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特開2023-138455テストプランの適合性に関する予測分析のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138455
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】テストプランの適合性に関する予測分析のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023041185
(22)【出願日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】17/696,689
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523095945
【氏名又は名称】クラリトリクス・インコーポレイテッド・ディー・ビー・エー・ブディ・エーアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・シャラファス
(72)【発明者】
【氏名】ハリナス・クリシュナムールティ
(72)【発明者】
【氏名】スダルスン・サンティアッパン
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA70
3C100BB05
3C100BB15
3C100BB27
3C100EE08
(57)【要約】
【課題】最終製品組立前に、組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析を提供するための方法、装置、およびコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【解決手段】本開示によれば、組立ラインにおける素子が素子テストユニットによって行われるテストに合格すると、素子のテストデータがシステムによって処理されて、素子が組み立てられたときに適合製品になるかどうかを予測する。最終製品が不適合であると予測されると、システムは、信頼できない素子を検出し、最終製品の不合格に対する説明/フィードバックを提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最終製品組立前に、組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析を提供するための方法であって、
前記組立ラインにおける、1つまたは複数の素子のテストデータを1つまたは複数の素子テストユニットから取得するステップであって、前記テストデータが、異なるテスト条件下の前記1つまたは複数の素子の機能性を表す電気的パラメータに対応する、ステップと、
各素子の前記取得したテストデータを事前訓練済みテストデータで処理して、前記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるかどうかを予測するステップであって、前記処理することが、前記1つまたは複数の素子の各々の前記取得したテストデータを、データベースに記憶された、既定の閾値と比較することを含む、ステップと、
前記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに前記適合製品になるとの予測に応答して、前記1つまたは複数の素子を組み立てて最終製品を作り上げるステップと、
前記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに不適合製品になるとの予測に応答して、前記不適合製品になる少なくとも1つの素子を決定するステップと、
前記1つまたは複数の素子テストユニットにフィードバックを提供して、前記1つまたは複数の素子テストユニットが前記不適合製品になる前記少なくとも1つの素子に対するテストプランを修正できるようにするステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記処理するステップが、事前訓練済み予測モデルを使用して行われ、
前記フィードバックを提供するステップが、前記不適合製品の原因となる、前記少なくとも1つの素子の、1つまたは複数の電気的パラメータを識別し、前記予測モデルを使用して前記1つまたは複数の電気的パラメータに関連するテストプラン修正を推奨するステップを含み、
前記予測モデルが、前記電気的パラメータを詳述する決定木ベースの構造であって、1つのルートノードおよび複数の終端ノードを有する決定木ベースの構造を規定し、各終端ノードが、決定経路を通って前記ルートノードに接続され、各決定経路が、前記ルートノードと前記終端ノードとの間に少なくとも1つの中間ノードを備え、前記決定木の各中間ノードが、決定経路を介して少なくとも1つの終端ノードと接続され、
前記決定木の各ノードが、前記素子が前記適合製品になるか前記不適合製品になるかを判定するための電気的パラメータおよびそれぞれの閾値を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各素子に対して、
前記素子の前記テストデータに基づいて前記ルートノードから前記複数の終端ノードのうち1つの終端ノードまで決定経路を辿るステップと、
前記辿った決定経路のノードの前記閾値に基づいて前記素子が前記不適合製品になるかどうかを判定するステップと、
前記辿った決定経路における前記ノードに対応する前記1つまたは複数の電気的パラメータに関連するテストプラン修正のための入力を前記フィードバックとして提供するステップと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
リアルタイムのテストデータに基づいて一定間隔で前記予測モデルを自動的に訓練するステップであって、前記予測モデルを自動的に訓練することが、前記リアルタイムのテストデータに基づいて前記既定の閾値を動的に調整することを含む、ステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記不適合製品になる前記決定された少なくとも1つの素子に対する信頼スコアを生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
最終製品組立前に、組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析を提供するシステムであって、
前記組立ラインにおける、1つまたは複数の素子のテストデータを1つまたは複数の素子テストユニットから取得するように構成された処理ユニットであって、前記テストデータが、異なるテスト条件下の前記1つまたは複数の素子の機能性を表す電気的パラメータに対応する、処理ユニットと、
前記処理ユニットと動作可能に接続され、前記取得されたテストデータを記憶する、メモリユニットと、
前記処理ユニットおよび前記メモリユニットと動作可能に接続され、各素子の前記取得されたテストデータを事前訓練済みテストデータで処理して、前記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるかどうかを予測するように構成された予測ユニットであって、前記処理することが、前記1つまたは複数の素子の各々の前記取得されたテストデータを、データベースに記憶された、既定の閾値と比較することを含む、予測ユニットと、
