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特開2023-13871積込システム及び積込システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013871
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】積込システム及び積込システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/48 20060101AFI20230119BHJP
   B66C 13/22 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
B66C13/48 A
B66C13/22 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118334
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】593001945
【氏名又は名称】株式会社エムエムアイ
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】宇丹 友浩
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 晋司
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 哲士
(72)【発明者】
【氏名】栗田 裕二
【テーマコード(参考)】
3F204
【Fターム(参考)】
3F204AA02
3F204BA05
3F204CA01
3F204CA07
3F204DA03
3F204DA07
3F204DB04
3F204DB06
3F204DB09
3F204DC06
3F204GA04
(57)【要約】
【課題】倉庫に保管された積荷を車両の荷台に自動で積み込むことができる積込システム及び積込システムの制御方法を提供すること。
【解決手段】制御装置600は、背面測距装置200により計測対象を計測させ、背面測距装置200により計測対象の位置を計測した結果である第1位置に基づいてクレーン装置500によりコイル800を計測対象の近傍に運搬させ、第1位置に基づいて移動装置400により側面測距装置300を第1位置が視野に入る位置に移動させ、移動装置400により移動させた側面測距装置300により、クレーン装置500により運搬したコイル800の位置を計測した結果と計測対象の位置を計測した結果とを含む第2位置に基づいてコイル800と計測対象との隙間の距離を求め、隙間の距離に基づいて、クレーン装置500によりコイル800を計測対象に寄せて荷台720に着床させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面内の第1方向の一方に荷台を有する車両の前記荷台に、前記車両の外から積荷を自動で積み込む積込システムであって、
前記第1方向の前記一方から前記荷台を俯瞰する位置に配置され、位置の計測機能を有する第1計測装置と、
前記車両の側方から前記車両を俯瞰する位置に配置され、移動することが可能であり、位置の計測機能を有する第2計測装置と、
前記第2計測装置を移動させる移動装置と、
前記車両の外から前記荷台へと前記積荷を運搬する運搬装置と、
前記第1計測装置及び前記第2計測装置を制御し、前記第1計測装置による計測の結果に基づいて前記移動装置を制御し、前記第1計測装置及び前記第2計測装置による計測の結果に基づいて前記運搬装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記車両には、前記運搬装置により前記積荷を前記車両の外から前記荷台に運搬するときの目標座標を求めるための計測対象があり、
前記制御装置は、
前記第1計測装置により前記計測対象を計測させ、
前記第1計測装置により前記計測対象の位置を計測した結果である第1位置に基づいて前記運搬装置により前記積荷を前記計測対象の近傍に運搬させ、
前記第1位置に基づいて前記移動装置により前記第2計測装置を前記第1位置が視野に入る位置に移動させ、
前記移動装置により移動させた前記第2計測装置により、前記運搬装置により運搬した前記積荷の位置を計測した結果と前記計測対象の位置を計測した結果とを含む第2位置に基づいて前記積荷と前記計測対象との隙間の距離を求め、
前記隙間の距離に基づいて、前記運搬装置により前記積荷を前記計測対象に寄せて前記荷台に着床させる、積込システム。
【請求項2】
前記車両には、前記荷台に配置され、前記第1方向における前記積荷の移動を規制する規制部材と、前記荷台に配置され、前記荷台に配置されているときに前記第1方向を長手方向として前記積荷を支持する長尺の互いに平行である一対の支持部材と、があり、
前記計測対象は、前記規制部材及び前記一対の支持部材であり、
前記制御装置は、
前記第1計測装置により計測した前記規制部材の位置に基づき第1座標を求め、
前記第1計測装置により計測した前記一対の支持部材の位置に基づき第2座標及び第3座標を求め、
前記第1座標は前記第1方向における座標であり、
前記第2座標は前記水平面内において前記第1方向に略直交する第2方向における座標であり、
前記第3座標は前記第1方向及び前記第2方向に略直交する第3方向における座標である、請求項1に記載の積込システム。
【請求項3】
前記規制部材は、前記第1計測装置に対向する第1面を有し、
前記制御装置は、
前記第1面を前記第1計測装置により計測した位置を前記第1座標とし、
前記第2方向における前記一対の支持部材の略中央を前記第1計測装置により計測した位置を前記第2座標とし、
前記第3方向における前記一対の支持部材の上面を前記第1計測装置により計測した位置を前記第3座標とする、請求項2に記載の積込システム。
【請求項4】
前記積荷は、予め幅の値及び直径の値が既知である円筒形状のコイルであって、前記円筒形状の中心軸を前記第1方向とする前記コイルであり、
前記制御装置は、前記第1座標にシフト値を加えた座標、前記第2座標、前記第3座標に前記コイルの前記直径の値を加えた座標を前記目標座標とする、請求項3に記載の積込システム。
【請求項5】
前記コイルは、前記規制部材の前記第1面と対向する第2面を有し、
前記制御装置は、前記目標座標に基づいて前記第2面が前記第2計測装置の前記視野に入る位置に、前記移動装置により前記第2計測装置を移動させる、請求項4に記載の積込システム。
【請求項6】
前記第2計測装置は、前記第1面と前記第2面との間の距離として前記第2方向における一端側の距離及び前記第2方向における他端側の距離を求め、前記一端側の距離と前記他端側の距離との平均値を前記隙間の距離として求める、請求項5に記載の積込システム。
【請求項7】
前記移動装置は、前記第1方向及び/又は前記第3方向に前記第2計測装置を移動させることが可能である、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の積込システム。
