(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138885
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】乗物用通知システム
(51)【国際特許分類】
B60N 3/00 20060101AFI20230926BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20230926BHJP
A47C 7/72 20060101ALI20230926BHJP
B60N 2/879 20180101ALI20230926BHJP
B60N 2/64 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B60N3/00 Z
B60N2/90
A47C7/72
B60N2/879
B60N2/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044789
(22)【出願日】2022-03-21
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 仁一
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 拓也
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3B088
【Fターム(参考)】
3B084JA01
3B084JA02
3B084JD06
3B087DE09
3B087DE10
3B088CA15
(57)【要約】
【課題】乗物において、情報を必要とする乗員に対して情報を伝達し、情報を必要としない乗員に対して情報を伝達しないようにする。
【解決手段】乗物用通知システムは、乗物に設けられ、情報を音声で出力する音声出力装置12と、音声出力装置の音声の出力側に設けられ、音声出力装置の音声の出力方向を変更する方向変更装置15と、音声出力装置が特定の座席の乗員に向けた情報を音声で出力する際に、音声出力装置の音声の出力方向が特定の座席の方向となるように方向変更装置を制御する制御装置18と、を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用通知システムであって、
乗物に設けられ、情報を音声で出力する音声出力装置と、
前記音声出力装置の音声の出力側に設けられ、前記音声出力装置の音声の出力方向を変更する方向変更装置と、
前記音声出力装置が特定の座席の乗員に向けた情報を音声で出力する際に、前記音声出力装置の音声の出力方向が前記特定の座席の方向となるように前記方向変更装置を制御する制御装置と、
を備えた乗物用通知システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記音声出力装置が運転に関する情報を音声で出力する際に、前記音声出力装置の音声の出力方向が運転席の方向となるように前記方向変更装置を制御する請求項1に記載の乗物用通知システム。
【請求項3】
音声の種類を示す情報と座席の識別情報とを対応付けて記憶した記憶装置、
を備え、
前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された情報に基づいて前記音声出力装置が出力する情報の種類を判定し、前記記憶装置において当該種類を示す情報に対応付けられた識別情報を判定し、前記音声出力装置の音声の出力方向が当該識別情報に対応した座席の方向となるように前記方向変更装置を制御する請求項1または請求項2に記載の乗物用通知システム。
【請求項4】
前記音声出力装置は、前記乗物のドアに設けられた請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の乗物用通知システム。
【請求項5】
前記音声出力装置は、前記乗物のシートに設けられた請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の乗物用通知システム。
【請求項6】
前記音声出力装置は、前記シートのシートバックに設けられた請求項5に記載の乗物用通知システム。
【請求項7】
前記音声出力装置は、前記シートのヘッドレストに設けられた請求項5に記載の乗物用通知システム。
【請求項8】
