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特開2023-138925長手方向軸線を備える可動部を含む化粧品用アプリケータ
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  • 特開-長手方向軸線を備える可動部を含む化粧品用アプリケータ 図1
  • 特開-長手方向軸線を備える可動部を含む化粧品用アプリケータ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138925
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】長手方向軸線を備える可動部を含む化粧品用アプリケータ
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
A45D34/04 510Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023043845
(22)【出願日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】2202463
(32)【優先日】2022-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】506273087
【氏名又は名称】シャネル パルファン ボーテ
【氏名又は名称原語表記】CHANEL PARFUMS BEAUTE
【住所又は居所原語表記】135,avenue Charles de Gaulle,F-92200 Neuilly sur Seine,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・カステクス
(72)【発明者】
【氏名】マリー・ラムルー
(72)【発明者】
【氏名】カロル・シャプラ
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ・ボナディ
(57)【要約】
【課題】既存のアプリケータを改善する化粧品アプリケータ、特にマスカラアプリケータを提案する。
【解決手段】本発明は、長手方向を画定する長手方向軸線(A)に沿った細長い形状を有する固定部(2)を含む、化粧品用アプリケータに関する。固定部は、細長いキャビティ(6)を含み、キャビティ(6)と外部領域(8)とを接続する孔(7)を含むように中空である。アプリケータ(1)は、固定部に対して可動部(9)を含み、可動部(9)は、長手方向に細長い中央コアを含み、固定部(2)によって形成されたキャビティ(6)内に配置される。可動部(9)は突起(10)を含み、各突起(10)は、前記固定部(2)の外側に突出するように固定部(2)の孔(7)を通る。突起(10)および孔(7)の構成は、可動部(9)を固定部(2)に対して少なくとも長手方向に移動させることを可能にする。アプリケータは、積層造形によって得られ得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部に強固に接続されるか、または前記把持部と一体となるように意図された固定部(2)を含む化粧品用アプリケータであって、
固定部(2)は、長手方向を画定する長手方向軸線(A)に沿った細長い形状を有し、
固定部(2)は細長いキャビティ(6)を含むように中空であり、
アプリケータ(1)は、固定部に対して可動部(9)を含み、可動部(9)は、長手方向に細長い中央コアを含み、かつ固定部(2)によって形成されたキャビティ(6)内に配置され、
可動部(9)は突起(10)を含み、
固定部は、その長手方向において固定部の全部または一部にわたって一様に分布され、キャビティ(6)および外部領域(8)を前記固定部(2)に接続する孔(7)を含み、
各突起(10)は、前記固定部(2)の外側に突出するように固定部(2)の孔(7)を貫通し、
突起(10)、孔(7)および可動部の構成は、可動部(9)および突起を固定部(2)に対して少なくとも長手方向に移動させることを可能にする、
ことを特徴とする、化粧品用アプリケータ。
【請求項2】
孔(7)は互い違いに配置されている、請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項3】
第1の固定部(2)は突起(10)を支持する、請求項1または2に記載のアプリケータ。
