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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138468
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】光学機器および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20230922BHJP
   G02B 27/28 20060101ALI20230922BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20230922BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20230922BHJP
   H10K 50/858 20230101ALI20230922BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20230922BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B27/28
G02B5/30
H10K50/86
H10K50/858
H10K59/10
G09F9/00 357
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041729
(22)【出願日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2022043298
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 丈也
(72)【発明者】
【氏名】初見 亮
(72)【発明者】
【氏名】池田 寿雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 太紀
(72)【発明者】
【氏名】塚本 洋介
【テーマコード(参考)】
2H149
2H199
3K107
5G435
【Fターム(参考)】
2H149AA18
2H149AB23
2H149BA04
2H149BA05
2H149DA02
2H149DA04
2H149DA12
2H149EA03
2H149FC08
2H149FC10
2H199AB12
2H199AB42
2H199AB47
2H199AB52
2H199AB62
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA42
2H199CA46
2H199CA47
2H199CA63
2H199CA64
2H199CA65
2H199CA85
2H199CA86
2H199CA87
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC32
3K107CC33
3K107CC37
3K107CC43
3K107EE26
3K107EE29
3K107EE61
3K107EE63
5G435AA01
5G435AA18
5G435BB05
5G435GG02
5G435GG09
5G435LL13
(57)【要約】
【課題】迷光の影響の少ない光学機器を提供する。
【解決手段】ハーフミラー、第1のレンズ、位相差板、反射偏光板および第2のレンズを有する薄型の光学機器である。当該光学機器では、第1のレンズに負および正の屈折力を有する幾何学的位相レンズを用いることで画像を光学的に拡大後に集束させることができるため、視野角を大きくすることができる。また、光学部材の複屈折に起因して迷光が発生した場合においても、第1のレンズの負の屈折力により、迷光を眼の方向に集束させない構成とすることができ、迷光に起因して視認される画像の劣化を防止することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーフミラーと、第1のレンズと、位相差板と、反射偏光板と、第2のレンズと、を有し、
前記ハーフミラー、前記第1のレンズ、前記位相差板、前記反射偏光板および前記第2のレンズは、それぞれが互いに重なる領域を有するように当該順序で配置され、
前記第1のレンズは、幾何学的位相レンズであり、
前記第1のレンズは、前記ハーフミラーを透過して前記第1のレンズに入射される円偏光に対して、負の屈折力を有する光学機器。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1のレンズは、液晶層を有し、
前記液晶層の複屈折により、前記第1のレンズに入射する円偏光の回転方向を反転させて射出する光学機器。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1のレンズは、前記液晶層の第1の面から入射された円偏光に対して負または正の一方の屈折力を有し、前記第1の面の反対側の第2の面から入射された円偏光に対して負または正の他方の屈折力を有する光学機器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記ハーフミラーは、前記第1のレンズ側に凹曲面を有し、
前記凹曲面に反射面が設けられている光学機器。
【請求項5】
請求項4において、
前記ハーフミラーは、凹レンズ形状である光学機器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記位相差板は、1/4波長板である光学機器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、
前記反射偏光板は、第1の直線偏光を反射し、前記第1の直線偏光と直交する第2の直線偏光を透過する光学機器。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、
前記第2のレンズは、凸レンズである光学機器。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、
前記ハーフミラーの前記第1のレンズとは反対の面側に、円偏光板が設けられている光学機器。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光学機器と、表示装置と、の組み合わせが筐体内に2組に設けられ、前記筐体を頭部に取り付けるためのバンドが設けられた電子機器。
【請求項11】
請求項10において、
前記表示装置は、有機EL素子を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、光学機器および電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの動作方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタ、半導体回路は半導体装置の一態様である。また、記憶装置、表示装置、撮像装置、電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0004】
仮想現実(VR:Virtual Reality)、または拡張現実(AR:Augmented Reality)向けなどの電子機器として、ゴーグル型デバイスおよび眼鏡型デバイスが開発されている。
【0005】
また、ディスプレイパネルに適用可能な表示装置としては、代表的には液晶素子を備える表示装置、有機EL(Electro Luminescence)素子または発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等を備える表示装置などが挙げられる。
【0006】
有機EL素子が備えられた表示装置は、液晶表示装置で必要であったバックライトが不要なため、薄型、軽量、高コントラストで且つ低消費電力な表示装置を実現できる。例えば、有機EL素子を用いた表示装置の一例が、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-324673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
VRまたはAR等に適用される電子機器はウェアラブルデバイスの一種であり、携帯性および装着性を向上させるために、薄型かつ軽量にすることが望まれる。そのため、このような電子機器には、薄型の光学機器が用いられている。
【0009】
薄型の光学機器は、偏光の透過と反射を機器内で繰り返すことで光路長を確保する光学系を有している。光学系に用いるレンズとしては、光学特性面からはガラスレンズを用いることが好ましいが、軽量にするためには樹脂レンズを用いることが好ましい。
【0010】
しかしながら、樹脂レンズは、分子配向などに起因した光学異方性を有し、複屈折で偏光の状態を崩してしまうことがある。そのため、光学系内のいくつかの要素において、光の反射または透過が正常に作用せず、正規の光路から外れた光(迷光)が発生することがある。ここで発生する迷光は、網膜上において正規の光路とは異なる位置で結像するため、画像が二重に見えるなどの表示品質低下の要因となる。
【0011】
また、VRまたはAR等に適用される電子機器では、視野角(FOV:Field Of View)が大きいことが望まれる。視野角を大きくすることで、使用者に対して没入感および臨場感を感じさせやすくなる。
【0012】
したがって、本発明の一態様は、迷光の影響の少ない光学機器を提供することを目的の一つとする。または、薄型軽量の光学機器を提供することを目的の一つとする。または、表示品質を高めることができる光学機器を提供することを目的の一つとする。または、視野角を大きくすることができる光学機器を提供することを目的の一つとする。または、上記光学機器を有する小型の電子機器を提供することを目的の一つとする。または、低消費電力の電子機器を提供することを目的の一つとする。または、新規な電子機器を提供することを目的の一つとする。
【0013】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、薄型軽量で、迷光の少ない光学機器に関する。また、当該光学機器を有する電子機器に関する。
【0015】
本発明の一態様は、ハーフミラーと、第1のレンズと、位相差板と、反射偏光板と、第2のレンズと、を有し、ハーフミラー、第1のレンズ、位相差板、反射偏光板および第2のレンズは、それぞれが互いに重なる領域を有するように当該順序で配置され、第1のレンズは、幾何学的位相レンズであり、第1のレンズは、ハーフミラーを透過して第1のレンズに入射される円偏光に対して、負の屈折力を有する光学機器である。
【0016】
第1のレンズは、液晶層を有し、液晶層の複屈折により、前記第1のレンズに入射する円偏光の回転方向を反転させて射出することができる。
【0017】
第1のレンズは、液晶層の第1の面から入射された円偏光に対して負または正の一方の屈折力を有し、第1の面の反対側の第2の面から入射された円偏光に対して負または正の他方の屈折力を有することができる。
【0018】
ハーフミラーは、第1のレンズ側に凹曲面を有し、凹曲面に反射面が設けられていることが好ましい。また、ハーフミラーは、凹レンズ形状であってもよい。
【0019】
位相差板には、1/4波長板を用いることができる。
【0020】
反射偏光板は、第1の直線偏光を反射し、第1の直線偏光と直交する第2の直線偏光を透過することができる。
【0021】
第2のレンズは、凸レンズとすることができる。
【0022】
ハーフミラーの第1のレンズとは反対の面側に、円偏光板が設けられていてもよい。
【0023】
上記光学機器と、表示装置と、の組み合わせが筐体内に2組設けられ、筐体を頭部に取り付けるためのバンドが設けられた電子機器も本発明の一態様である。表示装置は、有機EL素子を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様により、迷光の影響の少ない光学機器を提供することができる。または、薄型軽量の光学機器を提供することができる。または、表示品質を高めることができる光学機器を提供することができる。または、視野角を大きくすることができる光学機器を提供することができる。または、当該光学機器を有する小型の電子機器を提供することができる。または、低消費電力の電子機器を提供することができる。または、新規な電子機器を提供することができる。
【0025】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、表示装置および光学機器を説明する図である。
図2図2(A)および図2(B)は、光学機器を説明する図である。
図3図3(A)乃至図3(D)は、ハーフミラーを説明する図である。
図4図4(A)乃至図4(D)は、幾何学的位相レンズを説明する図である。
図5図5(A)乃至図5(D)は、幾何学的位相レンズを説明する図である。
図6図6(A)および図6(B)は、幾何学的位相レンズを説明する図である。
図7図7は、光学機器を説明する図である。
図8図8(A)および図8(B)は、迷光を説明する図である。
図9図9(A)乃至図9(C)は、表示パネルを説明する図である。
図10図10(A)および図10(B)は、眼鏡型デバイスを説明する図である。
図11図11(A)乃至図11(C)は、表示パネルの構成例を説明する図である。
図12図12(A)および図12(B)は、表示パネルの構成例を説明する図である。
図13図13(A)乃至図13(F)は、画素の構成例を説明する図である。
図14図14(A)および図14(B)は、表示パネルの構成例を説明する図である。
図15図15は、表示パネルの構成例を説明する図である。
図16図16は、表示パネルの構成例を説明する図である。
図17図17は、表示パネルの構成例を説明する図である。
図18図18は、表示パネルの構成例を説明する図である。
図19図19は、表示パネルの構成例を説明する図である。
図20図20は、表示パネルの構成例を説明する図である。
図21図21は、表示パネルの構成例を説明する図である。
図22図22(A)乃至図22(F)は、発光デバイスの構成例を説明する図である。
図23図23(A)乃至図23(C)は、発光デバイスの構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
【0028】
また、回路図上では単一の要素として図示されている場合であっても、機能的に不都合がなければ、当該要素が複数で構成されてもよい。例えば、スイッチとして動作するトランジスタは、複数が直列または並列に接続されてもよい場合がある。また、キャパシタを分割して複数の位置に配置する場合もある。
【0029】
また、一つの導電体が、配線、電極および端子などの複数の機能を併せ持っている場合があり、本明細書においては、同一の要素に対して複数の呼称を用いる場合がある。また、回路図上で要素間が直接接続されているように図示されている場合であっても、実際には当該要素間が一つ以上の導電体を介して接続されている場合があり、本明細書ではこのような構成でも直接接続の範疇に含める。
【0030】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の光学機器および電子機器について説明する。
【0031】
本発明の一態様は、ハーフミラー、第1のレンズ、位相差板、反射偏光板および第2のレンズを有する薄型の光学機器である。当該光学機器では、第1のレンズに負または正の屈折力を作用させることができる幾何学的位相レンズを用いることで、画像を光学的に拡大後に集束させることができる。したがって、視野角の大きい光学機器とすることができる。
【0032】
また、光学部材の複屈折に起因して迷光が発生した場合においても、第1のレンズの負の屈折力により、当該迷光を眼の方向に集束させない構成とすることができる。したがって、迷光に起因して視認される画像の劣化を防止することができる。また、幾何学的位相レンズとしては、液晶レンズなどの薄型光学素子を用いることができ、光学機器を薄型、軽量化することができる。
【0033】
ゴーグル型デバイスまたは眼鏡型デバイスなどの電子機器では、視野角を広げるために表示装置と光学機器を組み合わせた構成を有する。当該電子機器に本発明の一態様の光学機器を用いることで、小型かつ薄型で、表示品質および信頼性の高い電子機器とすることができる。
【0034】
なお、本発明の一態様の光学機器は、複数の光学部品が組み合わされた構成を有する。当該構成が筐体に収められたものは、単にレンズとも呼ばれる。または、薄型である形状からパンケーキレンズと呼ばれることもある。
【0035】
図1は、本発明の一態様の電子機器に用いることができる表示装置および光学機器を説明する斜視図である。図1に示すように、表示装置30および光学機器40は、互いに重なる領域を有するように、離隔して配置される。
【0036】
使用者は、光学機器40近傍に眼10を近づけることで、表示装置30で表示される画像を見ることができる。使用者は、光学機器40によって視野角が広げられた状態で当該画像を視認することから、没入感、臨場感を得ることができる。
【0037】
表示装置30は、表示パネル31、直線偏光板32および位相差板33が互いに重なる領域を有するように配置された構成を有する。なお、以下の説明における第1の面とは各要素が有する一つの面であり、第2の面とは第1の面とは反対側の面を意味する。
【0038】
例えば、図1に示すように、表示パネル31の表示面に直線偏光板32の第1の面が近接し、直線偏光板32の第2の面が位相差板33の第1の面に近接する構成とすることができる。なお、直線偏光板32および位相差板33の組み合わせは、非偏光を円偏光に変換する円偏光板とも呼ばれる。
【0039】
なお、直線偏光板32および位相差板33は、表示装置30の要素でなくてもよく、表示装置30(表示パネル31)と光学機器40との間に設けられていてもよい。または、光学機器40の要素として、光学機器40の光の入射面側(ハーフミラー41の入射面側)に配置されていてもよい。または、直線偏光板32が表示装置30の要素であって、位相差板33が光学機器40の要素であってもよい。