前記音声出力装置と電気的に接続された音声出力用ハーネスと、
前記方向変更装置と電気的に接続され、前記音声出力用ハーネスと束ねられた方向変更用ハーネスと、
を備えた請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の乗物用通知システム。
【請求項9】
乗物用通知システムであって、
乗物に設けられたシートと、
前記シートを囲んだパーティションと、
前記パーティションに支持された支持装置と、
前記支持装置に支持され、複数の音声出力装置と、
前記支持装置に支持され、前記複数の音声出力装置の音声の出力側にそれぞれ設けられ、前記複数の音声出力装置の音声の出力方向をそれぞれ変更する複数の方向変更装置と、
前記複数の音声出力装置が前記シートに存在する乗員に向けた情報を音声で出力する際に、前記複数の音声出力装置の音声の出力方向が前記シートに存在する乗員の頭部の方向となるように前記複数の方向変更装置を制御する制御装置と、
を備えた乗物用通知システム。
【請求項10】
乗物用通知システムであって、
乗物のフロアに設けられ、前記フロアからの振動音の伝達方向が前記乗物の座席の方向とならないように前記フロアからの振動音の伝達方向を変更する方向変更装置、
を備えた乗物用通知システム。
【請求項11】
乗物用通知システムであって、
乗物のシートにおけるシートバックの着座面に設けられ、超音波を出力する超音波出力装置と、
前記超音波出力装置の超音波の出力側に設けられ、前記超音波出力装置の超音波の出力を変更する方向変更装置と、
前記超音波出力装置の超音波の出力方向が前記シートに存在する乗員の体の一部の方向となるように前記方向変更装置を制御する制御装置と、
を備えた乗物用通知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用通知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、音声出力装置付きシートを開示する。当該シートによれば、音声出力装置の取付構造を簡素化し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシートにおいて、音声出力装置は、車室の内部に音声を拡散させる。このため、当該音声を必要としない乗員にも、当該音声は伝達される。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、乗物において、情報を必要とする乗員に対して情報を伝達し、情報を必要としない乗員に対して情報を伝達しないことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、乗物用通知システムであって、乗物に設けられ、情報を音声で出力する音声出力装置(12)と、前記音声出力装置の音声の出力側に設けられ、前記音声出力装置の音声の出力方向を変更する方向変更装置(15)と、前記音声出力装置が特定の座席の乗員に向けた情報を音声で出力する際に、前記音声出力装置の音声の出力方向が前記特定の座席の方向となるように前記方向変更装置を制御する制御装置(18)と、を備えた。
【0007】
この態様によれば、情報を必要とする乗員に対して情報を伝達し、情報を必要としない乗員に対して情報を伝達しないようにすることができる。
【0008】
上記の態様において、前記制御装置は、前記音声出力装置が運転に関する情報を音声で出力する際に、前記音声出力装置の音声の出力方向が運転席の方向となるように前記方向変更装置を制御してもよい。
【0009】
この態様によれば、運転席に存在する乗員に対して運転に関する情報を確実に伝達することができる。
【0010】
上記の態様において、音声の種類を示す情報と座席の識別情報とを対応付けて記憶した記憶装置(24)、を備え、前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された情報に基づいて前記音声出力装置が出力する情報の種類を判定し、前記記憶装置において当該種類を示す情報に対応付けられた識別情報を判定し、前記音声出力装置の音声の出力方向が当該識別情報に対応した座席の方向となるように前記方向変更装置を制御してもよい。
【0011】
この態様によれば、情報を必要とする乗員に対して情報を確実に伝達し、情報を必要としない乗員に対して情報を確実に伝達しないようにすることができる。
