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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138448
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】溢出制御が改善されたローター
(51)【国際特許分類】
   B04B 7/02 20060101AFI20230922BHJP
   B04B 5/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B04B7/02 Z
B04B5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】36
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023040221
(22)【出願日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】63/320,324
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/836,291
(32)【優先日】2022-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510016645
【氏名又は名称】ファイバーライト・セントリフュージ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シナ,ピラムーン
【テーマコード(参考)】
4D057
【Fターム(参考)】
4D057AC01
4D057AC05
4D057AD01
4D057AE11
4D057BA06
4D057BA15
4D057BA21
4D057BA31
(57)【要約】
【課題】複数のローターウェルを有するローター本体を含む、ローターアセンブリを提供する。
【解決手段】ローター本体は、ローターアセンブリの回転中にローターウェルを受容したサンプル容器から漏出した材料を捕捉及び保持するように構成された環状閉じ込め溝を画定する、直立環状リップを含む。ローター本体はまた、環状閉じ込め溝の連続的な拡大部を形成する、環状閉じ込めリップも含む。ローターアセンブリは、環状ディスクとして形成された第1のシールガスケットの一部分を受容するように構成された第1のアンダーカットチャネルを含む、ローター本体の開放端部に選択的に取り付け可能な蓋を含む。蓋は、第1のシールガスケットが蓋と環状閉じ込めリップとの間に位置決めされて、蓋とローター本体との間にシールを形成するように、環状閉じ込めリップによってローター本体の上部表面の上方で支持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローターアセンブリであって、
ローター本体であって、前記ローター本体の回転軸を中心に円周方向に離間された複数のローターウェルであって、前記複数のローターウェルの各々が、前記ローター本体の上部表面に形成されてサンプル容器をその中で受容するように構成された開放端部を有する、複数のローターウェルと、直立環状リップであって、前記ローター本体の前記上部表面の上方へ軸方向に延在して前記ローター本体の開放端部を画定し、前記ローターアセンブリの回転中に前記複数のローターウェルのうちの少なくとも1つの中に受容された少なくとも1つのサンプル容器から漏出した材料を捕捉及び保持するように構成された環状閉じ込め溝を画定する、直立環状リップと、前記ローター本体の前記回転軸に向かって半径方向内向きに延在して前記環状閉じ込め溝の連続的な拡大部を形成する、環状閉じ込めリップと、を有する、ローター本体と、
蓋であって、前記ローター本体の前記上部表面と前記蓋の下側との間にキャビティを形成するために、前記ローター本体の前記開放端部に選択的に取り付け可能であり、前記蓋の外周から半径方向内向きに、かつ前記蓋を中心に円周方向に延在し、略平面状かつ平行な上部表面及び下部表面を有する環状ディスクを備える第1のシールガスケットを受容するように構成されている、第1のアンダーカットチャネルを有する、蓋と、を備え、
前記蓋が、前記第1のシールガスケットが前記蓋と前記環状閉じ込めリップとの間に位置決めされて、前記蓋と前記ローター本体との間にシールを形成するように、前記環状閉じ込めリップによって前記ローター本体の前記上部表面の上方で支持される、ローターアセンブリ。
【請求項2】
前記蓋が、上部外周部分と、中間外周部分と、下部外周部分と、を備え、前記中間外周部分及び前記下部外周部分が、前記第1のアンダーカットチャネルによって互いに分離されている、請求項1に記載のローターアセンブリ。
【請求項3】
前記上部外周部分が、前記蓋の第1の外径を画定し、前記中間外周部分が、前記第1の外径よりも小さい、前記蓋の第2の外径を画定し、前記下部外周部分が、前記第2の外径よりも小さい、前記蓋の第3の外径を画定する、請求項2に記載のローターアセンブリ。
【請求項4】
前記蓋の前記下部外周部分が、前記環状閉じ込めリップの半径方向内向きの終端壁の横方向反対側に位置決めされて、前記蓋と前記ローター本体との間に第1の境界面を画定し、前記第1のシールガスケットが、前記第1のアンダーカットチャネルから前記第1の境界面全体に延在して、前記環状閉じ込めリップに重なるように構成されている、請求項3に記載のローターアセンブリ。
【請求項5】
前記蓋が、第2のシールガスケットの一部分をその中で受容するように構成されている、第2のアンダーカットチャネルを含み、前記第2のアンダーカットチャネルが、前記蓋の前記上部外周部分と前記蓋の前記中間外周部分との間に形成されている、請求項4に記載のローターアセンブリ。
【請求項6】
前記蓋の前記中間外周部分が、前記直立環状リップの内壁の横方向反対側に位置決めされて、前記蓋と前記ローター本体との間に第2の境界面を画定する、請求項5に記載のローターアセンブリ。
【請求項7】
前記直立環状リップの前記内壁が、前記第2のシールガスケットが前記第2のアンダーカットチャネルから前記第2の境界面全体に延在して環状レッジに重なるように、段差が設けられて、前記蓋の前記第2のアンダーカットチャネルと整列するように構成された前記環状レッジを画定する、請求項6に記載のローターアセンブリ。
【請求項8】
前記環状閉じ込めリップが、前記環状閉じ込めリップの半径方向内向きの終端壁と前記環状閉じ込め溝との間に延在する面取りされた表面を含む、請求項1に記載のローターアセンブリ。
【請求項9】
前記面取りされた表面の半径方向内向きの端部が、前記蓋の前記下側と面一になって、前記蓋の前記下側と前記環状閉じ込め溝との間に滑らかな移行を形成する、請求項8に記載のローターアセンブリ。
【請求項10】
前記ローター本体が、固定角度ローター本体である、請求項1に記載のローターアセンブリ。
【請求項11】
前記蓋が、上部外周部分と、中間外周部分と、下部外周部分と、を備え、前記上部外周部分及び前記中間外周部分が、前記第2のアンダーカットチャネルによって互いに分離されている、請求項1に記載のローターアセンブリ。
【請求項12】
前記上部外周部分が、前記蓋の第1の外径を画定し、前記中間外周部分が、前記第1の外径よりも小さい、前記蓋の第2の外径を画定し、前記下部外周部分が、前記第2の外径よりも小さい、前記蓋の第3の外径を画定する、請求項11に記載のローターアセンブリ。
【請求項13】
前記下部外周部分が、前記環状閉じ込めリップの半径方向内向きの終端壁の横方向反対側に位置決めされて、前記蓋と前記ローター本体との間に第1の境界面を画定し、前記第1のシールガスケットが、前記第1のアンダーカットチャネルから前記第1の境界面全体に延在して、前記環状閉じ込めリップに重なるように構成されている、請求項12に記載のローターアセンブリ。
【請求項14】
前記蓋の前記下側が、連続的に湾曲した表面、及び前記連続的に湾曲した表面と前記第3の外径を画定する前記蓋の前記下部外周部分との間に延在する面取りされた表面によって部分的に画定される、請求項13に記載のローターアセンブリ。
【請求項15】
前記面取りされた表面が、前記第1の境界面に前記環状閉じ込め溝の連続的な拡大部を形成する、請求項14に記載のローターアセンブリ。
【請求項16】
遠心分離機と請求項1に記載のローターアセンブリとの組み合わせ。
【請求項17】
ローターアセンブリであって、
