(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138888
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】タグ情報読み取り装置および商品決済システム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20230926BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20230926BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20230926BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20230926BHJP
G06Q 30/00 20230101ALI20230926BHJP
【FI】
G06K7/10 264
G06K19/06 037
G06K19/06 112
G07G1/00 311D
G07G1/01 301C
G06Q30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044792
(22)【出願日】2022-03-21
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】榎本 康平
【テーマコード(参考)】
3E142
5L049
【Fターム(参考)】
3E142CA17
3E142CA20
3E142DA08
3E142GA03
3E142GA04
3E142GA17
3E142GA35
3E142JA01
5L049BB21
(57)【要約】
【課題】読み取り作業の手間を軽減できるタグ情報読み取り装置を提供する。
【解決手段】1つまたは複数のRFIDタグ120と通信してRFIDタグ120に記憶された情報を読み取る読み取り部111と、二次元コード115を表示可能な表示部112と、読み取り部111にRFIDタグ120との通信を試みさせ、かつ、読み取り部111が読み取った情報を二次元コード115にして表示部に表示させる制御部114とを備え、制御部114は、読み取り部111に連続的にRFIDタグ120との通信を試みさせ、読み取り部111からの読み取り結果に基づいて、表示部112に表示させる二次元コード115を逐次更新する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のRFIDタグと通信して前記RFIDタグに記憶された情報を読み取る読み取り部(111)と、
二次元コードを表示可能な表示部(112)と、
前記読み取り部に前記RFIDタグとの通信を試みさせ、かつ、前記読み取り部が読み取った情報を前記二次元コードにして前記表示部に表示させる制御部(114)とを備え、
前記制御部は、前記読み取り部に連続的に前記RFIDタグとの通信を試みさせ、前記読み取り部からの読み取り結果に基づいて、前記表示部に表示させる前記二次元コードを逐次更新する、タグ情報読み取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載のタグ情報読み取り装置であって、
前記制御部は、前記読み取り部が読み取った複数の前記RFIDタグの情報を前記二次元コードにする場合、複数の前記RFIDタグの情報を含む1つの前記二次元コードを作成する、タグ情報読み取り装置。
【請求項3】
請求項2に記載のタグ情報読み取り装置であって、
前記制御部は、前記二次元コードに格納している情報に対応する前記RFIDタグの数を、前記二次元コードとともに前記表示部に表示する、タグ情報読み取り装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のタグ情報読み取り装置であって、
前記制御部は、前記読み取り部が読み取った情報に基づいて定まる商品表示情報を、前記二次元コードとともに前記表示部に表示する、タグ情報読み取り装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のタグ情報読み取り装置であって、
記憶部(113)を備え、
前記制御部は、前記読み取り部が情報を読み取ったことがある前記RFIDタグのリストである読み取りタグリスト、および、前記RFIDタグと前記読み取り部との通信状態を示す通信状態情報を前記記憶部に記憶し、前記通信状態情報に基づいて、前記RFIDタグが事前に設定された表示エリア内に存在していると判断できる場合に、そのRFIDタグの情報を含ませた前記二次元コードを前記表示部に表示させる、タグ情報読み取り装置。
【請求項6】
請求項5に記載のタグ情報読み取り装置であって、
前記制御部は、前記RFIDタグが事前に設定された表示エリアの外から前記表示エリア内に入った状態であると判断でき、かつ、そのRFIDタグが前記表示エリアの外に移動したと判断しない場合に、そのRFIDタグは前記表示エリア内に存在していると判断する、タグ情報読み取り装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載のタグ情報読み取り装置であって、
