(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138763
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】低温熱伝導率測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 25/18 20060101AFI20230922BHJP
G01N 25/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G01N25/18 E
G01N25/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130495
(22)【出願日】2023-08-09
(62)【分割の表示】P 2019177327の分割
【原出願日】2019-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000244084
【氏名又は名称】明星工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(72)【発明者】
【氏名】下野 和昭
(72)【発明者】
【氏名】中川 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】山中 良浩
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 洋一郎
(57)【要約】
【課題】液体窒素やヘリウムの消費を抑制してGHP法測定装置の冷却板を冷却できる低温熱伝導率測定装置を提供する。
【解決手段】加熱板の両面側に一対の被測定物平板を配置し、一対の被測定物平板の更に両外側夫々に一対の冷却板を配置し、一対の被測定物平板夫々の表裏両面部の温度を測定して、与えた熱量と表裏両面部の計測温度差に基づいて被測定物平板の熱伝導率を算出するGHP法測定装置4を、断熱性気密容器5の内側に収容し、冷却板を0℃以下の低温に冷却する冷却手段を断熱性気密容器5内に設け、冷却手段を構成するのに、断熱性気密容器5の内側空間内でGHP法測定装置4の冷却板を熱伝導により冷却する冷凍機7を設けてある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱板の両面側に一対の被測定物平板を配置し、
前記一対の被測定物平板の更に両外側夫々に一対の冷却板を配置し、
前記一対の被測定物平板夫々の表裏両面部の温度を測定して、与えた熱量と前記表裏両面部の計測温度差に基づいて被測定物平板の熱伝導率を算出するGHP法測定装置を、断熱性気密容器の内側に収容し、前記冷却板を0℃以下の低温に冷却する冷却手段を前記断熱性気密容器内に設けてある低温熱伝導率測定装置であって、
前記冷却手段を構成するのに、前記断熱性気密容器の内側空間内で前記GHP法測定装置の前記冷却板を冷却する機械式冷凍機を設け、前記機械式冷凍機の放冷部から熱伝導部材を介して前記冷却板に直接熱接触させてある低温熱伝導率測定装置。
【請求項2】
前記機械式冷凍機を前記冷却板の下方に配置すると共に、前記機械式冷凍機の放冷部と前記冷却板とを前記熱伝導部材として第1金属製熱伝導部材を介して直接熱接触可能に構成してある請求項1に記載の低温熱伝導率測定装置。
【請求項3】
前記冷却板の上部と前記放冷部とを直接熱接触させる前記熱伝導部材として第1金属製補助熱伝導部材を設けてある請求項2に記載の低温熱伝導率測定装置。
【請求項4】
前記機械式冷凍機を前記冷却板の上方に配置して、前記機械式冷凍機の放冷部と前記冷却板の上端部とを熱接触させる前記熱伝導部材として第2金属製熱伝導部材を設けてある請求項1に記載の低温熱伝導率測定装置。
【請求項5】
前記冷却手段を構成するのに、前記断熱性気密容器の内側空間内で前記GHP法測定装置を囲繞する金属製気密容器を設け、
前記金属製気密容器を熱伝導により冷却する機械式冷凍機を設け、
前記熱伝導部材として前記金属製気密容器と前記冷却板とを直接熱接触させる第1金属製熱伝導部材を設けてある請求項1に記載の低温熱伝導率測定装置。
【請求項6】
前記機械式冷凍機の放冷部を前記金属製気密容器の下面に接当させて取り付け、前記金属製気密容器の底板と前記冷却板の上部とを直接熱接触させる第1金属製補助熱伝導部材を設けてある請求項5に記載の低温熱伝導率測定装置。
【請求項7】
前記機械式冷凍機の放冷部を前記金属製気密容器の天井板部に接当させて取り付けてある請求項5に記載の低温熱伝導率測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱板の両面側に一対の被測定物平板を配置し、前記一対の被測定物平板の更に両外側夫々に一対の冷却板を配置し、前記一対の被測定物平板夫々の表裏両面部の温度を測定して、与えた熱量と前記表裏両面部の計測温度差に基づいて被測定物平板の熱伝導率を算出するGHP法測定装置を、断熱性気密容器の内側に収容し、前記冷却板を0℃以下の低温に冷却する冷却手段を前記断熱性気密容器内に設けてある低温熱伝導率測定装置に関する。
