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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138862
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】装置、車両、制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
G08G1/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131941
(22)【出願日】2023-08-14
(62)【分割の表示】P 2020068996の分割
【原出願日】2013-09-10
(31)【優先権主張番号】P 2012217887
(32)【優先日】2012-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】中莖 俊朗
(72)【発明者】
【氏名】水口 孝夫
(57)【要約】
【課題】運転支援がなされている車両を起因とした事故を抑制する技術を提供する。
【解決手段】アプリケーション処理部76は、車両に搭載された通知装置としてのアプリケーションを実行する。アプリケーション処理部76において、入力部110は、本車両が運転支援を受けていることが示された情報を取得する。アプリケーション処理部76において、出力部112は、入力部110において取得した情報にしたがって、他の車両への通知を出力する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のための装置であって、
前記車両が自動運転にて走行中であることを示す情報を取得した場合に、前記車両が自動運転にて走行中であることを表示させるための指示を出力する出力部と、
前記出力部から出力された指示に従って点灯する表示部と、を備え、但し、前記表示部は、他の車両とともに隊列走行を行っていることを示すために用いられるものを除く、
を備え、
前記指示を取得した前記表示部において、前記車両が、自動運転にて走行中であることが表示され、
前記表示によって、前記車両が自動運転にて走行中であることを他の車両の運転者に対して認識させ、
前記表示部は、前記車両が自動運転にて走行中であることが、前記車両の前方から認識可能に構成されている、
装置。
【請求項2】
さらに、目的地までの経路を導出する導出部と、
前記車両の移動速度と進行方向を制御して、前記導出された経路に沿って前記車両を自動運転にて単独で走行させるよう運転支援する制御部と、
を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記表示部は、方向表示灯である、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、さらに、前記導出された経路を反映させた地図画像を表示するためのモニタを備える、
請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記目的地までの経路には、交差点が含まれる、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の装置を含む車両。
【請求項7】
車両のための制御方法であって、
前記車両が自動運転にて走行中であることを示す情報を取得した場合に、前記車両が自動運転にて走行中であることを表示させるための指示を前記指示に従って点灯する表示部に対して出力し、但し、前記表示部は、他の車両とともに隊列走行を行っていることを示すために用いられるものを除く、
前記指示を取得した前記表示部において、前記車両が、自動運転にて走行中であることが表示され、
前記表示によって、前記車両が自動運転にて走行中であることを他の車両の運転者に対して認識させ、
前記表示部は、前記車両が自動運転にて走行中であることが、前記車両の前方から認識可能に構成されている、
制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
車両であって、
前記車両の前方から認識可能な位置に配置されるとともに、点灯する表示部を備え、但し、前記表示部は、他の車両とともに隊列走行を行っていることを示すために用いられるものを除く、
前記表示部の表示によって、前記車両の運転支援が自動運転に起因していることを他の車両の運転者に対して認識させる、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知技術に関し、特に所定の情報に応じた通知を出力する装置、車両、制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自車が危険な走行状態に陥ることを未然に防止するために、自車を運転している運転者に、危険回避のための警報出力を自動的に行う運転支援システムが提案されている。このシステムでは、警報出力を決定するために、自車の走行状態や前方障害物の存在が検出されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-157482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グリーンウェーブ(以下、「GW」という)のような運転支援を受けて運転される車両が存在する場合、それを見た周囲の車両の運転者は、加減速等の挙動の理由を理解できず、追突事故を引き起こしたり、不快な気分にさせて煽り等の危険な運転をしたりしうる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転支援がなされている車両を起因とした事故を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の装置は、車両のための装置であって、車両が自動運転にて走行中であることを示す情報を取得した場合に、車両が自動運転にて走行中であることを表示させるための指示を出力する出力部と、出力部から出力された指示に従って点灯する表示部と、を備える。但し、前記表示部は、他の車両とともに隊列走行を行っていることを示すために用いられるものを除く。指示を取得した表示部において、車両が、自動運転にて走行中であることが表示され、表示によって、車両が自動運転にて走行中であることを他の車両の運転者に対して認識させ、表示部は、車両が自動運転にて走行中であることが、車両の前方から認識可能に構成されている。
【0007】
本発明の別の態様は、制御方法である。この方法は、車両のための制御方法であって、車両が自動運転にて走行中であることを示す情報を取得した場合に、車両が自動運転にて走行中であることを表示させるための指示を指示に従って点灯する表示部に対して出力し、但し、表示部は、他の車両とともに隊列走行を行っていることを示すために用いられるものを除く、指示を取得した表示部において、車両が、自動運転にて走行中であることが表示され、表示によって、車両が自動運転にて走行中であることを他の車両の運転者に対して認識させ、表示部は、車両が自動運転にて走行中であることが、車両の前方から認識可能に構成されている。
