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特開2023-138471デジタル会話の感情分析により、イベントが発生する可能性を判定する機械学習方法
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  • 特開-デジタル会話の感情分析により、イベントが発生する可能性を判定する機械学習方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138471
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】デジタル会話の感情分析により、イベントが発生する可能性を判定する機械学習方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20230922BHJP
【FI】
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023041988
(22)【出願日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】202211014184
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】17/739,296
(32)【優先日】2022-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】514114725
【氏名又は名称】トレジャー データ,インク.
【氏名又は名称原語表記】TREASURE DATA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】トーマス キュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤスユキ コバヤシ
(72)【発明者】
【氏名】アスカ イシイ
(72)【発明者】
【氏名】コルボーン サティラクル
(72)【発明者】
【氏名】タニソーン オーン ピティポングサ
(72)【発明者】
【氏名】ビール ビクラム シンチャウハン
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】デジタル会話の感情分析により、イベントが発生する可能性を予測する方法、記憶媒体及びサーバシステムを提供する。
【解決手段】コンピュータ実施方法は、トレーニング済み学習機械にアクセスするステップと、機械学習モデルを使用して文字起こしを評価して、固有ドメインにおいて第1の当事者に関連する第1の感情スコアを出力するステップと、第1の当事者の、第2の当事者に関連付けられたデジタルアセットとのエンゲージメントを表すデジタルエンゲージメントデータにアクセスするステップと、1つ以上の感情スコア値及びデジタルエンゲージメントデータを評価して、第1の当事者が特定のアクションを起こす可能性を表す値を出力するステップと、値が閾値を上回るかどうかを判定し、上回る場合には、第2の当事者に関連付けられたコンピュータ装置に通知を自動的に送信するステップと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーニング済み機械学習モデルにアクセスするステップであって、前記機械学習モデルは固有ドメインに固有のドメインデータに対してトレーニングされており、前記機械学習モデルは、文字起こしデータを入力として受け入れ、前記文字起こしのうちの第1の当事者に関連する1つ以上の部分の感情成分を予測又は分類し、感情スコアを出力するようにトレーニングされており、前記感情スコアは前記第1の当事者がアクションを起こす可能性を表す、前記トレーニング済み機械学習モデルにアクセスする前記ステップと、
第1のコンピュータと第2のコンピュータとの間にプログラム接続を確立するステップと、
前記第2のコンピュータにおいて、前記プログラム接続を使用して前記第1のコンピュータから、前記第1の当事者と第2の当事者との間の会話の自然言語文字起こしを受信するステップと、
前記機械学習モデルを使用して前記文字起こしを評価して、前記固有ドメインにおいて前記第1の当事者に関連する第1の感情スコアを出力するステップと、
前記第1の当事者の、前記第2の当事者に関連付けられたデジタルアセットとのエンゲージメントを表すデジタルエンゲージメントデータにアクセスするステップと、
前記1つ以上の感情スコア値及び前記デジタルエンゲージメントデータを評価して、前記第1の当事者が特定のアクションを起こす可能性を表す値を出力するステップと、
前記値が閾値を上回るかどうかを判定し、上回る場合には、前記第2の当事者に関連付けられたコンピュータ装置に通知を自動的に送信するステップと、
を含むコンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記値が前記閾値を上回る場合に前記第2のコンピュータに注文を自動的に提出するステップであって、前記注文は、前記イベントに関連付けられた製品を前記第1の当事者に出荷することを指定する、前記注文を自動的に提出する前記ステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のコンピュータにおいて前記第1のコンピュータから、第1の当事者と第2の当事者との間の第2の会話の第2の自然言語文字起こしを受信するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記機械学習モデルを使用して、前記第2の自然言語文字起こしを評価して、前記第2の当事者に関連付けられたドメインにおいて前記第1の当事者に関連する第2の感情スコアを出力するステップと、
前記値を前記第2の感情スコアで自動的に更新するステップと、
前記値が前記閾値を上回るかどうかを判定し、上回る場合には、前記第2の当事者に関連付けられたコンピュータ装置に通知を自動的に送信するステップと、
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
データベースから前記ドメインデータを選択し、前記第1の当事者及び前記第2の当事者に関する情報に基づいて機械学習タイプを選択し、前記選択した機械学習タイプを前記ドメインデータでトレーニングして前記機械学習モデルをビルドすることによって、前記機械学習モデルをビルドするステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ドメインデータは、少なくとも、前記第2の当事者に関連する分野、前記第1の当事者の地理的位置、及び前記第2の当事者の地理的位置に基づいて選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ドメインデータは、それぞれが関連のフラグを有する単語及びフレーズを含み、前記フラグは、前記単語及びフレーズの感情データ又は分類を示す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記感情データ又は分類は、悲しみ、怒り、侮り、嫌悪、驚き、恐れ、及び同意性を含むカテゴリに関連する情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記自然言語文字起こしから、前記第2の当事者が話していることを表す部分に関連するデータが排除されるように、前記自然言語文字起こしをフィルタリングするステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の当事者は医療従事者であり、前記イベントは、前記第1の当事者が特定の医薬品組成物の処方箋を書くことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記記憶媒体はプログラム命令の1つ以上のシーケンスを記憶しており、プログラム命令の前記1つ以上のシーケンスは、1つ以上のプロセッサで実行されると、
トレーニング済み機械学習モデルにアクセスするステップであって、前記機械学習モデルは固有ドメインに固有のドメインデータに対してトレーニングされており、前記機械学習モデルは、文字起こしデータを入力として受け入れ、前記文字起こしのうちの第1の当事者に関連する1つ以上の部分の感情成分を予測又は分類し、感情スコアを出力するようにトレーニングされており、前記感情スコアは前記第1の当事者がアクションを起こす可能性を表す、前記トレーニング済み機械学習モデルにアクセスする前記ステップと、
第1のコンピュータと第2のコンピュータとの間にプログラム接続を確立するステップと、
前記第2のコンピュータにおいて、前記プログラム接続を使用して前記第1のコンピュータから、前記第1の当事者と第2の当事者との間の会話の自然言語文字起こしを受信するステップと、
前記機械学習モデルを使用して前記文字起こしを評価して、前記固有ドメインにおいて前記第1の当事者に関連する第1の感情スコアを出力するステップと、
前記第1の当事者の、前記第2の当事者に関連付けられたデジタルアセットとのエンゲージメントを表すデジタルエンゲージメントデータにアクセスするステップと、
前記1つ以上の感情スコア値及び前記デジタルエンゲージメントデータを評価して、前記第1の当事者が特定のアクションを起こす可能性を表す値を出力するステップと、
前記値が閾値を上回るかどうかを判定し、上回る場合には、前記第2の当事者に関連付けられたコンピュータ装置に通知を自動的に送信するステップと、
を前記1つ以上のプロセッサに実行させる、
前記記憶媒体。
【請求項12】
前記1つ以上のプロセッサで実行されると、前記値が前記閾値を上回る場合に前記第2のコンピュータに注文を自動的に提出するステップであって、前記注文は、前記アクションに関連付けられた製品を前記第1の当事者に出荷するように構成されている、前記注文を自動的に提出する前記ステップを前記1つ以上のプロセッサに実行させる、プログラム命令のシーケンスを更に含む、請求項11に記載の記憶媒体。
【請求項13】
前記1つ以上のプロセッサで実行されると、前記第2のコンピュータにおいて前記第1のコンピュータから、第1の当事者と第2の当事者との間の第2の会話の第2の自然言語文字起こしを受信するステップを前記1つ以上のプロセッサに実行させる、プログラム命令のシーケンスを更に含む、請求項11に記載の記憶媒体。
【請求項14】
前記1つ以上のプロセッサで実行されると、
前記機械学習モデルを使用して、前記第2の自然言語文字起こしを評価して、前記第2の当事者に関連付けられたドメインにおいて前記第1の当事者に関連する第2の感情スコアを出力するステップと、
前記値を前記第2の感情スコアで自動的に更新するステップと、
前記値が前記閾値を上回るかどうかを判定し、上回る場合には、前記第2の当事者に関連付けられたコンピュータ装置に通知を自動的に送信するステップと、
を前記1つ以上のプロセッサに実行させる、プログラム命令のシーケンスを更に含む、請求項13に記載の記憶媒体。
【請求項15】
前記1つ以上のプロセッサで実行されると、データベースから前記ドメインデータを選択し、前記第1の当事者及び前記第2の当事者に関する情報に基づいて機械学習タイプを選択し、前記選択した機械学習タイプを前記ドメインデータでトレーニングして前記機械学習モデルをビルドすることによって、前記機械学習モデルをビルドするステップを前記1つ以上のプロセッサに実行させる、プログラム命令のシーケンスを更に含む、請求項11に記載の記憶媒体。
【請求項16】
前記ドメインデータは、少なくとも、前記第2の当事者に関連する分野、前記第1の当事者の地理的位置、及び前記第2の当事者の地理的位置に基づいて選択される、請求項15に記載の記憶媒体。
【請求項17】
前記機械学習モデルは、前記第1の当事者及び前記第2の当事者に特化したドメインに固有である、請求項11に記載の記憶媒体。
【請求項18】
前記感情データ又は分類は、悲しみ、怒り、侮り、嫌悪、驚き、恐れ、及び同意性を含むカテゴリに関連する情報を含む、請求項11に記載の記憶媒体。
【請求項19】
前記アクションは、前記第1の当事者が前記第2の当事者の特定製品を購入又は処方することを含む、請求項11に記載の記憶媒体。
【請求項20】
企業のサーバシステムであって、
ネットワークインタフェースと、
前記ネットワークインタフェースと結合された1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサと結合された1つ以上のメモリ装置であって、前記企業の顧客に関する情報、前記企業の潜在顧客に関する情報、及び前記企業のドメインに関する情報を記憶するように構成されたデータベースを含む前記1つ以上のメモリ装置と、
を含む、前記サーバシステムであって、
前記1つ以上のメモリ装置は更に、プログラム命令の1つ以上のシーケンスを記憶するように構成されており、プログラム命令の前記1つ以上のシーケンスは、1つ以上のプロセッサで実行されると、
トレーニング済み機械学習モデルにアクセスするステップであって、前記機械学習モデルは固有ドメインに固有のドメインデータに対してトレーニングされており、前記機械学習モデルは、文字起こしデータを入力として受け入れ、前記文字起こしのうちの第1の当事者に関連する1つ以上の部分の感情成分を予測又は分類し、感情スコアを出力するようにトレーニングされており、前記感情スコアは前記第1の当事者がアクションを起こす可能性を表す、前記トレーニング済み機械学習モデルにアクセスする前記ステップと、
第1のコンピュータと第2のコンピュータとの間にプログラム接続を確立するステップと、
前記第2のコンピュータにおいて、前記プログラム接続を使用して前記第1のコンピュータから、前記第1の当事者と第2の当事者との間の会話の自然言語文字起こしを受信するステップと、
前記機械学習モデルを使用して前記文字起こしを評価して、前記固有ドメインにおいて前記第1の当事者に関連する第1の感情スコアを出力するステップと、
前記第1の当事者の、前記第2の当事者に関連付けられたデジタルアセットとのエンゲージメントを表すデジタルエンゲージメントデータにアクセスするステップと、
前記1つ以上の感情スコア値及び前記デジタルエンゲージメントデータを評価して、前記第1の当事者が特定のアクションを起こす可能性を表す値を出力するステップと、
前記値が閾値を上回るかどうかを判定し、上回る場合には、前記第2の当事者に関連付けられたコンピュータ装置に通知を自動的に送信するステップと、
を前記1つ以上のプロセッサに実行させる、
前記サーバシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、あらゆる目的の為に参照により完全な形で本明細書に説明されているかのように全内容が本明細書に組み込まれている、2022年3月16日に出願されたインド特許出願第202211014184号、件名「デジタル会話の感情分析により、イベントが発生する可能性を判定する機械学習方法(Machine Learning Methods to Determine a Likelihood for an Event to Occur through Sentiment Analysis of Digital Conversations)」(代理人整理番号089496.0188)の、米国特許法第119条に基づく利益を主張するものである。
著作権表示
【0002】
本特許文書の開示の一部は、著作権保護の対象となる内容を含む。著作権所有者は、特許商標庁の特許ファイル又は記録に現れる限り、特許文書又は特許開示の何人によるファクシミリ複製にも異議を唱えないが、それ以外では、全ての著作権を留保する。(c)2021-2022 Treasure Data, Inc.
