(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138878
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】半導体チップ及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20230926BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20230926BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20230926BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230926BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20230926BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
H01L29/78 652Q
H01L21/88 N
H01L29/78 655A
H01L29/78 658A
H01L29/78 658G
H01L29/78 658F
H01L29/78 655G
H01L29/78 652T
H01L29/78 652K
H01L29/78 652L
H01L29/91 C
H01L29/91 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044779
(22)【出願日】2022-03-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】南川 和生
【テーマコード(参考)】
5F033
【Fターム(参考)】
5F033GG01
5F033GG02
5F033HH08
5F033JJ19
5F033KK04
5F033PP06
5F033PP15
5F033QQ13
5F033RR04
5F033RR06
5F033SS13
5F033VV06
5F033XX22
(57)【要約】
【課題】信頼性の高い半導体チップを提供する。
【解決手段】板上面を有し、基板上面に平行な第1方向に並んで設けられた第1領域 及び第2領域 を有する半導体基板と、第1領域において、基板上面の上に設けられた第1配線 と、第2領域において、基板上面の下に設けられ、第1配線の下面よりも上面が下である第2配線 と、第2配線の上に、第1配線と離間して設けられた第1絶縁膜と、を備える半導体チップである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上面を有し、前記基板上面に平行な第1方向に並んで設けられた第1領域及び第2領域を有する半導体基板と、
前記第1領域において、前記基板上面の上に設けられた第1配線と、
前記第2領域において、前記基板上面の下に設けられ、前記第1配線の下面よりも上面が下である第2配線と、
前記第2配線の上に、前記第1配線と離間して設けられた第1絶縁膜と、
を備える半導体チップ。
【請求項2】
前記第1配線の側面及び上面に、絶縁膜は設けられていない、
請求項1記載の半導体チップ。
【請求項3】
前記半導体基板は、前記基板上面に平行で前記第1方向に交差する第2方向に、前記第1領域と並んで設けられた第3領域をさらに有し、
前記半導体チップは、
前記第3領域において、前記基板上面の下に設けられ、前記第1配線の下面よりも上面が下である第3配線と、
前記第3配線の上に、前記第1配線と離間して設けられた第2絶縁膜と、
をさらに備える請求項1又は請求項2記載の半導体チップ。
【請求項4】
前記第2配線と前記第3配線は電気的に接続されている、
請求項3記載の半導体チップ。
【請求項5】
前記第1配線の下及び前記第2配線の下にわたって設けられた第3絶縁膜と、
をさらに備える請求項1乃至請求項4いずれか一項記載の半導体チップ。
【請求項6】
前記第1絶縁膜と前記第2配線の間に設けられ、前記第1絶縁膜と異なる絶縁材料を含む第4絶縁膜と、
をさらに備える請求項1乃至請求項5いずれか一項記載の半導体チップ。
【請求項7】
前記第1配線は、Alを含む第1部分と、前記第1部分の上に設けられAlを含む第2部分と、前記第1部分と前記第2部分の間に設けられ、Al酸化物を含む酸化膜と、
を有する請求項1乃至請求項6いずれか一項記載の半導体チップ。
【請求項8】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられた第1緩衝部と、
前記第1緩衝部の上に設けられた請求項1乃至請求項7いずれか一項記載の半導体チップと、
前記第1緩衝部の上に設けられた第2緩衝部と、