前記処理ユニット、前記予測ユニット、および前記メモリユニットと動作可能に接続されたフィードバックユニットと
を備え、
前記処理ユニットは、前記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに前記適合製品になるとの予測に応答して、前記1つまたは複数の素子を組み立てて最終製品を作り上げるように構成され、
前記フィードバックユニットは、
前記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに不適合製品になるとの予測に応答して、前記不適合製品になる少なくとも1つの素子を決定し、
前記1つまたは複数の素子テストユニットにフィードバックを提供して、前記1つまたは複数の素子テストユニットが前記不適合製品になる前記少なくとも1つの素子に対するテストプランを修正できるようにするように構成される、システム。
【請求項7】
前記予測ユニットが、各素子の前記取得されたテストデータを事前訓練済みテストデータで処理して、前記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるかどうかを予測する事前訓練済み予測モデルを備え、
前記フィードバックユニットが、前記不適合製品の原因となる、前記少なくとも1つの素子の、1つまたは複数の電気的パラメータを識別し、前記予測モデルを使用して前記1つまたは複数の電気的パラメータに関連するテストプラン修正を推奨することによって、前記フィードバックを提供するように構成され、
前記予測モデルが、前記電気的パラメータを詳述する決定木ベースの構造であって、1つのルートノードおよび複数の終端ノードを有する決定木ベースの構造を規定し、各終端ノードが、決定経路を通って前記ルートノードに接続され、各決定経路が、前記ルートノードと前記終端ノードとの間に少なくとも1つの中間ノードを備え、前記決定木の各中間ノードが、決定経路を介して少なくとも1つの終端ノードと接続され、
前記決定木の各ノードが、前記素子が前記適合製品になるか前記不適合製品になるかを判定するための電気的パラメータおよびそれぞれの閾値を表す、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記フィードバックユニットが、
各素子に対して、
前記素子の前記テストデータに基づいて前記ルートノードから前記複数の終端ノードのうち1つの終端ノードまで決定経路を辿り、
前記辿った決定経路のノードの前記閾値に基づいて前記素子が前記不適合製品になるかどうかを判定し、
前記辿った決定経路における前記ノードに対応する前記1つまたは複数の電気的パラメータに関連するテストプラン修正のための入力を前記フィードバックとして提供するようにさらに構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記予測ユニットが、リアルタイムのテストデータに基づいて一定間隔で前記予測モデルを自動的に訓練するようにさらに構成され、前記予測モデルを自動的に訓練することが、前記リアルタイムのテストデータに基づいて前記既定の閾値を動的に調整することを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記予測ユニットが、前記不適合製品になる前記決定された少なくとも1つの素子に対する信頼スコアを生成するようにさらに構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な1つまたは複数の命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
組立ラインにおける、1つまたは複数の素子のテストデータを1つまたは複数の素子テストユニットから取得するための1つまたは複数の命令であって、前記テストデータが、異なるテスト条件下の前記1つまたは複数の素子の機能性を表す電気的パラメータに対応する、1つまたは複数の命令と、
各素子の前記取得されたテストデータを事前訓練済みテストデータで処理して、前記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるかどうかを予測するための1つまたは複数の命令であって、前記処理することが、前記1つまたは複数の素子の各々の前記取得されたテストデータを、データベースに記憶された、既定の閾値と比較することを含む、1つまたは複数の命令と、
前記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに前記適合製品になるとの予測に応答して、前記1つまたは複数の素子を組み立てて最終製品を作り上げるための1つまたは複数の命令と、
前記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに不適合製品になるとの予測に応答して、前記不適合製品になる少なくとも1つの素子を決定するための1つまたは複数の命令と、
前記1つまたは複数の素子テストユニットにフィードバックを提供して、前記1つまたは複数の素子テストユニットが前記不適合製品になる前記少なくとも1つの素子に対するテストプランを修正できるようにする1つまたは複数の命令と
を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記処理することが、事前訓練済み予測モデルに記憶された1つまたは複数の命令を使用して行われ、
前記フィードバックを提供することが、前記不適合製品の原因となる、前記少なくとも1つの素子の、1つまたは複数の電気的パラメータを識別し、前記予測モデルを使用して前記1つまたは複数の電気的パラメータに関連するテストプラン修正を推奨することを含み、
前記予測モデルが、前記電気的パラメータを詳述する決定木ベースの構造であって、1つのルートノードおよび複数の終端ノードを有する決定木ベースの構造を規定し、各終端ノードが、決定経路を通って前記ルートノードに接続され、各決定経路が、前記ルートノードと前記終端ノードとの間に少なくとも1つの中間ノードを備え、前記決定木の各中間ノードが、決定経路を介して少なくとも1つの終端ノードと接続され、
前記決定木の各ノードが、前記素子が前記適合製品になるか前記不適合製品になるかを判定するための電気的パラメータおよびそれぞれの閾値を表す、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
各素子に対して、
前記素子の前記テストデータに基づいて前記ルートノードから前記複数の終端ノードのうち1つの終端ノードまで決定経路を辿り、
前記辿った決定経路のノードの前記閾値に基づいて前記素子が前記不適合製品になるかどうかを判定し、
前記辿った決定経路における前記ノードに対応する前記1つまたは複数の電気的パラメータに関連するテストプラン修正のための入力を前記フィードバックとして提供する
ための1つまたは複数の命令をさらに含む、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
