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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138505
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】GLP-2誘導体の持続型結合体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/16 20060101AFI20230922BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230922BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20230922BHJP
   C07K 14/605 20060101ALI20230922BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230922BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230922BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230922BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230922BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230922BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230922BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230922BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20230922BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230922BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230922BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230922BHJP
   A61P 1/06 20060101ALI20230922BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20230922BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
C12N15/16
C07K19/00 ZNA
C07K16/00
C07K14/605
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
A61K47/68
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/06
A61K38/26
A61K39/395 W
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023111438
(22)【出願日】2023-07-06
(62)【分割の表示】P 2020517828の分割
【原出願日】2018-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2017-0126577
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】515022445
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ジェヒョク
(72)【発明者】
【氏名】キム ミン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ イン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン スン ヨプ
(57)【要約】
【課題】 GLP-2は、生理活性半減期が7分以下と非常に短い。これは、ジペプチジルペプチダーゼIVによりGLP-2のアミノ酸2位(Ala)と3位(Asp)間が切断され、GLP-2の力価が低下することに起因するものである。
【解決手段】 本発明は、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)誘導体、その結合体及びそれらの利用に関する。また、本発明は、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)誘導体及びその結合体の製造方法に関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)誘導体と免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性重合体を介して前記非ペプチド性重合体の両末端にそれぞれ共有結合で連結されたGLP-2結合体であって、
前記非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるGLP-2結合体。
【請求項2】
前記GLP-2誘導体は、下記一般式1のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のGLP-2結合体。
[一般式1]
12DGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTX30ITDX34(配列番号9)
(ここで、X1はヒスチジン、イミダゾアセチルデスヒスチジン、デスアミノヒスチジン、β-ヒドロキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジン、N-ジメチルヒスチジン又はβ-カルボキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジンであり、
2はアラニン、グリシン又はAib(2-aminoisobutyric acid)であり、
30はリシン又はアルギニンであり、
34は不在であるか、リシン、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン、6-アジドリシン又はシステインであるが、
一般式1のアミノ酸配列のうち配列番号1と同じ配列は除く。)
【請求項3】
前記GLP-2誘導体は、(1)X2がグリシンであるか、(2)X30がアルギニンであるか、又は(3)X2がグリシンであり、X30がアルギニンである、請求項2に記載のGLP-2結合体。
【請求項4】
前記GLP-2誘導体は、
(1)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34がシステインであるか、
(2)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34がリシンであるか、
(3)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がアルギニンであり、X34がリシンであるか、
(4)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34が6-アジドリシンであるか、
(5)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がアルギニンであり、X34がシステインであるか、
(6)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がAibであり、X30がリシンであり、X34がシステインであるか、又は
(7)X1がヒスチジンであり、X2がAibであり、X30がリシンであり、X34がシステインである、請求項2又は3に記載のGLP-2結合体。
【請求項5】
前記GLP-2誘導体は、少なくとも1つの残基がシステイン、リシン、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン又は6-アジドリシンである、請求項1~4のいずれか一項に記載のGLP-2結合体。
【請求項6】
前記GLP-2誘導体は、配列番号2~8からなる群から選択されるアミノ酸配列である、請求項1~5のいずれか一項に記載のGLP-2結合体。
【請求項7】
前記非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域とGLP-2誘導体のヒドロキシ基、チオール基、アミノ基又はアジド基に結合された、請求項1~6のいずれか一項に記載のGLP-2結合体。
【請求項8】
前記免疫グロブリンFc領域は非グリコシル化されたことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のGLP-2結合体。
【請求項9】
前記免疫グロブリンFc領域はヒンジ領域を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のGLP-2結合体。
【請求項10】
前記免疫グロブリンFc領域はIgG4 Fc領域である、請求項1~9のいずれか一項に記載のGLP-2結合体。
【請求項11】
下記一般式1のアミノ酸配列を含むGLP-2誘導体。
[一般式1]
12DGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTX30ITDX34(配列番号9)
(ここで、X1はヒスチジン、イミダゾアセチルデスヒスチジン、デスアミノヒスチジン、β-ヒドロキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジン、N-ジメチルヒスチジン又はβ-カルボキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジンであり、
2はアラニン、グリシン又はAib(2-aminoisobutyric acid)であり、
30はリシン又はアルギニンであり、
34は不在であるか、リシン、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン、6-アジドリシン又はシステインであるが、
一般式1のアミノ酸配列のうち配列番号1と同じ配列は除く。)
【請求項12】
前記GLP-2誘導体は、(1)X2がグリシンであるか、(2)X30がアルギニンであるか、又は(3)X2がグリシンであり、X30がアルギニンである、請求項11に記載のGLP-2誘導体。
【請求項13】
前記GLP-2誘導体は、
(1)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34がシステインであるか、
(2)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34がリシンであるか、
(3)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がアルギニンであり、X34がリシンであるか、
(4)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34が6-アジドリシンであるか、
(5)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がアルギニンであり、X34がシステインであるか、
(6)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がAibであり、X30がリシンであり、X34がシステインであるか、又は
(7)X1がヒスチジンであり、X2がAibであり、X30がリシンであり、X34がシステインである、請求項11又は12に記載のGLP-2誘導体。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか一項に記載のGLP-2誘導体をコードする分離された核酸。
【請求項15】
請求項14に記載の核酸を含む組換え発現ベクター。
【請求項16】
請求項15に記載の組換え発現ベクターを含む形質転換体。
【請求項17】
a)請求項11~13のいずれか一項に記載のGLP-2誘導体をコードする核酸を含む形質転換体を培養してGLP-2誘導体を発現させるステップと、
b)発現したGLP-2誘導体を分離及び精製するステップとを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載のGLP-2誘導体の製造方法。
【請求項18】
(a)少なくとも2つの末端反応基を有する非ペプチド性重合体と、請求項11~13のいずれか一項に記載のGLP-2誘導体と免疫グロブリンFc領域のいずれか一方とを反応させ、一末端にGLP-2誘導体又は免疫グロブリンFc領域が結合され、他末端に反応基を有する連結体を作製するステップと、
(b)前記(a)ステップで作製した連結体と、免疫グロブリンFc領域とGLP-2誘導体のうち連結体に結合されていない他方とを反応させ、GLP-2誘導体と免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性重合体を介して連結された結合体を製造するステップとを含む、GLP-2結合体の製造方法。
【請求項19】
前記非ペプチド性重合体は、アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基、マレイミド基及びスクシンイミド誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの反応基を有する、請求項18に記載のGLP-2結合体の製造方法。
【請求項20】
前記スクシンイミド誘導体は、スクシンイミジルカルボキシメチル、スクシンイミジルバレレート、スクシンイミジルメチルブタノエート、スクシンイミジルメチルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、スクシンイミジルプロピオネート、N-ヒドロキシスクシンイミド又はスクシンイミジルカーボネートである、請求項19に記載のGLP-2結合体の製造方法。
【請求項21】
請求項1~10のいずれかのGLP-2結合体、又は請求項11~13のいずれか一項に記載のGLP-2誘導体を含む、腸疾患、腸損傷及び胃疾患から選択される少なくとも1つの疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項22】
前記腸疾患は、短腸症候群、過敏性腸疾患、炎症性腸疾患、クローン病、結腸炎、大腸炎、膵炎、回腸炎、粘膜炎又は腸萎縮である、請求項21に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記胃疾患は、胃痙攣、胃炎、胃潰瘍、十二指腸炎又は十二指腸潰瘍である、請求項21に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)誘導体、その結合体及びそれらの利用に関する。また、本発明は、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)誘導体及びその結合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)は、摂取した栄養分に反応して小腸のL細胞において生成される33個のアミノ酸から構成されるペプチドホルモンである。GLP-2は、小腸、大腸で粘膜の成長を促進し、腸細胞及び腺窩(crypt)細胞の成長促進及びアポトーシス(apoptosis)を抑制する。また、GLP-2は、小腸で栄養分の吸収を増加させ、腸透過性を低下させる。さらに、胃排出(Gastric emptying)及び胃酸分泌を抑制し、腸血流速度を上昇させ、腸平滑筋を弛緩させる。GLP-2は、エネルギー吸収及び保護、腸細胞機能の活性化などの特徴により、様々な腸疾患や腸損傷の実験モデルにおいて治療剤として有望であると考えられる。