【0012】
上記の態様において、前記音声出力装置は、前記乗物のドア(5)に設けられてもよい。
【0013】
この態様によれば、ドアの付近の乗員に対して必要な情報を確実に伝達することができる。
【0014】
上記の態様において、前記音声出力装置は、前記乗物のシート(2)に設けられてもよい。
【0015】
この態様によれば、シートに存在する乗員に対して情報を確実に伝達することができる。
【0016】
上記の態様において、前記音声出力装置は、前記シートのシートバック(2B)に設けられてもよい。
【0017】
この態様によれば、シートに存在する乗員に対して情報をより確実に伝達することができる。
【0018】
上記の態様において、前記音声出力装置は、前記シートのヘッドレスト(2C)に設けられてもよい。
【0019】
この態様によれば、シートに存在する乗員に対して情報をより確実に伝達することができる。
【0020】
上記の態様において、前記音声出力装置と電気的に接続された音声出力用ハーネス(21)と、前記方向変更装置と電気的に接続され、前記音声出力用ハーネスと束ねられた方向変更用ハーネス(22)と、を備えてもよい。
【0021】
この態様によれば、音声出力装置と方向変更装置とを制御装置と電気的に接続する際の作業を容易に行うことができる。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明は、乗物用通知システムであって、乗物に設けられたシート(25)と、前記シートを囲んだパーティション(26)と、前記パーティションに支持された支持装置(27)と、前記支持装置に支持され、複数の音声出力装置(28A、28B)と、前記支持装置に支持され、前記複数の音声出力装置の音声の出力側にそれぞれ設けられ、前記複数の音声出力装置の音声の出力方向をそれぞれ変更する複数の方向変更装置(29A、29B)と、前記複数の音声出力装置が前記シートに存在する乗員に向けた情報を音声で出力する際に、前記複数の音声出力装置の音声の出力方向が前記シートに存在する乗員の頭部の方向となるように前記複数の方向変更装置を制御する制御装置(18)と、を備えた。
【0023】
この態様によれば、複数の音声出力装置と複数の方向変更装置とを安定して取り付けつつ、複数の音声出力装置と複数の方向変更装置との取付構造に関し、部品点数のおよび小型化を実現することができる。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明は、乗物用通知システムであって、乗物のフロア(1)に設けられ、前記フロアからの振動音の伝達方向が前記乗物の座席の方向とならないように前記フロアからの振動音の伝達方向を変更する方向変更装置(15)、を備えた。
【0025】
この態様によれば、乗員の不快感を抑制することができる。
【0026】
上記課題を解決するために、本発明は、乗物用通知システムであって、乗物のシート(4)におけるシートバック(4B)の着座面に設けられ、超音波を出力する超音波出力装置(33A)と、前記超音波出力装置の超音波の出力側に設けられ、前記超音波出力装置の超音波の出力を変更する方向変更装置(34A)と、前記超音波出力装置の超音波の出力方向が前記シートに存在する乗員の体の一部の方向となるように前記方向変更装置を制御する制御装置(18)と、を備えた。
【0027】
この態様によれば、乗員の体の一部に狙いを定めて超音波を当てることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、乗物用通知システムであって、乗物に設けられ、情報を音声で出力する音声出力装置(12)と、前記音声出力装置の音声の出力側に設けられ、前記音声出力装置の音声の出力方向を変更する方向変更装置(15)と、前記音声出力装置が特定の座席の乗員に向けた情報を音声で出力する際に、前記音声出力装置の音声の出力方向が前記特定の座席の方向となるように前記方向変更装置を制御する制御装置(18)と、を備えた。
【0029】
この態様によれば、情報を必要とする乗員に対して情報を伝達し、情報を必要としない乗員に対して情報を伝達しないようにすることができる。
【0030】
上記の態様において、前記制御装置は、前記音声出力装置が運転に関する情報を音声で出力する際に、前記音声出力装置の音声の出力方向が運転席の方向となるように前記方向変更装置を制御してもよい。
【0031】
