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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138893
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
B06B1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044799
(22)【出願日】2022-03-21
(71)【出願人】
【識別番号】592056908
【氏名又は名称】浜名湖電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096998
【弁理士】
【氏名又は名称】碓氷 裕彦
(72)【発明者】
【氏名】寺本 福章
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107BB08
5D107CC09
5D107DD03
5D107DD12
(57)【要約】
【課題】コイルが励磁した直後から、ムービングコアがステータコアから離れる方向に振動を開始することができるようにする。
【解決手段】コイルの励磁時にはハウジング、ステータコア、ムービングコア及び振動板で磁気回路を構成する。そして、コイルの非励磁時には、永久磁石の磁力によりムービングコアがステータコアに向かう側に変位する。一方、コイルの励磁時には、磁気回路が永久磁石の磁力に反発して、ムービングコアがステータコアから離れる側に変位する。その為、コイルを励磁させると直ちにムービングコアをステータコアから離れる側に変位させることができる。即ち、ムービングコアを一旦ステータコア側に変位させてから、改めてステータコアから離れる方向に変移させる必要がない。これにより、振動デバイスの応答性を高めることができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンに巻装され通電により励磁するコイルと、
このコイルを保持するハウジングと、
前記コイルの内周に配置されるステータコアと、
前記コイルの内周に前記ステータコアと対向配置され、前記コイルの励磁、非励磁に応じて往復移動するムービングコアと、
内周部でこのムービングコアと接続して前記ムービングコアと共に往復移動可能であり、外周が前記ハウジングに接続される振動板と、
前記ステータコア及び前記ムービングコアのいずれか一方に固定され、自身の磁力により前記ムービングコアを前記ステータコア側に吸引する永久磁石とを備え、
前記コイルの励磁時には前記ハウジング、前記ステータコア、前記ムービングコア及び前記振動板で磁気回路を構成し、
前記コイルの非励磁時には、前記永久磁石の磁力により前記ムービングコアが前記ステータコアに向かう側に変位し、
前記コイルの励磁時には、前記磁気回路が前記永久磁石の磁力に反発して、前記ムービングコアが前記ステータコアから離れる側に変位する
ことを特徴とする振動デバイス。
【請求項2】
前記振動板は、前記ムービングコアを前記ステータコアから引き離す方向に付勢するバネ力を有しており、
前記コイルの非励磁時には、前記永久磁石は、前記振動板の付勢力に反して前記ムービングコアを前記ステータコアに向かう側に変位させる
ことを特徴とする請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記振動板は、前記ムービングコアを前記ステータコアに向かう方向に付勢するバネ力を有しており、
前記コイルの非励磁時には、前記永久磁石の磁力と前記振動板の付勢力によって前記ムービングコアを前記ステータコアに向かう側に変位させる
ことを特徴とする請求項1に記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動デバイスに関し、例えば、機器を使用する者に対して振動による情報を提供する装置として用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
振動デバイスのニーズとして、振動開始時の応答性をより素早くすることが挙げられる。ただ、振動デバイスはコイルに通電してコイルが励磁されると、まず、ムービングコアがステータコア側に変位し、コイルへの通電が終了して初めてムービングコアがステータコアから離れる方向に変移する構造となっている。このような構造の振動デバイスとしては、例えば、特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-176498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ムービングコア及びムービングコアと一体に振動する振動板の振動量に着目してなされたものである。即ち、本開示では、振動量はムービングコアがステータコア側に移動する際より、ムービングコアがステータコアから離れる方向に移動するときの方が大きくなることを前提としている。