【請求項8】
前記運搬装置は、
前記積荷を把持する把持手段と、
前記把持手段を前記第1方向に移動させることが可能な第1移動手段と、
前記把持手段を前記第2方向に移動させることが可能な第2移動手段と、
前記把持手段を前記第3方向に移動させることが可能な第3移動手段と、
を有する、請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の積込システム。
【請求項9】
前記第1計測装置及び前記第2計測装置は、近赤外光、可視光若しくは紫外線のレーザー光を照射し、又は、近赤外光、可視光若しくは紫外線のレーザー光をパルス状に照射し、計測を行う3次元のLiDARである、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の積込システム。
【請求項10】
水平面内の第1方向の一方に荷台を有する車両の前記荷台に、前記車両の外から積荷を自動で積み込む積込システムの制御方法であって、
前記積込システムは、前記第1方向の前記一方から前記荷台を俯瞰する位置に配置され、位置の計測機能を有する第1計測装置と、前記車両の側方から前記車両を俯瞰する位置に配置され、移動することが可能であり、位置の計測機能を有する第2計測装置と、前記第2計測装置を移動させる移動装置と、前記車両の外から前記荷台へと前記積荷を運搬する運搬装置と、前記第1計測装置及び前記第2計測装置を制御し、前記第1計測装置による計測の結果に基づいて前記移動装置を制御し、前記第1計測装置及び前記第2計測装置による計測の結果に基づいて前記運搬装置を制御する制御装置と、を有し、
前記車両には、前記運搬装置により前記積荷を前記車両の外から前記荷台に運搬するときの目標座標を求めるための計測対象があり、
前記制御装置が、前記第1計測装置により前記計測対象を計測させる工程と、
前記制御装置が、前記第1計測装置により前記計測対象の位置を計測した結果である第1位置に基づいて前記運搬装置により前記積荷を前記計測対象の近傍に運搬させる工程と、
前記制御装置が、前記第1位置に基づいて前記移動装置により前記第2計測装置を前記第1位置が視野に入る位置に移動させる工程と、
前記制御装置が、前記移動装置により移動させた前記第2計測装置により、前記運搬装置により運搬した前記積荷の位置を計測した結果と前記計測対象の位置を計測した結果とを含む第2位置に基づいて前記積荷と前記計測対象との隙間の距離を求める工程と、
前記制御装置が、前記隙間の距離に基づいて、前記運搬装置により前記積荷を前記計測対象に寄せて前記荷台に着床させる工程と、
を備える、積込システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積込システム及び積込システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイルヤード等の倉庫(以下、コイルヤード等という)において、保管されているコイル等の積荷(以下、コイル等という)を出荷しやすくするように、リフタを用いてコイル等を並び替える作業(以下、配替え作業という)が行われている。コイルヤード等において、コイル等及び台車が設置されている位置は予め決まっている。ここで、位置とは、走行方向、横行方向及び上下方向(昇降方向でもある)における3次元座標で表すことが可能な位置をいう。クレーン装置は位置監視装置(例えば、エンコーダ、レーザー距離計、GPS等)を有しており、位置監視装置を用いてコイル等及び台車の位置を検知することが可能である。このため、コイル等を台車に受け渡す動作、又は、台車からコイル等を受け取る動作の際には、クレーン装置を自動で移動させることができ、クレーン装置を用いた配替え作業は自動で行われる。また例えば、特許文献1では、コイルに貼り付けられたセンサネット端末とクレーンの吊りビームに設置された基地局端末を用いて自動でコイルの位置を検知している。
【0003】
一方、出荷のためにトラック等の車両(以下、トラック等という)の外から車両の荷台へとコイル等を積み込む際には、作業者が無線(例えば、テレコン)又は有線(例えば、ペンダント)のコントローラ装置を用いてクレーン装置を操作し、コイル等の積み込み作業を手動で行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-001804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、積み込み作業を自動化できない理由としては、トラック等の停車位置が毎回異なり、クレーン装置を制御するための情報(例えば目標座標)を固定できないことが挙げられる。また、トラック等の種別により荷台の高さが異なること、コイル等を荷台に積み込むに従ってコイル等の重さによって荷台の高さが変わっていく(下がっていく)ことも挙げられる。
【0006】
しかしながら、操作ミスによる事故を防止する等の安全面での要請等からも、トラック等の外から荷台へとコイル等を積み込む作業を自動化することが望まれている。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、倉庫に保管された積荷を車両の荷台に自動で積み込むことができる積込システム及び積込システムの制御方法を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、以下の構成を備える。
【0009】
水平面内の第1方向の一方に荷台を有する車両の前記荷台に、前記車両の外から積荷を自動で積み込む積込システムであって、
前記第1方向の前記一方から前記荷台を俯瞰する位置に配置され、位置の計測機能を有する第1計測装置と、
前記車両の側方から前記車両を俯瞰する位置に配置され、移動することが可能であり、位置の計測機能を有する第2計測装置と、
前記第2計測装置を移動させる移動装置と、
前記車両の外から前記荷台へと前記積荷を運搬する運搬装置と、
前記第1計測装置及び前記第2計測装置を制御し、前記第1計測装置による計測の結果に基づいて前記移動装置を制御し、前記第1計測装置及び前記第2計測装置による計測の結果に基づいて前記運搬装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記車両には、前記運搬装置により前記積荷を前記車両の外から前記荷台に運搬するときの目標座標を求めるための計測対象があり、
前記制御装置は、
前記第1計測装置により前記計測対象を計測させ、
前記第1計測装置により前記計測対象の位置を計測した結果である第1位置に基づいて前記運搬装置により前記積荷を前記計測対象の近傍に運搬させ、
前記第1位置に基づいて前記移動装置により前記第2計測装置を前記第1位置が視野に入る位置に移動させ、
前記移動装置により移動させた前記第2計測装置により、前記運搬装置により運搬した前記積荷の位置を計測した結果と前記計測対象の位置を計測した結果とを含む第2位置に基づいて前記積荷と前記計測対象との隙間の距離を求め、
