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  • 特開-タイランスタチン類似体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138857
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】タイランスタチン類似体
(51)【国際特許分類】
   C07D 493/10 20060101AFI20230922BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230922BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230922BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230922BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230922BHJP
   A61K 31/351 20060101ALI20230922BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20230922BHJP
   A61K 31/42 20060101ALI20230922BHJP
   A61K 31/4245 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
C07D493/10
A61P35/00
A61P35/02
A61K47/68
A61K39/395 L
A61K39/395 T
A61K31/351
A61K31/4196
A61K31/42
A61K31/4245
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131900
(22)【出願日】2023-08-14
(62)【分割の表示】P 2020516382の分割
【原出願日】2018-09-19
(31)【優先権主張番号】62/561,060
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/686,781
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519337927
【氏名又は名称】ピーエイチ・ファーマ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PH PHARMA CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バス・ジャンマラマダカ
(72)【発明者】
【氏名】キンバリー・アン・ティプトン
(72)【発明者】
【氏名】サンジーブ・サティアル
(72)【発明者】
【氏名】ホヨン・ホ
(57)【要約】
【課題】 疾患を処置する方法を提供すること
【解決手段】 本発明は、新規な細胞毒性化合物及びこれらの細胞毒性化合物と細胞結合剤とからなる細胞毒性複合体を提供する。より詳細には、本発明は、抗体薬物複合体(ADC)中で細胞毒性小分子毒素として有用な新規なタイランスタチンA類似体に関する。本発明は更に、これらの細胞毒性化合物及びADCを含む組成物、ならびにがんをはじめとする病的状態を治療するためにこれらの毒素及びADCを使用する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法施行規則(37 C.F.R.)第153条第(b)(1)項の
下で出願された非仮出願であり、米国特許法(35 U.S.C.)第119条第(e)
項に基づき、2017年9月20日出願の仮出願第62/561,060号及び2018
年6月19日出願の仮出願第62/686,781号に対する優先権を主張するものであ
り、当該出願の内容をその全容にわたって参照によって本明細書に援用するものである。
【0002】
本発明は、新規な細胞毒性化合物及びこれらの細胞毒性化合物と細胞結合剤とからなる
細胞毒性複合体に関する。より詳細には、本発明は、抗体薬物複合体(ADC)中で細胞
毒性小分子毒素として有用な新規なタイランスタチンA類似体に関する。本発明は更に、
これらの細胞毒性化合物及びADCを含む組成物、ならびにがんをはじめとする病的状態
を治療するためにこれらの毒素及びADCを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
直接またはリンカーを介した薬物の抗体との複合体化では、薬物の複合体化のための化
学基の種類及び位置、薬物放出の機序、薬物放出を与える構造的要素、ならびに放出され
た遊離薬物の構造的改変をはじめとするさまざまな因子が考慮される。さらに、薬物が抗
体の内在化後に放出されるものである場合、薬物放出の機序は、複合体の細胞内トラフィ
ッキングと一致していなければならない。
【0004】
抗体薬物複合体(ADC、免疫複合体としても知られる)は、抗がん剤としての大きな
効用が実証されている。ADC内では、治療剤(細胞毒性薬物または毒素とも称する)が
、その抗原ががんまたは他の増殖性細胞により発現される(腫瘍関連抗原)抗体と共有結
合によって連結されている。この抗体が抗原と結合することによってADCをがん部位に
送達する。そこで共有結合による連結の切断、または抗体の分解によって治療剤が放出さ
れる。一方、ADCが血液系を循環している間は、治療剤は抗体と連結されているために
不活性である。そのため、ADC中に用いられる治療剤は、その放出が高度に局在化され
ているため、通常の化学療法剤よりも大幅に強力なものとすることができる。
【0005】
多くの異なる薬物クラスで抗体による送達が試みられてきたが、適当な毒性プロファイ
ルを有しつつ抗体薬物複合体としての有効性が示された薬物のクラスはわずかである。奏
功した薬物クラスの1つに、真核生物のRNAスプライシングの極めて強力な阻害剤であ
る、スプライソスタチンC及びタイランスタチンAなどのFR901464の類似体があ
る。これらの化合物は、スプライソソームの不可欠な構成成分であるU2 snRNAサ
ブコンプレックスのSF3bサブユニットに強く結合する(Puthenveetil,
S.,et al.,Bioconjugate Chem.,2016,27:188
0-1888)。
【0006】
米国特許第9,169,264号及び同第9,504,669号 (いずれもSubr
amanyamら)は、ADCのペイロードとして有用なスプライソスタチン系化合物、
及びADCとの関連で有用なペイロードリンカー化合物を開示している。当該特許はさら
に、がんをはじめとする病的状態の治療におけるこれらの化合物の使用について開示して
いる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、主として抗がん剤である(ただしそれに限定されない)化合物及び化合物を
含有する医薬組成物、その調製、化合物の使用に関する。
【0008】
一態様によれば、本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
Rは、-(CH-R;場合により、ハロゲン、-CF、-C1~6アルキル
、及び-O-C1~6アルキルのうちの1つ以上で置換された-C5~6ヘテロアリール
;-C(R)=N-R;-CH(CF)NH(CHCH;-C(R
)NH(CHCH;-C(ハロゲン)=CH(CHCH;-SO-N
H(CHCH;-O(CO)-アリール;-O(CO)-ヘテロアリール;-N
;及び、-NH-ヘテロアリールからなる群から選択され、
は、-O-CR(CHCHまたは-N-CR(CH
であり、
とRとは、それらが結合した原子とともにC3~10の複素環式環を形成し、
は、-CNまたは-NH(CHCHであり、
は、-(CHCHまたは-O-(CHCHであり、
Xは、-Hまたは-CHであり、
各nは、独立して1、2、または3であり、
各mは、独立して0、1、2、または3である]
の化合物または化合物群またはこれらの薬学的に許容される塩に関する。
【0009】
別の態様によれば、本発明は、式(II):
【化2】

[式中、
Lは、リンカーであり、
Rは、-(CH-R;場合により、ハロゲン、-CF、-C1~6アルキル
、及び-O-C1~6アルキルのうちの1つ以上で置換された-C5~6ヘテロアリール
;-C(R)=N-R;-CH(CF)NH(CHCH;-C(R
)NH(CHCH;-C(ハロゲン)=CH(CHCH;-SO-N
H(CHCH;-O(CO)-アリール;-O(CO)-ヘテロアリール;-N
;及び、-NH-ヘテロアリールからなる群から選択され、
は、-O-CR(CHCHまたは、-N-CR(CH
CHであり、
とRとは、それらが結合した原子とともにC3~10の複素環式環を形成し、
は、-CNまたは-NH(CHCHであり、
は、-(CHCHまたは-O-(CHCHであり、
各nは、独立して1、2、または3であり、
各mは、独立して0、1、2、または3である]
の化合物または化合物群またはこれらの薬学的に許容される塩に関する。
【0010】
更なる態様によれば、本発明は、式(III):
T-L’-Ab (III)
[式中、
Lは、リンカー部分であり、
Tは、式(I’):
【化3】

(式中、
Rは、-(CH-R;場合により、ハロゲン、-CF、-C1~6アルキル
、及び-O-C1~6アルキルのうちの1つ以上で置換された-C5~6ヘテロアリール
;-C(R)=N-R;-CH(CF)NH(CHCH;-C(R
)NH(CHCH;-C(ハロゲン)=CH(CHCH;-SO-N
H(CHCH;-O(CO)-アリール;-O(CO)-ヘテロアリール;-N
;及び、-NH-ヘテロアリールからなる群から選択され、
は、-O-CR(CHCHまたは、-N-CR(CH
CHであり、
とRとは、それらが結合した原子とともにC3~10の複素環式環を形成し、
は、-CNまたは-NH(CHCHであり、
は、-(CHCHまたは-O-(CHCHであり、
各nは、独立して1、2、または3であり、
各mは、独立して0、1、2、または3である)
の基であり、
Abは、抗体である]
の化合物または化合物群またはこれらの薬学的に許容される塩に関する。
【0011】
更に別の態様によれば、本発明は、式(I)または式(III)の化合物の化合物もし
くは化合物群、及び/またはそれらの塩もしくは塩群の医薬組成物であって、治療有効量
の化合物(複数可)または塩(複数可)と、薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦
形剤とを含む、医薬組成物に関する。かかる医薬組成物は、治療有効量の当業者には周知
の別の化学療法剤を更に含むことができる。
【0012】
別の実施形態によれば、本発明は、がんを治療するための方法であって、治療を要する
患者に、治療有効量の式(I)または式(III)の化合物及び/またはそれらの塩もし
くは塩群を投与することを含み、前記量は、腫瘍細胞またはがん細胞を殺滅する、もしく
はその増殖を阻害するうえで有効である、方法に関する。
【0013】
更なる態様によれば、本発明は、式(III)の化合物を製造する方法であって、抗体
を式(II)の化合物と反応させることを含む方法に関する。
【0014】
別の態様によれば、本発明は、がんを治療するためのキットであって、本発明の医薬組
成物とその使用説明書とを含むキットに関する。
【0015】
本発明の他の目的は、以下の明細書及び特許請求の範囲を読むことで当業者にとって明
らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】異なる用量の化合物10、化合物11、Kadcyla(登録商標)、または溶媒のみによる処置後の雌性BALB/c系ヌードマウスにおけるNCI-N87由来腫瘍の腫瘍体積測定値の平均±SEM(平均の標準誤差)を示す。黒の矢印は、マウスに試験物を注射した日を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願は、特定の方法または特定の組成物に限定されず、したがって、広く異なりうる
。本出願の範囲は付属の特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ限定されるもの
であるので、本明細書で使用される用語は、あくまで特定の実施形態を説明することを目
的としたものであり、限定を目的としたものではない点も理解されるべきである。
【0018】
本発明は、抗体薬物複合体(ADC)中の細胞毒性小分子として有用な新規なタイラン
スタチン類似体化合物、及びADCとの関連で有用な、薬物リンカー化合物としても知ら
れる毒素リンカー化合物に関する。本発明は更に、これらの細胞毒性化合物及びADCを
含む組成物、ならびにがんをはじめとする病的状態を治療するためにこれらの毒素及びA
DCを使用する方法に関する。
【0019】
定義及び略語
別段の定義がなされないかぎり、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用
語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有
するものとする。本明細書に記載されるものと同様または同等の任意の方法及び材料を、
本出願の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法及び材料につい
て以下に記載する。
【0020】
本明細書で使用するところの「抗体」(または「Ab」もしくは「AB」)なる用語は
、免疫グロブリン(Ig)分子を含む。特定の実施形態では、抗体は、4本のペプチド鎖
、すなわち、ジスルフィド結合によって相互接続された2本の重鎖(HC)と2本の軽鎖
(LC)からなる完全長抗体である。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(HCVRまたは
VH)と重鎖定常領域(CH)とからなる。重鎖定常領域は、CH1、CH2、およびC
H3の3つのドメインで構成される。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(LCVRまたは
VL)と、1個のドメインCLからなる軽鎖定常領域とからなる。VH及びVL領域は、
相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域に更に分けることができる。これらの領
域の間には、より保存されたフレームワーク領域(FR)がある。各VHおよびVLは、
アミノ末端からカルボキシ末端へとFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CD
R3、およびFR4の順序で配列された3つのCDRと4つのFRとから構成されている
【0021】
本明細書における「抗体」なる用語は広義の意味で使用され、具体的には、所望の生物
学的活性を示す限りにおいて、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量
体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体フラグメントを含む(Mil
ler,et al.,J.Immunology,2003,170:4854-48
61)。抗体は、マウス、ヒト、ヒト化、キメラ、または他の種に由来するものであって
よい。抗体は、特定の抗原を認識して結合することが可能な、免疫系によって産生される
タンパク質である(Janeway,C.,et al.,Immuno Biolog
y,5th Ed.,2001,Garland Publishing,New Yo
rk)。標的抗原は、多くの抗体上のCDRによって認識される、エピトープとも呼ばれ
る多くの結合部位を一般的に有している。異なるエピトープに特異的に結合するそれぞれ
の抗体は、異なる構造を有している。したがって、1つの抗原は、複数の対応する抗体を
有しうる。抗体は、完全長の免疫グロブリン分子、または完全長の免疫グロブリン分子の
免疫学的活性部分、すなわち、対象とする標的の抗原またはその部分と免疫特異的に結合
する抗原結合部位を含む分子を含み、かかる標的には、これらに限定されるものではない
が、がん細胞または自己免疫疾患に関連する自己免疫抗体を産生する細胞が含まれる。本
明細書に開示される免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子のいずれのタイプ(例えば、
IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2
、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)、またはサブクラスのものであってもよ
い。免疫グロブリンはいずれの種に由来するものであってもよい。しかしながら、一態様
では、免疫グロブリンは、ヒト、マウス、またはウサギ由来のものである。
【0022】
「抗体フラグメント」は、完全長抗体の一部、一般的には、その抗原結合領域又は可変
領域を含む。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvフ
ラグメント;ダイアボディ、線状抗体、ミニボディ(Olafsen et al.,
Protein Eng.Design Sel.,2004,17(4):315-3
23)、Fab発現ライブラリーによって生産されるフラグメント、抗イディオタイプ(
抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域)、及び癌細胞抗原、ウイルス抗原又は微生物抗
原、一本鎖抗体分子に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されるいずれかのエピトー
プ結合フラグメント;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
【0023】
特定の実施形態では、抗体は、IgG、IgA、IgE、IgD、またはIgMである
。特定の実施形態では、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4、ま
たはIgA1、もしくはIgA2である。
【0024】
特定の実施形態では、細胞結合剤は、抗原結合に重要な配列を抗体と共有する、モノク
ローナル抗体の「抗原結合部分」である(例えば、本明細書に参照により援用するところ
の米国特許第7,342,110号及び同第7,557,189号に記載されるhuMy
9-6またはその関連抗体)。
【0025】
本明細書で使用するところの抗体の「抗原結合部分」(または、本明細書では「抗体フ
ラグメント」と互換的に呼ぶ場合もある)なる用語には、抗原に特異的に結合する能力を
維持した抗体の1つ以上のフラグメントが含まれる。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体
の特定のフラグメントによって行われうることが示されている。抗体の「抗原結合部分」
なる用語に包含される結合フラグメントの例としては、(これらに限定されるものではな
いが、)(i)Fabフラグメント(VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価
のフラグメント(例えば、パパインで消化した抗体は、2個の抗原結合Fabフラグメン
トと、抗原に結合しない1個のFcフラグメントの3つのフラグメントを生じる))、(
ii)F(ab’)フラグメント(ヒンジ領域においてジスルフィド結合によって連結
された2個のFabフラグメントからなる二価のフラグメント(例えば、ペプシンで消化
した抗体は、二価の抗原結合F(ab’)フラグメントと、抗原に結合しないpFc’
フラグメントの2個のフラグメントを生じる)及びその関連するF(ab’)一価単位)
、(iii)VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント(すなわち、Fabに含
まれる重鎖の部分)、(iv)抗体の一本のアームのVL及びVHドメインからなるFv
フラグメント、及び関連するジスルフィド結合されたFv、(v)VHドメインからなる
dAb(ドメイン抗体)またはsdAb(シングルドメイン抗体)フラグメント、ならび
に(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。特定の実施形態では、抗
原結合部分は、sdAb(シングルドメイン抗体)である。
【0026】
特定の実施形態では、抗原結合部分には、天然に存在する抗体には見られない要素また
は配列以外に、抗原に特異的に結合する能力を維持した抗体の1つ以上のフラグメントを
更に含む特定の操作された、または組換え誘導体(または「誘導体抗体」)も含まれる。
【0027】
例えば、Fvフラグメントの2個のドメインVLとVHは別々の遺伝子によってコード
されているが、これらのドメインは、標準的な組換え法を用い、VL領域とVH領域とが
連結されて1価の分子を形成した1本のタンパク質鎖として生成されることを可能とする
合成リンカーにより、連結することができる(一本鎖Fv(scFv)として知られる)
。本明細書に記載されるすべての実施形態において、scFVのN末端は、VHドメイン
(すなわち、N-VH-VL-C)またはVLドメイン(すなわち、N-VL-VH-C
)であってよい。
【0028】
2個のscFVを連結することによって二価(divalentまたはbivalen
t)の一本鎖可変フラグメント(di-scFvs、bi-scFvs)を作製すること
ができる。これにより、2個のVH領域と2個のVL領域を有する一本のペプチド鎖を生
じ、タンデムscFv(tascFv)が与えられる。tri-scFvのような更なる
タンデムリピートを、3つ以上のscFvを、頭部と尾部とをつなぐように連結すること
によって同様に作製することができる。
【0029】
特定の実施形態では、scFvを2個の可変領域が互いに対して折り畳まれるには短す
ぎる(アミノ酸約5個)リンカーペプチドで連結することによってscFv同士を二量体
化させ、ダイアボディを形成させることができる。ダイアボディは、二重特異性または単
一特異性でありうる。ダイアボディは、対応するscFvと比較して最大で40倍、より
低い解離定数を有することが示されており、したがって、標的に対してより高い親和性を
有する。
【0030】
更により短いリンカー(アミノ酸1個または2個)によって、トリマー、またはいわゆ
るトリアボディまたはトリボディが形成される。同様にテトラボディも作製されている。
これらは、標的に対してダイアボディよりも更に高い親和性を示す。ダイアボディ、トリ
アボディ、及びテトラボディは、まとめて「AVIBODY(商標)」細胞結合剤(また
は、単に「AVIBODY」)と呼ばれる場合もある。つまり、2個、3個、または4個
の標的結合領域(TBR)を有するAVIBODYは、ダイアボディ、トリアボディ、及
びテトラボディとして一般的に知られる。詳細については例えば、それらの教示内容の全
体を本明細書に参照により援用するところの米国特許出願公開第2008/015258
6号及び同第2012/0171115号を参照されたい。
【0031】
これらのフォーマットはいずれも、2種以上の異なる抗原に対する特異性を有する可変
領域で構成することができ、その場合、これらは二重特異性抗体または多重特異性抗体の
種類である。例えば、特定の二重特異性のタンデムなdi-scFvは、二重特異性T細
胞結合体(bi-specific T-cell engager)(BiTE)とし
て知られている。特定の実施形態では、タンデムscFvまたはダイアボディ/トリアボ
ディ/テトラボディ内のそれぞれのscFvは、同じまたは異なる結合特異性を有するこ
とができ、それぞれがN末端VHまたはN末端VLを独立して有することができる。
【0032】
Fcabは、抗体のFc定常領域から作製された抗体フラグメントである。Fcabは
可溶性タンパク質として発現させることができ、または、IgGなどの完全長抗体内に操
作により戻してmAb2を作製することができる。mAb2は、正常なFc領域の代わり
にFcabを有する完全長抗体である。これらの更なる結合部位により、mAb2二重特
異性モノクローナル抗体は、2個の異なる標的に同時に結合することができる。
【0033】
天然の抗体は、2個の同じ抗原結合ドメインを発現している点で単一特異性であるが二
価である。これに対して、特定の実施形態では、特定の操作された抗体誘導体は、それぞ
れが異なる標的特異性を有する2個以上の異なる抗原結合ドメインを有する二重または多
重特異性分子である。二重特異性抗体は、それぞれが異なる特異性を有する2個の抗体産
生細胞を融合することによって作製することができる。これらの「クアドローマ」(qu
adroma)は、2本の異なる軽鎖と2本の異なる重鎖とがクアドローマ内で複数の形
態で自由に組換えを生じたために、複数の分子種を生じた。それ以来、二重特異性のFa
b、scFv及び完全長mAbが、様々な技術を用いて作製されている(上記を参照)。
【0034】
二重可変ドメイン免疫グロブリン(DVD-Ig)タンパク質は、2つの抗原/エピト
ープを同時に標的とする二重特異性IgGの一種である。この分子は、従来のIgGと同
様の構成でFc領域と各定常領域を有している。しかしながら、DVD-Igタンパク質
は、分子の各アームが2個の可変ドメイン(VD)を含んでいる点で特徴的である。アー
ム内のVD同士はタンデムに連結され、異なる結合特異性を有することができる。
【0035】
三重特異性抗体誘導体分子も、例えば、2個の異なるFabと1個のFcを有する二重
特異性抗体を発現させることによって作製することができる。1つの例として、BiUI
Iと呼ばれるマウスIgG2a抗Ep-CAM,ラットIgG2b抗CD3クアドローマ
があり、これは、Ep-CAMを発現する腫瘍細胞、CD3を発現するT細胞、及びFC
δRIを発現するマクロファージを共局在化させ、それにより免疫細胞の共刺激機能及び
抗腫瘍機能を増強させると考えられている。
【0036】
プロボディは、正常組織中では不活性な状態であるが、疾患微小環境中で特異的に活性
化される(例えば、疾患微小環境中に多く存在する、または特異的なプロテアーゼによる
プロテアーゼ切断によって)完全な組換えのマスキングされたモノクローナル抗体である
。同様なマスキング法を、本明細書中に記載される抗体またはその抗原結合部分のいずれ
にも使用することができる。
【0037】
イントラボディは、細胞内で機能して細胞内抗原に結合するように、細胞内で局在化す
るように改変された抗体である。イントラボディは、細胞質に留まってもよく、または核
局在化シグナルを有してもよく、またはERにターゲティングするためのKDEL配列を
有してもよい。イントラボディは、一本鎖抗体(scFv)であってもよく、超安定性を
有する改変された免疫グロブリンVLドメインであってもよく、より還元性の高い細胞内
環境に対して耐性のある選択された抗体であってもよく、またはマルトース結合タンパク
質もしくは他の安定した細胞内タンパク質との融合タンパク質として発現させてもよい。
こうした最適化は、イントラボディの安定性及び構造を向上させるものであり、本明細書
中に記載される抗体またはその抗原結合部分のいずれに対しても広く応用できる。
【0038】
本発明の抗原結合部分または誘導体抗体は、それらが由来する/作製される元となる抗
体と比較して、実質的に同じまたは同一の(1)軽鎖及び/または重鎖のCDR3領域、
(2)軽鎖及び/または重鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3領域、または(3)軽
鎖及び/または重鎖領域を有してもよい。これらの領域内の配列は、CDR領域内の置換
を含む、保存的アミノ酸置換を有してもよい。特定の実施形態では、保存的置換は1、2
、3、4、または5つ以下である。別の実施形態では、抗原結合部分または誘導体抗体は
、それらが由来する/作製される元となる抗体と少なくとも約90%、95%、99%、
または100%同一である軽鎖領域及び/または重鎖領域を有する。これらの抗原結合部
分または誘導体抗体は、抗体と比較して、標的抗原に対して実質的に同じ結合特異性及び
/または親和性を有することができる。特定の実施形態では、抗原結合部分または誘導体
抗体のK及び/またはkoff値は、本明細書中に記載される抗体の、10倍(高いま
たは低い)、5倍(高いまたは低い)、3倍(高いまたは低い)、または2倍(高いまた
は低い)の範囲内のものである。
【0039】
特定の実施形態では、抗原結合部分または誘導体抗体は、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、
またはキメラ抗体に由来する/これらから操作により作製することができ、当該分野で認
識される任意の方法に従って作製することができる。
【0040】
本明細書で使用するところの「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均質な抗体
の集団から得られる抗体を指す(すなわち、集団を構成する個々の抗体は、微量に存在し
うる可能性のある自然発生変異を例外として同一である)。モノクローナル抗体は高度に
特異的であり、単一の抗原部位を標的としている。「モノクローナル」なる修飾語は、実
質的に均質な抗体の集団から得られたものであるという抗体の特性を示し、いずれかの特
定の方法による抗体の産生を要するものとして理解されるべきではない。
【0041】
「モノクローナル抗体」なる用語は、具体的には、重鎖及び/または軽鎖の一部が、特
定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する
配列と同一または相同である一方で、鎖(複数可)の残りの部分は、別の種に由来するか
または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同
であるような「キメラ」抗体、ならびに所望の生物学的活性を示す限り、かかる抗体のフ
ラグメントを含む。
【0042】
非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する
最小限の配列を含んだキメラ抗体である。多くの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超
可変領域由来の残基が、所望の特異性、親和性、及び容量を有する、マウス、ラット、ウ
サギ、または非ヒト霊長類などのヒト以外の種の超可変領域(ドナー抗体)に由来する残
基で置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合により、ヒト免疫
グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基で置換される。更
に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、ドナー抗体にも見られない残基を含んでもよ
い。これらの改変は、抗体の性能を更に向上させるために行われる。一般にヒト化抗体は
、超可変ループのすべてまたはほぼすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR
のすべてまたはほぼすべてがヒト免疫グロブリン配列のものであるような、少なくとも1
つ、一般的には2つの可変ドメインのほぼすべてを含む。ヒト化抗体は、場合により、免
疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、一般的にはヒト免疫グロブリンのもの
を更に含む。
【0043】
「システイン操作抗体」とは、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基に置換された抗
体である。本開示によれば、システイン操作抗体のチオール基(複数可)を、式(I)の
タイランスタチン類似体毒素または式(II)の毒素リンカー化合物に結合させて抗体薬
物複合体(ADC)化合物を形成することができる。特定の化合物では、置換される残基
は抗体のアクセス可能な部位にある。これらの残基をシステインに置換することにより、
反応性チオール基が抗体のアクセス可能な部位に配置され、本明細書で更に述べるように
、抗体を薬物部分と結合させてADCを形成することができる。例えば、システイン操作
抗体は、軽鎖または重鎖内に非システイン天然残基のシステインへの単一変異を有する抗
体であってよい(軽鎖では例えば、カバット番号付けに従ってG64C、K149Cまた
はR142C、重鎖ではカバット番号付けに従ってD101CまたはV184CまたはT
205C)。特定の例では、システイン操作抗体は、各完全長抗体(すなわち、2本の重
鎖と2本の軽鎖を有する抗体)が2個の操作されたシステイン残基を有するように、重鎖
または軽鎖のいずれかに単一のシステイン変異を有する。システイン操作抗体及びその調
製方法は、米国特許出願公開第2012/0121615号、米国特許第7,521,5
41号;Shen,B.et al.,Nat.Biotechnol.,2012,3
0(2):184-189;Sukumaran,et al.,Pharm Res.,
2015,32:1884-1893に開示される (本明細書にこれらの全容を参照に
より援用する)。
【0044】
「治療有効量」なる用語は、哺乳動物の疾患または障害を治療するうえで有効な薬物の
量を指す。がんの場合では、薬物の治療有効量は、がん細胞の数を減少させ、腫瘍サイズ
を縮小し、がん細胞の周辺臓器への浸潤を阻止し(すなわち、一定程度遅らせ、好ましく
は止める)、腫瘍の転移を阻止し(すなわち、一定程度遅らせ、好ましくは止める)、腫
瘍増殖を一定程度阻害し、かつ/またはがんに関連する症状の1つ以上を一定程度緩和す
ることができる。薬物は、存在するがん細胞の増殖を阻止し、かつ/またはがん細胞を殺
滅することができるものであれば、細胞増殖抑制性及び/または細胞毒性でありうる。が
ん治療において、有効性は、例えば、疾患進行までの時間(TTP)を評価し、かつ/ま
たは反応率(RR)を求めることによって測定することができる。治療有効量は、化合物
、治療される疾患または障害の重症度、ならびに治療される患者の年齢、体重などに応じ
て異なる。
【0045】
「相当量」なる用語は、集団、混合物、または試料の大半、すなわち、50%超のこと
を指す。
【0046】
「細胞毒性活性」または「細胞毒性」なる用語は、ADCまたはADCの細胞内代謝産
物の細胞殺滅、細胞増殖抑制、または抗増殖作用を指す。細胞毒性活性は、半数の細胞が
生存する単位体積当たりの濃度(モル濃度または質量濃度)であるIC50値として表す
ことができる。
【0047】
「疾患」とは、薬物または抗体薬物複合体による治療が効果を示す任意の状態である。
これには、哺乳動物を問題となる疾患に罹患しやすくする病的状態を含む慢性及び急性障
害または疾患が含まれる。本明細書で治療される疾患の非限定的な例としては、良性及び
悪性のがん、白血病及びリンパの悪性疾患、神経性、グリア性、アストロサイト性、視床
下部性、ならびに他の腺性、マクロファージ性、上皮性、間質性、及び割腔性疾患、なら
びに炎症性、血管新生性、及び免疫性疾患が挙げられる。
【0048】
「がん」及び「がん性」なる用語は、調節されない細胞増殖によって一般的に特徴付け
られる、哺乳動物における病的状態または疾患を指す、またはこれを述べて言う。「腫瘍
」は、1つ以上のがん性細胞を含む。
【0049】
「患者」なる用語は、哺乳動物、好ましくはヒトを指す。
【0050】
「治療する」または「治療」なる用語は、文脈上そうでない旨が示されない限り、再発
を防止するための治療処置及び予防措置を指し、その目的は、がんの発生または転移など
の望ましくない生理学的変化または疾患を阻止または遅延(軽減)することにある。本発
明の目的では、有益なまたは望ましい臨床成績としては、これらに限定されるものではな
いが、検出可能であるか検出不能であるかによらず、症状の緩和、疾患の程度の減弱、疾
患の安定した(すなわち悪化しない)状態、疾患の進行の遅延または鈍化、疾患の状態の
改善または緩和及び寛解(部分または完全)が挙げられる。「治療」は、治療を受けなか
った場合に期待される生存期間と比較して生存期間が延びることも意味する。治療を要す
る対象としては、状態または疾患を既に有している者ばかりでなく、状態または疾患に罹
りやすい者も含まれる。
【0051】
がんとの関連において、「治療する」なる用語には、腫瘍細胞、がん細胞、または腫瘍
の増殖を阻害すること、腫瘍細胞またはがん細胞の複製を阻害すること、腫瘍負荷全体を
低減することまたはがん性細胞の数を減少させること、及び、疾患に関連する1つ以上の
症状を改善すること、のいずれかまたはすべてが含まれる。
【0052】
自己免疫疾患との関連において、「治療する」なる用語には、これらに限定されるもの
ではないが、自己免疫抗体を産生する細胞を含む、自己免疫疾患に関連した細胞の増殖を
阻害すること、自己免疫-抗体負荷を低減すること、及び、自己免疫疾患の1つ以上の症
状を改善すること、のいずれかまたはすべてが含まれる。
【0053】
感染症との関連において、「治療する」なる用語には、感染症を引き起こす病原体の増
殖、分裂、または複製を阻害すること、及び感染症の1つ以上の症状を改善すること、の
いずれかまたはすべてが含まれる。
【0054】
特に断らない限り、それ自体または別の語の一部としての「アルキル」なる用語は、示
された数の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素のことを指す(例えば、
「C~C」アルキルは、1~8個の炭素原子を有するアルキル基を指す)。炭素原子
の数が示されていない場合、アルキル基は、1~8個の炭素原子、好ましくは1~6個の
炭素原子を有する。「アルキル」なる用語は、任意の飽和度またはレベルを有する基、す
なわち、一重炭素-炭素結合のみを有する基、1つ以上の二重炭素-炭素結合を有する基
、1つ以上の三重炭素-炭素結合を有する基、及び一重、二重、三重炭素-炭素結合の組
み合わせを有する基を含むことを具体的には意図している。特定の飽和度が想定される場
合には、「アルカニル」、「アルケニル」、及び「アルキニル」のような表現が用いられ
る。代表的な直鎖のC~Cアルキルとしては、これらに限定されるものではないが、
メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチ
ル、及び、n-オクチルが挙げられ、分枝鎖のC~Cアルキルとしては、これらに限
定されるものではないが、-イソプロピル、-sec-ブチル, -イソブルチル、-t
ert-ブチル、-イソペンチル、及び-2-メチルブチルが挙げられ、不飽和C~C
アルキルとしては、これらに限定されるものではないが、ビニル、アリル、1-ブテニ
ル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1
-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、1-ヘキシ
ル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチ
ニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル及び3-メチル-1-ブチニルが挙げられる。
【0055】
特に断らない限り、それ自体または別の語の一部としての「アルキレン」なる用語は、
記載された数の炭素原子、一般的には1~18個の炭素原子を有し、親アルカンの同じま
たは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子が外れることによって生じる2個の一価の
基中心を有する、飽和した、分枝鎖もしくは直鎖または環状の炭化水素基のことを指す。
一般的なアルキレン基としては、これらに限定されるものではないが、メチレン (-C
-)、1,2-エチレン(-CHCH-)、1,3-プロピレン(-CHCH
CH-)、1,4-ブチレン(-CHCHCHCH-)などが挙げられる。
「C~C10」直鎖アルキレンは、式-(CH1~10-の直鎖の飽和炭化水素基
である。C~C10アルキレンの例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチ
レン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、及びデカレンが挙
げられる。本発明の特定の実施形態では、アルキレンは、1~9個、1~8個、1~7個
、及び1~6個の炭素原子を有する。
【0056】
本明細書で使用するところの「化合物」または「化合物群」なる用語は、タイランスタ
チン類似体を指し、本明細書に開示される一般式に包含されるすべての特定の化合物を含
む。化合物はその化学構造及び/または化学名によって同定することができる。化学構造
と化学名とが矛盾する場合、化学構造がその化合物が何であるかを決定する。化合物は、
1つ以上のキラル中心及び/または二重結合を有することができ、したがって、二重結合
異性体(すなわち、幾何異性体)、エナンチオマーまたはジアステレオマーなどの立体異
性体として存在しうる。したがって、キラル中心における立体化学が指定されない場合、
本明細書に示される化学構造は、立体異性体的に純粋な形態(例えば、幾何的純粋、エナ
ンチオマー純粋、またはジアステレオマー純粋)ならびにエナンチオマー混合物及び立体
異性体混合物を含むこれらのキラル中心におけるすべての可能な形態を包含する。エナン
チオマー混合物及び立体異性体混合物は、当業者には周知の分離法またはキラル合成法を
用いてそれらの構成エナンチオマーまたは立体異性体に分割することができる。化合物は
、エノール型、ケト型、及びそれらの混合物を含むいくつかの互変異性体として存在する
場合もある。したがって、本明細書に示される化学構造は、示される化合物のすべての可
能な互変異性体を包含するものである。化合物はまた、1個以上の原子が通常自然界に見
られる原子質量と異なる原子質量を有する同位体標識された化合物も含む。化合物に取り
込ませることができる同位体の例としては、これらに限定されるものではないが、H、
H、13C、14C、15N、17O、及び18Oが挙げられる。化合物は、非溶媒和
型としてだけでなく、水和型を含む溶媒和型として、また、Nオキシドとして存在しても
よい。一般的に、水和型、溶媒和型、及びNオキシド型は、本開示の範囲内に含まれる。
特定の化合物は、複数の結晶または非晶質形態として存在しうる。一般的に、すべての物
理的形態は本明細書で想到される使用において等価であり、本開示の範囲内に含まれるも
のとする。更に、化合物の部分構造が示される場合、括弧は、その部分構造の分子の残り
の部分との結合点を示すことを理解すべきである。
【0057】
特に断らない限り、それ自体または別の語との組み合わせとしての「ヘテロアルキル」
なる用語は、特に断らない限り、記載される数の炭素原子と、O、N、Si、S及び/ま
たはPからなる群から選択される1~3個のヘテロ原子とからなる、完全に飽和している
かまたは1~3の不飽和度を有する、安定な直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素、またはそれ
らの組み合わせを意味し、場合により、窒素及び硫黄原子が酸化され、窒素ヘテロ原子が
場合により四級化されてもよい。ヘテロ原子(複数可)O、N、及びSは、ヘテロアルキ
ル基のいずれの内部の位置に配置されてもよい。ヘテロ原子Siは、アルキル基が分子の
残りの部分に結合される位置を含むヘテロアルキル基の任意の位置に配置することができ
る。2個以下のヘテロ原子が連続してもよい。
【0058】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを指す。
【0059】
「ハロ(C1~6アルキル)」は、1~3個または1~2個のハロ基で置換されたC
~6アルキル基を指す(C1~6アルキル及びハロは本明細書に定義されるとおりである
)。かかる用語には、例えば、CFが含まれる。
【0060】
「エポキシ」、または「エポキシ基」、または「エポキシ残基」なる用語は、一重結合
によって連結された炭素原子と1個の酸素原子とからなる3員環を指す。したがって、「
エポキシド」なる用語は、少なくとも1つの定義されたエポキシ基を含む化合物を指す。
【0061】
特に断らない限り、それ自体または別の語の一部としての「アリール」なる用語は、親
芳香族環系の1個の炭素原子から1個の水素原子が外れることによって生じる、6~20
個の炭素原子、好ましくは、6~14個の炭素原子を有する、置換または非置換の一価の
芳香族炭化水素基を意味する。一般的なアリール基としては、これらに限定されるもので
はないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリセン、アントラセン、
アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、
ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、
ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエ
ン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、
ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタ
レンなどから誘導される基が挙げられる。好ましくは、アリール基は6~20個、より好
ましくは6~12個の炭素原子を含む。置換芳香族基(例えば、アリール基)は、1個以
上、好ましくは1~5個の以下の基で置換されてよい。すなわち、C~Cアルキル、
-O-(C~Cアルキル)、-C(O)R’、-OC(O)R’、-C(O)OR、
-C(O)NH、-C(O)NHR’、-C(O)N(R’)、-NHC(O)R’
、-S(O)R’、-S(O)R’、-OH、ハロゲン、-NH(R’)、-N(R’
、及び-CN(ただし、各R’は-H、C~Cアルキル、C~Cヘテロアル
キル、及びアリールから独立して選択される)。いくつかの実施形態では、置換芳香族基
は、-NHC(=NH)NH、-NHCONH、-S(=O)2R’及び-SR’の
うちの1つ以上を更に含むことができる。
【0062】
本明細書で使用するところの「ヘテロアリール」なる用語は、窒素、酸素、及び硫黄か
ら選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、少なくとも1個の炭素原子を含む、5
~14員、例えば5~6員の芳香族複素環式環を指す。ヘテロアリールは、単環式、二環
式、または三環式環系であってよい。代表的ヘテロアリールとしては、トリアゾリル、テ
トラゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベ
ンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾ
リル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソオキサ
ゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリ
アジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ピリミジニル、アゼピニル、オ
キセピニル、及びキノキサリニルがある。ヘテロアリールは場合により置換される。一般
的な置換基としては、これらに限定されるものではないが、-X、-R、-O-、-OR
、-SR、-S-、-NR、-NR、=NR、-CX、-CN、-OCN、-NR
C(=O)R、-C(=O)NR、-SOH、-S(=O)R、-OS(=O)
OR、-S(=O)NR、-S(=O)R、-OP(=O)(OR)、-P(=O)
(OR)、PO、-C(=O)R、-C(=O)X、-C(=S)R、-CO
R、-CO-、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=S)SR、-C(=O
)NR、-C(=S)NR、-C(=NR)NR、C~C20ヘテロアルキル、
~C20アリール、C~Cヘテロシクリル、保護基またはプロドラッグ部分(た
だし、各Xは、独立してハロゲン-F、-Cl、-Br、または-Iであり、各Rは、独
立して-HまたはC~Cアルキルである)が挙げられる。
【0063】
「ヒドロキシ」なる用語は-OH基を指す。
【0064】
「置換アルキル」なる用語は、1個以上の水素原子がそれぞれ独立して置換基で置換され
たアルキルを意味する。一般的な置換基としては、これらに限定されるものではないが、
-X、-R、-O-、-OR、-SR、-S-、-NR、-NR、=NR、-CX
、-CN、-OCN、=N、-NRC(=O)R、-C(=O)NR、-SO-、
-SOH、-S(=O)R、-OS(=O)OR、-S(=O)NR、-S(=
O)R、-OP(=O)(OR)、-P(=O)(OR)、-PO -、PO
、-AsO、-C(=O)R、-C(=O)X、-C(=S)R、-COR、
-CO、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=S)SR、-C(=O)NR
、-C(=S)NR、-C(=NR)NR、C~C20ヘテロアルキル、C
20アリール、C~Cヘテロシクリル、保護基またはプロドラッグ部分(ただし、
各Xは、独立してハロゲン-F、-Cl、-Br、または-Iであり、各Rは、独立して
-HまたはC~Cアルキルである)が挙げられる。ハロゲンで置換された置換アルキ
ルは、本明細書ではハロアルキルと呼ばれる場合もある。本明細書に記載されるアリール
、アルキレン、ヘテロアルキレン、及びアルキルまたはアルキレン部分を含むもしくは含
まない他の基も、同様に置換されてよい。
【0065】
特に断らない限り、それ自体または別の語の一部としての「アラルキル」は、上記で定
義したアリール基で置換された上記で定義したアルキル基を意味する。
【0066】
特に断らない限り、それ自体または別の語の一部としての「C~Cヘテロシクリル
」は、3~8個の炭素原子(環員とも呼ばれる)と、N、O、P、またはSから独立して
選択される1~4個のヘテロ原子環員とを有し、親環系の環原子から1個の水素原子が外
れることにより生じる、一価または二価の置換または非置換の芳香族または非芳香族単環
式または二環式環系のことを指す。同様に、特に断らない限り、それ自体または別の語の
一部としての「C~C10ヘテロシクリル」は、3~10個の炭素原子(環員とも呼ば
れる)と、N、O、P、またはSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子環員とを
有し、親環系の環原子から1個の水素原子が外れることにより生じる、一価または二価の
置換または非置換の芳香族または非芳香族単環式または二環式環系のことを指す。ヘテロ
シクリル内の1つ以上のN、CまたはS原子が酸化されてもよい。ヘテロ原子を含む環は
、芳香族でも非芳香族でもよい。10個よりも多い炭素を有するヘテロシクリル基、例え
ば、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、また
は20個の炭素を有する環または環系も可能であり、「ヘテロシクリル」なる用語が特定
の炭素の数に言及せずに用いられている場合には、C~C10ヘテロシクリルとともに
包含される。同様に、3個よりも少ない炭素を有するヘテロシクリル基、例えば、1個ま
たは2個の炭素を有する環が可能であり、「ヘテロシクリル」なる用語が特定の炭素の数
に言及せずに用いられている場合には包含される。「ヘテロシクロアルキル」なる用語は
、すべての炭素原子が飽和した(すなわち、水素または下記に示した別の置換基に結合さ
れ、二重結合も三重結合も含まない)非芳香族ヘテロシクリル環または環系を指す。特定
の実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は一般的に3~5員を有し、1~2個のヘテロ
原子を有する。特定の実施形態では、ヘテロシクロアルキルはエポキシであってよい。
【0067】
特に断らない限り、ヘテロシクリルは、任意のヘテロ原子または炭素原子においてその
ペンダント基に結合されており、これにより安定した構造を与える。C~Cヘテロシ
クリルの代表例としては、これらに限定されるものではないが、テトラヒドロフラニル、
オキセタニル、ピラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフ
ェン、インドリル、ベンゾピラゾリル、ピロリル、チオフェニル(チオペン)、フラニル
、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、キノリニル、ピリミジニル、
ピリジニル、ピリドニル、ピラジニル、ピリダジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリ
ル、及びテトラゾリルが挙げられる。C~Cヘテロシクリル、またはC~C10
テロシクリルは、これらに限定されるものではないが、C~Cアルキル、C~C
ヘテロアルキル、-OR、アリール、-C(O)R’、-OC(O)R’、-C(O)O
R、-C(O)NH、-C(O)NHR’、-C(O)N(R’)、-NHC(O)
R’、-S(=O)R’、-S(O)R’、ハロゲン、-NH(R’)、-N(R’)
及び-CNを含む最大7個の基で置換されてもよい(ただし、各R’は、-H、C
アルキル、C~Cヘテロアルキル及びアリールから独立して選択される)。特定
の実施形態では、置換ヘテロシクリルは、-NHC(=NH)NH、-NHCONH
、-S(=O)R’及び-SR’のうちの1つ以上を有してもよい。
【0068】
特に断らない限り、それ自体または別の語の一部としての「ヘテロアラルキル」は、上
記で定義した芳香族ヘテロシクリル基で置換された上記で定義したアルキル基を意味する
【0069】
特に断らない限り、それ自体または別の語の一部としての「C~Cカルボシクリル
」は、親環系の環原子から1個の水素原子または2個の水素原子が外れることで生じる、
3員、4員、5員、6員、7員または8員の一価または二価の置換または非置換の飽和ま
たは不飽和の非芳香族単環式または二環式の炭素環式環である。同様に、特に断らない限
り、それ自体または別の語の一部としての「C~C10カルボシクリル」は、親環系の
環原子から1個の水素原子が外れることで生じる、3員、4員、5員、6員、7員、8員
、9員または10員の一価または二価の置換または非置換の飽和または不飽和の非芳香族
単環式または二環式の炭素環式環である。代表的なC~Cカルボシクリルとしては、
これらに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、
シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、1,3-シクロヘキサジエ
ニル、1,4-シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、1,3-シクロヘプタジエニル
、1,3,5-シクロヘプタトリエニル、シクロオクチル、シクロオクタジエニル、ビシ
クロ(111)ペンタン、及びビシクロ(222)オクタンが挙げられる。C~C
ルボシクリル基、またはC~C10カルボシクリル基は、非置換であるか、またはこれ
らに限定されるものではないが、C~Cアルキル、C~Cヘテロアルキル、-O
R’、アリール、-C(O)R’、-OC(O)R’、-C(O)OR、-C(O)NH
、-C(O)NHR’、-C(O)N(R’)、-NHC(O)R’、-S(=O)
R’、-S(=O)R’、-OH、-ハロゲン、-NH(R’)、-N(R’)及び
-CNを含む最大7個の基で置換されてもよい(ただし、各R’は、-H、C~C
ルキル、C~Cヘテロアルキル及びアリールから独立して選択される)。10個より
も多い炭素を有するカルボシクリル基、例えば、11個、12個、13個、14個、15
個、16個、17個、18個、19個、または20個の炭素を有する環系も可能であり、
「カルボシクリル」なる用語が特定の炭素の数に言及せずに用いられている場合には、C
~C10カルボシクリルとともに包含される。
【0070】
「シクロアルキル」なる用語は、すべての炭素原子が飽和した(すなわち、水素または
下記に示した別の置換基に結合され、二重結合も三重結合も含まない)カルボシクリル環
または環系を指す。
【0071】
「キラル」なる用語は、鏡像関係の相手と重ね合わせることができない性質を有する分
子のことを指し、「アキラル」なる用語は鏡像関係の相手と重ね合わせることができる分
子のことを指す。
【0072】
「立体異性体」なる用語は、同じ化学組成を有するが、原子又は基の空間内での配置に
関して異なる化合物を指す。
【0073】
「ジアステレオマー」とは、分子同士が互いの鏡像とならないような2個以上のキラル
中心を有する立体異性体のことを指す。ジアステレオマー同士は、例えば、融点、沸点、
スペクトル特性、及び反応性などの物理的性質が異なる。ジアステレオマーの混合物は、
電気泳動およびクロマトグラフィーなどの高分解能の分析手法によって分離することがで
きる。
【0074】
「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」なる用語は、光学活性を有さない、2種類のエナン
チオマー種の等モル混合物のことを指す。
【0075】
アミノ酸の「誘導体」には、例えば、アルキル化、グリコシル化、アセチル化、リン酸
化などによる親アミノ酸の共有結合による置換または修飾を有するアミノ酸を含む。「誘
導体」の定義には、例えば、置換された結合及び当該技術分野では周知の他の修飾を有す
るアミノ酸の1つ以上の類似体が更に含まれる。
【0076】
「天然アミノ酸」とは、文脈上そうでない旨が示されない限り、アルギニン、グルタミ
ン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リシン、グリシン、アラニン、ヒス
チジン、セリン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、スレオニン、システイン、
メチオニン、ロイシン、アスパラギン、イソロイシン、及びバリンを指す。
【0077】
本明細書で使用するところの「薬学的に許容される塩」なる語句は、化合物の薬学的に
許容される有機または無機塩を指す。化合物は通常、少なくとも1個のアミノ基を含有し
、したがってこのアミノ基と酸付加塩を形成することができる。例示的な塩としては、こ
れらに限定されるものではないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、
臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳
酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パント
テン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩
、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グ
ルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシラート)、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスル
ホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸(すなわち、1,1’-メチレン-ビ
ス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩が挙げられる。薬学的に許容される塩に
は、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオンなどの別の分子を含有させること
を行いうる。対イオンは、親化合物の電荷を安定化させる任意の有機または無機部分であ
ってよい。更に、薬学的に許容される塩は、その構造中に複数の荷電原子を有することが
できる。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である場合、複数の対イオンを有
することができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1個以上の荷電原子及び/ま
たは1個以上の対イオンを有することができる。
【0078】
「ローディング」または「薬物ローディング」なる用語は、ADC分子中の抗体1個当
たりの細胞毒性化合物の平均の数を表すか、またはそのような数を指す。薬物ローディン
グは、抗体1個当たり1~10個の薬物の範囲とすることができる。これは、しばしば、
DAR、または薬物抗体比と呼ばれる。本明細書に記載されるADCの組成物は一般的に
1~20のDARを有し、特定の実施形態では、1~8、2~8、2~6、2~5、及び
2~4のDARを有する。一般的なDAR値は、2、4、6及び8である。抗体1個当た
りの薬物の平均の数、すなわちDAR値は、例えば、UV/可視分光法、質量分析法、E
LISAアッセイ、及びHPLCなどの従来の手段によって特徴付けることができる。定
量的DAR値を測定してもよい。場合により、特定のDAR値を有する均質なADCの分
離、精製、及び特性評価を、逆相HPLCまたは電気泳動などの手段によって行うことが
できる。
【0079】
DARは、抗体上の結合部位の数によって制限されうる。2つの一般的な結合手段とし
て、システインチオール残基とのスルフィド結合を介したもの、及び、リシン残基とのア
ミド結合を介したものがある(Puthenveetil,S.,et al.,Bio
conjugate Chem.,2016,27:1880-1888を参照)。例え
ば、結合がシステインチオールである場合、抗体は、1個のみまたはいくつかのシステイ
ンチオール基を有してもよく、またはそれを介してリンカー単位を結合させることができ
る1個のみまたはいくつかの充分な反応性を有するチオール基を有してもよい。いくつか
の実施形態では、システインチオールは、鎖間のジスルフィド結合を形成するシステイン
残基のチオール基である。いくつかの実施形態では、システインチオールは、鎖間のジス
ルフィド結合を形成しないシステイン残基のチオール基である。抗体中の大部分のシステ
インチオール残基はジスルフィド架橋として存在し、ジチオトレイトール(DTT)のよ
うな還元剤で還元する必要がある。一般的には、理論上の最大数よりも少ない数の薬物部
分が、複合体化反応の間に抗体に結合される。抗体は、例えば、リンカーまたはリンカー
中間体と反応しない多くのリシン残基を含みうる。最も反応性の高いリシン基のみが、反
応性リンカー試薬と反応して抗体とアミン結合を形成することができる。抗体を変性条件
に曝すことでリシンまたはシステインなどの反応性求核基を露出させることができる。
【0080】
ADCのローディング(薬物/抗体比)は、(i)抗体に対する薬物リンカーのモル過
剰量を制限すること、(ii)複合体化の反応時間または温度を制限すること、及び(iii)シ
ステインチオール基修飾の還元的条件を部分的に制限または制限することを含むいくつか
の異なる方法で制御することが可能である。複数の求核基が薬物リンカーと反応する場合
、得られる生成物は、抗体1個当たりの1個以上の薬物部分の分布を有するADCの混合
物である。抗体1個当たりの薬物の平均の数は、例えば、抗体に対して特異的であり、か
つ薬物に対しても特異的である二重ELISA抗体アッセイによって混合物から計算する
ことができる。個々のADCは、質量分析によって混合物中で同定し、例えば疎水性相互
作用クロマトグラフィーのようなHPLCによって分離することができる。
【0081】
「保護基」なる用語は、分子内の反応性官能基に結合される際に官能基の反応性を遮蔽
、低減または抑制する原子の集団を指す。保護基の例は、Green et al.,“
Protective Groups in Organic Chemistry”,
(Wiley,2nd ed.1991) and Harrison et al.,
“Compendium of Synthetic Organic Methods
”,Vols.1-8 (John Wiley and Sons,1971-199
6)に見ることができる。代表的なアミノ保護基としては、これらに限定されるものでは
ないが、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボ
ニル(CBZ)、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、トリメチルシリル(TMS
)、2-トリメチルシリル-エタンスルホニル(SES)、トリチル及び置換トリチル基
、アリルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、及
びニトロ-ベラトリルオキシカルボニル(NVOC)などが挙げられる。代表的なヒドロ
キシ保護基としては、これらに限定されるものではないが、ベンジル及びトリチルエーテ
ルなどの、ヒドロキシル基がアシル化またはアルキル化されたもの、ならびにアルキルエ
ーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル及びアリルエーテ
ルが挙げられる。
【0082】
以下に、特定の好ましい治療方法、化合物、及びこれらの化合物を投与する方法につい
て詳細に言及する。本発明は、これらの好ましい化合物及び方法に限定されるものではな
く、本明細書より発行される請求項(複数可)によって定義されるものである。
【0083】
薬物毒素化合物
本発明の薬物化合物は、天然に存在する細胞毒性化合物であるタイランスタチンAの類
似体または薬学的に許容されるその塩である。タイランスタチンAは、B.thaila
ndensis MSMB43の培養液から特定された3つの構造的に似た天然産物(A
、B、及びC)のうちの1つである。これらの天然産物は、インビトロの強力なpre-
mRNA阻害活性及びヒトがん細胞株において抗増殖活性を有する(Liu,et al
., J.Nat.Prod.,2013,76(4):685-693)。
【0084】
一態様によれば、本発明は、式(I):
【化4】