【0003】
本開示の一技術分野は、会話の文字起こしの機械分析を含む自然言語処理である。別の技術分野は、デジタル会話の感情分析により、イベントが発生する可能性を予測する分類器を含む機械学習である。
【背景技術】
【0004】
本セクションに記載のアプローチは、追求可能なアプローチではあるが、必ずしもこれまで考案又は追求されてきたアプローチではない。従って、特に断らない限り、本セクションに記載のアプローチはいずれも、本セクションに含まれることのみで従来技術とされるものであると見なすべきではない。
【0005】
企業は、顧客データ及び潜在顧客データに関する大規模データベースを有する。幾つかの分野では、企業は、顧客及び潜在顧客の地理的分布、顧客及び潜在顧客のそれぞれに関連付けられたルール及び規制、その企業の特定製品を使用する顧客又は潜在顧客の習性、並びにその企業の担当者と顧客又は潜在顧客との間のインタラクションの記録に関連する複雑なデータを有するであろう。インタラクションの例として、会話の文字起こしや電子メールのやりとりの記録があってよい。このデータは全て、データベースによって整理された表に格納されてよく、或いは企業のサーバが作成したオブジェクトの中に格納されてよい。しかしながら、データの規模の為に、企業は企業運営の効率を最大化する為に製品のサプライチェーンを効率的に決定することができない。
【0006】
そこで、このデータを更新しながら検査して、イベントが発生する可能性があるかどうかを判定することの自動化された方法が必要とされる。例えば、企業の代理人が、一日の間に複数の顧客又は潜在顧客と複数の面談を行う場合がある。これらのインタラクションの記録を、企業が分類して予測的に対応するのは不可能であろう。そこで、企業及び企業のサプライチェーンの運営を改善する為に、これらの記録を分析してイベントを予測し、それに応じて対応することの自動化された方法が必要とされる。
【0007】
製薬業界ではある特定の課題が発生している。この業界では、製薬会社の営業チームと医療従事者との面談が、ZOOMやMICROSOFT TEAMSのようなビデオプラットフォーム上でのほぼデジタルのオンライン面談に移行している。例えば、製薬業界の長期的傾向として、過去10年の間に、営業チームと医療従事者(HCP)が実際に対面する面談の時間は短くなっており、面談の頻度も減っている。更に、そのような面談は、パンデミック状況等のストレス条件下では更に短くなっており、COVID-19パンデミックの間にそのような面談の平均時間は8~14分まで短くなっている。同時に、デジタル面談の後の、医薬品組成物の処方に対する影響は予測できなくなっており、多くの場合、実際の対面での面談に比べて低下しており、或いは効果が薄れている。従って、製薬分野においては、デジタル面談のアーチファクト(文字起こし等)を分析し、デジタル面談のアーチファクトの感情の分析に基づいて、処方行動の予測、又はデジタル面談においてどのような変化が必要かの決定を行うことにより、処方行動を変化させる方法を見つけることが切実に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の技術における課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付の特許請求項は、本発明の概要としての役割を果たす。
【0010】
図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態を実施できる分散コンピュータシステムの使用状況及び主要機能要素を示す。
図2図1のシステムを、一実施態様の探究的データ分析命令及びデータベーステーブルに注目して示す。
図3】探究的データ分析に有用なデータベーステーブル用メタデータを生成するコンピュータ実施プロセス又はアルゴリズムの一例を示す。
図4】一実施形態を実施できるコンピュータシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の記述では、本発明が十分に理解されるように、説明を目的として様々な具体的詳細を明記する。しかしながら、当然のこととして、本発明は、これらの具体的詳細がなくても実施可能である。又、例えば、よく知られている構造や装置についてはブロック図形式で示しているが、これは本発明が不必要に曖昧になるのを防ぐ為である。
【0013】
本開示の文章は、図面との組み合わせで、本特許請求発明を実施するようにコンピュータをプログラムするのに必要なアルゴリズムを散文形式で詳しく述べることを意図しており、本開示と関係がある技術分野の当業者同士が、プログラムされる機能、入力、変換、出力等のプログラミングの各側面に関して行うやりとりと同程度の詳しさで述べることを意図している。即ち、本開示での説明の詳しさは、当業者同士が通常行うやりとりにおいて、本明細書で特許請求される発明を実施する為の、プログラムされるアルゴリズムやプログラムの構造及び機能を表現する際の詳しさと同程度である。
【0014】
この後の各セクションでは、以下の項目に従って実施形態を説明する。
1.全体の概要
2.構造及び機能の概要
2.1 分散システムアーキテクチャの例
2.2 記録データに基づいてイベントの可能性を判定する方法の例
2.3 利点及び改善点
3.実施例-ハードウェア概要
【0015】
1.全体の概要
【0016】
実施形態は、データサイエンティスト、データエンジニア、及び機械言語チームのメンバが、生の文字起こしデータを感情スコアに変換し、更にこの感情スコアを他のエンゲージメントデータとともに使用して、アクション又はイベントの可能性を予測すること、及びアクションすることを可能にできる。具体的な用途の1つは、医療従事者が、医薬品組成物を製造及び/又は販売する製薬会社の担当者とデジタル面談を実施した後に医薬品組成物を処方する際の傾向を推測することである。実施形態は、テキストを分析して感情又は心の動きを推測することによる、デジタル面談の面談文字起こしデータの機械分析に基づいて、医療従事者(HCP)の感情スコアを推測するようにプログラムされることが可能である。幾つかの実施形態では、心の動き又は感情は、普遍的感情のエクマン分類(Ekman Taxonomy of Universal Emotions)において定義されている人間の6つの生来の感情(悲しみ、怒り、侮り、嫌悪、驚き、及び恐れ)、並びに同意のような更なる状態に従って分類される。幾つかの実施形態では、感情スコアは、否定的(例えば、不幸、或いはアクションを起こしそうにない)から肯定的(例えば、幸福、或いはアクションを起こしそうである)までの(それらに対応する-1から1までのスケールの)スペクトラムにおける面談感情の全体的な状態を表すものであってよい。HCPのデジタル広告、ウェブサイト、又は他のコンピュータベースの通信に関連する追加デジタルエンゲージメントデータを感情スコアと結び付けることにより、各デジタル面談後にHCPが医薬品組成物を処方する際の傾向、及び/又はその傾向が強まりつつあるか弱まりつつあるかを機械学習モデルを介して予測することが可能である。幾つかの実施形態では、追加エンゲージメントデータは、以前の面談からのデータ又はデジタルアーチファクト(例えば、文字起こし)を含んでよく、これらは、感情スコアに対して相対的に分析される且つ/又は感情スコアと比較される。これは、各当事者の全体的な感情を理解する為である。幾つかの実施形態では、機械学習モデルの出力は、(例えば、対面の面談をセットアップする)アクションを起こす営業チームに対して次の最良の推奨案を分類、予測、又は出力することが可能である。
【0017】
一実施形態では、一コンピュータ実施方法が、トレーニング済み機械学習モデルにアクセスするステップであって、機械学習モデルは固有ドメインに固有のドメインデータに対してトレーニングされており、機械学習モデルは、文字起こしデータを入力として受け入れ、文字起こしのうちの第1の当事者に関連する1つ以上の部分の感情成分を予測又は分類し、感情スコアを出力するようにトレーニングされており、感情スコアは第1の当事者がアクションを起こす可能性を表す、トレーニング済み機械学習モデルにアクセスするステップと、第1のコンピュータと第2のコンピュータとの間にプログラム接続を確立するステップと、第2のコンピュータにおいて、プログラム接続を使用して第1のコンピュータから、第1の当事者と第2の当事者との間の会話の自然言語文字起こしを受信するステップと、機械学習モデルを使用して文字起こしを評価して、固有ドメインにおいて第1の当事者に関連する第1の感情スコアを出力するステップと、第1の当事者の、第2の当事者に関連付けられたデジタルアセットとのエンゲージメントを表すデジタルエンゲージメントデータにアクセスするステップと、1つ以上の感情スコア値及びデジタルエンゲージメントデータを評価して、第1の当事者が特定のアクションを起こす可能性を表す値を出力するステップと、値が閾値を上回るかどうかを判定し、上回る場合には、第2の当事者に関連付けられたコンピュータ装置に通知を自動的に送信するステップと、を含む。
【0018】
幾つかの実施形態では、本方法は又、値が閾値を上回る場合に第2のコンピュータに注文を自動的に提出するステップであって、注文は、そのアクション又はイベントに関連付けられた製品を第1の当事者に出荷することを指定する、注文を自動的に提出するステップを含む。本方法は又、第2のコンピュータにおいて第1のコンピュータから、第1の当事者と第2の当事者との間の第2の会話の第2の自然言語文字起こしを受信するステップを含む。
【0019】
一実施形態では、本方法は又、機械学習モデルを使用して、第2の自然言語文字起こしを評価して、第2の当事者に関連付けられたドメインにおいて第1の当事者に関連する第2の感情スコアを出力するステップと、値を第2の感情スコアで自動的に更新するステップと、値が閾値を上回るかどうかを判定し、上回る場合には、第2の当事者に関連付けられたコンピュータ装置に通知を自動的に送信するステップと、を含む。代替又は追加として、本方法は、データベースからドメインデータを選択し、第1の当事者及び第2の当事者に関する情報に基づいて機械学習タイプを選択し、選択した機械学習タイプをドメインデータでトレーニングして機械学習モデルをビルドすることによって、トレーニング済み機械学習モデルをビルドするステップを含んでよい。
【0020】
幾つかの実施形態では、ドメインデータは、少なくとも、第2の当事者に関連する分野、第1の当事者の地理的位置、及び第2の当事者の地理的位置に基づいて選択される。代替又は追加として、ドメインデータは、それぞれが関連のフラグを有する単語及びフレーズを含んでよく、フラグは、それらの単語及びフレーズの感情データ又は分類を示す。様々な実施形態では、感情データ又は分類は、悲しみ、怒り、侮り、嫌悪、驚き、恐れ、及び同意性を含むカテゴリに関連する情報を含む。
【0021】
更に、本方法は、自然言語文字起こしから、第2の当事者が話していることを表す部分に関連するデータが排除されるように、自然言語文字起こしをフィルタリングするステップを含んでよい。代替又は追加として、第1の当事者は医療従事者であってよく、アクションは、第1の当事者が特定の医薬品組成物の処方箋を書くことを含む。
