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特開2023-13873被膜試験装置、被膜試験方法、被膜試験確認方法
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  • 特開-被膜試験装置、被膜試験方法、被膜試験確認方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013873
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】被膜試験装置、被膜試験方法、被膜試験確認方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
G01N17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118339
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000180287
【氏名又は名称】エスケー化研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】北脇 和智
(72)【発明者】
【氏名】岡本 啓吾
【テーマコード(参考)】
2G050
【Fターム(参考)】
2G050AA01
2G050DA01
2G050EA01
2G050EA02
2G050EB07
2G050EC05
(57)【要約】
【課題】被膜の耐汚染性評価において、汚染の過程を見ることができ、比較的短時間で容易に相対比較を行うことができる被膜試験装置、被膜試験方法等を提供する。
【解決手段】本発明の被膜試験装置は、表面に被膜を備えた、くの字状折り曲げ試験板が、その上部が傾斜し、その下部が下垂する状態で、2以上並設され、上記2以上の試験板の上部上方には、それぞれ、試験板の上部に汚染物質含有液を滴下する滴下部が設置され、上記2以上の試験板として、少なくとも、基準被膜を備えた基準試験板と、比較被膜を備えた比較試験板とを有することを特徴とする。本発明の被膜試験方法は、上記被膜試験装置を用い、上記2以上の試験板の上部に、それぞれ、汚染物質含有液を断続的に所定時間滴下することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被膜の耐汚染性を評価するための被膜試験装置であって、
表面に被膜を備えた、くの字状折り曲げ試験板が、その上部が傾斜し、その下部が下垂する状態で、2以上並設され、
上記2以上の試験板の上部上方には、それぞれ、汚染物質含有液を滴下する滴下部が設置され、
上記2以上の試験板として、少なくとも、基準被膜を備えた基準試験板と、比較被膜を備えた比較試験板とを有する
ことを特徴とする被膜試験装置。
【請求項2】
被膜の耐汚染性を評価するための被膜試験方法であって、
請求項1記載の被膜試験装置を用い、
上記2以上の試験板の上部に、それぞれ、汚染物質含有液を断続的に所定時間滴下することを特徴とする被膜試験方法。
【請求項3】
被膜の耐汚染性を確認する方法であって、
請求項1記載の被膜試験装置を用い、
上記2以上の試験板の上部に、それぞれ、汚染物質含有液を断続的に所定時間滴下する工程A、
上記工程Aを動画として記録する工程B、
上記工程Bで記録した動画を、少なくとも早送り、及びコマ送りから選ばれる1以上の手段を用いて再生表示する工程C、
を行うことを特徴とする被膜試験確認方法。
【請求項4】
被膜の耐汚染性を確認する方法であって、
下記の被膜試験装置Nを用い、
2以上の試験板の上部に、それぞれ、汚染物質含有液を断続的に所定時間滴下する工程A、
上記工程Aを動画として記録する工程B、
上記工程Bで記録した動画を、早送り、及びコマ送りから選ばれる1以上の手段を用いて再生表示する工程C、
を行うことを特徴とする被膜試験確認方法。
(被膜試験装置N)
表面に被膜を備えた、くの字状折り曲げ試験板が、その上部が傾斜し、その下部が下垂する状態で設置され、
