(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138907
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】ガスタービンからの排気ガス流中の部品を遮熱するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F02C 7/00 20060101AFI20230926BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20230926BHJP
F01D 25/30 20060101ALI20230926BHJP
F01D 25/28 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
F02C7/00 B
F02C7/18 Z
F01D25/30 B
F01D25/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023018965
(22)【出願日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】440703
(32)【優先日】2022-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ヤミオウコフスキ、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ、ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシニェフスキ、アダム
(57)【要約】
【課題】ガスタービンからの排気ガス流中の部品を遮熱するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】
システムは、燃焼システム(10)の排気ディフューザ(26)の部品(80)内に遮熱材(190)を取り付けるように構成された遮熱材取付アセンブリ(192)を含む。遮熱材取付アセンブリ(192)は、部品(80)の壁(110)上の遮熱材(190)を覆うように構成された遮熱材カバープレート(204)と、遮熱材カバープレート(204)上に部分的に延在するとともに部品(80)の壁(110)に結合するように構成された複数の取付クリップ(206)とを含む。複数の取付クリップ(206)の各クリップは、壁(110)の表面(230)に沿った第1の方向への遮熱材カバープレート(204)の移動を可能にするが、壁(110)の表面(230)と交差する第2の方向(284)への遮熱材カバープレート(204)の移動を阻止するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼システム(10)の排気ディフューザ(26)の部品(80)内に遮熱材(190)を取り付けるように構成された遮熱材取付アセンブリ(192)を備えるシステムであって、前記遮熱材取付アセンブリ(192)が、
前記部品(80)の壁(110)上の遮熱材(190)を覆うように構成された遮熱材カバープレート(204)と、
前記遮熱材カバープレート(204)上に部分的に延在するとともに前記部品(80)の壁(110)に結合するように構成された複数の取付クリップ(206)であって、該複数の取付クリップ(206)の各クリップが、前記壁(110)の表面(230)に沿った第1の方向(282)への前記遮熱材カバープレート(204)の移動を可能にするが前記壁(110)の表面(230)と交差する第2の方向(284)への遮熱材カバープレート(204)の移動を阻止するように構成されている、複数の取付クリップ(206)と
を備える、システム。
【請求項2】
当該システムが、前記遮熱材取付アセンブリ(192)の遮熱材カバープレート(204)で覆われた遮熱材(190)を有する遮熱アセンブリ(140)、前記遮熱アセンブリ(140)を有する前記排気ディフューザ(26)の部品(80)、又はそれらの組合せを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
当該システムが、中央ハブ(82)と外側ケーシング(84)との間に延在する複数の半径方向構造体(80)を有する前記排気ディフューザ(26)を備えており、前記複数の半径方向構造体(80)が、中央ハブ(82)と外側ケーシング(84)との間の排気流路(114)に沿って配置されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
タービンセクション(24)の下流に前記排気ディフューザ(26)を有するガスタービンシステム(10)を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記部品(80)が、キャビティ(106)の周りに配置された壁(110)を有する半径方向構造体(80)を含み、前記表面(230)が壁(110)の内面(230)であり、前記遮熱アセンブリ(140)が、前記内面(230)に沿ってキャビティ(106)内に配置される、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記半径方向構造体(80)が、ストラット(108)の周りに配置された壁(110)を有する翼形ハウジング(112)と、前記壁(110)の内面(230)と前記ストラット(108)との間に配置された冷却流路(106)とを備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の取付クリップ(206)が前記翼形ハウジング(112)の壁(110)に固定されており、かつ前記複数の取付クリップ(206)が、前記遮熱材カバープレート(204)の1以上の縁部(240)及び/又は内奥部(242)で前記遮熱材カバープレート(204)上に部分的に延在している、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の取付クリップ(206)の少なくとも1つの取付クリップ(206)が、前記遮熱材カバープレート(204)の縁部(240)に沿って取り付けられるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの取付クリップ(206)は、前記遮熱材カバープレート(204)の縁部(240)に沿った凹部(310,312)に取り付けるように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの取付クリップ(206)が、前記遮熱材カバープレート(204)に沿って配置された平面(278)を有する本体(268)に結合した拡大ヘッド(266)を備えており、前記拡大ヘッド(266)が、前記壁(110)に溶接されるように構成されたテーパ部(272)を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記遮熱材カバープレート(204)が、前記縁部(240)に沿って拡大境界部(254)を含んでおり、前記拡大境界部(254)が、前記壁(110)と前記遮熱材カバープレート(204)との間の遮熱材(190)のための間隔を画成するように構成されたスペーサ部分(256)を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の取付クリップ(206)の少なくとも1つの取付クリップ(206)が、前記遮熱材カバープレート(204)の内奥部(242)に取り付けられるように構成されており、かつ前記少なくとも1つの取付クリップ(206)が、前記遮熱材カバープレート(204)上に少なくとも部分的に配置されるヘッド(324)と、前記遮熱材カバープレート(204)、前記遮熱材(190)及び前記壁(110)の開口部(334,336,338)を貫通するシャフト(322)とを備えており、前記シャフト(322)が、継手(340)で前記壁(110)に結合している、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
当該システムが、前記少なくとも1つの取付クリップ(206)のシャフトの周りに配置されたスペーサ部分(342)を備えており、該スペーサ部分(342)が、前記壁(110)と前記遮熱材カバープレート(204)との間の遮熱材(190)の間隔を画成するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
当該システムが、U字型クリップ(354)に結合した遮熱材ホルダ(352)を有する遮熱材取付クリップ(206)を備えており、前記U字型クリップ(354)が、前記遮熱材カバープレート(204)に結合するように構成されており、前記遮熱材ホルダ(352)が、前記遮熱材カバープレート(204)に対して前記遮熱材(190)を保持するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