【0022】
別の実施形態では、1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体がプログラム命令の1つ以上のシーケンスを記憶しており、このプログラム命令の1つ以上のシーケンスは、1つ以上のプロセッサで実行されると、トレーニング済み機械学習モデルにアクセスするステップであって、機械学習モデルは固有ドメインに固有のドメインデータに対してトレーニングされており、機械学習モデルは、文字起こしデータを入力として受け入れ、文字起こしのうちの第1の当事者に関連する1つ以上の部分の感情成分を予測又は分類し、感情スコアを出力するようにトレーニングされており、感情スコアは第1の当事者がアクションを起こす可能性を表す、トレーニング済み機械学習モデルにアクセスするステップと、第1のコンピュータと第2のコンピュータとの間にプログラム接続を確立するステップと、第2のコンピュータにおいて、プログラム接続を使用して第1のコンピュータから、第1の当事者と第2の当事者との間の会話の自然言語文字起こしを受信するステップと、機械学習モデルを使用して文字起こしを評価して、固有ドメインにおいて第1の当事者に関連する第1の感情スコアを出力するステップと、第1の当事者の、第2の当事者に関連付けられたデジタルアセットとのエンゲージメントを表すデジタルエンゲージメントデータにアクセスするステップと、1つ以上の感情スコア値及びデジタルエンゲージメントデータを評価して、第1の当事者が特定のアクションを起こす可能性を表す値を出力するステップと、値が閾値を上回るかどうかを判定し、上回る場合には、第2の当事者に関連付けられたコンピュータ装置に通知を自動的に送信するステップと、をその1つ以上のプロセッサに実行させる。
【0023】
幾つかの実施形態では、記憶媒体は又、その1つ以上のプロセッサで実行されると、値が閾値を上回る場合に第2のコンピュータに注文を自動的に提出するステップであって、注文は、そのアクション又はイベントに関連付けられた製品を第1の当事者に出荷するように構成されている、注文を自動的に提出するステップをその1つ以上のプロセッサに実行させる、プログラム命令のシーケンスを含んでよい。
【0024】
幾つかの実施形態では、記憶媒体は又、その1つ以上のプロセッサで実行されると、第2のコンピュータにおいて第1のコンピュータから、第1の当事者と第2の当事者との間の第2の会話の第2の自然言語文字起こしを受信するステップ、又は機械学習モデルを使用して、第2の自然言語文字起こしを評価して、第2の当事者に関連付けられたドメインにおいて第1の当事者に関連する第2の感情スコアを出力するステップと、値を第2の感情スコアで自動的に更新するステップと、値が閾値を上回るかどうかを判定し、上回る場合には、第2の当事者に関連付けられたコンピュータ装置に通知を自動的に送信するステップと、をその1つ以上のプロセッサに実行させる、プログラム命令のシーケンスを含んでよい。
【0025】
幾つかの実施形態では、記憶媒体は又、その1つ以上のプロセッサで実行されると、データベースからドメインデータを選択し、第1の当事者及び第2の当事者に関する情報に基づいて機械学習タイプを選択し、選択した機械学習タイプをドメインデータでトレーニングして機械学習モデルをビルドすることによって、機械学習モデルをビルドするステップをその1つ以上のプロセッサに実行させる、プログラム命令のシーケンスを含んでよい。一実施形態では、ドメインデータは、少なくとも、第2の当事者に関連する分野、第1の当事者の地理的位置、及び第2の当事者の地理的位置に基づいて選択される。代替又は追加として、機械学習モデルは、第1の当事者及び第2の当事者に特化したドメインに固有であってよく、感情データ又は分類は、悲しみ、怒り、侮り、嫌悪、驚き、恐れ、及び同意性を含むカテゴリに関連する情報を含んでよい。様々な実施形態では、アクションは、第1の当事者が第2の当事者の特定製品を購入又は処方することを含む。
【0026】
別の実施形態では、企業のサーバシステムは、ネットワークインタフェースと、ネットワークインタフェースと結合された1つ以上のプロセッサと、その1つ以上のプロセッサと結合された1つ以上のメモリ装置であって、企業の顧客に関する情報、企業の潜在顧客に関する情報、及び企業のドメインに関する情報を記憶するように構成されたデータベースを含む1つ以上のメモリ装置と、を含んでよい。1つ以上のメモリ装置は更に、1つ以上のプロセッサで実行されると、トレーニング済み機械学習モデルにアクセスするステップであって、機械学習モデルは固有ドメインに固有のドメインデータに対してトレーニングされており、機械学習モデルは、文字起こしデータを入力として受け入れ、文字起こしのうちの第1の当事者に関連する1つ以上の部分の感情成分を予測又は分類し、感情スコアを出力するようにトレーニングされており、感情スコアは第1の当事者がアクションを起こす可能性を表す、トレーニング済み機械学習モデルにアクセスするステップと、第1のコンピュータと第2のコンピュータとの間にプログラム接続を確立するステップと、第2のコンピュータにおいて、プログラム接続を使用して第1のコンピュータから、第1の当事者と第2の当事者との間の会話の自然言語文字起こしを受信するステップと、機械学習モデルを使用して文字起こしを評価して、固有ドメインにおいて第1の当事者に関連する第1の感情スコアを出力するステップと、第1の当事者の、第2の当事者に関連付けられたデジタルアセットとのエンゲージメントを表すデジタルエンゲージメントデータにアクセスするステップと、1つ以上の感情スコア値及びデジタルエンゲージメントデータを評価して、第1の当事者が特定のアクションを起こす可能性を表す値を出力するステップと、値が閾値を上回るかどうかを判定し、上回る場合には、第2の当事者に関連付けられたコンピュータ装置に通知を自動的に送信するステップと、をその1つ以上のプロセッサに実行させる、プログラム命令の1つ以上のシーケンスを記憶するように構成されている。
【0027】
上述の実施形態、特徴、及び態様は本開示の対象の例であり、他の実施形態、特徴、及び態様も本開示の他のセクションから明らかになるであろう。
【0028】
2.構造及び機能の概要
【0029】
2.1 分散システムアーキテクチャの例
【0030】
図1は、一実施形態を実施できる分散コンピュータシステムを示しており、その使用状況及び主要機能要素を示している。
【0031】
一実施形態では、コンピュータシステム100は、1つ以上のコンピューティング装置にあるハードウェア(例えば、本明細書に記載の機能を実施する為に、1つ以上のメモリに記憶された蓄積プログラム命令を実行する1つ以上のハードウェアプロセッサ)によって少なくとも一部分が実装されているコンポーネントを含む。言い換えると、本明細書に記載の全ての機能は、様々な実施形態において専用コンピュータ又は汎用コンピュータでのプログラミングにより実施される動作を示すものとする。図1は、本明細書に記載のプログラミングを実行するように構成された多数の可能なコンポーネント構成の1つを示しているに過ぎない。他の構成ではより少ないコンポーネントや異なるコンポーネントが含まれることがあり、コンポーネント間の仕事の切り分けは構成に応じて変わりうる。
【0032】
図1、及び他の図面、並びに本開示における説明及び特許請求項の全ては、専用分散コンピュータシステム設計による、特別にプログラムされたコンピュータが、以前には利用可能でなかった機能を実行して、機械学習モデルの開発、妥当性検査、及びデプロイメントの問題に対してコンピュータ技術の実用的な適用例を提供する技術的システム及び技術的方法を提示し、開示し、特許請求することを意図したものである。このように、本開示は、技術的問題に対する技術的ソリューションを提示するものであり、特許の適格性に対するあらゆる判例法上の除外事項(例えば、抽象的なアイデア、精神的プロセス、人間の活動を組織化する方法、又は数学的アルゴリズム)を本開示又は特許請求項が包含するといういかなる解釈も本開示に裏付けがなく、間違っている。
【0033】
一実施形態では、複数のユーザコンピュータ102a、102b、管理者コンピュータ105、遠隔会議コンピューティングシステム109、及びネットワーク130が企業コンピューティングシステム106に通信可能に結合されている。ユーザコンピュータ102a、102b、及び管理者コンピュータ105のそれぞれは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、又は他のコンピューティング装置のいずれかであり、これらは直接結合されてよく、又は1つ以上のネットワークリンクを介して間接的に結合されてよい。ユーザコンピュータ102は、遠隔会議コンピューティングシステム109及び/又は企業コンピューティングシステム106から提供されたプログラムとインタラクションして、本明細書に記載のように自然言語文字起こしデータ及び他のエンゲージメントデータを生成するエンドユーザに関連付けられてよい。管理者コンピュータ105は、企業コンピュータシステム106の構成、運営、又は管理を担当する他のエンドユーザに関連付けられてよい。
【0034】
一実施形態では、ネットワーク130は、有線又は無線、地上又は衛星のいずれかのデータリンクを使用する1つ以上のローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、又はインターネットワークであってよい。一実施形態では、企業コンピューティングシステム106及び遠隔会議コンピューティングシステム109は、ネットワーク接続されたコンピュータを含み、それらのコンピュータは、呼び出し又は命令により、本明細書の他のセクションに記載のようにユーザコンピュータ102a、102b、又は他のエンティティとの通信をディスパッチすることが可能である。
【0035】
企業コンピューティングシステム106は、記録分析エンジン160、プロファイル管理命令161、ネットワークインタフェース162、顧客データベース163、潜在顧客データベース164、及び/又はエンゲージメントデータデータベース165を含む。企業コンピューティングシステム106の市販例として、トレジャーデータ,インク(Treasure Data, Inc.)及びトレジャーデータ株式会社(Treasure Data K.K.)のTREASURE DATAカスタマデータプラットフォーム(CDP)がある。ネットワークインタフェース162は、企業コンピューティングシステム106及び関連コンポーネントがネットワーク経由で他の装置と通信することを可能にするように構成された装置である。例えば、ネットワークインタフェース162は、企業コンピューティングシステム106に関して記載のエンジン、命令、及びデータベースと結合されており、企業コンピューティングシステムをネットワーク130に通信可能に結合する。機能的には、ネットワークインタフェース162は、企業コンピューティングシステム106を他のシステム(例えば、遠隔会議コンピューティングシステム109)と統合する手段を提供する。
【0036】
