IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星ディスプレイ株式會社の特許一覧 ▶ 東友ファインケム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-エッチング液組成物 図1
  • 特開-エッチング液組成物 図2
  • 特開-エッチング液組成物 図3
  • 特開-エッチング液組成物 図4
  • 特開-エッチング液組成物 図5
  • 特開-エッチング液組成物 図6
  • 特開-エッチング液組成物 図7
  • 特開-エッチング液組成物 図8
  • 特開-エッチング液組成物 図9
  • 特開-エッチング液組成物 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138936
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】エッチング液組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20230926BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20230926BHJP
   C23F 1/14 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
H01L21/308 F
H01L21/306 F
C23F1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044603
(22)【出願日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0034935
(32)【優先日】2022-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シンヒョク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ボムス
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ヒョンス
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユジン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジフン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヨンジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウンウォン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ドンハン
【テーマコード(参考)】
4K057
5F043
【Fターム(参考)】
4K057WA12
4K057WB01
4K057WB04
4K057WE03
4K057WG03
4K057WN01
5F043AA26
5F043AA27
5F043BB15
5F043BB27
5F043BB28
5F043GG02
5F043GG04
(57)【要約】
【課題】エッチング液組成物を提供する。
【解決手段】過硫酸塩と、含フッ素化合物と、含塩素化合物と、環状アミン化合物と、無機酸と、硫酸塩と、水と、を含み、チップ制御指数(Y)が、45.0以上及び70.0以下を満たし、チップ制御指数(Y)は、下記数式1によって計算された値である、エッチング液組成物に係わるものである:
「数1」
Y=1.0×10-3×M(X1)+1.0×10-1×M(X2)+5.0×10-2×M(X3)+1.5×M(X1)×M(X2)+2.0×10-1M(X1)×M(X3)+2.0×10-1×M(X2)×M(X3)
数式1に係わる説明は、本明細書に記載されたところを参照する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過硫酸塩と、含フッ素化合物と、含塩素化合物と、環状アミン化合物と、無機酸と、硫酸塩と、水と、を含み、
チップ制御指数(Y)が、45.0以上及び70.0以下を満たし、
前記チップ制御指数(Y)は、下記数式1によって計算された値である、エッチング液組成物:
[数1]
Y=1.0×10-3×M(X1)+1.0×10-1×M(X2)+5.0×10-2×M(X3)+1.5×M(X1)×M(X2)+2.0×10-1M(X1)×M(X3)+2.0×10-1×M(X2)×M(X3)
前記数式1で、
M(X1)は、前記エッチング液組成物の総100重量%に対する含塩素化合物の重量%であり、
M(X2)は、前記エッチング液組成物の総100重量%に対する硫酸塩の重量%であり、
M(X3)は、前記エッチング液組成物の総100重量%に対する水の重量%である。
【請求項2】
前記過硫酸塩は、過酸化二硫酸アンモニウム、過酸化二硫酸ナトリウム、過酸化二硫酸カリウム、またはその任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項3】
前記過硫酸塩は、過酸化二硫酸アンモニウムである、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項4】
前記含フッ素化合物は、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、二フッ化アンモニウム、二フッ化ナトリウム、二フッ化カリウム、またはその任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項5】
