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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138642
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】自走式作業機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/64 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
A01D34/64 M
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128397
(22)【出願日】2023-08-07
(62)【分割の表示】P 2019148499の分割
【原出願日】2019-08-13
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】梅田 洵平
(72)【発明者】
【氏名】甲地 重春
(57)【要約】
【課題】
草刈刃部の移動時に、障害物と衝突したときの、草刈刃部を障害物から逃がすスペースを設ける。
【解決手段】
本体部11と、本体部の進行方向両側に設けた走行部21と、本体部11及び走行部21の前方に位置するよう設ける作業部31と、作業部31に設ける草刈部41と、作業部31と本体部11とを連結する第1アーム32とを有し、
草刈部41は、第1アーム32の先端部に設け、進行方向に直交する鉛直方向の回動軸によって水平方向に回動自在であり、第1アーム32の中間部には、回動した草刈部41を収容可能な凹部Bを有することを特徴とする自走式作業機。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
本体部の進行方向両側に設けた走行部と、
本体部および走行部の前方に位置させ、上下方向に回動自在にする回動支点を有し、且つ、電力供給によって刈刃を回転駆動するモータを有した作業部と、
作業部の回動角度を検出するスイッチと、
スイッチの検出を受けてモータの駆動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする自走式作業機。
【請求項2】
作業部が予め設定された設定高さまで上昇するとモータへの電力供給を停止する、
ことを特徴とする請求項1記載の自走式作業機。
【請求項3】
作業部が設定高さ以上の高さで電力供給を停止されたモータは、作業部が設定高さ以下に復帰しても電力供給の停止状態を維持する、
ことを特徴とする請求項2記載の自走式作業機。
【請求項4】
本体部は作業部を回動することで昇降可能であって本体部から前方に延設した昇降アームと、を備え、
作業部は昇降アームの先端部に設けるとともに進行方向と直交する水平方向の回動支点で上下方向に回動自在の第1アームと、を備え、
設定高さは昇降アームと第1アームとの相対角度を検出して設定する、
ことを特徴とする請求項2または3記載の自走式作業機。
【請求項5】
スイッチがオン状態であるか否かを判断し、
リミットスイッチからなるスイッチがオフ状態の場合は、刈刃を回転させ、
リミットスイッチからなるスイッチがオン状態の場合は、刈刃の回転を停止させる、
ことを特徴とする請求項1または2記載の自走式作業機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自走式作業機に係る。詳細には、走行可能な本体部の前方、あるいは前方および側方に草刈り作業部を位置させて作業可能な自走式作業機に係る。
【背景技術】
【0002】
走行可能な本体部の前方および側方に草刈り作業部を位置させて作業可能な自走式作業機として、特許文献1に記載の草刈作業機が開示されている。この草刈作業機は、本体部の前方部に位置させた昇降可能な草刈作業部は、草刈作業部の一対の刈刃部を分離して、少なくとも一方を側方に移動するとともに畦の法面に傾斜させて当接させ法面草刈作業が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-157762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の草刈作業機は、進行方向に障害物が存在した場合、作業者の操縦によって自機を障害物から避けて進行させる必要がある。しかし、障害物の周囲近傍も可能な限り近いところまで作業したいという作業者の心理から、障害物に草刈作業部を衝突させてしまうことが多い、という課題を有する。
