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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138880
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230926BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20230926BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20230926BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
H01L29/78 652Q
H01L29/78 653C
H01L29/78 652M
H01L29/78 652K
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 652T
H01L21/60 321E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044781
(22)【出願日】2022-03-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】池田 聖
(57)【要約】
【課題】信頼性の向上した半導体装置を提供する。
【解決手段】リードフレームと、リードフレームの上に設けられた第1接合材と、下面と、上面と、下面に設けられ第1接合材に接続された第1電極と、上面に設けられた第2電極と、第2電極に接続された複数の電極パッドと、を有し、第1接合材の上に設けられた半導体チップと、複数の電極パッドの上にそれぞれ設けられた複数の第2接合材と、複数の第2接合材のうちの少なくともいずれか一つと接続された第1コネクタと、を備え、第1コネクタに接続されない第2接合材は、コネクタ又はワイヤに接続されない半導体装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームと、
前記リードフレームの上に設けられた第1接合材と、
下面と、上面と、前記下面に設けられ前記第1接合材に接続された第1電極と、前記上面に設けられた第2電極と、前記第2電極に接続された複数の電極パッドと、を有し、前記第1接合材の上に設けられた半導体チップと、
前記複数の電極パッドの上にそれぞれ設けられた複数の第2接合材と、
前記複数の第2接合材のうちの少なくともいずれか一つと接続された第1コネクタと、
を備え、
前記第1コネクタに接続されない前記第2接合材は、コネクタ又はワイヤに接続されない、
半導体装置。
【請求項2】
リードフレームと、
前記リードフレームの上に設けられた第1接合材と、
下面と、上面と、前記下面に設けられ前記第1接合材に接続された第1電極と、前記上面に設けられた第2電極と、前記第2電極に接続された複数の電極パッドと、を有し、前記第1接合材の上に設けられた半導体チップと、
前記複数の電極パッドの上にそれぞれ設けられた複数の第2接合材と、
前記複数の第2接合材のうちの少なくともいずれか一つと接続された第1コネクタと、
前記第1コネクタに電気的に接続されない前記第2接合材の上に設けられた封止樹脂と、
を備える半導体装置。
【請求項3】
前記第1コネクタに電気的に接続されない前記第2接合材に接続された第2コネクタをさらに備える、
請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記封止樹脂は前記第1コネクタに電気的に接続されない前記第2接合材を覆う、
請求項2記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップは、
前記第1電極の上に設けられた、第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた、第2導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に設けられた、第1導電型の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に設けられ、前記第2半導体領域に電気的に接続された前記第2電極と、
前記第1半導体領域の上から前記第1半導体層に到達する第1トレンチ内に、前記第1半導体層と第1絶縁膜を介して設けられた第3電極と、
をさらに有し、
前記第1トレンチは、前記上面に平行な第1方向に延伸し、
前記第1トレンチの上に設けられた、前記第2接合材を介して前記第1コネクタに電気的に接続されない前記電極パッドは、前記上面に平行で前記第1方向に交差する第2方向に延伸する、