前記含塩素化合物は、塩酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化鉄(III)、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、塩化エタンスルホニル、塩化メタンスルホニル、またはその任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項6】
前記環状アミン化合物は、5-アミノテトラゾール、イミダゾール、インドール、プリン、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、ピロリン、5-メチルテトラゾール、1-メチル-5-アミノテトラゾール、1-エチル-5-アミノテトラゾール、またはその任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項7】
前記無機酸は、硝酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、またはその任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項8】
前記硫酸塩は、金属硫酸塩、有機酸硫酸塩、またはその組み合わせを含む、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項9】
前記硫酸塩は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸銅、硫酸チタン、硫酸第二鉄、硫酸アンモニウム、グルコサミン硫酸塩、またはその任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項10】
前記硫酸塩は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸第二鉄、またはその任意の組み合わせである、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項11】
前記チップ制御指数(Y)は、45.3以上及び68.0以下である、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項12】
前記エッチング液組成物の総100重量%に対して、
前記過硫酸塩は、3.0重量%以上及び15.0重量%以下であり、
前記含フッ素化合物は、0.10重量%以上及び2.0重量%以下であり、
前記含塩素化合物は、0.01重量%以上及び1.0重量%以下であり、
前記環状アミン化合物は、0.10重量%以上及び2.0重量%以下であり、
前記無機酸は、0.10重量%以上及び5.0重量%以下であり、
前記硫酸塩は、0.10重量%以上及び7.0重量%以下である、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項13】
前記水は、75重量%以上及び85重量%以下である、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項14】
界面活性剤、金属イオン封鎖剤、腐食防止剤、発熱安定剤、増粘剤、グリコール、またはその任意の組み合わせをさらに含む、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項15】
金属膜、金属酸化物膜、またはその組み合わせのエッチング用である、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項16】
金属膜、及び金属酸化物膜のエッチング用である、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項17】
前記金属膜は、多層膜である、請求項15に記載のエッチング液組成物。
【請求項18】
前記金属膜は、銅、チタン、チタン合金、またはその任意の組み合わせを含み、
前記チタン合金は、チタンと、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、またはその任意の組み合わせ;を含む、請求項15に記載のエッチング液組成物。
【請求項19】
前記金属膜は、第1金属膜、第2金属膜及び第3金属膜を含み、
前記第1金属膜及び前記第3金属膜は、互いに独立して、チタンまたはチタン合金を含み、
前記チタン合金は、チタンと、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、またはその任意の組み合わせ;を含み、
前記第2金属膜は、銅を含む、請求項15に記載のエッチング液組成物。
【請求項20】
前記金属酸化物膜は、インジウム(In)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、またはその任意の組み合わせの酸化物を含む、請求項15に記載のエッチング液組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング液組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電気的信号情報を表現するディスプレイ分野の発展により、薄型化、軽量化、低消費電力化のようなすぐれた特性を有する多様なフラットパネル表示装置が研究されて開発されている。このうち、有機発光表示装置は、軽量化及び薄型化が可能であるだけではなく、広い視野角、迅速な応答速度のような長所により、次世代表示装置として注目されている。
【0003】