[式中、
Rは、-(CH-R;場合により、ハロゲン、-CF、-C1~6アルキル
、及び-O-C1~6アルキルのうちの1つ以上で置換された-C5~6ヘテロアリール
;-C(R)=N-R;-CH(CF)NH(CHCH;-C(R
)NH(CHCH;-C(ハロゲン)=CH(CHCH;-SO-N
H(CHCH;-O(CO)-アリール;-O(CO)-ヘテロアリール;-N
;及び、-NH-ヘテロアリールからなる群から選択され、
は、-O-CR(CHCHまたは-N-CR(CH
であり、
とRとは、それらが結合した原子とともにC3~10の複素環式環を形成し、
は、-CNまたは-NH(CHCHであり、
は、-(CHCHまたは-O-(CHCHであり、
Xは、-Hまたは-CHであり、
各nは、独立して1、2、または3であり、
各mは、独立して0、1、2、または3である]
の化合物または化合物群またはこれらの薬学的に許容される塩に関する。
【0085】
特定の例示的な実施形態では、Rは、
【化5】

からなる群から選択される。
【0086】
別の実施形態では、本発明の化合物は、
【化6】

からなる群から選択される。
【0087】
本発明の化合物の合成法を以下の実施例のセクションに示す。
リンカー単位(L)及びリンカー部分(L’)
【0088】
別の態様によれば、本発明は、式(II):
【化7】

[式中、
Lは、リンカーであり、
Rは、-(CH-R;場合により、ハロゲン、-CF、-C1~6アルキル
、及び-O-C1~6アルキルのうちの1つ以上で置換された-C5~6ヘテロアリール
; -C(R)=N-R;-CH(CF)NH(CHCH;-C(R
)NH(CHCH;-C(ハロゲン)=CH(CHCH;-SO
NH(CHCH;-O(CO)-アリール;-O(CO)-ヘテロアリール;-
NR;及び、-NH-ヘテロアリールからなる群から選択され、
は、-O-CR(CHCHまたは-N-CR(CH
であり、
とRとは、それらが結合した原子とともにC3~10の複素環式環を形成し、
は、-CNまたは-NH(CHCHであり、
は、-(CHCHまたは-O-(CHCHであり、
各nは、独立して1、2、または3であり、
各mは、独立して0、1、2、または3である]
の化合物または化合物群またはこれらの薬学的に許容される塩に関する。
【0089】
特定の例示的な実施形態では、Lは、式(A)、式(A)、式(A)、式(A
)、及び式(A):
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

(式中、qは、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
Yは、Br、I、または
【化13】

である)
からなる群から選択される。
【0090】
他の例示的な実施形態では、Rは、
【化14】

からなる群から選択される。
【0091】
リンカーは、薬物と抗体とを連結して抗体薬物複合体(ADC)を形成するために用い
ることができる二官能性または多官能性化合物である。かかる複合体は、例えば、腫瘍関
連抗原を標的とする免疫複合体を形成するうえで有用である。かかる複合体は、腫瘍細胞
への細胞毒性薬物の選択的送達を可能とする。ADC内でリンカーは毒素を抗体に結合す
る役割を果たす。
【0092】
本発明との関連において、「リンカー」(L)は、1つ以上の毒素薬物部分を抗体(A
b)と連結して式IIIの抗体薬物複合体(ADC)を形成するために用いることができ
る二官能性または多官能性部分である。いくつかの実施形態では、抗体薬物複合体(AD
C)は、薬物と共有結合し、更に抗体と共有結合するための反応性官能基を有するリンカ
ーを用いて調製することができる。例えば、いくつかの実施形態では、抗体(Ab)のシ
ステインチオールが、1つのADCを調製するためにリンカーまたは式IIの薬物-リン
カー中間体の反応性官能基と結合を形成することができる。
【0093】
リンカーLは二官能性化合物の一方の反応部位を介して共有結合され、他方の官能部位
はその後の抗体との結合に利用可能な状態となっている。リンカーLは、C、N、O、S
、またはハロゲンから選択される1~200個の非水素原子を有する部分であり、場合に
より、エーテル、オキソ、カルボキシル、カルボキサミド、カルボキサミジル、ウレタニ
ル、分枝状、環状、不飽和、アミノ酸、複素環、芳香族または複素芳香族部分を含む。リ
ンカーLは、非分枝状または分枝状、柔軟または剛性、短鎖または長鎖であってよく、有
用と思われる任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、リンカー
Lの少なくとも一部がポリアルキレンオキシドポリマー領域を有してよく、これにより、
式(III)の化合物の溶解度を高めることができる。いくつかの実施形態では、リンカ
ーLは、エチレングリコールの繰り返し単位を有することができ、約1個~約25個、ま
たはその間の任意の数の所定の数の繰り返しエチレングリコール単位を有することができ
る。いくつかの実施形態では、Lは、約1個~約4個、約3個~約20個、約4個~約1
5個、約5個~約12個、または約6個~約10個のエチレングリコール単位を有するこ
とができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、リンカーLの少なくとも一部は、式(III)の化合物の高
い溶解度を与えうる1つ以上のアミノ酸残基を有してよく、または標的との結合性を高め
る、標的結合剤との相溶性を高める、または標的結合の認識性を高めるアミノ酸配列を与
えることができる。他の実施形態では、リンカーLは、プロテアーゼに対する適当な基質
モチーフを与える1つ以上のアミノ酸部分を含むことができる。かかる実施形態は、グリ
シン、アラニン、フェニルアラニン、リシン、アルギニン、バリン、及びシトルリンから
選択されるアミノ酸を含む。リンカーLに、選択されるプロテアーゼに対して特異的な基
質モチーフを与える一群のアミノ酸部分が組み込まれている場合、式(III)の細胞毒
性薬物化合物は、標的と結合した複合体から放出されて局在化した細胞毒性作用をもたら
すことができる。かかる基質モチーフは、当該技術分野では周知のものであり、必要に応
じてリンカーLに組み込むことで標的と結合した複合体からの選択的放出を可能とするこ
とができる。この選択性は、薬物抗体複合体の局在化された送達領域内に所望のプロテア
ーゼが予め存在することが分かっていることに基づいたものとすることができる。ポリ酸
、多糖類、またはポリアミンなどの他のポリマータイプの部分をリンカーLに組み込むこ
ともできる。置換芳香族または複素芳香族部分などの他の部分を用いることで、剛性を高
めるか、または反応性部分ともしくは式(III)の化合物と連結するための合成による
アクセス部位を内部の置換基に与えることができる。
【0095】
リンカーLの他方の第2の官能部位は、後で抗体を結合させるために利用可能であり、
これにより、リンカーを介して本発明の毒素を抗体に共有結合させることができる。この
第2の反応性部位は、例えば、抗体単位(例えば抗体)上に存在する求核基に対する反応
性を有する求電子基である。抗体上の有用な求核基としては、これらに限定されるもので
はないが、スルフヒドリル、ヒドロキシル、及びアミノ基が挙げられる。抗体の求核基の
ヘテロ原子は、リンカー単位上の求電子基に対する反応性を有し、リンカー単位と共有結
合を形成する。有用な求電子基としては、これらに限定されるものではないが、マレイミ
ド及びハロアセトアミド基が挙げられる。求電子基は、抗体を連結するのに好都合な部位
を与える。
【0096】
別の実施形態では、リンカー単位は、抗体上に存在する求電子基に対する反応性を有す
る求核基を有する反応部位を有する。抗体上の有用な求電子基としては、これらに限定さ
れるものではないが、アルデヒド及びケトンカルボニル基が挙げられる。リンカー単位の
求核基のヘテロ原子は、抗体上の求電子基と反応して、抗体と共有結合を形成することが
できる。リンカー単位上の有用な求核基としては、これらに限定されるものではないが、
ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキ
シレート、及びアリールヒドラジドが挙げられる。抗体上の求電子基は、リンカー単位を
結合するのに好都合な部位を与える。いくつかの実施形態では、求電子基として、
【化15】

(式中、波線はLとの結合部位を示し、
は、NO、Cl、F、CN、またはBrであり、qは、0、1、または2である

が挙げられる。
【0097】
アミノ官能基もまた、カルボン酸または化合物の活性化エステルと反応してアミド結合
を形成することができることから、リンカー単位に対する有用な反応部位である。一般的
に、本発明のペプチド系化合物は、2個以上のアミノ酸及び/またはペプチド断片間にペ
プチド結合を形成することによって調製することができる。
【0098】
一態様では、リンカーは、抗体上に存在する遊離システインと反応して共有結合を形成
することが可能な官能基を有する。かかる反応性官能基の非限定的な例としては、マレイ
ミド、ハロアセトアミド、α-ハロアセチル、ピリジルジスルフィド、スクシンイミドエ
ステルなどの活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミド、4-ニトリフェニルエス
テル、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、無水物、酸
クロリド、スルホニルクロリド、イソシアネート、及びイソチオシアネートが挙げられる
(例えば、Klussman,et al.,Bioconjugate Chemis
try,2004,15(4):765-773の766頁の複合体化の方法、及び本明
細書の実施例を参照)。
【0099】
いくつかの実施形態では、リンカーは、抗体上に存在する求電子基と反応することが可
能な官能基を有する。かかる求電子基の例としては、これらに限定されるものではないが
、アルデヒド及びケトンカルボニル基が挙げられる。いくつかの実施形態では、リンカー
の反応性官能基のヘテロ原子は、抗体上の求電子基と反応して、抗体単位と共有結合を形
成することができる。反応性官能基の非限定的な例としては、これらに限定されるもので
はないが、ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジ
ンカルボキシレート、及びアリールヒドラジドが挙げられる。
【0100】
リンカーは、これらに限定されるものではないが、ストレッチャー単位、ペプチド模倣
体単位、ペプチド単位、及びスペーサー単位を含む1つ以上のリンカー成分を含むことが
できる(J.Lu.,et al.Int.J.Mol.Sci.,2016,17:5
61を参照)。例示的なリンカー成分及びリンカー試薬としては、これらに限定されるも
のではないが、p-アミノ安息香酸-バリン-シトルリン(「PABA-val-cit
」)、6-マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、
バリン-シトルリン(「val-cit」または「vc」)、バリン-アラニン(「va
l-ala」または「va」)、アラニン-フェニルアラニン(「ala-phe」)、
フェニルアラニン-リシン(phe-lys)、グリシン-フェニルアラニン-ロイシン
-グリシン(「GFLG」)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(「PAB」)、N
-スクシンイミジル 4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(「SPP」)、4-(
N-マレイミドメチル) シクロヘキサン-1 カルボキシレート(「MCC」)、4-
(N-マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボン酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエ
ステル(「SMCC」)、N-スクシンイミジル 4-(2-ピリジルチオ)ブタノエー
ト(「SPDB」)、及びスルホ-N-スクシンイミジル 4-(2-ピリジルチオ)ブ
チレート(「スルホ-SPDB」)が挙げられる。本明細書に記載される様々なリンカー
成分が当該技術分野で周知である。例示的なリンカー成分としては、これらに限定される
ものではないが、バリン-シトルリン単位が2個以上のエチレンオキシ単位(PEG)、
例えば2個~10個のPEG単位に結合された、「VC-2xPEG」、「VA-2xP
EG」、及び「VC-8xPEG」、及び「VA-8xPEG」が挙げられる。
【0101】
リンカーは、薬物または毒素の放出を促進する「切断可能なリンカー」とすることがで
きる。切断可能なリンカーの非限定的な例としては、酸不安定性リンカー(例えば、ヒド
ラジンを含む)、プロテアーゼ感受性(例えばペプチド感受性)リンカー、光不安定性リ
ンカー、またはジスルフィド含有リンカーが挙げられる(Chari,et al.,C
ancer Research,1992,52:127-131;米国特許第5,20
8,020号)。
【0102】
リンカーの実施形態の更なる例は、本明細書に参照により明示的に援用するところの米
国特許第7,498,298号に記載されている。
【0103】
本明細書との関連において、L’部分は二官能性リンカーの中心部分であり、薬物がこ
の中心部分を介して抗体に共有結合された後、抗体薬物複合体中に残る。L’部分は、求
電子基または求核基である第2の官能部位が上記に述べたように抗体と反応して共有結合
を形成している点を除いて、リンカーLについて上記に述べたのと同様である。N-ヒド
ロキシスクシンイミドアセテートエステル(NHSエステル)リンカーから誘導され、上
記に述べたように抗体上のリシン残基に結合することが可能なL’部分の非限定的な例を
式(B)に示す。すなわち、
【化16】

(式中、qは、3、4、5、6、7、8、9、または10である)。抗体上のシステイ
ン残基に結合することが可能なマレイミド単位を含むL’部分の更なる非限定的な例を式
(B)に示す。すなわち、
【化17】

(式中、qは、3、4、5、6、7、8、9、または10である)。抗体上のシステイ
ン残基に結合することが可能なアミド単位を含むL’部分の更なる非限定的な例を式(B
)に示す。すなわち、
【化18】