本発明のさらに別の態様は、車両である。この車両は、車両であって、車両の前方から認識可能な位置に配置されるとともに、点灯する表示部を備える。但し、表示部は、他の車両とともに隊列走行を行っていることを示すために用いられるものを除く。表示部の表示によって、車両の運転支援が自動運転に起因していることを他の車両の運転者に対して認識させる。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運転支援がなされている車両を起因とした事故を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1に係る通信システムの構成を示す図である。
図2図1の基地局装置の構成を示す図である。
図3図3(a)-(d)は、図1の通信システムにおいて規定されるフレームのフォーマットを示す図である。
図4図1の車両に搭載された端末装置の構成を示す図である。
図5図4の端末装置でのプロトコルスタックを示す図である。
図6】本発明の実施例1に係る通信システムの別の構成を示す図である。
図7図4のアプリケーション処理部の構成を示す図である。
図8図8(a)-(c)は、図7のアプリケーション処理部から出力されるデータのデータ構造を示す図である。
図9図5の端末装置によるパケット信号の送信手順を示すフローチャートである。
図10図5の端末装置によるパケット信号の別の送信手順を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施例2に係るアプリケーション処理部の構成を示す図である。
図12図11のアプリケーション処理部による推定手順を示すフローチャートである。
図13】本発明の実施例3に係る通知装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例1)
本発明の実施例1を具体的に説明する前に、基礎となった知見を説明する。本発明の実施例1は、車両に搭載された端末装置間において車車間通信を実行するとともに、交差点等に設置された基地局装置から端末装置へ路車間通信も実行する通信システムに関する。このような通信システムは、ITS(Intelligent Transport Systems)とも呼ばれる。ITSは、例えば、700MHz帯高度道路交通システムの標準規格(一般社団法人電波産業会)に規定されている。通信システムは、IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)と同様に、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能を使用する。そのため、複数の端末装置によって同一の無線チャネルが共有される。一方、ITSでは、不特定多数の端末装置へ情報を送信する必要がある。そのような送信を効率的に実行するために、本通信システムは、パケット信号をブロードキャスト送信する。
【0012】
つまり、車車間通信として、端末装置は、車両の速度あるいは位置等の情報を格納したパケット信号をブロードキャスト送信する。また、他の端末装置は、パケット信号を受信するとともに、前述の情報をもとに車両の接近等を認識する。ここで、路車間通信と車車間通信との干渉を低減するために、基地局装置は、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し規定する。基地局装置は、路車間通信のために、複数のサブフレームのいずれかを選択し、選択したサブフレームの先頭部分の期間において、制御情報等が格納されたパケット信号をブロードキャスト送信する。
【0013】
制御情報には、当該基地局装置がパケット信号をブロードキャスト送信するための期間(以下、「路車送信期間」という)に関する情報が含まれている。端末装置は、制御情報をもとに路車送信期間を特定し、路車送信期間以外の期間(以下、「車車送信期間」という)においてCSMA方式にてパケット信号をブロードキャスト送信する。その結果、路車間通信と車車間通信とが時分割多重される。なお、基地局装置からの制御情報を受信できない端末装置、つまり基地局装置によって形成されたエリアの外に存在する端末装置は、フレームの構成に関係なくCSMA方式にてパケット信号を送信する。
【0014】
次に、本実施例の概略を説明する。赤信号によって車両が減速・停止した後、車両が再発進すると、エネルギーのロスが大きくなる。このエネルギーロスを低減するために、GW走行が提案されている。GW走行とは、信号を青で通過できるように自動車の速度をコントロールし、交通の円滑な流れを実現しようとする走行形態である。GW走行では、車両側と設備側が連携してエネルギーロスが少なくなる走行方法が運転者に提示される。例えば、基地局装置から報知されるパケット信号には、信号情報が含まれており、信号情報によって、赤信号のタイミングあるいは青信号のタイミングが示されている。車両に搭載された端末装置は、パケット信号を受信することによって信号情報を取得する。車両のGW制御装置は、信号情報と、カーナビゲーション装置からの経路情報とをもとに、交差点を青信号で通過するための速度等を導出し、その結果を運転者に通知する。
【0015】
このようなGW走行では、通常の走行とは異なったタイミングで加減速等がされるが、周囲の車両の運転者は、そのような運転の理由を認識していない。これが原因となる衝突事故の発生を低減するために、本実施例に係る通知装置は、次の処理を実行する。通知装置は、単体のハードウエア装置として実現されてもよいが、ここでは、一例として、通知装置が、端末装置のアプリケーションとして実装されるものとする。端末装置は、GW制御中であることが示された情報をパケット信号に格納し、パケット信号を報知する。後続の車両に搭載された他の端末装置は、パケット信号を受信し、当該他の端末装置の運転者に対して、前方を走行している車両がGW制御中であることを通知する。以下では、説明を明瞭にするために、1.パケット信号を報知するための通信システムの概要を説明した後に、2.GW制御の通知を説明する。
【0016】
1.通信システムの概要
図1は、本発明の実施例1に係る通信システム100の構成を示す。これは、ひとつの交差点を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、基地局装置10、車両12と総称される第1車両12a、第2車両12b、第3車両12c、第4車両12d、第5車両12e、第6車両12f、第7車両12g、第8車両12h、ネットワーク202を含む。ここでは、第1車両12aのみに示しているが、各車両12には、端末装置14が搭載されている。また、エリア212が、基地局装置10の周囲に形成され、エリア外214が、エリア212の外側に形成されている。
【0017】
