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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138667
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】回転動力機構
(51)【国際特許分類】
   H02K 53/00 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
H02K53/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129128
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2020033849の分割
【原出願日】2020-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2019206524
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391028764
【氏名又は名称】角田 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】角田 義明
(57)【要約】
【課題】燃料を消費することなく多量の電力を生産可能とし、人類への安定的な電力供給を実現させること。
【解決手段】回転動力機構1は、磁気体Mr1乃至Mr5を有する回転体11と、磁気体Msを有するピストン21と、クランクシャフトとを備える。回転体11は、磁気体Mr1乃至Mr5と磁気体Msとの隙間間隔Dに生じる磁気の反発力と吸着力とを利用して回転運動を行う。ピストン21は、磁気の反発力と吸着力とを利用することで、回転体11との隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dを維持しながら、回転体11の回転運動に連動して往復運動を行う。クランクシャフト31は、ピストン21の往復運動に連動して回転運動を行う。これにより、上記の課題を解決する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁極の向きが均一でない複数の第1磁気体を有し、当該複数の第1磁気体の夫々と回転軸の軸心との距離が均一でない回転体と、第2磁気体を有するピストンと、クランクシャフトとを備える回転動力機構であって、
前記回転体と前記ピストンとの夫々は、前記第1磁気体と前記第2磁気体との隙間間隔に生じる磁気の反発力と吸着力とを利用することで、予め設定された隙間間隔距離を維持しながら回転運動と往復運動とを夫々行い、
前記クランクシャフトは、前記ピストンによる前記往復運動に連動して回転運動を行う、
回転動力機構。
【請求項2】
前記第1磁気体と前記第2磁気体とのうち少なくとも一方が同一形状又は異形状の磁気体の積層構造である、
請求項1に記載の回転動力機構。
【請求項3】
前記第1磁気体と前記第2磁気体とのうち少なくとも一方を上下方向又は左右方向にスライドさせ、前記隙間間隔距離を変化させて、前記反発力及び前記吸着力の有無を調節することで、前記回転体の前記回転運動の開始と停止との制御を実行する稼働制御機構をさらに備える、
請求項1又は2に記載の回転動力機構。
【請求項4】
前記隙間間隔距離が5mm乃至10mmで維持されている、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の回転動力機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転動力機構に関する。
【背景技術】
【0002】
電力エネルギーは地球上における唯一無二のクリーンエネルギーであるといわれている。このため、常時安定的な電力供給を実現させる電力生産機構を確保することは人類にとって急務の課題であるとされている。電力生産(発電)の分野では各種各様の技術が既に存在する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3220511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術を含む従来の技術よりも、燃料を消費することなく多量の電力を生産可能とし、人類への安定的な電力供給を実現させることができる電力生産機構の開発が望まれている状況にある。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、燃料を消費することなく多量の電力を生産可能とし、人類への安定的な電力供給を実現させる電力生産機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る回転動力機構は、
磁極の向きが均一でない複数の第1磁気体を有し、当該複数の第1磁気体の夫々と回転軸の軸心との距離が均一でない回転体と、第2磁気体を有するピストンと、クランクシャフトとを備える回転動力機構であって、
前記回転体と前記ピストンとの夫々は、前記第1磁気体と前記第2磁気体との隙間間隔に生じる磁気の反発力と吸着力とを利用することで、予め設定された隙間間隔距離を維持しながら回転運動と往復運動とを夫々行い、
前記クランクシャフトは、前記ピストンの前記往復運動に連動して回転運動を行う。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、燃料を消費することなく多量の電力を生産可能とし、人類への安定的な電力供給を実現させる電力生産機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る回転動力機構の構成の一例を示す断面図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る回転動力機構の構成の一例を示す断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る回転動力機構のうち回転体の構成の一例を示す断面図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る回転動力機構の構成の一例を示す正面断面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る回転動力機構の構成の一例を示す側面断面図である。
図6】本発明の第4実施形態に係る回転動力機構の構成の一例を示す断面図である。
図7】本発明の第4実施形態に係る回転動力機構のうち回転体の構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る回転動力機構の構成の一例を示す断面図である。
図1(A)には、本発明の第1実施形態に係る回転動力機構の構成の一例を示す正面断面図が示されている。
図1(B)には、本発明の第1実施形態に係る回転動力機構の構成の一例を示す側面断面図が示されている。
【0011】
(基本構成)
図1(A)及び(B)に示す回転動力機構1は、回転体11と、ピストン21と、クランクシャフト31とを少なくとも備える動力機構である。
回転動力機構1は、相対する磁気体を夫々有する、回転体11とピストン21との隙間間隔Dに生じる反発力と吸着力を利用して、回転体11とピストン21との夫々に回転運動と往復運動とを夫々行わせる。そして、回転動力機構1は、ピストン21の往復運動に、クランクシャフト31の回転運動を連動させる。
即ち、回転動力機構1は、相対する磁気体の隙間間隔Dに生じる磁気エネルギーを、ピストン21の往復運動の運動エネルギーに変換し、さらにクランクシャフト31の回転運動の運動エネルギーとして出力するレシプロエンジンとして機能する。
【0012】
このような構成の回転動力機構1によれば、例えば以下のような効果を期待することができる。
即ち、クランクシャフト31が大型の発電機(ジェネレータ)を高速で回転させることができるので、燃料を消費することなく、かつ天地事変や気象環境の変化の影響を受けることなく、電力を安定的に生産することが可能となる。その結果、地球温暖化の要因とならない、地球上の生物に対して優しい健全な電力生産を実現させることができる。
そして、この回転動力機構1を利用した電力生産機構を広めることにより、地球上のあらゆる場所で容易に発電をすることができるようになる。即ち、回転動力機構1を利用した電力生産機構は自家設置も容易であるため、例えば各自治体の管理下で、安価かつ大量の電力を生産することも可能となる。