この前提の下で、コイルに通電してコイルが励磁した直後から、ムービングコアがステータコアから離れる方向に振動を開始することができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1は、ボビンに巻装され通電により励磁するコイルと、このコイルを保持するハウジングと、コイルの内周に配置されるステータコアと、コイルの内周にステータコアと対向配置され、コイルの励磁、非励磁に応じて往復移動するムービングコアとを備える振動デバイスである。また、本開示の第1の振動デバイスは、内周部でムービングコアと接続してムービングコアと共に往復移動可能であり外周がハウジングに接続される振動板と、ステータコア及びムービングコアのいずれか一方に固定され自身の磁力によりムービングコアをステータコア側に吸引する永久磁石も備えている。
【0006】
本開示の第1の振動デバイスは、コイルの励磁時にはハウジング、ステータコア、ムービングコア及び振動板で磁気回路を構成する。そして、コイルの非励磁時には、永久磁石の磁力によりムービングコアはステータコアに向かう側に変位する。一方、コイルの励磁時には、磁気回路が永久磁石の磁力に反発して、ムービングコアがステータコアから離れる側に変位する。
【0007】
本開示の第1の振動デバイスでは、ムービングコアがステータコアから離れる方向の振動量が、ムービングコアがステータコア側に向かう際の振動量より大きな振動となる。そして、本開示の第1の振動デバイスは、コイルの非励磁時に、永久磁石の磁力によりムービングコアがステータコアに向かう側に変位しているので、コイルを励磁させると直ちにムービングコアをステータコアから離れる側に変位させることができる。即ち、ムービングコアを一旦ステータコア側に変位させてから、改めてステータコアから離れる方向に変移させる必要がない。これにより、振動デバイスの応答性を高めることができている。
【0008】
本開示の第2では、振動板はムービングコアをステータコアから引き離す方向に付勢するバネ力を有している。その為、コイルの非励磁時には、永久磁石は、振動板の付勢力に反してムービングコアをステータコアに向かう側に変位させることとなる。これにより、コイルの励磁時には、磁気回路と磁石の反発力のみでなく、振動板の付勢力も利用してムービングコアを変位させることができる。これにより、コイルの励磁時の応答性をより良くすることができる。
【0009】
本開示の第3では、振動板はムービングコアをステータコアに向かう方向に付勢するバネ力を有している。その為、コイルの非励磁時には、永久磁石の磁力と振動板の付勢力によってムービングコアをステータコアに向かう側に変位させることになる。永久磁石の磁力を小さくしても、コイルの非励磁時の状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、振動デバイスのコイル非励磁時の断面図である。
図2図2は、振動デバイスのコイル励磁時の断面図である。
図3図3は、図1図示振動デバイスの振動特性を示す図である。
図4図4は、比較例の振動特性を示す図である。
図5図5は、振動デバイスの他の例のコイル非励磁時の断面図である。
図6図6は、図5図示振動デバイスのコイル励磁時の断面図である。
図7図7は、振動デバイスの更に他の例のコイル非励磁時の断面図である。
図8図8は、図7図示振動デバイスのコイル励磁時の断面図である。
図9図9は、振動デバイスの使用例を示す構成図である。
図10図10は、振動デバイスの他の使用例を示す構成図である。
図11図11は、振動デバイスの更に他の使用例を示す構成図である。
図12図12は、振動デバイスの更に他の例のコイル励磁時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2で、100は振動デバイスであり、振動デバイス100は、図9に示すように、例えば自動車のシート200の座面や背面に配置される。振動デバイス100はコントローラ210によって制御され、乗員に対して、シートベルトの締め忘れや危険予知の情報を振動によって伝達するのに用いられる。振動デバイス100からの振動情報は、乗員に直接伝えることができる情報である。そして、視覚や聴覚といった通常の信号情報とは異なる情報であるので、特に、危険予知情報として有用な情報伝達手段である。
【0012】
振動デバイス100のハウジング110は、直径が30ミリメートル程度の円筒形状をしている。ハウジング110の高さは10~15ミリメートル程度である。また、ハウジング110は磁気を通す鉄系材料でできている。ハウジング110は小径の円筒形状をしたコイル保持部111と、このコイル保持部111より大径の円筒形状をした大径部112を備えている。大径部112の先端は、後述する振動板160の外周161を巻き締め固定している。
【0013】