【0002】
前記GHP法測定装置はJIS A 1412-1の測定法で定められているもので、詳しくは、支持フレームに加熱板、一対の冷却板を夫々板厚方向に移動自在に上から吊り下げ支持し、加熱板と冷却板との間夫々に被測定物平板を挟み込み、加熱板を中心にして一対の被測定物平板及び一対の冷却板を、互いに近接移動させて接触させる押し付け装置を、板厚方向の両外側に一対設けて構成してある。
【背景技術】
【0003】
従来、前記低温熱伝導率測定装置では、前記冷却板を冷却する冷却手段として、例えば、液体窒素や液体ヘリウムを直接利用、あるいは気化させて断熱性気密容器内の雰囲気温度を低下させ、その雰囲気温度によって前記冷却板を冷却する装置に構成してあった(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】建材試験情報12 ‘89「GHP法による低音域における熱伝導率測定」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の低温熱伝導率測定装置では、断熱性気密容器内の雰囲気温度を液体窒素を蒸発させた低温ガスでは、液体窒素の沸点以下の温度に低下させることは困難であり、例えば、-180℃以下の極低温域での伝導率測定は、困難であった。
そこで、
図5に示すように、液体ヘリウム(LHe)を気化させて真空断熱容器で形成された断熱性気密容器5内の雰囲気温度を、約-268℃以下の極低温領域まで低下させる装置が考えられているが、液体ヘリウムの気化によって断熱性気密容器5内の雰囲気温度を低下させるためには、液体ヘリウムを大量に消費しなければならず、しかも、液体ヘリウムは非常に気化しやすくその補給や保管のための手間が非常に多くかかり、その上多額の費用が掛かるという問題があった(尚、図面中5は断熱性気密容器、31は液体ヘリウムの貯留容器、4はGHP法測定装置を収容する測定部、33は断熱性気密容器の上部を開放してGHP法測定装置を取り出しできるようにするための断熱材を設けた開閉蓋部である)。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、液体窒素やヘリウムの消費を抑制してGHP法測定装置の冷却板を冷却できる低温熱伝導率測定装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴構成は、加熱板の両面側に一対の被測定物平板を配置し、前記一対の被測定物平板の更に両外側夫々に一対の冷却板を配置し、前記一対の被測定物平板夫々の表裏両面部の温度を測定して、与えた熱量と前記表裏両面部の計測温度差に基づいて被測定物平板の熱伝導率を算出するGHP法測定装置を、断熱性気密容器の内側に収容し、前記冷却板を0℃以下の低温に冷却する冷却手段を前記断熱性気密容器内に設けてある低温熱伝導率測定装置であって、前記冷却手段を構成するのに、前記断熱性気密容器の内側空間内で前記GHP法測定装置の前記冷却板を冷却する機械式冷凍機を設け、前記機械式冷凍機の放冷部から熱伝導部材を介して前記冷却板に直接熱接触させたところにある。
【0008】
本発明の第1の特徴構成によれば、前記冷却手段を構成するのに、前記断熱性気密容器の内側空間内で前記GHP法測定装置の前記冷却板を冷却する機械式冷凍機を設け、前記機械式冷凍機の放冷部から熱伝導部材を介して前記冷却板に直接熱接触させてあることにより、液体窒素やヘリウムの消費を抑制して、GHP測定装置の冷却板を簡単に冷却できる。
【0009】
本発明の第2の特徴構成は、前記機械式冷凍機を前記冷却板の下方に配置すると共に、前記機械式冷凍機の放冷部と前記冷却板とを前記熱伝導部材として第1金属製熱伝導部材を介して直接熱接触可能に構成したところにある。
【0010】
本発明の第2の特徴構成によれば、前記機械式冷凍機を前記冷却板の下方に配置することにより、冷却板を備えたGHP法測定装置の断熱性気密容器内への組み付けを容易に行え、また、前記機械式冷凍機の放冷部と前記冷却板とを第1金属製熱伝導部材によって直接熱接触させられ、そのために、機械式冷凍機の放冷部からの冷熱は、第1金属製熱伝導部材を介して冷却板に熱損失少なく効率よく伝熱される。
【0011】
本発明の第3の特徴構成は、前記冷却板の上部と前記放冷部とを直接熱接触させる前記熱伝導部材として第1金属製補助熱伝導部材を設けたところにある。
【0012】
本発明の第3の特徴構成によれば、冷却板の上部は下部からの熱伝導の遅れや伝熱途中での熱損失により冷却度が低下するのを、第1金属製補助熱伝導部材を介して放冷部からの冷熱を、冷却板の上部に直接伝熱させることができ、冷却板を上から下までより均一に冷却しやすくなる。
従って、被測定物平板の熱伝導率の測定精度を向上させることができる。
【0013】