ローター本体であって、前記ローター本体の回転軸を中心に円周方向に離間された複数のローターウェルであって、前記複数のローターウェルの各々が、前記ローター本体の上部表面に形成されて、サンプル容器をその中で受容するように構成された開放端部を有する、複数のローターウェルと、直立環状リップであって、前記ローター本体の前記上部表面の上方へ軸方向に延在して前記ローター本体の開放端部を画定し、前記ローターアセンブリの回転中に前記複数のローターウェルのうちの少なくとも1つの中に受容された少なくとも1つのサンプル容器から漏出した材料を捕捉及び保持するように構成された環状閉じ込め溝を画定する、直立環状リップと、前記ローター本体の前記回転軸に向かって半径方向内向きに延在して前記環状閉じ込め溝の連続的な拡大部を形成する、環状閉じ込めリップと、前記ローター本体の前記開放端部と前記環状閉じ込めリップとの間に延在する内壁と、を有する、ローター本体と、
蓋であって、前記ローター本体の前記上部表面と前記蓋の下側との間にキャビティを形成するために、前記ローター本体の前記開放端部に選択的に取り付け可能であり、
第1のシールガスケットの一部分をその中で受容するように構成されている、前記蓋の外周から半径方向内向きに、かつ前記蓋を中心に円周方向に延在する、第1のアンダーカットチャネルと、
第2のシールガスケットの一部分をその中で受容するように構成されている、前記蓋の外周から半径方向内向きに、かつ前記蓋を中心に円周方向に延在する、第2のアンダーカットチャネルと、を備える、蓋と、を備え、
前記蓋が、前記第1のシールガスケットが、前記蓋と前記環状閉じ込めリップとの間に位置決めされて、前記蓋と前記ローター本体との間に第1のシールを形成し、前記第2のシールガスケットが、前記蓋と前記内壁との間に位置決めされて、前記蓋と前記ローター本体との間に第2のシールを形成するように、前記環状閉じ込めリップによって前記ローター本体の前記上部表面の上方で支持される、ローターアセンブリ。
【請求項18】
前記第1のシールガスケットが、略平面状かつ平行な上部表面及び下部表面を有する環状ディスクを備える、請求項17に記載のローターアセンブリ。
【請求項19】
前記蓋が、上部外周部分と、中間外周部分と、下部外周部分と、を備え、前記上部外周部分及び前記中間外周部分が、前記第2のアンダーカットチャネルによって互いに分離され、前記中間外周部分及び前記下部外周部分が、前記第1のアンダーカットチャネルによって互いに分離されている、請求項17に記載のローターアセンブリ。
【請求項20】
前記上部外周部分が、前記蓋の第1の外径を画定し、前記中間外周部分が、前記第1の外径よりも小さい、前記蓋の第2の外径を画定し、前記下部外周部分が、前記第2の外径よりも小さい、前記蓋の第3の外径を画定する、請求項19に記載のローターアセンブリ。
【請求項21】
前記蓋の前記下部外周部分が、前記環状閉じ込めリップの半径方向内向きの終端壁の横方向反対側に位置決めされて、前記蓋と前記ローター本体との間に第1の境界面を画定し、前記第1のシールガスケットが、前記第1のアンダーカットチャネルから前記第1の境界面全体に延在して、前記環状閉じ込めリップに重なるように構成されている、請求項20に記載のローターアセンブリ。
【請求項22】
前記蓋の前記中間外周部分が、前記直立環状リップの前記内壁の横方向反対側に位置決めされて、前記蓋と前記ローター本体との間に第2の境界面を画定する、請求項21に記載のローターアセンブリ。
【請求項23】
前記直立環状リップの前記内壁が、前記第2のシールガスケットが前記第2のアンダーカットチャネルから前記第2の境界面全体に延在して環状レッジに重なるように、段差が設けられて、前記蓋の前記第2のアンダーカットチャネルと整列するように構成された前記環状レッジを画定する、請求項22に記載のローターアセンブリ。
【請求項24】
前記環状閉じ込めリップが、前記環状閉じ込めリップの半径方向内向きの終端壁と前記環状閉じ込め溝との間に延在する面取りされた表面を含む、請求項17に記載のローターアセンブリ。
【請求項25】
前記面取りされた表面の半径方向内向きの端部が、前記蓋の前記下側と面一になって、前記蓋の前記下側と前記環状閉じ込め溝との間に滑らかな移行を形成する、請求項24に記載のローターアセンブリ。
【請求項26】
前記ローター本体が、固定角度ローター本体である、請求項17に記載のローターアセンブリ。
【請求項27】
ローターアセンブリであって、
ローター本体であって、前記ローター本体の回転軸を中心に円周方向に離間された複数のローターウェルであって、前記複数のローターウェルの各々が、前記ローター本体の上部表面に形成されてサンプル容器をその中で受容するように構成された開放端部を有する、複数のローターウェルと、直立環状リップであって、前記ローター本体の前記上部表面の上方へ軸方向に延在して前記ローター本体の開放端部を画定し、前記ローターアセンブリの回転中に前記複数のローターウェルのうちの少なくとも1つの中に受容された少なくとも1つのサンプル容器から漏出した材料を捕捉及び保持するように構成された環状閉じ込め溝を画定する、直立環状リップと、前記ローター本体の前記回転軸に向かって半径方向内向きに延在して前記環状閉じ込め溝の連続的な拡大部を形成する、環状閉じ込めリップと、を有する、ローター本体と、
蓋であって、前記ローター本体の前記上部表面と前記蓋の下側との間にキャビティを形成するために、前記ローター本体の前記開放端部に選択的に取り付け可能であり、前記蓋が、環状ソケットを有する環状肩部を画定する段付きプロファイルを有し、前記環状肩部が、前記環状ソケット内で受容されて第1のシールガスケットと前記環状肩部との間の係合を維持するように構成された環状突起を有する前記第1のシールガスケットを受容するように構成されている、蓋と、を備え、
前記蓋が、前記第1のシールガスケットが前記環状肩部と前記環状閉じ込めリップとの間に位置決めされて、前記蓋と前記ローター本体との間にシールを形成するように、前記環状閉じ込めリップによって前記ローター本体の前記上部表面の上方で支持される、ローターアセンブリ。
【請求項28】
前記蓋が、前記環状肩部によって互いに分離された上部外周部分及び下部外周部分を含み、前記上部外周部分が、前記蓋の第1の外径を画定し、前記下部外周部分が、前記第1の外径よりも小さい、前記蓋の第2の外径を画定する、請求項27に記載のローターアセンブリ。
【請求項29】
前記蓋の前記下部外周部分が、前記環状閉じ込めリップの半径方向内向きの終端壁の横方向反対側に位置決めされて、前記蓋と前記ローター本体との間に第1の境界面を画定し、前記蓋の前記上部外周部分が、前記直立環状リップの内壁の横方向反対側に位置決めされて、前記蓋と前記ローター本体との間に第2の境界面を画定する、請求項28に記載のローターアセンブリ。
【請求項30】
前記蓋が、第2のシールガスケットの一部分をその中で受容するように構成されている、前記上部外周部分に形成されたアンダーカットチャネルを含む、請求項29に記載のローターアセンブリ。
【請求項31】
前記上部外周部分が、前記第1の外径、及び前記第1のアンダーカットチャネルによって互いに分離された、前記蓋の第3の外径を画定し、前記第3の外径が、前記第1の外径よりも小さいが、前記第2の外径よりも大きい、請求項30に記載のローターアセンブリ。
【請求項32】
前記直立環状リップの前記内壁が、前記第2のシールガスケットが前記第1のアンダーカットチャネルから前記第2の境界面全体に延在して環状レッジに重なるように、前記蓋の前記アンダーカットチャネルと整列するように構成された前記環状レッジを画定する、請求項31に記載のローターアセンブリ。
【請求項33】
前記環状閉じ込めリップが、前記環状閉じ込めリップの半径方向内向きの終端壁と前記環状閉じ込め溝との間に延在する面取りされた表面を含む、請求項27に記載のローターアセンブリ。
【請求項34】
前記面取りされた表面の半径方向内向きの端部が、前記蓋の前記下側と面一になって、前記蓋の前記下側と前記環状閉じ込め溝との間に滑らかな移行を形成する、請求項33に記載のローターアセンブリ。
【請求項35】
前記ローター本体が、固定角度ローター本体である、請求項27に記載のローターアセンブリ。
【請求項36】
遠心分離機と請求項27に記載のローターアセンブリとの組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年3月16日に出願された米国仮特許出願第63/320,324号の出願利益を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、遠心分離機ローターに関するものであり、より具体的には、遠心分離機ローターの回転中にサンプル容器から漏出した材料を保持するためのローター蓋と遠心分離機との接続に関するものである。