リアルタイムのテストデータに基づいて一定間隔で前記予測モデルを自動的に訓練するための1つまたは複数の命令であって、前記予測モデルを自動的に訓練することが、前記リアルタイムのテストデータに基づいて前記既定の閾値を動的に調整することを含む、1つまたは複数の命令をさらに含む、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記不適合製品になる前記決定された少なくとも1つの素子に対する信頼スコアを生成するための1つまたは複数の命令をさらに含む、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機械学習(ML)アルゴリズムを使用した製品歩留まり予測の分野に関する。詳細には、本開示は、最終製品組立前に、組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析を提供するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造生産ラインでは、製品を製造するには、複数組立ラインの構成を伴う。異なる組立ラインによって異なる素子/部品が製造されることがあり、後に組み立てられて最終製品を作り上げる。各段階で、生産された素子はテストおよび検証される。現代では、製造はより複雑になっており、ナノメートルスケール技術を使用する場合、今日使用される大部分のプロセスは無限小である。製造の間、製品製作後に、包装製品としての最終組立が続く。途中で、製品は、それらの機能パラメータの観点から専用のテスタ機でテストされる。テスタ機で不合格の製品は除外される。しかしながら、一部の不良製品がテストに合格して、最終組立を不合格にさせ、莫大な製造労力および時間の浪費をもたらす。組立欠陥は、多くの企業において品質欠陥の有意な割合を表す。
【0003】
そのため、最終組立における製品の適合性を予測し、かつプロセス設計変更を利用することによるテストプラン修正への提案を提供する技術の必要がある。
【0004】
この背景項に開示される情報は、単に発明の一般的背景の知識の強化のためであり、この情報が当業者に既に公知の先行技術を形成するという承認としてもまたはいかなる形態の示唆としても解釈されるべきでない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示によって上記した1つまたは複数の欠点が克服され、かつ追加の利点が提供される。本開示の技術を通じて追加の特徴および利点が実現される。本開示の他の実施形態および態様が本明細書に詳細に記載され、かつ本開示の一部とみなされる。
【0006】
本開示の目的は、製造原価および時間の観点から相当な節減を提供するために最終組立の充分前に信頼できない製品を識別することである。
【0007】
本開示の別の目的は、最終製品組立前に、組立ラインにおける素子の適合性を予測することである。
【0008】
本開示の別の目的は、安定した最終製品歩留まりを保証するために既に存在するテストプランを修正する提案を提供することである。
【0009】
本開示の上記の目的の他に他の目的、特徴および利点は、以下の説明、添付の図面、および添付の特許請求の範囲の検討に応じて当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様によれば、最終製品組立前の、組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析のための、方法、装置、およびコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0011】
本開示の非限定的実施形態において、本出願は、最終製品組立前に、組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析を提供するための方法を開示する。本方法は、組立ラインにおける、1つまたは複数の素子のテストデータを1つまたは複数の素子テストユニットから取得するステップであって、テストデータが、異なるテスト条件下の1つまたは複数の素子の機能性を表す電気的パラメータに対応する、ステップを含んでよい。本方法は、各素子の取得したテストデータを事前訓練済みテストデータで処理して、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるかどうかを予測するステップであって、上記処理することが、1つまたは複数の素子の各々の取得したテストデータを、データベースに記憶された、既定の閾値と比較することを含む、ステップをさらに含んでよい。本方法は、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるとの予測に応答して、上記1つまたは複数の素子を組み立てて最終製品を作り上げるステップをさらに含んでよい。本方法は、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに不適合製品になるとの予測に応答して、不適合製品になる少なくとも1つの素子を決定するステップをさらに含んでよい。本方法は、1つまたは複数の素子テストユニットにフィードバックを提供して、それらが不適合製品になる上記少なくとも1つの素子に対するテストプランを修正できるようにするステップをさらに含んでよい。
【0012】
本開示の別の非限定的実施形態において、本出願は、最終製品組立前に、組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析を提供する装置を開示する。本装置は、組立ラインにおける、1つまたは複数の素子のテストデータを1つまたは複数の素子テストユニットから取得するように構成された処理ユニットであって、テストデータが、異なるテスト条件下の1つまたは複数の素子の機能性を表す電気的パラメータに対応する、処理ユニットを備えてよい。本システムは、処理ユニットと動作可能に接続され、取得されたテストデータを記憶するメモリユニットをさらに備える。本システムは、処理ユニットおよびメモリユニットと動作可能に接続された予測ユニットをさらに備え、予測ユニットは、各素子の取得されたテストデータを事前訓練済みテストデータで処理して、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるかどうかを予測するように構成され、上記処理することが、1つまたは複数の素子の各々の取得されたテストデータを、データベースに記憶された、既定の閾値と比較することを含む。上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるとの予測に応答して、処理ユニットは、上記1つまたは複数の素子を組み立てて最終製品を作り上げるように構成される。本システムは、処理ユニット、予測ユニットおよびメモリユニットと動作可能に接続されたフィードバックユニットをさらに備える。フィードバックユニットは、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに不適合製品になるとの予測に応答して、不適合製品になる少なくとも1つの素子を決定し、そして1つまたは複数の素子テストユニットにフィードバックを提供して、それらが不適合製品になる上記少なくとも1つの素子に対するテストプランを修正できるようにするように構成される。