ハウジング110のコイル保持部111の内部には、ナイロン等の絶縁樹脂材料製のボビン130が配置されている。ボビン130は両端に鍔部131を有する円筒形状をしている。ボビン130にはエナメル被覆された銅線が多数回(300ターン程度)巻装され、コイル140を形成している。
【0014】
ボビン130の内周には円柱形状をしたステータコア120が配置されている。ステータコア120も、ハウジング110と同様、磁気を通す鉄系材料でできている。ステータコア120はコイル保持部111に、接着剤やボルト等によって固定されている。そして、ステータコア120の外周にボビン130の内周が嵌り込み、ボビン130の鍔部131がコイル保持部111に嵌り込むことによって、コイル140はハウジング110内で固定される。
【0015】
ボビン130の内周には、ムービングコア150も配置されている。ムービングコア150はステータコア120とギャップを介して対向配置されている。ムービングコア150も、ハウジング110やステータコア120と同様の鉄系材料製である。ムービングコア150は、ボビン130の内周に位置する円柱状部151と、振動板160の内周162を保持する振動板保持部152とからなる。振動板保持部152も円柱形状をしている。
【0016】
ムービングコア150は振動板160の内周162に固定されている。上述の通り、振動板160の外周161は、ハウジング110の大径部112に固定されているので、ムービングコア150は振動板160により、ハウジング110に保持される。振動板160は、ムービングコア150をステータコア120に向かう方向とステータコア120から引き離す方向に移動可能に保持している。従って、振動板160の保持により、ムービングコア150は、ステータコア120に向かう方向及び離れる方向に振動することができる。
【0017】
ムービングコア150とステータコア120とのギャップには永久磁石170が配置されている。永久磁石170のうち接着面171はステータコア120に対向する面で、接着剤によりステータコア120に固定されている。永久磁石170のうち反発面172はムービングコア150と対向する面で、ムービングコア150との間で固定はされていない。
【0018】
ただ、図1に示すように、コイル140に通電がされていない状態では、ムービングコア150は永久磁石170の磁力により永久磁石170側に変位している。かつ、図1のコイル140非通電状態では、ムービングコア150は振動板160の弾性力によっても、永久磁石170側に変位している。
【0019】
次に、上記構成からなる振動デバイス100の作動を説明する。振動デバイス100のコイル140には図示しないバッテリから電力が供給される。この電力供給はコントローラ210によって制御され、50~100ヘルツ程度の矩形波でデューティ比が50パーセントとなるようにして供給される。即ち、コントローラ210は、5~10ミリ秒間電流がコイル140を通電し、その後5~10ミリ秒は非通電となるように通電を制御している。この通電、非通電がコントローラ210で制御される振動期間中連続する。
【0020】
コントローラ210が振動を制御しないオフ期間は、コイル140には通電されない。この状態では、上述の通り、永久磁石170の磁力及び振動板160の弾性力によって、ムービングコア150はステータコア120側に変位している。
【0021】
コントローラ210が振動制御を開始して、コイル140に通電されると、コイル140は励磁し磁気回路がコイル140の回りに作られる。本例では、ハウジング110、ステータコア120、永久磁石170、ムービングコア150及び振動板160により磁気回路が形成される。
【0022】
コントローラ210はこの磁気回路の中で、ムービングコア150の永久磁石170と対向する面での極性が特定の極性となるように通電方向を制御する。具体的には、ムービングコア150の永久磁石対向面の磁極が、永久磁石170の反発面172の磁極と同一となるように制御する。例えば、永久磁石170の反発面172の磁極がN極である場合、通電が無ければムービングコア150には極性は永久磁石170の極性にならい、上述の通り、ムービングコア150はN極に向って吸引される。一方、永久磁石170の磁界の向きとは逆方向となるような通電がされるとムービングコア150にN極の磁性が生じ、ムービングコア150は永久磁石170と反発する。
【0023】
コイル140の通電による反発力は振動板160の弾性力よりも大きく、図2に示すように、ムービングコア150をステータコア120(永久磁石170)から引き離す方向に変移させる。なお、図2はムービングコア150及び振動板160の振動途中であり、ムービングコア150及び振動板160は図2の状態から更に上方に変位する。これにより、図3に示すように、ムービングコア150及び振動板160は直ちに振動を開始する。なお、図3はコントローラ210からのコイル140への通電信号の1パルス(電圧波形)と振動板160の加速度との関係を示している。1パルスの中で振動板160は複数回振動する。