【背景技術】
【0003】
遠心分離機ローターは典型的には、遠心分離中にサンプルを保持するために、ラボ用遠心分離機において使用される。遠心分離機ローターは、構造及びサイズが大きく異なる場合があり、1つの一般的なローター構造は、固定角ローターであり、この固定角ローターは、中実ローター本体を有し、ローター本体内には、複数の受容チャンバ又はローターウェルが、放射状に分配されて、ローターの回転軸を中心に対称に配置されている。適切なサイズのサンプル容器内のサンプルが複数のローターウェル内に配置され、ローターが回転したときに、複数のサンプルが遠心分離を受けることを可能にする。
【0004】
固定角遠心分離機ローターは、通常、遠心分離機の速度が毎分数百回転、更には毎分数千回転を超え得る、高速回転用途で使用される。遠心分離機ローターによって保持されたサンプル容器内に閉じ込められたサンプルの遠心分離中に、こうした高い遠心力は、サンプル容器クロージャを通したサンプル材料の漏出をもたらし得る。かかる漏出は、例えば、サンプル容器の破裂、又はサンプル容器キャップの緩み若しくは外れによって生じ得る。いずれにしても、安全かつ清潔な労働環境を維持するために、遠心分離中に又はその前にサンプル材料がサンプル容器から漏出又は溢出した場合に、漏出したサンプル材料をローター内に閉じ込めることが重要である。
【0005】
以上のことを考慮して、遠心分離中に遠心分離機ローターから漏出又は溢出した材料が吐出することを防止するために、遠心分離機ローターには、特定の溢出閉じ込めの改善が行われてきた。1つのかかる改善は、遠心分離機ローターを閉鎖封止するためのOリングガスケットを有する蓋の使用である。遠心分離機ローターとともに使用するためのかかる蓋の一実施例は、米国特許第8,147,392号(本開示の譲受人が所有)に説明されており、その開示は、参照によりその全体が明示的に本明細書に組み込まれる。遠心分離中に漏出した材料を遠心分離機ローター内に閉じ込めるための別の改善は、米国特許第10,272,446号(本開示の譲受人が所有)に説明されており、その開示は、参照によりその全体が明示的に本明細書に組み込まれる。その改善では、遠心分離機ローターの直立環状リップは、ローター本体の上端部の上方で離間されている環状液体閉じ込め溝を備える。環状液体閉じ込め溝は、遠心分離中に漏出したサンプル材料を捕捉して、遠心分離中にローターから放出されないように構成されている。
【0006】
しかしながら、高回転用途に対して十分な材料分離を達成するために遠心ローターの回転速度が増加して、サンプル容器に閉じ込められたサンプルに少なくとも40,000xgが及ぼされることになり得るので、そうした高回転速度において、漏出又は溢出したサンプル材料が遠心分離機ローターから流出することを防止するために、遠心分離機ローターに対する更なる改善が必要である。
【0007】
したがって、遠心分離機ローターの高回転速度での回転中にサンプル容器から漏出又は溢出したサンプル材料を保持するために、ローター蓋と遠心分離機ローターとの接続が改善された遠心分離機ローターに対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第8,147,392号
【特許文献2】米国特許第10,272,446号
【発明の概要】
【0009】
本発明は、遠心分離において使用するための遠心分離機ローターの従来の溢出閉じ込め設計の前述した及び他の短所及び欠点を克服する。本発明は、特定の実施形態に関連付けて考察されるが、本発明は、本明細書に説明される具体的な実施形態に限定されないことが理解されるであろう。
【0010】
本発明の1つの実施形態によれば、ローター本体の回転軸を中心に円周方向に離間された複数のローターウェルを有するローター本体を含むローターアセンブリが提供される。ローターウェルの各々は、ローター本体の上部表面に形成されてサンプル容器をその中で受容するように構成された開放端部を含む。ローター本体は、ローター本体の上部表面の上方で軸方向に延在してローター本体の開放端部を画定し、かつローターアセンブリの回転中にローターウェルを受容したサンプル容器から漏出した材料を捕捉及び保持するように構成された環状閉じ込め溝を画定する、直立環状リップと、ローター本体の回転軸に向かって半径方向内向きに延在して環状閉じ込め溝の連続的な拡大部を形成する、環状閉じ込めリップと、を含む。ローターアセンブリは、ローター本体の上部表面と蓋の下側との間にキャビティを形成するために、ローター本体の開放端部に選択的に取り付け可能である、蓋を含む。蓋は、蓋の外周から半径方向内向きに、かつ蓋を中心に円周方向に延在し、略平面状かつ平行な上部表面及び下部表面を有する環状ディスクとして形成された第1のシールガスケットを受容するように構成されている、第1のアンダーカットチャネルを含む。蓋は、第1のシールガスケットが蓋と環状閉じ込めリップとの間に位置決めされて、蓋とローター本体との間にシールを形成するように、環状閉じ込めリップによってローター本体の上部表面の上方で支持される。
【0011】
本発明の一態様では、ローターアセンブリの蓋は、上部外周部分と、中間外周部分と、下部外周部分と、を含む。中間外周部分及び下部外周部分は、第1のアンダーカットチャネルによって互いに分離される。更なる態様では、上部外周部分は、蓋の第1の外径を画定し、中間外周部分は、第1の外径よりも小さい、蓋の第2の外径を画定し、下部外周部分は、第2の外径よりも小さい、蓋の第3の外径を画定する。本発明の更に別の態様では、蓋の下部外周部分は、環状閉じ込めリップの半径方向内向きの終端壁の横方向反対側に位置決めされて、蓋とローター本体との間に第1の境界面を画定する。それに関して、第1のシールガスケットは、第1のアンダーカットチャネルから第1の境界面全体に延在して、環状閉じ込めリップに重なるように構成されている。
【0012】
本発明による更に別の態様では、蓋は、第2のシールガスケットの一部分をその中で受容するように構成されている、第2のアンダーカットチャネルを含む。第2のアンダーカットチャネルは、蓋の上部外周部分と蓋の中間外周部分との間に形成されている。更なる態様では、蓋の中間外周部分は、直立環状リップの内壁の横方向反対側に位置決めされて、蓋とローター本体との間に第2の境界面を画定する。本発明の別の態様によれば、直立環状リップの内壁は、第2のシールガスケットが第2のアンダーカットチャネルから第2の境界面全体に延在して環状レッジに重なるように、段差が設けられて、蓋の第2のアンダーカットチャネルと整列するように構成された環状レッジを画定する。
【0013】
本発明の一態様では、環状閉じ込めリップは、環状閉じ込めリップの半径方向内向きの終端壁と環状閉じ込め溝との間に延在する面取りされた表面を含む。本発明の別の態様では、面取りされた表面の半径方向内向きの端部は、蓋の下側と面一になって、蓋の下側と環状閉じ込め溝との間に滑らかな移行を形成する。
【0014】
本発明の別の態様によれば、蓋は、上部外周部分と、中間外周部分と、下部外周部分と、を備え、上部外周部分及び中間外周部分は、第2のアンダーカットチャネルによって互いに分離されている。更なる態様では、上部外周部分は、蓋の第1の外径を画定し、中間外周部分は、第1の外径よりも小さい、蓋の第2の外径を画定し、下部外周部分は、第2の外径よりも小さい、蓋の第3の外径を画定する。更に別の態様では、下部外周部分は、環状閉じ込めリップの半径方向内向きの終端壁の横方向反対側に位置決めされて、蓋とローター本体との間に第1の境界面を画定する。それに関して、第1のシールガスケットは、第1のアンダーカットチャネルから第1の境界面全体に延在して、環状閉じ込めリップに重なるように構成されている。別の態様では、蓋の下側は、連続的に湾曲した表面、及び連続的に湾曲した表面と第3の外径を画定する蓋の下部外周部分との間に延在する面取りされた表面によって部分的に画定される。一態様によれば、面取りされた表面は、第1の境界面に環状閉じ込め溝の連続的な拡大部を形成する。
【0015】