【0013】
本開示の別の非限定的実施形態において、本出願は、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な1つまたは複数の命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体を開示する。本非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、組立ラインにおける、1つまたは複数の素子のテストデータを1つまたは複数の素子テストユニットから取得するための1つまたは複数の命令であって、テストデータが、異なるテスト条件下の1つまたは複数の素子の機能性を表す電気的パラメータに対応する、1つまたは複数の命令を含む。本非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、各素子の取得されたテストデータを事前訓練済みテストデータで処理して、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるかどうかを予測するための1つまたは複数の命令であって、上記処理することが、1つまたは複数の素子の各々の取得されたテストデータを、データベースに記憶された、既定の閾値と比較することを含む、1つまたは複数の命令をさらに含む。本非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるとの予測に応答して、上記1つまたは複数の素子を組み立てて最終製品を作り上げるための1つまたは複数の命令をさらに含む。本非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに不適合製品になるとの予測に応答して、不適合製品になる少なくとも1つの素子を決定するための1つまたは複数の命令をさらに含む。本非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、1つまたは複数の素子テストユニットにフィードバックを提供して、それらが不適合製品になる上記少なくとも1つの素子に対するテストプランを修正できるようにする1つまたは複数の命令をさらに含む。
【0014】
上記の概要は単に例示的であり、決して限定的であるとは意図されない。上記した例示的な態様、実施形態および特徴に加えて、図面および以下の詳細な説明を参照することによって更なる態様、実施形態および特徴が明らかになるであろう。
【0015】
本開示の更なる態様および利点は、添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明から容易に理解されるであろう。参照数字は、同一のまたは機能的に同様の要素を指すために使用されている。以下の詳細な説明と共に図は、本明細書に組み込まれてその一部を形成し、かつ本開示に従って、実施形態をさらに例示して様々な原理および利点を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来の製品組立ワークフロー100を示す図である。
図2】本開示の一部の実施形態に従う、製品組立ワークフロー200を示す図である。
図3】本開示の一部の実施形態に従う、最終製品組立前に組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析を提供するシステムのブロック図である。
図4】本開示の一部の実施形態に従う、例証的な決定木ベースの構造の図である。
図5】本開示の一部の実施形態に従う、予測&説明能力モデルのワークフローを示す図である。
図6】本開示の一部の実施形態に従う、最終製品組立前に、組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析を提供するためのシステムの作用の一例の図である。
図7】本開示の一部の実施形態に従う、最終製品組立前に、組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析を提供するためのシステムのブロック図である。
図8】本開示の一部の実施形態に従う、最終製品組立前に組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析を提供するための方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書におけるいずれのブロック図も本開示の原理を具現化する例示的なシステムの概念図を表すことが当業者によって認識されるべきである。同様に、いずれのフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コード等も、コンピュータ可読記憶媒体に実質的に表され、かつ、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に図示されるか否かに関わらず、コンピュータまたはプロセッサによって実行され得る、様々なプロセスを表すことが認識されるであろう。
【0018】
本文書において、単語「例証的」は、「一例、事例または例示としての役割をする」を意味するために本明細書で使用される。「例証的」として本明細書に記載される本開示のいずれの実施形態または実装例も、必ずしも他の実施形態より好まれるまたは有利として解釈されるものではない。
【0019】
本開示は様々な変形例および代替形態の余地があるが、その具体的な実施形態が例として図面に図示されており、以下に詳細に記載されることになる。しかしながら、それは、本開示を開示される特定の形態に限定するとは意図されず、逆に本開示が、本開示の趣旨および範囲内に収まる全ての変形例、均等例および代替例を包含することが理解されるべきである。
【0020】
用語「comprise(s)(備える)」、「comprising(備えている)」、「include(s)(含む)」、またはその任意の他の変化形は、一連の部品またはステップを含む構成、デバイス、装置、システムまたは方法がそれらの部品またはステップだけを含むのではなく、明示的に列記されないまたはそのような構成もしくはデバイスもしくは装置もしくはシステムもしくは方法に固有の他の部品またはステップを含んでよいように、非排他的包括を包含すると意図される。言い換えれば、「comprises … a」に続くデバイスまたはシステムまたは装置における1つまたは複数の素子は、更なる制約なしで、システムにおける他の素子または追加の素子の存在を排除しない。
【0021】
本開示の実施形態の以下の詳細な説明では、この一部を形成し、かつ本開示が実施され得る具体的な実施形態が例示として図示される、添付の図面が参照される。これらの実施形態は、当業者が本開示を実施することを可能にするのに充分に詳細に記載され、また他の実施形態が活用され得ること、および本開示の範囲から逸脱することなく変更がなされ得ることが理解されるはずである。以下の説明は、したがって、限定的な意味にとられるものではない。以下の説明では、周知の機能または構造は、それらが不必要な詳細で説明を不明瞭にし得るので詳細には記載されない。