本発明の第4の特徴構成は、前記機械式冷凍機を前記冷却板の上方に配置して、前記機械式冷凍機の放冷部と前記冷却板の上端部とを熱接触させる前記熱伝導部材として第2金属製熱伝導部材を設けたところにある。
【0014】
本発明の第4の特徴構成によれば、機械式冷凍機を前記冷却板の上方に配置して、前記機械式冷凍機の放冷部と前記冷却板の上端部とを熱接触させる前記熱伝導部材として第2金属製熱伝導部材を設けることにより、機械式冷凍機により冷却板の上部から第2金属製熱伝導部材を介して直接伝熱して冷却でき、冷却板を上部から下部にかけてより均一な温度に冷却して、熱伝導率の測定精度を向上させることができる。
【0015】
本発明の第5の特徴構成は、前記冷却手段を構成するのに、前記断熱性気密容器の内側空間内で前記GHP法測定装置を囲繞する金属製気密容器を設け、前記金属製気密容器を熱伝導により冷却する機械式冷凍機を設け、前記熱伝導部材として前記金属製気密容器と前記冷却板とを直接熱接触させる第1金属製熱伝導部材を設けたところにある。
【0016】
本発明の第5の特徴構成によれば、断熱性気密容器の内側空間内で前記GHP法測定装置を囲繞する金属製気密容器を設け、前記金属製気密容器を熱伝導により冷却する機械式冷凍機を設け、前記熱伝導部材として前記金属製気密容器と前記冷却板とを直接熱接触させる第1金属製熱伝導部材を設けることにより、冷却板は、第1金属製熱伝導部材によって直接冷却され、より低温に下げやすくできる。
その上、GHP法測定装置を囲繞する金属製気密容器によって、例えば、断熱性気密容器と金属製気密容器との間の空間を真空にして外部からの熱の侵入を遮断しながら、金属製気密容器の内部空間に熱交換用冷媒ガスを充填すれば、その冷媒ガスを介してGHP法測定装置の冷却板を効率よく冷却できる。
さらに、金属製気密容器の内部空間を真空状態にしたり、任意の圧力でガス(窒素、酸素、ヘリウム、アルゴン、水素等)充填状態にして、各種雰囲気中における精度の高い熱伝導率の測定を可能とできる。
【0017】
本発明の第6の特徴構成は、前記機械式冷凍機の放冷部を前記金属製気密容器の下面に接当させて取り付け、前記金属製気密容器の底板と前記冷却板の上部とを直接熱接触させる第1金属製補助熱伝導部材を設けたところにある。
【0018】
本発明の第6の特徴構成によれば、機械式冷凍機は金属製気密容器の下面を直接冷却すると同時に第1金属製熱伝導部材により冷却板が下部より冷却され、また、冷却板の上部は、第1金属製補助熱伝導部材を介して冷却され、結局、冷却板を上下略均一に冷却することができる。
【0019】
本発明の第7の特徴構成は、前記機械式冷凍機の放冷部を前記金属製気密容器の天井板部に接当させて取り付けたところにある。
【0020】
本発明の第7の特徴構成によれば、金属製気密容器は、その天井板部が優先的に冷却され、そのために、金属製気密容器の上部内部空間に、下部よりも温度の高い内部雰囲気ガスがたまった場合でも、その内部雰囲気ガスは優先的に冷却された金属製気密容器の上部壁で冷却され、冷却板をより均一に冷却できるようになり、その結果、低温熱伝導率測定装置の測定精度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図4】(a)は第1金属製熱伝導部材で、(b)は第1底板、(c)は第1底板に第1金属製熱伝導部材を立設させて取り付けた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図4に示すように、加熱板1の両面側に一対の被測定物平板2を配置し、一対の被測定物平板2の更に両外側夫々に一対の冷却板3を配置し、一対の被測定物平板2夫々の表裏両面部の温度を測定して、表裏両面部の計測温度差に基づいて被測定物平板2の熱伝導率を算出するGHP法測定装置4を、断熱性気密容器5の内側に収容し、冷却板3を0℃以下の低温に冷却する冷却手段を断熱性気密容器5内に設けてある。
【0023】
〔第1実施形態〕
前記冷却手段を構成するのに、断熱性気密容器5の内側空間内でGHP法測定装置4を囲繞する金属製気密容器6を設け、金属製気密容器6を熱伝導により冷却する冷凍機7を設け、金属製気密容器6と冷却板3とを直接熱接触させる第1金属製熱伝導部材8を設けてある。
【0024】
前記冷凍機7による冷却は、液体空気の沸点以下の極低温と称される温度で、特に液体ヘリウム(約―268℃)以下の領域まで冷却できるように、例えば、GM冷凍機(Gifford-McMahonサイクルを使った冷凍機)を使用する。
【0025】
図1~
図4に示すように、前記GHP法測定装置4は、支持フレーム15に加熱板1、一対の冷却板3を夫々板厚方向に移動自在に上から吊り下げ支持し、加熱板1と一対の冷却板3夫々の間に被測定物平板2を挟んで、加熱板1を中心にして一対の被測定物平板2及び一対の冷却板3を、互いに近接移動させて接触させる押し付け装置16を、板厚方向の両外側に一対設けて構成してある。
支持フレーム15の接地部15Aは、10ミリ厚の銅製の第1底板17に取り付けてあり(
図4(b)、