請求項1乃至請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1コネクタは、前記第2接合材を介して前記複数の電極パッドのうちの少なくとも二つと接続され、
前記半導体装置は、前記第3電極に接続され、前記第1コネクタと電気的に接続された二つの前記電極パッドの間の下に設けられた接続配線をさらに備える、
請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体チップは、
前記第1半導体領域の上から前記第1半導体層に到達する第2トレンチ内に、前記第1半導体層と第2絶縁膜を介して設けられた第4電極をさらに有し、
前記第2トレンチは、前記上面に平行で前記第1方向に交差する第3方向に延伸し、
前記第2トレンチの上に設けられた、前記第2接合材を介して前記第1コネクタに電気的に接続されない前記電極パッドは、前記上面に平行で前記第3方向に交差する第4方向に延伸する、
請求項5又は請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数の電極パッドのそれぞれは、Ni又はCuを含む、
請求項1乃至請求項7いずれか一項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体チップを有する半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。例えば、上述の半導体装置が縦型のMOSFETである場合、半導体チップの上面に設けられたソース電極は、例えばMOSFETの上に設けられたコネクタと接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-035913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の向上した半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、リードフレームと、リードフレームの上に設けられた第1接合材と、下面と、上面と、下面に設けられ第1接合材に接続された第1電極と、上面に設けられた第2電極と、第2電極に接続された複数の電極パッドと、を有し、第1接合材の上に設けられた半導体チップと、複数の電極パッドの上にそれぞれ設けられた複数の第2接合材と、複数の第2接合材のうちの少なくともいずれか一つと接続された第1コネクタと、を備え、第1コネクタに接続されない第2接合材は、コネクタ又はワイヤに接続されない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体装置の模式上面図である。
図2】第1実施形態の半導体装置の要部の模式断面図である。
図3図1におけるA-A’断面の模式図である。
図4】第1実施形態の他の態様の半導体装置の模式上面図である。
図5】第1実施形態の第1比較形態となる半導体装置の模式上面図である。
図6図5におけるA-A’断面の模式図である。
図7】第1実施形態の第2比較形態となる半導体装置の模式上面図である。
図8】第1実施形態の半導体装置の作用効果を示す模式図である。
図9】第2実施形態の半導体装置の模式上面図である。
図10】第2実施形態の半導体装置の要部の模式断面図である。
図11】第2実施形態の半導体装置の要部の模式断面図である。
図12】第3実施形態の半導体装置の模式上面図である。
図13】第4実施形態の半導体装置の模式上面図である。
図14】第5実施形態の半導体装置の模式上面図である。
図15】第6実施形態の半導体装置の模式上面図である。
図16】第7実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0008】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0009】
以下、第1導電型がn型、第2導電型がp型である場合を例に説明する。
【0010】
以下の説明において、n、n、nおよび、p、p、pの表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちnはnよりもn型の不純物濃度が相対的に高く、nはnよりもn型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に高く、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n型、n型を単にn型、p型、p型を単にp型と記載する場合もある。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態の半導体装置は、リードフレームと、リードフレームの上に設けられた第1接合材と、下面と、上面と、下面に設けられ第1接合材に接続された第1電極と、上面に設けられた第2電極と、第2電極に接続された複数の電極パッドと、を有し、第1接合材の上に設けられた半導体チップと、複数の電極パッドの上にそれぞれ設けられた複数の第2接合材と、複数の第2接合材のうちの少なくともいずれか一つと接続された第1コネクタと、を備え、第1コネクタに接続されない第2接合材は、コネクタ又はワイヤに接続されない。