【0005】
障害物から避けようと本体部を後進させる場合、作業部を上昇させて後進させることがある。この時、草刈刃部が回転したままだと、地面から離れた草刈刃部の底面側が露呈し、草刈刃部から異物が飛散して安全に作業ができない課題を有する。
また、凹凸等がある地面から生える草を、可能な限り短く刈るためには、草刈部を地面に常時這わせることが楽である。しかし、大きな凹凸、特に自機の草刈部より大きな凸部を乗り越えようとすると、回転する刃部の底面が露呈し、草刈部から異物が飛散する課題を有する。
【0006】
更に、自走式作業機において、草刈刃部の移動時に、障害物と衝突したときは、草刈刃部を障害物から避ける必要がある。そのためには、草刈刃部を障害物から逃がすスペースが必要となる。しかし従来は、草刈刃部が移動して障害物と衝突したときの、草刈刃部を障害物から逃がすスペースは予定されていなかった。
【0007】
本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、容易に障害物の周囲の草を刈ることができるとともに、草刈部が地面から草刈部が離れても安全に作業ができる自走式作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、
本体部と、
本体部の進行方向両側に設けた走行部と、
本体部および走行部の前方に位置させ、上下方向に回動自在にする回動支点を有し、且つ、電力供給によって刈刃を回転駆動するモータを有した作業部と、
作業部の回動角度を検出するスイッチと、
スイッチの検出を受けてモータの駆動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする自走式作業機、
からなる。
【0009】
この発明は、更に、
作業部が予め設定された設定高さまで上昇するとモータへの電力供給を停止する、
ことを特徴とする自走式作業機、
からなる。
【0010】
この発明は、更に、
作業部が設定高さ以上の高さで電力供給を停止されたモータは、作業部が設定高さ以下に復帰しても電力供給の停止状態を維持する、
ことを特徴とする自走式作業機、
からなる。
【0011】
この発明は、更に、
本体部は作業部を回動することで昇降可能であって本体部から前方に延設した昇降アームと、を備え、
作業部は昇降アームの先端部に設けるとともに進行方向と直交する水平方向の回動支点で上下方向に回動自在の第1アームと、を備え、
設定高さは昇降アームと第1アームとの相対角度を検出して設定する、
ことを特徴とする自走式作業機、
からなる。
【0012】
この発明は、更に、
スイッチがオン状態であるか否かを判断し、
リミットスイッチからなるスイッチがオフ状態の場合は、刈刃を回転させ、
リミットスイッチからなるスイッチがオン状態の場合は、刈刃の回転を停止させる、
ことを特徴とする自走式作業機、
からなる。
【発明の効果】
【0013】
本願発明では、自走式作業機において、草刈部の移動時に、障害物と衝突したとき草刈部を障害物から避けて逃がすスペースを有する。草刈部は、第1アームの先端部に設け、進行方向に直交する鉛直方向の回動軸によって水平方向に回動自在であるので、障害物と衝突したとき草刈部は、鉛直方向の回動軸によって水平方向に回動して、障害物から避けてスペースに逃げることが可能となる。
更に、本発明では、容易に障害物の周囲の草を刈ることができるとともに、草刈部が地面から草刈部が離れても安全に作業ができる自走式作業機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施例に係る自走式作業機の作業状態の平面図である。
図2】この発明の実施例に係る自走式作業機の作業状態の正面図である。
図3】この発明の実施例に係る自走式作業機の第1規制体によって第1アームを非作業状態側に、反転させて規制した状態の平面図である。
図4】この発明の実施例に係る自走式作業機の第1規制体によって第1アームを非作業状態側に、反転させて規制した状態の正面図である。