前記制御部は、前記RFIDタグが前記表示エリア内に存在していると判断した後は、そのRFIDタグとの通信ができなくなっても、事前に設定された一定時間は、そのRFIDタグは前記表示エリア内に存在していると判断する、タグ情報読み取り装置。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか1項に記載のタグ情報読み取り装置であって、
前記制御部は、前記RFIDタグが前記表示エリア内に存在していると判断した後、前記通信状態情報の履歴に基づいて、前記RFIDタグが前記表示エリアの外へ移動したと判断できる場合に、そのRFIDタグは前記表示エリアの外へ移動したと判断する、タグ情報読み取り装置。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか1項に記載のタグ情報読み取り装置であって、
他の前記タグ情報読み取り装置と通信する通信部(215)を備え、
前記制御部は、他の前記タグ情報読み取り装置から前記通信状態情報を取得し、取得した前記通信状態情報と、自装置の前記読み取り部と前記RFIDタグとの通信状態を示す前記通信状態情報とを比較して、前記RFIDタグが自装置の前記読み取り部の前記表示エリア内に存在しているか否かを判断する、タグ情報読み取り装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の前記タグ情報読み取り装置と、携帯端末(130)とを備えた商品決済システムであって、
前記携帯端末は、
前記タグ情報読み取り装置の前記表示部に表示されている前記二次元コードを撮影するカメラ(131)と、
前記カメラが撮影した前記二次元コードを読み取り、前記二次元コードに格納された情報に基づいて定まる1つ以上の商品表示情報を表示する携帯表示部(132)と、
前記携帯表示部に表示されている前記商品表示情報から、決済する商品をユーザが選択するために操作する操作部(134)と、
前記操作部の操作により選択された後の前記商品表示情報に基づいて決済処理をする決済処理部(138)とを備える、商品決済システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
RFIDタグの情報を読み取るタグ情報読み取り装置、および、その装置を備えた商品決済システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ICカードから情報を読み取り、読み取った情報を二次元コードにして表示する技術が開示されている。特許文献1に開示された読み取り装置は、ICカードに記憶された情報を読み取る際には、ICカードを読み取り装置が備える通信部に近接させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術を商品情報の読み取りに使用することを考える。そのために、ICカードに代えてRFIDタグを用いる。なお、ICカードとRFIDタグは形態が異なるのみであり、機能は同じである。
【0005】
特許文献1に開示された読み取り装置は、ICカードに記憶された情報を読み取る際には、ICカードを、読み取り装置が備える通信部に近接させる必要がある。したがって、ICカードをRFIDタグに代えた場合も、1つ1つ、RFIDタグを通信部に近接させる必要がある。
【0006】
加えて、特許文献1に開示された読み取り装置は、ICカードから読みとった情報を二次元コードとして表示した後は、読み取った情報を記憶部から消去する。そのため、以下の課題が生じる。すなわち、仮に読み取るべきRFIDタグが複数あるが、そのうちの1つ以上を読み取ることができないままに二次元コードが表示された場合、再度、全部のRFIDタグを読み取らせる必要が生じる。したがって、読み取り作業が手間になる恐れがあった。
【0007】
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、読み取り作業の手間を軽減できるタグ情報読み取り装置および商品決済システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的態様との対応関係を示すものであって、開示した技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
上記目的を達成するためのタグ情報読み取り装置に係る1つの開示は、
1つまたは複数のRFIDタグと通信してRFIDタグに記憶された情報を読み取る読み取り部(111)と、
二次元コードを表示可能な表示部(112)と、
読み取り部にRFIDタグとの通信を試みさせ、かつ、読み取り部が読み取った情報を二次元コードにして表示部に表示させる制御部(114)とを備え、
制御部は、読み取り部に連続的にRFIDタグとの通信を試みさせ、読み取り部からの読み取り結果に基づいて、表示部に表示させる二次元コードを逐次更新する、タグ情報読み取り装置である。
【0010】