また、従来の発電施設を起点として張りめぐらされている送電線の数を減少させることも可能になるため、これまで送電線の点検修理作業等に必要とされていた多大なコストを削減することができる。具体的には例えば、台風等の影響で送電線に不具合が生じて、対象地域への安定的な電力供給が棄損されるような事態が生じることを防ぐことができる。
【0013】
以下、回転動力機構1の各構成要素について詳しく説明する。
【0014】
(回転体)
回転体11は、プレート101とプレート102とを有し、軸Pを回転軸として回転する回転体である。
【0015】
プレート101は、軸Pの軸心から外縁Eまでの距離が不均一な、段差を有する略楕円形状のプレートである。外縁Eの少なくとも一部は、略均等間隔で配置された磁気体Mr1乃至Mr5で構成されている。軸Pの軸心から磁気体Mr1乃至Mr5の夫々の先端部までの長さは、パラメータとして磁気体毎に設定することができる。
このような構成の回転体11が回転すると、その回転に合わせて磁気体Mr1乃至Mr5が、その順番でピストン21に対向する位置に存在することになる。磁気体Mr1乃至Mr5は、いずれも一方の磁極が軸Pの方向を向き、他方の磁極が軸Pとは反対の方向を向くように配置されている。
なお、磁気体Mr1乃至Mr5の磁極の向きは特に限定されないが、本実施形態では、図示はしないが、磁気体Mr1及びMr2は、いずれもN極が軸Pの方向を向くように配置される。また、磁気体Mr3乃至Mr5は、いずれもS極が軸Pの方向を向くように配置されている。
後述するピストン21のピストンヘッド201は、頭部Hの少なくとも一部が磁気体Msで構成されている。なお、磁気体Msの磁極の向きは特に限定されないが、本実施形態では、N極が回転体11の方向を向くように磁気体Msが配置されている。
【0016】
このような磁極の向きと配置とにより、例えば図1の状態を始期とする回転体11が矢印Yの方向に回転すると、磁気体Mr1のS極、Mr2のS極、Mr3のN極、Mr4のN極、及びMr5のN極がその順で繰り返しピストン21の磁気体MsのN極に対向する位置に存在することになる。そうすると、ピストン21に対向する位置に存在する磁気体Mr1乃至Mr5の夫々と、ピストン21の磁気体Msとの隙間間隔Dに吸着力と反発力とが交互に生じることとなる。
ここで、回転体11の、段差を有する略楕円形状の外縁Eには、磁極の向きが均一でない複数の磁気体Mr1乃至Mr5が配置されている。このため、後述する隙間間隔距離dが一定の値を維持した状態で回転体11の回転運動が開始されると、この運動に連動してピストン21の往復運動が開始されることになる。
つまり、回転体11の外縁Eが段差を有する略楕円形状であり、かつ、後述する隙間間隔距離dが一定の値を維持した状態で回転体11の回転運動が行われる構成となっているからこそ、回転体11の回転運動によってピストン21が往復運動を行うことができる。
換言すると、仮に回転体11の外縁Eが段差を有しない真円形状又は略真円形状である場合には、後述する隙間間隔距離dが一定の値を維持した状態で回転体11の回転運動が行われたとしても、回転体11の回転運動によってピストン21が往復運動を行うことはない。
【0017】
通常、相対する磁気体間に生じる反発力及び吸着力は、磁気体間の距離が大きくなるに従い小さくなる。具体的には、相対する磁気体間に生じる反発力及び吸着力は、磁気体間の距離の2乗に反比例する(クローンの法則)。つまり、磁気体Mr1乃至Mr5の夫々と磁気体Msとの間に生じる反発力及び吸着力は、両者の隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dが大きくなるに従い急激に小さくなって無力化する。
本実施形態では、磁気体Mr1乃至Mr5の夫々を複数の磁気体の層(積層構造)で構成させることができる。つまり、磁気体を重ね合わせて使用することで、磁気体Mr1乃至Mr5の夫々と、後述するピストン21の磁気体Msとの隙間間隔Dに生じる反発力及び吸着力を大きくすることができる。
なお、重ね合わせる磁気体の形状は互いに同一形状のものであってもよいし、異形のものであってもよい。
これにより、回転体11の回転運動に強力な回転トルクを生じさせることができるので、上述の効果をさらに向上させることができる。また、通常、永久磁気体の減磁力は100年間で0.2%程度と推定されているが、磁気体Mr1乃至Mr5の夫々を複数の層で構成させることで、N極からS極に至る磁力線のサイクルが重積される。これにより、半永久的に減磁力を防ぐことが可能となる。
なお、複数の層からなる磁気体Mr1乃至Mr5の夫々について、厚さが同じである1枚の磁気体に換えた場合には、複数の層で構成させた場合の効果は期待できない。具体的には例えば、厚さが1cmの磁気体を2枚重ねにしたものと、厚さが2cmの磁気体とを比較した場合、前者の効果を後者に期待することはできない。
【0018】
このように磁気体Mr1乃至Mr5、及び後述する磁気体Msは、複数の磁気体の層で構成させた場合に反発力及び吸着力が非常に強力になる。このため、磁気体Mr1乃至Mr5、及び磁気体Msは、非磁気性の物質(例えばアルミニウム)のケースに常時収納された状態にする。これにより、磁気体Mr1乃至Mr5、及び後述する磁気体Msの装着作業や交換作業の際の安全性・迅速性を確保することができる。
【0019】
プレート102は、回転体11をスムーズに回転させるためのバランサとして機能させるためのプレートである。
上述したように、プレート101は軸Pの軸心から外縁Eまでの距離が不均一な略楕円形状となっている。また、プレート101の軸Pの軸心は、プレート101の重心からずれた位置に存在する。このため、プレート101のみで回転させた場合、アンバランスな回転となってしまう。
そこで、プレート101と同軸(軸P)、同一形状、同一重量であるプレート102を、プレート101と平行かつ正反対の向きで固定させる。これにより、回転時にバランスが維持されるため、回転体11のスムーズな回転運動を実現させることができる。
【0020】
(ピストン)
ピストン21は、シリンダ202と、シリンダ202の内部で往復運動を行うピストンヘッド201を有するピストンである。ピストンヘッド201は、ベアリング及び循環オイルの少なくとも一方を介してシリンダ202内を摺動可能としている。これにより、ピストンヘッド201がシリンダ202の内部で往復運動を行う際の摩擦係数を低減化させることができる。
ピストンヘッド201の頭部Hの少なくとも一部は、磁気体Msで構成されている。磁気体Msの磁極の向きは特に限定されないが、上述したように本実施形態では、N極が回転体11の方向を向くように磁気体Msが配置される。
また、磁気体Msは、図1に示すように、複数の磁気体の層で構成させることができる。これにより、磁気体Msと、磁気体Mr1乃至Mr5の夫々との隙間間隔Dに生じる反発力及び吸着力を大きくすることができる。
(隙間間隔)
【0021】
回転体11とピストン21との間には隙間間隔Dが設けられている。隙間間隔Dは、磁気体Msと、これに対向する位置に存在する磁気体Mr1乃至Mr5のうちいずれかとの隙間間隔距離dが、回転体11の回転運動中も所定範囲内で維持されるように設けられた隙間間隔である。隙間間隔Dが設けられていることで、回転体11とピストン21との夫々は、隙間間隔Dに生じる強力な反発力及び吸着着力を利用して、回転運動と往復運動との夫々を行う。
具体的には例えば、図1に示す状態を始期とした場合には、磁気体Ms(N極)と、磁気体Mr5のN極との隙間間隔Dに反発力が生じるとともに、磁気体MsのN極と、磁気体Mr1のS極との隙間間隔Dに吸着力が生じる。これにより、回転体11は矢印Yの方向に回転を開始する。その後、磁気体MsのN極と磁気体Mr2のS極との隙間間隔Dに生じる吸着力と、磁気体MsのN極と磁気体Mr3のN極との隙間間隔Dに生じる反発力と、磁気体MsのN極と磁気体Mr4のN極との隙間間隔Dに生じる反発力とを利用して、回転体11は回転運動を継続し、ピストン21は往復運動を継続する。
このように、回転体11側に配置された磁気体Mr1乃至Mr5の磁極の向きが均一でないからこそ、磁気体Mr1乃至Mr5の夫々と、ピストン21側の磁気体Msとの隙間間隔Dに、反発力と吸着力とが交互に生じることになる。その結果、回転体11は回転運動を継続することが可能となり、ピストン21は回転体11の回転運動に連動して往復運動を継続することが可能となる。