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かう道路とが中心部分で交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分が「交差点」である。第1車両12a、第2車両12bが、左から右へ向かって進んでおり、第3車両12c、第4車両12dが、右から左へ向かって進んでいる。また、第5車両12e、第6車両12fが、上から下へ向かって進んでおり、第7車両12g、第8車両12hが、下から上へ向かって進んでいる。
【0018】
通信システム100において、基地局装置10は、交差点に固定して設置される。基地局装置10は、端末装置間の通信を制御する。基地局装置10は、図示しないGPS(Global Positioning System)衛星から受信した信号、あるいは図示しない他の基地局装置10にて形成されたフレームをもとに、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し生成する。ここで、各サブフレームの先頭部分に路車送信期間が設定可能であるような規定がなされている。
【0019】
基地局装置10は、フレーム中の複数のサブフレームのうち、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレームを選択する。基地局装置10は、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。基地局装置10は、設定した路車送信期間においてパケット信号を報知する。路車送信期間において、複数のパケット信号が報知されることもある。また、パケット信号には、例えば、事故情報、渋滞情報、信号情報等が含まれる。なお、パケット信号には、路車送信期間が設定されたタイミングに関する情報およびフレームに関する制御情報も含まれる。
【0020】
端末装置14は、前述のごとく、車両12に搭載され移動可能である。端末装置14は、基地局装置10からのパケット信号を受信すると、エリア212に存在すると推定する。端末装置14は、エリア212に存在する場合、パケット信号に含まれた制御情報、特に路車送信期間が設定されたタイミングに関する情報およびフレームに関する情報をもとに、フレームを生成する。その結果、複数の端末装置14のそれぞれにおいて生成されるフレームは、基地局装置10において生成されるフレームに同期する。端末装置14は、路車送信期間とは異なった期間である車車送信期間においてパケット信号を報知する。ここで、車車送信期間においてCSMA/CAが実行される。一方、端末装置14は、エリア外214に存在していると推定した場合、フレームの構成に関係なく、CSMA/CAを実行することによって、パケット信号を報知する。
【0021】
図2は、基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、アンテナ20、RF部22、変復調部24、処理部26、制御部28、ネットワーク通信部30を含む。また、処理部26は、フレーム規定部32、選択部34、生成部36を含む。
【0022】
RF部22は、受信処理として、図示しない端末装置14あるいは他の基地局装置10からのパケット信号をアンテナ20にて受信する。RF部22は、受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、ベースバンドのパケット信号を変復調部24に出力する。一般的に、ベースバンドのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。RF部22には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。
【0023】
RF部22は、送信処理として、変復調部24から入力したベースバンドのパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、路車送信期間において、無線周波数のパケット信号をアンテナ20から送信する。また、RF部22には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。例えば、無線周波数として、700MHz帯が使用される。
【0024】
変復調部24は、受信処理として、RF部22からのベースバンドのパケット信号に対して、復調を実行する。さらに、変復調部24は、復調した結果を処理部26に出力する。また、変復調部24は、送信処理として、処理部26からのデータに対して、変調を実行する。さらに、変復調部24は、変調した結果をベースバンドのパケット信号としてRF部22に出力する。ここで、通信システム100は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式に対応するので、変復調部24は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)も実行し、送信処理としてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。
【0025】
フレーム規定部32は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに時刻の情報を取得する。なお、時刻の情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。フレーム規定部32は、時刻の情報をもとに、複数のフレームを生成する。例えば、フレーム規定部32は、時刻の情報にて示されたタイミングを基準にして、「1sec」の期間を10分割することによって、「100msec」のフレームを10個生成する。このような処理を繰り返すことによって、フレームが繰り返されるように規定される。なお、フレーム規定部32は、復調結果から制御情報を検出し、検出した制御情報をもとにフレームを生成してもよい。このような処理は、他の基地局装置10によって形成されたフレームのタイミングに同期したフレームを生成することに相当する。
【0026】
図3(a)-(d)は、通信システム100において規定されるフレームのフォーマットを示す。図3(a)は、フレームの構成を示す。フレームは、第1サブフレームから第Nサブフレームと示されるN個のサブフレームによって形成されている。これは、端末装置14が報知に使用可能なサブフレームを複数時間多重することによってフレームが形成されているといえる。例えば、フレームの長さが100msecであり、Nが8である場合、12.5msecの長さのサブフレームが規定される。Nは、8以外であってもよい。図3(b)-(d)の説明は、後述し、図2に戻る。
【0027】
選択部34は、フレームに含まれた複数のサブフレームのうち、路車送信期間を設定すべきサブフレームを選択する。具体的に説明すると、選択部34は、フレーム規定部32にて規定されたフレームを受けつける。また、選択部34は、図示しないインターフェースを介して、選択したサブフレームに関する指示を受けつける。選択部34は、指示に対応したサブフレームを選択する。これとは別に、選択部34は、自動的にサブフレームを選択してもよい。その際、選択部34は、RF部22、変復調部24を介して、図示しない他の基地局装置10あるいは端末装置14からの復調結果を入力する。選択部34は、入力した復調結果のうち、他の基地局装置10からの復調結果を抽出する。選択部34は、復調結果を受けつけたサブフレームを特定することによって、復調結果を受けつけていないサブフレームを特定する。