上記試験板の上部上方には、汚染物質含有液を滴下する滴下部が設置されている被膜試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な被膜試験装置、被膜試験方法、及び被膜試験確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被膜の耐汚染性を評価するため、屋外曝露試験が行われている。ただし、屋外曝露試験では数カ月~数年の時間を要する。そのため、比較的短時間で被膜の耐汚染性を評価するために、汚染物質含有液を用いた促進試験が行われている。このような促進試験の装置としては、例えば、試験槽内において、試験板を回転させながら汚染物質含有液を汲み上げ、試験板に汚染物質含有液を流下させ、さらに試験槽内に温風を送り込むもの(特許文献1)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-136734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような装置では、試験槽内で試験を行う必要があり、しかも試験板が回転しているため、汚染の過程を観察することができない。また、2種以上の試験板を相対評価するには、一定時間試験を実施した後、試験槽内から試験板を取り出して、汚染度合を評価し、差異がない場合は、再度試験槽内に試験板を設置して試験を実施しなければならないため、操作が繁雑となる。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、被膜の耐汚染性評価において、汚染の過程を観察することができ、比較的短時間で容易に相対比較を行うことができる被膜試験装置、被膜試験方法、及び被膜試験確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定の試験板を2以上並設し、各試験板の上部に汚染物質含有液を滴下する滴下部を有する被膜試験装置、それを用いた被膜試験方法、及び被膜試験確認方法に想到し、本発明を完成させるに到った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.被膜の耐汚染性を評価するための被膜試験装置であって、
表面に被膜を備えた、くの字状折り曲げ試験板が、その上部が傾斜し、その下部が下垂する状態で、2以上並設され、
上記2以上の試験板の上部上方には、それぞれ、試験板の上部に汚染物質含有液を滴下する滴下部が設置され、
上記2以上の試験板として、少なくとも、基準被膜を備えた基準試験板と、比較被膜を備えた比較試験板とを有する
ことを特徴とする被膜試験装置。
2.被膜の耐汚染性を評価するための被膜試験方法であって、
1.記載の被膜試験装置を用い、
上記2以上の試験板の上部に、それぞれ、汚染物質含有液を断続的に所定時間滴下することを特徴とする被膜試験方法。
3.被膜の耐汚染性を確認する方法であって、
1.記載の被膜試験装置を用い、
上記2以上の試験板の上部に、それぞれ、汚染物質含有液を断続的に所定時間滴下する工程A、
上記工程Aを動画として記録する工程B、
上記工程Bで記録した動画を、少なくとも早送り、及びコマ送りから選ばれる1以上の手段を用いて再生表示する工程C、
を行うことを特徴とする被膜試験確認方法。
4.被膜の耐汚染性を確認する方法であって、
下記の被膜試験装置Nを用い、
2以上の試験板の上部に、それぞれ、汚染物質含有液を断続的に所定時間滴下する工程A、
上記工程Aを動画として記録する工程B、
上記工程Bで記録した動画を、早送り、及びコマ送りから選ばれる1以上の手段を用いて再生表示する工程C、
を行うことを特徴とする被膜試験確認方法。
(被膜試験装置N)
表面に被膜を備えた、くの字状折り曲げ試験板が、その上部が傾斜し、その下部が下垂する状態で設置され、
上記試験板の上部上方には、汚染物質含有液を滴下する滴下部が設置されている被膜試験装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被膜の耐汚染性評価において、汚染の過程を観察しながら、比較的短時間で容易に相対比較を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の被膜試験装置Mの一例を示す概略図である。