【0012】
また、本実施形態の半導体装置は、リードフレームと、リードフレームの上に設けられた第1接合材と、下面と、上面と、下面に設けられ第1接合材に接続された第1電極と、上面に設けられた第2電極と、第2電極に接続された複数の電極パッドと、を有し、第1接合材の上に設けられた半導体チップと、複数の電極パッドの上にそれぞれ設けられた複数の第2接合材と、複数の第2接合材のうちの少なくともいずれか一つと接続された第1コネクタと、第1コネクタに電気的に接続されない第2接合材の上に設けられた封止樹脂と、を備える。
【0013】
図1は、本実施形態の半導体装置100の模式上面図である。図2は、本実施形態の半導体装置100の要部の模式断面図である。図2は、図1におけるA-A’断面の模式図である。図3は、図1におけるA-A’断面の模式図である。図3(a)は、第2接合材20a付近におけるA-A’断面の模式図である。図3(b)は、第2接合材20b付近におけるA-A’断面の模式図である。図3(a)及び図3(b)においては、封止樹脂82をあわせて図示している。なお、図1及び図2においては、封止樹脂82の図示を省略している。
【0014】
図1図2及び図3を用いて、本実施形態の半導体装置100の説明をする。
【0015】
リードフレーム2は、半導体チップ10が配置される、Cu(銅)等の導電性材料を含む部材である。リードフレーム2は、第1ベッド部3と、第1アウターリード6と、を有する。第1ベッド部3は、第1ベッド面4を有する。第1ベッド面4の上に、半導体チップ10が設けられている。第1アウターリード6は第1ベッド部3に接続されている。第1アウターリード6は、半導体チップ10と、図示しない外部回路との接続に用いられる。
【0016】
第1接合材70は、リードフレーム2の第1ベッド面4と半導体チップ10の間に設けられている。第1接合材70は、リードフレーム2の第1ベッド面4の上に設けられている。第1接合材70は、第1ベッド面4と半導体チップ10のドレイン電極(第1電極の一例)11を接合している。例えば半導体チップ10にMOSFETが設けられている場合、第1接合材70は、半導体チップ10のドレイン電極11と、第1ベッド面4を接続している。
【0017】
半導体チップ10は、第1接合材70の上に設けられている。半導体チップ10は、下面10aと、上面10bと、を有する。また、半導体チップ10は、下面10aに設けられたドレイン電極11と、上面10bに設けられたソース電極(第2電極の一例)16と、ソース電極16の上に設けられた複数の電極パッド17と、ソース電極16の上に設けられた第3絶縁膜12と、を有する。半導体チップ10は、例えばSi(シリコン)、SiC(炭化珪素)、GaAs(ヒ化ガリウム)、又はGaN(窒化ガリウム)等の半導体基板に、縦型のMOSFETやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等が設けられたものである。
【0018】
ここで、X方向と、X方向に対して垂直に交差するY方向と、X方向及びY方向に垂直に交差するZ方向を定義する。第1ベッド面4、下面10a及び上面10bは、XY面に平行に配置されている。
【0019】
例えば半導体チップ10にMOSFETが設けられている場合、ソース電極16は、かかるMOSFETのソース電極に相当する。ソース電極16は、例えばAl(アルミニウム)を含む。
【0020】
第3絶縁膜12は、半導体チップ10の、ソース電極16の上に設けられている。第3絶縁膜12は、例えば、半導体チップ10の端部の上及びソース電極16の端部の上に設けられている。第3絶縁膜12は、ソース電極16の上に、開口部13a及び開口部13bを有している。開口部13a及び開口部13bは、第3絶縁膜12を貫通している。第3絶縁膜12は、例えばポリイミド等の絶縁材料を含む。なお、開口部13の個数は、本実施形態で示したものに限定されるものではない。
【0021】