【0040】
光学機器40は、ハーフミラー41と、レンズ42と、位相差板43と、反射偏光板44と、レンズ45が互いに重なる領域を有する。
【0041】
例えば、図1に示すように、ハーフミラー41の第1の面がレンズ42の第1の面に近接する構成とすることができる。また、位相差板43の第1の面に反射偏光板44の第1の面が近接し、反射偏光板44の第2の面にレンズ45の第1の面が近接する構成とすることができる。
【0042】
また、必要な光路長を確保するため、ハーフミラー41とレンズ42とは離隔して配置してもよい。また、図1では、レンズ42と位相差板43を離隔して配置した構成を例示しているが、両者を近接して配置してもよい。
【0043】
なお、上述した一方の要素と他方の要素とが近接する構成とするには、利用する波長の光(例えば、可視光の波長範囲、または青色光から赤色光までの波長範囲)に対して透過率が高く、かつ特定の偏光の吸収および複屈折のない光学接着剤を用いて、互いの要素を貼り合わせることが好ましい。または、貼り合わせではなく、塗布などの方法を用いて、一方の要素上に他方の要素を接して形成してもよい。または、一方の要素と他方の要素との間に接着剤などを設けず、両者が接するように配置させてもよい。または、両者の間に空隙が設けられていてもよい。
【0044】
図2(A)は、本発明の一態様の光学機器における光路の一部を説明する図であり、光路を破線で示している。また、明瞭化のため、図1では近接して図示しているいくつかの要素を離隔して図示している。なお、図2(A)のように各要素を離隔して配置することでも、本発明の一態様の効果を得ることができる。
【0045】
表示パネル31から射出された一部の光は、直線偏光板32、位相差板33、ハーフミラー41、レンズ42および位相差板43を透過し、反射偏光板44で反射される。反射偏光板44で反射された光は、位相差板43およびレンズ42を透過し、ハーフミラー41で再び反射される。ハーフミラー41で反射された光は、レンズ42、位相差板43、反射偏光板44およびレンズ45を透過し、眼10に入射される。
【0046】
このように、光学機器40内で反射を繰り返すことで光路長を確保することができるため、焦点距離の短い光学系とすることができる。
【0047】
表示パネル31としては、液晶素子を有する液晶パネル、有機EL素子を有する有機ELパネル、またはマイクロLED(Light Emitting Diode)を有するLEDパネルなどを用いることができる。特に、自発光型で高精細な表示部を形成しやすい有機ELパネルを用いることが好ましい。
【0048】
直線偏光板32は、360°全方向に振動する光から1つの直線偏光を取り出すことができる。なお、本実施の形態では、直線偏光板32の透過軸を0°として説明を行うが、0°とは絶対的な値ではなく、基準となる値を意味する。つまり、直線偏光板32で取り出される直線偏光の偏光面を0°として取り扱う。したがって、例えば、本実施の形態における90°直線偏光とは、直線偏光板32で取り出される直線偏光の偏光面が90°回転した直線偏光を意味する。
【0049】
位相差板33は、直線偏光を円偏光に変換する機能を有する。ここで、位相差板33には、λ/4板(1/4波長板)が用いられる。直線偏光板32から射出される直線偏光の軸に対してλ/4板の遅相軸が45°になるよう直線偏光板32とλ/4板とを重ねると、右回転の円偏光(右円偏光)となる。また、直線偏光板32から射出される直線偏光の軸に対してλ/4板の遅相軸が-45°になるよう直線偏光板32とλ/4板とを重ねると、左回転の円偏光(左円偏光)となる。本発明の一態様では、後述するレンズ42の構成との組み合わせが適切であれば、右円偏光および左円偏光のどちらを用いてもよい。
【0050】
ハーフミラー41には、例えば、可視光の透過率の高い光学ガラスまたは光学樹脂を基板41aに用い、金属膜または誘電体膜を設けた面を反射面41bとする構成を用いることができる。また、ハーフミラー41の可視光に対する透過率および反射率は、例えば、それぞれ約50%とすることができる。
【0051】
また、ハーフミラー41の反射面41bは、光を眼10の方向に集束させるために正の屈折力を有することが好ましい。そのため、基板41aは凹曲面を有し、当該凹曲面に反射面41bが形成されていることが好ましい。
【0052】
なお、図2(A)では、基板41aの第1の面が凸曲面、第2の面が凹曲面であって、第1の面と第2の面の曲率半径が等しい形状を例示している。この場合、基板41aはレンズとして作用しない。そのため、図2(A)では、第2の面に反射面41bを設ける例を示しているが、第1の面に反射面41bを設けてもよい。
【0053】
なお、光学機器40が有するハーフミラー41以外の要素で眼10の方向に光を集束することができれば、基板41aは平面を有する形状とし、当該平面に反射面41bを設けてもよい。
【0054】
また、本発明の一態様では、ハーフミラー41を透過する光に対して、レンズ42は負の屈折力を作用させ、発散する方向に光を射出する。したがって、ハーフミラー41の基板41aを負の屈折力を有する凹レンズ形状とし、ハーフミラー41およびレンズ42の両者で負の屈折力を高める構成としてもよい。負の屈折力を高めることで、表示パネル31の画像の拡大を助長することができるため、視野角をより大きくすることができる。また、詳細は後述するが、眼10の方向に進行する迷光を少なくすることができる。
【0055】
図3(A)乃至(D)は、ハーフミラー41に用いることができる基板41aの変形例を示す図である。図3(A)は、図2(A)と同様にレンズとして作用しない形状を基板41aに用いた例である。ハーフミラー41を透過する光に対して作用する屈折力は0(P(0))であり、ハーフミラー41によって光の進行方向は変化しない。ただし、レンズ42の負の屈折力(P(-))により、光は発散する方向に進行させることができる。
【0056】
図3(B)は、基板41aに凹メニスカスレンズの形状を用いた例である。凹メニスカスレンズは、透過する光に対して負の屈折力(P(-))を有する。したがって、レンズ42から射出される光は、図3(A)よりも発散する方向に進行させることができる。
【0057】
図3(C)は、基板41aに平凹レンズの形状を用いた例である。平凹レンズは、凹曲面の曲率半径が同じであれば、図3(B)の凹メニスカスレンズよりも高い負の屈折力(P(-))を有する。したがって、レンズ42から射出される光は、図3(B)よりも発散する方向に進行させることができる。
【0058】
図3(D)は、基板41aに両凹レンズの形状を用いた例である。両凹レンズは、凹曲面の曲率半径が同じであれば、図3(C)の平凹レンズよりも高い負の屈折力(P(-))を有する。したがって、レンズ42から射出される光は、図3(C)よりも発散する方向に進行させることができる。
【0059】
なお、本発明の一態様においては、ハーフミラー41およびレンズ42を透過する光は発散する方向に進行させることが好ましいが、図2(A)に示すように、最終的には眼10に集束させる必要がある。したがって、図3(A)乃至(D)に示す基板41aは、適切な光路が構成されるように適宜選択して用いればよい。
【0060】
レンズ42には、幾何学的位相レンズを用いることができる。幾何学的位相レンズは、光学異方性のある材料を二次元的または三次元的に適切に配置した構成を有し、空間的に幾何学的な位相シフトを起こさせることでレンズ効果を得ることができる。幾何学的位相レンズとしては、代表的には、Pancharatnam-Berry位相レンズが知られている。
【0061】
レンズ42は、基板42aおよび基板42a上に設けられた光学変換層42bを有することができる。なお、図2(A)では、基板42aおよび光学変換層42bの2層構成としているが、図2(B)に示すように、基板42a、光学変換層42bおよび基板42cの3層構成としてもよい。なお、基板42aおよび基板42cは一つの層に限らず、複数の層で形成することもできる。また、基板42aおよび基板42cの一方を保護層と言い換えることもできる。基板42aおよび基板42cは、可視光に対する透過率が高く、複屈折の少ない材料で形成されていることが好ましい。
【0062】
光学変換層42bは、例えば、図4(A)に示すような層42b1および層42b2が積層された構成とすることができる。層42b1および層42b2のそれぞれには、光学異方性のある材料が平面上に規則的に配置され、層42b1および層42b2は、両者の境で面対称となる構成を有する。
【0063】
光学異方性のある材料としては、例えば、液晶を用いることができる。光学変換層42bは、配向のねじれの向きの異なる液晶が平面上に規則的に配置された第1の液晶層(層42b1)と、第1の液晶層と構造が面対称となる第2の液晶層(層42b2)とを積層することで形成することができる。液晶を平面上に規則的に配置するには、例えば、光配向技術などを用いることができる。なお、光学変換層42bは、単層の液晶層またはメタサーフェス技術を用いて形成することもできる。
【0064】
ここで、層42b1および層42b2は、複屈折による光学異方性を有し、直線偏光と円偏光を可逆的に変換する機能を有する。例えば、図4(B)に示すように、層42b1側から左円偏光を入射すると直線偏光に変換され、層42b1と面対称の構成を有する層42b2では、直線偏光から右円偏光に変換されて射出される。また、右円偏光を光学変換層42bに入射すると左円偏光に変換されて射出される。また、層42b2側から円偏光を入射した場合でも、上記同様に回転方向が変換されて射出される。すなわち、光学変換層42bでは、入射された円偏光を反転させて射出することができる。
【0065】
また、光学変換層42bには、光学異方性のある材料が平面上に規則的に配置されているため、光の位相シフトを起こさせることができ、かつ位相シフトのレベルを領域ごとに異ならせることができる。したがって、ホイヘンスの原理に従った光の屈折を領域ごとに異ならせることができるため、レンズとして作用させることができる。
【0066】
また、位相シフトの挙動は、偏光の状態によっても異ならせることができる。例えば、図4(C)に示すように、光学変換層42bの一方の面から入射された円偏光は、負の屈折力(P(-))を受け、発散させることができる。また、図4(D)に示すように、光学変換層42bの他方の面から入射された円偏光は、正の屈折力(P(+))を受け、集束させることができる。光学異方性のある材料の配置を異ならせることで、上記の発散と集束を逆にすることもできる。
【0067】
なお、図2(A)に示す光学変換層42bは、以下の特性を有することとする。基板42a側から左円偏光を入射すると右円偏光に変換され、負の屈折力(P(-))を受けて発散する(図5(A)参照)。基板42a側から右円偏光を入射すると左円偏光に変換され、正の屈折力(P(+))を受けて集束する(図5(B)参照)。光学変換層42b側から左円偏光を入射すると右円偏光に変換され、正の屈折力(P(+))を受けて集束する(図5(C)参照)。光学変換層42b側から右円偏光を入射すると左円偏光に変換され、負の屈折力(P(-))を受けて発散する(図5(D)参照)。
【0068】
位相差板43は、直線偏光と円偏光を可逆的に変換する機能を有する。位相差板43としては、位相差板33と同様に、λ/4板(1/4波長板)を用いることができる。
【0069】
反射偏光板44は、透過軸と一致する直線偏光を透過し、透過軸と直交する直線偏光を反射することができる。反射偏光板としては、例えば、ワイヤグリッド偏光板、または誘電体多層膜などを使用することができる。
【0070】
レンズ45には、凸レンズを用いることができる。図2(A)ではレンズ45に平凸レンズを用いる例を示しているが、これに限らない。例えば、レンズ45を複数の平凸レンズで構成してもよい。また、レンズ45に両凸レンズを用いてもよい。または、レンズ45を両凸レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズから選ばれたレンズを組み合わせた構成とすることもできる。また、レンズ45は、球面レンズに限らず、非球面レンズであってもよい。また、光学機器40には、レンズ42、45以外のレンズが設けられていてもよい。
【0071】
上述した光学機器40における偏光状態の詳細について、図2(A)の上側の光路を用いて説明する。また、下側の光路には、一部の要素の屈折力を示している。
【0072】
表示パネル31から発せられた360°全方向に振動する光は、直線偏光板32に入射される。直線偏光板32の透過軸は0°であり、直線偏光板32からは0°直線偏光が射出される。
【0073】
直線偏光板32から射出された0°直線偏光は、位相差板33で左円偏光に変換される。位相差板33から射出された左円偏光は、ハーフミラー41を透過してレンズ42に入射され、右円偏光に変換される(図5(A)参照)。
【0074】
レンズ42の負の屈折力(P(-))により、発散する方向に射出された右円偏光は、位相差板43に入射され、0°直線偏光に変換される。位相差板43から射出された0°直線偏光は、反射軸0°の反射偏光板44で反射されて位相差板43に入射され、右円偏光に変換される。
【0075】
位相差板43から射出された右円偏光は、レンズ42で左円偏光に変換される(図5(D)参照)。レンズ42の負の屈折力(P(-))により、発散する方向に射出された左円偏光は、ハーフミラー41で反射され、右円偏光に反転される。ハーフミラー41で反転された右円偏光は、正の屈折力(P(+))を受けてレンズ42に入射され、左円偏光に変換される。そして、レンズ42の正の屈折力(P(+))により、集束する方向に射出される(図5(B)参照)。
【0076】
レンズ42から射出された左円偏光は、位相差板43に入射され、90°直線偏光に変換される。位相差板43から射出された90°直線偏光は、透過軸90°の反射偏光板44およびレンズ45を透過し、眼10に入射される。
【0077】
このように、直線偏光および円偏光、ならびにハーフミラーおよび反射偏光板を利用することで、反射および透過を選択的に行うことができる。したがって、限られた空間内で光路長を確保することができ、光学機器の焦点距離を短くすることができる。また、レンズ42で画像を光学的に拡大後に集束させることができるため、視野角の大きい光学機器とすることができる。
【0078】
なお、上記では、ハーフミラー41を透過してレンズ42に入射する光に左円偏光を用いる例を説明したが、右円偏光を用いてもよい。この場合、ハーフミラー41を透過する光は、光学変換層42b側から入射されるようにレンズ42を配置すればよい(図5(D)参照)。
【0079】
また、上記では、レンズ42の光学変換層42bで、円偏光の回転方向が反転する例を用いて光の発散および集束を説明したが、円偏光の回転方向が反転しない場合でも同様に光の発散および集束を成立させることができる。
【0080】
例えば、図6(A)に示すように、光学変換層42bを層42c1、層42c2、層42c3、層42c4の4層構造とする。ここで、層42c1および層42c3は、図4(A)に示す層42b1に相当し、層42c2および層42c4は、図4(A)に示す層42b2に相当する。すなわち、図4(A)に示す光学変換層42bを二つ積層した構成となっている。
【0081】
このような構成とすることで、図6(B)に示すように、円偏光の反転が2回になるため、円偏光は入射されたときと同じ回転方向で射出される。また、位相シフトの挙動も図4(C)、(D)と同様に、光学異方性のある材料を適切に配置することで、一方の面から光を入射させたときに発散させ、他方の面から光を入射させたときに集束させることができる。
【0082】
図6(A)、(B)に示す光学変換層42bを用いた光学機器40における偏光状態の詳細について、図7の上側の光路を用いて説明する。また、下側の光路には、一部の要素の屈折力を示している。なお、表示装置30の図示は省略しているが、図2(A)と同じく、ハーフミラー41には、左円偏光が初めに入射されることとする。
【0083】
ハーフミラー41を透過した左円偏光はレンズ42に入射され、レンズ42の負の屈折力(P(-))により、発散する方向に射出される。レンズ42から射出された左円偏光は、位相差板43に入射され、0°直線偏光に変換される。位相差板43から射出された0°直線偏光は、反射軸0°の反射偏光板44で反射されて位相差板43に入射され、左円偏光に変換される。
【0084】
位相差板43から射出された左円偏光は、レンズ42に入射され、正の屈折力(P(+))により、集束する方向に射出される。レンズ42から射出された左円偏光は、ハーフミラー41で反射され、右円偏光に反転される。ハーフミラー41で反転された右円偏光は、正の屈折力(P(+))を受けてレンズ42に入射され、さらにレンズ42の正の屈折力(P(+))により、集束する方向に射出される。
【0085】
レンズ42から射出された右円偏光は、位相差板43に入射され、90°直線偏光に変換される。位相差板43から射出された90°直線偏光は、透過軸90°の反射偏光板44およびレンズ45を透過し、眼10に入射される。
【0086】
このように、レンズ42で円偏光の回転方向が反転しない場合でも光の発散および集束を成立させることができる。
【0087】
次に、本発明の一態様の効果の一つである、迷光に起因する不具合の低減について説明する。図8(A)は、従来の光学機器の一例を示した比較例であり、本発明の一態様の構成におけるレンズ42を凸レンズ46に置き換えた構成である。また、ハーフミラー41は、反射面が凹曲面となるように凸レンズ46の一方の面に形成されていることとする。また、詳細は省略するが、本発明の一態様と同様に、直線偏光および円偏光、ならびにハーフミラーおよび反射偏光板を利用することで、反射および透過を選択的に行うことができることとする。
【0088】