【0003】
しかし、GLP-2を薬物として市販するためには、解決しなければならない問題がある。GLP-2などのペプチドは、一般に安定性が低いため容易に変性し、体内のプロテアーゼにより分解されてその活性を消失することがあり、また相対的に大きさが小さいため腎臓で容易に除去されるので、薬理成分としてペプチドを含む医薬品の血中濃度及び力価を維持するためには、ペプチド薬物を患者に頻繁に投与する必要がある。しかし、ペプチド薬物はほとんどが注射剤の形態で患者に投与されるので、生理活性ペプチドの血中濃度を維持するために頻繁に注射することになるが、これは患者に多大な苦痛をもたらす。このような問題を解決するために様々な試みがなされてきた。それらの中には、ペプチド薬物の生体膜透過性を向上させることにより、口腔又は鼻腔からの吸入によりペプチド薬物を体内に送達しようとする試みがあった。しかし、このような方法は、注射剤に比べてペプチドの体内送達効率が低いので、ペプチド薬物の体内活性を求められるレベルに維持するには未だ多くの困難がある。
【0004】
特に、GLP-2は、生理活性半減期が7分以下と非常に短い。これは、ジペプチジルペプチダーゼIV(以下、DPPIV)によりGLP-2のアミノ酸2位(Ala)と3位(Asp)間が切断され、GLP-2の力価が低下することに起因するものである(非特許文献1)。このようなGLP-2の生理活性半減期の延長は、主にアミノ酸の置換により解決が試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第97/034631号
【特許文献2】国際公開第96/032478号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Bolette H. et al., The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. 2000, 85(8): 2884-2888
【非特許文献2】Scheit, Nucleotide Analogs, John Wiley, New York, 1980
【非特許文献3】Uhlman and Peyman, Chemical Reviews, 90: 543-584, 1990
【非特許文献4】H.Neurath, R.L.Hill, The Proteins, Academic Press, New York, 1979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、GLP-2誘導体を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記GLP-2誘導体をコードする分離された核酸、それを含む組換え発現ベクター、及び前記発現ベクターを含む形質転換体を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記GLP-2誘導体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記GLP-2誘導体と、その生体内半減期を延長させることのできる物質とが連結されたGLP-2結合体を提供することを目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記GLP-2結合体の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、前記GLP-2結合体を含む、生体内持続性及び安定性が向上したGLP-2持続性製剤を提供することを目的とする。
【0013】
さらに、発明は、前記GLP-2誘導体及び/又はGLP-2結合体を含む、腸疾患、腸損傷及び胃疾患から選択される少なくとも1つの疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供することを目的とする。
【0014】
さらに、本発明は、前記GLP-2誘導体、GLP-2結合体、又はそれを有効成分として含む薬学的組成物を、それを必要とする個体に投与するステップを含む、腸疾患、腸損傷及び胃疾患から選択される少なくとも1つの疾患の予防又は治療方法を提供することを目的とする。
【0015】
さらに、本発明は、薬剤の製造における、前記GLP-2誘導体又はGLP-2結合体の用途を提供することを目的とする。
【0016】
さらに、本発明は、腸疾患、腸損傷及び胃疾患から選択される少なくとも1つの疾患の予防又は治療における、前記GLP-2誘導体又はGLP-2結合体の用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様は、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)誘導体と免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性重合体を介して前記非ペプチド性重合体の両末端にそれぞれ共有結合で連結されたGLP-2結合体であって、前記非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるGLP-2結合体である。
【0018】
一具体例として、前記GLP-2誘導体は、一般式1のアミノ酸配列を含むことを特徴とするGLP-2結合体が挙げられる。
[一般式1]
12DGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTX30ITDX34(配列番号9)
【0019】
ここで、X1はヒスチジン、イミダゾアセチルデスヒスチジン、デスアミノヒスチジン、β-ヒドロキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジン、N-ジメチルヒスチジン又はβ-カルボキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジンであり、X2はアラニン、グリシン又はAib(2-aminoisobutyric acid)であり、X30はリシン又はアルギニンであり、X34は不在であるか、リシン、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン、6-アジドリシン又はシステインであるが、一般式1のアミノ酸配列のうち配列番号1と同じ配列は除く。
【0020】
他の具体例として、前記GLP-2誘導体は、一般式1において、(1)X2がグリシンであるか、(2)X30がアルギニンであるか、又は(3)X2がグリシンであり、X30がアルギニンであることを特徴とするGLP-2結合体が挙げられる。
【0021】
さらに他の具体例として、前記GLP-2誘導体は、一般式1において、(1)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34がシステインであるか、(2)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34がリシンであるか、(3)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がアルギニンであり、X34がリシンであるか、(4)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34が6-アジドリシンであるか、(5)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がアルギニンであり、X34がシステインであるか、(6)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がAibであり、X30がリシンであり、X34がシステインであるか、又は(7)X1がヒスチジンであり、X2がAibであり、X30がリシンであり、X34がシステインであることを特徴とするGLP-2結合体が挙げられる。
【0022】
さらに他の具体例として、前記GLP-2誘導体は、少なくとも1つの残基がシステイン、リシン、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン又は6-アジドリシンであることを特徴とするGLP-2結合体が挙げられる。
【0023】
さらに他の具体例として、前記GLP-2誘導体は、配列番号2~8からなる群から選択されるアミノ酸配列であることを特徴とするGLP-2結合体が挙げられる。
【0024】
さらに他の具体例として、前記非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域とGLP-2誘導体のヒドロキシ基、チオール基、アミノ基又はアジド基に結合されたことを特徴とするGLP-2結合体が挙げられる。
【0025】
さらに他の具体例として、免疫グロブリンFc領域は非グリコシル化されたことを特徴とするGLP-2結合体が挙げられる。
【0026】
さらに他の具体例として、免疫グロブリンFc領域はヒンジ領域をさらに含むことを特徴とするGLP-2結合体が挙げられる。
【0027】
さらに他の具体例として、免疫グロブリンFc領域はIgG4 Fc領域であることを特徴とするGLP-2結合体が挙げられる。
【0028】
本発明の他の態様は、一般式1のアミノ酸配列を含むGLP-2誘導体である。
[一般式1]
12DGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTX30ITDX34(配列番号9)
【0029】
ここで、X1はヒスチジン、イミダゾアセチルデスヒスチジン、デスアミノヒスチジン、β-ヒドロキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジン、N-ジメチルヒスチジン又はβ-カルボキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジンであり、X2はアラニン、グリシン又はAib(2-aminoisobutyric acid)であり、X30はリシン又はアルギニンであり、X34は不在であるか、リシン、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン、6-アジドリシン又はシステインであるが、一般式1のアミノ酸配列のうち配列番号1と同じ配列は除く。
【0030】
一具体例として、前記GLP-2誘導体は、一般式1において、(1)X2がグリシンであるか、(2)X30がアルギニンであるか、又は(3)X2がグリシンであり、X30がアルギニンであることを特徴とするGLP-2誘導体が挙げられる。
【0031】
他の具体例として、前記GLP-2誘導体は、一般式1において、(1)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34がシステインであるか、(2)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34がリシンであるか、(3)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がアルギニンであり、X34がリシンであるか、(4)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34が6-アジドリシンであるか、(5)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がアルギニンであり、X34がシステインであるか、(6)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がAibであり、X30がリシンであり、X34がシステインであるか、又は(7)X1がヒスチジンであり、X2がAibであり、X30がリシンであり、X34がシステインであることを特徴とするGLP-2誘導体が挙げられる。
【0032】
本発明のさらに他の態様は、前記GLP-2誘導体をコードする分離された核酸である。
【0033】
本発明のさらに他の態様は、前記核酸を含む組換え発現ベクターである。
【0034】
本発明のさらに他の態様は、前記組換え発現ベクターを含む形質転換体である。
【0035】
本発明のさらに他の態様は、a)前記GLP-2誘導体をコードする核酸を含む形質転換体を培養してGLP-2誘導体を発現させるステップと、b)発現したGLP-2誘導体を分離及び精製するステップとを含む、前記GLP-2誘導体の製造方法である。
【0036】
本発明のさらに他の態様は、(a)少なくとも2つの末端反応基を有する非ペプチド性重合体と、前記GLP-2誘導体と免疫グロブリンFc領域のいずれか一方とを反応させ、一末端にGLP-2誘導体又は免疫グロブリンFc領域が結合され、他末端に反応基を有する連結体を作製するステップと、(b)前記(a)ステップで作製した連結体と、免疫グロブリンFc領域とGLP-2誘導体のうち連結体に結合されていない他方とを反応させ、GLP-2誘導体と免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性重合体を介して連結された結合体を製造するステップとを含む、GLP-2結合体の製造方法である。
【0037】
一具体例として、前記非ペプチド性重合体は、アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基、マレイミド基及びスクシンイミド誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの反応基を有することを特徴とするGLP-2結合体の製造方法が挙げられる。
【0038】
他の具体例として、前記スクシンイミド誘導体は、スクシンイミジルカルボキシメチル、スクシンイミジルバレレート、スクシンイミジルメチルブタノエート、スクシンイミジルメチルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、スクシンイミジルプロピオネート、N-ヒドロキシスクシンイミド又はスクシンイミジルカーボネートであることを特徴とするGLP-2結合体の製造方法が挙げられる。
【0039】
本発明のさらに他の態様は、前記GLP-2結合体を含む、生体内持続性及び安定性が向上したGLP-2持続性製剤である。
【0040】
本発明のさらに他の態様は、前記GLP-2結合体又はGLP-2誘導体を含む、腸疾患、腸損傷及び胃疾患から選択される少なくとも1つの疾患の予防又は治療用薬学的組成物である。
【0041】
一具体例として、前記腸疾患は、短腸症候群、過敏性腸疾患、炎症性腸疾患、クローン病、結腸炎、大腸炎、膵炎、回腸炎、粘膜炎又は腸萎縮であることを特徴とする薬学的組成物が挙げられる。
【0042】
他の具体例として、胃疾患は、胃痙攣、胃炎、胃潰瘍、十二指腸炎又は十二指腸潰瘍であることを特徴とする薬学的組成物が挙げられる。
【0043】
本発明のさらに他の態様は、前記GLP-2誘導体、GLP-2結合体、又はそれらを有効成分として含む薬学的組成物を、それを必要とする個体に投与するステップを含む、腸疾患、腸損傷及び胃疾患から選択される少なくとも1つの疾患の予防又は治療方法である。
【0044】
本発明のさらに他の態様は、薬剤の製造における、前記GLP-2誘導体又はGLP-2結合体の用途である。
【0045】
一具体例として、前記薬剤は、腸疾患、腸損傷及び胃疾患から選択される少なくとも1つの疾患を予防又は治療するためのものであることを特徴とするGLP-2誘導体又はGLP-2結合体の用途が挙げられる。