【0022】
ここで、隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dの値は特に限定されないが、5mm乃至10mmの範囲で維持されことが好ましい。隙間間隔距離dを好ましい値で維持させるためには、磁気体Mr1乃至Mr5の夫々と磁気体Msとの隙間間隔Dに生じる反発力及び吸着力が大きいことが好ましい。したがって、上述したように、磁気体Mr1乃至Mr5と、磁気体Msとの夫々を複数の磁気体の層で構成させて反発力及び吸着力を大きくすることで、隙間間隔距離dを好ましい値で維持させることができる。
【0023】
(クランクシャフト)
クランクシャフト31は、ピストン21のピストンヘッド201が往復運動を行うと、それに連動して回転するクランクシャフトである。
即ち、ピストンヘッド201の往復運動の運動エネルギーが、クランクシャフト31の回転運動の運動エネルギーに変換されて出力される。つまり、クランクシャフト31に強力な回転トルクを発生させることができるので、大型の発電機(ジェネレータ)を高速で回転させることができる。これにより、燃料を消費することなく電力を生産することが可能となる。
【0024】
回転動力機構1では、回転体11が回転運動を行う位置、磁気体Mr1乃至Mr5の夫々と磁気体Msとが接近するタイミング、隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dの値等を含む、複数のパラメータの組合せが考慮されている。
換言すると、回転動力機構1は、上記の複数のパラメータの組合せが考慮された構成とすることで、上述の効果を奏することができる。
具体的には例えば、回転動力機構1は、往復運動を行うピストンヘッド201が、上死点位置から下死点位置まで移動する移動距離(以下、「ストローク」と呼ぶ)の範囲で回転体11と衝突することがないように上記の複数のパラメータの組合せが考慮されている。
また例えば、軸Pの軸心から磁気体Mr1乃至Mr5の夫々の先端までの半径の距離の差と、相対するピストンヘッド201のストロークとが正確に一致するように上記の複数のパラメータの組合せが考慮されている。
即ち、回転体11が1回転(360°回転)するまでの間に磁気体Msに対向する位置に存在する、磁気体Mrk(kは1以上5以下の整数値)のピストン21方向の位置の変化量の合計と、磁気体Msの位置の変化量の合計とが同じになるように上記の複数のパラメータの組合せが考慮されている。
これにより、磁気体Mr1乃至Mr5の夫々と磁気体Msとが接近しても、衝突することなく隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dが一定の値で維持された状態で回転動力機構1が駆動する。その結果、回転動力機構1のスムーズな稼働が実現されて、上述の効果を奏することができる。
【0025】
[第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態に係る回転動力機構の構成の一例を示す側面断面図である。
図3は、本発明の第2実施形態に係る回転動力機構のうち回転体の構成の一例を示す正面断面図である。
【0026】
(基本構成)
第2実施形態に係る回転動力機構2は、図2に示すように、回転体41と、ピストン21と、クランクシャフト31と、シリンダ71と、歯車801乃至804と、固定部901及び902とを備える動力機構である。
第2実施形態に係る回転動力機構2は、第1実施形態に係る回転動力機構1と同様に、相対する磁気体を夫々有する回転体41とピストン21との隙間間隔Dに生じる反発力及び吸着力を利用して、回転体41とピストン21との夫々に回転運動と往復運動とを夫々行わせる。そして、回転動力機構2は、第1実施形態に係る回転動力機構1と同様に、ピストン21の往復運動に、クランクシャフト31の回転運動を連動させる。回転体41及びクランクシャフト31は、いずれも軸Pを回転軸として回転運動を行う。
即ち、回転動力機構2は、第1実施形態に係る回転動力機構1と同様に、相対する磁気体の隙間間隔Dに生じる磁気エネルギーを、ピストン21の往復運動の運動エネルギーに変換する。そして、回転動力機構2は、ピストン21の往復運動の運動エネルギーを、クランクシャフト31の回転運動の運動エネルギーとして出力することでレシプロエンジンとして機能する。
これにより、回転動力機構2は、大型の発電機(ジェネレータ)を高速で回転させることができるので、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0027】
以下、回転動力機構2の各構成要素について詳しく説明する。
【0028】
(回転体)
図3に示すように、回転体41は、内周面Jを有し、軸Pを回転軸として回転する回転体である。内周面Jの形状は、軸Pの軸心から内周面Jまでの距離が不均一な略楕円形状となっている。内周面Jの一部は、略均等間隔で配置された磁気体Mr11乃至Mr22で構成されている。
また、回転体41の外周面には、磁気体Mr11乃至Mr22の夫々と磁気体Msとの隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dを1mm乃至10mmの範囲で可変させて調整することができる調整ネジ411が設けられている。調整ネジ411は、隙間間隔距離dを調整できればよいので、数量及び位置は特に限定されないが、本実施形態では、図2に示すように、磁気体Mr11乃至Mr22の夫々に対して調整ネジ411が2個ずつ設けられている。ただし、調整ネジ411の数はこれに限定されない。
このような構成の回転体41が回転すると、その回転に合わせて磁気体Mr11乃至Mr22が順番にピストンヘッド201に対向する位置に存在することになる。
これにより、第1実施形態と同様に、磁気体Mr11乃至Mr22と磁気体Msとの隙間間隔Dに生じる反発力及び吸着力を利用して、隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dを一定の値で維持させたまま、ピストン21のピストンヘッド201に往復運動をさせることができる。その結果、クランクシャフト31が回転するので、大型の発電機(ジェネレータ)をさらに高速で回転させることができる。
【0029】
第2実施形態に係る回転動力機構2では、回転体41とピストン21との隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dの制御が行われることで、回転体41の回転運動が制御される。
即ち、回転体41とピストン21とが完全に離隔している状態では、上述したクローンの法則によって、回転体41は回転運動を完全に停止した状態となる。これに対して、回転体41とピストン21とが接近して隙間間隔距離dを隔てて対向する位置に存在する状態では、上述の反発力と吸着力とが発揮された状態となるため、回転体41は回転運動を開始する。
そこで、本実施形態では、回転体41の軸Pの長手方向の位置を可変とするとともに、ピストン21の長手方向の位置を不変とする構成とすることで以下のような制御を可能としている。
【0030】
回転体41をピストン21に接近させることで、回転体41の回転運動とピストン21の往復運動とを開始させる制御を行うことができる。これに対して、回転体41をピストン21から離隔させることで、回転体41の回転運動とピストン21の往復運動とを停止させる制御を行うことができる。
具体的には、図2に示すように、第2実施形態に係る回転動力機構2では、固定部901及び902の夫々の軸受部911及び912にベアリングBを介して軸支された軸P(クランクシャフト31)の回転運動とは独立又は連動して、シリンダ71と、回転体41と、歯車801乃至804との夫々が各種各様の運動を行う。
【0031】
シリンダ71は、軸Pの回転運動とは独立した状態で、軸Pの長手方向に沿って伸縮運動を行う。なお、図2にはシリンダ71が一番縮んだ状態が示されている。このため、シリンダ71は、図2に示す状態から軸Pの長手方向に沿って矢印Zの向きで伸びる運動を行うことになる。ここで、シリンダ71が矢印Zの向きで伸びる運動を行うと、歯車801と歯車804との間に配置されているスプリングSが縮む。これにより、スプリングSは弾性エネルギーを蓄積させる。その後スプリングSは、蓄積した弾性エネルギーを解放しながら、回転体41を押し戻すように、矢印Zの向きとは逆の方向に伸びる。
【0032】
