(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138832
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】農作業機用作業装置および農作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 39/18 20060101AFI20230922BHJP
A01M 21/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A01B39/18 Z
A01M21/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131352
(22)【出願日】2023-08-10
(62)【分割の表示】P 2019193016の分割
【原出願日】2019-10-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成30年10月26日にスマート農業を「知る」セミナー2018 Vol.2にて公開 平成30年11月8日に日本放送協会 ほっとぐんま640にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】316018557
【氏名又は名称】株式会社ロブストス
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】高垣 達郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聖則
(57)【要約】
【課題】土壌条件に合わせて除草等の作業を効果的に行うことができる農作業機と、そのような農作業機用作業装置を提供する。
【解決手段】農作業機用作業装置は、除草作業機(農作業機)1に取付けられる第1の支持シャフト6及び第2の支持シャフト7と、これら第1の支持シャフト6及び第2の支持シャフト7を固定端として鉛直下方に延びる第1の弾性連結板8及び第2の弾性連結板11と、これら第1の弾性連結板8及び第2の弾性連結板11に固着された作業具9,10,12とを備え、これら第1の弾性連結板8及び第2の弾性連結板11は、板面方向に撓む長尺状板材であって、この板面方向を除草作業機(農作業機)1の走行方向に向けて取り付けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作業機に取付けられる支持部材と、前記支持部材を固定端として鉛直下方に延びる弾性連結板と、前記弾性連結板に固着された作業具とを備え、
前記弾性連結板は、板面方向に撓む長尺状板材であって、前記板面方向を前記農作業機の走行方向に向けて取り付けられている、
ことを特徴とする農作業機用作業装置。
【請求項2】
請求項1に記載の農作業機用作業装置において、
前記弾性連結板は、前記支持部材に対する取り付け位置が調整可能になっている、
ことを特徴とする農作業機用作業装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の農作業機用作業装置において、
前記弾性連結板は、ボルトにて前記支持部材および前記作業具に固定されている、
ことを特徴とする農作業機用作業装置。
【請求項4】
請求項1に記載の農作業機用作業装置において、
前記弾性連結板は、複数本重ねて取り付けられている、
ことを特徴とする農作業機用作業装置。
【請求項5】
走行機体に取付けられた支持部材と、前記支持部材に固定可能な保持体と、前記保持体に片持ち梁状に支持された弾性連結板と、前記弾性連結板の自由端側に取付けられた作業具とを備え、
前記弾性連結板は、板面方向に撓む長尺状板材であって、前記板面方向を前記農作業機の走行方向に向けて取り付けられている、
ことを特徴とする農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機および農作業機用作業装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農作業機の一例である除草作業機として、従来より、走行機体にツールバーを左右方向へ向けて水平に設けると共に、このツールバーに除草工具を取付け、走行機体に備えられる昇降操作装置の操作によって、ツールバーを上昇位置と下降位置との間で昇降可能としたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この除草工具は、作物の条間(隣り合う作物の間の距離)の除草や走行機体の走行路となる畝間の除草等に対応できるように、ツールバーの左右方向における取付け位置を変更可能としている。