図2)、その第1底板17に対して銅製の3ミリ厚のアンカー板(第1金属製熱伝導部材8)を立設取り付けするように設け(
図4(c))、アンカー板には、冷却板3との連結部19(ボルト挿通孔)を上部に設けると共に、下端部8Aに第1底板17と連結可能なボルト挿通用の長孔20が冷却板3の移動方向に沿って設けてあり、その長孔20に対応してボルト挿通孔21が、第1底板17に複数設けてある(
図4(a)、(b)、(c))。
【0026】
図1に示すように、第1底板17を容器底板24にボルトにより固定し、容器底板24に対して、その上面部には、GHP法測定装置4を囲繞する第1カバー部22を取り付けて、容器底板24と第1カバー部22とで内部を気密にできる前記金属製気密容器6を構成してある。
容器底板24の下面部には、GM冷凍機をその2段冷却部23A(第2の放冷部23で2段膨張室が内部に設けてある)が接当する状態に取り付けてある。
従って、GM冷凍機からの冷熱は、冷凍機7の放冷部23から金属製気密容器6及び第1金属製熱伝導部材8を介して、冷却板3に直接伝熱される。
【0027】
図1に示すように、金属製気密容器6を更に囲繞する輻射シールド容器25を設け、その輻射シールド容器25下部の第2底板26には、GM冷凍機の1段冷却部23B(第1の放冷部23で1段膨張室が内部に設けてある)が接触する状態に貫通させて連結してある。
従って、輻射シールド容器25も1段冷却部23Bから熱伝導により冷却される。
前記金属製気密容器6及び、輻射シールド容器25の外側は、輻射断熱のための、例えば、ポリイミドフィルムにアルミを蒸着したシートを積層したスーパーインシュレーションと呼ばれるシールド層部材27で、それらの全周を覆ってある。
【0028】
前記金属製気密容器6、輻射シールド容器25を更に囲繞するアルミ製の外槽気密容器28を設けてある。
輻射シールド容器25、及び、外槽気密容器28によって、GHP法測定装置4を内側に収容する断熱性気密容器5を構成してある。
尚、外槽気密容器28の内部の第1空間S1及び輻射シールド容器25の内部の第2空間S2は、熱伝導率測定時には真空ポンプで減圧して真空断熱状態にすることで、外部からの熱の導入が極力抑えられ、且つ、冷凍能力を上げられる。
【0029】
前記金属製気密容器6は、その内部空間を真空状態にしたり、又は、特定のガスを充填してその充填ガスを介して冷却板3を冷却する冷媒冷却装置としたり、充填ガス雰囲気における熱伝導率の測定もできる。
尚、金属製気密容器6の内部空間に、熱交換作用を有する特定のガスを充填した場合は、放冷部23からの冷熱が、その充填ガスの凝固点以上の温度であれば、その充填ガスが熱交換ガスとして働いて、冷却板3に冷熱が伝わり、より冷却効率が上がる効果がある。
【0030】
また、前記断熱性気密容器5は、前述の実施形態においては、外槽気密容器28の内部及び輻射シールド容器25の内部空間を減圧して真空断熱状態にしてあるが、GHP法測定装置による熱伝導率を測定するについて、外槽気密容器28の結露、氷結が問題にならない低温域において測定する場合は、常圧で断熱材を内装した断熱容器であってもよい。
ただし、冷凍機7の放冷部23の冷却能力を上げる必要のある場合、冷凍機7の周囲は、真空断熱などにより断熱能力を高く上げる必要がある。
【0031】
〔第2実施形態〕
前記冷却手段として、冷凍機7により冷却板3を冷却するのに、金属製気密容器6の第1底板17と冷却板3とを熱伝導可能に連結する第1金属製熱伝導部材8を設ける以外に、
図6に示すように、第1底板17と冷却板3の上部とを直接熱接触させる8本の銅製のワイヤー(例えば、径1ミリの銅線が20本束ねてある)から成る第1金属製補助熱伝導部材29を設けてある。これにより、冷却板3の上部も効率よく冷却され、極低温領域での熱伝導率の測定が可能になる。
【0032】
〔第3実施形態〕
第1実施形態及び第2実施形態のように、冷凍機7の放冷部23を、金属製気密容器6の下面に接当させて取り付ける以外に、
図7に示すように、金属製気密容器6の天井板部18に接当させて取り付けてあってもよい。尚、GHP法測定装置4は、金属製気密容器6の底板に載置固定されている。
【0033】
〔第4実施形態〕
図8に示すように、第1空間S1と第2空間S2を、真空断熱空間にして断熱性気密容器5の内側に、GHP法測定装置4を囲繞する金属製気密容器6を設けて、冷凍機7の放冷部23からの冷熱を直接冷却板3に熱伝導するように、冷凍機7を冷却板3の上方に配置して、冷凍機7の放冷部23と冷却板3の上端部とを直接熱接触する第2金属製熱伝導部材35を設けてあってもよい。
【0034】
〔第5実施形態〕
図9に示すように、GHP法測定装置4を囲繞する
図1に示すような金属製気密容器6を設けずに、冷凍機7の放冷部23からの冷熱を直接冷却板3に熱伝導するように、例えば、前述の銅製のアンカー板のような第1金属製熱伝導部材8を、放冷部23と連結した第1底板17(GHP法測定装置4の支持フレーム15の接地部15Aを取り付ける)と冷却板3の下部とに亘って連結してもよい。