前記隙間の距離に基づいて、前記運搬装置により前記積荷を前記計測対象に寄せて前記荷台に着床させる。
【0010】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、倉庫に保管された積荷を車両の荷台に自動で積み込むことができる積込システム及び積込システムの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の積込システムの全体構成を示す模式図
図2】実施形態の(a)背面測距装置の配置を示す側面模式図、(b)側面測距装置の配置を示す背面模式図
図3】実施形態の(a)移動装置を示す正面模式図、(b)クレーン装置を示す斜視模式図
図4】実施形態の(a)コイルを示す斜視模式図、(b)規制部材及び一対のスキッドを示す上面模式図、(c)規制部材及びスキッドを示す側面模式図
図5】実施形態の積込システムのブロック図
図6】実施形態の(a)横行方向及び昇降方向の座標を説明する模式図、(b)走行方向の座標及び隙間の距離を説明する模式図、(c)隙間の距離の求め方を説明する模式図
図7】実施形態の積み込み処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、車両の例としてトラックを、車両の荷台に積み込む積荷の例としてコイルを、積荷を保管している倉庫の例としてコイルヤードを用いるが、他の車両や積荷、倉庫であってもよい。すなわち、車両は荷台を有するものであればよい。また、積荷はクレーン装置によって運搬することが可能であり、少なくとも1つの面とみなすことが可能な部分を有するものであればよい。また例えば、積荷は互いに直交しない2つの面を有するもの、又は、略平行な2つの面を有するものであってもよい。倉庫は一定期間積荷を保管する場所や、一時的に積荷を保管する中間倉庫等であってもよく、例えば、工場、建設作業現場、コンテナターミナル等の作業現場であってもよい。また、積荷の保管場所は屋内・屋外を問わず、クレーン装置を自動で制御できる設備があればよい。
【0014】
また、3次元の座標(以下、3次元座標という)としては、例えば直交座標系として説明するが、球面座標系等、3次元の空間において所定の位置を特定できるものであれば他の座標系を用いてもよい。直交座標系として、水平面内における第1方向である走行方向(x方向)、水平面内において第1方向に略直交する第2方向である横行方向(y方向)、走行方向及び横行方向に略直交する第3方向である昇降方向(z方向)を用いる。なお、後述するクレーン装置の走行レールの方向を走行方向、横行レールの方向を横行方向とする。また、トラックの進行方向(前後方向でもある)はクレーン装置の走行方向とし、トラックの幅方向はクレーン装置の横行方向とする。なお、トラックの進行方向等とクレーン装置の走行方向等については上述した定義に限定されない。
【0015】
<積込システム>
本実施形態の積込システムは、走行方向の一方に荷台を有するトラックの荷台に、車両の外であるコイルヤードに保管されているコイルを自動で積み込むシステムである。図1は、本実施形態の積込システム100を説明する模式図である。図1はコイルヤード900を天井912(図2参照)側から見た平面模式図であり、コイルヤード900における本実施形態の積込システム100、トラック700、コイル800を示している。また、図1には、走行方向及び横行方向も示している。なお、図1に図示された各構成物の大きさの比率や相対的な距離等は必ずしも現実の大きさの比率や相対的な距離等を表していない。さらに、各構成物の配置も図1に示した状態に限定されない。
【0016】
本実施形態の積込システム100は、第1計測装置である背面測距装置200、第2計測装置である側面測距装置300、移動装置400、運搬装置であるクレーン装置500、制御装置600を備えている。コイルヤード900は、車両出入口910、天井912(図2参照)、床面914を有している。トラック700は、キャビン710、荷台720を有している。
【0017】
<背面測距装置>
背面測距装置200は、例えば3次元のLiDAR(Light Detection And Ranging)である。背面測距装置200は、照射部220、受信部240、制御部260を有する(図5参照)。照射部220は、水平方向及び垂直方向の所定の範囲(以下、視野という)内で、例えばレーザー光を走査する(スキャンするともいう)ことにより、視野内に存在する対象物にレーザー光を照射する。受信部240は、照射部220により照射されたレーザー光が視野内の対象物によって反射された反射波を受信する。
【0018】
制御部260は、照射部220からレーザー光を照射したタイミングと、受信部240により反射波を受信したタイミングとに基づいて、対象物の位置を演算する。ここで、制御部260においては、3次元のローカル座標系が定義されており、対象物の位置は3次元座標として演算される。制御部260で定義されているローカル座標系は、ワールド座標系(グローバル座標系ともいう)に変換することが可能である。このため、制御部260は、対象物の位置をワールド座標系の3次元座標として変換し、制御装置600に出力する。
【0019】
背面測距装置200は、走行方向の一方からトラック700の荷台720を俯瞰する位置に配置され、位置の計測機能を有する。具体的には、背面測距装置200は、車両出入口910を介してトラック700がコイルヤード900内に進入し所定の位置で停車したときに、トラック700の後方かつ上方となる位置に配置されている。以下、走行方向において、トラック700のキャビン710側を前側ともいい、荷台720側を後側ともいう。また、横行方向において、トラック700の進行方向に向かって左側、右側を定義する。
【0020】
図2(a)は背面測距装置200の配置を示す側面模式図である。背面測距装置200は、一点鎖線で示す中心軸Cv1(光軸)方向に対して垂直方向の上下にそれぞれ角度θv1の視野を有し、水平方向に角度θh1(不図示)の視野を有する。ここで、背面測距装置200は、垂直方向が本実施形態の昇降方向と略一致するように配置されている。また、背面測距装置200は、中心軸Cv1と床面914とがなす角度が角度θとなるように配置されている。角度θv1は例えば38.4度、角度θは例えば30度であるが、これらの値に限定されない。
【0021】
背面測距装置200は、少なくともトラック700の荷台720を視野に入れることが可能な位置に配置されていればよく、図1では例えば車両出入口910の上側に配置されている。背面測距装置200はこの位置に固定されている、言い換えれば、背面測距装置200は、走行方向、横行方向及び昇降方向のいずれにも平行移動することはない。なお、背面測距装置200から荷台720を俯瞰したとき、走行方向の前側は奥側に相当し、後側は手前側に相当する。背面測距装置200の視野を図2(b)に破線Fv1として示す。
【0022】
<側面測距装置>