本発明の一態様によれば、ローター本体は、固定角度ローター本体である。本発明の別の態様によれば、ローターアセンブリは、遠心分離機と組み合わせられる。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、ローター本体の回転軸を中心に円周方向に離間された複数のローターウェルを有するローター本体を含むローターアセンブリが提供される。各ローターウェルは、ローター本体の上部表面に形成された開放端部を含み、サンプル容器をその中で受容するように構成されている。ローター本体は、ローター本体の上部表面の上方で軸方向に延在してローター本体の開放端部を画定する、直立環状リップを含む。直立環状リップは、ローターアセンブリの回転中に複数のローターウェルのうちの少なくとも1つの中に受容されたサンプル容器から漏出した材料を捕捉及び保持するように構成された、環状閉じ込め溝、ローター本体の回転軸に向かって半径方向内向きに延在して環状閉じ込め溝の連続的な拡大部を形成する、環状閉じ込めリップ、及びローター本体の開放端部と環状閉じ込めリップとの間に延在する、頂部内壁を画定する。ローターアセンブリは、ローター本体の上部表面と蓋の下側との間にキャビティを形成するために、ローター本体の開放端部に選択的に取り付け可能である、蓋を更に含む。蓋は、第1のシールガスケットの一部分をその中で受容するように構成されている、蓋の外周から半径方向内向きに、かつ蓋を中心に円周方向に延在する、第1のアンダーカットチャネルと、第2のシールガスケットの一部分をその中で受容するように構成されている、蓋の外周から半径方向内向きに、かつ蓋を中心に円周方向に延在する、第2のアンダーカットチャネルと、を含む。蓋は、第1のシールガスケットが、蓋と環状閉じ込めリップとの間に位置決めされて、蓋とローター本体との間に第1のシールを形成し、第2のシールガスケットが、蓋と頂部内壁との間に位置決めされて、蓋とローター本体との間に第2のシールを形成するように、環状閉じ込めリップによってローター本体の上部表面の上方で支持される。
【0017】
本発明の一態様によれば、第1のシールガスケットは、略平面状かつ平行な上部表面及び下部表面を有する環状ディスクである。
【0018】
本発明の別の態様によれば、蓋は、上部外周部分と、中間外周部分と、下部外周部分と、を含み、上部外周部分及び中間外周部分は、第2のアンダーカットチャネルによって互いに分離され、中間外周部分及び下部外周部分は、第1のアンダーカットチャネルによって互いに分離されている。別の態様によれば、上部外周部分は、蓋の第1の外径を画定し、中間外周部分は、第1の外径よりも小さい、蓋の第2の外径を画定し、下部外周部分は、第2の外径よりも小さい、蓋の第3の外径を画定する。一態様によれば、蓋の下部外周部分は、環状閉じ込めリップの半径方向内向きの終端壁の横方向反対側に位置決めされて、第1の境界面を蓋とローター本体(rotor bod)との間に画定する。それに関して、第1のシールガスケットは、第1のアンダーカットチャネルから第1の境界面全体に延在して、環状閉じ込めリップに重なるように構成されている。別の態様によれば、蓋の中間外周部分は、直立環状リップの内壁の横方向反対側に位置決めされて、蓋とローター本体との間に第2の境界面を画定する。
【0019】
本発明の更に別の態様によれば、直立環状リップの内壁は、第2のシールガスケットが第2のアンダーカットチャネルから第2の境界面全体に延在して環状レッジに重なるように、段差が設けられて、蓋の第2のアンダーカットチャネルと整列するように構成された環状レッジを画定する。一態様では、環状閉じ込めリップは、環状閉じ込めリップの半径方向内向きの終端壁と環状閉じ込め溝との間に延在する面取りされた表面を含む。別の態様では、面取りされた表面の半径方向内向きの端部は、蓋の下側と面一になって、蓋の下側と環状閉じ込め溝との間に滑らかな移行を形成する。
【0020】
本発明の一態様によれば、ローター本体は、固定角度ローター本体である。
【0021】
本発明の更に別の実施形態によれば、ローター本体の回転軸を中心に円周方向に離間された複数のローターウェルを有するローター本体を含むローターアセンブリが提供される。複数のローターウェルの各々は、ローター本体の上部表面に形成され、サンプル容器をその中で受容するように構成された開放端部を含む。ローター本体は、ローター本体の上部表面の上方で軸方向に延在してローター本体の開放端部を画定する、直立環状リップを含む。直立環状リップは、ローターアセンブリの回転中に複数のローターウェルのうちの少なくとも1つの中に受容された少なくとも1つのサンプル容器から漏出した材料を捕捉及び保持するように構成された、環状閉じ込め溝、及びローター本体の回転軸に向かって半径方向内向きに延在して環状閉じ込め溝の連続的な拡大部を形成する、環状閉じ込めリップを画定する。ローターアセンブリはまた、ローター本体の上部表面と蓋の下側との間にキャビティを形成するために、ローター本体の開放端部に選択的に取り付け可能である、蓋も含む。蓋は、環状ソケットを有する環状肩部を画定する、段付きプロファイルを含む。環状肩部は、環状ソケット内で受容して第1のシールガスケットと環状肩部との間の係合を維持するように構成されている環状突起を備えた第1のシールガスケットを受容するように構成されている。蓋は、第1のシールガスケットが環状肩部と環状閉じ込めリップとの間に位置決めされて、蓋とローター本体との間にシールを形成するように、環状閉じ込めリップによってローター本体の上部表面の上方で支持される。
【0022】
本発明の1つの態様によれば、蓋は、環状肩部によって互いに分離された上部外周部分及び下部外周部分を含む。上部外周部分は、蓋の第1の外径を画定し、下部外周部分は、第1の外径よりも小さい、蓋の第2の外径を画定する。別の態様によれば、蓋の下部外周部分は、環状閉じ込めリップの半径方向内向きの終端壁の横方向反対側に位置決めされて、蓋とローター本体との間に第1の境界面を画定し、蓋の上部外周部分は、直立環状リップの内壁の横方向反対側に位置決めされて、蓋とローター本体との間に第2の境界面を画定する。更に別の態様によれば、蓋は、第2のシールガスケットの一部分をその中で受容するように構成されている、上部外周部分に形成されたアンダーカットチャネルを含む。一態様によれば、上部外周部分は、第1の外径、及び第1のアンダーカットチャネルによって互いに分離された、蓋の第3の外径を画定し、第3の外径は、第1の外径よりも小さいが、第2の外径よりも大きい。
【0023】
本発明の一態様によれば、直立環状リップの内壁は、第2のシールガスケットが第1のアンダーカットチャネルから第2の境界面全体に延在して環状レッジに重なるように、蓋のアンダーカットチャネルと整列するように構成された環状レッジを画定する。別の態様によれば、環状閉じ込めリップは、環状閉じ込めリップの半径方向内向きの終端壁と環状閉じ込め溝との間に延在する面取りされた表面を含む。更に別の態様によれば、面取りされた表面の半径方向内向きの端部は、蓋の下側と面一になって、蓋の下側と環状閉じ込め溝との間に滑らかな移行を形成する。
【0024】
本発明の一態様によれば、ローター本体は、固定角度ローター本体である。本発明の別の態様によれば、ローターアセンブリは、遠心分離機と組み合わせられる。
【0025】
本発明の様々な追加の特徴及び利点は、添付の図面と併せて解釈される1つ以上の例解的な実施形態の以下の詳細な説明を検討することにより、当業者にはより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を構成する、添付の図面は、本発明の1つ以上の実施形態を例解し、上記に提供された一般的な説明、及び下記に提供される詳細な説明とともに、本発明の1つ以上の実施形態を説明することに役立つ。
図1】本発明の態様による、遠心分離機ローターの蓋が取り外された、ローター本体及び蓋を含む例示的な遠心分離機ローターの斜視図である。
図2】サンプル容器内に閉じ込められたサンプルを遠心分離するためにローターウェル内に設置されたサンプル容器を例解する、蓋がローター本体に取り付けられた図1のローターの断面図である。
図3A】ローター本体から取り外した蓋を示す、図3Bと同様の拡大詳細図である。
図3B図2において囲まれた領域3Aの部分拡大図である。
図4】本発明の別の実施形態による、ローター蓋とローター本体の直立環状リップとの間の係合の詳細を例解する、図3Bの拡大図と同様の拡大図である。
図5】本発明の別の実施形態による、遠心分離機ローターの蓋が取り外された、ローター本体及び蓋を含む例示的な遠心分離機ローターの斜視図である。
図6】ローター本体に取り付けられた蓋を例解する、図1のローターの断面図である。
図7A】ローター本体から取り外された蓋を示す、図7Bと同様の拡大詳細図である。