尚、GHP法測定装置4は、真空層を設けた断熱性気密容器5の内側に収容されている。
【0035】
また、
図9と同様に、金属製気密容器6を設けない装置で、第1金属製熱伝導部材以外に、前記銅製のワイヤーと同等の第1金属製補助熱伝導部材29を、第1底板17と冷却板3の上部とに亘って連結してあってもよい。
【0036】
〔その他の実施形態〕
以下にその他の実施の形態を説明する。
なお、以下の他の実施形態において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
〈1〉 GHP法測定装置4を囲繞する金属製気密容器6は、冷凍機7により直接冷却されるように構成されているが、冷却板3に対する冷却は、金属製熱伝導部材を設けずに、金属製気密容器6に充填する熱交換作用を有するガスにより冷却する(間接冷却)ものでもよい。
〈2〉 前記GM冷凍機に代えて、他の機械式冷凍機(例えばパルスチューブ冷凍機等)が使用できる。
〈3〉 第1金属製熱伝導部材8、第1金属製補助熱伝導部材29は、熱伝導の良いものであれば銅以外の例えば、アルミニウム等の他の金属から成るものでもよく、それらの形態も板状やワイヤー以外の形状でもよい。
〈4〉 断熱性気密容器5の内側で、
図10に示すように、GHP法測定装置4に冷凍機7を取り付け、且つ、冷凍機7の放冷部23から、第2金属製熱伝導部材35を介して直接冷却板3に冷熱を熱伝導するようにして、断熱性気密容器5の内部空間に従来のように液体窒素や液体ヘリウムを気化させる貯留容器31を設けて、雰囲気温度を低下させるようにして、冷凍機7との併用する装置であってもよく、この場合、従来装置よりも、液体窒素やヘリウムの使用量を減量できる利点が期待でき、また、併用により運用できる時間が延び、寒剤継ぎ足しの手間が少なくなる等の利点も期待できる。
〈5〉
図11に示すように、外槽気密容器28と金属製気密容器6の間の第1空間S1を、真空断熱空間に形成した断熱性気密容器5の内側にGHP法測定装置4を設けてあってもよい。尚、この場合、冷凍機は、単段の冷凍機を設ければよい。また、2段のGM冷凍機で
図1における容器25がないパターンでもよい。
【0037】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
1 加熱板
2 被測定物平板
3 冷却板
4 GHP法測定装置
5 断熱性気密容器
6 金属製気密容器
7 機械式冷凍機
8 第1金属製熱伝導部材
23 放冷部
29 第1金属製補助熱伝導部材
35 第2金属製熱伝導部材
【手続補正書】
【提出日】2023-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱板の両面側に一対の被測定物平板を配置し、
前記一対の被測定物平板の更に両外側夫々に一対の冷却板を配置し、
前記一対の被測定物平板夫々の表裏両面部の温度を測定して、与えた熱量と前記表裏両面部の計測温度差に基づいて被測定物平板の熱伝導率を算出するGHP法測定装置を、断熱性気密容器の内側に収容し、前記冷却板を0℃以下の低温に冷却する冷却手段を前記断熱性気密容器内に設けてある低温熱伝導率測定装置であって、
前記冷却手段を構成するのに、前記断熱性気密容器の内側空間内で前記GHP法測定装置の前記冷却板を冷却する放冷部を備えた機械式冷凍機を設け、前記機械式冷凍機の前記放冷部から金属製熱伝導部材を介して前記冷却板に直接熱接触させ、
前記断熱性気密容器の内側空間内に、前記GHP法測定装置を囲繞する金属製気密容器を設け、
前記金属製気密容器の内部空間を真空状態にしたり、特定のガスを充填して、その充填ガスを介して充填ガス雰囲気における熱伝導率の測定可能に形成してある低温熱伝導率測定装置。
【請求項2】
前記断熱性気密容器の内部を真空断熱状態に減圧可能な真空ポンプを設けてある請求項1に記載の低温熱伝導率測定装置。
【請求項3】
前記断熱性気密容器は、前記金属製気密容器を更に囲繞する輻射シールド容器と、前記輻射シールド容器を更に囲繞する外槽気密容器とから構成してある請求項2に記載の低温熱伝導率測定装置。
【請求項4】
前記輻射シールド容器の外側は、スーパーインシュレーションのシールド層部材で全周を覆われている請求項3に記載の低温熱伝導率測定装置。
【請求項5】
前記機械式冷凍機は、GM冷凍機またはパルスチューブ冷凍機からなるものである請求項1に記載の低温熱伝導率測定装置。
【請求項6】
前記断熱性気密容器の内部空間に、液体窒素または液体ヘリウムを気化させる貯留容器を設けて、雰囲気温度を低下させるように構成してある請求項1に記載の低温熱伝導率測定装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱板の両面側に一対の被測定物平板を配置し、前記一対の被測定物平板の更に両外側夫々に一対の冷却板を配置し、前記一対の被測定物平板夫々の表裏両面部の温度を測定して、与えた熱量と前記表裏両面部の計測温度差に基づいて被測定物平板の熱伝導率を算出するGHP法測定装置を、断熱性気密容器の内側に収容し、前記冷却板を0℃以下の低温に冷却する冷却手段を前記断熱性気密容器内に設けてある低温熱伝導率測定装置に関する。