【請求項4】
キャビティ(6)は把持部の反対側の遠位端(4)を含み、遠位端(4)は開口している、請求項1~3のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項5】
可動部(9)は、長手方向軸線を中心に、一定のクリアランスにわたって自由に回転する、請求項1~4のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項6】
可動部(9)は、少なくとも特定の横方向に従って動かされるようにキャビティ(6)内に自由に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項7】
可動部(9)と固定部(2)との間の摺動接続または摺動枢動接続を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項8】
把持部に接続されるように意図された接続要素(5)を含み、前記接続要素(5)はキャビティ内に開く長手方向通路を含み、可動部(9)の部分(13)は前記通路を通って固定部(2)から突出する、請求項1~7のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項9】
機械的励起手段をさらに含み、機械的励起手段は、その部分(13)が前記通路を通って固定部から突出することによって前記可動部に接続される、請求項8に記載のアプリケータ。
【請求項10】
各突起(10)は略円筒形または角柱形であり、0.2mm~0.5mmの間、例えば0.24mm~0.40mmの間の長さを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項11】
各突起(10)は長手方向軸線(A)の反対側の自由端を含み、前記アプリケータ(1)は突起(10)の自由端によって画定された外側ケーシングに適合し、前記ケーシングは略円筒形であり、6mm~10mmの間、例えば、8mmなど、7mm~9mmの間の直径である、請求項1~10のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項12】
固定部(2)は、ポリアミド、例えばポリアミド11、またはポリプロピレンでできている、請求項1~11のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項13】
可動部(9)は、ポリアミド、例えばポリアミド11、またはポリプロピレンでできている、請求項1~12のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項14】
プラスチック材料の粉末床溶融結合のステップを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のアプリケータを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品用アプリケータの分野に関する。特に、本発明は、まつ毛および眉毛などの毛にマスカラなどの化粧品を塗布するように構成されたアプリケータに関する。そのような化粧品用アプリケータは、本明細書では「マスカラアプリケータ」または単に「アプリケータ」という表現によって指定される。
【背景技術】
【0002】
そのようなアプリケータは、一般に、マスカラアイテムの構成要素である。マスカラアイテムは、従来、容器と、マスカラリザーバと、アプリケータブラシとを備える。アプリケータブラシは、厳密に言えば、把持部と、一般にブラシの形態であるアプリケータとを含む。
【0003】
アプリケータブラシは、マスカラ塗布以外でリザーバを密閉するように適応された蓋またはキャップを含むか、あるいは既知の方法でそれを形成し得る。この蓋は、アプリケータブラシの把持部を形成してもよい。
【0004】
従来、複数の形式のアプリケータ、すなわち、「ボトルブラシ」形のアプリケータ、注入型アプリケータ、および積層造形(「積層合成」または「3D印刷」と呼ばれることもある)によって製造されたアプリケータが存在する。積層造形は、材料の積層または集積によって製造する方法を指定する。
【0005】