前記第2緩衝部の上に設けられた、第2電極と、
を備える半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体チップ及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧接型半導体装置は、両面放熱によるパワー密度向上と、高電圧・大電流下での高信頼性を実現する。圧接型半導体装置は、複数の半導体チップが、上下の電極ブロックによって挟まれた構造を備える。上下の電極ブロックに外部から押圧力が加えられることにより、内部の電気的接触が保たれる。
【0003】
信頼性の高い、半導体チップ、及び圧接型半導体装置を含む半導体装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の高い半導体チップ及び半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体チップは、基板上面を有し、基板上面に平行な第1方向に並んで設けられた第1領域及び第2領域 を有する半導体基板と、第1領域において、基板上面の上に設けられた第1配線と、第2領域において、基板上面の下に設けられ、第1配線の下面よりも上面が下である第2配線と、第2配線の上に、第1配線と離間して設けられた第1絶縁膜と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施形態の半導体チップの模式上面図である。
【
図3】実施形態の半導体チップの模式断面図である。
【
図4】実施形態の半導体チップの要部の模式断面図である。
【
図5】実施形態の半導体チップの製造工程を示す模式断面図である。
【
図6】実施形態の半導体チップの製造工程を示す模式断面図である。
【
図7】実施形態の半導体チップの製造工程を示す模式断面図である。
【
図8】実施形態の半導体チップの製造工程を示す模式断面図である。
【
図9】実施形態の半導体チップの製造工程を示す模式断面図である。
【
図10】比較形態の半導体チップの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0009】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0010】
(実施形態)
実施形態の半導体チップは、基板上面を有し、基板上面に平行な第1方向に並んで設けられた第1領域及び第2領域を有する半導体基板と、第1領域において、基板上面の上に設けられた第1配線と、第2領域において、基板上面の下に設けられ、第1配線の下面よりも上面が下である第2配線と、第2配線の上に、第1配線と離間して設けられた第1絶縁膜と、を備える。
【0011】
実施形態の半導体装置は、第1電極と、第1電極の上に設けられた第1緩衝部と、第1緩衝部の上に設けられた半導体チップと、第1緩衝部の上に設けられた第2緩衝部と、第2緩衝部の上に設けられた、第2電極と、を備える。
【0012】
図1は、実施形態の半導体装置200の模式正面図である。
【0013】
実施形態の半導体装置200は、圧接型半導体装置である。
【0014】
実施形態の半導体チップ100は、例えば、半導体装置200に好ましく用いられる。ただし、半導体チップ100は、半導体装置200以外の半導体装置にも、好ましく用いられる。
【0015】
半導体装置200は、第1電極110と、第1緩衝部130と、半導体チップ100と、第2緩衝部150と、第2電極160と、を備える。
【0016】
ここで、X方向と、X方向に対して垂直に交差するY方向と、X方向及びY方向に垂直に交差するZ方向を定義する。X方向は、第1方向の一例である。Y方向は、第2方向の一例である。
【0017】
第1電極110は、例えばCu(銅)等の金属を含む電極である。第1電極110は、例えば板状の部材である。第1電極110は、例えば円柱状の形状を有する部材である。第1電極110は、第1面114と、第1面114に対向する第2面116と、を有する。例えば、第1面114及び第2面116は、Z軸に垂直な面内に設けられている。
【0018】
第1緩衝部130は、第2面116の上に設けられている。第1緩衝部130は、第1電極110及び第2電極160を上下方向に圧接するときに、半導体チップ100が受ける熱応力を緩和するために設けられている。第1緩衝部130は、例えばMo(モリブデン)等の導電性金属を含む。
【0019】