【0028】
これは、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレーム、つまり未使用のサブフレームを特定することに相当する。未使用のサブフレームが複数存在する場合、選択部34は、ランダムにひとつのサブフレームを選択する。未使用のサブフレームが存在しない場合、つまり複数のサブフレームのそれぞれが使用されている場合に、選択部34は、復調結果に対応した受信電力を取得し、受信電力の小さいサブフレームを優先的に選択する。
【0029】
図3(b)は、図示しない第1基地局装置10aによって生成されるフレームの構成を示す。第1基地局装置10aは、第1サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第1基地局装置10aは、第1サブフレームにおいて路車送信期間につづいて車車送信期間を設定する。車車送信期間とは、端末装置14がパケット信号を報知可能な期間である。つまり、第1基地局装置10aは、第1サブフレームの先頭期間である路車送信期間においてパケット信号を報知可能であり、かつフレームのうち、路車送信期間以外の車車送信期間において端末装置14がパケット信号を報知可能であるような規定がなされる。さらに、第1基地局装置10aは、第2サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間のみを設定する。
【0030】
図3(c)は、図示しない第2基地局装置10bによって生成されるフレームの構成を示す。第2基地局装置10bは、第2サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第2基地局装置10bは、第2サブフレームにおける路車送信期間の後段、第1サブフレーム、第3サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。図3(d)は、図示しない第3基地局装置10cによって生成されるフレームの構成を示す。第3基地局装置10cは、第3サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第3基地局装置10cは、第3サブフレームにおける路車送信期間の後段、第1サブフレーム、第2サブフレーム、第4サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。このように、複数の基地局装置10は、互いに異なったサブフレームを選択し、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。図2に戻る。選択部34は、選択したサブフレームの番号を生成部36へ出力する。
【0031】
生成部36は、選択部34から、サブフレームの番号を受けつける。生成部36は、受けつけたサブフレーム番号のサブフレームに路車送信期間を設定し、路車送信期間において報知すべきパケット信号を生成する。ひとつの路車送信期間において複数のパケット信号が送信される場合、生成部36は、それらを生成する。パケット信号は、制御情報、ペイロードによって構成されている。制御情報には、路車送信期間を設定したサブフレーム番号等が含まれる。また、ペイロードには、例えば、事故情報、渋滞情報、信号情報等が含まれる。これらのデータは、ネットワーク通信部30によって、図示しないネットワーク202から取得される。処理部26は、変復調部24、RF部22に対して、路車送信期間においてパケット信号をブロードキャスト送信させる。制御部28は、基地局装置10全体の処理を制御する。
【0032】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0033】
図4は、車両12に搭載された端末装置14の構成を示す。端末装置14は、アンテナ50、RF部52、変復調部54、処理部56、制御部58を含む。処理部56は、タイミング特定部60、転送決定部62、取得部64、生成部66、ユーザIF部68、通知部70、アプリケーション処理部76、アプリケーション管理部78を含む。また、タイミング特定部60は、抽出部72、キャリアセンス部74を含む。アンテナ50、RF部52、変復調部54は、図2のアンテナ20、RF部22、変復調部24と同様の処理を実行する。ここでは差異を中心に説明する。
【0034】
変復調部54、処理部56は、受信処理において、図示しない他の端末装置14あるいは基地局装置10からのパケット信号を受信する。なお、前述のごとく、変復調部54、処理部56は、路車送信期間において、基地局装置10からのパケット信号を受信し、車車送信期間において、他の端末装置14からのパケット信号を受信する。
【0035】
抽出部72は、変復調部54からの復調結果が、図示しない基地局装置10からのパケット信号である場合に、路車送信期間が配置されたサブフレームのタイミングを特定する。その際、抽出部72は、図1のエリア212内に存在すると推定する。抽出部72は、サブフレームのタイミングと、パケット信号のメッセージヘッダの内容をもとに、フレームを生成する。その結果、抽出部72は、基地局装置10において形成されたフレームに同期したフレームを生成する。パケット信号の報知元が、他の端末装置14である場合、抽出部72は、同期したフレームの生成処理を省略する。抽出部72は、エリア212内に存在する場合、使用されている路車送信期間を特定した後、残りの車車送信期間を特定する。抽出部72は、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報をキャリアセンス部74へ出力する。
【0036】
一方、抽出部72は、基地局装置10からのパケット信号を受けつけていない場合、つまり基地局装置10に同期したフレームを生成していない場合、図1のエリア外214に存在すると推定する。抽出部72は、エリア外214に存在する場合、フレームの構成に関係のないキャリアセンスの実行をキャリアセンス部74に指示する。
【0037】
キャリアセンス部74は、抽出部72から、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報を受けつける。キャリアセンス部74は、車車送信期間内でCSMA/CAを開始することによって送信タイミングを決定する。これは、路車送信期間に対してNAV(Network Allocation Vector)を設定し、NAVを設定した期間以外でキャリアセンスを実行することに相当する。一方、キャリアセンス部74は、抽出部72から、フレームの構成に関係のないキャリアセンスの実行を指示された場合、フレームの構成を考慮せずに、CSMA/CAを実行することによって、送信タイミングを決定する。キャリアセンス部74は、決定した送信タイミングを変復調部54、RF部52へ通知し、パケット信号をブロードキャスト送信させる。