ここで、凸レンズ46が樹脂などの複屈折が比較的大きい材料で形成されている場合、偏光の状態が崩れる場合がある。特に、円偏光が入射された場合は、複屈折の影響を受けて楕円偏光になりやすい。偏光状態が崩れた楕円偏光が位相差板43に入射されると、位相差板43にて直線偏光に変換されないため、反射偏光板44の反射軸と一致しなくなる。そのため、一部の光が反射偏光板44を透過して迷光21となってしまう。迷光21は、凸レンズ46およびレンズ45の正の屈折力(P(+))を受けて眼10の方向に進行するため、視認する画像が二重に見えるなどの不具合が生じてしまう。なお、迷光21によって視認される像はゴーストと呼ばれることもある。
【0089】
図8(B)は、本発明の一態様の構成で発生する迷光を説明する図である。なお、本発明の一態様に用いられるレンズ42は、前述したように複屈折により円偏光を反転させられる機能を有する。したがって、理想的には偏光状態が崩れることなく迷光が発生しにくい構成ではあるが、ここでは迷光が発生する場合を説明する。
【0090】
ハーフミラー41を透過し、レンズ42に入射された円偏光は、レンズ42の負の屈折力(P(-))を受け、発散する方向に進行して位相差板43に入射される。ここで、位相差板43に入射された円偏光は偏光状態が崩れているとし、位相差板43からは反射偏光板44の反射軸と一致しない楕円偏光が射出されることとする。
【0091】
このとき、図8(A)と同様に、一部の光が反射偏光板44を透過して迷光21となるが、迷光21は進行方向(発散する方向)を維持してレンズ45に入射するため、レンズ45の正の屈折力(P(+))を受けても眼10の方向に光は進行しにくい。すなわち、迷光21が発生したとしても、迷光21の眼10の方向への入射を抑えることができ、正規の光路を通った光で構成される正常な画像を視認することができる。
【0092】
図9(A)は、本発明の一態様の電子機器が有する表示パネル31を説明する図である。表示パネル31は、画素アレイ74と、回路75と、回路76を有する。画素アレイ74は、列方向および行方向に配置された画素70を有する。
【0093】
画素70は、複数の副画素71を有することができる。副画素71は、表示用の光を発する機能を有する。
【0094】
なお、本明細書では、一つの「画素」の中で独立した動作が行われる最小単位を便宜的に「副画素」と定義して説明を行うが、「画素」を「領域」と置き換え、「副画素」を「画素」と置き換えてもよい。
【0095】
副画素71は、可視光を発する発光デバイスを有する。発光デバイスとしては、OLED(Organic Light Emitting Diode)またはQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのEL素子を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)、無機化合物(量子ドット材料など)などが挙げられる。また、発光デバイスとして、マイクロLEDなどのLEDを用いることもできる。
【0096】
回路75および回路76は、副画素71を駆動するための駆動回路である。回路75はソースドライバ回路、回路76はゲートドライバ回路としての機能を有することができる。回路75および回路76には、例えば、シフトレジスタ回路などを用いることができる。
【0097】
なお、図9(B)に示すように、回路75および回路76を層81に設け、画素アレイ74を層82に設け、層81と層82が重なる構成としてもよい。当該構成とすることで、狭額縁の表示装置を形成することができる。
【0098】
また、駆動回路を画素アレイ74の下層に設けることで配線長を短く、配線容量を小さくすることができる。したがって、高速動作ができ、かつ低消費電力で動作する表示パネルとすることができる。
【0099】
また、図9(B)に示すように、回路75および回路76を分割配置することで、画素アレイ74を部分的に駆動することができる。例えば、画素アレイ74の部分的な画像データの書き換えを行うことができる。また、画素アレイ74を部分的に異なる動作周波数で動作させることができる。
【0100】
なお、図9(B)に示す回路75および回路76の配置、面積は一例であり、適宜変更することができる。また、回路75および回路76の一部は、画素アレイ74と同一の層に形成することもできる。また、層82には、記憶回路、演算回路、および通信回路などの回路が設けられていてもよい。
【0101】
当該構成は、例えば、層81を単結晶シリコン基板とし、回路75および回路76をチャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(以下、Siトランジスタ)で形成し、層82に設ける画素アレイ74が有する画素回路をチャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタ(以下、OSトランジスタ)で形成することができる。OSトランジスタは薄膜で形成することができ、Siトランジスタ上に積層して形成することができる。
【0102】
なお、図9(C)に示すように、層81と層82との間にOSトランジスタが設けられる層83を有する構成としてもよい。画素アレイ74が有する画素回路の一部を、OSトランジスタを用いて、層83に形成することができる。または、回路75および回路76の一部を、OSトランジスタを用いて形成することができる。または、層82に設けることができる記憶回路、演算回路、および通信回路などの回路の一部を、OSトランジスタを用いて形成することができる。
【0103】
図10(A)、(B)は、図1に示す表示装置30および光学機器40を有する眼鏡型のデバイスの例を示す図である。ここでは、表示装置30および光学機器40の組み合わせを表示ユニット35として、破線で示している。眼鏡型のデバイスは表示ユニット35を2組有し、用途によってはVRグラスなどと呼ばれる場合もある。
【0104】
2組の表示ユニット35は、レンズ45の表面が内側に露出するように筐体60に組み込まれる。一方の表示ユニット35は右眼用、他方の表示ユニット35は左眼用になり、それぞれの表示ユニット35でそれぞれの眼に対応した画像を表示することで、使用者に画像の立体感を感じさせることができる。
【0105】
また、筐体60またはバンド61に入力端子および出力端子が設けられていてもよい。入力端子には映像出力機器等からの映像信号、または筐体60内に設けられるバッテリーを充電するための電力等を供給するケーブルを接続することができる。出力端子としては、例えば音声出力端子として機能し、イヤフォン、ヘッドフォン等を接続することができる。なお、無線通信により音声データを出力可能な構成とする場合、または外部の映像出力機器から音声を出力する場合には、当該音声出力端子を設けなくてもよい。
【0106】
また、筐体60またはバンド61の内部に無線通信モジュールおよび記憶モジュールなどが設けられていてもよい。無線通信モジュールにより無線通信を行い、視聴するコンテンツをダウンロードして記憶モジュールに保存しておくことができる。これにより、使用者はダウンロードしたコンテンツを好きなときにオフラインで視聴することができる。
【0107】
また、筐体60内に視線検知センサが設けられていてもよい。例えば、電源オン、電源オフ、スリープ、音量調整、チャンネル変更、メニュー表示、選択、決定、戻る、などの操作ボタン、および動画の再生、停止、一時停止、早送り、早戻しなどの操作ボタンを表示させ、当該操作ボタンを視認することで、それぞれの操作を行うことができる。
【0108】
眼鏡型デバイスに本発明の一態様の光学機器40を用いることにより、小型かつ薄型で消費電力が低く、信頼性の高い電子機器とすることができる。
【0109】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0110】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器に適用することのできる表示パネルの構成例について説明する。以下で例示する表示パネルは、上記実施の形態1の表示パネル31に適用することができる。
【0111】
本発明の一態様は、発光デバイス(発光素子ともいう)を有する表示パネルである。表示パネルは、発光色の異なる2つ以上の画素を有する。画素は、それぞれ発光デバイスを有する。発光デバイスは、それぞれ一対の電極と、その間にEL層を有する。発光デバイスは、有機ELデバイス(有機電界発光デバイス)であることが好ましい。発光色の異なる2つ以上の発光デバイスは、それぞれ異なる発光材料を含むEL層を有する。例えば、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)の光を発する3種類の発光デバイスを有することで、フルカラーの表示パネルを実現できる。
【0112】
発光色がそれぞれ異なる複数の発光デバイスを有する表示パネルを作製する場合、少なくとも発光材料を含む層(発光層)をそれぞれ島状に形成する必要がある。EL層の一部または全部を作り分ける場合、メタルマスクなどのシャドーマスクを用いた蒸着法により島状の有機膜を形成する方法が知られている。しかしながらこの方法では、メタルマスクの精度、メタルマスクと基板との位置ずれ、メタルマスクのたわみ、および蒸気の散乱などによる成膜される膜の輪郭の広がりなど、様々な影響により、島状の有機膜の形状および位置に設計からのずれが生じるため、表示パネルの高精細化、および高開口率化が困難である。また、蒸着の際に、層の輪郭がぼやけて、端部の厚さが薄くなることがある。つまり、島状の発光層は場所によって厚さにばらつきが生じることがある。また、大型、高解像度、または高精細な表示パネルを作製する場合、メタルマスクの寸法精度の低さ、および熱などによる変形により、製造歩留まりが低くなる懸念がある。そのため、ペンタイル配列などの特殊な画素配列方式を採用することなどにより、疑似的に精細度(画素密度ともいう)を高める対策が取られていた。
【0113】
なお、本明細書等において、島状とは、同一工程において同一材料を用いて形成された2以上の層が物理的に分離されている状態であることを示す。例えば、島状の発光層とは、当該発光層と、隣接する発光層とが、物理的に分離されている状態であることを示す。
【0114】
本発明の一態様は、EL層をファインメタルマスク(FMM)などのシャドーマスクを用いることなく、フォトリソグラフィ法を用いて、微細なパターンに加工する。これにより、これまで実現が困難であった高い精細度と、大きな開口率を有する表示パネルを実現できる。さらに、EL層を作り分けることができるため、極めて鮮やかで、コントラストが高く、表示品位の高い表示パネルを実現できる。なお、例えば、EL層をメタルマスクと、フォトリソグラフィ法と、の双方を用いて微細なパターンに加工してもよい。
【0115】
また、EL層の一部または全部を物理的に分断することができる。これにより、隣接する発光デバイス間で共通に用いる層(共通層ともいう)を介した、発光デバイス間のリーク電流を抑制することができる。これにより、意図しない発光に起因したクロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示パネルを実現できる。特に、低輝度における電流効率の高い表示パネルを実現できる。
【0116】
本発明の一態様は、白色発光の発光デバイスと、カラーフィルタとを組み合わせた表示パネルとすることもできる。この場合、異なる色の光を呈する画素(副画素)に設けられる発光デバイスに、それぞれ同じ構成の発光デバイスを適用することができ、全ての層を共通層とすることができる。さらに、それぞれのEL層の一部または全部を、フォトリソグラフィ法を用いた工程で分断してもよい。これにより、共通層を介したリーク電流が抑制され、コントラストの高い表示パネルを実現できる。特に、導電性の高い中間層を介して、複数の発光層を積層したタンデム構造を有する素子では、当該中間層を介したリーク電流を効果的に防ぐことができるため、高い輝度、高い精細度、および高いコントラストを兼ね備えた表示パネルを実現できる。
【0117】
EL層をフォトリソグラフィ法を用いて加工する場合、発光層の一部が露出し、劣化の要因となる場合がある。そのため、少なくとも島状の発光層の側面を覆う絶縁層を設けることが好ましい。当該絶縁層は、島状のEL層の上面の一部を覆う構成としてもよい。当該絶縁層としては、水および酸素に対してバリア性を有する材料を用いることが好ましい。例えば、水または酸素を拡散しにくい、無機絶縁膜を用いることができる。これにより、EL層の劣化を抑制し、信頼性の高い表示パネルを実現できる。
【0118】
さらに、隣接する2つの発光デバイス間には、いずれの発光デバイスのEL層も設けられない領域(凹部)を有する。当該凹部を覆って共通電極、または共通電極および共通層を形成する場合、共通電極がEL層の端部の段差により分断されてしまう現象(段切れともいう)が生じ、EL層上の共通電極が絶縁してしまう場合がある。そこで、隣接する2つの発光デバイス間に位置する局所的な段差を、平坦化膜として機能する樹脂層により埋める構成(LFP:Local Filling Planarizationともいう)とすることが好ましい。当該樹脂層は、平坦化膜としての機能を有する。これにより、共通層または共通電極の段切れを抑制し、信頼性の高い表示パネルを実現できる。
【0119】
以下では、本発明の一態様の表示パネルの、より具体的な構成例について、図面を参照して説明する。
【0120】
[構成例1]
図11(A)に、本発明の一態様の表示パネル100の上面概略図を示す。表示パネル100は、基板101上に、赤色を呈する発光デバイス110R、緑色を呈する発光デバイス110G、および青色を呈する発光デバイス110Bをそれぞれ複数有する。図11(A)では、各発光デバイスの区別を簡単にするため、各発光デバイスの発光領域内にR、G、Bの符号を付している。
【0121】
発光デバイス110R、発光デバイス110G、および発光デバイス110Bは、それぞれマトリクス状に配列している。図11(A)は、一方向に同一の色の発光デバイスが配列する、いわゆるストライプ配列を示している。なお、発光デバイスの配列方法はこれに限られず、Sストライプ配列、デルタ配列、ベイヤー配列、ジグザグ配列などの配列方法を適用してもよいし、ペンタイル配列、ダイヤモンド配列などを用いることもできる。
【0122】
発光デバイス110R、発光デバイス110G、および発光デバイス110Bとしては、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)、またはQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、例えば蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、および熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)が挙げられる。EL素子が有する発光物質としては、有機化合物だけでなく、無機化合物(量子ドット材料など)を用いることができる。
【0123】
また、図11(A)には、共通電極113と電気的に接続する接続電極111Cを示している。接続電極111Cは、共通電極113に供給するための電位(例えばアノード電位、またはカソード電位)が与えられる。接続電極111Cは、発光デバイス110Rなどが配列する表示領域の外に設けられる。
【0124】
接続電極111Cは、表示領域の外周に沿って設けることができる。例えば、表示領域の外周の一辺に沿って設けられていてもよいし、表示領域の外周の2辺以上にわたって設けられていてもよい。すなわち、表示領域の上面形状が長方形である場合には、接続電極111Cの上面形状は、帯状(長方形)、L字状、コの字状(角括弧状)、または四角形などとすることができる。
【0125】
図11(B)、図11(C)はそれぞれ、図11(A)中の一点鎖線A1-A2、一点鎖線A3-A4に対応する断面概略図である。図11(B)には、発光デバイス110R、発光デバイス110G、および発光デバイス110Bの断面概略図を示し、図11(C)には、接続電極111Cと共通電極113とが接続される接続部140の断面概略図を示している。
【0126】
発光デバイス110Rは、画素電極111R、有機層112R、共通層114、および共通電極113を有する。発光デバイス110Gは、画素電極111G、有機層112G、共通層114、および共通電極113を有する。発光デバイス110Bは、画素電極111B、有機層112B、共通層114、および共通電極113を有する。共通層114と共通電極113は、発光デバイス110R、発光デバイス110G、および発光デバイス110Bに共通に設けられる。
【0127】
発光デバイス110Rが有する有機層112Rは、少なくとも赤色の光を発する発光性の有機化合物を有する。発光デバイス110Gが有する有機層112Gは、少なくとも緑色の光を発する発光性の有機化合物を有する。発光デバイス110Bが有する有機層112Bは、少なくとも青色の光を発する発光性の有機化合物を有する。有機層112R、有機層112G、および有機層112Bは、それぞれEL層とも呼ぶことができ、少なくとも発光性の物質を含む層(発光層)を有する。
【0128】
以下では、発光デバイス110R、発光デバイス110G、および発光デバイス110Bに共通する事項を説明する場合には、発光デバイス110と呼称して説明する場合がある。同様に、有機層112R、有機層112G、および有機層112Bなど、アルファベットで区別する構成要素についても、これらに共通する事項を説明する場合には、アルファベットを省略した符号を用いて説明する場合がある。
【0129】
有機層112、および共通層114は、それぞれ独立に電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、および正孔輸送層のうち、一以上を有することができる。例えば、有機層112が、画素電極111側から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の積層構造を有し、共通層114が電子注入層を有する構成とすることができる。
【0130】