【0022】
「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」のような用語は、説明全体を通じて互換的に使用されることがある。「複数の」および「複数」のような用語は、説明全体を通じて互換的に使用されることがある。さらに、「素子」および「部品」のような用語は、説明全体を通じて互換的に使用されることがある。「製品」および「最終製品」のような用語は、説明全体を通じて互換的に使用されることがある。
【0023】
本開示において、用語「素子」は、その最も広い定義の文脈内で使用される。素子は、集積回路(IC)、電子デバイス等などの製品を製造するために組み立てられ得る、任意の電子、電気および/または電磁部品でよい。
【0024】
本開示において、用語「製品」は、その最も広い定義の文脈内で使用される。製品は、任意の電子、電気もしくは電磁デバイスまたは任意のICでよいが、それに限定されない。製品は、上で定義された1つまたは複数の素子を使用して製造される。
【0025】
従来、機械学習(ML)アルゴリズム手法による製品歩留まり予測の有意な研究がある。MLアルゴリズムの有意な利点は、以前は未知の(暗黙の)知識を発見すること、およびデータセットにおける関係を識別することである。製造環境において結果を達成するMLアルゴリズムの全体的能力は、証明に成功している。MLは、製造における様々なプロセス最適化、モニタリングおよび制御用途での活用に成功してきた。これらの手法の大部分は、製作歩留まりを予測することに集中した。しばしば、MLの用途は、製造プログラムまたは製造システム全体の代わりに、特定のプロセスに制限され集中しているのが見受けられる。
【0026】
従来の製品製造組立では、図1に図示されるように、組立ラインにおける素子が、ブロック102に図示される1つまたは複数の素子テストユニットを使用してテストされる。テストに合格の素子は、素子を使用して製品を製造するための、ブロック104における、最終製品組立に送られ、そしてテストに不合格の素子は破棄される。最終製品組立後、製造された製品は、ブロック106における最終テストに送られる。最終テストに不合格の製品は、分離されてブロック108における手動検査のために送られ、そして手動検査後に製品は、ブロック110における、不良であり製品の不合格に至る、1つまたは複数の素子の交換のために送られる。しかしながら、そのような従来の製品組立ワークフローは、最終組立を不合格にさせ、莫大な製造労力および時間の浪費をもたらす。
【0027】
上述の課題は、本開示によって解決される。本開示は、製造生産ラインにおける素子のテストプランの適合性を決定し、製品の機能パラメータテストの完全性を決定し、そしてフィールドエンジニアに製造生産ラインにおける信頼できない製品について警告できるシステムおよび方法を規定する。本システムは、最終組立の充分前に信頼できない素子を予測して、製造原価および時間の観点から相当な節減を提供することもできる。これは、最終組立について信頼できない素子に対する説明能力および信頼スコアも提供する。本システムは、安定した最終製品歩留まりを保証するために既に存在するテストプランを確認する機会も提供する。製造パイプラインにおける半完成材料に関する最終製品歩留まり性能を予測する能力は、エンジニアが是正措置のために上流プロセスステップにおける可能性のある寄与因子を調査するために信頼できる情報を与える。
【0028】
本提案システムは、教師あり学習アルゴリズムを使用して、最終製品組立前に組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析を提供する。本システムは、両適合および不適合素子テストデータを伴う大量の訓練サンプルならびに様々な補助データを使用して訓練されてアンサンブルモデルを構築し、これが最終組立における素子の適合性を提供する予測モデルとして使用される。本システムは、不合格説明能力および不適合製品に関するテストプラン変更への提案のための並列木ベースのモデルも利用して、エンジニア/オペレータがそれらの既存のテストプランを更新することを可能にする。本提案システムにより、一定期間にわたって最終製品組立においてほぼ無欠陥を達成することが極めて可能である。
【0029】
図2は、本開示の一実施形態に係る製品組立ワークフローを示す。図2によれば、素子が、ブロック202において1つまたは複数の素子テストユニットを使用してテストされる。テストに不合格の素子は破棄され、そしてテストに合格の素子は、素子が適合製品になるか不適合製品になるかを予測する本提案システムの予測モデルによってブロック204においてさらに分析される。一実施形態において、素子が適合製品になるであろうと予測モデルが予測すれば、素子は、最終製品を製造するためのブロック206における製品組立に渡される。その後、最終製品は、ブロック208における最終テストに送られる。別の実施形態において、素子が不適合製品になるであろうと予測モデルが予測すれば、製品不合格説明を提供するために素子のテストデータが本システムによってブロック210において処理され、そしてその後ブロック212において、テストプランの修正を行うために上記素子の不合格に対するフィードバックがブロック202におけるテストユニットに提供される。
【0030】
製品組立ワークフローは、図3に例示されるシステムを使用してさらに詳細に説明される。図3は、本開示の一実施形態に係る、最終製品組立前に、組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析を提供するためのシステム300をブロック図として例示する。システム300は、処理ユニット302、メモリユニット304、予測ユニット306、およびフィードバックユニット308を備える。処理ユニット302は、1つまたは複数のプロセッサを備えてよい。処理ユニット302、メモリユニット304、予測ユニット306およびフィードバックユニット308は、有線または無線通信を介して互いに通信可能に接続される。一実施形態において、1つまたは複数の素子テストユニット310がシステム300の外部にあるものと図示されるが、これらの1つまたは複数の素子テストユニット310はシステム300の一部でよい。
【0031】
一実施形態によれば、処理ユニット302は、1つまたは複数の素子テストユニット310から組立ラインにおける1つまたは複数の素子のテストデータを取得してよい。テストデータは、異なるテスト条件下の1つまたは複数の素子の機能性を表す電気的/電磁的パラメータに対応する。例証的なテストデータが以下の表1に示される。
【0032】
【表1】
【0033】
取得されたテストデータは、本システムによる更なる処理のためにメモリユニット304に記憶される。予測ユニット306は、各素子のテストデータを事前訓練済みテストデータで処理して、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるかどうかを予測する。予測ユニット306は、1つまたは複数の素子の各々のテストデータをメモリユニット304内のデータベースに記憶される既定の閾値と比較することによってテストデータを処理する。
【0034】