記録分析エンジン160は、本明細書に記載の動作及びステップを遂行する為に実行される、機能単位、パッケージ、及び要素として編成された実行可能蓄積命令のシーケンスを含む。一実施形態では、記録分析エンジン160は、機械学習モデル170、記録分析命令171、ビルド命令173、及び/又はドメインデータ172を含む。
【0037】
機械学習モデル170は、例えば、ビルド命令173を使用してビルドされたトレーニング済み機械学習モデルであってよく、自然言語テキストに関連する感情データを生成する為に企業コンピューティングシステム170からアクセス可能である。例えば、機械学習モデル170は、ワールドワイドウェブ上の「readthedocs.io」ドメインの「flare」サブドメインにこれがかかれた時に記述されたFLARE、又はPYTHON(登録商標)環境と統合されたspaCy自然言語処理ライブラリであってよい。FLAREは、日本語の文字起こしとの使用に好適である。又は機械学習モデルは、トランスフォーマベースの機械学習モデル(例えば、BERT、RoBERTaモデル、又はClinicalBERTモデル)のいずれかであってよい。更に、機械学習モデル170は、企業に固有であってよく、企業と特定の顧客、エンティティ、又は他の当事者に固有であってよく、或いは、企業の特定製品、及び/又は特定当事者に固有であってよい。
【0038】
幾つかの実施形態では、機械学習モデル170は、製品、企業、及び/又は特定当事者に特化されたドメインデータ172でトレーニングされているという理由で固有である。例えば、医療又は製薬の異なる分野ごとに特化された科学用語、医学用語、又は技術用語がトレーニングデータセット内で表現されて、機械学習モデル170がトレーニングされてよい。ウィキペディアや他の一般的な公開ソース等からの一般的なデータは、ドメインに特化されたトレーニングデータ(特に当該ドメインでの会話を表すデータ)ほど有効ではないことが実験で示されている。トレーニングデータセットは、同じドメイン又は様々なドメインでのラベル付けされた会話を含んでよく、文字起こし以外から取得された、CDPからのデータを使用してよい。更に、十分なトレーニングデータセットがあれば、1つの機械学習モデル170が、普遍的感情のエクマン分類において定義されている人間の6つの生来の感情、並びに同意性のような更なる状態を全て考慮に入れた確度の高い予測を出力することが可能である。実施形態では、エクマン分類の使用は必須ではなく、前回の面談の感情と比較しての感情の変化を、-1~+1の実数スケールを使用して否定的から肯定的までのトレンドとして分類するだけでよい。幾つかの実施形態では、機械学習モデル170は、1つ以上の機械学習モデルを含んでよい。例えば、機械学習モデル170は、トレーニング済み機械学習モデル及び機械学習分類器を含んでよい。1つ以上の機械学習
【0039】
記録分析命令171は、実行されると、記録分析エンジン160が自然言語文字起こしを分析して、機械学習モデル170が評価できる文字起こしデータを生成することを可能にする命令である。例えば、記録分析命令171は、文字起こしの中の各人物及び/又は関連する当事者を識別してよい。幾つかの実施形態では、記録分析命令171は、文字起こしの一部をフィルタで除去することが可能であり、これは、例えば、文字起こしのうちの、企業又は他の選択された当事者の代理人に関連付けられた部分を除外することによって行われる。幾つかの実施形態では、記録分析命令171は、文字起こしデータを正確に評価する為に使用すべき特定の機械学習モデル170を決定してよい又はメモリから選択してよい。例えば、記録分析命令171は、文字起こしに現れたユーザを識別し、文字起こしに現れたそれらのユーザのそれぞれに関連付けられた当事者、組織、又は企業を識別し、それらの当事者、組織、企業、又は特定ユーザに固有のトレーニング済み機械学習モデル170を、あらかじめビルドされて記憶された機械学習モデルのリストから選択してよい。幾つかの実施形態では、例えば、記録分析命令171が特定の文字起こしに適するトレーニング済み機械学習モデル170を識別することができない場合、記録分析命令171は、適切な機械学習モデル170をビルドする為に、ビルドされるべきモデルを外部コンピューティング装置に要求してよく、又はビルド命令173を実行させてよい。
【0040】
ビルド命令173は、1つ以上のプロセッサで実行されると、特定の機械学習モデル170を企業コンピューティングシステム106にビルドさせる命令を含む。ビルド命令173は、特定タイプの機械学習モデルを識別及び選択し、その特定の機械学習モデルの為のドメインデータ172を識別及び選択し(これは、文字起こしデータ、及び/又は文字起こし内の当事者又は組織に基づいてよい)、選択したドメインデータ172を使用して、選択した機械学習モデルをトレーニングする命令を含む。例えば、ビルド命令173は、文字起こしデータ、文字起こしデータに関連付けられた第1の当事者、文字起こしデータに関連付けられた第2の当事者、及び/又は第1及び第2の当事者の両方に基づいてここで指定される中から機械学習モデルのタイプを識別及び選択してよい。幾つかの実施形態では、ビルド命令173は、第1及び/又は第2の当事者向けの機械学習モデルの最良タイプを示すルックアップテーブルを参照して、機械学習モデルのリストから機械学習モデルのタイプを選択する。ビルド命令173は、文字起こし、文字起こしの言語、第1の当事者の識別情報、第1の当事者の地理的位置、第2の当事者の識別情報、第2の当事者の地理的位置、及び/又は文字起こしに現れた特定のユーザ又は人物の識別情報に基づいて、ドメインデータ173を識別してよい。例えば、ビルド命令173は、1つ以上の所定のルールに従って、文字起こし内の情報を識別し、ルックアップテーブルを使用して、識別された情報に固有の機械学習モデル170をトレーニング又はビルドすることに使用されるデータ要素をドメインデータ173から選択してよい。識別可能な情報の例として、言語、当事者、当事者の位置がある。幾つかの実施形態では、ビルド命令173は、モデルを微調整又はトレーニングしてトレーニング済みモデルをビルドする。例えば、ビルド命令173は、モデルがデプロイされつつある用途に特有のドメインデータ172を選択することによってモデルを微調整することが可能である。幾つかの実施形態では、用途は医療製薬環境であってよく、そこでは、製薬販売会社と医療従事者との間の会話の理解から得られる固有の特徴(例えば、単語、フレーズ等)が、選択されたドメインデータを含み、機械学習モデルの微調整又はトレーニングに使用され、それによって、モデルがデプロイされつつある用途に関して正確さ及び効率にフォーカスされた固有のモデルが得られる。幾つかの実施形態では、機械学習モデルは、多様なモダリティに関してトレーニングされた機械学習モデル173としてビルドされて記憶されてよい。例えば、機械学習モデルは、チャットボット、リアルタイム音声認識、文字起こしデータ等の様々なデジタル会話モダリティに対する特定用途向けトレーニングによりトレーニング又は微調整されてよい。
【0041】
ドメインデータ172は、複数の変数及び関連付けられたフラグを含むリポジトリである。幾つかの実施形態では、ドメインデータ172はデータテーブルとして構造化されてよい。複数の変数は、それぞれが単語又はフレーズ及び1つ以上の関連付けられたスコアを含んでよい。1つ以上の関連付けられたスコアは、感情データ又は分類データの各カテゴリに固有であってよい。例えば、ドメインデータ172は、「I like that」というフレーズを含む文字列として記憶された第1の変数を含んでよく、このフレーズは、幸福スコア、悲しみスコア、同意性スコア、又は他の任意の、該当すると判定された感情データのカテゴリに関連付けられてよい。幾つかの実施形態では、ドメインデータ172の各変数は、特定のビルドに対して該当するドメインデータ172を選択する為にビルド命令が使用できる特定の言語、特定の当事者、特定の地理的位置、その他に関連付けられてよく、又はそれに属するものとして示されてよい。幾つかの実施形態では、ドメインデータ172は、管理者によって作成又はアップロードされる。幾つかの実施形態では、ドメインデータ172は、帰納的学習機械モデルを使用して作成又は更新される。
【0042】
顧客データベース163及び潜在顧客データベース164は、それぞれ、顧客及び潜在顧客のリストに関する情報を収容するデータリポジトリである。例えば、データベースは、顧客又は潜在顧客をそれらに関連する情報と関連付ける表構造又はオブジェクト構造の情報を格納してよい。例えば、幾つかの実施形態では、情報は、地理的位置、職員又は代理人のリスト、言語、物理的位置のリスト、過去の購入を含む、企業との履歴、及び/又は顧客及び潜在顧客のそれぞれに過去に送付されたサンプルを含んでよい。
【0043】
エンゲージメントデータデータベース165は、特定の当事者と企業のデジタルアセットとのインタラクションの履歴に関する情報を含むデータリポジトリである。特定の当事者は、顧客又は潜在顧客であってよい。例えば、エンゲージメントデータは文書記録を含んでよく、それらは、例えば、各当事者からの又は各当事者への電子メール、面談におけるユーザ、アカウント、又は当事者を明記したカレンダ記録、特定の当事者のコンピューティングシステムと企業コンピューティングシステムとの間のインタラクションに関する情報、特定の当事者からのユーザが企業に関連付けられたウェブサイトに滞在した時間の長さに関する情報、特定の当事者が情報をリクエストした回数、及び提供された情報のタイプ、その他である。エンゲージメントデータは、企業が、顧客又は潜在顧客に関連付けられた1人以上のユーザと、ウェブサイト、ウェビナー、及び電子メールリスト等のデジタルアセットとのエンゲージメントに基づいて、各顧客又は各潜在顧客に関する情報を更新することを可能にする。幾つかの実施形態では、エンゲージメントデータデータベース165は、様々なデジタル会話モダリティに関してフラグが付けられたエンゲージメントデータを含んでよい。例えば、データベース中の幾つかのオブジェクトは、特定のコンテキスト及び(例えば)チャットボックスモダリティに固有の短縮語又はスラングに固有であってよい。
【0044】
プロファイル管理命令161は、1つ以上のプロセッサで実行されると、企業、顧客、及び/又は潜在顧客に関連付けられたプロファイルを企業コンピューティングシステム106に管理させる命令を含む。例えば、プロファイル管理命令161は、企業のデジタルアセットとのインタラクションに基づいてエンゲージメントデータを受信又は識別し、このエンゲージメントデータを特定の顧客又は潜在顧客に関連付け、これらに基づいて、エンゲージメントデータデータベース165、顧客データベース163、又は潜在顧客データベース164を更新することが可能である。幾つかの実施形態では、プロファイル管理命令161は、電子メール等の記録を受信し、その記録を特定の当事者に関連付け、その記録を含むようにエンゲージメントデータデータベース165を自動的に更新することが可能である。
【0045】