ボトルブラシ形のアプリケータは、アプリケータのコアを形成するねじれた金属ワイヤに挟まれた繊維によって形成された剛毛を備えるブラシを含む。注入型アプリケータは、一般に単一の部品で作られ、例えば一般に突起と呼ばれる、プラスチック材料で作られた剛毛または歯を含む。積層造形によって得られるアプリケータも、それ自体、一般に単一の部品であり、例えばレーザ粉末溶融結合を実施する方法によって、例えば熱可塑性ポリマーの粉末から形成されてもよい。
【0006】
既知のマスカラアプリケータの形態および実施形態にかかわらず、製品を塗布するための原理は、リザーバに含まれている化粧品(マスカラ)をアプリケータに充填することと、その突起に製品が充填されたアプリケータを前記リザーバから引き抜くことと、女性または男性ユーザのまつ毛または眉毛への塗布を行うこととにある。
【0007】
簡単にするために、本明細書の残りでは単にユーザという用語が使用されるが、アイテムおよび/またはアプリケータが男性ユーザによって使用されることを除外しない。
【0008】
簡単にするために、同じく本明細書の残りではまつ毛のみが言及されるが、ユーザの眉毛に対する製品およびアプリケータの使用を除外しない。
【0009】
ボトルブラシ形か、射出プラスチック材料から作られているか、積層合成によって得られるかにかかわらず、既知のブラシは良好なメイクアップ結果をもたらす可能性がある。しかしながら、製品の塗布の結果およびユーザにとっての使いやすさの改善が常に求められている。したがって、まつ毛のきれいなセパレーション、まつ毛の優れたロングおよび/またはカール効果をもたらす、良好な化粧品保持能力を有するアプリケータを設計することが望ましい。同様に、単純な動作による、可能な限り最高の塗布品質、特に最高の均一性を提供するようにアプリケータを構成することが求められている。
【0010】
例えば、仏国特許発明第3060956号明細書は、キャビティと、キャビティをコアの外部と接続する互い違いに配置された側孔とを有するコアを備える、まつ毛用の化粧品アプリケータを開示する。突起は、アプリケータのコアによって支持される。このアプリケータは、積層合成方法によって得られてもよい。このアプリケータは、マスカラを塗布するための優れた性能を有し、マスカラを保持するための最適な能力を有するが、ユーザによってかなり堅いと感じられることがある。
【0011】
国際公開第2021/058210号は、長手方向コアと、典型的には長手方向コアを覆うS字曲線の形態の可動要素とを含み、コアを中心とした回転において一定のクリアランスを有するように、コアをその端部に接続する化粧品用アプリケータに関する。このクリアランスは、いくらかの柔軟な感覚を与え、それは化粧品の塗布の品質を改善しない。
【0012】
国際公開第2021/058211号は、突起を支持する可動部分が含まれるキャビティを形成する長手方向コアを備える化粧品用アプリケータを有する。そのようなアプリケータは、まつ毛への製品の塗布を改善する。それにもかかわらず、このアプリケータは、まつ毛を、その成長方向だけでなく、「ジグザグ」と呼ばれる小刻みな横方向の往復運動によってコーミングするプロのメイクアップアーティストによって得られる結果と同様の結果を得ることを可能にしない。小さな可動ブロックの存在は、考慮される領域の突起のすべてが一緒に可動である領域を作り出し、その結果、これらの領域内の突起間の距離の適応がなくなる。さらに、様々な可動部の移動に一貫性がなく、可動部は一緒に制御されず、その結果、それらの移動は同期されない。これは、特に化粧品のダマの形成による、不良な塗布をもたらし得る。さらに、このアプリケータは、製造するのが特に複雑であり、その構成により、それが含むキャビティは、化粧品によって早急に詰まる可能性があり、その結果、アプリケータは、可動要素の存在の利点を早急に失う。さらに、本明細書で提案されるアプリケータは、それを剛性にし、製品の塗布中にそのように知覚させる幾何学的形状を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】仏国特許発明第3060956号明細書
【特許文献2】国際公開第2021/058210号