読み取り部は複数のRFIDタグと通信してそれら複数のRFIDタグに記憶された情報を読み取ることができる。制御部は、読み取り部に連続的にRFIDタグとの通信を試みさせる。そして、読み取り部からの読み取り結果に基づいて、表示部に表示させる二次元コードを逐次更新する。
【0011】
そのため、あるRFIDタグが読み取りエリア内にあるにも関わらず、一時的に読めなかったとしても、表示部に二次元コードを表示させたい者は、タグ情報読み取り装置を操作する必要がない。よって、読み取り作業の手間を軽減できる。
【0012】
上記目的を達成するための商品決済システムに係る1つの開示は、
上記タグ情報読み取り装置と、携帯端末(130)とを備えた商品決済システムであって、
携帯端末は、
タグ情報読み取り装置の表示部に表示されている二次元コードを撮影するカメラ(131)と、
カメラが撮影した二次元コードを読み取り、二次元コードに格納された情報に基づいて定まる1つ以上の商品表示情報を表示する携帯表示部(132)と、
携帯表示部に表示されている商品表示情報から、決済する商品をユーザが選択するために操作する操作部(134)と、
操作部の操作により選択された後の商品表示情報に基づいて決済処理をする決済処理部(138)とを備える、商品決済システムである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の商品決済システムの使用状態を説明する図。
【
図2】第1実施形態のタグ情報読み取り装置の構成を示す図。
【
図4】タグ情報読み取り装置の制御部が実行する処理を示す図。
【
図7】表示部に表示している表示情報を例示する図。
【
図8】
図7から更新した後の表示情報を例示する図。
【
図9】スマートフォンの制御部が実行する処理を示す図。
【
図12】第2実施形態の商品決済システムの使用状態を説明する図。
【
図13】第2実施形態のタグ情報読み取り装置の構成を示す図。
【
図14】第2実施形態において
図5に代えて実行する処理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の商品決済システム100の使用状態を説明する図である。本実施形態の商品決済システム100は、試着室10の室内にて使用される。商品決済システム100は、タグ情報読み取り装置110と、RFIDタグ120と、スマートフォン130とを含む構成である。
【0015】
タグ情報読み取り装置110は、試着室10に設置される。試着室10が複数ある場合には、試着室10ごとにタグ情報読み取り装置110が設置される。タグ情報読み取り装置110は、RFIDタグ120との通信を連続的に試みる。そして、タグ情報読み取り装置110は、RFIDタグ120から情報を読み取ることができ、そのRFIDタグ120が表示エリア内に存在すると判断した場合、その情報を格納した二次元コード115(
図2参照)などを表示部112に表示する。
【0016】
RFIDタグ120は、商品20に取り付けられる。
図1では、RFIDタグ120は、商品20の札21に貼り付けられている。RFIDタグ120は、通信周波数をUHF帯とするタグを用いることが好ましい。RFIDタグ120はパッシブタブである。RFIDタグ120には、そのRFIDタグ120が取り付けられている個々の商品20を特定する情報である商品IDが記憶されている。
【0017】
携帯端末であるスマートフォン130は、ユーザ30が所有するものである。スマートフォン130には、商品決済をするためのアプリケーションがインストールされている。
【0018】
図2にタグ情報読み取り装置110の構成を示す。タグ情報読み取り装置110は、読み取り部111、表示部112、記憶部113、制御部114を備えている。読み取り部111は、RFIDタグ120と通信してRFIDタグ120に記憶されている情報を読み取る。読み取り部111は、試着室10を含む範囲を読み取り範囲としており、読み取り範囲に存在している複数のRFIDタグ120を同時に読み取ることができる。
【0019】
表示部112は、二次元コード115を表示可能である。表示部112は、試着室10内において、ユーザ30が見やすい位置に設置される。
【0020】
記憶部113には、複数の商品20について、商品IDと商品表示情報116とが対応づけて記憶されている。商品表示情報116は、RFIDタグ120が取り付けられている商品20をユーザ30に認識してもらうための情報である。たとえば、商品表示情報116は、商品名、商品20の写真などである。記憶部113には、後述する読み取りタグリストおよび表示タグリストも記憶される。
【0021】
制御部114は、少なくとも1つのプロセッサを備えた構成により実現できる。たとえば、制御部114は、プロセッサ、不揮発性メモリ、RAM、I/O、およびこれらの構成を接続するバスラインなどを備えたコンピュータにより実現できる。不揮発性メモリには、汎用的なコンピュータを制御部114として作動させるためのプログラムが格納されている。プロセッサが、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、不揮発性メモリに記憶されたプログラムを実行することで、制御部114は、読み取り部111、表示部112、記憶部113を制御しつつ、後述する