複数の電極パッド17は、開口部13内の、ソース電極16の上に設けられている。複数の電極パッド17は、ソース電極16と接続されている。電極パッド17aは、開口部13a内の、ソース電極16の上に設けられている。電極パッド17bは、開口部13b内の、ソース電極16の上に設けられている。なお、電極パッド17の個数は、本実施形態で示したものに限定されるものではない。電極パッド17は、例えば、Ni(ニッケル)を含む第1層14と、第1層の上に設けられ、Au(金)を含む第2層15と、を有する。なお、電極パッド17の構成は、上記のものに限定されない。例えば、電極パッド17は、NiとAuの合金を含んでいても良い。また、例えば、電極パッド17は、Niを含む層と、上記のNiを含む層の上に設けられたPd(パラジウム)を含む層と、上記のPdを含む層の上に設けられたAuを含む層を有していてもよい。また、電極パッド17は、例えば、Cuを含んでいても良い。また、電極パッド17は、例えば、Cuを含む層を有していても良い。電極パッド17は、例えば、ソース電極16と、第2接合材20の接合強度を増加させるために設けられている。
【0022】
複数の第2接合材20は、複数の電極パッド17のそれぞれの上に設けられている。第2接合材20aは、電極パッド17aの上に設けられている。第2接合材20bは、電極パッド17bの上に設けられている。
【0023】
第1コネクタ50は、第1端部51aと、第2端部51bと、を有する。第1コネクタ50は、例えば、Cu等の導電性材料を含む。なお、第1コネクタ50の表面に、例えばSnを含む材料によりめっきが施されていてもかまわない。第1端部51aは、開口部13内の第2接合材20aの上に設けられ、第2接合材20aと接続されている。これにより、第1コネクタ50は、第2接合材20aを介して電極パッド17aと電気的に接続されている。一方、第1コネクタ50は、第2接合材20bに接続されていない。第1コネクタ50は、第2接合材20bを介して電極パッド17bに接続されていない。第2端部51bは、第2ベッド部58の上に設けられ、第2ベッド部58と第3接合材59を用いて接続されている。第1コネクタ50は、第2端部51bが接続される第1ポスト部54とリードフレーム2の間を跨ぐY方向に、延伸して設けられている。なお、第1コネクタ50の代わりにワイヤを用いて電極パッド17aと第2ベッド部58を接続する場合であっても、かかるワイヤは、第2接合材20bに接続されていない。また、かかるワイヤは、第2接合材20bを介して電極パッド17aに接続されていない。
【0024】
封止樹脂82は、第3絶縁膜12及び第2接合材20の上に、少なくとも、第3絶縁膜12、電極パッド17及び第2接合材20を覆うように設けられている。ここで、図3(a)に示すように、第2接合材20aの周囲においては、封止樹脂82は、第2接合材20a及び第1コネクタ50の第1端部51aの周囲を覆うように設けられている。一方、図3(b)に示すように、第2接合材20bの周囲においては、封止樹脂82は、第2接合材20bを覆うように設けられている。この場合、第2接合部材20bの上面全体は封止樹脂82と直接接している。封止樹脂82は、例えばエポキシ樹脂等の樹脂を含む。さらに、封止樹脂82は、シリカ又はアルミナ等のフィラーを含んでいても良い。
【0025】
第1ポスト部54は、第2ベッド部58と、第2アウターリード56と、を備える。第1ポスト部54は、Cu等の導電性材料を含む。第2アウターリード56は、半導体チップ10と、図示しない外部回路との接続に用いられる。
【0026】
第2ポスト部64は、第2ベッド部68と、第3アウターリード66と、を備える。第2ポスト部64は、Cu等の導電性材料を含む。第3アウターリード66は、半導体チップ10と、図示しない外部回路との接続に用いられる。
【0027】
第3接合材59は、第2ベッド部58と第2端部51bの間に設けられている。第3接合材59は、第2ベッド部58と第2端部51を接続している。
【0028】
第3コネクタ60は、第3端部61aと、第4端部61bと、を有する。第3コネクタ60は、例えば、Cu等の導電性材料を含む。なお、第3コネクタ60の表面に、例えばSnを含む材料によりめっきが施されていてもかまわない。第3端部61aは、半導体チップ10の上に設けられた第4接合材80を介して、半導体チップ10と電気的に接続されている。第4接合材80は、例えば、MOSFETのゲート電極と電気的に接続されている。
【0029】
なお、第1コネクタ50及び第3コネクタ60は、容易に曲げたりすることが出来ない、硬いコネクタであり、ボンディングに用いられるワイヤとは異なるものである。
【0030】
第5接合材69は、第2ベッド部68と第4端部61bの間に設けられている。第5接合材69は、第2ベッド部68と第4端部61bを接続している。
【0031】
図4は、本実施形態の他の態様の半導体装置105の模式上面図である。第3コネクタ60の代わりに、ワイヤ62が用いられている。第3コネクタ60の代わりに、ワイヤ62が用いられていてもかまわない。ワイヤ62の端部63aは、第4接合材80に接続されている。ワイヤ62の端部63bは、第5接合材69に接続されている。