【特許文献3】国際公開第2021/058211号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、上述の態様のうちの少なくとも1つに関して、既存のアプリケータを改善する化粧品アプリケータ、特にマスカラアプリケータを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は、把持部に強固に接続されるか、または前記把持部と一体であるように意図された固定部を含む化粧品用アプリケータに関し、固定部は、長手方向を画定する長手方向軸線に沿った細長い形状を有し、固定部は、細長いキャビティを含むように中空であり、固定部は、長手方向において固定部の全部または一部にわたって一様に分布され、キャビティおよび外部領域を前記固定部に接続する孔を含む。アプリケータは、固定部に対して可動部を含み、可動部は、長手方向に細長い中央コアを含み、かつ固定部によって形成されたキャビティ内に配置され、可動部は突起を含み、各突起は、前記固定部の外側に突出するように固定部の孔を通る。突起、孔および可動部の構成は、可動部を固定部に対して少なくとも長手方向に移動させることを可能にする。
【0016】
可動部の移動の自由は、化粧品の塗布をより快適にする。実際、アプリケータが比較的硬いプラスチック材料で作られている場合でも、特に積層造形によって形成される場合に当てはまるが、アプリケータの一部の可動性は、ユーザのまつ毛の位置に部分的に適応することによって、アプリケータが支持する突起がまつ毛の縁にソフトに入り込むことを可能にする。
【0017】
可動部の長手方向の移動は、まつ毛を、その成長方向だけでなく、小刻みな横方向の往復運動によってコーミングするプロフェッショナルによって行われるメイクアップと同様のメイクアップの効果を得ることを可能にする。これは、マスカラについて、そのカール、長さおよびボリューム生成効果を改善する。
【0018】
固定部自体も突起を支持するとき、本発明によるアプリケータを用いた、化粧品、特にマスカラの塗布は、本発明のいくつかの構成では、二段階で行われたことが言及された。第1に、製品が充填された突起間の隙間は、まつ毛と接触すると吐出する。これは、可動部(アプリケータが支持する製品によって最初は移動が制限される)を解放し、これは、突起を支持する可動部がない同様の構成のアプリケータよりも効果的にまつ毛をコーミングすることを可能にする。
【0019】
キャビティ内に長手方向に配置された要素の形態の可動部の構成は、アプリケータの可動部に接続された突起の一貫した長手方向の移動を可能にする。したがって、アプリケータの使用中の塗布の方向に対して実質的に横方向である、アプリケータの長手方向における突起の位置の適応が最適化される。
【0020】
塗布中のユーザの動きに応じて、突起の位置の適応が異なり、したがって、本発明に従って提案されたアプリケータは、様々なブラシの効果を生み出すことを潜在的に可能にする。
【0021】
孔は、固定部の全部または一部にわたってその長手方向に一様に形成されてもよい。「一様に」は、一般に、一様なパターンによる、例えば一様な長手方向間隔による配置を指定する。孔は互い違いに配置されてもよい。
【0022】
これらの構成は、その全長にわたって可動突起を含むアプリケータを形成することを可能にする。孔の互い違いのレイアウトは、化粧品の塗布中にまつ毛と接触する可動突起の数を増加させることを可能にする。それは、まつ毛のセパレーションおよびそれらをコーミングするアプリケータの能力を改善することを可能にする。
【0023】
固定部は突起を支持してもよい。
【0024】
したがって、アプリケータの突起の数は増加されてもよい。これは、化粧品に利用可能な隙間の数を増加させ、したがって、より流動性の高い製品を保持することを可能にする。これはまた、塗布の均一性を増加させる。
【0025】
可動突起と位置が交互する固定突起の存在はまた、突起密度を局所的に変化させることを可能にし、これは、塗布中のユーザの動きに応じて、この塗布の結果を調整することを可能にする。
【0026】
キャビティは、把持部の反対側の遠位端を含んでもよく、遠位端は開いている。
【0027】
その端部が開いているキャビティは、複数の利点を有する。特に粉末床での積層合成によるアプリケータの製造中、開いた端部は、アプリケータから粉末を容易かつ効果的に除去することを可能にする。使用中、開いた端部は、化粧品がキャビティ内で乾燥した極端な状況では、アプリケータの詰まり除去を容易にし得る。
【0028】
可動部は、長手方向軸線を中心に、一定のクリアランスにわたって自由に回転し得る。可動部は、少なくとも特定の横方向に従って動かされるように、キャビティ内に自由に配置されてもよい。
【0029】
アプリケータは、可動部と固定部との間の摺動接続または摺動枢動接続を含んでもよい。