図5】この発明の実施例に係る自走式作業機の第1規制体によって第1アームを非作業状態側に、反転させて規制した状態の背面図である。
図6】この発明の実施例に係る自走式作業機の第1規制体によって第1アームを作業状態で最大限に下降させて規制した状態の背面図である。
図7】この発明の実施例に係る自走式作業機の作業部の回動範囲を示す正面図である。
図8】この発明の実施例に係る自走式作業機の第1アームが作業位置(刈刃駆動)にある状態の一部拡大正面図である。
図9】この発明の実施例に係る自走式作業機の第1アームの角度を作業位置から上昇させて、刈刃の駆動が停止する直前の位置を示した一部拡大正面図である。
図10】この発明の実施例に係る自走式作業機の第1アームが本体部上方に位置するように回動させた位置を示した一部拡大正面図である。
図11】この発明の実施例に係る自走式作業機の、非作業状態における第1規制体の拡大背面図である。
図12】この発明の実施例に係る自走式作業機の、作業状態で第1アームが最下限に位置している状態における第1規制体の拡大背面図である。
図13】この発明の実施例に係る自走式作業機の作業状態の平面図である図1のF視図であって、作業状態の第2アーム、第2固定部の矢視図である。
図14】この発明の実施例に係る自走式作業機の草刈部を格納位置(障害物からの退避状態)にして第2固定部のピンで第2アームを固定した状態の平面断面図である。
図15】この発明の実施例に係る自走式作業機の草刈部を第2固定部により格納位置で固定した状態であって、第3固定部のピンで第3アームを固定した状態の平面断面図である。
図16】この発明の実施例に係る自走式作業機の平面図である図1のF視図であって、作業状態の第2アーム、第2固定部の断面図である。
図17】この発明の実施例に係る自走式作業機の刈刃回転安全装置動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
Aは、自走式作業機である。自走式作業機Aは、本体部11と、走行部21とを有する。走行部21は、本体部11の進行方向両側に設ける。
31は、作業部である。作業部31は、本体部11及び走行部21の前方に位置するように設ける。
12は、昇降アームである。昇降アーム12は、基部を、本体部11の中央部に設置する。昇降アーム12は、本体部11前部から先端を突設し、前方に延設する。昇降アーム12先端には、作業部31を取り付ける。昇降アーム12は、作業部31を、回動することで昇降可能である。
【0016】
32は、第1アームである。第1アーム32は、図1図3に図示するように平面視、図1図中下方に開口した略コ字状態からなる。第1アーム32は、基部32aと、中間部32bと、先端部32cからなる。
第1アーム32の基部32aは、本体部11前部と平行となるように本体部11に取り付ける。第1アーム32の中間部32bは、本体部11一方の側部及び走行部21との間の略延長上よりやや外側に設ける。第1アーム32の先端部32cは、中間部32bの先端から本体部11前部中央の延長上まで略45度で突設する。
【0017】
第1アーム32の先端部32cは、本体部11前部であって、略中央部の自走式作業機Aの進行方向延長上に位置する。基部32aが、本体部11前部と平行に設けるのに比し、先端部32cは、本体部11前部と平行より開口する。そのため、先端部32c先端は、本体部11前部と平行に設ける場合に比し、本体部11前部より遠方に位置することができる。
図1に図示するように、第1アーム32の、基部32a及び中間部32b及び先端部32cにより、平面視概略コ字状の開口部である凹部Bを形成する。
凹部Bは、図1に図示するように、この実施例では、自走式作業機Aの進行方向左側に設けるが、右側に設けても良い。作業者が、草刈部41を障害物に接して使用しがちな側に設ける。右利きの使用者には、凹部Bは、自走式作業機Aの進行方向左側に設けるが、左利きの使用者用には、凹部Bは、右側に設けても良い。
【0018】
33は、第2アームである。第2アーム33は、第1アーム32の先端部に設けた進行方向に直交する鉛直方向の回動軸35によって、第1アーム32に連結される。そのため、第2アーム33は、水平方向に回動自在である。
【0019】