【0024】
即ち、コイル140の通電による反発力はムービングコア150がステータコア120から離れるほど小さくなる。一方で、ムービングコア150がステータコア120から離れるほど、振動板160の弾性力は大きくなる。この力のバランスによって、ムービングコア150をステータコア120側に引き戻そうとする。この間の力のバランスは、ムービングコア150及び振動板160の位置によって振動板160の弾性力が大きくなったり、永久磁石170との反発力が大きくなったりする。この力のバランスの変動を受けて、ムービングコア150及び振動板160は振動を繰り返す(図3図示)。
【0025】
比較例として、ムービングコア150とステータコア120との磁気ギャップに永久磁石170を配置しない例を図4に示す。図4もコイル140への通電信号の1パルス(電圧波形)と振動板160の加速度とを示している。永久磁石170が配置されていなければ、ムービングコア150はステータコア120から磁気ギャップ分は離れている。その状態でコイル140に通電して励磁されると、磁気回路の磁力によりムービングコア150はステータコア120側に変位する。
【0026】
コントローラ210は、ムービングコア150がステータコア120に衝突しないように磁力を制御するので、ムービングコア150及び振動板160はステータコア120に近づいたり離れたりして、多少の振動は行う(図4のA)。ただ、この際の振動は、全体としてムービングコア150及び振動板160がステータコア120に近づいた状態で行う振動であるので、振動幅は小さい。図4の例で、コイル140への通電を停止すると、振動板160の弾性力によってムービングコア150及び振動板160はステータコア120から離れる。次いで、ムービングコア150及び振動板160は振動を開始する。この状態での振動は、ステータコア120から離れた状態での振動であるので、その振幅は大きい(図4のB)。
【0027】
図4の比較例に示すように、ムービングコア150及び振動板160の振動は、ステータコア120側での振動に比して、ステータコア120から離れた側での振動の方が、振幅が大きくなる。振動デバイス100としては、この振幅の大きい振動をできる限り有効に活用すべきである。本開示によれば、図3にCで示すように、コントローラ210の振動制御開始直後より、振幅の大きいステータコア120から離れた側での振動を利用することができる。即ち、図4の比較例では1パルスの通電の終了後に初めて大きな振動が生じるのに対し、図3で示す本開示では1パルスの通電開示時点から大きな振動が得られるので、振動デバイス100の応答性を高めることができる。
【0028】
コイル140の通電によるムービングコア150及び振動板160の振動はやがて減衰するので、コントローラ210はコイル140を非通電とする。コイル140への通電が終了すると、ムービングコア150及び振動板160は、振動板160の弾性力と永久磁石170の磁気吸引力とによって、ステータコア120側に引き戻される方向に移動する。この移動に伴い、本開示のムービングコア150及び振動板160も図3のDで示すような小さな振動は行うが、この振動は早期に減衰する。
【0029】
なお、図3及び図4はデューティ比制御の1パルス分のみ記載しているが、上記の通り、コントローラ210は所定の周波数でコイル140通電、非通電を繰り返す。そのため、ムービングコア150及び振動板160の振動は制御装置で制御される振動期間継続する。この際のムービングコア150の加速度は10G程度となっている。自動車のシート200に取り付けられた状態では、乗員に対して振動を確実に伝えることができている。なお、コントローラ210は情報に応じてムービングコア150及び振動板160の振幅を異なるように制御しても良い。また、コントローラ210は情報に応じてムービングコア150及び振動板160の振動パターンを異なるように制御しても良い。振動パターンを可変するには、1パルスの駆動周波数を変えたり、通電時間と非通電時間とのデューティ比を変更したりすればよい。
【0030】
なお、上述した例では、コイル140の非通電時に振動板160の弾性力はムービングコア150をステータコア120(永久磁石170)側に向かう方向に付勢していた。永久磁石170に必要とされる磁力を小さくすることができて有効である。
【0031】
ただ、コイル140の非通電時での振動板160の弾性力の方向を逆としても良い。即ち、図5に示すように、振動板160の弾性力が、ムービングコア150をステータコア120(永久磁石170)から離れる方向に付勢してもよい。この場合、永久磁石170にはより多くの磁力が求められるが、コイル140通電時のムービングコア150及び振動板160の振幅をより大きくすることができる。
【0032】