【0030】
可動部の、長手方向だけでなく他の方向の可動性は、アプリケータの柔軟な感覚を増加させ、これは、それを化粧品の塗布中のユーザにとって一層快適なものにする。特定の幾何学的構成によってもたらされるこの柔軟性は、例えば、アプリケータを形成するために使用される材料の固有の剛性を補償することを可能にし得る。
【0031】
アプリケータは、把持部に接続されるように意図された接続要素を含んでもよく、前記接続要素は、キャビティ内に開く長手方向通路を含み、可動部の部分が前記通路を通って固定部から突出する。
【0032】
アプリケータは、その部分が前記通路を通って固定部から突出することによって前記可動部に接続された機械的励起手段をさらに含んでもよい。
【0033】
したがって、アプリケータの固定部内に形成された通路は、可動部のためのガイドとして機能し得る。或る実施形態では、固定部から突出する可動部の部分は、可動部に対して機械的作用を加えることを可能にする。この機械的作用は、例えば、機械的励起(往復運動、または振動)であってもよく、したがって、機敏な化粧品アプリケータを作り出す。そのようなアプリケータは、塗布の非常に高い均一性および/または細やかさを有し得る。固定部から出ている可動部の部分はまた、(例えば、ばねなどの弾性システムを介して)可動部にプレストレスを加え、および/または可動部の移動を減衰させるための手段を適用するために使用されてもよい。
【0034】
アプリケータの各突起は、略円筒形または角柱形であり、0.2mm~0.5mmの間、例えば0.24mm~0.40mmの間の長さを有してもよい。
【0035】
したがって、アプリケータの部分の各々の突起は、化粧品の塗布に、異なった影響を及ぼし得る。例えば、長い突起と短い突起が交互であることは、アプリケータの製品保持能力を増加させ、製品の塗布中にまつ毛をセパレートするその能力を増加させ得る。長い突起は、まつ毛をコーミングするためのより良好な能力を有する。突起の全体的形状は、それらの特性を調整することを可能にする。例えば、突起は、固定部分(それらは角柱形または円筒形である)または可変部分の細長い形状を有し得る。
【0036】
各突起は長手方向軸線の反対側の自由端を含んでもよく、アプリケータは、突起の自由端によって画定された外側ケーシングに適合し、前記ケーシングは略円筒形であり、6mm~10mmの間、例えば、8mmなど、7mm~9mmの間の直径である。
【0037】
アプリケータのそのような外側幾何学的ケーシングは、それを、化粧品の塗布に効果的で、使用を快適にする。
【0038】
アプリケータの固定部は、ポリアミド、例えばポリアミド11、またはポリプロピレンで作られていることがある。アプリケータの移動部は、ポリアミド、例えばポリアミド11、またはポリプロピレンで製造されてもよい。
【0039】
したがって、アプリケータは、単一の材料または2つの異なる材料からなるものとしてよい。アプリケータの積層造形のための方法において使用されるように構成されたプラスチック材料が好ましい。実際、アプリケータは、有利には、習慣的製造(または「3D印刷」)方法に従って製造され、これは、可動部の可動性に関係する複雑な形状、特にそれが含む開ループ内の形状を得ることを可能にする。
【0040】
本発明はまた、前に説明されたものなど、アプリケータを製造する方法に関し、前記方法は、プラスチック材料の粉末床溶融結合のステップを含む。
【0041】
本発明の他の特定の特徴および利点はまた、以下の説明において明らかになろう。
【0042】
添付の図面は非限定的な例として与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の一実施形態による、アプリケータの三次元概略図である。
図2図1の実施形態による、化粧品アプリケータにより得られ得る突起の分布の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1のアプリケータは、細長い形状であり、アプリケータの主軸線を形成する長手方向軸線Aに沿って延在する。
【0045】
図1のアプリケータ1は固定部2を含み、固定部2は、長手方向に延在し、したがってアプリケータブラシを形成するために把持部に接続されるように意図された第1の端部3と、自由である、遠位端4と呼ばれる第2の端部との間に形成される。
【0046】