34は、第3アームである。第3アーム34は、第2アーム33の先端部に設けた水平軸36によって第2アーム33に連結されて上下方向に回動自在である。
第1アーム32乃至第3アーム34は、それぞれ回動自在であるので、全体として、多関節となり、草刈部41は地面に這う様に位置させることができる。
【0020】
37は、弾性体である。弾性体37は、第2アーム33に配置する。弾性体37は、第3アーム34先端の草刈部41を走行部21より外側に突出させる方向に付勢する。
第2アーム33に配置した弾性体37によって、第3アーム34先端の草刈部41を走行部21より外側に突出して配置させ続けることが可能である。
障害物と衝突した時のみ、草刈部41は弾性体37の弾性力に打ち勝って障害物に押され、その後、機体幅内に向かって回動する。障害物が草刈部41を通過後は、弾性体37の弾性力によって元の位置に復帰する。したがって、草刈部41を障害物に対して可能な限り近接させながら、走行及び作業させることが可能である。
【0021】
作業部31は、昇降アーム12の先端部に取り付ける。進行方向と直交する水平方向の第1アーム32の基部32aに取り付けた水平方向の回動軸32Eにより、作業部31は、上下方向に回動自在である。
進行方向と直交する水平方向の第1アーム32の基部32aに取り付けた水平方向の回動軸32Eが、第1アーム32の本体側の回動支点となる。
【0022】
51は、第1規制体である。54は、カムである。第1規制体51とカム54は、第1アーム32を挟んだ、第1アーム32の回動支点である基部32aに、自走式作業機Aの進行方向の両側にそれぞれ設ける。
第1規制体51は、第1アーム32側に設けた一部に切欠を有する部材である。第1規制体51は、昇降アーム12側に設けた当接ピン121に当接させることで、第1アーム32の回動に範囲を設定する。
実際の作業状態における草刈部41の回動最下限は、図6に図示するように、第1アームは水平位置より僅かに下方に下げてある。走行部21より、草刈部41が下がっているため窪みも刈り取ることが可能である。
【0023】
第1規制体51は、図7に図示する、第1アーム32の上下方向の回動範囲内である、刈刃駆動範囲M及び刈刃停止範囲Nでの回動に第1アーム32を規制する。第1アーム32の回動に付随して、第2アーム33、第3アーム34、草刈部41ともに移動する。
規制以上に第1アーム32が回動する場合、刈刃格納位置Lにおいては、第1アーム32が本体部11側に下がるが、これを防止する。刈刃作業位置Jにおいては、昇降アーム12が上昇と共に第1アーム32も上昇させる。
第1規制体51による規制がないと、第1アーム32が回動し続けるので、昇降アーム12が上昇しても、草刈部41が接地したままになる。第1規制体51は、これら不都合を防止する。
【0024】
図2図3図4に図示する、52は、第1固定部である。第1固定部52は、第1アーム32の、基部32aに設ける。第1固定部52で、第1アーム32を固定する。
第1アーム32、第2アーム33、第3アーム34毎に、第1固定部52、第2固定部56、第3固定部57の各固定部を設ける。
第2アーム33、第3アーム34は、第1アーム32より下方に設ける。図2に図示するように、草刈部41と、第1アームは高さを違えている。そのため、草刈部41が、第1アームの下を自由に回動することができ、第1アーム32に草刈部41が干渉することがない。
【0025】
53は、固定ピンである。
自走式作業機Aは、図6に示したように草刈部を本体部前方位置させた作業状態と、図5に示したように草刈部を本体部上方に反転させた格納状態とに、図7に図示するように変形可能である。固定ピン53は、格納状態にして移動走行した場合に、草刈部(第1アーム)が、機体の振動や揺動によって跳ね上がることを防止する。固定ピン53は、第1アーム32の回動を固定する。
そのため、格納状態において、第1アーム32が相対的に昇降アーム12と一体になるので、機体の走行安定性が向上する。
【0026】
図13図16に図示する56は、第2固定部である。
第2固定部56は、第1アーム32に対する第2アーム33の水平方向の回動を固定する。第2アーム33の水平方向の回動は、ひいては第3アーム34と草刈部41の水平方向の回動を含むので、第2アーム33の水平方向の回動を固定することで、これらの回動を固定する。