回転体41は、円筒形状の筐体Kの内側の一部に配置されており、シリンダ71の伸縮運動に連動して、かつ、軸Pの回転運動とは独立して、筐体Kとともに軸Pの長手方向に位置を変更する。具体的には、図2に示すように、回転体41は、矢印Zの向きスライドしながら、位置A1から位置A2に位置を変更する。また、図示はしないが、回転体41は位置A2から位置A1にスライドしながら位置を変更する。
回転体41が位置A1から位置A2に位置を変更すると、回転体41の内側にピストン21がすっぽりと収まることになるので、磁気体Mr11乃至Mr22のうちいずれかと、磁気体Msとが隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dを隔てて対向することになる。これに対して、回転体41が位置A2から位置A1に位置を変更すると、回転体41の内側にすっぽりと収まっていたピストン21と回転体41とが離隔することとなる。これにより、上述のクローンの法則によって回転体41の回転運動は停止状態になる。
【0033】
歯車801は、軸P(クランクシャフト31)に固定された歯車である。歯車801は、軸P(クランクシャフト31)の回転運動とともに回転運動を行う。なお、歯車801の位置は、固定部902によって固定されている。
歯車802は、歯車801に噛合された歯車である。このため、歯車802は、歯車801の回転運動に連動して回転運動を行う。なお、歯車802の位置は、固定部902によって固定されている。
歯車803は、歯車802と同軸の回転軸を有する歯車である。このため、歯車803は、歯車802が回転運動を行うと、それとともに回転運動を行う。なお、歯車803の位置は、歯車802とともに固定部902によって固定されている。
歯車804は、歯車803に噛合された歯車である。このため、歯車804は、歯車803の回転運動に連動して回転運動を行う。なお、歯車804は、歯車801乃至803と異なり、軸Pに固定されずに回転体41に固定されている。このため、回転体41が矢印Zの向きでスライドすると、歯車803に噛合された状態を維持したまま矢印Zの向きでスライドする。このとき、歯車801と歯車804との間に配置されているスプリングSは縮むことになる。
また、歯車803と歯車804との噛合をずらすことで、回転体41の回転のズレを調整するとともに、正回転と逆回転とを調整する。これにより、回転体41とピストンとの位置関係を最良なものとすることができる。
【0034】
ピストン21のピストンヘッド201は、頭部Hの少なくとも一部が磁気体Msで構成されている。なお、磁気体Msの磁極の向きは特に限定されないが、本実施形態では、N極が回転体41の方向を向くように磁気体Msが配置されている。
【0035】
このような構成を有する回転動力機構2では、シリンダ71の伸縮運動が制御されることで、回転体41の位置を、位置A1と位置A2とで切り替えることができる。これにより、回転動力機構2は、回転体41を位置A1に移動させることで、回転体41の内側にピストン21が存在しない状態(即ち回転体41を回転させない状態)にすることができる。また、回転体41を位置A2に移動させることで、回転体41の内側にピストン21が存在する状態(即ち回転体41を回転させる状態)にすることができる。
即ち、回転動力機構2は、シリンダ71の伸縮運動の制御を行うことで、磁気体Mr11乃至Mr22と磁気体Msとの隙間間隔Dに生じる反発力及び吸着力を制御することが可能になる。
【0036】
回転体41の内周面Jの少なくとも一部に配置された磁気体Mr11乃至Mr22の夫々は、第1実施形態と同様に、複数の磁気体の層で構成させることができる。これにより、ピストン21の磁気体Msとの隙間間隔Dに生じる反発力及び吸着力を大きくすることができる。その結果、回転体11の回転運動に強力な回転トルクを生じさせることができるので、上述の効果を向上させることができる。
また、第1実施形態と同様に、複数の磁気体の層からなる磁気体Mr11乃至Mr22の夫々について、厚さが同じである1枚の磁気体を夫々用いた場合には、複数の層で構成させた場合の効果は期待できない。
また、第1実施形態と同様に、磁気体Mr11乃至Mr22、及び磁気体Msを複数の磁気体の層で構成させた場合には、隙間間隔Dに生じる反発力及び吸着力が非常に強力になる。このため、磁気体Mr11乃至Mr22、及び磁気体Msは、非磁気性の物質(例えばアルミニウム)のケースに常時収納された状態にする。これにより、磁気体Mr11乃至Mr22、及び磁気体Msの装着作業や交換作業の際の安全性・迅速性を確保することができる。
【0037】
また、回転体41の内周面の少なくとも一部に配置された磁気体Mr11乃至Mr22は、いずれも一方の磁極が軸P(クランクシャフト31)の方向を向き、他方の磁極が軸P(クランクシャフト31)とは反対の方向を向くように配置されている。磁気体Mr11乃至Mr22の磁極の向きは特に限定されない。なお、本実施形態では、図示はしないが、磁気体Mr11乃至Mr17は、いずれもN極が軸P(クランクシャフト31)の方向を向くように配置される。また、磁気体Mr18乃至Mr22は、いずれもS極が軸P(クランクシャフト31)の方向を向くように配置されている。
このような磁極の向き及び配置とする回転体41では、例えば図3の状態を始期とする回転体41が、矢印Yの方向に回転する場合には、磁気体Mr11、Mr22、Mr21、Mr20、Mr19、Mr18、Mr17、Mr16、Mr15、Mr14、Mr13、及びMr12の順でピストン21に対向する位置に存在することになる。そして、ピストン21に対向する位置に存在する磁気体Mr11乃至Mr22の夫々と、ピストン21の磁気体Msとの隙間間隔Dを介して互いに反発し合ったり吸着し合ったりすることが連続で行われる。その結果、隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dが一定の値で維持された状態で回転体41の回転運動とピストン21の往復運動とが継続的に行われることになる。
(隙間間隔)
【0038】
第1実施形態と同様に、回転体41とピストン21との間には隙間間隔Dが設けられている。隙間間隔Dが設けられていることで、回転体41とピストン21との夫々は、隙間間隔Dに生じる強力な反発力と吸着力とを利用して、回転運動と往復運動との夫々を行う。隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dは、例えば歯車803と歯車804との噛合部分の噛み合わせをずらす等の調整することで修正することができる。
ここで、隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dの値は特に限定されないが、第1実施形態と同様に、5mm乃至10mmの範囲で維持されことが好ましい。隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dを好ましい値で維持させるためには、磁気体Mr11乃至Mr22の夫々と磁気体Msとの隙間間隔Dに生じる反発力及び吸着力が大きいことが好ましい。したがって、上述したように、磁気体Mr11乃至Mr22と、磁気体Msとの夫々を複数の層で構成させることで、隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dを好ましい値で維持させることができる。
【0039】
(その他)
ピストン21及びクランクシャフト31の夫々の構成は、基本的に第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0040】
回転動力機構2では、第1実施形態と同様に、回転体41が回転運動を行う位置、磁気体Mr11乃至Mr22の夫々と磁気体Msとが接近するタイミング、隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dの値等を含む、複数のパラメータの組合せが考慮されている。
換言すると、回転動力機構2は、上記の複数のパラメータの組合せが考慮された構成とすることで、上述の効果を奏することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、図示せぬコントロールモータの回転動力を利用することで、回転動力機構2の稼動の開始から停止までの全ての動作を制御することもできる。
【0042】
[第3実施形態]
図4は、本発明の第3実施形態に係る回転動力機構の構成の一例を示す正面断面図である。