特に、第1の端部3は、把持部に接続されるように意図された接続要素5の端部に形成される。図示されていない本発明の特定の実施形態によれば、把持部は、厳密に言えばアプリケータと一体としてもよい。
【0047】
図1のアプリケータ1の固定部は中空であり、すなわち、それは、長手方向軸線Aの長手方向に細長いキャビティ6を形成する。
【0048】
したがって、固定部は、好ましくは、その長さ(長手方向の寸法)の少なくとも大部分にわたって、真っ直ぐな円筒形状または角柱形状を有する。図示の例では、固定部は略円筒形状を有する。
【0049】
アプリケータの固定部の全体的形状は、多くの孔7を含む、大部分が穿孔された壁によって画定される。孔7は、固定部の壁を貫通する。したがって、孔7は、キャビティ6とアプリケータの外部、すなわち固定部に対する外部領域8とを接続する。
【0050】
図示の例では、孔7は、略ダイヤモンド形状を有し、それらの最も長い対角線を長手方向に配向させるように配向される。このダイヤモンド形状は、長手方向における孔の寸法を最大にする。特に長手方向に細長い、孔の他の形状が想定されることができる。
【0051】
孔7は互い違いに配置されている。
【0052】
孔7の構成により、(孔を含む固定部の長さにわたる)固定部の壁の開口した表面は、この壁の表面の半分超を表す。
【0053】
アプリケータ1は可動部9をさらに含む。
【0054】
可動部9は、固定部2のキャビティ6内に配置されている。
【0055】
可動部9は、図1の実施形態では長手方向軸線の形状である中央コアを含む。
【0056】
可動部は突起10をさらに含む。可動部9の各突起10は、固定部2の孔7を貫通する。したがって、各突起10は、長手方向軸線Aに対して略垂直な配向に従って、および好ましくは半径方向の配向に従って、すなわち長手方向軸線Aに対して垂直かつ割線方向に、中央コアから延在する。
【0057】
代替的に、突起は、例えば、塗布の動きを支援し、および/または化粧品の保持に都合が良いように、異なる埋込角度を有してもよい。
【0058】
一実施形態では、突起と同数の孔がある。この実施形態では、各突起は異なる孔を通って延在する。他の実施形態では、複数の突起が同じ孔を貫通する。いずれの場合でも、各孔は、可動部の前記突起の長手方向の移動を可能にするために、それを貫通する1つまたは複数の突起の長手方向寸法(孔を通る1つまたは複数の突起の全体的な長手方向寸法)よりも大きい長手方向寸法を有する。
【0059】
したがって、突起がその縁部のうちの1つを押圧するようになると、孔の縁部は突起の長手方向の移動を制限する。
【0060】
可動部はキャビティ6内に自由に取り付けられ、その変位は少なくとも長手方向において自由である。図示の例では、可動部9はまた、長手方向軸線1に沿って枢動してもよい。それにもかかわらず、可動部9の長手方向の移動のクリアランスは、突起10と、それらがそれぞれ貫通する孔の縁部との間の機械的干渉によって制限される。したがって、孔7の寸法および形状、ならびに突起10の横断面は、可動部のクリアランスをその様々な自由度において決定することを可能にする。
【0061】
図示の例では、可動部は、固定部の接続要素5内に形成された長手方向通路内に延在する。通路は円筒形であり、その直径は、最も近い機能的クリアランスまで、可動部の中央コアを形成する軸の直径に対応する。したがって、この通路は、一方では固定部のキャビティ内に開き、他方では固定部の第1の端部3において開く。したがって、可動部は、通路内で自由に摺動し、長手方向軸線Aを中心に(この例では円筒形であるため)その中で枢動してもよい。その場合、これは摺動枢動接続と呼ばれる。したがって、通路と可動部との間の協働は、前記可動部を並進的にガイドすることを可能にする。アプリケータ1の固定部と可動部との間にスライドまたは摺動枢動を形成するための他の手段が明らかに想定されることができる。
【0062】
図示の実施形態の例によれば、固定部は突起10をも含む。
【0063】
突起10は、多様な幾何学的形状を有してもよい。突起10は、複数の機能、特に化粧品を保持する機能、この製品をまつ毛に塗布する機能、まつ毛をセパレートする機能、コーミング機能を確保する。突起の構成は、これらの機能を一緒に果たすように最適化される。したがって、突起のすべてが同じ構成を有するか、または異なる構成を有してもよい。ここに示されている例では、突起は、直径が小さい直線状の円筒形である。それらは堅い剛毛に匹敵する。正方形、長方形、楕円形などの断面を有する角柱状突起が明らかに想定されることができる。同様に、円錐形、円錐台形、角錐形、または任意の他の可変断面突起が想定されることができる。