燃焼システムの排気ディフューザ(26)の部品(80)の壁(110)上に遮熱層(190)を覆うように遮熱材カバープレート(204)を配置するステップと、
前記遮熱材カバープレート(204)の上に複数の取付クリップ(206)を部分的に延在させるステップと、
前記複数の取付クリップ(206)を前記部品(80)の壁(110)に結合させるステップであって、前記複数の取付クリップ(206)の各クリップが、前記壁(110)の表面(230)に沿った第1の方向(282)への前記遮熱材カバープレート(204)の移動を可能にするが、前記壁(110)の表面(230)と交差する第2の方向(284)への遮熱材カバープレート(204)の移動を阻止するように構成されている、ステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願は、一般に、ガスタービンからの排気ガス流中の部品を遮熱するためのシステム及び方法に関する。
【0002】
ガスタービンエンジンのような燃焼システムは、排気ガスの流れを排気ディフューザに通して拡散させてから、環境に排出することがある。排気ディフューザは、高温排気ガスに対する耐熱性を与える遮熱材を含むことがある。例えば、溶接されたカバープレートのような固定カバープレートを介して遮熱シートを所定の位置に保持することがある。残念ながら、溶接されたカバープレートは、排気ディフューザの熱膨張及び収縮に起因する問題を生じかねない。そこで、排気ディフューザその他の排気ガス流中の部品を遮熱するための改善されたシステム及び方法に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0003】
以下、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲に属する幾つかの実施形態について要約する。これらの実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明の可能な形態を簡単にまとめたものである。実際、本発明は、以下に記載する実施形態と同様のものだけでなく、それらと異なる様々な実施形態をも包含する。
【0004】
ある実施形態では、システムは、燃焼システムの排気ディフューザの部品内に遮熱材を取り付けるように構成された遮熱材取付アセンブリを備える。遮熱材取付アセンブリは、部品の壁上の遮熱材を覆うように構成された遮熱材カバープレートと、遮熱プレート上に部分的に延在するとともに部品の壁に結合するように構成された複数の取付クリップとを備える。複数の取付クリップの各クリップは、壁の表面に沿った第1の方向への遮熱材カバープレートの移動を可能にするが、壁の表面と交差する第2の方向への遮熱材カバープレートの移動を阻止するように構成される。
【0005】
ある実施形態では、システムは、中央ハブと、中央ハブの周りに配置される排気流路と、排気流路の周りに配置される外壁と、中央ハブと外壁との間に延在する複数の半径方向構造体を有する排気ディフューザとを含む。複数の半径方向構造体の各半径方向構造体は、キャビティの周りに配置される壁と、壁の内面上に配置される遮熱層と、遮熱層の上に配置される遮熱材カバープレートと、壁に結合した複数の取付クリップとを含む。複数の取付クリップの各クリップは、内面に沿った第1の方向への遮熱材カバープレートの移動を可能にするが、内面と交差する第2の方向への遮熱材カバープレートの移動を阻止する。
【0006】
ある実施形態では、方法は、燃焼システムの排気ディフューザの部品の壁上に遮熱層を覆うように遮熱材カバープレートを配置するステップと、遮熱材カバープレート上に複数の取付クリップを部分的に延在させるステップとを含む。方法は、複数の取付クリップを部品の壁に結合するステップも含む。複数の取付クリップの各クリップは、壁の表面に沿った第1の方向への遮熱材カバープレートの移動を可能にするが、壁の表面と交差する第2の方向への遮熱材カバープレートの移動を阻止するように構成される。
【0007】
本願で開示する技術の上記その他の特徴、態様及び利点については、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができよう。図面を通して、同様の部材には同様の符号を付した。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】タービンセクションの下流にディフューザセクションを有するガスタービンシステムの実施形態の概略図であり、ディフューザセクションは、中央ハブと外側ケーシングとの間に延在する複数の半径方向構造体を含んでおり、遮熱アセンブリが少なくとも半径方向構造体内に配置されている。
【
図2】
図1のディフューザセクションの一実施形態の部分断面側面図であり、遮熱アセンブリを有する半径方向構造体の詳細を示す。
【
図3】
図1及び
図2の半径方向構造体の実施形態の
図2の3-3矢視断面図であり、ストラットの周りに配置される空力ハウジングを示しており、遮熱アセンブリは、遮熱材上に配置され、かつ取付クリップによって空力ハウジングの外壁内に保持される遮熱材カバープレートを含んでいる。
【
図4】
図1~
図3の半径方向構造体の実施形態の
図3の4-4矢視断面内部側面図であり、外壁の内面に沿って配置される遮熱アセンブリを示しており、取付クリップは、遮熱材カバープレートのカバープレート部分の縁部及び内奥部に沿って配置されている。
【
図5】
図1~
図4の半径方向構造体の実施形態の
図4の5-5矢視部分断面図であり、外壁の内側の遮熱材上の遮熱材カバープレートの縁部に沿って配置された取付クリップを示す。
【
図6】
図1~
図5の遮熱アセンブリの取付クリップの一実施形態の斜視図である。
【
図7】
図1~
図4の半径方向構造体の実施形態の
図4の7-7矢視部分断面図であり、支持片を有する継手の両側のカバープレート部分上に配置される一対の取付クリップを示す。
【
図8】
図1~
図4の半径方向構造体の実施形態の
図7の8-8矢視上面図であり、カバープレート部分の凹部に配置された一対の取付クリップを示す。
【
図9】
図1~
図4の半径方向構造体の実施形態の
図4の9-9矢視部分断面図であり、外壁上の遮熱材上の遮熱材カバープレートの内奥部に配置された取付クリップを示す。
【
図10】遮熱材カバープレートに対して遮熱材を(例えば
図2及び
図3の空力ハウジングの前縁又は後縁に沿って)保持するように構成された遮熱材取付クリップの実施形態の斜視図である。
【
図11】
図1~
図4の半径方向構造体の実施形態の部分断面図であり、
図10の遮熱材取付クリップによって遮熱材カバープレートに対して保持された遮熱材を有する遮熱アセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願で開示するシステムの1以上のある実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するため、現実の実施に際してのあらゆる特徴について本明細書に記載しないこともある。実施化に向けての開発に際して、あらゆるエンジニアリング又は設計プロジェクトの場合と同様に、実施毎に異なる開発者の特定の目標(システム及び業務に関連した制約に従うことなど)を達成すべく、実施に特有の多くの決定を行う必要があることは明らかであろう。さらに、かかる開発努力は複雑で時間を要することもあるが、本明細書の開示内容に接した当業者にとっては日常的な設計、組立及び製造にすぎないことも明らかであろう。
【0010】
本開示の様々な実施形態の構成要素について紹介する際、単数形で記載したものは、その構成要素が1以上存在することを意味する。「含む」、「備える」及び「有する」という用語は内包的なものであり、記載した構成要素以外の追加の要素が存在していてもよいことを意味する。
【0011】
以下で説明する通り、遮熱アセンブリは、ガスタービンの下流の排気ディフューザのような、ガスタービンシステムの1以上の部品に結合し得る。遮熱アセンブリは、遮熱材取付アセンブリによって所定の位置に取り付けられた遮熱材を含んでいてもよく、遮熱材の上に配置され、かつ複数の取付クリップによって保持される遮熱材カバープレートを含んでいてもよい。開示された実施形態は、遮熱材及びその下の部品の表面に沿った(例えば表面に平行な)第1の方向への遮熱材カバープレートの移動(又は浮動)を可能にするが、表面と交差する(例えば表面に垂直な)第2の方向への遮熱材カバープレートの移動は略阻止する。例えば、取付クリップの各々は、固定継手(例えば溶接継手)のような継手で部品(例えば排気ディフューザ)の壁に結合してもよいが、各取付クリップは、遮熱材カバープレートには固定した状態では結合されない。そこで、遮熱材カバープレートは、遮熱材を部品の壁に対して保持したまま、部品の熱膨張及び収縮に応じて移動することができる。部品は、排気ディフューザの排気流路に配置された翼形状を有する半径方向構造体のような、排気ディフューザの任意の部分を含むことができる。ただし、遮熱アセンブリの開示された実施形態は、ガスタービンシステムの任意の部品、排気ディフューザその他の遮熱によって恩恵を受ける機器で使用し得る。