図5は、本発明の第3実施形態に係る回転動力機構の構成の一例を示す側面断面図である。
【0043】
(基本構成)
図4及び図5に示す回転動力機構3は、回転体51と、ピストン21と、クランクシャフト31とを少なくとも備える動力機構である。クランクシャフト31は発電機構91に連結されている。
回転動力機構3は、第1実施形態と同様に、相対する磁気体を夫々有する回転体51とピストン21との隙間間隔Dに生じる反発力と吸着力を利用して、回転体51とピストン21との夫々に回転運動と往復運動とを夫々行わせる。そして、回転動力機構3は、ピストン21の往復運動に、クランクシャフト31の回転運動を連動させる。
即ち、回転動力機構3は、相対する磁気体の隙間間隔Dに生じる磁気エネルギーを、ピストン21の往復運動の運動エネルギーに変換する。そして、ピストン21の往復運動の運動エネルギーを、クランクシャフト31の回転運動の運動エネルギーとして出力するレシプロエンジンとして機能する。
これにより、回転動力機構3は、発電機構91の発電機(ジェネレータ)を高速回転させることができる。なお、回転動力機構3により実現可能な効果は、上述の第1実施形態の効果と同様である。
【0044】
以下、回転動力機構3の各構成要素について詳しく説明する。
【0045】
(回転体)
回転体51は、第1実施形態と同様に、回転軸Pと、プレート501及び502とを有する回転体である。なお、回転体51の構成は、磁気体の数を除き第1実施形態の回転体11の構成と基本的に同様であるため説明を省略する。
即ち、第1実施形態と同様に、回転体51の段差を有する略楕円形状の外縁Eには夫々磁極の向きが均一でない複数の磁気体Mr31乃至日Mr42が配置されるので、磁気体Mr31乃至Mr42と磁気体Msとの隙間間隔Dに生じる反発力と吸着力とを利用して、隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dが一定の値で維持された状態でピストン21のピストンヘッド201に往復運動をさせることができる。
その結果、ピストン21に連結された、発電機構91の発電機(ジェネレータ)を高速回転させることができる。
【0046】
図4及び図5に示すように、第3実施形態に係る回転体51は、アーム81によって回転軸Pが支持されている。アーム81はシリンダ82の伸縮により、軸Uを回転軸として上下に移動させることができる。これにより、磁気体Mr31乃至Mr42と磁気体Msとの隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dを調節することができる。アーム81を上下させることで、磁気体Mr31乃至Mr42と磁気体Msとの隙間間隔Dに反発力と吸着力とを生じさせたり、反発力と吸着力とを生じさせないようにしたりすることを自由に行うことが可能になる。これにより、回転体51の回転の有無を自由に制御することができる。
【0047】
磁気体Mr31乃至Mr42の夫々は、第1実施形態と同様に、複数の磁気体の層で構成させることができる。これにより、ピストン21の磁気体Msとの隙間間隔Dに生じる反発力及び吸着力を大きくすることができる。その結果、回転体11の回転運動に強力な回転トルクを生じさせることができるので、上述の効果を向上させることができる。
また、第1実施形態と同様に、複数の層からなる磁気体Mr31乃至Mr42の夫々の厚さと同じ厚さの1枚の磁気体に換えた場合には、複数の層で構成させた場合の効果は期待できない。
また、上述の実施形態と同様に、磁気体Mr31乃至Mr42、及び磁気体Msを複数の層で構成させた場合、隙間間隔Dに生じる反発力及び吸着力が強力になる。このため、磁気体Mr31乃至Mr42、及び磁気体Msは、非磁気性の物質(例えばアルミニウム)のケースに常時収納される。これにより、磁気体Mr31乃至Mr42の装着作業や交換作業の際の安全性・迅速性を確保することができる。
(隙間間隔)
【0048】
第1実施形態と同様に、回転体51とピストン21との間には隙間間隔Dが設けられている。隙間間隔Dが設けられていることで、回転体51とピストン21との夫々は、隙間間隔Dに生じる強力な反発力と吸着力とを利用して、回転運動と往復運動との夫々を行う。
ここで、隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dの値は特に限定されないが、第1実施形態と同様に、5mm乃至10mmの範囲で維持されことが好ましい。隙間間隔距離dを好ましい値で維持させるためには、磁気体Mr31乃至Mr42の夫々と磁気体Msとの隙間間隔Dに生じる反発力及び吸着力が大きいことが好ましい。したがって、上述したように、磁気体Mr31乃至Mr42と、磁気体Msとの夫々を複数の層で構成させることで、隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dを好ましい値で維持させることができる。
【0049】
(その他)
ピストン21及びクランクシャフト31の夫々の構成は、基本的には第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。なお、ピストン21には、オイルタンク92からフィルタを介したオイルが循環されて供給される。これにより、ピストンヘッド201がシリンダ202の内部で往復運動を行う際の摩擦係数を低減化させることができる。また、ピストンヘッド201とシリンダ202との間にベアリングを設けることでも当該摩擦係数を低減化させることができる。
【0050】
回転動力機構3では、第1実施形態と同様に、回転体51が回転運動を行う位置、磁気体Mr31乃至Mr42の夫々と磁気体Msとが接近するタイミング、隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dの値等を含む、複数のパラメータの組合せが考慮されている。
換言すると、回転動力機構3は、上記の複数のパラメータの組合せが考慮された構成とすることで、上述の効果を奏することができる。
【0051】
また、上述した実施形態の他、本発明によれば、例えば以下のような効果を期待することができる。
即ち、今後一般的に普及されることが予想される、いわゆる電気自動車(EV)に対する安定的なエネルギー共有を実現させることができる。
また、今後世界規模で予想される飲料水不足の問題に対しても、電力の消費量を心配することなく、例えば深海水を汲み上げて水蒸気化させることで生成した無菌状態の水を飲料水として利用することができる。また、それと同時に、深海水の蒸発処理の際に生じる天然のミネラル塩を食塩等として利用することもできる。
また、電力の消費量を心配することなく、例えばボーリング作業により地下深層水を汲み上げることで飲料水を確保することができる。これにより、地球上の砂漠化の防止、未開拓地域の人々に対する十分な水の供給を実現させることができる。その結果、従来より不衛生な池や川の水、雨水等を飲料水とすることで生じている食中毒や感染症が蔓延することを防ぐことができる。
【0052】
なお、本実施形態では、図示せぬコントロールモータの回転動力を利用することで、回転動力機構3の稼動の開始から停止までの全ての動作を制御することもできる。
【0053】
[第4実施形態]
図6は、本発明の第4実施形態に係る回転動力機構の構成の一例を示す側面断面図である。
図7は、本発明の第4実施形態に係る回転動力機構のうち回転体の構成の一例を示す正面断面図である。
【0054】
(基本構成)
第4実施形態に係る回転動力機構4は、図6に示すように、回転体41と、ピストン21a及び21bと、クランクシャフト31と、シリンダ71と、コントロールモータ301と、フライホイール401及び402と、ギアボックス601と、歯車801乃至806と、固定部901及び902とを備える動力機構である。
第4実施形態に係る回転動力機構4は、第2実施形態に係る回転動力機構2と同様に、相対する磁気体を夫々有する回転体41とピストン21aとの隙間間隔Daに生じる反発力及び吸着力を利用して、回転体41とピストン21aとの夫々に回転運動と往復運動とを夫々行わせる。
さらに、第4実施形態に係る回転動力機構4は、ピストン21aの180°の反対磁極側に、ピストン21aに対向するように、ピストン21aと同様の構成を有するピストン21bを備える。これにより、回転体41の半径180°で磁極の向きがN極又はS極となり、さらに無駄のない効率的な回転運動が実現される。その結果、ピストン21が1つの場合よりも回転数をさらに加速させ、さらに強力な回転トルクを生じさせることができる。