【0046】
本発明のさらに他の態様は、腸疾患、腸損傷及び胃疾患から選択される少なくとも1つの疾患の予防又は治療における、前記GLP-2誘導体又はGLP-2結合体の用途である。
【発明の効果】
【0047】
本発明のGLP-2誘導体及びその持続型結合体は、活性が非常に高く、優れた生体内効力持続効果を有するので、腸疾患、腸損傷及び胃疾患の予防、改善及び治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】GLP-2誘導体の持続型結合体の純度を逆相カラムで分析した結果を示す図である。
図2】GLP-2誘導体の持続型結合体の血中濃度変化を示すグラフである。
図3】Teduglutide及びGLP-2誘導体の持続型結合体の血中濃度変化を示すグラフである。
図4】Teduglutide及びGLP-2誘導体の持続型結合体のin vivo効果(A:小腸の重量,B:小腸の絨毛の長さ)を確認したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0050】
なお、本発明で開示される各説明及び実施形態はそれぞれの他の説明及び実施形態にも適用される。すなわち、本発明で開示される様々な要素のあらゆる組み合わせが本発明に含まれる。また、以下の具体的な記述に本発明が限定されるものではない。
【0051】
また、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、通常の実験のみを用いて本発明に記載された本発明の特定の態様の多くの等価物を認識し、確認することができるであろう。さらに、その等価物も本発明に含まれることが意図されている。
【0052】
本明細書全体を通して、天然に存在するアミノ酸に対する通常の1文字及び3文字コードが用いられるだけでなく、Aib(2-aminoisobutyric acid)、AZK(6-azidolysine)などの他のアミノ酸に対して一般に許容される3文字コードが用いられる。また、本明細書において略語で言及したアミノ酸は、IUPAC-IUB命名法に従って記載したものである。
アラニン Ala,A
アルギニン Arg,R
アスパラギン Asn,N
アスパラギン酸 Asp,D
システイン Cys,C
グルタミン酸 Glu,E
グルタミン Gln,Q
グリシン Gly,G
ヒスチジン His,H
イソロイシン Ile,I
ロイシン Leu,L
リシン Lys,K
メチオニン Met,M
フェニルアラニン Phe,F
プロリン Pro,P
セリン Ser,S
トレオニン Thr,T
トリプトファン Trp,W
チロシン Tyr,Y
バリン Val,V
【0053】
本発明の一態様は、GLP-2誘導体を提供する。
【0054】
本発明における「GLP-2誘導体」には、天然GLP-2と比較してアミノ酸配列に少なくとも1つの差異があるペプチド、天然GLP-2配列の修飾(modification)により改変されたペプチド、並びに天然GLP-2と同様に腸損傷、腸疾患及び胃疾患の予防、治療及び/又は改善機能を有する天然GLP-2の模倣体が含まれ、GLP-2受容体に対してin vitro及び/又はin vivoで優れた活性を有する誘導体が含まれる。
【0055】
本発明における「グルカゴン様ペプチド-2(Glucagon-like peptide-2, GLP-2)」とは、腸損傷、腸疾患及び胃疾患の予防、治療及び/又は改善機能を有するペプチドであり、天然GLP-2だけでなく、そのアゴニスト(agonist)、フラグメント(fragment)、変異体(variant)、誘導体(derivative)なども含まれる。
【0056】
本発明における「GLP-2アゴニスト」とは、GLP-2の構造に関係なく生体内のGLP-2受容体に結合し、天然GLP-2と同一又は同等の生理活性を引き起こす物質を意味する。
【0057】
本発明における「GLP-2フラグメント」とは、GLP-2のN末端又はC末端に少なくとも1つのアミノ酸が付加又は欠失されたペプチドを意味し、付加されるアミノ酸は非天然アミノ酸(例えば、D型アミノ酸)であってもよい。
【0058】
本発明における「GLP-2変異体」とは、天然GLP-2と少なくとも1つのアミノ酸が異なるペプチドを意味し、天然アミノ酸以外に、非天然アミノ酸を置換したものであってもよい。
【0059】
本発明における、天然GLP-2のアゴニスト、フラグメント、変異体及び誘導体の作製のためのこのような改変には、L型もしくはD型アミノ酸及び/又は非天然アミノ酸を用いた改変、並びに/又は天然配列を修飾又は翻訳後修飾(例えば、メチル化、アシル化、ユビキチン化、分子内の共有結合など)することによる改変が全て含まれる。
【0060】
このような天然GLP-2のアゴニスト、フラグメント、変異体及び誘導体は、腸損傷、腸疾患及び胃疾患の予防、治療及び改善機能を有してもよい。
【0061】
アゴニスト、フラグメント、変異体及び誘導体の作製のための様々な方法の組み合わせにより、本発明に用いられる天然GLP-2のアゴニスト、フラグメント、変異体及び誘導体を作製することができる。
【0062】
本発明に用いるGLP-2は、Solid phase合成法により合成することができ、組換え法により生産することもできる。
【0063】
具体的な一実施形態において、GLP-2誘導体は、天然GLP-2の一部のアミノ酸が置換(substitution)、付加(addition)、欠失(deletion)及び修飾(modification)のいずれか1つの方法又はそれらの組み合わせにより改変されたものであってもよい。
【0064】
天然GLP-2のアミノ酸配列は次の通りである。
GLP-2(1-33)
HADGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITD(配列番号1)
【0065】
具体的には、GLP-2誘導体は、天然GLP-2の2番目のアミノ酸であるアラニンのグリシン又はAib(2-aminoisobutyric acid)への置換、30番目のアミノ酸であるリシンのアルギニンへの置換、又はそれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0066】
具体的には、GLP-2誘導体は、天然GLP-2とアミノ酸配列において少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上の相同性を示すものでもよく、かつ/あるいはGLP-2のアミノ酸の1つの残基の一部の基が化学的に置換(例えば、alpha-methylation、alpha-hydroxylation)、除去(例えば、deamination)又は修飾(例えば、N-methylation)された形態であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0067】
具体的には、GLP-2誘導体は、GLP-2にチオール(thiol)基、アミノ(amino)基又はアジド(azide)基が導入されてもよいが、これらに限定されるものではない。前記GLP-2誘導体は、GLP-2受容体に対してin vitro及び/又はin vivoで優れた活性を有し、GLP-2誘導体の持続性結合体を作製する際に導入された前記基において結合が生じるので、それを用いて結合位置が選択的に調節されたGLP-2結合体を製造することができる。具体的には、GLP-2誘導体のヒドロキシ基、チオール基、アミノ基又はアジド基に非ペプチド性重合体の一末端が結合され、非ペプチド性重合体の他末端に生体内半減期を延長させることのできる物質(例えば、免疫グロブリンFc領域)が結合されてもよい。前記チオール基、アミノ基又はアジド基は、GLP-2にアミノ酸を付加して導入してもよいが、これらに限定されるものではない。前記チオール基はGLP-2にシステイン(C)を付加して導入してもよく、アミノ基はリシン(K)、アルギニン(R)、グルタミン(Q)又はヒスチジン(H)を付加して導入してもよく、アジド基は6-アジドリシン(6-azidolysine, AZK)を付加して導入してもよいが、これらに限定されるものではない。
【0068】
具体的には、GLP-2誘導体は、少なくとも1つの残基がシステイン、リシン、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン又は6-アジドリシンであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0069】
具体的な一実施形態において、GLP-2誘導体は、N末端のアミノ基が置換、除去又は修飾されてもよいが、これらに限定されるものではない。本発明のGLP-2誘導体は、持続性結合体を作製する際にGLP-2誘導体の生体内活性に重要な部位であるN末端に結合が生じるのを防止するために、N末端のヒスチジンのαアミノ基を除去する方法、N末端のアミノ基をヒドロキシ(hydroxyl)基又はカルボキシ(carboxyl)基に置換して合成する方法、N末端のヒスチジンのα炭素及びα炭素に結合されたN末端のアミノ基を除去してイミダゾアセチル(imidazo-acetyl)官能基のみ残す方法、N末端のアミノ基を2つのメチル基で修飾する方法などにより作製してもよい。
【0070】
具体的には、GLP-2誘導体は、GLP-2のN末端の1番目のアミノ酸であるヒスチジン残基のα炭素及びα炭素に結合されたN末端のアミノ基が除去されたイミダゾアセチルデスヒスチジルGLP-2(imidazoacetyl-deshistidyl-GLP-2, CA-GLP-2)、GLP-2のN末端のアミノ基が除去されたデスアミノヒスチジルGLP-2(desaminohistidyl GLP-2, DA-GLP-2)、GLP-2のN末端のアミノ基がヒドロキシ基に置換されたβ-ヒドロキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジルGLP-2(β-hydroxyimidazopropionyldeshistidyl GLP-2, HY-GLP-2)、GLP-2のN末端のアミノ基が2つのメチル基で修飾されたN-ジメチルヒスチジルGLP-2(N-dimethylhistidyl GLP-2, DM-GLP-2)、又はGLP-2のN末端のアミノ基がカルボキシ基に置換されたβ-カルボキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジルGLP-2(β-carboxyimidazopropionyl-deshistidyl GLP-2, CX-GLP-2)であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0071】
具体的には、本発明のGLP-2誘導体は、天然GLP-2の2番目のアミノ酸であるアラニンのグリシンへの置換、及びC末端へのチオール基(例えば、システイン)の導入を含んでもよく、より具体的には、N末端の1番目のアミノ酸であるヒスチジン残基のα炭素及びα炭素に結合されたN末端のアミノ基が除去されたイミダゾアセチルデスヒスチジンを含んでもよく、例えば配列番号2のアミノ酸配列を有するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0072】
具体的には、本発明のGLP-2誘導体は、天然GLP-2の2番目のアミノ酸であるアラニンのグリシンへの置換、及びC末端へのアミノ基(例えば、リシン)の導入を含んでもよく、より具体的には、N末端の1番目のアミノ酸であるヒスチジン残基のα炭素及びα炭素に結合されたN末端のアミノ基が除去されたイミダゾアセチルデスヒスチジンを含んでもよく、例えば配列番号3のアミノ酸配列を有するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0073】
具体的には、本発明のGLP-2誘導体は、天然GLP-2の2番目のアミノ酸であるアラニンのグリシンへの置換、天然GLP-2の30番目のアミノ酸であるリシンのアルギニンへの置換、及びC末端へのアミノ基(例えば、リシン)の導入を含んでもよく、より具体的には、N末端の1番目のアミノ酸であるヒスチジン残基のα炭素及びα炭素に結合されたN末端のアミノ基が除去されたイミダゾアセチルデスヒスチジンを含んでもよく、例えば配列番号4のアミノ酸配列を有するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0074】
具体的には、本発明のGLP-2誘導体は、天然GLP-2の2番目のアミノ酸であるアラニンのグリシンへの置換、及びC末端へのアジド基(例えば、6-アジドリシン)の導入を含んでもよく、より具体的には、N末端の1番目のアミノ酸であるヒスチジン残基のα炭素及びα炭素に結合されたN末端のアミノ基が除去されたイミダゾアセチルデスヒスチジンを含んでもよく、例えば配列番号5のアミノ酸配列を有するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0075】
具体的には、本発明のGLP-2誘導体は、天然GLP-2の2番目のアミノ酸であるアラニンのグリシンへの置換、天然GLP-2の30番目のアミノ酸であるリシンのアルギニンへの置換、及びC末端へのチオール基(例えば、システイン)の導入を含んでもよく、より具体的には、N末端の1番目のアミノ酸であるヒスチジン残基のα炭素及びα炭素に結合されたN末端のアミノ基が除去されたイミダゾアセチルデスヒスチジンを含んでもよく、例えば配列番号6のアミノ酸配列を有するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0076】
具体的には、本発明のGLP-2誘導体は、天然GLP-2の2番目のアミノ酸であるアラニンのグリシンへの置換、及びC末端へのチオール基(例えば、システイン)の導入を含んでもよく、例えば配列番号8のアミノ酸配列を有するものであってもよく、より具体的には、N末端の1番目のアミノ酸であるヒスチジン残基のα炭素及びα炭素に結合されたN末端のアミノ基が除去されたイミダゾアセチルデスヒスチジンを含んでもよく、例えば配列番号7のアミノ酸配列を有するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0077】
配列番号2~8のGLP-2誘導体を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
表1において、caHはヒスチジンがイミダゾアセチルデスヒスチジンに置換されたものを示し、Aibは2-アミノイソ酪酸(2-aminoisobutyric acid)を示し、AZKは6-アジド-L-リシン(6-azido-L-lysyine)を示す。
【0080】
本発明によるGLP-2誘導体は、前記特定配列を含むペプチド、前記特定配列を(必須)構成要素とするペプチドであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0081】
なお、本発明において「特定配列番号で表される」ペプチド又はGLP-2誘導体と記載されているとしても、当該配列番号のアミノ酸配列からなるペプチド又はGLP-2誘導体と同一又は相当する活性を有するものであれば、当該配列番号のアミノ酸配列の前後の無意味な配列付加、自然発生する突然変異、又はその非表現突然変異(silent mutation)を除外するものではなく、このような配列付加又は突然変異を有するものも本発明に含まれることは自明である。
【0082】
具体的な一実施形態において、GLP-2誘導体は、一般式1のアミノ酸配列を含んでもよいが、これに限定されるものではない。
[一般式1]
12DGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTX30ITDX34(配列番号9)