この態様によれば、運転席に存在する乗員に対して運転に関する情報を確実に伝達することができる。
【0032】
上記の態様において、音声の種類を示す情報と座席の識別情報とを対応付けて記憶した記憶装置(24)、を備え、前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された情報に基づいて前記音声出力装置が出力する情報の種類を判定し、前記記憶装置において当該種類を示す情報に対応付けられた識別情報を判定し、前記音声出力装置の音声の出力方向が当該識別情報に対応した座席の方向となるように前記方向変更装置を制御してもよい。
【0033】
この態様によれば、情報を必要とする乗員に対して情報を確実に伝達し、情報を必要としない乗員に対して情報を確実に伝達しないようにすることができる。
【0034】
上記の態様において、前記音声出力装置は、前記乗物のドア(5)に設けられてもよい。
【0035】
この態様によれば、ドアの付近の乗員に対して必要な情報を確実に伝達することができる。
【0036】
上記の態様において、前記音声出力装置は、前記乗物のシート(4)に設けられてもよい。
【0037】
この態様によれば、シートに存在する乗員に対して情報を確実に伝達することができる。
【0038】
上記の態様において、前記音声出力装置は、前記シートのシートバック(4B)に設けられてもよい。
【0039】
この態様によれば、シートに存在する乗員に対して情報をより確実に伝達することができる。
【0040】
上記の態様において、前記音声出力装置は、前記シートのヘッドレスト(4C)に設けられてもよい。
【0041】
この態様によれば、シートに存在する乗員に対して情報をより確実に伝達することができる。
【0042】
上記の態様において、前記音声出力装置と電気的に接続された音声出力用ハーネス(21)と、前記方向変更装置と電気的に接続され、前記音声出力用ハーネスと束ねられた方向変更用ハーネス(22)と、を備えてもよい。
【0043】
この態様によれば、音声出力装置と方向変更装置とを制御装置と電気的に接続する際の作業を容易に行うことができる。
【0044】
上記課題を解決するために、本発明は、乗物用通知システムであって、乗物に設けられたシート(25)と、前記シートを囲んだパーティション(26)と、前記パーティションに支持された支持装置(27)と、前記支持装置に支持され、複数の音声出力装置(28A、28B)と、前記支持装置に支持され、前記複数の音声出力装置の音声の出力側にそれぞれ設けられ、前記複数の音声出力装置の音声の出力方向をそれぞれ変更する複数の方向変更装置(29A、29B)と、前記複数の音声出力装置が前記シートに存在する乗員に向けた情報を音声で出力する際に、前記複数の音声出力装置の音声の出力方向が前記シートに存在する乗員の頭部の方向となるように前記複数の方向変更装置を制御する制御装置(18)と、を備えた。
【0045】
この態様によれば、複数の音声出力装置と複数の方向変更装置とを安定して取り付けつつ、複数の音声出力装置と複数の方向変更装置との取付構造に関し、部品点数のおよび小型化を実現することができる。
【0046】
上記課題を解決するために、本発明は、乗物用通知システムであって、乗物のフロア(1)に設けられ、前記フロアからの振動音の伝達方向が前記乗物の座席の方向とならないように前記フロアからの振動音の伝達方向を変更する方向変更装置(15)、を備えた。
【0047】
この態様によれば、乗員の不快感を抑制することができる。
【0048】
上記課題を解決するために、本発明は、乗物用通知システムであって、乗物のシート(4)におけるシートバック(4B)の着座面に設けられ、超音波を出力する超音波出力装置(33A)と、前記超音波出力装置の超音波の出力側に設けられ、前記超音波出力装置の超音波の出力を変更する方向変更装置(34A)と、前記超音波出力装置の超音波の出力方向が前記シートに存在する乗員の体の一部の方向となるように前記方向変更装置を制御する制御装置(18)と、を備えた。
【0049】
この態様によれば、乗員の体の一部に狙いを定めて超音波を当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、図面を参照して、本発明に係る乗物用通知システムを自動車に適用した実施形態が説明される。
【0052】
(第1実施形態)