【0032】
第1接合材70、第2接合材20、第3接合材59、第4接合材80及び第5接合材69としては、例えば、Pb(鉛)及びSn(スズ)を含むはんだ、Pb、Ag(銀)及びSn(スズ)を含むはんだ、Sn及びSb(アンチモン)を含むはんだ、Au(金)及びSnを含むはんだ、Au及びSiを含むはんだ、又はAu及びGe(ゲルマニウム)を含むはんだ、Agペースト、超音波はんだ等を好ましく用いることができる。
【0033】
次に、本実施形態の半導体装置の作用効果を記載する。
【0034】
図5は、本実施形態の第1比較形態となる半導体装置1000の模式上面図である。 開口部13の個数及び第2接合材20の個数は1つである。そして、図5において図示しない電極パッド17の個数も一つである。また、XY面内における開口部13の面積、第2接合材20の面積及び電極パッド17の面積は、それぞれ、半導体装置100におけるものよりも大きい。
【0035】
半導体チップ10自体は、例えば、Z方向を上にした場合において、半導体チップの内部応力により、反る傾向にある。一方、特に電極パット17にNiが含まれる場合、Niの引張応力により、半導体チップの内部応力を打ち消しあうようにして、半導体チップやウェーハ状態の反りを抑制することができた。このようにして、半導体チップ及びウェーハの搬送不具合を防止していた。なお、例えば、電極パッド17にCuが含まれる場合にも、同様に、半導体チップ及びウェーハの搬送不具合を防止することが可能であった。
【0036】
また、半導体装置のオン抵抗をできるだけ低くするために、半導体装置1000においては、半導体装置100に用いられていたコネクタ50よりも体積の大きなコネクタ500を用いている。なおコネクタ500は、第2接合材20に接続された端部510aと、第3接合材59に接続された端部510bと、を有する。
【0037】
図6は、本実施形態の第1比較形態となる半導体装置1000の、A-A’断面における模式図である。リードフレーム2、半導体チップ10及びコネクタ500に図示した矢印は、半導体装置1000が温度サイクル試験などの信頼性評価により昇温された場合の熱膨張を模式的に示したものである。
【0038】
一般に、半導体チップ10に用いられているSi等の半導体材料の熱膨張率と比較して、リードフレーム2やコネクタ500に使用されているCu等の熱膨張率は大きい。そのため、半導体装置1000の昇温により、半導体チップ10には、XY面内に強く伸ばされる。そのため、温度サイクル試験などの信頼性評価により、半導体チップ10に割れ(クラック)が生じてしまい高信頼性を実現できないことがあった。
【0039】
図7は、本実施形態の第2比較形態となる半導体装置1100の模式上面図である。開口部13の個数及び第2接合材20の個数は1つである。そして、図5において図示しない電極パッド17の個数も一つである。また、XY面内における開口部13の面積、第2接合材20の面積及び電極パッド17の面積は、それぞれ、半導体装置1100のものよりも小さい。
【0040】
高信頼性を実現するため、コネクタ50の体積を、図5及び図6に示した半導体装置1100のコネクタ500の体積より小さくする。これにより、半導体チップ10の昇温時において、XY面内に半導体チップ10が強く伸ばされることは、抑制される。しかし、かかる場合には、小さな体積を有するコネクタ50を用いたことに伴い、電極パッド17の面積がより小さくなっている。そのため、上記の電極パッド17の引張応力が小さくなり、半導体チップやウェーハ状態の反りを抑制することができないことがあった。そのため、半導体チップ及びウェーハを搬送できない問題が生じることがあった。
【0041】
そこで、本実施形態の半導体装置100は、複数の電極パッド17のうちの少なくともいずれか一つと電気的に接続された第1コネクタ50を備える。
【0042】
図8は、本実施形態の半導体装置100の作用効果を示す模式図である。リードフレーム2、半導体チップ10及びコネクタ50に図示した矢印は、半導体装置100の昇温による熱膨張を模式的に示したものである。
【0043】
第1コネクタ50の体積が小さくなることにより、第1コネクタ50の熱膨張の量を小さくすることができる。そのために、半導体チップ10に割れ(クラック)が生じにくくなる。さらに、第1コネクタ50又はワイヤに接続されない第2接合材20bが設けられていることにより、半導体チップやウェーハ状態での内部応力による反りを、第2接合材20bの下に設けられた電極パッド17bの引張応力により打ち消しあうことができる。そのため、半導体チップやウェーハ状態の反りを抑制することができる。これにより、半導体チップ及びウェーハの搬送不具合を防止することが可能になる。よって、信頼性の向上した半導体装置100の提供が可能となる。