回転動力機構4は、相対する磁気体を夫々有する回転体41と、ピストン21a及び21bの夫々との隙間間隔Da及びDbの夫々に生じる反発力及び吸着力を利用して、回転体41と、ピストン21a及び21bとの夫々に、回転運動と、往復運動とを夫々行わせる。そして、回転動力機構4は、ピストン21a及び21bの往復運動に、クランクシャフト31の回転運動を連動させる。回転体41及びクランクシャフト31は、いずれも軸Pを回転軸として回転運動を行う。
即ち、第4実施形態に係る回転動力機構4は、相対する磁気体の隙間間隔Da及びDbの夫々に生じる磁気エネルギーを、ピストン21a及び21bの往復運動の運動エネルギーに変換する。そして、回転動力機構2は、ピストン21a及び21bの往復運動の運動エネルギーを、クランクシャフト31の回転運動の運動エネルギーとして出力することでレシプロエンジンとして機能する。
これにより、回転動力機構4は、大型の発電機(ジェネレータ)を高速で回転させることができるので、上述の第2実施形態よりも高い効果を得ることができる。
【0055】
以下、回転動力機構4の各構成要素について詳しく説明する。
【0056】
(回転体)
図7に示すように、回転体41は、内周面Jを有し、軸Pを回転軸として回転する回転体である。内周面Jの形状は、軸Pの軸心から内周面Jまでの距離が不均一な略楕円形状となっている。内周面Jの一部は、略均等間隔で配置された磁気体Mr11乃至Mr22で構成されている。
また、回転体41の外周面には、磁気体Mr11乃至Mr22の夫々と磁気体Msとの隙間間隔Dにおける隙間間隔距離dを1mm乃至10mmの範囲で可変させて調整することができる調整ネジ411が設けられている。調整ネジ411は、隙間間隔距離dを調整できればよいので、数量及び位置は特に限定されないが、本実施形態では、図6に示すように、磁気体Mr11乃至Mr22の夫々に対して調整ネジ411が4個ずつ設けられている。ただし、調整ネジ411の数はこれに限定されない。
このような構成の回転体41が回転すると、その回転に合わせて磁気体Mr11乃至Mr22が順番に、ピストンヘッド201a及び201bの夫々に対向する位置に存在することになる。
これにより、第2実施形態と同様に、磁気体Mr11乃至Mr22と、磁気体Msa及びMsbの夫々との隙間間隔Da及びDbの夫々に生じる反発力及び吸着力を利用して、隙間間隔Da及びDbの夫々における隙間間隔距離dを一定の値で維持させたまま、ピストン21a及び21bの夫々のピストンヘッド201a及び201bの夫々に往復運動をさせることができる。その結果、クランクシャフト31が回転するので、大型の発電機(ジェネレータ)をさらに高速で回転させることができる。
【0057】
第4実施形態に係る回転動力機構4では、回転体41と、ピストン21a及び21bの夫々との隙間間隔Da及びDbの夫々における隙間間隔距離dの制御が行われることで、回転体41の回転運動が制御される。
即ち、回転体41とピストン21a及び21bとが完全に離隔している状態では、上述したクローンの法則によって、回転体41は回転運動を完全に停止した状態となる。これに対して、回転体41と、ピストン21a及び21bの少なくとも一方とが接近して、隙間間隔距離dを隔てて対向する位置に存在する状態では、上述の反発力と吸着力とが発揮された状態となるため、回転体41は回転運動を開始する。
そこで、本実施形態では、回転体41の軸Pの長手方向の位置を可変とするとともに、ピストン21a及び21bの長手方向の位置を不変とする構成とすることで以下のような制御を可能としている。
【0058】
本実施形態では、回転体41をピストン21a及び21bに接近させるとともにコントロールモータ301の回転動力を利用することで、回転体41の回転運動とピストン21a及び21bの往復運動とを開始させる制御を行うことができる。これに対して、回転体41をピストン21から離隔させることで、回転体41の回転運動とピストン21a及び21bの往復運動とを停止させる制御を行うことができる。
具体的には、図6に示すように、第4実施形態に係る回転動力機構4では、固定部901及び902の夫々の軸受部911及び912にベアリングBを介して軸支された軸P(クランクシャフト31)の回転運動とは独立又は連動して、シリンダ71と、回転体41と、歯車801乃至806との夫々が各種各様の運動を行う。
【0059】
シリンダ71は、軸Pの回転運動とは独立した状態で、軸Pの長手方向に沿って伸縮運動を行う。なお、図6にはシリンダ71が一番縮んだ状態が示されている。このため、シリンダ71は、図6に示す状態から軸Pの長手方向に沿って矢印Zの向きで伸びる運動を行うことになる。ここで、シリンダ71が矢印Zの向きで伸びる運動を行うと、歯車801と歯車804との間に配置されているスプリングSが縮む。これにより、スプリングSは弾性エネルギーを蓄積させる。その後スプリングSは、蓄積した弾性エネルギーを解放しながら、回転体41を押し戻すように、矢印Zの向きとは逆の方向に伸びる。
【0060】
回転体41は、円筒形状の筐体Kの内側の一部に配置されており、シリンダ71の伸縮運動に連動して、かつ、軸Pの回転運動とは独立して、筐体Kとともに軸Pの長手方向に位置を変更する。具体的には、図6に示すように、回転体41は、矢印Zの向きスライドしながら、位置A1から位置A2に位置を変更する。また、図示はしないが、回転体41は位置A2から位置A1にスライドしながら位置を変更する。
回転体41が位置A1から位置A2に位置を変更すると、回転体41の内側にピストン21a及び21bがすっぽりと収まることになるので、磁気体Mr11乃至Mr22のうちいずれかと、磁気体Msa及びMsbの夫々とが、隙間間隔Da及びDbの夫々における隙間間隔距離dを隔てて対向することになる。これに対して、回転体41が位置A2から位置A1に位置を変更すると、回転体41の内側にすっぽりと収まっていたピストン21a及び21bと、回転体41とが離隔することとなる。これにより、上述のクローンの法則によって回転体41の回転運動は停止状態になる。
【0061】
歯車801は、軸P(クランクシャフト31)に固定された歯車である。歯車801は、軸P(クランクシャフト31)の回転運動とともに回転運動を行う。また、歯車801は、歯車802及び歯車806に噛合されている。歯車801の位置は、固定部902によって固定されている。
歯車802は、歯車801及び歯車805に噛合された歯車である。このため、歯車802は、歯車801及び歯車805の回転運動に連動して回転運動を行う。歯車802の位置は、固定部902によって固定されている。
歯車803は、歯車802と同軸の回転軸を有する歯車である。このため、歯車803は、歯車802が回転運動を行うと、それとともに回転運動を行う。また、歯車803は、歯車804に噛合されている。歯車803の位置は、歯車802とともに固定部902によって固定されている。
歯車804は、歯車803に噛合された歯車である。このため、歯車804は、歯車803の回転運動に連動して回転運動を行う。なお、歯車804は、歯車801乃至803、歯車805、及び歯車806と異なり、軸Pに固定されずに回転体41に固定されている。このため、回転体41が矢印Zの向きでスライドすると、歯車803に噛合された状態を維持したまま矢印Zの向きでスライドする。このとき、歯車801と歯車804との間に配置されているスプリングSは縮むことになる。
また、また、歯車803と歯車804との噛合をずらすことで、回転体41の回転のズレを調整するとともに、正回転と逆回転とを調整する。これにより、回転体41とピストンとの位置関係を最良なものにすることができる。
歯車805は、コントロールモータ301の回転運動とともに回転運動を行う歯車である。歯車805は歯車802に噛合されている。このため、歯車805の回転運動に連動して歯車802が回転運動を行う。なお、歯車805の位置は、固定部902によってコントロールモータ301とともに固定されている。
歯車806は、歯車801に噛合された歯車である。このため、歯車806は、歯車801の回転運動に連動して回転運動を行う。歯車806の回転運動は、ギアボックス601によって調整される。なお、歯車806の位置は、固定部902によってギアボックス601とともに固定されている。
【0062】