【0012】
図1は、制御システム14と結合したガスタービンエンジン12を有するガスタービンシステム10の一実施形態の概略図である。以下でさらに詳しく説明する通り、ガスタービンシステム10は、ガスタービンシステム10の1以上の部品における温度を制御するように構成された熱システム16を含む。例えば、熱システム16は、移動又は浮動させることのできる遮熱材カバープレートで遮熱シート又は遮熱層を保持するように構成された遮熱アセンブリ140を含んでおり、それによって熱膨張及び収縮に起因する応力又は損傷を低減する。以下、
図1~
図11を参照して、熱システム16の様々な特徴について説明するが、それら様々な特徴を適宜互いに組合せて用いてもよい。なお、熱システム16について説明する前に、熱システム16を使用することが可能な状況としてガスタービンシステム10について説明する。
【0013】
ガスタービンエンジン12は、吸気セクション18と、圧縮機セクション20と、燃焼器セクション22と、タービンセクション24と、排気ディフューザセクション又はディフューザセクション26と、負荷27と、排気セクション28(例えば排気筒)とを備える。吸気セクション18は、1以上のサイレンサバッフル、流体噴射システム(例えば防氷用の加熱流体噴射)、エアフィルタ又はこれらの任意の組合せを有するダクトを含んでいてもよい。圧縮機セクション20は、ベルマウス32を有する上流側入口ダクト30を含んでいてもよく、入口ダクト30は、内側ハブ34と、内側ハブ34の周りで周方向に配置されて吸気流路を画成する外壁36と、吸気流路内の内側ハブ34と外壁36との間に半径方向に延在する複数の静翼38と、吸気流路内で中心軸の周りで周方向に配置された複数の入口案内翼(IGV)40とを備える。入口案内翼40は1以上のアクチュエータ42に結合していてもよく、アクチュエータ42は制御システム14と通信可能に結合しかつ制御システム14によって制御される。作動時に、制御システム14は、ガスタービンエンジン12の作動中に圧縮機セクション20への吸気の流れを変化させるため入口案内翼40の位置(例えば角度位置)を調整するように構成される。各入口案内翼40の角度位置は、入口ダクト30及び/又は圧縮機セクション20の中心軸に対するものであっても、中心軸に対する半径方向軸に対するものであっても、或いは隣接する入口案内翼40に対するものであってもよい。
【0014】
圧縮機セクション20は1段以上の圧縮機段44を含んでおり、各圧縮機段44は、圧縮機ケーシング50内の圧縮機シャフト48に結合した複数の圧縮機動翼46と、圧縮機ケーシング50に結合した複数の圧縮機静翼52とを含む。圧縮機動翼46及び圧縮機静翼52は、各圧縮機段44内で圧縮機シャフト48の中心軸の周りで周方向に配置される。圧縮機段44は、1~20段又はそれ以上の圧縮機段を含んでいてもよい。さらに、圧縮機段44は、圧縮機セクション20を通る流れの方向に圧縮機動翼46の組と圧縮機静翼52の組とが交互に配置される。作動時に、圧縮機段44は、吸気を漸次圧縮してから燃焼器セクション22へと送る。
【0015】
燃焼器セクション22は、各々1以上の燃料ノズル56を有する1以上の燃焼器54を含む。ある実施形態では、燃焼器セクション22は、ガスタービンエンジン12の中心軸の周りに延在する単一の環状燃焼器54を有していてもよい。ただし、幾つかの実施形態では、燃焼器セクション22は、ガスタービンエンジン12の中心軸の周りで周方向に離間した2、3、4、5、6又は7以上の燃焼器54を含んでいてもよい。燃料ノズル56は、圧縮機セクション20からの圧縮空気58と燃料供給システム62からの燃料60とを受け取って、燃料と空気とを混合し、混合気に点火して高温燃焼ガス64を生成させるが、燃焼ガス64は各燃焼器54を出てタービンセクション24へと入る。
【0016】
タービンセクション24は、1段以上のタービン段66を含んでおり、各タービン段66は、タービンケーシング72内部のタービンシャフト70に周方向に配置されかつ結合した複数のタービン動翼68と、タービンシャフト70の周囲に周方向に配置された複数のタービン静翼73とを含む。タービン段66は、1~10段又はそれ以上のタービン段を含んでいてもよい。さらに、タービン段66は、タービンセクション24を通る流れの方向にタービン動翼68の組とタービン静翼73の組とが交互に配置される。作動時に、高温燃焼ガス64は徐々に膨張してタービン段66のタービン動翼68を回転させる。図に示す実施形態では、タービンケーシング72は、タービンシャフト70の中心軸の周りで周方向に配された内壁74と、内壁74の周りで周方向に配設された外壁76と、内壁74と外壁76との間に配置される冷却流路78とを備える。以下で説明する通り、冷却流路78は、タービンセクション24の温度を下げるのに役立つ流体流(例えば冷却剤又は冷却流)を循環するように構成される。
【0017】
ディフューザセクション26は、排気セクション28から排出する前に排気ガスを膨張させるように構成されている。ディフューザセクション26は、中央ハブ82と外側ケーシング84との間に半径方向に延在する複数のアーム又は半径方向構造体80を含む。中央ハブ82は、タービンシャフト70及び負荷27(例えば発電機、機械等)に結合したシャフト88の中心軸86の周りで周方向に延在しており、シャフト88は、中央ハブ82で囲まれたキャビティ92内に配置された1以上の軸受90によって支持される。中央ハブ82は、中央ハブ82の内壁96と外壁98との間に冷却流路94を含んでいてもよく、内壁96は中心軸86の周りで周方向に延在し、冷却流路94は内壁96の周りで周方向に延在し、外壁98は冷却流路94の周りで周方向に延在する。冷却流路94は、
図2を参照して以下でさらに詳しく説明する通りキャビティ92内に延在していてもよい。同様に、外側ケーシング84は、外側ケーシング84の内壁102と外壁104との間に冷却流路100を含んでいてもよく、内壁102は中心軸86の周りで周方向に延在し、冷却流路100は内壁102の周りで周方向に延在し、外壁104は冷却流路100の周りで周方向に延在する。
【0018】
ディフューザセクション26の半径方向構造体80は、中心軸86の周りで互いに周方向に離間しており、中央ハブ82と外側ケーシング84との間に冷却及び構造的支持の両方をもたらす。ある実施形態では、ディフューザセクション26は、中心軸86の周りで均等に又は不均等に離間した2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の半径方向構造体80を含んでいてもよい。図に示す実施形態では、各半径方向構造体80は、構造支持体又はストラット108と外壁又はシェル110との間に冷却流路106を有する。冷却流路106は、冷却流路100及び94と流体連通し、冷却流が外側ケーシング84、半径方向構造体80及び中央ハブ82を流れるのを促進する。ストラット108は、中央ハブ82(例えば内壁96で)及び外側ケーシング84(例えば外壁104で)に機械的に結合する。ある実施形態では、ストラット108は、中実ストラットであっても中空ストラットであってもよい。半径方向構造体80の外壁110は、冷却流路106及びストラット108の周囲全体に延在しており、外壁110及びストラット108は、中央ハブ82から外側ケーシング84まで半径方向に延在している。ある実施形態では、外壁110は、ストラット108の周りに冷却流路106を画成するためストラット108の周りにオフセット距離で配置された空力ハウジング112(例えば翼形ハウジング又は翼形部など)を画成することができる。このように、空力ハウジング112は、中央ハブ82と外側ケーシング84との間の排気流路114に沿った半径方向構造体物80に起因する流れ抵抗を低減するように構成される。
【0019】