第2アーム33の固定は、第2アーム33及び第3アーム34及び草刈部41を走行部21の進行方向に対する左右幅方向に収めるように回動させた後に、図16に図示するように、回動軸35に設けた固定孔561に固定ピン562を差し込むことで行う。
【0027】
固定後の第2アーム33は回動ができないため、第3アーム34及び草刈部41の水平方向の回動も同様に固定される。固定の解除は、ピン562を引き抜くことで行なう。第2アーム33は、弾性体37で走行部21の左右に対する外方向(実施の形態あらわす図14図15では進行方向左方向)に常時付勢されている。このため、第2アーム33の固定解除状態の草刈部41は、常時走行部外側に位置するように付勢されている。
563は、第2規制体(上側)である。564は、第2規制体(下側)である。第2規制体(上側)563、第2規制体(下側)564は、第3アーム34の回動範囲を規制する。
565は、第3固定部57のピン差込み孔である。566は、第3アーム34の回動支点である。ピン571を差し込むことで、回動する第3アーム34を固定する。
【0028】
図14図15に図示する57は、第3固定部である。第3固定部57は、第3アーム34の上下方向の回動を固定する。
第3固定部57は、第2アーム33の先端部に設ける。571はピン、572はピン差込孔である。ピン差込孔57は、第3アーム34の回動支点の近傍に設ける。
573は、ピン押圧用弾性体である。ピン押圧用弾性体573は、ピン571を押し続ける。
【0029】
574は、ガイドロッドである。ガイドロッド574は、第2アーム33を自走式作業機Aの前方方向に、押している弾性体37をガイドする。
575は、回動軸である。第1アーム32から下方に伸びている軸である。
576は、固定孔である。577は、固定ピンである。図15に図示するように、固定孔576には、固定ピン577を挿入する。
578は、回動軸である。第3アーム34を上下に回動する軸である。
【0030】
ピン571をピン差込孔572に挿入することで、第3アーム34の上下方向に対する回動の固定が行われる。図14に図示するように、ピン571をピン差込孔572から引き抜くと回動の固定が解除される。
【0031】
草刈作業時は、第2固定部56及び第3固定部57の固定を解除した状態で行う。第2アーム33は水平方向に回動自在であり、第3アーム34は上下方向に回動自在である。このため第3アーム34先端部に位置する草刈部は上下左右に移動自在である。
第2固定部56及び第3固定部57での第2アーム33及び第3アーム34の固定は、格納状態にする場合に用いる。
第2アーム33及び第3アーム34の回動を固定すると、第1アームとの位置関係を固定した状態に維持できるので、第1アームを本体部上に反転させても、各アーム類が回動しないので、作業者が第1アーム32を持ち上げて反転させる場合の取扱性が良好となる。
【0032】
第1アーム32の回動支点である基部32aに、カム54を設ける。カム54は、第1アーム32と一体となって回動する。
カム54には、図8図9図10に図示するように、第1アーム32の基部32aに取り付けた水平方向の回動軸32Eの周囲の一部に、凸部54aを設ける。
【0033】
凸部54aは、図8に図示するように、及び図7に実線で表すように、第1アーム32が水平に前方に延設した作業位置(刈刃駆動)にあり、第1アーム32先端が、水平に前方(図中左)を向いているときは、リミットスイッチ55に接触しないように、設ける。
他方、図9図10に図示する第1アーム32の角度を作業位置から上昇させて、刈刃43の駆動が停止する直前の位置にあり、第1アーム32先端が斜め上方(図中左上方)を向いている状態、及び、第1アーム32が本体部上方に位置するように回動させた位置にあり、第1アーム32先端が、斜め後方(図中右上方)を向いている状態では、凸部54aは、リミットスイッチ55に接触する範囲に設ける。
【0034】
55は、スイッチである。スイッチ55は、刈刃スイッチであって、リミットスイッチからなる。スイッチ55は、第1アーム32の本体側の回動支点である基部32aに設ける。
スイッチ55は、カム54の回動外周面によって第1アーム32の回動角度を検出する。
46は、刈刃ランプである。刈刃ランプ46は、刈刃43が回転可能状態のとき点灯する。点灯により、刈刃43が回転可能状態であることを知らせる。点滅で、刈刃43が回転不可能状態であることを知らせる。