図7B図6において囲まれた領域7Aの部分拡大図である。
図8】例示的な遠心分離機に設置された遠心分離機ローターを示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1図2は、本発明の一実施形態による、例示的な遠心分離機ローター10を例解する。ローター10は、別様にはローターアセンブリと称され、例えば、ローター本体12と、ローター本体12の開放端部16に結合されてサンプルの遠心分離中にローター本体12の上部表面18の上方で支持されるように構成されたローター蓋14と、を含む。ローター本体12は、回転軸20を中心に対称であり、ローター本体12内に形成され、ローター10の軸中心を通して形成される垂直ボア24を中心に対称の配置で放射状に分配されている複数のローターウェル22(別様には、受容チャンバ又はセルホールキャビティと称される)を含む。この目的のために、蓋14は、ローター10の高速回転中に、ローターウェル22内で保持された1つ以上のサンプル容器へのアクセスを遮断する。
【0028】
ローター本体12に形成された各ローターウェル22は、形状が略円筒形であり、ローター本体12の上部表面18の開口部26から、ローター本体12の底面30の近くの閉じたローターウェル基部28まで延在する。本明細書で使用される場合、ローター本体12の「上部表面」は、ローター10の回転軸20に沿ったローター本体12の略最上部及び開放端部16を指し、開放端部においてサンプル容器が装填及び搬出される。反対に、ローター本体12の「底面」は、回転軸20に沿ったローター本体12の略最下部の端部を指し、端部では、ローターが遠心分離機32(図8)によって支持される。
【0029】
図2に示されるように、各ローターウェル22は、ローター10の回転軸20に対してある角度で固定され、各ローターウェル22への開口部26は、ローターウェル22の対応する基部28と比較して、ローター10の回転軸20のより近くに位置している。それに関して、例示的なローター10は、固定角ローターであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,323,169号に完全に説明されているローターと多くの点で同様であり得、このローターは、サンプル容器をその中で受容するための6つの管形状のローターウェル22を有する。しかしながら、ローター10は、特定の特性を有する固定角ローターの文脈で図示及び説明されているが、本発明の実施形態に関連する同じ発明概念が、本発明の範囲から逸脱することなく、例えば、スイングバケットローター及び垂直ローターなどの異なるタイプの遠心分離機ローターで実施され得ることが理解されるであろう。この目的のために、図面は限定的であることを意図していない。
【0030】
例示的なローター10は、高速固定角ローターである。これらのタイプの固定角ローターの場合、例えば、10個以下などの限定された数のローターウェル22を含むことが好ましい。示される例示的な実施形態では、ローター本体12は、6つのローターウェル22を含む。各ローターウェル22は、ボトルアセンブリ34に格納されたサンプルの遠心分離のために、適切にサイズ決定された円筒形状の遠心分離機ボトルアセンブリ34をその中で受容するように適切にサイズ決定される。図2に示される遠心分離機ボトル34は、単なる例解であり、サンプルの遠心分離のために、他のサンプル容器がローターウェル22で保持され得ることが理解される。いずれにしても、ボトルアセンブリ34は、ある容量のサンプルを保持するように構成されたサンプル容器36と、容器36内にサンプルを閉じ込めるためのサンプル容器36にねじ込まれたキャップ38と、を含む。典型的な遠心分離操作は、サンプルの遠心分離のために、各ローターウェル22内にある容量のサンプルを含む1つのボトルアセンブリ34を配置することを含み得る。この目的のために、例えば、高回転速度で遠心力を受けて、サンプル材料がサンプル容器36とキャップ38との間の接続部を通してボトルアセンブリ34から漏出する場合も少なくない。
【0031】
図1図2を参照すると、ローター10は、略ディスク形状の蓋14に結合して蓋14の外周の周りに延在するように構成された、第1のシールガスケット40及び第2のシールガスケット42を更に含む。より具体的には、蓋14がローター本体12に結合されたときに、第1のシールガスケット40及び第2のシールガスケット42は、ローター本体12の蓋14と直立環状リップ44との間に位置して、それらの間にシールを形成して、直立環状リップ44によって画定されるローター本体12の開放端部16を閉鎖封止する。下で更に詳細に説明されるように、ローター本体12の蓋14と直立環状リップ44との間の係合は、遠心分離中に、及びより具体的には、ローター10の高回転速度中に、遠心分離機ローター10内で漏出又は溢出したサンプル材料を閉じ込めるように動作する。これに関して、例示的な高速固定角ローター10は、ローターウェル22及びその中で支持されるサンプルの回転速度が毎分数千回転、更には毎分数万回転(rotations-per-minute、rpm)を超え得る、高回転用途で使用される。例えば、典型的な高速遠心用途では、十分な材料分離を達成するために、ローター10が10,000rpm~17,000rpm、及び最高37,000rpmの速度で回転することが必要であり得る。
【0032】
図1図2を引き続き参照すると、ローター蓋14は、ユーザがローター本体12に対する蓋14の取り付け及び取り外しを行うことを支援するためのハンドル48を備えたハンドルアセンブリ46を含む。具体的には、ハンドル48は、蓋14をローター本体12とロックするために、又はそこから蓋14をアンロックするために回転され得、サンプル容器34を装填又は搬出した後に、蓋14を垂直方向に移動させて、ローター本体12と係合させる、又はそこから離れさせるために把持され得る。加えて、ハンドル48は、例えば、遠心分離機32にローター10を挿入するときに、若しくはそこからローター10を取り出すときに、又は例えば、ローター10を輸送するときに、ローター10を実質的に垂直方向に支持するために、ユーザによって把持され得る。
【0033】
図2に描写されるように、ハンドルアセンブリ46は、蓋ねじリテーナ52にねじ結合されて、ローター蓋14をローター本体12に固定するように構成された蓋ねじ50を更に含む。蓋ねじリテーナ52は、ハブ54を画定し、ローター本体12に形成された垂直ボア24と同軸の配置でハブリテーナ56にねじ結合される。それに関して、垂直ボア24は、例えば、ハブリテーナ56、蓋ねじリテーナ52、及び蓋ねじ50などの一連のハードウェアを受容して、ローター10の高速遠心回転のために、遠心分離機32(図8)の遠心分離機スピンドル58にローター10を固定するように構成されている。
【0034】
図2は、ローター本体12に結合されたローター蓋14を描写する。それに関して、蓋ねじ50は、蓋ねじ50を蓋ねじリテーナ52と係合させるために使用される垂直ボア24及びハンドル48を通して軸方向に挿入される。ハンドル48を介した蓋ねじ50の回転は、蓋ねじ50と蓋ねじリテーナ52とをねじ係合及びねじ係合解除するために、ユーザによって行われ得る。蓋ねじ50が蓋ねじリテーナ52と完全にねじ係合されたときに、ハンドル48の基部部分は、ローター蓋14に軸方向圧縮力を及ぼし、それによって、蓋14をローター本体12に固定する。そのように位置決めされたときに、ローター蓋14は、ローターウェル22で保持されたサンプル容器34へのアクセスを遮断し、ローター本体12の上部表面18と蓋14の下側62との間にキャビティ60を形成する。下で更に詳細に説明されるように、例えば、ローター蓋14とローター本体12との間のシーリング係合は、高速遠心分離中にサンプル容器34からキャビティ60内に漏出したサンプル材料を閉じ込めて、それによって、安全かつ清潔な労働環境を維持するように動作する。
【0035】
図2を引き続き参照すると、ローター本体12の直立環状リップ44は、ローター本体12の上部表面18の上方で軸方向に延在して、ローター本体12の開放端部16を画定し、ローター蓋14の外周部分を受容してローター蓋14をローター本体12の上部表面18の上方で支持するように構成されている。直立環状リップ44は、環状閉じ込め溝64、及びローター10の回転軸20に向かって半径方向内向き方向にある距離だけ延在する環状閉じ込めリップ66を画定するように成形されている。環状閉じ込めリップ66及び環状閉じ込め溝64はどちらも、直立環状リップ44を中心に円周方向に延在する。図3A図3Bに示されるように、環状閉じ込めリップ66は、直立環状リップ44の内側壁70と環状閉じ込めリップ66の半径方向内向きの終端壁72との間に延在する環状水平レッジ68を画定する。直立環状リップ44の内側壁70は、段付きプロファイルで形成され、環状閉じ込めリップ66の水平レッジ68とローター本体12の開放端部16との間に延在する。環状閉じ込め溝64は、ローター本体12の上部表面18と環状閉じ込めリップ66との間に延在する。この目的のために、環状閉じ込めリップ66は、環状閉じ込め溝64の連続的な拡大部を形成する。