【0002】
前記GHP法測定装置はJIS A 1412-1の測定法で定められているもので、詳しくは、支持フレームに加熱板、一対の冷却板を夫々板厚方向に移動自在に上から吊り下げ支持し、加熱板と冷却板との間夫々に被測定物平板を挟み込み、加熱板を中心にして一対の被測定物平板及び一対の冷却板を、互いに近接移動させて接触させる押し付け装置を、板厚方向の両外側に一対設けて構成してある。
【背景技術】
【0003】
従来、前記低温熱伝導率測定装置では、前記冷却板を冷却する冷却手段として、例えば、液体窒素や液体ヘリウムを直接利用、あるいは気化させて断熱性気密容器内の雰囲気温度を低下させ、その雰囲気温度によって前記冷却板を冷却する装置に構成してあった(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】建材試験情報12 ‘89「GHP法による低音域における熱伝導率測定」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の低温熱伝導率測定装置では、断熱性気密容器内の雰囲気温度を液体窒素を蒸発させた低温ガスでは、液体窒素の沸点以下の温度に低下させることは困難であり、例えば、-180℃以下の極低温域での伝導率測定は、困難であった。
そこで、
図5に示すように、液体ヘリウム(LHe)を気化させて真空断熱容器で形成された断熱性気密容器5内の雰囲気温度を、約-268℃以下の極低温領域まで低下させる装置が考えられているが、液体ヘリウムの気化によって断熱性気密容器5内の雰囲気温度を低下させるためには、液体ヘリウムを大量に消費しなければならず、しかも、液体ヘリウムは非常に気化しやすくその補給や保管のための手間が非常に多くかかり、その上多額の費用が掛かるという問題があった(尚、図面中5は断熱性気密容器、31は液体ヘリウムの貯留容器、4はGHP法測定装置を収容する測定部、33は断熱性気密容器の上部を開放してGHP法測定装置を取り出しできるようにするための断熱材を設けた開閉蓋部である)。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、液体窒素やヘリウムの消費を抑制してGHP法測定装置の冷却板を冷却できる低温熱伝導率測定装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴構成は、加熱板の両面側に一対の被測定物平板を配置し、前記一対の被測定物平板の更に両外側夫々に一対の冷却板を配置し、前記一対の被測定物平板夫々の表裏両面部の温度を測定して、与えた熱量と前記表裏両面部の計測温度差に基づいて被測定物平板の熱伝導率を算出するGHP法測定装置を、断熱性気密容器の内側に収容し、前記冷却板を0℃以下の低温に冷却する冷却手段を前記断熱性気密容器内に設けてある低温熱伝導率測定装置であって、前記冷却手段を構成するのに、前記断熱性気密容器の内側空間内で前記GHP法測定装置の前記冷却板を冷却する放冷部を備えた機械式冷凍機を設け、前記機械式冷凍機の前記放冷部から金属製熱伝導部材を介して前記冷却板に直接熱接触させ、前記断熱性気密容器の内側空間内に、前記GHP法測定装置を囲繞する金属製気密容器を設け、前記金属製気密容器の内部空間を真空状態にしたり、特定のガスを充填して、その充填ガスを介して充填ガス雰囲気における熱伝導率の測定可能に形成させたところにある。
【0008】
本発明の第1の特徴構成によれば、液体窒素やヘリウムの消費を抑制して、GHP測定装置の冷却板を簡単に冷却できる。金属製気密容器6の内部空間に、熱交換作用を有する特定のガスを充填した場合は、放冷部23からの冷熱が、その充填ガスの凝固点以上の温度であれば、その充填ガスが熱交換ガスとして働いて、冷却板3に冷熱が伝わり、より冷却効率が上がる効果がある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成は、前記断熱性気密容器の内部を真空断熱状態に減圧可能な真空ポンプを設けたところにある。
【0010】
本発明の第2の特徴構成によれば、熱伝導率測定時には真空ポンプで減圧して真空断熱状態にすることで、外部からの熱の導入が極力抑えられ、且つ、冷凍能力を上げられる。
【0011】
本発明の第3の特徴構成は、前記断熱性気密容器は、前記金属製気密容器を更に囲繞する輻射シールド容器と、前記輻射シールド容器を更に囲繞する外槽気密容器とから構成したところにある。
【0012】
【0013】
本発明の第4の特徴構成は、前記輻射シールド容器の外側は、スーパーインシュレーションのシールド層部材で全周を覆われているところにある。
【0014】
【0015】
本発明の第5の特徴構成は、前記機械式冷凍機は、GM冷凍機またはパルスチューブ冷凍機からなるものである。
【0016】
【0017】