【0064】
突起の第1のグループ11は、可動部のチェーンによって支持される。突起の第2のグループ12は、可動部のリンクによって支持される。
【0065】
孔7の形状および配置はまた、化粧品の保持に都合が良いように最適化されてもよい。
【0066】
これらの2つのグループの突起は同一の横断面を有するが長さが異なり、その結果、それらの自由端は、アプリケータを実質的に円筒形の外側汎用ケーシングに適合させるために、(より短いことがあるアプリケータの端部に最も近い突起は例外である可能性があるが)長手方向軸線Aから実質的に同じ距離にある。したがって、アプリケータは、6mm~10mmの間の直径を有する円筒に適合され得る。7mm~9.5mmの外側ケーシングに適合されたアプリケータが想定されることができる。塗布の効果および容易さに関して、最適値は8mmまたは約8mmである。
【0067】
本発明の様々な実施形態および使用され得る突起の様々な構成によれば、突起の長さ(それらの主な延在方向において、典型的には長手方向軸線Aに対して半径方向に測定された寸法)は、0.2mm~0.5mmの間、例えば0.24mm~0.40mmの間としてもよい。
【0068】
図2は、図1のアプリケータの固定突起の分布を概略図によって示す。図2では、アプリケータが適合される外側ケーシングが平坦に展開されている。固定突起は円(塗りつぶされていない)によって表され、可動突起は黒丸によって表されている。図示の埋込みの例では、アプリケータのスイーピング方向において、固定突起の整列および可動突起の整列の連続がこのようにして形成されている。したがって、まつ毛は、まつ毛をセパレートする固定突起と、まつ毛およびユーザの動きに適応することによって(アプリケータの長手方向の)横方向コーミングの効果を与える可動突起とによって連続的にコーミングされ、これは、化粧品の塗布を改善する(例えば、まつ毛の長さまたはそれらのボリュームを改善する)。
【0069】
塗布の品質および/またはその容易さを改善するために、あるいはこの塗布の結果を改良するために、アプリケータは、可動部に特定の機械的作用を加えるための手段に関連付けられてもよい。図示の例では、可動部9の部分13が、固定部2内に形成された通路から突出する。
【0070】
この部分13は、機械的作用を加えるための前記手段をそれに固定するために使用されてもよい。例えば、往復運動および/または振動を可動部に課すために、電気モータを含む装置が可動部に接続されてもよい。代替的に、ばねなどの戻り装置が、可動部9に、およびしたがってそれが支持する突起に、所定の休止位置を与えることとしてもよい。したがって、アプリケータは、各塗布の間に、化粧品を充填し、まつ毛を効果的にセパレートすることを可能にするために最適な位置に戻る。
【0071】
その複雑な構成により、上記で説明されたアプリケータは、有利には(さらにはいくつかの実施形態では必然的に)、積層造形技術によって製造される。これは、本発明の他の実施形態に適用される。粉末床溶融結合積層造形は、本発明によるアプリケータを形成するための好ましい技術である。
【0072】
アプリケータは、有利にはプラスチック材料で作られる。或る実施形態では、アプリケータは単一の材料で作られる。他の実施形態では、固定部および可動部は、2つの異なる材料で作られる。
【0073】
固定部および/または可動部を形成するために、ポリアミド、好ましくは脂肪族ポリアミド、例えばポリアミド11が使用されてもよい。固定部および/または可動部を形成するために、ポリプロピレンが使用されてもよい。
【0074】
このようにして開発された本発明は、化粧品用アプリケータ、特にマスカラアプリケータを提案し、単純な動作で大量に塗布することを可能にする。使いやすさ、特にアプリケータの柔軟な感覚は、硬い材料、例えば積層造形方法に適合する硬質プラスチックの使用の可能性にもかかわらず、維持される。
【符号の説明】
【0075】
A 長手方向軸線
1 アプリケータ
2 固定部
3 第1の端部
4 遠位端
5 接続要素
6 キャビティ
7 孔
8 外部領域
9 可動部
10 突起
11 突起の第1のグループ
12 突起の第2のグループ
13 部分
図1
図2
【外国語明細書】