遠隔会議コンピューティングシステム109は遠隔会議エンジン190を含み、遠隔会議エンジン190は、遠隔会議コンピューティングシステム109の1つ以上のプロセッサで実行されると、遠隔会議コンピューティングシステム109がユーザコンピューティング装置102aの第1のユーザコンピューティング装置をユーザコンピューティング装置102bの第2のユーザコンピューティング装置に通信可能に結合することを可能にする機械可読命令を含む。例えば、遠隔会議エンジン190は、第1のユーザコンピューティング装置をネットワーク130経由で第2のユーザコンピューティング装置に接続することが可能である。幾つかの実施形態では、第1のユーザコンピューティング装置102aは、第1のユーザコンピューティング装置上の第1のユーザが第2のユーザコンピューティング装置上の第2のユーザと仮想的に会議を行うことを可能にするウェブアプリケーション、モバイルアプリケーション、又は他のタイプのコンピュータアプリケーションページを表示してよい。幾つかの実施形態では、遠隔会議エンジン190は、複数のコンピューティング装置及びユーザが仮想チャットルームに参加することを可能にするように構成されている。遠隔会議コンピュータシステム109の例として、商用サービスZOOM、MICROSOFT TEAMS、BLUEJEANS、GOOGLE MEET、及び機能的に同等であるシステムをサポートするコンピュータがある。
【0046】
幾つかの実施形態では、遠隔会議コンピューティングシステム109は、仮想会議におけるユーザ間の会話を自然言語文字起こしにする文字起こしエンジン191を含む。例えば、文字起こしエンジン191は、会議のうちの、各ユーザに関連付けられた部分を識別することが可能であり、この識別は、各ユーザコンピューティング装置102a、102bから来るノイズデータを監視し、(遠隔会議にアクセスする為に使用された資格情報に基づいて)ノイズデータを各ユーザコンピューティング装置102a、102b、従ってユーザに関連付け、ノイズを自然言語テキストに変換する為にノイズに対して機械学習アルゴリズムを実施することによって行われる。文字起こしエンジン191は、仮想遠隔会議の記録を作成することが可能であり、これは、特定の仮想会議の自然言語文字起こし(又はその一部)を文字起こしデータベース192に格納することによって行われる。幾つかの実施形態では、仮想会議ごとに文字起こし193が作成されて、文字起こしデータベース192に格納される。文字起こし193は、仮想会議からのノイズデータを遠隔会議コンピューティングシステム109が受信した時点でリアルタイムで作成されてよく、又は、後処理ステップにおいて仮想会議の音声記録データを文字起こしエンジン191にフィードすることによって作成されてよい。
【0047】
上述の内容は、一実施形態での企業コンピューティングシステム106の動作の一般化された大まかな説明である。企業コンピューティングシステム106の可能な全ての動作及び使用法について完全に説明することは本開示の範囲を超えるものであり、本開示の焦点を曖昧にするであろう。
【0048】
2.2 記録データに基づいてイベントの可能性を判定する方法の例
【0049】
図2は、記録データに基づいてイベントの可能性を判定するコンピュータ実施プロセス又はアルゴリズムの一例を示す。図2及び本明細書における他の各フロー図は、本開示と関係がある技術分野の当業者同士がプログラミングによりアルゴリズムを記述及び実装する際に行うやりとりの機能レベルで例示するものとする。一実施形態では、イベントは、第1の当事者又は第1の当事者の代理人が特定のアクションを起こすことである。幾つかの実施形態では、特定のアクションは、企業の製品、又は第1の当事者がその製品を使用又は処方する傾向に関連付けられてよい。幾つかの実施形態では、その製品は医薬製品である。
【0050】
フロー図は、動作するプログラムの全ての態様をプログラムするのに必要となるであろう全ての命令、方法オブジェクト、又はサブステップを示すことを意図したものではなく、動作するプログラムを開発することのベースを伝達する為に、当該技術分野における高い技術レベルで通常使用されるのと同等の機能レベルの例示において提供される。
【0051】
図2の例では、コンピュータ実施プロセス200がブロック201から実行を開始し、ブロック201ではトレーニング済み機械学習モデルにアクセスされる。当然のことながら、図2の説明は文字起こし及び文字起こしデータに関して行うが、代替実施形態では、別の、デジタル会話のアーチファクト又はモダリティが実施されてもよい。例えば、企業コンピューティングシステム106等の第2のコンピュータが、特定の文字起こしがその一部であるドメインに固有のトレーニング済み機械学習モデルを選択するようにプログラムされてよい。幾つかの実施形態では、選択されたトレーニング済み機械学習モデルは、企業及び/又は企業の顧客又は潜在顧客に関連付けられたドメインに固有である。トレーニング済み機械学習モデルは、第1の当事者及び第2の当事者に関する情報を含む文字起こしデータを入力として受け入れ、文字起こしのうちの一当事者に関連する1つ以上の部分の感情成分を予測又は分類し、感情スコアを出力するようにトレーニングされており、感情スコアは第1の当事者が特定のアクションを起こす可能性を表す。幾つかの実施形態では、トレーニング済み機械学習モデルは、複数のトレーニング済み機械学習モデルを含むデータベースから選択される。幾つかの実施形態では、トレーニング済み機械学習モデルは、第1の当事者及び第2の当事者、又はそれらの代理人の識別情報に基づいて選択される。幾つかの実施形態では、トレーニング済み機械学習モデルは、例えば、図3に関して説明されるようにビルドされてよい。
【0052】
ブロック202で、第1のコンピュータと第2のコンピュータとの間のプログラム接続が確立される。例えば、ブロック202は、遠隔会議コンピュータシステム109と企業コンピューティングシステム106との間の接続を確立するようにプログラムされてよい。幾つかの実施形態では、プロセス接続は、ネットワークを介して行われ、例えば、アプリケーションプロトコルインタフェース(API)、特定用途向けプロトコル、又はパラメータ化HTTP呼び出しを使用して行われる。企業コンピューティングシステム106が遠隔会議コンピュータシステム109にデータを電子的にリクエストして受け取る手段を有する限り、プログラム接続の具体的な手段はクリティカルではない。
【0053】
ブロック203で、第2のコンピュータが第1の当事者と第2の当事者との間の自然言語文字起こしを検索又は受信する。例えば、第2のコンピュータは、企業の1人以上の代理人と別の企業の1人以上の代理人との間の自然言語文字起こしを検索又は受信する。文字起こしは、例えば、HCPの1人以上の担当者と、医薬品組成物の製造会社又は販売会社の1人以上の担当者との間の視聴覚呼び出し又は遠隔会議呼び出しのデジタル記憶された電子文字起こしであってよい。文字起こしは、遠隔会議コンピューティングシステム109によって、音声テキスト化技術を使用して自然に且つ自動的に作成され、電子デジタル形式で記憶されてよい。幾つかの実施形態では、第2のコンピュータは、特定のプログラム呼び出し関数を介して自然言語文字起こしをリクエストし、この関数は、リクエストされた文字起こしの識別情報、第1の当事者の識別情報、及び/又は第2の当事者の識別名を含む。幾つかの実施形態では、第2のコンピュータは、文字起こしを第1のコンピュータのデータベースから直接取り出してよい。幾つかの実施形態では、自然言語コンテキストは付加メタデータを含み、これは、例えば、文字起こしに現れるユーザのユーザ名又は識別情報、タイムスタンプ、仮想会議の継続時間等である。
【0054】
ブロック204で、トレーニング済み機械学習モデルは、文字起こしを評価して、第2の当事者に関連付けられたドメインにおいて第1の当事者に関連する第1の感情スコアを出力することに使用される。例えば、第2のコンピュータは、文字起こしを、離散的構造化データ要素、及び/又は文字起こしからのフィルタデータに変換してよい。一例では、第2のコンピュータは、第2の当事者又は特定のユーザに関連付けられた全ての文字起こしデータをフィルタで除去してよい。別の例では、第2のコンピュータは、文字起こしデータを解析して、その情報を、それぞれが第1の当事者又は第2の当事者に関連付けられていて、解析及び識別されたデータを含む構造化データ要素に分解してよい。
【0055】
文字起こしデータはトレーニング済み機械学習モデルを使用して評価され、トレーニング済み機械学習モデルは、予測又は分類された、文字起こしデータに関連付けられた感情成分に基づいて第1の感情スコアを出力する。例えば、予測又は分類された感情成分は、怒り、悲しみ、同意性、侮り、嫌悪、驚き、恐れ等の各感情カテゴリのスコアを含んでよい。トレーニング済み機械学習モデルは、(例えば、シングルショット検出(SSD)により)全ての文字起こしデータを評価し、第1の当事者が特定のアクションを実施する可能性を表す第1の感情スコアを自動的に出力してよい。例えば、幾つかの実施形態では、特定のアクションは、第2の当事者に関連付けられた特定製品の購入、第2の当事者が第2の当事者に関連付けられた特定製品を処方、配布、又は推奨する傾向、又は第2の当事者がその特定製品を推奨しない傾向であってよい。
【0056】
幾つかの実施形態では、トレーニング済み機械学習モデルは複数の感情スコアを出力してよい。例えば、医薬品組成物を処方するコンテキストでは、HCPは保守的になりがちなので、医薬品の製造会社又は販売会社が、HCPに処方箋記載アクションを変更してもらうだけの情報をHCPに提供するのに複数回の面談が必要になる場合がある。例えば、医療従事者は、患者の健康及び安全を重視することから新しい薬品に対して最初は保守的である場合がある。従って、懸念や疑問に応えるべく、科学的知見、現場の臨床データ、及び他の医療従事者の推薦又は成果等の情報の説明を重ねる為に複数回の面談が必要になることがある。複数の文字起こしに対応する複数の感情スコアが、所望の処方箋を書く傾向が時間とともに現れてくることを示す可能性がある。これらの実施形態では、ブロック204でのトレーニング済み機械学習モデルへの入力に、1つ以上の他の面談の1つ以上の他の文字起こしの評価後に出力されていた1つ以上の感情スコア値が含まれてよい。
【0057】
更に、幾つかの実施形態では、機械学習モデルの評価への入力として、CDPからの他のデータ点が使用されてよい。例えば、既にCDPにおいて計算されていて、同じエンティティ又は同じ医薬品組成物製造会社又は販売会社に当てはまる、あるアイテム又はサービスを購入する傾向を表す予測スコア値が評価段階での入力として追加されてよい。幾つかの実施形態では、文字起こしデータに表れている、面談が行われてからの時間の長さを表す「新近性(recency)」値が入力として使用されてよい。例えば、最近の文字起こしデータほど、モデルの評価において高い重みが付けられてよい。
【0058】