図1にさらに示すように、熱システム16は、タービンセクション24の冷却流路78並びにディフューザセクション26の冷却流路100、106及び94とそれぞれ冷却剤供給ライン又は導管118及び120を介して流体連通した冷却システム116を含む。冷却システム116は、圧縮機セクション20及び/又は流体供給源122などの1以上の供給源から冷却剤供給ライン又は導管124及び126を介して冷却流体又は冷却剤(例えば気体冷却剤)を受け取ることができる。例えば、導管124は、圧縮機セクション20から圧縮ガス(例えば空気)を抽気するように構成された圧縮機ブリード導管であってもよい。流体供給源122は、スタンドアロン圧縮機、圧縮ガスタンク、パイプライン、又はガス冷却剤のような別の流体の供給源であってもよい。ガス冷却剤としては、空気、不活性ガス(例えば窒素)又は別の適切なガスが挙げられる。ある実施形態では、冷却システム116は、冷却流路78、100、106及び94に送る前に、冷却流体(例えばガス冷却剤)をコンディショニング、冷却、圧縮及び/又は調整するように構成された複数の部品(例えば128、130、132及び134)を含んでいてもよい。例えば、部品128は、水及び/又は微粒子を除去するための1以上のコンディショナー及び/又はフィルタを含んでいてもよく、部品130は、冷却流体から熱を抽出するように構成された冷却器又は熱交換器を含んでいてもよく、部品132は、冷却流体の圧力を増加させるように構成された圧縮機(例えばブースト圧縮機)を含んでいてもよく、部品134は、冷却流体の流れを制御するように構成された流量コントローラ又はレギュレータ(例えば圧力レギュレータ、流量計、弁など)を含んでいてもよい。冷却システム116は、タービンセクション24内の冷却流路78及びディフューザセクション26内の冷却流路100、106及び94を介して冷却流体(例えば空気等のガス冷却剤)を供給するように構成され、温度制御及び部品の熱劣化の低減に寄与する。
【0020】
以下でさらに詳しく説明する通り、熱システム16は、半径方向構造体80のようなディフューザセクション26の1以上の部品に結合した遮熱アセンブリ140も含んでいる。例えば、遮熱アセンブリ140は、空力ハウジング112の内部に外壁110の内面に沿って配置し得る。遮熱アセンブリ140は、半径方向構造体80の熱膨張及び収縮に適応させるため遮熱材カバープレートが移動できるように構成され、それによってガスタービンシステム10の作動時の遮熱材の健全性及び性能を維持するのに役立つ。例えば、遮熱アセンブリ140は、遮熱材カバープレートの移動又は浮動を可能にするマウント(例えば取付クリップ)を介して1以上の遮熱シートを所定の位置に保持し得る。以下、遮熱アセンブリ140の様々な態様についてさらに詳しく説明する。
【0021】
作動時に、ガスタービンシステム10は、矢印136で示すように吸気セクション18から入口ダクト30へと空気を吸い込み、入口案内翼40をアクチュエータ42によって制御して圧縮機セクション20への空気流を調整するため入口案内翼40の角度位置を調整し、圧縮機セクション20は、燃焼器セクション22へと供給される空気流を圧縮するように構成される。例えば、圧縮機セクション20の各段44は、複数の動翼46で空気流を圧縮する。圧縮空気流58は次いで燃焼器54の各々に入り、燃料ノズル56で圧縮空気流は燃料供給システム62からの燃料60と混合される。燃料と空気の混合気は、各燃焼器54で燃焼されて高温燃焼ガス64を生成し、高温燃焼ガス64はタービンセクション24に流入して各段66においてタービン動翼68の回転を駆動する。タービン動翼68の回転はタービンシャフト70の回転を駆動し、タービンシャフト70は負荷27に結合したシャフト88及び圧縮機シャフト48に結合したシャフト89を介して負荷27及び圧縮機セクション20の回転を駆動する。タービンセクション24は、次いで排気流路114に沿ってディフューザセクション26内に排気ガスを排出し、排気ガスを膨張させる。続いて、矢印138で示すように、排気ガスはディフューザセクション26から、最終処理及び環境への排出のための排気セクション28を通して排出される。排気セクション28は、排気ダクト、排気処理装置、サイレンサ又はそれらの任意の組合せを含んでいてもよい。ある実施形態では、排気セクション28は、蒸気タービンを駆動するための蒸気を発生するように構成された排熱回収ボイラ(HRSG)のような熱交換器を含んでいてもよい。
【0022】
制御システム14は1以上のコントローラ142を含んでいてもよく、各々、プロセッサ144、メモリ146、メモリ146に格納されかつプロセッサ144によって実行可能な命令148、及び冷却システム116を含むガスタービンシステム10と通信するように構成された通信回路150を有する。制御システム14は、符号152で示すように、ガスタービンシステム10全体に配置された様々なセンサにも結合している。例えば、センサ152は、吸気セクション18、圧縮機セクション20、燃焼器セクション22の燃焼器54、タービンセクション24、ディフューザセクション26、負荷27、排気セクション28、並びに熱システム16の様々な部品に結合させて、状態を監視してもよい。制御システム14はセンサ152からのフィードバックを受け取って、ガスタービンエンジン12の各種作動パラメータ(例えば吸気流量、燃料供給システム62から燃焼器54への燃料供給、排気セクション28の排気処理装置の作動、冷却システム116によって供給される冷却流、又はそれらの任意の組合せなど)の調整を促進する。
【0023】
図2は、
図1のディフューザセクション26の一実施形態の部分断面側面図であり、半径方向構造体80、中央ハブ82及び外側ケーシング84の詳細を示す。図に示すように、中央ハブ82は、内壁96と外壁98との間に配置された冷却流路94を有しており、冷却流路94、内壁96及び外壁98は、中心軸86の周りで周方向に延在している。内壁96は、冷却流路94から軸受90を有するキャビティ92への冷却流体の流れを促進にするため、複数の冷却ポート又は開口160を含んでいてもよい。同様に、外側ケーシング84は、内壁102と外壁104との間に配置された冷却流路100を有しており、冷却流路100、内壁102及び外壁104は中心軸86の周りで周方向に延在している。さらに、外側ケーシング84は排気流路114の周りで周方向に延在しており、排気流路114は外側ケーシング84と中央ハブ82との間に配置される。図に示す実施形態では、外側ケーシング84は、排気流路14に沿った排気流の下流方向に向かって、中心軸86から外側に拡大又は発散する。したがって、内壁102は、排気流路114の下流方向に中心軸86に対して発散するテーパ状環状壁構造162を有し得る。例えば、テーパ環状壁構造162は、中心軸86の周りで周方向に配置された円錐壁構造、湾曲環状壁構造又はそれらの組合せを含んでいてもよい。
【0024】
外側ケーシング84の冷却流路100は、半径方向構造体80のストラット108と外壁110との間の冷却流路106を介して中央ハブ82の冷却流路94と流体連通している。図に示すように、冷却流路106は、外壁110内側のストラット108の周囲に延在している。ストラット108は、中実ストラットを含んでいても、或いは中空内部164を有する中空ストラットを含んでいてもよく、中空内部164は半径方向に中央ハブ82と外側ケーシング84との間に延在し得る。図に示す実施形態では、ストラット108は、外側ケーシング84の外壁104及び中央ハブ82の内壁96に機械的に結合し、それらの間に延在している。半径方向構造体80の外壁110は、外側ケーシング84の内壁102と中央ハブ82の外壁98とを機械的に結合し、それらの間に延在している。上述の通り、半径方向構造体80は、空力形状又は翼形の外壁110によって形成される空力ハウジング112(例えば翼形部)を有し得る。半径方向構造体80内の冷却流路106は、空力ハウジング112の上流又は前縁166から下流又は後縁168まで、外壁110の内面に沿って延在している。半径方向構造体80は、空力ハウジング112の後縁68に結合したフェアリング170も含む。したがって、フェアリング170は、半径方向構造体80全体の下流又は後縁172を画成し得る。
【0025】
作動時に、排気流は、排気流路114に沿って中央ハブ82と外側ケーシング84との間のディフューザセクション26を通過し、排気流は前縁166から後縁172まで半径方向構造体80の両側面の周りを流れる。排気流路114は、一般に中央ハブ82の周りで周方向に延在しており、排気流路114は、中心軸86の周りで発散又は拡大する環状流路であってもよい。排気ガスがディフューザセクション26を流れると、半径方向構造体80は排気ガスからの熱に付される。したがって、
図1を参照して上述した冷却システム116は、冷却流路100の矢印174、冷却流路106の矢印176、冷却流路94の矢印178、及びキャビティ92へと通じる開口160の矢印180で示すように、ディフューザセクション26を通して冷却流体を供給する。したがって、冷却流体は、外側ケーシング84、半径方向構造体80、中央ハブ82並びに1以上の軸受90を収容するキャビティ92を通して冷却をもたらす。さらに、熱システム16は、半径方向構造体80の外壁110の内面に沿って遮熱材を提供するように構成された遮熱アセンブリ140を含む。以下でさらに詳しく説明する通り、遮熱アセンブリ140は、半径方向構造体80の外壁110の内側に沿って遮熱材取付アセンブリ192によって保持される遮熱材190を含む。