【0083】
ここで、X1はヒスチジン、イミダゾアセチルデスヒスチジン、デスアミノヒスチジン、β-ヒドロキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジン、N-ジメチルヒスチジン又はβ-カルボキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジンであり、X2はアラニン、グリシン又はAib(2-aminoisobutyric acid)であり、X30はリシン又はアルギニンであり、X34は不在であるか、リシン、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン、6-アジドリシン又はシステインであるが、一般式1のアミノ酸配列のうち配列番号1と同じ配列は除く。
【0084】
具体的には、GLP-2誘導体は、一般式1において、(1)X2がグリシンであるか、(2)X30がアルギニンであるか、又は(3)X2がグリシンであり、X30がアルギニンであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0085】
具体的には、GLP-2誘導体は一般式1において、(1)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34がシステインであるか、(2)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34がリシンであるか、(3)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がアルギニンであり、X34がリシンであるか、(4)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がリシンであり、X34が6-アジドリシンであるか、(5)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がグリシンであり、X30がアルギニンであり、X34がシステインであるか、(6)X1がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X2がAibであり、X30がリシンであり、X34がシステインであるか、又は(7)X1がヒスチジンであり、X2がAibであり、X30がリシンであり、X34がシステインであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0086】
一方、前記GLP-2誘導体には、ペプチドそれ自体、その塩(例えば、前記ペプチドの薬学的に許容される塩)又はその溶媒和物の形態が全て含まれる。
【0087】
また、ペプチド又はGLP-2誘導体は、薬学的に許容されるものであれば、いかなる形態であってもよい。
【0088】
前記塩の種類は、特に限定されるものではない。もっとも、個体、例えば哺乳類に安全かつ効果的な形態であることが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0089】
前記「薬学的に許容される」とは、医薬学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応などを誘発することなく所望の用途に効果的に使用できる物質を意味する。
【0090】
本発明における「薬学的に許容される塩」には、薬学的に許容される無機酸、有機酸又は塩基から誘導された塩が含まれる。好適な酸の例としては、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。好適な塩基から誘導された塩には、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アンモニウムなどが含まれる。
【0091】
また、本発明における「溶媒和物」とは、本発明によるペプチド又はその塩が溶媒分子と複合体を形成したものを意味する。
【0092】
本発明のGLP-2誘導体は、Solid phase合成法により合成することができ、組換え法により生産することもでき、商業的に依頼して作製することもできる。
【0093】
本発明の他の態様は、前記GLP-2誘導体をコードする分離された核酸、前記核酸を含む組換え発現ベクター、及び前記組換え発現ベクターを含む形質転換体を提供する。
【0094】
前記GLP-2誘導体については前述した通りである。
【0095】
本発明における「核酸」とは、一本鎖又は二本鎖の形態で存在するデオキシリボヌクレオチド(DNA)又はリボヌクレオチド(RNA)であり、ゲノムDNA、cDNA及びそれらから転写されるRNAを包括する意味で用いられ、核酸分子における基本構成単位であるヌクレオチドには、天然ヌクレオチドだけでなく、糖又は塩基部位が変形したアナログ(analogue)も含まれる(非特許文献2,3)。本発明の核酸は、標準分子生物学技術により分離又は作製することができる。例えば、好適なプライマー配列を用いて天然GLP-2遺伝子配列からPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)により増幅することができ、自動化されたDNA合成機を用いる標準合成技術により作製することができる。
【0096】
本発明における「ベクター」とは、好適な宿主細胞において標的タンパク質を発現する組換えベクターであり、核酸挿入物が発現するように作動可能に連結された必須の調節因子を含む核酸構築物(construct)を意味する。本発明によれば、GLP-2誘導体をコードする核酸を含む組換えベクターを作製することができ、前記組換えベクターを宿主細胞に形質転換(transformation)又はトランスフェクション(transfection)することにより、本発明のGLP-2誘導体が得られる。
【0097】
本発明による組換えベクターは、典型的にクローニングのためのベクター又は発現のためのベクターとして構築されてもよく、原核細胞又は真核細胞を宿主細胞として構築されてもよい。
【0098】
本発明におけるGLP-2誘導体をコードする核酸は、プロモーターに作動可能に連結されてもよい。
【0099】
本発明における「作動可能に連結された(operatively linked)」とは、核酸発現調節配列(例えば、プロモーター、シグナル配列、リボソーム結合部位、転写終結配列など)と他の核酸配列間で機能的に結合されたことを意味し、それにより、前記調節配列が前記他の核酸配列の転写及び/又は翻訳を調節する。
【0100】
本発明における「プロモーター」とは、ポリメラーゼに対する結合部位を含み、プロモーターの下流の遺伝子のmRNAへの転写開始活性を有する、総じてコード領域の上流(upstream)に位置する翻訳されない核酸配列、すなわちポリメラーゼが結合して遺伝子の転写を開始させるDNA領域を意味し、mRNA転写開始部位の5’部位に位置する。
【0101】
例えば、本発明のベクターが組換えベクターであり、原核細胞を宿主とする場合、転写を進行させる強力なプロモーター(例えば、tacプロモーター、lacプロモーター、lacUV5プロモーター、lppプロモーター、pLλプロモーター、pRλプロモーター、rac5プロモーター、ampプロモーター、recAプロモーター、SP6プロモーター、trpプロモーター、T7プロモーターなど)、翻訳の開始のためのリボソーム結合部位、及び転写/翻訳終結配列を含むのが一般的である。
【0102】
また、本発明に用いられるベクターは、当該技術分野で通常用いられるプラスミド(例えば、pSC101、pGV1106、pACYC177、ColE1、pKT230、pME290、pBR322、pUC8/9、pUC6、pBD9、pHC79、pIJ61、pLAFR1、pHV14、pGEXシリーズ、pETシリーズ、pPICZαシリーズ、pUC19など)、ファージ(例えば、λgt4・λB、λ-Charon、λ△z1、M13など)又はウイルス(例えば、SV40など)を操作することにより作製することができる。
【0103】
一方、本発明のベクターが組換えベクターであり、真核細胞を宿主とする場合、哺乳動物細胞ゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)又は哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、牛痘ウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター及びHSVのtkプロモーター)が用いられてもよく、転写終結配列としてポリアデニル化配列(例えば、ウシ成長ホルモンターミネーター及びSV40由来ポリアデニル化配列)を有するのが一般的である。
【0104】
また、本発明の組換えベクターは、選択マーカーとして当該技術分野において通常用いられる抗生剤耐性遺伝子を含み、例えばアンピシリン、ゲンタマイシン、カルベニシリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、カナマイシン、ジェネティシン、ネオマイシン及びテトラサイクリンに対する耐性遺伝子が用いられてもよい。
【0105】
本発明の組換えベクターは、回収される標的タンパク質、すなわちGLP-2誘導体の精製を容易にするために、必要に応じて他の配列をさらに含んでもよい。前記さらに含まれる配列は、タンパク質精製用タグ配列であってもよく、例えばグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(Pharmacia, USA)、マルトース結合タンパク質(NEB, USA)、FLAG(IBI, USA)、ヘキサヒスチジン(hexahistidine)などが挙げられるが、これらの例に標的タンパク質の精製のために必要な配列の種類が限定されるものではない。
【0106】
このようなタグ配列を含む組換えベクターにより発現した融合タンパク質は、アフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼが融合された場合はこの酵素の基質であるグルタチオンが用いられ、ヘキサヒスチジンタグが用いられた場合はNi-NTAカラムにより所望の標的タンパク質を容易に回収することができる。
【0107】
本発明における「形質転換(transformation)」とは、DNAを宿主細胞に導入してDNAが染色体の因子として又は染色体統合完成により複製可能になることであり、外部のDNAを細胞内に導入して人為的に遺伝的な変化を起こす現象を意味する。
【0108】
本発明の形質転換方法には任意の形質転換方法が用いられてもよく、当該技術分野の通常の方法で容易に行うことができる。一般に、形質転換方法には、CaCl2沈殿法、CaCl2沈殿法にDMSO(dimethyl sulfoxide)という還元剤を用いることにより効率を向上させたHanahan法、エレクトロポレーション(electroporation)、リン酸カルシウム沈殿法、原形質融合法、シリコンカーバイド繊維を用いた攪拌法、アグロバクテリウム媒介形質転換法、PEGを用いた形質転換法、デキストランサルフェート、リポフェクタミン及び乾燥/抑制媒介形質転換法などがある。
【0109】
本発明によるGLP-2誘導体をコードする核酸を含む組換えベクターを形質転換する方法は、これらの例に限定されるものではなく、当該技術分野で通常用いられる形質転換又はトランスフェクション方法が制限なく用いられる。
【0110】
標的核酸であるGLP-2誘導体をコードする核酸を含む組換えベクターを宿主細胞に導入することにより、本発明の形質転換体(transformant)を得ることができる。
【0111】
本発明に適した宿主は、本発明の核酸を発現させるものであれば特に限定されるものではない。本発明に用いられる宿主の特定例としては、大腸菌(E. coli)などのエシェリキア(Escherichia)属細菌、枯草菌(Bacillus subtilis)などのバチルス(Bacillus)属細菌、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)などのシュードモナス(Pseudomonas)属細菌、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などの酵母、スポドプテラ・フルギペルダ(SF9)などの昆虫細胞、及びCHO、COS、BSCなどの動物細胞が挙げられる。具体的には、宿主細胞として大腸菌が用いられてもよいが、これに限定されるものではない。
【0112】
本発明のさらに他の態様は、前記形質転換体を用いる、GLP-2誘導体の製造方法を提供する。
【0113】
具体的には、a)前記GLP-2誘導体をコードする核酸を含む形質転換体を培養してGLP-2誘導体を発現させるステップと、b)発現したGLP-2誘導体を分離及び精製するステップとを含む、前記GLP-2誘導体の製造方法を提供する。
【0114】
本発明において、形質転換体の培養に用いられる培地は、好適な方法で宿主細胞培養の要件を満たさなければならない。宿主細胞の生長のために培地中に含まれる炭素源は、作製される形質転換体の種類に応じて当業者の判断により適宜選択され、培養の時期及び量を調節するために好適な培養条件が採用されてもよい。
【0115】
用いることのできる糖源としては、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、デンプン、セルロースなどの糖及び炭水化物、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油、ココナッツ油などの油脂、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸などの脂肪酸、グリセリン、エタノールなどのアルコール、酢酸などの有機酸が挙げられる。これらの物質は、単独で用いることもでき、混合物として用いることもできる。
【0116】
用いることのできる窒素源としては、ペプトン、酵母抽出物、肉汁、麦芽抽出物、トウモロコシ浸漬液、黄粉及び尿素、又は無機化合物、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムが挙げられる。窒素源も、単独で用いることもでき、混合物として用いることもできる。
【0117】
用いることのできるリン源としては、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、又はそれらに相当するナトリウム含有塩が挙げられる。また、培養培地は、成長に必要な硫酸マグネシウム、硫酸鉄などの金属塩を含有してもよい。
【0118】
最後に、前記物質以外に、アミノ酸、ビタミンなどの必須成長物質が用いられてもよい。また、培養培地に好適な前駆体が用いられてもよい。前述した原料は、培養過程において培養物に好適な方法でバッチ毎に又は連続して添加されてもよい。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの塩基性化合物、又はリン酸、硫酸などの酸性化合物を好適な方法で用いて培養物のpHを調節することができる。また、脂肪酸ポリグリコールエステルなどの消泡剤を用いて気泡生成を抑制することができる。好気状態を維持するために、培養物中に酸素又は酸素含有気体(例えば、空気)を注入する。
【0119】
本発明による形質転換体の培養は、通常20℃~45℃、具体的には25℃~40℃の温度で行われる。また、培養は、所望のGLP-2誘導体の最大の生成量が得られるまで続けるが、これらの目的上、通常10~160時間続けてもよい。
【0120】