本発明の第6の特徴構成は、前記断熱性気密容器の内部空間に、液体窒素または液体ヘリウムを気化させる貯留容器を設けて、雰囲気温度を低下させるように構成してある。
【0018】
本発明の第6の特徴構成によれば、従来装置よりも、液体窒素やヘリウムの使用量を減量できる利点が期待でき、また、併用により運用できる時間が延び、寒剤継ぎ足しの手間が少なくなる等の利点も期待できる。
【0019】
【0020】
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図4】(a)は第1金属製熱伝導部材で、(b)は第1底板、(c)は第1底板に第1金属製熱伝導部材を立設させて取り付けた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図4に示すように、加熱板1の両面側に一対の被測定物平板2を配置し、一対の被測定物平板2の更に両外側夫々に一対の冷却板3を配置し、一対の被測定物平板2夫々の表裏両面部の温度を測定して、表裏両面部の計測温度差に基づいて被測定物平板2の熱伝導率を算出するGHP法測定装置4を、断熱性気密容器5の内側に収容し、冷却板3を0℃以下の低温に冷却する冷却手段を断熱性気密容器5内に設けてある。
【0023】
〔第1実施形態〕
前記冷却手段を構成するのに、断熱性気密容器5の内側空間内でGHP法測定装置4を囲繞する金属製気密容器6を設け、金属製気密容器6を熱伝導により冷却する冷凍機7を設け、金属製気密容器6と冷却板3とを直接熱接触させる第1金属製熱伝導部材8を設けてある。
【0024】
前記冷凍機7による冷却は、液体空気の沸点以下の極低温と称される温度で、特に液体ヘリウム(約―268℃)以下の領域まで冷却できるように、例えば、GM冷凍機(Gifford-McMahonサイクルを使った冷凍機)を使用する。
【0025】
図1~
図4に示すように、前記GHP法測定装置4は、支持フレーム15に加熱板1、一対の冷却板3を夫々板厚方向に移動自在に上から吊り下げ支持し、加熱板1と一対の冷却板3夫々の間に被測定物平板2を挟んで、加熱板1を中心にして一対の被測定物平板2及び一対の冷却板3を、互いに近接移動させて接触させる押し付け装置16を、板厚方向の両外側に一対設けて構成してある。
支持フレーム15の接地部15Aは、10ミリ厚の銅製の第1底板17に取り付けてあり(
図4(b)、
図2)、その第1底板17に対して銅製の3ミリ厚のアンカー板(第1金属製熱伝導部材8)を立設取り付けするように設け(
図4(c))、アンカー板には、冷却板3との連結部19(ボルト挿通孔)を上部に設けると共に、下端部8Aに第1底板17と連結可能なボルト挿通用の長孔20が冷却板3の移動方向に沿って設けてあり、その長孔20に対応してボルト挿通孔21が、第1底板17に複数設けてある(
図4(a)、(b)、(c))。
【0026】
図1に示すように、第1底板17を容器底板24にボルトにより固定し、容器底板24に対して、その上面部には、GHP法測定装置4を囲繞する第1カバー部22を取り付けて、容器底板24と第1カバー部22とで内部を気密にできる前記金属製気密容器6を構成してある。
容器底板24の下面部には、GM冷凍機をその2段冷却部23A(第2の放冷部23で2段膨張室が内部に設けてある)が接当する状態に取り付けてある。
従って、GM冷凍機からの冷熱は、冷凍機7の放冷部23から金属製気密容器6及び第1金属製熱伝導部材8を介して、冷却板3に直接伝熱される。
【0027】
図1に示すように、金属製気密容器6を更に囲繞する輻射シールド容器25を設け、その輻射シールド容器25下部の第2底板26には、GM冷凍機の1段冷却部23B(第1の放冷部23で1段膨張室が内部に設けてある)が接触する状態に貫通させて連結してある。
従って、輻射シールド容器25も1段冷却部23Bから熱伝導により冷却される。
前記金属製気密容器6及び、輻射シールド容器25の外側は、輻射断熱のための、例えば、ポリイミドフィルムにアルミを蒸着したシートを積層したスーパーインシュレーションと呼ばれるシールド層部材27で、それらの全周を覆ってある。
【0028】
前記金属製気密容器6、輻射シールド容器25を更に囲繞するアルミ製の外槽気密容器28を設けてある。
輻射シールド容器25、及び、外槽気密容器28によって、GHP法測定装置4を内側に収容する断熱性気密容器5を構成してある。
尚、外槽気密容器28の内部の第1空間S1及び輻射シールド容器25の内部の第2空間S2は、熱伝導率測定時には真空ポンプで減圧して真空断熱状態にすることで、外部からの熱の導入が極力抑えられ、且つ、冷凍能力を上げられる。
【0029】
前記金属製気密容器6は、その内部空間を真空状態にしたり、又は、特定のガスを充填してその充填ガスを介して冷却板3を冷却する冷媒冷却装置としたり、充填ガス雰囲気における熱伝導率の測定もできる。