抗体上のシステイン残基に結合することが可能なアミド単位を含むL’部分の別の非限
定的な例を式(B)に示す。すなわち、
【化19】

(式中、qは、3、4、5、6、7、8、9、または10である)。
【0104】
Lが、式(A)を含む場合、
【化20】

例えば、リシン残基に由来する抗体上の利用可能な-NH基が式(A)を置換し、
抗体と式(I)の化合物との間の直接的結合を生じる。
【0105】
抗体単位(AbまたはAB)
上記で述べたように、本明細書における「抗体」(または「Ab」もしくは「AB」)
なる用語は、最も広い意味で用いられ、具体的には、完全なモノクローナル抗体、ポリク
ローナル抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び所望
の生物学的活性を示す抗体フラグメントを含む。更に、本明細書に記載される本発明の特
定の態様は抗体薬物複合体について言及するが、複合体の抗体部分は、受容体、抗原、ま
たは任意の標的細胞集団に関連する他の受容性部分と、特異的に結合するか、または反応
によって会合するか、または複合体を形成するものに置き換えることが可能である点が更
に想定される。例えば、抗体を含む代わりに、本発明の複合体は、治療的にまたは他の形
で生物学的に改変しようとする細胞集団の受容体、抗原または他の受容性部分と結合する
、複合体を形成する、または反応するターゲティング分子を含むことができる。かかる分
子の例は、より低分子量のタンパク質、ポリペプチドもしくはペプチド、レクチン、糖タ
ンパク質、非ペプチド、ビタミン、栄養素輸送分子(これらに限定されるものではないが
、トランスフェリンなど)、または他の任意の細胞結合分子もしくは物質を含む。特定の
態様では、抗体または他のそのようなターゲティング分子は、抗体または他のターゲティ
ング分子が相互作用する特定の標的細胞集団に薬物を送達するように作用する。
【0106】
別の態様において、本発明は、式IIIの抗体薬物複合体化合物に関し、抗体ABは、
ゲムツズマブ、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、ペルツズマブ(パージェ
タ(登録商標))、イラツムマブ、イノツズマブ、ピナツズマブ、エプラツズマブ、ポラ
ツズマブ、コルツキシマブ、ロブツズマブ、サシツズマブ、アネツマブ、アプルツマブ、
アラツムマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、アジンツキシズマブ、ベバシズマブ(アバ
スチン(登録商標))、ビバツズマブ、ブレンツキシマブ、カミダンルマブ、カンツズマ
ブ、セツキシマブ(エルビタックス(登録商標))、コフェツズマブ、デニンツズマブ、デ
ュルバルマブ、エロツズマブ、エンフォルツマブ、グレムバツムマブ、イブリツモマブ、
イラダツズマブ、インダツキシマブ、インダスツズマブ、ラベツズマブ、ラディラツズマ
ブ、ラプリツキシマブ、リファスツズマブ、ロンカスツキシマブ、ロルブツズマブ、ルパ
ルツマブ、ミラツズマブ、ミルベツキシマブ、ナラツキシマブ、ナタリズマブ、ネシツム
マブ、オビヌツズマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、パニツムマブ
、ペルツズマブ、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、ロバルピツズマブ、シルトラ
ツマブ、ソフィツズマブ、テリソツズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、及びバダス
ツキシマブから選択される。特定の好ましい実施形態では、抗体ABは、トラスツズマブ
、ペルツズマブ、ゲムツズマブ、及びバダスツキシマブからなる群から選択される。
【0107】
抗体単位上に存在しうるヘテロ原子としては、硫黄(一実施形態では、抗体のスルフヒ
ドリル基に由来)、酸素(一実施形態では、抗体のカルボニル、カルボキシルまたはヒド
ロキシル基に由来)及び窒素(一実施形態では、抗体の一級または二級アミノ基に由来)
が挙げられる。これらのヘテロ原子は、抗体の天然の状態にある抗体、例えば天然に存在
する抗体上に存在してもよく、または化学修飾を介して抗体に導入されてもよい。
【0108】
一実施形態では、抗体単位はスルフヒドリル基を有し、抗体単位はスルフヒドリル基の
硫黄原子を介して結合する。
【0109】
別の実施形態において、抗体は、活性化エステル(かかるエステルとしては、これらに
限定されるものではないが、N-ヒドロキシスクシンイミド、ペンタフルオロフェニル、
及びp-ニトロフェニルエステルが挙げられる)と反応することができ、それにより抗体
単位の窒素原子とカルボニルとからなるアミド結合を形成することができるリジン残基を
有する。
【0110】
更に別の態様では、抗体単位は、1つ以上のスルフヒドリル基を導入するように化学修
飾することができる1つ以上のリシン残基を有する。リシンを修飾するために使用するこ
とができる試薬には、これらに限定されるものではないが、N-ヒドロキシスクシンイミ
ド酢酸エステル(NHSエステル)、N-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート
(SATA)および2-イミノチオラン塩酸塩(トラウト試薬)が挙げられる。
【0111】
別の実施形態では、抗体単位は、1つよりも多いスルフヒドリル基を有するように化学
修飾することができる1つよりも多い炭水化物基を有することができる。
【0112】
更に別の実施形態において、抗体単位は、酸化されてアルデヒド基を与えることができ
る1つ以上の炭水化物基を有することができる。対応するアルデヒドは、例えば、ヒドラ
ジンおよびヒドロキシルアミンなどの反応部位と結合を形成することができる。薬物の結
合または会合のためのタンパク質の修飾の他のプロトコルは、Coligan et a
l.,Current Protocols in Protein Science,
Vol.2, John Wiley & Sons (2002)に記載されている。
【0113】
有用なポリクローナル抗体は、免疫化された動物の血清に由来する抗体分子の不均質な
集団である。有用なモノクローナル抗体は、特定の抗原決定因子(例えば、がん細胞抗原
、ウイルス抗原、微生物抗原、タンパク質、ペプチド、炭水化物、化学物質、核酸、また
はそれらのフラグメント)に対する均質な抗体の集団である。対象とする抗原に対するモ
ノクローナル抗体(mAb)は、培養中で継続的な細胞株による抗体分子の産生を与える
、当該技術分野では周知の任意の技術を使用することによって調製することができる。
【0114】
有用なモノクローナル抗体としては、これらに限定されないが、ヒトモノクローナル抗
体、ヒト化モノクローナル抗体、抗体フラグメント、またはキメラモノクローナル抗体が
挙げられる。ヒトモノクローナル抗体は、当該技術分野において周知の多くの技術のいず
れによっても作製することができる。
【0115】
抗体は二重特異性抗体でもよい。二重特異性抗体を作製する方法は当該技術分野では周
知のものである。
【0116】
抗体は、標的細胞(例えば、腫瘍関連抗原、がん細胞抗原、ウイルス抗原、または微生
物抗原)に免疫特異的に結合する抗体の機能的に活性なフラグメント、誘導体もしくは類
似体、または腫瘍細胞もしくはマトリックスに結合する他の抗体であってもよい。この点
に関し、「機能的に活性な」とは、フラグメント、誘導体または類似体が、そのフラグメ
ント、誘導体または類似体が由来する抗体が認識したものと同じ抗原を認識する抗抗イデ
ィオタイプ抗体を誘発することができることを意味する。詳細には、例示的な実施形態で
は、免疫グロブリン分子のイディオタイプの抗原性は、その抗原を特異的に認識するCD
R配列のC末端側にあるフレームワークまたはCDR配列の欠失によって高めることがで
きる。どのCDR配列が抗原に結合するかを決定するには、CDR配列を含んだ合成ペプ
チドを、当該技術分野では周知の任意の結合アッセイ法(例えば、BIAコアアッセイ)
によって抗原との結合アッセイに使用することができる。
【0117】
他の有用な抗体としては、これらに限定されるものではないが、F(ab’)フラグ
メント、Fabフラグメント、Fv、一本鎖抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラ
ボディ、scFv、scFv-FVなどの抗体のフラグメント、または抗体と同じ特異性
を有する他の任意の分子が挙げられる。
【0118】
更に、標準的な組換えDNA技術を使用して作製することができる、ヒト部分および非
ヒト部分の両方を含んだキメラ抗体及びヒト化モノクローナル抗体などの組換え抗体が有
用な抗体である。キメラ抗体とは、異なる部分が異なる動物種に由来する分子であり、例
えば、マウスモノクローナルに由来する可変領域と、ヒト免疫グロブリンの定常領域とを
有するものなどである。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つ以上の相補性決定領域(CD
R)と、ヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域とを有する非ヒト種由来の抗
体分子である。このようなキメラ抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、当該技術分野
では周知の組換えDNA技術によって作製することができる。
【0119】
完全ヒト抗体は特に望ましく、内因性の免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子を発現す
ることはできないが、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができるトランスジェニ
ックマウスを使用して産生させることができる。このトランスジェニックマウスを、通常
の方法で、選択された抗原、例えば本発明のポリペプチドの全体または一部で免疫する。
抗原を標的とするモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いて得ることが
できる。トランスジェニックマウスが有するヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分
化の間に再構成された後、クラススイッチ及び体細胞変異を生じる。したがって、こうし
た技術を使用することで、治療に有用なIgG、IgA、IgM及びIgE抗体を当業者
には周知の方法を用いて作製することが可能である。他のヒト抗体は、多くの企業より商
業的に入手することができる。
【0120】
選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「誘導選択」と呼ばれる技術を用いて
作製することができる。この手法では、同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を
誘導するために、選択された非ヒトモノクローナル抗体、例えばマウス抗体を使用する。
ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含む、当該技術分野では周知の様々な
技術を使用して作製することもできる。
【0121】
他の実施形態において、抗体は、抗体の融合タンパク質、または機能的に活性であるそ
のフラグメントであり、例えば、抗体は、共有結合(例えば、ペプチド結合)を介して、
N末端またはC末端のいずれかにおいて、抗体に由来しない別のタンパク質のアミノ酸配
列(またはその一部、好ましくはタンパク質の少なくとも10、20または50個のアミ
ノ酸からなる部分)と融合される。好ましくは、抗体またはそのフラグメントは、定常ド
メインのN末端において他のタンパク質と共有結合される。
【0122】
抗体は、修飾された、すなわち、そのような共有結合が、抗体がその抗原結合免疫特異
性を保持することを可能とするものであれば、任意の種類の分子の共有結合によって修飾
された類似体及び誘導体を含む。例えば、これらに限定されるものではないが、抗体の誘
導体および類似体としては、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、
アミド化、公知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解的切断、細胞性
抗体単位または他のタンパク質との連結などによって更に修飾されているものが挙げられ
る。多くの化学修飾のいずれも、これらに限定されるものではないが、特異的な化学的切
断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの存在下での代謝的合成などを含む周知の
技術によって行うことができる。更に、類似体または誘導体は、1つ以上の非天然アミノ
酸を含んでもよい。
【0123】
抗体は、Fc受容体と相互作用するアミノ酸残基の改変(例えば、置換、欠失または付
加)を有することができる。詳細には、抗体は、抗FcドメインとFcRn受容体との相
互作用に関与するものとして同定されているアミノ酸残基の改変を有することができる。
【0124】
がん細胞抗原に対して免疫特異的な抗体は、市販のものを入手するか、または例えば化
学合成もしくは組み換え発現技術などの当業者には周知の任意の方法によって作製するこ
とができる。がん細胞抗原に対して免疫特異的な抗体をコードするヌクレオチド配列は、
例えば、GenBankデータベースもしくは同様のデータベース、文献刊行物から、ま
たは通常のクローニング及びシークエンシングによって取得することができる。
【0125】
特定の実施形態では、がんの治療用の周知の抗体を使用することができる。がん細胞抗
原に対して免疫特異的な抗体は、市販のものを入手するか、または例えば組み換え発現技
術などの当業者には周知の任意の方法によって作製することができる。がん細胞抗原(腫
瘍関連抗原)に対して免疫特異的な抗体をコードするヌクレオチド配列は、例えば、Ge
nBankデータベースもしくは同様のデータベース、文献刊行物から、または通常のク
ローニング及びシークエンシングによって取得することができる。
【0126】
腫瘍関連抗原(TAA)の例としては、これらに限定されるものではないが、ここに記
載するTAA(1)~(100)が挙げられる。便宜上、多くの場合で、いずれも当該技
術分野では周知のものであるこれらの抗原に関連する情報を以下に記載するが、多くの場
合でこの情報には、名称、別称、Genbank受託番号及び主な参考文献(複数可)に
続き、米国立生物工学情報センター(National Center for Biot
echnology Information)(NCBI)の核酸及びタンパク質配列
の同定表記が含まれる。TAA(1)~(100)に対応する核酸及びタンパク質配列は
、GenBankなどの公的データベースにおいて入手可能である。抗体により標的とさ
れる腫瘍関連抗原としては、引用される参考文献において特定されている配列に対して少
なくとも約70%、80%、85%、90%、もしくは95%の配列同一性を有するすべ
てのアミノ酸配列変異体及びアイソフォーム、または引用される参考文献に見出される配
列を有するTAAと実質的に同じ生物学的性質もしくは特性を示すものが挙げられる。例
えば、変異体配列を有するTAAは一般に、対応する記載の配列を有するTAAと特異的
に結合する抗体に特異的に結合することができる。本明細書に具体的に引用される参考文
献中の配列及び開示内容を、参照によって明示的に援用するものである。
【0127】
TAAの具体的な非限定例としては、以下のものが挙げられる。すなわち、
(1)BMPR1B(骨形成タンパク質受容体-IB型、Genbank受託番号NM
_001203)、ten Dijke,P.,et al.,Science,199
4,264(5155):101-104、Oncogene,1997,14(11)
:1377-1382、WO2004/063362(請求項2)、WO2003/04
2661(請求項12)、US2003/134790(38~39頁)、WO2002
/102235(請求項13、296頁)、WO2003/055443(91~92頁
)、WO2002/99122(実施例2、528~530頁)、WO2003/029
421(請求項6)、WO2003/024392(請求項2、図112)、WO200
2/98358(請求項1、183頁)、WO2002/54940(100~101頁
)、WO2002/59377(349~350頁)、WO2002/30268(請求
項27、376頁)、WO2001/48204(実施例、図4)NP_001194骨
形成タンパク質受容体、IB型/pid=NP_001194.1-相互参照:MIM:
603248、NP_001194.1、AY065994。
(2)E16(LAT1、SLC7A5、Genbank受託番号NM_003486
)、Biochem.Biophys.Res.Commun.,1999,255(2
),283-288、Nature,1998,395(6699):288-291、
Gaugitsch,H.W.,et al.,J.Biol.Chem.,1992,
267(16):11267-11273)、WO2004/048938(実施例2)
、WO2004/032842(実施例IV)、WO2003/042661(請求項1
2)、WO2003/016475(請求項1)、WO2002/78524(実施例2
)、WO2002/99074(請求項19、127~129頁)、WO2002/86
443(請求項27、222、393頁)、WO2003/003906(請求項10、
293頁)、WO2002/64798(請求項33、93~95頁)、WO2000/
14228(請求項5、133~136頁)、US2003/224454(図3)、W
O2003/025138(請求項12、150頁)、NP_003477溶質輸送体フ
ァミリー7(カチオン性アミノ酸輸送体、y+システム)、メンバー5/pid=NP_
003477.3-Homo sapiens、相互参照:MIM:600182、NP
_003477.3、NM_015923、NM_003486_1。
(3)STEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原、Genbank受託番号NM_0
12449)Cancer Res.,2001,61(15),5857-5860、
Hubert,R.S.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.
S.A.96(25):14523-14528)、WO2004/065577(請求
項6)、WO2004/027049(図1L)、EP1394274(実施例11)、
WO2004/016225(請求項2)、WO2003/042661(請求項12)
、US2003/157089(実施例5)、US2003/185830(実施例5)
、US2003/064397(図2)、WO2002/89747(実施例5、618
~619頁)、WO2003/022995(実施例9、図13A、実施例53、173
頁、実施例2、図2A)、NP_036581前立腺の6回膜貫通上皮抗原。相互参照:
MIM:604415、NP_036581.1、NM_012449_1。
(4)0772P(CA125、MUC16、Genbank受託番号AF36148
6)、J.Biol.Chem.,2001,276(29):27371-27375
、WO2004/045553(請求項14)、WO2002/92836(請求項6、
図12)、WO2002/83866(請求項15、116~121頁)、US2003
/124140(実施例16)。相互参照:GI:34501467、AAK74120
.3、AF361486_1。
(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増強因子、メソテリン、Genba
nk受託番号NM_005823)、Yamaguchi,N.,et al.,Bio
l.Chem.,1994,269(2),805-808、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.U.S.A.,1999,96(20):11531-11536、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1996,93(1):136-1
40、J.Biol.Chem.,1995,270(37):21984-21990
)、WO2003/101283(請求項14)、(WO2002/102235(請求
項13、287~288頁)、WO2002/101075(請求項4、308~309
頁)、WO2002/71928(320~321頁)、WO9410312(52~5
7頁)、相互参照:MIM:601051、NP_005814.2、NM_00582
3_1。
(6)Napi3b(NAPI-3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質輸送体フ
ァミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸輸送体
3b、Genbank受託番号NM_006424)、J.Biol.Chem.,20
02,277(22):19665-19672、Genomics,1999,62(
2):281-284、Feild,J.A.,et al.,Biochem.Bio
phys.Res.Commun.,1999,258(3):578~582)、WO
2004/022778(請求項2)、EP1394274(実施例11)、WO200
2/102235(請求項13、326頁)、EP875569(請求項1、17~19
頁)、WO2001/57188(請求項20、329頁)、WO2004/03284
2(実施例IV)、WO200175177(請求項24、139~140頁)、相互参
照:MIM:604217、NP_006415.1、NM_006424_1。
(7)Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、S
EMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、セマドメイン、7回トロンボス
ポンジン反復(1型及び1型様)、膜貫通ドメイン(TM)、及び短い細胞質ドメイン、
(セマフォリン)5B、Genbank受託番号AB040878)、Nagase T
.,et al.,DNA Res.,2000,7(2):143~150)、WO2
004/000997(請求項1)、WO2003/003984(請求項1)、WO2
002/06339(請求項1、50頁)、WO2001/88133(請求項1、41
~43、48~58頁)、WO2003/054152(請求項20)、WO2003/
101400(請求項11)、受託番号:Q9P283、EMBL、AB040878、
BAA95969.1.Genew、HGNC:10737。
(8)PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik
、RIKENcDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050
C12遺伝子、Genbank受託番号AY358628)、Ross et al.,
Cancer Res.,2002,62:2546-2553、US2003/129
192(請求項2)、US2004/044180(請求項12)、US2004/04
4179(請求項11)、US2003/096961(請求項11)、US2003/
232056(実施例5)、WO2003/105758(請求項12)、US2003
/206918(実施例5)、EP1347046(請求項1)、WO2003/025
148(請求項20)、相互参照:GI:37182378、AAQ88991.1、A
Y358628_1。
(9)ETBR(エンドセリンB型受容体、Genbank受託番号AY275463
)、Nakamuta M.,et al.,Biochem.Biophys.Res
.Commun.,1991,177:34-39、Ogawa Y.,et al.,
Biochem.Biophys.Res.Commun.,1991,178,24
8-255、Arai,H.,et al.,Jpn.Circ.J.,1992,56
:1303-1307、Arai H.,et al.,J.Biol.Chem.,1
993,268:3463-3470、Sakamoto A.,Yanagisawa
M.,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,1
991,178:656-663、Elshourbagy N.A.,et al.,
J.Biol.Chem.,1993,268:3873-3879、Haendler
B.,et al.,J.Cardiovasc.Pharmacol.,1992,
20:s1-S4、Tsutsumi M.,et al.,Gene,1999,22
8:43-49、Strausberg,R.L.,et al.,Proc.Natl
.Acad.Sci.U.S.A.,2002,99:16899-16903、Bou
rgeois C.,et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab
.,1997,82,3116-3123、Okamoto Y.,et al.,Bi
ol.Chem.,1997,272:21589-21596、Verheij,J.
B.,Am.J.Med.Genet.,2002,108:223-225、Hofs
tra,R.M.W.,et al.,Eur.J.Hum.Genet.,1997,
5:180-185、Puffenberger,E.G.,et al.,Cell,
1994,79:1257-1266、Attie T.,et al.,Hum.Mo
l.Genet.,1995,4:2407-2409、Auricchio A.,e
t al.,Hum.Mol.Genet.,1996,5:351-354、Amie
l J.,et al.Hum.Mol.Genet.5,355-357,1996、
Hofstra R.M.W.,et al.Nat.Genet.,1996,12:
445-447、Svensson P.J.,et al.,Hum.Genet.,
1998,103:145-148、Fuchs, S.,et al.,Mol.Me
d.,2001,7:115-124、Pingault V.,et al.,Hum
.Genet.,2002,111,198-206、WO2004/045516(請
求項1)、WO2004/048938(実施例2)、WO2004/040000(請
求項151)、WO2003/087768(請求項1)、WO2003/016475
(請求項1)、WO2003/016475(請求項1)、WO2002/61087(
図1)、WO2003/016494(図6)、WO2003/025138(請求項1
2、144頁)、WO2001/98351(請求項1、124~125頁)、EP52
2868(請求項8、図2)、WO2001/77172(請求項1、297~299頁
)、US2003/109676、US6,518,404(図3)、US5,773,
223(請求項1a、欄31~34)、WO2004/001004。
(10)MSG783(RNF124、仮説上のタンパク質FLJ20315、Gen
bank受託番号NM_017763)、WO2003/104275(請求項1)、W
O2004/046342(実施例2)、WO2003/042661(請求項12)、
WO2003/083074(請求項14、61頁)、WO2003/018621(請
求項1)、WO2003/024392(請求項2、図93)、WO2001/6668
9(実施例6)、相互参照:LocusID:54894、NP_060233.2、N
M_017763_1。
(11)STEAP2(HGNC_8639、IPCA-1、PCANAP1、STA
MP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、
前立腺の6回膜貫通上皮抗原2、6回膜貫通前立腺タンパク質、Genbank受託番号
AF455138)Lab.Invest.82(11):1573-1582(200
2))、WO2003/087306、US2003/064397(請求項1、図1
、WO2002/72596(請求項13、54~55頁)、WO2001/72962
(請求項1、図4B)、WO2003/104270(請求項11)、WO2003/1
04270(請求項16)、US2004/005598(請求項22)、WO2003
/042661(請求項12)、US2003/060612(請求項12、図10)、
WO2002/26822(請求項23、図2)、WO2002/16429(請求項1
2、図10)、相互参照:GI:22655488、AAN04080.1、AF455
138_1。
(12)TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B
、一過性受容器電位カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4、Genbank
受託番号NM_017636)。Xu,X.Z.,et al.,Proc.Natl.
Acad.Sci.U.S.A.,2001,98(19):10692-10697、
Cell,2002,109(3):397-407,J.Biol.Chem.,20
03,278(33):30813-30820、US2003/143557(請求項
4)、WO2000/40614(請求項14、100~103頁)、WO2002/1
0382(請求項1、図9A)、WO2003/042661(請求項12)、WO20
02/30268(請求項27、391頁)、US2003/219806(請求項4)
、WO2001/62794(請求項14、図1A~D)、相互参照:MIM:6069
36、NP_060106.2、NM_017636_1。
(13)CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌
種由来の成長因子、Genbank受託番号NP_003203またはNM_00321
2)。Ciccodicola,A.,et al.,EMBO J.,1989,8(
7):1987-1991、Am.J.Hum.Genet.,1991,49(3):
555-565、US2003/224411(請求項1)、WO2003/08304
1(実施例1)、WO2003/034984(請求項12)、WO2002/8817
0(請求項2、52~53頁)、WO2003/024392(請求項2、図58)、W
O2002/16413(請求項1、94~95頁、105頁)、WO2002/228
08(請求項2、図1)、US5,854,399(実施例2、欄17~18)、US5
,792,616(図2)、相互参照:MIM:187395、NP_003203.1
、NM_003212_1。
(14)CD21(CR2(補体受容体2)またはC3DR(C3d/Epstein
Barrウイルス受容体)またはHs.73792 Genbank受託番号M260
04)、Fujisaku,et al.,J.Biol.Chem.,1989,26
4(4):2118-2125)、Weis J.J.,et al.,J.Exp.M
ed.,1988,167:1047-1066、Moore M.,et al.,P
roc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1987,84:9194-91
98、Barel M.,et al.,Mol.Immunol.,1998,35:
1025-1031、Weis J.J.,et al.,Proc.Natl.Aca
d.Sci.U.S.A.,1986,83:5639-5643、Sinha S.K
.,et al.,J.Immunol.,1993,150:5311-5320、W
O2004/045520(実施例4)、US2004/005538(実施例1)、W
O2003/062401(請求項9)、WO2004/045520(実施例4)、W
O9102536(図9.1~9.9)、WO2004/020595(請求項1)、受
託番号:P20023、Q13866、Q14212、EMBL、M26004、AAA
35786.1。
(15)CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連ベータ)
、B29、Genbank受託番号NM_000626または11038674)。Pr
oc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2003,100(7):4126
-4131、Blood,2002,100(9):3068-3076、Muller
,et al.,Eur.J.Immunol.,1992,22(6):1621-1
625、WO2004/016225(請求項2、図140)、WO2003/0877
68、US2004/101874(請求項1、102頁)、WO2003/06240
1(請求項9)、WO2002/78524(実施例2)、US2002/150573
(請求項5、15頁)、US5,644,033、WO2003/048202(請求項
1、306頁及び309頁)、WO99/558658、US6,534,482(請求
項13、図17A/B)、WO2000/55351(請求項11、1145~1146
頁)、相互参照:MIM:147245、NP_000617.1、NM_000626
_1。
(16)FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(SH2ドメイン含有ホ
スファターゼアンカータンパク質1a)、SPAP1B、SPAP1C、Genbank
受託番号NM_030764、AY358130)、Genome Res.,2003
,13(10):2265-2270、Immunogenetics,2002,54
,(2):87-95、Blood,2002,99(8):2662-2669、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2001,98(17):9772
-9777、Xu,M.J.,et al.,Biochem.Biophys.Res
.Commun.,2001,280(3):768-775、WO2004/0162
25(請求項2)、WO2003/077836、WO2001/38490(請求項5
図18D-1~18D-2)、WO2003/097803(請求項12)、WO20
03/089624(請求項25)、相互参照:MIM:606509、NP_1103
91.2、NM_030764_1。
(17)HER2(ErbB2、Genbank受託番号M11730)Cousse
ns,L.,et al.,Science,1985,230(4730):1132
-1139)、Yamamoto,T.,et al.,Nature,1986,31
9:230-234、Semba,K.,et al.,Proc.Natl.Acad
.Sci.U.S.A.,1985,82:6497-6501、Swiercz, J
.M.,et al.,J.Cell Biol.,2004,165:869-880
、Kuhns,J.J.,et al.,J.Biol.Chem.,1999,274
:36422-36427、Cho H.-S.,et al.,Nature,199
3,421:756-760、Ehsani,A.,et al.,Genomics,
1993,15:426-429、WO2004/048938(実施例2)、WO20
04/027049(図1I)、WO2004/009622、WO2003/0812
10、WO2003/089904(請求項9)、WO2003/016475(請求項
1)、US2003/118592、WO2003/008537(請求項1)、WO2
003/055439(請求項29、図1A~B)、WO2003/025228(請求
項37、図5C)、WO2002/22636(実施例13、95~107頁)、WO2
002/12341(請求項68、図7)、WO2002/13847(71~74頁)
、WO2002/14503(114~117頁)、WO2001/53463(請求項
2、41~46頁)、WO2001/41787(15頁)、WO2000/44899
(請求項52、図7)、WO2000/20579(請求項3、図2)、US5,869
,445(請求項3、欄31~38)、WO9630514(請求項2、56~61頁)
、EP1439393(請求項7)、WO2004/043361(請求項7)、WO2
004/022709、WO2001/00244(実施例3、図4)、受託番号:P0
4626、EMBL、M11767、AAA35808.1。EMBL、M11761、
AAA35808.1。
(18)NCA(CEACAM6、Genbank受託番号M18728)、Barn
ett T.,et al.,Genomics,1988,3:59-66、Tawa
ragi,Y.,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commu
n.,1988,150:89-96、Strausberg,R.L.,et al.
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2002,99:16899-
16903、WO2004/063709、EP1439393(請求項7)、WO20
04/044178(実施例4)、WO2004/031238、WO2003/042
661(請求項12)、WO2002/78524(実施例2)、WO2002/864
43(請求項27、427頁)、WO2002/60317(請求項2)、受託番号:P
40199、Q14920、EMBL、M29541、AAA59915.1。EMBL
、M18728。
(19)MDP(DPEP1、Genbank受託番号BC017023)Proc.
Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2002,99(26):16899-1
6903、WO2003/016475(請求項1)、WO2002/64798(請求
項33、85~87頁)、JP05003790(図6~8)、WO9946284(図
9)、相互参照:MIM:179780、AAH17023.1、BC017023_1

(20)IL20Rα(IL20Ra、ZCYTOR7、Genbank受託番号AF
184971)、Clark H.F.,et al.,Genome Res.,20
03,13:2265-2270、Mungall A.J.,et al.,Natu
re,2003,425:805-811、Blumberg H.,et al.,
Cell,2001,104:9-19、Dumoutier L.,et al.,J
.Immunol.,2001,167:3545-3549、Parrish-Nov
ak J.,et al.,J.Biol.Chem.,2002,277:47517
-47523、Pletnev,S.,et al.,Biochemistry,20
03,42:12617-12624、Sheikh F.,et al.,J.Imm
unol.,2004,172:2006-2010、EP1394274(実施例11
)、US2004/005320(実施例5)、WO2003/029262(74~7
5頁)、WO2003/002717(請求項2、63頁)、WO2002/22153
(45~47頁)、US2002/042366(20~21頁)、WO2001/46
261(57~59頁)、WO2001/46232(63~65頁)、WO98371
93(請求項1、55~59頁)、受託番号:Q9UHF4、Q6UWA9、Q96SH
8、EMBL、AF184971、AAF01320.1。
(21)Brevican(BCAN、BEHAB、Genbank受託番号AF22
9053)、Gary S.C.,et al.,Gene,2000,256:39-
147、Clark H.F.,et al.,Genome Res.,2003,1
3:2265-2270、Strausberg,R.L.,et al.Proc.N
atl.Acad.Sci.U.S.A.,2002,99:16899-16903、
US2003/186372(請求項11)、US2003/186373(請求項11
)、US2003/119131(請求項1、図52)、US2003/119122(
請求項1、図52)、US2003/119126(請求項1)、US2003/119
121(請求項1、図52)、US2003/119129(請求項1)、US2003
/119130(請求項1)、US2003/119128(請求項1、図52)、US
2003/119125(請求項1)、WO2003/016475(請求項1)、WO
2002/02634(請求項1)。
(22)EphB2R(DRT、ERK、Hek5、EPHT3、Tyro5、Gen
bank受託番号NM_004442)Chan,J.and Watt,V.M.,O
ncogene,1991,6(6):1057-1061、Oncogene,199
5,10(5):897-905、Annu.Rev.Neurosci., 1998,
21:309-345、Int.Rev.Cytol.,2000,196:177-2
44、WO2003/042661(請求項12)、WO2000/53216(請求項
1、41頁)、WO2004/065576(請求項1)、WO2004/020583
(請求項9)、WO2003/004529(128~132頁)、WO2000/53
216(請求項1、42頁)、相互参照:MIM:600997、NP_004433.
2、NM_004442_1。
(23)ASLG659(B7h、Genbank受託番号AX092328)US2
004/0101899(請求項2)、WO2003/104399(請求項11)、W
O2004/000221(図3)、US2003/165504(請求項1)、US2
003/124140(実施例2)、US2003/065143(図60)、WO20
02/102235(請求項13、299頁)、US2003/091580(実施例2
)、WO2002/10187(請求項6、図10)、WO2001/94641(請求
項12、図7b)、WO2002/02624(請求項13、図1A~1B)、US20
02/034749(請求項54、45~46頁)、WO2002/06317(実施例
2;320~321頁、請求項34、321~322頁)、WO2002/71928(
468~469頁)、WO2002/02587(実施例1、図1)、WO2001/4
0269(実施例3、190~192頁)、WO2000/36107(実施例2、20
5~207頁)、WO2004/053079(請求項12)、WO2003/0049
89(請求項1)、WO2002/71928(233~234頁、452~453頁)
、WO0116318。
(24)PSCA(前立腺幹細胞抗原前駆体、Genbank受託番号AJ29743
6)Reiter R.E.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.
U.S.A.,1998,95:1735-1740、Gu Z.,et al.,On
cogene,2000,19:1288-1296、Biochem.Biophys
.Res.Commun.,2000,275(3):783-788、WO20040
/22709、EP1394274(実施例11)、US2004/018553(請求
項17)、WO2003/008537(請求項1)、WO2002/81646(請求
項1、164頁)、WO2003/003906(請求項10、288頁)、WO200
1/40309(実施例1、図17)、US2001/055751(実施例1、図1
)、WO2000/32752(請求項18、図1)、WO1998/51805(請求
項17、97頁)、WO1998/51824(請求項10、94頁)、WO1998/
40403(請求項2、図1B)、受託番号:O43653、EMBL、AF04349
8、AAC39607.1。
(25)GEDA(Genbank受託番号AY260763)、AAP14954脂
肪腫HMGIC融合パートナー様タンパク質/pid=AAP14954.1-ホモサピ
エンス種:ホモサピエンス(ヒト)WO2003/054152(請求項20)、WO2
003/000842(請求項1)、WO2003/023013(実施例3、請求項2
0)、US2003/194704(請求項45)、相互参照:GI:30102449
、AAP14954.1、AY260763_1。
(26)BAFF-R(B細胞活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3、Gen
bank受託番号AF116456)、BAFF受容体/pid=NP_443177.
1-Homo sapiens Thompson,J.S.,et al.,Scie
nce,2001,293(5537)、2108-2111、WO2004/0583
09、WO2004/011611、WO2003/045422(実施例、32~33
頁)、WO2003/014294(請求項35、図6B)、WO2003/03584
6(請求項70、615~616頁)、WO2002/94852(欄136~137)
、WO2002/38766(請求項3、133頁)、WO2002/24909(実施
例3、図3)、相互参照:MIM:606269、NP_443177.1、NM_05
2945_1、AF132600。
(27)CD22(B細胞受容体CD22-Bアイソフォーム、BL-CAM、Lyb
-8、Lyb8、SIGLEC-2、FLJ22814、Genbank受託番号AK0
26467)、Wilson,et al.,J.Exp.Med.,1991,173
:137-146、WO2003/072036(請求項1、図1)、相互参照:MIM
:107266、NP_001762.1、NM_001771_1。
(28)CD79a(CD79A、CD79α、免疫グロブリン関連アルファ、Igベ
ータ(CD79B)と共有結合により相互作用し、IgM分子と表面上で複合体を形成し
、B細胞分化に関与するシグナルを伝達するB細胞特異的タンパク質)、pI:4.84
、分子量:25028 TM:2[P]遺伝子染色体:19q13.2、Genbank
受託番号NP_001774.10)WO2003/088808、US2003/02
28319、WO2003/062401(請求項9)、US2002/150573(
請求項4、13~14頁)、WO9958658(請求項13、図16)、WO9207
574(図1)、US5,644,033、Ha,et al.,J.Immunol.
,1992,148(5):1526-1531、Mueller,et al.,Eu
r.J.Biochem.,1992,22:1621-1625、Hashimoto
,et al.,Immunogenetics,1994,40(4):287-29
5、Preud’homme,et al.,Clin.Exp.Immunol.,1
992,90(1):141-146、Yu,et al.,J.Immunol.,1
992,148(2)633-637、Sakaguchi,et al.,EMBO
J.,1988,7(11):3457-3464。
(29)CXCR5(バーキットリンパ腫受容体1、CXCL13ケモカインによって
活性化され、リンパ球遊走及び体液性免疫において機能し、HIV-2感染症、ならびに
恐らく、AIDS、リンパ腫、骨髄腫、及び白血病の発症において働くGタンパク質共役
型受容体)、372aa、pI:8.54 分子量:41959 TM:7[P]遺伝子
染色体:11q23.3、Genbank受託番号NP_001707.1)、WO20
04/040000、WO2004/015426、US2003/105292(実施
例2)、US6,555,339(実施例2)、WO2002/61087(図1)、W
O2001/57188(請求項20、269頁)、WO2001/72830(12~
13頁)、WO2000/22129(実施例1、152~153頁、実施例2、254
~256頁)、WO1999/28468(請求項1、38頁)、US5,440,02
1(実施例2、欄49~52)、WO9428931(56~58頁)、WO1992/
17497(請求項7、図5)、Dobner,et al.,Eur.J.Immun
ol.,1992,22:2795-2799、Barella,et al.,Bio
chem.J.,1995,309:773-779。
(30)HLA-DOB(ペプチドに結合し、CD4+Tリンパ球にそれらを提示する
、MHCクラスII分子のベータサブユニット(Ia抗原))、273aa、pI:6.
56、分子量:30820 TM:1[P]遺伝子染色体:6p21.3、Genban
k受託番号NP_002111.1)、Tonnelle,et al.,EMBO J
.,1985,4(11):2839-2847、Jonsson,et al.,Im
munogenetics,1989,29(6):411-413、Beck,et
al.,J.Mol.Biol.,1992,228:433-441、Strausb
erg,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci USA,2002,9
9:16899-16903、Servenius,et al.,J.Biol.Ch
em.,1987,262:8759-8766、Beck,et al.,J.Mol
.Biol.,1996,255:1-13、Naruse,et al.,Tissu
e Antigens,2002,59:512-519、WO9958658(請求項
13、図15)、US6,153,408(欄35~38)、US5,976,551(
欄168~170)、US6,011,146(欄145~146)、Kasahara
,et al.,Immunogenetics,1989,30(1):66-68、
Larhammar,et al.,J.Biol.Chem.,1985,260(2
6):14111-14119。
(31)P2X5(プリン受容体P2Xリガンド開口型イオンチャネル5、シナプス伝
達及び神経発生に関与し得る、細胞外ATPによって開閉されるイオンチャネル、欠損す
ると特発性の排尿筋不安定の病態生理に寄与し得る)、422aa)、pI:7.63、
分子量:47206 TM:1[P]遺伝子染色体:17p13.3、Genbank受
託番号NP_002552.2)、Le,et al.,FEBS Lett.,199
7,418(1-2):195-199、WO2004/047749、WO2003/
072035(請求項10)、Touchman,et al.,Genome Res
.,2000,10:165-173、WO2002/22660(請求項20)、WO
2003/093444(請求項1)、WO2003/087768(請求項1)、WO
2003/029277(82頁)。
(32)CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb-2)、pI:8.66、分子量
:40225 TM:1[P]遺伝子染色体:9p13.3、Genbank受託番号N
P_001773.1)、WO2004/042346(請求項65)、WO2003/
026493(51~52頁、57~58頁)、WO2000/75655(105~1
06頁)、Von Hoegen,et al.,J.Immunol.,1990,1
44(12):4870-4877、Strausberg,et al.,Proc.
Natl.Acad.Sci USA,2002,99:16899-16903。
(33)LY64(リンパ球抗原64(RP105)、ロイシンリッチ反復(LRR)
ファミリーのI型膜タンパク質、B細胞の活性化及びアポトーシスを制御し、機能消失は
、全身性エリテマトーデス患者における疾患活性の増加に関連する)、661aa、pI
:6.20、分子量:74147 TM:1[P]遺伝子染色体:5q12、Genba
nk受託番号NP_005573.1)、US2002/193567、WO97071
98(請求項11、39~42頁)、Miura,et al.,Genomics,1
996,38(3):299-304、Miura,et al.,Blood,199
8,92:2815-2822、WO2003/083047、WO9744452(請
求項8、57~61頁)、WO2000/12130(24~26頁)。
(34)FcRH1(Fc受容体様タンパク質1、C2型Ig様及びITAMドメイン
を含有する免疫グロブリンFcドメインの推定上の受容体、B-リンパ球分化において役
割を有し得る)、429aa、pI:5.28、分子量:46925 TM:1[P]遺
伝子染色体:1q21-1q22、Genbank受託番号NP_443170.1)、
WO2003/077836、WO2001/38490(請求項6、図18E-1~1
8-E-2)、Davis,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci U
SA,2001,98(17):9772-9777、WO2003/089624(請
求項8)、EP1347046(請求項1)、WO2003/089624(請求項7)

(35)IRTA2(免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連2、B細胞の
成長及びリンパ腫形成に潜在的な役割を有する推定上の免疫受容体、転座による遺伝子の
制御解除が一部のB細胞悪性腫瘍で生じる)、977aa、pI:6.88 分子量:1
06468 TM:1[P]遺伝子染色体:1q21、Genbank受託番号Huma
n:AF343662、AF343663、AF343664、AF343665、AF
369794、AF397453、AK090423、AK090475、AL8341
87、AY358085;Mouse:AK089756、AY158090、AY50
6558;NP_112571.1、WO2003/024392(請求項2、図97
、Nakayama,et al.,Biochem.Biophys.Res.Com
mun.,2000,277(1):124-127、WO2003/077836、W
O2001/38490(請求項3、図18B-1~18B-2)。
(36)TENB2(TMEFF2、トモレグリン、TPEF、HPP1、TR、推定
上の膜貫通プロテオグリカン、成長因子のEGF/ヘレグリンファミリー及びホリスタチ
ンに関連する)、374aa、NCBI受託番号:AAD55776、AAF91397
、AAG49451、NCBI参照配列:NP_057276、NCBI遺伝子:236
71、OMIM:605734、SwissProt Q9UIK5、Genbank受
託番号AF179274、AY358907、CAF85723、CQ782436、W
O2004/074320、JP2004/113151、WO2003/042661
、WO2003/009814、EP1295944(69~70頁)、WO2002/
30268(329頁)、WO2001/90304、US2004/249130、U
S2004/022727、WO2004/063355、US2004/197325
、US2003/232350、US2004/005563、US2003/1245
79、Horie,et al.,Genomics,2000,67:146-152
、Uchida,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commu
n.,1999,266:593-602、Liang,et al.,Cancer
Res.,2000,60:4907-12、Glynne-Jones,et al.
,Int.J.Cancer,2001,94(2):178-84。
(37)PMEL17(シルバーホモログ(silver homolog)、SIL
V、D12S53E、PMEL17、SI、SIL)、ME20、gp100)BC00
1414、BT007202、M32295、M77348、NM_006928、Mc
Glinchey,R.P.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.
U.S.A.,2009,106(33):13731-13736、Kummer,M
.P.,et al.,J.Biol.Chem.,2009,284(4),2296
-2306。
(38)TMEFF1(EGF様ドメイン及び2つのホリスタチン様ドメイン1を有す
る膜貫通タンパク質、トモレグリン1)、H7365、C9orf2、C9ORF2、U
19878、X83961、NM_080655、NM_003692、Harms,P
.W.,Genes Dev.,2003,17(21),2624-2629、Ger
y,S.,et al.,Oncogene,2003,22(18):2723-27
27。
(39)GDNF-Ra1(GDNFファミリー受容体アルファ1、GFRA1、GD
NFR、GDNFRA、RETL1、TRNR1、RET1L、GDNFR-アルファ1
、GFR-ALPHA-1)、U95847、BC014962、NM_145793
NM_005264、Kim,M.H.,et al.,Mol.Cell.Biol.
,2009,29(8),2264-2277、Treanor,J.J.,et al
.,Nature,1996,382(6586):80-83。
(40)Ly6E(リンパ球抗原6複合物、遺伝子座E、Ly67、RIG-E、SC
A-2、TSA-1)、NP_002337.1、NM_002346.2、de No
oij-van Dalen,A.G.,et al.,Int.J.Cancer,2
003,103(6):768-774、Zammit,D.J.,et al.,Mo
l.Cell.Biol.,2002,22(3):946-952。
(41)TMEM46(シサホモログ(shisa homolog)2(Xenop
us laevis)、SHISA2)、NP_001007539.1、NM_001
007538.1、Furushima,K.,et al.,Dev.Biol.,2
007,306(2):480-492、Clark,H.F.,et al.,Gen
ome Res.,2003,13(10):2265-2270。
(42)Ly6G6D(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座G6D、Ly6-D、MEG
T1)、NP_067079.2、NM_021246.2、Mallya,M.,et
al.,Genomics,2002,80(1):113-123、Ribas,G
.,et al.,J.Immunol.,1999,163(1):278-287。
(43)LGR5(ロイシンリッチ反復含有Gタンパク質結合型受容体5、GPR49
、GPR67)、NP_003658.1、NM_003667.2、Salanti,
G.,et al.,Am.J.Epidemiol.,2009,170(5):53
7-545、Yamamoto,Y.,et al.,Hepatology,2003
,37(3):528-533。
(44)RET(retがん原遺伝子、MEN2A、HSCR1、MEN2B、MTC
1、PTC、CDHF12、Hs.168114、RET51、RET-ELE1)、N
P_066124.1、NM_020975.4、Tsukamoto,H.et al
.,Cancer Sci.,2009,100(10):1895-1901、Nar
ita,N.,et al.,Oncogene,2009,28(34):3058-
3068。
(45)LY6K(リンパ球抗原6複合物、遺伝子座K、LY6K、HSJ00134
8、FLJ35226)、NP_059997.3、NM_017527.3、Ishi
kawa,N.et al.,Cancer Res.,2007,67(24):11
601-11611、de Nooij-van Dalen,A.G.,et al.
,Int.J.Cancer,(2003,103(6):768-774。
(46)GPR19(Gタンパク質結合型受容体19、Mm.4787)、NP_00
6134.1、NM_006143.2、Montpetit,A.and Sinne
tt,D.,Hum.Genet.,1999,105(1-2):162-164、O
’Dowd,B.F.,et al.,FEBS Lett.,1996,394(3)
:325-329。
(47)GPR54(KISS1受容体、KISS1R、GPR54、HOT7T17
5、AXOR12)、NP_115940.2、NM_032551.4、Naveno
t,J.M.,et al.,Mol.Pharmacol.,2009,75(6):
1300-1306、Hata,K.et al.,Anticancer Res.2
009,29(2):617-623。
(48)ASPHD1(アスパラギン酸ベータヒドロキシラーゼドメイン含有1、LO
C253982)、NP_859069.2、NM_181718.3、Gerhard
,D.S.,et al.,Genome Res.,2004,14(10B):21
21-2127。
(49)チロシナーゼ(TYR、OCAIA、OCA1A、チロシナーゼ、SHEP3
)、NP_000363.1、NM_000372.4、Bishop,D.T.,et
al.,Nat.Genet.,2009,41(8):920-925、Nan,H
.,et al.,Int.J.Cancer,2009,125(4):909-91
7。
(50)TMEM118(ringフィンガータンパク質、膜貫通2、RNFT2、F
LJ14627)、NP_001103373.1、NM_001109903.1、C
lark,H.F.,et al.,Genome Res.,2003,13(10)
:2265-2270、Scherer,S.E.,et al.,Nature,20
06,440(7082):346-351。
(51)GPR172A(Gタンパク質結合型受容体172A、GPCR41、FLJ
11856、D15Ertd747e)、NP_078807.1、NM_024531
.3、Ericsson,T.A.,et al.,Proc.Natl.Acad.S
ci.U.S.A.,2003,100(11):6759-6764、Takeda,
S.,et al.,FEBS Lett.,2002,520(1-3):97-10
1。
(52)シアル酸に結合する免疫グロブリン様レクチンファミリーのメンバーであるC
D33は、67kDaのグリコシル化膜貫通タンパク質である。CD33は、発生運命が
決定した骨髄単球性前駆細胞及び赤血球前駆細胞以外に、ほとんどの骨髄性白血病細胞及
び単球性白血病細胞上で発現する。これは、最初期の多能性幹細胞、成熟顆粒球、リンパ
系細胞、または非造血系細胞には見られない(Sabbath,et al.,J.Cl
in.Invest.,1985,75:756-56、Andrews,et al.
,Blood,1986,68:1030-5)。CD33は、その細胞質尾部に2個の
チロシン残基を有し、これらの各々に、多くの阻害性受容体に見られる免疫受容体チロシ
ンベース阻害モチーフ(ITIM)に類似する疎水性残基が続いている。
(53)CLL-1(CLEC12A、MICL、及びDCAL2)は、C型レクチン
/C型レクチン様ドメイン(CTL/CTLD)スーパーファミリーのメンバーをコード
する。このファミリーのメンバーは、共通のタンパク質フォールドを共有し、細胞接着、
細胞間シグナル伝達、糖タンパク質ターンオーバー、ならびに炎症及び免疫応答における
役割などの多様な機能を有する。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、顆粒球
及び単球の機能の負の調節因子である。この遺伝子のいくつかの選択的スプライス転写産
物変異体がこれまでに記載されているが、これらの変異体のうちのいくつかに関しては完
全長の性質が決定されていない。この遺伝子は、染色体12p13上のナチュラルキラー
遺伝子複合体領域内の他のCTL/CTLDスーパーファミリーメンバーと密接に関連し
ている(Drickamer,K.,Curr.Opin.Struct.Biol.,
1999,9(5):585-90;van Rhenen,A.,et al.,Bl
ood,2007,110(7):2659-66;Chen,C.H.,et al.
,Blood,2006,107(4):1459-67;Marshall,A.S.
,et al.,Eur.J.Immunol.,2006,36(8):2159-6
9;Bakker,A.B.,et al.,Cancer Res.,2005,64
(22):8443-50;Marshall,A.S.,et al.,J.Biol
.Chem.,2004,279(15):14792-802)。CLL-1は、単一
のC型レクチン様ドメイン(カルシウムまたは糖のいずれにも結合することが予測されて
いない)、ストーク領域、膜貫通ドメイン、及びITIMモチーフを含有する短い細胞質
尾部を含む、II型膜貫通受容体であることが示されている。
(54)CD70(CD27リガンド;CD27-L);CD27に結合するサイトカ
イン)は、T細胞活性化における役割を担い、共刺激されたT細胞の増殖を誘導し、細胞
溶解性T細胞の生成を高める。CD70タンパク質は、T及びB細胞リンパ腫などの高度
に活性化されたリンパ球で発現する(Israel,B.F.,et al.,Mol.
Cancer Ther.,2005,4(12):2037-44;O’Neill,
R.E.,et al.,J.Immunol.,2017,199(10):3700
-3710;Leigh,N.D.,et al.,J.Immunol.,2017,
199(1):336-347;Itani,H.A.,et al.,Circ.Re
s.,2016,118(8):1233-43;Burchill,M.A.,et
al.,Eur.J.Immunol.,2015,45(11):3140-9;Al
lam,A.,et al.,J.Immunol.,2014,193(2):871
-8).
(55)CLDN18.2(クローディン-18 スプライスバリアント2);CLD
N18は、ヒト遺伝子クローディン18をコードする。これはクローディン-18、SF
TA5、及びSFTPJとしても知られる。コードされるタンパク質は、261個のアミ
ノ酸長及び27.9kDaの質量を有する。CLDN18は、クローディンファミリーの
メンバーである(WO 2013/167295、WO2016/166122)。タイ
トジャンクション分子であるクローディン18アイソタイプ2(CLDN 18.2)は
、クローディン18のがん関連スプライスバリアントである。CLDN18.2は、2個
の小さい細胞外ループを有する4つの膜貫通ドメインを有する27.8kDaの膜貫通タ
ンパク質である(ループ1は疎水性領域1及び疎水性領域2に含まれ、ループ2は疎水性
領域3及び4に含まれる)。CLDN18.2は、短寿命の分化した胃上皮細胞でのみ発
現し、他のいずれの正常ヒト組織でも検出されない、極めて選択性の高い胃系統抗原であ
る。この抗原は、胃食道癌及び膵癌をはじめとする多様なヒトのがんにおいて顕著なレベ
ルで異所性に発現する(Sahin,U.,et al.,Clin.Cancer R
es.,2008,14(23):7624-34)。CLDN18.2タンパク質は、
胃癌のリンパ節転移において、また、遠隔転移においてもしばしば検出される。CLDN
18.2は、siRNA技術による標的の発現低下が胃癌細胞の増殖の阻害につながるこ
とから、CLDN18.2陽性腫瘍細胞の増殖に関与していると考えられる。1MAB3
62は、CLDN18.2を標的とするIgG1サブタイプのキメラモノクローナル抗体
である。1MAB362は、CLDN18.2の第1細胞外ドメインを高い親和性かつ特
異性で認識し、密接に関連したクローディン18のスプライスバリアント1を含む他のい
ずれのクローディンファミリーのメンバーにも結合しない。
(56)CD151(Cluster of differentiation 151
、Tspan24、PETA-3、SFA-1);Raph血液型由来のヒト遺伝子。C
D151遺伝子によってコードされるタンパク質は、テトラスパンファミリーとしても知
られる4回膜貫通スーパーファミリーのメンバーである。これらのメンバーの多くは、4
つの疎水性ドメインの存在によって特徴付けられる細胞表面タンパク質である。これらの
タンパク質は、細胞の発生、活性化、増殖、及び運動性の調節において役割を担うシグナ
ルトランスダクション事象を媒介する。このコードされたタンパク質は、インテグリン及
び他の4回膜貫通スーパーファミリーのタンパク質と複合体を形成することが知られてい
る細胞表面糖タンパク質である。このタンパク質は、細胞接着をはじめとする細胞プロセ
スに関与しており、インテグリンのトラフィッキング及び/または機能を調節すると考え
られる。このタンパク質は、細胞運動性、がん細胞の浸潤及び転移を増大させる。同じタ
ンパク質をコードする複数の選択的にスプライスされた転写バリアントがこの遺伝子につ
いて記載されている(Berditchevski F.,J.Cell Sci.,2
002,114(Pt 23):4143-51;Ashman,L.K.,J.Bio
l.Regul.Homeost.Agents,2003,16(3):223-6;
Sincock,P.M.,et al.,J.Histochem.Cytochem
.,1997,45(4):515-25;Fitter S,et al.,Bioc
him.Biophys.Acta.,1998,1398(1):75-85;Sin
cock,P.M.,et al.,J.Cell Sci.,1999,112(Pt
6):833-44;Sterk,L.M.,et al.,J.Cell Biol
.,2000,149(4):969-82;Zhang,X.A.,Mol.Biol
.Cell.,2002,13(1):1-11)。
(57)ITGaV(インテグリンα-V,CD51;MSK8;VNRA;VTNR
);ヒトのタンパク質はITGAV遺伝子によってコードされる。(Sosnoski,
D.M.,et al.,J.Clin.Invest.,1988,81(6):19
93-8)。ITGAVは、インテグリンのαV鎖をコードする。インテグリンはα鎖と
β鎖からなるヘテロ二量体の膜内在性タンパク質である。αV鎖は、翻訳後切断を受けて
ジスルフィド結合でつながった重鎖と軽鎖を生じ、これが複数のインテグリンβ鎖と組み
合わされることで異なるインテグリンを形成する。既知の関連するβ鎖としては、それぞ
れ細胞外マトリックスリガンドと相互作用することができるβ鎖(β鎖1、3、5、6、
及び8、「ITGB1」、「ITGB3」、「ITGB5」、「ITGB6」、及び「I
TGB8」)があり、これらのうちでおそらく最も研究されているαVβ3インテグリン
はビトロネクチン受容体(VNR)と呼ばれている。接着以外に、多くのインテグリンは
シグナルトランスダクションを促進することが知られている。ITGAV遺伝子の過剰発
現は、大腸直腸癌(Waisberg,J.,et al.,Anticancer R
es.,2014,34(10):5599-607)及び前立腺癌(Cooper,C
.R.,et al.,Neoplasia,2002,4(3):191-4)の進行
及び転移に関連している。モノクローナル抗体インテツムマブ及びアビツズマブは、一部
の腫瘍細胞にみられるこのタンパク質を標的としている(Elez,E.,et al.
,Ann.Oncology,2015,26(1):132-40)。
【0128】
更なる例示的な抗原としては、これらに限定されるものではないが、(58)ネクチン
-4、(59)FGFR2、(60)FGFR3、(61)gpNMB、(62)GUC
Y2C、(63)CLDN6、(64)cMET、(65)CEACAM4、(66)C
EACAM5、(67)CD29、(68)CD37、(69)CD352、(70)C
D248、(71)MUC1、(72)CD123、(73)BCMA、(74)ADA
M9、(75)5T4、(76)P-カドヘリン、(77)CA9、(78)CD138
、(79)CD166、(80)CD71、(81)CD22、(82)CD20、(8
3)CD74、(84)DLL3、(85)葉酸受容体α、(86)ITGa2、(87
)ITGa3、(88)LAMP1、(89)LIV-1、(90)MMP14、(91
)LRCC15、(92)MSLN、(93)PMSA、(94)PRLR、(95)P
TK7、(96)SLAMF7、(97)SCL44A4、(98)SLTRK5、(9
9)TM4SF1、及び(100)TROP2が挙げられる。
【0129】
本発明の特定の実施形態では、TAAは、HER2、CD33、CD70、MUC1/
CanAg、MUC16、CD151及びITGaVからなる群から選択される。
【0130】
抗体薬物複合体(毒素リンカー抗体)化合物
別の態様によれば、本発明は、式(III):
T-L’-Ab (III)
[式中、
L’は、リンカー部分であり、
Tは、式(I’):
【化21】