【0026】
図3は、
図1及び
図2の半径方向構造体80の実施形態の
図2の3-3矢視断面図であり、半径方向構造体80及び遮熱アセンブリ140の詳細を示す。図に示すように、遮熱材190は、外壁110の内面に沿って配置された1以上の遮熱層又はシート194を含んでいてもよく、遮熱層又はシート194は、外壁110の内面の実質的に全体で連続した或いはセグメント化された遮熱層とし得る。例えば、図に示す実施形態では、遮熱層又はシート194は、半径方向構造体80の上流セクション198に遮熱材部分196及び半径方向構造体80の下流セクション202に遮熱材部分200を有していてもよい。これらの遮熱材部分196及び200の各々は、遮熱材190の遮熱層又はシート194を集合的に画成する1以上の遮熱層又はシートを含んでいてもよい。
【0027】
遮熱材取付アセンブリ192は、遮熱材190の上に配置され、かつ複数の遮熱材マウント又は取付クリップ206によって保持される遮熱材カバープレート204を含む。取付クリップ206は、ステンレス鋼(例えばSAE304ステンレス鋼)のような金属で作成し得る。遮熱材カバープレート204は、ステンレス鋼(例えばSAE304ステンレス鋼)のような金属で作成し得る。半径方向構造体80の外壁110は、ステンレス鋼(例えばSAE347ステンレス鋼)のような金属で作成し得る。遮熱材190は、セラミック繊維遮熱材、ガラス繊維遮熱材及び/又はセラミックガラス繊維遮熱材のような繊維遮熱材を含んでいてもよい。遮熱材カバープレート204は、半径方向構造体80の上流セクション198に配置されたカバープレート部分208及び下流セクション202に配置されたカバープレート部分210のような1枚以上のカバープレートを含んでいてもよい。したがって、カバープレート部分208が上流セクション198の遮熱材部分196上に延在してもよく、カバープレート部分210が下流セクション202の遮熱材部分200上に延在してもよい。
【0028】
取付クリップ206は、上流セクション198及び下流セクション202の両方で半径方向構造体80全体に分布して、遮熱材カバープレート204で覆われた遮熱材190を保持できるようにする。以下でさらに詳しく説明する通り、取付クリップ206は、カバープレート部分208及び210の各々が、遮熱材190及び半径方向構造体80の外壁110に対して、例えば外壁110の内面に沿った方向(例えば内面と平行)に移動(又は浮動)できるように構成されている。ある実施形態では、上流及び下流セクション198及び202の各々の遮熱材カバープレート(例えばカバープレート部分208及び210の各々における1以上のカバープレート)は、取付クリップ206を介して互いに独立に移動するように構成される。
【0029】
図に示す実施形態では、半径方向構造体80の外壁110は、半径方向構造体80の上流セクション198に配置された壁部212と、下流セクション202に配置された壁部214とを含んでいてもよい。上流セクション198の壁部212は、空力ハウジング112の湾曲ノーズ部216として画成してもよく、下流セクション202の壁部214は、空力ハウジング112の湾曲テール又は後部218として画成し得る。遮熱材部分196及びカバープレート部分208は、湾曲ノーズ部216の輪郭に概ね追従するので、湾曲ノーズ部216の一部として説明することができる。同様に、遮熱材部分200及びカバープレート部分210は、湾曲後部218の輪郭に概ね追従するので、湾曲後部218の一部として説明することができる。外壁110、遮熱材190及び遮熱材カバープレート204は、集合的に、前縁166から後縁168まで空力ハウジング112を通る中心軸又は中心平面220の両側の周りで湾曲して湾曲ノーズ部及び後部216及び218を画成する。ある実施形態では、湾曲ノーズ部216及び湾曲後部218を含む空力ハウジング112は、中心平面220の周りで対称であってもよい。
【0030】
上流セクション198の湾曲ノーズ部216は、下流セクション202の湾曲後部218と継手222(例えば外壁110の両側面の継手)で結合し、継手222は、半径方向構造体80の半径方向長さに沿った溶接継手(例えば溶接線)であってもよい。したがって、遮熱層又はシート194及び遮熱材カバープレート204は、上流及び下流セクション198及び202のそれぞれの遮熱材部分196及び200及びカバープレート部分208及び210に示すように、継手222で連続して延在していてもよいし、途切れていてもよい。下流セクション202の湾曲後部218は下流の後縁168に向かって延在しており、後縁168は平坦な後壁224を含んでいてもよく、後壁224はフェアリング170に結合される。
【0031】
遮熱材取付アセンブリ192は、取付クリップ206を介して遮熱材カバープレート204を移動できるようにしつつ、遮熱材190を外壁110の内面に保持するように構成されている。例えば、取付クリップ206の1以上を、固定式又は取外し自在な継手(例えば溶接継手又はねじ部品)を介して外壁110の複数の部分に結合させて、取付クリップ206を外壁110に対して静止位置に保持しつつ、取付クリップ206及び外壁110に対して遮熱材カバープレート204を移動できるようにしてもよい。対照的に、取付クリップ206は、遮熱材カバープレート204に固定結合されていなくてもよく、遮熱材カバープレート204は、外壁110の内面に沿った方向(例えば平行)に移動できる。代替的に又は追加的に、取付クリップ206の1以上を、固定式又は取外し自在な継手(例えば溶接継手又はねじ部品)を介して遮熱材カバープレート204の複数の部分に結合させて、取付クリップ206を遮熱材カバープレート204に対して静止位置に保持しつつ、取付クリップ206と外壁110との間の可動継手(例えば雄/雌レール接続、スロット内の拡大ヘッド、スロット内のフック、雄/雌ダブテール継手など)を介して外壁110に対して遮熱材カバープレート204を移動できるようにしてもよい。遮熱材取付アセンブリ192の実施形態は、遮熱材カバープレート204(例えばカバープレート部分208及び210の1枚以上のカバープレート)を移動できるようにするための上述の構成の各々に配置した1以上の取付クリップ206を含んでいてもよい。
【0032】
いずれの構成においても、取付クリップ206は半径方向構造体80の内部全体に分布しており、取付クリップ206は遮熱材カバープレート204の外縁部及び/又は内側領域に沿って(例えばカバープレート部分208及び210の外縁部及び/又は内奥部など)に配置し得る。ある実施形態では、取付クリップ206は、遮熱材カバープレート204の各縁(例えば矩形遮熱材カバープレートの4辺の各々)に沿った1所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所又はそれ以上の位置並びに遮熱材カバープレート204の1以上の内奥部で、遮熱材カバープレート204(例えばカバープレート部分208及び210)に結合させてもよい。遮熱アセンブリ140の追加の詳細については、以下でさらに詳しく説明する。
【0033】
図4は、
図1~
図3の半径方向構造体80の実施形態の
図3の4-4矢視断面内部側面図であり、外壁110の内面230に沿って配置された遮熱アセンブリ140を、分かり易いようにストラット108を取り外した状態で示す。図に示すように、外壁110の壁部212及び214は、上流セクション198と下流セクション202との間の継手222に沿って互いに結合し、継手222は、外壁110の半径方向外側縁又は上縁234と半径方向内側縁又は下縁236との間で線232(例えば溶接線)上に延在する溶接継手であってもよい。継手222は、継手222の溶接線232に沿って延在する支持片238を含んでいてもよい。例えば、支持片238は、継手222に沿った溶接を容易にするように構成されていてもよく、外壁110と適合性の適切な溶接材料(例えばSAE304ステンレス鋼)を含んでいてもよい。継手222の両側で、上流セクション198は、遮熱材部分196の上方に配置され、かつ複数の取付クリップ206で保持されるカバープレート部分208を有しており、取付クリップ206は、半径方向外側縁又は上縁234に沿って、支持片238に沿って、さらに半径方向内側縁又は下縁236に沿って配置される。同様に、下流セクション202は、遮熱材部分200の上方に配置され、かつ複数の取付クリップ206で保持されるカバープレート部分210を有しており、取付クリップ206は、半径方向外側又は上縁234に沿って、支持片238に沿って、さらに半径方向内側又は下縁236に沿って配置される。
【0034】