ピストン21aのピストンヘッド201aは、頭部Hの少なくとも一部が磁気体Msaで構成されている。なお、磁気体Msaの磁極の向きは特に限定されないが、本実施形態では、N極が回転体41の方向を向くように磁気体Msaが配置されている。
ピストン21bのピストンヘッド201bは、頭部Hの少なくとも一部が磁気体Msbで構成されている。なお、磁気体Msbの磁極の向きは特に限定されないが、本実施形態では、N極が回転体41の方向を向くように磁気体Msbが配置されている。
【0063】
このような構成を有する回転動力機構4では、シリンダ71の伸縮運動が制御されることで、回転体41の位置を、位置A1と位置A2とで切り替えることができる。これにより、回転動力機構4は、回転体41を位置A1に移動させることで、回転体41の内側にピストン21a及び21bが存在しない状態(即ち回転体41を回転させない状態)にすることができる。また、回転体41を位置A2に移動させることで、回転体41の内側にピストン21a及び21bが存在する状態(即ち回転体41を回転させる状態)にすることができる。
即ち、回転動力機構4は、シリンダ71の伸縮運動の制御を行うことで、磁気体Mr11乃至Mr22と、磁気体Msa及びMsbの夫々との隙間間隔Da及びDbの夫々に生じる反発力及び吸着力を制御することが可能になる。
【0064】
回転体41の内周面Jの少なくとも一部に配置された磁気体Mr11乃至Mr22の夫々は、第2実施形態と同様に、複数の磁気体の層で構成させることができる。これにより、ピストン21aの磁気体Msaとの隙間間隔Daと、ピストン21bの磁気体Msbとの隙間間隔Dbとに生じる反発力及び吸着力とを大きくすることができる。その結果、回転体11の回転運動に強力な回転トルクを生じさせることができるので、上述の効果を向上させることができる。
また、第2実施形態と同様に、複数の磁気体の層からなる磁気体Mr11乃至Mr22の夫々について、厚さが同じである1枚の磁気体を夫々用いた場合には、複数の層で構成させた場合の効果は期待できない。
また、第2実施形態と同様に、磁気体Mr11乃至Mr22と、磁気体Msa及びMsbとを夫々複数の磁気体の層で構成させた場合には、隙間間隔Da及びDbの夫々に生じる反発力及び吸着力が非常に強力になる。このため、磁気体Mr11乃至Mr22と、磁気体Msa及びMsbとは、非磁気性の物質(例えばアルミニウム)のケースに常時収納された状態にする。これにより、磁気体Mr11乃至Mr22、磁気体Msa及びMsbの装着作業や交換作業の際の安全性・迅速性を確保することができる。
【0065】
また、回転体41の内周面の少なくとも一部に配置された磁気体Mr11乃至Mr22は、いずれも一方の磁極が軸P(クランクシャフト31)の方向を向き、他方の磁極が軸P(クランクシャフト31)とは反対の方向を向くように配置されている。磁気体Mr11乃至Mr22の磁極の向きは特に限定されない。なお、本実施形態では、図示はしないが、磁気体Mr11乃至Mr17は、いずれもN極が軸P(クランクシャフト31)の方向を向くように配置される。また、磁気体Mr18乃至Mr22は、いずれもS極が軸P(クランクシャフト31)の方向を向くように配置されている。
【0066】
具体的には、回転体41の1周360°のうち180°(半回転)の各30°(6箇所の部位)毎に、N極の磁気体Mrを配置する。軸Pから1箇所のN極の磁気体Mrまでの距離は、ピストン21aの稼働ストローク距離を6分割した距離とする。また、ピストン21aのN極の磁気体Msaとの隙間間隔Daにおける隙間間隔距離dが、約5mm乃至10mm(好ましくは5mm)となるように設定することで、強力な反発エネルギーを、回転エネルギーに転化させることができる。
また、回転体41の1周360°のうち180°(半回転)の各30°(6箇所の部位)毎に、S極の磁気体Mrを配置する。軸Pから1箇所のN極の磁気体Mrまでの距離は、ピストン21bの稼働ストローク距離を6分割した距離とする。また、ピストン21bのN極の磁気体Msbとの隙間間隔Dbにおける隙間間隔距離dが、約5mm乃至10mm(好ましくは5mm)となるように設定することで、強力な吸着エネルギーを、回転エネルギーに転化させることができる。
即ち、ピストン21a及び21bを備えることで、ピストン21が1個の場合よりも強力な回転エネルギーが生み出され、回転体41の回転数が2倍になるという効果が得られる。
【0067】
このような磁極の向き及び配置とする回転体41では、例えば図7の状態を始期とする回転体41が、矢印Yの方向に回転する場合には、磁気体Mr11、Mr22、Mr21、Mr20、Mr19、Mr18、Mr17、Mr16、Mr15、Mr14、Mr13、及びMr12の順でピストン21aに対向する位置に存在することになる。また、磁気体Mr17、Mr16、Mr15、Mr14、Mr13、Mr12、Mr11、Mr22、Mr21、Mr20、Mr19、及びMr18の順でピストン21bに対向する位置に存在することになる。
そして、ピストン21aに対向する位置に存在する磁気体Mr11乃至Mr22の夫々と、ピストン21aの磁気体Msaとの隙間間隔Daとを介して互いに反発し合ったり吸着し合ったりすることが連続で行われる。また、同様に、ピストン21bの磁気体Msbとの隙間間隔Dbとを介して互いに反発し合ったり吸着し合ったりすることが連続で行われる。その結果、隙間間隔Daにおける隙間間隔距離d、及び隙間間隔Dbにおける隙間間隔距離dの夫々が、一定の値で維持された状態で回転体41の回転運動と、ピストン21a及び21bの往復運動とが継続的に行われることになる。
【0068】
(隙間間隔)
第2実施形態と同様に、回転体41とピストン21aとの間には隙間間隔Daが設けられている。また、回転体41とピストン21bとの間には隙間間隔Dbが設けられている。このように、隙間間隔Da及びDbが設けられていることで、回転体41とピストン21a及び21bとの夫々は、隙間間隔Dに生じる強力な反発力と吸着力とを利用して、回転運動と往復運動との夫々を行う。隙間間隔Da及びDbにおける夫々の隙間間隔距離dは、例えば歯車803と歯車804との噛合部分の噛み合わせをずらす等の調整することで修正することができる。
上述したように、隙間間隔Da及びDbの夫々における隙間間隔距離dの値は特に限定されないが、第2実施形態と同様に、5mm乃至10mmの範囲(好ましくは5mm)で維持されことが好ましい。隙間間隔Da及びDbの夫々における隙間間隔距離dを好ましい値で維持させるためには、磁気体Mr11乃至Mr22の夫々と、磁気体Msa及びMsbの夫々との隙間間隔Da及びDbの夫々に生じる反発力及び吸着力が大きいことが好ましい。したがって、上述したように、磁気体Mr11乃至Mr22と、磁気体Msa及びMsbとの夫々を複数の層で構成させることで、隙間間隔Da及びDbの夫々における隙間間隔距離dを好ましい値で維持させることができる。
【0069】
(コントロールモータ)
コントロールモータ301は、DC又はAC可変のモータで構成される。コントロールモータ301は、回転動力機構4の始動から停止までの全ての動作の制御を行う。即ち、コントロールモータ301は、回転動力機構4の回転始動から実用効率回転までの動作の制御、及びその後の稼働停止までの全ての動作の制御を行う。これにより、コントロールモータ301の駆動力も回転動力機構4の動作に加担することになる。その結果、さらに強力な回転トルクを生じさせる。
また、コントロールモータ301は、回転動力機構4の発電エネルギーの一部をバッテリーに自動で充電し、その電力を利用して駆動することもできる。具体的には、通常12V×30Ahのバッテリーを6個使用した、36V×60Ahのバッテリーを用いてコントロールモータ301を稼働させる。これにより、コントロールモータ301は、回転動力機構4の全ての回転機構の制御を行うことができる。その結果として得られる強力な回転トルクがもたらす大容量の電力の一部は、バッテリーに自動で充電される。これにより、コントロールモータ301が自動で駆動するというサイクルが成り立つ。
【0070】
(ギアボックス)
ギアボックス601は、回転体41の回転トルクが最適となるように、回転体41の回転数の最終的な調整を行う変速ギアボックスである。具体的には、ギアボックス601は、出力軸(軸P)の回転トルクの効率が最も効率的になるように、回転数の調整を行う。このように、回転トルクの効率が最も効率的になるようにすることで、大型の発電機を稼働させることができるので、大容量の電力を発電することができる。また、上述したように、コントロールモータ301の回転トルクを加担させるので、さらに大きな回転トルクを生み出すことができる。例えば、コントロールモータ301の5倍乃至10倍の回転トルクを生み出すこともできる。