(式中、
Rは、-(CH-R;場合により、ハロゲン、-CF、-C1~6アルキル
、及び-O-C1~6アルキルのうちの1つ以上で置換された-C5~6ヘテロアリール
;-C(R)=N-R;-CH(CF)NH(CHCH;-C(R
)NH(CHCH;-C(ハロゲン)=CH(CHCH;-SO-N
H(CHCH;-O(CO)-アリール;-O(CO)-ヘテロアリール;-N
;及び、-NH-ヘテロアリールからなる群から選択され、
は、-O-CR(CHCHまたは-N-CR(CH
であり、
とRとは、それらが結合した原子とともにC3~10の複素環式環を形成し、
は、-CNまたは-NH(CHCHであり、
は、-(CHCHまたは-O-(CHCHであり、
各nは、独立して1、2、または3であり、
各mは、独立して0、1、2、または3である)
の基であり、
Abは、抗体である]
の化合物または化合物群またはこれらの薬学的に許容される塩に関する。
【0131】
特定の例示的な実施形態では、L’は、式(B)、式(B)、式(B)、及び式
(B):
【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

(式中、qは、3、4、5、6、7、8、9、または10である)
からなる群から選択される。
【0132】
特定の例示的な実施形態では、Rは、
【化26】

からなる群から選択される。
【0133】
式(III)の非限定的な1つの例は、式(C):
【化27】

(式中、R及びqは上記と同様であり、Abは上記と同様の抗体である)を有する。式
(III)の更なる非限定的な例は、式(C):
【化28】

(式中、Rは上記と同様であり、Abは上記と同様の抗体である)を有する。式(II
I)の別の非限定的な例は、式(C):
【化29】

(式中、Rは上記と同様であり、Abは上記と同様の抗体である)を有する。式(II
I)の更なる非限定的な例は、式(C):
【化30】

(式中、Rは上記と同様であり、Abは上記と同様の抗体であり、nは、上記と同様、
1、2、または3である)を有する。式(III)の別の非限定的な例は、式(C):
【化31】

(式中、Rは上記と同様であり、Abは上記と同様の抗体であり、qは、上記と同様、
3、4、5、6、7、8、9、または10である)を有する。
【0134】
例示的な実施形態では、抗体は、下記(1)~(100)から選択される1つ以上の腫
瘍関連または細胞表面受容体に結合する。すなわち、
(1)BMPR1B(骨形態形成タンパク質受容体IB型);(2)E16(LAT1
、SLC7A5);(3)STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原);(4)MUC1
6(0772P、CA125);(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増強
因子、メソテリン);(6)Napi2b(NAPI-3B、NPTIIb、SLC34
A2、溶質担体ファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依
存性リン酸輸送体3b);(7)Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445
、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、セマド
メイン、7回トロンボスポンジン反復(1型及び1型様)、膜貫通ドメイン(TM)及び
短細胞質ドメイン、(セマフォリン)5B);(8)PSCA hlg(2700050
C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C
12、RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子);(9)ETBR(エンド
セリンB型受容体);(10)MSG783(RNF124、仮想タンパク質FLJ20
315);(11)STEAP2(HGNC_8639、IPCA-1、PCANAP1
、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパ
ク質1、前立腺6回膜貫通上皮抗原2、6回膜貫通前立腺タンパク質);(12)Trp
M4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容体電
位カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4);(13)CRIPTO(CR、
CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌腫由来成長因子);(14)CD
21(CR2(補体受容体2)またはC3DR(C3d/エプスタインバーウイルス受容
体)またはHs 73792);(15)CD79b(CD79B、CD79β、IGb
(免疫グロブリン関連ベータ)、B29);(16)FcRH2(IFGP4、IRTA
4、SPAP1A(SH2ドメイン含有ホスファターゼアンカータンパク質1a)、SP
AP1B、SPAP1C);(17)HER2;(18)NCA;(19)MDP;(2
0)IL20Rα;(21)ブレビカン;(22)EphB2R;(23)ASLG65
9;(24)PSCA;(25)GEDA;(26)BAFF-R(B細胞活性化因子受
容体、BLyS受容体3、BR3);(27)CD22(B細胞受容体CD22-Bアイ
ソフォーム);(28)CD79a(CD79A、CD79α、免疫グロブリン関連アル
ファ);(29)CXCR5(バーキットリンパ腫受容体1);(30)HLA-DOB
(MHCクラスII分子のベータサブユニット(Ia抗原));(31)P2X5(プリ
ン作動性受容体P2Xリガンド開口型イオンチャネル5);(32)CD72(B細胞分
化抗原CD72、Lyb-2);(33)LY64(リンパ球抗原64(RP105)、
ロイシンリッチリピート(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質);(34)FcRH
1(Fc受容体様タンパク質1);(35)FcRH5(IRTA2、免疫グロブリンス
ーパーファミリー受容体転座関連2);(36)TENB2(推定膜貫通プロテオグリカ
ン);(37)PMEL17(シルバーホモログ、SILV、D12S53E、PMEL
17、SI、SIL);(38)TMEFF1(EGF様及び2つのホリスタチン様ドメ
イン1を有する膜貫通タンパク質、トモレグリン-1);(39)GDNF-Ra1(G
DNFファミリー受容体アルファ1、GFRA1、GDNFR、GDNFRA、RETL
1、TRNR1、RET1L、GDNFR-アルファ1、GFR-ALPHA-1);(
40)Ly6E(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座E、Ly67、RIG-E、SCA-
2、TSA-1);(41)TMEM46(シサホモログ2(アフリカツメガエル)、S
HISA2);(42)Ly6G6D(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座G6D、Ly6
-D、MEGT1);(43)LGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役
受容体5、GPR49、GPR67);(44)RET(retプロト癌遺伝子、MEN
2A、HSCR1、MEN2B、MTC1、PTC、CDHF12、Hs.168114
、RET51、RET-ELE1);(45)LY6K(リンパ球抗原6複合体、遺伝子
座K、LY6K、HSJ001348、FLJ35226);(46)GPR19(Gタ
ンパク質共役受容体19、Mm.4787);(47)GPR54(KISS1受容体、
KISS1R、GPR54、HOT7T175、AXOR12);(48)ASPHD1
(アスパラギン酸ベータヒドロキシラーゼドメイン含有1、LOC253982);(4
9)チロシナーゼ(TYR、OCAIA、OCA1A、チロシナーゼ、SHEP3);(
50)TMEM118(リングフィンガータンパク質、膜貫通2、RNFT2、FLJ1
4627);(51)GPR172A(Gタンパク質共役受容体172A、GPCR41
、FLJ11856、D15Ertd747e);(52)CD33;(53)CLL-
1;(54)CD70(CD27リガンド、CD27-L);(55)CLDN18.2
(クローディン-18 スプライスバリアント2);(56)CD151(Cluste
r of differentiation 151、Tspan24、PETA-3、
SFA-1);(57)ITGaV(インテグリン アルファ-V、CD51;MSK8
;VNRA;VTNR);(58)ネクチン-4;(59)FGFR2;(60)FGF
R3;(61)gpNMB;(62)GUCY2C;(63)CLDN6;(64)cM
ET;(65)CEACAM4;(66)CEACAM5;(67)CD29;(68)
CD37;(69)CD352;(70)CD248;(71)MUC1;(72)CD
123;(73)BCMA;(74)ADAM9;(75)5T4;(76)P-カドヘ
リン;(77)CA9;(78)CD138;(79)CD166;(80)CD71;
(81)CD22;(82)CD20;(83)CD74;(84)DLL3;(85)
葉酸受容体α;(86)ITGa2;(87)ITGa3;(88)LAMP1;(89
)LIV-1;(90)MMP14;(91)LRCC15;(92)MSLN;(93
)PMSA;(94)PRLR;(95)PTK7;(96)SLAMF7;(97)S
CL44A4;(98)SLTRK5;(99)TM4SF1;及び(100)TROP
2。
【0135】
本発明の特定の実施形態では、抗体は、トランスグルタミナーゼの存在下、アシルドナ
ーグルタミン含有タグ(例えば、Gln含有ペプチドタグまたはQタグ)を有するように
操作されたFc含有もしくはFab含有ポリペプチド、またはペプチドエンジニアリング
(例えば、ポリペプチドのアミノ酸の欠失、挿入、置換、変異、またはこれらの任意の組
み合わせ)によって反応性とされた(すなわち、アミン及びトランスグルタミナーゼの存
在下でアシルドナーとして共有結合を形成することができる)内因性グルタミンを介して
結合する。
【0136】
特定の実施形態では、本発明は、上記の抗体薬物複合体及び付随する定義のいずれかに
関し、抗体薬物複合体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の本発明の
化合物を含む。特定の例示的な実施形態では、抗体薬物複合体は、1、2、3、または4
個の本発明の化合物を含む。
【0137】
抗体と共有結合により連結される毒素の数は、特定の毒性化合物及び抗体に応じて異な
りうる。一実施形態では、1~4個の毒素が連結される。別の実施形態では、約1~約4
個の毒素が連結される。更なる実施形態では、約1~約6個の毒素が連結される。複数の
毒素が連結される実施形態では、式(III)の抗体(Ab)は、共有結合によって結合
された複数のT-L’-単位を有する。
【0138】
抗体薬物複合体のローディング(薬物/抗体比)は、異なる方法で制御することが可能
であり、例えば、(i)抗体に対する薬物リンカー中間体である式(II)の化合物のモ
ル過剰量を制限する、(ii)複合体化の反応時間または温度を制限する、及び(iii)システ
インチオール基修飾の還元的条件を部分的に制限または制限することによって行うことが
できる。
【0139】
複数の求核基が薬物と反応する場合、得られる生成物は、抗体に結合された1つ以上の
薬物部分の分布を有する式(III)の抗体薬物複合体化合物の混合物である。抗体1個
当たりの薬物の平均の数は、抗体に対して特異的であり、かつ薬物に対しても特異的であ
る二重ELISA抗体アッセイによって混合物から計算することができる。個々の抗体薬
物複合体分子を質量分析によって混合物中で同定し、HPLC、例えば疎水性相互作用ク
ロマトグラフィーによって分離することができる(例えば、McDonagh,et a
l.,Prot.Engr.Design Sel.,2006,19(7):299-
307;Hamblett,et al.,Clin.Cancer Res.,200
4,10:7063-7070;Hamblett,K.J.,et al.“Effe
ct of drug loading on the pharmacology,p
harmacokinetics,and toxicity of an anti-
CD30 antibody-drug conjugate,” Abstract
No.624,American Association for Cancer R
esearch,2004 Annual Meeting,March 27-31,
2004,Proceedings of the AACR,Volume 45,M
arch 2004;Alley,S.C.,et al.,“Controlling
the location of drug attachment in anti
body-drug conjugates,” Abstract No.627,A
merican Association for Cancer Research,
2004 Annual Meeting,March 27-31,2004,Pro
ceedings of the AACR,Volume 45,March 200
4を参照)。特定の実施形態では、単一のローディング値を有する均質な抗体薬物複合体
を、電気泳動またはクロマトグラフィーによって複合体化混合物から単離することができ
る。
【0140】
インビトロ細胞増殖アッセイ
本発明の細胞毒性薬物化合物及び抗体薬物複合体は、インビトロで様々ながん細胞株の
増殖を抑制する能力について評価することができる。
【0141】
一般的に、細胞毒性薬物またはADCの細胞毒性もしくは細胞増殖抑制活性は、受容体
タンパク質(例えばHER2)を有する哺乳動物細胞を細胞培養培地中でADCの抗体に
曝露し、細胞を約6時間~5日間の時間にわたって培養し、細胞生存率を測定することに
よって測定される。細胞に基づいたインビトロアッセイを用いることで、本発明のADC
の生存率(増殖率)、細胞毒性、及びアポトーシスの誘導(カスパーゼ活性)が測定され
る。
【0142】
例えば、細胞毒性薬物またはADCのインビトロ有効性は、細胞増殖アッセイにより測
定される。CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell
Viability Assayは、甲虫類ルシフェラーゼの組換え発現に基づいた、市
販されている(Promega Corp.,Madison,WI)ホモジニアスなア
ッセイ法である(米国特許第5,583,024号、同第5,674,713号、及び同
第5,700,670号)。この細胞増殖アッセイは、代謝的に活性な細胞の指標である
ATPの存在量に基づいて培養中の生細胞の数を測定するものである(Crouch,e
t al., J.Immunol.Meth.,1993,160:81-88;米国
特許第6,602,677)。CellTiter-Glo(登録商標)Assayは9
6ウェルフォーマットで行われるため、自動化された高スループットスクリーニング(H
TS)に適している(Cree,et al.,AntiCancer Drugs,1
995,6:398-404)。このホモジニアスなアッセイ法では、単一の試薬(Ce
llTiter-Glo(登録商標)試薬)を血清添加培地中で培養した細胞に直接加え
る。細胞洗浄、培地の除去、及び複数回のピペッティング工程を必要としない。この系は
、試薬の添加及び混合の10分後に384ウェルフォーマットで15細胞/ウェルと少な
い数の細胞を検出する。細胞は細胞毒性薬物化合物またはADCで継続的に処理するか、
または細胞毒性薬物化合物またはADCで処理した後、薬物化合物またはADCから分離
することができる。一般的に、短時間(すなわち3時間)処理した細胞では、継続的に処
理した細胞と同様の有効性が示された。
【0143】
インビボ有効性
本発明の細胞毒性薬物またはADCのインビボ有効性は、腫瘍増殖の阻害における標的
依存性及び用量依存性効果を測定するためのマウスにおける腫瘍異種移植片実験により試
験することができる。細胞毒性薬物またはADCの有効性は、腫瘍細胞の標的抗原発現と
相関しうる。
【0144】
細胞毒性薬物またはADCの有効性は、がん細胞の同種移植片または異種移植片をげっ
歯類に移植し、腫瘍を細胞毒性薬物またはADCで処理することによりインビボで測定さ
れる。細胞株、細胞毒性薬物の用量、がん細胞上に存在する受容体に対するADCの抗体
結合の特異性、投与レジメン、及び他の因子に応じて異なる結果が予想される。細胞毒性
薬物またはADCのインビボ有効性は、Her2を発現するKPL4及びCD22を発現
するBJABを含む、中~高レベルの腫瘍関連抗原を発現するトランスジェニック外植片
マウスモデルを用いて測定することができる。被検動物を、細胞毒性薬物またはADCで
1回処理し、数週間、例えば3~6週間にわたって監視することにより、腫瘍倍加時間、
殺細胞数対数値(log cell kill)、及び腫瘍縮小率を測定することができ
る。フォローアップの用量反応及び複数用量実験を行うことができる。
【0145】
例えば、本発明の抗HER2 ADCのインビボ有効性は、高発現HER2トランスジ
ェニック外植片マウスモデルにより測定することができる(Phillips,et a
l.,Cancer Res.,2008,68:9280-90)。同種移植片を、ハ
ーセプチン(登録商標)(Genentech,Inc.)療法に対して反応しないかま
たは反応が弱いFo5mmtvトランスジェニックマウスから増殖させる。被検動物を所
定の用量レベル(mg/kg)のADCまたはプラシーボバッファーコントロール(溶媒
)で1回または複数回処理し、2週間以上にわたって監視して腫瘍倍加時間、殺細胞数対
数値(log cell kill)、及び腫瘍縮小率を測定する。
【0146】
医薬組成物及び投与方法
他の実施形態では、本発明の別の態様は、有効量の本発明の化合物及び/またはその抗
体薬物複合体と、薬学的に許容される担体もしくは溶媒とを含む医薬組成物または剤形に
関する。
【0147】
本発明の医薬組成物は、組成物を患者に投与することを可能とする任意の形態とするこ
とができる。例えば、組成物は、固体または液体の形態とすることができる。一般的な投
与経路としては、これらに限定されるものではないが、非経口、眼内、及び腫瘍内が挙げ
られる。非経口投与としては、皮下注射、静脈内、筋肉内、または胸骨内注射もしくは注
入法が挙げられる。一態様では、組成物は非経口投与される。特定の実施形態では、組成
物は静脈内投与される。
【0148】
医薬組成物は、本発明の化合物及び/またはその複合体が、患者に組成物を投与した際
に生体利用可能となるように製剤化することができる。組成物は1つ以上の投与単位の形
態を有することができ、例えば、錠剤は単回分の投与単位となりえ、液体の形態の本発明
の化合物及び/またはその抗体薬物複合体の容器は複数回分の投与単位を保持することが
できる。
【0149】
薬学的に許容される担体または溶媒は、固体または粒子状であってよく、したがって、
組成物は例えば錠剤または粉剤の形態である。担体(複数可)は液体であってもよい。更
に、担体(複数可)は粒子状であってもよい。
【0150】
組成物は、例えば、溶液、エマルション、または懸濁液などの液体の形態であってもよ
い。注射によって投与するための組成物中には、界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、
懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤、及び等張化剤のうちの1つ以上が含まれてもよい。
【0151】
液体の組成物は、組成物が溶液、懸濁液、または他の同様の形態であるかによらず、以
下のもののうちの1つ以上を含むことができる。すなわち、滅菌希釈液、例えば、注射用
水、食塩水(好ましくは生理食塩水)、リンゲル液、等張食塩水、固定油、例えば、溶媒
または懸濁媒として機能しうる合成モノグリセリドまたはジグリセリド、ポリエチレング
リコール、グリセリン、シクロデキストリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;抗
菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;酸化防止剤、例えば、アスコ
ルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミンテトラ酢
酸;緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、またはアミノ酸、及び塩化ナトリ
ウムまたはデキストロースなどの浸透圧調節剤。非経口組成物は、アンプル、使い捨て注
射器、またはガラス、プラスチックもしくは他の材料でできた複数回用量用のバイアル中
に封入することができる。生理食塩水は代表的な賦形剤である。注射用の組成物は、滅菌
されていることが好ましい。
【0152】
特定の疾患または状態の治療に有効な本発明の化合物及び/またはその抗体薬物複合体
の量は、疾患または状態の性質によって決まり、標準的な臨床的方法によって決定するこ
とができる。更に、インビトロまたはインビボのアッセイを用いて最適な用量範囲を特定
することができる。組成物中に用いられる正確な用量は投与経路にも依存し、医師の判断
及びそれぞれの患者の状況に応じて決められるべきである。任意の特定の個人に対する特
定の用量レベルは、化合物または抗体薬物複合体の活性、年齢、体重、一般的な身体的及
び精神的健康状態、遺伝的因子、環境要因、性別、食事内容、投与時間、投与経路、排出
速度、及び治療される特定の問題の重症度を含む、広範な因子によって決定される。
【0153】
組成物は、適当な用量が得られるように有効量の本発明の化合物及び/またはその抗体
薬物複合体を含む。一般的に、この量は、組成物の重量にして、本発明の組成物及び/ま
たはその抗体薬物複合体の少なくとも約0.01重量%である。例示的な実施形態では、
医薬組成物は、非経口剤形が約0.01重量%~約2重量%の本発明の化合物及び/また
はその抗体薬物複合体を含有するように調製される。
【0154】
静脈内投与用には、組成物は、患者の体重1kg当たり約0.01~約100mgの本
発明の化合物及び/またはその抗体薬物複合体を含むことができる。一態様では、組成物
は、患者の体重1kg当たり約1~約100mgの本発明の化合物及び/またはその抗体
薬物複合体を含むことができる。別の態様では、投与量は、体重1kg当たり約0.1~
約25mg/kgの範囲の本発明の化合物及び/またはその抗体薬物複合体である。
【0155】
一般的に、患者に投与される本発明の化合物及び/またはその抗体薬物複合体の用量は
、通常、患者の体重1kg当たり約0.01mg/kg~約20mg/kgである。一態
様では、患者に投与される用量は、患者の体重1kg当たり約0.01mg/kg~約1
0mg/kgである。別の態様では、患者に投与される用量は、患者の体重1kg当たり
約0.1mg/kg~約10mg/kgである。更に別の態様では、患者に投与される用
量は、患者の体重1kg当たり約0.1mg/kg~約5mg/kgである。更に別の態
様では、投与される用量は、患者の体重1kg当たり約0.1mg/kg~約3mg/k
gである。更なる態様では、投与される用量は、患者の体重1kg当たり約1mg/kg
~約3mg/kgである。
【0156】
特定の実施形態では、複数の本発明の化合物及び/またはその抗体薬物複合体を、治療
を要する範囲に局所的に投与することが望ましい場合もある。これは、例えば、これらに
限定されるものではないが、術中の局所注入;例えば術後に創傷ドレッシング材と組み合
わせた局所塗布;注射により;カテーテルにより;またはインプラント(インプラントは
、多孔質、非多孔質のもの、またはサイラスティックメンブレンなどのメンブレンを含む
ゼラチン質材料のもの、または繊維である)によって行うことができる。一実施形態では
、投与は、がん、腫瘍、または新生もしくは前新生組織の部位(または以前の部位)に直
接注射することによって行うことができる。別の実施形態では、投与は、自己免疫疾患の
症状発現部位(または以前の部位)に直接注射することによって行うことができる。
【0157】
更に別の実施形態では、本発明の化合物及び/またはその抗体薬物複合体は制御放出シ
ステムによって送達することができ、これらに限定されるものではないが例えばポンプま
たは各種ポリマー材料を使用することができる。更に別の実施形態では、制御放出システ
ムを、本発明の化合物及び/またはその抗体薬物複合体の標的(例えば肝臓)の近くに配
置することができ、これにより、全身用量に比べてわずかな量しか必要としない。
【0158】
「担体」なる用語は、これとともに化合物及び/またはその抗体薬物複合体が投与され
る希釈剤、補助剤、または賦形剤のことを指す。かかる医薬担体は、水及び、石油、動物
、植物または合成由来の油などの液体であってよい。担体は、生理食塩水またはこれに類
するものであってよい。更に、助剤、安定化剤、及び他の剤を使用することもできる。一
実施形態では、患者に投与される際、化合物または複合体及び薬学的に許容される担体は
、無菌状態である。水は、化合物または複合体を静脈内投与する場合の代表的な担体であ
る。生理食塩水ならびにデキストロース及びグリセロール水溶液を液体担体として、特に
注射液として使用することもできる。本発明の組成物は、必要に応じて、少量の湿潤剤も
しくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含んでもよい。
【0159】
一実施形態では、本発明の化合物及び/またはその抗体薬物複合体は、静脈内投与に適
合された医薬組成物の製造における当業者には周知の手順に従って製剤化される。一般的
に、静脈内投与するための担体または溶媒は、無菌の等張バッファー水溶液である。必要
に応じて、組成物は可溶化剤を含んでもよい。静脈内投与するための組成物は、場合によ
り、注射部位の痛みを緩和するためのリグノカインなどの局所麻酔薬を含んでもよい。一
般的に、各成分は、例えば、活性剤の量を示したアンプルなどの密封された容器中で、凍
結乾燥された乾燥粉末または無水濃縮物として、別々に、または単位剤形として互いに混
合されて供給される。本発明の化合物及び/またはその抗体薬物複合体が点滴によって投
与される場合、例えば、無菌の医薬品グレードの水または生理食塩水の入った点滴ボトル
によって分注することができる。本発明の化合物及び/またはその抗体薬物複合体が注射
により投与される場合、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを、投与に先立って各
成分が混合されるように与えることができる。
【0160】
固体であるかまたは液体の形態であるかによらず、本発明の組成物は、がんの治療に用
いられる更なる治療剤(複数可)を含むことができる。例えば、化合物及び/またはそれ
らの抗体薬物複合体は、抗体、アルキル化剤、血管新生阻害剤、代謝拮抗剤、DNAクリ
ーバー、DNA架橋剤、DNA挿入剤、DNA小溝結合剤、エンジイン、熱ショックタン
パク質90阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、免疫調節剤、微小管安定化剤、ヌク
レオシド(プリンまたはピリミジン)類似体、核外輸送阻害剤、プロテアソーム阻害剤、
トポイソメラーゼ(IまたはII)阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、及びセリン/スレ
オニンキナーゼ阻害剤などと組み合わせて投与することができる。特定の治療剤としては
、アダリムマブ、アンサマイトシンP3、アウリスタチン、ベンダムスチン、ベバシズマ
ブ、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カリスタチンA、カ
ンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ、シスプラ
チン、クラドリビン、シタラビン、クリプトフィシン、ダカルバジン、ダサチニブ、ダウ
ノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、デュオカルマイシン、ダイネミシンA、エ
ポシロン、エトポシド、フロキシウリジン、フルダラビン、5-フルオロウラシル、ゲフ
ィチニブ、ゲムシタビン、イピリムマブ、ヒドロキシウレア、イマチニブ、インフリキシ
マブ、インターフェロン、インターロイキン、β-ラパコン、レナリドミド、イリノテカ
ン、メイタンシン、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキ
セート、マイトマイシンC、ニロチニブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、プロカル
バジン、ヒドロキサミン酸サブエロイルアニリド(SAHA)、6-チオグアニジン、チ
オテパ、テニポシド、トポテカン、トラスツズマブ、トリコスタチンA、ビンブラスチン
、ビンクリスチン、及びビンデシンが挙げられる。
【0161】
化合物及び抗体薬物複合体の治療的用途
本発明の別の態様は、がんを治療するために本発明の化合物、それらの抗体薬物複合体
、及びその医薬組成物を使用する方法に関する。特定の実施形態では、複合体は、複合体
特異的な腫瘍またはがん薬物のターゲティングを可能とし、それにより本発明の化合物の
全体的な毒性を低減する。別の実施形態では、抗体単位は、腫瘍細胞またはがん細胞に結
合する。別の実施形態では、抗体単位は、腫瘍細胞またはがん細胞の表面上にある腫瘍細
胞またはがん細胞抗原に結合する。別の実施形態では、抗体単位は、腫瘍細胞またはがん
細胞に関連した細胞外マトリックスタンパク質である腫瘍細胞またはがん細胞抗原に結合
する。特定の腫瘍細胞またはがん細胞に対する抗体単位の特異性は、最も効果的に治療さ
れる腫瘍またはがんを決定するうえで重要となりうる。
【0162】
本発明の化合物及び/またはその抗体薬物複合体によって治療することができる特定の
種類のがんとしては、これらに限定されるものではないが、膀胱、乳房、頸部、結腸、子
宮内膜、腎臓、肺、食道、卵巣、前立腺、膵臓、皮膚、胃、及び睾丸のがん、ならびに、
これらに限定されるものではないが、白血病及びリンパ腫を含む血液がんが挙げられる。
【0163】
一態様では、本明細書で提供される抗体薬物複合体は、がん細胞の増殖を阻害する方法
であって、細胞の表面上の腫瘍関連抗原への抗体または抗体薬物複合体の結合を可能とす
る条件下で細胞を抗体薬物複合体に曝露し、それにより細胞の増殖を阻害することを含む
方法で使用される。特定の実施形態では、方法は、インビトロまたはインビボの方法であ
る。更なる実施形態では、細胞は、リンパ球、リンパ芽球、単球、または骨髄単球細胞で
ある。
【0164】
別の態様では、薬剤として使用するための細胞毒性薬物化合物またはADCが提供され
る。更なる態様では、治療方法において使用するための細胞毒性薬物化合物またはADC
が提供される。特定の実施形態では、がんの治療に使用するための細胞毒性薬物化合物ま
たはADCが提供される。特定の実施形態では、本発明は、有効量の細胞毒性薬物化合物
またはADCを個人に投与することを含む、個人を治療する方法において使用するための
細胞毒性薬物化合物またはADCを提供する。1つのそのような実施形態では、方法は、
有効量の例えば本明細書に記載されるような少なくとも1つの更なる治療剤を個人に投与
することを更に含む。
【0165】
更なる態様では、本発明は、薬剤の製造または調製における細胞毒性薬物化合物または
ADCの使用を提供する。一実施形態では、薬剤は、がんを有する個人に有効量の薬剤を
投与することを含むがんの治療方法のためのものである。1つのそのような実施形態では
、方法は、有効量の例えば本明細書に記載されるような少なくとも1つの更なる治療剤を
個人に投与することを更に含む。
【0166】
更なる態様では、本発明はがんを治療するための方法を提供する。一実施形態では、方
法は、腫瘍関連発現抗原の検出によって特徴付けられるそのようながんを有する個人に有
効量の本発明の抗体薬物複合体を投与することを含む。1つのそのような実施形態では、
方法は、有効量の少なくとも1つの更なる治療剤を個人に投与することを更に含む。
【0167】
本発明の細胞毒性薬物化合物またはADCは、単独で、または他の剤と組み合わせて治
療に用いることができる。例えば、本発明の細胞毒性薬物化合物またはADCは、化学療
法剤などの少なくとも1つの更なる治療剤と同時投与することができる。
【0168】
本明細書に示されるそのような併用療法には、複合投与(同じまたは別々の製剤中に2
種以上の治療剤が含まれる場合)、及び分離投与が包含され、その場合、本発明の細胞毒
性薬物化合物またはADCの投与は、更なる治療剤及び/または助剤の投与の前、同時、
及び/または後に行うことができる。本発明の細胞毒性薬物化合物またはADCは、放射
線治療と併用することもできる。
【0169】
本発明の細胞毒性薬物化合物またはADC(及び任意の更なる治療剤)は、非経口、肺
内、及び鼻腔内、ならびに局所治療が望ましい場合には病巣内投与を含む任意の適当な手
段によって投与することが可能である。非経口投与には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔
内、または皮下投与が挙げられる。投薬は、投与が一時的であるかまたは長期的であるか
に一部基づいて、例えば静脈内または皮下注射などの注射によるなど、任意の適当な経路
によって行うことができる。これらに限定されるものではないが、異なる時点にわたった
単回または複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含む様々な投与計画が本明細書
において想到される。
【0170】
以下の実施例は、例示のために示すものであって、限定のために示すものではない。
【実施例0171】
合成の実験手順
各実験は、特に酸素または湿度に影響される試薬または中間体が用いられる場合、不活
性雰囲気(窒素またはアルゴン)で一般的に行う。市販の溶媒及び試薬を、更なる精製を
行わず、必要に応じて無水溶媒を含めて一般的に使用する。質量分析データは、液体クロ
マトグラフィー-質量分析(LCMS)、または大気圧化学イオン化(APCI)より報
告される。核磁気共鳴(NMR)データの化学シフトは、用いられる重水素化溶媒からの
残留ピークを基準としてパーツ・パー・ミリオン(ppm、δ)で表される。
【0172】
一般的に、反応後に薄層クロマトグラフィー、LCMSまたはHPLCを行い、必要に
応じてワークアップを行う。精製は実験間で異なり、一般に、溶離剤/勾配に使用される
溶媒及び溶媒比は適切な保持時間を与えるように選択される。特に断らない限り、逆相H
PLC画分は凍結乾燥/乾燥凍結によって濃縮する。中間体及び最終化合物は、窒素下、
密閉容器またはフラスコ中、0℃または室温で保管する。
【0173】
一般的手順A1 タイランスタチン類似体毒素化合物の調製
上記に述べたR基を有する本発明の化合物を調製する第1の工程では、R基を有するカ
ルボン酸(式(IV))を、アミノピラン(化合物8)とカップリングさせて中間体アミ
ド(式(V))を生成する。
【化32】
【0174】
N-メチルモルホリン(NMM)(0.12mL,1.0mmol,6.0当量)、1
-エチル-3-(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)(196mg,
1.0mmol,6.0当量)、及び酸(式(IV))(108mg,0.68mmol
,2.0当量)のジクロロメタン溶液(0.6mL)を、25℃のジクロロメタン(5m
L)に溶解したアミン8の攪拌溶液に順番に加えた。2時間後、反応混合物を塩化アンモ
ニウムの飽和水溶液(5.0ml)でクエンチし、各相を分離した。水層をEtOAc(
3×2ml)で抽出し、加え合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃
縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中
、10~30%酢酸エチル)により精製してアミド(式(V))(74mg,0.24m
mol,73%)を無色油状物として得た。
【0175】
A.K.Ghoshらにより述べられる手順に基本的に従って、中間体アミド(式(V
))を、Xがメチルである式(I)に変換した(J.Org.Chem.,2018,8
3(9):5187-5198)。
【化33】
【0176】
一般的手順A2 タイランスタチン類似体毒素化合物の調製
あるいは、上記に述べたR基を有する本発明の化合物を調製する第1の工程では、R基
を有するカルボン酸(式(IV))を、アミノピラン(2R,3R,5S,6S)-2,
5-ジメチル-6-((E)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン-1-イル)テトラヒ
ドロ-2H-ピラン-3-アミン(化合物8)とカップリングさせて式(V)の中間体ア
ミドを生成する。式(V)の中間体アミドを、グラブス第2世代触媒(グラブスII触媒
)を使用してメチル 2-((3R,5S,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-ビニル
-1, 6-ジオキサスピロ [2.5]オクタン-5-イル)アセテート(化合物9)と
反応させ、Xがメチルである式(I)の化合物を得た。
【化34】
【0177】
化合物8(2当量)及び式(IV)のカルボン酸(1当量)をテトラヒドロフラン(T
HF)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(8.3当量)に溶解し
、TP(登録商標)(プロピルホスフィン酸無水物;酢酸エチル中、50%)(5当量
)を室温で加えた。反応混合物を薄層クロマトグラフィー(TLC)によって出発物質が
消費されたことが示されるまでおよそ3時間攪拌した。混合物を真空下で濃縮して粗生成
物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製して所望の式(V)の中間体アミ
ドを得た。
【0178】
精製した式(V)の中間体アミド(1当量)をジクロロメタン(DCM)に溶解し、化
合物9(2当量)及びグラブスII触媒(3.3当量)をアルゴン雰囲気下、室温で攪拌
しながら加えた。混合物を、TLCによって出発物質が消費されたことが示されるまで4
0℃でおよそ5時間攪拌した。反応混合物をセライトパッドに通して濾過し、DCMで洗
浄した。溶媒を真空下で除去して粗生成物を得て、これを分取HPLCで精製して式(I
)の化合物を得た。
【0179】
一般的手順B1 毒素リンカー化合物の調製
【化35】
【0180】
上記に述べたR基を有する本発明の毒素リンカー化合物の合成では、式(I)のカルボ
ン酸部分と選択されたリンカー上のアミンとの間にアミド結合を形成させて式(II)を
得る。
【0181】
式(I)の毒素(0.47mmol,1.0当量)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メ
チレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム 3-オキシドヘ
キサフルオロホスフェート(HATU)(0.58mmol,1.2当量)及びDIEA
(ヒューニッヒ塩基,0.1mL)をDMF(2.0mL)に加えた混合物を周囲温度で
60分間攪拌する。この混合物にリンカー(0.50mmol,1.06当量)をDIE
A(ヒューニッヒ塩基)(0.1mL)とともに加えた。得られた混合物を30分間攪拌
する。反応液に水性ワークアップを行う。リンカーと結合された毒素を含む所望の式(I
I)の生成物を、フラッシュクロマトグラフィーによる更なる精製によって得る。
【0182】
一般的手順B2 毒素リンカー化合物の調製
あるいは、上記に述べたR基及びL基を有する本発明の毒素リンカー化合物の合成は、
スキーム(I)、スキーム(II)またはスキーム(III)に示されるようにして調製
することができる。
スキーム(I)
【化36】