ある実施形態では、取付クリップ206の各々は、溶接継手その他の固定式又は取外し自在な継手継手によって、外壁110に結合させることができる。ただし、取付クリップ206は、カバープレート部分208及び210には固定結合されていないので、カバープレート部分208及び210は、壁部212及び214の内面230に沿った方向(例えば内面230と平行)に移動できる。取付クリップ206は、壁部212及び214の内面230と交差する方向(例えば垂直方向)へのカバープレート部分208及び210の移動を阻止し、カバープレート部分208及び210を内面230に沿って遮熱材部分196及び200に対して保持する。したがって、カバープレート部分208及び210は、半径方向構造体80の各種部品の熱膨張及び収縮に応じて、内面230に沿って浮動又は移動できる。
【0035】
以下でさらに詳しく説明する通り、取付クリップ206は、半径方向外側又は上縁234、支持片238及び半径方向内側又は下縁236に沿って、カバープレート部分208又は210の外縁部又は外周部240と係合しており、カバープレート部分208及び210を遮熱材部分196及び200上に保持することができる。さらに、取付クリップ206は、カバープレート部分208及び210の1以上の内奥部242に配置して、カバープレート部分208及び210の中央領域を外壁110のそれぞれの壁部212及び214に保持してもよい。これらの取付クリップ206の各々は、縁部240に沿って配置するか内奥部242に配置するかにかかわらず、半径方向構造体80の部品の熱膨張及び収縮に応じたカバープレート部分208及び210の移動を可能にするように構成される。以下、これらの取付クリップ206及びその取付け位置について、
図5~
図11を参照してさらに詳しく説明する。
【0036】
図5は、
図1~
図4の半径方向構造体の実施形態の
図4の5-5矢視部分断面図であり、外壁110の内側の遮熱材190上の遮熱材カバープレート204の縁部240に沿って配置された取付クリップ206を示す。例えば、図に示す実施形態は、遮熱材カバープレート204のカバー部208及び210の縁部240に沿って配置された取付クリップ206の各々における遮熱材取付アセンブリ192の詳細が記載されている。図に示すように、遮熱アセンブリ140は、外壁110の内面230に沿って配置された遮熱材190と、遮熱材190及び外壁110の上方に配置された遮熱材カバープレート204と、遮熱材カバープレート204の一部の上に配置されかつ外壁110に結合した取付クリップ206とを有する。
【0037】
特に、遮熱材カバープレート204は、外周プレート部分又は境界部252で囲まれた中央プレート部分250を有しており、外周プレート部分252は、遮熱材カバープレート204の縁部240まで延在していて拡大境界部254を含む。例えば、ある実施形態では、拡大境界部254は、遮熱材カバープレート204の内側258に取り付けられた追加のスペーサ部分256のように、中央プレート部分250に比して増加した厚さを有していてもよい。例えば、スペーサ部分256は、遮熱材カバープレート204の連続片、遮熱材カバープレート204上に付加された追加片、遮熱材カバープレート204の屈曲部、又はそれらの組合せであってもよい。図に示す実施形態では、遮熱材カバープレート204は、縁部240での遮熱材カバープレート204の屈曲部又は折畳部260を含んでいて、スペーサ部分256を有する拡大境界部254を画成する。例えば、屈曲部又は折畳部260は、外周プレート部分252の縁部240に沿ったヘムフランジの一部であってもよい。スペーサ部分256は、遮熱アセンブリ140を組み立てる前の遮熱材190の厚さと等しいか又はそれよりも薄い厚さを有していてもよい。例えば、スペーサ部分256は、遮熱材カバープレート204と外壁110との間の遮熱材190を遮熱材カバープレート204によって少なくとも部分的に圧縮(例えば少なくとも20%、30%、40%、50%又はそれ以上の圧縮)できるようにするために、減少させた厚さを有していてもよい。例えば、遮熱材カバープレート204を遮熱材190の上に取り付けたとき、遮熱材190は厚さが4mmから2mmへと圧縮されてもよい。
【0038】
取付クリップ206は、遮熱材カバープレート204の一部の上に縁部240を越えて延在している。図に示すように、取付クリップ206は、縁部240を越えて端部262と端部264の間に延在しており、取付クリップ206は、端部262に隣接して配置される拡大ヘッド266と、拡大ヘッド266から端部264まで延在する長尺矩形体268とを有する。拡大ヘッド266は、拡大ヘッド266が遮熱材カバープレート204の外周プレート部分又は境界部252の厚さを越えて延在し、かつ外壁110の内面230に接触するように、長尺矩形体268に比して増加した厚さを有することができる。さらに、拡大ヘッド266は、遮熱材カバープレート204の縁部240に面する平坦な内側ストップ270と、取付クリップ206と外壁110との接合を容易にするように構成されたテーパ部272とを含んでいてもよい。例えば、平坦な内側ストップ270は、遮熱材カバープレート204の縁部240に対する当接面又はストップ構造をもたらすように構成される。拡大ヘッド266は、継手274(例えば取付クリップ206の材料を外壁110の材料に接合する溶接継手など)を介して外壁110の内面230に固定結合してもよい。テーパ部272は、継手274(例えば溶接継手)に沿った接合を容易にするため、拡大ヘッド266と外壁110との間に傾斜陥凹領域276をもたらす。長尺矩形体268は、遮熱材カバープレート204の外面280に面する平坦な内面278を有する平板であってもよい。
【0039】
作動時に、長尺矩形体268は、例えば半径方向構造体80の熱膨張及び収縮に応答して、表面278及び280並びに外壁110の内面230に沿った第1の方向(例えば平行方向282)に遮熱材カバープレート204が移動できるようにする。図に示す実施形態では、取付クリップ206は継手274を介して外壁110に結合しているが、取付クリップ206は遮熱材カバープレート204には固定結合されていない。取付クリップ206は、内面230及び表面278及び280に対する第2の方向(例えば垂直方向のような交差方向284)への遮熱材カバープレート204の移動を阻止するが、第1の方向(例えば平行方向282)への移動は可能にするように構成されている。取付クリップ206及び遮熱材取付アセンブリ192の追加の詳細については、以下でさらに詳しく説明する。
【0040】
図6は、
図3~
図5の取付クリップ206の一実施形態の斜視図であり、拡大ヘッド266及び長尺矩形体268の詳細を示す。図に示すように、長尺矩形体268は、端部264から平坦な内側ストップ270まで延在しており、長尺矩形体268は、平坦な内側ストップ270からオフセットしかつ内側ストップ270と平行な端壁290を含む。長尺矩形体268は、互いに平行で、かつ端壁290及び平坦な内側ストップ270に垂直な両側の側壁292及び294を含む。長尺矩形体268は、端壁290と、平坦な内側ストップ270と両側の側壁292及び294との間に延在する内側平面278を含む。長尺矩形体268は、内側平面278と互いに平行な反対側の外側平面296も含む。ある実施形態では、長尺矩形体268は、上記で詳しく説明したように遮熱材カバープレート204の移動を可能にするように構成された他の形状又は幾何形状を有していてもよい。拡大ヘッド266は、両側の側壁292及び294間に延在する傾斜表面298を有するテーパ部272を含み、傾斜表面298は、平坦な内側ストップ270と端部262の端壁300との間にも延在している。傾斜表面298は、平坦な内側ストップ270に対して、約20度、30度、40度、50度、60度又は70度以下の角度をなしていてもよい。さらに、平坦な内側ストップ270は、内側平面278に対して約90度の角度をなしていてもよい。
【0041】
図7は、
図1~
図4の半径方向構造体80の実施形態の
図4の7-7矢視部分断面図であり、支持片238を有する継手222の両側のカバープレート部分208及び210の上に配置される一対の取付クリップ206を示す。特に、図に示す実施形態は、上流セクション198と下流セクション202の間の継手222に沿った遮熱材取付アセンブリ192の詳細を示している。
図7に示すように、支持片238は、外壁110の壁部212及び214間の継手222の上に継手222に沿って配置されており、支持片238は、溶接、ろう付け又は他の適切な締結手段によって壁部212及び214にさらに固定してもよい。継手222の両側には、取付クリップ206がカバープレート部分208及び210上に配置されており、カバープレート部分208及び210自体はそれぞれの遮熱材部分196及び200の上に配置される。図示した取付クリップ206、カバープレート部分208及び210並びに遮熱材部分196及び200の配置の各々は、上記で