画素電極111R、画素電極111G、および画素電極111Bは、それぞれ発光デバイス毎に設けられている。また、共通電極113および共通層114は、各発光デバイスに共通な一続きの層として設けられている。各画素電極と共通電極113のいずれか一方に可視光に対して透光性を有する導電膜を用い、他方に反射性を有する導電膜を用いる。各画素電極を透光性、共通電極113を反射性とすることで、下面射出型(ボトムエミッション型)の表示パネルとすることができ、反対に各画素電極を反射性、共通電極113を透光性とすることで、上面射出型(トップエミッション型)の表示パネルとすることができる。なお、各画素電極と共通電極113の双方を透光性とすることで、両面射出型(デュアルエミッション型)の表示パネルとすることもできる。
【0131】
共通電極113上には、発光デバイス110R、発光デバイス110G、および発光デバイス110Bを覆って、保護層121が設けられている。保護層121は、上方から各発光デバイスに水などの不純物が拡散することを防ぐ機能を有する。
【0132】
画素電極111の端部はテーパ形状を有することが好ましい。画素電極111の端部がテーパ形状を有する場合、画素電極111の端部に沿って設けられる有機層112も、テーパ形状とすることができる。画素電極111の端部をテーパ形状とすることで、画素電極111の端部を乗り越えて設けられる有機層112の被覆性を高めることができる。また、画素電極111の側面をテーパ形状とすることで、作製工程中の異物(例えば、ゴミ、またはパーティクルなどともいう)を、洗浄などの処理により除去することが容易となり好ましい。
【0133】
なお、本明細書等において、テーパ形状とは、構造の側面の少なくとも一部が、基板面に対して傾斜して設けられている形状のことを指す。例えば、傾斜した側面と基板面とがなす角(テーパ角ともいう)が90°未満である領域を有すると好ましい。
【0134】
有機層112は、フォトリソグラフィ法を用いて島状に加工されている。そのため、有機層112は、その端部において、上面と側面との成す角が90度に近い形状となる。一方、FMM(Fine Metal Mask)などを用いて形成された有機膜は、その厚さが端部に近いほど徐々に薄くなる傾向があり、例えば1μm以上10μm以下の範囲にわたって、上面がスロープ状に形成されるため、上面と側面の区別が困難な形状となる。
【0135】
隣接する2つの発光デバイス間には、絶縁層125、樹脂層126および層128を有する。
【0136】
隣接する2つの発光デバイス間において、互いの有機層112の側面が樹脂層126を挟んで対向して設けられている。樹脂層126は、隣接する2つの発光デバイスの間に位置し、それぞれの有機層112の端部、および2つの有機層112の間の領域を埋めるように設けられている。樹脂層126は、滑らかな凸状の上面形状を有しており、樹脂層126の上面を覆って、共通層114および共通電極113が設けられている。
【0137】
樹脂層126は、隣接する2つの発光デバイス間に位置する段差を埋める平坦化膜として機能する。樹脂層126を設けることにより、共通電極113が有機層112の端部の段差により分断されてしまう現象(段切れともいう)が生じ、有機層112上の共通電極113が絶縁してしまうことを防ぐことができる。樹脂層126は、LFP(Local Filling Planarization)ともいうことができる。
【0138】
樹脂層126としては、有機材料を有する絶縁層を好適に用いることができる。例えば、樹脂層126として、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、およびこれら樹脂の前駆体等を適用することができる。また、樹脂層126として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、またはアルコール可溶性のポリアミド樹脂などの有機材料を用いてもよい。
【0139】
また、樹脂層126として、感光性の樹脂を用いることができる。感光性の樹脂としてはフォトレジストを用いてもよい。感光性の樹脂は、ポジ型の材料、またはネガ型の材料を用いることができる。
【0140】
樹脂層126は、可視光を吸収する材料を含んでいてもよい。例えば、樹脂層126自体が可視光を吸収する材料により構成されていてもよいし、樹脂層126が、可視光を吸収する顔料を含んでいてもよい。樹脂層126としては、例えば、赤色、青色、または緑色の光を透過し、他の光を吸収するカラーフィルタとして用いることのできる樹脂、またはカーボンブラックを顔料として含み、ブラックマトリクスとして機能する樹脂などを用いることができる。
【0141】
絶縁層125は、有機層112の側面に接して設けられている。また絶縁層125は、有機層112の上端部を覆って設けられている。また絶縁層125の一部は、基板101の上面に接して設けられている。
【0142】
絶縁層125は、樹脂層126と有機層112との間に位置し、樹脂層126が有機層112に接することを防ぐための保護膜として機能する。有機層112と樹脂層126とが接すると、樹脂層126の形成時に用いられる有機溶媒などにより有機層112が溶解する可能性がある。そのため、有機層112と樹脂層126との間に絶縁層125を設ける構成とすることで、有機層112の側面を保護することが可能となる。
【0143】
絶縁層125としては、無機材料を有する絶縁層とすることができる。絶縁層125には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、および窒化酸化絶縁膜などの無機絶縁膜を用いることができる。絶縁層125は単層構造であってもよく積層構造であってもよい。酸化絶縁膜としては、酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化マグネシウム膜、インジウムガリウム亜鉛酸化物膜、酸化ガリウム膜、酸化ゲルマニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ランタン膜、酸化ネオジム膜、酸化ハフニウム膜、および酸化タンタル膜などが挙げられる。窒化絶縁膜としては、窒化シリコン膜および窒化アルミニウム膜などが挙げられる。酸化窒化絶縁膜としては、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜などが挙げられる。窒化酸化絶縁膜としては、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などが挙げられる。特にALD法により形成した酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜などの酸化金属膜、または酸化シリコン膜などの無機絶縁膜を絶縁層125に適用することで、ピンホールが少なく、EL層を保護する機能に優れた絶縁層125を形成することができる。
【0144】
なお、本明細書などにおいて、酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。例えば、酸化窒化シリコンと記載した場合は、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンと記載した場合は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
【0145】
絶縁層125の形成は、スパッタリング法、CVD法、PLD法、ALD法などを用いることができる。絶縁層125は、被覆性が良好なALD法を用いて形成することが好ましい。
【0146】
また、絶縁層125と、樹脂層126との間に、反射膜(例えば、銀、パラジウム、銅、チタン、およびアルミニウムなどの中から選ばれる一または複数を含む金属膜)を設け、発光層から射出される光を上記反射膜により反射させる構成としてもよい。これにより、光取り出し効率を向上させることができる。
【0147】
層128は、有機層112のエッチング時に、有機層112を保護するための保護層(マスク層、犠牲層ともいう)の一部が残存したものである。層128には、上記絶縁層125に用いることのできる材料を用いることができる。特に、層128と絶縁層125とに同じ材料を用いると、加工のための装置等を共通に用いることができるため、好ましい。
【0148】
特にALD法により形成した酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜などの酸化金属膜、または酸化シリコン膜などの無機絶縁膜はピンホールが少ないため、EL層を保護する機能に優れ、絶縁層125および層128に好適に用いることができる。
【0149】
保護層121としては、例えば、少なくとも無機絶縁膜を含む単層構造または積層構造とすることができる。無機絶縁膜としては、例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜などの酸化物膜または窒化物膜が挙げられる。または、保護層121としてインジウムガリウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物、インジウムスズ酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物などの半導体材料または導電性材料を用いてもよい。
【0150】
保護層121としては、無機絶縁膜と、有機絶縁膜の積層膜を用いることもできる。例えば、一対の無機絶縁膜の間に、有機絶縁膜を挟んだ構成とすることが好ましい。さらに有機絶縁膜が平坦化膜として機能することが好ましい。これにより、有機絶縁膜の上面を平坦なものとすることができるため、その上の無機絶縁膜の被覆性が向上し、バリア性を高めることができる。また、保護層121の上面が平坦となるため、保護層121の上方に構造物(例えばカラーフィルタ、タッチセンサの電極、またはレンズアレイなど)を設ける場合に、下方の構造に起因する凹凸形状の影響を軽減できるため好ましい。
【0151】
図11(C)には、接続電極111Cと共通電極113とが電気的に接続する接続部140を示している。接続部140では、接続電極111C上において、絶縁層125および樹脂層126に開口部が設けられる。当該開口部において、接続電極111Cと共通電極113とが電気的に接続されている。
【0152】
なお、図11(C)には、接続電極111Cと共通電極113とが電気的に接続する接続部140を示しているが、接続電極111C上に共通層114を介して共通電極113が設けられていてもよい。特に共通層114にキャリア注入層を用いた場合などでは、当該共通層114に用いる材料の電気抵抗率が十分に低く、且つ厚さも薄く形成できるため、共通層114が接続部140に位置していても問題は生じない場合が多い。これにより、共通電極113と共通層114とを同じ遮蔽マスクを用いて形成することができるため、製造コストを低減できる。
【0153】
[構成例2]
以下では、上記構成例1とは一部の構成が異なる表示パネルについて説明する。なお、上記構成例1と共通する部分はこれを参照し、説明を省略する場合がある。
【0154】
図12(A)に、表示パネル100aの断面概略図を示す。表示パネル100aは、発光デバイスの構成が異なる点、および着色層を有する点で、表示パネル100と主に相違している。
【0155】
表示パネル100aは、白色光を呈する発光デバイス100Wを有する。発光デバイス100Wは、画素電極111、有機層112W、共通層114、および共通電極113を有する。有機層112Wは、白色発光を呈する。例えば、有機層112Wは、発光色が補色の関係となる2種類以上の発光材料を含む構成とすることができる。例えば、有機層112Wは、赤色の光を発する発光性の有機化合物と、緑色の光を発する発光性の有機化合物と、青色の光を発する発光性の有機化合物と、を有する構成とすることができる。また、青色の光を発する発光性の有機化合物と、黄色の光を発する発光性の有機化合物と、を有する構成としてもよい。
【0156】
隣接する2つの発光デバイス110W間において、それぞれの有機層112Wは分断されている。これにより、有機層112Wを介して隣接する発光デバイス110W間に流れるリーク電流を抑制することができ、当該リーク電流に起因したクロストークを抑制できる。そのため、コントラスト、および色再現性の高い表示パネルを実現できる。
【0157】
保護層121上には、平坦化膜として機能する絶縁層122が設けられ、絶縁層122上には着色層116R、着色層116G、および着色層116Bが設けられている。
【0158】
絶縁層122としては、有機樹脂膜、または上面が平坦化された無機絶縁膜を用いることができる。絶縁層122は、着色層116R、着色層116G、および着色層116Bの被形成面を成すため、絶縁層122の上面が平坦であることで、着色層116R等の厚さを均一にできるため、各発光デバイスから取り出される光の色純度を高めることができる。なお、着色層116R等の厚さが不均一であると、光の吸収量が着色層116Rの場所によって変わるため、色純度が低下してしまう恐れがある。
【0159】
[構成例3]
図12(B)に、表示パネル100bの断面概略図を示す。
【0160】
発光デバイス110Rは、画素電極111、導電層115R、有機層112W、および共通電極113を有する。発光デバイス110Gは、画素電極111、導電層115G、有機層112W、および共通電極113を有する。発光デバイス110Bは、画素電極111、導電層115B、有機層112W、および共通電極113を有する。導電層115R、導電層115G、および導電層115Bはそれぞれ透光性を有し、光学調整層として機能する。
【0161】
画素電極111に、可視光を反射する膜を用い、共通電極113に、可視光に対して反射性と透過性の両方を有する膜を用いることにより、微小共振器(マイクロキャビティ)構造を実現することができる。このとき、導電層115R、導電層115G、および導電層115Bの厚さをそれぞれ、最適な光路長となるように調整することで、白色発光を呈する有機層112Wを用いた場合であっても、発光デバイス110R、発光デバイス110G、および発光デバイス110Bからは、それぞれ異なる波長の光が強められた光を得ることができる。
【0162】
さらに、発光デバイス110R、発光デバイス110G、および発光デバイス110Bの光路上には、それぞれ着色層116R、着色層116G、着色層116Bが設けられることで、色純度の高い光を得ることができる。
【0163】
また、画素電極111および光学調整層115の端部を覆う絶縁層123が設けられている。絶縁層123は、端部がテーパ形状を有していることが好ましい。絶縁層123を設けることで、その上に形成される有機層112W、共通電極113、および保護層121などによる被覆性を高めることができる。
【0164】
有機層112Wおよび共通電極113は、それぞれ一続きの膜として、各発光デバイスに共通して設けられている。このような構成とすることで、表示パネルの作製工程を大幅に簡略化できるため好ましい。
【0165】
ここで、画素電極111は、その端部が基板101の上面に対して垂直に近い形状であることが好ましい。これにより、絶縁層123の表面に傾斜が急峻な部分を形成することができ、この部分を被覆する有機層112Wの一部に厚さの薄い部分を形成すること、または有機層112Wの一部を分断することができる。そのため、フォトリソグラフィ法などを用いた有機層112Wの加工を行うことなく、隣接する発光デバイス間に生じる有機層112Wを介したリーク電流を抑制することができる。
【0166】
以上が、表示パネルの構成例についての説明である。
【0167】
[画素のレイアウト]
以下では、主に、図11(A)とは異なる画素レイアウトについて説明する。発光デバイス(副画素)の配列に特に限定はなく、様々な方法を適用することができる。
【0168】
また、副画素の上面形状としては、例えば、三角形、四角形(長方形、正方形を含む)、五角形などの多角形、これら多角形の角が丸い形状、楕円形、または円形などが挙げられる。ここで、副画素の上面形状は、発光デバイスの発光領域の上面形状に相当する。
【0169】
図13(A)に示す画素150には、Sストライプ配列が適用されている。図13(A)に示す画素150は、発光デバイス110a、110b、110cの、3つの副画素から構成される。例えば、発光デバイス110aを青色の発光デバイスとし、発光デバイス110bを赤色の発光デバイスとし、発光デバイス110cを緑色の発光デバイスとしてもよい。
【0170】
図13(B)に示す画素150は、角が丸い略台形または略三角形の上面形状を有する発光デバイス110aと、角が丸い略台形または略三角形の上面形状を有する発光デバイス110bと、角が丸い略四角形または略六角形の上面形状を有する発光デバイス110cと、を有する。また、発光デバイス110aは、発光デバイス110bよりも発光面積が広い。このように、各発光デバイスの形状およびサイズはそれぞれ独立に決定することができる。例えば、信頼性の高い発光デバイスほど、サイズを小さくすることができる。例えば、発光デバイス110aを緑色の発光デバイスとし、発光デバイス110bを赤色の発光デバイスとし、発光デバイス110cを青色の発光デバイスとしてもよい。
【0171】
図13(C)に示す画素124a、124bには、ペンタイル配列が適用されている。図13(C)では、発光デバイス110aおよび発光デバイス110bを有する画素124aと、発光デバイス110bおよび発光デバイス110cを有する画素124bと、が交互に配置されている例を示す。例えば、発光デバイス110aを赤色の発光デバイスとし、発光デバイス110bを緑色の発光デバイスとし、発光デバイス110cを青色の発光デバイスとしてもよい。
【0172】
図13(D)および図13(E)に示す画素124a、124bは、デルタ配列が適用されている。画素124aは上の行(1行目)に、2つの発光デバイス(発光デバイス110a、110b)を有し、下の行(2行目)に、1つの発光デバイス(発光デバイス110c)を有する。画素124bは上の行(1行目)に、1つの発光デバイス(発光デバイス110c)を有し、下の行(2行目)に、2つの発光デバイス(発光デバイス110a、110b)を有する。例えば、発光デバイス110aを赤色の発光デバイスとし、発光デバイス110bを緑色の発光デバイスとし、発光デバイス110cを青色の発光デバイスとしてもよい。