図4に示す処理を実行する。
【0022】
スマートフォン130は、表示部112に表示された二次元コード115を撮影する。
図3にスマートフォン130の構成を示す。スマートフォン130は、カメラ131、携帯表示部132、通信部133、操作部134、制御部135を備える。カメラ131は、二次元コード115を撮影するために用いる。携帯表示部132は、カメラ131が撮影した二次元コード115などを表示する。通信部133は、スマートフォン130の外部と無線通信する。通信部133を介してスマートフォン130の外部から種々の情報を取得することができる。操作部134は、たとえば、携帯表示部132に重畳されたタッチパネルである。
【0023】
制御部135は、少なくとも1つのプロセッサを備えた構成により実現できる。たとえば、制御部135は、プロセッサ、不揮発性メモリ、RAM、I/O、およびこれらの構成を接続するバスラインなどを備えたコンピュータにより実現できる。不揮発性メモリには、汎用的なコンピュータを制御部135として作動させるためのプログラムが格納されている。プロセッサが、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、不揮発性メモリに記憶されたプログラムを実行することで、制御部135は、光学情報読み取り部136、表示制御部137、決済処理部138として動作する。
【0024】
光学情報読み取り部136は、カメラ131を制御して、二次元コード115を撮影する。そして、光学情報読み取り部136は、撮影した二次元コード115をデコードして、二次元コード115に格納されている情報を取得する。
【0025】
表示制御部137は、携帯表示部132を制御して、携帯表示部132に種々の情報を表示する。表示制御部137が携帯表示部132に表示させる情報の一例は、決済処理をするための情報である。決済処理部138は、ユーザ30の操作に基づいて、決済処理を行う。
【0026】
〔制御部114が実行する処理〕
図4に、制御部114が実行する処理を示す。制御部114は、タグ情報読み取り装置110の電源がオンになると
図4に示す処理を開始する。S1では、表示部112に初期画面を表示する。初期画面は、たとえば、「読み取り情報なし」が表示されている画面である。
【0027】
S2では、読み取り部111に、連続的な読み取り処理を開始させる。読み取り処理では、読み取り部111は、まず、RFIDタグ120が応答できる電波を周囲に周期的に送信し、RFIDタグ120との通信を試みる。読み取り部111は、RFIDタグ120からの応答電波を受信できた場合には、その応答電波を復調およびデコードして、RFIDタグ120に記憶されている情報を読み取る。情報が読み取れた場合、その情報を制御部114に出力する。読み取り部111は、制御部114から読み取り処理の終了が指示されるまで、読み取り処理を連続的に実行する。
【0028】
S3では、RFIDタグ120から情報を取得できたか否かを判断する。S3の判断結果がNOであればS3の判断を繰り返す。S3の判断結果がYESであればS4へ進む。
【0029】
S4では、表示タグリストを生成する。表示タグリストは、表示部112に表示する二次元コード115に情報を格納するRFIDタグ120のリストである。S4の詳細処理は
図5に示す。
【0030】
図5において、S410では、読み取りタグリストに、S3で取得したと判断した情報に含まれている商品IDがあるか否かを判断する。読み取りタグリストは、読み取り部111が読み取ったことがあるRFIDタグ120のリストであり、逐次更新される。読み取りタグリストは、表示タグリストに含ませるRFIDタグ120の候補リストであると言える。
【0031】
S410の判断結果がNOであればS420に進む。S420では、読み取りタグリストに、S3で取得したと判断した情報に含まれている商品IDを追加する。本実施形態では、読み取りタグリストには、商品IDの他に通信状態情報が記述される。なお、この通信状態情報は、商品IDと対応していれば、読み取りタグリストとは別に記憶部113に記憶されていてもよい。
【0032】
S420では、通信状態情報も読み取りタグリストに追加する。通信状態情報は、読み取り部111がRFIDタグ120を読み取ったときの通信状態を示す情報である。通信状態情報は、たとえば、(1)最大RSSI、(2)RSSIの変動量、(3)位相の変動量、(4)読み取り回数、(5)読み取り頻度である。読み取りタグリストに記述する通信状態情報は、これら(1)~(5)のうち1つ以上とすることができる。また、(1)~(5)に代えて、あるいは(1)~(5)に加えて、他の通信状態情報を採用してもよい。以下では、(1)~(5)の5つを採用するとして説明する。
【0033】