前述したように、宿主細胞に応じて適切な培養条件を整えると、本発明による形質転換体によりGLP-2誘導体が生産され、ベクターの構成及び宿主細胞の特徴に応じて、生産されるGLP-2誘導体は宿主細胞の細胞質内、細胞周辺腔(periplasmic space)又は細胞外に分泌される。
【0121】
宿主細胞の内外で発現したタンパク質は、通常の方法で精製することができる。精製方法の例としては、塩析(例えば、硫酸アンモニウム沈殿、リン酸ナトリウム沈殿など)、溶媒沈殿(例えば、アセトン、エタノールなどを用いたタンパク質分画沈殿など)、透析、ゲル濾過、イオン交換、逆相カラムクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー、限外濾過などの技法を単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0122】
本発明のさらに他の態様は、GLP-2誘導体の半減期及びバイオアベイラビリティを増加させるか、持続的に活性を継続する製剤を提供する。具体的には、前記製剤とは、GLP-2誘導体に直接共有結合するキャリアを含む製剤や、直接共有結合しなくともGLP-2誘導体の生体内活性の維持を向上させる成分を含む製剤を意味する。
【0123】
また、本発明のさらに他の態様は、GLP-2誘導体と、その生体内半減期を延長させることのできる物質とが結合されたGLP-2結合体を提供する。さらに、本発明のGLP-2誘導体は、天然GLP-2に比べて活性が高く、その持続型結合体は血中半減期が大幅に延長されるので、腸疾患、腸損傷又は胃疾患の予防、治療及び/又は改善に有用である。
【0124】
前記GLP-2誘導体については前述した通りである。
【0125】
具体的な一実施形態において、本発明の結合体は、GLP-2誘導体と、その生体内半減期を延長させることのできる物質とがリンカーを介して連結されてもよい。
【0126】
本発明のGLP-2結合体は、前記GLP-2誘導体に導入されたチオール基、アミノ基又はアジド基とリンカーが共有結合を形成し、GLP-2誘導体とリンカーの結合位置が選択的に調節されてもよい。
【0127】
また、GLP-2結合体は、前記GLP-2誘導体のN末端のアミノ基が置換、除去又は修飾され、生体内活性に重要な部位であるN末端にリンカーが結合されることが防止されることにより、GLP-2誘導体とリンカーの結合位置が選択的に調節されてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0128】
本発明における「生体内半減期を延長させることのできる物質」とは、GLP-2誘導体に結合されてその半減期を延長させることのできる物質を意味する。前記「生体内半減期を延長させることのできる物質」は、本発明において「生体適合性物質」又は「キャリア」と混用される。
【0129】
前記生体適合性物質又はキャリアは、GLP-2誘導体に結合されてその半減期を延長させることのできる物質が全て含まれるものであり、例えばポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びそのフラグメント、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体フラグメント、FcRn結合物質、生体内結合組織又はその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(Transferrin)、サッカライド(saccharide)並びに高分子重合体からなる群から選択されるものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0130】
前記生体適合性物質又はキャリアは、共有又は非共有結合によりGLP-2誘導体に結合されてもよい。また、GLP-2誘導体と、前記生体適合性物質又はキャリアとの連結には、遺伝子組換え法や高分子又は低分子化学物質を用いたin vitro結合などが含まれるが、特定の結合方法に限定されるものではない。
【0131】
本発明において、ポリエチレングリコールをキャリアとして用いる場合、位置特異的にポリエチレングリコールを付着することができるAmbrx社のRecode技術が用いられてもよく、糖鎖部位に特異的に付着することができるNeose社のグリコペグ化(glycopegylation)技術が用いられてもよい。また、生体内でポリエチレングリコールが徐々に除去されるreleasable PEG技術が用いられてもよいが、これに限定されるものではなく、PEGによりバイオアベイラビリティを向上させる技術が用いられてもよい。
【0132】
さらに、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸などの少なくとも1つの高分子重合体が前記技術によりGLP-2誘導体に結合されてもよい。
【0133】
本発明において、アルブミンをキャリアとして用いる場合、アルブミン又はアルブミンフラグメントをGLP-2誘導体に直接共有結合して生体内安定性を向上させる技術が用いられてもよく、アルブミンを直接結合しなくてもアルブミンに結合する物質、例えばアルブミン特異的結合抗体又は抗体フラグメントをGLP-2誘導体に結合させてアルブミンに結合させる技術や、アルブミンに結合力を有する特定ペプチド/タンパク質(例えば、Affibody社のalbumod技術により生産されたアルブミン結合ペプチド)をGLP-2誘導体に結合する技術が用いられてもよく、アルブミンに結合力を有する脂肪酸などを結合させる技術が用いられてもよいが、これらに限定されるものではなく、アルブミンを用いて生体内安定性を向上させるものであれば、いかなる技術、結合方法が用いられてもよい。
【0134】
生体内半減期を延長させるために、抗体又は抗体フラグメントをキャリアとして用いてGLP-2誘導体に結合させる技術が本発明に用いられてもよい。FcRn結合部位を有する抗体又は抗体フラグメントであってもよく、FabなどのFcRn結合部位を含まない抗体フラグメントであってもよい。Catalytic抗体によるCovX社のCovX-body技術が用いられてもよく、免疫グロブリンFc領域により生体内半減期を延長させる技術が本発明に用いられてもよい。
【0135】
前記FcRn結合物質は免疫グロブリンFc領域であってもよい。
【0136】
本発明における「免疫グロブリンFc領域」とは、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の可変領域、重鎖定常領域1(CH1)及び軽鎖定常領域(CL)を除いた残りの部分を意味し、重鎖定常領域にヒンジ(hinge)領域をさらに含むこともある。特に、免疫グロブリンFc領域全体及びその一部を含むフラグメントであってもよく、本発明における免疫グロブリンFc領域は、免疫グロブリンフラグメントや免疫グロブリン定常領域と混用されてもよい。
【0137】
天然Fcは重鎖定常領域1においてAsn297位に糖鎖が存在するが、大腸菌由来の組換えFcは糖鎖が存在しない形態で発現する。Fcから糖鎖が除去されると、重鎖定常領域1に結合するFcγ受容体1、2、3と補体(c1q)の結合力が低下し、抗体依存性細胞傷害又は補体依存性細胞傷害が低減又は除去される。
【0138】
本発明における「免疫グロブリン定常領域」とは、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の可変領域、重鎖定常領域1(CH1)及び軽鎖定常領域(CL)を除いたものであり、重鎖定常領域2(CH2)及び重鎖定常領域3(CH3)(又は重鎖定常領域4(CH4)を含む)部分を含むFcフラグメントを意味するものであってもよく、重鎖定常領域にヒンジ(hinge)部分を含むこともある。また、本発明の免疫グロブリン定常領域は、天然のものと実質的に同等又は向上した効果を有するものであれば、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の可変領域を除き、一部又は全部の重鎖定常領域1(CH1)及び/又は軽鎖定常領域(CL)を含む拡張された免疫グロブリン定常領域であってもよい。さらに、CH2及び/又はCH3に相当する非常に長い一部のアミノ酸配列が欠失した領域であってもよい。すなわち、本発明の免疫グロブリン定常領域は、(1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン、(2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、(3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、(4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、(5)少なくとも1つの定常領域ドメインと免疫グロブリンヒンジ領域(又はヒンジ領域の一部)との組み合わせ、(6)重鎖定常領域各ドメインと軽鎖定常領域の二量体であってもよい。免疫グロブリンFcフラグメントをはじめとする定常領域は、生体内で代謝される生分解性のポリペプチドであるので、薬物のキャリアとして安全に用いることができる。また、免疫グロブリンFcフラグメントは、免疫グロブリン分子全体に比べて相対的に分子量が少ないので、結合体の作製、精製及び収率面で有利なだけでなく、アミノ酸配列が抗体毎に異なるため、高い非均質性を示すFab部分を除去することにより、物質の同質性が非常に高くなり、血中抗原性を誘発する可能性が低くなるという効果も期待することができる。
【0139】
一方、免疫グロブリン定常領域は、ヒト起源、又はウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット、モルモットなどの動物起源であってもよく、具体的にはヒト起源である。また、免疫グロブリン定常領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来、又はそれらの組み合わせ(combination)もしくはそれらのハイブリッド(hybrid)による定常領域からなる群から選択されてもよい。具体的には、ヒト血液に最も豊富なIgG又はIgM由来であってもよく、最も具体的には、リガンド結合タンパク質の半減期を延長させることが知られているIgG由来であってもよい。本発明における免疫グロブリンFc領域は、同一起源のドメインからなる単鎖免疫グロブリンで構成された二量体又は多量体であってもよい。
【0140】
本発明における「組み合わせ(combination)」とは、二量体又は多量体を形成する際に、同一起源の単鎖免疫グロブリン定常領域(具体的にはFc領域)をコードするポリペプチドが異なる起源の単鎖ポリペプチドに結合することを意味する。すなわち、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD Fc及びIgE Fcフラグメントからなる群から選択される少なくとも2つのフラグメントから二量体又は多量体を作製することができる。
【0141】
本発明における「ハイブリッド(hybrid)」とは、単鎖免疫グロブリン定常領域(具体的にはFc領域)内に、少なくとも2つの異なる起源の免疫グロブリン定常領域に相当する配列が存在することを意味する。本発明においては、様々な形態のハイブリッドが可能である。すなわち、IgG Fc、IgM Fc、IgA Fc、IgE Fc及びIgD FcのCH1、CH2、CH3及びCH4からなる群から選択される1つ~4つのドメインのハイブリッドが可能であり、ヒンジ領域をさらに含んでもよい。
【0142】
IgGもIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のサブクラスに分けられ、本発明においては、それらの組み合わせ又はそれらのハイブリダイゼーションも可能である。具体的には、IgG2及びIgG4サブクラスであり、より具体的には、補体依存的傷害(CDC, Complementdependent cytotoxicity)などのエフェクター機能(effector function)のほとんどないIgG4のFc領域である。
【0143】
また、免疫グロブリン定常領域は、天然糖鎖、天然のものに比べて増加した糖鎖、天然のものに比べて減少した糖鎖、又は糖鎖が除去された形態であってもよい。このような免疫グロブリン定常領域糖鎖の増減又は除去には、化学的方法、酵素学的方法、微生物を用いた遺伝工学的方法などの通常の方法が用いられてもよい。ここで、免疫グロブリン定常領域から糖鎖が除去された免疫グロブリン定常領域は、補体(c1q)の結合力が著しく低下し、抗体依存性細胞傷害又は補体依存性細胞傷害が低減又は除去されるので、生体内で不要な免疫反応を誘発しない。このようなことから、糖鎖が除去されるか、非グリコシル化された免疫グロブリン定常領域は、薬物のキャリアとしての本来の目的に適する。よって、より具体的には、ヒトIgG4由来の非グリコシル化されたFc領域、すなわちヒト非グリコシル化IgG4 Fc領域を用いることができる。ヒト由来のFc領域は、ヒト生体において抗原として作用し、それに対する新規な抗体を生成するなどの好ましくない免疫反応を起こす非ヒト由来のFc領域に比べて好ましい。
【0144】
また、本発明の免疫グロブリン定常領域には、天然アミノ酸配列だけでなく、その配列誘導体(mutant)も含まれる。アミノ酸配列誘導体とは、天然アミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換、又はそれらの組み合わせにより異なる配列を有するものを意味する。例えば、IgG Fcの場合、結合に重要であることが知られている214~238、297~299、318~322又は327~331番目のアミノ酸残基が修飾に適した部位として用いられてもよい。また、ジスルフィド結合を形成する部位が除去された誘導体、天然FcからN末端のいくつかのアミノ酸が欠失された誘導体、天然FcのN末端にメチオニン残基が付加された誘導体など、様々な種類の誘導体が用いられる。さらに、エフェクター機能をなくすために、補体結合部位、例えばC1q結合部位が除去されてもよく、ADCC部位が除去されてもよい。このような免疫グロブリン定常領域の配列誘導体を作製する技術は、特許文献1、2などに開示されている。
【0145】
分子の活性を全体的に変化させないタンパク質及びペプチドにおけるアミノ酸交換は当該分野において公知である(非特許文献4)。最も一般的な交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。場合によっては、リン酸化(phosphorylation)、硫酸化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、グリコシル化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)、アセチル化(acetylation)、アミル化(amidation)などにより修飾(modification)されてもよい。
【0146】
前述した免疫グロブリン定常領域誘導体は、本発明の免疫グロブリン定常領域と同じ生物学的活性を示すが、免疫グロブリン定常領域の熱、pHなどに対する構造的安定性を向上させた誘導体であってもよい。また、このような免疫グロブリン定常領域は、ヒト、及びウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット、モルモットなどの動物の生体内から分離した天然のものから得てもよく、形質転換された動物細胞もしくは微生物から得られた組換えたもの又はその誘導体であってもよい。ここで、天然のものから得る方法においては、全免疫グロブリンをヒト又は動物の生体から分離し、その後タンパク質分解酵素で処理することにより得ることができる。パパインで処理するとFab及びFcに切断され、ペプシンで処理するとpF’c及びF(ab)2に切断される。これらは、サイズ排除クロマトグラフィー(size-exclusion chromatography)などを用いてFc又はpF’cを分離することができる。