【0003】
このように構成された除草作業機では、除草工具の先端が畑の地面に数cm程度だけ突入するようにツールバーを下降位置に保持し、この状態で走行機体を前進させることにより、除草工具を牽引して畑の草を除去するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された除草作業機(農作業機)は、除草工具が取付けられたツールバーを上昇位置と下降位置との間で昇降操作することができるため、除草工具の先端を畑の地面に所定深さだけ突入させた状態で草を除去することができる。しかし、除草対象となる畑や菜園等の圃場は、土質の違いによって硬さや重さや粘り等にバラツキが生じ、また同じ土質でも天候や気温等の影響を受けて土壌の状態は日々変化するため、除草工具の先端が地面に所定深さだけ突入するようにツールバーの高さを調整しても、草を効果的に除草することができない場合がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、土壌条件に合わせて除草等の作業を効果的に行うことができる農作業機を提供することにあり、第2の目的は、そのような農作業機用作業装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の目的を達成するために、本発明の農作業機用作業装置は、農作業機に取付けられる支持部材と、前記支持部材を固定端として鉛直下方に延びる弾性連結板と、前記弾性連結板に固着された作業具とを備え、前記弾性連結板は、板面方向に撓む長尺状板材である、ことを特徴としている。
【0008】
このように構成された農作業機用作業装置では、作業対象となる土壌の硬さや土質等の土壌条件に応じ、弾性連結板が板面方向に撓むため、弾性連結板の板面方向に作業具に弾性を持たせた状態で除草等の作業を行うことができる。
【0009】
上記構成の農作業機用作業装置において、前記弾性連結板が、前記作業具の固着位置を自由端とする片持ち梁の長さが調整可能とすると、作業対象となる土壌の硬さや土質等の土壌条件に応じて弾性連結板の撓み具合(テンション)を自由に変更することができるため、土壌条件に合わせて除草等の作業を効果的に行うことができる。しかも、作業具が弾性連結板を介して支持部材に取付けられているため、剛性が高い作業具を使用したとしても、その作業具に弾性を持たせた状態で除草等の作業を行うことができる。
【0010】
また、上記構成の農作業機用作業装置において、支持部材を鉛直方向に上下動させる昇降機構が設けられていると、弾性連結板の片持ち梁の長さを適切に設定した上で、弾性連結板に取付けられた作業具の地面への突入量を調整することができる。
【0011】
上記第2の目的を達成するために、本発明の農作業機は、走行機体に取付けられた支持部材と、前記支持部材に固定可能な保持体と、前記保持体に片持ち梁状に支持された弾性連結板と、前記弾性連結板の自由端側に取付けられた作業具とを備え、前記弾性連結板は、板面方向に撓む長尺状板材である、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の農作業機および農作業機用作業装置によれば、土壌条件に合わせて除草等の作業を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態例に係る除草作業機の側面図である。
【
図3】該除草作業機に備えられる弾性連結板と除草工具の取付け状態を示す正面図である。
【
図4】第1の弾性連結板と除草工具の取付け状態を示す側面図である。
【
図5】第1の弾性連結板の固定端と片持ち梁の長さの関係を示す説明図である。
【
図6】第2の弾性連結板と除草工具の取付け状態を示す側面図である。
【
図7】変形例に係る第1の弾性連結板の固定端と片持ち梁の長さの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、
図1は本発明を適用した農作業機の一例である除草作業機の側面図、
図2は該除草作業機の正面図である。
【0015】
図1と
図2に示すように、本実施形態例に係る除草作業機(農作業機)1は、左右一対の前輪2及び後輪3を有する走行機体4と、この走行機体4に設けられた機体フレーム5と、機体フレーム5に取付けられた第1の支持シャフト6及び第2の支持シャフト7と、第1の支持シャフト6を固定端として鉛直下方に片持ち梁状に延びる第1の弾性連結板8と、第1の弾性連結板8の自由端に固着された作業具9,10と、第2の支持シャフト7を固定端として鉛直下方に片持ち梁状に延びる第2の弾性連結板11と、第2の弾性連結板11の自由端に固着された作業具12とを備えている。以下、走行機体4の走行方向を前後方向、前後方向に直交する方向を左右方向として説明する。