なお、表示装置の表示面積がだんだんと大型化されるにつれ、表示装置に含まれる多様な配線及び電極は、できる限り、低い比抵抗を有する材料によって形成される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、多層膜をエッチングすることができるエッチング液組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、過硫酸塩と、含フッ素化合物と、含塩素化合物と、環状アミン化合物と、無機酸と、硫酸塩と、水と、を含み、チップ制御指数(Y)が、45.0以上及び70.0以下を満たし、前記チップ制御指数(Y)は、下記数式1によって計算された値であるエッチング液組成物が提供される:
[数1]
Y=1.0×10-3×M(X1)+1.0×10-1×M(X2)+5.0×10-2×M(X3)+1.5×M(X1)×M(X2)+2.0×10-1M(X1)×M(X3)+2.0×10-1×M(X2)×M(X3)
前記数式1で、
M(X1)は、前記エッチング液組成物の総100重量%に対する含塩素化合物の重量%であり、
M(X2)は、前記エッチング液組成物の総100重量%に対する硫酸塩の重量%であり、
M(X3)は、前記エッチング液組成物の総100重量%に対する水の重量%である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のエッチング液組成物は、多層膜をエッチングすることができ、それを利用し、表示装置の製造過程における不良発生率を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1のエッチングされた試料を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で観察したSEM像である。
図2】実施例2のエッチングされた試料を走査電子顕微鏡で観察したSEM像である。
図3】実施例3のエッチングされた試料を走査電子顕微鏡で観察したSEM像である。
図4】実施例4のエッチングされた試料を走査電子顕微鏡で観察したSEM像である。
図5】実施例5のエッチングされた試料を走査電子顕微鏡で観察したSEM像である。
図6】比較例1のエッチングされた試料を走査電子顕微鏡で観察したSEM像である。
図7】比較例2のエッチングされた試料を走査電子顕微鏡で観察したSEM像である。
図8】比較例3のエッチングされた試料を走査電子顕微鏡で観察したSEM像である。
図9】比較例4のエッチングされた試料を走査電子顕微鏡で観察したSEM像である。
図10】比較例5のエッチングされた試料を走査電子顕微鏡で観察したSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、多様な変更を加えることができ、さまざまな実施例を有することができ、特定の実施例は図面に例示され、詳細な説明によって詳細に説明する。本発明の効果、特徴、及びそれらを実施する方法は、図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すれば、明確になるであろう。しかしながら、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、多様な形態にも実施することができる。
【0009】
以下の実施形態において、第1、第2のような用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を、他の構成要素と区別する目的に使用されている。
【0010】
以下の実施形態において、単数の表現は、文脈上、明白に取り立てて意味しない限り、複数の表現を含む。
【0011】
以下の実施形態において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴または構成要素が存在するということを意味するものであり、1以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性を事前に排除するものではない。
【0012】
以下の実施形態において、膜、領域、構成要素のような部分が、他の部分の「上」または「上部」にあるとするとき、他の部分の真上にある場合だけではなく、その中間に、さらに他の膜、領域、構成要素などが介在されている場合も含む。
【0013】
図面においては、説明の便宜のために、構成要素がその大きさが誇張されていたり、縮小されていたりもする。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚みは、説明の便宜のために任意に示されているので、本発明は、必ずしも図示されたところに限定されるものではない。
【0014】
一態様によれば、過硫酸塩と、含フッ素化合物と、含塩素化合物と、環状アミン化合物と、無機酸と、硫酸塩と、水と、を含み、チップ制御指数(Y)が、45.0以上及び70.0以下を満足し、チップ(tip)制御指数(Y)は、下記数式1によって計算された値であるエッチング液組成物が提供される:
[数1]
Y=1.0×10-3×M(X1)+1.0×10-1×M(X2)+5.0×10-2×M(X3)+1.5×M(X1)×M(X2)+2.0×10-1M(X1)×M(X3)+2.0×10-1×M(X2)×M(X3)
数式1で、
M(X1)は、エッチング液組成物の総100重量%に対する含塩素化合物の重量%であり、
M(X2)は、エッチング液組成物の総100重量%に対する硫酸塩の重量%であり、
M(X3)は、エッチング液組成物の総100重量%に対する水の重量%である。
【0015】