【0036】
環状閉じ込め溝64は、ローター本体12の上部表面18の上方で軸方向に離間され、ローター本体12の上部表面18で半径方向外向きにある距離だけ延在するように凹状である。これに関して、環状閉じ込め溝64の湾曲は、サンプル容器34からキャビティ60内に漏出した任意のサンプル材料の大部分を捕捉し、それによって、遠心分離中に漏出したサンプル材料がローター10から流出することを防止するように動作する。しかしながら、ある特定の環境では、漏出したサンプル材料は、環状閉じ込め溝64に捕捉することができる前に、蓋14の下側62に沿って、蓋14とローター本体12との間の境界面を越えて進行しなければならない。従来の高速固定角ローターの場合、蓋14とローター本体12との間の境界面を越えて進行する十分な量の漏出したサンプル材料が存在する場合、高回転速度でローター10によって与えられる遠心力は、漏出したサンプル材料を、境界面を通してローターキャビティ60から押し出すための十分な流体圧をもたらす場合がある。本発明の蓋14とローター本体12との間の改善された係合は、下でより詳細に説明されるように、漏出したサンプル材料が蓋14とローター本体12との間の境界面を越えて移動することを容易にし、ローター10の回転中に、特に高回転速度中に、漏出したサンプル材料がローター10のキャビティ60から流出することを防止する。
【0037】
図3Aに示されるように、直立環状リップ44の内側壁70は、環状レッジ78によって分離された頂部内側壁74及び下部内側壁76を画定する段付きプロファイルが形成されている。それに関して、頂部内側壁74は、下部内側壁76によって画定される下部内径D2よりも大きい、直立環状リップ44の上部内径D1を画定する。換言すれば、頂部内側壁74は、ローター10の回転軸20から半径方向に、下部内側壁76よりも遠くに離間されている。2つの直径D1、D2の差は、頂部内側壁74と下部内側壁76との間に延在する環状レッジ78の幅を画定する。下で説明されるように、直立環状リップ44の段付きプロファイルは、蓋14の外周の形状に対応する。
【0038】
図3A図3Bを参照すると、蓋14の外周には、上部外周部分80、中間外周部分82、及び下部外周部分84を画定するように段差が設けられている。蓋14は、第1のシールガスケット40の一部をその中で受容するように構成されている、下部外周部分84と上部外周部分80/中間外周部分82との間に形成された第1のアンダーカットチャネル86を含む。第1のアンダーカットチャネル86は、蓋14の外周の周りに円周方向に延在し、蓋14の第1の環状肩部88の一部を画定する。蓋14はまた、第2のシールガスケット42の一部をその中で受容するように構成されている、中間外周部分82と上部外周部分80との間に形成された第2のアンダーカットチャネル90も含む。第2のアンダーカットチャネル90もまた、蓋14の外周の周りに円周方向に延在し、蓋14の第2の環状肩部92の一部を画定する。この目的のために、上部外周部分80は、第1の外径D3を画定し、中間外周部分82は、蓋14の第2の外径D4を画定し、下部外周部分84は、蓋14の第3の外径D5を画定する。蓋14の第1の外径D3は、蓋14の第2の外径D4よりも大きく、蓋14の第2の外径D4は、蓋14の第3の外径D5よりも大きい(すなわち、D3>D4>D5)。
【0039】
図3Bに示されるように、蓋14がローター本体12に結合されたときに、下部外周部分84は、環状閉じ込めリップ66の終端壁72の横方向反対側に位置決めされて、蓋14とローター本体12との間に第1の境界面94を形成し、中間外周部分82は、直立環状リップ44の下部内側壁76の横方向反対側に位置決めされて、第2の境界面96を形成し、上部外周部分80は、直立環状リップ44の頂部内側壁74の横方向反対側に位置決めされて、蓋14とローター本体12との間に第3の境界面98を形成する。蓋14の第1の環状肩部88は、環状閉じ込めリップ66の水平レッジ68に面するように構成され、第2の環状肩部92は、直立環状リップ44の環状レッジ78に面するように構成されて、蓋14をローター本体12の上部表面18の上方で支持する。理想的には、蓋14は、蓋14が直立環状リップ44の水平レッジ68及び環状レッジ78に載置されたときに、蓋14の取り外しを妨げない蓋14と直立環状リップ44との間の境界面94、96、98の各々において、それらの間に滑り接触が存在するように形成される。上で説明されるように、密封を生じさせるために、蓋14は、ハンドルアセンブリ46によって下向きに押し付けられる。図3Bに示されるように、それぞれのアンダーカットチャネル86、90で受容された第1のシールガスケット40及び第2のシールガスケット42は、下向きに押し付けられたときに、半径方向に膨張して、蓋14とローター本体12との間にシールを生じさせる。
【0040】
図3A図3Bに示されるように、第1のアンダーカットチャネル86は、第1のシールガスケット40の一部をその中で受容するように構成されている。より具体的には、第1のアンダーカットチャネル86は、蓋14の中心に向かう半径方向内向きの方向に、蓋14の下部外周部分84からある距離だけ延在して、蓋14の第1の環状縁100を画定する。第1のアンダーカットチャネル86内で受容される第1のシールガスケット40の一部分は、第1の環状縁100と蓋14の第1の環状肩部88との間で挟持される。この目的のために、第1の環状縁100は、蓋14の外周の周りに円周方向に延在する。第1のシールガスケット40と第1のアンダーカットチャネル86との間の嵌合は、例えば、第1のシールガスケット40を蓋14に保持するために、摩擦嵌合であり得る。摩擦嵌合の結果、図3Aに示されるように、蓋14がローター本体12から取り外されたときに、第1のシールガスケット40は、第1のアンダーカットチャネル86を介した蓋14との係合状態を維持する。第1のシールガスケット40は、略平面状かつ平行な上部表面及び下部表面を有する環状ディスクとして成形されている。第1のシールガスケット40は、概して、第1のアンダーカットチャネル86と中間外周部分82との間に、かつ蓋14の第1の環状肩部88に沿って延在する。
【0041】
図3A図3Bを引き続き参照すると、第2のアンダーカットチャネル90は、上部外周部分80と蓋14の中間外周部分82との間に延在し、第2のシールガスケット42の一部をその中で受容するように構成されている。より具体的には、第2のアンダーカットチャネル90は、蓋14の中心に向かって半径方向内向きの方向に、蓋14の中間外周部分82からある距離だけ延在して、蓋14の第2の環状縁102を画定する。この目的のために、第2の環状縁102は、蓋14の外周の周りに円周方向に延在する。示されるように、Oリングであり得る第2のシールガスケット42は、例えば、第2のシールガスケット42の一部が第2の環状肩部92と第2の環状縁102との間に挟持されるように、第2のアンダーカットチャネル90内に部分的に受容される。したがって、第2のシールガスケット42と第2のアンダーカットチャネル90との間の嵌合は、例えば、摩擦嵌合であるとみなされ得る。摩擦嵌合の結果、図3Aに示されるように、蓋14がローター本体12から取り外されたときに、第2のシールガスケット42は、第2のアンダーカットチャネル90を介した蓋14との係合状態を維持する。例示的な第2のシールガスケット42は、Oリングとして例解されているが、第2のシールガスケット42の断面形状は、円形である。しかしながら、第2のシールガスケット42が、例えば、正方形又は他の多角形形状などの他の断面形状を有し得ることが理解される。
【0042】