【0016】
走行機体4は、機体フレーム5の後側に搭載されたエンジン(図示せず)を収納するエンジンカバー13と、作業者(オペレータ)が把持することのできる操作摘み14とを備えており、エンジンを駆動力として前後進することができる構成となっている。ただし、エンジンを省略して手動で走行する構成としても良い。
【0017】
第1の支持シャフト6と第2の支持シャフト7は角型パイプによって構成されており、これら両支持シャフト6,7は走行機体4の左右方向へ水平に延びている。第1の支持シャフト6の両端部にはネジ部材15が連結されており、これらネジ部材15は機体フレーム5に螺合されている。そして、ネジ部材15の上端に取付けられた調整レバー16を回転操作することにより、第1の支持シャフト6を上下方向に昇降動作して機体フレーム5に対する取付け高さを調整可能としている。
【0018】
第1の支持シャフト6には角筒形状をなす複数の保持体17が軸線方向に沿って移動可能に挿入・保持されており、これら保持体17はボルト締め等の固定手段を用いて第1の支持シャフト6の任意位置に固定されるようになっている。各保持体17には第1の弾性連結板8が保持・固定されており、詳細については後述するが、保持体17に対する第1の弾性連結板8の固定位置を変更することで、第1の弾性連結板8の片持ち梁の長さを調整可能としている。
【0019】
第2の支持シャフト7は第1の支持シャフト6よりも前方位置で機体フレーム5に配設されており、図示省略されているが、第1の支持シャフト6と同様の昇降機構を適用することにより、第2の支持シャフト7も機体フレーム5に対する取付け高さを調整可能としている。ただし、第2の支持シャフト7を機体フレーム5に固定化し、第2の支持シャフト7の機体フレーム5に対する取付け高さを調整不能としても良い。
【0020】
第2の支持シャフト7には角筒形状をなす複数の保持体18が軸線方向に沿って移動可能に挿入・保持されており、これら保持体18はボルト締め等の固定手段を用いて第2の支持シャフト7の任意位置に固定されるようになっている。各保持体18には第2の弾性連結板11が保持・固定されており、詳細については後述するが、保持体18に対する第2の弾性連結板11の固定位置を変更することで、第2の弾性連結板11の片持ち梁の長さを調整可能としている。
【0021】
第1の弾性連結板8はステンレス鋼等の金属や繊維強化プラスチック(FRP)等の可撓性に優れた長尺状板材からなり、
図3と
図4に示すように、第1の弾性連結板8は、保持体17の前面側に設けられた貫通孔に上下動可能に挿入され、ボルト19を用いて保持体17に固定されている。この第1の弾性連結板8の下端側には、ボルト20を用いて2種類の作業具9,10が前後方向に位置をずらして固定されている。これら作業具9,10は圃場の草を除去するための除草工具であり、作業対象となる圃場の状況や植えられている作物の種類等に応じて、種々の形状の除草工具が選択的に使用されるようになっている。本実施形態例に係る除草作業機1では、2種類の作業具9,10を用いて圃場の草を前後方向に連続して除去するようにしているが、後側の作業具10を省略し、前側の作業具9だけを第1の弾性連結板8の下端側に固定するようにしても良い。
【0022】
第1の弾性連結板8はボルト19の締結力によって保持体17に圧接・固定されるようになっており、第1の弾性連結板8の固定端から自由端に至る片持ち梁の長さは自由に変更可能となっている。例えば、
図5(a)に示すように、第1の弾性連結板8の上部側をボルト19で保持体17に固定した場合、第1の弾性連結板8の片持ち梁の長さは比較的長めのL1となるが、
図5(b)に示すように、第1の弾性連結板8の下部側をボルト19で保持体17に固定した場合、第1の弾性連結板8の片持ち梁の長さはL1よりも短いL2となる。このように保持体17に対する第1の弾性連結板8の固定位置に応じて、第1の弾性連結板8の固定端(ボルト19)から自由端(作業具9,10を固定するボルト20)に至る長さが変更されるため、作業対象となる土壌の硬さや土質等の土壌条件に適した第1の弾性連結板8の撓み具合(テンション)を設定することができる。なお、弾性連結板8の撓み具合(テンション)をさらに強めたい場合は、弾性連結板8を複数本重ねて使用すれば良い。
【0023】
また、第1の弾性連結板8の表面に目盛や位置マーク等の指標8aが施されており、この指標8aを目安に第1の弾性連結板8の片持ち梁の長さを調整できるようにしている。したがって、複数本の第1の弾性連結板8が保持体17を介して第1の支持シャフト6に取付けられていても、作業者は全ての第1の弾性連結板8の片持ち梁の長さを簡単かつ正確に同じに調整することができる。