一実施形態によれば、エッチング液組成物において、過硫酸塩は、過酸化二硫酸アンモニウム(ammonium persulfate)、過酸化二硫酸ナトリウム(sodium persulfate)、過酸化二硫酸カリウム(potassium persulfate)、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。過硫酸塩は、エッチングの主成分であり、エッチング速度を制御することができる。例えば、過硫酸塩は、過酸化二硫酸アンモニウムを含むものでもある。他の例を挙げれば、過硫酸塩は、過酸化二硫酸アンモニウムでもある。さらには、過硫酸塩がナトリウム(Na)を含む(例えば、過硫酸塩が過酸化二硫酸ナトリウムである)エッチング液組成物を利用して表示装置を製造する場合、ガラス基板との反応により、ケイ素(Si)含有析出物(例:NaSiF)が生じうるが、過硫酸塩がNaを含んでいなければ、Si含有析出物の発生量が少なくなるので、それによる表示装置の不良率が低減する効果を得ることができる。また、過硫酸塩がカリウム(K)を含む(例えば、過硫酸塩が過酸化二硫酸カリウムである)エッチング液組成物を利用して表示装置を製造する場合、経時的な分解速度が増加し、製造時間が増加されてしまうが、過硫酸塩がKを含んでいなければ、安定性が増大され、製造時間が短縮されるという効果を得ることができる。
【0016】
例えば、エッチング液組成物の総100重量%に対して、過硫酸塩は、3.0重量%以上及び15.0重量%以下でもある。過硫酸塩が3.0重量%未満に含まれている場合、エッチングされないか、あるいはエッチング速度が低減されてしまう。過硫酸塩が15.0重量%を超えて含まれている場合、エッチング速度の制御が困難であり、陰イオンが過量で増加し、多層膜のエッチング均一性が低くなってしまう。
【0017】
一実施形態によれば、エッチング液組成物において、含フッ素化合物は、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、二フッ化アンモニウム(ammonium bifluoride)、二フッ化ナトリウム(sodium bifluoride)、二フッ化カリウム(potassium bifluoride)、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。含フッ素化合物は、エッチング時に生じうる残渣及び/またはチップ(tip)を除去することができる。含フッ素化合物は、溶液内において、フッ素イオンまたは多原子フッ素イオンが解離される化合物でもある。
【0018】
例えば、エッチング液組成物の総100重量%に対して、含フッ素化合物は、0.10重量%以上及び2.0重量%以下でもある。他の例を挙げれば、含フッ素化合物は、0.6重量%以上及び1.0重量%以下でもある。含フッ素化合物が0.10重量%未満に含まれている場合、エッチング速度が低減され、残渣及び/またはチップが生じうる。含フッ素化合物が2.0重量%を超えて含まれている場合、基板(例:配線を含む配線基板のベースをなす基板、及び/またはケイ素系絶縁層)を損傷させうる。含塩素化合物は、溶液内において、塩素イオンが解離される化合物でもある。
【0019】
一実施形態によれば、エッチング液組成物において、含塩素化合物は、塩酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化鉄(III)、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、塩化エタンスルホニル、塩化メタンスルホニル、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。含塩素化合物は、エッチング速度を向上させ、パターンされた配線のCDロス(CD(critical dimension) loss)を改善させ、プロセスマージンを向上させることができる。また、配線のオーバーエッチングを防止することにより、収率を向上させることができる。CDロスとは、垂直方向のエッチング速度と、水平方向のエッチング速度との差が大きくない場合、生じるパターンプロファイル不良のうち一つであり、エッチングのためのマスクパターン(例:フォトレジストパターン)の終端と、エッチングされたパターンの終端との水平距離が短くなり、配線形成が正常になされない不良を意味することがある。
【0020】
例えば、エッチング液組成物の総100重量%に対して、含塩素化合物は、0.01重量%以上及び1.0重量%以下であればよい。他の例を挙げれば、含フッ素化合物は、0.01重量%以上及び0.5重量%以下であってもよい。含塩素化合物が0.01重量%未満に含まれている場合、エッチング速度が低減され、残渣が生ずることがある。また、配線のオーバーエッチングを防止することができないので、収率が低くなってしまう。含塩素化合物が1.0重量%を超えて含まれている場合、エッチング速度が過度に上昇し、エッチング均一性が低減されてしまう。
【0021】
一実施形態によれば、エッチング液組成物において、環状アミン化合物は、5-アミノテトラゾール(5-aminotetrazole)、イミダゾール(imidazole)、インドール(indole)、プリン(purine)、ピラゾール(pyrazole)、ピリジン(pyridine)、ピリミジン(pyrimidine)、ピロール(pyrrole)、ピロリジン(pyrrolidine)、ピロリン(pyrroline)、5-メチルテトラゾール(5-methyltetrazole)、1-メチル-5-アミノテトラゾール(1-methyl-5-aminotetrazole)、1-エチル-5-アミノテトラゾール(1-ethyl-5-aminotetrazole)、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。環状アミン化合物は、エッチング速度を調節し、エッチング均一性を向上させ、プロファイルを形成することができる。
【0022】
例えば、エッチング液組成物の総100重量%に対してで、環状アミン化合物は、0.10重量%以上及び2.0重量%以下でもある。環状アミン化合物が0.10重量%未満に含まれている場合、エッチング速度を調節することができず、オーバーエッチングが生じたり、エッチングが不均一になったりすることがある。環状アミン化合物が2.0重量%を超えて含まれている場合、エッチング速度が低減されるので、効率が低減されてしまう。