スキーム(II)
【化37】

スキーム(III)
【化38】
【0183】
一般的手順C1 抗体薬物複合体の調製
市販の治療抗体(Ab)をダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS,Lonza)
中に透析する。次いで、透析した抗体(5~10mg/mL)を、反応性N-ヒドロキシ
スクシンイミドエステルまたはマレイミドを含むジメチルスルホキシド(DMSO)中、
10mMの式(II)の毒素リンカー化合物(3~12当量)と、50mMホウ酸緩衝液
(pH8.7)中、室温で2時間反応させる。場合により、50mMホウ酸緩衝液(pH
8.7)はダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS,Lonza)に置き換えられる
。場合により、リンカー-毒素の溶解度/反応性を高めるため、ジメチルアセトアミド(
DMA)またはDMSOを加えて最終反応混合物中、10~15(v/v)%の総有機溶
媒成分とする。次いで、反応混合物を、GE Healthcare Sephadex
G-25Mバッファー交換カラムを製造者の指示にしたがって使用してDPBS(pH
7.4) 中にバッファー交換する。粗物質を、GE AKTA Explorerシス
テムをGE Superdex 200カラム及びDPBS(pH7.4)溶離剤ととも
に使用してサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により精製する。次いで、AKTA
からプールしたモノマー画分を濃縮し、GE Healthcare Sephadex
G-25Mバッファー交換カラムを製造者の指示にしたがって使用して10mMコハク
酸ナトリウムバッファー、5.4%トレハロース(pH5.1)中にバッファー交換する
。式(III)のADCを純度についてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び液
体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(LC-ESI M
S)により更に特性評価して薬物抗体比(ローディング)を計算する。タンパク質濃度を
UV分光光度計により測定する。
【0184】
一般的手順C2 抗体薬物複合体の代替的調製
あるいは、複合体を調製するための還元及び再酸化後にシステイン操作抗体をPBS(
リン酸緩衝生理食塩水)バッファーに溶解して氷上で冷却する。ピリジルジスルフィド、
マレイミド、またはブロモアセトアミドなどのチオール反応性基で活性化された、約1.
5モル~20当量の過剰量の式(II)に基づく薬物リンカー中間体をDMSOに溶解し
、アセトニトリル及び水に希釈し、PBS中で冷却、還元、及び再酸化した抗体に加えた
。通常、薬物リンカーは、DMSOストックから、50mM Tris(pH8)中、約
20mMの濃度で抗体に加え、約1~約24時間、反応混合物のLC-MS分析により測
定して反応が完了するまで監視する。反応が完了した時点で、エチルマレイミドなどの過
剰量のキャッピング試薬を加えて反応を停止させ、未反応の抗体チオール基をキャッピン
グする。複合体化混合物をHiTrap SP FFカラムにロードして溶出させて過剰
な薬物リンカー及び他の不純物を除去する。反応混合物を遠心限外濾過により濃縮し、シ
ステイン操作した抗体薬物複合体をPBS中、G25樹脂に通して精製し、溶出により脱
塩し、滅菌条件下で0.2μmフィルターに通して濾過し、凍結保存する。
【0185】
例えば、抗体薬物複合体の粗生成物を20mMコハク酸ナトリウム(pH5)で希釈し
た後、カチオン交換カラムにかける。カラムを少なくとも10カラム体積分の20mMコ
ハク酸ナトリウム(pH5)で洗浄し、抗体をPBSで溶出する。抗体薬物複合体を、ゲ
ル濾過カラムを使用して240mMのスクロースと、20mM His/酢酸塩(pH5
)中に配合する。抗体薬物複合体をUV分光光度法により特性評価してタンパク質濃度を
決定し、分析用SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)により凝集分析を行い、また、
リシンCエンドペプチダーゼによる処理の前後にLC-MSにより特性評価する。
【0186】
実施例1
(Z)-5-((2R,3R,5S,6S)-6-((2E,4E)-5-((3R,
4R,5R,7S)-4-ヒドロキシ-7-(2-メトキシ-2-オキソエチル)-1,
6-ジオキサスピロ[2.5]オクタン-5-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエ
ニル)-2,5-ジメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イルアミノ)-5-オキソ
ペント-3-エン-2-イル ベンゾエート(化合物1)の合成
【0187】
パートA:
【化39】
【0188】
工程1.tert-ブチル 4-ヒドロキシペント-2-イノエート(化合物2a)
THF(600mL)中、プロピオール酸tert-ブチル(化合物1a)(10g,
79.28mmol)の溶液に、LDA(THF中、2.0M)(43.6ml,87.
20mmol)を-78℃で加えた。反応混合物を-78℃で50分間攪拌した後、アセ
トアルデヒド(4.45ml,79.28mmol)を同じ温度で滴下した。反応混合物
を同じ温度で2時間、攪拌した。反応の進行を出発物質が消費されるまでTLC(石油エ
ーテル中、25%EtOAc,RF=0.2,KMnO活性物質)により監視した。反
応混合物を飽和NHCl水溶液(400ml)でクエンチし、20分間攪拌した。次い
で、生成物をジエチルエーテル(2×400ml)中間で抽出し、無水硫酸ナトリウムで
乾燥した。減圧下で溶媒を除去し、粗生成物を単離した。生成物をカラムクロマトグラフ
ィー(100~200シリカゲル/溶離剤、石油エーテル中、20%EtOAc)により
精製して、化合物2a(7g,52%)を黄色液体として得た。H NMR (400
MHz, DMSO-d) δ = 5.66 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 4
.50 (5重線, J = 6.4 Hz, 1H), 1.43 (s, 9H), 1.32
(d, J = 6.6 Hz, 3H).
【0189】
工程2.5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペント-3-エン-2-イル ベン
ゾエート(化合物3a)の合成
化合物2a(2g,11.76mmol)を乾燥DCM(60mL)に溶かした溶液を
-10℃に冷却した後、トリエチルアミン(8.02ml,58.82mmol)及びD
MAP(143mg,1.176mmol)を加えた。5分後、塩化ベンゾイル(1.3
6ml,11.764mmol)を反応混合物に滴下した。反応混合物を2時間にわたっ
て室温まで昇温し、攪拌した。反応の進行をTLC(石油エーテル中、10%EtOAc
,RF=0.5,UV及びKMnO活性物質)により監視した。反応終了後、反応混合
物をDCM(200ml)で希釈した後、水及びブライン溶液(1×60ml)で洗浄し
、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、カラムクロマトグラフィー(
100~200シリカゲル/溶離剤、石油エーテル中、6%EtOAc)により精製して
化合物3a(1.35g,42%)を黄色の粘着性液体として得た。H NMR (40
0 MHz, DMSO-d) δ = 7.99 (d, J = 7.5 Hz, 2H),
7.74 - 7.67 (m, 1H), 7.60 - 7.53 (m, 2H), 5.7
6 (q, J = 6.7 Hz, 1H), 1.62 (d, J = 6.8 Hz, 3H
), 1.44 (s, 9H).
【0190】
工程3.5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペント-3-エン-2-イル ベン
ゾエート(化合物4a)
化合物3a(1g,3.64mmol)をEtOAC:ヘキサン(30ml+10mL
)に溶かした溶液に、アルゴンパージ下でキノリン(0.4ml)及びリンドラー触媒(
496mg,4.67mmol)を加えた。5分間パージした後、反応混合物を水素バル
ーン圧下で3時間、攪拌した。反応の進行をTLC(石油エーテル中、5%EtOAc,
RF=0.3,UV及びKMnO活性物質)によって監視した。反応終了後、反応混合
物をセライトに通して濾過し、濾液を真空下で濃縮し、粗生成物を単離した。粗生成物を
カラムクロマトグラフィー(100~200シリカゲル/溶離剤、石油エーテル中、12
%EtOAc)により精製し、真空下で濃縮及び乾燥して化合物4a(600mg,60
%)を黄色液体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d)δ =
7.97 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.70 - 7.63 (m, 1H)
, 7.57 - 7.49 (m, 2H), 6.39 - 6.27 (m, 2H), 5
.79 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 1.50 - 1.38 (m, 12H
).
【0191】
工程4.(Z)-4-(ベンゾイルオキシ)ペント-2-エン酸(化合物5a)
化合物4a(600mg,2.173mmol)を乾燥DCM(20mL)に溶かした
攪拌溶液を-10℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(2.4ml)を反応混合物に滴下した
。反応混合物を25℃まで昇温させ、3時間攪拌した。反応の進行を出発物質が消費され
るまでTLC(石油エーテル中、30%EtOAc,RF=0.15,UV及びKMnO
活性物質)により監視した。反応終了後、粗生成物を、n-ペンテン(2×10ml)
中、50%ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥して化合物5a(220mg,46
%)を灰白色固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d)δ =
12.64 (br s, 1H), 7.97 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7
.70 - 7.64 (m, 1H), 7.57 - 7.50 (m, 2H), 6.44
- 6.32 (m, 2H), 5.84 (d, J = 10.7 Hz, 1H), 1.
43 (d, J = 6.1 Hz, 3H);DO(400 MHz, DMSO-d
δ = 8.01 - 7.94 (m, 2H), 7.70 - 7.63 (m, 1H),
7.58 - 7.51 (m, 2H), 6.44 - 6.34 (m, 2H), 5.
89 - 5.83 (m, 1H), 1.44 (d, J = 6.1 Hz, 3H);L
CMS: 95.41% (221.23, M+H), RT = 2.08分.
【0192】
パートB:
【化40】
【0193】
工程1.(4S,5R)-3-tert-ブチル 4-メチル 2,2,5-トリメチ
ルオキサゾリジン-3,4-ジカルボキシレート(化合物2b)
2,2-ジメトキシプロパン(159.1mL,1285mmol)を、化合物1b(
150g,642mmol)をDCM(1500mL)に溶かした攪拌溶液に23℃で加
え、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(3.96mL,32.13mmol)を加え
た。次いで、反応混合物を23℃で30分間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中
、50%EtOAc;R:0.6,PMA視認)により監視した。反応終了後、混合物
をブライン(1000ml)でクエンチした。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾
燥し、真空下で濾過及び濃縮して粗生成物を得た。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィ
ー(ヘキサン中、1~5%EtOAc)によりシリカ(100~200メッシュ)上で精
製して化合物2b(145g,82.85%)を無色油状物として得た。H NMR (
400 MHz, クロロホルム-d) δ: 1.36 - 1.42 (m, 9 H) 1.
48 (s, 3 H) 1.54 - 1.67 (m, 6 H) 3.76 (s, 3 H)
3.86 - 4.02 (m, 1 H) 4.07 - 4.19 (m, 1 H).
【0194】
工程2.(4S,5R)-tert-ブチル 4-ホルミル-2,2,5-トリメチル
オキサゾリジン-3-カルボキシレート(化合物3b)
化合物2b(130g,475.6mmol)を-78℃の乾燥トルエン(750ml
)に加えた攪拌溶液に、DIBAL-H(1分、トルエン)(713ml,713mmo
l)を加えた。添加後、混合物を-78℃で更に10分間攪拌し、-78℃の冷却MeO
H(220ml)を徐々に加えることによってクエンチした。得られた白色エマルション
を氷冷した1N HCl(2000ml)に攪拌下で15分かけて注ぎ、次いで、この水
性混合物をEtOAc(1000ml×2)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真
空下で濾過及び濃縮して粗生成物を得た。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキ
サン中、1~5%EtOAc)によりシリカ(100~200メッシュ)上で精製して化
合物3b(100g,86.95%)を無色油状物として得た。H NMR (400
Mhz, クロロホルム-d) δ: 1.36 (d, J=6.10 Hz, 3 H) 1
.40 - 1.52 (m, 9 H) 1.57 - 1.72 (m, 6 H) 3.67
- 3.84 (m, 1 H) 4.02 - 4.10 (m, 1 H) 9.36 - 9.
47 (m, 1 H).
【0195】
工程3.(4R,5R)-tert-ブチル 2,2,5-トリメチル-4-ビニルオ
キサゾリジン-3-カルボキシレート(化合物4b)
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(293g,822mmol)を0℃のTH
F(750ml)に溶かした溶液に、KOtBu(92g,822mmol)を一度に加
えた。得られた混合物を同じ温度で1時間攪拌した後、THF(250ml)に溶かした
化合物3b(100g,411mmol)を加え、混合物を50℃で12時間攪拌した。
反応の進行をTLC(ヘキサン中、10%EtOAc,R:0.5,PMA視認)によ
り監視した。23℃まで冷却した後、反応混合物を飽和NHCl溶液(1000ml)
でクエンチし、EtOAc(1000ml×2)で抽出した。加え合わせた有機層をブラ
イン(1000ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濾過及び濃縮し
て粗生成物を得た。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中、1~5%Et
OAc)によりシリカ(100~200メッシュ)上で精製して化合物4b(80g,8
0.80%)を無色油状物として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-
d) δ ppm 1.28 (d, J=5.99 Hz, 3 H) 1.38 - 1.49
(m, 9 H) 1.51 (s, 3 H) 1.56 - 1.63 (m, 3 H) 3.
72 (br d, J=1.31 Hz, 1 H) 3.78 - 3.86 (m, 1 H)
5.16 (br d, J=7.85 Hz, 2 H) 5.66 (br d, J=6.
43 Hz, 1 H).
【0196】
工程4.tert-ブチル(3R,4R)-4-ヒドロキシペンタ-1-エン-3-イ
ルカルバメート(化合物5b)
化合物4b(80g,331.4mmol)を23℃のMeOH(2.0l)に溶かし
た攪拌溶液に、カンファースルホン酸(7.7g,33.14mmol)を加えた。反応
混合物を23℃で48時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、40%EtOA
c;R:0.25,PMA視認)により監視した。反応終了後、反応混合物を飽和Na
HCO溶液(1000ml)でクエンチし、真空下で溶媒の大部分を除去した。水性残
渣をEtOAc(1000ml×2)で抽出した。加え合わせた有機層をブライン(10
00ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濾過及び濃縮して粗生成物
を得た。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中、10→40%EtOAc
)によりシリカ(100~200メッシュ)上で精製して化合物5b(58g,86.9
5%)を無色油状物として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)
δ ppm 1.23 (d, J=6.32 Hz, 3 H) 1.46 (s, 9 H) 1
.94 (br s, 1 H) 3.87 (br dd, J=5.99, 3.05 Hz,
1 H) 4.02 - 4.12 (m, 1 H) 4.87 (br s, 1 H) 5.2
1 - 5.26 (m, 1 H) 5.28 - 5.31 (m, 1 H) 5.84 (d
dd, J=17.19, 10.49, 5.12 Hz, 1 H);LCMS: 94.
36% (202.14, M+H), RT: 1.50分.
【0197】
工程5.tert-ブチル(3R,4R)-4-(2-メチルアリルオキシ)ペント-
1-エン-3-イルカルバメート(化合物6b)
化合物5b(40g,198.73mmol)を23℃のDMF(250ml)に溶か
した攪拌溶液に臭化メタアリル(107.3g,795.9mmol)を加えた。フラス
コをアルミ箔で包み、酸化銀(69g,298mmol)を加えた。反応混合物を23℃
で24時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、10%EtOAc;R:0.
4,PMA視認)により監視した。23℃で24時間後、反応混合物をエーテル(500
ml)で希釈し、セライトに通して濾過し、更なるエーテル(500ml)で洗浄した。
次いで濾液を水(5×500ml)、ブライン(50ml)で抽出し、無水NaSO
で乾燥し、真空下で濾過及び濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサ
ン中、2.5→10%EtOAc)によりシリカ(100~200メッシュ)上で精製し
て化合物6b(40.5g,79.88%)を無色油状物として得た。H NMR (4
00 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.16 (d, J=6.32 Hz,
3 H) 1.45 (s, 9 H) 1.68 - 1.77 (m, 3 H) 3.51 -
3.63 (m, 1 H) 3.75 - 3.86 (m, 1 H) 3.89 - 4.01
(m, 1 H) 4.12 (br d, J=7.08 Hz, 1 H) 4.79 - 4
.91 (m, 2 H) 4.94 (d, J=0.87 Hz, 1 H) 5.09 - 5
.25 (m, 2 H) 5.89 (ddd, J=17.22, 10.46, 5.45
Hz, 1 H);LCMS: 78.48% (256.33, M+H), RT: 2.
69分.
【0198】
工程6.tert-ブチル(2R,3R)-2,5-ジメチル-3,6-ジヒドロ-2
H-ピラン-3-イル)カルバメート(化合物7b)
化合物6b(35g,137mmol)をベンゼン(500ml)に溶かした攪拌溶液
に23℃のグラブスII触媒(2.3g,2.74mmol)を窒素雰囲気下で加えた。
次いで反応混合物を3時間還流した。23℃まで冷却した後、酢酸鉛(IV)(1.8g
,4.11mmol)を加え、23℃で更に12時間攪拌した。反応をTLC (ヘキサ
ン中、10%EtOAc,R=0.3,PMA視認)により監視した。真空下で溶媒を
真空下で除去し、粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中、2.5→10%
EtOAc)によりシリカ(100~200メッシュ)上で精製して化合物7b(26g
,83.60%)を白色固体として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム
-d) δ ppm 1.16 - 1.22 (m, 3 H) 1.44 (s, 9 H) 1
.61 (s, 3 H) 3.57 - 3.66 (m, 1 H) 3.86 - 3.94
(m, 1 H) 3.97 (s, 1 H) 3.98 - 4.06 (m, 1 H) 4.
60 (br d, J=9.66 Hz, 1 H) 5.56 - 5.62 (m, 1 H)
;LCMS: 94.00% (228.29, M+H), RT: 2.35分.
【0199】
工程7.tert-ブチル((2R,3R)-2,5-ジメチル-6-オキソ-3,6
-ジヒドロ-2H-ピラン-3-イル)カルバメート(化合物8b)
化合物7b(30g,132.1mmol)を23℃のベンゼン(1200ml)に溶
かした攪拌溶液に、セライト(120g)、ピリジニウムジクロメート(99.3g,3
64.3mmol)、及びtert-ブチルヒドロペルオキシド(70wt%水溶液,4
7.5ml,528.6mmol)を加えた。23℃で5時間後、反応混合物をセライト
に通して濾過し、酢酸エチル(500ml)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空
下で濾過及び濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中、7.5→
30%EtOAc)によりシリカゲル(100~200メッシュ)上で精製して化合物8
b(18g,56.60%)を白色固体として得た。H NMR (400 MHz, ク
ロロホルム-d) δ ppm 1.38 (d, J=6.44 Hz, 3 H) 1.42
- 1.49 (m, 9 H) 1.92 - 1.97 (m, 3 H) 4.21 - 4.
31 (m, 1 H) 4.51 - 4.65 (m, 2 H) 6.63 (dd, J=6
.32, 1.43 Hz, 1 H);LCMS: 96.91% (242.17, M+
H), RT: 1.68分.
【0200】
工程8.tert-ブチル((2R,3R,5S)-2,5-ジメチル-6-オキソテ
トラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)カルバメート(化合物9b)
化合物8b(25g,103.61mmol)を23℃のエタノール(500ml)に
溶かした攪拌溶液にPtO(470mg,2.07mmol)を加え、反応フラスコ中
の雰囲気を水素に変えた。反応混合物を、TLC(ヘキサン中、30%EtOAc;R
=0.35,PMA視認)により監視しながら23℃で24時間攪拌した。23℃で24
時間後、反応混合物を濾紙に通して濾過し、溶媒を真空下で除去して化合物9b(25g
,99%)を白色固体として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)
δ ppm 1.16 - 1.25 (m, 4 H) 1.29 - 1.38 (m, 5 H
) 1.39 - 1.54 (m, 12 H) 2.49 - 2.71 (m, 2 H) 4
.03 - 4.19 (m, 1 H) 4.41 - 4.55 (m, 1 H) 4.64
- 4.82 (m, 1 H).
【0201】
工程9.tert-ブチル((2R,3R,5S)-6-アリル-6-ヒドロキシ-2
,5-ジメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)カルバメート(化合物10b)
化合物9b(25g,102.7mmol)を-78℃のTHF(300ml)に溶か
した攪拌溶液に窒素雰囲気下でアリルマグネシウムクロリド(1.4M THF溶液,1
46ml,205.4mmol)をフラスコ側壁に沿って加えた。同じ温度で1.5時間
の後、反応を飽和NHCl水溶液(500ml)でクエンチした。水性残渣をEtOA
c(2×500ml)で抽出した。加え合わせた有機層をブライン(500ml)で洗浄
し、無水NaSOで乾燥し、真空下で濾過及び濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマ
トグラフィー(ヘキサン中、10→50%EtOAc)によりシリカ(100~200メ
ッシュ)上で精製して化合物10b(20g,68.25%)を淡黄色油状物として得た
H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.13 (d, J
=7.2 Hz, 3 H)1.16 (d, J=6.3 Hz, 3 H) 1.45 (s,
9 H) 1.93 - 2.03 (m, 1 H) 2.10 - 2.29 (m, 1 H)
2.68 - 2.80 (m, 1 H) 3.24 - 3.39 (m, 2 H) 3.6
5 - 3.76 (m, 1 H) 4.71 (br d, J=9.06 Hz, 1 H)
5.05 - 5.22 (m, 2 H) 5.78 - 6.02 (m, 1 H).
【0202】
工程10.tert-ブチル((2R,3R,5S,6S)-6-アリル-2,5-ジ
メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)カルバメート(化合物11b)
化合物10b(5g,17.54mmol)をDCM(50ml)に溶かした攪拌溶液
に、窒素雰囲気下で2,2,2-トリフルオロエタノール(10ml,140.3mmo
l)及びトリエチルシラン(28ml,175.4mmol)を23℃で加えた。反応を
-78℃まで冷却し、BF・OEt錯体(8.6ml,70.16mmol)をフラ
スコ側壁に沿ってゆっくりと加えた。同じ温度で更に3時間の後、飽和NaHCO水溶
液(100ml)を-78℃で加え、各層を分離した。水性残渣をEtOAc(3×50
ml)で抽出した。加え合わせた有機層をブライン(100ml)で洗浄し、無水Na
SOで乾燥し、減圧下で濾過及び濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフ
ィー(ヘキサン中、2→12.5%EtOAc)によりシリカゲル(100~200メッ
シュ)上で精製して化合物11b(1.8g,38.29%)を無色油状物として得た。
H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 0.98 - 1.07
(m, 3 H) 1.10 - 1.21 (m, 3 H) 1.45 (d, J=1.43
Hz, 9 H) 1.68 - 1.81 (m, 1 H) 1.95 (br d, J=2.
74 Hz, 2 H) 2.03 - 2.20 (m, 1 H) 2.24 - 2.41 (
m, 1 H) 3.37 - 3.68 (m, 3 H) 4.78 (br d, J=9.0
6 Hz, 1 H) 4.98 - 5.15 (m, 2 H) 5.71 - 5.88 (m
, 1 H);LCMS: 60.33% (270.33, M+H), RT: 2.74
分.
【0203】
工程11.tert-ブチル((2R,3R,5S,6S)-2,5-ジメチル-6-
((E)-3-メチル-4-オキソブト-2-エン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピ
ラン-3-イル)カルバメート(化合物12b)
化合物11b(3.6g,13.36mmol)を23℃のDCM(50ml)に溶か
した攪拌溶液に、窒素雰囲気下でメタクロレイン(22ml,267.2mmol)、次
いでニトロ-グレラ触媒(897mg,1.336mmol)を加えた。23℃で12時
間の後、溶媒を真空下で除去した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中
、10→25%EtOAc)によりシリカ(100~200メッシュ)上で精製して化合
物12b(2.2g,52.88%)を淡黄色油状物として得た。H NMR (400
MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.07 (d, J=7.34 Hz, 3 H
) 1.16 (d, J=6.36 Hz, 3 H) 1.45 (s, 9 H) 1.76
(s, 3 H) 1.85 - 1.99 (m, 2 H) 2.34 - 2.45 (m,
1 H) 2.56 (dt, J=15.41, 7.46 Hz, 1 H) 3.53 -
3.68 (m, 3 H) 4.73 (br d, J=9.29 Hz, 1 H) 6.5
0 - 6.57 (m, 1 H) 9.42 (s, 1 H);LCMS: 86.69%
(312.31, M+H), RT: 2.52分.
【0204】
工程12.tert-ブチル((2R,3R,5S,6S)-2,5-ジメチル-6-
((E)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン
-3-イル)カルバメート(化合物13b)
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(3.7g,10.59mmol)を0℃の
THF(25ml)に溶かした攪拌懸濁液に、窒素雰囲気下でKOtBu(1.1g,9
.88mmol)を加えた。30分後、THF(15ml)に加えた化合物12b(2.
2g,7.064mmol)を同じ温度でカニューレで滴下し、更なるTHF(5ml)
ですすいだ。23℃で2時間の後、反応を飽和NHCl水溶液(50ml)でクエンチ
し、真空下で溶媒の大部分を除去した。水性残渣をEtOAc(2×30ml)で抽出し
た。加え合わせた有機層をブライン(50ml)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、
真空下で濾過及び濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中、1→
10%EtOAc)によりシリカ(100~200メッシュ)上で精製して化合物13b
(1.5g,68.80%)を無色油状物として得た。H NMR (400 MHz,
クロロホルム-d) δ ppm 1.03 (d, J=7.41 Hz, 3 H) 1.1
5 (d, J=6.32 Hz, 3 H) 1.44 (s, 9 H) 1.72 - 1.8
0 (m, 3 H) 1.84 - 1.97 (m, 2 H) 2.19 - 2.30 (m
, 1 H) 2.33 - 2.44 (m, 1 H) 3.51 (td, J=7.28,
2.67 Hz, 1 H) 3.54 - 3.66 (m, 2 H) 4.69 - 4.81
(m, 1 H) 4.95 (d, J=10.68 Hz, 1 H) 5.11 (d, J
=17.44 Hz, 1 H) 5.46 (t, J=6.98 Hz, 1 H) 6.37
(dd, J=17.38, 10.74 Hz, 1 H);LCMS: 94.58% (
310.37, M+H), RT: 2.96分.
【0205】
工程13.(2R,3R,5S,6S)-2,5-ジメチル-6-((E)-3-メチ
ルペンタ-2,4-ジエン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-アミン(化合
物8)
化合物13b(1.5g,4.84mmol)を23℃のDCM(40ml)に溶かし
た攪拌混濁液に窒素雰囲気下で臭化亜鉛(5.45g,24.23mmol)を加えた。
反応混合物を23℃で48時間攪拌した。反応の進行をTLC(DCM中、10%MeO
H;R=0.1,UV視認)により監視した。反応終了後、反応混合物をDCM(50
ml)で希釈し、濾過してからDCM(100ml)で洗浄し、濾液を真空下で濃縮して
化合物8(1.6g粗生成物)を淡黄色ゴム状物として得た。これを更なる精製を行わず
に次の工程で直接使用した。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ p
pm 1.03 - 1.20 (m, 3 H) 1.23 - 1.32 (m, 3 H) 1
.34 - 1.43 (m, 3 H) 1.73 - 1.81 (m, 3 H) 1.88
- 2.00 (m, 1 H) 2.09 - 2.54 (m, 3 H) 3.42 - 3.
53 (m, 1 H) 3.58 (br d, J=5.87 Hz, 1 H) 3.66 -
3.89 (m, 2 H) 4.87 - 5.04 (m, 1 H) 5.08 - 5.2
1 (m, 1 H) 5.36 - 5.53 (m, 1 H) 6.19 - 6.46 (m
, 1 H) 6.70 - 7.12 (m, 3 H);LCMS: 81.62% (210
.18, M+H), RT: 1.80分.
【0206】
パートC:
【化41】
【0207】
工程1.(2R,3R)-3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2H-ピラン
-4(3H)-オン(化合物2c)の合成
化合物1c(137.5g,0.941mole)、Pd(OAc)(5.9g,0
.026mole)をACN(550ml)に溶かした混合物に、酢酸ビニル(250g
,2.907mole)を室温で加えた。反応混合物を60℃で24時間攪拌した。反応
混合物をセライトに通して濾過し、EtOAc(100ml)で洗浄した。溶媒を減圧下
で濃縮して粗生成物を得た。残渣をアセトン(68ml)とEtOAc(68ml)との
混合物から再結晶化して化合物2c(75g,55%)を灰白色固体として得た。
NMR (400 MHz, DMSO-d) δ = 7.60 (d, J = 5.9 H
z, 1H), 5.61 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 5.30 (d, J =
5.4 Hz, 1H), 5.00 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.16 -
4.06 (m, 2H), 3.82 - 3.76 (m, 1H), 3.73 - 3.
66 (m, 1H).
【0208】
工程2.(2R,3R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-((
tert-ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)-2H-ピラン-4(3H)-オン(
化合物3c)
化合物2c(100g,0.69mol)をDMF(1900ml)に溶かした溶液に
、TBS-Cl(277g,2.65mol)及びイミダゾール(140.9g,2.0
7mol)を室温で加えた。反応混合物を室温で24時間攪拌した。反応の進行をTLC
(石油エーテル中、5%EtOAc,Rf:0.5,UV活性物質)により監視した。反
応終了後、反応混合物をジエチルエーテル(2500ml)で希釈し、水(1000ml
)及びブライン(1000ml)で洗浄した。ジエチルエーテル層を無水硫酸ナトリウム
で乾燥した後、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー
(100~200シリカゲル/溶離剤、石油エーテル中、2%EtOAc)により精製し
て化合物3c(200g,77.5%)を灰白色固体として得た。H NMR (400
MHz, クロロホルム-d) δ = 7.30 - 7.25 (m, 1H), 5.30
(d, J = 5.8 Hz, 1H), 4.45 - 4.40 (m, 1H), 4.1
8 (td, J = 2.6, 12.2 Hz, 1H), 3.99 (d, J = 2.8
Hz, 2H), 0.91 (d, J = 2.5 Hz, 18H), 0.23 (s,
3H), 0.11 - 0.05 (m, 6H);LCMS: 99.48% (373.
37, M+H), RT: 3.47分.
【0209】
工程3.メチル 2-((2S,5R,6R)-5-(tert-ブチルジメチルシリ
ルオキシ)-6-((tert-ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)-4-オキソテ
トラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセテート(化合物4c)
化合物3c(55g,0.147mol)をDCM(2000ml)に溶かした攪拌溶
液に、tert-ブチル(1-メトキシビニルオキシ)ジメチルシラン(55g,0.2
92mol)を室温で加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した後、BF.Et
(63.25g,3.03mol)を-78℃で加えた。反応混合物を-78℃で1時間
攪拌した。反応の進行をTLC(石油エーテル中、15%EtOAc,Rf:0.5,P
MA活性物質)により監視した。反応混合物を飽和NHCl(500ml)でクエンチ
し、DCM(2×250ml)で抽出した。加え合わせた有機層を飽和NaHCO(5
00ml)及びブライン(500ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥
した後、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(10
0~200シリカゲル/溶離剤、石油エーテル中、3%EtOAc)により精製して化合
物4c(25g,37.9%)を透明ゴム状物として得た。H NMR (400 MH
z, クロロホルム-d) δ = 4.92 - 4.72 (m, 1H), 4.33 (d
, J = 8.8 Hz, 1H), 3.91 - 3.78 (m, 2H), 3.74 -
3.58 (m, 4H), 2.83 - 2.60 (m, 2H), 2.52 - 2.
38 (m, 2H), 0.99 - 0.79 (m, 18H), 0.15 (s, 3H
), 0.11 - 0.01 (m, 9H).
【0210】
工程4.メチル 2-((2S,5S,6R)-5-(tert-ブチルジメチルシリ
ルオキシ)-6-((tert-ブチルジメチルシリルオキシ)メチル)-4-メチレン
テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセテート(化合物5c)
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(12g,0.033mol)を0℃のTH
F(180ml)に加えた懸濁液に、KOtBu(3.33g,0.029mol)のT
HF(80ml)溶液を加えた。1時間後、化合物4c(10g,0.022mol)の
THF(60ml)溶液を滴下した。次いで、反応混合物を25℃とし、1時間攪拌した
。反応の進行をTLC(石油エーテル中、5%EtOAc,RF=0.3,PMA活性物
質)により監視した。反応混合物を飽和NHCl(100ml)でクエンチし、EtO
Ac(2×150ml)で抽出した。EtOAc層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、
濾過及び濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィー(100~200シリカゲル/溶
離剤、石油エーテル中、5%EtOAc)により精製して化合物5c(4g,40.4%
)を黄色液体として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ =
5.07 (s, 1H), 4.89 - 4.86 (m, 1H), 4.30 - 4.2
3 (m, 1H), 4.02 (d, J = 6.5 Hz, 1H), 3.75 - 3.
66 (m, 5H), 3.47 (td, J = 4.7, 6.4 Hz, 1H), 2
.65 (dd, J = 7.3, 15.0 Hz, 1H), 2.48 (dd, J =
6.8, 15.0 Hz, 1H), 2.42 - 2.28 (m, 2H), 0.95
- 0.84 (m, 18H), 0.12 - 0.01 (m, 12H).
【0211】
工程5.メチル-2-((2S,5S,6R)-5-(tert-ブチルジメチルシリ
ルオキシ)-6-(ヒドロキシメチル)-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン-2
-イル)アセテート(化合物6c)
化合物5c(75.1g,0.168mole)をMeOH(751ml)に溶かした
攪拌溶液に、PPTS(59.4g,0.236mole)を室温で加えた。反応混合物
を室温で16時間攪拌した。反応の進行をTLC(石油エーテル中、25%EtOAc,
RF=0.3,PMA活性物質)により監視した。反応混合物を飽和NaHCO(12
70ml)でクエンチし、EtOAc(2×1500ml)で抽出した。EtOAc層を
無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過及び濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィ
ー(100~200シリカゲル/溶離剤、石油エーテル中、25%EtOAc)により精
製して化合物6c(39g,69.8%)を黄色ゴム状物として得た。H NMR (4
00 MHz, クロロホルム-d) δ = 5.11 (s, 1H), 4.88 (s,
1H), 4.42 - 4.35 (m, 1H), 3.93 (d, J = 7.3 Hz
, 1H), 3.71 - 3.64 (m, 5H), 3.56 - 3.50 (m, 1
H), 2.73 (dd, J = 8.8, 15.4 Hz, 1H), 2.51 - 2
.42 (m, 2H), 2.31 (dd, J = 3.8, 13.4 Hz, 1H),
2.15 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 0.94 - 0.91 (m, 9H)
, 0.10 - 0.08 (m, 3H), 0.05 - 0.03 (m, 3H);LC
MS: 80.17% (331.39, M+H), RT: 2.78分.
【0212】
工程6.メチル 2-((2S,5S,6S)-5-(tert-ブチルジメチルシリ
ルオキシ)-6-ホルミル-4-メチレンテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセ
テート(化合物7c)
塩化オキサリル(17.2g,0.136mol)を-78℃のDCM(214ml)
に溶かした攪拌溶液に、DMSO(21g,0.27mol)を徐々に加えた。反応混合
物を-78℃~-60℃まで20分間、攪拌した。化合物6c(30g,0.09mol
)のDCM(414ml)溶液を、-78℃で30分間、滴下した。反応混合物を-45
℃まで30分間かけてゆっくりと昇温した。TEA(52.8g,0.522mol)を
-45℃で加え、反応混合物を0℃まで10分間かけて昇温した。反応の進行をTLC(
石油エーテル中、20%EtOAc,RF=0.35,PMA活性物質)により監視した
。反応混合物を飽和NHCl(500ml)でクエンチし、DCM(2×500mL)
で抽出した。有機層をブライン(1000ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥した後、濾過及び濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィー(100~20
0シリカゲル/溶離剤、石油エーテル中、20%EtOAc)により精製して化合物7c
(22g,73.8%)を黄色ゴム状物として得た。H NMR (400 MHz, ク
ロロホルム-d) δ = 9.76 - 9.73 (m, 1H), 5.05 - 5.00
(m, 1H), 4.93 - 4.87 (m, 1H), 4.36 (d, J = 4.
3 Hz, 1H), 4.29 - 4.20 (m, 1H), 4.12 - 4.08 (
m, 1H), 3.73 - 3.67 (m, 4H), 2.78 - 2.69 (m,
1H), 2.55 - 2.40 (m, 1H), 2.27 - 2.20 (m, 2H)
, 0.96 - 0.87 (m, 9H), 0.12 - -0.02 (m, 6H);L
CMS: 97.53% (329.34, M+H), RT: 2.60分.
【0213】
工程7:メチル 2-((2S,5S,6R)-5-(tert-ブチルジメチルシリ
ルオキシ)-4-メチレン-6-ビニルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセテ
ート(化合物8c)
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(28g,0.078mol)を0℃のTH
F(381ml)に加えた懸濁液に、KOtBu(7.9g,0.070mol)を加え
た。1時間後、化合物7c(14g,0.042mole)のTHF(1361ml)溶
液を滴下した。混合物を0℃で1時間攪拌した。反応の進行をTLC(石油エーテル中、
10%EtOAc,RF=0.5,PMA活性物質)により監視した。反応混合物を飽和
NHCl(1200ml)でクエンチし、EtOAc(2×500ml)で抽出した。
EtOAc層をブライン(1000ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥してから
、濾過及び濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィー(100~200シリカゲル/
溶離剤、石油エーテル中、2%EtOAc)により精製して化合物8c(5.8g,41
.7%)を透明ゴム状物として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d
) δ ppm 0.04 (d, J=7.08 Hz, 6 H) 0.88 - 0.95 (
m, 9 H) 2.30 - 2.39 (m, 1 H) 2.40 - 2.57 (m, 2
H) 2.70 (dd, J=14.99, 7.47 Hz, 1 H) 3.62 - 3.
71 (m, 3 H) 3.83 (d, J=6.65 Hz, 1 H) 3.90 - 3.
99 (m, 1 H) 4.37 (tt, J=6.96, 4.81 Hz, 1 H) 4
.88 (d, J=0.65 Hz, 1 H) 5.09 (s, 1 H) 5.18 - 5
.37 (m, 2 H) 5.83 (ddd, J=17.17, 10.74, 6.10
Hz, 1 H).
【0214】
工程8.メチル 2-((2S,5S,6R)-5-ヒドロキシ-4-メチレン-6-
ビニルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセテート(化合物9c)
化合物8c(5.6g,0.017mole)をTHC(52ml)に溶かした攪拌溶
液に、TBAF(5.15g,0.019mole、THF中、1M)を0℃で加えた。
反応混合物を室温で8時間攪拌した。反応の進行をTLC(石油エーテル中、30%Et
OAc,RF=0.2,PMA活性物質)により監視した。反応混合物を飽和NH4Cl
(100ml)でクエンチし、EtOAc(2×300ml)で抽出した。有機層をブラ
イン(600ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥してから、濾過及び濃縮した。
粗生成物をカラムクロマトグラフィー(100~200シリカゲル/溶離剤、石油エーテ
ル中、20%EtOAc)により精製して化合物9c(2.5g,68.8%)を黄色ゴ
ム状物として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1
.97 - 2.08 (m, 1 H) 2.33 - 2.55 (m, 3 H) 2.68
(dd, J=15.13, 7.67 Hz, 1 H) 3.69 (s, 3 H) 3.9
3 (t, J=5.48 Hz, 1 H) 4.06 - 4.14 (m, 1 H) 4.3
4 (dt, J=12.44, 6.17 Hz, 1 H) 4.95 (s, 1 H) 5
.12 (s, 1 H) 5.26 - 5.42 (m, 2 H) 5.86 (ddd, J
=17.26, 10.80, 6.14 Hz, 1 H).
【0215】
工程9.メチル 2-((3R,5S,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-ビニル-
1,6-ジオキサスピロ[2.5]オクタン-5-イル)アセテート(化合物9)
化合物9c(1.1g,0.0051mol)をDCM(86ml)に溶解し、-20
℃まで冷却した。これに、バナジルアセトアセテート(125mg,0.00047mo
l)を加え、次いでtert-ブチルヒドロペルオキシド(1.71ml,0.017m
ol)の溶液を加えた。混合物を0℃まで2時間かけてゆっくりと昇温させた。反応混合
物を室温で24時間攪拌した。反応の進行をTLC(石油エーテル中、40%EtOAc
,Rf=0.2,PMA活性物質)により監視した。反応混合物をカラムクロマトグラフ
ィー(100~200シリカゲル/溶離剤、石油エーテル中、35%EtOAc)により
精製して化合物9(600mg)を無色ゴム状物として得た。H NMR (300 M
Hz, クロロホルム-d) δ ppm 1.76 - 1.93 (m, 2 H) 1.99
- 2.14 (m, 2 H) 2.60 - 2.74 (m, 2 H) 2.84 - 3.
02 (m, 2 H) 3.43 - 3.55 (m, 1 H) 3.70 (s, 3 H)
4.17 - 4.29 (m, 1 H) 4.42 - 4.55 (m, 1 H) 5.26
- 5.45 (m, 2 H) 5.93 (ddd, J=17.45, 10.69, 5
.48 Hz, 1 H).
【0216】
パートD:
【化42】
【0217】
工程1.(Z)-5-((2R,3R,5S,6S)-2,5-ジメチル-6-((E
)-3-メチルペンタ-2,4-ジエニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イルアミ
ノ)-5-オキソペント-3-エン-2-イル ベンゾエート(化合物1d)
化合物8(200mg,0.955mmol)及び化合物5a(126mg,0.57
3mmol)をTHF(10ml)に溶かした攪拌溶液に、DIPEA(616mg,4
.755mmol)及びTP(登録商標)(EtOAc中、50%)(911mg,2
.865mmol)を室温で加えた。反応混合物を室温で3時間、攪拌した。反応の進行
を出発物質が消費されるまでTLC(石油エーテル中、20%EtOAc,RF=0.5
,UV活性物質)により監視した。反応溶媒を減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成
物をカラムクロマトグラフィー(100~200シリカゲル/溶離剤、石油エーテル中、
12%EtOAc)により精製して化合物1d(120mg,30%)を無色ゴム状物と
して得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.01 -
8.11 (m, 2 H) 7.50 - 7.62 (m, 1 H) 7.39 - 7.4
7 (m, 2 H) 6.47 - 6.57 (m, 1 H) 6.26 - 6.44 (m
, 2 H) 5.92 - 6.08 (m, 2 H) 5.70 - 5.80 (m, 1 H
) 5.39 - 5.51 (m, 1 H) 5.11 (d, J=17.33 Hz, 1
H) 4.96 (d, J=10.79 Hz, 1 H) 3.92 - 4.04 (m,
1 H) 3.63 - 3.73 (m, 1 H) 3.50 - 3.58 (m, 1 H)
2.41 (dq, J=15.10, 7.61 Hz, 1 H) 2.21 - 2.33
(m, 1 H) 1.89 - 2.02 (m, 3 H) 1.72 - 1.84 (m,
5 H) 1.48 - 1.59 (m, 8 H) 1.23 - 1.30 (m, 3 H)
1.13 - 1.20 (m, 4 H) 1.01 - 1.09 (m, 4 H) 0.81
- 0.96 (m, 2 H);LCMS: 85.71% (412.37, M+H),
RT: 2.92及び2.94分.
【0218】
工程2.(Z)-5-((2R,3R,5S,6S)-6-((2E,4E)-5-(
(3R,4R,5R,7S)-4-ヒドロキシ-7-(2-メトキシ-2-オキソエチル
)-1,6-ジオキサスピロ[2.5]オクタン-5-イル)-3-メチルペンタ-2,
4-ジエニル)-2,5-ジメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イルアミノ)-5
-オキソペント-3-エン-2-イル ベンゾエート(化合物1)
化合物1d(115mg,0.279mmol)をDCM(5mL)に溶かした攪拌溶
液に、化合物9(181mg,2.83mmol)及びグラブスII触媒(47mg,0
.055mmol)をアルゴン雰囲気下、室温で加えた。反応混合物を40℃で4時間攪
拌した。反応の進行をTLCにより監視したところ、出発物質は両方とも依然、存在して
いた。反応混合物をセライトに通して濾過し、DCM(5mL)で洗浄した。溶媒を減圧
下で残渣となるまで濃縮した。残渣を再びDCM(5mL)に溶解し、グラブスII触媒
(47mg,0.055mmol)を加えた。反応混合物を40℃で23時間攪拌した。
反応の進行を化合物9が消費されるまでTLC(石油エーテル中、50%EtOAc,R
F=0.1,UV活性物質)により監視した。
【0219】
反応混合物をセライトに通して濾過し、DCM(2mL)で洗浄した。溶媒を減圧下で
濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLCにより精製した[移動相A:10mm
ABC、移動相B:アセトニトリル;カラム:X-Bridge(150×19)mm
,5u;方法:(T/%B):0/30,2/30,20/30,20/60,20.5
,90,22/90;流速:18ml/分;溶解度:ACN+THF+水;周囲温度]。
各画分を凍結乾燥して純粋な化合物1(11mg,6%)を灰白色固体として得た。
NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.98 - 8.10 (m
, 2 H) 7.49 - 7.59 (m, 1 H) 7.37 - 7.48 (m, 2 H
) 6.47 - 6.57 (m, 1 H) 6.33 - 6.45 (m, 2 H) 6.
28 (br d, J=8.99 Hz, 1 H) 5.93 - 6.09 (m, 1 H)
5.72 - 5.81 (m, 1 H) 5.62 (dd, J=15.79, 6.14
Hz, 1 H) 5.47 - 5.56 (m, 1 H) 4.44 - 4.54 (m,
1 H) 4.21 (br t, J=6.58 Hz, 1 H) 3.99 (br dd,
J=4.82, 2.63 Hz, 1 H) 3.62 - 3.75 (m, 4 H) 3.
47 - 3.57 (m, 2 H) 2.86 - 3.02 (m, 2 H) 2.53 -
2.74 (m, 2 H) 2.33 - 2.48 (m, 1 H) 2.20 - 2.31
(m, 3 H) 2.10 - 2.18 (m, 1 H) 1.89 - 2.04 (m,
4 H) 1.69 - 1.86 (m, 7 H) 1.38 - 1.50 (m, 3 H)
1.22 - 1.33 (m, 3 H) 1.14 - 1.20 (m, 3 H) 1.01
- 1.11 (m, 3 H) 0.79 - 0.93 (m, 1 H);LCMS: 93
.71% (612.49, M+H), RT: 5.09, 5.13分.
【0220】
実施例2
(Z)-5-((2R,3R,5S,6S)-6-((2E,4E)-5-((3R,
4R,5R,7S)-4-ヒドロキシ-7-(2-メトキシ-2-オキソエチル)-1,
6-ジオキサスピロ[2.5]オクタン-5-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエ
ニル)-2,5-ジメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イルアミノ)-5-オキソ
ペント-3-エン-2-イル 4-フルオロベンゾエート(化合物2)の合成
【0221】
パートA:
【化43】
【0222】
工程1.5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペント-3-エン-2-イル 4-
フルオロベンゾエート(化合物2e)
化合物1e(1g,9.41mmol)を乾燥DCM(50mL)に溶かした溶液を-
10℃まで冷却した後、トリエチルアミン(6.41ml,47.05mmol)及びD
MAP(115mg,0.941mmol)を加えた。5分後、4-フルオロベンゾイル
クロリド(1.43ml,12.233mmol)を反応混合物に滴下した。反応混合物
を2時間かけて室温まで冷却した。反応の進行をTLC(石油エーテル中、10%EtO
Ac,RF=0.3,UV及びKMnO活性物質)により監視した。反応終了後、反応
混合物をDCM(100ml)で希釈した後、水及びブライン溶液(1×50ml)で洗
浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を除去し、粗化合物を単離した。粗
化合物をカラムクロマトグラフィー(100~200シリカゲル/溶離剤、石油エーテル
中、5%EtOAc)により精製して化合物2e(900mg,53%)を灰白色固体と
して得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 8.12 - 8
.04 (m, 2H), 7.17 - 7.07 (m, 2H), 5.76 (q, J
= 6.8 Hz, 1H), 1.67 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.49
(s, 9H).
【0223】
工程2.5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペント-3-エン-2-イル 4-
フルオロベンゾエート(化合物3e)
化合物2e(900mg,3.08mmol)をEtOAC:ヘキサン(30ml+1
0ml)に溶かした溶液に、アルゴンパージ下でキノリン(0.5ml)及びリンドラー
触媒(520mg,4.88mmol)を加えた。5分間パージした後、反応混合物を水
素バルーン圧下で3時間、攪拌した。反応の進行をTLC(石油エーテル中、10%Et
OAc,RF=0.36,UV及びKMnO活性物質)によって監視した。反応終了後
、反応混合物をセライトに通して濾過し、濾液を真空下で濃縮し、粗生成物を単離した。
粗生成物をカラムクロマトグラフィー(100~200シリカゲル/溶離剤、石油エーテ
ル中、6%EtOAc)により精製して化合物3e(605mg,66%)を黄色の粘着
性の液体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ =8.0
4 (dd, J = 5.6, 8.7 Hz, 2H), 7.36 (t, J = 8.8
Hz, 2H), 6.38 - 6.28 (m, 2H), 5.83 - 5.76 (m,
1H), 1.50 - 1.40 (m, 12H);LCMS: 85.63% (295
.16, M+H), RT: 4.30分.
【0224】
工程3.(Z)-4-((4-フルオロベンジル)オキシ)ペント-2-エン酸(化合
物4e)
化合物3e(600mg,2.04mmol)を乾燥DCM(20mL)に溶かした攪
拌溶液を-10℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(2.4ml)を反応混合物に滴下した。
反応混合物を25℃まで昇温させ、3時間攪拌した。反応の進行をTLC(石油エーテル
中、30%EtOAc,RF=0.15,UV及びKMnO活性物質)により監視した
。反応終了後、反応混合物を真空下で濃縮し、粗化合物を、n-ペンテン(2×10ml
)中、50%ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥して化合物4e(383mg,7
8%)を灰白色固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d)δ
= 12.64 (br s, 1H), 8.03 (dd, J = 5.6, 8.7 Hz
, 2H), 7.36 (t, J = 8.9 Hz, 2H), 6.43 - 6.32 (
m, 2H), 5.84 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 1.43 (d, J
= 6.1 Hz, 3H);DO (400 MHz, DMSO-d) δ= 8.0
7 - 8.02 (m, 2H), 7.39 - 7.33 (m, 2H), 6.42 -
6.33 (m, 2H), 5.88 - 5.83 (m, 1H), 1.46 - 1.4
1 (m, 3H).
【0225】
パートB:
【化44】
【0226】
工程1.(Z)-5-((2R,3R,5S,6S)-2,5-ジメチル-6-((E
)-3-メチルペンタ-2,4-ジエニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イルアミ
ノ)-5-オキソペンタ-3-エン-2-イル 4-フルオロベンゾエート(化合物1f