【0173】
図13(D)は、各発光デバイスが、角が丸い略四角形の上面形状を有する例であり、図13(E)は、各発光デバイスが、円形の上面形状を有する例である。
【0174】
図13(F)は、各色の発光デバイスがジグザグに配置されている例である。具体的には、上面視において、列方向に並ぶ2つの発光デバイス(例えば、発光デバイス110aと発光デバイス110b、または、発光デバイス110bと発光デバイス110c)の上辺の位置がずれている。例えば、発光デバイス110aを赤色の発光デバイスとし、発光デバイス110bを緑色の発光デバイスとし、発光デバイス110cを青色の発光デバイスとしてもよい。
【0175】
フォトリソグラフィ法では、加工するパターンが微細になるほど、光の回折の影響を無視できなくなるため、露光によりフォトマスクのパターンを転写する際に忠実性が損なわれ、レジストマスクを所望の形状に加工することが困難になる。そのため、フォトマスクのパターンが矩形であっても、角が丸まったパターンが形成されやすい。したがって、発光デバイスの上面形状が、多角形の角が丸い形状、楕円形、または円形などになることがある。
【0176】
さらに、本発明の一態様の表示パネルの作製方法では、レジストマスクを用いてEL層を島状に加工する。EL層上に形成したレジスト膜は、EL層の耐熱温度よりも低い温度で硬化する必要がある。そのため、EL層の材料の耐熱温度およびレジスト材料の硬化温度によっては、レジスト膜の硬化が不十分になる場合がある。硬化が不十分なレジスト膜は、加工時に所望の形状から離れた形状をとることがある。その結果、EL層の上面形状が、多角形の角が丸い形状、楕円形、または円形などになることがある。例えば、上面形状が正方形のレジストマスクを形成しようとした場合に、円形の上面形状のレジストマスクが形成され、EL層の上面形状が円形になることがある。
【0177】
なお、EL層の上面形状を所望の形状とするために、設計パターンと、転写パターンとが、一致するように、あらかじめマスクパターンを補正する技術(OPC(Optical Proximity Correction:光近接効果補正)技術)を用いてもよい。具体的には、OPC技術では、マスクパターン上の図形コーナー部などに補正用のパターンを追加する。
【0178】
以上が、画素のレイアウトに関する説明である。
【0179】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0180】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器に適用することのできる表示パネルの他の構成例について説明する。
【0181】
本実施の形態の表示パネルは、高精細な表示パネルであり、特にヘッドマウントディスプレイなどのVR向け機器、および、メガネ型のAR向け機器などの、頭部に装着可能なウェアラブル機器の表示部に用いることが適している。
【0182】
[表示モジュール]
図14(A)に、表示モジュール280の斜視図を示す。表示モジュール280は、表示パネル200Aと、FPC290と、を有する。なお、表示モジュール280が有する表示パネルは表示パネル200Aに限られず、後述する表示パネル200B乃至表示パネル200Fのいずれかであってもよい。
【0183】
表示モジュール280は、基板291および基板292を有する。表示モジュール280は、表示部281を有する。表示部281は、画像を表示する領域である。
【0184】
図14(B)に、基板291側の構成を模式的に示した斜視図を示している。基板291上には、回路部282と、回路部282上の画素回路部283と、画素回路部283上の画素部284と、が積層されている。また、基板291上の画素部284と重ならない部分に、FPC290と接続するための端子部285が設けられている。端子部285と回路部282とは、複数の配線により構成される配線部286により電気的に接続されている。
【0185】
画素部284は、周期的に配列した複数の画素284aを有する。図14(B)の右側に、1つの画素284aの拡大図を示している。画素284aは、赤色の光を発する発光デバイス110R、緑色の光を発する発光デバイス110G、および、青色の光を発する発光デバイス110Bを有する。
【0186】
画素回路部283は、周期的に配列した複数の画素回路283aを有する。1つの画素回路283aは、1つの画素284aが有する3つの発光デバイスの発光を制御する回路である。1つの画素回路283aには、1つの発光デバイスの発光を制御する回路が3つ設けられる構成としてもよい。例えば、画素回路283aは、1つの発光デバイスにつき、1つの選択トランジスタと、1つの電流制御用トランジスタ(駆動トランジスタ)と、容量素子と、を少なくとも有する構成とすることができる。このとき、選択トランジスタのゲートにはゲート信号が、ソースにはソース信号が、それぞれ入力される。これにより、アクティブマトリクス型の表示パネルが実現されている。
【0187】
回路部282は、画素回路部283の各画素回路283aを駆動する回路を有する。例えば、ゲート線駆動回路、および、ソース線駆動回路の一方または双方を有することが好ましい。このほか、演算回路、記憶回路、および電源回路等の少なくとも一つを有していてもよい。また、回路部282に設けられるトランジスタが画素回路283aの一部を構成してもよい。すなわち、画素回路283aが、画素回路部283が有するトランジスタと、回路部282が有するトランジスタと、により構成されていてもよい。
【0188】
FPC290は、外部から回路部282にビデオ信号および電源電位等を供給するための配線として機能する。また、FPC290上にICが実装されていてもよい。
【0189】
表示モジュール280は、画素部284の下側に画素回路部283および回路部282の一方または双方が重ねて設けられた構成とすることができるため、表示部281の開口率(有効表示面積比)を極めて高くすることができる。例えば表示部281の開口率は、40%以上100%未満、好ましくは50%以上95%以下、より好ましくは60%以上95%以下とすることができる。また、画素284aを極めて高密度に配置することが可能で、表示部281の精細度を極めて高くすることができる。例えば、表示部281には、2000ppi以上、好ましくは3000ppi以上、より好ましくは5000ppi以上、さらに好ましくは6000ppi以上であって、20000ppi以下、または30000ppi以下の精細度で、画素284aが配置されることが好ましい。
【0190】
このような表示モジュール280は、極めて高精細であることから、ヘッドマウントディスプレイなどのVR向け機器、またはメガネ型のAR向け機器に好適に用いることができる。例えば、レンズを通して表示モジュール280の表示部を視認する構成の場合であっても、表示モジュール280は極めて高精細な表示部281を有するためにレンズで表示部を拡大しても画素が視認されず、没入感の高い表示を行うことができる。また、表示モジュール280はこれに限られず、比較的小型の表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。例えば腕時計などの装着型の電子機器の表示部に好適に用いることができる。
【0191】
[表示パネル200A]
図15に示す表示パネル200Aは、基板301、発光デバイス110R、110G、110B、容量240、および、トランジスタ310を有する。
【0192】
基板301は、図14(A)および図14(B)における基板291に相当する。
【0193】
トランジスタ310は、基板301にチャネル形成領域を有するトランジスタである。基板301としては、例えば単結晶シリコン基板などの半導体基板を用いることができる。トランジスタ310は、基板301の一部、導電層311、低抵抗領域312、絶縁層313、および、絶縁層314を有する。導電層311は、ゲート電極として機能する。絶縁層313は、基板301と導電層311の間に位置し、ゲート絶縁層として機能する。低抵抗領域312は、基板301に不純物がドープされた領域であり、ソースまたはドレインの一方として機能する。絶縁層314は、導電層311の側面を覆って設けられる。
【0194】
また、基板301に埋め込まれるように、隣接する2つのトランジスタ310の間に素子分離層315が設けられている。
【0195】
また、トランジスタ310を覆って絶縁層261が設けられ、絶縁層261上に容量240が設けられている。
【0196】
容量240は、導電層241と、導電層245と、これらの間に位置する絶縁層243を有する。導電層241は、容量240の一方の電極として機能し、導電層245は、容量240の他方の電極として機能し、絶縁層243は、容量240の誘電体として機能する。
【0197】
導電層241は絶縁層261上に設けられ、絶縁層254に埋め込まれている。導電層241は、絶縁層261に埋め込まれたプラグ271によってトランジスタ310のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。絶縁層243は導電層241を覆って設けられる。導電層245は、絶縁層243を介して導電層241と重なる領域に設けられている。
【0198】
容量240を覆って、絶縁層255aが設けられ、絶縁層255a上に絶縁層255bが設けられ、絶縁層255b上に絶縁層255cが設けられている。
【0199】
絶縁層255a、絶縁層255b、および絶縁層255cには、それぞれ無機絶縁膜を好適に用いることができる。例えば、絶縁層255aおよび絶縁層255cに酸化シリコン膜を用い、絶縁層255bに窒化シリコン膜を用いることが好ましい。これにより、絶縁層255bは、エッチング保護膜として機能させることができる。本実施の形態では、絶縁層255cの一部がエッチングされ、凹部が形成されている例を示すが、絶縁層255cに凹部が設けられていなくてもよい。
【0200】
絶縁層255c上に発光デバイス110R、発光デバイス110G、および、発光デバイス110Bが設けられている。発光デバイス110R、発光デバイス110G、および、発光デバイス110Bの構成は、実施の形態1を参照できる。
【0201】
表示パネル200Aは、発光色ごとに、発光デバイスを作り分けているため、低輝度での発光と高輝度での発光で色度の変化が小さい。また、有機層112R、112G、112Bがそれぞれ離隔しているため、高精細な表示パネルであっても、隣接する副画素間におけるクロストークの発生を抑制することができる。したがって、高精細であり、かつ、表示品位の高い表示パネルを実現することができる。
【0202】
隣り合う発光デバイスの間の領域には、絶縁層125、樹脂層126、および層128が設けられる。
【0203】
発光デバイスの画素電極111R、画素電極111G、および、画素電極111Bは、絶縁層255a、絶縁層255b、および、絶縁層255cに埋め込まれたプラグ256、絶縁層254に埋め込まれた導電層241、および、絶縁層261に埋め込まれたプラグ271によってトランジスタ310のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。絶縁層255cの上面の高さと、プラグ256の上面の高さは、一致または概略一致している。プラグには各種導電材料を用いることができる。
【0204】
また、発光デバイス110R、110G、および110B上には保護層121が設けられている。保護層121上には、接着層171によって基板170が貼り合わされている。
【0205】
隣接する2つの画素電極111間には、画素電極111の上面端部を覆う絶縁層が設けられていない。そのため、隣り合う発光デバイスの間隔を極めて狭くすることができる。したがって、高精細、または、高解像度の表示パネルとすることができる。
【0206】
[表示パネル200B]
図16に示す表示パネル200Bは、それぞれ半導体基板にチャネルが形成されるトランジスタ310Aと、トランジスタ310Bとが積層された構成を有する。なお、以降の表示パネルの説明では、先に説明した表示パネルと同様の部分については説明を省略することがある。
【0207】
表示パネル200Bは、トランジスタ310B、容量240、発光デバイスが設けられた基板301Bと、トランジスタ310Aが設けられた基板301Aとが、貼り合された構成を有する。
【0208】
ここで、基板301Bの下面に絶縁層345が設けられ、基板301A上に設けられた絶縁層261の上には絶縁層346が設けられている。絶縁層345、346は、保護層として機能する絶縁層であり、基板301Bおよび基板301Aに不純物が拡散することを抑制することができる。絶縁層345、346としては、保護層121または絶縁層332に用いることができる無機絶縁膜を用いることができる。
【0209】
基板301Bには、基板301Bおよび絶縁層345を貫通するプラグ343が設けられる。ここで、プラグ343の側面を覆って、保護層として機能する絶縁層344を設けることが好ましい。
【0210】
また、基板301Bの下側に、絶縁層345を介して導電層342が設けられる。導電層342は、絶縁層335に埋め込まれており、導電層342と絶縁層335の下面は平坦化されている。また、導電層342はプラグ343と電気的に接続されている。
【0211】
一方、基板301Aには、絶縁層346上に導電層341が設けられている。導電層341は、絶縁層336に埋め込まれており、導電層341と絶縁層336の上面は平坦化されている。
【0212】
導電層341および導電層342としては、同じ導電材料を用いることが好ましい。例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。特に、導電層341および導電層342に、銅を用いることが好ましい。これにより、Cu-Cu(カッパー・カッパー)直接接合技術(Cu(銅)のパッド同士を接続することで電気的導通を図る技術)を適用することができる。
【0213】
[表示パネル200C]
図17に示す表示パネル200Cは、導電層341と導電層342を、バンプ347を介して接合する構成を有する。
【0214】
図17に示すように、導電層341と導電層342の間にバンプ347を設けることで、導電層341と導電層342を電気的に接続することができる。バンプ347は、例えば、金(Au)、ニッケル(Ni)、インジウム(In)、錫(Sn)などを含む導電材料を用いて形成することができる。また例えば、バンプ347として半田を用いる場合がある。また、絶縁層345と絶縁層346の間に、接着層348を設けてもよい。また、バンプ347を設ける場合、絶縁層335および絶縁層336を設けない構成にしてもよい。
【0215】
[表示パネル200D]
図18に示す表示パネル200Dは、トランジスタの構成が異なる点で、表示パネル200Aと主に相違する。
【0216】
トランジスタ320は、チャネルが形成される半導体層に、金属酸化物(酸化物半導体ともいう)が適用されたトランジスタ(OSトランジスタ)である。
【0217】
トランジスタ320は、半導体層321、絶縁層323、導電層324、一対の導電層325、絶縁層326、および、導電層327を有する。
【0218】
基板331は、図14(A)および図14(B)における基板291に相当する。
【0219】
基板331上に、絶縁層332が設けられている。絶縁層332は、基板331から水または水素などの不純物がトランジスタ320に拡散すること、および半導体層321から絶縁層332側に酸素が脱離することを防ぐバリア層として機能する。絶縁層332としては、例えば酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、窒化シリコン膜などの、酸化シリコン膜よりも水素または酸素が拡散しにくい膜を用いることができる。
【0220】
絶縁層332上に導電層327が設けられ、導電層327を覆って絶縁層326が設けられている。導電層327は、トランジスタ320の第1のゲート電極として機能し、絶縁層326の一部は、第1のゲート絶縁層として機能する。絶縁層326の少なくとも半導体層321と接する部分には、酸化シリコン膜等の酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。絶縁層326の上面は、平坦化されていることが好ましい。
【0221】
半導体層321は、絶縁層326上に設けられる。半導体層321は、半導体特性を示す金属酸化物(酸化物半導体ともいう)膜を有することが好ましい。一対の導電層325は、半導体層321上に接して設けられ、ソース電極およびドレイン電極として機能する。
【0222】
一対の導電層325の上面および側面、並びに半導体層321の側面等を覆って絶縁層328が設けられ、絶縁層328上に絶縁層264が設けられている。絶縁層328は、半導体層321に絶縁層264等から水または水素などの不純物が拡散すること、および半導体層321から酸素が脱離することを防ぐバリア層として機能する。絶縁層328としては、上記絶縁層332と同様の絶縁膜を用いることができる。
【0223】
絶縁層328および絶縁層264に、半導体層321に達する開口が設けられている。当該開口の内部に、半導体層321の上面に接する絶縁層323と、導電層324とが埋め込まれている。導電層324は、第2のゲート電極として機能し、絶縁層323は第2のゲート絶縁層として機能する。
【0224】
導電層324の上面、絶縁層323の上面、および絶縁層264の上面は、それぞれ高さが一致または概略一致するように平坦化処理され、これらを覆って絶縁層329および絶縁層265が設けられている。
【0225】
絶縁層264および絶縁層265は、層間絶縁層として機能する。絶縁層329は、トランジスタ320に絶縁層265等から水または水素などの不純物が拡散することを防ぐバリア層として機能する。絶縁層329としては、上記絶縁層328および絶縁層332と同様の絶縁膜を用いることができる。