【0071】
(その他)
ピストン21及びクランクシャフト31の夫々の構成は、基本的に第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
回転動力機構4では、回転体41が回転運動を行う位置、磁気体Mr11乃至Mr22の夫々と、磁気体Msa及びMsbの夫々とが接近するタイミング、隙間間隔Da及びDbの夫々における隙間間隔距離dの値等を含む、複数のパラメータの組合せが考慮されている。
換言すると、回転動力機構4は、上記の複数のパラメータの組合せが考慮された構成とすることで、上述の効果を奏することができる。
【0073】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。また、本発明に係る要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更を施してもよい。
【0074】
例えば、上述の実施形態において回転体側に配置された磁気体の数は例示に過ぎない。上述のパラメータとして任意の数の磁気体を配置することができる。
【0075】
また例えば、上述の実施形態において回転体側及びピストン側に夫々配置された磁気体の夫々の磁極の向きは例示に過ぎない。上述のパラメータとして任意の磁極の向きで磁気体を配置することができる。
【0076】
以上まとめると、本発明が適用される回転動力機構は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される回転動力機構(例えば図1の回転動力機構1)は、
磁極の向きが均一でない複数の第1磁気体(例えば図1の磁気体Mr1乃至Mr5)を有し、当該複数の第1磁気体の夫々と回転軸(例えば軸P)の軸心との距離が均一でない回転体(例えば図1の回転体11)と、第2磁気体(例えば図1の磁気体Ms)を有するピストン(例えば図1のピストン21)と、クランクシャフト(例えば図1のクランクシャフト31)とを備える回転動力機構であって、
前記回転体と前記ピストンとの夫々は、前記第1磁気体と前記第2磁気体との隙間間隔に生じる磁気の反発力と吸着力とを利用することで、予め設定された隙間間隔距離(例えば隙間間隔距離d)を維持しながら回転運動と往復運動とを夫々行い、
前記クランクシャフトは、前記ピストンの前記往復運動に連動して回転運動を行う。
【0077】
これにより、磁極の向きが均一でない複数の第1磁気体を有し、これら複数の第1磁気体の夫々と回転軸の軸心との距離が均一でない回転体と、第2磁気体を有するピストンとの夫々は、第1磁気体と第2磁気体との隙間間隔に生じる磁気の反発力と吸着力とを利用することで、予め設定された隙間間隔距離を維持しながら回転運動と往復運動とを夫々行う。
そして、クランクシャフトがピストンの往復運動に連動して回転運動を行うので、発電機(ジェネレータ)を高速回転させることができる。
その結果、燃料を消費することなく多量の電力を生産することが可能となるので、人類への安定的な電力供給を実現させることができる。
【0078】
また、前記第1磁気体と前記第2磁気体との少なくとも一方を、同一形状又は異形状の磁気体の積層構造とすることができる。
【0079】
これにより、回転体側の磁気体とピストン側の磁気体との隙間間隔に生じる反発力及び吸着力を大きくすることができる。
その結果、回転体の回転運動に強力な回転トルクを生じさせることができるので、本発明の効果をさらに向上させることができる。また、減磁力を防ぐことが可能となる。
【0080】
また、前記第1磁気体と前記第2磁気体とのうち少なくとも一方を上下方向又は左右方向にスライドさせ、前記隙間間隔における前記隙間間隔距離を変化させて、前記反発力及び吸着力の有無を調節することで、前記回転体の前記回転運動の開始と停止との制御を実行する稼働制御機構(例えば図3のシリンダ71、図4のアーム81及びシリンダ82)をさらに備えることができる。
【0081】
これにより、回転体側の磁気体とピストン側の磁気体との隙間間隔における隙間間隔距離を調節することができる。
その結果、回転体側の磁気体とピストン側の磁気体との隙間間隔に反発力及び吸着力を生じさせたり、反発力及び吸着力を生じさせないようにしたりすることを自由に行うことが可能になるので、回転動力機構の駆動を自由に制御することができる。
【0082】
また、前記隙間間隔における前記隙間間隔距離は5mm乃至10mmで維持することができる。
【0083】
これにより、磁極の向きが均一でない複数の第1磁気体を有し、これら複数の第1磁気体の夫々と回転軸の軸心との距離が均一でない回転体と、第2磁気体を有するピストンとの夫々は、第1磁気体と第2磁気体との隙間間隔に生じる磁気の反発力と吸着力とを利用することで、5mm乃至10mmの隙間間隔距離を維持しながら回転運動と往復運動とを夫々行う。
そして、クランクシャフトがピストンの往復運動に連動して強いトルクで回転運動を行うので、より強い力で発電機(ジェネレータ)をさらに高速で回転させることができる。
その結果、燃料を消費することなく多量の電力を生産することが容易となるので、人類に対するより安定的な電力供給を実現させることができる。
【符号の説明】
【0084】
1乃至4・・・回転動力機構、11,41,51・・・回転体、21,21a,21b・・・ピストン、31・・・クランクシャフト、71・・・シリンダ、81・・・アーム、82・・・シリンダ、91・・・発電機構、92・・・オイルタンク、101,102,501,502・・・プレート、201,201a,201b・・・ピストンヘッド、202・・・シリンダ、301・・・コントロールモータ、401,402・・・フライホイール、601・・・ギアボックス、801乃至806・・・歯車、901,902・・・固定部、911,912・・・軸受部、A1,A2・・・回転体が移動可能なエリア、D,Da,Db・・・隙間間隔、d・・・隙間間隔距離、E・・・外縁、H・・・ピストンヘッドの頭部、J・・・回転体の内周面、P,U・・・軸、S・・・スプリング、Y・・・矢印、Z・・・矢印、Mr・・・回転体側の磁気体、Ms・・・ピストン側の磁気体、K・・・筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁極の向きが正の複数の第1磁気体の第1群と、磁極の向きが負の複数の前記第1磁気体の第2群とが、当該複数の第1磁気体の夫々と回転軸の軸心との距離が順に変わるように並べて配置された回転体と、第2磁気体を有するピストンと、クランクシャフトと、前記クランクシャフトと前記回転体とを同期させる歯車とを備える回転動力機構であって、
前記回転体と前記ピストンとの夫々は、前記第1磁気体と前記第2磁気体との隙間間隔に生じる磁気の反発力と吸着力とを利用して当該回転体が回転することが可能となるように予め設定された隙間間隔距離を、所定範囲内で維持しながら回転運動と往復運動とを夫々行い、
前記第1群の一端の前記第1磁気体と、当該第1群の他端の前記第1磁気体に隣接する前記第2群の端の前記第1磁気体の夫々と前記軸心との間の距離の差分は、前記ピストンの上死点と下死点との間の距離であり、
隣接する2つの前記第1磁気体の夫々と前記軸心との間の距離の差分は、隣接する2つの前記第1磁気体の分だけ前記回転体が前記回転運動した際の前記ピストンの前記往復運動の移動距離であり、
前記クランクシャフトは、前記ピストンによる前記往復運動に連動して回転運動を行い、
前記歯車は、前記クランクシャフトの回転運動に伴う力を前記回転体に伝達することで、前記クランクシャフトと前記回転体とを同期させる、
回転動力機構。
【請求項2】
前記第1磁気体と前記第2磁気体とのうち少なくとも一方が同一形状又は異形状の磁気体の積層構造である、
請求項1に記載の回転動力機構。
【請求項3】
前記第1磁気体と前記第2磁気体とのうち少なくとも一方を上下方向又は左右方向にスライドさせ、前記隙間間隔距離を変化させて、前記反発力及び前記吸着力の有無を調節することで、前記回転体の前記回転運動の開始と停止との制御を実行する稼働制御機構をさらに備える、
請求項1又は2に記載の回転動力機構。
【請求項4】
前記隙間間隔距離が、前記所定範囲として5mm乃至10mmで維持されている、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の回転動力機構。