【0024】
第2の弾性連結板11はステンレス鋼等の金属や繊維強化プラスチック等の可撓性に優れた長尺状板材からなり、
図6に示すように、第2の弾性連結板11は、保持体18の前面側に設けられた貫通孔に上下動可能に挿入され、ボルト21を用いて保持体18に固定されている。この第2の弾性連結板11の下端側には、ボルト22を用いて作業具12が固定されている。この作業具12は、第1の弾性連結板8に取付けられた作業具9,10と形状を異にする除草工具であり、本実施形態例に係る除草作業機1では、固まった土壌を解すことのできる溝切り用の工具が作業具12として用いられている。
【0025】
第2の弾性連結板11は、ボルト21を用いて保持体18に固定された部位を固定端として第2の支持シャフト7に片持ち梁状に支持されており、その自由端にボルト22を用いて作業具12が取付けられている。第2の弾性連結板11の固定端から自由端に至る片持ち梁の長さは変更可能となっているが、片持ち梁の長さを変更する調整機構は第1の弾性連結板8と同様であるため、ここでは重複説明を省略する。
【0026】
次に、上記のごとく構成された除草作業機1による草の除去作業について説明する。
【0027】
まず、作業対象となる圃場(畑)に植えられている作物の条間や雑草の生え具合等を見て、第1の弾性連結板8に取付ける作業具9,10と第2の弾性連結板11に取付ける作業具12を選定した後、圃場における土壌条件、例えば土壌の硬さや土質、乾燥具合等を考慮して、第1の弾性連結板8と第2の弾性連結板11の片持ち梁の長さを適切に調整する。
【0028】
ここで、圃場における土壌が粘土質で若干水分を含んでいる場合は、
図5(a)に示すように、第1の弾性連結板8の片持ち梁の長さが比較的長めのL1となるように、第1の弾性連結板8の上部側をボルト19で保持体17に固定する。一方、圃場における土壌が砂質で乾燥している場合は、
図5(b)に示すように、第1の弾性連結板8の片持ち梁の長さが短めのL2となるように、第1の弾性連結板8の下部側をボルト19で保持体17に固定する。圃場における土壌条件が上記以外の場合は、保持体17に対する第1の弾性連結板8の取付け位置を調整して、片持ち梁の長さが最適となるように第1の弾性連結板8をボルト19で保持体17に固定する。
【0029】
また、作物の条間の除草や走行機体4の走行路となる畝間の除草等に対応できるように、第1の支持シャフト6の軸線方向における保持体17の取付け位置を変更して、各第1の弾性連結板8の左右方向の間隔Pを調整する。さらに、圃場の地面に対する作業具9,10の高さ位置が適切となるように、調整レバー16を回転操作して第1の支持シャフト6を上下方向に昇降動作することにより、機体フレーム5に対する第1の支持シャフト6の取付け高さを調整する。例えば、中耕除草の際に土を動かそうとする場合、作業具9の地面に対する突出量や侵入角度を考慮して、機体フレーム5に対する第1の支持シャフト6の取付け高さを調整すれば良い。
【0030】
同様に、第2の弾性連結板11についても、保持体18に対する第2の弾性連結板11の固定位置を変更することにより、圃場における土壌の硬さを考慮して、第2の弾性連結板11の片持ち梁の長さを適切に調整する。また、作物の条間の除草や走行機体4の走行路となる畝間の除草等に対応できるように、第2の支持シャフト7の軸線方向における保持体18の取付け位置を変更して、各第2の弾性連結板11の左右方向の間隔を調整する。
【0031】
そして、この状態で走行機体4を
図1の右方向へ前進させることにより、走行方向の前列側の第2の弾性連結板11に取付けられた作業具12と、その後列側の第1の弾性連結板8に取付けられた作業具9,10とを牽引して圃場の中耕除草を行うことができる。その際、第1の弾性連結板8と第2の弾性連結板11に作業対象となる土壌条件(土壌の硬さや土質等)に適したテンションが付与されているため、前列側の作業具12で除草対象となる箇所の地面に深い溝を切り入れて土を解した後、その後列側に配置された作業具9で草を浮かすように土を動かし、最後列の作業具10で浮き上がった草を掻き集めることができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態例に係る除草作業機(農作業機)1は、走行機体4の機体フレーム5に取付けられた第1の支持シャフト6及び第2の支持シャフト7と、これら第1の支持シャフト6及び第2の支持シャフト7に片持ち梁状に支持された第1の弾性連結板8及び第2の弾性連結板11と、これら第1の弾性連結板8及び第2の弾性連結板11の自由端に取付けられた作業具9,10,12とを備え、第1の弾性連結板8及び第2の弾性連結板11が、それぞれ第1の支持シャフト6及び第2の支持シャフト7に対して左右方向の取付け位置を調整可能にすると共に、固定端から自由端に至る片持ち梁の長さを調整可能にしているため、作業対象となる土壌の硬さや土質等の土壌条件に応じて弾性連結板8,11の撓み具合(テンション)を自由に変更することができ、土壌条件に合わせて除草等の作業を効果的に行うことができる。しかも、作業具9,10,12が弾性連結板8,11を介して支持シャフト6,7に取付けられているため、剛性が高い作業具を使用したとしても、その作業具に弾性を持たせた状態で除草等の作業を行うことができる。