【0226】
一対の導電層325の一方と電気的に接続するプラグ274は、絶縁層265、絶縁層329、および絶縁層264に埋め込まれるように設けられている。ここで、プラグ274は、絶縁層265、絶縁層329、絶縁層264、および絶縁層328のそれぞれの開口の側面、および導電層325の上面の一部を覆う導電層274aと、導電層274aの上面に接する導電層274bとを有することが好ましい。このとき、導電層274aとして、水素および酸素が拡散しにくい導電材料を用いることが好ましい。
【0227】
なお、本実施の形態の表示パネルが有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0228】
トランジスタ320には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。または、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
【0229】
トランジスタの半導体層に用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、または単結晶以外の結晶性を有する半導体、(微結晶半導体、多結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。単結晶半導体または結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0230】
トランジスタの半導体層に用いる金属酸化物のバンドギャップは、2eV以上が好ましく、2.5eV以上がより好ましい。バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、OSトランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0231】
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を有することが好ましく、インジウムおよび亜鉛を有することがより好ましい。例えば、金属酸化物は、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、イットリウム、スズ、シリコン、ホウ素、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、およびコバルトから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。
【0232】
または、トランジスタの半導体層は、シリコンを有していてもよい。シリコンとしては、アモルファスシリコン、結晶性のシリコン(低温ポリシリコン、単結晶シリコンなど)などが挙げられる。
【0233】
半導体層に用いることのできる金属酸化物としては、例えば、インジウム酸化物、ガリウム酸化物、および亜鉛酸化物が挙げられる。また、金属酸化物は、インジウムと、元素Mと、亜鉛と、の中から選ばれる二種または三種を有することが好ましい。なお、元素Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、およびマグネシウムから選ばれた一種または複数種である。特に、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、およびスズから選ばれた一種または複数種であることが好ましい。
【0234】
特に、半導体層に用いる金属酸化物として、インジウム、ガリウム、および亜鉛を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。または、インジウム、スズ、および亜鉛を含む酸化物(ITZO(登録商標)とも記す)を用いることが好ましい。または、インジウム、ガリウム、スズ、および亜鉛を含む酸化物を用いることが好ましい。または、インジウム、アルミニウム、および亜鉛を含む酸化物(IAZOとも記す)を用いることが好ましい。または、インジウム、アルミニウム、ガリウム、および亜鉛を含む酸化物(IAGZOとも記す)を用いることが好ましい。
【0235】
半導体層に用いる金属酸化物がIn-M-Zn酸化物の場合、当該In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比以上であることが好ましい。このようなIn-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比として、例えば、In:M:Zn=1:1:1またはその近傍の組成、In:M:Zn=1:1:1.2またはその近傍の組成、In:M:Zn=1:3:2またはその近傍の組成、In:M:Zn=1:3:4またはその近傍の組成、In:M:Zn=2:1:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=3:1:2またはその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:4.1またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:6またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:7またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:8またはその近傍の組成、In:M:Zn=6:1:6またはその近傍の組成、および、In:M:Zn=5:2:5またはその近傍の組成が挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。
【0236】
例えば、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍の組成と記載する場合、Inを4としたとき、Gaが1以上3以下であり、Znが2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍の組成と記載する場合、Inを5としたときに、Gaが0.1より大きく2以下であり、Znが5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍の組成と記載する場合、Inを1としたときに、Gaが0.1より大きく2以下であり、Znが0.1より大きく2以下である場合を含む。
【0237】
また、半導体層は、組成が異なる2層以上の金属酸化物層を有していてもよい。例えば、In:M:Zn=1:3:4[原子数比]もしくはその近傍の組成の第1の金属酸化物層と、当該第1の金属酸化物層上に設けられるIn:M:Zn=1:1:1[原子数比]もしくはその近傍の組成の第2の金属酸化物層と、の積層構造を好適に用いることができる。また、元素Mとして、ガリウムまたはアルミニウムを用いることが特に好ましい。
【0238】
また、例えばインジウム酸化物、インジウムガリウム酸化物、およびIGZOの中から選ばれるいずれか一と、IAZO、IAGZO、およびITZO(登録商標)の中から選ばれるいずれか一と、の積層構造などを用いてもよい。
【0239】
結晶性を有する酸化物半導体としては、CAAC(c-axis-aligned crystalline)-OS、nc(nanocrystalline)-OS等が挙げられる。
【0240】
OSトランジスタは、非晶質シリコンを用いたトランジスタと比較して電界効果移動度が極めて高い。また、OSトランジスタは、オフ状態におけるソース-ドレイン間のリーク電流(オフ電流)が著しく小さく、当該トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。また、OSトランジスタを適用することで、表示パネルの消費電力を低減することができる。
【0241】
また、画素回路に含まれる発光デバイスの発光輝度を高くする場合、発光デバイスに流す電流量を大きくする必要がある。そのためには、画素回路に含まれている駆動トランジスタのソース-ドレイン間電圧を高くする必要がある。OSトランジスタは、Siトランジスタと比較して、ソース-ドレイン間において耐圧が高いため、OSトランジスタのソース-ドレイン間には高い電圧を印加することができる。したがって、画素回路に含まれる駆動トランジスタをOSトランジスタとすることで、発光デバイスに流れる電流量を大きくし、発光デバイスの発光輝度を高くすることができる。
【0242】
また、トランジスタが飽和領域で動作する場合において、OSトランジスタは、Siトランジスタよりも、ゲート-ソース間電圧の変化に対して、ソース-ドレイン間電流の変化が小さい。このため、画素回路に含まれる駆動トランジスタとしてOSトランジスタを適用することによって、ゲート-ソース間電圧の変化によって、ソース-ドレイン間に流れる電流を細かく定めることができるため、発光デバイスに流れる電流量を制御することができる。このため、画素回路における階調を大きくすることができる。
【0243】
また、トランジスタが飽和領域で動作するときに流れる電流の飽和特性において、OSトランジスタは、ソース-ドレイン間電圧が徐々に高くなった場合においても、Siトランジスタよりも安定した電流(飽和電流)を流すことができる。そのため、OSトランジスタを駆動トランジスタとして用いることで、例えば、ELデバイスの電流-電圧特性にばらつきが生じた場合においても、発光デバイスに安定した電流を流すことができる。つまり、OSトランジスタは、飽和領域で動作する場合において、ソース-ドレイン間電圧を高くしても、ソース-ドレイン間電流がほぼ変化しないため、発光デバイスの発光輝度を安定させることができる。
【0244】
上記のとおり、画素回路に含まれる駆動トランジスタにOSトランジスタを用いることで、「消費電力の低減」、「発光輝度の上昇」、「多階調化」、「発光デバイスのばらつきの抑制」などを図ることができる。
【0245】
[表示パネル200E]
図19に示す表示パネル200Eは、それぞれチャネルが形成される半導体に酸化物半導体を有するトランジスタ320Aと、トランジスタ320Bとが積層された構成を有する。
【0246】
トランジスタ320A、トランジスタ320B、およびその周辺の構成については、上記表示パネル200Dを参照することができる。
【0247】
なお、ここでは、酸化物半導体を有するトランジスタを2つ積層する構成としたが、これに限られない。例えば3つ以上のトランジスタを積層する構成としてもよい。
【0248】
[表示パネル200F]
図20に示す表示パネル200Fは、基板301にチャネルが形成されるトランジスタ310と、チャネルが形成される半導体層に金属酸化物を含むトランジスタ320とが積層された構成を有する。
【0249】
トランジスタ310を覆って絶縁層261が設けられ、絶縁層261上に導電層251が設けられている。また導電層251を覆って絶縁層262が設けられ、絶縁層262上に導電層252が設けられている。導電層251および導電層252は、それぞれ配線として機能する。また、導電層252を覆って絶縁層263および絶縁層332が設けられ、絶縁層332上にトランジスタ320が設けられている。また、トランジスタ320を覆って絶縁層265が設けられ、絶縁層265上に容量240が設けられている。容量240とトランジスタ320とは、プラグ274により電気的に接続されている。
【0250】
トランジスタ320は、画素回路を構成するトランジスタとして用いることができる。また、トランジスタ310は、画素回路を構成するトランジスタ、または当該画素回路を駆動するための駆動回路(ゲート線駆動回路、ソース線駆動回路)を構成するトランジスタとして用いることができる。また、トランジスタ310およびトランジスタ320は、演算回路または記憶回路などの各種回路を構成するトランジスタとして用いることができる。
【0251】
このような構成とすることで、発光デバイスの直下に画素回路だけでなく駆動回路等を形成することができるため、表示領域の周辺に駆動回路を設ける場合に比べて、表示パネルを小型化することが可能となる。
【0252】
[表示パネル200G]
図21に示す表示パネル200Gは、基板301にチャネルが形成されるトランジスタ310と、チャネルが形成される半導体層に金属酸化物を含むトランジスタ320Aと、トランジスタ320Bとが積層された構成を有する。
【0253】
トランジスタ320Aは、画素回路を構成するトランジスタとして用いることができる。トランジスタ310は、画素回路を構成するトランジスタ、または当該画素回路を駆動するための駆動回路(ゲート線駆動回路、ソース線駆動回路)を構成するトランジスタとして用いることができる。トランジスタ320Bは、画素回路を構成するトランジスタとして用いてもよいし、上記駆動回路を構成するトランジスタとして用いてもよい。また、トランジスタ310、トランジスタ320A、およびトランジスタ320Bは、演算回路または記憶回路などの各種回路を構成するトランジスタとして用いることができる。
【0254】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0255】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示パネルに用いることができる発光デバイスについて説明する。
【0256】
本明細書等において、メタルマスク、またはFMM(ファインメタルマスク、高精細なメタルマスク)を用いて作製されるデバイスをMM(メタルマスク)構造のデバイスと呼称する場合がある。また、本明細書等において、メタルマスク、またはFMMを用いることなく作製されるデバイスをMML(メタルマスクレス)構造のデバイスと呼称する場合がある。
【0257】
本明細書等では、発光波長が異なる発光デバイスで少なくとも発光層を作り分ける構造をSBS(Side By Side)構造と呼ぶ場合がある。SBS構造は、発光デバイスごとに材料および構成を最適化することができるため、材料および構成の選択の自由度が高まり、輝度の向上および信頼性の向上を図ることが容易となる。
【0258】
本明細書等において、正孔または電子を、「キャリア」といって示す場合がある。具体的には、正孔注入層または電子注入層を「キャリア注入層」といい、正孔輸送層または電子輸送層を「キャリア輸送層」といい、正孔ブロック層または電子ブロック層を「キャリアブロック層」という場合がある。なお、上述のキャリア注入層、キャリア輸送層、およびキャリアブロック層は、それぞれ、断面形状、または特性などによって明確に区別できない場合がある。また、1つの層が、キャリア注入層、キャリア輸送層、およびキャリアブロック層のうち2つまたは3つの機能を兼ねる場合がある。
【0259】
本明細書等において、発光デバイスは、一対の電極間にEL層を有する。EL層は、少なくとも発光層を有する。ここで、EL層が有する層(機能層ともいう)としては、発光層、キャリア注入層(正孔注入層および電子注入層)、キャリア輸送層(正孔輸送層および電子輸送層)、および、キャリアブロック層(正孔ブロック層および電子ブロック層)などが挙げられる。
【0260】
発光デバイスとしては、例えば、OLED(Organic Light Emitting Diode)、またはQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)を用いることが好ましい。発光デバイスが有する発光物質としては、例えば、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally Activated Delayed Fluorescence:TADF)材料)、および、無機化合物(量子ドット材料等)が挙げられる。また、発光デバイスとして、マイクロLEDなどのLEDを用いることもできる。
【0261】
発光デバイスの発光色は、赤外、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、または白などとすることができる。また、発光デバイスにマイクロキャビティ構造を付与することにより色純度を高めることができる。
【0262】
図22(A)に示すように、発光デバイスは、一対の電極(下部電極761および上部電極762)の間に、EL層763を有する。EL層763は、層780、発光層771、および、層790などの複数の層で構成することができる。
【0263】
発光層771は、少なくとも発光物質(発光材料ともいう)を有する。
【0264】
下部電極761が陽極であり、上部電極762が陰極である場合、層780は、正孔注入性の高い物質を含む層(正孔注入層)、正孔輸送性の高い物質を含む層(正孔輸送層)、および、電子ブロック性の高い物質を含む層(電子ブロック層)のうち一つまたは複数を有する。また、層790は、電子注入性の高い物質を含む層(電子注入層)、電子輸送性の高い物質を含む層(電子輸送層)、および、正孔ブロック性の高い物質を含む層(正孔ブロック層)のうち一つまたは複数を有する。下部電極761が陰極であり、上部電極762が陽極である場合、層780と層790は互いに上記と逆の構成になる。
【0265】
一対の電極間に設けられた層780、発光層771、および層790を有する構成は単一の発光ユニットとして機能することができ、本明細書では図22(A)の構成をシングル構造と呼ぶ。
【0266】
また、図22(B)は、図22(A)に示す発光デバイスが有するEL層763の変形例である。具体的には、図22(B)に示す発光デバイスは、下部電極761上の層781と、層781上の層782と、層782上の発光層771と、発光層771上の層791と、層791上の層792と、層792上の上部電極762と、を有する。
【0267】
下部電極761が陽極であり、上部電極762が陰極である場合、例えば、層781を正孔注入層、層782を正孔輸送層、層791を電子輸送層、層792を電子注入層とすることができる。また、下部電極761が陰極であり、上部電極762が陽極である場合、層781を電子注入層、層782を電子輸送層、層791を正孔輸送層、層792を正孔注入層とすることができる。このような層構造とすることで、発光層771に効率よくキャリアを注入し、発光層771内におけるキャリアの再結合の効率を高めることができる。