図1に示されるように、車両において、フロア1は、車両の床面を形成する。一対のフロントシート2は、一列目の座席として車室の前部において左右に並ぶ。一対のミッドシート3は、2列目の座席として車室の中央部において左右に並ぶ。リアシート4は、3列目の座席として車室の後部において左右方向に延在する。
【0053】
各フロントシート2は、シートクッション2Aとシートバック2Bとヘッドレスト2Cとを備える。シートクッション2Aは、フロア1に設けられる。シートバック2Bは、シートクッション2Aの後部に設けられる。ヘッドレスト2Cは、シートバック2Bの上部に設けられる。
【0054】
各ミッドシート3は、シートクッション3Aとシートバック3Bとヘッドレスト3Cとを備える。シートクッション3Aは、フロア1に設けられる。シートバック3Bは、シートクッション3Aの後部に設けられる。ヘッドレスト3Cは、シートバック3Bの上部に設けられる。
【0055】
リアシート4は、一対のシートクッション4Aと一対のシートバック4Bと一対のヘッドレスト4Cとを備える。一対のシートクッション4Aは、フロア1にそれぞれ設けられる。一対のシートバック4Bは、一対のシートクッション4Aの後部にそれぞれ設けられる。一対のヘッドレスト4Cは、一対のシートバック4Bの上部にそれぞれ設けられる。
【0056】
フロントドア5は、フロントシート2の車外側において開閉自在に設けられる。リアドア6は、ミッドシート3の車外側において開閉自在に設けられる。
【0057】
フロントドアトリム7は、フロントドア5の車内側の側面に設けられる。リアドアトリム8は、リアドア6の車内側の側面に設けられる。リアサイドトリム9は、リアシート45Cの車外側において車室の壁面に設けられる。
【0058】
インストルメントパネル10は、フロントシート2の前方に設けられる。表示装置11は、インストルメントパネル10の左右方向における中央部に設けられる。
【0059】
第1音声出力装置12は、フロントドアトリム7の下部に設けられる。第1音声出力装置12は、車室の内部に向けて情報を音声で出力する機能を備える。第2音声出力装置13は、リアドアトリム8の下部に設けられる。第2音声出力装置13は、車室の内部に向けて情報を音声で出力する機能を備える。第3音声出力装置14は、リアサイドトリム9の下部に設けられる。第3音声出力装置14は、車室の内部に向けて情報を音声で出力する機能を備える。
【0060】
第1方向変更装置15は、第1音声出力装置12の音声の出力側に隣接する。第1方向変更装置15は、第1音声出力装置12の音声の出力方向を変更する機能を備える。第2方向変更装置16は、第2音声出力装置13の音声の出力側に隣接する。第2方向変更装置16は、第2音声出力装置13の音声の出力方向を変更する機能を備える。第3方向変更装置17は、第3音声出力装置14の音声の出力側に隣接する。第3方向変更装置17は、第3音声出力装置14の音声の出力方向を変更する機能を備える。
【0061】
制御装置18は、表示装置11の奥側においてインストルメントパネル10に収納される。制御装置18は、表示装置11と第1音声出力装置12と第2音声出力装置13と第3音声出力装置14と第1方向変更装置15と第2方向変更装置16と第3方向変更装置17とを制御する機能を備える。
【0062】
例えば、制御装置18は、特定の座席の乗員に向けた情報が特定の座席の方向のみに音声で出力されるように、第1音声出力装置12と第2音声出力装置13と第3音声出力装置14と第1方向変更装置15と第2方向変更装置16と第3方向変更装置17とを制御する。
【0063】
例えば、制御装置18は、1列目の座席の乗員に向けた情報が1列目の座席の方向のみに音声で出力されるように、第1音声出力装置12と第1方向変更装置15とを制御する。この際、制御装置18は、第2音声出力装置13と第3音声出力装置14とに当該情報を出力させない。
【0064】
例えば、制御装置18は、2列目の座席の乗員に向けた情報が2列目の座席の方向のみに音声で出力されるように、第2音声出力装置13と第2方向変更装置16とを制御する。この際、制御装置18は、第1音声出力装置12と第3音声出力装置14とに当該情報を出力させない。
【0065】
例えば、制御装置18は、3列目の座席の乗員に向けた情報が3列目の座席の方向のみに音声で出力されるように、第3音声出力装置14と第3方向変更装置17とを制御する。この際、制御装置18は、第1音声出力装置12と第2音声出力装置13とに当該情報を出力させない。