【0033】
また、第1及び第2の支持シャフト6,7に第1及び第2の弾性連結板8,11を昇降可能に保持する保持体17,18がそれぞれ移動可能に支持されていると共に、これら保持体17,18が対応する支持シャフト6,7の所定位置に固定されるようになっているため、第1及び第2の支持シャフト6,7に対する保持体17,18の固定位置を変更することにより、作業具9,10,12の左右方向の間隔を圃場の作業位置に合わせて容易に調整することができる。したがって、条間が狭い場合であっても、作業具9,10,12を作物と干渉しない位置に配置することができ、作業具9,10,12が作物を傷付けてしまうことなく条間の除草作業を効果的に行うことができる。
【0034】
また、第1及び第2の弾性連結板8,11に自身の片持ち梁の長さを示す指標が設けられているため、この指標を目視することで第1及び第2の弾性連結板8,11の長さを簡単かつ確実に調整することができる。しかも、第1及び第2の弾性連結板8,11を対応する保持体17,18の貫通孔に挿入し、その昇降位置を調整してからボルト19,21で固定するようにしたので、保持体17,18に対する弾性連結板8,11の固定位置を無段階に変更することができる。さらに、長尺状板材からなる第1及び第2の弾性連結板8,11は板面方向にのみ撓むことができ、板面と直交する左右方向へ撓むことがないため、弾性連結板8,11に固着された作業具9,10,12の横ブレを防止することができる。
【0035】
また、本実施形態例に係る除草作業機1では、走行機体4に第1の支持シャフト6を鉛直方向に上下動させる昇降機構(ネジ部材15及び調整レバー16)が設けられているため、第1の支持シャフト6に支持された第1の弾性連結板8の片持ち梁の長さを適切に設定した上で、第1の弾性連結板8の自由端に取付けられた作業具9,10の地面への突入量を調整することができる。なお、第1の支持シャフト6を鉛直方向に上下動させる昇降機構として、モータ等を駆動源とする電動装置を使用し、第1の支持シャフト6の上下方向の昇降動作を電動で行うようにしても良い。
【0036】
また、本実施形態例に係る除草作業機1では、第1の弾性連結板8を支持する第1の支持シャフト6と第2の弾性連結板11を支持する第2の支持シャフト7とが走行機体4の前後方向に沿って二列に配置され、これら第1及び第2の弾性連結板8,11の自由端に互いの形状を異にする作業具(除草工具)9,10,12がそれぞれ取付けられているため、例えば、走行方向の前列側の作業具12で除草対象となる箇所の地面に深い溝を切り入れた後、その後方列に配置された作業具9,10で草を浮かすように土を動かし、浮き上がった草を掻き集めることができる。
【0037】
なお、上記した実施形態例は本発明を説明するための例示であり、それ以外にも種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態例では、第1の弾性連結板8の保持体17に対する固定位置を無段階に変更可能とした場合について説明したが、
図7に示すように、第1の弾性連結板8に複数の取付孔8bを上下方向に所定の間隔を存して設け、これら取付孔8bに対してボルト19を選択的に挿入することにより、第1の弾性連結板8の固定端から自由端に至る片持ち梁の長さを変更可能としても良い。
【0038】
すなわち、
図7(a)に示すように、上側の取付孔8bにボルト19を挿入して第1の弾性連結板8を保持体17に固定すると、第1の弾性連結板8の片持ち梁の長さは長めのL1になるが、
図7(b)に示すように、下側の取付孔8bにボルト19を挿入して第1の弾性連結板8を保持体17に固定すると、第1の弾性連結板8の片持ち梁の長さは短めのL2になる。このようにボルト19が挿入される取付孔8bの形成位置に応じて、第1の弾性連結板8の固定端(ボルト19)から自由端(作業具9,10を固定するボルト20)に至る長さが変更されるため、作業対象となる土壌条件に適した第1の弾性連結板8の撓み具合(テンション)を設定することができる。この場合、複数の取付孔8bは、ボルト19と第1の弾性連結板8の連結部位として機能するだけでなく、第1の弾性連結板8の片持ち梁の長さを示す指標としても機能している。