半導体チップ100は、第1緩衝部130の上に設けられている。例えば、半導体チップ100は、後述する凸部162の個数と同じだけ設けられている。半導体チップ100は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。しかし、半導体チップ100は、IGBTに限定されるものではなく、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やダイオードであってもかまわない。例えば、Z軸に垂直な面内又は第2面116に平行な面内において、半導体チップ100の形状は矩形である。しかし、Z軸に垂直な面内における半導体チップ100の形状は、矩形に限定されるものではない。
【0020】
第2電極160は、凸部162と、板部164を有する。第2電極160は、例えばCu(銅)等の金属を含む電極である。板部164は、第3面166と、第3面166に対向する第4面168と、を有する。第3面166は、第2面116に対向している。また、板部164は、複数の凸部162を有している。複数の凸部162は、複数の半導体チップ100のそれぞれと第3面166の間に設けられている。そして、複数の凸部162は、第3面166と接続されている。
【0021】
なお、凸部162の個数は、
図1に示したものに限定されるものではない。
【0022】
例えば、半導体チップ100の形状が矩形である場合、Z軸に垂直な面内又は第2面116に平行な面内における凸部162の頂面162aは、半導体チップ100の形状と同じ矩形形状を有する。
【0023】
第2緩衝部150は、それぞれの半導体チップ100とそれぞれの凸部162の間に設けられている。第2緩衝部150は、半導体装置200の使用の際に、第1電極110及び第2電極160を圧接するときに、半導体チップ100が受ける熱応力を緩和するために設けられている。第2緩衝部150は、例えばMo(モリブデン)等の導電性金属を含む。例えば、Z軸に垂直な面内におけるそれぞれの第2緩衝部150の形状及びサイズは、Z軸に垂直な面内におけるそれぞれの半導体チップ100の同一の形状及び同一のサイズである。
【0024】
なお、
図1においては、Z軸に垂直な面内における第1緩衝部130の形状及びサイズは、Z軸に垂直な面内における第1電極110の第2面116と同一の形状及び同一のサイズである。また、Z軸に垂直な面内における第2緩衝部150の形状及びサイズは、Z軸に垂直な面内における凸部162の頂面162aと同一の形状及び同一のサイズである。しかし、第1緩衝部130及び第2緩衝部150の形状は、これに限定されるものではない。
【0025】
半導体装置200の使用の際には、上下方向から第1電極110及び第2電極160が圧接される。なお、図示しない電極ブロックを用いて、第1電極110及び第2電極160を圧接してもかまわない。また、半導体チップ100、第2緩衝部150及び凸部162の周囲に、図示しない樹脂製の支持体が設けられていても良い。また、半導体装置200の周囲に、図示しないセラミック製の絶縁部材が設けられていても良い。
【0026】
図2は、実施形態の半導体チップ100の模式上面図である。複数のエミッタ配線90は、X方向において互いに離間して設けられている。複数のエミッタ配線90は、例えば、IGBTのエミッタ電極に接続されている。また、ゲートパッド94が設けられている。ゲートパッド94は、例えば、IGBTのゲート電極に接続されている。また、領域10a、領域10b、領域10c及び領域10dが示されている。
【0027】
図3は、実施形態の半導体チップ100の模式断面図である。
図3(a)は、
図2に示したA-A’断面における、実施形態の半導体チップ100の模式断面図である。
図3(b)は、
図2に示したB-B’断面における、実施形態の半導体チップ100の模式断面図である。
【0028】
図2及び
図3を用いて、実施形態の半導体チップ100について説明をする。
【0029】
半導体基板2は、例えば、n-型不純物を有するSi(シリコン)基板である。ここで、n型不純物は、例えばP(リン)である。しかし、半導体基板2は、SiC(炭化珪素)基板、GaAs(ヒ化ガリウム)基板、又はGaN(窒化ガリウム)基板であってもかまわない。半導体基板2は、基板上面2aを有する。なお、半導体基板2の下には、例えば、図示しないドレイン電極が設けられている。
【0030】
半導体基板2は、基板上面2aに平行な面内において、X方向に並んで、領域(第1領域の一例)10a、領域(第2領域の一例)10b及び領域10cを有する。また、半導体基板2は、基板上面2aに平行な面内において、Y方向に並んで、領域10a及び領域10d(第3領域の一例)を有する。
【0031】
拡散層4は、半導体基板2内の、基板上面2a側に設けられている。拡散層4は、例えば、p型不純物を含む。ここで半導体基板2がSi基板である場合、p型不純物は、例えばB(ホウ素)である。拡散層4は、後述するトレンチ20端部の電界集中の緩和のために設けられている。
【0032】
トレンチ20aは、領域10aに設けられている。トレンチ20aは、基板上面2aから拡散層4に到達している。