図2】本発明の被膜試験装置Mの一例を示す概略図である。
図3】本発明の被膜試験装置Nの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0010】
M:被膜試験装置M
N:被膜試験装置N
1:基準試験板
2:比較試験板
3:固定板
4:供給受入槽
5:管
6:ポンプ
10,20:滴下部
11,21:試験板上部
12,22:試験板下部
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0012】
(被膜試験装置M)
本発明の被膜試験装置Mは、被膜の耐汚染性を評価するための装置であり、表面に被膜を備えた、くの字状折り曲げ試験板が、その上部が傾斜し、その下部が下垂する状態で、2以上並設され、上記2以上の試験板の上部上方には、それぞれ、試験板の上部に汚染物質含有液を滴下する滴下部が設置され、上記2以上の試験板として、少なくとも、基準被膜を備えた基準試験板と、比較被膜を備えた比較試験板とを有することを特徴とするものである。図1にその概略図を示す。
【0013】
本発明では、試験板として、表面に被膜を備えた、くの字状折り曲げ試験板を使用する。そして、その試験板を設置する際には、試験板上部(折り曲げ部より上の領域)が傾斜し、試験板下部(折り曲げ部より下の領域)が下垂する状態で設置する。このような態様で試験板を設置することにより、試験板上部に滴下された汚染物質含有液が、試験板下部に流れ落ちることとなり、試験板下部を観察することで耐汚染性の評価が可能となる。試験板は、汚染物質含有液が試験板上部に滴下され、試験板下部の下端まで流れ落ちるように設置することが望ましく、試験板下部が垂直となるように設置することが望ましい。
【0014】
くの字状折り曲げ試験板は、平坦な試験板をくの字状に折り曲げることによって得られる。試験板を構成する試験基材としては、例えばアルミニウム板等の金属板が使用できる。試験板のサイズは、好ましくは、幅5~30cm、長さ10~100cmとすることができる。折り曲げ後の角度(くの字状の内角)は、好ましくは110~160°、より好ましくは120~150°である。折り曲げ後の試験板上部と試験板下部との比は、試験板上部の長さ:試験板下部の長さが、好ましくは1:10~1:1となる範囲内で設定することができる。このような試験基材の表面(くの字状の凸側の表面)に対し、必要に応じ下塗材等を塗装した後、耐汚染性の評価対象となるコーティング材を塗装することによって、被膜が形成される。
【0015】
被膜試験装置Mでは、くの字状折り曲げ試験板を少なくとも2枚、あるいは3枚以上並設する。図1では、試験板として、基準試験板1と比較試験板2とが固定板3の左右に並設されている。基準試験板1は、その表面に基準被膜を備えた試験板であり、比較試験板2は、その表面に比較被膜を備えた試験板である。このうち、基準被膜は、耐汚染性の基準となるコーティング材の被膜である。一方、比較被膜は、その比較対象となるコーティング材の被膜である。図1では、各試験板が間隔を空けて設置されているが、試験板どうしが接するように設置されていてもよい。
【0016】
各試験板の上部上方には、それぞれ、滴下部が設置される。この滴下部は、試験板(好ましくは、試験板上部)に汚染物質含有液を滴下するものである。滴下部は、汚染物質含有液が試験板上部に滴下され、試験板下部の下端まで流れ落ちるように設置することが望ましい。滴下部の高さ(滴下部と試験板上部との距離)は、滴下した汚染物質含有液のはね返りが生じないこと等を考慮して適宜設定すればよい。また、滴下部には、汚染物質含有液を供給する供給槽を接続することができる。図1では、1つの試験板に対して1つの滴下部を設置しているが、1つの試験板に対して2つ以上の滴下部を設置することも可能である。
【0017】
汚染物質含有液としては、例えば、カーボンブラック、天然黄土、合成黄土、タール、関東ローム、シリカ粉等の汚染物質を、水等の媒体に分散させたものが使用できる。汚染物質含有液における汚染物質の濃度は、適宜設定することができ、例えば0.0001~5重量%の範囲内で設定できる。
【0018】