【0044】
なお、第1コネクタ50に電気的に接続されない第2接合材20bは、封止樹脂82で覆われている。または、第1コネクタ50に電気的に接続されない第2接合材20bは、コネクタ又はワイヤに接続されていない。
【0045】
本実施形態の半導体装置100によれば、信頼性の向上した半導体装置100の提供が可能となる。
【0046】
(第2実施形態)
本実施形態の半導体装置は、半導体チップは、第1電極の上に設けられた、第1導電型の第1半導体層と、第1半導体層の上に設けられた、第2導電型の第1半導体領域と、第1半導体領域の上に設けられた、第1導電型の第2半導体領域と、第2半導体領域の上に設けられ、第2半導体領域に電気的に接続された第2電極と、第1半導体領域の上から第1半導体層に到達する第1トレンチ内に、第1半導体層と第1絶縁膜を介して設けられた第3電極と、をさらに有し、第1トレンチは、上面に平行な第1方向に延伸し、第1トレンチの上に設けられた、第2接合材を介して第1コネクタに電気的に接続されない電極パッドは、上面に平行で第1方向に交差する第2方向に延伸する点で、第1実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1実施形態の半導体装置と重複する内容の記載は省略する。
【0047】
図9は、本実施形態の半導体装置110の模式上面図である。
【0048】
なお、図9において、第2接合材20の図示を省略し、第2接合材20の下に設けられた電極パッド17を図示するものとする。また、図10以降の図面についても同様とする。
【0049】
第1コネクタ50の第1端部51aは、第2接合材20を介して、電極パッド17a及び電極パッド17aと接続されている。なお、第1端部51aは、一つの電極パッドと接続されていてもかまわない。
【0050】
また、半導体装置110には、複数の電極パッド17bが設けられている。そして、それぞれの電極パッド17bは、X方向に延伸している。
【0051】
図10は、本実施形態の半導体装置110の要部の模式断面図である。半導体装置110の半導体チップ10内には、トレンチ型のMOSFETが設けられている。なお、半導体チップ10内には、例えば、トレンチ型のIGBTが設けられていてもかまわない。
【0052】
ドレイン電極11は、MOSFETのドレイン電極として機能する。
【0053】
ドレイン層109は、ドレイン電極11の上に設けられている。ドレイン層109は、例えば、n型の半導体材料を含む。
【0054】
ドリフト層(第1半導体層の一例)112は、ドレイン層109の上に設けられている。ドリフト層112は、MOSFETのドリフト層として機能する層である。ドリフト層112は、例えば、n型の半導体材料を含む。
【0055】
ベース領域(第1半導体領域の一例)114は、ドリフト層112の上に設けられている。ベース領域114は、MOSFETのベースとして機能する。ベース領域114は、後述するゲート電極128に電圧が印加された場合にチャネルを形成し、ドレイン層109と後述するソース領域116の間にキャリアが流れることを可能とする領域である。ベース領域114は、例えば、p型の半導体材料を含む。
【0056】
ソース領域(第2半導体領域の一例)116は、ベース領域114の上に設けられている。ソース領域116は、MOSFETのソースとして機能する領域である。後述するゲート電極128に適切な電圧が印加された場合に、ソース領域116とドレイン層109の間にキャリアが流れる。ソース領域116は、例えば、n型の半導体材料を含む。
【0057】
コンタクト領域118は、ベース領域114の上に設けられ、ベース領域114及びソース領域116と電気的に接続されている。コンタクト領域118は、ベース領域114及びソース領域116と、ソース電極16の電気的接触を向上させるために設けられている。コンタクト領域118は、例えば、p型の半導体材料を含む。
【0058】
トレンチ119は、ベース領域114及びソース領域116の上からドリフト層112に到達するように設けられている。トレンチ119は、紙面奥方向(Y方向、第1方向の一例)に延伸している。言い換えると、トレンチ119は、電極パッド17bが延伸する方向(X方向、第2方向の一例)と垂直に交差するY方向に延伸している。
【0059】
第1絶縁膜122は、トレンチ119内に設けられている。例えば、第1絶縁膜122は、後述するフィールドプレート電極124を覆うように設けられている。第1絶縁膜122は、フィールドプレート絶縁膜である。また、例えば、第1絶縁膜122は、フィールドプレート電極124とゲート電極128の間に設けられている。しかし、第1絶縁膜122の形態は、これに限定されるものではない。第1絶縁膜122はSiO(酸化シリコン)を含むが、これに限定されるものではない。