【0033】
電極6aは、トレンチ20a内に設けられている。電極6aは、例えば、導電型不純物を含むポリシリコンを含む。電極6aは、例えば、IGBTのエミッタ電極として機能する。
【0034】
トレンチ20bは、領域10cに設けられている。トレンチ20bは、基板上面2aから拡散層4に到達している。
【0035】
電極6bは、トレンチ20b内に設けられている。電極6bは、例えば、導電型不純物を含むポリシリコンを含む。電極6bは、例えば、IGBTのエミッタ電極として機能する。
【0036】
トレンチ20cは、領域10a内に設けられている。トレンチ20cは、基板上面2aから拡散層4に到達している。
【0037】
電極6cは、トレンチ20c内に設けられている。電極6cは、例えば、導電型不純物を含むポリシリコンを含む。電極6cは、例えば、IGBTのエミッタ電極として機能する。
【0038】
トレンチ20dは、領域10a内に設けられている。トレンチ20dは、トレンチ20aとトレンチ20bの間に設けられている。トレンチ20dは、基板上面2aから拡散層4に到達している。
【0039】
トレンチ20eは、領域10c内に設けられている。トレンチ20eは、トレンチ20bとトレンチ20dの間に設けられている。トレンチ20eは、基板上面2aから拡散層4に到達している。
【0040】
エミッタ配線(第1配線の一例)90aは、領域10aの、基板上面2aの上に設けられている。エミッタ配線90aは、例えば、Al(アルミニウム)を含む第1部分92aと、第1部分92aの上に設けられ、Alを含む第2部分94aと、を有する。エミッタ配線90aは、側面96aと、側面96dと、上面98aと、下面99aと、を有する。エミッタ配線90aの上面98aは、第2緩衝部150(
図1)により圧接される。
【0041】
エミッタ配線90cは、領域10cの、基板上面2aの上に設けられている。エミッタ配線90cは、例えば、Al(アルミニウム)を含む第1部分92cと、第1部分92cの上に設けられ、Alを含む第2部分94cと、を有する。エミッタ配線90cは、側面96cと、上面98cと、下面99cと、を有する。エミッタ配線90cの上面98cは、第2緩衝部150(
図1)により圧接される。
【0042】
ガードリング電極78は、領域10dの、基板上面2aの上に設けられている。ガードリング電極78は、例えば、Alを含む。
【0043】
ゲート配線(第2配線の一例)80bは、領域10bの、基板上面2aの下に設けられている。ゲート配線80bは、例えば、Alを含む。ゲート配線80bは、上面82bを有する。
【0044】
ゲート配線80e(第3配線の一例)は、領域10dの、基板上面2aの下に設けられている。ゲート配線80eは、半導体チップ100を上方から見た場合に、エミッタ配線90aとガードリング電極78の間に設けられている。ゲート配線80eは、例えば、Alを含む。ゲート配線80eは、上面82eを有する。
【0045】
ゲート配線80bの上面82bは、基板上面2aよりも下に設けられている。エミッタ配線90aの下面99a及びエミッタ配線90cの下面99cは、基板上面2aよりも上に設けられている。そして、ゲート配線の上面82bは、エミッタ配線90aの下面99a及びエミッタ配線90cの下面99cよりも下に設けられている。
【0046】
ゲート配線80eの上面82eは、基板上面2aよりも下に設けられている。そして、ゲート配線の上面82eは、エミッタ配線90aの下面99a及びエミッタ配線90cの下面99cよりも下に設けられている。
【0047】
ゲート配線80b及びゲート配線80eは、IGBTのゲート電極と接続されている。
【0048】
ゲート配線80b及びゲート配線80eは、ゲートパッド94(
図2)と電気的に接続されている。
【0049】
ゲート配線80bとゲート配線80eは、電気的に接続されている。
【0050】
第1絶縁膜30bは、領域10bの、ゲート配線80bの上に設けられている。第1絶縁膜30bは、エミッタ配線90a及びエミッタ配線90cと離間して設けられている。第1絶縁膜30bは、例えばポリイミドを含む。しかし第1絶縁膜30bは、他の絶縁材料を含んでいてもかまわない。
【0051】
第2絶縁膜30eは、領域10dの、ゲート配線80e及びガードリング電極78の上に設けられている。第2絶縁膜30eは、エミッタ配線90aと離間して設けられている。第2絶縁膜30eは、例えばポリイミドを含む。しかし第2絶縁膜30eは、他の絶縁材料を含んでいてもかまわない。
【0052】
パッシベーション膜70b(第4絶縁膜の一例)は、ゲート配線80bと第1絶縁膜30bの間に設けられている。パッシベーション膜70bは、例えば、SiOX(酸化シリコン)又はSiN(窒化シリコン)を含む。