化合物8(400mg,1.91mmol)、化合物4e(273mg,1.14mm
ol)をTHF(12ml)に溶かした攪拌溶液に、DIPEA(1.23g,9.55
mmol)及びT3P(1.82g)を室温で加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌し
た。反応の進行をTLC(石油エーテル中、30%EtOAc,RF=0.2,PMA活
性物質)により監視した。反応混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグ
ラフィー(100~200シリカゲル/溶離剤、石油エーテル中、10%EtOAc)に
より精製して化合物1f(220mg)を無色ゴム状物として得た。H NMR (40
0 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 0.99 - 1.08 (m, 3 H) 1
.11 - 1.20 (m, 3 H) 1.36 - 1.44 (m, 3 H) 1.47
- 1.55 (m, 5 H) 1.69 - 1.85 (m, 4 H) 1.89 - 2.
03 (m, 2 H) 2.19 - 2.32 (m, 1 H) 2.34 - 2.49 (
m, 1 H) 3.49 - 3.59 (m, 1 H) 3.62 - 3.75 (m, 1
H) 3.91 - 4.04 (m, 1 H) 4.87 - 5.01 (m, 1 H) 5
.11 (d, J=17.44 Hz, 1 H) 5.47 (br d, J=3.81 H
z, 1 H) 5.76 (ddd, J=11.61, 5.94, 1.20 Hz, 1
H) 5.88 - 6.09 (m, 2 H) 6.18 - 6.58 (m, 3 H) 7
.05 - 7.16 (m, 2 H) 7.99 - 8.10 (m, 2 H);LCMS
: 87.8% (430.07, M+H), RT: 2.50分.
【0227】
工程2.(Z)-5-((2R,3R,5S,6S)-6-((2E,4E)-5-(
(3R,4R,5R,7S)-4-ヒドロキシ-7-(2-メトキシ-2-オキソエチル
)-1,6-ジオキサスピロ[2.5]オクタン-5-イル)-3-メチルペンタ-2,
4-ジエニル)-2,5-ジメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イルアミノ)-5
-オキソペンタ-3-エン-2-イル 4-フルオロベンゾエート(化合物2)
化合物1f(100mg,0.232mmol)をDCM(10ml)に溶かした攪拌
溶液に、化合物9(150mg,0.657mmole)及びグラブスII触媒(41m
g,0.2mmol)をアルゴン雰囲気下、室温で加えた。反応混合物を40℃で5時間
攪拌した。反応の進行をTLC(石油エーテル中、50%EtOAc,RF=0.1,U
V活性物質)により監視した。反応混合物をセライトに通して濾過し、DCM(2mL)
で洗浄した。溶媒を減圧下で濃縮した。粗生成物を分取HPLCにより精製した[X B
ridgeカラム(150×19)mm,5u;移動相A:10mm ABC;移動相B
:アセトニトリル;方法:-(T/%B):0/30,2/30,20/30;流速:-
18ml/分;溶解度:-ACN+THF+水;周囲温度]。得られた各画分を凍結乾燥
して純粋な化合物2(5.8mg)を白色固体として得た。H NMR (400 MH
z, クロロホルム-d) δ ppm 0.99 - 1.09 (m, 3 H) 1.13
- 1.20 (m, 3 H) 1.22 - 1.36 (m, 1 H) 1.52 (br
s, 1 H) 1.69 - 1.84 (m, 7 H) 1.88 - 2.05 (m, 3
H) 2.10 - 2.31 (m, 2 H) 2.33 - 2.47 (m, 1 H) 2
.60 - 2.78 (m, 2 H) 2.88 - 3.04 (m, 2 H) 3.48
- 3.58 (m, 2 H) 3.62 - 3.76 (m, 4 H) 3.98 (br
dd, J=5.26, 2.85 Hz, 2 H) 4.10 - 4.24 (m, 1 H
) 4.40 - 4.56 (m, 1 H) 5.52 (br s, 1 H) 5.58 -
5.68 (m, 1 H) 5.72 - 5.81 (m, 2 H) 5.89 - 6.10
(m, 2 H) 6.32 - 6.58 (m, 2 H) 7.10 (t, J=8.55
Hz, 1 H) 7.95 - 8.11 (m, 2 H);LCMS: 94.37% (
630.16, M+H), RT: 4.73分及び4.77分.
【0228】
実施例3
メチル 2-((3R,5S,7R,8R)-7-((1E,3E)-5-((2S,
3S,5R,6R)-5-((Z)-4-(3,5-ジメチル-1H-1,2,4-トリ
アゾール-1-イル)ペント-2-エンアミド)-3,6-ジメチルテトラヒドロ-2H
-ピラン-2-イル)-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル)-8-ヒドロキシ-1,
6-ジオキサスピロ[2.5]オクタン-5-イル)アセテート(化合物3)の合成
【0229】
パートA:
【化45】
【0230】
工程1.エチル 2-(3,5-ジメチル-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イ
ル)プロパノエート(化合物2g)
化合物1gをACN(100ml)に溶かした攪拌溶液にCsCO(125.6g
,386.15mmol)及びエチル2-ブロモプロパノエート(39.43ml,28
3.15mmol)を25℃で加えた。混合物を室温で16時間攪拌した。反応の進行を
TLC(DCM中、5%MeOH,Rf=0.5,PMA活性物質)により監視した。反
応終了後、反応混合物を濾過し、EtOAc(300ml)で洗浄した。濾液を水(2×
200ml)、ブライン(2×200ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで
乾燥し、濃縮して35gの粗生成物を得た。粗生成物を、シリカ(100~200メッシ
ュ)を使用して、DCM中、2%MeOHで溶出させる順相カラムクロマトグラフィーに
より精製した。回収された画分を蒸発させて化合物2g(30g,59.17%)を淡黄
色液体として得た。所望の異性体をNOE分析によって確認した。H NMR (400
MHz, DMSO-d) δ ppm: 5.22 - 5.34 (m, 1 H), 4
.03 - 4.18 (m, 2 H), 2.32 (s, 3 H), 2.16 (s, 3
H), 1.60 (d, J=7.23 Hz, 3 H), 1.06 - 1.19 (m
, 3 H);LCMS: 75.07% (198.17, M+H), RT = 1.18
分.
【0231】
工程2.2-(3,5-ジメチル-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-N
-メトキシ-N-メチルプロパンアミド(化合物3g)
化合物2g(5g,25.38mmol)を無水THF(10ml/mmol)に溶か
した攪拌溶液に、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(4.9g 50.76m
mol)、次いでイソプロピルマグネシウムクロリド-塩化リチウム錯体(58.57m
l,76.14mmol,THF中、1.3M)を0℃で徐々に加えた。混合物を室温で
3時間攪拌した。反応の進行をTLC(未希釈のEtOAc,Rf=0.3,PMA活性
物質)により監視した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、酢酸エ
チル(3×50ml)で抽出してから硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発さ
せて化合物3g(3.9g,73.58%)を淡黄色ゴム状物として得た。H NMR
(400 MHz, DMSO-d) δ ppm: 5.27 (m, 1 H), 3.3
8 (s, 3 H), 3.21 (s, 3 H), 2.43 (s, 3 H), 2.34
(s, 3 H), 1.66 (s, 3 H), 1.61 (d, 3 H);LCMS:
79.07% (213.01, M+H), RT = 1.40分.
【0232】
工程3.2-(3,5-ジメチル-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロ
パナール(化合物4g)
化合物3g(3.9g,18.39mmol)をTHF(8ml)に溶かした攪拌溶液
に、LAH(10.11ml,20.23mmol,THF中、2.0M)を加えた。添
加の後、反応混合物を0℃で2時間攪拌した。反応の進行をTLC(未希釈のEtOAc
;Rf=0.25,2,4-DNP活性物質)により監視した。反応終了後、飽和塩化ア
ンモニウム水溶液でクエンチし、酢酸エチル(3×50ml)で抽出してから無水硫酸ナ
トリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させて化合物4g(2.6g,92%)を得た
。粗生成物を精製せずに次の工程で使用した。アルデヒド化合物をH NMRにより確
認した。
【0233】
工程4.(Z)-メチル 4-(3,5-ジメチル-1H-1,2,4-トリアゾール
-1-イル)ペント-2-エノエート(化合物5g)
メチル 2-(ビス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)ホスホリル)アセテート(
5.4g,16.9mmol)を無水THF(10ml)に溶かした攪拌溶液に、18-
クラウン-6(22.43g,84.96mmol)及びKHMDS(16.99ml,
16.99mmol,THF中、1.0M)を-75℃で加え、反応混合物を20分間攪
拌した。次いで、THF(5ml)に加えた化合物4g(2.6g,16.993mmo
l)を反応混合物に加え、これを25℃まで昇温させてから2時間攪拌した。反応の進行
をTLC(ヘキサン中、50%EtOAc,Rf=0.3,UV活性物質)により監視し
た。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、生成物を酢酸エチル(3×
50ml)で抽出してから無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させて3
gの粗生成物を得た。粗生成物をヘキサン中、50%EtOAcを用いてシリカカラムに
より精製した。回収された画分中の生成物をUVにより同定し、減圧下で蒸発させて化合
物5g(500mg,14.08%)を淡黄色ゴム状物として得た。H NMR (40
0 MHz, DMSO-d) δ ppm: 6.48-6.53 (dd, J=8.8
Hz 1 H), 6.19-6.23 (m, 1 H), 5.87-5.84 (d, J
=1.2 Hz 1 H), 3.76 (s, 3 H), 2.42 (s, 3 H), 2.
34 (s, 3 H), 1.58- 1.60 (d, 3 H);LCMS: 74.79
% (210.11, M+H), RT = 1.24分.
【0234】
工程5.(Z)-4-(3,5-ジメチル-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イ
ル)ペント-2-エン酸(化合物6g)
化合物5g(500mg,16.99mmol)をTHF(8ml)及び水(2ml)
に溶かした攪拌溶液に、LiOH.HO(120.57g,2.87mmol)を加え
た。反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応の進行をTLC(DCM中、20%MeO
H,Rf=0.4,UV活性物質)により監視した。反応終了後、溶媒を減圧下で蒸発さ
せて粗生成物を得て、これを酸及び塩基処理で処理した。粗化合物を1mlの水に溶解し
、ジエチルエーテル(5ml)で抽出した。分離した水層を飽和クエン酸(0.2ml,
pH=5)で酸性化し、DCM(2×20ml)中、20%MeOHで抽出した。分離し
た有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を蒸発させて300mgの所望の
生成物を得た。この300mgの最終生成物を前のバッチ(80mg,LCMS97%)
と加え合わせ、水(1ml)で洗浄し、濾過した固体を真空下で乾燥して化合物6g(2
40mg,39.02%)を灰白色固体として得た。オレフィン性二重結合のJJ定常カ
ップリングにより、この化合物がZ幾何異性体であることが示された。H NMR (4
00 MHz, DMSO-d) δ ppm: 12.76 (br s, 1 H), 6.
36 (dd, J=11.18, 8.99 Hz, 1 H), 6.00 - 6.16 (
m, 1 H), 5.83 (d, J=11.40 Hz, 1 H), 2.30 (s,
3 H), 2.18 (s, 3 H), 1.48 (d, J=6.58 Hz, 3 H)
;LCMS: 98.64% (196.22, M+H), RT = 1.10分.
【0235】
パートB:
【化46】
【0236】
工程1.(Z)-4-(3,5-ジメチル-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イ
ル)-N-((2R,3R,5S,6S)-2,5-ジメチル-6-((E)-3-メチ
ルペンタ-2,4-ジエニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)ペント-2-エ
ンアミド(化合物1h)
化合物8(300mg,1.435mmol)、化合物6g(167.6mg,0.8
5mmol)をTHF(10ml)に溶かした攪拌溶液に、DIPEA(924mg,7
.15mmole)及びTP(EtOAc中、50%)(1.36g,4.29mmo
l)を室温で加えた。反応混合物を室温で5時間攪拌した。反応の進行をTLC(EtO
Ac,RF=0.1,UV活性物質)により監視した。反応溶媒を減圧下で濃縮して粗生
成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(100~200シリカゲル/溶離剤
、石油エーテル中、90%EtOAc)により精製して化合物1h(130mg,23.
5%)を無色ゴム状物として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)
δ ppm 6.53 (br d, J=1.96 Hz, 1 H) 6.23 - 6.42
(m, 2 H) 5.81 - 5.94 (m, 1 H) 5.68 - 5.78 (m,
1 H) 5.45 (br t, J=7.09 Hz, 1 H) 5.30 (s, 2 H)
5.05 - 5.16 (m, 1 H) 4.88 - 5.03 (m, 1 H) 4.1
2 (q, J=7.34 Hz, 3 H) 3.89 - 3.99 (m, 1 H) 3.6
4 - 3.76 (m, 1 H) 3.51 - 3.60 (m, 1 H) 2.72 - 2
.90 (m, 1 H) 2.32 - 2.50 (m, 7 H) 2.19 - 2.29
(m, 2 H) 2.08 - 2.14 (m, 3 H) 2.05 (s, 5 H) 1.
87 - 1.98 (m, 3 H) 1.70 - 1.85 (m, 4 H) 1.59 (
dd, J=6.60, 3.18 Hz, 3 H) 1.39 - 1.46 (m, 3 H
) 1.19 - 1.33 (m, 11 H) 1.09 - 1.19 (m, 3 H) 1
.01 (br dd, J=16.14, 7.34 Hz, 3 H) 0.81 - 0.9
2 (m, 2 H);LCMS: 82.3% (387.38, M+H), RT: 2.
31, 2.35分.
【0237】
工程2.メチル 2-((3R,5S,7R,8R)-7-((1E,3E)-5-(
(2S,3S,5R,6R)-5-((Z)-4-(3,5-ジメチル-1H-1,2,
4-トリアゾール-1-イル)ペント-2-エンアミド)-3,6-ジメチルテトラヒド
ロ-2H-ピラン-2-イル)-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル)-8-ヒドロキ
シ-1,6-ジオキサスピロ[2.5]オクタン-5-イル)アセテート(化合物3)
化合物1h(100mg,0.258mmol)及び化合物9(100mg,0.43
8mmol)をDCM(10mL)に溶かした攪拌溶液に、グラブスII触媒(65.7
mg,0.0774mmol)をアルゴン雰囲気下、室温で加えた。反応混合物を40℃
で5時間攪拌した。反応の進行をTLC(100%EtOAc,UV活性物質)により監
視した。反応混合物をセライトパッドに通して濾過し、DCM(2mL)で洗浄した。溶
媒を減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLCにより精製した[移動相
A:10mm ABC、移動相B:アセトニトリル;カラム:X-Bridge(150
×19mm),5u;方法:(T/%B):0/30,2/30,20/30,20/6
0,20.5,90,22/90;流速:18ml/分;溶解度:-ACN+THF+水
;周囲温度]。回収された画分を凍結乾燥して純粋な生成物化合物3(3mg,1.9%
)を灰白色固体として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ p
pm 6.44 - 6.60 (m, 1 H) 6.22 - 6.43 (m, 2 H) 5
.86 (td, J=7.23, 1.32 Hz, 1 H) 5.77 (br d, J=
9.21 Hz, 1 H) 5.58 - 5.72 (m, 1 H) 5.51 (br t,
J=7.02 Hz, 1 H) 4.44 - 4.56 (m, 1 H) 4.20 (br
t, J=6.80 Hz, 1 H) 3.87 - 4.00 (m, 2 H) 3.60
- 3.76 (m, 5 H) 3.45 - 3.57 (m, 3 H) 2.89 - 3.
02 (m, 2 H) 2.61 - 2.78 (m, 4 H) 2.40 - 2.49 (
m, 4 H) 2.29 - 2.38 (m, 9 H) 2.13 - 2.26 (m, 4
H) 2.07 - 2.11 (m, 3 H) 1.88 - 2.03 (m, 4 H) 1
.71 - 1.85 (m, 6 H) 1.51 - 1.55 (m, 3 H) 1.47
(br d, J=2.85 Hz, 2 H) 1.43 (s, 6 H) 1.22 - 1.
35 (m, 3 H) 1.16 (d, J=6.36 Hz, 3 H) 0.98 (d,
J=7.45 Hz, 3 H);LCMS: 75% (587.17, M+H), RT
: 2.95分.
【0238】
実施例4
メチル 2-((3R,5S,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-((1E,3E)
-5-((2S,3S,5R,6R)-5-((Z)-4-(イソオキサゾール-3-イ
ル)ペント-2-エンアミド)-3,6-ジメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イ
ル)-3-メチルペンタ-1,3-ジエン-1-イル)-1,6-ジオキサスピロ[2.
5]オクタン-5-イル)アセテート(化合物4)の合成
【0239】
パートA:
【化47】
【0240】
工程1.イソオキサゾール-3-イルメタノール(化合物2i)
エチル イソオキサゾール-3-カルボキシレート(化合物1i)(24g,170.
2mmol)をエタノール(400ml)に溶かした攪拌溶液を0℃まで冷却し、水素化
ホウ素ナトリウム(16.17g,425.5mmol)を加え、混合物を3時間攪拌し
た。反応の進行をTLC(DCM中、10%メタノール,Rf:0.3,ヨウ素及びUV
活性物質)により監視した。反応混合物を減圧下で蒸発させ、氷冷水(30ml)でクエ
ンチし、DCM(6×500ml)中、10%メタノールで抽出し、有機層を無水硫酸ナ
トリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧下で蒸発させて化合物2i(16.8g,99.3
2%)を無色油状物として得た。GCMS: 56% (99 M/Z), RT: 5.1
09分;H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 2.238 (
S, 1 H), 4.813 (s, 2 H) 6.428- 6.386 (d, J=2
Hz, 1 H) 8.392 (d, J=2 Hz, 1 H).
【0241】
工程2.3-(ブロモメチル)イソオキサゾール(化合物3i)
化合物2i(16.8g,169.69mmol)をDCM(350ml)に溶かした
攪拌溶液を0℃まで冷却し、トリフェニルホスフィン(44.5g,169.69mmo
l)及びCBr(56.27g,169.69mmol)を加え、混合物を室温で4時
間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、20%酢酸エチル、Rf:0.7,ヨウ
素及びUV活性物質)により監視した。反応混和物を水(2×100ml)、ブライン溶
液(100ml)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮して粗生成物
を淡黄色液体(23g)として得て、これを、シリカゲル(100~200メッシュ)を
使用し、ヘキサン中、10%酢酸エチルで溶出する順相カラムクロマトグラフィーにより
精製した。回収された画分を蒸発させて化合物3i(16.5g,62.6%)を淡黄色
液体として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 4.
461 (s, 2 H) 6.463 (d, J=1.6 Hz, 1 H) 8.396 (
d, J=1.6 Hz, 1 H);LCMS: 85% (162, M+H), RT:
1.69分.
【0242】
工程3.2-(イソオキサゾール-3-イル)アセトニトリル(化合物4i)
化合物3i(16.5g,102.4mmol)をDMSO(35ml)及び水(15
ml)に溶かした攪拌溶液に、0℃のKCN(9.92g,153.72mmol)を加
えた後、反応液を25℃にまで昇温させて3時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサ
ン中、30%酢酸エチル、Rf:0.5,KMNO活性物質)により監視した。反応混
合物を水(100ml)で希釈し、酢酸エチル(2×150ml)で抽出した。加え合わ
せた有機層を水(100ml)及びブライン溶液(100ml)で洗浄し、NaSO
で乾燥し、減圧下で濃縮して粗化合物(12g)を得て、これを、シリカゲル(100~
200メッシュ)及び溶離剤としてヘキサン中、20%EtOAcを使用して順相カラム
クロマトグラフィーにより精製した。回収された画分を蒸発させて化合物4i(8g,7
2.7%)を淡黄色液体として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d
) δ ppm 3.87 (s, 2 H) 6.49 (d, J=1.47 Hz, 1 H)
8.48 (d, J=1.47 Hz, 1 H);LCMS: 96.57% (109.
09, M+H), RT: 1.19分.
【0243】
工程4.2-(イソオキサゾール-3-イル)プロパンニトリル(化合物5i)
化合物4i(8g,92.5mmol)のTHF(300ml)溶液に、0℃のKOt
Bu(9.35g,83.33mmol)を加え、混合物を20分間攪拌した。次いで、
ヨウ化メチル(28ml,462.5mmol)を反応液に0℃で加え、反応混合物を2
5℃まで昇温させてから16時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、30%酢
酸エチル、Rf=0.45,KMnO活性物質)により監視した。反応終了後、混合物
を濾過し、濾液を酢酸エチル(250ml)で希釈し、水(100ml)及びブライン溶
液(100ml)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して粗化合
物(15g)を得て、これを、シリカゲル(100~200メッシュ)を使用し、ヘキサ
ン中、15%EtOAcで溶出する順相カラムクロマトグラフィーにより精製した。回収
された画分を蒸発させて化合物5i(5g,55.37%)を淡黄色液体として得た。
H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.748-1.730
(d, J= 7, 3 H), 4.178- 4.113 (m, 1H), 6.49 (d
, J=1.47 Hz, 1 H) 8.48 (d, J=1.47 Hz, 1 H);LC
MS: 92.66% (123.16, M+H), RT: 1.44分.
【0244】
工程5.エチル 2-(イソオキサゾール-3-イル)プロパノエート(化合物6i)
化合物5i(4.5g,36.88mmol)のエタノール(45ml)溶液に、1,
4-ジオキサン(45ml)中の4.0M HClを250ml試験管内で加えた後、試
験管を密封した。試験管を80℃まで加熱し、24時間攪拌した。反応の進行をTLC(
ヘキサン中、30%酢酸エチル,Rf=0.7,KMNO活性物質)により監視した。
反応終了後、反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチル(100ml)に溶かし、NaHC
溶液(2×50ml)、水(50ml)、及びブライン溶液(50ml)で洗浄した
。有機層をNaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して粗化合物(3.5g)を得て、これ
を、シリカゲル(100~200メッシュ)を使用し、ヘキサン中、10%酢酸エチルで
溶出する順相カラムクロマトグラフィーにより精製した。回収された画分を蒸発させて化
合物6i(6g,96.3%)を淡黄色液体として得た。H NMR (400 MHz
, クロロホルム -d) δ ppm 8.34 - 8.38 (m, 1 H) 6.37 -
6.42 (m, 1 H) 4.15 - 4.22 (m, 2 H) 3.96 - 4.0
3 (m, 1 H) 1.55 - 1.58 (m, 3 H) 1.25 - 1.28 (m
, 3 H);LCMS: 88.80 % (170.16, M+H), RT: 1.97
分.
【0245】
工程6.2-(イソオキサゾール-3-イル)-N-メトキシ-N-メチルプロパンア
ミド(化合物7i)
化合物6i(6g,35.5mmol)をTHF(200ml)に溶かした攪拌溶液に
N,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(6.92g,71mmol)を加え、反応
混合物を0℃に冷却した。次いで、イソプロピルマグネシウムクロリド-塩化リチウム錯
体を加えた(1.3M)(109.2ml,142mmol)。反応混合物を0℃で3時
間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、50%酢酸エチル、Rf:0.4,KM
NO活性物質)により監視した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液を用いてクエ
ンチし、酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。加え合わせた有機層を硫酸ナトリウ
ムで乾燥し、減圧下で濃縮して粗化合物(9g)を得た。粗生成物をヘキサン中、50%
酢酸エチルを溶離剤として用いてシリカゲルカラムにより精製した。純粋な画分を回収し
、減圧下で蒸発させて化合物7i(2g,30.62%)を淡黄色油状物として得た。
H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.50 (d, J=7
.02 Hz, 3 H) 3.21 (s, 3 H) 3.63 - 3.71 (m, 3 H
) 4.53 (br d, J=6.14 Hz, 1 H) 6.45 (d, J=1.53
Hz, 1 H) 8.33 (d, J=1.53 Hz, 1 H);LCMS: 97.0
5% (185.22, M+H), RT: 1.23分.
【0246】
工程7.2-(イソオキサゾール-3-イル)プロパナール(化合物8i)
化合物7i(2g,10.87mmol)をTHF(50ml)に溶かした攪拌溶液に
LAH(5.43ml,10.87mmol,THF中、2M)を-70℃で加えた。添
加の後、反応混合物を0℃で1時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、50%
酢酸エチル、RF=0.15,2,4-DNP活性物質)により監視した。反応終了後、
混合物を硫酸ナトリウムのスラリーでクエンチし、室温で30分間攪拌した。固体を濾過
し、酢酸エチル(50ml)で洗浄した。濾液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で
蒸発させて化合物8i(1.2g)を得た。粗生成物を精製せずに次の工程で使用した。
H NMRは、9.8ppmに特徴的なアルデヒドプロトンを示し、積分値は0.12
であった(他のピークの値は不純化合物のために記載しない)。
【0247】
工程8.(Z)-メチル 4-(1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ペント
-2-エノエート(化合物9i)
18-クラウン-6(19.18g,72.58mmol)及びtert-ブチル 2
-(ジフェノキシホスホリル)アセテート(3.34g,9.6mmol)をTHF(4
0ml)に溶かした攪拌溶液に、KHMDSの1M THF溶液(9.6ml,9.6m
mol)を-75℃で滴下した。添加後、反応混合物を-75℃で20分間攪拌した。次
いで、THF(10ml)に加えた化合物8i(1.2g,14.51mmol)を、反
応混合物に-75℃で加えた。添加の後、反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応の進
行をTLC(ヘキサン中、30%酢酸エチル、RF=0.6,UV活性物質)により監視
した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、酢酸エチル(3×30m
l)で抽出してから無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させて4gの粗
生成物を得た。粗生成物をヘキサン中、15%酢酸エチルを勾配として用いてシリカカラ
ムにより精製した。純粋な画分を回収し、減圧下で蒸発させて化合物9i(430mg,
19.6%)を黄色ゴム状物として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム
-d) δ ppm 1.42 (d, J=7.02 Hz, 3 H), 1.55 (s,
9 H) 5.002 - 4.961 (m, 1 H) 5.796-5.767 (d, J
=11.6 Hz, 1 H) 6.255-6.196 (m, 2 H) 8.316-8.
312 (d, J=1.6 Hz, 1 H);Z幾何学異性体をオレフィン結合のJJ定
常カップリング値により確認した。11.6 Hz;LCMS: 85.78% (224
.26, M+H), RT: 2.49分.
【0248】
工程9.(Z)-4-(イソオキサゾール-3-イル)ペント-2-エン酸(化合物1
0i)
化合物9i(420mg,1.88mmol)をDCM(42ml)に溶かした攪拌溶
液に、TFA(4.2ml,41.50mmol)を25℃で加え、混合物を4時間攪拌
した。反応の進行をTLC(石油エーテル中、30%EtOAc,Rf=0.1,UV活
性物質)により監視した。反応終了後、溶媒を減圧下、25℃で蒸発させて粗生成物を得
た。粗化合物を分取HPLC[移動相A:10 FA;移動相B:アセトニトリルカラム
:X selectフェニルヘキシル(150×19)mm,5u;流速:16ml/分
;方法:0/20,2/20,10/50;溶解度:-ACN+水+THF;周囲温度]
により精製して化合物10i(142mg,45.2%)を無色油状物として得た。
NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.33 (d, J=7.0
2 Hz, 3 H) 4.90 - 5.02 (m, 1 H) 5.81 (d, J=11.
40 Hz, 1 H) 6.31 (t, J=10.74 Hz, 1 H) 6.57 (d
, J=1.32 Hz, 1 H) 8.81 (d, J=1.32 Hz, 1 H) 12
.31 (s, 1 H);LCMS: 98.16% (166.15, M-H), RT
: 1.43分.
【0249】
パートB:
【化48】
【0250】
工程1.(Z)-N-((2R,3R,5S,6S)-2,5-ジメチル-6-((E
)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-
イル)-4-(イソオキサゾール-3-イル)ペント-2-エンアミド(化合物1j)
化合物8(150mg,0.716mmol)及び化合物10i(119mg,0.7
16mmol)を23℃のTHF(10ml)に溶かした攪拌溶液に、DIPEA(0.
65ml,3.58mmol)及びTP(EtOAc中、50%)(0.68mL,2
.14mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応の進行をTLC(
ヘキサン中、50%EtOAc,R=0.6,UV視認)により監視した。反応終了後
、反応混合物を真空下で濃縮して粗化合物を得た。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィ
ー(ヘキサン中、20→50%EtOAc)によりシリカ(100~200メッシュ)上
で精製して化合物1j(130mg,50.78%)を淡黄色液体として得た。H N
MR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.27 - 8.32 (m,
1 H) 6.37 (dd, J=17.33, 10.68 Hz, 1 H) 6.24 -
6.30 (m, 1 H) 6.14 (td, J=11.20, 9.97 Hz, 1
H) 5.72 - 5.88 (m, 2 H) 5.40 - 5.50 (m, 1 H) 5
.06 - 5.21 (m, 2 H) 4.96 (d, J=10.57 Hz, 1 H)
3.91 - 4.02 (m, 1 H) 3.63 - 3.73 (m, 1 H) 3.51
- 3.59 (m, 1 H) 2.33 - 2.45 (m, 1 H) 2.19 - 2.
31 (m, 1 H) 1.91 - 1.99 (m, 2 H) 1.81 (ddd, J=
9.92, 4.96, 2.45 Hz, 1 H) 1.76 (s, 3 H) 1.43
- 1.50 (m, 4 H) 1.24 - 1.28 (m, 3 H) 1.15 (dd,
J=13.19, 6.43 Hz, 3 H) 1.02 (dd, J=13.95, 7
.41 Hz, 3 H);LCMS: 93.58% (359.40, M+H), RT
: 2.73分及び2.75分.
【0251】
工程-2.メチル 2-((3R,5S,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-((1
E,3E)-5-((2S,3S,5R,6R)-5-((Z)-4-(イソオキサゾー
ル-3-イル)ペント-2-エンアミド)-3,6-ジメチルテトラヒドロ-2H-ピラ
ン-2-イル)-3-メチルペンタ-1,3-ジエン-1-イル)-1,6-ジオキサス
ピロ[2.5]オクタン-5-イル)アセテート(化合物4)
化合物1j(120mg,0.335mmol)を23℃のDCM(10ml)に溶か
した攪拌溶液に、化合物9(114mg,0.502mmol)及びグラブスII触媒(
85mg,0.10mmol)を窒素雰囲気下で加えた。反応混合物を40℃で5時間攪
拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、50%EtOAc,R=0.1,UV視認
)により監視した。反応混合物をセライトに通して濾過し、DCM(5ml)で洗浄し、
濾液を減圧下で濃縮して粗化合物を得た。粗残渣を分取HPLCにより精製した[移動相
A:10mm ABC;移動相B:アセトニトリル;カラム:X-selectフェニル
ヘキシル(150×19)mm,5u;方法:(T/%B):0/20,2/20,12
/55,20.50/90,22/90;流速:16ml/分;周囲温度]。回収された
画分を凍結乾燥して化合物4(5mg)を淡褐色ゴム状物として得た。H NMR (4
00 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.30 (s, 1 H) 6.38 (b
r d, J=15.89 Hz, 1 H) 6.28 (dd, J=3.30, 1.59
Hz, 1 H) 6.07 - 6.20 (m, 1 H) 5.80 - 5.87 (m,
1 H) 5.76 (dd, J=11.13, 3.06 Hz, 1 H) 5.63 (d
d, J=15.77, 6.24 Hz, 1 H) 5.52 (br t, J=6.85
Hz, 1 H) 5.05 - 5.23 (m, 1 H) 4.50 (ddd, J=11
.68, 7.15, 4.89 Hz, 1 H) 4.21 (br t, J=6.72 H
z, 1 H) 3.92 - 4.01 (m, 1 H) 3.63 - 3.75 (m, 7
H) 3.46 - 3.58 (m, 2 H) 2.89 - 3.03 (m, 2 H) 2
.60 - 2.74 (m, 2 H) 2.34 - 2.46 (m, 1 H) 2.13
- 2.32 (m, 3 H) 1.90 - 1.99 (m, 2 H) 1.71 - 1.
85 (m, 6 H) 1.47 (dd, J=6.97, 2.57 Hz, 3 H) 1
.15 (dd, J=13.45, 6.36 Hz, 3 H) 1.02 (dd, J=
14.18, 7.34 Hz, 3 H);LCMS: 92.45% (559.3, M
+H), RT: 4.75分及び4.80分.
【0252】
実施例5
メチル 2-((3R,5S,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-((1E,3E)
-5-((2S,3S,5R,6R)-5-((Z)-4-(3-メトキシイソオキサゾ
ール-5-イル)ペント-2-エンアミド)-3,6-ジメチルテトラヒドロ-2H-ピ
ラン-2-イル)-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル)-1,6-ジオキサスピロ[
2.5]オクタン-5-イル)アセテート(化合物5)の合成
【0253】
パートA:
【化49】
【0254】
工程1.メチル 3-メトキシイソオキサゾール-5-カルボキシレート(化合物2k