【0147】
具体的には、ヒト由来の免疫グロブリン定常領域は、微生物から得られた組換え免疫グロブリン定常領域であってもよい。
【0148】
本発明におけるリンカーは、前記生体内半減期を延長させることのできる物質のN末端、C末端、チオール基(例えば、システイン)、アミノ基(例えば、リシン、アルギニン、グルタミン又はヒスチジン)及び/又はヒドロキシ基に結合され、GLP-2誘導体のN末端、C末端、チオール基(例えば、システイン)、アミノ基(例えば、リシン、アルギニン、グルタミン又はヒスチジン)、アジド基(例えば、6-アジドリシン)及び/又はヒドロキシ基に結合されてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0149】
前記リンカーは、ペプチド性リンカー又は非ペプチド性リンカーであってもよい。
【0150】
前記非ペプチド性リンカーとしてタンパク質分解酵素に抵抗性のある重合体を用いることにより、GLP-2誘導体の生体内半減期を延長させることのできる物質と同様にGLP-2誘導体の血中半減期を維持することができる。よって、本発明に用いられる非ペプチド性リンカーは、このような役割を果たすもの、すなわち生体内タンパク質分解酵素に抵抗性のある非ペプチド性重合体であれば制限なく用いられる。
【0151】
本発明における「非ペプチド性重合体」とは、繰り返し単位が少なくとも2つ結合された生体適合性重合体を含み、「非ペプチド性リンカー」と混用される。前記繰り返し単位は、ペプチド結合を除く任意の共有結合により互いに連結される。本発明における非ペプチド性重合体は、末端に反応基を含み、結合体を構成する他の構成要素との反応により結合体を形成することができる。このような非ペプチド性重合体は両末端又は三末端を有する。
【0152】
本発明における「非ペプチド性重合体連結部(linkage moiety)」とは、両末端に反応基を有する非ペプチド性重合体が各反応基を介して、免疫グロブリンFc領域及びGLP-2誘導体に結合して形成した結合体内の一構成要素を意味する。
【0153】
具体的な一実施形態において、前記GLP-2誘導体は、両末端に免疫グロブリンFc領域及びGLP-2誘導体に結合される反応基を含む非ペプチド性重合体を介して、免疫グロブリンFc領域及びGLP-2誘導体が互いに共有結合的に連結されたものであってもよい。
【0154】
具体的には、特にこれらに限定されるものではないが、前記非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)やPLGA(polylactic-glycolic acid)などの生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチド及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。より具体的な実施形態において、前記非ペプチド性重合体はポリエチレングリコールであってもよいが、これに限定されるものではない。また、当該分野で公知のそれらの誘導体や当該分野の技術水準で容易に作製できる誘導体も本発明に含まれる。
【0155】
前記リンカーによる結合は、非共有化学結合や共有化学結合など、いかなる化学結合でもよく、限定されるものではない。
【0156】
本発明に用いられる非ペプチド性重合体は、生体内タンパク質分解酵素に抵抗性のある重合体であれば制限なく用いられる。すなわち、非ペプチド性重合体の分子量は、0超、200kDa以下の範囲、具体的には1~100kDaの範囲、より具体的には1~50kDaの範囲、さらに具体的には1~20kDaの範囲、一層具体的には3.4kDa~10kDaの範囲、より一層具体的には約3.4kDaであるが、これらに限定されるものではない。
【0157】
また、前記キャリア、特に免疫グロブリンFc領域に結合される本発明の非ペプチド性重合体は、1種類の重合体だけでなく、異なる種類の重合体の組み合わせが用いられてもよい。
【0158】
具体的な一実施形態において、前記非ペプチド性重合体の両末端は、免疫グロブリンFc領域のチオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、及びGLP-2誘導体のチオール基、アミノ基、アジド基、ヒドロキシ基に結合されてもよい。
【0159】
すなわち、前記非ペプチド性重合体は、両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc及びGLP-2誘導体に結合される反応基、具体的には免疫グロブリンFc領域のシステインのチオール基と、N末端、リシン、アルギニン、グルタミン及び/又はヒスチジンに位置するアミノ基と、C末端に位置するヒドロキシ基とからなる群から選択される少なくとも1つに結合され、GLP-2誘導体のシステインのチオール基と、リシン、アルギニン、グルタミン及び/又はヒスチジンのアミノ基と、アジドリシンのアジド基と、ヒドロキシ基とからなる群から選択される少なくとも1つに結合される反応基であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0160】
より具体的には、前記非ペプチド性重合体の反応基は、アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基、マレイミド基及びスクシンイミド誘導体からなる群から選択される少なくとも1つであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0161】
前記において、アルデヒド基の例として、プロピオンアルデヒド基又はブチルアルデヒド基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0162】
前記において、スクシンイミド誘導体としては、スクシンイミジルカルボキシメチル、スクシンイミジルバレレート、スクシンイミジルメチルブタノエート、スクシンイミジルメチルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、スクシンイミジルプロピオネート、N-ヒドロキシスクシンイミド又はスクシンイミジルカーボネートが用いられてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0163】
前記非ペプチド性重合体は、前記反応基を介して免疫グロブリンFc及びGLP-2誘導体に連結され、非ペプチド性重合体連結部に変換されてもよい。
【0164】
また、アルデヒド結合による還元性アルキル化で生成された最終産物は、アミド結合で連結されたものよりはるかに安定している。アルデヒド反応基は、低いpHではN末端に選択的に反応し、高いpH、例えばpH9.0の条件ではリシン残基と共有結合を形成することができる。
【0165】
本発明の非ペプチド性重合体の末端反応基は、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。前記非ペプチド性重合体は、末端にアルデヒド反応基を有するものであってもよく、また前記非ペプチド性重合体は、末端にそれぞれアルデヒド基及びマレイミド反応基を有するものであってもよく、末端にそれぞれアルデヒド基及びスクシンイミド反応基を有するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0166】
一例として、一末端にはマレイミド基、他の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基又はブチルアルデヒド基を有してもよい。他の例として、一末端にはスクシンイミジル基、他末端にはプロピオンアルデヒド基又はブチルアルデヒド基を有してもよい。
【0167】
プロピオン側の末端にヒドロキシ反応基を有するポリ(エチレングリコール)を非ペプチド性重合体として用いる場合、公知の化学反応により前記ヒドロキシ基を前述した様々な反応基として活性化するか、市販されている修飾された反応基を有するポリ(エチレングリコール)を用いることにより、本発明の結合体を製造することができる。
【0168】
具体的な一実施形態において、前記非ペプチド性重合体の反応基がGLP-2誘導体のシステイン残基、より具体的にはシステインの-SH基に連結されてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0169】
マレイミド-PEG-アルデヒドを用いる場合、マレイミド基はGLP-2誘導体の-SH基にチオエーテル(thioether)結合で連結することができ、アルデヒド基は免疫グロブリンFcの-NH2基に還元的アルキル化反応により連結することができるが、これらに限定されるものではなく、これは一例にすぎない。
【0170】
このような還元的アルキル化により、PEGの一末端に位置する酸素原子に免疫グロブリンFc領域のN末端アミノ基が-CH2CH2CH2-の構造を有するリンカー官能基を介して互いに連結され、-PEG-O-CH2CH2CH2NH-免疫グロブリンFcのような構造を形成することができ、チオエーテル結合により、PEGの一末端がGLP-2誘導体のシステインに位置する硫黄原子に連結された構造を形成することができる。前記チオエーテル結合は、化学式1の構造を有するものであってもよい。
【0171】
【化1】
【0172】
しかし、前記例に特に限定されるものではなく、これは一例にすぎない。
【0173】
また、前記結合体において、非ペプチド性重合体の反応基が免疫グロブリンFc領域のN末端に位置する-NH2に連結されたものであってもよいが、これは一例にすぎない。
【0174】
さらに、前記結合体において、GLP-2誘導体は、反応基を有する非ペプチド性重合体にC末端を介して連結されてもよいが、これは一例にすぎない。
【0175】
本発明における「C末端」とは、ペプチドのカルボキシ末端を意味し、本発明の目的上、非ペプチド性重合体に結合する位置を意味する。例えば、これらに限定されるものではないが、C末端の最末端のアミノ酸残基だけでなく、C末端周辺のアミノ酸残基が全て含まれてもよく、具体的には最末端から1~20番目のアミノ酸残基が含まれてもよい。
【0176】
具体的な一実施形態において、GLP-2誘導体と生体内半減期を延長させることのできる物質の連結は、遺伝子組換え法であってもよい。
【0177】
具体的な一実施形態において、本発明のGLP-2結合体は、GLP-2誘導体と免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性重合体を介して前記非ペプチド性重合体の両末端にそれぞれ共有結合で連結されたGLP-2結合体であって、前記非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるGLP-2結合体であってもよい。
【0178】
具体的には、本発明のGLP-2誘導体は、導入されたチオール基、アミノ基又はアジド基がリンカーである非ペプチド性重合体と共有結合を形成することができるので、本発明のGLP-2誘導体を用いると、結合位置が選択的に調節されたGLP-2結合体が得られる。
【0179】
また、本発明のGLP-2誘導体は、N末端のアミノ基が置換、除去又は修飾されるので、非ペプチド性重合体が生体内活性に重要な部位であるN末端に結合されることが防止され、結合位置が選択的に調節されたGLP-2結合体が得られる。
【0180】
本発明におけるGLP-2結合体は、GLP-2誘導体の結合体、GLP-2誘導体の持続型結合体、又は持続型GLP-2誘導体の結合体と混用される。
【0181】
本発明のさらに他の態様は、前記GLP-2誘導体と、その生体内半減期を延長させることのできる物質を連結するステップを含む、GLP-2結合体の製造方法を提供する。
【0182】
前記GLP-2誘導体、その生体内半減期を延長させることのできる物質、及びGLP-2結合体については前述した通りである。
【0183】
具体的には、前記方法は、(a)少なくとも2つの末端反応基を有する非ペプチド性重合体と、GLP-2誘導体とキャリア(例えば、免疫グロブリンFc領域)のいずれか一方とを反応させ、GLP-2誘導体又はキャリアが一末端に付着し、他末端に反応基(reactive end group)を有する連結体を作製するステップと、(b)前記(a)ステップで作製した連結体と、キャリアとGLP-2誘導体のうち連結体に結合されていない他方とを反応させ、GLP-2誘導体とキャリアが非ペプチド性重合体を介して連結された結合体を製造するステップとを含んでもよい。
【0184】
前記非ペプチド性重合体、キャリア、GLP-2誘導体、及びそれらの連結構成については前述した通りである。
【0185】
本発明における「連結体」とは、非ペプチド性重合体と、GLP-2誘導体とキャリアのいずれか一方のみが共有結合で連結された中間体であり、前記連結体のGLP-2誘導体又はキャリアが連結されていない非ペプチド性重合体の末端に、連結体に結合されていないGLP-2誘導体又はキャリアが結合されてもよい。
【0186】
本発明のさらに他の態様は、前記GLP-2結合体を含む、生体内持続性及び安定性が向上したGLP-2持続性製剤を提供する。
【0187】
一方、バイオアベイラビリティを増加させるか、持続的に活性を維持する製剤としては、PLGA、ヒアルロン酸、キトサンなどを用いたマイクロパーティクル、ナノパーティクルなどによる徐放性(sustained release)剤形が挙げられる。
【0188】
また、バイオアベイラビリティを増加させるか、持続的に活性を維持する他の態様の製剤としては、インプラント(implant)、吸入剤(inhalation)、ネーザル(nasal)、パッチ(patch)などの形態の製剤が挙げられる。
【0189】
このような本発明のGLP-2結合体は、従来のGLP-2の生体内活性が維持されるだけでなく、GLP-2誘導体の血中半減期及びそれによる前記ペプチドの生体内効力持続効果が画期的に向上するので、腸疾患、腸損傷及び胃疾患の治療に有用である。
【0190】
本発明のさらに他の態様は、前記GLP-2誘導体及び/又はGLP-2結合体を含む組成物、例えば薬学的組成物を提供する。
【0191】
前記薬学的組成物は、腸疾患、腸損傷及び胃疾患から選択される少なくとも1つの予防又は治療用薬学的組成物であってもよい。
【0192】
前記GLP-2誘導体及びGLP-2結合体については前述した通りである。
【0193】
本発明における「腸疾患」は、短腸症候群、過敏性腸疾患、炎症性腸疾患、クローン病、結腸炎、大腸炎、膵炎、回腸炎、粘膜炎又は腸萎縮であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0194】
本発明における「胃疾患」は、胃痙攣、胃炎、胃潰瘍、十二指腸炎又は十二指腸潰瘍であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0195】
本発明における「予防」とは、前記薬学的組成物の投与により疾患の発生を抑制又は遅延させるあらゆる行為を意味し、「治療」とは、前記薬学的組成物の投与により疾患の症状を好転又は有利に変化させるあらゆる行為を意味する。
【0196】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に許容される担体を含んでもよい。
【0197】
本発明における「薬学的に許容される」とは、治療効果を発揮する程度の十分な量と副作用を起こさないことを意味し、疾患の種類、患者の年齢、体重、健康状態、性別、薬物に対する感受性、投与経路、投与方法、投与回数、治療期間、配合、同時に用いられる薬物などの医学分野で公知の要素により当業者が容易に決定することができる。