側面測距装置300も、例えば3次元のLiDARである。側面測距装置300は、照射部320、受信部340、制御部360を有する(図5参照)。照射部320、受信部340、制御部360の機能は照射部220、受信部240、制御部260と同様であるため、説明を省略する。ただし、本実施形態の側面測距装置300は、後述する隙間の距離という相対的な値(差分)を計測するものであるため、ワールド座標系に対応していなくてもよく、ローカル座標系で3次元座標を演算できればよい。
【0023】
側面測距装置300は、トラック700の側方からトラック700を俯瞰する位置に配置され、移動することが可能であり、位置の計測機能を有する。背面測距装置200が固定されている点に対し、側面測距装置300は固定されておらず移動可能、すなわち走行方向、横行方向及び昇降方向の少なくとも1方向に平行移動が可能である点において異なる。具体的には、側面測距装置300は、車両出入口910を介してトラック700がコイルヤード900内に進入し所定の位置で停車したときに、トラック700の左側に配置されている。なお、側面測距装置300は、トラック700の右側に配置されていてもよい。
【0024】
図2(b)は側面測距装置300の配置を示す走行方向の一方(後側)から見た背面模式図である。なお、説明のためトラック700のキャビン710の描画を省略している。側面測距装置300は、一点鎖線で示す中心軸Cv2(光軸)方向に対して垂直方向の上下にそれぞれ角度θv2の視野を有し、水平方向に角度θh2(不図示)の視野を有する。ここで、側面測距装置300は、垂直方向が本実施形態の昇降方向と略一致するように配置されている。また、側面測距装置300は、中心軸Cv2が床面914と略平行となるように配置されている。角度θv2も例えば38.4度とするが、この値に限定されない。また、側面測距装置300は、移動装置400に取り付けられている。なお、側面測距装置300からトラック700を俯瞰したとき、横行方向の右側は奥側に相当し、左側は手前側に相当する。側面測距装置300の視野を図2(a)に破線Fv2として示す。
【0025】
背面測距装置200及び側面測距装置300は、近赤外光、可視光若しくは紫外線のレーザー光を照射し、又は、近赤外光、可視光若しくは紫外線のレーザー光をパルス状に照射し、計測を行う3次元のLiDARである。なお、背面測距装置200及び側面測距装置300は、LiDARでなくてもよく、他の波長の電磁波、例えば電波を用いたレーダーであってもよい。さらに、背面測距装置200及び側面測距装置300は、音波を用いたものであってもよく、対象物の位置を3次元座標として特定できるものであればよい。
【0026】
<移動装置>
図3(a)に移動装置400の構成を示す正面模式図を示す。移動装置400は、保持部410、水平移動部420、垂直移動部430、支持部440、制御部450、駆動部460を有している。保持部410は、側面測距装置300を保持する。
【0027】
水平移動部420には、保持部410が固定して取り付けられており、垂直移動部430に設けられた水平レール432に沿って、水平方向に移動することが可能である。水平移動部420は駆動部460によって駆動され、水平方向に移動する(図中白抜き矢印)。水平移動部420の水平方向への移動は、走行方向と略一致するように構成されている。
【0028】
垂直移動部430には、水平移動部420が移動可能に取り付けられており、支持部440に設けられた垂直レール442に沿って、垂直方向に移動することが可能である。垂直移動部430は、水平レール432を有している。垂直移動部430は駆動部460によって駆動され、垂直方向に移動する(図中白抜き矢印)。垂直移動部430の垂直方向への移動は、昇降方向と略一致するように構成されている。
【0029】
支持部440には、垂直移動部430が移動可能に取り付けられており、垂直レール442を有している。制御部450は、制御装置600と有線又は無線による通信ネットワーク(不図示)を介して情報の送受信を行うことが可能であり、制御装置600の制御に従って移動装置400の各種動作を制御する。制御部450は、例えばCPU、ROM、RAM、タイマ等を有している。制御部450は、ROMに記憶された各種プログラムに従いRAMを一時的な作業領域として使用しながらタイマにより各種タイミングを監視しつつCPUにより各種演算を行って移動装置400を制御する。駆動部460は、水平移動部420及び垂直移動部430を駆動するためのモータ、シリンダ、クラッチ、ギヤ等の公知の駆動手段、伝達手段(不図示)を有している。
【0030】
なお、支持部440はそれ自体が独立してコイルヤード900の床面914から立設するように設置されてもよいし、コイルヤード900の壁面(不図示)に取り付けられてもよい。また、移動装置400は、トラック700が停車したときに左右いずれかの側面近傍となる位置に配置されていればよい。
【0031】
<クレーン装置>
図3(b)は、本実施形態のクレーン装置500の全体構成を示す斜視模式図である。クレーン装置500は、コイルヤード900において、コイル800を吊り上げて運搬するための装置であり、例えば天井クレーンである。なお、クレーン装置500は天井クレーンに限定されず、他の構成のクレーンであってもよい。
【0032】
クレーン装置500は、第1移動手段であるサドル510、第2移動手段であるクラブ520、第3移動手段である巻上部(巻上装置)530、制御部540、駆動部560(図5参照)を有している。クレーン装置500の設置場所には、サドル510が走行方向に沿って走行するための走行レール550、クラブ520が横行方向に沿って走行(横行)するためのガーダ560a及び横行レール560bも設置されている。また、コイル800の吊上げには、ワイヤーロープ570、把持手段であるコイルリフター580も用いられる。
【0033】
サドル510は、水平面内において走行方向に沿って直線的に移動可能に構成された移動体である(図中白抜き矢印)。走行レール550が走行方向に沿って延びるように敷設されており、サドル510は、その走行レール550上を制御部540からの制御指令に基づいて駆動部560により往復移動可能とされている。
【0034】
サドル510上にはガーダ560aが設置されている。ガーダ560aは、水平面内において横行方向に沿って延びており、その上部に横行レール560bがガーダ560aと同方向に延びて設置されている。したがって、横行レール560bもサドル510と共に走行方向に沿って直線的に往復移動可能である。クラブ520は、横行レール560b上を移動可能に構成された移動体である(図中白抜き矢印)。クラブ520は、横行レール560b上を制御部540からの制御信号に基づいて駆動部560により横行方向に沿って往復移動可能である。
【0035】
なお、本実施形態においては、サドル510を第1移動手段、クラブ520を第2移動手段として説明しているが、これに限られない。例えば、クラブ520が第1方向(走行方向)に沿って移動する第1移動手段であり、サドル510が第2方向(横行方向)に沿って移動する第2移動手段であっても構わない。サドル510及びクラブ520のいずれを第1移動手段とするか第2移動手段とするかは定義付の問題であり、設計事項である。同様に、第1方向及び第2方向のいずれをx方向とするかy方向とするかも定義付の問題であり、設計事項である。