【0023】
一実施形態によれば、エッチング液組成物において、無機酸は、硝酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。無機酸は、エッチングのための補助酸化剤でもある。
【0024】
例えば、エッチング液組成物の総100重量%に対して、無機酸は、0.10重量%以上及び5.0重量%以下でもある。無機酸が0.10重量%未満に含まれている場合、エッチング速度が低減され、残渣が生じたり、プロファイルに不良が生ずることがある。無機酸が5.0重量%を超えて含まれている場合、オーバーエッチングが生じたり、フォトレジストに亀裂が生じたりし、生産性が低下されてしまう。
【0025】
一実施形態によれば、エッチング液組成物において、硫酸塩は、金属硫酸塩、有機酸硫酸塩、またはその組み合わせを含むものでもある。例えば、硫酸塩は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸銅、硫酸チタン、硫酸第二鉄(ferric sulfate)、硫酸アンモニウム、グルコサミン硫酸塩、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。他の例を挙げれば、硫酸塩は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸第二鉄、またはその任意の組み合わせでもある。
【0026】
例えば、エッチング液組成物の総100重量%に対して、硫酸塩は、0.10重量%以上及び7.0重量%以下でもある。他の例を挙げれば、硫酸塩は、0.5重量%以上及び5.0重量%以下でもあってもよい。硫酸塩が0.10重量%未満に含まれている場合、エッチング速度(例:金属酸化物膜のエッチング速度)が低減され、残渣が生ずることがある。硫酸塩が7.0重量%を超えて含まれている場合、エッチング率(例:金属膜または銅金属膜のエッチング率)が低下されうる。
【0027】
一実施形態によれば、エッチング液組成物において、過硫酸塩は、過酸化二硫酸アンモニウム、過酸化二硫酸カリウム、またはその組み合わせを含み、含フッ素化合物は、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、二フッ化アンモニウム、二フッ化カリウム、またはその任意の組み合わせを含み、含塩素化合物は、塩酸、塩化カリウム、塩化アンモニウム、過塩素酸カリウム、塩化エタンスルホニル、塩化メタンスルホニル、またはその任意の組み合わせを含み、硫酸塩は、硫酸カリウム、硫酸銅、硫酸チタン、硫酸第二鉄、硫酸アンモニウム、グルコサミン硫酸塩、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。
【0028】
一実施形態によれば、エッチング液組成物は、エッチング液組成物の総100重量%に対して、過硫酸塩は、3.0重量%以上及び15.0重量%以下であり、含フッ素化合物は、0.10重量%以上及び2.0重量%以下であり、含塩素化合物は、0.01重量%以上及び1.0重量%以下であり、環状アミン化合物は、0.10重量%以上及び2.0重量%以下であり、無機酸は、0.10重量%以上及び5.0重量%以下であり、硫酸塩は、0.10重量%以上及び7.0重量%以下でもある。
【0029】
一実施形態によれば、エッチング液組成物において、水は、半導体工程用脱イオン水でもある。例えば、水は、18MΩ/cm以上の脱イオン水でもある。一実施形態によれば、水は、残量としても含まれる。残量は、本発明の必須成分、及びその外他成分をさらに含む組成物の総重量が100重量%になるようにする残量を意味する。
【0030】
例えば、水は、75重量%以上及び88重量%以下でもある。
【0031】
チップ制御指数(Y)は、45.0以上及び70.0以下を満足し、チップ制御指数(Y)は、本明細書による数式1によって計算された値である。
【0032】
チップ制御指数(Y)は、エッチング液組成物が多層膜をエッチングし、チップ発生を防止するために、テーパ角(taper angle)を低減させることができるように、エッチング液組成物の含量を調節する指数である。チップ制御指数(Y)が、45.0未満または70超過であるエッチング液組成物は、多層膜の上部に対するエッチング速度が、下部に対するエッチング速度より遅いので、それを使用した多層膜のチップ発生率が高く、テーパ角が増大する。チップ制御指数(Y)が、45.0以上及び70超過であるエッチング液組成物は、多層膜の上部に対するエッチング速度が増大するので、それを使用した多層膜は、チップ発生率が低く、テーパ角が低減されうる。例えば、チップ制御指数(Y)の範囲を満足するエッチング液組成物を利用し、表示装置を製造する場合、多層膜(例:Ti/Cu/Ti/ITO(indium tin oxide)構造の膜)を同時にエッチングすることができ、多層膜において、チップ(例:Ti/Cu/Ti/ITO構造の膜において、ITOに生じるチップ)の発生率が低くなるので、適切なテーパ角を形成することができる。
【0033】
すなわち、チップ制御指数(Y)の範囲を満足するように、エッチング液組成物の含量を調節することにより、すぐれたエッチング効率及びエッチング均一性を有するエッチング液組成物を効率的に開発することができ、高精細な表示装置を製造することができる。
【0034】
例えば、チップ制御指数(Y)は、45.3以上及び68.0以下でもある。
【0035】
一実施形態によれば、エッチング液組成物は、界面活性剤、金属イオン封鎖剤(sequestering agent)、腐食防止剤、発熱安定剤、増粘剤、グリコール、またはその任意の組み合わせをさらに含むものでもある。