【0038】
転送決定部62は、制御情報の転送を制御する。転送決定部62は、制御情報のうち、転送対象となる情報を抽出する。転送決定部62は、抽出した情報をもとに、転送すべき情報を生成する。ここでは、この処理の説明を省略する。転送決定部62は、転送すべき情報、つまり制御情報のうちの一部を生成部66に出力する。生成部66は、アプリケーション管理部78からデータを受けつけ、転送決定部62から制御情報の一部を受けつける。アプリケーション管理部78から受けつけるデータについては後述する。生成部66は、受けつけた制御情報の一部を制御情報に格納し、データをペイロードに格納することによって、パケット信号を生成する。処理部56、変復調部54、RF部52は、生成部66において生成した複数のパケット信号を順次報知する。制御部58は、端末装置14の動作を制御する。
【0039】
取得部64は、図示しないGPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等を含んでおり、それらから供給されるデータによって、図示しない車両12、つまり端末装置14が搭載された車両12の存在位置、進行方向、移動速度等(以下、「位置情報」と総称する)を取得する。なお、存在位置は、緯度・経度によって示される。これらの取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、GPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等は、端末装置14の外部にあってもよい。取得部64は、位置情報をアプリケーション処理部76へ出力する。
【0040】
アプリケーション処理部76は、複数種類のアプリケーションを実行可能である。各アプリケーションは、複数の端末装置14間において実行される。つまり、送信側の端末装置14はデータを生成して、当該データが格納されたパケット信号を報知し、受信側の端末装置14はパケット信号を受信して、パケット信号に含まれたデータをもとに所定の処理を実行する。そのため、ひとつのアプリケーションは、送信側の処理(以下、「送信側アプリケーション」という)と、受信側の処理(以下、「受信側アプリケーション」という)に分けられる。ここで、ひとつの端末装置14において実行される送信側アプリケーションと受信側アプリケーションとは、一致しなくてもよい。以下では、送信側アプリケーションと受信側アプリケーションとは、アプリケーションと総称されることもある。
【0041】
複数種類のアプリケーションは、次のように分類される。ひとつ目は、共通アプリケーションである。共通アプリケーションとは、他の車両12の接近を運転者に警告するためのアプリケーションであり、すべての端末装置14において実行される。アプリケーション処理部76は、共通アプリケーションにおける送信側アプリケーションを実行する際、取得部64からの位置情報を入力する。また、アプリケーション処理部76は、位置情報を周期的にアプリケーション管理部78に出力する。
【0042】
一方、アプリケーション処理部76は、共通アプリケーションにおける受信側アプリケーションとして、他の端末装置14からのパケット信号に含まれた位置情報をアプリケーション管理部78から取得する。アプリケーション処理部76は、アプリケーション管理部78から取得した他の端末装置14の位置情報と、取得部64から入力した位置情報とをもとに、他の車両12の接近を検出する。アプリケーション処理部76は、他の車両12の接近を通知部70に通知させる。通知部70は、モニタあるいはスピーカを介して運転者への通知を実行する。ふたつ目は、自由アプリケーションである。自由アプリケーションは、すべての端末装置14ではなく、任意の端末装置14においてのみ実行される。複数の自由アプリケーションが同時に実行されてもよい。
【0043】
以上のような規定がなされている状況下において、アプリケーション処理部76は、登録が許可された自由アプリケーションにおける送信側アプリケーションを実行する際、生成したデータをアプリケーション管理部78に出力する。一方、アプリケーション処理部76は、受信側アプリケーションを実行する際、アプリケーション管理部78から受けつけたデータに対して、当該自由アプリケーションに応じた処理を実行する。
【0044】
アプリケーション管理部78は、送信側アプリケーションに対する処理として、ユーザIF部68から予めアプリケーション登録要求を受けつける。次に、アプリケーション管理部78は、アプリケーション処理部76からの複数のデータを入力し、複数のデータをもとにパケット信号を生成させるために、パケット信号生成の対象となる複数のデータを生成部66に出力する。
【0045】
一方、アプリケーション管理部78は、受信側アプリケーションに対する処理として、抽出部72において受信したパケット信号に格納されたデータを受けつける。アプリケーション管理部78は、受けつけたデータのうち、アプリケーション処理部76において実行されている受信側アプリケーションに対応したデータをアプリケーション処理部76に出力する。また、アプリケーション管理部78は、他のデータを破棄する。
【0046】
以上をまとめると、通信システム100において、基地局装置10と端末装置14は、いずれも約100ms周期で通信を実行する。また、路車間通信と車車間通信との干渉を低減するために、路車間通信と車車間通信とが時分割多重される。基地局装置10は、路車送信期間を確保するために、送信時刻および路車間通信期間情報をパケット信号に含めて、周囲の端末装置に通知する。エリア212内の端末装置14は、基地局装置10から受信した送信時刻に基づいて時刻同期し、路車間通信期間情報に基づき送信を停止することによって、路車送信期間以外のタイミングでCSMA/CAにてパケット信号を送信する。車車間通信のペイロードは共通アプリケーションのデータと自由アプリケーションのデータによって構成される。
【0047】
以下では、アプリケーション処理部76とアプリケーション管理部78での処理を具体的に説明する。まず、複数のアプリケーションに対する処理の全体像を説明するために、アプリケーション処理部76とアプリケーション管理部78とが関係するプロトコルスタックを使用する。図5は、端末装置14でのプロトコルスタックを示す。上から2段のアプリケーション処理部76とアプリケーション管理部78は、送信側の端末装置14に含まれているので、送信側アプリケーションに対する処理を実行している。下から2段のアプリケーション管理部78とアプリケーション処理部76は、受信側の端末装置14に含まれるので、受信側アプリケーションに対する処理を実行している。送信側のアプリケーション処理部76は、複数種類のアプリケーションを実行する。ここでは、共通アプリケーション、第1自由アプリケーション、第2自由アプリケーション、第3自由アプリケーションであるとする。アプリケーション処理部76は、各アプリケーションに対応したデータをアプリケーション管理部78に出力する。