図3Bに示されるように、蓋14がローター本体12に結合されたときに、第1の環状縁100は、第1のシールガスケット40が、第1のアンダーカットチャネル86から直立環状リップ44の下部内側壁76まで第1の境界面94全体に延在して、環状閉じ込めリップ66の水平レッジ68に重なるように、環状閉じ込めリップ66の水平レッジ68と整列する。この構成の結果、第1のシールガスケット40は、蓋14によって下向きに押圧されたときに、蓋14の第1の環状肩部88の一部分と環状閉じ込めリップ66の水平レッジ68との間で押圧されて、第1の境界面94を覆って蓋14とローター本体12との間にシールを形成する。同様に、第2の環状縁102は、第2のシールガスケット42が、第2のアンダーカットチャネル90から直立環状リップ44の頂部内側壁74まで第2の境界面96全体に延在して、環状レッジ78に重なるように、直立環状リップ44の環状レッジ78と整列する。この構成の結果、第2のシールガスケット42は、蓋14によって下向きに押圧されたときに、蓋14の第2の環状肩部92の一部分と直立環状リップ44の環状レッジ78との間で押圧されて、第2の境界面96を覆って蓋14とローター本体12との間にシールを形成する。第1のシールガスケット40及び第2のシールガスケット42の組み合わせによって提供される封止効果、並びに蓋14とローター本体12との間の段付きのラビリンス状の係合は、高回転速度時に漏出又は溢出したサンプル材料をローター10のキャビティ60内に閉じ込めるように動作する。
【0043】
上で説明されるように、ある特定の環境では、漏出したサンプル材料は、環状液体閉じ込め溝64に捕捉することができる前に、蓋14の下側62に沿って、第1の境界面94を越えて進行しなければならない。例えば16,500rpmなどの高回転速度において、流体圧は、漏出したサンプル材料を、境界面94を通して第1のシールガスケット40に向かって押し出し得る。漏出したサンプル材料が第1の境界面94に進入することを防止するために、環状閉じ込めリップ66は、環状閉じ込めリップ66の半径方向内向きの終端壁72と環状閉じ込め溝64との間に延在する面取りされた表面104を含む。図3Bに示されるように、面取りされた表面104の半径方向内向きの端部は、蓋14の下側62と面一になって、蓋14の下側62と環状閉じ込め溝64の表面との間に滑らかな移行を形成する。この滑らかな移行は、蓋14の下側62に沿って環状閉じ込め溝64まで進行し得る、漏出したサンプル材料のための最も少ない抵抗の経路を提供する。したがって、漏出したサンプル材料は、ローター10の回転中に、第1の境界面94に流れ込むのではなく、第1の境界面94を越えて環状閉じ込め溝64に流れ込み、保持される。
【0044】
上で説明されるローターアセンブリ10のプロトタイプに試験を行って、溢出閉じ込め性能の改善を評価した。上で説明される本発明の実施形態が、16,500rpmで回転する遠心分離機ローターから、単一の250mLの遠心分離機ボトルアセンブリの最大10%である、漏出したサンプル材料の容量の流出を防止することに成功したことを観察した。
【0045】
以下、同じ数字が同じ特徴を表す図4を参照すると、本発明の別の実施形態による例示的なローター10aの一部分の詳細が示されている。この実施形態のローター10aと先に説明した実施形態のローター10との間の主な違いは、蓋14aの第1の環状肩部88aが、環状ソケット106を含むことであり、これは、第1のシールガスケット40aの環状突起108を受容して、第1のシールガスケット40aと蓋14aの第1の環状肩部88aとの間の係合を維持するように構成されている。環状ソケット106と第1のシールガスケット40aの環状突起108との間のインターロック係合の結果、蓋14aは、先に説明した実施形態の蓋14のような第1のアンダーカットチャネル86を含まない。むしろ、下部外周部分84aの周側壁110は、第1の環状肩部88aと蓋14aの下側62aとの間に直接延在する。したがって、示されるように蓋14aがローター本体12に結合されているときに、第1のシールガスケット40aは、下部外周部分84aの周側壁110と直立環状リップ44の下部内側壁76との間に延在して、環状閉じ込めリップ66の水平レッジ68に重なる。この目的のために、第1のシールガスケット40aは、下向きに蓋14aによって押圧されたときに、蓋14aの第1の環状肩部88aと環状閉じ込めリップ66の水平レッジ68との間で押圧される。
【0046】
肩部88aに形成された環状ソケット106及び第1のシールガスケット40aの環状突起108は、それぞれ円形の断面形状である。しかしながら、例えば、三角形、台形、又は他の好適な多角形形状などの、他の断面形状が可能である。環状ソケット106と環状突起108との間のインターロック係合は、ダブテールタイプの継手として説明され得る。第1のシールガスケット40aを形成するために使用されるガスケット材料の柔軟性は、環状突起108が、環状ソケット106と係合するように押圧されて、第1のシールガスケット40aを蓋14aに結合することを可能にする。
【0047】
以下、同じ数字が同じ特徴を表す図5図7Bを参照すると、本発明の別の実施形態による別の例示的なローター10bの詳細が示されている。この実施形態の例示的なローター10bもまた高速ローターであるが、上で説明される実施形態のローター10、10aと比較して、より低い回転速度の定格である。例えば、この実施形態の例示的なローター10bは、9,000rpmの最高回転速度を有し得る。その結果、この実施形態のローター10bと先に説明した実施形態のローター10、10aとの主な違いは、蓋14bが、第1のシールガスケット40bであるシールガスケットを1つしか含まないことである。更に、蓋14b及びローター10bの直立環状リップ44bの構造は、下で更に詳細に説明されるように、それらの間の単一のガスケットシールに適応するように変更される。
【0048】
図5図6に示されるように、ローター10bは、ローター本体12bと、サンプルの遠心分離中にローター本体12bの開放端部16bに結合されてローター本体12bの上部表面18bの上方で支持されるように構成された及びローター蓋14bと、を含む。ローター本体12bは、回転軸20bを中心に対称であり、ローター本体12bで形成され、ローター10bの軸中心を通して形成された垂直ボア24bを中心に対称の配置で放射状に分配された複数のローターウェル22bを含む。この目的のために、ローター10bは、ローター10bの回転軸20bに対してある角度で固定された各ローターウェル22bを備えた高速固定角ローターである。ローター10bは、例えば、6つのローターウェル22bを有し得、各々が、サンプルの遠心分離のために、適切にサイズ決定された遠心分離機ボトルアセンブリ(図示せず)をその中で受容するように構成されている。
【0049】
ローター10bは、略ディスク形状の蓋14bの外周を中心に受容されるように構成された第1のシールガスケット40bを含む。蓋14bがローター本体12bに結合されたときに、蓋14bとローター本体12bの直立環状リップ44bとの間に位置する第1のシールガスケット40bは、それらの間にシールを形成し、それによって、ローター本体12bの開放端部16bを閉鎖封止する。ローター蓋14bは、ユーザがローター本体12bに対する蓋14bの取り付け及び取り外しを行うことを支援するためのハンドル48bを備えたハンドルアセンブリ46bを含む。これに関して、ハンドルアセンブリ46bは、図6に描写されるように、ローター蓋14bをローター本体12bに固定するための蓋ねじリテーナ52bにねじ結合されるように構成された蓋ねじ50bを含む。この目的のために、垂直ボア24bは、例えば、ハブリテーナ56b、蓋ねじリテーナ52b、及び蓋ねじ50bなどの一連のハードウェアを受容して、ローター10bの高速遠心回転ために、遠心分離機32(図8)の遠心分離機スピンドル58にローター10を固定するように構成されている。
【0050】
図6を引き続き参照すると、ローター本体12bの直立環状リップ44bは、ローター本体12bの上部表面18bの上方で軸方向に延在して、ローター本体12bの開放端部16bを画定し、ローター蓋14bの外周部分を受容してローター蓋14bをローター本体12bの上部表面18bの上方で支持するように構成されている。図7A図7Bに示されるように、直立環状リップ44bは、環状閉じ込め溝64b、及びローター10bの回転軸20bに向かって半径方向内向き方向にある距離だけ延在する環状閉じ込めリップ66bを画定するように成形されている。環状閉じ込めリップ66b及び環状閉じ込め溝64bはどちらも、直立環状リップ44bを中心に円周方向に延在する。
【0051】