【0035】
41は、草刈部である。草刈部41は、第3アーム34の先端部に設け、電力供給されたモータ、この実施例では刈刃モータ42によって回転駆動する刈刃43を有する。44は、刈刃カバーである。刈刃カバー44は、刈刃43を覆う。45は、接地体である。接地体45は、作業状態で刈刃43の接地面側に取り付け、地面に接地する。
第1アーム32の、基部32a、中間部32b、先端部32cで形成するコ字状の開口部である凹部B内に草刈部41は、略半分収納可能である。草刈部41の移動時に、障害物と衝突したときは、草刈部41は、第1アーム32の先端部に設け、進行方向に直交する鉛直方向の回動軸35によって水平方向に回動自在であるので、鉛直方向の回動軸35によって水平方向に回動して、障害物を避けて、あるいは、障害物に押されてスペースである凹部Bに逃げ込む。
【0036】
凹部Bは、草刈部41を完全に収納可能な大きさのスペースでなくとも、障害物と接触する草刈部41を一時的に退避させることが可能なスペースであればよい。
第1アーム32は、湾曲しているため、第1アーム32内に草刈部41は逃げ込むことで草刈部41を障害物との衝突の継続から保護することが可能である。障害物は、走行部21の脇を抜ける間、草刈部41は、障害物との衝突から避けることが可能となる。
【0037】
草刈部41、刈刃43は、図7に図示する範囲で移動可能である。Jは刈刃作業位置、Kは刈刃の駆動切替角度、Lは刈刃格納位置である。Mは刈刃駆動範囲、Nは刈刃停止範囲である。
刈刃作業位置Jで、刈刃43は、刈取り作業を行う。刈刃43は、刈刃格納位置Lに移動して格納する。
【0038】
刈刃モータ42は、図7に図示する作業部31が予め設定された設定高さである刈刃の駆動切替角度K、まで上昇すると、刈刃モータ42への電力供給を停止する。
設定高さである刈刃の駆動切替角度Kは昇降アーム12と第1アーム32との相対角度を検出して設定する。
【0039】
61は、制御部である。制御部61は、図1図3に図示するように、本体部11上部に接地する。
制御部61は、スイッチ55の検出を受けてモータ42の駆動を制御する。
【0040】
第1アーム32の本体側の回動支点にスイッチ(リミットスイッチ)55を配置しているので、振動、粉塵、飛散物等が発生しやすい草刈部41から遠ざけることができる。
更に、第1アーム32の回動支点にスイッチ55を操作するカム54を設けている。スイッチ(リミットスイッチ)55は、単純なON、OFF動作なので、カム54形状も簡略化している。
【0041】
図7等の図に示す実施例でのスイッチ(リミットスイッチ)55の作動角度は、側面視で第1アーム32が25~35度が望ましくは、図示では30度にしている。この時の草刈部41の最下端部は200mm程度である。大きな凹凸部を乗り越えようとすると、必然的に刃部である刈刃43は上方を向くが、リミットスイッチの作動により刃部が停止するので、異物を上方に向けて放擲することがない。
【0042】
作業部31が、設定高さである刈刃の駆動切替角度K以上の高さに上昇したため、電力供給を停止された刈刃モータ42は、作業部31が設定高さ以下に復帰しても電力供給の停止状態を維持する。
図3図4では、草刈部41を反転させると共に、第1固定部52で、第1アーム32、第2固定部56で第2アーム33を固定した状態である。
【0043】
草刈部41は第3アーム34によって、進行方向に対する左右に移動可能であるので、走行部より外側に突出して配置させた草刈部41は、障害物に衝突しても機体幅の内側に退避することができる。自走式作業機A機体は、そのまま進行して、障害物を走行部のわきを通過させるのみで良いので、自走式作業機A機体の操縦への負担が軽減される。
【0044】
遮断状態を自己保持作動させる制御によって、設定高さである刈刃の駆動切替角度K以下に刈刃43が復帰した場合、突然刈刃43が回転することを防いでいる。
設定高さである刈刃の駆動切替角度K以上になって草刈部41が停止した場合、この草刈部41に作業者が接近、あるいは、接触している場合もある。そのため、この機能によって、安全性を高めている。