【0048】
アプリケーション管理部78は、アプリケーション処理部76において起動されているアプリケーションを管理する。また、送信側のアプリケーション管理部78は、アプリケーション処理部76から複数のデータを受けつけ、ひとつのパケット信号に格納するために、複数のデータを集約する。複数のデータを集約したパケット信号は、アプリケーション管理部78から出力される。
【0049】
受信側のアプリケーション管理部78は、複数のデータを集約したパケット信号を入力する。アプリケーション管理部78は、パケット信号に含まれた共通アプリケーション用のデータを抽出して、データをアプリケーション処理部76に出力する。また、アプリケーション管理部78は、後段のアプリケーション処理部76において起動されている自由アプリケーションを管理し、起動されている自由アプリケーションに対応したデータを抽出する。その際、データの抽出は、自由アプリケーション用ヘッダに含まれたアプリケーションIDをもとになされる。アプリケーション管理部78は、抽出したデータをアプリケーション処理部76に出力する。一方、アプリケーション管理部78は、残ったデータを破棄する。例えば、後段のアプリケーション処理部76では、第3自由アプリケーションは実行されていないので、アプリケーション管理部78は、第3自由アプリケーションのデータを破棄する。アプリケーション処理部76は、アプリケーション管理部78からのデータを受けつけ、データに対応したアプリケーションを実行する。ここでは、共通アプリケーション、第1自由アプリケーション、第2自由アプリケーション、第4自由アプリケーションであるとする。
【0050】
2.GW制御の通知
次に、車両12に対するGW制御がなされている場合の処理を説明する。図6は、本発明の実施例1に係る通信システム100の別の構成を示す。ここでは、説明を明確にするために、ふたつの車両12である第1車両12a、第2車両12bだけを示しており、これらは、図中の右から左へ走行している。つまり、第1車両12aが前方を走行しており、それにつづいて、第2車両12bが走行している。実際は2台の車両12に限定されない。第1車両12aは、第1端末装置14a、GW制御装置80、ナビゲーション装置86を含み、第2車両12bは、第2端末装置14bを含む。これは、第1車両12aには、GW制御がなされており、第2車両12bには、GW制御がなされていないことに相当する。なお、第1車両12aおよび第2車両12bは車両12と総称し、第1端末装置14aおよび第2端末装置14bは端末装置14と総称する。
【0051】
第1車両12aにおいてナビゲーション装置86は、第1端末装置14aから位置情報を受けつけ、位置情報をもとに経路案内を実行する。そのため、ナビゲーション装置86は、現在走行している位置と、目的地の位置とをもとに、現在走行している位置から目的地までの経路を導出する。なお、ナビゲーション装置86は、図示しないGPS衛星からの信号を受信して位置情報を求めてもよい。経路の導出には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。ナビゲーション装置86は、導出した経路を反映させた地図画像を作成し、地図画像をモニタに表示することによって、運転者に経路を通知する。なお、経路案内を実行するために音声がスピーカから出力されてもよい。
【0052】
GW制御装置80は、ナビゲーション装置86において導出された経路を受けつけるとともに、第1端末装置14aから位置情報と信号情報とを受けつける。GW制御装置80は、信号機の灯色が青色のまま、経路に含まれた複数の信号機を通過できるような速度を導出する。また、GW制御装置80は、経路に沿った交差点での右左折を確認する。GW制御装置80は、導出した速度の情報と、確認した右左折の情報とをモニタに表示することによって、運転者に対してGW走行を指示する。なお、この指示は音声によってなされてもよい。運転者は、このような指示にしたがってGW走行を実行する。これらとは別にGW制御装置80は、導出した速度の情報と、確認した右左折の情報とによって第1車両12aの走行を直接制御してもよい。これは、自動運転に相当するが、ここではその説明を省略する。
【0053】
第1端末装置14aは、これまでと同様の処理を実行することによって、位置情報と信号情報とを取得し、これをGW制御装置80、ナビゲーション装置86に出力する。また、第1端末装置14aは、GW制御装置80によってGW走行が実行されている場合、「GW制御中であること」が示された情報をパケット信号に格納し、当該パケット信号を報知する。さらに、当該パケット信号には、「速度が変化すること」、「右折または左折すること」が示された情報が格納されてもよい。パケット信号に含まれる情報については後述する。このような処理を実行する第1端末装置14aの機能が、通知装置に相当する。
【0054】
第2端末装置14bは、第1端末装置14aからのパケット信号を受信する。第2端末装置14bは、受信したパケット信号から、「GW制御中であること」が示された情報を抽出し、これを運転者に通知する。その結果、第2車両12bの運転者は、第1車両12aがGW走行中であることを認識する。また、第1車両12aの予期せぬ加速あるいは減速がGW走行のためであることが理解される。さらに、受信したパケット信号に「速度が変化すること」、「右折または左折すること」が示された情報が含まれている場合も同様の処理がなされるので、第2車両12bの運転者は、第1車両12aの速度の変化、右左折がGW走行に起因することを認識できる。
【0055】
図7は、アプリケーション処理部76の構成を示す。アプリケーション処理部76は、入力部110、出力部112を含む。これは、アプリケーション処理部76において実行される送信側アプリケーションのうち、GW制御中を通知するためのアプリケーションに関する構成に相当する。このアプリケーションは、自由アプリケーションであり、車両12に搭載された通知装置に相当する。
【0056】
入力部110は、図示しないGW制御装置80から、「GW制御中であること」が示された情報、つまり本車両12が運転支援を受けていることが示された情報を取得する。この情報は、例えば、GW制御装置80の起動時に入力される。また、入力部110は、図示しないGW制御装置80から、「速度が変化すること」、「右折または左折すること」が示された情報、つまり運転支援によって走行状態が変更になることが示された情報も取得する。この情報は、速度が変化する場合、右折または左折する場合に入力される。速度が変化する場合とは、GW制御装置80において導出された速度と現在の速度との差がしきい値以上である場合に相当する。なお、入力部110は、「GW制御中であること」が示された情報だけを入力し、「速度が変化すること」、「右折または左折すること」が示された情報を入力しなくてもよい。
【0057】