【0036】
一実施形態によれば、エッチング液組成物は、金属膜、金属酸化物膜、またはその組み合わせをエッチングするためのものであってもよい。
【0037】
他の実施形態によれば、エッチング液組成物は、金属膜及び金属酸化物膜をエッチングするためのものであってもよい。
【0038】
例えば、金属膜は、単層膜または多層膜でもある。
【0039】
例えば金属膜は、銅、チタン、チタン合金、またはその任意の組み合わせを含み、チタン合金は、チタン;及びモリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。
【0040】
例えば、金属膜は、第1金属膜、第2金属膜及び第3金属膜を含み、第1金属膜及び第3金属膜は、互いに独立して、チタンまたはチタン合金を含み、チタン合金は、チタン;及びモリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、またはその任意の組み合わせ;を含み、第2金属膜は、銅を含むものでもある。
【0041】
例えば、金属酸化物膜は、インジウム(In)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、またはその任意の組み合わせの酸化物を含むものでもある。他の例を挙げれば、金属酸化物膜は、インジウム(In);及びスズ(Sn)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、またはその任意の組み合わせ;の酸化物を含むものでもある。さらに他の例を挙げれば、金属酸化物膜は、インジウム(In)及びスズ(Sn)の酸化物(例;ITO)でもある。
【0042】
例えば、第1金属膜は、チタンを含み、第2金属膜は、銅を含み、第3金属膜は、チタンを含み、金属酸化物膜は、ITOを含むものでもあるが、それらに限定されるものではない。
【0043】
以下において、実施例を挙げ、本発明の一実施形態によるエッチング液組成物につき、さらに具体的に説明する。
【0044】
実施例1~10、及び比較例1~5
実施例1~10、及び比較例1~5によるエッチング液組成物を、下記表1のような組成で製造した。下記表1の%は、重量%である。その後、基板上に、チタン(Ti)/銅(Cu)/チタン/ITO三層の積層膜を形成した後、三層の積層膜上に、フォトレジストをパターニングして試料を作成した。噴射式エッチング方式の実験装備(モデル:ETCHER(TFT)(Semes社製))内に、エッチング液組成物をそれぞれ入れ、温度を約28℃前後に設定した後、試料に対し、それぞれエッチング工程を遂行し、エッチングされた試料を得た。エッチング時間は、約50秒~200秒ほどである。
【0045】
下記表1において、APS(ammonium persulfate)は、過硫酸アムモニウムであり、SPS(sodium persulfate)は、過硫酸ナトリウムであり、KPS(potassium persulfate)は、過硫酸カリウムであり、ABF(ammonium bifluoride)は、二フッ化アンモニウムであり、ACl(ammonium chloride)は、塩化アンモニウムであり、NaCl(sodium chloride)は、塩化ナトリウムであり、ATZ(5-aminotetrazole)は、5-アミノテトラゾールであり、HNO(nitric acid)は、硝酸であり、SS(sodium sulfate)は、硫酸ナトリウムであり、PS(potassium sulfate)は、硫酸カリウムであり、FS(ferric sulfate)は、硫酸第二鉄である。
【0046】
評価例1
実施例1~10、及び比較例1~5によるエッチングされた試料に、さらに70%オーバーエッチングし、オーバーエッチングされた試料のプロファイルを、走査電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)(モデル:S-4700(Hitachi社製))を利用し、試料のプロファイル、及びCu上部のTi/ITOの突出長を測定することにより、チップの発生の有無を表1に示した。下記表1において、チップが生じていない場合、「○」と表し、チップが生じた場合、「X」と表した。図1図5は、それぞれ実施例1~5のエッチングされた試料のプロファイルであり、図6図10は、比較例1~5のエッチングされた試料のプロファイルである。
【0047】
【表1】
【0048】
表1を参照すれば、実施例1~10に使用されたエッチング液組成物のチップ制御指数(Y)は、それぞれ45以上及び70以下であるが、比較例1~5に使用されたエッチング液組成物のチップ制御指数(Y)は、それぞれ45未満または70超過であることが分かる。実施例1~10のエッチングされた試料は、チップが発生せず、試料のプロファイルが優秀であるが、比較例1~5のエッチングされた試料は、チップが生じ、試料のプロファイルが不均一であるということが分かった。
【0049】
図1図10を参照すれば、実施例1~5の試料は、上部にチップが生じていないが、比較例1~5の試料は、上部にチップがそれぞれ0.1468μm、0.1389μm、0.0992μm、0.3254μm、0.4286μmに生じていることが分かった。それにより、実施例1~5で使用されたエッチング液組成物は、比較例1~5のエッチング液組成物に比べ、すぐれたエッチング効率及びエッチング均一性を有するということが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のエッチング液組成物は、例えば、エッチング関連の技術分野に効果的に適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10