各試験板の下方には、試験板から流れ落ちた汚染物質含有液を受け入れる受入槽を設置することができる。本発明では、供給槽と受入槽を兼ねた槽、すなわち、滴下部に汚染物質含有液を供給し、かつ滴下後の汚染物質含有液を受け入れることができる供給受入槽を、各試験板の下方に設置することもできる。図2に示すように、供給受入槽4を、管5、ポンプ6を介して滴下部に接続することにより、汚染物質含有液を循環させることが可能となる。供給受入槽4には、例えば、撹拌機能、分散機能等を有する機器(撹拌機、超音波発生機等)を設置することもできる。
【0019】
(被膜試験方法)
本発明の被膜試験方法は、被膜の耐汚染性を評価するために行うものである。本発明では、上述の被膜試験装置Mを用い、2以上の各試験板の上部に、それぞれ、汚染物質含有液を断続的に所定時間滴下する(工程A)。このような被膜試験方法によれば、被膜の耐汚染性評価において、汚染の過程を観察しながら、比較的短時間で容易に相対比較を行うことができる。この際、各試験板において、汚染物質含有液の種類、滴下速度、試験環境(温度、湿度等)等は同じ条件に設定しておけばよい。
【0020】
本発明の被膜試験方法では、汚染物質含有液の滴下を断続的に行うことが肝要である。これにより、基準試験板と比較試験板との汚染状態の差異が発現しやすくなる。その作用機構は以下に限定されるものではないが、汚染物質含有液の滴下を断続的に行うことにより、汚染物質含有液の水滴が被膜表面を通過するときには、被膜表面が濡れた状態となるが、通過後は乾燥する状態へと移行する。このような濡れた状態と乾燥する状態とが繰り返されると、被膜への汚染の付着が促進されやすくなり、被膜の耐汚染性に優位差が生じやすくなるものと考えられる。汚染物質含有液を連続的に被膜表面に流した場合は、被膜の耐汚染性における相対的な差異が生じ難くなる。
【0021】
本発明において、汚染物質含有液の滴下は、好ましくは0.1~6滴/秒、より好ましくは0.5~4滴/秒の滴下速度で行うことができる。
【0022】
汚染物質含有液の滴下時間は、適宜設定することができ、基準試験板と比較試験板に耐汚染性の差異が生じるまでの時間を目安とすることができる。図2のような装置を用いた場合は、汚染物質含有液を循環させることができるため、基準試験板と比較試験板に耐汚染性の差異が生じるまで、効率的に試験を行うことができる。
【0023】
本発明では、汚染物質含有液の滴下終了後、各試験板の汚染状況を観察することにより、最終的な耐汚染性の評価を行うことができる。汚染物質含有液の滴下終了後には、必要に応じ、水洗い、スポンジ等による擦り洗い等の処理を行い、そのような処理後の汚染状況を評価することもできる。汚染状況は、目視で観察することができ、必要に応じ色差測定等により評価することもできる。
【0024】
(被膜試験確認方法)
本発明では、被膜の耐汚染性を確認する方法として、上記被膜試験装置Mを用い、
2以上の試験板の上部に、それぞれ、汚染物質含有液を断続的に所定時間滴下する工程A、
上記工程Aを動画として記録する工程B、
上記工程Bで記録した動画を、少なくとも早送り、及びコマ送りから選ばれる1以上の手段を用いて再生表示する工程C、
を行うことができる。このような方法によれば、被膜の耐汚染性評価において、その評価結果を確認する確認者が、汚染の過程を見ながら、よりいっそう短時間で容易に相対比較を行うことができる。
【0025】
このうち、工程Aは、上述の通りである。工程Bは、工程Aを動画として記録する工程である。この工程Bは、工程Aと同時に行うものであり、各試験体に滴下した汚染物質含有液が流れていく状況を、動画として記録するものである。動画の記録は、動画撮影機能を備えた機器(ビデオカメラ等)を用いて、少なくとも試験板下部の状況(汚染物質含有液による汚染の状況)が記録されるように行えばよく、試験板下部、試験板上部、及び滴下部の状況が記録されるように行うこともできる。
【0026】