環状閉じ込めリップ66bは、直立環状リップ44bの内側壁70bと環状閉じ込めリップ66bの半径方向内向きの終端壁72bとの間に延在する水平レッジ68bを画定する。図7A図7Bに最も良く示されるように、半径方向内向きの終端壁72bは、環状レッジ116によって分離された頂壁セクション112及び底壁セクション114を画定するように、段差が設けられている。直立環状リップ44bの内側壁70bは、環状閉じ込めリップ44bの水平レッジ68bとローター本体12bの開放端部16bとの間に延在する。環状閉じ込め溝64bは、ローター本体12bの上部表面18bと環状閉じ込めリップ66bとの間に延在する。この目的のために、環状閉じ込めリップ66bは、環状閉じ込め溝64bの連続的な拡大部を形成する。
【0052】
環状閉じ込め溝64bは、ローター本体12bの上部表面18bの上方で軸方向に離間され、ローター本体12bの上部表面18bで半径方向外向きにある距離だけ延在するように凹状である。この実施形態の環状閉じ込め溝64bの湾曲は、先に説明した実施形態のローター10の環状閉じ込め溝64と比較して、より急激であり得る。それに関して、環状閉じ込め溝64bの上部分は、ローター本体12bの上部表面18bに向かってそれ自体の上へ内向きに湾曲して、小さいポケットを形成する。いずれにしても、環状閉じ込め溝64bは、サンプル容器からキャビティ60b内に漏出したサンプル材料を捕捉し、それによって、遠心分離中に漏出したサンプル材料がローター10bから流出することを防止するように動作する。
【0053】
図7A図7Bを引き続き参照すると、蓋14bの外周には、上部外周部分80b、中間外周部分82b、及び下部外周部分84bを画定するように段差が設けられている。蓋14bは、第1のシールガスケット40bの一部をその中で受容するように構成されている、上部外周部分80bと中間外周部分82bとの間に形成された単一の第1のアンダーカットチャネル86bを含む。第1のアンダーカットチャネル86bは、蓋14bの外周の周りに円周方向に延在し、蓋14bの第1の環状肩部88bの一部を画定する。中間外周部分82bと下部外周部分84bとの間の段付きプロファイルは、蓋14bの第2の環状肩部92bを画定する。この目的のために、上部外周部分80bは、第1の外径D6を画定し、中間外周部分は、蓋の第2の外径D7を画定し、下部外周部分は、蓋の第3の外径D8を画定する。蓋の第1の外径D6は、蓋の第2の外径D7よりも大きく、蓋の第2の外径D7は、蓋の第3の外径D8よりも大きい(すなわち、D6>D7>D8)。
【0054】
図7A図7Bに示されるように、第1のアンダーカットチャネル86bは、第1のシールガスケット40bの一部をその中で受容するように構成されている。それに関して、第1のアンダーカットチャネル86bは、蓋14bの中心に向かう半径方向内向きの方向に、蓋14bの中間外周部分82bからある距離だけ延在して、蓋14bの第1の環状縁100bを画定する。アンダーカットチャネル86b内で受容される第1のシールガスケット40bの一部分は、第1の環状縁100bと蓋14bの第1の環状肩部88bとの間で挟持される。この目的のために、第1の環状縁100bは、蓋14bの外周の周りに円周方向に延在する。第1のシールガスケット40bと第1のアンダーカットチャネル86bとの間の嵌合は、例えば、第1のシールガスケット40bを蓋14bに保持するために、摩擦嵌合であり得る。摩擦嵌合の結果、図7Aに示されるように、蓋14bがローター本体12bから取り外されたときに、第1のシールガスケット40bは、第1のアンダーカットチャネル86bを介した蓋14bとの係合状態を維持する。第1のシールガスケット40bは、略平面状かつ平行な上部表面及び下部表面を有する環状ディスクとして成形されている。第1のシールガスケット40bは、第1のアンダーカットチャネル86bから上部外周部分80bに、かつ第1の環状肩部88bに沿って延在する。
【0055】
蓋14bが、図7Bに示されるように、ローター本体12bに結合されたときに、下部外周部分84bは、環状閉じ込めリップ66bの終端壁72bの底壁セクション114の横方向反対側に位置決めされ、中間外周部分82bは、環状閉じ込めリップ66bの終端壁72bの頂壁セクション112の横方向反対側に位置決めされて、蓋14bとローター本体12bとの間に第1の段付き形状の境界面94bを形成する。上部外周部分80bは、直立環状リップ44bの内側壁70bの横方向反対側に位置決めされて、蓋14bとローター本体12bとの間に第2の境界面96bを形成する。第1の環状肩部88bは、環状閉じ込めリップ66bの水平レッジ68bに面するように構成され、第2の環状肩部92bは、環状レッジ116に面するように構成されて、蓋14bをローター本体12bの上部表面18bの上方で支持する。示されるように、第2の環状肩部92bは、環状レッジ116と直接係合し得、一方で、第1の環状肩部88bは、第1のシールガスケット40bを介して水平レッジ68bと間接的に係合し得る。そのように位置決めされたときに、第1の環状縁100bは、第1のシールガスケット40bが、第1のアンダーカットチャネル86bから直立環状リップ44bの内側壁70bまで第1の境界面94b全体に延在して、環状閉じ込めリップ66bの水平レッジ68bに重なるように、環状閉じ込めリップ44bの水平レッジ68bと整列する。この構成の結果、第1のシールガスケット40bの一部分は、蓋14bによって下向きに押圧されたときに、蓋14bの第1の環状肩部88bの一部分と環状閉じ込めリップ66bの水平レッジ68bとの間で押圧されて、ローター10bを閉鎖封止する。
【0056】
第1のシールガスケット40bのディスク形状が平坦化された結果、シールガスケットは、ガスケット40bの約50%が第1の境界面94bの両側に位置決めされるように、第1の境界面94b全体に延在する。その結果、第1の境界面94bの上に堅牢なシールが形成され、それによって、第1の境界面94bに進入するいかなる漏出したサンプル材料が第1のシールガスケット40bを通過することも防止する。更に、第1の境界面94bは、その段付き構成の結果としてラビリンス状であり、漏出したサンプル材料が、第1の境界面94bを昇って第1のシールガスケット40bへ進行することを困難にする。第1の境界面94bでの蓋14bとローター本体12bとの間のラビリンス様の係合と、第1のシールガスケット40bの構成との構成は、高回転速度時に漏出又は溢出したサンプル材料をローター10bのキャビティ60b内に閉じ込めるように動作する。
【0057】
漏出したサンプル材料が第1の境界面94bに進入することを防止するために、蓋14bの下側62bは、蓋14bの下側62bの連続的に湾曲した表面122と蓋14bの下部外周部分84bとの間に延在する面取りされた表面120を含む。図7Bに示されるように、面取りされた表面120の半径方向外向きの端部は、環状閉じ込め溝64bと面一になって、蓋14bの下側62bと環状閉じ込め溝64bの表面との間に滑らかな移行を形成する。この滑らかな移行は、蓋14bの下側62bに沿って環状閉じ込め溝64bまで流れる、漏出したサンプル材料のための最も少ない抵抗の進行経路を提供する。したがって、漏出したサンプル材料は、ローター10bの回転中に、第1の境界面94bに流れ込むのではなく、環状閉じ込め溝64b内に流れ込み、保持される。
【0058】
図8は、本発明の一実施形態による例示的な遠心分離機32を描写する。遠心分離機32は、ハウジング124と、駆動モータ126と、ローター駆動シャフト又はスピンドル58と、スピンドル58に装着された上で説明されるローター10、10a、10bのうちの1つと、を含む。動作中に、駆動モータ126は、スピンドル128に回転を付与して、これが次に、ローター10、10a、10bに回転トルクを提供して、ローター10、10a、10bを所望の速度で回転させる。
【0059】
本発明は、その様々な実施形態の説明によって例解され、実施形態はかなり詳細に説明されてきたが、添付の特許請求の範囲の範囲をそのような詳細に限定、又は決して制限することを意図したものではない。したがって、本明細書で考察される様々な特徴は、単独で又はいずれかの組み合わせで使用することができる。追加の利点及び改変が、当業者には容易に明らかとなろう。したがって、本発明は、その広い態様において、図示及び記載された特定の詳細、並びに例解的な実施例に限定されるものではない。したがって、一般的な発明の概念の範囲から逸脱することなく、そのような詳細から逸脱することができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
【外国語明細書】