【0066】
特に、制御装置18は、運転に関する情報が運転席の方向のみに音声で出力されるように、第1音声出力装置12と第1方向変更装置15とを制御する。この際、制御装置18は、当該情報が右側のフロントシート2のヘッドレスト2Cの方向となるように、第1方向変更装置15を制御する。
【0067】
図2に示されるように、第1方向変更装置15は、方向変更部15Aと駆動部15Bとを備える。詳細は図示されないが、方向変更部15Aは、複数の音声通過用孔を備える。駆動部15Bは、複数の音声通過用孔の向きをそれぞれ変更することで第1音声出力装置12の音声の出力方向および広がり具合を変更する機能を備える。
【0068】
音声出力用ハーネス21の一端は、第1音声出力装置12と電気的に接続される。方向変更用ハーネス22の一端は、第1方向変更装置15の駆動部15Bと電気的に接続される。音声出力用ハーネス21と方向変更用ハーネス22とは、フロントドアトリム7の裏面側において束ねられる。音声用コネクタ23は、音声出力用ハーネス21の他端と方向変更用ハーネス22の他端とに電気的に接続される。詳細は図示されないが、音声用コネクタ23は、制御用コネクタ、制御用ハーネス等を介して制御装置18と電気的に接続される。
【0069】
なお、第2方向変更装置16および第3方向変更装置17も、第1方向変更装置15と同様の構造である。
【0070】
図3に示されるように、記憶装置24は、制御装置18と電気的に接続される。記憶装置24は、様々な情報を記憶する。例えば、記憶装置24は、音声の種類を示す情報と座席の識別情報とを対応付けて記憶する。
【0071】
制御装置18は、記憶装置24に記憶された情報に基づいて音声で出力する情報の種類を判定する。制御装置18は、記憶装置24において当該種類を示す情報に対応付けられた識別情報を判定する。
【0072】
例えば、当該識別情報が1列目の座席の識別情報である場合、制御装置18は、第1音声出力装置12の音声の出力方向が1列目の座席の方向となるように第1方向変更装置15を制御する。
【0073】
例えば、当該識別情報が2列目の座席の識別情報である場合、制御装置18は、第2音声出力装置13の音声の出力方向が2列目の座席の方向となるように第2方向変更装置16を制御する。
【0074】
例えば、当該識別情報が3列目の座席の識別情報である場合、制御装置18は、第3音声出力装置14の音声の出力方向が3列目の座席の方向となるように第3方向変更装置17を制御する。
【0075】
以上で説明された第1実施形態によれば、第1音声出力装置12等が特定の座席の乗員に向けた情報を音声で出力する際、制御装置18は、第1音声出力装置12等の音声の出力方向が特定の座席の方向となるように第1方向変更装置15等を制御する。このため、情報を必要とする乗員に対して情報を伝達し、情報を必要としない乗員に対して情報を伝達しないようにすることができる。その結果、情報を必要としない乗員の不快感を抑制することができる。
【0076】
特に、第1音声出力装置12が運転に関する情報を音声で出力する際、制御装置18は、第1音声出力装置12の音声の出力方向が運転席の方向となるように第1方向変更装置15を制御する。このため、運転席に存在する乗員に対して運転に関する情報を確実に伝達することができる。例えば、カーナビゲーションシステムの音声案内の情報、他の車両の接近の情報等の出力方向が運転席の方向となるようにすれば、運転席に存在する乗員に対して運転の助けとなる情報を確実に伝達することができる。
【0077】
なお、第1音声出力装置12等が音楽、電話等、運転と関係ない情報を音声で出力する際、制御装置18において、第1音声出力装置12等の音声の出力方向が助手席等の運転席以外の座席の方向となるように第1方向変更装置15等を制御してもよい。この場合、運転席に存在する乗員に対して運転の妨げになり得る情報の伝達を抑制することができる。
【0078】
また、制御装置18は、記憶装置24に記憶された情報に基づいて第1音声出力装置12が出力する情報の種類を判定する。制御装置18は、記憶装置24において当該種類を示す情報に対応付けられた識別情報を判定する。制御装置18は、第1音声出力装置12の音声の出力方向が当該識別情報に対応した座席の方向となるように第1方向変更装置15を制御する。このため、情報を必要とする乗員に対して情報を確実に伝達し、情報を必要としない乗員に対して情報を確実に伝達しないようにすることができる。