図5を参照して詳しく説明したものと実質的に同じである。換言すると、
図5を参照して上述した取付けの詳細は、
図7に示すように継手222の両側で用いることができる。ある実施形態では、取付クリップ206は、カバープレート部分208及び210の縁部240と直接整列した平坦な内側ストップ270を有し得る。ただし、実施形態によっては、取付クリップ206の拡大ヘッド266は、カバープレート部分208及び210の縁部240に対して部分的に凹んでいてもよい。
【0042】
図8は、
図1~
図4の半径方向構造体80の実施形態の
図7の8-8矢視上面図であり、カバープレート部分208及び210のそれぞれの凹部310及び312に配置された一対の取付クリップ206を示す。取付クリップ206は、遮熱材部分196及び200の上に配置されたカバープレート部分208及び210と係合し、かつそれらの上に部分的に延在している。図に示す実施形態では、カバープレート部分208は、取付クリップ206を収容するため縁部240から離れて内側に延在する凹部310を含む。同様に、カバープレート部分210は、取付クリップ206を収容するために縁部240から離れて内側に延在する凹部312を含む。例えば、凹部310は、縁部240及び支持片238と実質的に平行な凹部縁314を有するカバープレート部分208の切抜部を含んでいてもよく、取付クリップ206の拡大ヘッド266は少なくとも部分的に又は完全に凹部310内に配置し得る。同様に、凹部312は、縁部240及び支持片238と実質的に平行な凹部縁316を有するカバープレート部分210の切抜部を含んでいてもよく、取付クリップ206の拡大ヘッド266は少なくとも部分的に又は完全に凹部312内に配置し得る。
【0043】
図に示すように、カバープレート部分208上の取付クリップ206の拡大ヘッド266の平坦な内側ストップ270は、カバープレート部分208が外壁110に沿って平行方向282に移動する空間をもつように、凹部縁314からのオフセット距離をおいて凹部310内に配置される。同様に、カバープレート部分210上の取付クリップ206の拡大ヘッド266の平坦な内側ストップ270は、カバープレート部分210が外壁110に沿って平行方向282に移動する空間をもつように、凹部縁316からのオフセット距離をおいて凹部312内に配置される。さらに、凹部310及び312は、カバープレート部分208及び210の縁部240を支持片238に近づけて配置できるようにし、カバープレート部分208及び210が遮熱材部分196及び200を支持する位置を支持片238に近づけることができる。
【0044】
図示した凹部310及び312を有するカバープレート部分208及び210の構成は、半径方向構造体80の半径方向外側又は上縁234及び半径方向内側又は下縁236に沿った縁部240を始めとして、カバープレート部分208及び210に沿った任意の位置に配置することができる。したがって、
図8に示す凹部310及び312及び取付クリップ206の構成は、
図7に示すような支持片238に沿った構成に限定されるものではない。凹部内の取付クリップ206は、遮熱材カバープレート204の取付け及び相対移動を容易にするための任意の位置での使用が予定される。
【0045】
図9は、
図1~
図4の半径方向構造体80の実施形態の
図4の9-9矢視部分断面図であり、外壁110上の遮熱材カバープレート204の内奥部242に配置された取付クリップ206を示す。図に示す実施形態では、取付クリップ206は、拡大ヘッド324にステム又はシャフト322を結合した中央取付クリップ320とし得る。例えば、ステム又はシャフト322は円筒形シャフトであってもよく、拡大ヘッド324は円形ヘッドであってもよい。例えば、拡大ヘッド324は、ステム又はシャフト322に結合した隆起中央部326と、隆起中央部326の周囲に周方向に延在するテーパ状環状部328と、テーパ状環状部328の周りに延在する円形の外周330とを含んでいてもよい。さらに、拡大ヘッド324は、遮熱材カバープレート204の外面280に面するように構成される内側平面332(例えば環状平面)を含んでいてもよい。図に示す実施形態では、ステム又はシャフト322は、遮熱材カバープレート204の開口部334、遮熱材190の開口部336及び外壁110のボア338を貫通して延在している。ある実施形態では、ステム又はシャフト322は、溶接継手のような継手340によって外壁110に固定結合されるが、次いで外壁110の表面と面一になるように機械加工してもよい。
【0046】
図9にさらに示すように、遮熱材取付アセンブリ192は、遮熱材カバープレート204と外壁110の間でステム又はシャフト322の周りに配置されたワッシャ342を含んでいてもよい。ワッシャ342は、外壁110と遮熱材カバープレート204との間に所望の間隔を与えるように構成された厚さを有することができ、それによって外壁110と遮熱材カバープレート204との間での遮熱材190の圧縮を制御する。例えば、ワッシャ342の厚さは、遮熱材190の上に中央取付クリップ320を介して遮熱材カバープレート204を取り付けたときに、遮熱材190を少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%又は50%圧縮するように選択し得る。
【0047】
中央取付クリップ320は、カバープレート部分208及び210の内奥部242の保持をもたらすため、カバープレート部分208及び210の各々の1箇所以上の位置に配置し得る。また、実施形態によっては、中央取付クリップ320は、カバープレート部分208及び210の保持をもたらすため、縁部240に沿って又は縁部240の少なくとも近傍で使用してもよい。遮熱材カバープレート204の開口部334は、ステム又はシャフト322の直径よりも十分に大きい寸法であり、それにより
図5を参照して上述したような遮熱材カバープレート204の平行方向282への横移動が可能となる。さらに、拡大ヘッド324は、開口部334よりも大きい直径(例えば1.5倍、2倍、2.5倍又は3倍)を有しており、それにより外壁110の内面230に対する遮熱材カバープレート204の交差方向284(例えば垂直方向)への移動を阻止する。
【0048】
図10は、遮熱材カバープレート204に対して遮熱材190を(例えば
図2及び
図3の空力ハウジング112の前縁166又は後縁168に沿って)保持するように構成された遮熱材取付クリップ350の実施形態の斜視図である。遮熱材取付クリップ350は、U字型クリップ354から延在又はU字型クリップ354に結合した長尺遮熱材ホルダ又はアーム352を含む。長尺遮熱材ホルダ352は、相対する平行面356及び358を有する矩形板のような長尺平板を含んでいてもよい。長尺遮熱材ホルダ352は、中間屈曲部360を介してU字型クリップ354に連結してもよく、中間屈曲部360は、以下でさらに詳しく説明する通り、遮熱材190を収容するための厚さの調整に用いることができる。U字型クリップ354は、互いに離間して、屈曲部366を介して互いに結合した対向する壁362及び364を含んでいてもよい。例えば、壁362及び364は、矩形平板部分のような平行な矩形壁であってもよい。屈曲部366は、壁362と364の間で約180度曲げられた折板部であってもよい。
【0049】
ある実施形態では、遮熱材取付クリップ350全体が板金で構成されていてもよく、遮熱材取付クリップ350の全体が、均一な厚さを有する単一の連続金属片であってもよい。ただし、ある実施形態では、遮熱材取付クリップ350は、複数の部分片から構成されていてもよく、厚さは均一であっても又は変化していてもよく、材料は均質であっても変化していてもよい。U字型クリップ354は、遮熱材取付クリップ350を遮熱材カバープレート204に取り付けるように構成され、長尺遮熱材ホルダ352は、遮熱材カバープレート204に対して遮熱材190を保持するように構成されている。ある実施形態では、遮熱材取付クリップ350は、
図3に示すように、外壁110の前縁166及び/又は後縁168に使用し得る。
【0050】
図11は、
図1~
図4の半径方向構造体80の実施形態の部分断面図であり、
図10の遮熱材取付クリップ350によってて遮熱材カバープレート204に対して保持された遮熱材190を有する遮熱アセンブリ140を示す。図に示す実施形態では、遮熱材取付クリップ350は、半径方向構造体80の前縁166又は後縁168に配置されている。ただし、遮熱材取付クリップ350は、遮熱材カバープレート204に対して遮熱材190を保持するために半径方向構造体80の任意の位置に配置し得る。図に示すように、U字型クリップ354は、遮熱材カバープレート204の外周部又は縁部370を包み込んでおり、屈曲部360は、遮熱材190を収容するための長尺遮熱材ホルダ352の高さを調整する。