【0268】
なお、図22(C)および図22(D)に示すように、層780と層790との間に複数の発光層(発光層771、772、773)が設けられる構成もシングル構造のバリエーションである。なお、図22(C)および図22(D)では、発光層を3層有する例を示すが、シングル構造の発光デバイスにおける発光層は、2層であってもよく、4層以上であってもよい。また、シングル構造の発光デバイスは、2つの発光層の間に、バッファ層を有していてもよい。
【0269】
また、図22(E)および図22(F)に示すように、複数の発光ユニット(発光ユニット763aおよび発光ユニット763b)が電荷発生層785(中間層ともいう)を介して直列に接続された構成を本明細書ではタンデム構造と呼ぶ。なお、タンデム構造をスタック構造と呼んでもよい。タンデム構造とすることで、高輝度発光が可能な発光デバイスとすることができる。また、タンデム構造は、シングル構造と比べて、同じ輝度を得るために必要な電流を低減できるため、信頼性を高めることができる。
【0270】
なお、図22(D)および図22(F)は、表示パネルが、発光デバイスと重なる層764を有する例である。図22(D)は、層764が、図22(C)に示す発光デバイスと重なる例であり、図22(F)は、層764が、図22(E)に示す発光デバイスと重なる例である。
【0271】
層764としては、色変換層およびカラーフィルタ(着色層)の一方または双方を用いることができる。
【0272】
図22(C)および図22(D)において、発光層771、発光層772、および発光層773に、同じ色の光を発する発光物質、さらには、同じ発光物質を用いてもよい。例えば、発光層771、発光層772、および発光層773に、青色の光を発する発光物質を用いてもよい。青色の光を呈する副画素においては、発光デバイスが発する青色の光を取り出すことができる。また、赤色の光を呈する副画素および緑色の光を呈する副画素においては、図22(D)に示す層764として色変換層を設けることで、発光デバイスが発する青色の光をより長波長の光に変換し、赤色または緑色の光を取り出すことができる。
【0273】
また、発光層771、発光層772、および発光層773に、それぞれ発光色の異なる発光物質を用いてもよい。発光層771、発光層772、および発光層773がそれぞれ発する光が補色の関係である場合、白色発光が得られる。例えば、シングル構造の発光デバイスは、青色の光を発する発光物質を有する発光層、および、青色よりも長波長の可視光を発する発光物質を有する発光層を有することが好ましい。
【0274】
例えば、シングル構造の発光デバイスが3層の発光層を有する場合、赤色(R)の光を発する発光物質を有する発光層、緑色(G)の光を発する発光物質を有する発光層、および、青色(B)の光を発する発光物質を有する発光層を有することが好ましい。発光層の積層順としては、陽極側から、R、G、B、または、陽極側からR、B、Gなどとすることができる。このとき、RとGまたはBとの間にバッファ層が設けられていてもよい。
【0275】
また、例えば、シングル構造の発光デバイスが2層の発光層を有する場合、青色(B)の光を発する発光物質を有する発光層、および、黄色(Y)の光を発する発光物質を有する発光層を有することが好ましい。当該構成をBYシングルと呼称する場合がある。
【0276】
図22(D)に示す層764として、カラーフィルタを設けてもよい。白色光がカラーフィルタを透過することで、所望の色の光を得ることができる。
【0277】
白色の光を発する発光デバイスは、2種類以上の発光物質を含むことが好ましい。白色発光を得るには、2以上の発光物質の各々の発光が補色の関係となるような発光物質を選択すればよい。例えば、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光デバイス全体として白色発光する発光デバイスを得ることができる。また、発光層を3つ以上有する発光デバイスの場合も同様である。
【0278】
また、図22(E)および図22(F)において、発光層771と、発光層772とに、同じ色の光を発する発光物質、さらには、同じ発光物質を用いてもよい。
【0279】
例えば、各色の光を呈する副画素が有する発光デバイスにおいて、発光層771と、発光層772に、それぞれ青色の光を発する発光物質を用いてもよい。青色の光を呈する副画素においては、発光デバイスが発する青色の光を取り出すことができる。また、赤色の光を呈する副画素および緑色の光を呈する副画素においては、図22(F)に示す層764として色変換層を設けることで、発光デバイスが発する青色の光をより長波長の光に変換し、赤色または緑色の光を取り出すことができる。
【0280】
また、各色の光を呈する副画素に、図22(E)または図22(F)に示す構成の発光デバイスを用いる場合、副画素によって、異なる発光物質を用いてもよい。具体的には、赤色の光を呈する副画素が有する発光デバイスにおいて、発光層771と、発光層772に、それぞれ赤色の光を発する発光物質を用いてもよい。同様に、緑色の光を呈する副画素が有する発光デバイスにおいて、発光層771と、発光層772に、それぞれ緑色の光を発する発光物質を用いてもよい。青色の光を呈する副画素が有する発光デバイスにおいて、発光層771と、発光層772に、それぞれ青色の光を発する発光物質を用いてもよい。このような構成の表示パネルは、タンデム構造の発光デバイスが適用されており、かつ、SBS構造であるといえる。そのため、タンデム構造のメリットと、SBS構造のメリットの両方を併せ持つことができる。これにより、高輝度発光が可能であり、信頼性の高い発光デバイスを実現することができる。
【0281】
また、図22(E)および図22(F)において、発光層771と、発光層772とに、発光色の異なる発光物質を用いてもよい。発光層771が発する光と、発光層772が発する光が補色の関係である場合、白色発光が得られる。図22(F)に示す層764として、カラーフィルタを設けてもよい。白色光がカラーフィルタを透過することで、所望の色の光を得ることができる。
【0282】
なお、図22(E)および図22(F)において、発光ユニット763aが1層の発光層771を有し、発光ユニット763bが1層の発光層772を有する例を示すが、これに限られない。発光ユニット763aおよび発光ユニット763bは、それぞれ、2層以上の発光層を有していてもよい。
【0283】
また、図22(E)および図22(F)では、発光ユニットを2つ有する発光デバイスを例示したが、これに限られない。発光デバイスは、発光ユニットを3つ以上有していてもよい。
【0284】
具体的には、図23(A)乃至図23(C)に示す発光デバイスの構成が挙げられる。
【0285】
図23(A)は、発光ユニットを3つ有する構成である。なお、発光ユニットを2つ有する構成を2段タンデム構造と、発光ユニットを3つ有する構成を3段タンデム構造と、それぞれ呼称してもよい。
【0286】
また、図23(A)に示すように、複数の発光ユニット(発光ユニット763a、発光ユニット763b、および発光ユニット763c)が電荷発生層785を介して、それぞれ直列に接続された構成である。また、発光ユニット763aは、層780aと、発光層771と、層790aと、を有し、発光ユニット763bは、層780bと、発光層772と、層790bと、を有し、発光ユニット763cは、層780cと、発光層773と、層790cと、を有する。
【0287】
なお、図23(A)に示す構成においては、発光層771、発光層772、および発光層773は、それぞれ同じ色の光を発する発光物質を有すると好ましい。具体的には、発光層771、発光層772、および発光層773が、それぞれ赤色(R)の発光物質を有する構成(いわゆるR\R\Rの3段タンデム構造)、発光層771、発光層772、および発光層773が、それぞれ緑色(G)の発光物質を有する構成(いわゆるG\G\Gの3段タンデム構造)、または発光層771、発光層772、および発光層773が、それぞれ青色(B)の発光物質を有する構成(いわゆるB\B\Bの3段タンデム構造)とすることができる。
【0288】
なお、それぞれ同じ色の光を発する発光物質を有する構成としては、上記の構成に限定されない。例えば、図23(B)に示すように、複数の発光物質を有する発光ユニットを積層したタンデム型の発光デバイスとしてもよい。図23(B)は、複数の発光ユニット(発光ユニット763a、および発光ユニット763b)が電荷発生層785を介して、それぞれ直列に接続された構成である。また、発光ユニット763aは、層780aと、発光層771a、発光層771b、および発光層771cと、層790aと、を有し、発光ユニット763bは、層780bと、発光層772a、発光層772b、および発光層772cと、層790bと、を有する。
【0289】
図23(B)に示す構成においては、発光層771a、発光層771b、および発光層771cを、補色の関係となる発光物質を選択し白色発光(W)が可能な構成とする。また、発光層772a、発光層772b、および発光層772cを、補色の関係となる発光物質を選択し白色発光(W)が可能な構成とする。すなわち、図23(B)に示す構成においては、W\Wの2段タンデム構造である。なお、発光層771a、発光層771b、および発光層771cの補色の関係となる発光物質の積層順については、特に限定はない。実施者が適宜最適な積層順を選択することができる。また、図示しないが、W\W\Wの3段タンデム構造、または4段以上のタンデム構造としてもよい。
【0290】
また、タンデム構造の発光デバイスを用いる場合、黄色(Y)の光を発する発光ユニットと、青色(B)の光を発する発光ユニットとを有するB\Yの2段タンデム構造、赤色(R)と緑色(G)の光を発する発光ユニットと、青色(B)の光を発する発光ユニットとを有するR・G\Bの2段タンデム構造、青色(B)の光を発する発光ユニットと、黄色(Y)の光を発する発光ユニットと、青色(B)の光を発する発光ユニットとをこの順で有するB\Y\Bの3段タンデム構造、青色(B)の光を発する発光ユニットと、黄緑色(YG)の光を発する発光ユニットと、青色(B)の光を発する発光ユニットとをこの順で有するB\YG\Bの3段タンデム構造、青色(B)の光を発する発光ユニットと、緑色(G)の光を発する発光ユニットと、青色(B)の光を発する発光ユニットとをこの順で有するB\G\Bの3段タンデム構造などが挙げられる。
【0291】
また、図23(C)に示すように、1つの発光物質を有する発光ユニットと、複数の発光物質を有する発光ユニットと、を組み合わせてもよい。
【0292】
具体的には、図23(C)に示す構成においては、複数の発光ユニット(発光ユニット763a、発光ユニット763b、および発光ユニット763c)が電荷発生層785を介して、それぞれ直列に接続された構成である。また、発光ユニット763aは、層780aと、発光層771と、層790aと、を有し、発光ユニット763bは、層780bと、発光層772a、発光層772b、および発光層772cと、層790bと、を有し、発光ユニット763cは、層780cと、発光層773と、層790cと、を有する。
【0293】
例えば、図23(C)に示す構成において、発光ユニット763aが青色(B)の光を発する発光ユニットであり、発光ユニット763bが赤色(R)、緑色(G)、および黄緑色(YG)の光を発する発光ユニットであり、発光ユニット763cが青色(B)の光を発する発光ユニットである、B\R・G・YG\Bの3段タンデム構造などを適用することができる。
【0294】
例えば、発光ユニットの積層数と色の順番としては、陽極側から、B、Yの2段構造、Bと発光ユニットXとの2段構造、B、Y、Bの3段構造、B、X、Bの3段構造が挙げられ、発光ユニットXにおける発光層の積層数と色の順番としては、陽極側から、R、Yの2層構造、R、Gの2層構造、G、Rの2層構造、G、R、Gの3層構造、または、R、G、Rの3層構造などとすることができる。また、2つの発光層の間に他の層が設けられていてもよい。
【0295】
なお、図22(C)、図22(D)においても、図22(B)に示すように、層780と、層790とを、それぞれ独立に、2層以上の層からなる積層構造としてもよい。
【0296】
また、図22(E)および図22(F)において、発光ユニット763aは、層780a、発光層771、および、層790aを有し、発光ユニット763bは、層780b、発光層772、および、層790bを有する。
【0297】
下部電極761が陽極であり、上部電極762が陰極である場合、層780aおよび層780bは、それぞれ、正孔注入層、正孔輸送層、および、電子ブロック層のうち一つまたは複数を有する。また、層790aおよび層790bは、それぞれ、電子注入層、電子輸送層、および、正孔ブロック層のうち一つまたは複数を有する。下部電極761が陰極であり、上部電極762が陽極である場合、層780aと層790aは互いに上記と逆の構成になり、層780bと層790bも互いに上記と逆の構成になる。
【0298】
下部電極761が陽極であり、上部電極762が陰極である場合、例えば、層780aは、正孔注入層と、正孔注入層上の正孔輸送層と、を有し、さらに、正孔輸送層上の電子ブロック層を有していてもよい。また、層790aは、電子輸送層を有し、さらに、発光層771と電子輸送層との間の正孔ブロック層を有していてもよい。また、層780bは、正孔輸送層を有し、さらに、正孔輸送層上の電子ブロック層を有していてもよい。また、層790bは、電子輸送層と、電子輸送層上の電子注入層と、を有し、さらに、発光層772と電子輸送層との間の正孔ブロック層を有していてもよい。下部電極761が陰極であり、上部電極762が陽極である場合、例えば、層780aは、電子注入層と、電子注入層上の電子輸送層と、を有し、さらに、電子輸送層上の正孔ブロック層を有していてもよい。また、層790aは、正孔輸送層を有し、さらに、発光層771と正孔輸送層との間の電子ブロック層を有していてもよい。また、層780bは、電子輸送層を有し、さらに、電子輸送層上の正孔ブロック層を有していてもよい。また、層790bは、正孔輸送層と、正孔輸送層上の正孔注入層と、を有し、さらに、発光層772と正孔輸送層との間の電子ブロック層を有していてもよい。
【0299】
また、タンデム構造の発光デバイスを作製する場合、2つの発光ユニットは、電荷発生層785を介して積層される。電荷発生層785は、少なくとも電荷発生領域を有する。電荷発生層785は、一対の電極間に電圧を印加したときに、2つの発光ユニットの一方に電子を注入し、他方に正孔を注入する機能を有する。
【0300】
次に、発光デバイスに用いることができる材料について説明する。
【0301】
下部電極761と上部電極762のうち、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。また、表示パネルが赤外光を発する発光デバイスを有する場合には、光を取り出す側の電極には、可視光および赤外光を透過する導電膜を用い、光を取り出さない側の電極には、可視光および赤外光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0302】
また、光を取り出さない側の電極にも可視光を透過する導電膜を用いてもよい。この場合、反射層と、EL層763との間に当該電極を配置することが好ましい。つまり、EL層763の発光は、当該反射層によって反射されて、表示パネルから取り出されてもよい。
【0303】
発光デバイスの一対の電極を形成する材料としては、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを適宜用いることができる。当該材料としては、具体的には、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、インジウム、スズ、モリブデン、タンタル、タングステン、パラジウム、金、白金、銀、イットリウム、ネオジムなどの金属、およびこれらを適宜組み合わせて含む合金が挙げられる。また、当該材料としては、インジウムスズ酸化物(In-Sn酸化物、ITOともいう)、In-Si-Sn酸化物(ITSOともいう)、インジウム亜鉛酸化物(In-Zn酸化物)、およびIn-W-Zn酸化物などを挙げることができる。また、当該材料としては、アルミニウム、ニッケル、およびランタンの合金(Al-Ni-La)等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)、および、銀とパラジウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、APCとも記す)が挙げられる。その他、当該材料としては、上記例示のない元素周期表の第1族または第2族に属する元素(例えば、リチウム、セシウム、カルシウム、ストロンチウム)、ユウロピウム、イッテルビウムなどの希土類金属およびこれらを適宜組み合わせて含む合金、グラフェン等が挙げられる。
【0304】
発光デバイスには、微小共振器(マイクロキャビティ)構造が適用されていることが好ましい。したがって、発光デバイスが有する一対の電極の一方は、可視光に対する透過性および反射性を有する電極(半透過・半反射電極)であることが好ましく、他方は、可視光に対する反射性を有する電極(反射電極)であることが好ましい。発光デバイスがマイクロキャビティ構造を有することで、発光層から得られる発光を両電極間で共振させ、発光デバイスから射出される光を強めることができる。
【0305】
なお、半透過・半反射電極は、反射電極として用いることができる導電層と、可視光に対する透過性を有する電極(透明電極ともいう)として用いることができる導電層と、の積層構造とすることができる。
【0306】