【0036】
クラブ520上に巻上部530が設置されている。巻上部530は、クラブ520と共に、水平面内において走行方向及び横行方向に自在に移動可能とされている。巻上部530は、図3(b)に示すように、巻上ドラム532を有している。巻上ドラム532は、コイル800を吊り上げるためのワイヤーロープ570の巻上げ及び巻下げ(図中白抜き矢印)が可能な回転体であり、駆動部560が有するモータに連結されて制御部540からの制御指令に基づき、正逆回転が可能とされている。
【0037】
(コイル)
ここで、コイル800について説明する。図4(a)はコイル800の斜視模式図である。コイル800は、鋼帯ともいい、鉄鋼や他の金属(例えば、アルミニウム・銅・チタン等)がコイル状に巻回されており、種々の製品に加工されるために出荷される。コイル800は、予め幅の値及び直径の値が既知である円筒形状であり、円筒形状の中心軸Crを走行方向と略一致するようにコイルヤード900に保管されている。また、コイル800は、中心軸Crを走行方向と略一致するようにトラック700の荷台720に積み込まれる。コイル800は、中心軸Crに略直交する面810と、面810とは反対側の面820とを有している。ここで、コイル800の面810は、後述する規制部材740の面742(図4(b)等参照)と対向する第2面に相当する。コイル800の中心軸Cr方向の長さを幅Wcという。また、コイル800の厚みDrは、コイル800の外半径Rc1と内半径Rc2との差(Rc1-Rc2)である。コイル800には、内径部分によって孔830が形成されている。コイル800の重さは、材質や厚みDr、幅Wcに依存するが、例えば1t~20tである。また、コイル800は、後述する目標座標に運搬されたとき、面820が背面測距装置200に対向するような姿勢になるものとする。
【0038】
コイルヤード900に保管されているコイル800の情報(例えばコイル800の識別番号等)と、そのコイル800の位置を示すワールド座標系の3次元座標の情報とは紐づけられ、例えば制御装置600がテーブル等としてROM、RAM等に記憶しているものとする。
【0039】
図3(b)のクレーン装置500の説明に戻る。ワイヤーロープ570には、コイル800の孔830に挿入されコイル800を把持するためのコイルリフター580が繋留されている。コイルリフター580は、本体部582、一対のアーム584を有しており、各アーム584は先端に爪部586を有している。一対のアーム584は、互いの距離が近くなりコイル800を把持する把持状態と、互いの距離が遠くなりコイル800を開放する開放状態との間で遷移することが可能である。一対のアーム584の把持状態と開放状態との間の遷移は駆動部560によって行われる。
【0040】
なお、コイルリフター580は、コイル800を把持することが可能であり、運搬中にコイル800の把持状態を維持することが可能であればよい。例えば、コイルリフター580が1つのアームを有し、1つのアームは、コイル800の孔830を貫通する長さを有する爪部を先端に有するものであってもよい。
【0041】
制御部540は、制御装置600と有線又は無線による通信ネットワーク(不図示)を介して情報の送受信を行うことが可能であり、制御装置600の制御に従ってクレーン装置500の各種動作を制御する。制御部540は、制御装置600からコイル800の3次元座標と運搬先の目標座標とを入力されると、コイル800の位置に移動してコイル800を吊り上げ、吊り上げたコイル800を目標座標まで運搬するようにクレーン装置500を制御する。制御部540は、例えばCPU、ROM、RAM、タイマ等を有している。制御部540は、ROMに記憶された各種プログラムに従いRAMを一時的な作業領域として使用しながらタイマにより各種タイミングを監視しつつCPUにより各種演算を行ってクレーン装置500を制御する。なお、クレーン装置500の移動、運搬等については公知の制御を行うこととし、説明を省略する。
【0042】
駆動部560は、サドル510、クラブ520、巻上ドラム532、アーム584を駆動するためのモータ、シリンダ、クラッチ、ギヤ等の公知の駆動手段、伝達手段(不図示)を有している。
【0043】
<制御装置>
制御装置600は、操作部610、表示部620を有している(図5参照)。操作部610は、例えばキーボード、マウス、ボタン、マイク等の公知の入力手段(不図示)を有し、作業者からの入力を受け付ける。また、表示部620は、ディスプレイ、ランプ(光)、スピーカー(音)等の公知の表示手段(不図示)を有し、各種の情報を作業者に報知する。制御装置600は、積込システム100全体を制御する。制御装置600は、背面測距装置200及び側面測距装置300を制御する。制御装置600は、背面測距装置200による計測の結果に基づいて移動装置400を制御し、背面測距装置200及び側面測距装置300による計測の結果に基づいてクレーン装置500を制御する。
【0044】
制御装置600は、背面測距装置200の制御部260、側面測距装置300の制御部360、移動装置400の制御部450、クレーン装置500の制御部540と有線又は無線による通信ネットワーク(不図示)を介して情報の送受信を行うことが可能である。制御装置600は、例えばCPU、ROM、RAM、タイマ等を有している。制御装置600は、ROMに記憶された各種プログラムに従いRAMを一時的な作業領域として使用しながらタイマにより各種タイミングを監視しつつCPUにより各種演算を行って積込システム100全体を制御する。
【0045】
<規制部材とスキッド>
図4(b)、(c)は規制部材740と一対のスキッド760を説明する図であり、(b)はトラック700を上側から見た模式図、(c)はトラック700を左側から見た模式図である。なお、図4(b)にはコイル800が荷台720に積み込まれたときの状態を破線で示す。トラック700の荷台720には、走行方向におけるコイル800の移動を規制する規制部材740が配置されている。規制部材740はコイル800の走行方向の位置決めにも用いられる。また、トラック700の荷台720には、荷台720に配置されているときに走行方向を長手方向としてコイル800を支持する長尺の互いに平行である一対の支持部材である一対のスキッド760が配置されている。本実施形態では、規制部材740と一対のスキッド760は、背面測距装置200の計測対象である。
【0046】