【0198】
薬学的に許容される担体は、経口投与の場合は、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素、香料などを用いることができ、注射剤の場合は、緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張化剤、安定化剤などを混合して用いることができ、局所投与用の場合は、基剤、賦形剤、滑沢剤、保存剤などを用いることができる。本発明の薬学的組成物の剤形は、前述したような薬学的に許容される担体と混合して様々な形態に製造することができる。例えば、経口投与の場合は、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハー剤などの形態に製造することができ、注射剤の場合は、使い捨てアンプル又は複数回投薬形態に製造することができる。その他、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル剤、徐放型製剤などに剤形化することができる。
【0199】
なお、製剤化に適した担体、賦形剤及び希釈剤の例としては、ラクトース、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、デンプン、アカシア、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油など挙げられる。また、充填剤、抗凝集剤、滑沢剤、湿潤剤、香料、乳化剤、防腐剤などをさらに含んでもよい。
【0200】
また、本発明のGLP-2誘導体及び/又はGLP-2結合体は、本発明の組成物の総重量に対して0.001重量%~10重量%であってもよいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0201】
本発明のさらに他の態様は、前記GLP-2誘導体、GLP-2結合体及び/又はそれを有効成分として含む薬学的組成物を、それを必要とする個体に投与するステップを含む、腸疾患、腸損傷及び胃疾患から選択される少なくとも1つの疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0202】
前記GLP-2誘導体、GLP-2結合体、薬学的組成物、腸疾患、腸損傷、胃疾患、予防及び治療については前述した通りである。
【0203】
本発明における「個体」とは、腸疾患、腸損傷、胃疾患の疑いのある個体であり、前記疾患の疑いのある個体とは、当該疾患が発症したか、発症するリスクのある、ヒトをはじめとしてマウス、家畜などが含まれる哺乳動物を意味するが、本発明のGLP-2誘導体、GLP-2結合体又はそれを含む前記組成物で治療可能な個体であればいかなるものでもよい。
【0204】
本発明における「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を導入することを意味し、前記アナログの投与経路は、薬物を標的組織に送達できるものであれば、いかなる一般的な経路で投与してもよい。腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与、直腸内投与などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。しかし、経口投与の場合はペプチドが消化されるので、経口用組成物は、活性薬剤をコーティングしたり、胃での分解から保護されるように剤形化することが好ましい。注射剤の形態で投与することが好ましい。また、薬学的組成物は、有効成分を標的細胞に送達することのできる任意の装置により投与することができる。
【0205】
また、本発明の薬学的組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別及び体重、疾患の重症度などの様々な関連因子と共に、有効成分である薬物の種類により決定される。本発明の薬学的組成物は、生体内持続性に優れるので、本発明の薬学的組成物の投与回数及び頻度を大幅に減少させることができる。
【0206】
本発明の組成物の総有効量は、単回投与量(single dose)で患者に投与してもよく、複数回投与量(multiple dose)で長期間投与する分割治療方法(fractionated treatment protocol)により投与してもよい。本発明の薬学的組成物は、疾患の程度に応じて有効成分の含有量を変えてもよい。具体的には、本発明のGLP-2誘導体又はGLP-2結合体の総用量は、1日体重1kg当たり約0.0001mg~500mgであることが好ましい。
【0207】
しかし、前記GLP-2誘導体又はGLP-2結合体の用量は、薬学的組成物の投与経路及び治療回数だけでなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食餌、排泄率などの様々な要因を考慮して患者に対する有効投与量が決定されるので、これらを考慮すると、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、前記本発明の組成物の特定の用途に応じた適切な有効投与量を決定することができるであろう。本発明による薬学的組成物は、本発明の効果を奏するものであれば、その剤形、投与経路及び投与方法が特に限定されるものではない。
【0208】
本発明のさらに他の態様は、薬剤の製造における、前記GLP-2誘導体又はGLP-2結合体の用途である。
【0209】
本発明の一態様は、腸疾患、腸損傷及び胃疾患から選択される少なくとも1つの予防又は治療用の前記薬剤であるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0210】
本発明の他の態様は、腸疾患、腸損傷及び胃疾患から選択される少なくとも1つの予防又は治療における、前記GLP-2誘導体又はGLP-2結合体の用途である。
【0211】
前記GLP-2誘導体、GLP-2結合体、腸疾患、腸損傷、胃疾患については前述した通りである。
【0212】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明を例示するものにすぎず、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0213】
[実施例1]
CA-GLP-2 KC-PEG(10K)-免疫グロブリンFc結合体又はCA-GLP-2 RC-PEG(10K)-免疫グロブリンFc結合体の製造
10kDaのMAL-ALD PEG(両末端の水素がそれぞれ3-[(3-N-マレイミジル)プロパノイル]アミノプロピル基とプロピルアルデヒド基で修飾された分子量10kDaのポリエチレングリコール,日本NOF社)をCA-GLP-2 KC又はCA-GLP-2 RC(CPC, Chinese Peptide Co, 中国)の34位のシステイン残基にペグ化させるために、CA-GLP-2 KC又はCA-GLP-2 RCとPEGのモル比を1:1~2とし、ペプチドの濃度を1~3mg/mlとして、1~3時間反応させた。ここで、反応は、50mMトリス(Tris, pH7.5)とイソプロパノールの混合溶媒において行った。反応液は、クエン酸ナトリウム(pH2.0)、エタノールを含む緩衝液と塩化カリウムの濃度勾配によるSP Sepharose High Performance(GE, 米国)カラムを用いて精製し、モノペグ化された(mono-PEGylated)CA-GLP-2 KC又はモノペグ化されたCA-GLP-2 RCを得た。
【0214】
次に、前記精製したモノペグ化されたCA-GLP-2 KC又はモノペグ化されたCA-GLP-2 RCと免疫グロブリンFcフラグメントのモル比が1:2~1:6になるようにし、総タンパク質濃度を30~35mg/mLとして、2~8℃で12~20時間反応させた。ここで、反応液は、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)とイソプロパノールに還元剤として20mMシアノ水素化ホウ素ナトリウム[sodium cyanoborohydride(NaCNBH3)]を添加したものである。
【0215】
反応終了後に、反応液は、ビス-トリス(bis-Tris, pH6.5)緩衝液と塩化ナトリウムの濃度勾配を用いてSource 15Q(GE, 米国)カラムに適用し、硫酸アンモニウムとクエン酸ナトリウム(pH5.0~5.2)の濃度勾配を用いてSource 15ISO(GE, 米国)に適用して精製し、免疫グロブリンFcにCA-GLP-2 KC又はCA-GLP-2 RCがPEGにより共有結合で連結された結合体であるCA-GLP-2 KC(10K PEG)誘導体の持続型結合体CA-GLP-2 KC-PEG(10K)-免疫グロブリンFcとCA-GLP-2 RC(10K PEG)誘導体の持続型結合体CA-GLP-2 RC-PEG(10K)-免疫グロブリンFcを得た。HPLC逆相分析の結果、結合体の純度はそれぞれ92.9%、95.6%であった。その結果を図1に示す。
【0216】
[実施例2]
CA-GLP-2 RK-PEG(3.4K又は10K)-免疫グロブリンFc結合体の製造
3.4kDa又は10kDaのALD(2)PEG(両末端の水素がプロピルアルデヒド基で修飾された分子量3.4kDaのポリエチレングリコール,日本NOF社)をCA-GLP-2 RK(CPC, Chinese Peptide Co., 中国)の34位のリシン残基にペグ化させるために、CA-GLP-2 RKとPEGのモル比を1:5~1:20とし、ペプチドの濃度を5~10mg/mlとして、2~8℃で4~16時間反応させた。ここで、反応は、20mMヘペス(HEPES, pH7.5)とエタノールにおいて行い、還元剤として20mMシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加して反応させた。反応液は、クエン酸ナトリウム(pH2.0)、エタノールを含む緩衝液と塩化カリウムの濃度勾配を用いたSource 15S(GE, 米国)カラムを用いて精製し、モノペグ化されたCA-GLP-2 RKを得た。
【0217】
次に、前記精製したモノペグ化されたCA-GLP-2 RKと免疫グロブリンFcの結合体を実施例1と同様の反応及び精製条件で製造及び精製した。HPLC逆相分析の結果、免疫グロブリンFcにCA-GLP-2 RKがPEGにより共有結合で連結された結合体であるCA-GLP-2 RK(3.4K PEG)誘導体の持続型結合体CA-GLP-2 RK-PEG(3.4K)-免疫グロブリンFcとCA GLP-2 RK(10K PEG)誘導体の持続型結合体CA-GLP-2 RK-PEG(10K)-免疫グロブリンFcの純度はそれぞれ94.3%、92.6%であった。その結果を図1に示す。
【0218】
[実施例3]
CA-GLP-2 KK-PEG(10K)-免疫グロブリンFc結合体及びCA-GLP-2 KAZK-PEG(10K)-免疫グロブリンFc結合体の製造
実施例2の方法により、CA-GLP-2 KK及びCA-GLP-2 KAZKを用いて、免疫グロブリンFcにCA-GLP-2 KK又はCA-GLP-2 KAZKがPEGにより共有結合で連結された結合体であるCA GLP-2 KK(10K PEG)誘導体の持続型結合体CA-GLP-2 KK-PEG(10K)-免疫グロブリンFcとCA GLP-2 KAZK(10K PEG)誘導体の持続型結合体CA-GLP-2 KAZK-PEG(10K)-免疫グロブリンFcを製造及び精製した。
【0219】
[実施例4]
GLP-2誘導体及びその持続型結合体のin vitro活性確認
前記実施例で得たGLP-2誘導体及びGLP-2誘導体持続型結合体の活性を測定するために、GLP-2受容体が形質転換された細胞株を用いて、in vitroで細胞活性を測定する方法を行った。前記細胞株は、CHO(Chinese hamster ovary)-K1がヒトGLP-2受容体を発現するように形質転換したものであり、GLP-2の活性を測定するのに適している(DiscoverX, USA)。
【0220】
GLP-2誘導体とその持続型結合体の活性測定のために、ヒトGLP-2とTeduglutide(Gattex(登録商標), Shire)を166.7nMから0.0028nMまで3倍連続希釈し、GLP-2誘導体を500nMから0.0085nMまで3倍連続希釈し、GLP-2誘導体の持続型結合体を3000nMから0.0508nMまで3倍連続希釈した。前記培養したヒトGLP-2受容体を発現するCHO-K1細胞から培養液を除去し、連続希釈した各物質を5μlずつ前記細胞に添加し、次いでcAMP抗体を含む緩衝液を5μlずつ追加し、その後常温で15分間培養した。次に、細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer)を含むdetection mixを10μlずつ加えて細胞を溶解させ、常温で60分間反応させた。前記反応が終了した細胞溶解物をLANCE cAMP kit(PerkinElmer, USA)に適用し、蓄積されたcAMPからEC50値を算出し、相互比較した。ヒトGLP-2に対する相対力価を表2に示す。
【0221】
【表2】
【0222】
前述したように製造した新規なGLP-2誘導体及びその持続型結合体は、GLP-2受容体を活性化させる機能を有し、ヒトGLP-2に対するGLP-2誘導体の相対力価が非常に優れていることが確認された。また、配列番号4のGLP-2誘導体(CA GLP-2 RK)と配列番号6のGLP-2誘導体(CA GLP-2 RC)の持続型結合体は、配列番号2のGLP-2誘導体(CA GLP-2 KC)の持続型結合体に対する高い活性が確認されたので、目的とする疾患の治療的物質として用いることができる。
【0223】
[実施例5]
GLP-2誘導体の持続型結合体のSDラットにおける薬物動態確認
GLP-2誘導体の持続型結合体の薬物動態を正常ラットにおいて比較した。8週齢の正常ラットをCA GLP-2 KC(10K PEG)誘導体、CA GLP-2 RC(10K PEG)誘導体、CA GLP-2 RK(10K PEG)誘導体及びCA GLP-2 RK(3.4K PEG)誘導体の持続型結合体投与群(2.52mg/kg)に分けた。正常ラットに前記試験物質を1群当たり3匹ずつ単回皮下投与し、CA GLP-2 KC(10K PEG)誘導体の持続型結合体においては1、4、8、24、48、72、96、120、144及び168時間後に尾静脈採血により全血を収集し、それ以外のCA GLP-2誘導体の持続型結合体においては1、4、8、24、48、72、96、120、144、168、192、216、240、264、288、312及び336時間後に尾静脈採血により全血を収集した。全血を1.5mL容量のマイクロチューブに入れ、5,000rpmにて常温で10分間遠心分離して血清を分離し、その後-20℃で保管した。保管した各群の血清は、ELISA分析法により血清中の濃度を定量化した。CA GLP-2誘導体持続型結合体においては、ビオチン標識されたGLP-2モノクローナル抗体(Phoenix Pharmaceuticals, #B-028-14)をストレプトアビジン(Streptadivin)がコーティングされたプレート(Roche, #11645692001)に結合させ、その後血清と1時間反応させた。洗浄後に抗ヒトIgG4-HPR(Alpha Diagonosis, #10124)を入れ、常温で1時間反応させ、その後TMB試薬で発色反応させ、450nmの波長で吸光度を測定した。血清中の濃度を用いて薬物動態パラメータを算出した。
【0224】