メチル 3-ヒドロキシイソオキサゾール-5-カルボキシレート(化合物1k)(2
3.5g,16.433mmol)をDMF(200ml)に溶かした攪拌溶液にK
(34.01g,24.65mmol)を0℃で加え、混合物を10分間攪拌した。
次いで、ヨウ化メチル(15.35ml)を加え、反応液を29℃まで昇温させてから1
6時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、20%EtOAc,Rf:0.7,
UV活性物質)により監視した。反応混合物を水(100ml)で希釈し、6N HCl
をpH約4となるまで加えることによって酸性化し、EtOAc(3×100ml)で抽
出した。有機層をブライン溶液(100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過、
濃縮して粗生成物を粗生成物(30g)を得て、これを、シリカゲル(100~200メ
ッシュ)を使用し、石油エーテル中、10%EtOAcで溶出する順相カラムクロマトグ
ラフィーにより精製した。回収された画分を蒸発させて化合物2k(20g,72.8%
)を灰白色固体として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ p
pm: 3.95 (s, 3 H), 4.03 (s, 3 H), 6.54 (s, 1 H
);LCMS: 99.16% (158.07, M+H), RT: 1.43分.
【0255】
工程2.(3-メトキシイソオキサゾール-5-イル)メタノール(化合物3k)
化合物2k(20g,127.38mmol)を0℃に冷却したメタノール(200m
l)に溶かした攪拌溶液に、NaBH(12.047g,318.47mmol)を少
量ずつ加えた。反応液を20℃まで昇温させ、5時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘ
キサン中、50%EtOAc,Rf:0.3,PMA活性物質)により監視した。反応混
合物を0℃のNHCl水溶液(20ml)でクエンチした。溶媒を減圧下、30℃で蒸
発させて残渣を得て、これを水(100ml)で希釈し、DCM(3×200ml)中、
10%MeOHで抽出した。加え合わせた有機層をブライン(100ml)で洗浄し、N
SOで乾燥し、濾過、濃縮して化合物3k(13g,79%)を淡黄色液体として
得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm: 2.49 (s
, 1 H), 3.96 (s, 3 H), 4.64 (d, J=5.70 Hz, 2 H
), 5.88 (s, 1 H);LCMS: 98.84% (130.06, M+H)
, RT: 0.90分.
【0256】
工程3.5-(ブロモメチル)-3-メトキシイソオキサゾール(化合物4k)
化合物3k(13g,100.77mmol)をDCM(200ml)に溶かした攪拌
溶液に、TPP(26.4g,100.77mmol)及びCBr(33.42g,1
00mmol)を0℃で加えた後、反応混合物を25℃まで昇温させ、2時間攪拌した。
反応の進行をTLC(ヘキサン中、20%EtOAc,Rf:0.8,UV活性物質)に
より監視した。反応混和物を水(2×100ml)及びブライン溶液(100ml)で洗
浄した。有機層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮して粗生成物を淡黄色液体(23g
)として得て、これを、シリカゲル(100~200メッシュ)を使用し、溶離剤として
石油エーテル中、10%EtOAcで溶出する順相カラムクロマトグラフィーにより精製
した。回収された画分を蒸発させて化合物4k(15g,78%)を淡黄色液体として得
た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm: 5.94 (s,
1H), 4.33 (s, 2H), 3.97 (S, 3H);LCMS: 92.15
% (192.16, M+H), RT: 1.59分.
【0257】
工程4.2-(3-メトキシイソオキサゾール-5-イル)アセトニトリル(化合物5
k)
化合物4k(15g,78.53mmol)をDMSO(150ml)及び水(40m
l)に溶かした攪拌溶液に、KCN(7.65g,117.80mmol)を0℃で加え
、反応液を25℃まで昇温させ、3時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、3
0%EtOAc,Rf:0.3,ヨウ素活性物質)により監視した。反応混合物を水(1
00ml)で希釈し、EtOAc(2×150ml)で抽出した。加え合わせた有機層を
水(100ml)及びブライン溶液(100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減
圧下で濃縮して粗化合物(12g)を得て、これを、シリカゲル(100~200メッシ
ュ)を使用し、石油エーテル中、15%EtOAcで溶出する順相カラムクロマトグラフ
ィーにより精製した。回収された画分を蒸発させて化合物5k(6g,55%)を淡黄色
固体として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm: 6
.00 (s, 1 H), 3.98 (s, 3 H), 3.79 (s, 2 H);LC
MS: 77.99% (138.92, M+H), RT: 1.54分.
【0258】
工程5.2-(3-メトキシイソオキサゾール-5-イル)プロパンニトリル(化合物
6k)
化合物5k(6g,43.478mmol)をアセトニトリル(60ml)に加えた懸
濁液に、KCO(6.6g,47.825mmol)を0℃で加え、反応液を20分
間攪拌した。ヨウ化メチル(16.22ml,260.86mmol)のアセトニトリル
(20ml)溶液を反応液に0℃で加えた。添加の後、反応混合物を25℃まで昇温させ
、48時間攪拌した。反応の進行をTLC(30%EtOAc,RF=0.4,KMnO
活性物質)により監視した。反応終了後、混合物を濾過し、濾液をEtOAc(150
ml)で希釈し、水(50ml)及びブライン溶液(50ml)で洗浄した。有機層をN
SOで乾燥し、減圧下で濃縮して粗化合物(9g)を得て、これを、シリカゲル(
100~200メッシュ)を使用し、石油エーテル中、8%EtOAcで溶出する順相カ
ラムクロマトグラフィーにより精製した。回収された画分を蒸発させて化合物6k(3g
,45%)を淡黄色液体として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d
) δ ppm: 5.96 (s, 1 H), 4.01 (m, 1 H), 3.99 (s
, 3 H), 1.71 (d, 3 H);LCMS: 85.72% (153.21,
M+H), RT: 1.43分.
【0259】
工程6.メチル 2-(3-メトキシイソオキサゾール-5-イル)プロパノエート(
化合物7k)
化合物6k(3g,19.736mmol)のMeOH(20ml)溶液に、1,4-
ジオキサン(20ml)中、4.0M HClを100mlの密封した試験管内で加え、
70℃に加熱してから24時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、30%Et
OAc,RF=0.6,PMA活性物質)により監視した。反応終了後、反応混合物を濃
縮し、残渣をEtOAc(100ml)に溶かし、NaHCO溶液(2×50ml)、
水(50ml)、及びブライン溶液(50ml)で洗浄した。有機層をNaSOで乾
燥し、減圧下で濃縮して粗化合物(3.5g)を得て、これを、シリカゲル(100~2
00メッシュ)を使用し、石油エーテル中、5%EtOAcで溶出する順相カラムクロマ
トグラフィーにより精製した。回収された画分を蒸発させて化合物7k(3g,83%)
を淡黄色ゴム状物として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ
ppm: 5.80 (s, 1 H), 3.95 (s, 3 H), 3.82 (m, 1
H), 3.73 (s, 3 H), 1.55 (d, 3H);LCMS: 94.48%
(186.22, M+H), RT: 1.54分.
【0260】
工程7.N-メトキシ-2-(3-メトキシイソオキサゾール-5-イル)-N-メチ
ルプロパンアミド(化合物8k)
化合物7k(3g,16.216mmol)及びN,O-ジメチルヒドロキシルアミン
塩酸塩(3.16g,32.43mmol)をTHF(50ml)に溶かした攪拌溶液に
、イソプロピルマグネシウムクロリド-塩化リチウム錯体(37.42ml,48.64
8mmol)を0℃で加えた。添加の後、反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応の進
行をTLC(50%EtOAc,RF=0.3,PMA活性物質)により監視した。反応
終了後、反応混合物を0℃の飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、酢酸エチル(3×
100ml)で抽出した。加え合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮
して粗生産物(5g)を得て、これを、シリカゲル(100~200メッシュ)を使用し
、石油エーテル中、20%EtOAcで溶出する順相カラムクロマトグラフィーにより精
製した。回収された画分を蒸発させて化合物8k(2.1g,60%)を淡黄色液体とし
て得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm: 5.80 (
s, 1 H), 4.31 (m, 1 H), 3.94 (s, 3H), 3.68 (s
, 3 H), 3.21 (s, 3H), 1.47 (d, 3H);LCMS: 97.
22% (215.23, M+H), RT: 1.40分.
【0261】
工程8.2-(3-メトキシイソオキサゾール-5-イル)プロパナール(化合物9k

化合物8k(1.8g,8.411mmol)をTHF(30ml)に溶かした攪拌溶
液に、LAH(4.2ml,8.411mmol,THF中、2M)を-78℃で加え、
混合物を-78℃で30分間攪拌した。反応の進行をTLC(30%EtOAc,RF=
0.4、2,4-DNP活性物質)により監視した。反応終了後、反応液を硫酸ナトリウ
ムのスラリーでクエンチし、室温で30分間攪拌した。未溶解の固体を濾過し、酢酸エチ
ル(50ml)で洗浄した。濾液を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させて化合物
9k(1.1g)を得た。粗生成物を精製せずに次の工程で使用した。アルデヒド化合物
の存在をH NMRにより確認した。
【0262】
工程9.(Z)-tert-ブチル 4-(3-メトキシイソオキサゾール-5-イル
)ペント-2-エノエート(化合物10k)
18-クラウン-6(19.18g,72.58mmol)及びtert-ブチル 2
-(ジフェノキシホスフィノ)アセテート(4.61g,14.51mmol)をTHF
(50ml)に溶かした攪拌溶液に、LiHMDS(14.51ml,14.51mmo
l,THF中、1M)を-78℃で滴下した。添加後、反応混合物を-78 ℃で40分
間攪拌した。次いで、化合物9k(1.1g,14.51mmol)のTHF(10ml
)溶液を、反応混合物に-78℃で加えた。添加の後、反応混合物を室温で2時間攪拌し
た。反応の進行をTLC(ヘキサン中、20%EtOAc,RF=0.7,PMA活性物
質)により監視した。反応終了後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、
酢酸エチル(3×100ml)で抽出してから硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下
で蒸発させて粗生成物(3g)を得て、これをヘキサン中、2%EtOAcの勾配を用い
てシリカカラムにより精製した。純粋な画分を回収し、減圧下で蒸発させて化合物10k
(350mg,19%)を黄色液体として得た。H NMR (400 MHz, クロロ
ホルム-d) δ ppm: 1.40 (d, J=7.02 Hz, 3 H), 1.45
- 1.52 (m, 9 H), 3.94 (s, 3 H), 4.87 - 4.97 (m
, 1 H), 5.64 (s, 1 H), 5.77 (d, J=11.40 Hz, 1
H), 6.10 (dd, J=11.18, 9.87 Hz, 1 H);LCMS: 9
1.94% (254.31, M+H), RT: 2.60分.
【0263】
工程10.(Z)-4-(3-メトキシイソオキサゾール-5-イル)ペント-2-エ
ン酸(化合物11k)
化合物10k(350mg,1.383mmol)をDCM(35ml)に溶かした攪
拌溶液に、29℃のTFA(3.17ml,41.50mmol)を加え、混合物を6時
間攪拌した。反応の進行をTLC(石油エーテル中、30%EtOAc,RF=0.2,
UV活性物質)により監視した。反応終了後、溶媒を減圧下、25℃で蒸発させて粗生成
物を得た。粗化合物をn-ペンタン(2×10ml)で洗浄し、固体残渣を減圧下で乾燥
して化合物11k(202mg,87%)を灰白色固体として得た。JJ定常カップリン
グ値により、Z幾何学異性体の形成が確認された。H NMR (400 MHz, DM
SO-d) δ ppm: 12.62 (br, 1H), 6.25 (dd, J=11
.18, 9.87 Hz, 1 H), 6.06 (s, 1H), 5.87 (d, J=
11.40 Hz, 1 H), 4.80 - 4.91 (m, 1 H), 3.86 (s
, 3 H), 1.32 (d, J=7.02 Hz, 3 H);LCMS: 90.09
% (198.24, M+H), RT: 2.54分.
【0264】
パートB:
【化50】
【0265】
工程1.(Z)-N-((2R,3R,5S,6S)-2,5-ジメチル-6-((E
)-3-メチルペンタ-2,4-ジエニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-
4-(3-メトキシイソオキサゾール-5-イル)ペント-2-エンアミド(化合物1m

化合物8(300mg,1.435mmol)、化合物11k(170mg,0.86
1mmol)をTHF(10mL)に溶かした攪拌溶液に、DIPEA(925mg,7
.175mmol)及びTP(EtOAc中、50%)(1.36g,4.305mm
ol)を室温で加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌した。反応の進行をTLC(石油
エーテル中、20%EtOAc,RF=0.5,UV活性物質)により監視した。反応溶
媒を減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(100~
200シリカゲル/溶離剤、石油エーテル中、10%EtOAc)により精製して化合物
1m(90mg,16%)を無色ゴム状物として得た。H NMR (400 MHz,
クロロホルム-d) δ ppm 6.37 (dd, J=17.61, 10.76 Hz
, 1 H) 5.97 - 6.07 (m, 1 H) 5.70 - 5.81 (m, 2 H
) 5.66 (s, 1 H) 5.46 (br t, J=7.09 Hz, 1 H) 5.
07 - 5.22 (m, 2 H) 4.96 (d, J=10.76 Hz, 1 H) 3
.94 (d, J=1.96 Hz, 4 H) 3.68 (q, J=6.68 Hz, 1
H) 3.55 (td, J=7.21, 2.69 Hz, 1 H) 2.34 - 2.
46 (m, 1 H) 2.25 (dt, J=15.16, 7.58 Hz, 1 H)
1.95 (q, J=3.42 Hz, 2 H) 1.78 - 1.85 (m, 1 H)
1.76 (s, 3 H) 1.41 (dd, J=6.85, 1.96 Hz, 3 H)
1.21 - 1.30 (m, 2 H) 1.15 (t, J=6.36 Hz, 3 H)
1.02 (t, J=7.34 Hz, 3 H);LCMS: 85.73% (389.
36, M+H), RT: 2.71及び2.74分.
【0266】
工程2.メチル 2-((3R,5S,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-((1E
,3E)-5-((2S,3S,5R,6R)-5-((Z)-4-(3-メトキシイソ
オキサゾール-5-イル)ペント-2-エンアミド)-3,6-ジメチルテトラヒドロ-
2H-ピラン-2-イル)-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル)-1,6-ジオキサ
スピロ[2.5]オクタン-5-イル)アセテート(化合物5)
化合物1m(77mg,0.198mmol)及び化合物9(77mg,0.337m
mol)をDCM(8ml)に溶かした攪拌溶液に、グラブスII触媒(50mg,0.
059mmol)をアルゴン雰囲気下、室温で加えた。反応混合物を40℃で5時間攪拌
した。反応の進行をTLC(石油エーテル中、50%EtOAc,RF=0.1,UV活
性物質)により監視した。反応混合物をセライトパッドに通して濾過し、DCM(2ml
)で洗浄した。溶媒を減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLCにより
精製した[移動相A:10mm ABC、移動相B:アセトニトリル;カラム:X-Br
idge(150×19)mm,5u;カラム:方法:(T/%B):0/30,2/3
0,20/30,20/60,20.5,90,22/90;流速:18ml/分;溶解
度:ACN+THF+水;周囲温度]。加え合わせた画分を凍結乾燥して純粋な生成物化
合物5(7.5mg,6.4%)を灰白色固体として得た。H NMR (400 MH
z, クロロホルム-d) δ ppm 6.37 (d, J=15.78 Hz, 1 H)
6.02 (ddd, J=11.18, 9.76, 2.52 Hz, 1 H) 5.68
- 5.80 (m, 2 H) 5.57 - 5.67 (m, 2 H) 5.51 (br
t, J=7.13 Hz, 1 H) 5.06 - 5.22 (m, 1 H) 4.43 -
4.55 (m, 1 H) 4.20 (br t, J=6.69 Hz, 1 H) 3.9
4 (d, J=1.75 Hz, 4 H) 3.61 - 3.73 (m, 4 H) 3.4
6 - 3.57 (m, 2 H) 2.87 - 3.02 (m, 2 H) 2.60 - 2
.74 (m, 2 H) 2.33 - 2.48 (m, 2 H) 2.20 - 2.32
(m, 2 H) 2.16 (dd, J=13.81, 5.48 Hz, 1 H) 1.9
0 - 1.98 (m, 2 H) 1.71 - 1.85 (m, 6 H) 1.41 (d
d, J=7.02, 1.97 Hz, 3 H) 1.14 (t, J=6.36 Hz,
3 H) 1.01 (t, J=7.34 Hz, 3 H);LCMS: 90.65% (
589.11, M+H), RT: 3.95, 4.01分.
【0267】
実施例6
メチル 2-((3R,5S,7R,8R)-7-((1E,3E)-5-((2S,
3S,5R,6R)-3,6-ジメチル-5-((Z)-4-(5-メチル-1,2,4
-オキサジアゾール-3-イル)ペント-2-エンアミド)テトラヒドロ-2H-ピラン
-2-イル)-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル)-8-ヒドロキシ-1,6-ジオ
キサスピロ[2.5]オクタン-5-イル)アセテートの合成(化合物6)
【0268】
パートA:
【化51】
【0269】
工程1.エチル 3-(ヒドロキシルアミノ)-3-イミノ-2-メチルプロパノエー
ト(化合物2n)
エチル 2-シアノプロパノエート(化合物1n)(20g,15.7mmol)をT
HF(500ml)に溶かした攪拌溶液に、KOtBuの溶液(314ml,31.4m
mol,THF中、1M)を0℃で加えた。10分後、ヒドロキシルアミン塩酸塩(27
g,39.3mmol)を加え、反応混合物を室温で48時間攪拌した。反応の進行をT
LC(ヘキサン中、50%EtOAc、Rf:0.1,KMnO活性物質)により監視
した。反応混合物を減圧下で蒸発させ、残渣を溶離剤としてヘキサン中、40%酢酸エチ
ルを使用してシリカカラムにより精製した。純粋な画分を回収し、減圧下で蒸発させて化
合物2n(5.5g,21.8%)を無色油状物として得た。H NMR (400 M
Hz,DMSO-d) δ ppm 1.17 (t, J = 7.15 Hz, 3 H),
1.24 (d, J = 7.15 Hz, 3 H ), 3.10 - 3.20 (m, 1
H), 3.92 - 4.23 (q, 2 H), 5.31 - 5.45 (br, 2
H);LCMS: 43.4% (161.13, M+H), RT = 0.37分及び4
9.48% (161.13, M+H), RT = 0.41分.
【0270】
工程2.エチル 2-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)プロ
パノエート(化合物3n)
化合物2n(5.5g,34.3mmol)をピリジン(50ml)に溶かした攪拌溶
液に、無水酢酸(9.7ml,10.3mmol)を密封した試験管内で室温で加えた。
反応混合物を120℃で24時間加熱した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、50%E
tOAc、Rf:0.5,KMnO活性物質)により監視した。反応混合物を減圧下で
蒸発させ、残渣を溶離剤としてヘキサン中、20%酢酸エチルを使用してシリカカラムに
より精製した。純粋な画分を回収し、減圧下で蒸発させて化合物3n(4.5g,71.
4%)を黄色油状物として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)
δ ppm 1.26 (t, J = 7.09 Hz, 3 H), 1.58 - 1.62
(d, 3 H), 2.61 (s, 3 H), 3.89 - 4.00 (q, 1 H),
4.15 - 4.26 (q, 2 H);LCMS: 86.56% (185.22,
M+H), RT = 1.48分.
【0271】
工程3.2-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)プロパン酸(
化合物4n)
化合物3n(4.5g,24.4mmol)をMeOH:THF:HO(45ml,
4:4:1)に溶かした攪拌溶液に、LiOH.HO(4g,9.7mmol)を0℃
で加え、反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、50
%EtOAc、Rf:0.1,KMnO活性物質)により監視した。反応混合物を減圧
下で蒸発させ、残渣のpHを6N HCl(約10ml)を用いて約1に調整した後、酢
酸エチル(25ml×2)で抽出した。加え合わせた有機層をNaSOを用いて乾燥
し、減圧下で濃縮して化合物4n(3.5g,92%)を無色油状物として得た。
NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.41 (d, J = 7.2
3 Hz, 3 H), 2.57 (s, 3 H), 3.88 - 3.97 (q, 1 H
), 12.65 - 12.82 (br s, 1 H);LCMS: 94.38% (1
57.1, M+H), RT = 1.05分.
【0272】
工程4.N-メトキシ-N-メチル-2-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾー
ル-3-イル)プロパンアミド(化合物5n)
化合物4n(3.5g,22.4mmol)をDCM(100ml)に溶かした攪拌溶
液に、EDC・HCl(6.4g,33.6mmol)、HOBt(4.5g,33.6
mmol)及びDIPEA(11.7ml,67.2mmol)を0℃で加えた。10分
後、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(3.2g,33.6mol)を0℃で
加えた。反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、50
%EtOAc、Rf:0.2,KMnO活性物質)により監視した。反応混合物をDC
M(40ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(30ml)で洗浄した。有機層
を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧下で蒸発させて5gの粗化合物5n
を得た。粗化合物を、溶離剤としてヘキサン中、40%酢酸エチルを用いてシリカカラム
により精製した。純粋な画分を回収し、減圧下で蒸発させて化合物5n(2.2g,50
%)を無色油状物として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ
ppm 1.57 (d, J = 7.03 Hz, 3 H), 2.60 (s, 3 H),
3.26 (s, 3 H), 3.72 (s, 3 H), 4.34 - 4.42 (q,
1 H);LCMS: 96.65% (200.16, M+H), RT = 1.21分
【0273】
工程5.2-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)プロパナール
(化合物6n)
LAH(380mg,10mmol)をTHF(10ml)に溶かした攪拌溶液に化合
物5n(1g,50mmol)のTHF溶液(20ml)を0℃でゆっくりと加えた。反
応混合物を室温で1時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、40%EtOAc
、Rf:0.3,KMnO活性及び2,4-DNPわずかに活性)により監視した。反
応混合物を、0℃の1N HCl(約3ml)を用いてクエンチし、10分間攪拌した後
、酢酸エチル(20ml)を加えた。反応混合物をセライトパッドに通して濾過した。濾
液を硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、体積を減少させて4ml(約800mg,粗生成物
)の化合物6nとした。化合物6nを更に精製することなく工程6に使用した。ESMS
:40.4%(141.1,M+H),RT=2.24分(粗生成物);注:H NM
Rは読み取り可能なスペクトルを与えなかった。
【0274】
工程6.メチル(Z)-4-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル
)ペント-2-エノエート(化合物7n)
18-クラウン-6-エーテル(7.5g,28.5mmol)を乾燥THF(30m
l)に溶かした攪拌溶液に、メチル 2-(ビス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)
ホスホリル)アセテート(1.3ml,6.2mmol)を0℃で加え、次いでTHF(
6.2ml,6.2mmol)中、1M KHMDSを-78℃で加えた。反応混合物を
-78℃に30分間維持した後、乾燥THF(10ml)に加えた化合物6n(約800
mg)を-78℃で加えた。反応混合物を室温まで徐々に昇温させ、同じ温度で2時間攪
拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、30%EtOAc、Rf:0.5,KMnO
活性物質)により監視した。反応混合物をHO(30ml)を用いてクエンチし、酢
酸エチル(50ml×2)で抽出した。加え合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、
減圧下で濃縮して600mgの粗化合物7nを得た。粗化合物を、溶離剤としてヘキサン
中、10%酢酸エチルを用いてシリカカラムにより精製した。純粋な画分を回収し、減圧
下で蒸発させて化合物7n(420mg,LCMSによる純度59%,37%)を黄色油
状物として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.
44 - 1.48 (d, 3 H), 2.57 (s, 3 H) 3.74 (s, 3 H
), 5.01 - 5.10 (q, 1 H), 5.92 - 5.89 (d, J = 1
0 Hz, 1 H), 6.35 - 6.46 (dd, J = 10 Hz, 1 H);L
CMS: 59% (197.21, M+H), RT = 1.57分.オレフィン結合の
JJカップリング定数値によりZ幾何学異性体を確認: 10 Hz.
【0275】
工程7.(Z)-4-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ペン
ト-2-エン酸(化合物8n)
化合物7n(550mg,28mmol,LCMSによる純度80%)をジオキサン(
10ml)及び2N HCl(5ml)に加えた。反応混合物を55℃で48時間加熱し
た。反応の進行をTLC(ヘキサン中、30%EtOAc;Rf:0.1,KMnO
性)により監視した。反応混合物を減圧下で濃縮し、分取HPLCを用いて精製して純粋
な化合物8n(138mg,28.6%)を無色油状物として得た。H NMR (40
0 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.33 (d, J = 7.02 Hz, 3
H), 2.55 (s, 3 H), 4.86 - 5.08 (q, 1 H), 5.84
(dd, J = 11.40 Hz, 1 H), 6.24 (m, J = 10.52 Hz
, 1 H), 11.64 - 12.96 (br s, 1 H);LCMS: 98.59
% (183.21, M+H), RT = 1.4分.
【0276】
パートB:
【化52】
【0277】
工程-1.(Z)-N-((2R,3R,5S,6S)-2,5-ジメチル-6-((
E)-3-メチルペンタ-2,4-ジエニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)
-4-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ペント-2-エンアミ
ド(化合物1p)
化合物8(150mg,0.716mmol)、化合物8n(130mg,0.716
mmol)を23℃のTHF(5ml)に溶かした攪拌溶液に、DIPEA(0.65m
l,2.385mmol)及びTP(EtOAc中、50%)(0.68mL,1.4
31mmol)を加えた。反応混合物を23℃で3時間攪拌した。反応の進行をTLC(
ヘキサン中、50%EtOAc,R=0.6,UV視認)により監視した。反応終了後
、反応混合物を真空下で濃縮して粗化合物を得た。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィ
ー(ヘキサン中、10→50%EtOAc)によりシリカ(100~200メッシュ)上
で精製して化合物1p(130mg,48.68%)を淡黄色液体として得た。H N
MR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 6.45-6.33 (m, 1
H) 6.17 - 6.12 (m, 1 H) 6.07 - 6.01 (m, 1 H) 5
.85-5.79 (m, 1H) 5.46-5.45 (m, 1H) 5.13-5.0
9 (m, 1H) 4.97-4.88 (m, 1H) 3.96 (br, 1H) 3.
68-3.66 (m, 1H) 3.55-3.52 (m, 1H) 2.56 9s, 3
H) 2.39-2.35 (m, 1H) 2.27-2.21 (m, 1H) 2.04
-1.98 (m, 1H) 1.93-1.90 (m, 2H) 1.82-1.76 (
m, 3H) 1.49-1.46 (m, 3H) 1.28-1.21 (m 5H) 1.
16-1.10 (m, 3H) 1.06-0.97 (m, 3H);LCMS: 85.
98% (374.42, M+H), RT: 2.61分及び2.63分.
【0278】
工程2.メチル 2-((3R,5S,7R,8R)-7-((1E,3E)-5-(
(2S,3S,5R,6R)-3,6-ジメチル-5-((Z)-4-(5-メチル-1
,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ペント-2-エンアミド)テトラヒドロ-2H
-ピラン-2-イル)-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル)-8-ヒドロキシ-1,
6-ジオキサスピロ[2.5]オクタン-5-イル)アセテート(化合物6)
化合物1p(120mg,0.321mmol)を23℃のDCM(10ml)に溶か
した攪拌溶液に、化合物9(109mg,0.481mmol)及びグラブスII触媒(
81mg,0.096mmol)を窒素雰囲気下で加えた。反応混合物を40℃で5時間
攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、50%EtOAc,R=0.1,UV視
認)により監視した。反応混合物をセライトに通して濾過し、DCM(5ml)で洗浄し
、濾液を減圧下で濃縮して粗化合物を得た。粗残渣を分取HPLCにより精製した[移動
相A:10mm ABC、移動相B:アセトニトリル;カラム:X-bridge(15
0×19)mm,5u;方法:(T/%B):0/30,2/30,20/60,20.
50/90,22/90;流速:18ml/分;溶解度:ACN+THF+水;周囲温度
]。回収された画分を凍結乾燥して化合物6(5mg)を白色固体として得た。H N
MR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 6.31 - 6.44 (m,
1 H) 5.99 - 6.19 (m, 2 H) 5.77 - 5.89 (m, 1 H)
5.63 (br dd, J=15.89, 6.25 Hz, 1 H) 5.45 - 5.
56 (m, 1 H) 5.02 - 5.17 (m, 1 H) 4.83 - 4.96 (
m, 1 H) 4.44 - 4.54 (m, 1 H) 4.20 (br t, J=6.6
9 Hz, 1 H) 3.90 - 4.02 (m, 1 H) 3.61 - 3.77 (m
, 4 H) 3.44 - 3.58 (m, 3 H) 2.88 - 3.02 (m, 2 H
) 2.61 - 2.76 (m, 2 H) 2.56 (s, 3 H) 2.38 (td,
J=14.85, 7.34 Hz, 1 H) 2.12 - 2.29 (m, 2 H) 1
.87 - 2.04 (m, 3 H) 1.70 - 1.84 (m, 5 H) 1.48
(dd, J=6.91, 4.71 Hz, 3 H) 1.08 - 1.20 (m, 3
H) 0.94 - 1.07 (m, 3 H);LCMS: 96.43% (574.15
, M+H), RT: 3.59分及び3.64分.
【0279】
実施例7
メチル 2-((3R,5S,7R,8R)-7-((1E,3E)-5-((2S,
3S,5R,6R)-3,6-ジメチル-5-((Z)-4-メチル-5-((3-メチ
ルオキセタン-3-イル)オキシ)ペント-2-エンアミド)テトラヒドロ-2H-ピラ
ン-2-イル)-3-メチルペンタ-1,3-ジエン-1-イル)-8-ヒドロキシ-1
,6-ジオキサスピロ[2.5]オクタン-5-イル)アセテート(化合物7)の合成
【0280】
パートA:
【化53】
【0281】
工程1.3-メチルオキセタン-3-オール(化合物2q)
オキセタン-3-オン(化合物2q)(25g,346.9mmol)を乾燥ジエチル
エーテル(1.25l)に溶かした攪拌溶液に、ジエチルエーテル(127.2mL,3
81.6mmol)中、3Mメチルマグネシウムブロミドを0℃で2時間かけて滴下した
。反応物を0℃で2時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、40%EtOAc
;Rf:0.2,PMA活性)により監視した。反応物を0℃の飽和NHCl溶液(約
1L)を用いて1時間かけてゆっくりとクエンチした。有機層を分離し、再び水層をDC
M中、10%MeOH(200ml×5)で抽出した。加え合わせた有機層を無水Na
SOで乾燥し、20℃で減圧下で蒸発させて化合物2q(16g,52%)を橙色油状
物として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm1.38
- 1.40 (s, 3 H) 4.26 (d, J = 6.58 Hz, 2 H), 4.
43 (d, J = 5.92 Hz, 2 H), 5.50 (s, 1 H);GCMS =
98.87%.
【0282】
工程2.エチル 2-(((3-メチルオキセタン-3-イル)オキシ)メチル)アク
リレート(化合物4q)
化合物2q(10.5g,119.16mmol)をDMF(120mL)に溶かした
攪拌溶液にNaH(5.72g,238.33mmol)を0℃で少量ずつ加えた。反応
混合物を0℃で30分攪拌した後、化合物3q(23g,119.16mmol)を0℃
で加え、室温で2時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、10%EtOAc,
Rf:0.5,UV及びPMA活性)により監視した。反応混合物を氷冷水(120ml
)を用いてクエンチし、ジエチルエーテル(100ml×3)を用いて抽出した。加え合
わせた有機層を冷水(100ml×3)で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥した。有機層を減圧下で蒸発させ、残渣を溶離剤としてヘキサン中、10%酢酸
エチルを使用してシリカカラムにより精製した。純粋な画分を回収し、減圧下で蒸発させ
て化合物4q(7g,29%)を無色油状物として得た。H NMR (400 MHz
, クロロホルム-d) δ ppm 1.29 - 1.34 (t, 3 H), 1.58
- 1.60 (s, 3 H), 4.13 (s, J = 1.67 Hz, 2 H), 4
.20 - 4.27 (q, 2 H), 4.37 - 4.40 (d, 2 H), 4.7
3 (d, J = 6.32 Hz, 2 H), 5.93 (s, 1 H) 6.32 (s
, J = 1.55 Hz, 1 H);LCMS: 71.79% (201.23, M+
H), RT = 1.57分.
【0283】
工程3.エチル 2-メチル-3-((3-メチルオキセタン-3-イル)オキシ)プ
ロパノエート(化合物5q)
化合物4q(7g,35mmol)をエタノール(100mL)に溶かした攪拌溶液に
窒素下で10%Pd/C(2g)を加えた。反応混合物を水素ブラダー(約20psi)
を使用して水素雰囲気下、室温で48時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、
10%EtOAc,Rf:0.5,PMA活性物質)により監視した。反応混合物をセラ
イトベッドに通して濾過し、酢酸エチル(200ml×2)で洗浄した。反応混和物を減
圧下で蒸発させて化合物5q(6g,84%)を無色油状物として得た。H NMR (
400 MHz, DMSO-d) δ ppm 0.99 - 1.13 (d, 3 H),
1.14 - 1.26 (t, 3 H), 1.32 - 1.44 (s, 3 H), 2
.57 - 2.67 (m, 1 H), 3.34 - 3.47 (m, 2 H), 4.0
0 - 4.14 (q, 2 H), 4.22 - 4.28 (d, 2 H), 4.40
- 4.48 (m, 2 H);LCMS: 85.89% (203.2, M+H), R
T = 2.72分.
【0284】
工程4.2-メチル-3-((3-メチルオキセタン-3-イル)オキシ)プロパン-
1-オール(化合物6q)
化合物5q(1g,4.95mmol)を乾燥THF(10mL)に溶かした攪拌溶液
にLAH(282mg,7.42mmol)を0℃で加え、混合物を室温で16時間攪拌
した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、30%EtOAc、Rf:0.2,KMnO
活性)により監視した。反応混合物を氷冷水(20ml)を用いて0℃でクエンチし、室
温で1時間攪拌した。反応混合物をセライトベッドに通して濾過し、DCM中、10%M
eOH(20ml×5)で洗浄した。生成物をDCM中、10%MeOH(20ml×7
)を用いて母液から抽出した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧
下で蒸発させて粗化合物6q(700mg,88%)を無色油状物として得た。H N
MR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 0.86 (d, J = 6.80
Hz, 3 H), 1.43 (s, 3 H), 1.66 - 1.76 (m, 1 H)
, 3.11 - 3.39 (m, 5 H), 4.23 - 4.26 (d, 2 H),
4.37 - 4.41 (t, 1 H), 4.46 - 4.50 (d, 2 H).
【0285】
工程5.2-メチル-3-((3-メチルオキセタン-3-イル)オキシ)プロパナー
ル(化合物7q)
化合物6q(500mg,3.12mmol)をDCM(10mL)に溶かした攪拌溶
液にデス-マーチンペルヨージナン(DMP)(1.72g,4.06mmol)を0℃
で加え、室温で2時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、30%EtOAc、
Rf:0.6,2,4-DNP及びKMnO活性)により監視した。反応混合物を飽和
NaHCO溶液(約20ml)を用いてクエンチし、セライトベッドに通して濾過し、
ジクロロメタン(30ml×2)で洗浄した。生成物をジクロロメタン(20ml×2)
を用いて母液から抽出した。加え合わせた有機層を分離し、NaSOで乾燥し、減圧
下で蒸発させた。残基物を溶離剤としてヘキサン中、15%酢酸エチルを用いてシリカカ
ラムにより精製した。純粋な画分を回収し、減圧下で蒸発させて化合物7q(270mg
,54%)を無色ゴム状化合物として得た。H NMR (400 MHz, クロロホル
ム-d) δ ppm 1.17 (d, J = 7.19 Hz, 3 H), 1.54 (s
, 3 H), 2.48 - 2.71 (m, 1 H), 3.44 - 3.62 (m,
2 H), 4.35 (d, J = 6.54 Hz, 2 H), 4.57 - 4.75
(d, 2 H), 9.60 - 9.80 (s, 1 H).
【0286】
工程6.メチル(Z)-4-メチル-5-((3-メチルオキセタン-3-イル)オキ
シ)ペント-2-エノエート(化合物8q)
18-クラウン-6-エーテル(2.27g,8.54mmol)を乾燥THF(10
ml)に溶かした攪拌溶液に、メチル 2-(ビス(2,2,2-トリフルオロエトキシ
)ホスホリル)アセテート(597mg,1.87mmol)を0℃で加えた後、THF
(1.7ml,1.70mmol)中、1M KHMDSを-78℃で加えた。反応混合
物を-78℃に30分間維持し、次いで乾燥THF(5ml)に溶かした化合物7q(2
70mg,1.70mmol)を-78℃で加え、反応混合物を1.5時間で徐々に室温
にまで昇温させた。反応の進行をTLC(ヘキサン中、20%EtOAc、Rf:0.5
,KMnO活性)により監視した。反応混合物を氷冷水(10ml)を用いてクエンチ
し、酢酸エチル(10ml×2)中で抽出した。加え合わせた有機層をNaSOで乾
燥し、減圧下で蒸発させて600mgの粗化合物7qを得た。粗化合物を、溶離剤として
ヘキサン中、8%酢酸エチルを用いてシリカカラムにより精製した。純粋な画分を回収し
、減圧下で蒸発させて化合物7q(170mg,46%)を無色油状物として得た。
NMR (300 MHz, DMSO-d) δ ppm 0.99 (d, J = 6.
60 Hz, 3 H), 1.38 (s, 3 H) 3.25 (m, J = 6.42,
2.02 Hz, 2 H), 3.45 - 3.68 (m, 4 H), 4.24 (d,
J=6.60 Hz, 2 H), 4.47 (m, J = 5.69 Hz, 2 H), 5
.78 - 5.87 (d, 1 H), 6.14 - 6.24 (dd, 1 H);LC
MS: 72% (215.4, M+H), RT = 1.68分.
【0287】
工程7.(Z)-4-メチル-5-((3-メチルオキセタン-3-イル)オキシ)ペ
ント-2-エン酸(化合物9q)
化合物7q(170mg,0.794mmol)をTHF(2ml)及びHO(0.
5ml)に溶かした攪拌溶液にLiOH.HO(100mg,2.38mmol)を室
温で加えた。反応混合物を室温で72時間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、
70%EtOAc;Rf:0.2,KMnO活性)により監視した。反応混合物を減圧
下で蒸発させ、水(10ml)で希釈し、DCM中、10%MeOH(5ml×10)で
洗浄した。水層を分離し、1N HClを用いて酸性化してpH約2に調整した。粗生成
物をDCM中、10%MeOH(10ml×3)を用いて抽出した。有機層を分離し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させて化合物9q(119mg,75%)を無
色油状物として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm0
.98 (d, J = 6.80 Hz, 3 H), 1.43 (s, 3 H), 3.24
(d, J = 6.36 Hz, 2 H), 3.51 - 3.65 (m, 1 H), 4
.24 (d, J = 6.36 Hz, 2 H), 4.47 (t, J = 5.81 H
z, 2 H), 5.71 - 5.74 (dd, J = 12, 0.77 Hz, 1 H
) 6.06 - 6.12 (dd, J = 10, 9.76 Hz, 1 H). 12.1
2 - 12.33 (br s, 1 H);ELSD: 98.47% (201.1, M
+H), RT = 2.44分. オレフィン結合のJJカップリング定数値によりZ幾何
学異性体を確認: J=12, 10 Hz.
【0288】
パートB:
【化54】
【0289】
工程1.(Z)-N-((2R,3R,5S,6S)-2,5-ジメチル-6-((E
)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-
イル)-4-メチル-5-((3-メチルオキセタン-3-イル)オキシ)ペント-2-
エンアミド(化合物1r)
化合物8(100mg,0.477mmol)、(Z)-4-メチル-5-((3-メ
チルオキセタン-3-イル)オキシ)ペント-2-エン酸(化合物1q)(95mg,0
.477mmol)を23℃のTHF(5ML)に溶かした攪拌溶液に、DIPEA(0
.43mL,2.385mmol)及びTP(EtOAc中、50%)(0.45mL
,1.431mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応の進行をT
LC(ヘキサン中、50%EtOAc,R=0.5,UV視認)により監視した。反応
終了後、反応混合物を真空下で濃縮して粗化合物を得た。粗残渣をフラッシュクロマトグ
ラフィー(ヘキサン中、10→50%EtOAc)によりシリカ(100~200メッシ
ュ)上で精製して化合物1r(75mg,40.10%)を淡黄色液体として得た。
NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 6.37 (dd, J=1
7.38, 10.52 Hz, 1 H) 6.03 - 6.17 (m, 1 H) 5.6
8 - 5.85 (m, 2 H) 5.46 (br t, J=7.14 Hz, 1 H)
5.11 (d, J=17.44 Hz, 1 H) 4.96 (d, J=10.68 H
z, 1 H) 4.61 - 4.75 (m, 2 H) 4.28 - 4.37 (m, 2
H) 3.85 - 4.05 (m, 1 H) 3.47 - 3.73 (m, 4 H) 3
.33 - 3.42 (m, 1 H) 3.14 - 3.25 (m, 1 H) 2.32
- 2.45 (m, 1 H) 2.19 - 2.30 (m, 1 H) 1.87 - 2.
07 (m, 3 H) 1.49 - 1.64 (m, 12 H) 1.24 - 1.32
(m, 3 H) 1.16 - 1.22 (m, 2 H) 1.10 - 1.15 (m,
2 H) 1.05 (td, J=4.82, 2.23 Hz, 5 H) 0.99 (d,
J=7.30 Hz, 2 H);LCMS: 89.55% (392.13, M+H)
, RT: 2.21分.
【0290】
工程2.メチル 2-((3R,5S,7R,8R)-7-((1E,3E)-5-(
(2S,3S,5R,6R)-3,6-ジメチル-5-((Z)-4-メチル-5-((
3-メチルオキセタン-3-イル)オキシ)ペント-2-エンアミド)テトラヒドロ-2
H-ピラン-2-イル)-3-メチルペンタ-1,3-ジエン-1-イル)-8-ヒドロ
キシ-1,6-ジオキサスピロ[2.5]オクタン-5-イル)アセテート(化合物7)
化合物1r(70mg,0.178mmol)を23℃のDCM(10ml)に溶かし
た攪拌溶液に、窒素雰囲気下で化合物9(61mg,0.268mmol)及びグラブス
II触媒(45mg,0.053mmol)を加えた。反応混合物を40℃で5時間攪拌
した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、50%EtOAc,R=0.1,UV視認)
により監視した。反応混合物をセライトに通して濾過し、DCM(5ml)で洗浄し、濾
液を減圧下で濃縮して粗化合物を得た。粗残渣を分取HPLCにより精製した[移動相A
:10mm ABC、移動相B:アセトニトリル;カラム:X-bridge(150×
19)mm,5u;方法:(T/%B):0/30,2/30,20/60,20.50
/90,22/90;流速:18ml/分;溶解度:ACN+THF+水;周囲温度]。
回収された画分を凍結乾燥して化合物7(3.5mg)を白色固体として得た。H N
MR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.57 (br dd, J=1
2.39, 8.00 Hz, 1 H) 6.28 (br d, J=15.78 Hz, 1
H) 5.99 - 6.08 (m, 1 H) 5.68 - 5.78 (m, 1 H) 5
.58 (br dd, J=16.00, 5.04 Hz, 1 H) 5.52 (br t
, J=6.91 Hz, 1 H) 5.04 (br d, J=5.92 Hz, 1 H)
4.44 - 4.53 (m, 2 H) 4.19 - 4.32 (m, 4 H) 3.77
(ddt, J=15.65, 12.91, 6.55, 6.55 Hz, 1 H) 3
.65 (br d, J=5.92 Hz, 2 H) 3.60 (s, 3 H) 3.46
- 3.54 (m, 1 H) 3.23 - 3.27 (m, 3 H) 3.20 (dd,
J=6.25, 2.52 Hz, 2 H) 2.76 (d, J=5.26 Hz, 1
H) 2.67 (dt, J=4.00, 2.27 Hz, 3 H) 2.58 - 2.6
5 (m, 1 H) 2.15 - 2.36 (m, 3 H) 1.77 - 1.91 (m
, 2 H) 1.70 (s, 3 H) 1.65 (br dd, J=6.47, 3.4
0 Hz, 3 H) 1.53 (br dd, J=12.93, 3.73 Hz, 1 H
) 1.42 (s, 3 H) 1.03 - 1.11 (m, 3 H) 0.91 - 0.
99 (m, 6 H);LCMS: 95.81% (592.24, M+H), RT:
3.72分及び3.74分.
【0291】
実施例8
(Z)-5-(((2R,3R,5S,6S)-6-((2E,4E)-5-((3R
,4R,5R,7S)-7-(2-((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ
)-2-オキソエチル)-4-ヒドロキシ-1,6-ジオキサスピロ[2.5]オクタン
-5-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン-1-イル)-2,5-ジメチルテト
ラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アミノ)-5-オキソペンタ-3-エン-2-イル
4-フルオロベンゾエート(化合物10)の合成
【0292】
パートA:
【化55】
【0293】
工程1.(Z)-5-((2R,3R,5S,6S)-2,5-ジメチル-6-((E
)-3-メチルペンタ-2,4-ジエニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イルアミ
ノ)-5-オキソペンタ-3-エン-2-イル 4-フルオロベンゾエート(化合物1f