(1)最大RSSIは、1つのRFIDタグ120との繰り返しの通信において得られた最大のRSSI(Received Signal Strength Indicator)である。(2)RSSIの変動量は、1つのRFIDタグ120との繰り返しの通信において得られるRSSIの変動を表す値である。RSSIの変動量は、最大のRSSIと最小のRSSIの差とすることができる。また、時間経過に伴うRSSIの変化をRSSIの変動量としてもよい。(3)位相の変動量は、1つのRFIDタグ120との繰り返しの通信において得られる応答電波の位相の変動を表す値である。位相の変動量は、位相の最大値と位相の最小値の差とすることができる。また、時間経過に伴う位相の変化を位相の変動量としてもよい。(4)読み取り回数は、1つのRFIDタグ120から情報を読み取れた回数である。また、読み取り回数を、現時点までの過去の所定時間内にRFIDタグ120から情報を読み取れた回数としてもよい。(5)読み取り頻度は、所定の読み取り試行回数に対して、1つのRFIDタグ120から情報を読み取れた回数である。S420を実行後はS460に進む。
【0034】
S410の判断結果がYESであればS430へ進む。S430に進む場合、すでに読み取りタグリストに商品IDは存在している。そこで、S430では、S3で取得したと判断した情報が搬送された応答電波のRSSIおよび位相を読み取り部111から取得する。そして、取得したRSSIおよび位相をもとに、読み取りタグリストに記述されている上記(1)~(5)を更新する。
【0035】
S440では、更新後の通信状態情報に基づいて、通信状態情報を更新したRFIDタグ120が表示エリア内に存在しているか否かを判断する。表示エリアは、このエリアにRFIDタグ120が存在している場合に、RFIDタグ120に記憶されている情報を二次元コード115にして表示させるエリアである。本実施形態では、表示エリアは試着室10である。
【0036】
通信状態情報が最大RSSIである場合、最大RSSIが事前に設定された最大RSSI閾値を超えていれば、RFIDタグ120は表示エリア内に存在していると判断する。最大RSSIが大きいと、RFIDタグ120は近くに存在する可能性が高いからである。
【0037】
通信状態情報が最大のRSSIと最小のRSSIの差を示す変動量である場合、変動量が事前に設定した変動量閾値を超え、かつ、符号がRFIDタグ120が接近する側へ変化する符号であれば、RFIDタグ120は表示エリア内に存在していると判断する。
【0038】
通信状態情報が位相の変動量である場合であって、変動量が位相の最大値と位相の最小値の差である場合には次のようにする。位相の変動量が事前に設定した変動量閾値を超えており、かつ、変動量の符号が、RFIDタグ120が接近する側へ変化する場合の符号である場合、RFIDタグ120は表示エリア内に存在していると判断する。
【0039】
通信状態情報が読み取り回数である場合、その読み取り回数が、事前に設定した読み取り回数閾値を超えていれば、RFIDタグ120は表示エリア内に存在していると判断する。通信状態情報が読み取り頻度である場合、その読み取り頻度が、事前に設定した読み取り頻度閾値を超えていれば、RFIDタグ120は表示エリア内に存在していると判断する。
【0040】
複数種類の通信状態情報をもとにS440を判断する場合には、採用する通信状態情報のうち任意の数の通信状態情報からRFIDタグ120が表示エリア内に存在していると判断できる場合に、RFIDタグ120は表示エリア内に存在しているとする。
【0041】
なお、上述の判断は、RFIDタグ120が表示エリア内に入ったか否かを判断しているのみであり、そのRFIDタグ120が、表示エリアの外に移動してしまったか否かは判断していない。RFIDタグ120が、表示エリアの外に移動してしまったか否かは、後述するS46で判断するので、ここでは判断する必要がない。
【0042】
S450では、表示エリア内に存在していると判断したRFIDタグ120を表示タグリストに追加する。その後、S460に進む。S440の判断結果がNOである場合には、S450を実行せずにS460に進む。
【0043】
S460では、読み取りタグリストから、通信が高い可能性で不能になったと判断できるRFIDタグ120を除外する。たとえば、未読が続いた時間、すなわち、RFIDタグ120と通信ができなかった時間が除外時間閾値を超え場合に、そのRFIDタグ120を読み取りタグリストから除外する。よって、そのRFIDタグ120が表示エリア内に存在していると判断している場合を考えると、そのRFIDタグ120との通信ができなくなっても、一定時間は、そのRFIDタグ120は表示エリア内に存在していると判断し続けることになる。
【0044】
また、RSSIの変動量あるいは位相の変動量から、RFIDタグ120が表示エリアの外へ移動したと判断できる場合に、そのRFIDタグ120を読み取りタグリストから除外してもよい。また、未読となった頻度が除外頻度閾値を超えたRFIDタグ120を読み取りタグリストから除外してもよい。RSSIの変動量あるいは位相の変動量、未読なった頻度は、複数回の通信状態情報、すなわち、通信状態情報の履歴に基づいて決定する値である。S460を実行後は