規制部材740は、背面測距装置200に対向する第1面である面742を有している。一対のスキッド760は、それぞれ上面762と、切り欠き部764(図6(a)参照)と、を有している。一対のスキッド760は、切り欠き部764が互いに対向するように配置される(図6(a)参照)。言い換えれば、一対のスキッド760は、それぞれの切り欠き部764が一対のスキッド760の中央を向くように配置される。なお、荷台720に複数のコイル800が積み込まれる場合は、図4(b)に点線で示すように、既に積み込まれたコイル800の面820に寄せて、新たな規制部材740aが設置される。そして、次のコイル800aを積み込むために、背面測距装置200は規制部材740aの面742aを計測する。
【0047】
<積込システムのブロック図>
図5は、積込システム100のブロック図である。制御装置600は、背面測距装置200に計測対象の位置である第1位置(以下、計測対象の第1位置という)を計測させるための制御指令を、背面測距装置200の制御部260に送信する。背面測距装置200の制御部260は、制御装置600から制御指令を受信すると、照射部220からレーザー光を照射させ、受信部240から反射波を受信する。制御部260は、計測対象の第1位置を演算し、計測対象の3次元座標をワールド座標系で制御装置600に出力する。なお、制御装置600と側面測距装置300との間の制御も同様であるため、説明を省略する。ただし、側面測距装置300は、後述する隙間の距離を制御装置600に送信する。
【0048】
制御装置600は、コイル800の3次元座標と運搬先の目標座標とを、クレーン装置500の制御部540に送信する。制御部540は、駆動部560を制御してサドル510、クラブ520をコイル800の位置に移動させ、巻上ドラム532によりコイルリフター580を降下させてアーム584によりコイル800を把持させる。制御部540は、巻上ドラム532によりコイルリフター580及びコイル800を上昇させる。制御部540は、駆動部560を制御してサドル510、クラブ520によりコイル800を目標座標に運搬させる。
【0049】
制御装置600は、背面測距装置200から入力された第1位置の3次元座標を移動装置400の制御部450に送信する。移動装置400の制御部450は、駆動部460を制御して水平移動部420、垂直移動部430を制御装置600から入力された3次元座標に応じて移動させる。
【0050】
なお、制御装置600、制御部260、制御部360、制御部450、制御部540は、いずれも、公知の通信ポート、通信インターフェース等を有しており、情報の送受信を行っているものとする。また、本実施形態では制御装置600が積込システム100全体を制御しているが、制御装置600の一部又は全部の機能を他の装置の制御部が有していてもよい。
【0051】
<積み込み制御の概要>
図6を用いて、本実施形態の積込システム100を用いたコイル800のトラック700の荷台720への自動の積込制御について説明する。図6(a)は横行方向及び昇降方向の座標を説明する模式図、(b)は走行方向の座標及び隙間の距離を説明する模式図、(c)は隙間の距離の求め方を説明する模式図である。なお、図6(a)には、クレーン装置500が目標座標にコイル800を運搬したときの状態を破線で示す。
【0052】
(背面測距装置による計測とコイルの運搬)
制御装置600は、背面測距装置200により計測対象である規制部材740及び一対のスキッド760の第1位置を計測させ、クレーン装置500にコイル800を運搬させるときのトラック700の荷台720上の目標座標を求める。このとき、制御装置600は、計測対象である規制部材740及び一対のスキッド760を計測し、第1位置の座標、具体的には、第1座標、第2座標、第3座標を求める。
【0053】
図6(b)に示すように、第1座標は、走行方向の座標であり、背面測距装置200により計測した規制部材740の位置に基づき求められる。例えば、第1座標は、走行方向における規制部材740の面742の座標である。図6(a)に示すように、第2座標は、横行方向の座標であり、背面測距装置200により計測した一対のスキッド760の位置に基づき求められる。例えば、第2座標は、横行方向における一対のスキッド760の略中央の座標である。第3座標は、昇降方向の座標であり、背面測距装置200により計測した一対のスキッド760の位置に基づき求められる。例えば、第3座標は、昇降方向における一対のスキッド760の上面762の座標である。
【0054】
制御装置600は、第1座標にコイル800の幅Wcの半分の値とオフセット値とを加えた座標、第2座標、第3座標にコイル800の直径(2×Rc1)の値を加えた座標を、目標座標とする。なお、上述したように、コイル800の幅Wc及び直径(2×Rc1)は既知の値である。
走行方向の目標座標(x)=第1座標+コイル幅/2+オフセット値
横行方向の目標座標(y)=第2座標
昇降方向の目標座標(z)=第3座標+コイル直径
ここで、走行方向において、目標座標にオフセット値を加算しているが、これは、オフセット値を加算しなかった場合、コイル800の下面の規制部材740への接触のおそれがあるからである。また、横行方向及び昇降方向にはオフセット値を加算していないが、これは、背面測距装置200の計測時に生じる誤差は一対のスキッド760の切り欠き部764により吸収されると考えられるからである。なお、横行方向及び昇降方向についてもオフセット値を加算してもよい。コイル幅の半分の値とオフセット値とを加算した値はシフト値に相当する。
【0055】
制御装置600は、上述した目標座標をクレーン装置500の制御部540に送信し、クレーン装置500によりコイル800を規制部材740及び一対のスキッド760の近傍(言い換えれば、第1位置の近傍)である目標座標に運搬させる。コイル800が目標座標に運搬されたとき、中心軸Cvが走行方向と略平行となっている状態であることが好ましい。しかし、コイル800の中心軸Cvと走行方向とが略平行とならない場合もある。この点については図6(c)で説明する。
【0056】
(移動装置の移動)
制御装置600は、上述した第1位置に基づいて移動装置400により側面測距装置300を規制部材740及びコイル800、すなわち第1位置が視野に入る位置に移動させる。具体的には、制御装置600は、コイル800の面810が側面測距装置300の視野に入る位置に、移動装置400により側面測距装置300を移動させる。なお、本実施形態では、説明を簡単にするため、移動装置400は、走行方向の座標である第1座標に基づき側面測距装置300を走行方向にのみ移動させるものとする。
【0057】
(側面測距装置による計測)
制御装置600は、移動装置400により移動させた側面測距装置300により、運搬後のコイル800の位置を計測した結果と計測対象の位置を計測した結果とを含む第2位置に基づいてコイル800と規制部材740との隙間の距離を求める。図3(c)に示すように、制御装置600は、側面測距装置300により、規制部材740の面742とコイル800の面810との間の距離として横行方向における一端側(例えば手前側)の距離及び他端側(例えば奥側)の距離を求める。具体的には、側面測距装置300は、規制部材740の上面744の手前側の辺746における面742と面810との距離Lnを計測する。側面測距装置300は、規制部材740の上面744の奥側の辺748における面742と面810との距離Lfを計測する。側面測距装置300は、一端側の距離である距離Lnと他端側の距離である距離Lfとの平均値Lavを隙間の距離ΔLgとし、隙間の距離ΔLgを制御装置600に送信する。これにより、図6(c)に示すように、コイル800の中心軸Crと走行方向とが平行でない場合でも、隙間の距離ΔLgを精度よく求めることができる。