透明電極の光の透過率は、40%以上とする。例えば、発光デバイスの透明電極には、可視光(波長400nm以上750nm未満の光)の透過率が40%以上である電極を用いることが好ましい。半透過・半反射電極の可視光の反射率は、10%以上95%以下、好ましくは30%以上80%以下とする。反射電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、これらの電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。
【0307】
発光デバイスは少なくとも発光層を有する。また、発光デバイスは、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子ブロック材料、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性および正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。例えば、発光デバイスは、発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電荷発生層、電子ブロック層、電子輸送層、および電子注入層のうち1層以上を有する構成とすることができる。
【0308】
発光デバイスには低分子化合物および高分子化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。発光デバイスを構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0309】
発光層は、1種または複数種の発光物質を有する。発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、または赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いる。また、発光物質として、近赤外光を発する物質を用いることもできる。
【0310】
発光物質としては、蛍光材料、燐光材料、TADF材料、および量子ドット材料などが挙げられる。
【0311】
蛍光材料としては、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、およびナフタレン誘導体などが挙げられる。
【0312】
燐光材料としては、例えば、4H-トリアゾール骨格、1H-トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、ピリミジン骨格、ピラジン骨格、またはピリジン骨格を有する有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、白金錯体、および希土類金属錯体等が挙げられる。
【0313】
発光層は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料等)を有していてもよい。1種または複数種の有機化合物としては、正孔輸送性の高い物質(正孔輸送性材料)および電子輸送性の高い物質(電子輸送性材料)の一方または双方を用いることができる。正孔輸送性材料としては、後述の、正孔輸送層に用いることができる正孔輸送性の高い材料を用いることができる。電子輸送性材料としては、後述の、電子輸送層に用いることができる電子輸送性の高い材料を用いることができる。また、1種または複数種の有機化合物として、バイポーラ性材料、またはTADF材料を用いてもよい。
【0314】
発光層は、例えば、燐光材料と、励起錯体を形成しやすい組み合わせである正孔輸送性材料および電子輸送性材料と、を有することが好ましい。このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質(燐光材料)へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を効率よく得ることができる。発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光を得ることができる。この構成により、発光デバイスの高効率、低電圧駆動、長寿命を同時に実現できる。
【0315】
正孔注入層は、陽極から正孔輸送層に正孔を注入する層であり、正孔注入性の高い材料を含む層である。正孔注入性の高い材料としては、芳香族アミン化合物、および、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とを含む複合材料などが挙げられる。
【0316】
正孔輸送性材料としては、後述の、正孔輸送層に用いることができる正孔輸送性の高い材料を用いることができる。
【0317】
アクセプター性材料としては、例えば、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を用いることができる。具体的には、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化タングステン、酸化マンガン、および、酸化レニウムが挙げられる。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。また、フッ素を含む有機アクセプター性材料を用いることもできる。また、キノジメタン誘導体、クロラニル誘導体、および、ヘキサアザトリフェニレン誘導体などの有機アクセプター性材料を用いることもできる。
【0318】
例えば、正孔注入性の高い材料として、正孔輸送性材料と、上述の元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物(代表的には酸化モリブデン)とを含む材料を用いてもよい。
【0319】
正孔輸送層は、正孔注入層によって、陽極から注入された正孔を発光層に輸送する層である。正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む層である。正孔輸送性材料としては、1×10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。正孔輸送性材料としては、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体など)、芳香族アミン(芳香族アミン骨格を有する化合物)等の正孔輸送性の高い材料が好ましい。
【0320】
電子ブロック層は、発光層に接して設けられる。電子ブロック層は、正孔輸送性を有し、かつ、電子をブロックすることが可能な材料を含む層である。電子ブロック層には、上記正孔輸送性材料のうち、電子ブロック性を有する材料を用いることができる。
【0321】
電子ブロック層は、正孔輸送性を有するため、正孔輸送層と呼ぶこともできる。また、正孔輸送層のうち、電子ブロック性を有する層を、電子ブロック層と呼ぶこともできる。
【0322】
電子輸送層は、電子注入層によって、陰極から注入された電子を発光層に輸送する層である。電子輸送層は、電子輸送性材料を含む層である。電子輸送性材料としては、1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。電子輸送性材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体等の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン配位子を有するキノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、その他含窒素複素芳香族化合物を含むπ電子不足型複素芳香族化合物等の電子輸送性の高い材料を用いることができる。
【0323】
正孔ブロック層は、発光層に接して設けられる。正孔ブロック層は、電子輸送性を有し、かつ、正孔をブロックすることが可能な材料を含む層である。正孔ブロック層には、上記電子輸送性材料のうち、正孔ブロック性を有する材料を用いることができる。
【0324】
正孔ブロック層は、電子輸送性を有するため、電子輸送層と呼ぶこともできる。また、電子輸送層のうち、正孔ブロック性を有する層を、正孔ブロック層と呼ぶこともできる。
【0325】
電子注入層は、陰極から電子輸送層に電子を注入する層であり、電子注入性の高い材料を含む層である。電子注入性の高い材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。電子注入性の高い材料としては、電子輸送性材料とドナー性材料(電子供与性材料)とを含む複合材料を用いることもできる。
【0326】
また、電子注入性の高い材料のLUMO準位は、陰極に用いる材料の仕事関数の値との差が小さい(具体的には0.5eV以下である)ことが好ましい。
【0327】
電子注入層には、例えば、リチウム、セシウム、イッテルビウム、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF、Xは任意数)、8-(キノリノラト)リチウム(略称:Liq)、2-(2-ピリジル)フェノラトリチウム(略称:LiPP)、2-(2-ピリジル)-3-ピリジノラトリチウム(略称:LiPPy)、4-フェニル-2-(2-ピリジル)フェノラトリチウム(略称:LiPPP)、リチウム酸化物(LiO)、炭酸セシウム等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはこれらの化合物を用いることができる。また、電子注入層は、2以上の積層構造としてもよい。当該積層構造としては、例えば、1層目にフッ化リチウムを用い、2層目にイッテルビウムを設ける構成が挙げられる。
【0328】
電子注入層は、電子輸送性材料を有していてもよい。例えば、非共有電子対を備え、電子不足型複素芳香環を有する化合物を、電子輸送性材料に用いることができる。具体的には、ピリジン環、ジアジン環(ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環)、トリアジン環の少なくとも1つを有する化合物を用いることができる。
【0329】
なお、非共有電子対を備える有機化合物の最低空軌道(LUMO:Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位は、-3.6eV以上-2.3eV以下であると好ましい。また、一般にCV(サイクリックボルタンメトリ)、光電子分光法、光吸収分光法、逆光電子分光法等により、有機化合物の最高被占有軌道(HOMO:Highest Occupied Molecular Orbital)準位およびLUMO準位を見積もることができる。
【0330】
例えば、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:BPhen)、2,9-ジ(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBPhen)、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(9-フェニル-1,10-フェナントロリン)(略称:mPPhen2P)、ジキノキサリノ[2,3-a:2’,3’-c]フェナジン(略称:HATNA)、2,4,6-トリス[3’-(ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル]-1,3,5-トリアジン(略称:TmPPPyTz)等を、非共有電子対を備える有機化合物に用いることができる。なお、NBPhenはBPhenと比較して、高いガラス転移点(Tg)を備え、耐熱性に優れる。
【0331】
電荷発生層は、上述の通り、少なくとも電荷発生領域を有する。電荷発生領域は、アクセプター性材料を含むことが好ましく、例えば、上述の正孔注入層に適用可能な、正孔輸送性材料とアクセプター性材料とを含むことが好ましい。
【0332】
また、電荷発生層は、電子注入性の高い材料を含む層を有することが好ましい。当該層は、電子注入バッファ層と呼ぶこともできる。電子注入バッファ層は、電荷発生領域と電子輸送層との間に設けられることが好ましい。電子注入バッファ層を設けることで、電荷発生領域と電子輸送層との間の注入障壁を緩和することができるため、電荷発生領域で生じた電子を電子輸送層に容易に注入することができる。
【0333】
電子注入バッファ層は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むことが好ましく、例えば、アルカリ金属の化合物またはアルカリ土類金属の化合物を含む構成とすることができる。具体的には、電子注入バッファ層は、アルカリ金属と酸素とを含む無機化合物、または、アルカリ土類金属と酸素とを含む無機化合物を有することが好ましく、リチウムと酸素とを含む無機化合物(酸化リチウム(LiO)など)を有することがより好ましい。その他、電子注入バッファ層には、上述の電子注入層に適用可能な材料を好適に用いることができる。
【0334】
電荷発生層は、電子輸送性の高い材料を含む層を有することが好ましい。当該層は、電子リレー層と呼ぶこともできる。電子リレー層は、電荷発生領域と電子注入バッファ層との間に設けられることが好ましい。電荷発生層が電子注入バッファ層を有さない場合、電子リレー層は、電荷発生領域と電子輸送層との間に設けられることが好ましい。電子リレー層は、電荷発生領域と電子注入バッファ層(または電子輸送層)との相互作用を防いで、電子をスムーズに受け渡す機能を有する。
【0335】
電子リレー層としては、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)などのフタロシアニン系の材料、または、金属-酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0336】
なお、上述の電荷発生領域、電子注入バッファ層、および電子リレー層は、断面形状、または特性などによって明確に区別できない場合がある。
【0337】
なお、電荷発生層は、アクセプター性材料の代わりに、ドナー性材料を有していてもよい。例えば、電荷発生層としては、上述の電子注入層に適用可能な、電子輸送性材料とドナー性材料とを含む層を有していてもよい。
【0338】
発光ユニットを積層する際、2つの発光ユニットの間に電荷発生層を設けることで、駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0339】
本実施の形態で例示した構成例、およびそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせることができる。
【0340】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0341】
10 眼
21 迷光
30 表示装置
31 表示パネル
32 直線偏光板
33 位相差板
35 表示ユニット
40 光学機器
41a 基板
41b 反射面
41 ハーフミラー
42a 基板
42b 光学変換層
42c 基板
42 レンズ
43 位相差板
44 反射偏光板
45 レンズ
46 凸レンズ
60 筐体
61 バンド
70 画素
71 副画素
74 画素アレイ
75 回路
76 回路
81 層
82 層
83 層
100a 表示パネル
100b 表示パネル
100W 発光デバイス
100 表示パネル
101 基板
110a 発光デバイス
110B 発光デバイス
110b 発光デバイス
110c 発光デバイス
110G 発光デバイス
110R 発光デバイス
110 発光デバイス
111B 画素電極
111C 接続電極
111G 画素電極
111R 画素電極
111 画素電極
112B 有機層
112G 有機層
112R 有機層
112W 有機層
112 有機層
113 共通電極
114 共通層
115B 導電層
115G 導電層
115R 導電層
115 光学調整層
116B 着色層
116G 着色層
116R 着色層
121 保護層
122 絶縁層
123 絶縁層
124a 画素
124b 画素
125 絶縁層
126 樹脂層
128 層
140 接続部
150 画素
170 基板
171 接着層
200A 表示パネル
200B 表示パネル
200C 表示パネル
200D 表示パネル
200E 表示パネル
200F 表示パネル
200G 表示パネル
240 容量
241 導電層
243 絶縁層
245 導電層
251 導電層
252 導電層
254 絶縁層
255a 絶縁層
255b 絶縁層
255c 絶縁層
256 プラグ
261 絶縁層
262 絶縁層
263 絶縁層
264 絶縁層
265 絶縁層
271 プラグ
274a 導電層
274b 導電層
274 プラグ
280 表示モジュール
281 表示部
282 回路部
283a 画素回路
283 画素回路部
284a 画素
284 画素部
285 端子部
286 配線部
290 FPC
291 基板
292 基板
301A 基板
301B 基板
301 基板
310A トランジスタ
310B トランジスタ
310 トランジスタ
311 導電層
312 低抵抗領域
313 絶縁層
314 絶縁層
315 素子分離層
320A トランジスタ
320B トランジスタ
320 トランジスタ
321 半導体層
323 絶縁層
324 導電層
325 導電層
326 絶縁層
327 導電層
328 絶縁層
329 絶縁層
331 基板
332 絶縁層
335 絶縁層
336 絶縁層
341 導電層
342 導電層
343 プラグ
344 絶縁層
345 絶縁層
346 絶縁層
347 バンプ
348 接着層
761 下部電極
762 上部電極
763a 発光ユニット
763b 発光ユニット
763c 発光ユニット
763 EL層
764 層
771a 発光層
771b 発光層
771c 発光層
771 発光層
772a 発光層
772b 発光層
772c 発光層
772 発光層
773 発光層
780a 層
780b 層
780c 層
780 層
781 層
782 層
785 電荷発生層
790a 層
790b 層
790c 層
790 層
791 層
792 層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23