室温の化合物8(400mg,1.91mmole)の攪拌溶液に、THF(12ml
)に溶かした化合物4e(273mg,1.14mmole)、DIPEA(1.23g
,9.55mmole)、及びTP(EtOAc中、50%)(1.82g)を室温で
加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌した。反応の進行をTLC(石油エーテル中、3
0%EtOAc,R=0.2,PMA活性)により監視した。反応混合物を減圧下で濃
縮して粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(100~200シリカゲ
ル/溶離剤、石油エーテル中、10%EtOAc)により精製して化合物1f(220m
g)を無色ゴム状物として得た。H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)
δ ppm 0.99 - 1.08 (m, 3 H) 1.11 - 1.20 (m, 3 H
) 1.36 - 1.44 (m, 3 H) 1.47 - 1.55 (m, 5 H) 1.
69 - 1.85 (m, 4 H) 1.89 - 2.03 (m, 2 H) 2.19 -
2.32 (m, 1 H) 2.34 - 2.49 (m, 1 H) 3.49 - 3.59
(m, 1 H) 3.62 - 3.75 (m, 1 H) 3.91 - 4.04 (m,
1 H) 4.87 - 5.01 (m, 1 H) 5.11 (d, J=17.44 Hz
, 1 H) 5.47 (br d, J=3.81 Hz, 1 H) 5.76 (ddd,
J=11.61, 5.94, 1.20 Hz, 1 H) 5.88 - 6.09 (m,
2 H) 6.18 - 6.58 (m, 3 H) 7.05 - 7.16 (m, 2 H)
7.99 - 8.10 (m, 2 H);LCMS: 87.8% (430.07, M+
H), RT: 2.50分及び2.52分.
【0294】
パートB:
【化56】
【0295】
工程1.2-((2S,5S,6R)-5-ヒドロキシ-4-メチレン-6-ビニルテ
トラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)酢酸(化合物1s)
化合物8c(600mg,2.83mmol)を23℃のTHF(9mL)及び水(1
mL)に溶かした攪拌溶液に水酸化リチウム一水和物(178mg,4.24mmol)
を加えた。反応混合物を23℃で16時間攪拌した。反応の進行をTLC(DCM中、1
0%MeOH;R:0.1,PMA視認)により監視した。反応終了後、THFを減圧
下で蒸発させた。得られた残渣を飽和クエン酸で酸性化し、DCM中、10%MeOH(
3×50mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して化合
物1s(200mg)を淡黄色液体として得た。H NMR (300 MHz, DMS
O-d) δ ppm 12.15 (br s, 1 H) 5.87 (ddd, J=17
.33, 10.73, 4.95 Hz, 1 H) 5.11 - 5.31 (m, 3 H
) 5.05 (s, 1 H) 4.83 (s, 1 H) 4.14 - 4.26 (m,
1 H) 3.83 - 3.94 (m, 1 H) 3.68 (t, J=6.24 Hz,
1 H) 3.17 (d, J=5.14 Hz, 1 H) 2.43 (dd, J=6.9
7, 4.03 Hz, 2 H) 2.20 - 2.38 (m, 2 H).
【0296】
工程2.2,5-ジオキソピロリジン-1-イル 2-((2S,5S,6R)-5-
ヒドロキシ-4-メチレン-6-ビニルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセテ
ート(化合物2s)
化合物1s(200mg,1.008mmol)及び1-ヒドロキシピロリジン-2,
5-ジオン(174mg,1.513mmol)を23℃のDCM(10mL)に溶かし
た攪拌溶液に、EDC塩酸塩(289mg,1.513mmol)を加えた。混合物を2
3℃で12時間攪拌した。反応の進行をTLC(TLCシステム:ヘキサン中、50%E
tOAc;R=0.4,PMA視認)により監視した。反応終了後、溶媒を減圧下で濃
縮して粗生成物を得た。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中、20~5
0%EtOAc)によりシリカ(100~200メッシュ)上で精製して化合物2s(1
80g,60.60%)を淡黄色液体として得た。H NMR (400 MHz, クロ
ロホルム-d) δ ppm 5.87 (ddd, J=17.44, 10.79, 5.
99 Hz, 1 H) 5.31 - 5.44 (m, 2 H) 5.15 (s, 1 H)
5.02 (d, J=0.98 Hz, 1 H) 4.37 (qd, J=6.68, 4
.36 Hz, 1 H) 4.14 - 4.22 (m, 1 H) 3.96 (t, J=5
.34 Hz, 1 H) 2.89 (dd, J=6.54, 3.27 Hz, 2 H)
2.79 - 2.86 (m, 4 H) 2.51 - 2.59 (m, 1 H) 2.39
- 2.48 (m, 1 H) 2.30 (d, J=5.99 Hz, 1 H);LCM
S: 79.10% (296.09, M+H), RT: 1.37分.
【0297】
工程3.2,5-ジオキソピロリジン-1-イル 2-((3R,5S,7R,8R)
-8-ヒドロキシ-7-ビニル-1,6-ジオキサスピロ[2.5]オクタン-5-イル
)アセテート(化合物3s)
化合物2s(180mg,0.609mmol)を-20℃のDCM(10mL)に溶
かした溶液に、バナジルアセチルアセトナート(16mg,0.060mmol)及びt
ert-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)(デカン中、5.5M)(0.22mL
)を加えた。次いで、得られた混合物を0℃まで昇温させ、2時間攪拌した。2時間後、
反応混合物を23℃まで昇温し、18時間攪拌した。TLC(ヘキサン中、50%EtO
Ac,R=0.2,PMA視認)により反応終了が確認された後、溶媒を減圧下で濃縮
して粗生成物を得た。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中、30~60
%EtOAc)によりシリカ(100~200メッシュ)上で精製して化合物3s(11
0mg,58.20%)を淡黄色液体として得た。H NMR (400 MHz, クロ
ロホルム-d) δ ppm 6.00 (s, 1 H) 5.44 (dt, J=17.4
1, 1.54 Hz, 1 H) 5.31 - 5.36 (m, 1 H) 4.51 - 4
.59 (m, 1 H) 4.20 - 4.27 (m, 1 H) 3.48 - 3.55
(m, 1 H) 3.10 - 3.20 (m, 1 H) 2.96 - 3.06 (m,
2 H) 2.79 - 2.90 (m, 6 H) 2.70 (d, J=4.47 Hz,
1 H) 2.05 (t, J=2.34 Hz, 1 H) 1.90 - 2.01 (m,
2 H).
【0298】
工程4.(Z)-5-(((2R,3R,5S,6S)-6-((2E,4E)-5-
((3R,4R,5R,7S)-7-(2-((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル
)オキシ)-2-オキソエチル)-4-ヒドロキシ-1,6-ジオキサスピロ[2.5]
オクタン-5-イル)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン-1-イル)-2,5-ジメ
チルテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アミノ)-5-オキソペンタ-3-エン-
2-イル 4-フルオロベンゾエート(化合物10)
化合物1f(100mg,0.233mmol)を23℃のDCM(10ml)に溶か
した攪拌溶液に、窒素雰囲気下で化合物3s(108mg,0.502mmol)及びグ
ラブスII触媒(59mg,0.069mmol)を加えた。反応混合物を40℃で6時
間攪拌した。反応の進行をTLC(ヘキサン中、50%EtOAc;R=0.1,UV
視認)により監視した。反応混合物をセライトに通して濾過し、DCM(5ml)で洗浄
した。濾液を減圧下で濃縮して粗生成物を得た。LCMS分析により、所望の生成物が収
率15%で未反応の化合物1fとともに示された。粗生成物を分取HPLCにより精製し
た。回収された画分を凍結乾燥して化合物10(11mg)を白色固体として得た(収率
7%)。生成物を分取HPLCによりジアステレオマーの混合物として単離した[移動相
A:0.1%葉酸、移動相B:アセトニトリル;カラム:Synergy polar(
250×21.2)mm,4u;方法:(T/%B):65:35(イソクラチック);
流速:18ml/分;溶解度:ACN+THF+水;周囲温度]。H NMR (400
MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.05 (ddd, J=8.60, 5.6
5, 2.41 Hz, 2 H) 7.10 (t, J=8.55 Hz, 2 H) 6.3
6 - 6.58 (m, 2 H) 5.91 - 6.08 (m, 2 H) 5.76 (d
d, J=11.62, 5.48 Hz, 1 H) 5.64 (dd, J=15.78,
5.92 Hz, 1 H) 5.54 (br s, 1 H) 4.48 - 4.60 (m
, 1 H) 4.23 (br t, J=6.36 Hz, 1 H) 3.98 (br dd
, J=5.26, 2.85 Hz, 1 H) 3.68 (q, J=6.28 Hz, 1
H) 3.54 (br t, J=7.67 Hz, 2 H) 3.02 - 3.20 (m
, 2 H) 2.99 (d, J=4.60 Hz, 1 H) 2.75 - 2.90 (m
, 4 H) 2.69 (d, J=4.60 Hz, 1 H) 2.34 - 2.48 (m
, 1 H) 2.11 - 2.31 (m, 2 H) 1.86 - 2.05 (m, 4 H
) 1.73 - 1.84 (m, 4 H) 1.53 (br d, J=6.58 Hz,
3 H) 1.17 (t, J=6.14 Hz, 3 H) 1.04 (t, J=7.56
Hz, 3 H);LCMS: 96.58% (713.27, M+H), RT: 4.
63分及び4.67分.
【0299】
実施例9
トラスツズマブ抗体とのADCである化合物11、及びパリビズマブ抗体とのADCで
ある化合物12の合成
【化57】
【0300】
化合物10をトラスツズマブと結合させたものである化合物11、及び化合物10をパ
リビズマブと結合させたものである化合物12を、Arlotta, et al.(A
ntibodies,2018,7(1):6)より適用した手順で合成した。21mg
の市販のトラスツズマブ(Herceptin(登録商標);Genentech;Ph
armaceutical Buyers Inc.,New Hyde Park,N
Y)及び5mgのパリビズマブ(Synagis(登録商標);MedImmune;P
harmaceutical Buyers Inc.)を元の製造業者の添付文書に記
載の製剤として濃度3mg/mLで調製し、Slide-A-Lyzer(商標)透析装
置(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)を使用
してコンジュゲーションバッファー[(50mMホウ酸塩)(Alfa Aesar,H
averill,MA)、50mM NaCl(Sigma;St.Louis,MO)
、2mM EDTA(Sigma)、pH8.5]中に透析した。ジメチルアセトアミド
(DMA;MP Biomedicals,Santa Ana,Ca)を各製剤に加え
て全有機含有量を10%v/vとした。次いで各抗体をDMA中、20mMのストックか
らの8モル当量の化合物10と反応させた。コンジュゲーション反応液を、室温で2時間
、シェーカーのテーブル上でインキュベートした。未反応の化合物10をクエンチするた
め、80モル当量のTris緩衝生理食塩水(TBS;Sigma)を加え、室温で振盪
しながら1時間インキュベートした。ADCを精製し、Sephadex(商標)PD-
10 G-25脱塩カラム(GE Healthcare,Chicago,IL )を
使用してバッファーを保存バッファー[10mM ヒスチジン(VWR)、50mM ト
レハロース(Acros Organics,Waltham,MA),pH 6.0]に
交換した。ADCの最終的な回収率及び濃度を、UV/Vis分光測光法(4mLの5.
0mg/mLの化合物11;3.2mLの1.1mg/mLの化合物12)を用いて決定
した。薬物抗体比(DAR)をUV/Vis分光測光法により決定し、LC-MS質量シ
フト(化合物11について3.5、化合物12について2.8)を用いて確認した。Su
perdex(登録商標)Increase 5/150 GLカラム(GE Heal
thcare)でサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて各ADCについて凝
集分析を行ってモノマー種の完全性を確保した(化合物11について>98%、化合物1
2について>99%)。各ADCのエンドトキシン含有量は、ToxinSensor(
商標)Gel Clot Assay(GenScript;Georgetown,G
rand Cayman,Cayman Islands)を用いて≦1EU/mLと確
認された。
【0301】
同様の手順に従って、リシン残基とのアミド結合が薬物複合体を形成した、開示される
発明の更なるADCを合成した。異なる毒素で化合物2を置き換え、アミド以外のリンカ
ーを用いてADCを作製することもできる。更に、標的とするがん細胞に応じてトラスツ
ズマブ及びパリビズマブ以外の抗体に置換することもできる。
【0302】
実施例10
インビトロ細胞アッセイ
1日目に、所定の細胞数/ウェルで培地中に、がん細胞株SKBR3、HCC1954
、MCF7、及びMDAMB231とともに96ウェルプレートを播種する。各細胞株に
ついてタイランスタチンAを毒性の陽性対照試験化合物として用い、希釈剤のみを陰性対
照として用いる。各プレートを37℃の加湿したCOインキュベーター中で20時間イ
ンキュベートした。2日目に試験する各試験化合物の希釈液を調製する。各試料の初期の
ワーキングストックを適当な培地中で調製する。次いで、培地中、1/3の連続希釈液を
各試験化合物について調製する。5ulの希釈液を約100ulの細胞の各ウェルに加え
る。最終試料濃度は、nM~pMの範囲とする(1/3の連続希釈液として)。すべての
試料について二重/または三重のデータポイントを得る。B、C、D、E、F、Gの列の
ウェルを用いてプレート当たり3つ/2つの試料を調製する。次いで、各プレートを37
℃の加湿したCOインキュベーター中で72時間インキュベートする。
【0303】
5日目に、以下の手順を用いてCell-Titer Glo(登録商標)試薬を使用
して細胞生存率を読み取る。培地を96ウェルプレートから吸引する。100ulのCe
ll-Titer Glo(登録商標)試薬(Promega,Inc.,Madiso
n,WI)を各ウェルに加える。各プレートを室温で10分間インキュベートする。生じ
た発光をTecan Ultra(登録商標)プレートリーダーを使用して読み取る。
【0304】
得られたデータを分析し、濃度(nM)に対する生存率(%)としてプロットする。得
られた曲線を非線形回帰を用いてフィッティングする。各試験化合物のIC50を計算し
、表にする。
【0305】
本発明の化合物の毒性は、上記のアッセイで以下のがん細胞株を用いて同様にして調べ
ることもできる。すなわち、CCRF-CEM、HL-60(TB)、K-562、MO
LT-4、RPMI-8226、及びSRを含む白血病細胞株;A549/ATCC、E
KVX、HOP-62、HOP-92、NCI-H226、NCI-H23、NCI-H
322M、NCI-H460、及びNCI-H522を含む非小細胞肺癌細胞株;COL
O205、HCC-2998、HCT-116、HCT-15、HT29、KM12、及
びSW-620を含む大腸癌細胞株;SF-268、SF-539、SNB-19、SN
B-75、及びU251を含むCNS癌細胞株;LOX IMVI、MALME-3M、
M14、SK-MEL-2、SK-MEL-28、SK-MEL-5、UACC-257
、及びUACC-62を含むメラノーマ癌細胞株;IGROV1、OVCAR-3、OV
CAR-4、OVCAR-5、OVCAR-8、及びSK-OV-3を含む卵巣癌細胞株
;786-0、A498、ACHN、CAKI-1、RXF 393、SN 12C、T
K-10、及びUO-31を含む腎細胞癌細胞株;MCF7、HS 578T、MDA-
MB-435、BT-549、T-47D、及びMDA-MB-468を含む乳癌細胞株
;ならびに前立腺癌株PC-3及びDU-145。
【0306】
実施例11
インビトロ細胞アッセイ
また、本発明の化合物のインビトロ細胞毒性は、本実施例で述べるようにして測定する
こともできる。マッコイ5a改変培地(Sigma-Aldrich(登録商標),St
.Louis,MO)+10%ウシ胎児血清中、180μlのHCT116細胞(ATC
C、カタログ番号CCL-247)を白色不透明96ウェルプレート中に5000細胞/
ウェルの密度で播種し、5%COインキュベーター中、370℃で24時間インキュベ
ートした。細胞播種の24時間後、20μLの10×試験化合物を、試験化合物の最終濃
度がμM濃度となるように希釈した。10μM~0.0001μMまで半対数希釈を用い
た。プロマイシン及び非処理細胞を陽性対照として用いた。細胞を各化合物と、5%CO
インキュベーター中、370℃で72時間インキュベートした。72時間後、100μ
l/ウェルのCellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cel
l Viability Assay試薬(Promega,Inc.,Madison
,WI;カタログ番号G7573)を各プレートに加え、室温で30分間インキュベート
した。EnVision 2105 Multimode Plate Reader(
PerkinElmer,Waltham,MA)を使用して発光シグナルを捕捉した。
X軸上に薬物の濃度を、Y軸上に平均阻害率(%)の値をプロットすることにより、Gr
aphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software,La
Jolla,CA)で非線形回帰カーブフィッティング(S字状用量反応)を用いてデー
タを分析した。
【0307】
表1に、示される毒性化合物について観察された細胞毒性をまとめて示す。
【表1】
【0308】
実施例12
毒性化合物のインビトロ細胞毒性
アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC(登録商標))より異なる癌細胞
株を入手した。細胞を、加湿した5%COインキュベーター中、RPMI 1640、
L-グルタミン、及び10%FBSからなる培地中で培養した。細胞を標準的な組織培養
技術を用いて必要に応じて継代した。細胞を回収し、ウェル当たり5000個の細胞密度
で96ウェル組織培養処理プレートに播いた。細胞を加湿した5%COインキュベータ
ー中で約24時間平衡化させた後、示した濃度の試験化合物で処理した。細胞を3日間、
培地を変えずに各試験化合物に曝露した。処理期間の後、CellTiter-Glo(
登録商標)Luminescent Cell Viability Assay試薬溶
液(Promega,Inc.,Madison,WI;カタログ番号G7573)を各
ウェルに導入した。その後、CellTiterGlo含有プレートを、Spectro
Max(登録商標)iD3マルチモードマイクロプレートリーダー(Molecular
Devices,LLC,San Jose,CA)で読み取った。発光度は生細胞の
数によって決定された。細胞毒性50%阻害濃度(IC50)をGraphPad Pr
ism 7.0(GraphPad Software,La Jolla,CA)の非
線形回帰分析を用いて計算した。
【0309】
以下の表に、示されるがん細胞株NCI-H23、DU145、SW480、SKOV
3、A549、HT29、SK-MES-1、SKBR3、HCT116、MCF7、N
87、及びA431(ATCC名称)に対して指定された毒素化合物について観察された
細胞毒性(IC50)(nM)をまとめる。表2は、化合物2、4及び6の細胞毒性を示
す。
【表2】
【0310】
表3は、タイランスタチンAを陽性対照として用いた、2つのヒト膵臓癌細胞株PAN
C10.05及びPANC05.04に対する化合物1~7の細胞毒性を示す。
【表3】
【0311】
表4は、示される癌細胞株HL60、KG-1、NCI-H69、SK-MEL-1、
HEL-92.1.7、及びK562 (ATCC名称)に対する化合物2、4、及び6
の細胞毒性データを示す。
【表4】
【0312】
実施例13
ADCのインビトロ細胞毒性
実施例12で述べたものと同様の手順で、ADC化合物11の細胞毒性を、示されるが
ん細胞株について測定した。化合物12を陰性対照として使用した。
【表5】
【0313】
実施例14
皮下NCI-N87の処置におけるインビボ有効性試験
雌性Balb/c系ヌードマウスにおけるヒト胃癌異種移植
がんのヒト胃癌異種移植モデルであるNCI=N87(ATCC(登録商標)受託番号
CRL-5822(商標))を使用して開示される発明のADCのインビボ有効性を試験
した。マトリゲルと混合(1:1)した0.1mLのリン酸緩衝生理食塩水PBSに加え
た1×10個のNCI-N87腫瘍細胞を、6~8週齢の雌性Balb/c系ヌードマ
ウスの右脇腹に注射した。腫瘍細胞接種の日を0日目とし、腫瘍体積を週2回測定した。
ノギスを使用して腫瘍体積を2次元で測定し、体積を式V =(L×W×W)/2(ただ
し、Vは腫瘍体積、Lは腫瘍長さ(最長の腫瘍寸法)、Wは腫瘍幅(Lに垂直な最長の腫
瘍寸法)である)を用いてmmで表した。平均腫瘍サイズが150~300mmに達
した時点でマウスを無作為化し、8つの処置群に分けた。
【0314】
処置群は下記に示す通りである。なお、「Q4d4」は、全体で4回の用量の原薬を
6日目に開始して各用量の間に4日間の間隔をおいて投与したことを意味する。
第1群:溶媒(PBS)のみ、Q4d4;
第2群:1mg/kgの化合物11、Q4d
第3群:3mg/kgの化合物11、Q4d4;
第4群:3mg/kgの化合物11、6日目に単一用量;
第5群:3mg/kgの化合物12、Q4d4;
第6群:10mg/kgの化合物11、6日目に単一用量;
第7群:10mg/kgのKadcyla、6日目に単一用量;
第8群:3mg/kgのKadcyla、Q4d4。
【0315】
8つの群のそれぞれに、示される試験物を静脈内注射により投与した。溶媒(PBS)
及び化合物12を陰性対照として使用して溶媒(PBS)の影響及び本試験においてAD
Cで送達される分子としての化合物10の標的と独立した作用を調べた。Kadcyla
(登録商標)(アド-トラスツズマブエムタンシン;Genentech, South
San Francisco, CA)を比較物質及びADCの陽性対照として投与した。
【0316】
注射後、6日目、9日目、12日目、15日目、19日目、21日目、23日目、25
日目、27日目、29日目、及び31日目に各マウスで腫瘍体積を測定して腫瘍体積の低
減における各処置の効果を判定した。GraphPad Prism 7.04ソフトウ
ェアを使用してデータ分析を行った。
【0317】
図1は、データをグラフで表したものを示す。表3A及び3Bは、図1の数値ベースを
示したものであり、「平均」は平均の腫瘍体積(mm)を示す。SEMは平均の標準誤
差を示し、Nは実験群の個々の動物の数を表す。
【表6-1】

【表6-2】
【0318】
これらのインビボ実験の結果は、PBS溶媒単独(第1群)または化合物12で処置し
たマウス(第5群)は、処置後に観察される腫瘍体積の減少を示さなかったことを示して
いる。実際、これらの動物で腫瘍は時間とともに増大し続けた。予想されたように、陽性
対照のKadcyla(第7群及び第8群)は腫瘍体積を減少させた。複数の用量レベル
及びスケジュールの化合物11のインビボ有効性(第2群、第3群、第4群、及び第6群
)が、腫瘍体積の減少によって明確に示された。腫瘍体積の減少の度合いは、Kadcy
la群で観察されたのと同様であった。
【0319】
最初の投与後の体重減少が第3群、第4群、第5群、及び第6群で観察された(それぞ
れ、化合物11(3mg/kg、Q44)、化合物11(3mg/kg、単一用量)、
化合物12(3mg/kg、Q44)、及び化合物11(10mg/kg、単一用量)
)。死亡につながる体重減少が第4群、第5群、及び第6群で観察された(それぞれ、化
合物11(3mg/kg、単一用量)、化合物12(3mg/kg、s(Q44)、及
び化合物12(10mg/kg、単一用量))。最も重篤な作用は第6群(化合物11(
10mg/kg、単一用量))で観察され、9日目に処置群を構成する10匹のうち10
匹のマウスが死亡していることが見出された。重い体重減少(開始体重の15%超)を回
復させるために給水及び食餌による介入を行ったにもかかわらず、第3群(化合物11(
3mg/kg、単一用量))の10匹のマウスのうち、2匹が翌日死亡した。化合物12
の第5群のうち、1匹のマウスで15.94%の体重減少がみられ、安楽死させた。有害
事象の数及び重症度は、投与した化合物10のADCの用量レベルと相関しており、HE
R2をターゲティングしない化合物12及びHER2をターゲティングした化合物11で
観察された。したがって、体重減少及び死亡は、ADCとの関連でリンカー毒素である化
合物10の濃度の増大の作用によるものと考えられた。
【0320】
本明細書で触れられるすべての刊行物及び特許出願は、あたかもそれぞれの個々の刊行
物及び特許出願が詳細かつ個別に参照により援用されていることが示されているものと同
様にして、それらの全容を本明細書に参照により援用するものとする。
【0321】
上記の記載から、本発明の特定の実施形態を例示の目的で本明細書に記載したが、様々
な改変を本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる点は認識されよう
。したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲による場合を除き、限定されない。
【0322】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
式(I):
【化1】

[式中、
Rは、-(CH -R ;場合により、ハロゲン、-CF 、-C 1~6 アルキル
、及び-O-C 1~6 アルキルのうちの1つ以上で置換された-C 5~6 ヘテロアリール
;-C(R )=N-R ;-CH(CF )NH(CH CH ;-C(R
)NH(CH CH ;-C(ハロゲン)=CH(CH CH ;-SO -N
H(CH CH ;-O(CO)-アリール;-O(CO)-ヘテロアリール;-N
;及び、-NH-ヘテロアリールからなる群から選択され、
は、-O-CR (CH CH または-N-CR (CH
であり、
とR とは、それらが結合した原子とともにC 3~10 の複素環式環を形成し、
は、-CNまたは-NH(CH CH であり、
は、-(CH CH または-O-(CH CH であり、
Xは、-Hまたは-CH であり、
各nは、独立して1、2、または3であり、
各mは、独立して0、1、2、または3である]
の化合物またはこれらの薬学的に許容される塩。
(項2)
Rが、
【化2】

からなる群から選択される、上記項1に記載の化合物。
(項3)
【化3】

【化4】

からなる群から選択される化合物。
(項4)
式(II):
【化5】

[式中、
Lは、リンカーであり、
Rは、-(CH -R ;場合により、ハロゲン、-CF 、-C 1~6 アルキル
、及び-O-C 1~6 アルキルのうちの1つ以上で置換された-C 5~6 ヘテロアリール
;-C(R )=N-R ;-CH(CF )NH(CH CH ;-C(R
)NH(CH CH ;-C(ハロゲン)=CH(CH CH ;-SO -N
H(CH CH ;-O(CO)-アリール;-O(CO)-ヘテロアリール;-N
;及び、-NH-ヘテロアリールからなる群から選択され、
は、-O-CR (CH CH または-N-CR (CH
であり、
とR とは、それらが結合した原子とともにC 3~10 の複素環式環を形成し、
は、-CNまたは-NH(CH CH であり、
は、-(CH CH または-O-(CH CH であり、
各nは、独立して1、2、または3であり、
各mは、独立して0、1、2、または3である]
の化合物またはこれらの薬学的に許容される塩。
(項5)
Lが、式(A )、式(A )、式(A )、式(A )、及び式(A ):
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

(式中、qは、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
Yは、Br、I、または
【化11】

である)
からなる群から選択される、上記項4に記載の化合物。
(項6)
Rが、
【化12】

からなる群から選択される、上記項4または5に記載の化合物。
(項7)
構造10:
【化13】

を有する、上記項4~6に記載の化合物。
(項8)
式(III):
T-L’-Ab (III)
[式中、
Lは、リンカー部分であり、
Tは、式(I’):
【化14】

(式中、
Rは、-(CH -R ;場合により、ハロゲン、-CF 、-C 1~6 アルキル
、及び-O-C 1~6 アルキルのうちの1つ以上で置換された-C 5~6 ヘテロアリール
;-C(R )=N-R ;-CH(CF )NH(CH CH ;-C(R
)NH(CH CH ;-C(ハロゲン)=CH(CH CH ;-SO -N
H(CH CH ;-O(CO)-アリール;-O(CO)-ヘテロアリール;-N
;及び、-NH-ヘテロアリールからなる群から選択され、
は、-O-CR (CH CH または-N-CR (CH
であり、
とR とは、それらが結合した原子とともにC 3~10 の複素環式環を形成し、
は、-CNまたは-NH(CH CH であり、
は、-(CH CH または-O-(CH CH であり、
各nは、独立して1、2、または3であり、
各mは、独立して0、1、2、または3である)
の基であり、
Abは、抗体である]
の化合物またはこれらの薬学的に許容される塩。
(項9)
Rが、
【化15】

からなる群から選択される、上記項8に記載の化合物または塩。
(項10)
L’が、式(B )、式(B )、式(B )、及び式(B ):
【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

(式中、qは、3、4、5、6、7、8、9、または10である)
からなる群から選択される、上記項8または9に記載の化合物。
(項11)
前記式(III)の化合物が、
【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

及び
【化24】


(式中、qは、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、nは、1、2、3、
または4である)
からなる群から選択される、上記項8~10のいずれか1項に記載の化合物または塩。
(項12)
構造11:
【化25】

(式中、trasはトラスツズマブである)
を有する、上記項8に記載の化合物。
(項13)
前記抗体が、トラスツズマブ、ペルツズマブ、ゲムツズマブ、及びバダスツキシマブか
らなる群から選択される、上記項8~11のいずれか1項に記載の化合物または塩。
(項14)
前記抗体が、1つ以上の腫瘍関連抗原または細胞表面受容体に結合する、上記項8~1
3のいずれか1項に記載の化合物または塩。
(項15)
前記抗体が、HER2、CD33、CD70、MUC1/CanAg、MUC16、C
D151及びITGaVからなる群から選択される、上記項8~12、及び上記項14の
いずれか1項に記載の化合物または塩。
(項16)
治療有効量の上記項8~15のいずれか1項に記載の前記化合物または塩と、薬学的に
許容される希釈剤、担体、または賦形剤とを含む、医薬組成物。
(項17)
治療有効量の上記項16に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、がんの治療
方法。
(項18)
前記がんが、膀胱、乳房、頸部、結腸、子宮内膜、腎臓、肺、食道、卵巣、前立腺、膵
臓、皮膚、胃、及び睾丸のがん、白血病及びリンパ腫から選択される、上記項17に記載
のがんの治療方法。
(項19)
治療有効量の第2の治療剤を投与することを更に含む、上記項17に記載のがんの治療
方法。
(項20)
上記項4に記載の式(II)の化合物を抗体と反応させることを含む、上記項8に記載
の式(III)の化合物を製造する方法。
(項21)
治療に使用するための上記項16に記載の医薬組成物。
(項22)
がんの治療を要するヒトのがんを治療する方法で使用するための上記項17に記載の医
薬組成物であって、前記ヒトに治療有効量の前記医薬組成物を投与することを含み、前記
がんが、膀胱、乳房、頸部、結腸、子宮内膜、腎臓、肺、食道、卵巣、前立腺、膵臓、皮
膚、胃、及び睾丸のがん、白血病及びリンパ腫から選択される、前記医薬組成物。
(項23)
a)上記項16に記載の医薬組成物と、
b)使用説明書と、を含む、がんを治療するためのキット。
図1