【0058】
(コイルの寄せ・着床)
制御装置600は、隙間の距離ΔLgの分、クレーン装置500を走行方向の前側に移動させてコイル800を規制部材740に寄せる(以下、前詰め動作ともいう)。制御装置600は、クレーン装置500を下降させてコイル800を荷台720に着床させる。制御装置600は、クレーン装置500によりアーム584を開放させる。次に積み込むコイル800がある場合には、制御装置600は上述した動作を繰り返す。一方、次に積み込むコイル800がない場合には、制御装置600はクレーン装置500を所定の位置(待機場所等)(以下、ホームポジションという)に戻す。
【0059】
<積込処理>
図7は、本実施形態の積込処理を説明するフローチャートである。制御装置600は、トラック700が車両出入口910を介してコイルヤード900内に進入して所定の位置で停止し、作業者から操作部610を介して自動積み込みの開始を入力されると、ステップ(以下、Sという)100以降の処理を開始する。S100で制御装置600は、クレーン装置500の制御部540に、トラック700の荷台720に積み込む予定のコイル800の位置を示す3次元座標を送信し、クレーン装置500をコイル800の位置に移動させる。S102で制御装置600は、背面測距装置200の制御部260に視野、具体的にはトラック700の荷台720をスキャンさせる。
【0060】
S104で制御装置600は、背面測距装置200により第1位置の座標を求める。具体的には、背面測距装置200が、規制部材740の面742の走行方向の座標を第1座標とし、一対のスキッド760の略中央(スキッドセンターと図示)を第2座標とし、一対のスキッド760の上面762を第3座標として求める。S106で制御装置600は、S104で求めた第1位置の座標に基づき目標座標を求める。具体的には、制御装置600は、第1座標にコイル幅の半分の値とオフセット値とを加算して走行方向の目標座標とし、第2座標を横行方向の目標座標とし、第3座標にコイル直径を加算して昇降方向の目標座標とする。
【0061】
S108で制御装置600は、S104で求めた第1位置の座標を移動装置400に送信し、S106で求めた目標座標をクレーン装置500に送信する。S110で制御装置600は、クレーン装置500によりコイル800を把持させ、コイル800を目標座標に運搬させる。なお、制御装置600は、クレーン装置500によりコイル800を目標座標に運搬したら、運搬を一旦停止させる。また、制御装置600は、移動装置400により側面測距装置300を第1位置に応じた位置に移動させて、側面測距装置300を待機させる。
【0062】
S112で制御装置600は、側面測距装置300により規制部材740及びコイル800をスキャンさせる。S114で制御装置600は、図6(c)で説明した方法により規制部材740とコイル800との隙間の距離ΔLgを求める。S116で制御装置600は、S114で求めた隙間の距離ΔLgだけ、クレーン装置500を走行方向の前側に移動させ、コイル800を規制部材740に寄せる前詰め動作を行う。S118で制御装置600は、クレーン装置500によりコイル800を下降させて、コイル800を一対のスキッド760及び荷台720に着床させる。S120で制御装置600は、クレーン装置500のアーム584を開放させる。
【0063】
S122で制御装置600は、次に積み込むコイル800があるか否かを判断する。S122で制御装置600は、次に積み込むコイル800があると判断した場合、処理をS100に戻し、次に積み込むコイル800がないと判断した場合、処理をS124に進める。S124で制御装置600は、クレーン装置500をホームポジションに戻し、積込処理を終了する。なお、S122で次に積み込むコイル800がある場合、制御装置600は、荷台720に積み込まれたコイル800の面820に新たな規制部材740aが当接して設置されるのを待って、S100以降の処理を行うものとする。例えば、制御装置600は、操作部610を介して作業者から規制部材740aの設置が終了したことを入力されると、S100以降の処理を行う。
【0064】
以上、本実施形態によれば、倉庫に保管された積荷を車両の荷台に自動で積み込むことができる積込システム及び積込システムの制御方法を提供することができる。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【0066】
例えば、上述した実施形態では、背面測距装置200は、位置を固定としたが固定されていなくてもよい。例えば、背面測距装置200は、走行方向、横行方向及び昇降方向のうち、1方向、2方向又は3方向で平行移動することができるように配置されていてもよい。
【0067】
また、背面測距装置200及び側面測距装置300は、所定の位置に停止している(固定されている)ときに、垂直方向の中心軸Cv1、Cv2や水平方向の視野を変更できるようにしてもよい。例えば、背面測距装置200及び側面測距装置300が所定の位置に停止した状態で、垂直方向及び水平方向のうち1方向又は2方向で、背面測距装置200及び側面測距装置300を回転することができるように構成してもよい。
【0068】
また、移動装置400は水平方向及び垂直方向に移動する構成としたが、水平方向及び垂直方向に略直交する方向(実施形態では横行方向)に移動可能な構成としてもよい。
【0069】
また、規制部材740及び一対のスキッド760を背面測距装置200の計測対象としたが、これに限定されない。計測対象は、走行方向及び横行方向においてトラック700の荷台720の範囲内、かつ、昇降方向において荷台720の高さよりも高い位置に存在するものであればよく、例えば背面測距装置200で測距可能なマーク等であってもよい。
【0070】
さらに、図7のフローチャートにおいて、S100の処理とS102~S108の処理は、どちらが先に行われてもよく、また並行して行われてもよい。
【0071】
なお、本発明は、以下の趣旨を含む。
[趣旨1]
本発明の積込システムは、
水平面内の第1方向の一方に荷台を有する車両の前記荷台に、前記車両の外から積荷を自動で積み込む積込システムであって、
前記第1方向の前記一方から前記荷台を俯瞰する位置に配置され、位置の計測機能を有する第1計測装置と、
前記車両の側方から前記車両を俯瞰する位置に配置され、移動することが可能であり、位置の計測機能を有する第2計測装置と、
前記第2計測装置を移動させる移動装置と、
前記車両の外から前記荷台へと前記積荷を運搬する運搬装置と、