ブロック205で、第1の当事者の、第2の当事者のデジタルアセットとのエンゲージメントを表す他のデジタルエンゲージメントデータにアクセスされる。上述のように、エンゲージメントデータは、第1の当事者又は第1の当事者の代理人が第2の当事者のデジタルアセットとインタラクションするインタラクションに関する記録、統計、及び/又はメタデータを含む。デジタルアセットの例として、コンタクトセンター文字起こし、チャットデータ又はチャット文字起こし、ウェブサイト、ウェビナー、又は他の、会話がキャプチャされるオンラインツールがあってよい。エンゲージメントデータは、CDPの呼び出しによってプログラムで取得されてよい。エンゲージメントデータは、時間をかけて収集されてデータベースに格納されてよく、データベースではエンゲージメントデータ又は記録が第1の当事者に関連付けられる。第2のコンピュータは次に、第1の当事者の識別をデータベースにクエリすることによってデジタルエンゲージメントデータを選択してよい。幾つかの実施形態では、エンゲージメントデータのフィルタリング又は選択は、より多くの変数(例えば、文字起こしの特定ドメイン、文字起こしの特定言語等)に基づいて行われてよく、或いは、予測的に分析されている特定のアクションに基づいて行われてよい。
【0059】
ブロック206で、機械学習分類器を使用して、第1の感情スコア及びエンゲージメントデータが評価されて、第1の当事者が特定のアクションを起こす可能性を表す値が出力される。機械学習分類器は、例えば、第2のコンピュータが、エンゲージメントデータ及び第1の感情スコアを分析して値を出力する為に使用する。例えば、機械学習分類器は、データの各ピースを分析して、第1の当事者がアクションを起こす可能性を判定してよい。幾つかの実施形態では、機械学習分類器は「はい」又は「いいえ」の2値を出力してよい。幾つかの実施形態では、機械学習分類器は、感情スコアを分類するとともに、エンゲージメントデータを分類して値を生成してよい。
【0060】
決定ブロック207で、値は所定の閾値と比較される。値が所定の閾値を上回らない場合には、ブロック209で、値がデータベース内の第1の当事者のプロファイルに格納されてよい。値が所定の閾値を上回る場合には、ブロック208で、第2の当事者に関連付けられたユーザコンピューティング装置に通知が送信される。幾つかの実施形態では、所定の閾値は、管理者が手動で設定してよく、又は第2の当事者に関連付けられたルールに基づいて自動的に更新されてよい。例えば、閾値は、第2の当事者が在庫として有する、特定のアクションに関連付けられた製品の数、特定の製品の価格、利用可能なサンプルの数、その他に基づいて調節されてよい。通知は、プッシュ通知、アラーム、電子メール、テキストメッセージ等の形式であってよい。通知は、特定のアクションを起こす可能性がある職員に対して行われるように構成される。幾つかの実施形態では、値が閾値を上回る場合に、第2のコンピュータは第2のコンピュータに注文を自動的に提出してよく、注文は、そのイベントに関連付けられた製品を第1の当事者に出荷することを指定する。
【0061】
上述のように生成される傾向値、スコア値、又は他の、機械学習モデルの出力は、他の、何種類かの、幾つかの目的の為のシステムにおいて使用されてよく、且つ/又はそれらのシステムと統合されてよい。傾向値は、結果に関心があるエンティティの担当者(例えば、製薬会社の担当者)であるユーザに向けられているグラフィカルユーザインタフェースやダッシュボードに表示されてよい。傾向値は、他のアクションを促進する為に使用されてよい。例えば、傾向値が高ければ、医薬品組成物を処方する可能性、又は他のアクションを起こす可能性が高いことになり、その場合には、サンプルアイテムの配送計画を変更したり、スケジュールを変更してサンプルアイテムの納品を早めたりするように、企業コンピューティングシステム106をプログラムしてよい。逆に、傾向値が低ければ、医薬品組成物を処方する可能性、又は他のアクションを起こす可能性が低いことになり、その場合には、サンプルアイテムの配送をキャンセルしたり、スケジュールをキャンセルしてサンプルアイテムの納品を遅らせたりするように、企業コンピューティングシステム106をプログラムしてよい。優先度又は順序付けの値も変更可能である。
【0062】
図3は、ドメインデータを使用して機械学習モデルをビルド又はトレーニングするコンピュータ実施プロセス又はアルゴリズムの一例を示す。図3の例では、コンピュータ実施プロセス300がブロック301から実行を開始し、ブロック301ではドメインが決定される。幾つかの実施形態では、ドメインは、分析される自然言語文字起こしに関連付けられた情報に基づいて選択されてよい。幾つかの実施形態では、ドメインは、文字起こしに現れた第1の当事者、第2の当事者、又は特定の人物の識別に基づいて決定されてよい。幾つかの実施形態では、ドメインは、分析される特定のアクションに基づいて決定されてよい。幾つかの実施形態では、ドメインは、当事者の地理的位置、文字起こしの言語に基づいて選択されてよく、或いは、文字起こしの議論に関連付けられた産業に基づいて選択されてよい。
【0063】
ブロック302で、決定されたドメインに基づいてドメインデータが選択される。例えば、ドメインデータの選択は、ドメインデータのデータベースにクエリして、決定されたドメインに固有の又は関連付けられた全てのデータ要素を選択することによって行われてよい。例えば、ドメインデータの選択は、産業(例えば、当事者又は文字起こしのいずれかに関連する産業)での一般用語に基づいて行われてよい。幾つかの実施形態では、ドメインデータの選択は、第1の当事者又は第1の当事者の代理人が使用する言語に基づいて行われてよい。様々な実施形態では、ドメインデータの選択は、選択されたデータが分析対象のドメイン及び/又は特定アクションに固有であるように複数の変数に基づいて行われてよい。ドメインデータは、単語、フレーズ、又は音声データを含み、変換データ及び関連フラグを含む情報を含んでよい。例えば、ドメインデータの各オブジェクトは、その情報に関連付けられた感情カテゴリ及び/又は感情スコアを示すフラグを含んでよい。
【0064】
ブロック303で、ドメイン及びドメインデータに基づいて機械学習モデル又はタイプが選択される。機械学習モデル又はタイプは、データベースに格納されている又はネットワーク経由でアクセス可能な、利用可能エンジンのリストから選択されてよい。幾つかの実施形態では、第2のコンピュータは、ドメイン及びドメインデータを分析し、最良の機械学習モデルエンジン又はタイプのルックアップテーブルを参照して、機械学習モデル又はタイプを選択する。幾つかの実施形態では、機械学習モデルの選択は、第1の当事者又は第2の当事者の識別に基づいて行われる。
【0065】
ブロック304で、ドメインデータ及び機械学習タイプを使用して固有の機械学習モデルがビルドされる。例えば、ドメインデータを使用して、固有のトレーニング済み機械学習モデルを出力する為の、選択された機械学習モデルのトレーニングが行われてよく、トレーニング済み機械学習モデルは、文字起こしデータを受け入れ、文字起こしのうちの第1の当事者に関連する1つ以上の部分の感情成分を予測又は分類し、感情スコアを出力することが可能である。例えば、ドメインデータのフラグは、特定の音声データ、単語、又はフレーズに関連付けられた感情状態又は感情分類を識別することと、ある範囲の1つ以上の感情スコアを出力する為に文字起こしデータの複数のデータ要素を集約する且つ/又は畳み込むことと、を行うように機械学習モデル又はタイプをトレーニングしてよい。幾つかの実施形態では、感情スコアは、感情が高い場合には「1」、感情が低い場合には「-1」、感情が中立の場合には「0」であってよい。
【0066】
2.3 利点及び改善点
【0067】
本開示の実施形態は、従来のアプローチに対する多くの利点及び改善点を提供する。本開示の手法は、カスタムスクリプト又は他の手動プログラミング手法に比べて高度にスケーラブルである。ワークフローの動作は、構成ファイルの様々なパラメータにより、パラメータ化及びカスタマイズが容易である。コンピュータシステムの実施形態は、企業が、別の企業又は人物が特定のアクションを起こす可能性を判定する為の固有モデルを作成又はビルドすることを可能にする。その可能性は、企業が、そのリソースをよりよく管理し、よりインテリジェントなサプライチェーンフローにより製品をよりよく仕向けることを可能にする。更に、本明細書に記載の実施形態は、大量の生データをスコアデータに変換し、更に、コンピューティングシステム及び管理者が新しいプロセスを実施する又はアクションを起こす為に使用可能なデータに変換する為に、企業が固有のトレーニング済みモデルを作成又はビルドすることを可能にすることによって、企業のコンピュータシステム及び技術環境を改善する。
【0068】
更に、過去の実践では、HCPが各デジタル面談後に医薬品組成物を処方する際の、且つ/又は起こすべき次の最良のアクションを決定する際の傾向を判定する為に、記憶や気分に基づく人間の直感又はヒューリスティクスが用いられてきた。本開示の実施形態を用いると、面談文字起こしデータに表れたエビデンス、並びにHCPのデジタルエンゲージメント挙動に基づくデータ駆動型感情スコアを、機械学習モデルを使用して評価することにより、特定のデジタル面談に関連する傾向(強まるか弱まるか)及び/又は起こされる次の最良のアクションをより客観的且つ正確に予測することが可能である。
【0069】
3.実施例-ハードウェア概要
【0070】
一実施形態によれば、本明細書に記載の技法は、少なくとも1つのコンピューティング装置で実施される。本技法は、全体又は一部が、パケットデータネットワーク等のネットワークで結合されている少なくとも1つのサーバコンピュータ及び/又は他のコンピュータ装置の組み合わせを使用して実施されてよい。コンピューティング装置は、本技法を実施するようにハードワイヤリングされていてよく、又は、本技法を実施するように永続的にプログラムされたデジタル電子デバイス、例えば、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含んでよく、或いは、ファームウェア、メモリ、他の記憶装置、又はこれらの組み合わせにあるプログラム命令に従って本技法を実施するようにプログラムされた少なくとも1つの汎用ハードウェアプロセッサを含んでよい。そのようなコンピューティング装置は又、本明細書に記載の技法を達成する為に、カスタムハードワイヤードロジック、ASIC、又はFPGAをカスタムプログラミングと組み合わせてもよい。コンピューティング装置は、本明細書に記載の技法、データセンタ内の1つ以上の仮想コンピューティングマシン又はインスタンス、及び/又は、サーバコンピュータ及び/又はパーソナルコンピュータのネットワークを実施する為に、サーバコンピュータ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータシステム、手持ち式デバイス、モバイルコンピューティングデバイス、ウェアラブルデバイス、体に装着される又は埋め込み可能なデバイス、スマートフォン、スマートアプライアンス、インターネットワーキングデバイス、自律型又は半自律型デバイス(例えば、ロボット又は無人地上車両又は無人航空機)、他の任意の、ハードワイヤードロジック及び/又はプログラムロジックを組み込んだ電子デバイスであってよい。