【0053】
パッシベーション膜70eは、ゲート配線80e及びガードリング電極78と第2絶縁膜30eの間に設けられている。パッシベーション膜70eは、例えば、SiOX(酸化シリコン)又はSiN(窒化シリコン)を含む。
【0054】
ポリシリコン12bは、トレンチ20d内、エミッタ配線90aと基板上面2aの間、ゲート配線80bの下の拡散層4内、トレンチ20e内及びエミッタ配線90cと基板上面2aの間にわたって設けられている。ポリシリコン12bは、例えば、導電型不純物を含む。例えば、ゲート配線80bは、ポリシリコン12bと接続されている。
【0055】
ポリシリコン12eは、エミッタ配線90aと基板上面2aの間、ゲート配線80eの下の拡散層4内、及びガードリング電極78と拡散層4の間にわたって設けられている。ポリシリコン12eは、例えば、導電型不純物を含む。
【0056】
コンタクトプラグ76aは、エミッタ配線90aと電極6aの間に設けられている。コンタクトプラグ76aは、エミッタ配線90aと電極6aを接続している。コンタクトプラグ76aは、例えば、W(タングステン)を含む。
【0057】
コンタクトプラグ76cは、エミッタ配線90cと電極6bの間に設けられている。コンタクトプラグ76cは、エミッタ配線90cと電極6bを接続している。コンタクトプラグ76aは、例えば、Wを含む。
【0058】
コンタクトプラグ76dは、エミッタ配線90aと電極6cの間に設けられている。コンタクトプラグ76dは、エミッタ配線90aと電極6cを接続している。コンタクトプラグ76dは、例えば、Wを含む。
【0059】
コンタクトプラグ76eは、ガードリング電極78と拡散層4の間に設けられている。コンタクトプラグ76dは、ガードリング電極78と拡散層4を接続している。コンタクトプラグ76eは、例えば、Wを含む。
【0060】
コンタクトプラグ76fは、エミッタ配線90aと拡散層4の間に設けられている。コンタクトプラグ76fは、エミッタ配線90aと拡散層4を接続している。コンタクトプラグ76fは、例えば、Wを含む。
【0061】
酸化膜74は、電極6a及びポリシリコン12bと半導体基板2及び拡散層4の間に設けられている。また、酸化膜74は、電極6c及びポリシリコン12eと拡散層4の間に設けられている。また、酸化膜74は、ガードリング電極78と半導体基板2の間に設けられている。酸化膜74は、例えば、酸化シリコンを含む。
【0062】
層間膜72は、電極6a、酸化膜74及びポリシリコン12bとエミッタ配線90aの間、第1絶縁膜30b、パッシベーション膜70b及びゲート配線80bとポリシリコン12bの間、電極6b、酸化膜74及びポリシリコン12bとエミッタ配線90cの間に設けられている。また、層間膜72は、酸化膜74及びポリシリコン12eとエミッタ配線90aの間、第2絶縁膜30e、パッシベーション膜70e及びゲート配線80eとポリシリコン12eの間、ガードリング電極78とポリシリコン12eの間、及びガードリング電極78と酸化膜74の間に設けられている。層間膜72は、例えば、酸化シリコンを含む。
【0063】
図4は、エミッタ配線90aの要部の模式断面図である。第1部分92aと第2部分94aの間に、Alを含む酸化膜97aが設けられている。かかる酸化膜97aは、例えば、第1部分92aの自然酸化により形成された、Alの自然酸化膜である。なお、エミッタ配線90cについても同様に、第1部分92cと第2部分94cの間に、Alを含む酸化膜が設けられている。なお、Alを含む自然酸化膜が設けられていても、第1部分92aと第2部分94aは、電気的に接続されている。また、Alを含む自然酸化膜が設けられていても、第1部分92cと第2部分94cは、電気的に接続されている。
【0064】
図5乃至
図10は、実施形態の半導体チップの製造工程を示す模式断面図である。
【0065】
まず、半導体基板2の上に、例えばイオン注入により、例えばp型不純物を含有する拡散層4を形成する。次に、基板上面2aの上に、フォトレジストPを適宜形成する(
図5)。
【0066】
次に、フォトレジストPをマスクにして、例えばRIE(Reactive Ion Etching)を用いて、溝88a、88b、88c、88d、88e、88f及び88gを形成する(
図6)。
【0067】
次に、例えばLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)により、溝88a、88b、88c、88d、88e、88f及び88g内に、酸化膜74を形成する。次に、酸化膜6の上に、例えばCVDにより、導電型不純物を含むポリシリコン12b、12e、電極6a及び電極6cを形成する(
図7)。
【0068】