【0060】
第5絶縁膜121は、トレンチ119内において、第1絶縁膜122の上の、ベース領域114とゲート電極128の間及び後述する層間絶縁膜195とソース領域116の間に設けられている。第5絶縁膜121は、ゲート絶縁膜である。第5絶縁膜121はSiO(酸化シリコン)を含むが、これに限定されるものではない。
【0061】
フィールドプレート電極(第3電極の一例)124は、トレンチ119内において、ドリフト層112に第1絶縁膜122を介して、ドリフト層112と対向して設けられている。例えば、フィールドプレート電極124は、ドリフト層112と並んで設けられている。フィールドプレート電極124は、トレンチ119と同様に、Y方向に延伸している。フィールドプレート電極124は、例えば、ベース領域114からドリフト層112へ空乏層が伸びることを助長し、耐圧を増加させるために設けられている。
【0062】
ゲート電極128は、フィールドプレート電極124の上に設けられている。ゲート電極128は、複数のベース領域114の間で、第5絶縁膜121を介して設けられている。ゲート電極128は、Y方向に延伸している。ゲート電極128は、MOSFETのゲートとして機能する電極である。
【0063】
層間絶縁膜195は、ソース領域116、ゲート電極128及び第5絶縁膜121の上に設けられている。層間絶縁膜195は例えばSiOを含むが、これに限定されるものではない。
【0064】
ソース電極16は、ソース領域116及びコンタクト領域118の上に設けられ、ソース領域116及びコンタクト領域118と電気的に接続されている。また、ソース電極16の上には、図10において図示しない電極パッド17が適宜設けられている。
【0065】
図11は、本実施形態の半導体装置110の要部の模式断面図である。図11は、フィールドプレート電極124とソース電極16の接続方法の一例及びゲート電極128とゲートメタル198の接続方法の一例を示すための模式断面図である。例えば、図10の模式断面図は、図10のD-D’断面における模式断面図に相当している。
【0066】
フィールドプレート電極124は、Z方向に延伸した部分を有する。そして、かかるZ方向に延伸した部分を用いて、フィールドプレート電極124は、ソース電極16と、層間絶縁膜195に設けられたコンタクトホールを介して、電気的に接続されている。
【0067】
ゲート電極128は、ゲートメタル198と、層間絶縁膜195に設けられたコンタクトホールを介して、電気的に接続されている。例えば、ゲートメタル198は、第4接合材80(図1)の下に設けられ、第4接合材80と電気的に接続されている。
【0068】
なお、ゲート電極128の、Y方向に延伸している部分は、例えば、電極パッド17a及び電極パッド17a図9)の間の下に設けられていても良い。かかる場合、ゲート電極128の、Y方向に延伸している部分は、ゲート電極128に接続された接続配線の一例である。
【0069】
次に、本実施形態の半導体装置の作用効果を記載する。
【0070】
トレンチ119を有する半導体チップ10の場合には、トレンチ119が延伸する方向に垂直な面内において、内部応力が高くなり、反る傾向が高い。例えば、半導体装置110のように、トレンチ119がY方向に延伸している場合には、YZ面内よりも、XZ面内において、内部応力が高くなり、反る傾向が高い。
【0071】
そこで、半導体装置110においては、電極パッド17を、X方向に延伸するように設ける。これにより、XZ面内における半導体チップ10の反りを、より良く抑制することができる。
【0072】
本実施形態の半導体装置110によっても、信頼性の向上した半導体装置110の提供が可能となる。
【0073】
(第3実施形態)
本実施形態の半導体装置は、半導体チップは、第1半導体領域の上から第1半導体層に到達する第2トレンチ内に、第1半導体層と第2絶縁膜を介して設けられた第4電極をさらに有し、第2トレンチは、上面に平行で第1方向に交差する第3方向に延伸し、第2トレンチの上に設けられた、第2接合材を介して第1コネクタに電気的に接続されない電極パッドは、上面に平行で第3方向に交差する第4方向に延伸するである点で、第1実施形態及び第2実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1実施形態及び第2実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0074】
図12は、本実施形態の半導体装置120の模式上面図である。
【0075】
ソース電極16の上の第1領域16aにおいては、電極パッド17bは、X方向(第2方向の一例)に延伸している。電極パッド17bの下のトレンチ119(第1トレンチの一例)、第1絶縁膜122(第2絶縁膜の一例)、及びフィールドプレート電極124は、Y方向(第1方向の一例)に延伸している。