一実施形態によれば、予測ユニット306は、一定期間にわたる、異なる組立ラインの1つまたは複数の素子テストユニットおよび製品テストユニットから取り出される、適合、不適合素子テストデータを備える大量の履歴テストデータ、および様々な補助データで訓練された機械学習アルゴリズムを使用して生成される予測モデルを備える。モデル訓練の間、テストデータ、すなわち最終製品の合格/不合格に至るパラメータ値に存在するパターンに基づいて、モデルは、モデルに供給される訓練データでそれがうまく機能するように閾値を調整する。閾値の調整を内部的に最適化して予測をより良好に行うために最適化手法が使用される。一旦訓練が補完されると、訓練済みシステムは、計算された閾値を使用して新たな初見のテストデータに基づいて任意の製品の適合性を予測できる。
【0035】
図3に戻り、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるであろうと予測ユニット306が予測すると、処理ユニット302は、1つまたは複数の素子を通してさらに最終製品を作り上げてよい。最終製品は、任意の適切な製品組立ユニット(図3に図示せず)によって、適合すると予測される素子を使用して、作り上げられてよい。
【0036】
逆に、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに不適合製品になるであろうと予測ユニット306が予測すると、フィードバックユニット308は、最終製品を不適合にさせる少なくとも1つの素子を決定し、そして不適合製品の原因となる上記少なくとも1つの素子に対するテストプランを修正するフィードバックを提供する。本質的な実施形態において、フィードバックユニット308は、最終製品を不適合にさせる少なくとも1つの素子を決定し、そしてテストプロセスを改善するためにテストプランを修正するフィードバックを提供するために決定木ベースの構造を規定する予測モデルを使用する。
【0037】
例証的な決定木ベースの構造が図4に図示される。決定木は、各素子に対する電気的パラメータを詳述し、1つのルートノードおよび複数の終端ノードを有する木構造を規定する。各終端ノードは、決定経路を通ってルートノードに接続され、そして各決定経路は、ルートノードと終端ノードとの間に少なくとも1つの中間ノードを備える。また、決定木の各中間ノードは、決定経路を介して少なくとも1つの終端ノードと接続される。決定木の各ノードは、素子が適合製品になるか不適合製品になるかを判定するための電気的パラメータおよびそれぞれの閾値を表す。
【0038】
図4に図示されるような決定木の機能は、以下の例を使用して理解され得る。ルートノード(本ケースではA)から始まり、テストパラメータがルートノードと関連付けられた予め設定された閾値基準を満たすと、「実線によって表される」決定経路が辿られて、別のテストパラメータに対する別の閾値基準を表す決定木の次のノード(本ケースではB)に達し、そして決定木が終端ノード(例えば、本ケースではH)に達するまで上記プロセスが続けられる。このように、決定木が予め設定された閾値基準を満足させて終端ノードHに達すると、上記素子は、組立ラインにおいて最終製品を作り上げるのに信頼できると考えられる。
【0039】
逆にテストパラメータがルートノードAで予め設定された閾値基準を満たさない場合、「点線によって表される」決定経路が辿られて決定木における次のノード(本ケースではC)に達し、これが別のテストパラメータに対する別の閾値基準を表しており、決定木が終端ノード(例えば、本ケースではM)に達するまで上記プロセスが続けられる。したがって、予め設定された閾値基準を満足させないことによって決定木が終端ノードJに達すると、上記素子は、組立ラインにおいて最終製品を作り上げるには信頼できないと考えられる。
【0040】
このように、それぞれのテストパラメータデータは、テストパラメータが閾値基準を満足させるか否かを判定するために各ノードで分析され、そして分析に基づいて、決定木はルートノード(A)から終端ノード(G、H、I、J、K、L、M)の1つまで辿られる。辿られた経路に従って、テストプランを修正するためにフィードバックが提供される。
【0041】
フィードバックユニット308は、決定木ベースの構造の上で局所解釈可能モデル非依存説明(LIME)モジュールを使用する。LIMEモジュールは、どのパラメータ変更が最終製品の適合性の予測に最大の影響を有するかを判定する。LIMEモジュールは、識別された疑わしい素子に対する信頼スコアを生成するためにも使用される。(0-1)の範囲で、パラメータ値を微調整することが予測に有意な影響を有することをLIMEモジュールが認めれば、信頼スコアは1に近く、さもなければ0に近いことになる。信頼スコアは、モデル予測に関する簡潔な決定をするのを援助する。
【0042】
本開示の一実施形態によれば、フィードバックユニット308は、各素子に対するテストデータを分析して、最終製品の不合格に至る疑わしい素子および対応するパラメータを決定する。原因となる疑わしいパラメータを決定するために、素子のテストデータに基づいて決定経路がルートノードから複数の終端ノードのうちの終端ノードまで辿られる。さらに、素子が不適合製品になるかどうかが辿られた決定経路のノードの閾値に基づいて判定される。決定経路を辿る間、テストデータが決定経路の終端ノードに接続される最後の非終端ノードと関連付けられた閾値基準を満足させない場合、辿られた決定経路における全てのノードに対応する1つまたは複数の電気的パラメータに関連するテストプラン修正のためのフィードバックとして入力が提供される。
【0043】
本開示の一実施形態によれば、フィードバックユニット308は、最終製品の不合格をもたらす素子の原因となるテストパラメータを監視してよく、そして対応するパラメータが最終製品の不合格に至った全ケースの割合と共にフィードバックを提供してよい。フィードバックユニット308は、製品不合格に大きな寄与を有するテストパラメータを強調してよい。図5は、不合格説明能力、および既存のテストプランを更新する不合格製品に関するテストプラン変更への提案のための上述の並列木ベースのモデルを例示する。
【0044】
図5に見て取れるように、ブロック502で、素子テストが行われ、そしてブロック504で、素子がテストに合格するか否かが判定される。素子がテストに合格との判定に応じて、テストデータは、ブロック506で予測モデルに渡され、作り上げられる製品の精密さを予測する。ブロック508で、素子が組み立てられて適合製品になるか不適合製品になるかが予測される。素子が組み立てられて適合製品になるとの予測に応じて、素子は、ブロック510における最終製品を作り上げる組立のために送られる。しかしながら、素子が組み立てられて不適合製品になるとの予測に応じて、素子のテストデータは、ブロック512で不合格の原因となるパラメータを決定するためのツリーベースのモデルに提供される。ブロック514で、ツリーベースのモデルは、ブロック516で問題点を解決しかつ製品の不合格を減少させるために使用/分析され得る不合格寄与パラメータの情報を提供してよい。さらに、ブロック518で、テストプランを、その結果製造システム全体の歩留まりを修正するためにフィードバックが提供されてよい。この最適化された手法により、一定期間にわたって最終製品組立においてほぼ無欠陥を達成することが極めて可能である。