工程Cは、工程Bで記録した動画を、少なくとも早送り、及びコマ送りから選ばれる1以上(以下単に「早送り等」ともいう)の手段を用いて再生表示する工程である。この工程では、例えば、1時間の動画を数十秒~数分程度に短縮して再生表示することができる。この際、確認者は、基準試験板と比較試験板における汚染過程を視覚的に捉えることができ、双方の相違点把握の点でも有利となる。また、通常の観察では看過するおそれのある、ゆっくりとした変化や漸次的変化等を把握する点でも有利となる。なお、工程Cでは、少なくとも早送り等の手段が用いられるが、本発明の効果が著しく損われない範囲内であれば、例えば、通常の再生、一時停止、スロー再生、巻き戻し等の手段を併用することもできる。
【0027】
工程Bで記録した動画については、少なくとも早送り等の手段を用いた編集を行っておくことができる。そうすると、編集された動画に対し、確認者が再生表示の指示(再生ボタンの押下、選択等)を行うことにより、工程Cが実行され、確認者は、汚染の状況を短時間で容易に確認することができる。
【0028】
工程Cの再生表示は、例えば、インターネット上のホームページ等で行うこともできる。一例として、工程Bで記録した動画について、少なくとも早送り等の手段を用いた編集を行っておき、当該編集された動画を、再生可能な状態でホームページ等に掲載することができる。そうすると、確認者(ホームページ閲覧者等)が、再生表示の指示(再生ボタンの押下、選択等)を行うことにより、工程Cが実行され、確認者は、汚染の状況を短時間で容易に確認することができる。
【0029】
確認者は、汚染物質含有液滴下終了後の状態を観察することにより、最終的な耐汚染性の評価を行うことができる。汚染物質含有液の滴下終了後に、水洗い、スポンジ等による擦り洗い等の処理を行った場合は、そのような処理後の汚染状況を評価することもできる。このような処理についても、動画での記録、早送り等の手段を用いた再生表示等を行うことができる。汚染状況は、目視で観察することができ、必要に応じ色差測定等により評価することもできる。
【0030】
(被膜試験確認方法の変形例)
本発明では、被膜の耐汚染性を確認する方法として、上記被膜試験装置Mに替えて、下記被膜試験装置Nを用いることができる。
・被膜試験装置N
表面に被膜を備えた、くの字状折り曲げ試験板が、その上部が傾斜し、その下部が下垂する状態で設置され、
上記試験板の上部上方には、汚染物質含有液を滴下する滴下部が設置されている被膜試験装置。
【0031】
被膜試験装置Nは、くの字状折り曲げ試験板を1枚設置したものである。図3にその概略図を示す。被膜試験装置Nの態様は、設置する試験板が1枚となった以外は、上記被膜試験装置Mと同様である。供給槽、受入槽、供給受入槽、管、ポンプ等を設けることもできる。
【0032】
被膜試験装置Nを用いる場合には、例えば、以下の方法によって工程Aを行うことができる。
(1)2以上の被膜試験装置Nを用意し、2以上の試験板について、それぞれ工程Aを行う。
(2)1つの被膜試験装置Nを用意し、2以上の試験板について、それぞれ工程Aを行う。
【0033】
上記(1)では、2以上の被膜試験装置Nは、並設してもよいし、別々に設置してよい。また、汚染物質含有液の滴下は、同時に行ってもよいし、別々の時間に行ってもよい。この場合、汚染物質含有液の種類、滴下速度、試験環境(温度、湿度等)等は同じ条件に設定しておくことが望ましい。
【0034】
上記(2)では、汚染物質含有液の滴下は、別々の時間に行えばよい。この場合、汚染物質含有液の種類、滴下速度、試験環境(温度、湿度等)等は同じ条件に設定しておくことが望ましい。
【0035】
上記(1)、(2)いずれにおいても、工程Bでは、それぞれの工程Aを動画として記録すればよい。そして、工程Cでは、工程Bで記録した動画を、少なくとも早送り、及びコマ送りから選ばれる1以上の手段を用いて再生表示する。この工程Cでは、2以上の各試験板の動画が同時に再生表示されるように編集しておくことが望ましい。このような点以外は、被膜試験装置Mの場合と同様の方法で工程A~Cを行うことができる。
【0036】
(本発明の活用方法)
本発明は、例えば、耐汚染性を目的とするコーティング材のスクリーニング、デモンストレーション等にも活用することができ、有用である。また、2以上の同一試験板に対し、汚染物質含有液の種類、滴下速度、試験環境(温度、湿度等)等を変えた場合の汚染状況の差異を相対比較することもできる。
図1
図2
図3