【0079】
この際、スマートフォン等の携帯端末のアプリケーションソフトを介して、音声の種類を示す情報と座席の識別情報との対応付けを行ってもよい。この場合、情報を必要とする乗員に対して情報をより確実に伝達し、情報を必要としない乗員に対して情報をより確実に伝達しないようにすることができる。
【0080】
また、第1音声出力装置12は、フロントドア5に設けられる。第2音声出力装置13は、リアドア6に設けられる。このため、フロントドア5およびリアドア6の付近の乗員に対して必要な情報を確実に伝達することができる。
【0081】
また、音声出力用ハーネス21と方向変更用ハーネス22とは束ねられる。このため、第1音声出力装置12と第1方向変更装置15とを制御装置18と電気的に接続する際の作業を容易に行うことができる。
【0082】
なお、第1方向変更装置15等と同等の方向変更装置をフロア1に設けてもよい。この際、車両の走行時においてフロア1からの振動音の伝達方向がどの座席の方向ともならないようにフロア1からの振動音の伝達方向を変更すればよい。この場合、乗員の不快感を抑制することができる。
【0083】
また、第1方向変更装置15等の構造は、第1実施形態の構造に限定されない。例えば、第1方向変更装置15等において、複数のルーバーで音声の出力方向を変更してもよい。
【0084】
また、第1音声出力装置12等と第1方向変更装置15等との故障が検出された場合、故障した第1方向変更装置15等の動作を停止すればよい。この際、故障が検出されていない音声出力装置と方向変更装置とにおいて情報の伝達を継続すればよい。この場合、可用性が高い通知システムを実現することができる。
【0085】
(第2実施形態)
第2実施形態において、第1実施形態と同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0086】
図4に示されるように、シート25は、
図1のフロントシート2と同様に、シートクッション25Aとシートバック25Bとヘッドレスト25Cとを備える。
【0087】
パーティション26は、シート25を囲む。支持装置27は、ヘッドレスト25Cの上方においてパーティション26の上部に支持される。
【0088】
複数の音声出力装置28A、28Bは、支持装置27に支持される。具体的には、音声出力装置28Aは、ヘッドレスト25Cの上方かつ右側において支持装置27に支持される。音声出力装置28Bは、ヘッドレスト25Cの上方かつ左側において支持装置27に支持される。
【0089】
複数の方向変更装置29A、29Bは、支持装置27に支持される。複数の方向変更装置29A、29Bは、複数の音声出力装置28A、28Bの音声の出力側にそれぞれ設けられる。具体的には、方向変更装置29Aは、音声出力装置28Aの音声の出力側に設けられる。方向変更装置29Bは、音声出力装置28Bの音声の出力側に設けられる。複数の方向変更装置29A、29Bは、複数の音声出力装置28A、28Bの音声の出力方向をそれぞれ変更する機能を備える。
【0090】
図示されないが、複数の音声出力装置28A、28Bがシート25に存在する乗員に向けた情報を音声で出力する際、制御装置18は、複数の音声出力装置28A、28Bの音声の出力方向がシート25に存在する乗員の頭部の方向となるように複数の方向変更装置29A、29Bを制御する。具体的には、制御装置18は、複数の音声出力装置28A、28Bの音声の出力方向がヘッドレスト25Cの方向となるように複数の方向変更装置29A、29Bを制御する。
【0091】
以上で説明された第2実施形態によれば、複数の音声出力装置28A、28Bと複数の方向変更装置29A、29Bとは、支持装置27に支持される。このため、複数の音声出力装置28A、28Bと複数の方向変更装置29A、29Bとを安定して取り付けつつ、複数の音声出力装置28A、28Bと複数の方向変更装置29A、29Bとの取付構造に関し、部品点数のおよび小型化を実現することができる。
【0092】
(第3実施形態)
第3実施形態において、第1実施形態と同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0093】