その結果、全てのCA GLP-2誘導体の持続型結合体において、同程度のAUC及び半減期が確認された。特に、CA GLP-2 RK(3.4K PEG)誘導体の持続型結合体においては、短いPEGにより半減期が多少短くなる傾向を示したが、AUCには大差がなかった。その結果を図2と表3に示す。
【0225】
【表3】
【0226】
[実施例6]
GLP-2誘導体の持続型結合体とtedulglutideのSDラットにおける薬物動態比較
Teduglutide及びGLP-2誘導体の持続型結合体の薬物動態を比較した。8週齢の正常ラットをTeduglutide投与群(2.5mg/kg)とCA GLP-2 RK(3.4K PEG)誘導体の持続型結合体投与群(0.705mg/kg)に分けた。正常ラットに前記試験物質を1群当たり3匹ずつ単回皮下投与し、Teduglutide投与群においては0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8及び24時間後に尾静脈採血により全血を収集し、CA GLP-2 RK誘導体の持続型結合体投与群においては4、8、24、48、72、96、120、144、168、192、216、240、264、288、312及び336時間後に尾静脈採血により全血を収集した。全血を1.5mL容量のマイクロチューブに入れ、5,000rpmにて常温で10分間遠心分離して血清を分離し、その後-20℃で保管した。保管した各群の血清は、ELISA分析法により血清中の濃度を定量化した。Teduglutideにおいては、GLP-2 ELISA Kit(Alpco, #48-GP2HU-E01.1)を用いた。CA GLP-2 RK誘導体の持続型結合体においては、ビオチン標識されたGLP-2ポリクローナル抗体(Phoenix Pharmaceuticals, #B-028-14)をストレプトアビジン(Streptavidin)がコーティングされたプレート(Roche, #11645692001)に結合させ、その後血清と1時間反応させた。洗浄後に抗ヒトIgG4-HPR(Alpha Diagonosis, #10124)を入れ、常温で1時間反応させ、その後TMB試薬で発色反応させ、450nmの波長で吸光度を測定した。血清中の濃度を用いて薬物動態パラメータを算出した。
【0227】
その結果、CA GLP-2 RK誘導体の持続型結合体において、Teduglutideに比べてAUC、半減期がどちらも大幅に増加することが確認された。その結果を図3と表4に示す。
【0228】
【表4】
【0229】
[実施例7]
GLP-2誘導体の持続型結合体の正常マウスにおけるin vivo腸重量増加効果の確認
Teduglutide及びGLP-2誘導体の持続型結合体のin vivo腸重量増加効果を正常マウスにおいて確認した。
【0230】
7週齢のC57BL/6マウスをvehicle、Teduglutide投与群(7.5&15nmol/kg/BID)とCA GLP-2 RK(3.4K PEG)誘導体の持続型結合体投与群(4.15,7.5,15,30nmol/kg/Q2D)に分けた。1群当たり5匹とし、13日間投与して剖検した。腸を灌流し、その後小腸の重量と小腸の絨毛の長さを測定した。
【0231】
その結果、TeduglutideとCA GLP-2 RK誘導体の持続型結合体のどちらも体重で補正した小腸の重量が投与用量依存的に増加し(図4のA)、絨毛の長さの増加と関連がある(図4のB)ことから、小腸の重量の増加は絨毛の増加に起因することが示唆された。Teduglutideの最大効果をもたらすことが知られている高用量投与群(15nmol/kg/BID)は、CA GLP-2 RK誘導体の持続型結合体投与群の低用量投与群(4.15nmol/kg/Q2D)と同程度であり、用量依存的にTeduglutideの最大効果を凌駕することが確認された。その結果を図4に示す。
【0232】
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、前記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明には、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態が含まれるものと解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
2023138505000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0232
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0232】
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、前記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明には、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態が含まれるものと解釈すべきである。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)誘導体と免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性重合体を介して前記非ペプチド性重合体の両末端にそれぞれ共有結合で連結されたGLP-2結合体であって、
前記非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるGLP-2結合体。
〔2〕前記GLP-2誘導体は、下記一般式1のアミノ酸配列を含む、前記〔1〕に記載のGLP-2結合体。
[一般式1]
1 2 DGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTX 30 ITDX 34 (配列番号9)
(ここで、X 1 はヒスチジン、イミダゾアセチルデスヒスチジン、デスアミノヒスチジン、β-ヒドロキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジン、N-ジメチルヒスチジン又はβ-カルボキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジンであり、
2 はアラニン、グリシン又はAib(2-aminoisobutyric acid)であり、
30 はリシン又はアルギニンであり、
34 は不在であるか、リシン、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン、6-アジドリシン又はシステインであるが、
一般式1のアミノ酸配列のうち配列番号1と同じ配列は除く。)
〔3〕前記GLP-2誘導体は、(1)X 2 がグリシンであるか、(2)X 30 がアルギニンであるか、又は(3)X 2 がグリシンであり、X 30 がアルギニンである、前記〔2〕に記載のGLP-2結合体。
〔4〕前記GLP-2誘導体は、
(1)X 1 がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X 2 がグリシンであり、X 30 がリシンであり、X 34 がシステインであるか、
(2)X 1 がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X 2 がグリシンであり、X 30 がリシンであり、X 34 がリシンであるか、
(3)X 1 がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X 2 がグリシンであり、X 30 がアルギニンであり、X 34 がリシンであるか、
(4)X 1 がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X 2 がグリシンであり、X 30 がリシンであり、X 34 が6-アジドリシンであるか、
(5)X 1 がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X 2 がグリシンであり、X 30 がアルギニンであり、X 34 がシステインであるか、
(6)X 1 がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X 2 がAibであり、X 30 がリシンであり、X 34 がシステインであるか、又は
(7)X 1 がヒスチジンであり、X 2 がAibであり、X 30 がリシンであり、X 34 がシステインである、前記〔2〕又は〔3〕に記載のGLP-2結合体。
〔5〕前記GLP-2誘導体は、少なくとも1つの残基がシステイン、リシン、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン又は6-アジドリシンである、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載のGLP-2結合体。
〔6〕前記GLP-2誘導体は、配列番号2~8からなる群から選択されるアミノ酸配列である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載のGLP-2結合体。
〔7〕前記非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域とGLP-2誘導体のヒドロキシ基、チオール基、アミノ基又はアジド基に結合された、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載のGLP-2結合体。
〔8〕前記免疫グロブリンFc領域は非グリコシル化されたことを特徴とする、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載のGLP-2結合体。
〔9〕前記免疫グロブリンFc領域はヒンジ領域を含む、前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載のGLP-2結合体。
〔10〕前記免疫グロブリンFc領域はIgG4 Fc領域である、前記〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載のGLP-2結合体。
〔11〕下記一般式1のアミノ酸配列を含むGLP-2誘導体。
[一般式1]
1 2 DGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTX 30 ITDX 34 (配列番号9)
(ここで、X 1 はヒスチジン、イミダゾアセチルデスヒスチジン、デスアミノヒスチジン、β-ヒドロキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジン、N-ジメチルヒスチジン又はβ-カルボキシイミダゾプロピオニルデスヒスチジンであり、
2 はアラニン、グリシン又はAib(2-aminoisobutyric acid)であり、
30 はリシン又はアルギニンであり、
34 は不在であるか、リシン、アルギニン、グルタミン、ヒスチジン、6-アジドリシン又はシステインであるが、
一般式1のアミノ酸配列のうち配列番号1と同じ配列は除く。)
〔12〕前記GLP-2誘導体は、(1)X 2 がグリシンであるか、(2)X 30 がアルギニンであるか、又は(3)X 2 がグリシンであり、X 30 がアルギニンである、前記〔11〕に記載のGLP-2誘導体。
〔13〕前記GLP-2誘導体は、
(1)X 1 がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X 2 がグリシンであり、X 30 がリシンであり、X 34 がシステインであるか、
(2)X 1 がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X 2 がグリシンであり、X 30 がリシンであり、X 34 がリシンであるか、
(3)X 1 がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X 2 がグリシンであり、X 30 がアルギニンであり、X 34 がリシンであるか、
(4)X 1 がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X 2 がグリシンであり、X 30 がリシンであり、X 34 が6-アジドリシンであるか、
(5)X 1 がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X 2 がグリシンであり、X 30 がアルギニンであり、X 34 がシステインであるか、
(6)X 1 がイミダゾアセチルデスヒスチジンであり、X 2 がAibであり、X 30 がリシンであり、X 34 がシステインであるか、又は
(7)X 1 がヒスチジンであり、X 2 がAibであり、X 30 がリシンであり、X 34 がシステインである、前記〔11〕又は〔12〕に記載のGLP-2誘導体。
〔14〕前記〔11〕~〔13〕のいずれか一項に記載のGLP-2誘導体をコードする分離された核酸。
〔15〕前記〔14〕に記載の核酸を含む組換え発現ベクター。
〔16〕前記〔15〕に記載の組換え発現ベクターを含む形質転換体。
〔17〕a)前記〔11〕~〔13〕のいずれか一項に記載のGLP-2誘導体をコードする核酸を含む形質転換体を培養してGLP-2誘導体を発現させるステップと、
b)発現したGLP-2誘導体を分離及び精製するステップとを含む、前記〔11〕~〔13〕のいずれか一項に記載のGLP-2誘導体の製造方法。
〔18〕(a)少なくとも2つの末端反応基を有する非ペプチド性重合体と、前記〔11〕~〔13〕のいずれか一項に記載のGLP-2誘導体と免疫グロブリンFc領域のいずれか一方とを反応させ、一末端にGLP-2誘導体又は免疫グロブリンFc領域が結合され、他末端に反応基を有する連結体を作製するステップと、
(b)前記(a)ステップで作製した連結体と、免疫グロブリンFc領域とGLP-2誘導体のうち連結体に結合されていない他方とを反応させ、GLP-2誘導体と免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性重合体を介して連結された結合体を製造するステップとを含む、GLP-2結合体の製造方法。
〔19〕前記非ペプチド性重合体は、アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基、マレイミド基及びスクシンイミド誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの反応基を有する、前記〔18〕に記載のGLP-2結合体の製造方法。
〔20〕前記スクシンイミド誘導体は、スクシンイミジルカルボキシメチル、スクシンイミジルバレレート、スクシンイミジルメチルブタノエート、スクシンイミジルメチルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、スクシンイミジルプロピオネート、N-ヒドロキシスクシンイミド又はスクシンイミジルカーボネートである、前記〔19〕に記載のGLP-2結合体の製造方法。
〔21〕前記〔1〕~〔10〕のいずれかのGLP-2結合体、又は前記〔11〕~〔13〕のいずれか一項に記載のGLP-2誘導体を含む、腸疾患、腸損傷及び胃疾患から選択される少なくとも1つの疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
〔22〕前記腸疾患は、短腸症候群、過敏性腸疾患、炎症性腸疾患、クローン病、結腸炎、大腸炎、膵炎、回腸炎、粘膜炎又は腸萎縮である、前記〔21〕に記載の薬学的組成物。
〔23〕前記胃疾患は、胃痙攣、胃炎、胃潰瘍、十二指腸炎又は十二指腸潰瘍である、前記〔21〕に記載の薬学的組成物。
【外国語明細書】