図4のS5に進む。
【0045】
S5では、表示部112に表示している情報を更新する必要があるか否かを判断する。S4の処理において表示タグリストを更新した場合にはS5の判断結果がYESになる。S5の判断結果がYESであればS6に進む。
【0046】
S6では、表示情報を生成する。表示情報は、表示部112に表示する情報である。S6の処理の詳細は
図6に示す。
図6において、S61では、記憶部113から表示タグリストを取得する。S62では、S61で取得した表示タグリストに含まれている全部の商品IDを格納した二次元コード115を生成する。表示タグリストに複数の商品IDが含まれている場合には、複数の商品IDを含む1つの二次元コード115を作成することになる。
【0047】
S63では、表示タグリストに含まれているそれぞれの商品IDに対応する商品表示情報116を記憶部113から取得する。S64では、表示部112に表示する全体の表示情報を生成する。S64を実行後は
図4のS7に進む。
【0048】
S7では、表示部112に表示している表示情報を更新する。
図7には、表示部112に表示している表示情報を例示する。
図7では、表示部112に、二次元コード115と、商品表示情報116と、商品数117とが表示されている。商品表示情報116として、2つの商品20を示す2つの商品表示情報116a、116bが表示されている。二次元コード115はS62で生成している。商品表示情報116はS63で取得している。商品数117は、S61で取得した表示タグリストに含まれている商品IDの数から決定できる。
【0049】
S7において表示情報を更新したらS8へ進む。S5の判断結果がNOである場合もS8へ進む。S8では、終了処理が行われたか否かを判断する。終了処理は、たとえば、タグ情報読み取り装置110の管理者による終了処理スイッチの操作である。S8の判断結果がYESであればS9へ進む。S9では、読み取り部111に読み取り処理の終了を指示する。S8の判断結果がNOであればS3に戻る。したがって、終了処理が行われるまで、S3からS8が繰り返し実行される。
【0050】
S3からS8の繰り返しにおいて、表示タグリストが更新されると、S7において、表示部112に表示している表示情報を更新する。
図8に、
図7を更新した後の表示情報を例示する。
図8に示す表示例は、表示タグリストに含まれる商品IDが1つ増えた場合の表示例である。
【0051】
表示タグリストに含まれる商品IDが1つ増える状況としては、何らかの遮蔽物により1つのRFIDタグ120が一時的に読み取れなかったが、そのRFIDタグ120の位置の変化などにより、読み取りができるようになった状況が想定される。
【0052】
図8には、商品表示情報116a、116b、116cの3つの商品表示情報116が表示されている。それに対応して商品数117は「3枚」に変更になっている。また、二次元コード115も、3枚の商品IDが格納された二次元コード115になっている。
【0053】
〔スマートフォン130の処理〕
次にスマートフォン130の制御部135が実行する処理を説明する。
図9に制御部135が実行する処理を示す。
図9に示す処理はユーザ30の開始操作により開始する。S101では、光学情報読み取り部136が、カメラ131に、表示部112に表示されている二次元コード115を撮影させる。そして、撮影した二次元コード115をデコードして、二次元コード115に格納されている情報を読み取る。読み取った情報には、商品IDが含まれている。
【0054】
S102では、表示制御部137が、通信部133を使い外部と通信して、S101で読み取った情報に含まれている商品IDに対応する商品情報を取得する。
【0055】
S103では、商品選択画面を表示する。
図10に、携帯表示部132に商品選択画面が表示されているスマートフォン130を示す。
図10に示す商品選択画面には、3つの商品20について商品名139が表示されている。また、商品選択画面には、各商品20が選択されているかを示す選択ボックス140と、決定ボタン141とが表示されている。
【0056】
S104では選択操作があったか否かを判断する。選択操作は、選択ボックス140または商品名139の上をタッチする操作である。S104の判断結果がYESであればS105に進む。
【0057】
S105では、選択操作された商品20に対応する選択ボックス140の表示を変更する。選択された商品20に対応する選択ボックス140が選択済みを示していれば、その選択ボックス140を未選択の状態に変更する。選択された商品20に対応する選択ボックス140が未選択を示していれば、その選択ボックス140を選択済みの状態に変更する。S105を実行後はS106に進む。S104の判断結果がNOである場合もS106へ進む。
【0058】
S106では、決定操作がされたか否かを判断する。決定操作は、決定ボタン141がタッチされる操作である。S106の判断結果がNOであればS104へ戻る。S106の判断結果がYESであればS107へ進む。
【0059】
S107では、決済画面を表示する。