図5に示されるように、複数の音声出力装置30A、30Bは、リアシート4のシートバック4Bに設けられる。具体的には、音声出力装置30Aは、シートバック4Bにおける着座面の上部の右側に設けられる。音声出力装置30Bは、シートバック4Bにおける着座面の上部の左側に設けられる。
【0094】
複数の方向変更装置31A、31Bは、複数の音声出力装置30A、30Bの音声の出力側にそれぞれ設けられる。具体的には、方向変更装置31Aは、音声出力装置30Aの音声の出力側に設けられる。方向変更装置31Bは、音声出力装置30Bの音声の出力側に設けられる。
【0095】
図6に示されるように、方向変更装置31Aは、
図2の第1方向変更装置15と同様の構造である。具体的には、方向変更装置31Aは、方向変更部32Aと駆動部32Bとを備える。図示されないが、方向変更部32Aは、複数の音声通過用孔を備える。駆動部32Bは、複数の音声通過用孔の向きをそれぞれ変更することで音声出力装置30Aの音声の出力方向および広がり具合を変更する機能を備える。
【0096】
なお、方向変更装置31Bも、方向変更装置31Aと同様の構造である。
【0097】
以上で説明した第3実施形態によれば、音声出力装置30A等は、リアシート4に設けられる。具体的には、音声出力装置30A等は、シートバック4Bに設けられる。このため、リアシート4に存在する乗員に対して情報を確実に伝達することができる。
【0098】
なお、音声出力装置30A等をヘッドレスト4Cに設けてもよい。この場合、乗員の頭により近い位置で音声の出力方向を調整することができる。その結果、リアシート4に存在する乗員に対して情報をより確実に伝達することができる。
【0099】
(第4実施形態)
第4実施形態において、第3実施形態と同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0100】
図7に示されるように、複数の超音波出力装置33A、33Bは、シートバック4Bに設けられる。具体的には、超音波出力装置33Aは、シートバック4Bにおける着座面の上部の右側に設けられる。超音波出力装置33Bは、シートバック4Bにおける着座面の上部の左側に設けられる。
【0101】
複数の方向変更装置34A、34Bは、複数の超音波出力装置33A、33Bの超音波の出力側にそれぞれ設けられる。具体的には、方向変更装置34Aは、超音波出力装置33Aの超音波の出力側に設けられる。方向変更装置34Bは、超音波出力装置33Aの超音波の出力側に設けられる。
【0102】
図示されないが、制御装置18は、複数の超音波出力装置33A、33Bの超音波の出力方向がシートバック4Bに存在する乗員の体の一部の方向となるように複数の超音波出力装置33A、33Bを制御する。
【0103】
以上で説明した第4実施形態によれば、複数の超音波出力装置33A、33Bは、シートバック4Bに設けられる。このため、複数の超音波出力装置33A、33Bにより乗員の首、肩等に狙いを定めて超音波を当てることができる。この際、超音波は、乗員の体の一部に局所的に当たる。このため、超音波が拡散することを抑制できる。その結果、乗客の体の一部に当たる超音波が弱まることを抑制できる。
【0104】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、第1音声出力装置12等と第1方向変更装置15等とをシートクッション4A、インストルメントパネル10、リアトレイ、ループに設けてもよい。例えば、第1音声出力装置12等と第1方向変更装置15等を自動車以外の乗物に設けてもよい。例えば、第1音声出力装置12等と第1方向変更装置15等を建物の室内に設けてもよい。例えば、第1音声出力装置12等と第1方向変更装置15等を屋外に設けてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 :フロア
4 :リアシート
4B :シートバック
4C :ヘッドレスト
5 :フロントドア
12 :第1音声出力装置
15 :第1方向変更装置
18 :制御装置
21 :音声出力用ハーネス
22 :方向変更用ハーネス
24 :記憶装置
25 :シート
26 :パーティション
27 :支持装置
28A、28B :音声出力装置
29A、29B :方向変更装置
30A、30B :音声出力装置
31A、31B :方向変更装置
33A、33B :超音波出力装置
34A、34B :方向変更装置