【0045】
上に説明したように、システム300の決定木ベースの構造は、信頼できない製品の不合格パラメータに関する説明能力を提供する。これは、本開示の一実施形態に従って図6に描かれるような一例を通じて説明される。例えば、分析すると、テストケース「1」および「29」だけで、組立における製品の不合格の80%超に寄与することが認められ得る。したがって、本システムは、対応するテストケースの閾値限界を修正するための関連する提案を提供してよい。一定間隔で本システムによって提案されるようにテストプランを修正および更新することによって、最終製品組立における最小欠陥を達成できる。
【0046】
本開示に開示されるシステムは、製造会社に利用されると、正確な予測を提供するであろう。さらに、開示されるシステムは半導体製造に限定されず、それは、数値データがテスト測定値となる最終製品組立を伴ういかなる製造業にも迅速に拡張できる。
【0047】
このように、システム300は、最終製品の不合格を予測するために素子機能テストからのデータを必要とするだけである。本システムは、半完成製造パイプラインに関する最終製品歩留まり性能を予測でき、フィールドエンジニアが不良製品を再加工/修理するために、および厳しい連続するプロセスステップに備えるために有益な情報を与える。本システムは、組立不合格に対する寄与割合および理由(説明能力)を提供し、準リアルタイムで機能テスト測定をもたらす。また、本システムの組込予測モデルは、新たなデータが入る限り周期的にそれ自体を自動訓練および評価する。さらに、機能テストの測定データの変動が組込予測モデルによって連続的に監視され、そしてモデルが最近のテスト測定傾向でそれ自体を更新して最適予測を提供する。モデルは、連続的に監視した測定データに基づいて既定の閾値を動的に調整してよい。
【0048】
ここで図7を参照すると、本開示の一部の実施形態に従う、システム300のブロック図が示される。本開示の1つの非限定的実施形態において、システム300は、図7に図示されるような様々なインタフェース702、メモリ708および様々なモジュールまたは手段などの、様々な他のハードウェア部品を備えてよい。モジュールは、処理モジュール714、予測モジュール716、フィードバックモジュール718、および様々な他のモジュール/ユニット720を含んでよい。他のモジュール/ユニット720は、ディスプレイ等を含んでよい。一実施形態において、モジュール714~720は、計算システムの様々な動作を行うためにメモリ708に記憶される1つまたは複数の命令を実行することが可能な、専用ハードウェア、ソフトウェアまたはその組合せでよい。別の実施形態において、モジュール714~720は、計算システム300の動作を行うために少なくとも1つのプロセッサによって実行されてよいメモリ708に記憶されるソフトウェアモジュールでよい。
【0049】
インタフェース702は、各種のソフトウェアおよびハードウェアインタフェース、例えばウェブインタフェース、グラフィカルユーザインタフェース、入力デバイス-出力デバイス(I/O)インタフェース706、ネットワークインタフェース704等を含んでよい。I/Oインタフェース706は、計算システム300が他の計算システムと直接または他のデバイスを通じて相互作用できるようにしてよい。ネットワークインタフェース704は、システム300が1つまたは複数のテストユニット310と直接またはネットワークを介して相互作用できるようにしてよい。
【0050】
メモリ708は、テストデータレコード710、およびモジュール714~720によって実行可能な1つまたは複数の命令などの他の様々な種類のデータ712を含んでよい。
【0051】
ここで図8を参照すると、本開示の一実施形態に係る、最終製品組立前に組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析を提供する例証的な方法800を例示するフローチャートが記載される。方法800は単に例証目的で提供されており、実施形態は、最終製品組立前に、組立ラインにおける素子の適合性に関する予測分析および予防分析を提供するためのいかなる方法または手順も含むまたはその他包含すると意図される。
【0052】
方法800は、ブロック802で、組立ラインにおける、1つまたは複数の素子のテストデータを1つまたは複数の素子テストユニットから取得するステップを含んでよい。テストデータは、異なるテスト条件下の1つまたは複数の素子の機能性を表す電気的パラメータに対応する。一実施形態によれば、テストデータは、異なるテスト条件下の1つまたは複数の素子の機能性を表す電気的/電磁的パラメータに対応する。取得したテストデータは、システム300による更なる処理のためにメモリユニット304に記憶される。
【0053】
ブロック804で、方法800は、各素子の取得したテストデータを事前訓練済みテストデータで処理して、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるかどうかを予測するステップを含んでよい。この処理することは、1つまたは複数の素子の各々の取得したテストデータをデータベースに記憶された既定の閾値と比較することを含む。ブロック804の動作は、図3の予測ユニット306によってまたは図7のモジュールによって行われてよい。一実施形態によれば、予測ユニット306は、各素子のテストデータを事前訓練済みテストデータで処理して、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるかどうかを予測してよい。予測ユニット306は、1つまたは複数の素子の各々のテストデータをメモリユニット304内のデータベースに記憶される既定の閾値と比較することによってテストデータを処理する。一実施形態によれば、予測ユニット306は、一定期間にわたる、異なる組立ラインの1つまたは複数の素子テストユニットおよび製品テストユニットから取り出される、適合、不適合素子テストデータを備える大量の履歴テストデータ、および様々な補助データで訓練された機械学習アルゴリズムを使用して生成される予測モデルを備える。モデル訓練の間、テストデータ、すなわち最終製品の合格/不合格に至るパラメータ値に存在するパターンに基づいて、モデルは、モデルに供給される訓練データでそれがうまく機能するように閾値を調整する。閾値の調整を内部的に最適化して予測をより良好に行うために最適化手法が使用される。一旦訓練が補完されると、訓練済みシステムは、計算された閾値を使用して新たな初見のテストデータに基づいて任意の製品の適合性を予測できる。一実施形態によれば、予測モデルは、リアルタイムのテストデータに基づいて一定間隔で自動的に訓練されてよく、かつリアルタイムのテストデータに基づいて閾値を動的に調整してよい。
【0054】
ブロック806で、方法800は、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに適合製品になるとの予測に応答して上記1つまたは複数の素子を組み立てて最終製品を作り上げるステップを含んでよい。処理ユニット302は、1つまたは複数の素子を通してさらに最終製品を作り上げてよい。最終製品は、任意の適切な製品組立ユニット(図に図示せず)によって、適合すると予測される素子を使用して、作り上げられてよい。