前記第1計測装置及び前記第2計測装置を制御し、前記第1計測装置による計測の結果に基づいて前記移動装置を制御し、前記第1計測装置及び前記第2計測装置による計測の結果に基づいて前記運搬装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記車両には、前記運搬装置により前記積荷を前記車両の外から前記荷台に運搬するときの目標座標を求めるための計測対象があり、
前記制御装置は、
前記第1計測装置により前記計測対象を計測させ、
前記第1計測装置により前記計測対象の位置を計測した結果である第1位置に基づいて前記運搬装置により前記積荷を前記計測対象の近傍に運搬させ、
前記第1位置に基づいて前記移動装置により前記第2計測装置を前記第1位置が視野に入る位置に移動させ、
前記移動装置により移動させた前記第2計測装置により、前記運搬装置により運搬した前記積荷の位置を計測した結果と前記計測対象の位置を計測した結果とを含む第2位置に基づいて前記積荷と前記計測対象との隙間の距離を求め、
前記隙間の距離に基づいて、前記運搬装置により前記積荷を前記計測対象に寄せて前記荷台に着床させる。
【0072】
[趣旨2]
前記車両には、前記荷台に配置され、前記第1方向における前記積荷の移動を規制する規制部材と、前記荷台に配置され、前記荷台に配置されているときに前記第1方向を長手方向として前記積荷を支持する長尺の互いに平行である一対の支持部材と、があり、
前記計測対象は、前記規制部材及び前記一対の支持部材であり、
前記制御装置は、
前記第1計測装置により計測した前記規制部材の位置に基づき第1座標を求め、
前記第1計測装置により計測した前記一対の支持部材の位置に基づき第2座標及び第3座標を求め、
前記第1座標は前記第1方向における座標であり、
前記第2座標は前記水平面内において前記第1方向に略直交する第2方向における座標であり、
前記第3座標は前記第1方向及び前記第2方向に略直交する第3方向における座標であってもよい。
【0073】
[趣旨3]
前記規制部材は、前記第1計測装置に対向する第1面を有し、
前記制御装置は、
前記第1面を前記第1計測装置により計測した位置を前記第1座標とし、
前記第2方向における前記一対の支持部材の略中央を前記第1計測装置により計測した位置を前記第2座標とし、
前記第3方向における前記一対の支持部材の上面を前記第1計測装置により計測した位置を前記第3座標としてもよい。
【0074】
[趣旨4]
前記積荷は、予め幅の値及び直径の値が既知である円筒形状のコイルであって、前記円筒形状の中心軸を前記第1方向とする前記コイルであり、
前記制御装置は、前記第1座標にシフト値を加えた座標、前記第2座標、前記第3座標に前記コイルの前記直径の値を加えた座標を前記目標座標としてもよい。
【0075】
[趣旨5]
前記コイルは、前記規制部材の前記第1面と対向する第2面を有し、
前記制御装置は、前記目標座標に基づいて前記第2面が前記第2計測装置の前記視野に入る位置に、前記移動装置により前記第2計測装置を移動させてもよい。
【0076】
[趣旨6]
前記第2計測装置は、前記第1面と前記第2面との間の距離として前記第2方向における一端側の距離及び前記第2方向における他端側の距離を求め、前記一端側の距離と前記他端側の距離との平均値を前記隙間の距離として求めてもよい。
【0077】
[趣旨7]
前記移動装置は、前記第1方向及び/又は前記第3方向に前記第2計測装置を移動させることが可能であってもよい。
【0078】
[趣旨8]
前記運搬装置は、
前記積荷を把持する把持手段と、
前記把持手段を前記第1方向に移動させることが可能な第1移動手段と、
前記把持手段を前記第2方向に移動させることが可能な第2移動手段と、
前記把持手段を前記第3方向に移動させることが可能な第3移動手段と、
を有してもよい。
【0079】
[趣旨9]
前記第1計測装置及び前記第2計測装置は、近赤外光、可視光若しくは紫外線のレーザー光を照射し、又は、近赤外光、可視光若しくは紫外線のレーザー光をパルス状に照射し、計測を行う3次元のLiDARであってもよい。
【0080】
[趣旨10]
本発明の積込システムの制御方法は、
水平面内の第1方向の一方に荷台を有する車両の前記荷台に、前記車両の外から積荷を自動で積み込む積込システムの制御方法であって、
前記積込システムは、前記第1方向の前記一方から前記荷台を俯瞰する位置に配置され、位置の計測機能を有する第1計測装置と、前記車両の側方から前記車両を俯瞰する位置に配置され、移動することが可能であり、位置の計測機能を有する第2計測装置と、前記第2計測装置を移動させる移動装置と、前記車両の外から前記荷台へと前記積荷を運搬する運搬装置と、前記第1計測装置及び前記第2計測装置を制御し、前記第1計測装置による計測の結果に基づいて前記移動装置を制御し、前記第1計測装置及び前記第2計測装置による計測の結果に基づいて前記運搬装置を制御する制御装置と、を有し、
前記車両には、前記運搬装置により前記積荷を前記車両の外から前記荷台に運搬するときの目標座標を求めるための計測対象があり、
前記制御装置が、前記第1計測装置により前記計測対象を計測させる工程と、
前記制御装置が、前記第1計測装置により前記計測対象の位置を計測した結果である第1位置に基づいて前記運搬装置により前記積荷を前記計測対象の近傍に運搬させる工程と、
前記制御装置が、前記第1位置に基づいて前記移動装置により前記第2計測装置を前記第1位置が視野に入る位置に移動させる工程と、
前記制御装置が、前記移動装置により移動させた前記第2計測装置により、前記運搬装置により運搬した前記積荷の位置を計測した結果と前記計測対象の位置を計測した結果とを含む第2位置に基づいて前記積荷と前記計測対象との隙間の距離を求める工程と、
前記制御装置が、前記隙間の距離に基づいて、前記運搬装置により前記積荷を前記計測対象に寄せて前記荷台に着床させる工程と、
を備える。
【符号の説明】
【0081】
100 積込システム 200 背面測距装置
220 照射部 240 受信部
260 制御部 300 側面測距装置
320 照射部 340 受信部
360 制御部 400 移動装置
410 保持部 420 水平移動部
430 垂直移動部 432 水平レール
440 支持部 442 垂直レール
450 制御部 460 駆動部
500 クレーン装置 510 サドル
520 クラブ 530 巻上部
532 巻上ドラム 540 制御部
550 走行レール 560 駆動部
560a ガーダ 560b 横行レール
570 ワイヤーロープ 580 コイルリフター
582 本体部 584 アーム
586 爪部 600 制御装置
610 操作部 620 表示部
700 トラック 710 キャビン
720 荷台 740、740a 規制部材
742、742a 面 744 上面
746 辺 748 辺
760 スキッド 762 上面
764 切り欠き部 800 コイル
810 面 820 面
830 孔 900 コイルヤード
910 車両出入口 912 天井
914 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7