図3図4に図示するように、第1アーム32は、本体部上方側に回動させて格納姿勢をとることができる。この姿勢は、刃部である刈刃43が上部を向いて露呈した状態である。この際にも、スイッチ(リミットスイッチ)55が機能していて、操作部で刈刃スイッチが投入状態となっても、刈刃43が回転することがない。
【0045】
図8に図示する、この発明の実施例に係る自走式作業機の第1アーム32が作業位置(刈刃駆動)にあるときは、第1アーム32先端は、水平に前方(図中左)を向いている。
そのため、カム54と、リミットスイッチ55は接触しない。
【0046】
図9に図示する、この発明の実施例に係る自走式作業機の第1アーム32の角度を作業位置から上昇させて、刈刃43の駆動が停止する直前の位置にあるときは、第1アーム32先端は、斜め上方(図中左上方)を向いている。
そのため、カム54と、リミットスイッチ55は接触し、リミットスイッチ55は、オン状態をとる。
【0047】
図10に図示する、この発明の実施例に係る自走式作業機Aの第1アーム32が本体部上方に位置するように回動させた位置にあるときは、第1アーム32先端は、斜め後方(図中右上方)を向いている。
そのため、カム54と、リミットスイッチ55は接触し続け、リミットスイッチ55は、オン状態を継続する。
【0048】
すなわち、図2図8に図示するように、第1アーム32が伸びているときは、カム54と接してリミットスイッチ55はオン状態をとる。
図4に図示するように、第1アーム32が、自走式作業機A上に折れ曲がっているときは、カム54と接してリミットスイッチ55はオン状態をとる。
図9図10に図示するように、第1アーム32が、ある一定角度以上になると、カム54と接して、リミットスイッチ55は、オン状態をとる。
【0049】
自走式作業機Aの作動にあたっては、図7に図示するように、昇降アーム12を自走式作業機Aの前方に下し、草刈部41を接地する。更に、昇降アーム12を下げて調整し、安定させる。第1規制体51は、当接ピン121から外れるが、草刈部41の作業中は、第1規制体51と当接ピン121との規制が無くとも良い。むしろ、地面の凹凸に柔軟に反応することが可能となる。
【0050】
図17に従って、この発明の実施例に係る自走式作業機Aの作動状態について説明する。
S1で、リミットスイッチからなる刈刃スイッチであるスイッチ55をオン状態とする。
S2で、リミットスイッチからなる刈刃スイッチであるスイッチ55がオン状態であるか否かを判断する。すなわち、カム54とリミットスイッチ55は接して、スイッチ55がオン状態となっているか否かを判断する。
【0051】
S2で、リミットスイッチからなる刈刃スイッチであるスイッチ55がオン状態ではない場合すなわちスイッチ55がオフ状態の場合は、S3で、刈刃モータ42の通信線に導通状態を取らせ、モータを回転させる。
次いで、S4で、刈刃ランプ46を点灯する。
次いで、S5で、刈刃43を回転する。
次いで、S2に戻り、リミットスイッチからなる刈刃スイッチであるスイッチ55がオン状態であるか否かを判断する。
【0052】
S2で、リミットスイッチからなる刈刃スイッチであるスイッチ55がオン状態の場合は、S6で、刈刃モータ42の通信線に遮断状態を取らせて、電流を流さない。
次いで、S7で、通信線の遮断状態を自己保持作動させる。スイッチ55が戻ったとしても、遮断状態を維持する。この実施例は、草刈部41をひっくり返す構造のため、ひっくり返した状態で作動すると困る。第1アーム32を、伸ばして元に戻すときは、人力で伸ばすので、勝手に刈刃モータ42駆動のスイッチが入ると困る。
【0053】
次いで、S8で、制御部61に配線エラーを出力する。刈刃43が回転しない状態である、ことを制御部61に出力する。
次いで、S9で、刈刃ラン46を点滅する。刈刃43が回転できない。
次いで、S10で、刈刃の回転を停止し、S7の通信線の遮断状態を自己保持作動に戻る。
【0054】
S1乃至S10は、作業部31が伸びたり、作業部31を自走式作業機A上にはしょったりする作用をするため必要である。
【符号の説明】
【0055】
11 本体部
12 昇降アーム
21 走行部
31 作業部
32 第1アーム
33 第2アーム
34 第3アーム
35 回動軸
41 草刈部
A 自走式作業機
B 凹部

図1
図2
図3
図4
図5
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図17