【0055】
ブロック808で、方法800は、上記1つまたは複数の素子が組み立てられたときに不適合製品になるとの予測に応答して不適合製品になる少なくとも1つの素子を決定するステップを含んでよい。ブロック808の動作は、図3のフィードバックユニット308によってまたは図7のモジュールによって行われてよい。フィードバックユニット308は、最終製品を不適合にさせる少なくとも1つの素子を決定するために決定木ベースの構造を規定する予測モデルを使用する。
【0056】
ブロック810で、方法800は、1つまたは複数の素子テストユニットにフィードバックを提供して、それらが不適合製品になる上記少なくとも1つの素子に対するテストプランを修正できるようにするステップを含んでよい。ブロック810の動作は、図3のフィードバックユニット308によってまたは図7のモジュールによって行われてよい。フィードバックユニット308は、決定木ベースの構造の上で局所解釈可能モデル非依存説明(LIME)モジュールを使用する。LIMEモジュールは、どのパラメータ変更が最終製品の適合性の予測に最大の影響を有するかを判定する。
【0057】
本開示の一実施形態によれば、フィードバックユニット308は、各素子に対するテストデータを分析して、最終製品の不合格に至る疑わしい素子および対応するパラメータを決定する。原因となる疑わしいパラメータを決定するために、素子のテストデータに基づいて決定経路がルートノードから複数の終端ノードのうちの終端ノードまで辿られる。さらに、素子が不適合製品になるかどうかが辿られた決定経路のノードの閾値に基づいて判定される。決定経路を辿る間、テストデータが決定経路の終端ノードに接続される最後の非終端ノードと関連付けられた閾値基準を満足させない場合、辿られた決定経路における全てのノードに対応する1つまたは複数の電気的パラメータに関連するテストプラン修正のためのフィードバックとして入力が提供される。
【0058】
本開示の一実施形態によれば、フィードバックユニット308は、最終製品の不合格をもたらす素子の原因となるテストパラメータを監視してよく、そして対応するパラメータが最終製品の不合格に至った全ケースの割合と共にフィードバックを提供してよい。フィードバックユニット308は、製品不合格に大きな寄与を有するテストパラメータを強調してよい。
【0059】
最終組立の充分前に信頼できない製品の予測を提供する開示した技術は、製造原価および時間の観点から相当な節減を提供する。それは、最終組立に対して信頼できない製品に対する説明能力および信頼スコアを提供する。それは、安定した最終製品歩留まりを保証するために既に存在するテストプランを確認する機会も提供する。製造パイプラインにおける半完成材料に関する最終製品歩留まり性能を予測する能力は、エンジニアが是正措置のために上流プロセスステップにおける可能性のある寄与因子を調査するために信頼できる情報を与える。
【0060】
上記方法800は、コンピュータ実行可能命令の一般文脈で記載されてよい。一般に、コンピュータ実行可能命令は、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、手順、モジュールおよび機能を含むことができ、特定の機能を行うまたは特定の抽象データ型を実装する。
【0061】
本方法の様々な動作が記載される順序は、限定として解釈されるとは意図されず、本方法を実装するために任意の数の記載される方法ブロックを任意の順序で組み合わせることができる。追加的に、本明細書に記載される対象の趣旨および範囲から逸脱することなく本方法から個々のブロックを削除してよい。さらには、本方法は、任意の適切なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはその組合せで実装できる。
【0062】
上記した方法の様々な動作は、対応する機能を行うことが可能な任意の適切な手段によって行われてよい。上記手段は、図3に定義されるユニット302~308および図7の様々なモジュールを含むが、それらに限定されない、様々なハードウェアおよび/またはソフトウェア部品および/またはモジュールを含んでよい。一般に、図に例示される動作がある場合、それらの動作は、対応する相当ミーンズプラスファンクション構成要素を有し得る。
【0063】
図1図7を参照しつつ記載される一部または全ての実施形態の対象が本方法に関連し得、それは簡潔さのために繰り返されないことがここで留意され得る。
【0064】
本開示の非限定的実施形態において、本開示と一致する実施形態を実装するために1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読記憶媒体が活用されてよい。ある態様は、本明細書に提示される動作を行うためのコンピュータプログラム製品を備えてよい。例えば、そのようなコンピュータプログラム製品は、命令が記憶(および/または符号化)されており、上記命令が、本明細書に記載される動作を行うために1つまたは複数のプロセッサによって実行可能である、コンピュータ可読記憶媒体を備えてよい。ある態様のために、コンピュータプログラム製品は、包装資材を含んでよい。
【0065】
開示された技術を行うように構成されるデバイスの機能態様を強調するために様々なコンポーネント、モジュールまたはユニットが本開示に記載されるが、必ずしも異なるハードウェアユニットによる実現を必要とするわけではない。むしろ、上記したように、様々なユニットが、1つのハードウェアユニットに組み合わされても、または適切なソフトウェアおよび/もしくはファームウェアと併せて、上記したように1つもしくは複数のプロセッサを含め、一群の相互動作するハードウェアユニットによって提供されてもよい。
【0066】
用語「including(含んでいる)」、「comprising(備えている)」、「having(有している)」およびその変化形は、別途明記されない限り、「including but not limited to(含んでいるが、それに限定されない)」を意味する。
【0067】
最後に、本明細書で使用される言葉は、主として読み易さおよび教示目的で選択されており、発明の対象を限定または制限するようには選択されていない。したがって本発明の範囲がこの詳細な説明によってではなく、むしろ本明細書に基づく出願で発行される請求項によって限定されることが意図される。したがって、本発明の実施形態は、添付の請求の範囲に定められる本発明の範囲を例示するものであり、限定するものではないと意図される。
【符号の説明】
【0068】
300 システム
302 処理ユニット
304 メモリユニット
306 予測ユニット
308 フィードバックユニット
310 素子テストユニット
702 インタフェース
704 ネットワークインタフェース
706 I/Oインタフェース
708 メモリ
710 テストデータレコード
712 他のデータ
714 処理モジュール
716 予測モジュール
718 フィードバックモジュール
720 他のモジュール/ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】