出力部112は、入力部110において取得したGW制御中の情報をアプリケーション管理部78に出力する。最終的に、GW制御中の情報は、パケット信号に含まれて報知される。その結果、出力部112は、GW制御中の情報にしたがって、他の車両12への通知を出力させる。つまり、GW等の運転支援を受けている旨の情報を周囲の車両12に報知する。
【0058】
出力部112は、速度変化の情報あるいは右左折の情報を入力部110が取得した場合、当該情報をアプリケーション管理部78に出力する。最終的に、当該情報もパケット信号に含まれて報知される。その結果、出力部112は、速度変化の情報あるいは右左折の情報にしたがって、他の車両12への通知を出力させる。つまり、運転支援によって加減速を行う可能性があることが周囲に報知される。特に、当該通知は、実際に、速度が変化したり、右左折されたりする前になされる。速度が変化すること、あるいは右左折されることは、運転支援によって走行状態が変更になることに相当する。
【0059】
図8(a)-(c)は、アプリケーション処理部76から出力されるデータのデータ構造を示す。図8(a)は、GW制御中の情報を含み、速度変化の情報および右左折の情報を含まない場合を示す。図8(b)は、GW制御中の情報および速度変化の情報を含む場合を示す。図8(c)は、GW制御中の情報および右左折の情報を含む場合を示す。
【0060】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図9は、端末装置14によるパケット信号の送信手順を示すフローチャートである。入力部110が、GW中が示された情報を取得した場合(S10のY)、出力部112は、GW中の情報が含まれたパケット信号を送信させる(S12)。一方、入力部110が、GW中が示された情報を取得しない場合(S10のN)、処理は終了される。
【0061】
図10は、端末装置14によるパケット信号の別の送信手順を示すフローチャートである。入力部110が、走行状態変更の情報を取得した場合(S20のY)、出力部112は、変更の情報が含まれたパケット信号を送信させる(S22)。一方、入力部110が、走行状態変更の情報を取得しない場合(S20のN)、処理は終了される。
【0062】
本発明の実施例によれば、本車両が運転支援を受けていることが示された情報を取得すると、他の車両への通知を出力するので、他の車両の運転者に、運転支援がなされていることを認識させることができる。また、他の車両の運転者は、運転支援がなされていることを認識するので、当該運転者のストレスを低減できる。また、ストレスの低減によって、運転支援がなされている車両を起因とした事故を抑制できる。
【0063】
また、速度の加減あるいは右左折が示された情報を取得すると、他の車両への通知を出力するので、運転支援による速度の加減あるいは右左折を認識させることができる。また、走行状態が変更になる前に通知するので、通知の理由が、運転支援による速度の加減であること、あるいは運転支援による右左折であることを明確にできる。運転支援を受けていることを周囲に発信し、挙動の理由を明らかにしたり、挙動を事前に知らせることで、事故を引き起こしたり、不快な気分にさせるような事態を回避できる。周囲の車両も運転ポリシに理解し、それに追従することで、自動運転、グリーンウェーブ運転の支援を間接的に受けることができる。
【0064】
(実施例2)
実施例2は、実施例1と同様に、車車間通信がなされるとともに、路車間通信もなされる通信システムを前提とし、車両の加減速あるいは右左折がGW走行に起因していることを周囲に通知する通知装置に関する。実施例2でも、実施例1と同様に、端末装置のアプリケーションとして通知装置が実装される。実施例1に係る通知装置は、情報を受けつけることによってGW走行の実行を認識するが、実施例2に係る通知装置は、GW走行の実行を自ら判定する。そのため、実施例2では、GW走行を実行しているか否かに関係なく、車両の走行がGW走行に近ければ、当該車両に搭載された通知装置は、GW走行中であることを通知する。つまり、自動運転でなくとも、GW走行を手動で行っているかが判定され、GW走行中と判定された場合に、信号情報等により車速を変更することが報知される。実施例2に係る通信システム100、基地局装置10、端末装置14は、図1図2図4と同様のタイプであり、ここでは差異を中心に説明する。また、1.通信システムの概要の説明を省略し、2.GW制御の通知を説明する。
【0065】
図11は、本発明の実施例2に係るアプリケーション処理部76の構成を示す。アプリケーション処理部76は、入力部110、判定部114、出力部112を含む。これも、実施例1と同様に、アプリケーション処理部76において実行される送信側アプリケーションのうち、GW制御中を通知するためのアプリケーションに関する構成に相当する。
【0066】
入力部110は、図示しないGW制御装置80から、「GW制御中であること」が示された情報、つまり本車両12が運転支援を受けていることが示された情報を取得していてもよく、あるいは取得していなくてもよい。つまり、実施例2における処理は、本車両12が運転支援を受けていることが示された情報の取得の有無に依存しない。一方、実施例1と同様に、入力部110は、図示しないGW制御装置80から、「速度が変化すること」、「右折または左折すること」が示された情報、つまり運転支援によって走行状態が変更になることが示された情報も取得する。
【0067】
判定部114は、GW制御装置80から、GW制御装置80において導出された速度を受けつける。また、判定部114は、取得部64を介して現在の速度も受けつける。判定部114は、これらの速度の差異の累積値を導出する。累積値がしきい値よりも小さい場合、判定部114は、GW走行に近い走行を実行していると判定する。つまり、判定部114は、本車両が運転支援を受けていることが示された情報を取得しているかに関係なく、本車両12の走行状態が、運転支援によって実現される走行状態に近いか否かを判定する。
【0068】
出力部112は、判定部114が近いと判定した場合、GW制御中の情報をアプリケーション管理部78に出力する。つまり、判定部114は、入力部110において、本車両12が運転支援を受けていることが示された情報を取得している場合と同様に出力を実行する。また、出力部112は、判定部114が近いと判定した場合であって、かつ速度変化の情報あるいは右左折の情報を入力部110が取得した場合、当該情報をアプリケーション管理部78に出力する。
【0069】
図12は、アプリケーション処理部76による推定手順を示すフローチャートである。判定部114は、GW制御での速度を入力する(S30)。判定部114は、現在の速度を入力する(S32)。一定期間にわたって、両方の速度の差が近ければ(S34のY)、判定部114は、GW制御中とみなす(S36)。両方の速度の差が小さくなければ(S34のN)、ステップ36(S36)がスキップされる。
【0070】
本発明の実施例によれば、実際の走行が、運転支援によって実現される走行状態に近い場合に、運転支援を受けているときと同様の通知を実行するので、運転支援がなされていることに近いことを認識させることができる。また、運転支援による走行に実質的に近い場合に通知するので、実質的にGW走行していることを認識させることができる。