次に、例えばフォトリソグラフィー及びエッチングにより、酸化膜74及び層間膜72を貫通する孔を形成する。次に、かかる孔に、例えばCVDにより、Wを含むコンタクトプラグ76を形成する。
【0069】
次に、例えばスパッタリングにより、エミッタ配線90aの第1部分92a、エミッタ配線90cの第1部分92c、ゲート配線80b及びゲート配線80eを形成する。次に、エミッタ配線90aの第1部分92a、エミッタ配線90cの第1部分92c、ゲート配線80b及びゲート配線80eの上に、例えばCVDにより、パッシベーション膜70を形成する(
図8)。
【0070】
次に、例えばフォトリソグラフィー及びRIEにより、パッシベーション膜70の一部を除去する(
図9)。
【0071】
次に、パッシベーション膜70の上に、第1絶縁膜30b及び第2絶縁膜30eを形成する。次に、例えばスパッタリングにより、エミッタ配線90aの第1部分92aの上に第2部分94aを形成する。また、エミッタ配線90cの第1部分92cの上に第2部分94cを形成する。以上により、実施形態の半導体チップ100を得る。
【0072】
次に、実施形態の半導体チップの作用効果を記載する。
【0073】
図10は、実施形態の比較形態となる半導体チップ1000の模式断面図である。半導体チップ1000においては、ゲート配線80b及びゲート配線80eが、基板上面2aの上に設けられている。
【0074】
半導体チップ1000の自己発熱のため、エミッタ配線90a及びエミッタ配線90cがX方向に伸長し、第1絶縁膜30b及びパッシベーション膜70を突き破り、ゲート配線80bと接触してしまうおそれがあった。
【0075】
また、特に、半導体チップ1000が圧接型半導体装置である半導体装置200に用いられる場合、エミッタ配線90aの上面98a及びエミッタ配線90cの上面98cは、第2緩衝部150により圧接される。そのため、特に、エミッタ配線90a及びエミッタ配線90cがX方向に伸長するおそれがあった。
【0076】
同様に、エミッタ配線90aが、Y方向に伸張し、ゲート配線80eと接触してしまうおそれがあった。
【0077】
そこで、実施形態の半導体チップ100は、基板上面2aを有し、基板上面2aに平行な面内において領域10aと、領域10bと、を有する半導体基板2と、領域10aの、基板上面2aの上に設けられたエミッタ配線90aと、領域10bの基板上面2aの下に設けられ、下面99aより上面82bが下であるゲート配線80bと、を備える。
【0078】
これにより、エミッタ配線90a及びエミッタ配線90cがX方向に伸長しても、ゲート配線80bとの接触が発生しづらくなる。よって、信頼性の高い半導体チップ及び半導体装置の提供が可能となる。
【0079】
また、実施形態の半導体チップ100は、ゲート配線80bの上に、エミッタ配線90a及びエミッタ配線90cと離間して設けられた第1絶縁膜30bを備える。
【0080】
これにより、X方向に伸長したエミッタ配線90a及びエミッタ配線90cは、第1絶縁膜30bの上に乗り上げる。そのため、エミッタ配線90a及びエミッタ配線90cとゲート配線80bの接触がさらに発生しづらくなる。よって、さらに信頼性の高い半導体チップ及び半導体装置の提供が可能となる。
【0081】
また、エミッタ配線90とゲート配線80の接触が発生しづらくなるため、エミッタ配線90とゲート配線80の距離を短くすることが出来る。そのため、半導体チップ100のアクティブエリアをより広くすることが出来る。
【0082】
エミッタ配線90aの側面96a及び上面98aに絶縁膜が設けられていると、X方向への伸長が誘発されることがある。エミッタ配線90aの側面96a及び上面98aに絶縁膜が設けられていないものとすることにより、これを回避出来る。
【0083】
実施形態の半導体チップ及び半導体装置によれば、信頼性の高い半導体チップ及び半導体装置の提供が可能となる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
2 :半導体基板
2a :基板上面
10a :領域(第1領域)
10b :領域(第2領域)
10d :領域(第3領域)
30b :第1絶縁膜
30e :第2絶縁膜
70b :パッシベーション膜(第4絶縁膜)
72 :第3絶縁膜
74 :酸化膜
80b :ゲート配線(第2配線)
80e :ゲート配線(第3配線)
82b :上面(第2配線の上面)
82e :上面(第3配線の上面)
90a :エミッタ配線(第1配線)
92a :第1部分
94a :第2部分
96a :側面(第1配線の側面)
96d :側面(第1配線の側面)
97 :酸化膜
98a :上面(第1配線の上面)
99a :下面(第1配線の下面)
100 :半導体チップ
110 :第1電極
130 :第1緩衝部
150 :第2緩衝部
160 :第2電極
200 :半導体装置