尚、金属製気密容器6の内部空間に、熱交換作用を有する特定のガスを充填した場合は、放冷部23からの冷熱が、その充填ガスの凝固点以上の温度であれば、その充填ガスが熱交換ガスとして働いて、冷却板3に冷熱が伝わり、より冷却効率が上がる効果がある。
【0030】
また、前記断熱性気密容器5は、前述の実施形態においては、外槽気密容器28の内部及び輻射シールド容器25の内部空間を減圧して真空断熱状態にしてあるが、GHP法測定装置による熱伝導率を測定するについて、外槽気密容器28の結露、氷結が問題にならない低温域において測定する場合は、常圧で断熱材を内装した断熱容器であってもよい。
ただし、冷凍機7の放冷部23の冷却能力を上げる必要のある場合、冷凍機7の周囲は、真空断熱などにより断熱能力を高く上げる必要がある。
【0031】
〔第2実施形態〕
前記冷却手段として、冷凍機7により冷却板3を冷却するのに、金属製気密容器6の第1底板17と冷却板3とを熱伝導可能に連結する第1金属製熱伝導部材8を設ける以外に、
図6に示すように、第1底板17と冷却板3の上部とを直接熱接触させる8本の銅製のワイヤー(例えば、径1ミリの銅線が20本束ねてある)から成る第1金属製補助熱伝導部材29を設けてある。
これにより、冷却板3の上部も効率よく冷却され、極低温領域での熱伝導率の測定が可能になる。
【0032】
〔第3実施形態〕
第1実施形態及び第2実施形態のように、冷凍機7の放冷部23を、金属製気密容器6の下面に接当させて取り付ける以外に、
図7に示すように、金属製気密容器6の天井板部18に接当させて取り付けてあってもよい。
尚、GHP法測定装置4は、金属製気密容器6の底板に載置固定されている。
【0033】
〔第4実施形態〕
図8に示すように、第1空間S1と第2空間S2を、真空断熱空間にして断熱性気密容器5の内側に、GHP法測定装置4を囲繞する金属製気密容器6を設けて、冷凍機7の放冷部23からの冷熱を直接冷却板3に熱伝導するように、冷凍機7を冷却板3の上方に配置して、冷凍機7の放冷部23と冷却板3の上端部とを直接熱接触する第2金属製熱伝導部材35を設けてあってもよい。
【0034】
〔第5実施形態〕
図9に示すように、GHP法測定装置4を囲繞する
図1に示すような金属製気密容器6を設けずに、冷凍機7の放冷部23からの冷熱を直接冷却板3に熱伝導するように、例えば、前述の銅製のアンカー板のような第1金属製熱伝導部材8を、放冷部23と連結した第1底板17(GHP法測定装置4の支持フレーム15の接地部15Aを取り付ける)と冷却板3の下部とに亘って連結してもよい。
尚、GHP法測定装置4は、真空層を設けた断熱性気密容器5の内側に収容されている。
【0035】
また、
図9と同様に、金属製気密容器6を設けない装置で、第1金属製熱伝導部材以外に、前記銅製のワイヤーと同等の第1金属製補助熱伝導部材29を、第1底板17と冷却板3の上部とに亘って連結してあってもよい。
【0036】
〔その他の実施形態〕
以下にその他の実施の形態を説明する。
なお、以下の他の実施形態において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
〈1〉 GHP法測定装置4を囲繞する金属製気密容器6は、冷凍機7により直接冷却されるように構成されているが、冷却板3に対する冷却は、金属製熱伝導部材を設けずに、金属製気密容器6に充填する熱交換作用を有するガスにより冷却する(間接冷却)ものでもよい。
〈2〉 前記GM冷凍機に代えて、他の機械式冷凍機(例えばパルスチューブ冷凍機等)が使用できる。
〈3〉 第1金属製熱伝導部材8、第1金属製補助熱伝導部材29は、熱伝導の良いものであれば銅以外の例えば、アルミニウム等の他の金属から成るものでもよく、それらの形態も板状やワイヤー以外の形状でもよい。
〈4〉 断熱性気密容器5の内側で、
図10に示すように、GHP法測定装置4に冷凍機7を取り付け、且つ、冷凍機7の放冷部23から、第2金属製熱伝導部材35を介して直接冷却板3に冷熱を熱伝導するようにして、断熱性気密容器5の内部空間に従来のように液体窒素や液体ヘリウムを気化させる貯留容器31を設けて、雰囲気温度を低下させるようにして、冷凍機7との併用する装置であってもよく、この場合、従来装置よりも、液体窒素やヘリウムの使用量を減量できる利点が期待でき、また、併用により運用できる時間が延び、寒剤継ぎ足しの手間が少なくなる等の利点も期待できる。
〈5〉
図11に示すように、外槽気密容器28と金属製気密容器6の間の第1空間S1を、真空断熱空間に形成した断熱性気密容器5の内側にGHP法測定装置4を設けてあってもよい。尚、この場合、冷凍機は、単段の冷凍機を設ければよい。また、2段のGM冷凍機で
図1における容器25がないパターンでもよい。
【0037】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
1 加熱板
2 被測定物平板
3 冷却板
4 GHP法測定装置
5 断熱性気密容器
6 金属製気密容器
7 機械式冷凍機
8 第1金属製熱伝導部材
23 放冷部
29 第1金属製補助熱伝導部材
35 第2金属製熱伝導部材