厚み1nmの8-ヒドロキシキノリン-リチウム(Liq)を電子注入層として蒸着するとともに、120nmのアルミニウムを陰極として蒸着した。そして、該素子をグローブボックスに転移させ、ガラスカバーを用いてカプセル化して該素子を完成させた。
【0186】
素子の実施例2
【0187】
素子の実施例2の調製方法は、発光層(EML)において化合物A-3で化合物A-1を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0188】
素子の実施例3
【0189】
素子の実施例3の調製方法は、発光層(EML)において化合物A-4で化合物A-1を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0190】
素子の比較例1
【0191】
素子の比較例1の調製方法は、発光層(EML)において化合物C-1で化合物A-1を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0192】
素子の比較例2
【0193】
素子の比較例2の調製方法は、発光層(EML)において化合物C-2で化合物A-1を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0194】
素子の比較例3
【0195】
素子の比較例3の調製方法は、発光層(EML)において化合物C-3で化合物A-1を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0196】
素子の比較例4
【0197】
素子の比較例4の調製方法は、発光層(EML)において化合物C-4で化合物A-1を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0198】
素子の比較例5
【0199】
素子の比較例5の調製方法は、発光層(EML)において化合物C-5で化合物A-1を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0200】
素子の比較例6
【0201】
素子の比較例6の調製方法は、発光層(EML)において化合物C-6で化合物A-1を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0202】
詳細な素子の層構造および厚みを、以下の表に示す。用いられる材料が1種超えの層は、前記重量比で異なる化合物をドーピングすることにより得られる。
【0203】
【0204】
【0205】
素子に用いられる材料の構造は、以下のように表される。
【0206】
【0207】
表2には、15mA/cm2の定電流下で測定されたCIEデータ、外部量子効率(EQE)、電流効率(CE)、および80mA/cm2の定電流下で測定された素子の耐用年数(LT95)が示される。比較例1のデータを基準として、正規化処理を行う。
【0208】
【0209】
まとめ
【0210】
実施例3および比較例1においては、りん光ドーパントGD23がそれぞれ本発明における化合物A-4および本発明以外の化合物C-1にドーピングされている。化合物A-4とC-1の相違点は、トリアジンに直接結合されたジベンゾフラン基がジベンゾチオフェン基で置換されているのみである。実施例3におけるEQEおよびCEは、比較例1に相当するが、素子の耐用年数は、大幅に61%向上した。本発明に係る式1で表される構造を有する化合物は、ジベンゾチオフェンがトリアジンに直接結合された化合物に対して、エレクトロルミネッセンス素子に適用される場合、より長い素子の耐用年数を有することが証明されている。
【0211】
実施例2および比較例2においては、りん光ドーパントGD23がそれぞれ本発明における化合物A-3および本発明以外の化合物C-2にドーピングされている。化合物A-3とC-2ンの相違点は、フェニレン基によってトリアジンに結合されたジベンゾフラン基においてアリール基の置換位置が異なるのみである。実施例2におけるEQEおよびCEは、比較例2に相当するが、素子の耐用年数は、大幅に136%向上した。本発明に係る式1で表される構造を有する化合物は、トリアジンとの間に架橋基があるジベンゾ5員環の1位以外にアリール基置換基を有する化合物に対して、エレクトロルミネッセンス素子に適用される場合、より長い素子の耐用年数を有することが証明されている。
【0212】
実施例2および比較例3においては、りん光ドーパントGD23がそれぞれ本発明における化合物A-3および本発明以外の化合物C-3にドーピングされている。化合物A-3とC-3の相違点は、フェニレン基によってトリアジンに結合されたジベンゾフランが1位に置換されたフェニル基によって縮合環を形成するか否かのみである。実施例2におけるEQEおよびCEは、やや向上し、素子の耐用年数は、53%向上した。本発明に係る式1で表される構造を有する化合物は、トリアジンとの間に架橋基があるジベンゾ5員環の1位におけるアリール基置換基とさらに縮合した化合物に対して、エレクトロルミネッセンス素子に適用される場合、より高い効率、およびより長い素子の耐用年数を有することが証明されている。
【0213】
実施例1および比較例4においては、りん光ドーパントGD23がそれぞれ本発明における化合物A-1および本発明以外の化合物C-4にドーピングされている。化合物A-1とC-4の相違点は、主に、フェニレン基によって結合されたジベンゾフラン基のフェニル基置換基が置換のトリアジン基で置換されていることである。実施例1におけるEQEおよびCEは、36%程度向上し、素子の耐用年数は、45.4%向上した。本発明に係る式1で表される構造を有する化合物は、トリアジンとの間に架橋基があるジベンゾ5員環の1位に置換の6員ヘテロアリール基置換を有する化合物に対して、エレクトロルミネッセンス素子に適用される場合、より高い効率、およびより長い素子の耐用年数を有することが証明されている。
【0214】
実施例2および比較例5においては、りん光ドーパントGD23がそれぞれ本発明における化合物A-3および本発明以外の化合物C-5にドーピングされている。化合物A-3とC-5の相違点は、主に、1位にフェニル基置換を有するジベンゾフラン基がフェニレン基によってトリアジンに結合するか否かことである。実施例2におけるEQEおよびCEは、5%程度向上し、素子の耐用年数は、28.2%向上した。本発明に係る式1で表される構造を有する化合物は、1位にアリール基置換基を有するジベンゾ5員環がトリアジンに直接結合された化合物に対して、エレクトロルミネッセンス素子に適用される場合、素子の総合性能を向上可能となることが証明されている。
【0215】
実施例2および比較例6においては、りん光ドーパントGD23がそれぞれ本発明における化合物A-3および本発明以外の化合物C-6にドーピングされている。化合物A-3と化合物C-6の相違点は、フェニレン基によってトリアジンに結合されたジベンゾフラン基の1位にアリール基置換基を有するのみである。比較例6に対して、実施例2におけるEQEおよびCEは、相当するが、その素子の耐用年数は、28.7%向上した。本発明に係る式1で表される構造を有する化合物は、トリアジンとの間に架橋基があるジベンゾ5員環にアリール基置換基を有しない化合物に対して、エレクトロルミネッセンス素子に適用される場合、より長い素子の耐用年数を有することが証明されている。
【0216】
要するに、本発明における化合物は、発光層のホスト材料として用いられる場合、材料の電子と正孔の輸送バランス能力を改善することができ、本発明以外の化合物が発光層のホスト材料として用いられる場合に対して、素子の効率(EQEおよびCE)が相当するか、またはある程度向上しながら、素子の耐用年数が大幅に向上するため、素子の綜合性能を大幅に改善することができる。それは、業界に対して大変役に立っている。
【0217】
ここで記載される各種の実施例は、例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではないことを理解すべきである。そのため、当業者にとって、保護しようとする本発明は、本明細書に記載される具体的な実施例および好ましい実施例の変形を含むことが自明である。本発明の構想を逸脱しない前提で、本明細書に記載される材料および構造の多くは、他の材料および構造で代替することができる。本発明がなぜ機能するかについての様々な理論は、限定的ではないことを理解すべきである。