図11に、携帯表示部132に決済画面が表示されているスマートフォン130を示す。決済画面には、選択された商品20の商品名139に加えて、購入ボタン142が表示されている。
【0060】
S108では、決済操作があったか否かを判断する。決済操作は、購入ボタン142がタッチされる操作である。S108の判断結果がNOであればS108を繰り返す。S108の判断結果がYESであればS109へ進む。S109では、決済処理を行う。決済処理は、決済画面に表示されている商品名139の商品20を購入する処理である。決済処理は、たとえば、試着室10が設置されている店舗を管理する会社の商品購入サイトで、購入する商品20を確定させた後に実行する処理と同じである。
【0061】
〔実施形態のまとめ〕
以上、説明した本実施形態では、タグ情報読み取り装置110が備える読み取り部111は複数のRFIDタグ120と通信してそれら複数のRFIDタグ120に記憶された情報を読み取ることができる。制御部114は、読み取り部111に連続的にRFIDタグ120との通信を試みさせる(S2)。そして、読み取り部111からの読み取り結果に基づいて、表示部112に表示させる二次元コード115を逐次更新する(S3~S7)。
【0062】
そのため、あるRFIDタグ120が読み取りエリア内にあるにも関わらず、一時的に読めなかったとしても、表示部112に二次元コード115を表示させたい者は、タグ情報読み取り装置110を操作する必要がない。よって、読み取り作業の手間を軽減できる。
【0063】
また、制御部114は、読み取り部111が読み取った複数のRFIDタグ120の情報に含まれている複数の商品IDを二次元コード115にする場合、複数の商品IDを含む1つの二次元コード115を作成する(S62)。この二次元コード115を読み取る操作するユーザ30は、商品IDごとに二次元コード115が作成される場合に比較して、読み取る二次元コード115の数が減るので、読み取りの手間が軽減する。
【0064】
制御部114は、二次元コード115に格納している商品IDに対応するRFIDタグ120の数である商品数117を、二次元コード115とともに表示部112に表示している(S7)。商品数117が表示部112に表示されると、ユーザ30は、その商品数117を見ることで、自分が希望する商品20に取り付けられているRFIDタグ120が全部、読み取れたかどうかを判断できる。
【0065】
制御部114は、読み取り部111が読み取った情報に基づいて定まる商品表示情報116を、二次元コード115とともに表示部112に表示する。ユーザ30は、商品表示情報116を見ることで、どの商品20に取り付けられているRFIDタグ120がうまく読み取れていないかが分かる。
【0066】
タグ情報読み取り装置110は、読み取りタグリストが記憶されている記憶部113を備えている。読み取りタグリストには、読み取り部111が情報を読み取ったことがあるRFIDタグ120と、RFIDタグ120と読み取り部111との通信状態情報が記述されている。制御部114は、この読み取りタグリストをもとに、RFIDタグ120が表示エリア内に存在しているか否かを判断する(S440)。この判断により、表示エリア内に存在していると判断したRFIDタグ120からの情報のみを用いて生成した二次元コード115を表示部112に表示する(S6、S7)。このようにすることで、表示エリア内にない可能性が高いRFIDタグ120から取得した情報を二次元コード115に格納してしまうことを抑制できる。
【0067】
制御部114は、RFIDタグ120が表示エリアの外から表示エリア内に入った状態であると判断でき(S440:YES)、かつ、そのRFIDタグ120が表示エリアの外に移動したと判断しない場合(S460)、そのRFIDタグ120は表示エリア内に存在していると判断する。このようにすることで、一時的に、RFIDタグ120との通信ができなかっただけであるにも関わらず、表示エリア内に存在しているRFIDタグ120の情報が二次元コード115に含まれなくなってしまうことを抑制できる。
【0068】
制御部114は、RFIDタグ120が表示エリア内に存在していると判断した後、通信状態情報の履歴に基づいて、RFIDタグ120が表示エリア外へ移動したと判断できる場合、そのRFIDタグ120は表示エリアの外へ移動したと判断する(S460)。RFIDタグ120が表示タグエリアの外へ移動したか否かを、通信状態情報の履歴に基づいて決定する値により判断することで、判断結果が一時的な通信状態の影響を受けにくくなる。
【0069】
商品決済システム100は、携帯端末としてスマートフォン130を用いる。スマートフォン130は、標準構成としてカメラ131、携帯表示部132、操作部134を備える。また、種々のアプリケーションをインストールできる。よって、スマートフォン130を決済処理部138として作動させるアプリケーションをインストールすることで、商品決済システム100の携帯端末を容易に準備できる。
【0070】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