【0039】
また、上記実施形態例では、走行機体4の前後方向に沿って第1の弾性連結板8と第2の弾性連結板11を二列に配置した構成となっているが、第2の弾性連結板11を省略して第1の弾性連結板8だけの単列構造にしたり、弾性連結板を前後方向に三列以上配置した構成にしても良い。
【0040】
また、上記実施形態例では、第1及び第2の弾性連結板8,11の固定端から自由端に至る片持ち梁の長さを調整する場合に、自由端の位置を変えずに固定端の位置を変更するようにしているが、これとは逆に固定端の位置を変えずに自由端の位置を変更するようにしても良く、あるいは固定端と自由端の両方の位置を変更するようにしても良い。
【0041】
また、上記実施形態例では、作業具9,10,12として除草工具を用いた除草作業機1について説明したが、作業具の種類や形状は上記実施形態例に限定されず、例えば、溝切り、表層混和、線引き、播種等の作業具を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 除草作業機(農作業機)
2 前輪
3 後輪
4 走行機体
5 機体フレーム
6 第1の支持シャフト(支持部材)
7 第2の支持シャフト(支持部材)
8 第1の弾性連結板
8a 指標
8b 取付孔(指標)
9,10,12 作業具(除草工具)
15 ネジ部材(昇降機構)
16 調整レバー(昇降機構)
17,18 保持体
19,20,21,22 ボルト
【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作業機に取付けられる支持部材と、前記支持部材を固定端として鉛直下方に延びる弾性連結板と、前記弾性連結板に固着された作業具とを備え、
前記弾性連結板は、板面方向に撓む長尺状板材であって、前記板面方向を前記農作業機の走行方向に向けて取り付けられている、
ことを特徴とする農作業機用作業装置。
【請求項2】
請求項1に記載の農作業機用作業装置において、
前記支持部材を鉛直方向に上下動させる昇降機構が設けられている、
ことを特徴とする農作業機用作業装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の農作業機用作業装置において、
前記弾性連結板は、撓み具合を変更できる構成とされている、
ことを特徴とする農作業機用作業装置。
【請求項4】
請求項3記載の農作業機用作業装置において、
前記弾性連結板は、ボルトにて前記支持部材および前記作業具に固定されている、
ことを特徴とする農作業機用作業装置。
【請求項5】
請求項3に記載の農作業機用作業装置において、
前記弾性連結板は、複数本重ねて取り付けできる構成とされている、
ことを特徴とする農作業機用作業装置。
【請求項6】
走行機体に取付けられた支持部材と、前記支持部材に固定可能な保持体と、前記保持体に片持ち梁状に支持された弾性連結板と、前記弾性連結板の自由端側に取付けられた作業具とを備え、
前記弾性連結板は、板面方向に撓む長尺状板材であって、前記板面方向を前記農作業機の走行方向に向けて取り付けられている、
ことを特徴とする農作業機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記第1の目的を達成するために、本発明の農作業機用作業装置は、農作業機に取付けられる支持部材と、前記支持部材を固定端として鉛直下方に延びる弾性連結板と、前記弾性連結板に固着された作業具とを備え、前記弾性連結板は、板面方向に撓む長尺状板材であって、前記板面方向を前記農作業機の走行方向に向けて取り付けられている、ことを特徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
このように構成された農作業機用作業装置では、作業対象となる土壌の硬さや土質等の土壌条件に応じ、弾性連結板が農作業機の走行方向に向かう板面方向に撓むため、弾性連結板の板面方向に作業具に弾性を持たせた状態で除草等の作業を行うことができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
上記第2の目的を達成するために、本発明の農作業機は、走行機体に取付けられた支持部材と、前記支持部材に固定可能な保持体と、前記保持体に片持ち梁状に支持された弾性連結板と、前記弾性連結板の自由端側に取付けられた作業具とを備え、前記弾性連結板は、板面方向に撓む長尺状板材であって、前記板面方向を前記農作業機の走行方向に向けて取り付けられている、ことを特徴としている。