コイル140に通電すると、図6に示すように、コイル140励磁に伴う磁気反発力に振動板160の弾性力が加わって、より大きな力でムービングコア150及び振動板160をステータコア120から引き離すことができる。図6図2と同様、ムービングコア150及び振動板160の振動途中であり、実際には、図6の状態から更に上方に変位する。そのため、第1回目のムービングコア150及び振動板160の振動より大きくなり、振幅も増大する。
【0033】
上述の例では、永久磁石170の接着面171をステータコア120と対向する面として、永久磁石170はステータコア120に接着していた。ただ、永久磁石170はコイル140の励磁時に反発力を発揮できれば良い。図7に示すように、永久磁石170をムービングコア150に接着しても良い。
【0034】
コイル140の励磁時には反発面172はステータコア120と対向する面となる。即ち、図8に示すように、例えば反発面172がN極であるとすると、ステータコア120の反発面172と対向する面もN極となるよう磁界が発生して、ムービングコア150をステータコア120から引き離される方向に移動させる。なお、図8の状態はムービングコア150が変移している途中の状態であることは、図2図6の例と同様である。
【0035】
上述の例では、永久磁石170をムービングコア150やステータコア120と同径としていた。永久磁石170を大きくして磁力を高める上では望ましい。ただ、永久磁石170は所定の磁力が発揮できればよく、ムービングコア150やステータコア120より小径としても良い。図12は永久磁石170を小径としてステータコア120に埋め込んだ例である。
【0036】
また、上述した例では、ムービングコア150をステータコア120の上方に配置した。ムービングコア150は、重力によってもステータコア120(永久磁石170)側に向かうこととなる。永久磁石170に必要とされる磁力を小さくすることができて、有効である。ただ、図に示した配置は一例で、振動デバイス100の配置はシート200の位置に応じて種々に変更される。シート200の背面に配置されればムービングコア150とステータコア120とは概略水平方向に配置されることとなる。一般には、ムービングコア150と振動板160が乗員に向かう方向に配置される。
【0037】
また、上述した例では、ステータコア120をハウジング110内でボルト等によって固定していた。ただ、ステータコア120とハウジング110とを一体に成形することも可能である。また、上述した例では、永久磁石170を接着剤によりステータコア120に接着していた。これを、カシメやねじ締め等によって、固定するようにしても良い。
【0038】
更に、上述した例では、コントローラ210はムービングコア150がステータコア120と衝突しないように制御していた。振動デバイス100の振動特性を良くする上でも望ましい制御である。また、衝突しないことで、振動デバイス100の耐久性を高めることもできる。ただ、必要に応じ、ムービングコア150とステータコア120との衝突を許容する設計とすることは許される。ムービングコア150をステータコア120に衝突させることによって、異なる振動を発生させることができるし、音を発生させることもできる。その場合には、ムービングコア150とステータコア120との双方に表面硬化層を被覆することが望ましい。
【0039】
上述した例では、振動デバイス100を自動車のシート200に設置していた。シート200からの振動情報伝達は、振動デバイス100の用法として望ましい例である。その為、図10に示すように、シート200に複数の振動デバイス100を配置しても良い。例えば、シート200の背面の左右にそれぞれ振動デバイス100を配置すれば、危険予知を乗員に放置する際に、左右いずれかの方向であるかを示すことができる。また、座面に配置した振動デバイス100の振動を、背面に配置した振動デバイス100の振動より大きくすることで、乗員に与える影響を変化させることもできる。
【0040】
ただ、本開示の振動デバイス100は必ずしも自動車用に限定されるものではない。モバイル装置として人が持ち運ぶ機器に組み込むことも可能である。例えば、図11に示すように、タッチパネル220に配置しても良い。図11の例では、タッチパネル220の使用者がタッチパネル220に触れたり、タッチパネル220上で特別な動作をしたりした際に振動デバイス100が動作に応じた振動を行う。また、自動車用として用いる場合でも、ハプティック等他の使用法もある。
【0041】
また、上述した素材や大きさは、一例であり、要求される性能に応じて適宜選択可能である。この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。
【符号の説明】
【0042】
100 振動デバイス
110 ハウジング
120 ステータコア
140 コイル
150 ムービングコア
160 振動板
170 永久磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12