【0071】
図12に、第2実施形態の商品決済システム200の構成を示す。商品決済システム200では、試着室10ごとに備えられるタグ情報読み取り装置210が、ネットワークにより接続されており、相互に通信可能である。
【0072】
図13にタグ情報読み取り装置210の構成を示す。タグ情報読み取り装置210は、他のタグ情報読み取り装置210と通信する通信部215を備える。制御部114は、第1実施形態と同様、
図4に示す処理を実行する。ただし、
図4のS4の詳細処理は、
図5に示す処理ではなく、
図14に示す処理である。
【0073】
図14は、S440とS450の間に、S441、S442,S443が追加されている点が、
図5と相違する。したがって、第2実施形態では、S440において、通信状態情報を更新したRFIDタグ120が表示エリア内に存在していると判断した場合、S441を実行する。
【0074】
S441では、他のタグ情報読み取り装置210から最新の通信状態情報を取得するために、他のタグ情報読み取り装置210から最新の読み取りタグリストを取得する。続くS442では、S441で取得した通信状態情報と、自装置の記憶部113に記憶されている通信状態情報に、同一のRFIDタグ120からの情報がある場合に、通信状態情報を比較する。
【0075】
S443では、S440で表示エリア内に存在していると判断したRFIDタグ120のうち、S442での比較の結果が、他のタグ情報読み取り装置210のほうが通信状態がよいと判断できるRFIDタグ120を除外する。
【0076】
たとえば、自装置の通信状態情報は、履歴から、RFIDタグ120が最も接近した状態から少し遠ざかったことを示しているとする。これに対して、隣にあるタグ情報読み取り装置210から取得した通信状態情報は、自装置の通信状態情報が、RFIDタグ120が遠ざかったことを示している期間も、RFIDタグ120が連続的に接近し続けることを示しているとする。この場合には、他のタグ情報読み取り装置210のほうが通信状態がよいと判断する。また、単に最大RSSIを比較して通信状態を判断してもよい。また、現時点から過去に所定時間(数秒程度)の間のRSSIの平均値から通信状態の優劣を判断してもよい。S450では、S443を実行後に残ったRFIDタグ120を表示タグリストに追加する。
【0077】
第2実施形態のタグ情報読み取り装置210では、制御部114は、他のタグ情報読み取り装置210から通信状態情報を取得し(S441)、取得した通信状態情報と、自装置の記憶部113に記憶されている通信状態情報とを比較する(S442)。比較の結果、他のタグ情報読み取り装置210のほうが通信状態がよいと判断したRFIDタグ120は、自装置の表示エリア内には存在しないと判断し、表示タグリストには追加しない。
【0078】
複数の試着室10が隣接しており、各試着室10にタグ情報読み取り装置210が設置されている場合、隣り合うタグ情報読み取り装置210が同時に同じRFIDタグ120から情報を読み取る可能性がある。第2実施形態では、隣り合うタグ情報読み取り装置210が同時に同じRFIDタグ120から情報を読み取る可能性を考慮し、通信状態情報を比較して、どのタグ情報読み取り装置210の表示エリア内にRFIDタグ120が存在しているかを判断する。このようにすることで、隣り合うタグ情報読み取り装置210が同時に同じRFIDタグ120から情報を読み取っているとしても、誤ったRFIDタグ120からの情報が含まれた二次元コード115を表示してしまうことを抑制できる。
【0079】
以上、実施形態を説明したが、開示した技術は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も開示した範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【0080】
<変形例1>
実施形態では、タグ情報読み取り装置110、210は試着室10に設置されていた。しかし、タグ情報読み取り装置110、210の設置場所は試着室10に限定されない。タグ情報読み取り装置110、210は、セルフレジに設置されてもよい。
【0081】
<変形例2>
実施形態では、商品表示情報116は記憶部113に記憶されていた。しかし、タグ情報読み取り装置110は、商品IDをもとに、商品表示情報116をサーバなど他のコンピュータから取得してもよい。
【符号の説明】
【0082】
10:試着室 20:商品 21:札 30:ユーザ 100:商品決済システム 110:タグ情報読み取り装置 111:読み取り部 112:表示部 113:記憶部 114:制御部 115:二次元コード 116:商品表示情報 117:商品数 120:RFIDタグ 130:スマートフォン(携帯端末) 131:カメラ 132:携帯表示部 133:通信部 134:操作部 135:制御部 136:光学情報読み取り部 137:表示制御部 138:決済処理部 140:選択ボックス 141:決定ボタン 142:購入ボタン 200:商品決済システム 210:タグ情報読み取り装置 215:通信部