【0071】
図4は、一実施形態を実施できるコンピュータシステムを示す。図4の例では、本開示の技術をハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせの形で実施する為のコンピュータシステム800及び命令を概略的に表しており、例えば、箱と円を使用して、本開示と関係がある技術分野の当業者同士がコンピュータアーキテクチャ及びコンピュータシステムの実施態様についてやりとりする際に一般的に使用するのと同程度の詳しさで表している。
【0072】
コンピュータシステム800は入出力(I/O)サブシステム802を含み、これは、電子信号経路を介してコンピュータシステム800のコンポーネント間で情報及び/又は命令を伝達する為のバス及び/又は他の通信機構を含んでよい。I/Oサブシステム802は、I/Oコントローラ、メモリコントローラ、及び少なくとも1つのI/Oポートを含んでよい。電子信号経路は、図面では概略的に表されており、例えば、線、一方向矢印、又は二方向矢印で表されている。
【0073】
情報及び命令を処理する為に、少なくとも1つのハードウェアプロセッサ804がI/Oサブシステム802と結合されている。ハードウェアプロセッサ804は、例えば、汎用のマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ、及び/又は専用マイクロプロセッサを含んでよく、例えば、埋め込みシステム又はグラフィックス処理装置(GPU)又はデジタル信号プロセッサ又はARMプロセッサを含んでよい。プロセッサ804は、集積論理演算装置(ALU)を含んでよく、又は独立したALUと結合されてよい。
【0074】
コンピュータシステム800は、1つ以上のメモリユニット806(例えば、主メモリ)を含み、これは、プロセッサ804によって実行されるデータ及び1つ以上の命令シーケンスを電子的にデジタル記憶する為に、I/Oサブシステム802と結合されている。メモリ806は揮発性メモリを含んでよく、例えば、様々な形態のランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的記憶デバイスを含んでよい。メモリ806は又、プロセッサ804によって実行される命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を記憶する為に使用されてよい。そのような命令は、プロセッサ804からアクセス可能な非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されている場合には、コンピュータシステム800を、命令において指定される動作を実施するようにカスタマイズされた専用マシンにすることが可能である。
【0075】
コンピュータシステム800は更に、不揮発性メモリを含み、例えば、プロセッサ804向けの情報及び命令を記憶する為にI/Oサブシステム802に結合されている読み出し専用メモリ(ROM)808又は他の静的記憶デバイスを含む。ROM808は、様々な形態のプログラマブルROM(PROM)を含んでよく、例えば、消去可能PROM(EPROM)又は電気的消去可能PROM(EEPROM)を含んでよい。永続的記憶装置810は、様々な形態の不揮発性RAM(NVRAM)を含んでよく、例えば、フラッシュメモリ(即ち、固体記憶装置)、磁気ディスク、又は光ディスク(CD-ROM又はDVD-ROM等)を含んでよく、情報及び命令を記憶する為にI/Oサブシステム802と結合されてよい。記憶装置810は、プロセッサ804によって実行されると、本明細書に記載の技法を実行するコンピュータ実施方法が実施されるようにする1つ以上の命令シーケンス及びデータを記憶する為に使用されてよい1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体の一例である。
【0076】
メモリ806、ROM808、又は記憶装置810に記憶される命令は、モジュール、メソッド、オブジェクト、関数、ルーチン、又は呼び出しとして編成された1つ以上の命令セットを含んでよい。命令は、1つ以上のコンピュータプログラム、オペレーティングシステムサービス、又はアプリケーションプログラム(モバイルアプリケーションを含む)として編成されてよい。命令は、オペレーティングシステム及び/又はシステムソフトウェアと、マルチメディア、プログラミング、又は他の機能をサポートする1つ以上のライブラリと、TCP/IP、HTTP、又は他の通信プロトコルを実装するデータプロトコル命令又はスタックと、HTML、XML、JPEG、MPEG、又はPNGを使用してコーティングされたファイルを解析又は表現するファイルフォーマット処理命令と、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)、コマンドラインインタフェース、又はテキストユーザインタフェースに関するコマンドを表現又は解釈するユーザインタフェース命令と、アプリケーションソフトウェア(例えば、オフィススイート、インターネットアクセスアプリケーション、設計製造アプリケーション、グラフィックスアプリケーション、オーディオアプリケーション、ソフトウェアエンジニアリングアプリケーション、教育アプリケーション、ゲーム、又は種々雑多なアプリケーション)と、を含んでよい。命令は、ウェブサーバ、ウェブアプリケーションサーバ、又はウェブクライアントを実施してよい。命令は、プレゼンテーション層、アプリケーション層、又はデータストレージ層(例えば、SQLを使用する又はしないリレーショナルデータベースシステム、オブジェクトストア、グラフデータベース、フラットファイルシステム、又は他のデータ記憶)として編成されてよい。
【0077】
コンピュータシステム800は、I/Oサブシステム802を介して、少なくとも1つの出力装置812と結合されてよい。一実施形態では、出力装置812はデジタルコンピュータディスプレイである。様々な実施形態において使用可能なディスプレイの例として、タッチスクリーンディスプレイ又は発光ダイオード(LED)ディスプレイ又は液晶ディスプレイ(LCD)又は電子ペーパディスプレイがある。コンピュータシステム800は、ディスプレイ装置に対する代替又は追加として、他のタイプの出力装置812も含んでよい。他の出力装置812の例として、プリンタ、チケットプリンタ、プロッタ、プロジェクタ、サウンドカード又はビデオカード、スピーカ、ブザー又は圧電デバイス又は他の可聴装置、ランプ又はLED又はLCDのインジケータ、ハプティクスデバイス、アクチュエータ、又はサーボがある。
【0078】
信号、データ、コマンド選択、又はジェスチャをプロセッサ804に伝達する為に、少なくとも1つの入力装置814がI/Oサブシステム802と結合されている。入力装置814の例として、タッチスクリーン、マイクロホン、スチル及びビデオのデジタルカメラ、英数字キー及び他のキー、キーパッド、キーボード、グラフィックスタブレット、イメージスキャナ、ジョイスティック、クロック、スイッチ、ボタン、ダイヤル、スライダ、及び/又は各種のセンサ(例えば、力センサ、動きセンサ、熱センサ、加速度計、ジャイロスコープ、及び慣性測定装置(IMU)センサ)、及び/又は各種の送受信器(例えば、無線(例えば、セルラ又はWi-Fi、無線周波数(RF)、又は赤外線(IR))送受信器及び全地球測位システム(GPS)送受信器)がある。
【0079】
別のタイプの入力装置として制御装置816があり、これは、入力機能に対する代替又は追加として、カーソル制御機能又は他の自動制御機能(例えば、ディスプレイ画面上でのグラフィカルインタフェースのナビゲーション)を実施してよい。制御装置816は、方向情報及びコマンド選択をプロセッサ804に伝達すること、及びディスプレイ812上のカーソルの動きを制御することの為のタッチパッド、マウス、トラックボール、又はカーソル方向キーであってよい。入力装置は、少なくとも、装置が平面上の位置を指定することを可能にする、2つの軸(第1の軸(例えば、x軸)及び第2の軸(例えば、y軸))での自由度2を有することが可能である。別のタイプの入力装置は有線制御装置、無線制御装置、又は光制御装置であり、例えば、ジョイスティック、ワンド、コンソール、ステアリングホイール、ペダル、ギヤシフト機構、又は他のタイプの制御装置である。入力装置814は、異なる複数の入力装置(例えば、ビデオカメラ及び深さセンサ)の組み合わせを含んでよい。
【0080】
別の実施形態では、コンピュータシステム800は、インターネットオブシングス(IoT)装置を含んでよく、その場合は、出力装置812、入力装置814、及び制御装置816のうちの1つ以上が省略される。或いは、そのような実施形態では、入力装置814として、1つ以上のカメラ、動き検出器、温度計、マイクロホン、地震検知器、他のセンサ又は検出器、測定装置又は符号化器があってよく、出力装置812として、専用ディスプレイ(例えば、LED又はLCDのシングルラインディスプレイ)、1つ以上のインジケータ、ディスプレイパネル、メータ、弁、ソレノイド、アクチュエータ、又はサーボがあってよい。
【0081】
コンピュータシステム800がモバイルコンピューティング装置の場合には、入力装置814として、全地球測位システム(GPS)モジュールと結合されたGPS受信器があってよく、GPSモジュールは、複数のGPS衛星と三角形を成して、ジオロケーション(地理位置)データ(例えば、コンピュータシステム800の地球物理学的位置の緯度経度値)を算出によって生成することが可能である。出力装置812は、コンピュータシステム800の位置を特定する位置報告パケット、通知、パルス信号又はハートビート信号、又は他の反復性データ送信を、単独で、又は他のアプリケーション固有データとの組み合わせで、ホスト824又はサーバ830に向けて生成するハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及びインタフェースを含んでよい。
【0082】
コンピュータシステム800は、カスタマイズされたハードワイヤードロジック、少なくとも1つのASIC又はFPGA、ファームウェア及び/又はプログラム命令又はロジックを使用して、本明細書に記載の技法を実施することが可能であり、プログラム命令又はロジックは、コンピュータシステムとの組み合わせにおいてロードされて使用又は実行されると、コンピュータシステムを専用マシンとして動作するようにする(即ち、そうなるようにコンピュータシステムをプログラムする)。一実施形態によれば、本明細書に記載の技法は、主メモリ806に格納されている少なくとも1つの命令の少なくとも1つのシーケンスをプロセッサ804が実行することに対する応答として、コンピュータシステム800によって実施される。そのような命令は、記憶装置810等の別の記憶媒体から主メモリ806に読み込まれることが可能である。主メモリ806に格納された命令のシーケンスが実行されると、プロセッサ804が本明細書に記載のプロセスステップを実施する。代替実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令との組み合わせで、ハードワイヤード回路が使用されてよい。