【0071】
(実施例3)
実施例3も、これまでと同様に、車両の加減速あるいは右左折がGW走行に起因していることを周囲に通知する通知装置に関する。一方、実施例3は、車車間通信がなされるとともに、路車間通信もなされる通信システムを前提としてもよく、前提としなくてもよい。実施例3に係る通知装置は、テールランプの点滅等によって、GW走行中であることを通知する。ここでは差異を中心に説明する。
【0072】
図13は、本発明の実施例3に係る通知装置82の構成を示す。車両12は、図6に示されている、GW制御装置80、ナビゲーション装置86に加えて、通知装置82、テールランプ84を含む。GW制御装置80、ナビゲーション装置86は、これまでと同様に構成される。通知装置82は、GW制御装置80によってGW走行が実行されている場合、「GW制御中であること」が示された情報を受けつけ、テールランプ84を点滅させることによって、「GW制御中であること」を周囲に通知する。これは、例えば、減速前になされる。なお、テールランプ84が点滅される代わりに、方向指示灯が点滅されてもよい。すなわち、テールランプ84に限らず、状態表示が可能な任意の状態表示装置を用いてもよい。さらに、点滅ではなく、通常とは異なった輝度にて点灯されてもよい。
【0073】
本発明の実施例によれば、GW走行していることを、ランプの点滅等によって通知するので、端末装置を搭載しない他の車両の運転者に対しても、GW走行中であることを認識させることができる。また、端末装置を搭載しない他の車両の運転者に対しても、GW走行中であることを認識させるので、実現性を高くできる。
【0074】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0075】
本発明の実施例1、2において、複数の端末装置14の間の通信にITS、例えば、700MHz帯高度道路交通システムの標準規格に適合したITSが使用されている。しかしながらこれに限らず例えば、複数の端末装置14の間の通信は、無線LANのようなCSMA/CAにしたがってなされてもよい。本変形例によれば、複数の端末装置14の間の通信の自由度を向上できる。
【0076】
本発明の実施例1乃至3において、運転支援としてGW走行を対象としている。しかしながらこれに限らず例えば、GW走行ではなく、通常の自動運転が運転支援の対象とされてもよい。本変形例によれば、運転支援の対象を拡大できる。
【0077】
本発明の実施例1において、出力部112による通知は、実際に、速度が変化したり、右左折されたりする前になされる。しかしながらこれに限らず例えば、車両12に衝突防止のための装置が備えられている場合、障害物を検知したとき、当該車両12の制動を行うより前に通知が実行されてもよい。本変形例によれば、制動前に通知するので、衝突事故の発生を抑制できる。
【0078】
実施例1から3の任意の組合せも有効である。本変形例によれば、実施例1から3の任意の組合せによる効果を得ることができる。
【0079】
なお、上記各実施例において、パケット信号は、700MHz帯高度道路交通システム標準規格に適合してもよい。
【0080】
本発明の一態様の概要は、次の通りである。本発明のある態様の通知装置は、車両に搭載された通知装置であって、本車両が運転支援を受けていることが示された情報を取得する取得部と、取得部において取得した情報にしたがって、他の車両への通知を出力する出力部と、を備える。
【0081】
この態様によると、本車両が運転支援を受けていることが示された情報を取得すると、他の車両への通知を出力するので、運転支援がなされていることを認識させることができる。
【0082】
取得部は、運転支援によって走行状態が変更になることが示された情報も取得し、出力部は、運転支援によって走行状態が変更になることが示された情報を取得部が取得した場合、他の車両への通知を出力してもよい。この場合、走行状態が変更になることが示された情報を取得すると、他の車両への通知を出力するので、運転支援による走行状態の変更を認識させることができる。
【0083】
出力部は、運転支援によって走行状態が変更になることが示された情報を取得部が取得した場合、走行状態が変更になる前に他の車両への通知を出力してもよい。この場合、走行状態が変更になる前に通知するので、通知の理由を明確にできる。
【0084】
取得部において、本車両が運転支援を受けていることが示された情報を取得しているかに無関係で、本車両の走行状態が、運転支援によって実現される走行状態に近いか否かを判定する判定部をさらに備えてもよい。出力部は、判定部が近いと判定した場合、取得部において、本車両が運転支援を受けていることが示された情報を取得している場合と同様に出力を実行してもよい。この場合、運転支援によって実現される走行状態に近い場合に、運転支援を受けているときと同様の通知を実行するので、運転支援がなされていることに近いことを認識させることができる。
【0085】
出力部から出力された通知が含まれたパケット信号を送信する無線部をさらに備えてもよい。この場合、パケット信号に通知を含めるので、通知を広く知らしめることができる。
【0086】
出力部から出力された通知にしたがって点灯する表示部をさらに備えてもよい。この場合、通知にしたがって点灯するので、通知を直接知らしめることができる。
【0087】
本発明の別の態様は、車両である。この車両は、通知装置を搭載した車両であって、通知装置は、本車両が運転支援を受けていることが示された情報を取得する取得部と、取得部において取得した情報にしたがって、他の車両への通知を出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【0088】
この態様によると、本車両が運転支援を受けていることが示された情報を取得すると、他の車両への通知を出力するので、運転支援がなされていることを認識させることができる。
【符号の説明】
【0089】
10 基地局装置、 12 車両、 14 端末装置、 20 アンテナ、 22 RF部、 24 変復調部、 26 処理部、 28 制御部、 30 ネットワーク通信部、 32 フレーム規定部、 34 選択部、 36 生成部、 50 アンテナ、 52 RF部、 54 変復調部、 56 処理部、 58 制御部、 60 タイミング特定部、 62 転送決定部、 64 取得部、 66 生成部、 68 ユーザIF部、 70 通知部、 72 抽出部、 74 キャリアセンス部、 76 アプリケーション処理部、 78 アプリケーション管理部、 80 GW制御装置、 86 ナビゲーション装置、 100 通信システム、 110 入力部、 112 出力部。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明によれば、運転支援がなされている車両を起因とした事故を抑制できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13