【0076】
ソース電極16の上の第2領域16bにおいては、電極パッド17cは、Y方向(第4方向の一例)に延伸している。電極パッド17cの下のトレンチ119(第2トレンチの一例)、第1絶縁膜122(第2絶縁膜の一例)、及びフィールドプレート電極124(第4電極の一例)は、X方向(第3方向の一例)に延伸している。
【0077】
半導体装置120のように、トレンチ119の延伸する方向が領域に依存して異なっている場合においても、半導体チップ10の反りを、より良く抑制することができる。
【0078】
本実施形態の半導体装置120によっても、信頼性の向上した半導体装置120の提供が可能となる。
【0079】
(第4実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1コネクタに接続されない複数の電極パッドが設けられている点で、第1実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1実施形態乃至第3実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0080】
図13は、本実施形態の半導体装置130の模式上面図である。電極パッド17aは、第1コネクタ50の第1端部51aに電気的に接続されている。一方、電極パッド17b、電極パッド17c、電極パッド17d、電極パッド17e及び電極パッド17fは、第1コネクタ50に電気的に接続されていない。
【0081】
本実施形態の半導体装置130によっても、信頼性の向上した半導体装置130の提供が可能となる。
【0082】
(第5実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1コネクタに接続されない複数の電極パッドに接続された第2コネクタを備える点で、第4実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1乃至第4実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0083】
図14は、本実施形態の半導体装置140の模式上面図である。電極パッド17b、電極パッド17c、電極パッド17d、電極パッド17e及び電極パッド17fに、第2コネクタ53が接続されている。
【0084】
例えばリフローにより第1コネクタ50を電極パッド17aに接続する場合には、溶融した接合材が硬化する際に、第1コネクタ50の位置が所定の位置からずれて硬化することがある。第2コネクタ53を設けることにより、かかるずれが抑制される。
【0085】
本実施形態の半導体装置140によっても、信頼性の向上した半導体装置140の提供が可能となる。
【0086】
(第6実施形態)
図15は、本実施形態の半導体装置150の模式上面図である。第1乃至第5実施形態と重複する内容の記載は省略する。電極パッド17a及び電極パッド17bに第1コネクタ50が接続されている。電極パッド17c及び電極パッド17dにコネクタ及びワイヤが接続されていない。
【0087】
本実施形態の半導体装置150によっても、信頼性の向上した半導体装置150の提供が可能となる。
【0088】
(第7実施形態)
図16は、本実施形態の半導体装置160の模式上面図である。第1実施形態乃至第6実施形態と重複する内容の記載は省略する。図15に示した半導体装置150との違いは、電極パッド17c及び電極パッド17dに第2コネクタ53が接続されている点である。
【0089】
本実施形態の半導体装置160によっても、信頼性の向上した半導体装置160の提供が可能となる。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
2 :リードフレーム
10 :半導体チップ
10a :下面
10b :上面
11 :ドレイン電極(第1電極)
16 :ソース電極(第2電極)
17 :電極パッド
20 :第2接合材
50 :第1コネクタ
53 :第2コネクタ
62 :ワイヤ
70 :第1接合材
82 :封止樹脂
100 :半導体装置
105 :半導体装置
110 :半導体装置
112 :第1半導体層(ドリフト層)
114 :第1半導体領域(ベース領域)
116 :第2半導体領域(ソース領域)
119 :トレンチ
120 :半導体装置
122 :第1絶縁膜、第2絶縁膜
124 :フィールドプレート電極(第3電極、第4電極)
130 :半導体装置
140 :半導体装置
150 :半導体装置
160 :半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16