【0083】
「記憶媒体」という用語は、本明細書では、特定の様式でマシンを動作させるデータ及び/又は命令を保存する任意の非一時的媒体を意味する。そのような記憶媒体は、不揮発性媒体及び/又は揮発性媒体を含んでよい。不揮発性媒体としては、例えば、光ディスク又は磁気ディスク(記憶装置810等)がある。揮発性媒体としては、動的メモリ(メモリ806等)がある。記憶媒体の形態例として、例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、磁気データ記憶媒体、任意の光学式又は物理的データ記憶媒体、メモリチップ等がある。
【0084】
記憶媒体は伝送媒体とは異なるが、伝送媒体と組み合わせて使用されてよい。伝送媒体は、記憶媒体間で情報を転送することに関与する。伝送媒体としては、例えば、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバがあり、これには、I/Oサブシステム802のバスを含むワイヤが含まれる。伝送媒体は又、音波又は光波の形態であってもよく、例えば、電波又は赤外線のデータ通信の間に生成される音波又は光波の形態であってよい。
【0085】
少なくとも1つの命令の少なくとも1つのシーケンスを実行の為にプロセッサ804に搬送することには様々な形態の媒体が関与してよい。例えば、命令はまず、リモートコンピュータの磁気ディスク又はソリッドステートドライブで保持されてよい。リモートコンピュータは、命令をその動的メモリにロードし、その命令をモデム使用の通信リンク(例えば、光ファイバ又は同軸ケーブル又は電話回線)で送信してよい。コンピュータシステム800に対してローカルなモデム又はルータが、通信リンク上のデータを受信し、そのデータを、コンピュータシステム800が読み取れるフォーマットに変換することが可能である。例えば、無線周波数アンテナ又は赤外線検出器等の受信器が、無線信号又は光信号で搬送されたデータを受信することが可能であり、しかるべき回路がそのデータをI/Oサブシステム802に渡す(例えば、データをバスに載せる)ことが可能である。I/Oサブシステム802はデータをメモリ806に搬送し、プロセッサ804はメモリ806から命令を取り出して実行する。メモリ806が受け取った命令は、任意選択で、プロセッサ804による実行の前又は後に記憶装置810に保存されてよい。
【0086】
コンピュータシステム800は又、バス802と結合された通信インタフェース818を含む。通信インタフェース818はネットワークリンク820との二方向データ通信結合を提供しており、ネットワークリンク820は、少なくとも1つの通信ネットワーク(例えば、ネットワーク822、又はインターネット上のパブリッククラウド又はプライベートクラウド)に直接又は間接的に接続されている。例えば、通信インタフェース818は、イーサネットネットワーキングインタフェース、統合サービスデジタル網(ISDN)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、又は対応するタイプの通信回線(例えば、イーサネットケーブル又は任意の種類の金属ケーブル又は光ファイバ回線又は電話回線)とのデータ通信接続を提供するモデムであってよい。ネットワーク822は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、構内ネットワーク、インターネットワーク、又はこれらの任意の組み合わせを大まかに表している。通信インタフェース818は、適合するLANとのデータ通信接続を提供するLANカード、又はセルラ無線電話無線ネットワーキング規格に準拠してセルラデータを送信又は受信するように配線されたセルラ無線電話インタフェース、又は衛星無線ネットワーキング規格に準拠してデジタルデータを送信又は受信するように配線された衛星無線インタフェースを含んでよい。任意のそのような実施態様では、通信インタフェース818は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する信号経路上で電気信号、電磁信号、又は光信号を送信及び受信する。
【0087】
ネットワークリンク820は、典型的には、(例えば、衛星技術、セルラ技術、Wi-Fi技術、又はBluetooth技術を使用して)直接又は少なくとも1つのネットワークを介して他のデータ装置との電気的、電磁的、又は光学的なデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク820は、ネットワーク822を介してホストコンピュータ824との接続を提供することが可能である。
【0088】
更に、ネットワークリンク820は、ネットワーク822を通る接続、又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)826が運用するインターネットワーキング装置及び/又はコンピュータを介しての他のコンピュータ装置との接続を提供することが可能である。ISP826は、インターネット828として示されているワールドワイドパケットデータ通信ネットワークを通るデータ通信サービスを提供する。サーバコンピュータ830がインターネット828と結合されてよい。サーバ830は、任意のコンピュータ、データセンタ、仮想マシン、又はハイパーバイザがある又はない仮想コンピューティングインスタンス、又はDOCKERやKUBERNETESのようなコンテナ化プログラムシステムを実行するコンピュータを大まかに表している。サーバ830は電子デジタルサービスを表してよく、これは、2つ以上のコンピュータ又はインスタンスを使用して実施され、ウェブサービスリクエスト、HTTPペイロードにパラメータを有するユニフォームリソースロケータ(URL)文字列、API呼び出し、アプリケーションサービス呼び出し、又は他のサービス呼び出しを送信することによってアクセスされて使用される。コンピュータシステム800及びサーバ830は分散コンピューティングシステムの要素を形成してよく、分散コンピューティングシステムは、他のコンピュータ、処理クラスタ、サーバファーム、又は他のコンピュータ編成を含み、これらは協力してタスクを実施したりアプリケーション又はサービスを実行したりする。サーバ830は、モジュール、メソッド、オブジェクト、関数、ルーチン、又は呼び出しとして編成された1つ以上の命令セットを含んでよい。命令は、1つ以上のコンピュータプログラム、オペレーティングシステムサービス、又はアプリケーションプログラム(モバイルアプリケーションを含む)として編成されてよい。命令は、オペレーティングシステム及び/又はシステムソフトウェアと、マルチメディア、プログラミング、又は他の機能をサポートする1つ以上のライブラリと、TCP/IP、HTTP、又は他の通信プロトコルを実装するデータプロトコル命令又はスタックと、HTML、XML、JPEG、MPEG、又はPNGを使用してコーティングされたファイルを解析又は表現するファイルフォーマット処理命令と、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)、コマンドラインインタフェース、又はテキストユーザインタフェースに関するコマンドを表現又は解釈するユーザインタフェース命令と、アプリケーションソフトウェア(例えば、オフィススイート、インターネットアクセスアプリケーション、設計製造アプリケーション、グラフィックスアプリケーション、オーディオアプリケーション、ソフトウェアエンジニアリングアプリケーション、教育アプリケーション、ゲーム、又は種々雑多なアプリケーション)と、を含んでよい。サーバ830は、プレゼンテーション層、アプリケーション層、及びデータストレージ層(例えば、構造化クエリ言語(SQL)を使用する又は使用しないリレーショナルデータベースシステム、オブジェクトストア、グラフデータベース、フラットファイルシステム、又は他のデータストレージ)をホストするウェブアプリケーションサーバを含んでよい。
【0089】
コンピュータシステム800は、ネットワーク、ネットワークリンク820、及び通信インタフェース818を通してメッセージを送信し、データ及び命令(プログラムコードを含む)を受信することが可能である。インターネットの例では、サーバ830が、インターネット828、ISP826、ローカルネットワーク822、及び通信インタフェース818を通して、アプリケーションプログラム用のリクエストされたコードを送信することが可能である。受信されたコードは、受信時にプロセッサ804によって実行されてよく、且つ/又は、後で実行する為に記憶装置810又は他の不揮発性記憶装置に保存されてよい。
【0090】
本セクションに記載のように命令を実行することにより、実行中であってプログラムコードとその現在のアクティビティからなる、コンピュータプログラムのインスタンスの形でプロセスを実施することが可能である。プロセスは、オペレーティングシステム(OS)に応じて、複数の命令を並行して実行する複数の実行スレッドで構成されてよい。この文脈では、コンピュータプログラムは命令のパッシブな集合体であり、一方、プロセスはそれらの命令の実際の実行であってよい。幾つかのプロセスが同じプログラムに関連付けられてよい。例えば、同じプログラムの幾つかのインスタンスを開くことは、多くの場合、2つ以上のプロセスが実行されていることを意味する。複数のプロセスがプロセッサ804を共用することを可能にする為にマルチタスキングが実施されてよい。各プロセッサ804又はプロセッサの各コアが一度に実行するタスクは1つだけであるが、コンピュータシステム800は、各プロセッサが、各タスクが終了するのを待つことを必要とせずに実行中のタスクを切り替えることを可能にする為に、マルチタスキングを実施するようにプログラムされてよい。一実施形態では、切り替えが実施されるのは、タスクが入出力動作を実施したとき、タスクが切り替え可能であることをタスクが示したとき、又はハードウェア割り込みがあったときであってよい。インタラクティブなユーザアプリケーションの高速応答を可能にする為にタイムシェアリングが実施されてよく、これは、コンテキスト切り替えを高速で実施して、複数のプロセスの並行実行が同時に行われるように見せることによって行われる。一実施形態では、セキュリティ及び信頼性の為に、オペレーティングシステムが独立プロセス間の直接通信を不可能にしてよく、これにより、厳格に仲介及び管理されたプロセス間通信機能性が実現される。
【0091】
上述の明細書では、実施態様ごとに異なりうる多くの具体的詳細を参照しながら本発明の実施形態を説明してきた。従って、本明細書及び図面については、制限的ではなく例示的であると考えられたい。本発明の範囲、並びに本発明の範囲であると出願人が意図したものについての唯一且つ排他的な指標は、本出願によって発行される特許請求項一式の、そのような特許請求項が発行される特定の形態での(後日補正があればそれも含む)文字通りであり且つ等価な範囲である。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】