【0051】
長尺遮熱材ホルダ352は、遮熱材190に沿って長手方向に延在しており、遮熱材カバープレート204に対して遮熱材190を圧縮し得る。したがって、遮熱材取付クリップ350は遮熱材カバープレート204と共に遮熱材190を保持しており、外壁110に対して遮熱材カバープレート204が動くと、遮熱材190も遮熱材カバープレート204と共に移動できるようにする。矢印372で示すように、遮熱材カバープレート204は、遮熱材取付クリップ350及び遮熱材190と共に、半径方向構造体80の熱膨張及び収縮の際に、外壁110に近づいたり遠ざかったりする。したがって、遮熱材取付クリップ350は、遮熱材190を、外壁110ではなく遮熱材カバープレート204に対して保持する。加えて、遮熱材190は、矢印374で示すように遮熱材カバープレート204及び遮熱材取付クリップ350に対して横方向には自由に移動できるが、遮熱材190は矢印376で示す垂直方向には移動できない。
【0052】
開示された実施形態の技術的効果は、排気ディフューザの部品のための遮熱アセンブリを含み、遮熱アセンブリは、排気ディフューザを通過する排気ガスによる熱膨張及び収縮に対応するように構成された遮熱材取付アセンブリを含む。特に、遮熱材取付アセンブリは、複数の取付クリップによって、半径方向構造体(例えば翼形部)の内部のような排気ディフューザの壁の表面に沿って遮熱材上に保持される遮熱材カバープレートを含む。取付クリップは、壁に対する遮熱材カバープレートの垂直運動を阻止するが、平行運動は可能にして、熱膨張及び収縮に適応しながら、壁に対する遮熱材の位置を遮熱材カバープレート維持するようにする。取付クリップは、遮熱材カバープレートの縁部及び/又は内奥部に沿って配置できる。
【0053】
以上詳細に説明してきた技術は、以下に記載する1以上の実施態様として規定し得る。
【0054】
[実施態様1]
システムは、燃焼システムの排気ディフューザの部品内に遮熱材を取り付けるように構成された遮熱材取付アセンブリを備える。前記遮熱材取付アセンブリは、部品の壁上の遮熱材を覆うように構成された遮熱材カバープレートと、遮熱プレート上に部分的に延在するとともに部品の壁に結合するように構成された複数の取付クリップとを備える。複数の取付クリップの各クリップは、壁の表面に沿った第1の方向への遮熱材カバープレートの移動を可能にするが、壁の表面と交差する第2の方向への遮熱材カバープレートの移動を阻止するように構成されている。
[実施態様2]
遮熱材取付アセンブリの遮熱材カバープレートで覆われた遮熱材を有する遮熱アセンブリを含む、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様3]
遮熱アセンブリを有する排気ディフューザの部品を含む、実施態様1又は実施態様2に記載のシステム。
[実施態様4]
中央ハブと外側ケーシングとの間に延在する複数の半径方向構造体を有する排気ディフューザを含み、複数の半径方向構造体が、中央ハブと外側ケーシングとの間の排気流路に沿って配置される、実施態様1乃至実施態様3のいずれか1項に記載のシステム。
[実施態様5]
タービンセクションの下流に排気ディフューザを有するガスタービンシステムを含む、実施態様1乃至実施態様4のいずれか1項に記載のシステム。
[実施態様6]
部品が、キャビティの周りに配置された壁を有する半径方向構造体を含み、前記表面が壁の内面であり、遮熱アセンブリが、前記内面に沿ってキャビティ内に配置される、実施態様1乃至実施態様のいずれか1項に記載のシステム。
[実施態様7]
半径方向構造体が、ストラットの周りに配置された壁を有する翼形ハウジングと、前記壁の内面とストラットとの間に配置される冷却流路とを有する、実施態様1乃至実施態様6のいずれか1項に記載のシステム。
[実施態様8]
複数の取付クリップが翼形ハウジングの壁に固定されており、かつ複数の取付クリップが、遮熱材カバープレートの1以上の縁部及び/又は内奥部で遮熱材カバープレート上に部分的に延在している、実施態様1乃至実施態様7のいずれか1項に記載のシステム。
[実施態様9]
複数の取付クリップの少なくとも1つの取付クリップが、遮熱材カバープレートの縁部に沿って取り付けられるように構成されている、実施態様1乃至実施態様8のいずれか1項に記載のシステム。
[実施態様10]
少なくとも1つの取付クリップは、遮熱材カバープレートの縁部に沿った凹部に取り付けられるように構成されている、実施態様1乃至実施態様9のいずれか1項に記載のシステム。
[実施態様11]
少なくとも1つの取付クリップは、遮熱材カバープレートに沿って配置された平面を有する本体に結合した拡大ヘッドを含んでおり、拡大ヘッドが、壁に溶接されるように構成されたテーパ部を含む、実施態様1乃至実施態様10のいずれか1項に記載のシステム。
[実施態様12]
遮熱材カバープレートが、縁部に沿って拡大境界部を含んでおり、拡大境界部が、壁と遮熱材カバープレートとの間の遮熱材のための間隔を画成するように構成されたスペーサ部分を含む、実施態様1乃至実施態様11のいずれか1項に記載のシステム。
[実施態様13]
複数の取付クリップの少なくとも1つの取付クリップが、遮熱材カバープレートの内奥部に取り付けられるように構成されており、かつ少なくとも1つの取付クリップが、遮熱材カバープレート上の少なくとも一部に配置されるヘッドと、遮熱材カバープレート、遮熱材及び壁の開口部を貫通するシャフトとを含んでおり、シャフトが継手で壁に結合している、実施態様1乃至実施態様12のいずれか1項に記載のシステム。
[実施態様14]
少なくとも1つの取付クリップのシャフトの周りに配置されたスペーサ部分を含んでおり、スペーサ部分が、壁と遮熱材カバープレートとの間の遮熱材の間隔を画成するように構成される、実施態様1乃至実施態様13のいずれか1項に記載のシステム。
[実施態様15]
U字型クリップに結合した遮熱材ホルダを有する遮熱材取付クリップを含んでおり、U字型クリップが、遮熱材カバープレートに結合するように構成されており、遮熱材ホルダが、遮熱材カバープレートに対して遮熱材を保持するように構成されている、実施態様1乃至実施態様14のいずれか1項に記載のシステム。
[実施態様16]
システムは、中央ハブと、中央ハブの周りに配置される排気流路と、排気流路の周りに配置される外壁と、中央ハブと外壁との間に延在する複数の半径方向構造体とを有する排気ディフューザ装置を含む。複数の半径方向構造体の各半径方向構造体は、キャビティの周りに配置される壁と、壁の内面上に配置される遮熱層と、遮熱層の上に配置される遮熱材カバープレートと、壁に結合した複数の取付クリップとを含む。複数の取付クリップの各クリップは、内面に沿った第1の方向への遮熱材カバープレートの移動を可能にし、内面と交差する第2の方向への遮熱材カバープレートの移動を阻止する。
[実施態様17]
複数の取付クリップが壁に溶接されている、実施態様16に記載のシステム。
[実施態様18]
複数の取付クリップが、遮熱材カバープレートの縁部に配置される1以上の取付クリップ、遮熱材カバープレートの内奥部に配置される1以上の取付クリップ、又はそれらの組合せを含む、実施態様16又は実施態様17に記載の項のシステム。
[実施態様19]
壁が、キャビティの周囲に配置された翼形ハウジングを画成しており、翼形ハウジングが、継手で下流セクションに結合した上流セクションを含んでおり、遮熱材カバープレートが、上流セクション及び下流セクションにおいて複数の取付クリップを介して取り付けられたカバープレート部分を含んでいる、請求項16乃至請求項18のいずれか1項に記載のシステム。
[実施態様20]
方法は、燃焼システムの排気ディフューザの部品の壁上に遮熱層を覆うように遮熱材カバープレートを配置するステップと、遮熱材カバープレートの上に複数の取付クリップを部分的に延在させることを含む。本方法は、複数の取付クリップを部品の壁に結合するステップも含む。複数の取付クリップの各クリップは、壁の表面に沿った第1の方向への遮熱材カバープレートの移動を可能にするが、壁の表面と交差する第2の方向への遮熱材カバープレートの移動を阻止するように構成されている。
【0055】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲と文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0056】
10 燃焼システム
26 排気ディフューザ
80 部品
80 半径方向構造体
82 中央ハブ
84 外側ケーシング
110 外壁
140 遮熱アセンブリ
190 遮熱材
192 遮熱材取付アセンブリ
204 遮熱材カバープレート
206 遮熱材取付クリップ
230 外壁の内面
282 第1の方向
284 第2の方向
【外国語明細書】